市政をひらく安中市民の会・市民オンブズマン群馬

1995年に群馬県安中市で起きた51億円詐欺横領事件に敢然と取組む市民団体と保守王国群馬県のオンブズマン組織の活動記録

【消防救急デジタル無線談合】桐生市消防本部に対する住民監査請求で監査委員が棄却通知を送付

2020-03-27 23:17:00 | 消防救急デジタル無線談合
■消防救急デジタル無線の入札談合問題は、公正取引委員会が2017年2月2日に独占禁止法違反で排除措置命令及び課徴金納付命令を出したことが発端です。以来、全国市民オンブズマン連絡会議は、全国各地の各オンブズマン組織に対し、消防本部が業者に損害賠償請求させるよう呼びかけてきました。当会「市民オンブズマン群馬」も、いち早く入札調書等を関係消防組合から情報公開請求により入手し、動向を注視してきました。最近では2019年9月28-29日に岐阜市で行われた「第26回市民オンブズ全国大会in岐阜・2019」において、消防デジタル無線談合について、該当自治体に遅くとも2020年7月までに住民監査請求をするよう呼びかけが行われました。
 これを踏まえて当会は、今年1月29日付で、高崎市・安中市消防組合(高崎市等広域消防局)、桐生市消防本部、館林地区消防組合に対して、各地の会員により手分けして住民監査請求書を提出しました。このうち3月23日付の館林地区消防本部に続き、3月25日付で桐生市消防本部監査委員から、監査結果通知が送られてきました。結果は今回も「棄却」でした。

桐生市消防本部(桐生市元宿町13番38号)。桐生市の消防部局(消防本部)に所属。管轄区域は桐生市とみどり市全域。管内面積:482.8km2、職員定数:220人、消防署2ヶ所、分署4ヶ所、主力機材:消防ポンプ自動車7・水槽付きポンプ車8・はしご車2・化学車1・救急車8・指揮車1・救助工作車1(特別救助隊運用)・電源照明車1・その他17。


2014年12月22日10時半、桐生市消防本部で行われた消防救急デジタル無線運用開始式。

 なお、住民監査請求のこれまでの経緯については次のブログ記事を参照ください。
○2020年1月31日:【消防救急デジタル無線談合】時効が迫る中、群馬県でも3消防組合に住民監査請求
https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/3115.html
○2020年3月12日:【消防救急デジタル無線談合】桐生市消防本部に対する住民監査請求で当会会員が追加証拠提出と陳述
https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/3134.html

 それでは、桐生市監査委員が送ってきた監査結果を見てみましょう。

*****監査結果送り状*****ZIP ⇒ shhfwzm.zip
                          桐監発第1・35号
                          令和2年3月25日
桐生市天神町三丁目14-36
 長 澤 健 二  様
                    桐生市監査委員 石 井 謙 三
                       同    〆 谷 信 良
                       同    周 藤 雅 彦

          桐生市職員措置請求について

 令和2年1月29日付で請求のありました住民監査請求について、地方自治法第242条第4項の規定に基づき、監査の結果を別紙のとおり通知します。

*****監査結果*****ZIP ⇒ shhfwzmp14.zip
shhfwzmp57.zip
<表紙>

           住民監査請求監査結果

             桐生市監査委員

<P1>
           住民監査請求監査結果
                    桐生市監査委員 石井 謙三
                       同    〆谷 信良
                       同    周藤 雅彦
第1 請求の受付
1 請求人
  住所  桐生市天神町3丁目14-36
  氏名  長澤健二

2 請求書の受付
  請求告は、令和2年1月29日に収受した。

3 請求の趣旨
  請求人提出の桐生市職員措醤請求書による請求の内容は次のとおりである。
  (請求書原文のまま登載)
第1 監査請求の趣旨
   監査委員は、桐生市長に対し、平成25年6月28日締結の「桐生市消防救急無線デジタル化整備工事」事業の建設工事請負契約に関し、東日本苺信君話株式会社及び株式会社富士通ゼネラルから各自金2億0684万4000円を桐生市に返還させるための必要な措置をとることを勧告するよう求める。
第2 監査請求の理由
1 監査詰求にかかる契約
  桐生市は、「桐生市消防救急無線デジタル化整備工事」事業を条件付き一般競争入札の方法により発注した。
  これに対し、株式会社富士通ゼネラル、東日本電信電話株式会社の計2社が入札し、その結果、東日本電信電話(株)が、1 回目の入札で、9億8500万円で落札した。
  そして、桐生市と東日本電信電話(株)は、平成25年5月21日、下記内容の「桐生市消防救急無線デジタル化整備工事」事業の建設工事請負仮契約を結んだ。
イ 請負代金 10億3422万0000円(消費税込み)
ロ 受注者が独占禁止法第3条の規定に違反し、又は受注者が構成事業者である事業者団体が独占禁止法第8条第1項第1号の規定に達反したことにより、公正取引委員会が受注者に対し、独占禁止法第7条の2第1項(独占禁止法第8条の3において準用する場合を含む。)の規定に基づく課徴金の納付命令を行い、当該納付命令が確定したとき(確定した当該納付命令が独占禁止法第59条第2項の規定により取り消された場合を含む。)、受注者は、発注者に対して、請負代金額(この契約の締結後、諸負代金額の変更があった場合には、変更後の請負代金額)の10分の2に相当する額を支払わなければならない(約款第42条の2第1項(1)号)。
2 公正取引委員会による排除措置命令及び課徴金納付命令/・・・(略)・・・
3 桐生市の有する債権

<P2>
(1)東日本電信電話に対する債権
 (ア)請負契約に基づく違約金請求権
   東日本毎信電話は、上記排除措置命令及び課徴金納付命令の直接の名宛人とはなっていない。しかし、公正取引委員会の認定によれば、「入札等において落札すべき価格は、(中略)代理店等に落札させる場合には当該代理店等と相談して決定する」とされているところ、東日本電信電話はこの「代理店等」に該当し、さらに、談合により本件工事の価格の公正が害されたと認定されているから、実質的には、本件契約約款第42条の2第1項(1)号に該当する。
   よって、桐生市は、東日本電信電話に対し、請負代金額の10分の2である2億0684万4000円の違約金請求権を有する。
(イ)不法行為による損害賠償責任
 I 上記の通り、東日本電信電話は、富士通ゼネラルと共に入札談合を行っていたので独占禁止法 3 条違反として、不法行為責任を負う。
II 当該不法行為によって桐生市が被った損害額 / 本件契約約款42条の2第1項(1)所定の定めは、損害賠償額の予定の規定(民法420条1項)と解すべきであるから、当該不法行為によって桐生市が被った損害額は、請負代金額の10分の2である。大阪高裁平成22年8月24日判決(平21(行コ)154号事件)も、本件約款と同趣旨の規定について、損害賠償額の予定の規定と解釈している。
III したがって、桐生市は、東日本電信電話に対して、請負代金額の10分の2である2億0684万4000円の損害賠償請求権を有する。
(2)富士通ゼネラルに対する債権
   富士通ゼネラルは、排除措骰命令及び課徴金納付命令の名宛人であって、まさしく談合の当事者として独占禁止法違反行為を行っていた者である。
   したがって、東日本電信電話と同様、桐生市に対して不法行為資任を負う(束日本電信電話とは、共同不法行為となる)。
   富士通ゼネラルは、東日本電信電話との共同不法行為により桐生市に損害を与えたのだから、富士通ゼネラルが桐生市に与えた損害額は、東日本電信電話と同様に2億0684万4000円である。
   よって、桐生市は、富士通ゼネラルに対して、2億0683万4000円の損害賠償請求権を有する。
第3 結論
   以上の通り、桐生市は、東日本電信電話及び富士通ゼネラルに対して上述の債権を有しているにも関わらず、何ら措置をとっていない。よって、監査諮求の趣旨記載のとおり請求を行う。
地方自治法第242条第1項の規定により別紙事実証明書を添え必要な措置を請求します。
涼付;別紙
添付書類:事実証明書
 本件に関する事実証明として、次の書類の写しを提出する。
 1 平成29年(措)第1号排除措置命令書
 2 平成25年5月17日付け入札・契約結果情報詳細(入札調書・入札経過)

<P3>
 3 平成25年5月21日付け建設工事諸負仮契約書
 4 建設工事請負契約約款
 4 平成29年(納)第1号課徴金納付命令書

4 請求の要件審査及び請求の受理
  本件請求については、地方自治法(昭和22年法律第67号)第242条の所定要件を具備しているものと認め令和2年2月27日に受理した。

5 請求期間について
  地方自治法第242条第2項において、住民監査請求は当該行為のあった日又は終わった日から1年以内と規定されている。本件請求は、平成29年2月2日に公正取引委員会が、業者に対して排除措置命令及び課徴金納付命令を行ってから1年以上経過したものであるが、その対象は、入札談合により桐生市が被った損害に対する損害賠償請求権等の行使を怠っていたとするものであり、「財産の管理を怠る事実」に該当することから、請求期間の制限を受けないものと認める。

第2 監査の実施
1 監査期間
  令和2年2月27日から同年3月23日

2 監査対象部局
  消防本部総務課・通信指令課

3 請求人の証拠の提出及び陳述
  請求人に対して、地方自治法第242条第6項の規定に基づき、陳述の機会を設けた。その際、追加資料の提出を受けた。
 (1) 陳述の概要
   令和2年3月9日(月)午後1時10分~午後1時32分
  ア 公正取引委員会が平成29年2月2日に出した「排除措置命令書」の中に本件談合問題について説明の記述がある。
  イ 東日本電信電話株式会社が富士通ゼネラル株式会社の代理店等である根拠は、東日本電信電話株式会社が桐生市消防本部に対して「機器供給証明書」を提出しているはず。そこに富士通ゼネラルの名で「特約店契約に基づき東日本電信電話株式会社に機器を供給することを証明いたします。」と記述されているはず。これで東日本電信電話が富士通ゼネラルの代理店等であることがわかる。
  ウ 東日本電信電話が富士通ゼネラルから機器を供給され、富士通ゼネラルが5社と談合して落札すると決めていれば、東日本電信電話と富士通ゼネラルは談合していたことになる。
  エ 桐生市においても富士通ゼネラルと代理店等の東日本電信電話に、連帯して違約金を支払うよう請求してほしい。

<P4>
4 関係職員の調査
  令和2年3月9日に消防本部職貝より消防救急無線デジタル化整備工事入札に係る対応について聞き取り調査を実施した。
 (1) 聞き取りの概要
  ア 平成29年2月2日付けにて公正取引委員会が株式会社富士通ゼネラルに対し排除措匠命令及び課徴納付金命令を行った。
  イ 平成29年2月9日、消防救急デジタル無線入札談合に伴う近隣市(前橋市、伊勢崎市、太田市、館林地区消防組合、足利市、佐野市)等へ指名停止処分の対応について聴き取り調査を行い、いずれの市等も指名停止を行う方向であることを確認した。
  ウ 平成29年2月13日、株式会社富士通ゼネラルから処分に係る概要、会社の今後の対応等について聞き取りを行った結果、排除命令に関しては、各自治体の方針に従うとの回答があった。
  エ 平成29年3月9日、公正取引委員会に対し、課徴金納付命令書の写しを求め入手した。
  オ 平成29年4月12日、損害賠償請求について桐生市顧問弁護士に法律相談を行った結果、桐生市と直接契約を交わしていない株式会社富士通ゼネラルには、損害賠償請求はできないとの助言があり、消防本部ではその助言に基づき損害賠償請求はできないと判断した。
  カ 令和元年11月11日、全国消防長会から消滅時効期限は令和2年8月3日となる可能性があることの報告を受けた。
  キ 令和2年2月6日、株式会社富士通ゼネラルに対し、公正取引委員会からの排除措腔命令及び課徴金納付命令に対する取消訴訟の状況についての報告を求めた。その結果、平成29年2月付けの排除措置命令と課徴金納付命令に対し、全部取消しを請求内容として提訴したことを確認した。
  ク 令和2年2月25日、東京地方裁判所に、事件番号平成29年(行ウ)第356号排除措置命令等取消請求事件の審理に係る証明申請を行い、令和2年3月2日付で係属中であることの証明を受理した。
  ケ 今後も研究、他市の状況の情報収集等をしっかり行い判断し、適切に対応したい。

5 監査対象事項
  請求書、陳述及び添付された資料から勘案して、市の①東日本電信雷話株式会社に対する本件契約に基づく違約金請求権及び損害賠償請求権②株式会社富士通ゼネラルに対しての損害賠償請求権③財産の管理を違法又は不当に怠る事実を監査対象事項とした。

第3 監査の結果
1 事実関係の確認
  監査対象事項について、関係する法令及び例規等と照合、関係書類等の調査、監査対象部局からの関係人調査を実施した結果、次の事項を確認した。
  ア 入札及び契約の経緯
    平成25年4月11日  桐生市消防救急無線デジタル化整備工事の一般競争入札を公告

<P5>
    平成25年5月17日  開札:東日本電信電話株式会社群馬支店と株式会社富士通ゼネラル情報通信ネットワーク営業部の2社が応札し、東日本電信電話株式会社群馬支店が9億8,500万円で落札。
    平成25年5月21日  建設工事請負仮契約を締結
    平成25年6月24日  議会の議決後、本件契約を締結

  イ 設計について
    委託の方法により、平成21年に基本設計、平成24年に実施設計が完了している。

  ウ 入札執行について
    入札執行等について本件工事入札は、事後審査型条件付一般競争入札の方法により行われ、その内容は、地方自治法施行令第167条の6第1項及び桐生市契約に関する規則第4条の規定に基づき、平成25年4月11日に公示されている。
    また、当該入札の落札額は、9億8,500万円(税抜き)で予定価格は、10億 2,672万7,400円(税抜き)、落札率は95.9パーセントである。

2 監査委員の判断
  以上の事実関係の確認、関係書類の調査等を総合して、以下判断について述べる。
 (1) 東日本電信電話株式会社に対する本件契約に基づく違約金請求権及び損害賠償請求権
  ア 違約金請求権について
    本件工事請負契約の約款第42条の2第1項では、違約金が適用されるのは、受注者が私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律(昭和22年法律第54号。以下、「独占禁止法」という。)に違反し、排除措置命令や課徴金の納付命令を受け、それが確定した場合などとなり、違約金が課せられる対象者は受注者に限定されており、東日本電信電話株式会社は、公正取引委員会による排除措置命令及び課徴金納付命令の名宛人ではなく、本件契約約款第42条の2第1項各号のいずれにも該当しない。
    また、本契約の受注者である東日本電信電話株式会社は、消防本部の聞き取りにおいて株式会社富士通ゼネラルとの不正行為を否認しており、本契約の受注者である東日本電信電話株式会社における違約金は、発生しないものと考える。
    なお、請求人が主張する東日本電信電話株式会社が富士通ゼネラル株式会社の代理店等である根拠として東日本電信電話株式会社が、提出したとされる「機器供給証明書」は桐生市消防本部には提出されていなかった。

  イ 損害賠償請求権について
    公正取引委員会は、株式会社富士通ゼネラルに対する課徴金納付命令において、独占禁止法第7条の2第1項の規定により、株式会社富士通ゼネラルの独占禁止法第3条に違反する行為の実効期間が平成23年4月17日から平成26年4月16日までの3年間と認定した。そして、本件契約は、株式会社畜士通ゼネラルが不当な取引制限を行っていた期間になされたものに該当する

<P6>
として、本件契約の物件が、課徴金算定対象物件一覧に記載されている。
    なお、公正取引員会の課徴金納付命令書には、本件契約の事実認定に関する記載が存せず、東日本電信電話株式会社の関与は明らかでない。また、課徴金算定対象物件一覧に記載のあった他市の例では、公正取引委員会に契約業者が談合に関与したか否かについて行政文書開示の請求をしたが、不開示だったとの情報もある。
    よって、東日本電信電話株式会社は、公正取引委員会の認定による「代理店等」と明確に断定することはできないため、現段階では、損害賠償請求権は生じない。

 (2) 株式会社富士通ゼネラルに対する本件契約に基づく損害賠償請求権
   独占禁止法第25条は、同法第3条、第6条または第19条及び第8条の規定に違反する行為をした事業者等が、被害者に対し、損害賠償の責めに任ずることを規定している。また、民法第709条は「故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。」と規定しており、この場合、故意、過失の立証責任は債権者にあることが前提となっている。そのため、株式会社富士通ゼネラルに対して損害賠償請求を行う場合には本契約において、株式会社富士通ゼネラルの独占禁止法違反により、市に何らかの損害があったことを因果関係を含め立証する必要がある。因果関係の立証は(1)のア、イで既述したように受注者は東日本電信電話株式会社であり、また、一般的な損害額は、実際の契約金額と本来の想定落札額との差額とされるが、想定落札額を証明するにあたっての合理的な根拠を挙げることは、極めて困難であり更なる研究が必要であることが関係職員との調査において確認された。
   また、本件契約約款第42条の2第1項で定められた違約金の規定は、民法第420条第1項に規定された損害賠償額の予定について契約相手である東日本電信電話株式会社との約定と解される。よって、市は、現段階では株式会社富士通ゼネラルに損害賠償請求を行うことは難しいと考える。

 (3) 不当に財産の管理を怠る事実について
   関係職員の調査において、市は、損害賠償請求について顧問弁護士にも相談を行い、また、総務省消防庁及び他の消防本部などと情報交換を行いつつ情報等を収集しているが、違約金や損害賠償請求に向けた確たる根拠・証拠は認められず、請求先の特定や損害額の確定等において研究を行っていることが認められることから、損害賠償請求権等の行使を怠っているとは言い難い。

第4 結論
   以上のことから、現時点において、平成25年5月21日締結の本件工事請負契約に関し、株式会社富士通ゼネラルの独占禁止法違反による不法行為によって、市は、損害を被ったとは認められないため、不当に財産の管理を怠っているとは認められない。よって本件住民監査請求における請求人の主張には理由が認められず、これを棄却する。
*********

■呆れました。桐生市の顧問弁護士が損害はないと言っているとか、東日本電信電話会社に文書で確認したら談合はしていないと言ってきたとか、約款に照らしても契約相手以外のことは触れていないとか、要するに損害賠償請求をする意思がないことを表明しています。

 その一方で、調査研究をしているので、財産の管理を行っているわけではない、などと自らの怠慢を弁護しています。

 桐生市では、消防救急無線デジタル化整備工事として、2013年5月17日午前9時10分に一般競争入札形式で電子入札が実施され、東日本電信電話㈱群馬支店と、㈱富士通ゼネラル情報通信ネットワーク営業部の2社が入札し、わずか400万円の差で、東日本電信電話会社、いわゆるNTT東日本群馬支店が落札しました。



 しかし、NTT東日本は通信機器のメーカーではなく販売会社であり、富士通をはじめ、東芝など各通信機器製造メーカーの製品を取り扱っていることから、当然、通信機器製造メーカーの製品より高いはずです。それなのに、製造メーカーでないNTT東日本が製造メーカーの富士通ゼネラルより安い価格でオファーすること自体、不自然です。

 初めから、富士通製品をスペックインしておき、あとは富士通ゼネラルとその取扱い業者(NTTも含めて)を代理店として起用し、形ばかりの一般競争入札を演じて、高い価格で納入していたことは明らかです。

 公取がこうした基本的なことを調べていないはずがありません。なぜもっと積極的に全国の消防組合や消防本部に情報提供をして、余分に支払われた血税を返還させるための支援を行おうとしないのも不思議です。

 当会会員は引き続き、在住する桐生市の税金無駄遣い体制を追及すべく、今後も監視を強めていきたいとしています。

【市民オンブズマン群馬事務局からの報告】

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【消防救急デジタル無線談合】館林地区消防組合監査委員から住民監査の結果として「棄却」通知が届く

2020-03-26 23:25:00 | 消防救急デジタル無線談合

■消防救急デジタル無線の入札談合問題は、公正取引委員会が2017年2月2日に独占禁止法違反で排除措置命令及び課徴金納付命令を出したことが発端です。以来、全国市民オンブズマン連絡会議は、全国各地の各オンブズマン組織に対し、消防本部が業者に損害賠償請求させるよう呼びかけてきました。当会「市民オンブズマン群馬」も、いち早く入札調書等を関係消防組合から情報公開請求により入手し、動向を注視してきました。最近では2019年9月28-29日に岐阜市で行われた「第26回市民オンブズ全国大会in岐阜・2019」において、消防デジタル無線談合について、該当自治体に遅くとも2020年7月までに住民監査請求をするよう呼びかけが行われました。
 これを踏まえて当会は、今年1月29日付で、高崎市・安中市消防組合(高崎市等広域消防局)、桐生市消防本部、館林地区消防組合消防本部に対して、各地の会員により手分けして住民監査請求書を提出しました。このうち、先陣を切って、館林地区消防組合監査委員から3月23日付で監査結果通知が送られてきました。結果は「棄却」でした。

館林地区消防組合消防本部(館林市美園町7-3)。同消防組合は、群馬県館林市、邑楽郡板倉町、明和町、千代田町及び邑楽町によって組織された一部事務組合(消防組合)。管轄区域は上記の1市4町。管内面積:175.37km2、職員定数:191名、消防署5カ所、分署2カ所、主力装備:ポンプ車1・水槽付ポンプ車10・はしご車1・化学車1・指揮隊車1・電源照明車1・水槽車1・救急車8・救助工作車および資機材搬送車5・その他13(2019年10月1日現在)。

 なお、住民監査請求書については次のブログ記事を参照ください。
○2020年1月31日:【消防救急デジタル無線談合】時効が迫る中、群馬県でも3消防組合に住民監査請求
https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/3115.html
○2020年3月6日:【消防救急デジタル無線談合】館林地区消防組合監査委員に対して当会会員が証拠提出と陳述
https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/3130.html

 それでは、さっそく監査結果通知の内容を見てみましょう。

*****監査結果通知*****ZIP ⇒ 20200325hgm.zip
<P1>
                         令和2年3月23日
館林市台宿町1-31
小林 光一 様

                       館林地区消防組合
                        監査委員 冨永 裕文
                        同    今村 好市

   館林地区消防組合職員措置請求に対する監査結果について(通知)

 令和2年1月29日付けをもって、地方自治法第242条第1項の規定に基づき提出された消防救急デジタル無線設備整備工事に関する措置請求について、監査の結果を同条第4項の規定により下記のとおり通知します。
                記
第1 請求の受理
 本請求は所要の法定要件を具備しているものと認め、令和2年2月10日付けでこれを受理した。

第2 監査の実施
1 請求人の証拠の提出及び陳述
地方自治法第242条第6項の規定に基づき、令和2年2月20日付書面(陳述の必要がある場合には、3月4日までに事務局へ連絡をして下さいとの内容とした。)にて、請求人に対し証拠の提出及び陳述の機会を与えた。結果、令和2年3月4日付陳述はしないが、陳述書として提出する旨の請求大からの提出があった。

2 監査対象事項
  本監査請求に係る監査対象事項は、措置請求書に記載されている事項及び請求人による陳述書の内容を勘案して監査を実施した。
(1)請求の要旨
   請求書の内容を検討した結果、平成29年2月2日に公正取引委員会が消防救急デジタル無線機器の製造販売業者である株式会社富士通ゼネラルを含む合計5社に対し、独占禁止法違反があったと認定し、排除措置命令及び課徴金納付命令を行った。

<P2>
   これにより、館林地区消防組合が平成25年6月28日締結の消防救急デジタル無線設備整備工事に関して、直接の契約である東日本電信電話株式会社は独占禁止法違反をした株式会社富士通ゼネラルの代理店等に該当する為、館林地区消防組合は、損害賠償請求権を有しているにも関わらず、何ら措置をとっていないと主張しており、消防組合に対し必要な措置を講ずることを請求している。
   よって、下記事項を監査の対象とした。
  ①館林地区消防組合・東日本電信電話株式会社との契約に基づく違約金請求又は損害賠償請求について
  ②館林地区消防組合と株式会社富士通ゼネラルの間に係る損害賠償請求について
  ③館林地区消防組合としての対応状況はどうであったか

3 監査対象課
  消防救急デジタル無線設備整備工事に関する入札及び契約の担当である館林地区消防組合総務課を監査対象とし、令和2年2月10日に関係職員より陳述を聴取し、各必要書類の確認等を実施した。

4 監査対象課の説明
(1)平成28年1月27日、公正取引委員会事務総局第四審査長より、平成26(査)第 9号消防救急デジタル無線機器の製造販売業者らに対する私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律(昭和22年法律第54号)に基づく事件調査のための報告依頼書(公審第54号)を受理した。
(2)平成29年2月2日、公正取引委員会事務局審査局長より、特定消防救急デジタル無線の発注に際して留意すべき事項について(連絡)(公審第50号)を受理した。
(3)平成29年2月6日、午前11時から会計検査院実地検査を館林市役所にて実施したが指摘事項等はなく終了した。
(4)平成29年2月9日、公正取引委員会事務総局審査局管理企画課長へ消防救急デジタル無線の製造販売業者に対する件に関する資料の提出について(依頼)を発出し、課徴金納付命令書(株式会社富士通ゼネラルに対するもの。)抄本を請求した。
(5)平成29年2月20日、公正取引委員会事務総局審査局管理企画課長より資料提出の依頼について(回答)(公審第155号)により課徴金納付命令書(平成29年(納)第1号)の抄本の提出を受けた。
(6)平成29年3月15日、消防庁防災情報室より各都道府県宛てに消防救急無線のデジタル化に係る契約等に関する調査について(依頼)(事務連絡)があり、群馬県経由で国へ調査表(仕様書・入札時の質疑等・契約書)を提出

<P3>
した。
(7)平成29年3月20日、沖電気工業株式会社より公正取引委員会の排除措置命令に基づく通知を受理した。
(8)平成29年3月27日、日本無線株式会社及び日本電気株式会社より公正取引委員会の排除措置命令に基づく通知を受理した。
(9)平成29年3月29日、株式会社日立国際電気及び株式会社富士通ゼネラルより公正取引委員会の排除措置命令に基づく通知を受理した。
(10)平成29年7月27日、株式会社富士通ゼネラルより公正取引委員会から排除措置命令及び課徴金納付命令に対する取消訴訟の提起についての通知を受理した。
(11)平成29年10月4日、消防庁防災情報室より、消防救急デジタル無線機器の製造販売業者に対する違約金等の請求を行った場合の報告書について事務連絡通知があり、館林地区消防組合は、現時点での違約金請求は行っていない旨の報告をした。
(12)平成29年10月17日、消防庁防災情報室より、消防救急デジタル無線のデジタル化に係る契約に関する調査について追加調査があった。群馬県総務部消防保安課経由で追加調査表を提出した。
(13)平成29年12月8日、顧問弁護士へ諮問を実施し、請求等はできないとの回答を受ける。
(14)令和2年2月13日、株式会社富士通ゼネラルの現在の取消訴訟の状況について問合せの回答を受理した。
(15)令和2年3月16日、東日本電信電話株式会社より、消防救急デジタル無線設備整備工事の建設工事請負契約における違反行為の事実確認についての回答を受理した。

第3 監査の結果
1 事実の認定
  請求の内容及び添付書類、陳述書、関係職員の陳述、消防組合の関係書類等から、次の事実が確認できる。
(1)契約の締結について
    件   名 消防救急デジタル無線設備整備工事
    工 事 場所 館林消防本部、各消防署
    契 約 方法 指名競争入札
    受 注 者 東日本電信電話株式会社
    契 約 金額 320,260,000円
    契約年月日 平成25年6月28日
(2)受注者との建設工事請負契約約款について

<P4>
   違約金等における条項は、下記のとおりである。
    (談合等不正行為があった場合の違約金等)
   第47条の2 受注者(受注者が共同企業体であるときは、その構成員のいずれかの者。以下この項において同じ。)が、次の各号のいずれかに該当したときは、受注者は、発注者の請求に基づき、請負代金額(この契約の締結後、請負代金額の変更があった場合には、変更後の請負代金額)の10分の1に相当する額を違約金として発注者の指定する期間内に支払わなければならない。
   (1)この契約に関し、受注者が私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律(昭和22年法律第54号。以下「独占禁止法」という。) 第3条の規定に違反し、又は受注者が構成事業者である事業者団体が独占禁止法第8条第1号の規定に違反したことにより、公正取引委員会が受注者に対し、独占禁止法第7条の2第1項(独占禁止法第8条の3において準用する場合を含む。)の規定に基づく課徴金の納付命令を行い、当該納付命令が確定したとき(独占禁止法第7条の2第10項の規定に基づき課徴金の納付を命じない場合を含む。)。
   (2)この契約に関し、受注者(法人にあっては、その役員又は使用人を含む。)の刑法(明治40年法律第45号)第96条の3又は独占禁止法第89条第1項若しくは第95条第1項第1号に規定する刑が確定したとき。
2 受注者が前項の違約金を発注者の指定する期間内に支払わないときは、受注者は、当該期間を経過した日から支払いの日までの日数に応じ、年5パーセントの割合で計算した額の遅延利息を発注者に支払わなければならない。
(3)公正取引委員会からの排除措置命令及び課徴金納付命令について
 公正取引委員会は、平成29年2月2日に消防救急デジタル無線装置の製造販売業者に対して独占禁止法第3条に違反したとして排除措置命令 (5社)及び課徴金納付命令 (4社)を行った。株式会社富士通ゼネラルについては、現在上記命令の取消訴訟の係争中である。
(4)判断
   ①館林地区消防組合・東日本電信電話株式会社との契約に基づく違約金請求又は損害賠償請求について
    館林地区消防組合との直接の契約会社である東日本電信電話株式会社については、平成29年2月2日の公正取引委員会による排除措置命令及び課徴金納付命令の直接の名宛人となっていない。
    公正取引委員会の認定による、「代理店等」にあたるかどうかの判断については、請求人から提出のあった陳述書の中の証明も可能性はあるが、館林

<P5>
地区消防組合において東日本電信電話株式会社へ契約違反の事実確認をするが、違反行為の事実はないとの回答であり、東日本電信電話株式会社と株式会社富士通ゼネラルとの間に独占禁止法違反行為があったという証拠書類を館林地区消防組合は入手した事実がない。
    このことから、館林地区消防組合は東日本電信電話株式会社に対して違約金請求の対象であるとは言い難いと判断する。
    また、館林地区消防組合は、東日本電信電話株式会社から損害を受けている場合には、損害賠償請求を行うべきであるが、上述した違反行為に対しての東日本電信電話株式会社からの回答は違反行為の存在についてはないと回答をしている点からも損害賠償請求権はないと判断せざるを得ない。
   ②館林地区消防組合と株式会社富士通ゼネラルの間に係る損害賠償請求について
消防救急デジタル無線設備整備工事について、館林地区消防組合と株式会社富士通ゼネラルの直接契約ではなく、株式会社富士通ゼネラルについては、公正取引委員会からの排除措置命令及び課徴金納付命令について現在取消訴訟中であり、独占禁止法違反行為を認めていない状況である。
    また、館林地区消防組合は、独占禁止法違反行為により損害を受けているという事実証明をする資料が存在していない為、損害賠償請求をするべきであるとは言い難いと判断する。
   ③館林地区消防組合としての対応状況はどうであったか
    消防救急デジタル無線設備整備工事に関する館林地区消防組合担当課からの陳述及び関係資料の確認をし、契約上の不備はなく適正な金額での入札を実施しており、契約金額についても適正価格での契約締結をしており、違反行為により館林地区消防組合が損害を被っている事実は認められない。
    また、館林地区消防組合としては公正取引委員会による排除措置命令及び課徴金納付命令が行われた後、弁護士に諮間を実施し、請求等はできないとの回答を得ていた。よって、館林地区消防組合が業務を怠り、請求をしていなかったということにはなり得ない。

第4 結 論
   以上のとおり、館林地区消防組合は東日本電信電話株式会社に対し違約金請求及び損害賠償請求、株式会社富士通ゼネラルに対する損害賠償請求については、現時点において何ら措置をとっていないとは認められない。よって、本請求は棄却する。

第5 意 見
   株式会社富士通ゼネラルについては、現在訴訟中につき談合の事実は確定し

<P6>
ていない為、後の動向を見て館林地区消防組合としては対応をされたい。
   また、損害の事実、違反行為の事実については調査を引き続き実施し、何らかの証拠等が判明した時には法的措置をとる必要があると考える。
**********

■このように、監査委員は「NTT東日本に対し、契約違反の事実確認をするが、『契約違反の事実はない』という回答を得たため、損害賠償請求権はないと判断せざるを得ない」としました。

 また、「富士通ゼネラルについては、現在公正取引委員会からの排除措置命令及び課徴金納付命令について取消訴訟中であり、独占禁止法違反行為を認めていない。また、館林地区消防組合は独占禁止法違反行為より損害を受けているという事実証明をする資料が存在していない為、「損害賠償請求をするべきであるとは言い難いと判断する」としました。

 なお、最後に監査委員の意見として、「富士通ゼネラルは係争中なので、その結果いかんによっては本件違約金の対象になる可能性があるので引き続き消防組合に対して、調査研究をしておくように」と付言しています。

■この監査結果通知を読んだ当会会員は、さっそく疑問点をしたためて、館林地区消防組合消防本部の消防司令補のひとり宛に、FAXで質問しました。
※館林地区消防組合消防本部消防司令補あてFAX: ZIP ⇒ 20200226nhghifax.zip
○2020年3月26日:市民オンブズマン群馬・館林支部代表「小林光一ブログ」館林消防住民監査請求 その4
http://town18.blog.fc2.com/blog-entry-1752.html

 当会会員はさらに、3月26日午後5時ごろ館林地区消防組合を訪れて、監査結果文章の疑問点について打ち合わせてきました。消防組合側の保有する資料は膨大にあって、それをすべて見ることは不可能であったので、その無線設備の実態を写真に収めてきました。

消防本部庁舎屋上の基地局鋼管製アンテナ鉄塔。

基地局のサーバーやディスプレーが並んだラック。

基地局無線装置のパネル内部配線の様子。

基地局電源ユニット。

携帯無線端末と取説。

通信指令室。

■司令補から説明を受けた当会会員によれば、東日本電信電話と富士通ゼネラルの間で談合があったかどうかの内容は聞けませんでした。館林地区消防組合として、「独自に情報を得る術はなく、他の消防組合や消防本部で発覚したことを捕えて、談合の実態を解明する方法が現実的に取り得る対応だけで、その他に可能な調査法はない」と言っていました。

 また消防救急デジタル無線設備について、「自分たちにとってあまりにも専門的過ぎて、談合がどのように仕組まれたのか、技術的にどのように他の業者を排除して特定業者の受注を許したのか、といった背景まで捉えられない」と述べていました。「群馬県の消防本部(?)で、発注会社の指示で動いているのではないか」とも言っていました。

 こうした説明から浮かび上がってくるのは、無線といういわば消防署員にとってブラックボックスのような特殊分野であることから、業者の説明を鵜呑みにするのが精いっぱいで、無線業界の好きなように騙されたというのが実態のようです。

 いずれにしても、富士通ゼネラルが依然として係争中なので、時効の心配はないこと、また現在進行中の訴訟の結果、代理店等についての関与の実態も明らかになる可能性があるとして、消防組合の監査委員は当会会員の監査請求を棄却しました。

 今後とも、この間接販売による新たな談合形態に注目し、地元の消防組合の対応に目を光らせていきたいと思います。


平成25年(2013年)6月4日の入札調書。富士通ゼネラルが辞退し、富士通製品を扱う扶桑電通よりも東日本電信電話会社のほうが安い価格で札を入れ、しかも、富士通ゼネラル自体が入札を辞退したのです。これでは、入札価額は明らかに弄ばれたとしか言いようがない。

※参考情報:館林地区消防組合人事行政の運営等の状況の公表(2018年4月1日現在)
ZIP ⇒ 20180401nhge.zip

【市民オンブズマン群馬事務局からの報告】

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群馬高専アカハラ・寮生連続死問題を追う…2020年度目前のいま注目される群馬高専の現況

2020-03-22 23:46:00 | 群馬高専アカハラ問題

2019年度から群馬高専の事務方ツートップとなった亀原正美・事務部長と尾内仁志・総務課長。適役がいなかったのか、亀原氏は学生課長も兼務している。亀原氏は文科省を含め全国区に飛び回って華々しく経験を積んできた一方で、尾内氏は筋金入りの群馬ローカル叩き上げとして人生を捧げてきたことがうかがえる。対照的な経歴の両輪であることがわかる。

■また季節は廻り、群馬高専アカハラ問題をめぐる同校と当会の闘いは5年目に突入しようとしています。事件当時、責任者であった天下り・西尾典眞前校長は、徹底的な揉み消し圧力と隠蔽方針で、群馬高専アカハラ・寮生連続不審死問題を取り返しがつかないまでに深刻化させていきました。そして当会と世間の追及を浴びる中、2017年4月に出元の文科省へ逃亡していき、同年度末に文科省も定年退職して、その後の行方は杳として知れません。西尾前校長に代わって就任した山崎誠校長は、強硬な隠蔽姿勢を引き継いで、事件解決は徹底的に阻む態度を見せました。

 アカハラ事件を起こした張本人である電子情報工学科の雑賀洋平教授については、処分どころかマトモな調査もアカハラの事実認定もなされないまま今に至っています。2019年度に入り沼津高専に「高専間人事交流」で異動し、同校で給与ただ食いのニート状態にあることが話題になりました。2020年度に群馬高専に復帰することは織り込み済みでしたが、信じられないことに、復帰後いきなりJ科3年生の正担任に着任する可能性が高い事態にあることが判明しました。

○2020年3月4日:【仰天速報】反省なき凶悪アカハラ犯・雑賀洋平が群馬高専に堂々凱旋+J科3年クラス正担任着任か!?
https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/3127.html

【末尾に3/30追記有】

■ただの教員と、学科の正担任では、学生との関与度は比較になりません。基本的には進級に伴って同じ学級を担当することになるため、新J科3年生の学級を卒業まで逐一見守り、学業や進路に密接に関わっていく役目のはずです。

 雑賀洋平は、学科長の権力を濫用して学生や新任教員をいたぶっては精神科通いや不登校に追い込み、学生の能力をあげつらっては進学を台無しにしてきた男です。あれほどの大事件を起こしておきながら、天下り校長の保身で揉み消してもらったのをいいことに、反省もなくノウノウと過ごし続け、あげくには山崎校長直々に動き沼津にまで逃がすことになったほどの御仁を、何のケジメや再発防止の確約もないままに突如3年生の担任に据えようとは、あまりにも論外過ぎます。知った時はあんぐり口を開けてしまいました。


山崎誠・群馬高専校長(2017/4~)。就任直後の2017年6月6日の面談では直々に対応を行ったが、その後、本件に関しては事務方に任せるばかりで顔を見せなくなった。

■雑賀洋平によるアカハラは、学科長着任後の2014年度からピークに達しました。その様子は当会からの報告、あるいはウェブ上に掲載されている被害者らの報告(https://matome.naver.jp/odai/2146812087631891701)にて周知のとおりです。

 そして被害者らの告発を受けた当会による調査が2015年度から始まりました。その後、2015年度末に学科長の任を解かれ、その旨がJ科保護者に配布された経緯があったようです。この解任はアカハラ事件を受けてというより、単に学科長任期(2年間)が切れただけという説が有力ですが、いずれにせよ雑賀の処遇動向について文書配布して伝えるなど、群馬高専なりに保護者らの感情を爆発させないよう気を配っていた様子が見て取れます。

 ところが今回は、事件の風化と後援会の弱腰をいいことに、沼津から戻った雑賀を一気呵成に担任のポジションに据えることで、アカハラの不存在・アカハラ事件前への回帰を多少強行的にでも既成事実にしてしまいたい意図が見て取れます。反発は起こらないと読んでいるのか、あるいは多少反対意見が出ても押し切れると読んでいるのかはわかりませんが、とにかく西尾体制ですら最低限は配慮していたはずの保護者感情についても、今回は度外視して強行する構えであることが読み取れます。

■しかし、いくらなんでも実際に担任に就任してしまえば相当な反発を受けるリスクがあるはずです。それをいとわないということは、何かしらの思惑が裏に秘められている可能性があります。

 そのファクターとして高専関係者から示唆されているもののひとつは、「高専間校長異動による山崎校長の退任」の可能性です。

 高専機構では、高専・大学の教員から高専校長になると、よほどのこと(不祥事や家庭の事情で辞任など)が無い限り、基本的に6年間校長を勤めて退職する慣例があるようです。ところが近年、高専機構は、校長を高専間で異動させる施策を推進し始めており、6年間の校長生活を3年間と3年間に分割するやり方を基本に、その浸透を図っているようです。

 そこで高専幹部の名鑑をチェックしてみると、「有明高専(H28就任)→旭川高専(H31就任)」「米子高専(H28就任)→鹿児島高専(H31就任)」「弓削商船高専(H29就任)→高知高専(H31就任)」など、確かにそのような事例がここ最近連発していることがわかりました。

■そうなると、まさに群馬高専校長の3年目を終えようとしている山崎誠校長の今年度末進退も大きく注目されます。高専関係者の話によれば、「高専プロパー校長は、高専機構から3年間で成果を出すよう強いプレッシャーがかけられている」そうです。

 では、山崎校長が就任にあたり課せられたミッションは何だったか、といえば、西尾典眞により引き起こされた混乱の尻拭きであったことはいうまでもありません。どのように尻を拭くか、その手腕こそが焦点でしたが、結局山崎校長はポジティブな解決策を一切取らず、「臭い物に蓋」な手法を徹底し続けました。その有様は当ブログでも度々ご報告のとおりです。

 当会の情報開示請求に対する異常なまでの黒塗り姿勢や、アカハラ情報不開示処分訴訟での意味不明な主理由による控訴など、当会の調査追及への遅滞・妨害作戦はかなりのものでした。西尾典眞や文科省のイヌとしては確かに文句なしの働きですが、教育者としては魂を捨て去ったに等しい所業と評さざるを得ません。

■オンブズマン対応という局所的な話題のみならず、山崎体制における「臭い物に蓋」方針は、対外的な面でも徹底されました。その真骨頂は、鶴見副校長(当時)と結託しての「入試改革」です。

 群馬高専は、電子情報工学科アカハラ事件や寮生連続不審死事件、それに対する西尾校長の揉み消しと脅迫によって信頼が大幅に失墜し、2018年には139名と過去最低クラスの出願者数を記録していました。その現実に直面してさすがに信頼回復に努めるだろうと思いきや、山崎校長が選んだのは「入試自体をユルユルに書き換えてしまう」という極めて短絡的な手段でした。

 この入試大改悪は5本の柱からなるものでしたが、当初はそのうち一番軽い推薦要件変更にすら教員らから慎重論が飛び出る代物でした。そのような状況にも関わらず、山崎校長は鶴見教務主事(当時)と密室で結託して、併願制、第三志望制、更には推薦定員増加・一般定員削減など、極めて重大な変更の数々をでっち上げ、自学の教員らにもろくに目も通させないままに既成事実化してしまったのです。

 そして鶴見氏は、「入試改革の立役者」という成果を手に、悠々と校長候補として高専機構本部に栄転していきました。経緯は以下の記事をご覧ください。

○2018年2月3日:【速報】群馬高専の一般学力試験出願者数が確定!
https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/2555.html
○2019年2月4日:平成最後の入試で念願の志願者数回復?…実は何でもありの入試ルール変更でゴマ化した群馬高専のガタガタ内情
https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/2878.html
○2019年7月10日:【群馬高専】開示文書から読み解く入試大改変の経緯…その裏に副校長の実績作りがアリアリ!
https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/2976.html

■こうした表面上の努力と必死の火消し、事件の風化が功を奏したのか、群馬高専の志願状況は回復を始めているようです。

 令和最初の入試となった令和2年度入学者選抜の出願状況を確認すると、最終出願者数は以下のような結果になっています。

推薦入試:M32・E21・J46・K50・C41 計190名
一般入試:M29+3・E23+2・J40+2・K40+1・C43+1 計175+9=184名
(※一般入試の出願者数は単願+併願の形で表記)

※参考データ
R2群馬高専推薦入試出願状況 ZIP ⇒ et.zip
R2群馬高専一般入試出願状況 ZIP ⇒ t.zip

 という訳で、定員改変後は事実上、各学科で推薦:一般=20:20になっていることを考え合わせれば、定員割れは大きく回避されていることがわかります。去年の一般入試出願者数である195+4の計199名からは微減しているものの、2018年の破滅的な状況からは程遠い回復ぶりを見せています。

■身も蓋もない「鶴見入試改革」の効果が当たり前のように実証されてしまったと共に、アカハラ・寮生不審死事件の風化を否が応でも痛感させられる現状です。しかし、高専関係者や教育関係者らによれば、出願者数回復にはこれらに加えてもうひとつ大きな要素があるようです。

 すなわち、近年はいわゆる大学入試改革周りがゴタゴタを極めているため、そうした問題に振り回されることを嫌った保護者と受験生の流入先となっている、という事情です。

 現政権が「高大接続」「2020大学入試改革」と銘打ち、センター試験廃止と共通テスト導入を筆頭に推進している入試改革については、ご存知の通り土壇場に来て致命的な問題が噴出しています。これは、ベネッセ社と政・官の癒着の果てに、利権による「改革ありき」で強引に推し進められた帰結です。そして、英語民間試験導入・共通テスト国数記述式導入を文科大臣直々に延期・撤回表明するなど度々ニュースを騒がせるたびに、大学進学を目指す高校生らは二転三転する方針に振り回され、疲弊している状況のようです。

 そこで、学習塾を運営し、自ら教鞭も執る当会事務局長に、群馬高専の志願動向に関する見解を聞いてみました。すると、「大学入試が変わるので、受験生とその親が安心を求めて高専を選択したと考えるのが妥当なところですね。センター試験に代わる新入試制度も62億円でベネッセコーポレーションに丸投げです。文科省のだらしなさが受験生たちに不安を煽っているのです。困ったことです」とのことです。国立大への編入ルートが充実しており、更に、進学を選ばなくても就職が安泰な高専は、まさにこうした混乱を背景に、漁夫の利で需要を伸ばしているとみることができます。

 しかし、文科省がしでかしている大学入試改悪問題が出した泥が、回りまわって文科省天下り官僚が群馬高専に残した傷にかかって見えなくさせているのですから、まさにマッチポンプここに極まれりという風情です。

■とはいえ現状を見ると、西尾典眞が残した負の遺産をあの手この手で風化させ、一切無かったことにするという山崎誠校長のミッションは、幸運も手伝って表面上はおおかた達成されたと言えなくもありません。

 そしてその「ミッション」の集大成が、雑賀洋平の担任着任ではないか、と一部の高専関係者らの間で指摘されています。とある関係者が推測するところによると、「普通は大騒ぎは嫌うはずなので、騒ぎを避けるようにするのですが、学科の意向で雑賀氏の担任を決めたとしても、揉み消し大好きな山崎氏が認めた事に驚かされます。山崎氏は校長異動がほぼ決まっていて群馬高専に心なしなのかもしれません」とのこと。

 更に、他高専関係者の私見によれば、担任着任においてはおおむね以下のような運用がなされているようです。

**********
他高専でも学科によって異なりますが、内々には11月〜1月頃に担任は決まっていますが、生徒に発表するのは4月1日です。
その理由は、内々に担任が決まっていても、突然異動したり、突然病気になったり死亡する可能性、発表したあとの急変更で混乱する場合があるからです。実際に他高専では副校長や主事補ですらも3月の下旬に本人の事情や病気などで突然変更になった例もあります。

その点では担任を発表できないと言う群馬高専の事情も理解できないわけではありません。
しかしながら、雑賀氏はいわく付きの人物なので、戻ってから少なくとも1年は様子を見るのが普通かと思います。
4月1日に雑賀氏が3学年の担任になったことをいきなり知らされ、学生や保護者が大騒ぎするかもしれません。
**********

 ところが、山崎校長の異動説が真であれば、「大騒ぎ」されようが既に後の祭りで、自分は火の粉を被らないことになります。山崎氏がここまで強行的に「事件前への回帰」を仕立て上げようとする背景には、群馬高専がどうなろうがもう知ったことではないので、「成果」として問題鎮火ミッションの総仕上げを執り行いたいという思惑があるのかもしれません。

■ところで、別の視点から見て気になるのは、群馬高専として、帰還後の雑賀洋平をどうコントロールしていく想定なのか、ということです。

 担任なら相手する生徒が大多数ですので、変なことをしでかせば、即座に大騒ぎになるのは必至です。皮肉を言えば、学科の監視体制とフォロー体制が整っているという条件の下であれば、学級そのもの自体は、研究室の閉鎖空間よりはマシと見ることもできるのかもしれません。

 ただし、雑賀教授の居室のガラスの目張りを無くすのは最低条件となります。生徒指導(万引きなど問題発生時の事情聴取など)で、生徒のプライバシーを保つ必要があるなら、その時だけカレンダーなどで隠せば良いだけです。常時目張りするのは異常というほかありません(他複数高専でも、常時の目張りは認められていないようです)。

 ところで、雑賀教員室・研究室のドアガラスの目張りの件について、改めて説明と現状報告をします。当会として雑賀教員室のドアガラスの目張りを直接確認したのは、2019年11月初頭のことでした。

○2019年11月8日:19秋・潜入調査記in群馬高専…アカハラ犯・雑賀洋平の「今」とその狙いを探る(2)
https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/3070.html

■雑賀氏のアカハラの中には、密室にした教員室・研究室で学生を長時間理不尽に叱責・罵倒するといった類のものもありました。アカハラを外から見えなくした目張りなど、群馬高専は即座に引っぺがさせなければならない立場のはずです。

 すると、当会の報告を読んだ高専関係者からの情報提供があり、高専のドアの透明ガラスは、2006年の徳山高専女子学生殺害事件を受けて、犯罪発生防止のため高専機構直々の命令で取り付けられているという歴史的経緯があるらしいと判明しました(上記記事中追記参照)。そうなると、ドアの目隠しは当然その趣旨をないがしろにし、高専機構の権威に真っ向から泥を塗る代物であるはずです。

 そうしたことから、2019年11月28日、群馬高専総務課村田課長補佐宛てにメールで目張りの件に関する質問を送っていたところ、同12月10日に、「機構本部からの通知等を確認し,対応を検討いたします。」と返事がありました(https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/3096.html)。

■年が明けても音沙汰がないので、1月28日に電話を掛け「雑賀教員室のドアのガラス窓の目張りについて、回答はいつもらえるのか」と訊いたところ、すっとぼけた口調で返事を返すので、再度問題を指摘したうえで、「1月末までにかならず回答されたい」と強く要請しました。すると、ようやく1月30日に群馬高専からメールで以下の見解が寄せられました。

**********
(前略)
また,一昨日お電話いただいた中で,先月別件でご回答いたしました研究室等のドアの透明ガラスの目張りについての確認がございましたが,こちらにつきましては,透明ガラスのドアを使用している教職員に対し,改めて透明ガラスを設置した趣旨を説明し,適切な対応に理解を求めてまいります。

以上,よろしくお願い申し上げます。

独立行政法人国立高等専門学校機構
群馬工業高等専門学校
総務課長 尾内 仁志
**********

 しかしこれでは、「透明ガラスを設置した趣旨」の具体的な内容を実際に確認したのかどうか判然としません。即日、「12月10日の貴メールでは『機構本部からの通知等を確認し,対応を検討いたします。』とのことでしたが、そのような確認が取れたという理解でよろしいでしょうか?」と真意を確認するメールを送りました。

 メールの真意を確認するだけの簡単な質問なので、すぐに返事が来ると思いきや、2月が暮れても返事が来ず、また音沙汰がなくなりました。そこで、3月4日に電話を掛けた際、ついでに「雑賀研究室など入口ドアのガラス窓に目張りをしている件についてはどうなったのか」と訊いたところ、「現在機構本部に伺いを出している最中で、どのような回答を差し上げられるか調整中」と言い出しました。「単純な問題についてずいぶんと時間が経過しているではないか」というと、「誠に申し訳ない」と返すのみでした。

 送られてきたメールについて、群馬高専として確認は取れたのか、群馬高専としてどのような対応を取るつもりか、という詳細部分を折り返し確認しているだけなのに、わざわざ高専機構と1か月間も調整しだすのは、ハッキリ言って異常です。1月30日の回答は、群馬高専として見解を固めたうえでのものではなかったのでしょうか。当会から文意の簡単な確認がなされただけで1か月以上もフリーズするほどの杜撰な「回答」を、いったい何を考えて送ってきたのでしょう。

 首を傾げながら回答を待っていると、3月9日にようやく最終見解を記した以下のメールが届きました。たったこれだけの回答を得るのに100日間近くも掛けさせられたのは、率直に遺憾というほかありません。

**********
(前略)これに関してお答えいたします。
機構本部からの本事案に関する通知等を確認したところ,「改修の際は,研究室の扉は透明ガラスにすることで犯罪発生の抑止に一定の効果があると考えられるので可能な限りこのような措置を講ずることが適当である」との見解は確認いたしました。

なお,透明ガラスの目張り自体を禁止する通知等までは確認できませんでしたが,犯罪防止の趣旨から,研究室等の透明ガラスの目張りの抑制について今後,教員会議等で理解を図ることといたしております。
**********

 というわけで、いつもはオンブズマンの言う事なす事すべてを脊髄反射で突っぱねる高専機構ですが、さすがに自分自身で出した通達までもを自らぶち壊しにする回答は出せなかった様子がうかがえます。ただし、「教員会議等で理解を図る」などと、あくまでも教員の自主性に任せる能天気な対応はいかがなものかと言わざるを得ません。

 他高専では高専機構の通達を不承不承ながらきっちりルールとして受け入れているのですから、群馬高専としても明確に指示を出したり、ルールとして策定して、厳格に教員室の目張り規制に動かなければならないはずです。

 ところが、入試改悪の時はあれほど迅速に新ルールを作り、教員らの意見も聞かずトップダウンで既成事実に仕立て上げた群馬高専なのに、なぜかこの件に対してはトップダウンを効かせず緩慢に動き、下から目線で丁寧に教員の方々の理解を図りに行っているのです。ずいぶんと都合のいい山崎トップダウン体制です。

■2019年11月16日の群馬高専学校見学会。演壇に立つ山崎校長に対し、当会会員からアカハラ等問題や情報公開に関する姿勢を面と向かって確認しました。

○2019年11月18日:19秋・潜入調査記第3弾…学校見学会でオンブズマンの見た群馬高専の「今」
https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/3074.html

 すると、山崎校長は以下のように答えました。

「えーと、貴重なご意見をよせていただきありがとうございます。さきほども説明がありましたが、ハラスメントにつきましては2年ほど前にガイドラインを設け実施しております。また相談室においても、毎日ですね、ひとりになりますけれどもカウンセラー等を配置しております。情報公開等についても、これは今の時代ですから、きちんと対応をするところであります。もちろん文科省や機構本部とも連携するとともに、私も高専の教員として永く携わっておりますので、子どもたちに対応しておりますので安全安心の確保には最大の努力を払ってまいります

 数百人の学生・保護者・教育関係者らの前でこのように宣言したのですから、自分自身の言ったことに背かず「安全安心の確保」に努めてほしいものです。ところが、もし一部高専関係者らが危惧しているように、雑賀洋平をいきなり3年生の担任に据え、突然の事態に混乱する群馬高専を尻目に、自分は悠々とどこかに逃げていくのであれば、大嘘つきもいいところです。

■上記の見学会で、当会会員が山崎校長への質疑応答を終え、参加者らが三々五々学校見学に移りはじめた時、保護者の方から感謝と労いの声を掛けていただきました。その方は同時に学校への不安を口にされました。群馬高専としては事件を風化させたつもりなのかもしれませんが、やはり変わらず色濃く事件の傷跡が残っていることを実感した瞬間でした。

 さて、本記事で取り上げた、「雑賀洋平教授が4月から本当に3J担任に就くのか」、「山崎校長が4月から別高専に異動するのか」、の二大注目事の確実な結論は、4月になってみなければわからないというのが正直なところです。

 令和初の年度替わりを境に群馬高専がどのように変容するのか、当会として年度末年度初めの同校の動きに最大限の注意を払いアンテナを張っていく所存です。高専関係者各位におかれましては、どんな些細なことでも構いませんので、変化の一挙手一投足に目を配って当会に情報提供いただければ幸いです。

【3/30追記】
■本日昼過ぎに群馬高専に電話で確認を行ったところ、対応した村田課長補佐いわく「山崎校長は新年度も留任が決定済み」とのことでした。
 よって、高専関係者の懸念材料のひとつは幸か不幸か否定されましたが、もう一方の爆弾である雑賀氏の新年度からの処遇について、注目が集まります。


【市民オンブズマン群馬事務局からの報告】
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妻の公選法違反で連座制適用の南波元県議…二百万円選挙公営費返還請求のための住民訴訟を提起!

2020-03-20 22:12:00 | 政治とカネ


■公営選挙費用を使って2019年4月7日投開票の県議選に当選した自民党の南波和憲県議は、その後突然5月24日に辞職しました。以後約7カ月が経過しようとする12月18日に、南波和憲に対する連座制適用に基づく群馬県議選への立候補を今後5年禁止する判決が、東京高裁で言い渡されました。このため、当会は、12月23日、群馬県監査委員に対して、群馬県選挙委員会が南波和憲のために支出した選挙公営費を本人から返還させるよう求める住民監査請求を郵送で提出しました。翌24日、群馬県監査委員事務局に電話で確認したところ、受理されたことが確認されました。その後、1月27日(月)に監査委員2名の前で陳述が行われ、当会代表から「公選法違反が確定したのだから、支出した公金は取り戻さなければならない」と力説し、「他の自治体の例など調べることなく、群馬県として判断してほしい」と念押しをしました。しかし、監査委員らはまたもや2月18日に「本件措置請求を棄却する」という結果通知を送り付けてきました。そこで、いろいろと検討した結果、やはり選挙違反で連座制により当選無効が裁判所から宣告されたのですから、公平・公正な選挙の実施のために投入された血税による選挙公営費は回収されて損害を回避しなければならないと考えて、提訴することに決めて、期限ギリギリの3月19日に前橋地裁3階の民事受付に訴状等一式として正本、副本を提出し、受理されました。

新型コロナ対策の為、裁判所のあちこちに貼られた「お知らせ」。さすがに口頭弁論は中止になっていないが、マスクを着用しないと裁判所に入れてもらえない状況になっている。


住民訴訟の場合、手数料1万3000円に郵送代として切手6000円分の合計1万9000円が必要になる。

 この事件に関する当会のブログ記事は次のとおりですので、ご参照ください。
○2019年7月24日:妻が公選法違反で起訴!・・・4.7県議選で南波前県議が血税で使った選挙公営費用158万円の落とし前
https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/2989.html
○2019年8月23日:公選法違反で妻が起訴!・・・4.7県議選後5月に辞任の南波前県議の妻に求刑1年
https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/3008.html
○2019年9月23日:公選法違反で妻が起訴!・・・妻が執行猶予付き有罪判決を受けた南波元県議が一時県議会臨時議長に!
https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/3034.html
○2019年12月24日:妻の公選法違反で連座制適用の南波元県議・・・200万円余の選挙公営費の返還を求め住民監査請求!
https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/3095.html
○2020年2月22日:妻の公選法違反で連座制適用の南波元県議…二百万円選挙公営費返還の住民監査請求を県監査委員が棄却!
https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/3121.html

 当会が提訴した訴状の内容は次のとおりです。

**********ZIP ⇒ 20200319ieib18jiicj.zip
訴    状

                        令和2年3月19日
前橋地方裁判所民事部 御中

                 原   告  小 川  賢

 〒379-0114 群馬県安中市野殿980(送達先)
        原   告    小 川  賢
         電 話 090-5302-8312
         または 027-382-0468
         FAX 027-381-0364

 〒371-8570 群馬県前橋市大手町1丁目1-1
        被   告    群馬県知事 山本一太

選挙公営費不正支払損害賠償請求事件

訴訟物の価額  金160万円(算定不能)
張用印紙額   金13,000円

第1 請求の趣旨
1 被告は、令和元年4月の統一地方選の県議会議員選挙(吾妻郡区)で元県議の南波和憲が当選を果たしながら直後に妻の公選法違反(買収)が発覚し令和元年9月6日に妻が有罪判決を受け、同年12月19日に南波和憲が連座制適用による当選無効とされたにもかかわらず、未だに南波和憲に支払った選挙公営費を回収しようとしないため、当選無効の南波和憲に対して支払った選挙公営費を、期間の徒過に伴う遅延損害金にかかる法定利息5分を含めて、南波和憲をしてただちに群馬県に返還させよ。もしくは、回収を怠った群馬県選挙管理委員会(以下「選管」という)の事務局責任者をして、遅延損害金にかかる法定利息5分を含めて、未回収の選挙公営費をただちに群馬県に返還させよ。
2 訴訟費用は被告の負担とする。
との判決を求める。

第2 請求の原因
1 当事者
(1)原告は群馬県の住民であり納税者である。
(2)被告は、群馬県知事であり、選挙公営費を扱う群馬県選管を管理・監督する者である。
2 住民監査請求
(1)令和元年12月23日、原告は群馬県監査委員に、地方自治法第242条第1項により、妻の公選法違反が発覚し議員を突然辞職した南波和憲が、その後、妻の有罪判決や自身の連座制適用判決を経てもなお、群馬県選管が選挙公営費の返還を南波和憲に請求しようとせず、南波和憲に公金を不当支出したままにしていること(以下、「本件損害」という。)について措置請求(甲第1号証)を行った。
(2)令和2年1月8日、群馬県監査委員は原告に対して住民監査請求を受理する旨の通知をした(甲第2号証)。
(3)令和2年1月27日、原告は群馬県監査委員に対して、地方自治法第242条第6項の規定に基づき、意見の陳述を行った。
(4)令和2年2月17日、原告は、群馬県監査委員から「本件措置請求を棄却する」旨の監査結果(令和2年2月17日付、群監第202-31号)(甲第3号証)を受け取った。
(5)原告はこの監査結果に対して不服である。

第3 請求の内容
1 請求の要旨
(1)請求の端緒となる事件
 1)2019年4月7日投開票の群馬県議選を巡り、公選法違反の罪で、南波建設㈱代表取締役で妻の南波久美子の有罪が確定した元群馬県議の南波和憲に対し、東京地裁(ママ、東京地検)が連座制の適用を求めた訴訟で東京高裁(近藤昌昭裁判長)が2019年12月18日、請求通り、群馬県議選への立候補を5年間禁止する判決を言い渡した。報道によれば、南波和憲は弁論に出廷せず、争う意思を示さなかった。
 2)同判決によると、南波和憲の妻の南波久美子は2019年4月9~10日ごろ、南波和憲の運動員9人に報酬として、1箱6千円相当のようかんを配ったり、うち8人には計80万円の現金を渡したりするなどした。
 3)妻は6月21日に公選法違反(事後買収)の疑いで群馬県警から前橋地検に書類送検され、7月22日に在宅で起訴されたあと、9月6日公選法違反(買収)の罪で、懲役1年、執行猶予4年(求刑懲役1年)を言い渡した9月6日前橋地裁の判決が確定した。
 4)判決理由で国井恒志(こうし)裁判長は「選挙運動の謝礼として渡した和菓子や渡そうとした現金は高額で、相手方も9人と少なくない」と指摘し、「県議の妻としての経験と知識を踏まえれば誠に軽率で、民主主義の根幹である選挙の公正さを害する犯行」と非難した。一方、南波和憲が既に県議を辞職しているなどとして、刑の執行猶予が妥当と判断した。
 5)南波和憲は2019年4月の群馬県議選で当選したが、その後5月23日に群馬県議会の狩野議長宛てに辞職願を提出し自由民主党群馬県支部連合会(県連)の星野建市幹事長に辞職理由を記した書面を手渡した。この書面で南波和憲は、「4月の県議選を巡って関係者が県警の取り調べを受けているため、「知事選や参院選を前に、県連に多大な迷惑を掛ける懸念がある」と説明していた。
(2)いつ、どのような財務会計上の行為をしたか(又はしなかったか)
   2019年4月7日執行の群馬県議会議員選挙において、南波和憲の親族の公選法違反(事後買収)が確定したにもかかわらず、南波和憲の選挙公営のために支出した公費の返還を南波和憲に求めようとしていない。
(3)違法又は不当である理由
 1)選挙違反で連座制の適用を受けた南波和憲は当選無効となるため、当然に得票数はゼロとみなされることになる。よって、法定得票数に満たないため、選挙公営の適用外となる。ところが、群馬県選管は、返還請求の必要性を認めようとしておらず、法令順守の義務を放棄している。
 2)そもそも、この公費負担制度は、供託物没収点以上の得票が得られた時にのみ受けることができるものなので、供託物没収点以上の得票を得られなかった場合は、選挙運動費用の全額が候補者の負担となる。
 3)今年4月の統一地方選の群馬県議選の選挙違反発覚により、もしかしたら、南波和憲本人から選挙公営費分の金額が群馬県選挙管理委員会に返還されているのかもしれないと思い、また、公選法違反で、親族が逮捕された場合、連座制適用で当然本人の選挙のために血税から支出された選挙公営費用は、群馬県として返還を求めるべきである、と考えて、原告は2019年7月24日10時過ぎに群馬県選管の清水担当に電話をした。
 4)その結果、県選管は次の見解を原告に示した。
公選法に、選挙違反の場合の選挙公営費の取り扱いについて、どこにも記載がない。
法律に記載がないのだから、公営費を本人から返してもらう必要性が見当たらない。
 5)ということで、カネのかからない選挙を実現するために血税から候補者に支出された選挙公営費を南波和憲から取り戻そうという考えは微塵もないことが明らかになった。
 6)本来であれば、選挙違反を犯した候補は、供託金も没収されるべきだと原告は考えるが、群馬県選管はなぜか、選挙公営費も気前よく、選挙違反者にくれたままで、なんにも道義的責任など感じていない。
 7)これでは、有権者・納税者として納得できないため、県選管の清水担当には、住民監査請求で、この理不尽な事件をきちんと精査する必要がある旨、請求者から同氏に伝えておいた。原告にとって、今回の住民監査請求は、そうした経緯に基づく措置であった。
(5)結果として群馬県が被っている損害
 1)このため、請求者は、2019年4月7日執行の群馬県議会議員選挙の公費負担の詳細について、群馬県に開示請求をした。その結果、「選挙運動用通常はがきの交付」を除く、①選挙運動用自動車の借入(甲第4号証)、②同自動車の燃料供給(甲第5号証)、③同自動車運転手の雇用(甲第6号証)、④選挙運動用ポスターの使用(甲第7号証)、⑤選挙運動用ビラの作成(甲第8号証)について、情報が開示された。
 2)その結果、公選法違反の疑惑が発覚したあと辞職した南波和憲はしっかり選挙公営費を受け取っていることが判明した。なお、自動車使用料と燃料代は南波和憲自身や同族が関わる会社に支払われていた。
     **********集計値**********
     【候補者名:南波和憲】
     区分    支払額(円)   支払先     代表者
     自動車    137,700    ㈱八洲     南波 和憲
     燃料代     56,781    吾妻総業㈱   南波 将彦
     運転手    112,500    個人のため非開示
     ポスター  1,153,152    宮下印刷所   宮下 良夫
     ビラ     120,160    宮下印刷所   宮下 良夫
     ハガキ    496,000    8,000枚の選挙ハガキを発送
      合計   2,076,293
***********************
 3)このうち、選挙ハガキ(発送代)は他のものと同様公費負担となるが、日本郵便が県選管に合計額で請求するため、県選管では候補者それぞれの枚数・金額は把握していないとのことである。
 4)そのため原告が「供託金を没収された候補者にもハガキ代金(発送)は選管が負担するのか」と質問したところ、「その通りです」との回答があった。
 5)県議選では候補者1人につき上限8,000枚までのハガキ代金を県選管が負担している。ハガキが1枚62円だったので、1人496,000円まで負担されることになる。
 6)なお、2019年4月の県議選で日本郵便へ支払われたハガキ代金総額は26,765,834円、枚数は431,707枚だという。この数字は何人がハガキを利用したかは全くわからないそうで、選管にはあくまでも合計額しか請求されないそうだが、原告としては「そんなことは無いだろう」と考えている。
 7)上記の通り、南波和憲の選挙公営に係る支出を巡り群馬県には計207万6293円の損害が発生している。
(6)被告の群馬県選管職員の重過失
 1)監査結果通知(甲第3号証)の3ページ目に本事件にかかる経緯が時系列で表になっている。これを見ると、5月24日に南波和憲元県議の辞職(県議会による承認)の後、同27日に本件選挙に係るはがき郵送料金を支出したことがわかる。さらに6月12日には、はがき郵送料金以外の選挙公営費を支出したことがわかる。
 2)南波和憲元県議が辞職願を県議会議長に届けたのは同5月23日であり、翌24日に新聞報道がなされており、関係者が公職選挙法違反の疑いで県警から任意で事情聴取を受けていることを理由に辞職したことは被告の職員らも当然承知していたはずである。
 3)にもかかわらず、南波和憲に事情聴取もしないまま、その3日後にはがき郵送料金を支出し、19日後にはがき郵送料金以外の選挙公営費を支出したことは、公正・公平かつ適正に行われなければならない選挙を管理する立場の群馬県選管が重大な過失を犯したことになる。
 4)また、南波和憲も、選良として選挙公営費の全額返還を自主的に申し出なければならないのにそれを怠ったことも重過失にあたる。
(7)総務省自治行政局選挙課へのヒヤリング結果
 1)原告は、この問題について国の考え方を聴取すべく今年に入り何度か総務省自治行政局選挙課に電話をしたが、後日返答するとのことで、なかなか返事をもらえなかった。
 2)そうしたなか、令和2年2月4日の午後1時過ぎに、別件で東京地裁を訪れた際に、向かい側にある総務省選挙課に電話をしてみた。すると選挙課の「サカイ」と名乗る職員が電話口に出た。選挙課の同職員との電話のやりとりは概ね次のとおり。
    選挙課「先週、電話をしたが番号違いか何かでつながらなかった。回答というか規程の説明になってしまうが、例えば選挙事務所、でなく、選挙カー、自動車については公選法141条の7項に規定はされている。例えば衆議院や参議院の選挙で政令により無料で使用することができるというふうにされているなかで、そこで但し、ということで、供託物が国庫に帰属されることにならない場合に限るとされている。なので、あのう、そこはまあ供託金が国庫のほうに帰属されることになる場合については、無料で使用することはできないというような形になるんですけれども」
    原告「法定得票数に足りなかった場合は、というときですね」
    選挙課「そうですね。その供託金が国庫に寄贈されるということになるケースが、法定得票数に達しなかった場合ですとか、あとは、候補者の届出が取り下げられて、その候補者たることを辞した場合、そういったケースがあるのかなあと思うんですけれども、あとは司法の判断のなかで、選挙における得票が無効であるという場合について、供託物が返還されなくて没収となるというケースもあるかとおもう。その辺は、司法の判断になってくるかと思うので、得票が無効となるかいなか、というのはその個々のケースに応じて違うのかな、という気もいたします」
   原告「わかりました。そんな感じですね」
   選挙課「そんなかたちでの規定のご説明になりますので…」
   原告「まあ、いずれにしても地方分権法で、選挙の主体はそれぞれの自治体の判断ということで私も承っているので、だから今回のケースもおっしゃるように司法の判断ということだと究極的にはそう思います」
   選挙課「最終的には司法の判断ですね」
   原告「そうですよね。だから住民訴訟で白黒つけてみたいと思います。いろいろありがとうございます」
   選挙課「いや、とんでもないです」

第3 むすび
 以上のとおり、公選法違反(事後買収)による連座制が適用された南波和憲の当選は無効である。無効であることは、得票数がゼロになるわけで、選挙違反の場合も供託金が没収されることから、当選無効により、選挙公営費は支出されてはならないことは明らかである。
 よって被告は、南波和憲に支出された選挙公営費207万6293円を南波本人をして返還させるか、もしくは南波本人に返還させようとしない群馬県選管の責任者に返還を請求しなければならない。

                        以上

         証拠方法

 1 甲1号証 群馬県職員措置請求書(住民監査請求書)
 2 甲2号証 受理通知(群監第202-20号)
 3 甲3号証 監査結果通知(群監第202-31号)
   ZIP ⇒ 20200319b13iicj.zip
 4 甲4号証 県議選公営費一覧(ア 自動車の借入)
 5 甲5号証 県議選公営費一覧(イ 燃料供給)
 6 甲6号証 県議選公営費一覧(ウ 運転手の雇用)
   ZIP ⇒ 20200319b46iicj.zip
 7 甲7号証 県議選公営費一覧(2 ポスター作成)
 8 甲8号証 県議選公営費一覧(3 ビラ作成)
   ZIP ⇒ 20200319b78iicj.zip


         附属書類

 1 訴状副本     1通
 2 証拠説明書    1通
   ZIP ⇒ 20200319ieib18jiicj.zip
 3 甲号証写し   各1通
**********

■間違いなく群馬県選挙管理委員会は、争う姿勢を見せて来るでしょう。本来、選挙違反に対して選管は人一倍厳しく対応しなければならないはずですが、南波和憲元県議の連座制を問う裁判は、県議選の投開票後8か月も経過したうえで、東京地検が東京地裁に提訴して行われました。

 そもそも、群馬県選管が5月23日に南波和憲が辞職願を議会事務局に出した時点で連座制を適用すべきでした。しかし、自らの職務怠慢を棚に上げ、法廷では訴訟代理人を立てて、「公選法や条例に記載がないから」などとして自らの正当性を主張するものと見られます。

 本来「公選法や条例に記載がないから選挙違反でも目をつぶる」ではなく、「記載がないから、選挙違反によるペナルティとして積極的に適用する」という心構えが、選挙違反の抑止力となるはずですので、前橋地裁の法廷での行方を注目ください。

 なお、当会が万一敗訴になった場合には、選挙違反の連座制適用者にも血税が無駄に注がれている実態が今後も合法的と認められることになるため、それはそれで判例となるため、裁判所の一審判決を尊重するのも一興かと、今の時点ではそう考えております。

【市民オンブズマン群馬事務局からの報告】

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【一太県政】一部職員が私物化する県庁不明朗人事にノーを突き付けた住民監査請求に対し監査委員が却下!

2020-03-18 23:09:00 | 県内の税金無駄使い実態

■障害者雇用促進法は、国や自治体、民間企業等に一定割合以上の障害者の雇用を義務づけています。これを「法定雇用率」といいます。国や地方自治体には、率先して障害者雇用に取り組むために、民間企業に比べて高い法定雇用率が課されています。ところが2018年8月に国レベルでこの法定雇用率が水増しされている実態が発覚しました。続いて、地方自治体でも同様に水増しの実態が明らかにされました。我らが群馬県でもご多分に漏れず、デタラメな運用をしていましたが、最近、群馬県行政の人事管理を巡り、実に不透明な実態が県庁3階で起きていることが判明したため、2月28日に住民監査請求を群馬県監査委員に提出していたところ、いつもの補正命令もないまま、突然3月17日に却下通知が送られてきました。補正命令もなく問答無用で「却下」されるケースはこれまでにも多々ありましたが、群馬県はよほど今回の住民監査請求の取り扱いに苦慮したと見え、苦し紛れの却下理由を書いてきています。さっそく却下通知を精査してみましょう。

↑3月17日に群馬県監査委員事務局から届いた却下通知の入った封筒。↑

 辞典によれば、「却下」というと、「一般的には国家機関に対する申立てあるいは申請自体を排斥する処分をいう。民事訴訟法上は、当事者の請求、不服申立ての当否に立ち入らないで(これに立ち入って中身を判断し、理由がないとして排斥する場合には棄却という)、事件を終結させること。」とあります。

 つまり、現在話題の新型ウイルスのように最初から排除ありき、という判断を群馬県は2週間で行ったことになります。また、従来から言われていたことですが、監査委員が全く機能せず、事務局の職員、つまり役人の操り人形に過ぎないことが、今回の却下通知からもはっきりと分かります。

 また、辞書にある「排斥(はいせき)」も「《名・ス他》(好ましくないとして)おしのけ、しりぞけること。」とあり、当会の住民監査請求がバイ菌扱いされたも同然であることがわかります。

 なお、監査請求の経緯については次のブログを参照ください。
○2020年2月28日:【一太県政】一部職員が私物化する群馬県庁の不明朗人事の弊害と、障害をもつ特定職員への過度な優遇実態
https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/3118.html

■それでは、17日に送られてきた却下通知を見てみましょう。

*****監査結果通知*****ZIP ⇒ 20200317pm.zip

            却下通知
                         群監第202-42号
                         令和2年3月16日
市民オンブズマン群馬
  代表 小川 賢 様

                群馬県監査委員 丸 山 幸 男
                同       林     章
                同       中 島   篤
                同       安孫子   哲

          住民監査請求の結果について (通知)

 令和2年2月28日付け住民監査請求(以下「本件措置請求」という。)については、下記のとおり判断しましたので、通知します。

             記

1 監査委員の判断
  本件措置請求を却下する。

2 理由
  地方自治法(昭和22年法律第67号。以下「地自法」という。)第242条に規定する住民監査請求は、地方財務行政の適正な運営を確保することを目的とし、その対象とされる事項は、普通地方公共団体の執行機関又は職員における違法・不当な財務会計上の行為又は怠る事実に限定されている。
  請求人は、本件措置請求において、能力及び業績以上の給与が支払われていること、並びに職員を追加配置したことが、地自法第242条第1項に規定する違法・不当な支出に当たり、地自法第2条第14項に定める最少の経費で最大の効果の基本理念及び地方公務員法(昭和25年法律第261号)第35条に定める職務専念義務に違反していることから、群馬県知事に対し、再任用職員A氏に係る群罵県に生じた損害を回収するよう求めていると解される。
  しかしながら、本件措償請求は、総じて職員の任命及び人事管理上の問題として判断すべきであり、違法・不当な財務会計上の行為を対象としているとは認められない。よって、本件措置請求は、その余を判断するまでもなく、地自法第242条第1項に規定する請求要件を欠き、不適法である。

                連絡先:〒371-8570
                  前橋市大手町1-1-1
                  群馬県監査委員事務局特定監査係
                  TEL 027-226-2767
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■監査委員は、以前会計局で起きた公務時間中のエロ動画編集で当会が住民監査請求した時も却下しましたが、この時は、いちはやくエロ動画を編集していた職員本人から、エロ動画作業に従事していた時間相当の給与分を返還させて、当会に対しては、既に返還されて損害は解消されているから、として却下理由としました。今回は、そうした手が使えない事情があるらしく、問答無用の却下通知となったものとみられます。

 5年前の同じく会計局を舞台に発生した勤務中の破廉恥事件については、次のブログ記事を参照ください。
○2015年3月20日:勤務中にエロ動画編集作業に没頭していた懲りない県庁職員の暇すぎても給料がもらえる実態を情報開示請求
https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/1560.html
○2015年3月23日:勤務中にエロ動画編集していた懲りない県庁職員の給与返還を求めてオンブズマンが住民監査請求
https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/1563.html
○2020年4月4日:勤務中にエロ動画編集していた懲りない県庁職員に係るオンブズマンの住民監査請求に県監査委員が補正通知
https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/1574.html
○2015年4月8日:勤務中にエロ動画を編集できるほどヒマな県庁職員の実態解明のため県監査委員に住民監査請求の補正書を提出
https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/1575.html
○2015年4月10日:勤務中にエロ動画編集できるほど暇な県職員の実態に関して部分開示された11枚の情報が物語る群馬県の及び腰
https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/1577.html
○2015年4月12日:勤務中エロ動画三昧の県職員に係る当会の住民監査請求に対し形式に拘り受理を躊躇う監査委員が再補正命令
https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/1582.html
○2015年4月16日:勤務中エロ動画三昧の県職員に係る住民監査請求に関して県監査委員宛に再補正書を提出
https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/1585.html
○2015年4月18日:勤務中エロ動画三昧の県職員に係る住民監査請求を県監査委員がようやく受理し、4月22日(水)午後に公開陳述
https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/1588.html
○2020年4月22日:勤務中エロ動画三昧の県職員に係る住民監査請求に関して県監査委員らに意見陳述
https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/1591.html
○2015年5月31日:勤務中エロ動画三昧の県職員に係る住民監査請求に関する監査結果で“案の定”の却下通知が届く!
https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/1632.html
○2015年7月11日:勤務中にエロ動画編集作業に没頭していた県庁職員が50万円を返還せざるを得なかった事情に関する調査結果
https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/1663.html
○2015年7月16日:勤務中のエロ動画編集で職務専念義務違反を適用しても停職15日間で済む理由を群馬県に公開質問
https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/1666.html
○2015年7月26日:エロ動画編集で職務専念義務違反でも停職=無休休職だけで給料を減額させない公務員天国の群馬県
https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/1674.html

■却下通知を受け取った3月17日から30日後は4月16日ですので、その日までに当会としてどのような対応をとるか、じっくりと検討する予定です。

【市民オンブズマン群馬事務局からの報告】

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