楽しいことが何かないかなあ。年を取ったらそんなのないよなあ。楽しい事って滅多にないよなあ。その上、この老爺は人付き合いをしない。みんなと遊ばない。たいてい一人で家の中に居るか、畑に居る。畑の仕事はまだまだたくさんあるのだが、今日は怠けている。家の中に居る。退屈。どっかへ出掛けようよ。そうしよう。これからひとりぶらぶらと。
楽しいことが何かないかなあ。年を取ったらそんなのないよなあ。楽しい事って滅多にないよなあ。その上、この老爺は人付き合いをしない。みんなと遊ばない。たいてい一人で家の中に居るか、畑に居る。畑の仕事はまだまだたくさんあるのだが、今日は怠けている。家の中に居る。退屈。どっかへ出掛けようよ。そうしよう。これからひとりぶらぶらと。
そうです、でかでかしいことをしていなくてもいいのです、わたしは。しのびやかでいいのです。当地佐賀の、葉隠れ武士も、かって葉隠れに隠れてひっそりとしていられたのでしょうね。密やかにしていられるのも幸福の一形態。
ひっそりとして生き死にをしているものの方が、しかし、多いはずです。名誉欲は人間だけ。「わたしが偉い」を言い合うのは、ものを言う人間種族だけ。ものを言わない生き物が多いはずです。もしも、草木や石や砂がものを言いだしたらやかましいでしょうね。
さあて、外に出て行きましょう。外は薄曇りです。作業をするには適しています。
① いただいた黄花コスモスの種袋の、種蒔きをする。これはプランターに。
② 蔓有り隠元豆の種蒔きもする。これは小さなポットに。
③ 南瓜苗が移植できるほどの大きさに成長しました。移植の場所を確保します。
④ 友人が切り倒した柿の木の、たくさんたくさんの枝葉を焼却炉で燃やす。
これだけあれば、一日が無事におだやかに過ぎていくでしょう。そうです、わたしはこんなことをひとりぽつねんとしていると幸福なのです、至極。
白い蝶がひらひらひらと飛んで来て、飛び回っています。庭は花園。アイリス、テッセン、ツツジ、芍薬、シャガが満開です。楽しんでいるのでしょう、蝶々も。「楽しむ」ってことを知っているはずですよね。楽しんでいたら、じゃ、どうするのだろう? それが<ひらひらひら>なのかなあ。空中に浮いてウイングを上下左右に揺らすことなのかなあ。人間のわたしは、それはできません。ウイングがありませんから。じゃ、どうやって楽しむか。眺めて眺めて、美しいを言います。
楽しんで生きていなきゃなりません、よね。楽しむべき事を無限に提示されているんですから。
おはようございます。朝が来ています。わたしにも明るい朝が来ています。<お前には朝をやらないことにする>なんてことにはなっていません。なんと平等な分け前なんでしょうね。ふっとそれが有り難く思えます。<前日に立派な生き方をした者のみ>なんて条件はついていません。ついてたら、わたしはアウトでした。ずっと闇の中に居なければならないところでした。すべからく無条件なんですね。これで、わたしが生きられます。大きな顔をして。ビクビクもしないでいいのです。
もう夜明けかと思って目覚めたら、なんの、まだ午前1時前か。夢ばかり見ている。夢疲れた。古い場末の映画館にいて、訳の分からない古い映画を、立て続けに何本も何本も見ているよう。イヤになる。でも、目が閉じる。も少し寝よう。