市政をひらく安中市民の会・市民オンブズマン群馬

1995年に群馬県安中市で起きた51億円詐欺横領事件に敢然と取組む市民団体と保守王国群馬県のオンブズマン組織の活動記録

【消防救急デジタル無線談合】高崎市・安中市消防組合監査から住民監査結果通知が到来!結果は棄却!

2020-04-05 23:26:00 | 消防救急デジタル無線談合
■消防救急デジタル無線の入札談合問題は、公正取引委員会が2017年2月2日に独占禁止法違反で排除措置命令及び課徴金納付命令を出したことが発端です。以来、全国市民オンブズマン連絡会議は、全国各地の各オンブズマン組織に対し、消防本部が業者に損害賠償請求させるよう呼びかけてきました。これを踏まえて当会「市民オンブズマン群馬」は、今年1月29日付で、高崎市・安中市消防組合(高崎市等広域消防局)、桐生市消防本部、館林地区消防組合消防本部に対して住民監査請求書を提出しました。これまでに館林地区消防組合と桐生市消防本部から監査結果通知が届き、いずれも棄却でした。
 そのわけは、富士通ゼネラルが依然として東京地裁で談合認定を不服として訴訟を継続しているので、その決着を見てから対応するので、オンブズマン如きに言われる筋合いはない、という趣旨でした。
 そうしているうちに、高崎市・安中市消防組合監査委員から監査期限ギリギリの3月30日付で住民監査結果通知が届きました。高崎市・安中市消防組合の場合は、地元企業でもある沖電気とその代理店の関越電子情報による談合事件ですが、結果はご多分に漏れず「棄却」となっていますが、なにやら、よく読むとなにか特別な事情が判明したようです。

高崎市・安中市消防組合(高崎市八千代町1-13-10)。消防本部の名称は「高崎市等広域消防局」。管轄区域は高崎市(吉井区域除く)と安中市、管轄面積:673.61km2、職員定数:420人、消防署数:4、分署数:10。主力機材(2019年6月1日現在)は水槽付消防ポンプ自動車18、梯子付消防自動車4(内、屈折はしご付消防ポンプ自動車1)、化学消防車3、指揮車6、電源照明車1、広報車14、資材搬送車4、水槽車3、救急自動車19、救助工作車3、指揮支援車1、無線中継車1、救急指導車1、その他7。

 なお、高崎市・安中市消防組合への住民監査請求書については次のブログ記事を参照ください。
○2020年1月31日:【消防救急デジタル無線談合】時効が迫る中、群馬県でも3消防組合に住民監査請求
https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/3115.html
○2020年2月22日:【消防救急デジタル無線談合】高崎市・安中市消防組合監査委員に対して当会が証拠提出と陳述
https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/3119.html

■ではさっそく高崎市・安中市監査員が出した監査結果通知を見てみましょう。

**********ZIP ⇒ 20200331sshgm.zip
                          令和2年3月30日
  請求人 小川 賢 様
                 高崎市・安中市消防組合監査委員事務局
                          局長  宮下 明子

   住民監査請求に係る監査結果の送付について
 住民監査請求に係る監査結果について送付いたします。
 なお、監査結果に不服がある場合には、監査の結果通知を受け取ってから30日以内に裁判所に対して住民訴訟を提起することができることを申し添えます(地方自治法第242条の2第2項第1号)。

                高崎市・安中市消防組合監査委員事務局
                監査担当 剣持
                TEL 027·321-1300(直通)

**********ZIP ⇒ 20200331sshgm.zip
<P1>
                             第365-1号
                           令和2年3月30日
 請求人 小川 賢 様
              高崎市・安中市消防組合監査委員  田口 幸夫
                     同         武者 葉子

   住民監査請求に係る監査の結果について(通知)
 令和2年1月29日付けで提出された住民監査請求(以下「本件監査請求」という。)について、地方自治法(昭和22年法律第67号)第242条第4項の規定に基づき監査を行ったので、その結果を通知します。

第1 請求の受付
1 受付日
  令和2年1月30日(木)

2 請求人
  住所 安中市野殿980
  氏名 小川 賢

3 請求の要旨(原文のまま記載)
  監査委員は、消防組合管理者に対し、平成24年10月19日締結の「消防救急デジタル移動無線機 消防局総務課」事業の物品売買契約に関し、関越電子情報株式会社及び沖電気工業株式会社から各自金5234万2500円を消防組合に返還させるための必要な措屈をとることを勧告するよう求める。

4 請求の理由(項目番号を除き原文のまま記載)
(1)監査請求にかかる契約
   高崎市・安中市消防組合は、「消防救急デジタル移動無線機 消防局総務課」事業を一般競争入札の方法により発注した。
   これに対し、関越電子情報株式会社と沖電気工業株式会社の計2社が入札し、その結果、関越電子情報㈱が、1回目の入札で、4億9850万円で落札した。
そして、組合と関越電子情報㈱は、平成24年10月19日、下記内容の「消防救急デジタル移動無線機 消防局総務課」事業の物品売買契約を結んだ。
  ア 請負代金 5億2342万5000円
   イ 受注者が独占禁止法第3条の規定に違反し、又は受注者が構成事業者である事業者団体が独占禁止法第8条第1項の規定に違反したことにより、公正取引委員会が受注者に対し、独占禁止法第7条の2第1項(独占禁止法第8条の3において準用する場合を含む。)の規定に基づく課徴金の納付命令を行い、当該納付命令が確定したとき(独占禁止法第7条の2第10項の

<P2>
規定に基づき課徴金の納付を命じない場合を含む。)、受注者は、発注者に対して、契約金額(本契約締結後、契約金額の変更があった場合には、変更後の契約金額)の100分の10に相当する額を支払わなければならない(本件契約第10条第1項(1)号)。
(2)公正取引委員会による排除措置命令及び課徴金納付命令/・・・(略)・・・
(3)組合の有する債権
  ア 関越電子情報に対する債権
  (ア)請負契約に基づく違約金請求権
     関越電子情報は、上記排除措置命令及び課徴金納付命令の直接の名宛人とはなっていない。しかし、公正取引委員会の認定によれば、「入札等において落札すべき価格は、(中略)代理店等に落札させる場合には当該代理店等と相談して決定する」とされているところ、関越電子情報はこの「代理店等」に該当し、さらに、談合により本件工事の価格の公正が害されたと認定されているから、実質的には、本契約第10条第1項(1)号に該当する。
     よって、組合は、関越電子情報に対し、請負代金額の100分の10である5234万2500円の違約金請求権を有する。
   (イ)不法行為による損害賠償責任
      I  上記の通り、関越電子情報は、沖電気工業と共に入札談合を行っていたので、独占禁止法第3条違反として、不法行為責任を負う。
      II  当該不法行為によって組合が被った損害額/本契約第10条第1項(1)号所定の定めは、損害賠償額の予定の規定(民法第420条第1項)と解すべきであるから、当該不法行為によって組合が被った被害額は、請負代金額の100分の10である。大阪高裁平成22年8月24日判決(平21(行コ)154号事件)も、本件約款と同趣旨の規定について、損害賠償額の予定の規定と解釈している。
      III したがって、組合は、関越電子情報に対して、請負代金額の100分の10である5234万2500円の損害賠償請求権を有する。
  イ 沖電気工業に対する債権
    沖電気工業は、排除措置命令及び課徽金納付命令の名宛人であって、まさしく談合の当事者として独占禁止法違反行為を行っていた者である。
    したがって、関越電子情報と同様、組合に対して不法行為責任を負う(関越電子情報とは、共同不法行為となる)。
    沖電気工業は、関越電子情報との共同不法行為により組合に損害を与えたのだから、沖電気工業が組合に与えた損害額は、関越電子情報と同様に5234万2500円である。
    よって、組合は、沖電気工業に対して、5234万2500円の損害賠償請求権を有する。

5 結論(原文のまま記載)
  以上の通り、組合は、関越電子情報及び沖電気工業に対して上述の債権を有しているにも関わらず、何ら措置をとっていない。よって、監査請求の趣旨記載のとおり請求を行う。

(事実証明書)
 1 平成29年(措)第1号排除措置命令書
 2 平成24年9月21日付け入札結果報告

<P3>
 3 平成24年10月19日付け物品売買契約書
 4 平成24年7月付け消防救急デジタル移動無線機整備事業仕様書
 5 平成29年(納)第3号課徴金納付命令書
 (事実証明書の内容については記載を省略)

6 請求の受理
(1)請求人の資格
   地方自治法第242条第1項の規定により、住民監査請求を行うことができる請求人は、当該普通地方公共団体の住人と規定されており、本件の対象は高崎市及び安中市による一部事務組合であることから、上記条項を地方自治法第292条が準用することにより、いずれかの住民であることが条件となるが、本件請求人は資格を有している。
(2)請求の対象
   地方自治法第242条第1項及びこれを準用する同法第292条の規定により、請求の対象は当該特別地方公共団体の長若しくは委員会若しくは委員又は当該特別地方公共団体の職員とされており、本件監査請求は高崎市・安中市消防組合(以下「組合」という。)管理者に対して請求している。
(3)請求期間
   地方自治法第242条第2項の規定により、住民監査請求は当該行為のあった日又は終わった日から1年以内とされている。本件監査請求は、平成29年2月2日に公正取引委員会が業者に対して排除措置命令及び課徴金納付命令を行ってから1 年以上経過したものであるが、入札談合により組合が被った損害に対する損害賠償請求権等の行使を怠っていたとするものであり、「財産の管理を怠る事実」に該当することから、請求期間の制限を受けないものである。
(4)要件審査
   本件監査請求は、地方自治法第242条第1項の所定の要件を満たしているものと認め、令和2年2月7日に1月30日付けでこれを受理することを通知した。なお、請求の理由について根拠等不明な点があったことから質問書を送付したところ、2月17日付けで回答及び追加資料が提出された。

(追加の事実証明書)
 6 「乙35号証」供述調書
 7 「乙37号証」供述調書
 8 「乙1号証」訴状
 9 「甲A11-3」談合一覧表
 (事実証明書の内容については記載を省略)

第2 監査の実施
1 請求人の陳述
  地方自治法第242条第6項の規定により、令和2年2月21日に請求人に対し新たな証拠の提出及び陳述の機会を設けたところ、請求人が出席し、おおむね以下のとおりの陳述を行った。なお、新たな証拠の提出として、下記の事実証明書が提出された。

<P4>
(追加の事実証明書)
 10 オンブズマンホームページ≪消防救急デジタル無線談合≫
 11 平成30年12月6日付け公開質問状に関する回答
 12 都道府県落札率一覧表
 13 ウィキペディア記事 消防無線
 (事実証明書の内容については記載を省略)

(1)全国の消防局の入札において、無線のデジタル化に伴う契約について談合が行われていたということで、公正取引委員会から消防救急デジタル無線機器の主要な製造販売業者である株式会社富士通ゼネラル(以下「富土通ゼネラル」という。)、日本電気株式会社、沖電気工業株式会社(以下「沖電気工業」と いう。)、日本無線株式会社及び株式会社日立国際電気の5社(以下「5社」という。)に対し、平成29年2月2日付けで排除措置命令等が出された。
   沖電気工業と組合は「無線基地局等整備工事」の契約(以下「基地局契約」という。)を行っており、これについては違約金請求を行っている。しかし、「消防救急デジタル移動無線機 消防局総務課」の契約(以下「本件契約」という。)については請求を行っていない。本件契約は沖電気工業ではなく関越電子情報株式会社(以下「関越電子情報」という。)との契約だが、これは沖電気工業の代理店であり、代理店等を経由した場合でも談合である。公正取引委員会も代理店等を経由した契約について指摘しており、資料からも明らかとなっている。
(2)平成30年11月20日に組合へ公開質問状を提出したところ、事実証明書11のとおり直接契約の基地局契約は請求済みで、間接契約である本件契約は検討中という回答であった。今後の請求予定については、「代理店等の契約のため、不利益について立証することが困難であり、引き続き、総務省消防庁、他の消防本部等の動向を注視し、精査検討する」という回答であった。他の消防本部の状況として、事実証明書8のとおり尾三消防組合は代理店取引の間接契約について訴訟に踏み切っていることから、検討中ではなく、十分研究したうえで回収に向けた努力をしてもらいたい。
(3)組合は調査・検討を進めていると回答しているが、調査が不足している、違うところを調査している等の問題があっては好ましくない。検討、調査、研究をした結果、訴訟に踏み切るだけの 根拠が揃わなかった等、本件監査請求を契機に、監査委員には経緯等を聴取してもらい、組合の対応について明らかにしていただきたい。
(4)以上が、請求人のおおまかな陳述であるが、監査委員から事実証明書6及び7の入手方法について質問したところ、「オンブズマンの全国組織があり、メーリングリストで情報共有している。関西方面でオンブズマンが訴訟を行っているところや、消防組合と連携、支援している形のところがあり、その訴訟の中で入手した資料である。公正取引委員会は当事者に対しては資料を開示しているようなので、本件監査請求についても要請し入手していただきたい。」との回答があった。

2 組合からの聴取
(1)組合を監査対象部局とし、令和2年2月18日に総務課及び通信指令課から、本件監査請求について聴取を行った。その要旨は、おおむね以下のとおりである。

<P4>
 ア 本件契約は一般競争入札で行われ、平成24年9月21日に入札があり、関越電子情報が落札した。製造販売業者は沖電気工業である。これは6消防本部(高崎、利根沼田、渋川、多野藤岡、富岡甘楽、吾妻)の共同事業で、6消防本部の全ての無線機を購入するもの。数は車載218機、携帯型219機、署所端末用39機である。
   9月25日に仮契約を行い、組合議会で議決されたのち、10月19日に本契約を締結した。納入について、平成25年3月29日が履行期限となっており、納品書の写しのとおり規定数が3月12日までに納入された。
 イ 仕様書について、消防庁が作成した「消防救急デジタル無線共通仕様書」があり、製造販売業者側や職員が混乱しないよう、ある程度の全国共通仕様を定めている。
   電波法令関連基準があり、それに基づいて作られているが、消防本部に付与される無線の周波数帯に合わせて製造しており、仕様書もそれに準じて作成している。各製造販売業者で作られる無線機はほとんど同じ性能で、業者が違うと通話できないようでは困るため、似たタイプの無線機を作成し、どこの消防本部とも通話できるようになっている。全国で共通仕様書を参考にしており、情報共有されているため、どこの業者を指名しても問題ない。一般競争入札で募集した結果、関越電子情報と沖電気工業の2社しか応募がこなかったが 、これについては、各社の判断であり、制度上は問題ないと考えていた。
   マイクをハンドセットタイプ、キャリーケースのストラップは標準のもの等、オプションはこちらの好みで選択しているが、基本構造は各社同じで形は違っているだけなので、どこの製品でも問題ないと考えていた。
 ウ 平成29年2月2日の排除措置命令及び課徴金納付命令後の対応として、2月6日に組合と契約課で沖電気工業に聴取を行った結果、基地局契約の方は談合を認め、謝罪の言葉があったが、本件契約については関越電子情報とは談合を行っていないという回答だった。その後、2月28日に関越電子情報の聴取を契約課が行ったが、沖電気工業との談合は行っていないと回答があり、また契約課も証拠等が認められないとの判断に至った。6月8日には基地局契約について違約金1億1,235万円を請求、7月26日に請求書を送付し9月4日に送金確認したが、本件契約については、確たる証拠が無いことから請求を行っていない。
   本件契約については、同じ製造販売業者と契約している近隣の消防本部に確認し入札の結果等の聴取を行い、不正行為や民法上の損害賠償請求権の有無等について弁護土に確認している。調査の中で、排除措置命令書の理由となる「代理店等」に該当する事業所名が分かる文書や談合が行われたことが分かる根拠が確認できる文書を公正取引委員会に公開請求していた消防本部があったが、全部不開示という回答だったことを確認している。引き続き総務省への相談や、沖電気工業が入っている代理店が入札を応需した消防本部の単価を確認する等、調査を進める。
 エ 公正取引委員会から言及されているのは沖電気工業であって関越電子情報ではないこと、契約課及び組合の聴取や入手した資料からは証拠となり得るものを見つけられていないことから、現状では請求には至っていない。
(2)令和2年3月23日に総務課及び通信指令課から、再度本件監査請求について聴取を行った。その要旨は、おおむね以下のとおりである。
 ア 他の消防本部に問い合わせたところ、先進的な対応をしている埼玉の組合から、富士通ゼネラルの課徴金命令取消訴訟の供述調書について言及があり、本件契約についても供述調書があ

<P6>
るのではないかという情報が得られたことから、東京地方裁判所に閲覧謄写申請を行い令和2年3月19日に入手した。富士通ゼネラルの課徴金命令取消訴訟(東京地裁平成29年(行ウ)第356号事件)の「乙288号証」供述調書(以下、「本件供述調書」という。)というもので、沖電気工業の社員の供述の中で高崎市等広城消防局の2件の契約についての説明があった。組合の対応について事実と異なる部分はあるが、関越電子情報と沖電気工業の協議があったという確たる証拠になり得るものであると考えている。
 イ 請求については弁護土等に確認しているところであるが、関越電子情報に課徴金納付命令が出ていないため、本件契約の第10条第1項の適用は困難であることから違約金請求はできないと思われる。
   しかし、私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律(昭和22年法律第54号。以下「独占禁止法」という。)第3条、民法第709条又は同法第719条に抵触する共同不法行為に該当し、損害賠償請求権を有するものと推測されることから、精査しているところである。2社の協議はあったものと考えられることから、組合は契約約款の違約金と同額として、契約金額の10%を2社に請求する等の請求方法を考えていく。ただし、損害額をどちらか一方が全額払うか分割するかは問わない。
   時効については、上記共同不法行為を知ってから3年ということで、本件供述調書を入手した日、東京地方裁判所で閲覧謄写を行った日である令和2年3月19日から3年と考えている。時効の考え方は請求方法により解釈が異なるため、しっかり検討していきたい。
確たる証拠になり得る資料を入手したことから、請求に向けた準備を進めているところである。


3 関係課からの聴取
  契約事務を行っていた契約課から、令和2年2月21日に本件監査請求について聴取を行った。その要旨は、おおむね以下のとおりである。
(1)本件契約の一般競争入札について、仕様書に基づき調達する物品を購入しているが、製造販売業者等の指定は行っていないため、この機能を満たしていればよいとしている。このため、沖電気工業と関越電子情報の2社入札で、結果として同一の製品を納入する業者だけの入札となってしまっているが、制度上問題はない。
   組合議会の議決に付すべき契約及び財産の取得又は処分に関しては、「高崎市議会の議決に付すべき契約及び財産の取得又は処分に関する条例」の規定の例による、となっているので、当該条例第3条に該当することから、平成24年9月25日に仮契約締結、組合議会に上程し、10月19日議決をもって本契約した。なお、物品について議決が必要になる金額は、2,000万円以上である。
(2)平成29年2月6日市役所会議室において、沖電気工業の執行役員以下3名から入札談合に係る説明を受けた後、組合と契約課が質疑応答を行った。回答は以下のとおりである。
 ア 課徴金の対象となった事業は、組合の本件契約と基地局契約である。
 イ 本件契約の無線事業の入札についても5社の談合であった。
 ウ 本件契約は関越電子情報が落札者であるが、原則的に関与していない。あくまで5社間による談合である。
 エ 関越電子情報と沖電気工業の関わりに一切談合の事実はなかった。

<P7>
 オ 公正取引委員会から沖電気工業と関越電子情報の関係性や談合については聴取されなかった。
   この結果を受け、5社に調査を行い、組合、高崎市及び安中市は6月1日付けで沖電気工業外1社を3か月の指名停止、関与していない又は訴訟等の都合により回答できないとした3社を2か月の指名停止とした。
(3)平成29年2月28日市役所入札控室において、関越電子情報の代表取締役から契約課が事情聴取を行った。回答は以下のとおりである。
 ア 本件契約の入札にあたり、他社と何らかの打合せ、又は話し合いをしたことはない。
 イ 公正取引委員会による調査はなかった。当社も新聞報道等で知った。
   以上の質問から、沖電気工業と関越電子情報の談合の事実は認められないとの判断に至った。

4 監査の着眼点
  請求人は、無線のデジタル化に伴う諸契約について談合が行われていたということで、公正取引委員会から平成29年2月2日付けで、5社に対し排除措置命令が出され、またうち4社に対し課徴金納付命令が出されたが、組合も本件契約に関し損害を被っていることから、関越電子情報の違 約金又は関越電子情報及び沖電気工業の不法行為による損害賠償として、両社から合計で5,234万2,500円を組合に返還させるための必要な措置をとることを勧告するよう求めている。したがって、①組合は関越電子情報に対し本件契約に基づく違約金請求権又は損害賠償請求権を有し、これら債権の管理を違法又は不当に怠る事実があるか、②組合は沖電気工業に対し損害賠償請求権を有し、この債権の管理を違法又は不当に怠る事実があるか、の2点について、監査の着眼点とした。

第3 監査の結果
1 事実関係の確認
(1)入札及び契約の経緯
   平成24年8月31日 一般競争入札について公告し、9月3日から9月7日まで入札参加資格確認申請書及び入札参加資格確認資料(以下「申請書等」とする。)の提出を求めた。
        9月 5日 沖電気工業及び関越電子情報から申請書等が提出された。
        9月 7日 沖電気工業及び関越電子情報の2件とも適格と認められた。
        9月21日 沖電気工業及び関越電子情報の2社による入札を執行、関越電子情報が5億2,342万5,000円(消費税込価格)で落札
        9月25日 仮契約を締結
       10月19日 議決後、本契約を締結
(2)本件契約における違約金条項について
   本件契約における違約金条項は、次のとおりである。
   (談合等不正行為があった場合の違約金等)
  第10条 関越電子情報が次の各号のいずれかに該当したときは、関越電子情報は、組合の請求に基づき、契約金額(本契約締結後、契約金額の変更があった場合には、変更後の金額)の100分の10に相当する額を違約金として組合の指定する期間内に支払わなければならない。

<P8>
(1)この契約に関し、関越電子情報が独占禁止法第3条の規定に違反し、又は関越電子情報が構成事業者である事業者団体が独占禁止法第8条第1項の規定に違反したことにより、公正取引委員会が関越電子情報に対し、独占禁止法第7条の2第1項(独占禁止法第8条の3において準用する場合を含む。)の規定に基づく課徴金の納付命令(以下「納付命令」という。)を行い、当該納付命令が確定したとき。(独占禁止法第7条の2第10項の規定に基づき課徴金の納付を命じない場合を含む。)
(2)この契約に関し、関越電子情報(法人にあっては、その役員又は使用人を含む。)の刑法(明治40年法律第45号)第96条の3又は独占禁止法第89条第1項若しくは第95条第1項第1号の規定する刑が確定したとき。

2 監査委員の判断
(1)組合は関越電子情報に対し本件契約に基づく違約金請求権又は損害賠償請求権を有し、これら債権の管理を違法又は不当に怠る事実があるか。
 ア 違約金請求権について
   関越電子情報は、公正取引委員会による排除措置命令及び課徴金納付命令の名宛人ではなく本件契約第10条第1項各号のいずれにも該当しない。よって、組合の関越電子情報に対する違約金請求権は生じないと考える。
 イ 損害賠償請求権について
   公正取引委員会は、平成29年2月2日に沖電気工業に対して排除措置命令及び課徽金納付命令を行い、8月3日に確定している。この課徴金納付命令の課徴金算定対象物件一覧、に本件契約の物件が掲載されている。
   しかし、本件契約に関する事実認定の記載は存在しないことから、関越電子情報の関与は定かではない。
   このため、組合は本件契約に関し、契約条項に基づく遮約金は生じないとしても、関越電子情報に独占禁止法違反行為若しくは不法行為が認められることにより組合が損害を被った場合には、民法第709条又は同法第719条により損害賠償請求を行わなければならない。
   本監査において、監査対象部局から提出された資料及び職員からの聴取結果によると、組合は損害賠償請求権を有すると判断できる可能性の高い資料を入手しているものの、その内容について精査を行っている最中であり、本監査時点において請求権を決定づける資料であるとまでは言い難い。
   なお、損害賠償請求権を有すると判断できる可能性の高い資料を入手したことから、更なる聴取を予定する等、損害賠償請求権の調査を進めている
ことから、違法又は不当に債権の管理を怠っているとは言えない。

(2)組合は沖電気工業に対し損害賠償請求権を有し、この債権の管理を違法又は不当に怠る事実があるか。
   2(1)イのとおり、公正取引委員会は、平成29年2月2日に沖電気工業に対して排除措置命令及び課徴金納付命令を行い、8月3日に確定している。
   このため、沖電気工業は本件契約の直接の相手方ではないものの、沖電気工業が行った独占禁止法違反行為によって組合が損害を受けた場合には、独占禁止法第25条又は民法第709条等

<P9>
により損害賠償請求を行わなければならない。
   しかし、沖電気工業は本件契約の直接の相手方ではないことから、本件契約に基づく違約金を請求することはできない。
   よって、組合が損害賠償請求を行うにあたっては、通常の損害賠償請求と同様に、組合が損害額を明らかにして請求する必要がある
   本監査時点において、組合には消防庁から具体的な計算方法が示されていないが、引き続き消防庁に対する照会を行うとともに、他の消防本部と情報交換を行いつつ資料収集に努めている。また、弁護士に対し請求根拠や時効について相談する等、損害賠償請求に向けて準備を進めていることから、違法又は不当に債権の管理を怠っているとは言えない。

3 結論
  以上のことから、請求に理由がないので棄却とする。

4 意見
  本件契約に関わる協議の事実が推察される資料を入手したため、早急に内容を精査し、その上で、他の消防組合の対応や専門家の意見、裁判例等を参考に損害額を決定するなどして、速やかに損害賠償請求を進めてもらいたい。
  なお、損害額の算定については、情報収集に努め適正な額を算定してもらいたい。
  本件の消滅時効については様々な意見があるものの、期間が短い可能性を考慮して、迅速かつ遥切な対応を望むものである。

**********

■当会の住民監査請求を契機に関係先に調査をかけたところ、沖電気と関越電子情報との間で談合に係る証拠を裏付ける決定的な情報が入手できたのですから、当会の住民監査請求を是として、直ちに必要な行動をとればよいものを、「さらに情報収集に努め、適正な額を算定したうえで、速やかに損害賠償請求を進められたい」などともったいぶっているのは、いかがなものでしょうか。

 そして、「棄却」通知を当会に出すにしても、意見欄には、一言くらい「オンブズマンの住民監査請求が引き金となって、損害賠償請求の道筋を切り開いた」というような表現を入れても、特に問題はなかったでは、と思う次第です。

 このまま黙って30日が経過するのを見過ごすのか、それとも、きちんと損害賠償請求を実施する旨の意思確認を当局に確認すべきか、現在検討中です。

【市民オンブズマン群馬事務局からの報告】

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

【消防救急デジタル無線談合】桐生市消防本部に対する住民監査請求で監査委員が棄却通知を送付

2020-03-27 23:17:00 | 消防救急デジタル無線談合
■消防救急デジタル無線の入札談合問題は、公正取引委員会が2017年2月2日に独占禁止法違反で排除措置命令及び課徴金納付命令を出したことが発端です。以来、全国市民オンブズマン連絡会議は、全国各地の各オンブズマン組織に対し、消防本部が業者に損害賠償請求させるよう呼びかけてきました。当会「市民オンブズマン群馬」も、いち早く入札調書等を関係消防組合から情報公開請求により入手し、動向を注視してきました。最近では2019年9月28-29日に岐阜市で行われた「第26回市民オンブズ全国大会in岐阜・2019」において、消防デジタル無線談合について、該当自治体に遅くとも2020年7月までに住民監査請求をするよう呼びかけが行われました。
 これを踏まえて当会は、今年1月29日付で、高崎市・安中市消防組合(高崎市等広域消防局)、桐生市消防本部、館林地区消防組合に対して、各地の会員により手分けして住民監査請求書を提出しました。このうち3月23日付の館林地区消防本部に続き、3月25日付で桐生市消防本部監査委員から、監査結果通知が送られてきました。結果は今回も「棄却」でした。

桐生市消防本部(桐生市元宿町13番38号)。桐生市の消防部局(消防本部)に所属。管轄区域は桐生市とみどり市全域。管内面積:482.8km2、職員定数:220人、消防署2ヶ所、分署4ヶ所、主力機材:消防ポンプ自動車7・水槽付きポンプ車8・はしご車2・化学車1・救急車8・指揮車1・救助工作車1(特別救助隊運用)・電源照明車1・その他17。


2014年12月22日10時半、桐生市消防本部で行われた消防救急デジタル無線運用開始式。

 なお、住民監査請求のこれまでの経緯については次のブログ記事を参照ください。
○2020年1月31日:【消防救急デジタル無線談合】時効が迫る中、群馬県でも3消防組合に住民監査請求
https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/3115.html
○2020年3月12日:【消防救急デジタル無線談合】桐生市消防本部に対する住民監査請求で当会会員が追加証拠提出と陳述
https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/3134.html

 それでは、桐生市監査委員が送ってきた監査結果を見てみましょう。

*****監査結果送り状*****ZIP ⇒ shhfwzm.zip
                          桐監発第1・35号
                          令和2年3月25日
桐生市天神町三丁目14-36
 長 澤 健 二  様
                    桐生市監査委員 石 井 謙 三
                       同    〆 谷 信 良
                       同    周 藤 雅 彦

          桐生市職員措置請求について

 令和2年1月29日付で請求のありました住民監査請求について、地方自治法第242条第4項の規定に基づき、監査の結果を別紙のとおり通知します。

*****監査結果*****ZIP ⇒ shhfwzmp14.zip
shhfwzmp57.zip
<表紙>

           住民監査請求監査結果

             桐生市監査委員

<P1>
           住民監査請求監査結果
                    桐生市監査委員 石井 謙三
                       同    〆谷 信良
                       同    周藤 雅彦
第1 請求の受付
1 請求人
  住所  桐生市天神町3丁目14-36
  氏名  長澤健二

2 請求書の受付
  請求告は、令和2年1月29日に収受した。

3 請求の趣旨
  請求人提出の桐生市職員措醤請求書による請求の内容は次のとおりである。
  (請求書原文のまま登載)
第1 監査請求の趣旨
   監査委員は、桐生市長に対し、平成25年6月28日締結の「桐生市消防救急無線デジタル化整備工事」事業の建設工事請負契約に関し、東日本苺信君話株式会社及び株式会社富士通ゼネラルから各自金2億0684万4000円を桐生市に返還させるための必要な措置をとることを勧告するよう求める。
第2 監査請求の理由
1 監査詰求にかかる契約
  桐生市は、「桐生市消防救急無線デジタル化整備工事」事業を条件付き一般競争入札の方法により発注した。
  これに対し、株式会社富士通ゼネラル、東日本電信電話株式会社の計2社が入札し、その結果、東日本電信電話(株)が、1 回目の入札で、9億8500万円で落札した。
  そして、桐生市と東日本電信電話(株)は、平成25年5月21日、下記内容の「桐生市消防救急無線デジタル化整備工事」事業の建設工事請負仮契約を結んだ。
イ 請負代金 10億3422万0000円(消費税込み)
ロ 受注者が独占禁止法第3条の規定に違反し、又は受注者が構成事業者である事業者団体が独占禁止法第8条第1項第1号の規定に達反したことにより、公正取引委員会が受注者に対し、独占禁止法第7条の2第1項(独占禁止法第8条の3において準用する場合を含む。)の規定に基づく課徴金の納付命令を行い、当該納付命令が確定したとき(確定した当該納付命令が独占禁止法第59条第2項の規定により取り消された場合を含む。)、受注者は、発注者に対して、請負代金額(この契約の締結後、諸負代金額の変更があった場合には、変更後の請負代金額)の10分の2に相当する額を支払わなければならない(約款第42条の2第1項(1)号)。
2 公正取引委員会による排除措置命令及び課徴金納付命令/・・・(略)・・・
3 桐生市の有する債権

<P2>
(1)東日本電信電話に対する債権
 (ア)請負契約に基づく違約金請求権
   東日本毎信電話は、上記排除措置命令及び課徴金納付命令の直接の名宛人とはなっていない。しかし、公正取引委員会の認定によれば、「入札等において落札すべき価格は、(中略)代理店等に落札させる場合には当該代理店等と相談して決定する」とされているところ、東日本電信電話はこの「代理店等」に該当し、さらに、談合により本件工事の価格の公正が害されたと認定されているから、実質的には、本件契約約款第42条の2第1項(1)号に該当する。
   よって、桐生市は、東日本電信電話に対し、請負代金額の10分の2である2億0684万4000円の違約金請求権を有する。
(イ)不法行為による損害賠償責任
 I 上記の通り、東日本電信電話は、富士通ゼネラルと共に入札談合を行っていたので独占禁止法 3 条違反として、不法行為責任を負う。
II 当該不法行為によって桐生市が被った損害額 / 本件契約約款42条の2第1項(1)所定の定めは、損害賠償額の予定の規定(民法420条1項)と解すべきであるから、当該不法行為によって桐生市が被った損害額は、請負代金額の10分の2である。大阪高裁平成22年8月24日判決(平21(行コ)154号事件)も、本件約款と同趣旨の規定について、損害賠償額の予定の規定と解釈している。
III したがって、桐生市は、東日本電信電話に対して、請負代金額の10分の2である2億0684万4000円の損害賠償請求権を有する。
(2)富士通ゼネラルに対する債権
   富士通ゼネラルは、排除措骰命令及び課徴金納付命令の名宛人であって、まさしく談合の当事者として独占禁止法違反行為を行っていた者である。
   したがって、東日本電信電話と同様、桐生市に対して不法行為資任を負う(束日本電信電話とは、共同不法行為となる)。
   富士通ゼネラルは、東日本電信電話との共同不法行為により桐生市に損害を与えたのだから、富士通ゼネラルが桐生市に与えた損害額は、東日本電信電話と同様に2億0684万4000円である。
   よって、桐生市は、富士通ゼネラルに対して、2億0683万4000円の損害賠償請求権を有する。
第3 結論
   以上の通り、桐生市は、東日本電信電話及び富士通ゼネラルに対して上述の債権を有しているにも関わらず、何ら措置をとっていない。よって、監査諮求の趣旨記載のとおり請求を行う。
地方自治法第242条第1項の規定により別紙事実証明書を添え必要な措置を請求します。
涼付;別紙
添付書類:事実証明書
 本件に関する事実証明として、次の書類の写しを提出する。
 1 平成29年(措)第1号排除措置命令書
 2 平成25年5月17日付け入札・契約結果情報詳細(入札調書・入札経過)

<P3>
 3 平成25年5月21日付け建設工事諸負仮契約書
 4 建設工事請負契約約款
 4 平成29年(納)第1号課徴金納付命令書

4 請求の要件審査及び請求の受理
  本件請求については、地方自治法(昭和22年法律第67号)第242条の所定要件を具備しているものと認め令和2年2月27日に受理した。

5 請求期間について
  地方自治法第242条第2項において、住民監査請求は当該行為のあった日又は終わった日から1年以内と規定されている。本件請求は、平成29年2月2日に公正取引委員会が、業者に対して排除措置命令及び課徴金納付命令を行ってから1年以上経過したものであるが、その対象は、入札談合により桐生市が被った損害に対する損害賠償請求権等の行使を怠っていたとするものであり、「財産の管理を怠る事実」に該当することから、請求期間の制限を受けないものと認める。

第2 監査の実施
1 監査期間
  令和2年2月27日から同年3月23日

2 監査対象部局
  消防本部総務課・通信指令課

3 請求人の証拠の提出及び陳述
  請求人に対して、地方自治法第242条第6項の規定に基づき、陳述の機会を設けた。その際、追加資料の提出を受けた。
 (1) 陳述の概要
   令和2年3月9日(月)午後1時10分~午後1時32分
  ア 公正取引委員会が平成29年2月2日に出した「排除措置命令書」の中に本件談合問題について説明の記述がある。
  イ 東日本電信電話株式会社が富士通ゼネラル株式会社の代理店等である根拠は、東日本電信電話株式会社が桐生市消防本部に対して「機器供給証明書」を提出しているはず。そこに富士通ゼネラルの名で「特約店契約に基づき東日本電信電話株式会社に機器を供給することを証明いたします。」と記述されているはず。これで東日本電信電話が富士通ゼネラルの代理店等であることがわかる。
  ウ 東日本電信電話が富士通ゼネラルから機器を供給され、富士通ゼネラルが5社と談合して落札すると決めていれば、東日本電信電話と富士通ゼネラルは談合していたことになる。
  エ 桐生市においても富士通ゼネラルと代理店等の東日本電信電話に、連帯して違約金を支払うよう請求してほしい。

<P4>
4 関係職員の調査
  令和2年3月9日に消防本部職貝より消防救急無線デジタル化整備工事入札に係る対応について聞き取り調査を実施した。
 (1) 聞き取りの概要
  ア 平成29年2月2日付けにて公正取引委員会が株式会社富士通ゼネラルに対し排除措匠命令及び課徴納付金命令を行った。
  イ 平成29年2月9日、消防救急デジタル無線入札談合に伴う近隣市(前橋市、伊勢崎市、太田市、館林地区消防組合、足利市、佐野市)等へ指名停止処分の対応について聴き取り調査を行い、いずれの市等も指名停止を行う方向であることを確認した。
  ウ 平成29年2月13日、株式会社富士通ゼネラルから処分に係る概要、会社の今後の対応等について聞き取りを行った結果、排除命令に関しては、各自治体の方針に従うとの回答があった。
  エ 平成29年3月9日、公正取引委員会に対し、課徴金納付命令書の写しを求め入手した。
  オ 平成29年4月12日、損害賠償請求について桐生市顧問弁護士に法律相談を行った結果、桐生市と直接契約を交わしていない株式会社富士通ゼネラルには、損害賠償請求はできないとの助言があり、消防本部ではその助言に基づき損害賠償請求はできないと判断した。
  カ 令和元年11月11日、全国消防長会から消滅時効期限は令和2年8月3日となる可能性があることの報告を受けた。
  キ 令和2年2月6日、株式会社富士通ゼネラルに対し、公正取引委員会からの排除措腔命令及び課徴金納付命令に対する取消訴訟の状況についての報告を求めた。その結果、平成29年2月付けの排除措置命令と課徴金納付命令に対し、全部取消しを請求内容として提訴したことを確認した。
  ク 令和2年2月25日、東京地方裁判所に、事件番号平成29年(行ウ)第356号排除措置命令等取消請求事件の審理に係る証明申請を行い、令和2年3月2日付で係属中であることの証明を受理した。
  ケ 今後も研究、他市の状況の情報収集等をしっかり行い判断し、適切に対応したい。

5 監査対象事項
  請求書、陳述及び添付された資料から勘案して、市の①東日本電信雷話株式会社に対する本件契約に基づく違約金請求権及び損害賠償請求権②株式会社富士通ゼネラルに対しての損害賠償請求権③財産の管理を違法又は不当に怠る事実を監査対象事項とした。

第3 監査の結果
1 事実関係の確認
  監査対象事項について、関係する法令及び例規等と照合、関係書類等の調査、監査対象部局からの関係人調査を実施した結果、次の事項を確認した。
  ア 入札及び契約の経緯
    平成25年4月11日  桐生市消防救急無線デジタル化整備工事の一般競争入札を公告

<P5>
    平成25年5月17日  開札:東日本電信電話株式会社群馬支店と株式会社富士通ゼネラル情報通信ネットワーク営業部の2社が応札し、東日本電信電話株式会社群馬支店が9億8,500万円で落札。
    平成25年5月21日  建設工事請負仮契約を締結
    平成25年6月24日  議会の議決後、本件契約を締結

  イ 設計について
    委託の方法により、平成21年に基本設計、平成24年に実施設計が完了している。

  ウ 入札執行について
    入札執行等について本件工事入札は、事後審査型条件付一般競争入札の方法により行われ、その内容は、地方自治法施行令第167条の6第1項及び桐生市契約に関する規則第4条の規定に基づき、平成25年4月11日に公示されている。
    また、当該入札の落札額は、9億8,500万円(税抜き)で予定価格は、10億 2,672万7,400円(税抜き)、落札率は95.9パーセントである。

2 監査委員の判断
  以上の事実関係の確認、関係書類の調査等を総合して、以下判断について述べる。
 (1) 東日本電信電話株式会社に対する本件契約に基づく違約金請求権及び損害賠償請求権
  ア 違約金請求権について
    本件工事請負契約の約款第42条の2第1項では、違約金が適用されるのは、受注者が私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律(昭和22年法律第54号。以下、「独占禁止法」という。)に違反し、排除措置命令や課徴金の納付命令を受け、それが確定した場合などとなり、違約金が課せられる対象者は受注者に限定されており、東日本電信電話株式会社は、公正取引委員会による排除措置命令及び課徴金納付命令の名宛人ではなく、本件契約約款第42条の2第1項各号のいずれにも該当しない。
    また、本契約の受注者である東日本電信電話株式会社は、消防本部の聞き取りにおいて株式会社富士通ゼネラルとの不正行為を否認しており、本契約の受注者である東日本電信電話株式会社における違約金は、発生しないものと考える。
    なお、請求人が主張する東日本電信電話株式会社が富士通ゼネラル株式会社の代理店等である根拠として東日本電信電話株式会社が、提出したとされる「機器供給証明書」は桐生市消防本部には提出されていなかった。

  イ 損害賠償請求権について
    公正取引委員会は、株式会社富士通ゼネラルに対する課徴金納付命令において、独占禁止法第7条の2第1項の規定により、株式会社富士通ゼネラルの独占禁止法第3条に違反する行為の実効期間が平成23年4月17日から平成26年4月16日までの3年間と認定した。そして、本件契約は、株式会社畜士通ゼネラルが不当な取引制限を行っていた期間になされたものに該当する

<P6>
として、本件契約の物件が、課徴金算定対象物件一覧に記載されている。
    なお、公正取引員会の課徴金納付命令書には、本件契約の事実認定に関する記載が存せず、東日本電信電話株式会社の関与は明らかでない。また、課徴金算定対象物件一覧に記載のあった他市の例では、公正取引委員会に契約業者が談合に関与したか否かについて行政文書開示の請求をしたが、不開示だったとの情報もある。
    よって、東日本電信電話株式会社は、公正取引委員会の認定による「代理店等」と明確に断定することはできないため、現段階では、損害賠償請求権は生じない。

 (2) 株式会社富士通ゼネラルに対する本件契約に基づく損害賠償請求権
   独占禁止法第25条は、同法第3条、第6条または第19条及び第8条の規定に違反する行為をした事業者等が、被害者に対し、損害賠償の責めに任ずることを規定している。また、民法第709条は「故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。」と規定しており、この場合、故意、過失の立証責任は債権者にあることが前提となっている。そのため、株式会社富士通ゼネラルに対して損害賠償請求を行う場合には本契約において、株式会社富士通ゼネラルの独占禁止法違反により、市に何らかの損害があったことを因果関係を含め立証する必要がある。因果関係の立証は(1)のア、イで既述したように受注者は東日本電信電話株式会社であり、また、一般的な損害額は、実際の契約金額と本来の想定落札額との差額とされるが、想定落札額を証明するにあたっての合理的な根拠を挙げることは、極めて困難であり更なる研究が必要であることが関係職員との調査において確認された。
   また、本件契約約款第42条の2第1項で定められた違約金の規定は、民法第420条第1項に規定された損害賠償額の予定について契約相手である東日本電信電話株式会社との約定と解される。よって、市は、現段階では株式会社富士通ゼネラルに損害賠償請求を行うことは難しいと考える。

 (3) 不当に財産の管理を怠る事実について
   関係職員の調査において、市は、損害賠償請求について顧問弁護士にも相談を行い、また、総務省消防庁及び他の消防本部などと情報交換を行いつつ情報等を収集しているが、違約金や損害賠償請求に向けた確たる根拠・証拠は認められず、請求先の特定や損害額の確定等において研究を行っていることが認められることから、損害賠償請求権等の行使を怠っているとは言い難い。

第4 結論
   以上のことから、現時点において、平成25年5月21日締結の本件工事請負契約に関し、株式会社富士通ゼネラルの独占禁止法違反による不法行為によって、市は、損害を被ったとは認められないため、不当に財産の管理を怠っているとは認められない。よって本件住民監査請求における請求人の主張には理由が認められず、これを棄却する。
*********

■呆れました。桐生市の顧問弁護士が損害はないと言っているとか、東日本電信電話会社に文書で確認したら談合はしていないと言ってきたとか、約款に照らしても契約相手以外のことは触れていないとか、要するに損害賠償請求をする意思がないことを表明しています。

 その一方で、調査研究をしているので、財産の管理を行っているわけではない、などと自らの怠慢を弁護しています。

 桐生市では、消防救急無線デジタル化整備工事として、2013年5月17日午前9時10分に一般競争入札形式で電子入札が実施され、東日本電信電話㈱群馬支店と、㈱富士通ゼネラル情報通信ネットワーク営業部の2社が入札し、わずか400万円の差で、東日本電信電話会社、いわゆるNTT東日本群馬支店が落札しました。



 しかし、NTT東日本は通信機器のメーカーではなく販売会社であり、富士通をはじめ、東芝など各通信機器製造メーカーの製品を取り扱っていることから、当然、通信機器製造メーカーの製品より高いはずです。それなのに、製造メーカーでないNTT東日本が製造メーカーの富士通ゼネラルより安い価格でオファーすること自体、不自然です。

 初めから、富士通製品をスペックインしておき、あとは富士通ゼネラルとその取扱い業者(NTTも含めて)を代理店として起用し、形ばかりの一般競争入札を演じて、高い価格で納入していたことは明らかです。

 公取がこうした基本的なことを調べていないはずがありません。なぜもっと積極的に全国の消防組合や消防本部に情報提供をして、余分に支払われた血税を返還させるための支援を行おうとしないのも不思議です。

 当会会員は引き続き、在住する桐生市の税金無駄遣い体制を追及すべく、今後も監視を強めていきたいとしています。

【市民オンブズマン群馬事務局からの報告】

コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

【消防救急デジタル無線談合】館林地区消防組合監査委員から住民監査の結果として「棄却」通知が届く

2020-03-26 23:25:00 | 消防救急デジタル無線談合

■消防救急デジタル無線の入札談合問題は、公正取引委員会が2017年2月2日に独占禁止法違反で排除措置命令及び課徴金納付命令を出したことが発端です。以来、全国市民オンブズマン連絡会議は、全国各地の各オンブズマン組織に対し、消防本部が業者に損害賠償請求させるよう呼びかけてきました。当会「市民オンブズマン群馬」も、いち早く入札調書等を関係消防組合から情報公開請求により入手し、動向を注視してきました。最近では2019年9月28-29日に岐阜市で行われた「第26回市民オンブズ全国大会in岐阜・2019」において、消防デジタル無線談合について、該当自治体に遅くとも2020年7月までに住民監査請求をするよう呼びかけが行われました。
 これを踏まえて当会は、今年1月29日付で、高崎市・安中市消防組合(高崎市等広域消防局)、桐生市消防本部、館林地区消防組合消防本部に対して、各地の会員により手分けして住民監査請求書を提出しました。このうち、先陣を切って、館林地区消防組合監査委員から3月23日付で監査結果通知が送られてきました。結果は「棄却」でした。

館林地区消防組合消防本部(館林市美園町7-3)。同消防組合は、群馬県館林市、邑楽郡板倉町、明和町、千代田町及び邑楽町によって組織された一部事務組合(消防組合)。管轄区域は上記の1市4町。管内面積:175.37km2、職員定数:191名、消防署5カ所、分署2カ所、主力装備:ポンプ車1・水槽付ポンプ車10・はしご車1・化学車1・指揮隊車1・電源照明車1・水槽車1・救急車8・救助工作車および資機材搬送車5・その他13(2019年10月1日現在)。

 なお、住民監査請求書については次のブログ記事を参照ください。
○2020年1月31日:【消防救急デジタル無線談合】時効が迫る中、群馬県でも3消防組合に住民監査請求
https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/3115.html
○2020年3月6日:【消防救急デジタル無線談合】館林地区消防組合監査委員に対して当会会員が証拠提出と陳述
https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/3130.html

 それでは、さっそく監査結果通知の内容を見てみましょう。

*****監査結果通知*****ZIP ⇒ 20200325hgm.zip
<P1>
                         令和2年3月23日
館林市台宿町1-31
小林 光一 様

                       館林地区消防組合
                        監査委員 冨永 裕文
                        同    今村 好市

   館林地区消防組合職員措置請求に対する監査結果について(通知)

 令和2年1月29日付けをもって、地方自治法第242条第1項の規定に基づき提出された消防救急デジタル無線設備整備工事に関する措置請求について、監査の結果を同条第4項の規定により下記のとおり通知します。
                記
第1 請求の受理
 本請求は所要の法定要件を具備しているものと認め、令和2年2月10日付けでこれを受理した。

第2 監査の実施
1 請求人の証拠の提出及び陳述
地方自治法第242条第6項の規定に基づき、令和2年2月20日付書面(陳述の必要がある場合には、3月4日までに事務局へ連絡をして下さいとの内容とした。)にて、請求人に対し証拠の提出及び陳述の機会を与えた。結果、令和2年3月4日付陳述はしないが、陳述書として提出する旨の請求大からの提出があった。

2 監査対象事項
  本監査請求に係る監査対象事項は、措置請求書に記載されている事項及び請求人による陳述書の内容を勘案して監査を実施した。
(1)請求の要旨
   請求書の内容を検討した結果、平成29年2月2日に公正取引委員会が消防救急デジタル無線機器の製造販売業者である株式会社富士通ゼネラルを含む合計5社に対し、独占禁止法違反があったと認定し、排除措置命令及び課徴金納付命令を行った。

<P2>
   これにより、館林地区消防組合が平成25年6月28日締結の消防救急デジタル無線設備整備工事に関して、直接の契約である東日本電信電話株式会社は独占禁止法違反をした株式会社富士通ゼネラルの代理店等に該当する為、館林地区消防組合は、損害賠償請求権を有しているにも関わらず、何ら措置をとっていないと主張しており、消防組合に対し必要な措置を講ずることを請求している。
   よって、下記事項を監査の対象とした。
  ①館林地区消防組合・東日本電信電話株式会社との契約に基づく違約金請求又は損害賠償請求について
  ②館林地区消防組合と株式会社富士通ゼネラルの間に係る損害賠償請求について
  ③館林地区消防組合としての対応状況はどうであったか

3 監査対象課
  消防救急デジタル無線設備整備工事に関する入札及び契約の担当である館林地区消防組合総務課を監査対象とし、令和2年2月10日に関係職員より陳述を聴取し、各必要書類の確認等を実施した。

4 監査対象課の説明
(1)平成28年1月27日、公正取引委員会事務総局第四審査長より、平成26(査)第 9号消防救急デジタル無線機器の製造販売業者らに対する私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律(昭和22年法律第54号)に基づく事件調査のための報告依頼書(公審第54号)を受理した。
(2)平成29年2月2日、公正取引委員会事務局審査局長より、特定消防救急デジタル無線の発注に際して留意すべき事項について(連絡)(公審第50号)を受理した。
(3)平成29年2月6日、午前11時から会計検査院実地検査を館林市役所にて実施したが指摘事項等はなく終了した。
(4)平成29年2月9日、公正取引委員会事務総局審査局管理企画課長へ消防救急デジタル無線の製造販売業者に対する件に関する資料の提出について(依頼)を発出し、課徴金納付命令書(株式会社富士通ゼネラルに対するもの。)抄本を請求した。
(5)平成29年2月20日、公正取引委員会事務総局審査局管理企画課長より資料提出の依頼について(回答)(公審第155号)により課徴金納付命令書(平成29年(納)第1号)の抄本の提出を受けた。
(6)平成29年3月15日、消防庁防災情報室より各都道府県宛てに消防救急無線のデジタル化に係る契約等に関する調査について(依頼)(事務連絡)があり、群馬県経由で国へ調査表(仕様書・入札時の質疑等・契約書)を提出

<P3>
した。
(7)平成29年3月20日、沖電気工業株式会社より公正取引委員会の排除措置命令に基づく通知を受理した。
(8)平成29年3月27日、日本無線株式会社及び日本電気株式会社より公正取引委員会の排除措置命令に基づく通知を受理した。
(9)平成29年3月29日、株式会社日立国際電気及び株式会社富士通ゼネラルより公正取引委員会の排除措置命令に基づく通知を受理した。
(10)平成29年7月27日、株式会社富士通ゼネラルより公正取引委員会から排除措置命令及び課徴金納付命令に対する取消訴訟の提起についての通知を受理した。
(11)平成29年10月4日、消防庁防災情報室より、消防救急デジタル無線機器の製造販売業者に対する違約金等の請求を行った場合の報告書について事務連絡通知があり、館林地区消防組合は、現時点での違約金請求は行っていない旨の報告をした。
(12)平成29年10月17日、消防庁防災情報室より、消防救急デジタル無線のデジタル化に係る契約に関する調査について追加調査があった。群馬県総務部消防保安課経由で追加調査表を提出した。
(13)平成29年12月8日、顧問弁護士へ諮問を実施し、請求等はできないとの回答を受ける。
(14)令和2年2月13日、株式会社富士通ゼネラルの現在の取消訴訟の状況について問合せの回答を受理した。
(15)令和2年3月16日、東日本電信電話株式会社より、消防救急デジタル無線設備整備工事の建設工事請負契約における違反行為の事実確認についての回答を受理した。

第3 監査の結果
1 事実の認定
  請求の内容及び添付書類、陳述書、関係職員の陳述、消防組合の関係書類等から、次の事実が確認できる。
(1)契約の締結について
    件   名 消防救急デジタル無線設備整備工事
    工 事 場所 館林消防本部、各消防署
    契 約 方法 指名競争入札
    受 注 者 東日本電信電話株式会社
    契 約 金額 320,260,000円
    契約年月日 平成25年6月28日
(2)受注者との建設工事請負契約約款について

<P4>
   違約金等における条項は、下記のとおりである。
    (談合等不正行為があった場合の違約金等)
   第47条の2 受注者(受注者が共同企業体であるときは、その構成員のいずれかの者。以下この項において同じ。)が、次の各号のいずれかに該当したときは、受注者は、発注者の請求に基づき、請負代金額(この契約の締結後、請負代金額の変更があった場合には、変更後の請負代金額)の10分の1に相当する額を違約金として発注者の指定する期間内に支払わなければならない。
   (1)この契約に関し、受注者が私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律(昭和22年法律第54号。以下「独占禁止法」という。) 第3条の規定に違反し、又は受注者が構成事業者である事業者団体が独占禁止法第8条第1号の規定に違反したことにより、公正取引委員会が受注者に対し、独占禁止法第7条の2第1項(独占禁止法第8条の3において準用する場合を含む。)の規定に基づく課徴金の納付命令を行い、当該納付命令が確定したとき(独占禁止法第7条の2第10項の規定に基づき課徴金の納付を命じない場合を含む。)。
   (2)この契約に関し、受注者(法人にあっては、その役員又は使用人を含む。)の刑法(明治40年法律第45号)第96条の3又は独占禁止法第89条第1項若しくは第95条第1項第1号に規定する刑が確定したとき。
2 受注者が前項の違約金を発注者の指定する期間内に支払わないときは、受注者は、当該期間を経過した日から支払いの日までの日数に応じ、年5パーセントの割合で計算した額の遅延利息を発注者に支払わなければならない。
(3)公正取引委員会からの排除措置命令及び課徴金納付命令について
 公正取引委員会は、平成29年2月2日に消防救急デジタル無線装置の製造販売業者に対して独占禁止法第3条に違反したとして排除措置命令 (5社)及び課徴金納付命令 (4社)を行った。株式会社富士通ゼネラルについては、現在上記命令の取消訴訟の係争中である。
(4)判断
   ①館林地区消防組合・東日本電信電話株式会社との契約に基づく違約金請求又は損害賠償請求について
    館林地区消防組合との直接の契約会社である東日本電信電話株式会社については、平成29年2月2日の公正取引委員会による排除措置命令及び課徴金納付命令の直接の名宛人となっていない。
    公正取引委員会の認定による、「代理店等」にあたるかどうかの判断については、請求人から提出のあった陳述書の中の証明も可能性はあるが、館林

<P5>
地区消防組合において東日本電信電話株式会社へ契約違反の事実確認をするが、違反行為の事実はないとの回答であり、東日本電信電話株式会社と株式会社富士通ゼネラルとの間に独占禁止法違反行為があったという証拠書類を館林地区消防組合は入手した事実がない。
    このことから、館林地区消防組合は東日本電信電話株式会社に対して違約金請求の対象であるとは言い難いと判断する。
    また、館林地区消防組合は、東日本電信電話株式会社から損害を受けている場合には、損害賠償請求を行うべきであるが、上述した違反行為に対しての東日本電信電話株式会社からの回答は違反行為の存在についてはないと回答をしている点からも損害賠償請求権はないと判断せざるを得ない。
   ②館林地区消防組合と株式会社富士通ゼネラルの間に係る損害賠償請求について
消防救急デジタル無線設備整備工事について、館林地区消防組合と株式会社富士通ゼネラルの直接契約ではなく、株式会社富士通ゼネラルについては、公正取引委員会からの排除措置命令及び課徴金納付命令について現在取消訴訟中であり、独占禁止法違反行為を認めていない状況である。
    また、館林地区消防組合は、独占禁止法違反行為により損害を受けているという事実証明をする資料が存在していない為、損害賠償請求をするべきであるとは言い難いと判断する。
   ③館林地区消防組合としての対応状況はどうであったか
    消防救急デジタル無線設備整備工事に関する館林地区消防組合担当課からの陳述及び関係資料の確認をし、契約上の不備はなく適正な金額での入札を実施しており、契約金額についても適正価格での契約締結をしており、違反行為により館林地区消防組合が損害を被っている事実は認められない。
    また、館林地区消防組合としては公正取引委員会による排除措置命令及び課徴金納付命令が行われた後、弁護士に諮間を実施し、請求等はできないとの回答を得ていた。よって、館林地区消防組合が業務を怠り、請求をしていなかったということにはなり得ない。

第4 結 論
   以上のとおり、館林地区消防組合は東日本電信電話株式会社に対し違約金請求及び損害賠償請求、株式会社富士通ゼネラルに対する損害賠償請求については、現時点において何ら措置をとっていないとは認められない。よって、本請求は棄却する。

第5 意 見
   株式会社富士通ゼネラルについては、現在訴訟中につき談合の事実は確定し

<P6>
ていない為、後の動向を見て館林地区消防組合としては対応をされたい。
   また、損害の事実、違反行為の事実については調査を引き続き実施し、何らかの証拠等が判明した時には法的措置をとる必要があると考える。
**********

■このように、監査委員は「NTT東日本に対し、契約違反の事実確認をするが、『契約違反の事実はない』という回答を得たため、損害賠償請求権はないと判断せざるを得ない」としました。

 また、「富士通ゼネラルについては、現在公正取引委員会からの排除措置命令及び課徴金納付命令について取消訴訟中であり、独占禁止法違反行為を認めていない。また、館林地区消防組合は独占禁止法違反行為より損害を受けているという事実証明をする資料が存在していない為、「損害賠償請求をするべきであるとは言い難いと判断する」としました。

 なお、最後に監査委員の意見として、「富士通ゼネラルは係争中なので、その結果いかんによっては本件違約金の対象になる可能性があるので引き続き消防組合に対して、調査研究をしておくように」と付言しています。

■この監査結果通知を読んだ当会会員は、さっそく疑問点をしたためて、館林地区消防組合消防本部の消防司令補のひとり宛に、FAXで質問しました。
※館林地区消防組合消防本部消防司令補あてFAX: ZIP ⇒ 20200226nhghifax.zip
○2020年3月26日:市民オンブズマン群馬・館林支部代表「小林光一ブログ」館林消防住民監査請求 その4
http://town18.blog.fc2.com/blog-entry-1752.html

 当会会員はさらに、3月26日午後5時ごろ館林地区消防組合を訪れて、監査結果文章の疑問点について打ち合わせてきました。消防組合側の保有する資料は膨大にあって、それをすべて見ることは不可能であったので、その無線設備の実態を写真に収めてきました。

消防本部庁舎屋上の基地局鋼管製アンテナ鉄塔。

基地局のサーバーやディスプレーが並んだラック。

基地局無線装置のパネル内部配線の様子。

基地局電源ユニット。

携帯無線端末と取説。

通信指令室。

■司令補から説明を受けた当会会員によれば、東日本電信電話と富士通ゼネラルの間で談合があったかどうかの内容は聞けませんでした。館林地区消防組合として、「独自に情報を得る術はなく、他の消防組合や消防本部で発覚したことを捕えて、談合の実態を解明する方法が現実的に取り得る対応だけで、その他に可能な調査法はない」と言っていました。

 また消防救急デジタル無線設備について、「自分たちにとってあまりにも専門的過ぎて、談合がどのように仕組まれたのか、技術的にどのように他の業者を排除して特定業者の受注を許したのか、といった背景まで捉えられない」と述べていました。「群馬県の消防本部(?)で、発注会社の指示で動いているのではないか」とも言っていました。

 こうした説明から浮かび上がってくるのは、無線といういわば消防署員にとってブラックボックスのような特殊分野であることから、業者の説明を鵜呑みにするのが精いっぱいで、無線業界の好きなように騙されたというのが実態のようです。

 いずれにしても、富士通ゼネラルが依然として係争中なので、時効の心配はないこと、また現在進行中の訴訟の結果、代理店等についての関与の実態も明らかになる可能性があるとして、消防組合の監査委員は当会会員の監査請求を棄却しました。

 今後とも、この間接販売による新たな談合形態に注目し、地元の消防組合の対応に目を光らせていきたいと思います。


平成25年(2013年)6月4日の入札調書。富士通ゼネラルが辞退し、富士通製品を扱う扶桑電通よりも東日本電信電話会社のほうが安い価格で札を入れ、しかも、富士通ゼネラル自体が入札を辞退したのです。これでは、入札価額は明らかに弄ばれたとしか言いようがない。

※参考情報:館林地区消防組合人事行政の運営等の状況の公表(2018年4月1日現在)
ZIP ⇒ 20180401nhge.zip

【市民オンブズマン群馬事務局からの報告】

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

【消防救急デジタル無線談合】桐生市消防本部に対する住民監査請求で当会会員が追加証拠提出と陳述

2020-03-12 22:08:00 | 消防救急デジタル無線談合

■消防救急デジタル無線の入札談合問題は、公正取引委員会が2017年2月2日に独占禁止法違反で排除措置命令及び課徴金納付命令を出したことが発端です。以来、全国市民オンブズマン連絡会議は、全国各地の各オンブズマン組織に対し、消防本部が業者に損害賠償請求させるよう呼びかけてきました。当会「市民オンブズマン群馬」も、いち早く入札調書等を関係消防組合から情報公開請求により入手し、動向を注視してきました。
 最近では2019年9月28-29日に岐阜市で行われた「第26回市民オンブズ全国大会in岐阜・2019」において、消防デジタル無線談合について、該当自治体に遅くとも2020年7月までに住民監査請求をするよう呼びかけが行われました。
 これを踏まえて当会は、今年1月29日付で、高崎市・安中市消防組合(高崎市等広域消防局)、桐生市消防本部、館林地区消防組合消防本部に対して、各地の会員により手分けして住民監査請求書を提出しました。このうち桐生市消防本部監査委員から、1か月近く経過した2月27日付で受理と、証拠の提出及び陳述等の通知が送られてきました。


 なお、住民監査請求書については次のブログ記事を参照ください。
○2020年1月31日:【消防救急デジタル無線談合】時効が迫る中、群馬県でも3消防組合に住民監査請求
https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/3115.html

 2月8日、桐生市役所より書類が届きました。消防デジタルの監査請求書の補正です。内容は次のとおりです。

*****補正通知*****ZIP ⇒ 20200207z.zip
                       桐監発第1・35号
                       令和2年2月7日
桐生市天神町 3-14-36
 長澤 健二 様
                   桐生市監査委員 石 井 謙 三
                      同    〆 谷 信 良
                      同    周 藤 雅 彦

        住民監査請求書の補正について(通知)

 令和2年1月29日にあなたから提出されました住民監査請求書には、一部不備がありますので、次のとおり補正してください。

                記
1 補正を要する内容
 ①あて先について「桐生市消防本部監査委員」を「桐生市監査委員」とする。
 ②「消防本部管理者」を「桐生市長」とする。(1か所)
 ③「桐生市消防本部」を「桐生市」とする。(1か所)
 ④「消防本部」を「桐生市」とする。(1か所)

2 補正期限
  令和2年2月19日(水)まで

3 補正の方法
(1)来庁の場合
 ①あなた又は代理人が、桐生市監査委員事務局(桐生市織姫町1番1号 桐生市役所4階)において補正(請求書の差替え等)を行ってください。
  差替えの請求書についても、自署した住所・氏名、押印(請求書に使用した同じ印鑑) をお願いいたします。
 ②代理人が補正される場合で、これまで委任状を提出されていない場合には、委任状を 提出してください。(委任状の様式例は別紙のとおりです。)
(2)郵送の場合
 ①補正された請求書を送付してください。
 ②補正された請求書についても、自署した住所・氏名、押印(請求害に使用した同じ印鑑)をお願いいたします。
 ③令和2年2月19日(水)までに桐生市監査委員事務局必着でお願いいたします。
               〒376-8501 桐生市織姫町1番1号
                     桐生市監査委員事務局
                     TEL 46-1111(内線 667)

=====委任状=====
            委 任 状

  下記の者を私の代理人として選任し、下記事項を委任します。

              記

 令和  年  月  日に提出した地方自治法第242条に基づく住民監査請求書の補正に関すること。

                住所
             代理人
                氏名

                      令和  年  月  日

桐生市監査委員(あて)

                住所
             請求人
                氏名
              (請求書に押印した印鑑を使用してください)

                        桐生市監査委員事務局
**********

■さっそく、補正した住民監査請求書を2月10日に提出しました。
※住民監査請求書(補正後) ZIP ⇒ 20200129i20200210jhfwkzij.zip

 しかし、その後もさっぱり陳述の案内が来ないため、業を煮やした当会会員は2月25日と26日にそれぞれ次の公開質問書を桐生市のHPの「市民の声」を通じて提出しました。

*****2/25公開質問書*****
            公 開 質 問 書
                            令和2年2月25日
〒376-8501 桐生市織姫町1番1号
桐生市長 荒木恵司 様
                   住民監査請求人:
                    〒376-0052桐生市天神町3丁目13-36
                    市民オンブズマン群馬桐生支部
                    長 澤 健 二    印
                    TEL: 090-7197-6449

  件名:住民監査請求に伴う証拠の提出と陳述の機会の提供について

拝啓 日々益々ご健勝のこととお慶び申し上げます。
 請求人は、行政およびその関連機関を外部から監視し、当該機関による権限の不当な行使ないしは不行使による一般国民への権利利益侵害、並びに税金を原資とした公的資金の濫費について、調査および救済の勧告を図る活動をしている民間団体である「市民オンブズマン群馬」のメンバーです。

1 質問の趣旨
 請求人は今回を含めこれまでに住民監査請求を3件いたしました。1件目は平成30年9月19日付、2件目は令和元年7月20日付、3件目は令和2年1月29日付です。1、2件は陳述もなく、2か月以内に監査結果が送られてきただけでした。2件目では、監査結果が送られて来た時に、「本当に審理をしたか」という疑問を抱き、審査の内容について情報開示請求をしたところ、「今後の審査に影響する」とのことで不開示にされてしまいました。
 この度3件目として、桐生市消防本部管理者が平成25年6月28日に締結した「桐生市消防救急無線デジタル化整備工事」事業の建設工事請負契約に関する住民監査請求を提出した際に、「陳述をさせてください」と住民監査請求時に要望しましたが2月24日現在なにも連絡がありません。
 然るに、他の地方公共団体には証拠の提出と陳述の機会があることがわかり(証拠資料(2)及び(3)参照)、桐生市はなぜしないのか理解に苦しみます。

2 質問内容
 そこで、以下の質問に回答願います。
【質問1】地方自治法242条を知っていますか。
【質問2】地方自治法242条を知らない監査委員を推薦したのでしょうか。
【質問3】監査委員事務局の職員はなぜ監査委員に進言しなかったのでしょうか。
【質問4】請求人の権利を踏みにじる行為についてどう責任をとるのでしょうか。
【質問5】監査委員の懲戒処分は行なわれるのでしょうか。
【質問6】請求人に対してどう弁明・釈明するのでしょうか。

3 回答期限
 以上質問についての回答を、大変勝手ながら、2月28日(金)必着で文書にて上記弊連絡先まで折り返し送達いただければ幸いです。なお、何らかの事情によりこの期限までの回答が不能である場合は、大変お手数ではありますが上記弊連絡先までお伝えいただきたく存じます。

4 証拠資料
(1)地方自治法242条          2枚
(2)館林地区消防組合通知         1枚
(3)高崎市・安中市消防組合通知      3枚
                          以上

*****2/26公開質問書*****
            公 開 質 問 書
                            令和2年2月26日
〒376-8501 桐生市織姫町1番1号
桐生市長 荒木恵司 様
                   住民監査請求人:
                    〒376-0052桐生市天神町3丁目13-36
                    市民オンブズマン群馬桐生支部
                    長 澤 健 二    印
                    TEL: 090-7197-6449

         件名:自治法242条について  

拝啓 日々益々ご健勝のこととお慶び申し上げます。
 請求人は、行政およびその関連機関を外部から監視し、当該機関による権限の不当な行使ないしは不行使による一般国民への権利利益侵害、並びに税金を原資とした公的資金の濫費について、調査および救済の勧告を図る活動をしている民間団体である「市民オンブズマン群馬」のメンバーです。

1 質問の趣旨
 請求人はこれまでに何回も市民の声で公開質問書として提出してきましたが、質問に対して迅速かつ丁寧な対応がなされていないので公開質問書として直接、市長あてに提出しようとしたが拒絶されました。理由は規則がないかとの回答であり、では受け取ってはだめという規則もないのだから受け取りなさいと言うと返事をしない。1~2年前に桐生市契約に関する規則 第13条に「競争に参加させようとする者を3名以上指名しなければならない。」とあるのに、「2社しか指名しないのは何故か。」と市民の声で質問しても答えない等色々ある。つい最近では建築住宅課に質問しても質問をはぐらかすし、情報公開課を通して質問しても答えない。再三、情報公開課が言っても変わらず、広報課に至っては、課長が伝えておきますの返事しかない。市民の声の要綱には、「広報課は回答を依頼する。」
とあるが守られていない。回答とは質問に対して答えることを言うのであり、関係のないことに返事をするのは回答ではない。このように市民の声では満足な回答はえられるものでない。よって、市民の声を条例にし、又、職員基本条例を制定し、違反した職員には罰則を与えられるように要望する。このままでは、規則、要綱があるのに職員は好き放題である。

2 質問内容
 そこで、以下の質問に回答願います。
【質問1】昨日(2月25日)に監査局長は1月29日付の監査請求はまだ受理していない。受理したら証拠の提出と陳述の機会を与えると言ったが間違いないですか。
【質問2】地方自治法242条4項に「第1項の規定による請求があった場合においては、監査委員は、監査を行い、請求に・・・・・・。」とある。何処に受理してから監査を行なうと書いてありますか。
【質問3】受理の意味を知っていますか。(別紙参考資料)「受理」とは公的機関や会社などが、申し出などの書類や願書を受け取ることです。間違いありませんね。
【質問4】これでも質問1の内容が正しいといえますか。
 以上。これを元に前日(2月25日)の質問に回答してください。

3 回答期限
 以上質問についての回答を、大変勝手ながら、2月28日(金)必着で文書にて上記弊連絡先まで折り返し送達いただければ幸いです。なお、何らかの事情によりこの期限までの回答が不能である場合は、大変お手数ではありますが上記弊連絡先までお伝えいただきたく存じます。

4 証拠資料
(1)地方自治法242条          2枚
(2)館林地区消防組合通知         1枚
(3)高崎市・安中市消防組合通知      3枚
                            以上
**********

■すると、2月27日付で桐生市から回答が来ました。

*****桐生市からの回答書*****ZIP ⇒ 20200228s.zip
                     桐広発第01•168号
                     令和2年2月27日
長澤健二 様
                   桐生市長  荒木 恵司
                  (担当 総合政策部広報課)

          市民の声に対する回答

 日頃より、桐生市政に御理解と御協力を賜り感謝申し上げます。
 令和2年2月25日付け「公開質問書」及び令和2年2月26日付け「公開質問書」につきまして、次のとおり回答いたします。

令和2年2月25日付け「公開質問書」
・質問1、質問2、質問4、質問6 について
 桐生市監査委員は地方自治法第242条に基づき住民監査請求における監査を
執行しているものと認識しています。なお、令和2年1月29日に長澤様から事務局が預かった住民監査請求は、監査委員による要件審査中とのことです。
・質問3について
 地方自治法第200条第7項に「監査委員事務局長は、監査委員の命を受け、書記その他の職員は上司の指揮を受け、監査委員に関する事務に従事する。」とあり、この法に則して監査事務局職員の業務が執行されているものと認識しています。
・質問5について
 地方自治法第197条の2に「地方公共団体の長は、監査委員が心身の故障のため職務遂行に堪えないと認めるとき、又は監査委員に職務上の義務違反その他監査委員たるに適しない非行があると認めるときは、議会の同意を得て、これを罷免することができる。」と罷免の規定はありますが、懲戒処分の規定はありません。
                        (裏面に続く)

令和2年2月26日付け「公開質問書」
・質問1、質問2、質問3、質問4 について
 住民監査請求が提出された場合、まず、地方自治法第242条第1項に該当するかを審査します(要件審査)。補正を求める場合もありますが、該当しないと判断した場合、住民監査請求と認めることができないため、却下となります。該当すると判断した場合は、住民監査請求として受理し、監査を実施します。つまり、「受理」とは、住民監査請求として受理したということとなります。
 本市では、この流れで事務処理手続きを進めておりますが、全国の市の監査委員で組織する全国都市監査委員会が作成している監査業務の着眼点等を記述した監査手帳の住民監査請求監査の部の事務処理手続図等も同様の事務手続きとなっております。

                 [問い合わせ先]
                 監査委員事務局監査係
                 電話 0277-46-1111 内線663
                 メールアドレスkansa@city.kiryu.lg.jp
**********

■これを見ると桐生市の場合は他の自治体と異なり、一旦受理しても、要件審査が終わり、補正を求める場合、補正を求める期間のみならず、受理してから要件審査の期間中も住民監査期間にカウントせず、補正が完了しない限り「受理」をしないというやり方のようです。

 他の自治体では、一旦受理したうえで、要件審査をして(ここまでの期間は審査期間に含まれる)、補正を求めてから、補正書が提出されるまでの期間は審査機関から除外しています。

 このように、職員の市外居住条件を原則認めていない(申請をしてはじめて認められる)桐生市は我が国でも稀有な自治体ですが、住民監査請求の扱いも他と違っているようです。

■さて、こうしたやり取りを経て、ようやく2月27日付で桐生市から受理通知とともに、追加証拠の提出及び陳述についての通知が当会会員に届きました。

*****受理・追加証拠提出・陳述通知*****ZIP ⇒ 20200228mhfwqm.zip
                         桐監発第1・35号
                         令和2年2月27日
桐生市天神町3-14-36
 長澤 健二 様
                   桐生市監査委員 石 井 謙 三
                      同    〆 谷 信 良
                      同    周 藤 雅 彦
 住民監査請求(桐生市職員措置請求)の受理及び追加証拠の提出及び陳述について(通知)

 令和2年1月29日に収受した住民監査請求書について、令和2年2月27日付けで受理しました。
 地方自治法第242条第6項の規定に基づき、追加証拠の提出及び陳述の機会を下記のとおり設けましたので、通知します。

                記
    1 日 時  令和2年3月9日(月)午後1時15分から
    2 場 所  桐生市役所4階 教育委員会室
    3 注意事項 別添実施要領のとおり
    4 その他  代理人が陳述を行う場合は、別紙代理人選任届を提出してください。
           当日は監査委員事務局にお越しいただければ、教育委員会室までご案内します。

                    〒376-8501 桐生市織姫町1番1号
                          桐生市監査委員事務局
                          TEL.46-1111(内線667)

=====実施要領=====
附則
(施行期日)
1 この実施要領は、令和2年2月7日から施行する。

(関係職員等からの陳述の聴取)
第6条 監査委員は、必要があると認めるときは、市長、提出のあった住民監査請求と関係のあるその他の執行機関若しくは職員(以下「関係職員等」という。)から陳述の聴取を行うことができる。
2 前条第3項から第5項までの規定は、前項に規定する関係職員等からの陳述の聴取について準用する。この場合において、前条第3項中「請求人からの陳述の聴取」とあるのは「関係職員等からの陳述の聴取」と、同条第5項中「請求人」とあるのは、「関係職員等」とそれぞれ読み替えるものとする。
(陳述の聴取の立会い)
第7条 監査委員は、第4条又は前条の規定による陳述の聴取を行う場合において、必要があると認めるときは、当該陳述の聴取に関係職員等又は請求人を立ち会わせることができ る。
2 前項の規定により陳述の聴取に立ち会うこととされた関係職員等又は請求人(「以下「立会人」という。)は、監査委員の指示に従って当該陳述の聴取に立ち会うものとする。
3 監査委員は、立会人が監査委員の指示に従わない場合、立会人に対し退場を命じること ができる。
4 監査委員は、宣会人が相当多数の場合、立会人の人数を制限することができる。
(陳述の聴取の公開)
第8条 第4条又は第6条の規定による陳述の聴取は、原則として公開で行うものとする。ただし、監査委員は、当該陳述の聴取を公開で行うことに支障があると認められる場合又は請求人若しくは関係職員等から非公開の希望がある場合、当該陳述の聴取を非公開とすることができる。
(傍聴)
第9条 第4条又は第6条の規定による陳述の聴取は、傍聴することができる。ただし、前条の規定により非公開で行うこととされた陳述の聴取は、この限りでない。
2 陳述の聴取を傍聴する者(以下「傍聴人」という。)の定員は、一件の住民監査請求つき10人とする。ただし、監査委員は、会場の状況等の都合により、傍聴人の定員を変更することができる。
(傍聴の手続等)
第10条 陳述の聴取の傍聴を希望する者(以下「傍聴希望者」という。)は、陳述開始10分前までに、受付において所定の用紙に氏名及び住所を記載して傍聴を申し込まなければならない。
2 傍聴人は、前項に規定する傍聴申込手続を終えた傍聴希望者から先着順で決定する。ただし、監査委員が特に必要があると認めるときは、先着順以外の方法で傍聴人を決定することができる。
3 陳述の開始時刻までに着席しない者は、傍聴させないものとする。
4 前2項の規定にかかわらず、報道機関に所属する者(以下「報道関係者」という。)は、所属する報道機関の名称及び氏名を申し出ることにより、取材のため陳述の聴取を傍聴することができる。

=====代理人選任届=====
別記様式第1号(第5条関係)
            代理人選任届
 桐生市監査委員 様
                   住所
                代理人
                   氏名

 上記の者を代理人として選任し、下記の事項を委任したので届出します。
                記

    年  月  日に実施される地方自治法第242条第6項の規定による陳述に関すること。

    年  月  日

                  住所
               請求人
                  氏名             ㊞
**********

■そして迎えた3月9日(月)の午後1時15分に当会会員は、桐生市役所で次のとおり陳述しました。

*****陳述書*****ZIP ⇒ 20200309q.zip
             陳 述 書

            陳述人 長澤健二

 私は桐生市天神町に在住している桐生市民であり、市民オンブズマン群馬の桐生支部長としても活動しております。

 今回の住民監査請求の内容は、すでに提出済の住民監査請求書をご覧いただいたことと思います。

 はじめに、今回の住民監査の請求対象である消防救急デジタル無線談合(以下「本件談合」という)問題について、概要を説明します。

 消防や救急の無線は情報の秘匿性や機能を高めるため、全国の自治体が2016年5月末までにアナログからデジタルに切り替えていました。この「消防救急デジタル無線機器」というのは、事実証明書1の最後のページの「別紙2」にあるとおり、「SCPC方式のデジタル通信方式により,260MHz帯の周波数帯を使用する消防救急無線のためのシステムを構成する基地局無線装置,無線回線制御装置,車載型熊線装置,卓上型熊線装置,携帯型無線装置,可搬型無線装置,遠隔制御装置及び管理監視制御装置)のことです。

 本件談合問題について、2017年2月2日、公正取引委員会は、全国の自治体が発注した消防救急デジタル無線の入札で談合を繰り返したとして、独占禁止法違反(不当な取引制限)で、富士通ゼネラルなどメーカー4社に総額63億4490万円の課徴金納付を命じました。また、違反を自主申告し、課徴金を免れた日立国際電気を含む5社に対し、再発防止を求める排除措置命令を出しました。

 自治体が特定のメーカーしか対応できない製品の仕様で発注したり、指名業者を決める過程にメーカーが加わったりする事例があったことも判明したため、公取委は談合を助長する恐れがある行為だとして、全国の自治体に注意喚起しました。

 課徴金の内訳は富士通ゼネラル48億円、日本電気11億5517万円、沖電気2億4381万円、日本無線1億4592万円です。

 公取委によりますと、各社は自治体の消防本部や救急車、消防車などに設置するデジタル無線の入札で、落札企業を話し合って決めていました。談合は遅くとも2009年12月に始まり、日本電気が2012年5月に離脱し、残る4社に談合を指摘する文書が届き、2014年4月に終わりました。この間に全国で516件の入札(約2700億円分)があり、うち5割強で談合が成立しました。

 日本電気など4社は「再発防止を徹底する」として公取の命令を受け入れましたが、富士通ゼネラル(129消防本部)だけは「事実認定と法解釈で見解の相違がある。取り消し訴訟の提起を含め、今後の対応を慎重に検討する」とするコメントを出し、課徴金納付命令の取消を求めて提訴中です(東京地方裁判所 平成29年(行ウ)第356号事件)。

 一方、「代理店等」と契約した本件談合は、間接販売(間販)という形ですが、住民監査請求で記載した通り、実質的にはメーカーと代理店が一緒に談合したわけですから、当然連帯して不当に吊り上げられた価格に対する責任を有します。したがって、契約約款に定めた違約金は両者が連帯して、自治体に支払わなければなりません。

 ところが、各地の消防組合は、代理店等は、公取の排除措置命令及び課徴金納付命令の直接の名宛人とはなっていないとして、違約金をメーカーと代理店等に対して連帯して支払うよう請求しているところは今のところ、極めて限られています。

 そのため、我々オンブズマン活動の全国組織である全国市民オンブズマン連絡会議が、各地のオンブズマンに声を掛けて、一斉に違約金の支払いを求めるようそれぞれの地区の消防組合や消防局に促しているわけです。資料1は、全国市民オンブズマン連絡会議の活動概要を示しています。

 そのなかで、岐阜県や愛知県では、間接販売(間販)でも、不法行為責任を問う訴訟に踏み切って係争中の消防組合がいくつか出てきています。これらは沖電気の代理店等の間販の事案がほとんどで、富士通ゼネラルの代理店等の間販の事案は愛知県の春日井市消防本部などまだ限られています。

 愛知県春日井市では、富士通ゼネラルの「間販」である春日井市消防本部に対し、談合業者と代理店に早急に損害賠償請求をするよう、名古屋市民オンブズマンが内容証明を送付したところ、2020年1月末に、富士通ゼネラルと代理店である富士通に請求書を送ったとのことです。

 しかし、遺憾ながら富士通ゼネラルからはまだ返事がなく、富士通からは「談合の認定対象外なので払う気は無い」旨の書面が富士通代理人弁護士から届いたとのことでした。

 事実証明書1は本件談合について、公正取引委員会が平成29年2月2日に出した「排除措置命令書」(平成29年(措)第1号)です。この中に本件談合問題について説明の記述があります。

 この問題について、私が所属する市民オンブズマン群馬は、上部団体である全国市民オンブズマン連絡会議の方針を踏まえて、群馬県内の関係自治体に対して、本件談合問題にかかる違約金請求を怠らないように要請しています。

 群馬県内では、桐生市消防本部のほか、高崎市・安中市消防組合と、館林消防組合の3か所が、本件談合の舞台となりました。

 このうち、高崎市・安中市消防組合では、デジタル無線機器調達と、デジタル無線基地局設置工事の2件で本件談合が行われ、前者は沖電気と代理店契約を結んだ関越電子情報株式会社が受注し、後者は沖電気自身が受注しました。

 高崎市・安中市消防組合は、沖電気が受注した工事案件は、本件談合問題が公になった2017年7月に、違約金10%を沖電気に請求し、翌8月に支払いを受けました。

 ところが、同じ沖電気の機器であっても、代理店等を起用した場合、公取の排除措置命令書(事実証明書1)に名宛人として明記されていないことから、高崎市・安中市消防組合は、「調査中」ということで、結局これまで本件談合により不当に吊り上げられた損害金を回収するための対応をとっていません。そのため、今回、桐生市と同様に、1月29日に当会会員が住民監査請求中です。

 また、館林地区消防組合も、桐生市消防本部と同じく、救急デジタル無線談合で、富士通ゼネラルの代理店等として起用された東日本電信電話株式会社が落札しています。このため、1月29日に館林市在住の当会会員が住民監査請求を行っています。

 つきましては、桐生市におかれても、ぜひ、富士通ゼネラルと代理店等の東日本電信電話に、連帯して違約金を支払うよう請求していただきたいのです。

 そして、もし、東日本電信電話が、「代理店等を使って談合したというが、公取の排除措置命令書(事実証明書1)の名宛人に東日本電信電話の名前が載っていないのに、なぜ談合に絡んだと言えるのか?」と反論してきたら、次のように主張してください。

「東日本電信電話株式会社が富士通ゼネラル株式会社の代理店等である根拠ですが、東日本電信電話株式会社が、桐生市消防本部に対して『機器供給証明書』を提出しているはずです。そこに富士通ゼネラル名で『特約店契約に基づき東日本電信電話株式会社に機器を供給することを証明いたします』と記述されているはずです。これで東日本電信電話が富士通ゼネラルの代理店等であることがわかります」

 さらに、もし、東日本電信電話が、「富士通ゼネラルと談合していたという根拠を示せるか?」と反論してきたら、次のとおり主張してください。

「まず、富士通ゼネラルは5社と談合していたのは『ちず』(資料2)で明らかです。『AI』が沖電気をあらわし、『チャン』が談合を示しています。談合の実態については、資料3『乙35号証』と資料4『乙37号証』もご覧ください。とくに資料4には間販の実態について詳しい供述が記されています。」

 なお、実際に訴訟を起こし、利害関係人になれば富士通ゼネラルの課徴金納付命令の取消訴訟(東京地方裁判所 平成29年(行ウ)第356号事件)の資料を閲覧可能であり、そこに明確に「富士通ゼネラルは東日本電信電話を間販とする」との記載が見つけられるはずです。

 東日本電信電話が富士通ゼネラルから機器を供給され、富士通ゼネラルが5社と談合して落札すると決めていれば、東日本電信電話と富士通ゼネラルは談合していたことになります。

 また、本件談合と同様に、沖電気とその代理店等の株式会社TTKとの間で間販が行われた愛知県尾三(びさん)消防組合は、談合発覚以降の入札案件の平均落札率85.56%と、尾三消防組合の落札率99.80%の差である14.24%を2社による談合によって不当に高額な金額で発注させられたと考えています。資料5として、尾三消防組合が沖電気とその代理店等TTKを相手取り訴訟を提起した訴状を添付しますので、参考にしてください。

 この他にも、大阪府高槻市では、富士通ゼネラルの間販である富士通と契約したことに対し、市議である北岡氏が住民監査請求をしたところ(資料6)、高槻市議会で訴訟提起の議案が提案されています(資料7)。北岡市議による監査請求の意見陳述で、高槻市は「1月17日に富士通等に催告を行ったが、納付期限である2月3日までに支払いがなかったので、訴訟を提起することにした」と述べました。このように、高槻市の動きも今後注目されます。

 談合の弊害は、桐生市消防本部はもとより桐生市でも十分認識していると思います。その思いは住民である私、請求人としても同じです。ぜひ、談合の場合の違約金の支払いを富士通ゼネラルと代理店の東日本電信電話に求めるよう、行動を起こしてください。

 以上で私の陳述を終わります。ご清聴ありがとうございました。

=====資料=====
資料1 消防救急デジタル無線談合参考資料(オンブズマンHP) ZIP ⇒ phfwkqliiuyj.zip
資料2 甲A11-3 ZIP ⇒ qba113.zip
資料3の1 岐阜市乙35(P1-20) ZIP ⇒ qba113.zip
資料3の2 岐阜市乙35(P21-26) ZIP ⇒ rqs35ip2138j.zip
資料4 岐阜市乙37 ZIP ⇒ ss37.zip
資料5 尾三被告乙1 ZIP ⇒ to1.zip
資料6 高槻市十三監査請求書 ZIP ⇒ usz.zip
資料7 高槻市議案書(令和2年3月議会議案書と資料) ZIP ⇒ vsciaqnrccj.zip
**********

 桐生市にとって、陳述自体が初めての出来事でした。このことは、陳述した当会会員が、元桐生市監査局長が再雇用で情報公開課にいたので、当日、陳述が終わった後に、情報公開課で別件の情報開示を受けた際に、確認しました。

 桐生市では、次に示す手続き図で監査の前に要件審査を行って監査をするかどうか今まで決めていて、監査物件がなかったそうです。


 しかし、地方自治法242条は要件審査なるものが書いてありません。この疑問をクリアするために、監査委員の前で監査事務局に次の質問書を提出し、監査室で受け取りました。

*****3/9質問書*****
                         令和2年3月9日

桐生市監査委員 様
             住民監査請求人:
             〒376-0052群馬県桐生市天神町3丁目13-36
             長 澤 健 二    印
             TEL: 090-7197-6449

   今回の3度目の住民監査請求に際する陳述にあたって(ご質問)

拝啓 日々益々ご健勝のこととお慶び申し上げます。
 請求人は、行政およびその関連機関を外部から監視し、当該機関による権限の不当な行使ないしは不行使による一般国民への権利利益侵害、並びに税金を原資とした公的資金の濫費について、調査および救済の勧告を図る活動をしている民間団体である「市民オンブズマン群馬」のメンバーでもあります。
 さて、今回の住民監査請求に当たって、桐生市の住民監査請求に対して、疑問に思っていることがありますので述べさせて頂きますので、今回の監査請求の通知に対する請求人としての質問書として、これに対するご回答を賜りたくよろしくお願い申し上げます。
 請求人は平成30年9月19付で住民監査請求をしたことがございます。請求に先立ち「監査委員は業務監査ができる」と知り合いの人から聞いたので、さっそく桐生市監査室に行き「職員服務規則が守られていないので監査をしてください」とお願しにいきました。対応に出た職員から「監査委員長に報告します」と言われました。その後、何日か経過したので、再び監査室を訪れて結果をお聞きしたところ「監査室から(請求人からの監査依頼を監査委員長に)伝えましたが、委員長から『私も桐生市民であるので監査しない』と言われました」という監査室職員の説明でした。
 請求人としては、監査室職員の説明で伝えられた監査委員長の訳のわからない回答に納得できませんでした。このため、市議会から任命された監査委員のかたに面会を申し込みました。ところが、返事がありません。そこで、再度連絡をとったところ、その監査委員のかたは「『私も忙しい』と今、返事をしました」と請求人におっしゃり、さらに「市議会の意見交換会では、監査請求が必要だからそれを出すように」との返事をいただきました。
 市議会任命の監査委員のかたからのご返事にもとづき、請求人はさっそく住民監査請求を出しました。その結果、監査委員のかたがたから「要件審査を行った結果、下記の理由により却下することに決定しましたので通知します。」との通知(別紙証拠1)を受け取りました。
 当時、役所が「地方自治法242条1項の規定に基づく」と言っていたので、役所の説明に間違いはないだろうと思い、よく調べませんでした。
 しかし念のため、請求人が所属する市民団体「市民オンブズマン群馬」に相談したところ、「監査結果に不服があれば住民訴訟するしかありません」との見解を聞いたので、約3週間後に桐生地方裁判所を訪れ、裁判所の書記官に住民訴訟の仕方を教えてもらいに行きました。
 書記官によると、「住民訴訟は(住民監査結果通知を受け取った日から)1か月以内で前橋地方裁判所に提出してください」とのことでした。請求人は「1か月以内とはどういうことなのか」を確認すべく、桐生市監査室に行き、「監査結果の通知書には何も書いてないがどういう意味なのか」と問い質しました。
 すると対応した職員は「長澤さんは当然知っているものと思っていました。まだ、時間があるので不服があるのでしたら提出してください」と言いました。請求人は「私は住民監査請求をするのは初めてです。あなたがたは、私に対して、最初の住民監査請求書の訂正を求めたでしょう」と答えました。
 請求人はさらに続けて、「通常不服がある場合は『何日以内にどこどこに訴えることができる』等の書き込みがある。住民税、固定資産税等いろいろあるが必ず書いてある。そのようにするのが専門家としてはあたりまえでしょう。私は普通の人であり、すべての法律、条例、規則等は覚えられません。私だけでなくすべて住民の皆さんは覚えられない。そのために、弁護士、税理士等専門家がいるのである。生命保険等では告知義務があり、それがなされなければ契約はできない。このように、住民監査請求の結果通知には記述がないのか回答してください」と監査室の職員にお願いを申し上げました。
 次に請求人は、令和元年8月20日付で住民監査請求をしました。前回の1度目の住民監査請求では陳述を要求しましたがさせてもらえなかったので、この2度目の住民監査請求では強く要求しました。ところが2度目の監査結果(別紙証拠2)も前回と同様でした。請求人はその時の理由についてもよく読みませんでした。
 しかし、今回の3度目の住民監査請求は、市民オンブズマン群馬として県内で1月29日に住民監査請求を3件一斉に出したうちのひとつです。その結果、高崎・安中消防組合では「令和2年1月29日付の住民監査請求書について、1月30日付で受理した」と監査請求人に通知(別紙証拠3)してきました。館林消防組合も同様に「受理した」と監査請求人に通知してきました。
 桐生市からは、請求人に住民監査請求書の補正を要求してきたので、請求人は補正した書面を提出し直しました。
 その後、高崎・安中消防組合は2月14日付で、館林消防組合は2月20日付で、追加証拠及び陳述についての通知が届いています。
 しかし、桐生市では2月24日までに、請求人のもとに追加証拠及び陳述の案内通知が届きませんでした。不安になった請求人は、地方自治法242条をよく読んだ結果、「桐生市は地方自治法を無視し、自分勝手な解釈をしている」と判断せざるを得ない気持ちに至りました。
 そこで請求人は、2月25日、2月26日の両日にわたり、この不安を綴った公開質問書を桐生市長あてに提出しようと監査室、秘書室を訪れました。しかしどちらの窓口でも受け取ってもらえませんでした。どちらの部署も、受け取り拒否の理由は「受け取らなければならない規則はない」との説明でした。
 やむなく請求人は、その公開質問書を市民の声として提出しました。その証拠として、令和2年2月25日付の公開質問書(別紙証拠4の1)、2月26日付の公開質問書(別紙証拠4の2)と桐生市長の回答(別紙証拠5)を添付のとおり提出します。
 2月26日付の桐生市の回答によると、請求人の2月25日付の質問1、質問2、質問4、質問6に対して、ひとくくりで回答をしています。請求人はそれぞれひとつずつ違う質問をしているのにも関わらず、不誠実な回答と言えます。
 2月26日付の回答もしかり、請求人の2月26日付の質問は4問なのに、これもひとくくりの回答です。実に不誠実きわまります。
 では、本題に戻るとします。
 請求人には公開質問書を「受け取らなければならないという規則はない」と口頭で伝えておきながら、2月26日付の回答では、請求人に対して「令和2年1月29日付で預かった住民監査請求は、監査委員による要件審査中とのことです」と述べられています。ここで質問です。
 質問1:地方自治法第242条のどこに要件審査の項目がありますか?
ぜひご回答ください。
 次に、3月4日に、市民オンブズマン群馬の会員で館林在住のかたが館林消防組合に対する消防救急デジタル無線談合に係る住民監査請求について陳述を行いました。請求人はこの陳述を傍聴しに行ったのですが、その際に、「館林消防組合は監査請求書の書類の不備がなければ受理して監査委員に提出する」ことがわかりました。
 要するに、次のことを意味しているのではないでしょうか。
(1)すなわち、監査請求書が提出されれば書類に不備がない限り、受理しなければならない。
(2)地方自治法242条の本来の趣旨は国民が監査請求の必要があれば住民監査請求をして、監査委員は証拠の提出及び陳述の機会を与えて、それを監査するのであり、証拠の提出と陳述をさせないのは違法である。
(3)法律でも条例でも規則でもない「事務処理手続き図」(別紙証拠6)によるとは国民を馬鹿にしたようなものである。地方自治法242条が不合理なら条例を制定し、法律を補足すべきである。自分の都合のいいように解釈するのは到底許されるものでない。
 ちなみに、桐生市が他の自治体並みにようやく住民監査請求の証拠の提出及び陳述の機会を与える書面を請求人に出してきたのは、2月27日付でした(別紙証拠7)。
 ここで、ぜひ請求人の主張に答えてください。
 質問2:通常、要件審査を入れるのなら、書類の不備を審査するが妥当であり、証拠7のように追加の証拠をと陳述を与えて財務会計上の不当行為がなかったか審査するのが本来の姿ではないでしょうか?ぜひ貴ご見解をお示しください。
 上記2つの質問に加えて、本件に関して、監査委員におかれましては以下の質問3~7への回答賜りたくよろしくお願い申し上げます。



質問3:住民監査請求の結果通知に請求人の権利が書かれていないのはなぜですか?

質問4:公開質問書の受け取りは、「受け取らなければならない規則がない」と言いながら、住民監査請求では、地方自治法242条には書いてないのに「受理するための要件審査」と称して監査を行わなかったのは、どのような根拠に基づくものですか?

質問5:住民監査請求に伴う証拠の提出及び陳述の聴取に関する実地要綱の制定が令和2年2月7日制定になっておりますが、今まで、証拠の提出及び陳述の機会が与えられなかったと解釈するが間違えないですか。間違えなら制定日が令和2年2月7日ですか?

質問6:令和元年10月4日付の桐生市職員措置請求についての通知のなかに「当該普通地方公共団体の執行機関又は職員の違法もしくは不当な公金の支出、契約の締結などの財務会計上行為があり、・・・・・・監査を実施しないとした。」とありますが証拠の提出と陳述を聞いて判断すべきだったのではないでしょうか? そのために、地方自治法242条6項があるのではないでしょうか? そうでないのなら、地方自治法242条6項は何のためにあると思いますか?

質問7:今回(令和2年1月29日付)の住民監査請求書について、「追加の証拠及び陳述の機会を下記のとおり設けましたので、通知します」とありますが、どのような要件審査をし、財務会計上の不当行為があったのでしょうか? 地方自治法242条に書いてないことをしたのですから、正当な理由があって然るべきではないでしょうか?


 以上、7つの質問についての回答を、大変勝手ながら、書面にて監査請求の結果通知と一緒にご回答願います。

                            以上

=====別紙証拠=====
証拠1 ZIP ⇒ p.zip 
証拠2 ZIP ⇒ q.zip
証拠3 ZIP ⇒ r.zip
証拠4の1 ZIP ⇒ sp.zip
証拠4の2 ZIP ⇒ sq.zip
証拠5 ZIP ⇒ t.zip
証拠6 ZIP ⇒ u.zip
証拠7 ZIP ⇒ v.zip
**********

■なお、監査委員の面前での陳述を録音しようとしましたが、規則で禁じられているとのことで叶いませんでした。しかし、監査委員側で「録音する」と言ってきたのでもろ手を挙げて賛成し、後日情報公開請求できることを確認しました。

 また、陳述のあと、今回追加証拠として提出した「供述書」の入手方法を監査委員が聞いてきたので、「全国オンブズマンからいただいたので詳しくはわからない」と答えておき、「質問があれば書類でください。全国オンブズマンに問い合わせするから」と返事をしておきました。

 以上が、当日陳述を行った当会会員からの報告です。受理日が2月27日だったので、住民監査請求の監査結果通知が届く期限日は、4月27日ごろということになります。

【市民オンブズマン群馬事務局からの報告】


コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

【消防救急デジタル無線談合】館林地区消防組合監査委員に対して当会会員が証拠提出と陳述

2020-03-06 23:10:00 | 消防救急デジタル無線談合
■消防救急デジタル無線の入札談合問題は、公正取引委員会が2017年2月2日に独占禁止法違反で排除措置命令及び課徴金納付命令を出したことが発端です。以来、全国市民オンブズマン連絡会議は、全国各地の各オンブズマン組織に対し、消防本部が業者に損害賠償請求させるよう呼びかけてきました。当会「市民オンブズマン群馬」も、いち早く入札調書等を関係消防組合から情報公開請求により入手し、動向を注視してきました。最近では2019年9月28-29日に岐阜市で行われた「第26回市民オンブズ全国大会in岐阜・2019」において、消防デジタル無線談合について、該当自治体に遅くとも2020年7月までに住民監査請求をするよう呼びかけが行われました。
 これを踏まえて当会は、今年1月29日付で、高崎市・安中市消防組合(高崎市等広域消防局)、桐生市消防本部、館林地区消防組合消防本部に対して、各地の会員により手分けして住民監査請求書を提出しました。このうち館林地区消防組合監査委員から2月20日付で証拠の提出及び陳述等の通知が送られてきました。

1月29日に当会会員が館林地区消防組合に住民監査請求書を提出した際、収受の証拠が欲しいと依頼した所、急遽「領収証」を使って受領確認をした際にもらったもの。おそらく同消防組合にとって住民監査は初めてだったに違いない。

 なお、住民監査請求書については次のブログ記事を参照ください。
○2020年1月31日:【消防救急デジタル無線談合】時効が迫る中、群馬県でも3消防組合に住民監査請求
https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/3115.html

■通知の内容は次のとおりです。なお、この通知には「2月10日に受理」とありますが、前述のとおり、当会会員は1月29日提出の際に、念のため館林地区消防組合から「領収書」をもらっていました。

*****追加証拠・陳述通知*****ZIP ⇒ 20200220zqoinhgj.zip
                       2・3・0
                       令和2年2月20日
館林市台宿町1-31
 小林 光一 様
                 館林地区消防組合
                  監査委員  冨永 裕文
                   同    今村 好市

  館林地区消防組合職員措置請求に係る追加証拠及び陳述について(通知)

 令和2年1月29日収受いたしました館林地区消防組合職員措置請求書を令和2年2月10日付けで受理いたしました。
 つきましては、地方自治法第242条第6項の規定に基づき、証拠の提出及び陳述等がございましたら、下記期日までに事務局へご連絡を下さい。

1 連絡期日   令和2年3月4日(水)午後5時12分
2 連絡先    館林地区消防組合
         総務課内 監査委員事務局 担当 堀口
                      TEL0276-72-7229
**********

 そして、3月4日の当日、当会会員が次の内容で陳述を行いました。実際には、午後4時50分ごろ次に示す陳述書を持参して、監査委員事務局の担当者に面会し、陳述書を手渡し、陳述内容について話し合ってきました。

*****陳述書*****ZIP ⇒ 20200304q.zip
            陳述書
          陳述人 小林光一

 私は館林市台宿町に在住している館林市民であり、市民オンブズマン群馬の顧問および館林支部長としても活動しております。

 今回の住民監査請求の内容は、すでに提出済の住民監査請求書をご覧いただいたことと思います。

 はじめに、今回の住民監査の請求対象である消防救急デジタル無線談合(以下「本件談合」という)問題について、概要を説明します。

 消防や救急の無線は情報の秘匿性や機能を高めるため、全国の自治体が2016年5月末までにアナログからデジタルに切り替えていました。この「消防救急デジタル無線機器」というのは、事実証明書1の最後のページの「別紙2」にあるとおり、「SCPC方式のデジタル通信方式により,260MHz帯の周波数帯を使用する消防救急無線のためのシステムを構成する基地局無線装置,無線回線制御装置,車載型熊線装置,卓上型熊線装置,携帯型無線装置,可搬型無線装置,遠隔制御装置及び管理監視制御装置)のことです。

 本件談合問題について、2017年2月2日、公正取引委員会は、全国の自治体が発注した消防救急デジタル無線の入札で談合を繰り返したとして、独占禁止法違反(不当な取引制限)で、富士通ゼネラルなどメーカー4社に総額63億4490万円の課徴金納付を命じました。また、違反を自主申告し、課徴金を免れた日立国際電気を含む5社に対し、再発防止を求める排除措置命令を出しました。

 自治体が特定のメーカーしか対応できない製品の仕様で発注したり、指名業者を決める過程にメーカーが加わったりする事例があったことも判明したため、公取委は談合を助長する恐れがある行為だとして、全国の自治体に注意喚起しました。

 課徴金の内訳は富士通ゼネラル48億円、日本電気11億5517万円、沖電気2億4381万円、日本無線1億4592万円です。

 公取委によりますと、各社は自治体の消防本部や救急車、消防車などに設置するデジタル無線の入札で、落札企業を話し合って決めていました。談合は遅くとも2009年12月に始まり、日本電気が2012年5月に離脱し、残る4社に談合を指摘する文書が届き、2014年4月に終わりました。この間に全国で516件の入札(約2700億円分)があり、うち5割強で談合が成立しました。

 日本電気など4社は「再発防止を徹底する」として公取の命令を受け入れましたが、富士通ゼネラル(129消防本部)だけは「事実認定と法解釈で見解の相違がある。取り消し訴訟の提起を含め、今後の対応を慎重に検討する」とするコメントを出し、課徴金納付命令の取消を求めて提訴中です(東京地方裁判所 平成29年(行ウ)第356号事件)。

 一方、「代理店等」と契約した本件談合は、間接販売(間販)という形ですが、住民監査請求で記載した通り、実質的にはメーカーと代理店が一緒に談合したわけですから、当然連帯して不当に吊り上げられた価格に対する責任を有します。したがって、契約約款に定めた違約金は両者が連帯して、自治体に支払わなければなりません。

 ところが、各地の消防組合は、代理店等は、公取の排除措置命令及び課徴金納付命令の直接の名宛人とはなっていないとして、違約金をメーカーと代理店等に対して連帯して支払うよう請求しているところは今のところ、極めて限られています。

 そのため、我々オンブズマン活動の全国組織である全国市民オンブズマン連絡会議が、各地のオンブズマンに声を掛けて、一斉に違約金の支払いを求めるようそれぞれの地区の消防組合や消防局に促しているわけです。資料1は、全国市民オンブズマン連絡会議の活動概要を示しています。

 そのなかで、岐阜県や愛知県では、間接販売(間販)でも、不法行為責任を問う訴訟に踏み切って係争中の消防組合がいくつか出てきています。これらは沖電気の代理店等の間販の事案がほとんどで、富士通ゼネラルの代理店等の間販の事案は愛知県の春日井市消防本部などまだ限られています。

 愛知県春日井市では、富士通ゼネラルの「間販」である春日井市消防本部に対し、談合業者と代理店に早急に損害賠償請求をするよう、名古屋市民オンブズマンが内容証明を送付したところ、2020年1月末に、富士通ゼネラルと代理店である富士通に請求書を送ったとのことです。

 しかし、遺憾ながら富士通ゼネラルからはまだ返事がなく、富士通からは「談合の認定対象外なので払う気は無い」旨の書面が富士通代理人弁護士から届いたとのことでした。

 事実証明書1は本件談合について、公正取引委員会が平成29年2月2日に出した「排除措置命令書」(平成29年(措)第1号)です。この中に本件談合問題について説明の記述があります。

 この問題について、私が所属する市民オンブズマン群馬は、上部団体である全国市民オンブズマン連絡会議の方針を踏まえて、群馬県内の関係自治体に対して、本件談合問題にかかる違約金請求を怠らないように要請しています。

 群馬県内では、館林地区消防組合のほか、高崎市・安中市消防組合と、桐生市消防局の3か所が、本件談合の舞台となりました。

 このうち、高崎市・安中市消防組合では、デジタル無線機器調達と、デジタル無線基地局設置工事の2件で本件談合が行われ、前者は沖電気と代理店契約を結んだ関越電子情報株式会社が受注し、後者は沖電気自身が受注しました。

 高崎市・安中市消防組合は、沖電気が受注した工事案件は、本件談合問題が公になった2017年7月に、違約金10%を沖電気に請求し、翌8月に支払いを受けました。

 ところが、同じ沖電気の機器であっても、代理店等を起用した場合、公取の排除措置命令書(事実証明書1)に名宛人として明記されていないことから、高崎市・安中市消防組合は、「調査中」ということで、結局これまで本件談合により不当に吊り上げられた損害金を回収するための対応をとっていません。そのため、今回、館林地区消防組合と同様に、1月29日に当会会員が住民監査請求中です。

 また、桐生市消防局も、館林地区消防組合と同じく、救急デジタル無線談合で、富士通ゼネラルの代理店等として起用された東日本電信電話株式会社が落札しています。このため、1月29日に桐生市在住の当会会員が住民監査請求を行っています。

 つきましては、館林地区消防組合におかれても、ぜひ、富士通ゼネラルと代理店等の東日本電信電話に、連帯して違約金を支払うよう請求していただきたいのです。

 そして、もし、東日本電信電話が、「代理店等を使って談合したというが、公取の排除措置命令書(事実証明書1)の名宛人に東日本電信電話の名前が載っていないのに、なぜ談合に絡んだと言えるのか?」と反論してきたら、次のように主張してください。

「東日本電信電話株式会社が富士通ゼネラル株式会社の代理店等である根拠ですが、東日本電信電話株式会社が、館林地区消防組合に対して『機器供給証明書』を提出しているはずです。そこに富士通ゼネラル名で『特約店契約に基づき東日本電信電話株式会社に機器を供給することを証明いたします』と記述されているはずです。これで東日本電信電話が富士通ゼネラルの代理店等であることがわかります」

 さらに、もし、東日本電信電話が、「富士通ゼネラルと談合していたという根拠を示せるか?」と反論してきたら、次のとおり主張してください。

「まず、富士通ゼネラルは5社と談合していたのは『ちず』(資料2)で明らかです。『AI』が沖電気をあらわし、『チャン』が談合を示しています。談合の実態については、資料3『乙35号証』と資料4『乙37号証』もご覧ください。とくに事実証明書7(ママ。資料4が正)には間販の実態について詳しい供述が記されています。」

 なお、実際に訴訟を起こし、利害関係人になれば富士通ゼネラルの課徴金納付命令の取消訴訟(東京地方裁判所 平成29年(行ウ)第356号事件)の資料を閲覧可能であり、そこに明確に「富士通ゼネラルは東日本電信電話を間販とする」との記載が見つけられるはずです。

 東日本電信電話が富士通ゼネラルから機器を供給され、富士通ゼネラルが5社と談合して落札すると決めていれば、東日本電信電話と富士通ゼネラルは談合していたことになります。

 また、本件談合と同様に、沖電気とその代理店等の株式会社TTKとの間で間販が行われた愛知県尾三(びさん)消防組合は、談合発覚以降の入札案件の平均落札率85.56%と、尾三消防組合の落札率99.80%の差である14.24%を2社による談合によって不当に高額な金額で発注させられたと考えています。資料5として、尾三消防組合が沖電気とその代理店等TTKを相手取り訴訟を提起した訴状を添付しますので、参考にしてください。

 この他にも、大阪府高槻市では、富士通ゼネラルの間販である富士通と契約したことに対し、市議である北岡氏が住民監査請求をしたところ(資料6)、高槻市議会で訴訟提起の議案が提案されています(資料7)。北岡市議による監査請求の意見陳述で、高槻市は「1月17日に富士通等に催告を行ったが、納付期限である2月3日までに支払いがなかったので、訴訟を提起することにした」と述べました。このように、高槻市の動きも今後注目されます。

 談合の弊害は、消防組合でも十分認識していると思います。その思いは住民である私、請求人としても同じです。ぜひ、談合の場合の違約金の支払いを富士通ゼネラルと代理店の東日本電信電話に求めるよう、行動を起こしてください。

 以上で私の陳述を終わります。ご清聴ありがとうございました。

資料1 ZIP ⇒ phfwkqliiuyj.zip
資料2 ZIP ⇒ qba113.zip
資料3 ZIP ⇒ rps35ip120j.zip
rqs35ip2138j.zip
資料4 ZIP ⇒ ss37.zip
資料5 ZIP ⇒ to1.zip
資料6 ZIP ⇒ usz.zip
資料7 ZIP ⇒ vsciaqnrccj.zip
**********

■監査委員事務局によれば、今回提出された陳述書と追加証拠(資料1から7)を、先日1月29日に提出のあった住民監査請求書と事実証明書1~4と合わせて、内容を検討し、遅くとも60日以内の4月上旬までに審査結果を通知してくることになりました。

 どのような結果通知になるのか、当会会員と共に期待して待ちたいと存じます。

 当会会員の関連ブログ記事もご覧ください。
※2020年2月17日:館林消防住民監査請求
http://town18.blog.fc2.com/blog-entry-1714.html
※2020年2月23日:館林消防住民監査請求その2
http://town18.blog.fc2.com/blog-entry-1720.html
※2020年3月5日:館林消防住民監査結果その3
http://town18.blog.fc2.com/blog-entry-1731.html

【市民オンブズマン群馬事務局からの報告】

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする