■台湾の結婚式は、ネット上でもいろいろ紹介してありますが、実際に体験してみると、お国ぶりが反映されていて実に楽しく感じられます。しかも、当会の事務局長の親戚が花嫁側だったので、通常では体験できない現地のしきたりが取材できました。
台湾では結婚式の日取りはもとより、花婿が花嫁を迎えに花嫁の自宅に来る時刻、新婚の2人が「洞房」(ドンファン)とよばれる新居に入る時間帯などは時間通り計算しています。そのため、新郎新婦の生年月日、誕生時刻を暦でいろいろと調べて、縁起の良い日にちや時間を予め決めておきます。取材班が花嫁の自宅を訪問したのは午前9時過ぎでしたが、花嫁はまだ化粧中でした。
午前10時半ごろ、外で爆竹の音がしたので出てみると、赤のテープで飾り付けたベンツ、BMW、トヨタレクサスなどの外車が6台ほど通りに駐車し、先頭の一番派手な飾り付けをしているベンツから花婿が下りてきました。その際、花嫁の男兄弟が、みかんを2個もって新郎を迎えるのがならわしです。
花婿と一緒に6台の外車を運転して乗ってきたのは新郎の「伴郎」(パンロン)と呼ばれる、新郎を手伝う6人の独身(この場合、今現在「独身」ならよいという今風の解釈もある)の男性たちです。花嫁を迎えにきたこれらの車の合計台数は6台もしくは12台です。台湾では、お祝い事は何事も偶数で縁起を担いでいます。
↑赤いリボンで飾られた伴郎らの外車。花嫁を迎えに行くために、新郎側は、友人や親戚、同僚で高級車を所有する人に頼んで6台の車隊列を作る。ドアのノブにもリボンが飾ってある。↑
新郎が新婦の家に入ってくると、親戚一同に、とりあえず甘い紅白の団子スープが配られます。
新婦の家に到着した新郎は、すぐには花嫁を娶れるわけではありません。花嫁を娶るためには、いくつかの難関を突破してから始めて花嫁に逢うことができるのです。
新郎に伴って6人「伴郎」がやってくるのと同様に、新婦側も6名の「伴娘」(パンニャン)が待ち構えています。この「伴娘」ができるのは、独身の女性に限ります。
次に、花婿には、試練が待っています。いとも簡単に、新婦はやれないよ、という意味で、今回は「体力測定」なる儀式が行われました。こういう儀式は、台湾の北部ではあまりやらなくなっていますが、南部ではこのように必ず行われる試練の「儀式」だそうです。
伴娘が次々に課題として繰り出す体力測定では、腕立て伏せや足上げ腹筋運動など、それぞれ20回以上が課せられました。新郎は上着を脱ぎ、課題を汗だくでクリアしていきましたが、へとへとになった新郎の代わりに、伴郎のひとりが追加の腕立て伏せをかって出たりしていました。これらの体力測定を受けて、初めて新婦を迎えることができます。
↑上:足上げ腹筋20回以上に奮闘中の新郎。中:腕立て伏せ追加を汗だくで代行中の伴郎。下:伴娘らから体力測定の結果発表を受ける新郎。↑
花嫁は実家を出る前に、先祖に父親が先導して先祖に結婚を報告し、両親とお別れをします。そして、外で待つ迎えのベンツに乗り込みますが、その際に、花嫁は扇子を片手に持っています。
↑花嫁の実家で戦前から時を刻んできた精工舎の柱時計。↑
実家の前からベンツが動き始めるときに、花嫁は車の窓から扇子を落とします。これはこれまで育ててくれた両親に対して、わがままな自分を許してほしいとして、それを扇子に託して「わがままな心は実家に残してゆく」という意味だそうです。当会の事務局長夫人によると、昔は水をまいて、「覆水盆に還らず」という花嫁の決意を意味したようですが、今は嫁いでも娘がいつでも帰れると言うので、散水するケースは見当たらなくなったそうです。これも時代の風潮の変化と言えるでしょう。
このあとベンツに乗った新婦や伴娘らは新郎の実家に移動し、そこでもしきたりにのっとって儀式が行われますが、残念ながらそこまでは取材できませんでした。話によると、①お払いの儀式で、火鉢の上を跨いだり、②新婦が新郎の家に入った後、新郎の祖先に対して拝謁したり、③ナツメと龍眼を入れたあまいスープを飲んで、早く後継ぎが生まれることを祈念したりするようです。
夜6時開催の披露宴まで時間があったので、花嫁の実家のあるちかくのレストランで食事をしたり、近所の市場を見物したりしました。
↑市場のなかの様子。農産物、畜産物、海産物、果物など新鮮さが売り物。下:とくにニワトリのBeforeとAfterには度肝を抜かれる。↑
【ひらく会情報部海外取材班・この項つづく】
台湾では結婚式の日取りはもとより、花婿が花嫁を迎えに花嫁の自宅に来る時刻、新婚の2人が「洞房」(ドンファン)とよばれる新居に入る時間帯などは時間通り計算しています。そのため、新郎新婦の生年月日、誕生時刻を暦でいろいろと調べて、縁起の良い日にちや時間を予め決めておきます。取材班が花嫁の自宅を訪問したのは午前9時過ぎでしたが、花嫁はまだ化粧中でした。
午前10時半ごろ、外で爆竹の音がしたので出てみると、赤のテープで飾り付けたベンツ、BMW、トヨタレクサスなどの外車が6台ほど通りに駐車し、先頭の一番派手な飾り付けをしているベンツから花婿が下りてきました。その際、花嫁の男兄弟が、みかんを2個もって新郎を迎えるのがならわしです。
花婿と一緒に6台の外車を運転して乗ってきたのは新郎の「伴郎」(パンロン)と呼ばれる、新郎を手伝う6人の独身(この場合、今現在「独身」ならよいという今風の解釈もある)の男性たちです。花嫁を迎えにきたこれらの車の合計台数は6台もしくは12台です。台湾では、お祝い事は何事も偶数で縁起を担いでいます。
↑赤いリボンで飾られた伴郎らの外車。花嫁を迎えに行くために、新郎側は、友人や親戚、同僚で高級車を所有する人に頼んで6台の車隊列を作る。ドアのノブにもリボンが飾ってある。↑
新郎が新婦の家に入ってくると、親戚一同に、とりあえず甘い紅白の団子スープが配られます。
新婦の家に到着した新郎は、すぐには花嫁を娶れるわけではありません。花嫁を娶るためには、いくつかの難関を突破してから始めて花嫁に逢うことができるのです。
新郎に伴って6人「伴郎」がやってくるのと同様に、新婦側も6名の「伴娘」(パンニャン)が待ち構えています。この「伴娘」ができるのは、独身の女性に限ります。
次に、花婿には、試練が待っています。いとも簡単に、新婦はやれないよ、という意味で、今回は「体力測定」なる儀式が行われました。こういう儀式は、台湾の北部ではあまりやらなくなっていますが、南部ではこのように必ず行われる試練の「儀式」だそうです。
伴娘が次々に課題として繰り出す体力測定では、腕立て伏せや足上げ腹筋運動など、それぞれ20回以上が課せられました。新郎は上着を脱ぎ、課題を汗だくでクリアしていきましたが、へとへとになった新郎の代わりに、伴郎のひとりが追加の腕立て伏せをかって出たりしていました。これらの体力測定を受けて、初めて新婦を迎えることができます。
↑上:足上げ腹筋20回以上に奮闘中の新郎。中:腕立て伏せ追加を汗だくで代行中の伴郎。下:伴娘らから体力測定の結果発表を受ける新郎。↑
花嫁は実家を出る前に、先祖に父親が先導して先祖に結婚を報告し、両親とお別れをします。そして、外で待つ迎えのベンツに乗り込みますが、その際に、花嫁は扇子を片手に持っています。
↑花嫁の実家で戦前から時を刻んできた精工舎の柱時計。↑
実家の前からベンツが動き始めるときに、花嫁は車の窓から扇子を落とします。これはこれまで育ててくれた両親に対して、わがままな自分を許してほしいとして、それを扇子に託して「わがままな心は実家に残してゆく」という意味だそうです。当会の事務局長夫人によると、昔は水をまいて、「覆水盆に還らず」という花嫁の決意を意味したようですが、今は嫁いでも娘がいつでも帰れると言うので、散水するケースは見当たらなくなったそうです。これも時代の風潮の変化と言えるでしょう。
このあとベンツに乗った新婦や伴娘らは新郎の実家に移動し、そこでもしきたりにのっとって儀式が行われますが、残念ながらそこまでは取材できませんでした。話によると、①お払いの儀式で、火鉢の上を跨いだり、②新婦が新郎の家に入った後、新郎の祖先に対して拝謁したり、③ナツメと龍眼を入れたあまいスープを飲んで、早く後継ぎが生まれることを祈念したりするようです。
夜6時開催の披露宴まで時間があったので、花嫁の実家のあるちかくのレストランで食事をしたり、近所の市場を見物したりしました。
↑市場のなかの様子。農産物、畜産物、海産物、果物など新鮮さが売り物。下:とくにニワトリのBeforeとAfterには度肝を抜かれる。↑
【ひらく会情報部海外取材班・この項つづく】