市政をひらく安中市民の会・市民オンブズマン群馬

1995年に群馬県安中市で起きた51億円詐欺横領事件に敢然と取組む市民団体と保守王国群馬県のオンブズマン組織の活動記録

長野高専水泳プール解体強行問題…理由と経緯を質す当会質問状に同校から返された支離滅裂回答

2021-03-30 23:42:00 | 【出張!オンブズマン】長野高専の闇

長野高専水泳プール解体強行問題に関する当会の公開質問状に対し、同校から3月30日の午前10時過ぎにFAX送信されてきた支離滅裂回答の送り状

■長野高専史に残る最低天下り校長・石原祐志の乱心によって、荒唐無稽な取り潰しの号令が掛けられた同校水泳プール。この妄言計画はいったん事実上頓挫したものの、その後遺症としてプールは使用不能状態に陥ってしまい、土居校長が石原の跡を継いだ後も学生の健康で文化的な営みは阻害され続けました。それでも土居校長は高専教員プロパーであり、その矜持をもって再びプールを復活させ、学生の生活と文化の活性化に動くことが期待されていました。

 ところが今年(2021年)3月に入って凶報がもたらされました。同校内部関係者らにもロクに知らされないまま年初から水泳プールの解体工事が始められており、すでに跡形もない更地にされてしまったというのです。寝耳に水、青天の霹靂、驚天動地の事態に呆然とする関係者らが見守る中、当会がさっそく事実関係調査を始めると、時間稼ぎして更に手遅れの状態にしてしまいたいのか、長野高専はあからさまに不審な挙動ぶりを見せ始めました。当会では、水泳プール解体が強行された理由と経緯を明らかにするため、内部文書の開示請求と並行して、同校宛てに3月16日付け公開質問状を提出していました。

○2021年3月18日:【長野高専】石原の悲願ついに成就…土居体制が水面下で強行の水泳プール解体に同校関係者一同呆然!!
https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/3284.html

 その後、当会が指定した回答期限である3月30日になって、公開質問状に対するFAX回答が同校から当会事務局に送られてきました。

■3月30日の午前10時14分に長野高専からFAX送信されてきた回答の内容は以下のとおりです。

*****3/30付長野高専回答(プール解体)*****ZIP ⇒ 20210330fax.zip
                             令和3年3月30日

 市民オンブズマン群馬代表
       小 川  賢  殿

                       独立行政法人国立高等専門学校機構
                              長野工業高等専門学校

           公開質問状に係る回答について

 令和3年3月16日付で依頼のありました,公開質問状について,別紙のとおり回答いたしますので,よろしくお願いいたします。


                    --------------------------------
                    担当:長野工業高等専門学校
                    総務課課長補佐(総務担当) 北原 斉
                    〒381-8550 長野市徳間716
                    電話 026-295-7132
                    --------------------------------

*****回答別紙*****
                                 別紙

        貴学水泳プール解体工事にかかる公開質問状の回答について

質問(1)
【質問1】当該解体工事の目的について、以下のうち該当する選択肢を指定ください。また、その選択肢に附随する理由説明の記述をお願いします。
 ☐1.水泳プールの存続を前提としており、プール設備を新築の予定
 (説明要請事項:既存設備の修繕でなく、解体からの新築を選んだ理由)
 ☐2.水泳プールの廃止を前提としており、土地を別の目的に利用する予定
 (説明要請事項:プールを解体・廃止しなければならない理由及び具体的な利用目的)
 ☐3.水泳プールの廃止を前提としているが、次の利用目的は未定
 (説明要請事項:利用目的未定の状況でプールを解体・廃止しなければならない理由)
 ☐4.その他
 (説明要請事項:1~3に当てはまらないと考える具体的な理由)

回答(1)
 4.その他:今後の土地の利用を検討していくためにも解体が必要不可欠であった。

質問(2)
当該解体工事を行うにあたり、事前に学生・後援会(保護者)・教職員等関係者への通知や説明はなされましたか。
 なされている場合は、続けてその具体的な状況(対象、日時、場所、手段、伝達内容など)について詳細なご説明をお願いいたします。
 特になされていない場合は、関係者各位への説明をしないまま解体工事を行っている理由について詳細なご説明をお願いいたします。

回答(2)
 教職員へは,教員会議(令和2年11月5日(木)16:15から100番教室)で報告した。
 施設整備に関して,学生・後援会に対しこれまでも事前に通知や説明をしたことはない。


質問(3)
 当該解体工事の実施を貴学内部にて審議・決定した時系列をご教示ください。

回答(3)
 ・令和2年11月4日(水)執行会議で報告
 ・令和2年11月5日(木)教員会議で報告
 ・令和2年12月7日(月)執行会議で決定


**********


■このように長野高専は、あまりにも支離滅裂な「回答」を寄こしてきました。ひとつずつ見ていきましょう。

【回答(1)について】
■なんと長野高専は、プールを存続させるつもりなのか廃止するつもりなのか、という極めて単純な二択すら言明を避けてきました。その上で、「今後の土地利用の検討のため解体が必要不可欠」などというあまりに意味不明な言い分です。

 これでは、「解体ありき」で話が進められたことを認めるのと同義です。普通は、「次にどうするか」という計画や青写真がある程度固まってから、はじめて、既存施設設備の解体・更地化という大ごとに手を付けるものではないでしょうか。プールの修繕という立派な選択肢を最初から潰して後戻りできなくする意味は一体何なのでしょうか。加えて、「土地利用の検討」などはプールを潰しても潰さなくてもできることが明らかで、そのために解体を「必要不可欠」と断ずる理由が皆目わかりません。

 土居校長下における長野高専の意思決定システムでは、「どうするか何も決まっていないけれど、むしろどうするか決めるために、とりあえず潰そう」という、常人には極めて理解しがたい狂気的な論理が横行しているようです。他の施設設備もこのようにして「とりあえず」潰すのでしょうか。

 また、国立長野高専の水泳プールは一応にも国民の財産であり、土居校長らごく一部幹部によるこのような杜撰極まりない密室意思決定と理由付けで、ホイホイ気軽にとりあえず潰されていいものではありません。この馬鹿げた「解体工事」に、何千万円という血税と授業料が溶かされたのですから、なおさらたまったものではありません。

 稀代のバカ殿校長であった石原祐志ですら、良くも悪くも、「国際化のための施設を建てる」という最終目的を提示したうえで、プール潰しを推進していました。ところが一方、土居信数ひきいる現体制は、何の計画があるわけでもなくプール潰し「ありき」で動き、超多額の血税と学費をドブに捨てて、取り返しの付かない状態にしてしまいました。その意味で、石原よりも遥かに下を行く短慮と悪徳の塊が、今の土居体制と言わざるをえません。

■上述のとおり、今回の回答において、土居体制は「存続か、廃止か」という二択への明言を避けてきました。プール解体後の扱いについて、本当に想定がないのか、すでに事実上固まっているにも関わらず未定と言い張っているのかは、断定できません。とはいえ、現時点において紙の上で明瞭な計画が無いにせよ、すでに幹部陣の頭の中では「やりたいこと」の方向性が一定度持たれているものと考えられます。そして、もしもプール存続の選択肢が視野にあるならば、既存設備の修繕という手もあるのですから、早急に解体を強行する必要はありません。

 すなわち学校側の意図としては、「廃止」を明言して言質を取られることにより、学生や後援会といった内部関係者を遂に激発させてしまうことをおそれて、このように言葉を濁しているものと考えられます。しかし、プールを勝手に更地にしたという断然たる現実がすでにあるのですから、学校幹部は説明に腹を括るしかありません。にも関わらず、この期に及んで批判を恐れてか、下らない官僚答弁の真似事を試みているわけですから、土居信数が如何に姑息な男であるかというわけです。

 しかし、存続か廃止かの明言を避けたいがあまり、「検討のため解体が必要不可欠」という意味不明な回答に収めたことで、逆に、上で散々指摘したようなツッコミ所満載の代物と化してしまっています。まったく墓穴を掘っているようにしか思えません。

【回答(2)について】
■一方、プール解体にあたり学校内部関係者への説明をしたかどうかについて、教職員に対しては、「昨年11月5日の教員会議にて報告した」という回答が返ってきました。しかしそれでは、当会に続々と通報してくれたり、あるいは学生らが独自にヒアリングした同校教職員の方々が口を揃えて、プール解体工事の実施事実を「知らなかった」と証言していることと整合が付きません。この件については、内部関係者の証言のほか、近日中に開示される予定の議事概要等内部資料とあわせ、更なる検証が必要なことと思われます。

 ところでもちろん、仮に担当の主事が一方的にまくし立てる中のごく一部に紛れ込ませて「報告」していた事実があったとしても、それが「合意形成」に程遠いのはいうまでもありません。

 呆れたのは学生・後援会に対しての挑発的な態度です。今回の件に関する事前の通知・説明事実の有無をまず書いた後に理由を詳述すべきところ、いきなり「施設整備に関して,学生・後援会に対しこれまでも事前に通知や説明をしたことはない。」と一刀両断、言うまでもないアタリマエのことですとばかりに突き放した傲慢回答ぶりです。

 学校側の言い分の真偽はともかくとしても、水泳プールは現に使用していた当事者学生やその親といった関係者がいるわけなのですから、前例がないことは説明をしていない理由になりません。水泳部員の方々などは、理不尽な経緯で自校のプールが使えなくなったあげく、遠方の外部プールに半分自腹で通う事態に陥っているといいます。プール再開に一縷の望みをかけ、「一時の我慢」と耐えてきた方々も多数いるであろう中で、説明もなしに突如プールを更地にしてしまうことがどれほど残酷な行為か、自覚しているのでしょうか。

 そもそも、プールを解体したこと自体は、ただ施設を不可逆に壊して更地にしただけであり、「整備」でも何でもありません。そして、後に来る肝心の「施設整備」のプランについて何も策定していないことを、すぐ上の回答で事実上認めたばかりにも関わらず、「施設整備に関して」などと言い出す長野高専幹部のアタマはどうなっているのでしょう。

【回答(3)について】
■当会の質問では、「審議・決定した時系列」を訊いていたのですが、「11月4日執行会議報告」「11月5日教員会議報告」「12月7日執行会議決定」のたった三つの会議しか回答に挙げられていません。では、11月4日の執行会議やその翌日の教員会議で「報告」するための事項はいったいどこから湧いて出たというのでしょうか。その前の発端が必ずあり、どこかで準備が進められていたはずです。なぜ、そこに触れられていないのでしょう。

 ところで、プール解体工事の入札公示は11月25日でした(前回記事参照)。すると、12月7日の執行会議決定とは、みすず建設(株)が落札したため、最終ゴーサインのハンコを押しただけに過ぎないと考えられます。すると、解体の実施自体はその前から既定路線として決まっていたということになりますが、その前には一方的な「報告」しかありません。

 要するに、プール解体実施は、ごく一部の幹部により勝手かつ事前に密室で決められてしまっており、マトモに議論されることもないまま、一方的な「報告」事実だけが仕立て上げられて決行されたようすがうかがえます。そして、この密室における事前過程について、長野高専は明かそうとしていません。それにしても、半世紀以上にわたり受け継がれてきた巨大施設を潰すに際して、ここまで内部での議論が皆無という事実にも戦慄せざるをえません。


■以上のとおり、学校側は学生・後援会までもをあからさまに挑発しながら、プール解体強行問題についても滅茶苦茶な回答を寄こしてきています。学生生活や国民の財産、そしてドブに捨てられた公金をなんだと思っているのでしょうか。

 本件については、並行して内部文書の開示請求も行っていることから、経緯に関する開示資料を近日中に入手できる見込みです。当会では引き続き、土居体制により行われた暴挙について検証し、関係者の方々の無念と憤りに報いることができるよう活動してまいります。


【市民オンブズマン群馬事務局からの報告】

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【安中市庁舎建替え問題】広報あんなか4月号「市庁舎の整備について検討しています」記事に異議あり!

2021-03-28 23:11:00 | 安中市庁舎建替えに伴う予算過大問題
■築60年以上経過したとして安中市が現在の庁舎の建て替えを計画しています。安中市では、市民懇談会の提言だとして、「耐震性や利便性等の観点から、少なくとも旧庁舎・中庁舎は取り壊すことが相応しい」との提言)を受けて、「現在地」、「旧安中高校跡地」、「その他の場所」の3つの市庁舎の整備候補地を比較検討している、としていますが、初めから旧安中高校跡地に狙いを絞って、手続きを誘導していることは見え見えです。
 この思惑は、市議会における一般質問への答弁や、保守系会派の市議が安高跡地移転に賛意を示していることからもうかがえますが、市の広報紙「広報あんなか」を読むとさらに安中市の思惑を強く感じることができます。
 その典型が、市民に配布され始めた広報あんなか4月1日号にも顕著にみられます。

広報あんなか2021年4月1日号の表紙。

 なお、安中市庁舎建替えに関して当会が市議会議員を対象に実施した最初のアンケートについては次のブログ記事を参照ください。
○2020年10月21日:【安中市庁舎建替え問題】安中市議会議員全員に市庁舎建替えについてアンケート依頼中!10月23日の締切迫る
https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/3223.html
○2020年10月24日:【安中市庁舎建替え問題】安中市議22名全員への市庁舎建替アンケート結果、会派毎の回答率は実質90~95%
https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/3226.html

 また、第2次アンケートについては次のブログ記事もご覧ください。
〇2021年2月10日:【安中市庁舎建替え問題】安中市議20名及び地元選出県議らへの市庁舎建替第2次アンケート実施中!
https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/3276.html
〇2021年㋁25日:【安中市庁舎建替え問題】安中市議20名及び地元選出県議らへの市庁舎建替第2次アンケート結果の公表
https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/3280.html

 なお、当会がこれまでに2回実施した公開質問状(アンケート)の集計結果は次のとおりです。
●第1次アンケート結果 ZIP ⇒ sjno1_.zip
●第2次アンケート結果 ZIP ⇒ sjno2_.zip

■広報あんなか3月1日号にも庁舎の記事が載っていますが、「現在地」と比較して、「旧安中高校跡地」に関する記載で、「費用」について、現在地での建て替えも可能なのに、わざわざ「仮設庁舎の整備費用が不要。引越し費用が少なく」と書き加えています。また、「市民サービス機能」についても、「間仕切りのないオープンフロアが実現する」とか、「行政部門が一つの建物にまとまることで、業務の効率化や市民サービスの向上につながる」などとして、現在地での建て替えでも、レイアウト計画を工夫すれば問題なく可能なことを、ことさらに強調しています。さらに「防災機能」や「建物外部」でも、現在地より面積が増えることだけに注目して、防災スペースや駐車スペースが、現在地では劣っているかのように脚色しています。これは、「市民参加」や「将来性」についても、スペースが広くなり、複合施設としても使えるなどとする漠然としたイメージで、市民に先入観を受け付けようとする魂胆がアリアリとうかがえます。

●広報あんなか3月1日号の庁舎建替え記事 ZIP ⇒ 20210303_l_s.zip

 こうしたフェイク情報、情報操作と思われる記事が、性懲りもなく、広報あんなか4月1日号にも引き継がれています。




 ご覧のように、高額で床面積の大きい他の自治体の例をわざと挙げて、市民を洗脳しようとする意図が強く感じられます。また、安高跡地への立地を誘導する目的で、現在地に建てる場合は、「仮設施設が3億円だ」などと、既存施設を使って建て替えが可能なのに、「1億円以上」などとウソが書かれています。

 その一方で、安高跡地に建てる場合は、「校舎解体費用は県から土地購入した際の費用から減額済み」などと、あたかも、県から校舎解体費用分が減額されていて購入できたから、紅茶解体費用が要らないかのような、詐欺的な文章に仕立て上げています。これを読んだ市民は、間違いなく誤解してしまうことでしょう。

 極めつけなのは、最も理想と思われる現在地の敷地内での建設案のうちの「②現南側駐車場・ロータリー部分に建設」で、「駐車場」として「駐車場が北側と南側に分かれ、通路が狭く、車の行き来は困難・南側にはバス停留所が必要なため、駐車台数は限られる」などとネガティブなコメントが記されています。この対策として、現在保健センターの南側にあるタゴの配偶者の親族が所有する地所を、市に提供してもらえば、直ちに解決するのに、安中市にはタゴやその一族から債権を回収するという意思があるのでしょうか。

■実際には、もしも安中高校跡地に庁舎建替え先が決まった場合、校舎解体費用(あくまで見積ですが、3億円とも言われる)に加えて、アスベスト撤去費用(あくまで見積ですが、1.2億円とも言われる)を引いた価格約2.8億円で県から売りつけられた(もともと安中市民が県に寄贈した土地)わけですから、当然、今後、安中市の予算を使って、校舎解体や、アスベスト撤去、さらに耐震不適合のブロック塀の撤去が行われることになり、それらのコストについても、比較表に明記されなければなりません。

 そもそも、岡田義弘・前市長が、松井田町との合併で、合併特例債を念頭に、美術館や市民ギャラリー構想を思いつき、必要も無いのに、安高跡地を「買う」と県と約束してしまったのが発端です。その後、岡田前市長が関心を他に移したため、10年間も宙ぶらりんになっていたところ、県から「購入すると約束したのだから、いつまで待たせるつもりなのか」と押しまくられ、必要もないのに買わざるを得なくなり、跡地の買い取り理由をでっち上げる用途、市庁舎建替え先としての利用を思いついたのが、背景にあります。

■したがって、安中高校跡地に市庁舎を移設新築するとなると、現校舎等建物の解体費用に加えてアスベスト撤去費用と耐震不適合ブロック塀撤去等が安中市に支出となってのしかかってくるのは明らかであり、なぜ安中市は広報誌にこのことを明記しないのでしょうか。

 なぜなら、初めから安中高校跡地に新庁舎を立てたいからにほかなりません。

 そうであれば、群馬県で更地にしたうえで安中市が買い取るべきであったのに、解体、アスベスト撤去、ブロック塀撤去等費用がどの程度になるのか、十分精査しないまま瑕疵担保責任なしの条件で県から買収したことで、スマイルパークの二の舞になるリスクがあります。

 買取契約書の内容や、県との交渉の経緯は、次のブログ記事を参照ください。
〇2020年10月25日:【安中市庁舎建替え問題】庁舎移転先ありきの安高跡地買取過程から見えてくる市民懇談会の猿芝居(2)
https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/3229.html
〇2020年10月26日:【安中市庁舎建替え問題】庁舎移転先ありきの安高跡地買取過程から見えてくる市民懇談会の猿芝居(3)
https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/3230.html

 ところで、広報あんなか4月号の記事によれば、「今後の方向性を決めるうえで、次の段階として、無作為に抽出された4000人の皆さんを対象にアンケートを実施します」としています。

 今から15年前の2006年(平成18年)3月18日に行われた旧安中市と旧松井田町との対等合併の際にも、旧安中市では、市民に対してアンケートをとったことがありました。ところが、合併反対や慎重論が多かったにも関わらず、合併が強行されてしまいました。

 この市庁舎建替え問題についても、市が「次の段階」として予定している市民アンケートすら、安高跡地での建設案の採用に向けて、意見を誘導するための便法手段として、名目的に実施されるのではないか、と懸念するのは当会だけではないはずです。

■安中市はいつも「カネがない」と市民に吹聴していますが、51億円事件を起こした原因者のタゴに対して、法廷で確定した24億円以上+遅延損害金年6分の債権を行使しようとしません。

 当会の試算ではタゴに対して50億円以上の債権を保有する安中市ですが、タゴからの返済は、一昨年12月から毎月1万円ずつに留まっており、きちんとした返済スケジュールはなく、このままだと遅延損害金を除いても、完済までにあと1万8000年以上を要します。

 そうした自らの怠慢を棚に上げて、安高跡地に移転するためには多額の出費になることが目に見えている校舎撤去費用等について、広報誌でこういう詐欺商法のような悪知恵を働かせた書き方をすれば、一般市民は校舎解体費用は県が出してくれるものがと間違いなく思い込んでしまうでしょう。

 タゴが安中市土地開発公社を舞台に、安中市や群馬銀行を騙して51億円余りの公金を騙し取り横領した事件発覚から間もなく26周年目が巡ってきます。すでに、安中市役所の体質は、当時に戻ったことが、今回の広報誌の記事からうかがえます。

【市民オンブズマン群馬事務局・市政をひらく安中市民の会事務局からの報告】

※参考資料「安中市が昨年2020年10月26日に当会に開示した市庁舎建替えに関する情報」
**********
0.情報開示通知書
  ZIP ⇒ 2020102600jmy.zip
1.旧県立安中高等学校跡地の買取希望について(平成26年11月11日決裁)
  ZIP ⇒ 2020102601h26.11.11.zip
2.旧県立安中高等学校跡地の買取希望(取得スケジュール変更)及び利活用に関わる群馬県教育委員会教育長宛文書の提出について(平成27年11月30日決裁)
  ZIP ⇒ 202010260227.11.30.zip
3.旧県立安中高等学校跡地の所得に係る価格の同意について(令和元年6月14日決裁) 
  ZIP ⇒ 2020102603ir01.6.14.zip
4.旧県立安中高等学校跡地の取得に係る同意書及び県有財産譲渡申請書の提出について(令和元年12月18日決裁)
  ZIP ⇒ or01.12.18.zip
5.旧県立安中高等学校跡地の取得及ぴ令和2年第1回安中市議会定例会への提案について(伺い)( 令和2年1月27日決裁)
  ZIP ⇒ 2020102605nscr02.1.27.zip
6.県立安中高等学校跡地取得に係る経過について
  ZIP ⇒ 2020102606no.zip
7.安中高校跡地取得に係る群馬県との協議について(平成20年9月5日決裁)
  ZIP ⇒ 2020102607c20.9.5.zip
8.安中高校跡地の買取希望について(平成20年11月26日決裁)
  ZIP ⇒ 2020102608h20.11.26.zip
9.安中高校跡地取得に係る群馬県との協議について(平成20年11月28日決裁)
  ZIP ⇒ 2020102609ch20.11.28.zip
10.旧県立安中高等学校跡地取得に係る群馬県との協議について(平成21年12月1日決裁)
  ZIP ⇒ 2020102610ch21.12.1.zip
11.旧県立安中高等学校跡地取得に係る群馬県との協議について(平成22年9月17日決裁)
  ZIP ⇒ 2020102611ch22.9.17.zip
12.旧県立安中高等学校跡地取得に係る群馬県との協議について(平成23年3月31日決裁)
  ZIP ⇒ 2020102612ch23.3.31.zip
13.旧県立安中高等学校跡地取得に係る群馬県との協議について(平成24年10月11日)
  ZIP ⇒ 2020102613ch24.10.11.zip
14.旧県立安中高等学校跡地の買取希望について(平成26年11月11日)
  ZIP ⇒ 2020102614h26.11.11.zip
15.旧県立安中高等学校跡地取得に係る群馬県との協議について(平成25年4月10日)
  ZIP ⇒ 2020102615ch25.4.10.zip
16.旧県立安中高等学校跡地取得に係る群馬県との協議について(平成27年4月28日)
  ZIP ⇒ 2020102616ch27.4.28.zip
17.旧県立安中高等学校跡地取得に係る群馬県との協議について(平成27年10月29日)
  ZIP ⇒ 2020102617ch27.10.29.zip
18.県立安中高等学校跡地の売却手続に関わる県教育委員会からの通知について(平成29年3月31日決裁)
  ZIP ⇒ 2020102618mh29.3.31.zip
19.旧県立安中高等学校跡地取得に係る群馬県との協議について(平成29年8月29日)
  ZIP ⇒ 2020102619ch29.8.29.zip
20.旧県立安中高等学校跡地取得に係る群馬県との協議について(平成29年11月27日)
  ZIP ⇒ 2020102620ch29.11.27.zip
21.旧県立安中高等学校跡地取得に係る群馬県との協議について(平成30年10月3日)
  ZIP ⇒ 2020102621ch30.10.3.zip
22.旧県立安中高等学校跡地取得に係る群馬県との協議について(平成30年11月8日)
  ZIP ⇒ 2020102622ch30.11.8.zip
23.旧県立安中高等学校跡地取得に係る群馬県との協議について(平成30年11月19日)
  ZIP ⇒ 2020102623ch30.11.19.zip
24.旧県立安中高等学校跡地取得に係る群馬県との協議について(平成31年2月14日)
  ZIP ⇒ 2020102624ch31.2.14.zip
25.旧県立安中高等学校跡地取得に係る群馬県との協議について(平成31年3月27日)
  ZIP ⇒ 2020102625ch31.3.27.zip
26.業務報告書(令和元年6月10日)
  ZIP ⇒ 2020102626r01.6.10.zip
27.業務報告書(令和元年9月25日)
  ZIP ⇒ 2020102627r01.9.25.zip
28.業務報告書(令和元年11月7日)
  ZIP ⇒ 2020102628r01.11.7.zip
n style="color:blue">29.業務報告書(令和元年11月26日)
  ZIP ⇒ 2020102629r01.11.26.zip
30.R·C·Cシート(令和元年12月11日報告)
  ZIP ⇒ 2020102630rccvg01.12.11.zip
**********

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台湾産パイナップルが自宅に届いた!

2021-03-27 23:56:00 | 国内外からのトピックス
■ご承知の通り、中国の税関当局は突然2月26日、台湾産パイナップルから「害虫が確認された」として3月1日から輸入を禁止すると発表しました。台湾のパイナップル生産量は年間40万トン前後で、9割が台湾内で消費されていて、残る1割程度の約4万2000トンが輸出されており、その97%が中国本土向けでした。そのため、台湾の陳吉仲農務水産相は2月27日の会見で、「海外のバイヤーから3万トンの輸出が確保できれば、今回の禁輸の影響をカバーできる」と述べ、台湾側は日本への販売促進キャンペーンに期待を示しました。
 このニュースを聞いた群馬県台湾総会では、台北駐日経済文化代表処からの全国の在日台湾人組織の会長宛の購買支援の打診を受け、さっそく会長より、3月4日(木)夜、SNSを通じて県内の会員らに次のメッセージが転送されました。中共が世界にばら撒いた新型コロナウイルス蔓延の影響で一昨年12月以降、台湾を訪れることができない筆者もさっそく2箱発注しました。第2の故郷である台湾の味が懐かしかったためです。


 そして本日昼前に、宅配で2箱が自宅に届きました!県内の他の会員に連絡したところ、また到着していないとのことで、どうやら当会では最初に台湾産パイナップルを賞味できる幸運に恵まれたことになります。




 代表処のSNSを見ると、昨日日本に到着したばかりのコンテナの前で、台北駐日経済文化代表処の謝長廷代表ら関係者が笑顔で台湾パイナップルの日本到着を喜んでいる様子が掲載されていました。



 さっそく、自宅に届いたばかりの箱を開けて、一つを取り出し、タグに書いてあった「台湾パインの切り方」を参考にカットして食べてみました。







 期待を上回る美味しさです。こんなに上質なパインアップルを中国政府は禁輸措置にしたとは、常に旨いものを求める中国人民に対しても背任行為です。

 あとは、親族や知り合いに配り、あっという間に2箱12個の台湾パイナップルがなくなってしましました。あと2箱くらい注文しておけばよかったと思いました。

■今回の中国政府の突然で理不尽な禁輸措置について、中国側は「2020年に台湾から輸入したパイナップルに有害生物が混入していた」と説明しましたが、これに対して台湾政府は「パイナップルの検疫合格率は99.79%であり、本格的な収穫時期を迎えるころに突然、禁輸措置を取るのは不合理だ」として中国を批判しています。


台湾から直送されたパイナップル梱包段ボール箱に張り付けてあった生産者表示票。生産地、収穫日、生産者氏名などが明記してある。

 台湾の蔡英文総統も「中国は豪州産ワインの次に、台湾産パイナップルを標的にした」との声明を発表しました。中国は昨年8月、関係が悪化していたオーストラリア産のワインや牛肉、大麦などの輸入をほぼストップしており、蔡総統は「中国は貿易を政治の道具にしている」と指摘しています。

 蔡総統ら台湾政府の閣僚や地方自治体はパイナップル農家の支援のために、台湾産のパイナップルの美味しさなどを日本語や英語で宣伝するなど、輸入促進キャンペーンを開始し、蘇貞昌行政院長(首相)は「日本向けを(昨年の)約2100トンから5000トンに引き上げを目指す」と表明しました。

 台湾南部・屏東県の潘孟安県長も「2月27日、日本の大手スーパー向けの県産パイナップルの第1陣が出発したが、今年の出荷量は昨年の2倍の600トンに増える可能性がある」との見通しを明らかにしました。

 台湾行政院(内閣)農業委員会の統計によれば、昨年日本に輸出された台湾産パイナップルは2171トンで、県市別では屏東県産が1295トンと全体の約6割を占めており、他の地方自治体も日本向けの輸出キャンペーンを強化するなか、日本からは「日本人は台湾を応援するぞ」などとの声が続々と寄せられました。

■この背景には、折から今年の3月11日は我が国が壊滅的な被害を受けた東日本大震災から10年が経ち、あの当時の記憶が我々に蘇っていたタイミングと、台湾のパイナップル農家の苦境が重なり、今度は我々日本国民として「台湾国民が日本の為に尽力してくれた恩返し」だ、と応援の機運が一気に高まったことが挙げられます。

 台湾からの義援金は、2011年の地震発生直後から2014年12月31日までの統計として、外交部や地方自治体などの政府機関からは7億6975万元(約28億円)、慈善団体や機関団体が集めたものからは54億3145万元(約200億円)、長栄集団会長・張氏や日本台湾交流協会など直接日本に届けた個人や団体からは6億5346万元(約24億円)、合計で68億5466万元(約253億円)に上りました。

 この数字は、政府筋としての台湾の義援金は経済大国のアメリカに次いで第2位と言われており、その金額は1位とも大差がありません。官民ともに台湾の支援と心が日本の今日までの復興に大きく関わったことは明らかです。

■群馬県台湾総会は、毎年県庁で開催している台湾フェアが、中国武漢発の新型コロナのため、昨年中止を余儀なくされたため、代わりに、新型コロナ対策として群馬県にいち早く防護服等を台湾から調達して寄贈するなど、群馬県民と台湾国民の交流の橋渡しに尽力してまいりました。

 この度の、中国政府による台湾への嫌がらせに対して、いち早く支援の手を差し伸べていただいた日本の皆様、そして群馬県民のあたたかいお気持ちを糧に、今後も両国民の友好親善に尽力してまいる所存です。

 こちらのブログ記事もぜひご覧ください。↓↓↓
○2021年03月12日:#台湾パイナップルを食べよう(震災恩返し)
http://blog.livedoor.jp/lytton_cyousadan/archives/34592215.html

【4月18日追記】
**********上毛新聞2021年04月17日06:00
台湾産パイナップル食べて震災支援の恩返し 中国禁輸で全国医療機関連携し購入 伊勢崎の病院が食事に提供

美原記念病院で患者に提供した台湾産パイナップル
 中国政府が3月に輸入を停止し、流通が滞っている台湾産パイナップルを巡り、日本各地の医療機関が積極的な購入を申し合わせて、経済への打撃が懸念される台湾を応援する機運が高まっている。東日本大震災で被災した病院が、台湾の義援金で再建されたことへの感謝の思いを示す。群馬県内では伊勢崎市の美原記念病院が16日、グループの施設と合わせて入院患者らの給食として160人分を提供した。
 中国は検疫で害虫を検出したとして、台湾産パイナップルの輸入を3月1日から停止した。台湾側は政治的な圧力とみて反発している。台湾の昨年のパイナップル生産量は約43万トンで、このうち約4万5000トンが輸出され、95%超が中国向けだった。
 全国の2500を超える病院が加盟している全日本病院協会をはじめ、四つの病院団体でつくる「四病院団体協議会」は3月末、このパイナップルを購入し、病院給食で可能な限り提供しようと申し合わせ、各会員に周知した。東日本大震災で被災した宮城県南三陸町の公立病院は、再建費用の多くに台湾からの義援金が使われた。
 全日本病院協会には美原記念病院を含む県内30施設が加盟。同病院の美原盤院長は協会副会長を務めている。台湾産パイナップルを使うかは各病院の判断だが、同病院の茂木寛事務部長(66)は「大震災の際は応援してもらい、今回は逆の立場。困っているときには協力したい」と説明している。
 台湾産パイナップルは甘くて芯まで食べられるのが特徴。同病院ではデザートとして提供し、食べやすいと好評だったという。
 県内では他に、同協議会の構成団体の一つ、日本精神科病院協会に加盟するサンピエール病院(高崎市)も台湾産パイナップルを使う予定。別の病院でも支援の輪が広がっているとみられる。
 医療機関に限らず日本全国で同様の動きは広がる。現地報道によると、昨年の日本向け輸出量約2100トンの数倍の受注が既に日本からあるという。
**********

【6/4追記】
**********愛媛新聞2012年6月4日10:40
台湾産パイナップルに支援の輪 松山市職員有志が9トン購入

松山市役所前に到着した台湾産パイナップルをトラックの荷台から下ろす市観光・国際交流課職員ら=3日午後5時15分ごろ
 大きな販路を失った台湾産パイナップルを応援しようと、愛媛県松山市職員有志が職員に共同購入を呼び掛けたところ約9トン分の注文があり、3日に現物が到着した。台湾から同市の学校給食へのパイナップル無償提供の話が進んでおり、お礼の意味もあるという。同市は2014年に台北市と友好交流協定を結ぶなど、台湾と関係を深めている。
 19年7月に松山―台北の定期航空便が就航し、同年の松山市観光客推定では国・地域別の外国人宿泊客数は台湾が6万3200人と最も多かった。しかし、新型コロナウイルス感染拡大で航空便は欠航が続いており、台湾の東京パラ柔道代表選手の松山での事前合宿は中止が決まった。
 同課の窪田勝彦国際交流担当課長は「行き来は難しくなっているが、新型コロナ収束後を見据え、さまざまな形で交流を深めたい」と話した。

松山市職員有志が共同購入した台湾産パイナップル=3日夕、市役所

【群馬県台湾総会書記からの報告】

※関連記事
**********Newsweek 2021年3月3日(水)18時39分
台湾産「自由パイナップル」が中国の圧力に勝利、日本も支援
Taiwan and Allies Rally to Defy China's Economic Coercion on Pineapples

中国から突然禁輸を通告されたパイナップルを宣伝する台湾の蔡英文総統(3月3日)  Ben Blanchard-REUTERS
<中長期的には、輸出の中国依存を脱却しなければいつまた突然禁輸措置を突きつけられるかわからない>
 台湾の市民と企業は、収穫の開始直前に中国税関から無期限の禁輸措置を受けた国内のパイナップル生産者を一丸となって支援している。
 地元のバイヤーだけでなく、日本などの近隣諸国が、今年中国市場向けに生産したパイナップル4万トン以上を「ものすごい勢いで」買ってくれた、と台湾の陳吉仲(チェン・ジィゾン)農業委員会(農林水産省)主任委員は、2日に語った。
 3月1日から台湾産パイナップルの輸入を停止するという中国税関総局の通知を台湾政府が受けたのは、禁輸開始3日前の2月26日のことだった。理由は、昨年以来、台湾産農産物からさまざまな有害生物が発見されたからだという。
 台湾行政院農業評議会(COA)は、2020年に中国向けの輸出貨物6200件のうち13件に有害生物がいたという報告を受け、対処していた。そして同評議会は、中国政府が昨年10月に改正輸入規則を導入して以降、有害生物の苦情は受けていない、と述べた。
 台湾の蔡英文(ツァイ・インウェン)総統は、行き場を失ったパイナップルに対処する政権の計画を発表するフェイスブックの投稿で、土壇場で禁輸を通知した中国政府のやり方を「不意打ち」と非難した。蔡政権閣僚をふくむ政府当局者は、与党民主進歩党の支持者が多い南部の農民をターゲットにした中国による政治的な動きとみて、批判している。
★いち早く日本が反応★
 COAのデータによると、台湾から輸出されるパイナップルのほぼすべてが中国向けで、台湾の年間産出量41~43万トンの約10%を占めている。昨年は4万1000トン以上が中国に輸出された。
 台湾政府の計画では、余った5万トンものパイナップルの60%を日本、アメリカ、シンガポールなどに輸出し、残りの40%は国内加工食品メーカーに地元産パイナップルの使用を奨励することで消費するつもりだった。
 しかし、蔡政権が主導し、有名人や大企業が支援を呼びかけを始めると、パイナップルの需要は急増した、と陳主任委員は語った。
 中国政府の通知から約96時間後の2日正午までに、海外市場への5000トンを含む4万1687トンのパイナップルが売れた、と陳は記者らに語った。この数字は昨年の中国への販売量を上回っている。
 世界で最も厳しい食品輸入基準のある日本も、最も速く反応した国のひとつだった。台湾政府のパイナップル推進キャンペーンの初日に、日本からの受注は62%増加した、と陳は言い、今年の対日輸出量は前代未聞の5000トンに達すると予測した。
 台湾政府はまた、国外在住の台湾市民からの需要の増加にも対応しようとしている。そのなかには、今のところ台湾からの生の果物の輸入を許可していない国が含まれている。
 陳は記者会見で、パイナップルの輸入を停止するという中国政府の「一方的な」決定は「国際貿易の規則に矛盾している」と述べた。だが農業委員会は、世界貿易機関(WTO)に対する仲裁の申し立てを検討する前に、中国の関税当局とのさらなるコミュニケーションを試みるだろうと、言った。
★他の農産物の中国への輸出は影響を受けていない。★
 今回は「危機をチャンスに変える」ことに成功したが、そもそも台湾政府は、単一の輸出先に依存しすぎる状態を避けるために積極的に他の市場を開発していたと、陳は言う。
 蔡政権は、16カ国の市場に目を向けている。そのひとつであるアメリカでは、2019年から20年の間に台湾産果物の輸入量が210%増加した。
 2月28日に高雄市を訪問した蔡総統は、農業が盛んな台湾南部のパイナップル生産者の懸念を和らげようとした。「パニックに陥らないでください、政府があなた方を守ります」と、彼女は人々に語りかけた。
 蔡政権は、台湾のパイナップル産業の損失を補填するために、3580万ドルの支援を約束。また、市場でパイナップルがだぶついて値段が下がり、農家が大きな損失を被らないように、現在の市場価格を維持することを約束した。
★自由パイナップルに支援を★
 一方、台湾の外交部(外務省)は、今回の中国によるパイナップル禁輸を、かつてオーストラリアからのワイン輸入を制限した中国政府の反ダンピング(不当販売)措置のようなものとみている。あのときはオーストラリア産ワインに200%の追加関税が上乗せされた。
 台湾政府はオーストラリアの「自由ワイン」を支持しようと呼びかける国々に加わった。今回、台湾の呉●(金偏にリ)●(火言火の下に又)(ジョセフ・ウー)外交部長(外相)は台湾の「自由パイナップル」に同様の支援がほしい、とツイッターに書き込んだ。
 「中国による台湾産パイナップルの輸入禁止措置は、ルールに基づく自由で公正な貿易の前に効力を失った。台湾のパイナップルの品質は最高で、最も厳しい国際認証基準を満たしている。われわれは、中国政府に決定の取り消しを求める!」と、外交部はツイートした。
 経済を利用した抑圧だという台湾の非難に対して、中国の国務院台湾事務弁公室は、パイナップルの禁輸は、中国の独自の農産物を保護するために「必要」だったと発表。台湾側は、中国の信用を落とすためにこの問題を「故意に歪曲」している、と中国の当局者は述べた。
 蔡が総統に就任して以来、政府の経済計画は「新南向政策」に基づいている。その目標は、中国市場への依存を解消し、そのかわりに南アジア、東南アジアのパートナー国と貿易および安全保障を構築し、それをオーストラリア、ニュージーランドまで拡大することだ。
 台湾の行政院財政部(財務省)によると、昨年の台湾からの輸出の40%以上が中国と香港向けで、輸出総額3452億ドルのうち1514億ドルを占めた。
(ジョン・フェン)

**********Huffpost 2021年03月02日 15時48分 JST / 更新 2021年03月03日 14時55分 JST
台湾パイナップル、中国が輸入停止 ⇒ 日本の消費者に期待する声「ぜひ台湾産を」
 台湾産パイナップルの輸出先は、97%が中国大陸だった。テレパシーのような呼びかけも...
中国の税関当局は3月1日から、害虫の検出を理由として台湾産パイナップルの輸入を禁止した。
これに対し台湾側は「非合理的」と反発。これまで輸出先の97%を占めていた中国大陸を補完する買い手として、SNSを通じて日本への購入キャンペーンを強めている。

台湾・民進党のFacebookよりパイナップルの購入を呼びかけるポスター(台湾・民進党のFacebookより)
■日本語のSNS投稿相次ぐ
 台湾行政院・農業委員会などの発表によると、中国の税関当局は3月1日から、害虫が検出されたことを理由に台湾産パイナップルの輸入を停止した。
 一方で台湾側は、2020年に大陸に輸出したパイナップルのうち、品質検査に合格したものは99.79%に上ったと指摘。蔡英文・総統も「オーストラリア産ワインに続き、台湾のパイナップルがターゲットになった」と批判した。
 オーストラリアのワインをめぐっては、モリソン首相が新型コロナウイルスに関する中国への独立調査を求めたことをきっかけに両国の関係が悪化したあと、中国側が高額の関税をかけていた。
 現地メディアによると台湾産パインのうち輸出に回されるのは1割あまり。一方で農業委員会の発表によると、台湾が2020年に輸出したパイナップル、4万5621トンのうち97%を中国大陸が占めていて、台湾は主要な輸出先との取引を停止せざるを得なくなる。
 これを補完するために期待されるのが日本だ。日本への2020年の輸出量は2%に過ぎない(残りの1%は香港)が、台湾側はSNSを通じたキャンペーンを強めている。

 蔡英文・総統はパイナップルケーキ(鳳梨酥)の画像をTwitterに投稿し、「#パイナップルケーキを食べたことありますよね?パイナップルケーキといっても、台湾にはいろいろな種類があります。皆さんが好きなパイナップルケーキを教えてください!」と日本語で呼びかけた。
https://twitter.com/iingwen/status/1365514036872237057?ref_src=twsrc%5Etfw%7Ctwcamp%5Etweetembed%7Ctwterm%5E1365514036872237057%7Ctwgr%5E%7Ctwcon%5Es1_&ref_url=https%3A%2F%2Fwww.huffingtonpost.jp%2Fentry%2Fstory_jp_603dba0bc5b601179ec00fea

 また、台湾北西部に位置する桃園市の鄭文燦(てい・ぶんさん)市長も日本語を使い、Twitterで「台湾の農民が苦労して育てた美味しくジューシーなパイナップルは、台湾のみならず、日本の方にも愛されています。 まだ召し上がったことのない方は、ぜひ台湾産のパイナップルをお試しください」とした。
 このツイートは3万回以上リツイートされ、鄭市長は「皆さんがこんなにも台湾のパイナップルを応援してくれていることに感動しています」と再び投稿した。
https://twitter.com/ChengWenTsan/status/1365310014357864450?ref_src=twsrc%5Etfw%7Ctwcamp%5Etweetembed%7Ctwterm%5E1365310014357864450%7Ctwgr%5E%7Ctwcon%5Es1_&ref_url=https%3A%2F%2Fwww.huffingtonpost.jp%2Fentry%2Fstory_jp_603dba0bc5b601179ec00fea

 また、日本における台湾との窓口機関である「台湾駐日経済文化代表処」も「#吃爆台湾鳳梨challenge(台湾パイナップル爆食チャレンジ)」というハッシュタグとともに「(台湾と日本にいる…関係者各位…聞こえますか…日本全国が…台湾パイナップルを待っています…今こそ…台湾流美味しいパイナップルの食べ方を…ツイートするのです…みんな…台湾パイナップルが店頭に並ぶのを…待っているのです…)」とまるでテレパシーのように呼びかけた。
https://twitter.com/Taiwan_in_Japan/status/1366284346626215936?ref_src=twsrc%5Etfw%7Ctwcamp%5Etweetembed%7Ctwterm%5E1366284346626215936%7Ctwgr%5E%7Ctwcon%5Es1_&ref_url=https%3A%2F%2Fwww.huffingtonpost.jp%2Fentry%2Fstory_jp_603dba0bc5b601179ec00fea
【高橋史弥(Fumiya Takahashi)】
**********

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【高専過剰不開示体質是正訴訟・第一次訴訟控訴審】機構側控訴答弁書と3/17初回弁論(審理継続)の様子

2021-03-24 22:59:00 | 群馬高専アカハラ問題

3月17日午後2時半から高専機構を相手取った第一次訴訟控訴審が開かれた東京高裁のある裁判所合同ビル。同日午後2時撮影。

■国立高専校長の選考実態、群馬高専J科アカハラ情報不開示取消訴訟の弁護士費用、長野高専連続自殺の発生年月日などなど、高専組織が執拗に黒塗りにこだわる「都合の悪い」情報は枚挙にいとまがありません。そうした悪質な不開示処分の取消しを求め高専機構を提訴した第一次訴訟では、卑怯な法廷戦術の嵐やコロナ禍での長期中断を乗り越えてようやく結審し、2020年11月24日に森英明裁判長らにより判決が下されました。

 しかしそれは、ありとあらゆる理屈を総動員して被告高専機構の杜撰極まる言い分を片端から素通しし、ごくわずかの勝訴部分を除いて当会の全面敗訴というあからさまな不当判決でした。「こんな滅茶苦茶な判決を許してはいけない」という憤りとエールの声が次々に高専関係者らから寄せられたこともあり、当会では2020年12月8日に第一次訴訟の不当判決に抗うべく控訴を行い、追って本年(2021年)1月27日に控訴理由書を提出しました。そして、高裁での口頭弁論期日が3月17日に設定されました。

○2020年11月25日:【高専過剰不開示体質是正訴訟・報告】第一次訴訟98%敗訴・第二次訴訟全面敗訴のダブル不当判決に仰天!
https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/3244.html
○2020年12月10日:【高専過剰不開示体質是正訴訟・報告】隠蔽体質追認のダブル不当判決に抗うべく東京高裁に両件控訴!
https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/3252.html
○2021年1月31日:【高専過剰不開示体質是正訴訟】第一次訴訟控訴審の弁論日が3/17に決定&控訴人当会が控訴理由書提出
https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/3274.html

■そのまま高専機構側からの控訴答弁書を待っていると、口頭弁論期日の約1週間前となる3月9日の午後4時過ぎ、銀座の田中・木村法律事務所による同日付けの控訴答弁書が当会事務局にFAXで送られてきました。

 第一次訴訟控訴審の被控訴人となった高専機構による控訴答弁書の内容は以下のとおりです。

●第一次訴訟控訴審・控訴答弁書 ZIP ⇒ 20210309til.zip

*****送付書兼受領書*****
2021年3月9日 16時08分 田中・木村法律事務所  No.7886 P.1

              準備書面等の送付書

                           令和3年3月9日

 下記のとおり書類をご送付いたします。
 受領書欄に記名・押印のうえ,この書面を当職及び裁判所宛FAX等でお送り下さい。

●送付先:
 東京高等裁判所第17民事部 ニ係  御中
 FAX 03-3592-0942
 控訴人  市民オンブズマン群馬  御中
 FAX 027-224-6624

●発信者:
 〒104-0061 東京都中央区銀座5丁目7番1号 江島屋ビル7階
     被控訴人訴訟代理人弁護士  木  村  美  隆
 TEL:03-3573-7041 FAX:03-3572-4559

●事件番号:令和2年(行コ)第251号
●当事者名:
 控訴人  市民オンブズマン群馬
 被控訴人 独立行政法人 国立高等専門学校機構
●次回期日:令和3年3月17日(水)午後2時30分

●文書名:答弁書

●送信枚数:9枚
●相手方への送信の有無:有

=====受領書=====
                  受 領 書
東京高等裁判所第17民事部 ニ係  御中 (FAX:03-3592-0942)
被控訴人代理人 弁護士 木村美隆 宛  (FAX:03-3572-4559)

 上記書類を受領しました。
  令和 年 月 日
     控訴人

 通信欄:本FAXを正式書面として受領ください。
**********

*****答弁書*****
令和2年(行コ)第251号
 控訴人  市民オンブズマン群馬
 被控訴人 独立行政法人国立高等専門学校機構

              答 弁 書

                            令和3年3月9日

東京高等裁判所第17民事部ニ係  御中

              (送達場所)
                〒104―0061
                 東京都中央区銀座5丁目7番1号 江島屋ビル7階
                  田中・木村法律事務所
                   電話 03(3573)7041番
                   FAX 03(3572)4559番

               被控訴人訴訟代理人弁護士  木 村 美 隆
                    同        藍 澤 幸 弘


                記

            控訴の趣旨に対する答弁

1 本件控訴をいずれも棄却する。
2 控訴費用は,控訴人の負担とする。
 との判決を求める。


            控訴の理由に対する反論

1 原判決別紙1項について
(1)控訴人は,原判決の別紙1項(控訴状別紙1項)について,甲第47号証の再開示で開示された一覧表の「学校名」等の項目名により,この一覧表が高専や大学を含む教育機関からの推薦(控訴人の言う細目番号②)に関するものであることや,その他研究機関の推薦(同じく細目番号①)に関するものであることが極めて強く推知できる,とする。そして,それぞれの一覧表に付されたNoから推薦機関ごとの推薦者数が推測され,これと高専校長に就任した者の前職(甲48)を比較すれば,甲第47号証のうち区分に係る推薦機関の種別が推知可能であるため,各文書が取り扱う大まかな推薦機関の種別は,人事管理に係る事務に関し,公正かつ円滑な人車の確保に支障を及ぼすおそれ(独立行政法人等の保有する情報の公開に関する法律(以下「法」という)5条4項ヘ)のある情報にあたらない,と主張する。
   また,甲第47号証の一覧表のうち,実際に校長に就任した者に係る記載情報について,もともと公開されている情報を開示しても,人事管理に支障が生じるおそれはなく,他の候補者に係る情報が明らかとなるわけではないとして,法5条4号ヘに該当するとの原判決の判断は誤りであると主張する。

(2)控訴人の言う,「推薦機関の種別」は,甲第47号証の一覧表のうち,上部の「(年度)付国立高等専門学校長推薦者一覧」の標題に続く不開示部分を指すと解する。
   高専の校長の前職は高等専門学校や国立大学の教授,文部科学省や国立の研究所といったように複数あり(甲48),これらの出身者が甲第47号証の一覧表のどこに掲載されているかは明らかになっていない。控訴人は,甲47号証の項目にある「学校名」,「推薦機関名」の表示と実際に校長に就任した者の前職から,上記の「推薦機関の種別」を強く推認することができるとする。しかし,たとえば甲第48号証記載の各人が,甲第47号証の一覧表のどのNoの箇所に記載されているかはもちろん,控訴人の言う細目No①と②のどちらの表に記載されているかも,具体的に特定することはできないのであり,同号証の現在の開示内容が,人事管理に支障を及ぼすおそれがないものとなっているとは言えない。
   かえって, 上記「推薦機関の種別」を開示すると,控訴人が控訴理由書で指摘したように,候補者の人数(甲第47号証のNo)と実際に校長に就任した者の人数との比較により,ある程度の精度で推薦機関ごとの校長採用の割合を推測することが可能となる。これにより,推薦した者が校長に登用される可能性が低いことを危惧して,推薦機関が校長の候補者の推薦を躊躇するなど,多数の有為な人材から校長を選任するという被控訴人の円滑な人事の確保に支障を来すおそれがあることは,原判決 (19頁)の指摘するとおりである。
   したがって,上記「推薦機関の種別」を開示しても,被控訴人の円滑な人事の確保に支障を来すおそれはなく,5条4号ヘの不開示事由に当たらないとの控訴人の主張は,失当である。

(3)また,甲第48号証のうち,実際に校長に就任した者の情報を開示した場合には,甲第48号証に記載された情報が,単なる項目名に止まらず具体的にどの程度のものなのかが明らかとなり,被控訴人における校長の選考においてどのような項目が重視されるかを推測することが可能となって,校長の選考に関する自由な議論が阻害されるおそれがある。さらに,校長に就任した者の項目を開示することにより,甲第48号証の一覧表がどのような分類(控訴人のいう,大まかな「推薦機関の種別」)によるものか,より具体的に推測することが可能となる。この「推薦機関の種別」が明らかになることにより,被控訴人の円滑な人事の確保に支障を来すおそれが生じることは,前記(2)と同様である。
   このように,甲第47号証の一覧表のうち,校長に就任した者についてのみ各項目の記載事項を開示したとしても,被控訴人の円滑な人事の確保に支障を来すおそれがあるのであり,校長に就任した者の各記載事項は法5条4号ヘに該当しないとの控訴人の主張もまた,失当である。


2 原判決別紙2項について
(1)控訴人は,原判決別紙2項の不開示部分について,該当する辞職顔が「西尾典眞」元校長のものと特定されているにもかかわらず,辞職理由が法5条1号の「個人職別情報」に該当すると判断した原判決を論難する。

(2)しかし,控訴人が指摘する原判決の「個人識別情報」(原判決21頁,2項(1)下から2行目)との記載は,不開示部分の記載から記載対象の個人を特定できることのみを意味しているわけではなく,当該情報の関示が特定人に関する情報を開示することになる,ということを当然の前提としている。
   辞職願の作成者の氏名と,記載された辞職理由はそれぞれ別個の個人識別情報であり,作成者の氏名が明らかになっているからといって,別の個人識別情報である辞職理由が開示されなければならないわけではないことは,自明である。
   原判決が,辞職理由について,個人に関する情報であって個人を識別できる情報(法5条1号)に該当するとし,辞職は単に職を辞する行為にすぎず職務の遂行(法5条1号ただし書ハ)にあたらないと判断したことは,極めて当然である。

(3)また控訴人は,被控訴人が甲第9号証により西尾氏の退職理由は公開されている旨指摘するが,同号証は控訴人が群馬工業高等専門学校を訪問した際の面談記録であり,このやりとりをもって被控訴人が西尾氏の辞職理由を公開したことにはならない。さらに,原判決(21頁)が指摘するように不開示部分は20字強の記載があり,甲第4号証の不開示部分の記載が「交流元への復帰」(甲9,10頁)といったものに止まらないことは,その体裁上明らかである。このことからしても,甲第9号証の記載をもって,西尾氏の退職届けの記載が公開されているということはできない。
   原判決別紙2項の開示請求に関する控訴人の主張に理由がないことは,明らかである。


3 原判決別紙3項について
(1)控訴人は,原判決別紙3項の不開示部分について,氏名の部分を除いた所属や職名のみを開示することで,内部の者に個人が特定できるとしても,内部の者にとって人事異動は既知の情報であり,職名等のみでは外部の者は個人を特定することはできないため,所属や職名は不開示情報には該当しない,と主張する。
   また,技術補佐員については,採用,昇進,異動等の情報が群馬高専のHPで事実上公表されており,群馬高専において,技術補佐員を含む技術職員の所属は群馬高専の教育研究支援センターに一元化され,同センターの所属が採用や退職と直結しているとして,技術補佐員の人事に関する情報は法5条1号ただし書イに該当する,と主張する。

(2)まず,甲第5号証のうち,氏名を除く所属や職名等(原判決別紙3項(1)の項目)は群馬高専の補助職員に関する記載であり,補助職員は群馬高専の各学科に1名ないし若干名しかいないため,退職や異動等に関する所属や職名を明らかにすることにより,群馬高専内や群馬高専と関係のある者について,当該記載の対象となる個人を特定することが容易に可能となる。
   控訴人は,職名等のみでは外部の者は個人を特定することができないと指摘するが,控訴人のいう内部の者,外部の者の区別は不明確である。群馬高専の職員会議等において異動,退職を告知された者や,群馬高専の学生を内部の者と解するとしても,それ以外に群馬高専の取引関係者や補助職員の知人等不特定多数の者が,退職や異動等に関する欄に記載された所属や職名の記載のみによって,記載対象である個人を特定することが可能である。
   このように,控訴人の言う(と解される)外部の者であっても,不特定多数が個人を識別することが可能となる以上,氏名を除く所属や職名のみの記載も個人識別情報に該当することは明らかである。原判決(22頁)も,「職名」に異動等の時期を併せることで群馬高専と関係のある者において当該情報に係る個人を特定することが可能になると考えられるから,「職名」は法5条1号本文の個人識別情報に該当すると判断しているが,至極当然である。
   なお控訴人は,個人識別情報該当性を判断するにあたり,照合することができる「他の情報」(法5条1号本文)について,一般に入手可能なものに限定される旨主張する。しかし,情報公開や法人文書開示請求を行う請求者が「何人も」として限定されていないことから,上記「他の情報」は,一般に容易に入手可能なものだけでなく,当該個人の近親者や地域住民が保有するか入手可能であると通常考えられる情報も含むと解されており(総務省HP,「総務省情報公開審査基準」),この点に関する控訴人の指摘にも,理由がない。

(3)また,群馬高専に所属する技術補佐員の多く(すべてではない)が,同高専の教育研究支援センターに所属することになっていることは控訴人の指摘するとおりであるが,同センターの所属が技術補佐員の採用や退職と直結しているとの控訴人の指摘が,法5条1号ただし書イに該当するという主張とどう関係するのか不明である。しかし,同センターにおいて技術補佐員の氏名や異動情報をホームページ等で公開している事実はなく,技術補佐員の異動が法令の規定ないし慣行として公にされた情報であるとの控訴人の指摘は当たらない。
   さらに控訴人は,技術補佐員の採用,昇進異動等の情報が群馬高専のHPで事実上公表されていると主張する。これは,年度に応じて群馬高専のHPのうち教育研究支援センターの年報の記事に一部の技術補佐員の氏名が記載されているものがあることを指していると解される(上記教育研究支援センターの所属に関する主張も同様と解される)が,これにより判明するのは当該年度に氏名が記載された技術補佐員(全員ではない)が群馬高専に所属しているということのみであり,これをもって技術補佐員の採用や異動が公表されている,ないし公表される慣行があるなどと言えないことは明らかである。原判決(23から24頁)も,職員が当該部署に在籍するようになったり,在籍しなくなったりしたことが確認できるのみであり,異動,退職の具体的な内容が明らかになるわけではないから,群馬高専において(技術補佐員の)異動,退職等の人事情報を公表する慣行が存在するとは言えない,と判示しており,極めて当然である。
   以上のとおり,原判決別紙3項に関する控訴人の主張にもまた,何ら理由はない。


4 原判決別紙4項について
(1)控訴人は,原判決別紙4項の不開示部分について,控訴人が開示を求めている弁護士費用(甲第6号証のうち「合計金額」,「支払金額」)は,開示請求(甲1)の時点で判決が確定している事件に関するものであり,他の弁護士等が容喙して競争上の利益を害する余地はなく,また原告が開示を求めている甲第6号証のうち,「合計金額」,「支払金額」を開示しても弁護士費用の内訳は明らかにならないとして,少なくともこれら「合計金額」,「支払金額」は開示すべきであると主張する。

(2)しかし,支払決議書(甲6)に記載された弁護士費用が,既に判決が確定した事件に関するものであるとしても,本件がまさにそうであるように,被控訴人が支払決議書の対象となる事件と同種の事件について訴訟代理人を選任して対応を依頼することは充分に見込まれるのであるから,支払決議書の対象事件が終了していることと,弁護土費用の開示が当該弁護士の競争上の利益を害するかどうかはまったく別の問題である。
   また,支払決議書(甲6)には,被控訴人が支払った弁護士費用や訴訟に関連する実費,弁護士費用に関する源泉徴収の項目しか記載されておらず,支払決議書のうち,「合計金額」,「支払金額」のみを明らかにした場合でも,被控訴人が訴訟代理人に支払った弁護士費用の額を容易に推測することが可能となる。
   原判決(26頁)が,弁護士費用にかかる情報は,事業を営む個人である木村弁護士の弁護士事業に関する情報に該当し,「合計金額」,「支払金額」もこれを開示することにより弁護士費用の額が明らかになるとして,法5条2号イの不開示情報に該当すると判断したことは極めて当然であり,この点に関する控訴人の主張にも,何ら理由がない。


5 原判決別紙5項について
(1)控訴人は,原判決別紙5項の不開示部分について,開示請求の対象文書の作成日をどのように区切るかは,開示請求者が任意に設定できるのであり,複数回開示請求を繰り返すことにより開示請求対象文書の作成時期をある程度特定することができる以上,事件・事故等発生状況報告書等(甲7,以下「本件報告書」という)のうち年月日の情報については公衆が知り得る状態に置かれているものとして,法5条1号ただし書イに該当すると主張する。

(2)しかし,控訴人の主張する方法でおおよその作成時期をある程度特定できるとしても,それは控訴人による文書開示請求の内容と付き合わせた結果にすぎない。
   法5条1号ただし書イの「法令の規定により又は慣行として公にされ,又は公にすることが予定されている情報」とは,情報の保有者である独立行政法人が法令の規定等により公にし,または公にすることを予定している情報を指すことは自明であるところ,被控訴人は,本件報告書のうち日時に関する記載を不関示としており,被控訴人が本件報告書の日時を公にした事実はない。控訴人の開示請求書と合わせて本件報告書に記載されたおおよその日時を特定できたとしても,これをもって当該日時が公にされ,公にすることが予定された情報と言えないことは明らかである。
   原判決が,控訴人の指摘する開示諸求の方法により本件報告書の年月日等に係る情報を推知することができる場合があることをもって,当該情報が法5条1号ただし書イに該当するとはいえないと判断したことは,極めて当然である。


6 結語
以上のとおり,控訴人の控訴には何ら理由がないことは明らかであり,本件控訴はすみやかに棄却されるべきである。

以上
**********

■以上のとおり、高専機構は、ありとあらゆる理屈を総動員して情報隠蔽に太鼓判を押してくれた地裁判決を何が何でも死守しようと、詭弁強弁のオンパレードを並べ立ててきました。とはいえ長々と並べ立てたその内実は相変わらず、機構の業務に支障をきたす・自分たちの利益を害する・個人識別情報であると言い張っているだけです。

 気になったのは、控訴答弁書に関する動き方が、並行して同じく控訴している第二次訴訟控訴審と明らかに違っていることです。

 第二次訴訟控訴審において高専機構側は、口頭弁論期日に2週間も先立ち、控訴答弁書のクリーンコピーを郵送で提出してきました。しかしその内容はというと、実質2ページ程度の分量で、主要な論点や問題点をいくつも丸々無視したお粗末な代物でした。

○2021年3月23日:【高専過剰不開示体質是正訴訟・第二次訴訟控訴審】機構側控訴答弁書と 3/9高裁弁論(即日結審)の一部始終
https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/3287.html

 ところがこの第一次訴訟控訴審での控訴答弁書は、口頭弁論期日1週間前の夕方になって、FAXによる駆け込み提出がされてきました。しかも、追ってクリーンコピーを郵送するというわけではなく、「本FAXを正式書面として受領ください」という間に合わせぶりです。

 そして内容はというと、控訴人当会からの都合の悪い指摘や主張のいくつかは例の通りしれっとスルーされているものの、ある程度正面から「反論」に努めた様子がうかがえ、その労力が実質8ページ分という分量に表れています。また、「準備書面等の送付書」下部にある「受領書」の記載をよく見ると、第二次訴訟控訴審の控訴答弁書では「被控訴人訴訟代理人」と(正確に)記載しているにも関わらず、今回第一次訴訟のそれでは「被控訴人代理人」となっており、内容とは関係のない送り状まで余さず目を通す余裕がなかった様子がうかがえます。すると、このFAXによる駆け込み提出は、意図的な調整によるものではなく、本当に直前まで反論作成に手を取られたためという可能性も浮上してきます。

■つまり、控訴答弁書について、第二次訴訟控訴審では「杜撰でもいいので早く提出する」方針で来ていたところ、第一次訴訟控訴審では「駆け込み提出になっても入念に反論する」方針で来ていることがわかります。この明らかな方針の違いは、いったい何を意味しているのでしょう。

 第二次訴訟控訴審では、稀代のトンデモ判決を問答無用で出した東京地裁の清水知恵子裁判長から、これまた「前科」が多い上に開廷前から機構優遇姿勢が見え隠れする東京高裁の白石史子裁判長へと審理が引き継がれています。すると高専機構としては、当事者双方が何を言っても言わなくても高専機構勝訴ありきで処理してくれると確信して、どう勝たせるかの方針を白石裁判長がさっさと立てられるようにと、内容はそっちのけで早期提出に踏み切ったのかもしれません。

 一方、この第一次訴訟控訴審では、打って変わって反論の分量にリソースが割かれています。すなわち、高専機構と田中・木村法律事務所として、あまり手を抜けない状況にあることがうかがえます。となると第一次訴訟控訴審については、高裁での担当裁判長・裁判官らが高専機構側にとって「コントロール外」であり、果たしてどんな判断を下してくるのか見通せない状況にある可能性が指摘されます。

 すると、第一次訴訟控訴審を担当する矢尾渉裁判長らがどのような訴訟指揮と判断をするのか、注目されました。


■3月17日当日、当会出廷者は午前中に前橋地裁で10時10分と同20分の2件連続で住民訴訟の口頭弁論を終えた後、11時35分の前橋発両毛線高崎行きに乗車し、11時50分に高崎駅に着きました。新幹線で早く行っても時間が余ってしまい、かといって東京で時間を潰す用事も特に思い当たらなかったので、鈍行でゆったり向かうのも一興と考え、ちょうど発車直前の11時52分発上野東京ラインに乗り込みました。そして、13時46分に東京駅に着きました。そこから丸の内線に乗り換え、14時ごろ地下鉄霞ヶ関駅に着きました。地上に出ると、9日の大音響演説の時とは打って変わって、裁判所前の歩道は静かそのものでした。

 さっそく裁判所庁舎に入り、東京高裁8階の812号法廷の開廷表を確かめました。以下のとおり、間違いなく本日開催されることを確認しました。

*****東京高裁812号法廷開廷表(3月17日)*****
令和3年3月17日 水曜日
●開始/終了/予定:13:30/弁論(判決言渡)
○事件番号/事件名:令和2年(ネ)第2418号/損害賠償請求控訴事件
○当事者:仙波仙太郎/武田裕二
○代理人:-

●開始/終了/予定:13:30/弁論(判決言渡)
○事件番号/事件名:令和2年(ネ)第2490号/詐欺、ストーカーによって損害賠償請求控訴事件
○当事者:武田香/小林直哉
○代理人:-

●開始/終了/予定:14:30/第1回弁論
○事件番号/事件名:令和2年(行コ)第251号/法人文書不開示処分取消請求控訴事件
○当事者:市民オンブズマン群馬/独立行政法人国立高等専門学校機構
○代理人:―


●開始/終了/予定:15:00/第1回弁論
○事件番号/事件名:令和2年(ネ)第3361号/土地明渡請求控訴事件
○当事者:株式会社マックアース/畔上平和
○代理人:―

●開始/終了/予定:15:30/第1回弁論
○事件番号/事件名:令和2年(ネ)第2545号/労働契約上の地位確認等請求控訴事件
○当事者:日高正人/パシフィックコンサルタンツ株式会社
○代理人:―

■東京高等裁判所第17民事部
    裁判長 矢尾渉
    裁判官 橋本英史
    裁判官 三浦隆志
    裁判官 今井和佳子
    裁判官 田中一隆
    書記官 坪田朋子
**********

 まだ20分余り時間があるので、1階のロビーの隅にある休憩スベースで時間調整をしました。つい時間を忘れて過ごしていた所、開廷5分前になっていたので、急ぎ8階に向かいました。

■812号法廷に入ると、既に被控訴人訴訟代理人の藍澤弁護士が法廷内の被控訴人席に座っているのが見えました。筆者も出頭カードにサインして、法廷に入りました。傍聴席には、中ほどに高専機構本部からの職員とみられる男が一人、メモ帳を片手に、待機していました。眼鏡をかけておらず、つい8日前の3月9日に行われた第二次訴訟控訴審口頭弁論に来ていた職員とは別人のようでした。

 第一次訴訟控訴審の第1回弁論は、午後2時半から開廷しました。

 冒頭、書記官が「令和2年(行コ)第251号。控訴人、市民オンブズマン群馬。被控訴人、独立行政法人国立高等専門学校機構」と事件番号と当事者を告げました。以下、控訴人=当会出廷者、被控訴人=藍澤弁護士です。

 裁判長が「では弁論を行います。控訴人は控訴状よろしいですね?」とさっそく訊いてきたので、控訴人当会は「はい、陳述します」と答えました。すると裁判長は、「控訴の趣旨について、2(訴訟費用)は分かるが、1について確認したい。自分の理解では、今回の控訴の趣旨1項別紙に示す部分の不開示取消請求というのは、要するに原判決が取り消さなかった部分……原判決が取消請求を棄却した部分全部を取り消す、という把握の仕方なんですが……」というので、控訴人として「その通りです」と答えました。

 裁判長が再度「そうですかね」と確認したので、控訴人は「その通りです」と重ねて答えると、裁判長は「はい、はい」と苦い微笑みを浮かべながら返しました。

 裁判長は「一部を取り消したことが前提の上で控訴状の陳述をする、ということですね?」と言うので、「はい。一部はね。『ごく』一部は認容されていますが」と、控訴人の主張の殆どが認められなかった一審判決を思い出しながら言いました。

■続いて裁判長は「それで、被控訴人は答弁書を陳述でよろしいですね?」と被控訴人の藍澤弁護士に訊くと、藍澤弁護士は「はい」と答えました。

 裁判長は「双方、原判決記載の通り、現審の口頭弁論の結果を陳述」と決まり文句を口にしながら、続いて「控訴人の方から控訴理由書」と言ったので、控訴人として「はい、陳述します」と答えました。さらに裁判長は書証について「甲の47から50をいずれも写しですね?」と確認を求めてきたので、控訴人は「はい、写しで提出します」と言いました。原本はきちんと保管しておくべきなのですが、膨大な書証を保管する場所の確保が大変なので、よほど重要書類でない限り、写しでパソコンに保存しているのが当会の現状です。

 裁判長は「あと当事者の方から何かございますか?」と訊くので、控訴人も被控訴人も「特にありません」と答えました。ここで裁判長が終結宣言をするかと思いました。

■すると裁判長は続けて「念のため確認したい点が1点あります」として、控訴理由書の2ページ目(2)中、高専校長候補者の推薦機関などの種別が書いてある(と思われる)箇所の不開示にかかる控訴人の主張について、「被控訴人に確認を求めたい」と問いかけました。具体的には、2ページ目の第2段落と第3段落の記載についてのようです。

 裁判長が指摘したのは、「『第3段落の中の細目番号②は高専や大学を含む教育機関からの推薦者ないし出身者を、細目番号①はその他の研究機関や官公庁からの推薦者ないし出身者を、それぞれまとめたものであることが極めて強く推知できる』との控訴人の意見ないし評価という部分について、被控訴人の答弁書の中では直接の認否が、あるいはこれに反論した記載の有無が、ハッキリしない」ということでした。

 そして裁判長は、「この点につき、もし答弁書の中で言及しているつもりでも、できれば個別に認否ないし反論という形で書いていただけると、裁判所としては理解しやすくて助かる。これについて、被控訴人としての見解を聞かせてほしい」と、被控訴人に尋ねました。

 それに対して被控訴人は「細目番号に関する当方の理解としては、甲47号証の一覧表のうちの、例えば2枚目のもので言えば、『推薦機関』という記載になっていて、3枚目は『学校名』というふうに書いてあり、こうした項目の表記の違いによって、細目番号①②と分けている、というように理解している」と答えました。

 裁判長は「控訴人の主張をそう理解しているということですかね?」というと、被控訴人は「はい」と答えました。被控訴人は続けて、「内容について、控訴人は推知できると指摘するが、そうした推知はできないだろうというのが被控訴人としての反論。答弁書で記載した趣旨のとおりであり、それ以上の細部については、特に補充の要がないと思う」と答えました。それを聞いた裁判長は、「推知できるという主張につき、争うということか?」と問うと、被控訴人は「はい」と答えました。

■それを聞いてしばし黙り込む裁判長を見て、右陪席裁判官が「よろしいですか?」と、裁判長に申し出ました。裁判長のOKを得た右陪席裁判官は、「さきほど裁判長が指摘した控訴理由書の2ページ目の第2、第3段落について細かく確認したい。年度で言うとH23/4付~H29/4付までと、次の第4段落で、H30/4付とH31/4付でそれぞれ分けて開示された文書の内容について、控訴人は番号を具体的に記載したうえで、それぞれ違う主張をしている」と、控訴人側の主張の論理構成を細かく確認しました。

 続けて右陪席裁判官は、「それに対して答弁書は、この第2、第3段落と第4段落における年度別の個別具体主張に対して、特に区別せず包括的に色々と混合して反論している。だから被控訴人がどういう理由で、どの部分を、どのように争うのか、というのが裁判所にとって分かりにくい。弁論の全趣旨を解釈すると、第2、第3段落、とくに第3段落については、特に争わないというような読み取り方もできる。答弁書の読み取り方によってはそういう解釈も可能だということを踏まえて念のため確認しておきたい。よって、できればそのあたりを正確に裁判所の方で把握できるように、裁判長の指摘した通り、第2、第3段落、とりわけ第3段落について、個別的な反論を書面でいただけた方が、受訴裁判所として正確な把握ができると考えている。自分としては、そのことにより適正な判断ができると思う。今日は第1回目の期日だから、被控訴人にあらためてこの点を検討してもらい、書面化していただいても結構。この点よく確認していただいて、個別説明の必要がないという見解であればもう弁論の終結をしてもよいが、またあらためてその箇所の答弁をできるのであれば、それを願いたい。そこを明確にしてほしいと思っている」と、言葉を変えながら同じ趣旨の発言を繰り返しつつ、詳しく説明しました。

 それを聞いた被控訴人は「第2段落と、第3段落については、今申し上げた通り。第4段落のH30年4月付け、H31年4月向けの部分について、個別に検討するとして、細目番号1で6名、細目番号2で云々という記載があるが、これ(細目番号)は甲47号証のこのH30年以降の候補者一覧のどこをさしているのか。これは控訴人に訊いているが」と、突然、控訴人に話を振ってきました。どうやら控訴理由書の中身をよく精査し理解しないままで、裁判官から何を質問されているのか分かっていない様子です。

■それを見かねてか、右陪席裁判官が「控訴理由の2枚目の第4段落ですね?」と念押しすると、被控訴人は「今、裁判長から指摘いただいた2ページ目、第4段落はその前と記載内容が異なっていて、甲48号証を引用しつつ各人数を記載されているが、甲47号証の一覧表でいうとどれと対応しているのか分からないのですが」と困惑したようすで返事をしました。

 右陪席裁判官は「こちら側が今設明している点に関して、確認したいということですね?」と再度問うと、被控訴人は「そうです。第2段落と第3段落については、H29年までの一覧表は確かに項目の中身や記載の仕方に差が付いているので、そこは細目番号①と②という区別の仕方でわかります。さっき申し上げたとおり、そういう推知はできないだろうというのが被控訴人の反論です。それで、今指摘いただいた第4段落のH30年4月付け、H31年4月付けの部分については、この記載の中身が甲47号証の平成30年4月付け高専校長候補者一覧表のどこの部分を指しているのか分からない」と、相変わらず「細目番号」の意味が把握できていない様子です。

 右陪席裁判官は「『平成31年4月付け』とあるこの表示が分かりますか」と言い、一覧表の右上に小さく表示された文字がよく判るように、当該ページを抜いて、よく見るように被控訴人に促しました。

 右陪席裁判官はさらに具体的に「平成30年4月付の一覧表の右上に資料6-1とありますよね?」と確認し、被控訴人が「はい」と言ったので、「これが控訴理由書の第4段落で言うところの番号です。それで、次のページの右上にもやはり資料6-2とありますよね?」と言うと、被控訴人はまだわかっていない様子です。

 「右上まで見ないと、ズレ方によって見難いんですよ」と裁判官に言われて、ようやく被控訴人は、何を言われているのか悟ったようです。

 右陪席裁判官は「資料6-1と資料6-2が第4段落で言うところの細目番号。その次の、裏面に『No.1』としか書いてないのが細目番号無しの最初の1点。次のページが細目番号無しの資料の2点目。それで次のページの裏、ナンバーが『1』しかないんですが、これが番号のない資料の3点目です」と、控訴人に代わって丁寧に説明しました。控訴人は、高専機構自身が資料に割り振っている番号を便宜上そのまま使って区別しているだけなのに、藍澤弁護士は、雇い主の高専機構が資料に番号を振っているという目の前の事実をずっと認識していなかったのです。

 被控訴人がようやく「はい」と言うのを聞いて、裁判官は「そういうことです」と安堵した様子でした。

■しかし、被控訴人がまだよく訳の分からないことを言い続けるのを見て心配になったのか、さらに右陪席裁判官が口を開き、「H23からH29までの、細目番号①②としかないものについてはこういうふうに推知をしますと。一方で、H30、H31については資料が細かいときもあるので、校長の実際の就任状況と併せてこういう推知をします、H31についても同じように推知ができますと。控訴人が別個の推知の仕方を用いているのに、被控訴人の答弁書では、その最初の方についても、『実際に校長に就任した者との対比によれば』という言い方をして、ゴチャゴチャに答弁をしている」と、被控訴人に言い聞かせるようにして懇切丁寧に指摘しました。

 「はい……はい」と返すだけの被控訴人について、まだ完全に分かっていないのではないかと懸念したのか、右陪席裁判官は被控訴人に「先生。その書証の綴じ代の上の方が見えなかったのかもしれませんね。だから、分かりにくくて、ごっちゃにしてしまったのかもしれませんね」とフォローしました。それにしても、ここまでプロの弁護士に対して裁判官が懇切丁寧に説明しなければならないとは……すったもんだの光景を目の当たりにした当会出廷者の率直な感想です。

 被控訴人はようやく「ご説明の趣旨は分かりました。ただし、反論の骨子は、今申し上げた通り。どういうふうに一覧表にまとめているかというのは、必ずしも控訴人の控訴理由書の記載の通りとは限らないだろう、というのが骨子になる。なので、それはH30、H31についても同様、ということにはなると思うが、書面でその旨を指摘したほうが良ければそうさせていただく」と答えました。

 右陪席裁判官はようやくホッとした様子で「そうしてください」と声を掛けました。そしてさらに、「ちなみに、実際の資料をみると、平成29年も別の組み立て方になっている部分がある。できれば、別の組み立て方になっているものについて別の仕方で争う、という方針でよければ、非常に参考になると思う」と、もはや裁判の公平性が疑われるレベルで、更に痒いところに手が届くアドバイスをしました。

■被控訴人と右陪席裁判官とのすったもんだが一段落し、ようやく裁判長が控訴人に向かって「よろしいでしょうか? 一回、先方にて書面でまとめるというので」と意見を求めてきました。控訴人は「はい、ぜひ被控訴人からの書面を拝見したいと思います」と答えました。

 すると裁判長は「それでは弁論を続行します」と宣言し、被控訴人に向かって「どのくらい期間を置けばよろしいですか」と尋ねました。被控訴人は「早急に」と言ったきり、具体的な日数を言いませんでした。

 裁判長が「早急というと、来週の終わりまでくらいですか?」と確認を求めると、被控訴人は「はい、はい」というので、裁判長は、今度は控訴人に向かって「では、その書面を見て、何か反論があったらまた出していただくということでよろしいですか?」と確認を求めてました。控訴人は「はい、かしこまりました」と答えました。

 そして、裁判長は、「そのための期間を勘案して、次回弁論期日は1か月後くらいで……4月14日、10時というのはどうですか?」と、控訴人・被控訴人に提案しました。双方とも「はい、結構です」と答えました。

 その結果、次回期日は4月14日で、被控訴人の書面提出期限は3月26日までとし、控訴人はそれを見て認否や反論があれば4月7日までに提出することに決まりました。

 控訴人としては、被控訴人からの準備書面が、どんな内容のものが出てくるのか分からないため、裁判長にできればもう少し期限を延ばしてもらいたいと要請しましたが、裁判長は「1、2日くらいはいいが、裁判所としては4月14日の期日になるべくやりたいので」というので、「裁判長がそう仰るのであれば、それを目途に努力し、7日提出を厳守します」と裁判長に告げました。

 裁判長は「それではよろしくお願いします。ではそれを見て特段さらに議論が必要か必要でないかによりますが、必要なければ次回終結ということにしたい」と述べ、「では今日はこれで終わりにします」と言って陪席裁判官2名と共に退出していきました。

 以上がメモと記憶により再現した今回の弁論の概要です。不正確な箇所もあるかもしれませんが、概ね様子を分かって頂けたかと思います。

■こうして、初回で終結するかと思われていた高裁での控訴審は、意外なほどに裁判官からの突っ込みが差し込まれて継続となり、次回期日が4月14日(水)午前10時に設定されました。

 今回の第1回口頭弁論の大半は、裁判官に質問攻めにされる藍澤弁護士を、蚊帳の外の当会出廷者が眺める構図でした。あまりにも主張が杜撰な高専機構の訴訟代理人のせいで、裁判官が自ら手取り足取り指南とフォローをしてあげている感が強いものでした。同時に、東京高裁第17民事部の裁判官らが、当会と高専機構双方の主張を割と読み込んできていることに驚きました。同高裁第2民事部が担当する第二次訴訟の初回口頭弁論が、白石裁判長の指揮によりさっさと即日結審したのとは雲泥の差です。

 やはり事前に予測されたとおり、第17民事部は「完全な手抜き答弁でも忖度して勝たせてくれる」わけではないようで、高専機構と田中・木村法律事務所としてもやりにくさを感じているのは確かなようです。

 ただ、公平中立であるべき裁判官自ら、藍澤弁護士を「先生」呼びしながら「主張の改善点」を詳細にアドバイスしてくれるということは、裏を返せば、どんなにポンコツでも一応は法曹仲間の弁護士センセイであり、さらに行政側の訴訟代理人である藍澤弁護士をなるべく勝たせてあげたいとは思っている証左なのかもしれません。

■さて、口頭弁論が終わるとまだ午後3時前でした。第二次訴訟控訴審での手数料還付手続について教示を受けるべく、16階の高裁第2民事部窓口に行き、参考資料を受け取りました。こうして、裁判所での用事を済ませた当会出廷者は、玄関から庁舎の外にでました。

 すると、南側の傍聴希望者コーナーで40名くらいの人たちが並んでいるのを目にしました。まだ河合夫妻の夫の裁判が続いていることから、その裁判かと思いきや、掲示板を見ると「裁判所名: 東京高等裁判所 第22民事部. 日時・場所: 令和3年3月17日 午後3時40分 2番交付所. 事件名: 査証発給拒否国家賠償請求控訴事件 令和2年(ネ)第1320号. 備考: 【抽選】当日,午後3時40分までに2番交付所に来られた方」とあります。

 後で調べたところ、いわゆる安保法制反対を訴える市民団体が、日本の過去の戦争犯罪を議論するためのゲストに中国人十数名を招こうとしたところ、日本政府がビザを発給拒否したことに端を発する「中国人ビザ拒否訴訟」に関しての高裁判決言渡期日だったことがわかりました。昨年1月に地裁で市民団体側が全面敗訴したため控訴審に移行しており、この日に高裁での判決言い渡しが控えていたようです。なお、その後の高裁判決結果については、またも全面敗訴に終わってしまったようです。

●参考https://news.yahoo.co.jp/articles/97d5791794ca63e8a2f8c0ac1b63d93718ab3fe2

 たまたま居合わせた判決言渡を傍聴している時間的余裕はなかったので、当会出廷者は裁判所をあとにし、群馬へ帰投することにしました。


■さて、上記のとおり、口頭弁論の次週までに高専機構から主張補充がなされるはこびになったため、当会では被控訴人準備書面の来着を待つことにしました。すると、3月22日の午後5時過ぎ、さっそく銀座の田中・木村法律事務所から当会事務局宛てに補充準備書面がFAXされてきました。

●被控訴人(高専機構)R3.3.22付け準備書面 ZIP ⇒ iitirj.zip

*****送付書兼受領書*****
2021年3月22日 17時20分 田中・木村法律事務所  No.7930 P.1

              準備書面等の送付書

                           令和3年3月22日

 下記のとおり書類をご送付いたします。
 受領書欄に記名・押印のうえ,この書面を当職及び裁判所宛FAX等でお送り下さい。

●送付先:
 東京高等裁判所第17民事部 ニ係  御中
 FAX 03-3592-0942
 控訴人  市民オンブズマン群馬  御中
 FAX 027-224-6624

●発信者:
 〒104-0061 東京都中央区銀座5丁目7番1号 江島屋ビル7階
     被控訴人訴訟代理人弁護士  木  村  美  隆
 TEL:03-3573-7041 FAX:03-3572-4559

●事件番号:令和2年(行コ)第251号
●当事者名:
 控訴人  市民オンブズマン群馬
 被控訴人 独立行政法人 国立高等専門学校機構
●次回期日:令和3年4月14日(水)午前10時

●文書名:準備書面(R3.3.22付)

●送信枚数:3枚(送信書を除く)
●相手方への送信の有無:有

=====受領書=====
               受 領 書
東京高等裁判所第17民事部 ニ係  御中 (FAX:03-3592-0942)
被控訴人代理人 弁護士 木村美隆 宛  (FAX:03-3572-4559)

 上記書類を受領しました。
  令和 年 月 日
     控訴人

 通信欄:本FAXを正式書面として受領ください。
**********

*****3/22付準備書面(高専機構)*****
令和2年(行コ)第251号
 控訴人  市民オンブズマン群馬
 被控訴人 独立行政法人国立高等専門学校機構

             準 備 書 面

                           令和3年3月22日

東京高等裁判所第17民事部ニ係  御中

                   被控訴人訴訟代理人弁護士  木 村 美 隆
                        同        藍 澤 幸 弘

                 記

控訴理由書1項(2)(甲第47号証と推薦機関の別)について
1 控訴人は,同項において,甲第47号証で部分開示された国立高等専門学校長候補者一覧(以下「一覧表」という)のうち,平成23年から同28年分のものは,項目名に「推薦機関」とあるものと,「学校名」とあるものの2種類に分かれており(細目番号①,②),これにより各表が教育機関の推薦者と研究機関や官公庁からの推薦者をまとめたものであることが推知できる,と主張するが,この主張は争う。
 高専の校長の前職は高等専門学校や国立大学の教授,文部科学省や国立の研究所といったように複数あり,これらの候補者が控訴人のいう細目番号①ないし②の一覧表のどちらに記載されているかは,各表の形式からは明らかではない。たとえば,国立大学の教授を,控訴人が推知しているように細目番号②の表に記載することも,細目番号①の表に記載することも,分類としてはありうるのであり,控訴人の上記指摘は,単なる推論にすぎない。
 控訴人は,この推論をもとに,各文書が取り扱う大まかな推薦機関の種別を開示しても,被控訴人における人事管理に係る事務に関し,公正かつ円滑な人事の確保に支障を及ぼすおそれ(法5条4項ヘ)がないとするが,控訴人の主張が単なる推論を前提にしている以上,その主張に理由がないことは明らかである。

2 また,一覧表のうち平成29年のものは,それ以前のものとは異なり細目番号①,②について,一覧表の項目名に違いはなく,平成28年以前の一覧表と比べて,より記載内容を推知することが難しくなっている。よって,前記(1)と同様,一覧表にどの推薦期間(ママ)等からの候補者が記載されているかを推知でき,一覧表が取り扱う大まかな推薦機関の種別を開示しても,法5条4号ヘのおそれがないとの控訴人の主張は,いずれも争う。

3 控訴人は,平成30年以降の一覧表について,一覧表に記載された項目Noから推薦機関ごとの推薦者の人数が明らかとなり,これと実際に校長に就任した者の人数を比較すれば,一覧表にどの推薦機関の候補者が記載されているか,推知可能であると主張するが,この主張は争う。
 平成30年の一覧表は,甲第47号証の15枚目から17枚目(各表裏で計6頁)に分かれているところ,各表に振られた項目NoをみてもNo1しかないものが2ページあり,どちらの表にどの推薦機関の候補者が記載されているか,推知することはできない。
 また校長の前職(甲48)をみても,大学の研究所に所属していた者もいれば,大学院の研究科に所属していた者もあり,控訴人の指摘するように,「大学(院)出身者5名」との分類が正確か,一覧表の体裁から判断することはできない。
 さらに,一覧表の項目Noにどの程度の意味があるか,たとえば推薦機関ごとに通し番号を付して表を整理しているか,といったことも甲第47号証で開示された一覧表からは不明である。たとえば同じ推薦機関からの候補者でも,経歴や年齢等の違いにより表の頁を分けてNo1から振り直して整理したり,複数回開催する会議に応じてNoを振り直した表を作成する,ということも方法としてはありうるのであって,単純に項目Noと校長の前職のみから,各一覧表がどの推薦機関の候補者が記載されたものかを推知することはできない。
 控訴人は校長の出身機関を4種類に分類しているが,実際の平成30年の一覧表は,項目Noごとに分けると5種類に分けられる。このことからも,上記の観点により,控訴人の推知とは違う方法により一覧表が作成されており,控訴人の推知は当たっていないとも考えられるのである。
 以上からすれば,一覧表に記載されたNoと校長の前職から,一覧表にどの推薦機関の候補者が記載されているか推知可能との控訴人の主張は,単なる推論にすぎない。平成30年,31年の一覧表のうち,各表の大まかな推薦機関を開示しても,被控訴人における人事管理に係る事務に関し,公正かつ円滑な人事の確保に支障を及ぼすおそれ(法5条4項ヘ)がないとの控訴人の主張には,理由がない。

                                  以上
**********

■当会では、被控訴人の高専機構が出してきた控訴答弁書と補充準備書面に対して、反論があれば4月7日必着で提出し、東京高裁812号法廷で4月14日(水)午前10時から行われる第2回口頭弁論を迎えることになります。

 その後の本件推移については、追ってご報告します。

【市民オンブズマン群馬事務局からの報告】

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【東邦亜鉛非鉄スラグ問題】スラグ投棄箇所情報を真っ黒にして開示した群馬県から弁明書到来!

2021-03-23 23:37:00 | 東邦亜鉛カドミウム公害問題
■東邦亜鉛安中製錬所が年間5万5千トンほど副産物として排出している鉱さい(非鉄スラグ)には高濃度の重金属として鉛、ヒ素、カドミウム、亜鉛などが含まれています。東邦亜鉛はこの鉱滓の大半を「K砕」という独自の呼称を付して、これまでセメント増量材や、アスファルト骨材、それにゴム吸音建板混入材、そして路盤材や埋土、盛土などの土木資材向けに出荷してきました。

 しかし、東邦亜鉛のスラグは鉛とヒ素の含有量が多く、同社では、同じく群馬県内で操業する大同特殊鋼が排出るフッ素・六価クロム入りの鉄鋼スラグの問題が発覚して以降、いつ自分たちが排出している鉛・ヒ素等を高濃度に含有する非鉄スラグの問題にも焦点が当てられるのか、戦々恐々としていました。そしてついに、先年、当会の告発により、高渋バイパスの中央分離帯に大量の非鉄スラグが投棄されていることが判明し、ニュースでも報じられ大騒ぎになりました。こうした経緯は、既にこのブログでも関連記事を掲載してきました。

 当会ではこの間、リットン調査団の協力のもとに、東邦亜鉛の非鉄スラグの投棄場所を調べてきましたが、東邦亜鉛側は「群馬県に対して投棄場所の情報を報告している」と言うので、群馬県に昨年8月24日付で公文書開示請求を行いました。すると群馬県から同年9月3日付で10月22日まで開示決定期間を延長するとする通知が届きました。その後、群馬県からは、2020年10月16日付で、公文書部分開示決定通知書と、公文書非開示決定通知書、そして公文書の存否を明らかにしない決定通知書が送られてきました。

 そして、2020年10月23日(金)午前11時過ぎに開示された情報を見て、当会は仰天しました。なぜなら真っ黒だったからです。

真っ黒塗りで開示された東邦亜鉛非鉄スラグ投棄場所一覧表。

 そのため、やむなく、2020年12月25日に審査庁である群馬県知事に審査請求書を提出しました。このほど、審査庁の群馬県知事から、処分庁の群馬県知事の弁明書が送られてきました。

 最近の非鉄スラグ関連記事は以下を参照ください。
○2020年8月27日:コロナ禍で開催が4カ月半遅れた第29回工場視察会で、東邦亜鉛がK砕の有毒性について仰天説明!
https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/3196.html
○2020年9月11日:【報道】食べると腹痛・悪寒・貧血等?!…東邦亜鉛の鉛・ヒ素入り非鉄スラグを県が廃棄物に認定!
https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/3202.html
○2020年10月10日:【東邦亜鉛非鉄スラグ問題】群馬県が行政処分をした非鉄スラグの質問に対し東邦亜鉛がよこした不誠実回答
https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/3217.html
○2020年12月28日:【東邦亜鉛非鉄スラグ問題】東邦亜鉛の非鉄スラグ投棄箇所情報を真っ黒にして開示した群馬県に審査請求!
https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/3259.html

■群馬県知事の弁明書の内容は次のとおりです。

*****送り状*****ZIP ⇒ 20210322mxor.zip
様式第5号(規格A4)(要綱第25条関係)
                      県支広第40-81号
                       令和3年3月19日
 小川 賢 様

                    群馬県知事 山本一太

        弁明書の送付及び反論書等の提出について

 下記1の審査請求について、行政不服審査法(平成26年法律第68号)第9条第3項において読み替えて適用する同法第29条第5項の規定により、別添のとおり弁明書(副本)を送付します。
 また、行政不服審査法第9条第3項において読み替えて適用する同法第30条第1項の規定により、弁明書に記載された事項に対する反論を記載した書面(以下「反論書」という。)を提出する場合は、下記2のとおり提出してください。

               記
1 審査請求
  審査請求年月日:令和2年12月25日付け
  事件名:「①東邦亜鉛(株)安中製錬所が出荷した非鉄スラグの使われた公共及び民間事業の現場に関してこれまで同社から群馬県に連絡ないし報告された一切の情報②上記①に関し、安中市内で非鉄スラグが使われたことがあるかどうか判る情報」の公文書非開示決定及び公文書の存否を明らかにしない決定に対する審査請求

2 提出方法
 (1) 提出期限
   令和3年5月24日(月)
 (2) 提出方法
   別紙様式により作成した書面を、持参又は郵送で群馬県生活こども部県民活動支援・広聴課に提出してください。
   なお、本件審査請求について、群馬県情報公開条例(平成12年群馬県条例第83号)第26条の規定に基づき群馬県公文書開示審査会に諮問した場合、 提出された反論書の写しを、当該審査会に送付することを御承知おきください。

                  担当:県民活動支援・広聴課
                     情報公開係
                  電話:027-226-2271

=====弁明書=====
            弁 明 書

 下記1の審査請求について、行政不服審査法(平成26年法律第68号)第9条第3項において読み替えて適用する同法第29条第2項の規定により下記のとおり弁明する。
              記
1 審査請求
  審査請求年月日:令和2年12月25日付け
  事件名:「①東邦亜鉛(株)安中製錬所が出 荷した非鉄スラグの使われた公共及び民間事業の現場に関してこれまで同社から群馬県に連絡ないし報告された一切の情報②上記①に関し、安中市内で非鉄スラグが使われたことがあるかどう か判る情報」の公文書非開示決定及び公文書の存否を明らかにしない決定に対する審査請求

2 開示請求公文書の特定について
  審査請求人は、群馬県情報公開条例(平成12年群馬県条例第83号。以下「条例」という。)第12条第1項の規定により、令和2年8月24日付けで、 次の公文書開示請求を行った。
  「①東邦亜鉛(株)安中製錬所が出荷した非鉄スラグの使われた公共及び民間事業の現場に関してこれまで同社から群馬県に連絡ないし報告された一切の情報
  ②上記①に関し、安中市内で非鉄スラグが使われたことがあるかどうか判る情報」
  この開示請求書の記載から、審査請求人が①について求めている情報は、廃棄物の処理及び清掃に関する法律(昭和45年法律第137号。以下「廃棄物処理法」という。)第18条第1項に基づき、実施機関が東邦亜鉛株式会社(以下「東邦亜鉛」という。)に提出させた報告書等(以下「報告書等」という。)に記載されている情報と判断し、報告書等及び報告書等に基づき実施機関がまとめた「これまでに判明しているK砕使用箇所一覧」(以下「使用箇所一覧表」とい う。)を対象の公文書として特定した。
  ②については、①の情報のうち、使用箇所の所在地が安中市内のものと判断した。なお、②に関する公文書が存在するか否かは明らかにしない。

3 群馬県情報公開条例における開示・非開示及び存否応答拒否の解釈について
  条例第2条第4項において「公文書」とは、「実施機関の職員が職務上作成し、又は取得した文書、図画及び電磁的記録であって、当該実施機関の職員が組織的に用いるものとして、当該実施機関が保有しているものをいう。」とされている。
  また、条例第14条では、「実施機関は、開示請求に係る公文書に次の各号に掲げる情報(以下「非開示情報」という。)のいずれかが記録されている場合は、当該公文書を開示してはならない。」と規定しており、同条各号に該当する情報が記録されている公文書の開示を禁ずる旨を定めている。
  非開示情報として、同条第2号では「個人に関する情報(事業を営む個人の当該事 業に関する情報を除く。)であって、当該情報に含まれる氏名、生年月日その他の記述等(文書、図画若しくは電磁的記録に記載され、若しくは記録され、又は音声、動作その他の方法を用いて表された一切の事項をいう。次条第二項において同じ。)により特定の個人を識別することができるもの(他の情報と照合することにより、特定の個人を識別することができることとなるものを含む。)又は特定の個人を識別することはできないが、公にすることにより、なお個人の権利利益を害するおそれがあるもの」と規定している。
  同条第3号では「法人その他の団体(国、独立行政法人等、地方公共団体、地方独立行政法人及び公社を除く。以下「法人等」という。)に関する情報又は事業を営む個人の当該事業に関する情報であって(同号本文)」「公にすることにより、当該法人等又は当該個人の権利、競争上の地位その他正当な利益を害するおそれがあるもの(同号イ)」と規定している。
  同条第5号では「県の機関、国、独立行政法人等、他の地方公共団体、地方独立行政法人及び公社の内部又は相互間における審議、検討又は協議に関する情報であって、公にすることにより、率直な意見の交換若しくは意思決定の中立性が不当に損なわれるおそれ、不当に県民の間に混乱を生じさせるおそれ又は特定の者に不当に利益を与え若しくは不利益を及ぼすおそれがあるもの」と規定している。
  同条第6号では「県の機関、国、独立行政法人等、他の地方公共団体、地方独立行政法人又は公社が行う事務又は事業に関する情報であって、公にすることにより、次に掲げるおそれその他当該事務又は事業の性質上、当該事務又は事業の適正な遂行に支障を及ぼすおそれがあるもの(同号本文)」「監査、検査、取締り、試験又は租税の賦課若しくは徴収に係る事務に関し、正確な事実の把握を困難にするおそれ又は違法若しくは不当な行為を容易にし、若しくはその発見を困難にするおそれ(同号イ)」と規定している。
  また、条例第17条では、「開示請求に対し、当該開示請求に係る公文書が存在しているか否かを答えるだけで、非開示情報を開示することとなるときは、実施機関は、当該公文書の存否を明らかにしないで、当該開示請求を拒否することができる。」と規定している。

4 公文書を開示しない理由及び公文書の存否を明らかにしない理由
(1)東邦亜鉛(株)安中製錬所が出荷した非鉄スラグの使われた公共及び民間事業の現場に関してこれまで同社から群馬県に連絡ないし報告された一切の情報を個人情報、法人等事業情報、審議検討情報及び事務事業情報として非開示とする理由

 ア 調査の状況
   東邦亜鉛安中製錬所から排出された非鉄スラグ(以下「非鉄スラグ」という。)は、路盤材など士壌と接する方法で使用した場合、鉛や砒素による土壌汚染の可能性があるため、使用箇所の全容を解明し、撤去等の対応措置を速やかに実施する必要がある。
   令和元年5月、実施機関は廃棄物処理法に基づき、東邦亜鉛に対し、非鉄スラグが使用された又は使用された可能性のある箇所の所在地又は施工場所を特定すること及び使用箇所ごとに環境調査を実施し、その結果を報告することを命じた。
   また、同社に対し、非鉄スラグのリスクについての注意喚起とともに、住民等からの問い合わせ窓口を設置し、速やかにその旨を周知広報することを指示した。
   これを受け、東邦亜鉛は、住民等からの問い合わせ窓口を設置し、住民等から寄せられた情報に基づき、工事発注者や土地所有者等の関係者(以下「関係者等」という。)の協力を得ながら使用箇所の調査を進めている。
   実施機関は、東邦亜鉛から提出された報告書等を基に使用箇所一覧表に情報を整理し、これを基に令和元年9月25日、同年8月末時点の使用箇所の状況として公表した。以後、調査の進捗に合わせて情報を更新し、公表している。

 イ 審議検討情報
   報告書等には、非鉄スラグが使用された可能性のある箇所として、住民等から寄せられた事実関係の確認が不十分な情報が含まれている。
   非鉄スラグの使用箇所に関し、未成熟な情報や事実関係の確認が不十分な情報を公にすると、県民の誤解や憶測を招き、不当に県民の間に混乱を生じさせるおそれ又は特定の者に不当に利益を与え若しくは不利益を及ぼすおそれがある。
   そこで、実施機関は、報告書等について東邦亜鉛に対するヒアリング等を行い、情報を整理するとともに、公共工事については各工事実施主体に対して事実関係を確認するなどの調査を行い、確定した情報を使用箇所一覧表にまとめている。
   報告書等について、非開示情報を区分して除き、部分開示した場合、実施機関が公 表した情報や部分開示した使用節所一覧表と照合することで、調査中の箇所数などの未確定情報が推測され、不当に県民の間に混乱を生じさせるおそれ又は特定の者に不当に利益を与え若しくは不利益を及ぼすおそれがある。
   また、末成熟な情報や事実関係の確認が不十分な情報に基づく外部からの圧力や干渉などの影響を受けることにより、実施機関の意思決定の中立性が不当に損なわれるおそれもある。
   よって、報告書等の全部が条例第14条第5号(審議検討情報) に該当すると判断した。

 ウ 事務事業情報
   非鉄スラグの使用箇所の調査に関し、東邦亜鉛は、実施機関の命令及び指導に基づき報告書等を作成し、廃棄物処理法に基づき報告している。よって、報告書等は、廃棄物処理法に基づく実施機関の事務に関する情報である。
   現在まで確認されている使用箇所は、大部分が民間工事に関するものであり、関係者等の多くは個人又は法人等である。実施機関が報告書等を公にすることで、調査による不利益を懸念し、今後関係者等の協力が得られなくなる可能性がある。その場合、使用箇所の確認や環境調査が実施できず、非鉄スラグの使用箇所の全容解明が困難になるため、生活環境の保全上支障が生じ、又は生ずるおそれがあるかどうかを評価できない事態や、撤去等の対応措置を実施できない事態に陥る。
   さらに、違反の詳細及び実施機関の東邦亜鉛に対する具体的な指埠方針等を公にすると、他の行政客体に法規制を免れる方法を示唆することになる。
   よって、報告書等の全部が条例第14条第6号イ(事務事業情報)に該当すると判断した。

 エ 個人情報、法人等事業情報
   報告書等には、工事発注者や所在地の情報など条例第14条第2号(個人情報)及び同条第3号(法人等事業情報)に該当する情報が記載されている。
   実施機関は、公共工事・民間工事ごとの使用箇所数、環境調査実施箇所数、土壌環境基準等の超過箇所数及び対応措置等を公表しており、非鉄スラグの使用箇所において、士壌汚染は確認されていない。
   また、既に相当箇所で撤去が完了しており、残りの箇所も土地所有者との調整がつき次第、撤去の予定である。
   さらに、撤去までの間は立入禁止や注意喚起を行うなどの人の生命、健康等を保護する措置がとられている。
   よって、実施機関が公表した情報以外の情報を開示することにより、県民の誤解や憶測を招き、不当に県民の間に混乱を生じさせるおそれ又は特定の者に不当に利益を与え若しくは不利益を及ぼすおそれに比べ、人の生命、健康等の保護の必要性が高いとはいえないことから、条例第14条第2号又は第3号のただし書きには該当しない。

 オ まとめ
   以上のとおり、報告書等は、全てが条例第14条第5号の審議検討情報及び同条第6号イの事務事業情報に該当するものであり、また、同条第2号の個人情報、同条第3号イの法人等事業情報が記載され、開示すべき例外規定にも当た らないことから、全部非開示とした。

 カ その他
   今回特定した公文書のうち、部分開示した使用箇所一覧表は、報告書等に基づき実施機関が情報を精杏し、非鉄スラグの使用が確認された箇所の情報をまとめたものである。
   使用箇所一覧表に記載されている、廃リ課整理、表面(露出等)の状況、対策の実施状況、環境調査実施状況、環境調査結果並びに公共工事に関する工事発注者(施主) 及び所在地区分は、実施機関がこれまで公表している情報であるため開示し、その他の部分は、イ~オの理由により非開示とした。
   なお、実施機関が部分開示した使用箇所一覧表に関する決定については、審査請求人と実施機関の間の争いはない。

(2)安中市内で非鉄スラグが使われたことがあるかどうか判る情報を個人情報、 法人等事業情報、審議検討情報及び事務事業情報として存否を明らかにしないとする理由
   公文書開示請求に対しては、当該開示請求に係る公文書の存否を明らかにした上で、存在している場合は開示又は非開示を回答し、存在しない場合は存在しない旨を回答することが原則である。
   しかしながら、公文書の内容によっては、存在しているか否かを答えるだけで、非開示情報を開示した場合と同様に、個人や法人等の権利利益を侵害したり、意思決定の中立性が不当に損なわれるおそれや不当に県民の間に混乱を生じさせたり、県の機関又は国等の機関が行う事務又は事業に支障を及ぼすことがある。そこで、条例第17条は、公文書の存否を明らかにしないで、開示請求を拒むことができる場合を例外的に規定するものである。
   今回請求された「安中市内で非鉄スラグが使われたことがあるかどうか判る情報」については、公文苫が存在しているか否かを答えるだけで、安中市内の使用箇所の有無が判別できることになる。市町村の別を含めた使用箇所に関する情報は、(1)で示したように、不当に県民の間の混乱を生じさせるおそれ又は特定の者に不当に利益を与え若しくは不利益を及ぼすおそれがあるため非開示とした情報であることから、当該開示請求を拒否することとしたものである。

5 審査請求書の審査請求の理由に対する弁明
(1)東邦亜鉛(株)安中製錬所が出荷した非鉄スラグの使われた公共および民間事業の現場に関してこれまで同社から群馬県に連絡ないし報告された一切の情報について
   審査請求書の4(1)から(5)に対する弁明は、(1)のとおりである。
   なお、条例第14条第4号(公共安全情報)の該当性と同条第2号又は第3号のただし書きを適用することには何ら関連性はないから、審査請求人「鉛・ヒ素のような特定有害物質を高濃度に含有する非鉄スラグによる県民の生命、健康、生活又は財産の保護の観点から、ただし書が適用されるべきである」との指摘は当たらない。
(2)上記(1)に関し、安中市内で非鉄スラグが使われたことがあるかどうか判る情報について
   審査請求書の4(6)から(9)に対する弁明は、(2) のとおりである。

(3)まとめ
   以上のとおり、東邦亜鉛安中製錬所が出荷した非鉄スラグの使われた公共及び民間事業の現場に関してこれまで同社から群馬県に連絡ないし報告された一切の情報は、審査請求人がいう「条例第14条第2号、第3号、第5号及び第6号を挙げたことは失当」ではなく、部分開示決定した公文書以外のものは非開示情報に該当するため、開示すべきでない。
   また、安中市内で非鉄スラグが使われたことがあるかどうか判る情報についても、「存否応答拒否」に該当するため、当該開示請求を拒否する。

      令和3年3月8日
                       群馬県知事 山本  一太

=====別紙=====
(別紙:処分についての審査請求用)
                         年  月  日

群馬県知事         様

                       審査請求人住所・氏名

            反論書の提出について

 行政不服審査法(平成26年法律第68号)第9条第3項において読み替えて適用する同法第30条第1項の規定に基づく反論を、下記により提出します。

                記

1 審査請求求
  審査請求年月日:    年  月  日
  事件名:

2 開示請求公文書の特定について

3 群馬県情報公開条例における開示・非開示及び存否応答拒否の解釈について

4 処分庁の公文書を開示しない理由及び公文書の存否を明らかにしない理由に対する意見
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 ご覧の通り、相も変わらぬ群馬県環境行政の情報秘匿体質がお分かりいただけると思います。

 とくに驚きなのは、東邦亜鉛が群馬県に非鉄スラグの投棄場所等に関する報告書等を提出しているというのに、しかも、東邦亜鉛は、報告書等の内容について知りたければ行政から開示してもらって欲しい、と明言しているのに、群馬県がなぜか東邦亜鉛に妙な忖度をして、開示しようとしないことです。

■弁明書の3頁目の「イ 審議検討情報」で、県は「報告書等には、非鉄スラグが使用されて可能性のある個所として、住民等から寄せられた事実関係の確認が不十分な情報が含まれている」ので、「未成熟な情報や事実関係の確認が不十分な情報を公にすると、県民の誤解や憶測を招き、不当に県民の間に混乱を生じさせるおそれ又は特定の者に不当に利益を与え若しくは不利益を及ぼすおそれがある」と不開示の理由を説明しています。

 東邦亜鉛によせられた住民からの情報により東邦亜鉛が調査をしてその結果を群馬県に報告したのですから、未成熟な情報であるはずがありません。なのに、群馬県は「報告書等について、公共事業については事実関係を確認して確定情報を一覧表にまとめた。また、報告書等について部分開示した場合、調査中の個所数など未確定情報が推測され、特定の者に不当に利益・不利益を及ぼすおそれがある」として、一覧表さえ、ほぼ真黒塗りにしたことを正当化する始末です。

 さらに群馬県は「未成熟情報等を公表すると、外部から圧力や干渉等を受けて、意思決定の中立性が不当に損なわれるおそれがある」とし、外部からの影響を理由に挙げています。しかし、この「外部」とはいったい何のことか、説明がありません。

■次に、弁明書の4ページ目に「ウ 事務事業情報」として、東邦亜鉛の報告書等は、廃棄物処理法により群馬県が取得した事務情報であり、非鉄スラグの投棄は、大部分が民間工事で行われ、関係者等は個人や法人だから公表すると今後、関係者等から協力が得られなくおそれがあり、非鉄スラグ投棄の全容解明が困難となり、生活環境の保全に支障が生じたり、生じるおそれがあるかどうか評価できない事態や、撤去等ができなくなるおそれがある」と不開示の理由を説明しています。

 さらに呆れるのは、「違反の詳細及び実施機関による東邦亜鉛に対する具体的な指導方針等を公表すると、他の行政客体に法規制を免れる方法を示唆してしまう」という歪んだ判断です。どうやら群馬県の言う「行政客体」は納税者県民が対象であり、東邦亜鉛のような企業や、暴力団のような反社会的集団・組織は、法規制を免れる方法を具体的な指導方針等で示唆できるようにしておきたい県環境行政の本音が透けて見えます。

■そして弁明書の「エ 個人情報、法人情報等事業情報」で、県は「非鉄スラグの使用箇所で土壌汚染は確認されていない」としている。果たして県は、自ら計測した結果を基にそう破断しているのでしょうか。県民としては、東邦亜鉛の自主申告の計測結果を鵜呑みにしているおそれがあるので、心配しており、公表することで実態が確認でき、県民の安心・安全な生活環境の保全が図れると考えます。

 そもそも、群馬県は東邦亜鉛に対して、県民が報告書等の開示を求めていることについて、きちんと連絡し、情報開示をすることについて、東邦亜鉛に意見を求めたのかどうかも定かでありません。東邦亜鉛は、今回の非鉄スラグの問題について、2019年8月9日のニュースリリースで、「2016年4月から路盤材向けの出荷を完全に停止した。その後、K砕製品の不適切な使用・混入がないかの調査に着手したものの、最終需要家の把握が困難だったため、調査に時間を要していた。しかし、2018年5月以降、販売先の協力を得ることができ、2018年8月に対策チームを設置し、2016年3月以前に路盤材業者に販売されたK砕製品の最終需要家ならびに使用場所の特定作業が進展した。さらに2019年5月には問題解決の促進を図るべく、新たに対策本部を設置し、①販売されたK砕製品の最終需要家・使用場所の調査及び必要な対応、②基準超過品が出荷された原因の解明、③内部統制の強化・改善を進めている」と発表しています。
○2019年8月9日:当社の非鉄スラグ製品に関するお知らせ
http://www.toho-zinc.co.jp/news/pdf/news_20190809_1.pdf

 また、東邦亜鉛はこの中で「当社ではこれまで各種法令を遵守しながら資源の有効利用をするべく、K砕製品を取り扱ってまいりましたが、当社の土壌環境基準に対する認識不足と不十分な出荷先管理により、地域住民の皆様や関係各方面の皆様に多大なるご心配とご迷惑をおかけする事態となりましたことを心よりお詫び申し上げます。地域に皆様におかれましては、生活環境上の支障を除去する措置が必要な場合、当社負担にて回収・撤去等を進めてまいりますので、以下のお問合せ窓口までご連絡ください。【お問い合わせ窓口】東邦亜鉛株式会社 総務本部総務部 電話:03-6212-1722 メール:Honsha_Soumubu@toho-zinc.co.jp 受付時間:平日(月曜日~金曜日)9:00-17:30」と表明しており、東邦亜鉛の報告書等の全面開示により、誰がどのあたりに非鉄スラグを投棄したのか、参考となる情報が得られるため、県民にとって生活環境上の保全の観点から有益な情報であり、開示により不利益をもたらすことは皆無です。

 東邦亜鉛にとっても、非鉄スラグの不適切な情報を積極的に集めて、回収・撤去等の作業を進める観点から、そうした県民への情報開示を拒む姿勢は取りようがないはずです。

 こうした観点から、当会では反論書を、県が期限として指定してきた5月24日を待たずに、提出したいと思います。

【市民オンブズマン群馬事務局からの報告】

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