戸畑にある北九州市美術館に向かっている。院展が開催されている。それを見に。素敵な絵だろう。果たしてこの平凡な人間に分かるかどうか。ま、うっとりして来ればいいだろう。途中200号線を走った。案じてた割には、混み合っていなかった。お昼になったのでうどん屋さんに。
戸畑にある北九州市美術館に向かっている。院展が開催されている。それを見に。素敵な絵だろう。果たしてこの平凡な人間に分かるかどうか。ま、うっとりして来ればいいだろう。途中200号線を走った。案じてた割には、混み合っていなかった。お昼になったのでうどん屋さんに。
よき人とふたりのときは煩悩も二倍す 咳をひとりして過ぐ 薬王華蔵
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二人で居れば煩悩が二倍になる。恋しい悲しい苦しい。咳はひとりでいるときにすべし。ごほんごほんごほん。ごぼごぼごぼ。体調がおかしい。よき人は佳人。わが思う人。此処を過ぎて行く。
天界を下りて片方(かたへ)となる人の老ひぬはかなし降れさくら花 薬王華蔵
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天界を下りて来てこの人はわたしの妻となった。そうでなければ、このわがままな男の妻業は務まらぬはず。しかし、40数年も連れ添ったら、天人天女もすっかり老いてしまわれた。それがときとして切なく愛しくなる。その愛しい人に桜の花よ降れ。
我が片方に妻がいる。寄り添っている。不思議な出来事だ。
老木は四月の春を娘たり花の数ほど目をかがやかす 薬王華蔵
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花の数ほどもある眼。老木が春を迎えている四月。花を咲かせているのだから当然娘盛りである。生き生きとして目を輝かせている。花はすべて美しい娘の瞳の色である。
われもかくこそはあらめやも。我は老いたり。老いて、四月の春を迎えている。