1
ひととせにふたたびも来ぬ春なればいとなくけふは花をこそ見れ 平兼盛 後拾遺和歌集
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いとなく: 暇なく。忙殺されずに。他に何かをするということもなく、もっぱら。
平兼盛は三六歌仙の一人。
2
そうだよなあ。桜が咲いたのであれば、一日ずっとその桜を眺めていたらいいんだよなあ。他に何かをすることも有るまい。なにせ一年かかって今日やっと咲いているのだから。桜をこそ尊重してあげようじゃないか。桜の春が一年に二度来るものでもないのだし。ああ、他に何かをしないでも、今日の我が世を十分満喫できるじゃないか。桜守りを専らにす。