市政をひらく安中市民の会・市民オンブズマン群馬

1995年に群馬県安中市で起きた51億円詐欺横領事件に敢然と取組む市民団体と保守王国群馬県のオンブズマン組織の活動記録

館林北部第三工業団地のフッ素土壌汚染問題で隣接のダノン所有地の取扱いについて館林市と協議

2024-02-25 22:22:45 | スラグ不法投棄問題

2024年2月5日(月)午後1時半から3時まで館林市役所5階会議室で行われた協議の模様

■館林市の北部に工業団地が拡がっています。造成・分譲順に第一、第二、第三とあり、この工業団地には、多くの食品工場が立地しています。アサヒ飲料やブルドックソース、ダノンなどがその一部です。現在、館林北部第四地区の造成工事が進行中です。この地区は約19.3ヘクタールの面積を持ち、約13.0ヘクタールが工業用地となる予定です。この北部工業団地の第四地区の造成工事は2028年度に開始する予定でしたが、5年前倒しして2023年から開始し、2024年度には分譲を開始する計画で、造成工事は今年4月30日までに完了予定となっており、2024年度には分譲が開始される予定です。

 こうした中、当会は、2月5日(月)午後1時半に館林市役所5階会議室で、市側担当者らと、北部第三工業団地におけるフッ素土壌汚染問題にかかるダノン所有地の現状と今後の取扱いについて、市側の考え方をヒヤリングすべく、協議に臨みました。この問題については、次のブログ記事を参照ください。

○2024年2月4日:館林北部第三工業団地を巡る土壌汚染問題の責任明確化が問われる館林市と群馬県環境森林部(その1)
○2924年2月5日:館林北部第三工業団地を巡る土壌汚染問題の責任明確化が問われる館林市と群馬県環境森林部(その2)
○2024年2月5日:館林北部第三工業団地を巡る土壌汚染問題の責任明確化が問われる館林市と群馬県環境森林部(その3)


伊勢崎駅でJRから東武に乗り換え

剛志駅あたりから雪が本降りとなってきた
館林駅改札口

 前日来の降雪予報のため、筆者は車でなく電車で安中駅から高崎駅経由、両毛線で伊勢崎駅まで行き、同駅で東武伊勢崎線に乗り換えて館林駅に午後0時45分に到着しました。



 伊勢崎駅を出たころから雪が降り始め、館林駅に着く頃は本降りになりました。さっそく、駅前からタクシーで館林市役所に行き、1階のロビーで当会顧問の館林支部長と、桐生から車で来た副代表と合流しました。エレベーターで5階の最上階へ上がり、左奥の突き当たりの部屋に通されました。


■午後1時半から始まる会議に先立ち、当会顧問が準備した2通の書類(群馬県からの弁明書と県への反論書)を市側参加者4名にも配布しました。

 最初に当会3名の自己紹介を行い、続いて市側の参加者4名のかたがたの紹介がありました。産業政策課産業政策係の福田係長と尾崎担当、行政課法規登記係の吉永係長と石川担当が市側参加者です。

左から行政課法規登記係の石川担当、吉永係長、産業政策課産業政策係の福田係長と尾崎担当

 冒頭に当会代表から今回の協議に関して、概要説明を行いました。

「まず今日の件、長年にわたり、物議を醸しているこの問題。皆さんにとっては裁判で決着がついているというスタンスかもしれないが、館林市北部にある下早川田町の第三工業団地があり、現在第四工業団地を造成中と聞く。今の第四工業団地は群馬県の企業局がやっているようだが、第三工業団地は解散した土地開発公社が手掛けたと認識している。
 この時、フッ素が出たということで、なぜあのようなところでフッ素が出るのか。銅であれば昔は足尾銅山の影響かもしれない。実は当会としてフッ素というと製鉄の過程で出るスラグ、つまり、とりわけ電気炉を使ったスクラップ由来原料の製鉄過程で蛍石という安価で効率よく不純物を除去できる物質を使用するが、これが群馬県内の場合、大同特殊鋼という渋川駅近くに拠点を持つわが国屈指の特殊鋼メーカー。そこから排出されている鉄鋼スラグが由来で、これがあちこち物議を醸している。
 当会はこの問題をずっと追及してきており、八ッ場ダムの関連工事だとか、今工事が大体終わっているが上武国道の埋土材や路盤材に大量に使われている。これが問題になっている。
 上武国道では、大同特殊鋼が国交省と毎年工区を決めて除去工事をしている。舗装の下は本線なので交通を止められないので路肩部分を順に施工している。これは国交省の工事となっているが、費用は大同特殊鋼がスラグを撤去するということで負担して行っている。
 そういう観点からフッ素というと、そこ(大同特殊鋼)が由来だとしていろいろ調査している。県が産廃として指定しているが、スラグを使用している場所がどこかというデータを開示しない。なので、当会は開示請求を県にした。「館林の北部第三工業団地及びその近辺に使用されているかどうか」を知るために情報開示請求をしたら、県は「不存在とは言っていない」のに開示しない。すでに2年ほど経過する。
 それは別途審査請求を進めているが、この第三工業団地は平成22年頃、館林市土地開発公社が工事をした。その時に持ち込まれているのではないかという懸念がある。なぜなら、平成19年までは大同特殊鋼は渋川で副産物で出たスラグ、これをアスファルト骨材として、当時まだ廃業していなかった井上工業という県内の中堅ゼネコンの子会社のアスファルト舗装会社で使っていた。
 ところが、井上工業は平成19年に廃業した。そのため大同特殊鋼はそれまでフッ素入り鉄鋼スラグを引き取ってもらっていたが、引き取ってもらえなくなり困ってしまった。そこに目を付けたのが佐藤建設工業という渋川市内に拠点を持つ土建屋。そこが渋川市内の山間部に自社で砕石場を保有しており、そこから出る砕石とフッ素入りのスラグを混ぜて資材として販売していた。
 但し、販売時にスラグがそのままだと濃度が基準をオーバーしてしまうので、10倍以上天然砕石と混ぜて販売していた。これをあろうことか群馬県は、多分政治的圧力と思われるが、「再生砕石とみなして、公共工事につかってもよい」と、当時の県土整備部の倉島敬明氏が業者に通達を出した。これが平成22年から23年ころだったと思う。
 そのため、こちらで土地開発公社が工業団地計画で造成時に、それを業者が入れたのではないかという疑念がある。そのためずっと、この裏付けを調べているが、なにしろ群馬県に聞いても、館林市の皆さんの諸先輩に聞いてもよく分からない。なぜこういうことになったかということは我々として疑念のベースとしている。
 そして、トーモクが、売れ残ったというか、最後の土地2.7ヘクタールを買ったわけだ。その時に、3年くらい遊ばせて、あと、自分では使わずにまるまる大同薬品工業というダイドーのドリンク剤を作る会社が関東に工場を作りたいとして探していたら、ここがとりあえず空いていると。なぜトーモクが買ったのか、第2工場をつくろうとしたか、それは皆さんのほうがよく知っているはず。
 それでその時に群馬県に土壌汚染対策法の第4条に基く届出、形質の変更届をした。そしたら県がどういう原因だがわからないが、農政部と東部環境事務所、そこと皆さんの館林市に問い合わせをして、その結果、どうもあそこは土壌汚染のおそれがあるらしいことを聴いた。そして、県への届出は大同薬品工業だが、地主はトーモクということで、届けた大同薬品工業に対して県が土壌調査命令をだした。それを地主であるトーモクが土壌を調べたらフッ素が出てきた。
 ところがその隣はダノン、プラスチック・ホンダ、それと日立物流。これはダノンが買ってそこで物流センターとして貸しているようだ。それと手島精管だが、手島精管は土対法の届出を出していないようだ。
 それで今言った3社、ダノンと日立物流の施設を作った大和ハウス工業、それにプラスチック・ホンダは、土壌汚染対策法第4条に基く届出をしている。
その時は、平成24年頃だが、当時群馬県は農政部や館林市、東部環境事務所に問い合わせたところ、結論として問題ないとなった。
 なぜ、どういう理由で、当時は問題なく、その3年半後にトーモクが出した時は問題があるのか、小林会員は不思議に思い、情報開示をしたら、肝心の箇所は真っ黒けにされて、だから異議申し立ての審査請求をした。それで県が弁明書を出してきて、そこにあるが、それに対して反論書を出した。
 今日はその問題について腹を割って隠し事のないように、この問題についてどのように館林市のほうは認識しているのか。小林会員が前々から心配しているように、いろいろとダノンから何か言われているのではないか、これ以上一般会計から多額の公費を公社の尻拭いに投入することは何としても避けたい。これが趣旨だ。
 私も先ほど申し上げたように東邦亜鉛の土壌汚染。カドミウム、鉛、ヒ素。この降下煤塵で今土壌汚染防除の土地改良で地元の推進委員会の会長を仰せつかり1年半になる。
 今回の場合、なぜ群馬県が土対法第4条の届出に対して違う対応をして、その結果、トーモクは5.2億円で汚染土壌を排客土し、ダノンの所有土地はまだぺんぺん草が生えている。これはなにか今後、市に対する悪影響になってくるのではないのか。この点はきちんと説明してもらいたい。
 これについてきちんと説明責任を果たしてもらわないと、館林市民納税者にとって影響が大きい。説明したら影響が消えるかどうかはわからないが、やはりきちとありのままを説明して、なぜこうなったのかをきちんと究明して責任の所在を明確にし、なんとか市民に負担がかからないような解決策を模索すべきだ。」

 次に、当会顧問で館林支部長から、先日県から送られてきた弁明書と、それに対する反論書について。市側職員に対して「内容をよく把握してもらうために、内容を読み上げてほしい」と要請しました。

 しかし、市側職員らは、「読み上げるというのはこの弁明書全部か?」と難色を示したので、当会顧問は「でないと皆さん同じ認識にならないと思う。一応私の方で読み上げてもよいが、これは県のほうの役所の声として受け止められたい」と述べました。結局読んでいると結構な時間がかかるということで、大雪が降り続く窓の外の様子を見て、内容の読み上げ依頼は取り下げました。

 次に、当会代表が、
「本当に認識していただきたいのは、この一番重要なところ、なぜダノンの3社の時には、同じように関係先から連絡、調査というか、ヒヤリングをした結果、土壌調査命令がなく、それとトーモクの時となぜ違うのか、そこのところ理由と根拠について県に開示をお願いしているわけだ。
 だが、県の弁明を見ると『全部おそれがある』という。公文書非開示の理由として、県の条例に該当する条項をいろいろ挙げている。第14条第6号に関係するとか。法解釈による不適切なおそれ云々などとしている。
 このおそれという理由でひた隠しにしようとしているので、同じ行政である館林市のほうでもきちんとこの経緯というかなぜこういう状況になったのかを、我々にかわって、県に対して説明責任を果たすように求めてもらいたい」

と市側に申し入れました。そして、さらに続けて、

「おそれがあるから一切これ以上の開示には応じませんと、県は頑なに言っている。そういうことでなくて当会会員が何を求めているか、これは2度とそういう理不尽な負担を一般会計、つまり、市民からの税金で成り立つ予算からの支出はやめてほしい。
 本来であれば、トーモクのときでも、土壌汚染で土を入れ替えなくても、これ大同特殊鋼の他の地区では基本は撤去だが、渋川市などは保育園とか小中学校の父兄用の駐車場にも大量に敷きこまれているが、簡易舗装すればいいというやり方もまかり通っている。要するに雨が降ってフッ素入りのスラグに対して、雨が降ったり、地下水に浸されたりする影響もあるが、それらを遮断すればいいと。そうすれば滲み出た水の中にフッ素化合物が入らないという。
 なぜ、ダノンや他のところも当然影響を及ぼすことが分かっていたのにもかかわらず、大同薬品工業が、人の口から体内に入る商品を製造するということで、県は『これは土壌汚染調査命令を出す必要がある』ということで判断したのか。だから土壌調査命令が出されたので調べたら、フッ素が出てしまった。
 皆さんは、『裁判で和解』だから、また、裁判所は、館林市が、公社の時にガイドラインには沿っていないけれども、きちんと不要化処理した、とか、一部撤去したなどと言い訳を主張したことで、司法でも和解としたので、市としては裁判で悪いと言われなかったから責任を取る必要は無い、という、こういうスタンスかもしれない。
 一番問題なのは、県がそこで、そういう判断を出した背景だ。当然その後、県から、市町村としては大きな自治体である館林氏がどういう影響を被るか、深謀遠慮があったのかどうか分からないが、『そのプロセスを明らかにしてほしい』と当会の顧問が市民代表としてお願いしているわけだ。となると、皆さんの力を借りるしかない。
 なぜこうなったのかということ。ダノンの状況がわからない。ダノンの情報が開示されないので、あえて市民として懸念するわけだ。あそこの土地を使って(工場を建てて)いないのは、ダノンがトーモクの汚染土壌撤去を横で見ているから、当然(自分の土地の汚染を)知っているはず。
 ということは、市に対して、いろいろ水面下でも言ってきているかもしれない。どうするのか。
 それは県にも大きいな責任があるはずで、裁判の前に、トーモクがあれほど調整で何とかしましょうよ、減額にも応じますよ、と言っているのに、市は『もう弁護士に頼んだからガチンコでやるんだ』と。『どうせ損害賠償は一般会計で市民の血税で尻拭いすればいい。所詮税金なんてアブク銭だ』と。こういう考えはオンブズマンとして一番許せない対応なんです。
 これは安中市の51億円事件と同じで、毎年群銀に2000万円ずつ103年間にわたり続けているが、これは裁判で和解になったから。裁判所の判事に言わせると、『行政に恥をかかせられない。行政に恥かかすと自分の出世に影響がある』とこう言っている。『特に群馬県が相手だと、県の職員は6000人もいて我々裁判官は3名しかいない。裁判長の自分と右陪席と左陪席の3人しかいないが、相手は6000名もの職員がいる。連合艦隊を相手に竹槍で勝負するようなものだ』という。戦時中のプロパガンダのようなことを言っている。
 皆さんは、裁判の結果、和解で市に失態がなかった、とお墨付きを得たかもしれないが、現実を直視してほしい。
 きちんと説明を頂かないと、我々としてさらに妄想を膨らませざるを得ない。」

 次に当会顧問が、あらためて懸念を表明しました。

「要求事項として、要は山本知事からの弁明書に対して、当方として、それに対する返事について、ここに17ページにわたり反論を纏め上げた。本来であれば、この反論書も全部読み上げて、この問題についての認識を新たにしてもらいたいが、降雪の関係で全部読み切ることができない。最後の18ページに、ダノンが未操業の土地があり、ここに新たな工場の建設もされていないようだ。この理由が、フッ素による土壌汚染となれば、係争となり、『瑕疵付きの工業団地を売りつけた』として、再び係争になりかねない。
 そして「館林市とトーモクとの関係においても、群馬県も積極的に関与し、支援や証言を行ってくれていれば、館林市は一般会計から約5,2億円もの支出をせずに済んだはずだ。今回の県の情報不開示決定処分が取り消され、土壌調査命令がなぜトーモクに対して発出されたのか、ダノンなど3社が立地する土地について、再び係争状態にならないよう、館林市の納税者市民として経緯を知っておく責務がある。なぜなら納税者市民県民として、請求人は二度と原因者に代わって館林を尻拭いのすることのないようにしたいからだ」

 とし、最後に、

「第三工業団地について、今、トーモクだけでなくダノンその周辺地域の土壌汚染についても心配されているので、そこらあたりをどうするのかということが、具体的に館林市はどういうふうに今後この問題を扱っていくのか、そこのところの答えを聞きたい。
 具体的にフッ素汚染土壌を今後どうするのか。このことについて館林市は考えておられるのか。これが最大の心配事だが、どうなのか?係長!そのあたりは?」

 と当会顧問が市側に迫りました。すると、市側は

「ちょっと話がわかるところもあるし、わからないところもあるが、まず前提として、汚染されているということなんですか?」

 と、呆れた質問を返してきました。当会顧問が、

「汚染されているから(汚染土の)入れ替え費用として、館林市は5億2千万円払ったと議会も認めている。その隣りのダノンはどうなのか。ちょっと心配されるのだが、ダノン(の土地)はコンクリートで覆っているから、もう(雨水は)浸み込まないのか。現地に行ってみると、だいぶ覆ってあるようだが」

 と食い下がると、当会代表も

「福田係長さん。分かるところもあるが分からないところもある、ということは、我々の話したことが認識として、分からないということは、つまり、間違っているとか、不確実ということは察していただきたい。我々は情報開示請求でしか行政情報を入手する手段がない。
 しかも、そこのところが黒塗りにされている。公開質問状という形でも(館林市側に)投げさせてもらっている。この公開質問は、小林会員から複数回出しているが、市側の回答は『弁護士と相談させていただく』など、まともな答えがない。
 間違っているなら指摘してもらいたい、但し言えないということでずるずるいくと、また大変な問題になってしまう。そうではなく、『いや、この問題は全部きれいになっている』というのであれば、その根拠は『和解したから』ではダメで、科学的な根拠、或いはこれまでの経緯、そして相手方から確認を取って『ここはもう汚染されていない』という確証があれば、我々安心できるのだが、その確証がとれていない。群馬県が、そのように(土壌調査命令を)二重基準でやっているのも問題だ。土壌汚染の土対法に関する県の環境保全課の大気、水、土壌のうち、とくに土壌担当部署は非常に杜撰で二重基準だ。我々は真相を知りたいだけだ」

 と呼応すると、当会の顧問は、

「その真相というのは、これはどこからフッ素をもってきたのか、(行政側は)何も言わない。一番よく知っていると思うのに。(フッ素汚染土を)どこから誰が持って来たのか? 青木議員が、要は同じあそこの渡良瀬地区出身の青木議員が、ある業者を頼んで『安い土砂があるから持ってこい』と言って、(その挙句に)勲章をもらったのかということになれば、とんでもないことだ」

 と畳みかけました。すると市側は、

「ちょっとあのう、その部分については、何か、多分資料を渡したとか、既にお話しした話ではないかと思う。私どもは、ちょっと言い方はあれだが、当事者ではなかったので、といってはなんだが、資料とか、(役所にまだ)居る人の話を聞いて、事実として確認したことをお伝えしてきているつもりだ。あとは、書類も、それを渡しているはずだ」

 と、既に報告済みであることを強調する発言をしました。当会顧問は、「直接の担当者はいないのか?」と突っ込みを入れると、市側は「直接の担当者・・・うーん。当時のですねえ」と首を傾げるので、「石川さんは違うの?」と、当人は「私は立場が違います」と、他人事のような返事でした。

 それを聞いていた当会の副代表は、

「ちょっといいですか? 皆さんは、地方自治法って知っていますか?」

 と市側に質問しました。すると市側は一様に「え?」と訝しそうな表情を浮かべたので、当会副代表から次の説明をしました。

「(地方自治法の)目的に何と書いてあるのか? 住民の福祉の増進を基本目的としてと書いてある。情報公開法は原則開示なんですよ。それ知ってますでしょ? なぜかというと説明責任のための資料なんですよね」

 さらに当会顧問は、

「あの地区の代表者である青木(一夫・元)議員をこの席に呼んでほしい。この件をどう見ていたのか、その説明を以前から直接(本人に)言おう言おうと思っていて言えなかったが、この場を借りて担当地区の青木議員は(この件を)どのように見ていたのか、あるいは直接関与していたのではないか、とも思う。何度言ってもしらばっくれて逃げ回っていて聞けないでいた。だからそういう場を作ってほしい。福田さん、お願いします」

 と市側に申し入れると、市側は「青木元議員ねえ」といかにも乗り気のなさそうな返事なので、当会顧問は「直接対決したい」と申し入れると、市側は「まあ難しいですね」と他人事のような回答でした。

 当会顧問は、このような市側担当者の煮え切らない回答に業を煮やし、

「なんで自分の地区で汚染物質を出すようなことをやったのか? 過去にあそこの(早川田)地区は(足尾銅山)鉱毒事件で雲龍寺があったところだ。二度とああいうことをやらないということなので、第二の鉱毒事件ではないかと私は思う」

 と声を絞り出しました。当会代表も「まさにそうだと思う」とコメントしました。当会顧問は続けて、

「腹が煮えくり返っている。同じことを同じ地区で二度もやった。それでなおかつ勲章までもらったというからたまげた。この席に市長を呼びたかった。そして、市民が抱くおそれを徹底的に最後まで追求してくれと、思っていた。不思議ではないか。(元議員は)逃げ回っていて説明がつかない。市長は(この事件を)追及したのか?」

 と言うと、市側が

「青木元議員のことですか?因果関係というものが、今回のそれについて、青木元議員の責任だよというのは、何かはっきりした証拠があるのか?」

 と質問してきたので、当会顧問は、

「あるよ。勲章をもらっているから。勲章だよ。逆だよ。これに対して勲章をくれて口をふさいでしまった。勲章で」

 と反論。当会副代表も、

「ちょっと皆さん、他人事のように言っているが、さっき言ったように地方自治法にはちゃんと住民の福祉の増進がうたわれている。館林市は住民である小林さんにきちんと説明責任を果たしてくれればいい」

 とコメントしました。すると市側は、

「さきほど申し上げたとおり、事実として、はっきりと、こちらで申し上げられることはお伝え申し上げた。情報公開としても出している。黒塗りというのは、おそらく県のほうの話だと思う」

 と釈明したので、当会副代表は、

「だからお宅らの存在意義は、住民の福祉の増進を基本目的としているのだから、実際に税金は住民のものであり市長のものではない。ちがいますか?」

 と説明すると、市側は「皆さんのお考えはわかります」と言うので、当会副代表が、

「それが不当に使われないように、こういうふうに市の対応を聴いているわけだ。県については、別途情報開示をやっている。だから、情報公開法について、ちゃんと文章と解釈をみてくださいよ」

 と、重ねて説明しました。しかし、市側は、まだよく呑み込めていない様子で、

「その情報公開で黒塗りとおっしゃっていたのは、今回こちらの方の件? 私ども館林市の話か?」

 と聞き返してくる始末です。当会副代表は、

「おそれを理由に不開示としてはいけない。ちゃんと具体的にそういうおそれを立証する責任が(行政側に)ある。これは最高裁の判例でもちゃんと出ている。現に私はそれで勝訴している。裁判所も『具体的なおそれでないといけないから、具体的に立証しなさい』と言っている。情報開示条例でも住民の福祉に反するものは開示しなければならないとうたっている。守らなければならない生命と財産に関するものは、とりわけ、そうですよ」

 と粘り強く説明しました。市側も「そうですね」と言うものの、まだ、認識が不十分な様子なので、当会副代表は、

「明らかに税金の使い道の無駄を防ごうとしているわけで、これは市民の財産だ。そういう立場で行政をするのはあたりまえのことだ。そのために我々は説明責任を果たしてほしいと言っているわけだ」

 と念を押しました。当会顧問は、

「吉永さん、さっき言った青木(元)議員がいろいろ知っているのではないかと私は思っているわけだ。それをいろいろ言わせるために、吉永さんにはいろいろお願いしているが、どうなのか?」

 と、ダノンに売却した土地のフッ素汚染疑惑について市側に問いました。すると市側は、

「あの、私は青木(元)議員の存在はわからない。当時、(土地開発)公社にいらっしゃったのは分かるが」

 というので、当会顧問は、

「あそこの地区で発生した10年前の時期の、その地区の議員だよ。原点だよ。その地区でそれでよくやったということで館林市はその人を祭り上げたから私も何も言えない。だけどこの場だから言うが、福田さん、館林市にこれについて追及する委員会を作ってほしい」

 として、調査委員会の設置を提案しました。しかし市側は「青木(元)議員を追及する委員会か?」とまだ趣旨が呑み込めていない様子です。当会顧問は、

「青木(元)議員ではなく、第三工業団地のフッ素の解明ということで委員会を作ってほしい。青木(元)議員ももちろん入れてほしい。それで究明してください。私にはそこまでの権限がないからできないが、福田さん、あなたならできるでしょう?」

 と強くお願いをしました。すると市側は「第三者委員会を作ること?」と、とぼけたことを言っています。当会顧問は、

「そうそう。その傍聴席に私は入って聴かせてもらいたい。そこで発言はしないが、傍聴するだけでいい。このままでは真相がつかめないまま終わってしまう」

 と調査委員会の重要性を強調しました。しかし市側は、

「まず、群馬県さんが調査命令を出したとか出さないとかの判断は、当然我々も分からないし」

 などと、拍子抜けする見解を示す始末です。当会出席者は声を揃えて、

「分かりますよ」
「(県に)問い合わせすればいい」
「なんで(調査命令を)出したのか、とか」

 と言いました。さらに、当会代表からは、

「あたりまえですよ。今の地方自治法の目的に立ち返って、すぐそれをやってほしい。我々は(県に)なめられているが、皆さんだったら行政として対等の立場ですから。しかも当時、館林市職員のかたにヒヤリングした記録を彼ら(県)は持っている。それを小林さんが(県に)出してほしいと言っても(県は)出さない。皆さんも出さないでしょ。
 だから、皆さんが直接群馬県知事に聞いてください。簡単な事だ。なぜそれをやらないのか。やらないで、また5億2千万円あるいはそれを超えても、その金額を(税金から)支払えばいいと思っているのではないのか?
 そもそも、ダノンとの話は水面下でどうなっているのか? なんなら、私らはダノンに対する利害や権限はないが、ダノンにその辺(のいきさつ)について公開質問状を出さなくてはいけない。皆さんの話を聞いたうえで、聞いても話してもらえないのであればね。市はこの問題について、どう考えているのか。
 ダノンはグローバル企業であり、(企業ガバナンスは)ものすごく厳しい。だから打算も厳しい。どういういうふうに軟着陸させるのか、そのためには、ありとあらゆるテクニックを駆使するグローバル企業だ。彼らにしてみれば、地方自治体がいくら弁護士を雇っても、多寡をくくっているかもしれない。これはあくまで推測だが。だから第三者の調査委員会をつくってもらいたい。
 さもないと、ダノンに聞かざるを得ないことになる。我々も。こんなことはしたくないが、そのようなグローバル企業で力をもっているところであっても、必要なら問い合わせる。決してビビっているわけではない。SNSで何でも発信できる。とにかくお願いしたい。『これは、問題ないんだ。市民への負担はかからない』と今、根拠のある説明をしてもらえれば我々も市民も納得する。
 問題なのは、土対法の調査権限を持つ群馬県において、そういう摩訶不思議なことがあることだ。県は当時、(館林市土地開発)公社の職員に(土壌汚染のことについて)事情をきいているが、それについての情報も真っ黒けだ。それを皆さんから、行政として開示を求めれば、群馬県は皆さんに開示するだろう。それは皆さんにとって『平穏な事務事業を害するおそれがある』ということで、いつも情報不開示の口実になるかもしれない。群馬県もそうだ。しかしそういうおそれはない。なにしろ、昔の話だから。
 とはいえ、そうやって闇に葬っていいのか。(当会顧問の)小林さんが、こんなに長い間、土地開発公社の羽衣事件以来、不正を追及してきている。それなのに何という対応なのか。恥と言うものを知ってほしい」

 と説明。当会顧問も

「委員会を作って究明するということで本日の会議は終わりにしたいと思うがが、どうですか? 福田さん」

 と再度申し入れました。それでもなお市側は、

「まあ、今この場で委員会を作るとか言う話はできない。今の話をきいて、ちょっと我々として考える時間をいただきたい」

 と及び腰の見解を示すだけです。当会代表からは、

「もう考えているでしょう。それを話していただきたい。よく、まだ未成熟の情報だからということで開示しないが、未成熟だから、まだ決まっていないからというのではなく、現時点でどういう判断をしているのか、そこをきちんと開示してもらいたい。或いは、説明責任を果たしてもらいたい。どの自治体にもこういう話をしているが、地方自治法の基本をわきまえていないのではないか、そうとしか思えない」

 と重ねて情報開示と共有をお願いしました。当会顧問も、

「福田さんとしては、委員会を作る筆頭責任者に適している立場かなと思う。名目上は市長だが、実際に動く人は福田さんしかいない」

 というと、市側は「第三者委員会というのは市の職員で作る委員会ということか?」と聞き返してきました。当会副代表から、

「市の職員で委員会を作っても解明できない。桐生市もいろいろ問題があって市の職員による調査委員会を作ったが解明できると思いますか。いままでこういう事件を解決できなかった人たちがなぜ解決できるのか、と思う」

 と見解を示しました。当会顧問は

「議員を立てた方がいいと思い、実はこの席に議員を誘った。誘ったが、まあ、断られたけどね。一人くらいでは何ともならないのでやはり協力者としての議員も必要かと思う。そうすれば頼んでみようと思う。青木(元)議員の親戚の議員だと反対されるので、彼はちょっとよけていてもらいたいが、女性議員のなかで、この問題について今日も同席してもらおうかと思った人がいる。どうすれば(調査委員会の設置が)できますか? 福田さん」

 と話を向けると市側は「分からないですね。正直言うと分からない」と言うので、当会顧問が「吉永さんはどうですか? どういうふうな方策なら解決するか?」と尋ねると、市側は、

「解決するというのは、原因をはっきりさせるということですよね?」

 と聞き返してきました。当会代表は、

「事の重要性を認識されていますか? (トーモクに支払った)5.2億円など端金だと。当時の公社は解散しているから、昔やっている奴がやったことだと。トーモクとの裁判でも『和解で市は悪くなかった』と。あぶく銭の血税で尻拭いしたのでそれでお仕舞いだと、思っているのではないか。
 安中市も同じだ。だから反省しないでまた同じように不正が蔓延るわけだ。安中市の場合は、先ず真相究明、責任の所在を明らかにする。それをもって再発防止。このホップ・ステップ・ジャンプがきちんとなされないと、後に禍根を遺して同じことがまた起こる。もう水面下で起きているかもしれないが。
 ひょっとしたら『こんなことはよくあるひとつで、日常茶飯事だ』と思っているのかもしれないし、しかも、『たった5億2千万円などたいしたことではない』と思っているのではないか。
 役人は無謬性ということで法律でも性善説だ。地方自治法もそういう考え方で成り立っている。だから告発義務でなく守秘義務しか守ろうとしない。なので、どの自治体もあいかわらず悪事が蔓延って、税金の無駄遣いと行政権限の不当な行使でいろいろな市民や関係者が迷惑をこうむる。ぜひ自分のこととして考えてほしい。市民の税金で尻拭いしようとしないで、第三者の調査委員会をどうすべきかと。即刻皆さんが考えるべきだ。
 まあ第三者委員会となると、公正・中立を担保するために人選に苦慮する。そうでなくても、なにか裏があるのでは、ということでゴタゴタする。第三者調査委員会をどうするか。即皆さんが考えるべきだ」

 さらに当会代表が続けます。

「真相究明について、書類も10年たったらもう廃棄だと。書庫にあっても不存在にしてしまえ、そういう考え方が蔓延っている。真相究明は難しいかもしれない。だから私はフッ素について、大同特殊鋼由来で持ち込まれたと思う。あと電炉メーカーとしては、藤岡市の神流川の対岸にある朝日工業も電炉を使っている。あそこの鉄鋼スラグも八ッ場ダム付近に持ち込まれたことが、県の資料で確認されている。
 あとは沿岸部にあるJFEだ。昔の川崎製鉄。こちらから持ち込まれた可能性もなきにしもあらず。だが、あそこは高炉の製鉄なのでフッ素はあまり使われていないかもしれない。いずれにしてもフッ素がこんな内陸で発見されたこと自体、私は大同特殊鋼由来だと思う。
 だから群馬県に開示するように求めてほしい。県は(大同スラグの使用箇所について)調べている。どこに使ったかというのを調べた。大同特殊鋼であり、大同薬品工業ではない。それはリストとして挙がっている。だから『館林北部第三工業団及びその近辺で使われていることが分かる情報』ということで開示請求した。しかし不開示とされた。もう2年近く経過しているがまだ結論がでない。そういうリストを、皆さんが群馬県に開示するように言ってほしい。県はちゃんと持っているんだから、(フッ素土壌汚染が)大同特殊鋼由来のものかどうか、すぐわかるはず。直ぐに皆さんならやれるはずだ。そういうふうにして原因者も容易に突き止められる手段はあるわけだ。県が見せてくれればいいのだが、(当会に対して)県は見せないから、『ああ、何かあるんではないか』とこう思うわけだ。ぜひ我々の代わりに群馬県の環境保全課に、あるいは山本一太知事に言って『すぐ見せろ』と。『どこに大同特殊鋼フッ素入りスラグがまかれたのか』とね。排出先の情報は全部記録しなければならないからね」

 すると市側から「一点だけよろしいか?」と質問が出されました。当会が「どうぞ」というと、市側は次の説明をし始めました。

「当時、北部第三工業団地の造成に当たり、外部から土を持って来た事実はある。それについては小林さんから情報開示請求を頂き、どこから持って来たのか、ということと、持って来た土について、当時公社が検査していたようだ。その検査の結果については、もうお渡ししている。それによるともう見ていただけば分かると思うが、佐野の山だったりする記録がある。当時フッ素は(基準値を)超えていないという記録がちゃんと残っていて、それはお渡ししているところだ」

 これを聞いた当会が「でも実際には(フッ素が)出ているわけだ」というと、市側は「そうですね」と言うので、当会代表がさらに付け加えました。

「業者は材料試験表を偽造するわけだ。だから、排出者のほうで、群馬県が調べている。私は、『大同特殊鋼だ』という確たる証拠はないのだが、群馬県がもう2年にわたり私の方に(「大同スラグの使用場所」の調査結果リストを)見せずにいるわけだ。
 しかも当時も土地開発公社というとにかく伏魔殿みたいな組織だから。安中市も土地開発公社を舞台に51億円を抜かれた。土地開発公社は利権の巣窟なので、そこで工事を発注したりして、工事監督というのも職員が兼務するが、みな杜撰で業者任せ。群馬県もいい加減だが、一応国でもそう。しかしそれでも提出する材料証明書は半年に1回。それを県指定の試験センターでチェックしたのを付ければよいこととなっている。
 だから実際には大量のスラグが県内の公共事業で、また国では上武道路などにばらまかれた。なので、館林市の伏魔殿のような土地公社の事業などはチョロいもので、やりたい放題だ。だから今残っている資料、いろいろな配慮で(市側で)遺していただけるのはありがたいが、そうでなくて別ルートでも情報があるわけだからそれらを駆使して情報収集する。
 実際にスラグが入れられたことについては、破砕されているかもしれないが、それを分析するなりすれば、ある程度特定できる。どこで生産されているかを。他にフッ素でそんなに濃度の高いものを出すという産業は見当たらない。今PFASなどいろいろなフッ素化合物でテフロン加工だとか、いろいろな消火剤とかあるが、これだけ大量に広範囲に地面に含まれているのは、そういうスラグ由来の汚染と見るのが一般的だ。
 だからぜひ皆さんにお願いしたい。群馬県は、大同スラグの資料として、使用場所についてリストを持っている。どこにどれだけ出荷したというのを、彼らは持っているし、一覧表にしている」

 これを聴いていた市側は「・・・・」だったので、さらに当会代表から、

「出来る術は有るんです。皆さんの権限をもってすれば、地方分権だから同じ対等な目線ですからね。こういう訳で第三者調査委員会の設立に向けてアクションプランを前向きに考えてもらいたい。市民に見えるかたちで。
 それで一番重要なのは、ダノンのあの土地が、どういうふうな今、立ち位置というか、建付けになっているのかを。なぜダノンはあそこに工場を作らないのか。ダノンは当然、これは私の勝手な推測だが、大同薬品工場が口に入る製品を作るから県もそういう所であるからということで、あそこに土壌調査命令を出したのだと思う。
 ダノンも食べ物としての製品を作っているので、当然(土壌汚染には)神経質になっているはず。だから、あそこに(工場を)建てられないというのであれば、それはフッ素が原因だということは当然うかがえる。
 ではどうするのか。ダノンあっての館林というか、館林市は、ダノンジャパンが唯一日本で工場を持っている自治体だ。だからダノンのHPにも書いてある。館林市との友好関係についてよく書いてある」

 その時、会議室のドアを叩いて入ってきた職員が「お時間です」と言ってきました。市側の参加者は「まだだ」と合図を送りました。当会代表はそのまま話をつづけました。

「それだけお互い持ちつ持たれつの間だったら、きちんと、どうすべきかというとことを皆さんからも説明しているはずだし、向こう(ダノン)だって『隣が土壌汚染しているから、うちのところも』という話が出ている筈。なので、心配なので、ダノンとの交渉について、情報開示請求をさせてもらうかもしれない。そうしないと市民は心配するからだ。それが出せないとなると、また5.2億円プラスアルファ。ダノンの敷地は確か7.2ヘクタールある。そのうち2.63ヘクタールは大和ハウス工業が日立物流に貸している。日立物流がダノン4分の3、ヤクルト4分の1の割合でロジスティックス業務を担当することとで操業している。そこには建物は建っている。だけどダノンは2022年までに隣接地に新工場を作ると2014年のHPでプレスリリースしている。あのグローバル企業がこういうふうなアクションプランを作ったら、それに沿ってきちんとフォローする。
 だけど、まだ作っていない。既に2024年になっていても、だ。ということはやはり懸念される。あそこの場所はどうするのかと。トーモクの2倍もある。トーモクも館林に第1工場に加えて第2工場を、その時は作りたいという計画があったのかもしれない。土壌汚染問題が発覚しても、トーモクは『館林さんとは仲良くやっていきたいので穏便に』と言っていたにもかかわらず、その時は皆さんは『もう弁護士を立てている』として、蹴飛ばした。
 ダノンともそういうやりとりをやるつもりなのか。ダノンが取得してまだ工場が立っていない場所は、トーモクの場所のほぼ2倍の面積がありますよね。今、トーモクが大同ドリンコHDの子会社の大同薬品工業に転貸したのかは定かでないが、2.7ヘクタールを全部転貸したとして、そのほとんどに大同薬品工業が施設を作った。
 あれ2.7ヘクタール全部に排客土工事をしたのかどうか定かではないが、88区画各10m四方で1㎡4万円かけて汚染土壌除去をやりましたよね。そうなると5.2億円の費用では追い付かないかもしれない。今度は倍となるわけで、そうすると10億円となるわけだ。
 果たしてそうなるのかどうか、『心配いらない』と云うならそれでいい。オンブズマンが勝手に妄想を膨らませて『心配性だな』と。『そんな心配は無用だ。心配はない。もうダノンとは手打ちをしたんだから』とおっしゃりたいのかもしれない。
 なので、今度の(現在造成工事がほぼ完了しつつある)第四工業団地に(ダノンの)土地を手当てをして、あそこ(の土壌汚染の土地)はそのままにして、ほとぼりをさます方針なのではないか、と、我々としても妄想が広がるわけだ」

 すると当会顧問が次の見解を述べました。

「議員を動かさないとダメかな。議員の賛成は、というよりは決まってしまえば予算を組んでやるでしょうよ。要は、下手をすると、ダノンの土地を、ダノンが今の(汚染土壌の)ままだと逃げられてしまう。あまり私も騒がないようにするのは、騒ぐと(ダノンに)逃げられるからだ。それを逃げないようにするにはどうすればよいか、ということを議員の間で話をして、その土地を浄化してダノンさん使ってくださいというしかないと思う。
 下手に第三者委員会を立ち上げてガタガタやっていると、ダノンが逃げてしまうと私は思う。私は御カネがないから、カネを動かすのは議員だと、私は思うので、議員に相談してそこら辺をダノンの土地を浄化すると、いうことでやったらいかがかなということで、提案してみたい。2倍の土地があるんだから10億くらいかかるんでしょうけど。
 そこらへん、よく分からないけど、トーモクが三味線引いて、3分の1、4分の1で、本当は1億で(土壌汚染除去が)できるのに5億も(市に)請求したのかどうか、私には分からないが、館林が自分でやれば、1億か2億でできるのではないか。
 そこは、上っ面だけきれいにして、ということをやるとまた問題なので、ちゃんとその辺は浄化して綺麗になりました、ということで、県にも相談するとよいかもしれない」

 それを受けて当会代表が発言しました。

「群馬県はいい加減なのでケース・バイ・ケースで判断する。だからトーモクが大同ドリンコの子会社に関東工場を作らせるというので、格好をつけて、きちんと浄化するように、と配慮したのかもしれないが、土壌調査命令を出した県の環境保全課の担当係長は「(ダノンらの土対法第4条による届出の際は土壌汚染のおそれがあることを)知らなかった」と言っている。
 さっきの話で思い出すのが、東邦亜鉛安中製錬所の場合で、重金属汚染土地の上に安全な客土を45センチ敷いたことでOKを出した。任意の措置としているけれども、それでも県はOKと言っている。
 それと渋川市の場合はフッ素汚染土地を舗装することでOKとしている。安中市のクレー射撃上の改装でライフル射撃上に併設する場所も、散弾など鉛やカドミウムによる汚染区域の指定をした。それは2mくらいの深さでかなり大規模で天地返しと呼ばれる反転工法で実施し、県はそれでOKだとしている。
 しかし、ダノンジャパンはグローバル企業なのでそういう小手先の工法では絶対納得しないと思う。でも群馬県と皆さんと相談して、あそこをどうやって被害を最小化させるのか、本当であれば原因者は誰かということを追及しなければならないのだが、これ以上、火の粉が拡がらないようにするにはどうすればいいのか。
 通常なら、例えば、東邦亜鉛は公害でならした大企業だし、小渕優子に政治献金しているからかどうか分からないが、汚染土地の上に45センチの上乗せ客土でOKとしたのかもしれないし、県営のクレー・ライフル総合射撃場の汚染土壌対策のように、天地返しでOKというのかもしれない。
 だけど、群馬県があのような土壌調査命令を出したり出さなかったりしたから今回の問題が起きた。群馬県の判断の二重基準をやめさせないと、再発防止にならないのではないか、と当会は言っている。
 とにかくダノンの場合は、市民の負担のないようにしてもらいたい。ダノンともう、いろいろと交渉しているというなら、すぐ、あそこのところを、交渉の過程も含めて、オープンにしないといけない。いきなり結果を示されると、その内容にもよるが、市民は驚いてしまう。それ(第三工業団地を造成する)以前にも、公社がガイドラインに沿わない形で、何か(フッ素除去にかかる)工事をしているわけだが、あれもそれなりにカネがかかっていたはずだ。
 そうでなくても土地開発公社は20億円を一般会計で損切りをしているではないか。しかもそれを、10年から20年かけて、市が返済中だ。安中市の公社51億円事件の103年ローンもそうだが、役所の誰もが真剣に考えないのは、尻拭いに使われるカネが税金由来のアブク銭だからと思っているからだ。
 だから、裁判所が、行政を和解にしたという背景はよく分かる。最初からそうするつもりだったからだ。誰がどう見ても汚染物質が入っているから館林市側の分が悪い。トーモクも市との関係を慮って減額に応じる姿勢を示していたではないか。それを蹴飛ばしてしまった。
 ダノンとの交渉では、そういうことをしないでもらいたい。私は館林市民ではないが、安中市民として行政のそういう理不尽な勝手な決ぬぐいで2113年まで安中市が連帯補法人で群馬銀行に和解金の返済をしている状況に我慢ならないので、館林市民と同じ思いだ。
 話が散漫になったがまず第三者委員会の設立に向けて真剣に前向きに討議してもらいたい。それと、スラグがどこから持ち込まれたかは群馬兼に聞けば、すぐ分かるので、これは今すぐにでもできるアクションだ。それと、ダノンと今、水面下でおそらく進めている交渉についても、発表できるかどうか、ダノンとの内々の約束もあるのかもしれないが、一応、方向性など、市民に負担を掛けません、という方向で、やっているのかどうか、これが知らされないと市民としては枕を高くして寝られないと思う」

 そして最後に、当会顧問から次の発言があった。

「一応、山本一太知事がこの話に乗ってくれているので、こういう時期なので、一太知事にさらに、やはり良い知恵を借りて、市は対応してもらいたい。前の市長は何と言ったか、(市側から「須藤です」とコメントあり)須藤前市長は、一太知事と懇意だった。
 政治的に、私も議員を動かす力はないので、ぜひ議員を動かして一太知事に、せっかく一太が前向いてくれているわけなので、話に乘りかかってくれているわけなので、いい機会だと思う。まあそんなわけで、今日のところは、尻切れトンボになったかもしれないが、ひと津宜しくお願いします。福田さんの右腕にかかっているからね」

 すると市側から「私には権限がないんです」と弱気な発言があり、それに対して当会顧問は、

「係長さんにおいては、一番脂がのっているポジションなので、権限があるはず。一番のキーマンだ。だからこうして出てきていただいた」

 と持ち上げましたが、市側は「小林さんが私を指名してきたから」と最後まで、消極的な姿勢でした。

 会議室の窓から外を見ると、一面の雪景色です。会議が始まりもう1時間半が経過していました。市側には「本日の協議については動画で記録しており、後日YouTubeで公表する予定です」と申し上げ、了承を得ました。




帰路、JR両毛線の前橋駅で「高崎駅構内で雪によるポイント故障のため、電車が各駅に停まっており、この電車もしばらくここで待機します」とのアナウンス。その後もズルズル遅れ、信越線で安中駅についたのは予定より1時間遅れの午後7時過ぎだった

■本日の館林市側との協議を踏まえて、当会は、近日中に、「第三者調査委員会の設置」と「フッ素による土壌汚染の原因調査」、そして「ダノンが買わされた土壌汚染土地の今後の取扱い方針と現状報告」について、文書で館林市長宛に要望することにしています。


【市民オンブズマン群馬事務局からの報告】

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

東電の毒牙から赤城と県土を守れ!…関電工の前橋バイオマス発電所を巡る法廷偽証者の不起訴相当が確定

2024-02-24 23:28:16 | 前橋Biomass発電問題・東電福一事故・東日本大震災


■関電工が主体となって、トーセンや県信連、素材協の一部出資(現在は関電工の完全子会社とみられる)を受けて2015年6月22日に設立した前橋バイオマス発電㈱は、親会社の東電の威光をバックに前橋市苗ケ島町にある電中研の土地の一部を払い下げてもらい、周辺住民にきちんとした説明をしないまま、木質バイオマス発電所を建設し、2018年(平成30年)3月から本格的に運転をスタートさせて、早くも6年が過ぎようとしています。


 この間、当会はバイオマス発電所に隣接する赤城ビュータウンの皆さんとともに、官業癒着のこの施設の安全・安心な稼働を担保すべく、関電工や行政に働きかけを続けています。昨年7月時点での状況は次のブログ記事をご覧ください。
○2023年7月6日:東電の毒牙から赤城と県土を守れ!…関電工が政官と癒着して稼働中の前橋バイオマス発電所を巡る近況報告

■あれから半年経過しますが、令和5年3月28日に、前橋地検の黒澤葉子検事が、法廷偽証罪の被疑者の福本雅邦を嫌疑不十分で不起訴にしたことについて、同年6月5日に前橋地裁を訪れて前橋検察審査会の事務局で審査申立書を提出した後、5カ月後の令和5年12月15日付で、前橋検察審査会から次の議決通知書と12月13日付議決の要旨が郵送されてきました。


*****2023/12/15議決通知書*****

                       令和5年12月15日
審査申立人 小 川   賢 殿

                      前橋検察審査会

             議決通知書
 当検察審査会は、あなたが申し立てた審査事件(令和5年(申立)第7号)について議決しましたから、別添のとおり、その要旨を通知します。

*****議決の要旨*****

令和5年前橋検察審査会審査事件(申立)第7号
 申立書記載罪名  偽証
 検察官裁定罪名  同上
 議 決 年 月 日  令和5年12月13日
 議決書作成年月日 令和5年12月13日

          議 決 の 要 旨
審査申立人
   (氏名)  小 川   賢
被疑者
   (氏名)  福 本 雅 邦
不起訴処分をした検察官
   (官職氏名) 前橋地方検察庁 検察官検事 黒 澤 葉 子
 上記被疑者に対する偽証被疑事件(前橋地検令和3年検第1890号)につき、令和5年3月26日、上記検察官がした不起訴処分の当否に関し、当検察審査会は、上記申立人の申立てにより審査を行い、次のとおり議決する。
          議 決 の 趣 旨
 本件不起訴処分は相当である。
          議 決 の 理 由
 本件不起訴処分記録並びに審査申立書及び審査申立人が提出した資料等を慎重に審査検討した結果、検察官がした不起訴処分の最低を覆すに足りる証拠がないとの判断に至った。
 よって、上記趣旨のとおり議決する。

        前橋検察審査会
**********

 このように、我が国では法廷で偽証しても、東電の子会社の役員や公務員であれば、ウソをついてもお咎めがないことがわかります。ですが、一般市民にはこうした特例措置は適用されないでしょうから、十分に留意が必要となります。

■このように、関電工の子会社の前橋バイオマス発電㈱の代表取締役にも就任していた人物が、隣接住民らが懸念し、稼働後も実際に環境基準値を超える騒音に悩まされている実態を無視して、「騒音対策は適切に取られている」などと法廷で偽証しても、前橋地検や前橋検察審査会は罪に問おうとしないのですから、事は重大です。

 司法に訴えても取り上げてもらえないため、隣接住民の皆さんは現在もなお、群馬県や前橋市に環境面での問題をアピールし、善処を求め続けなければならないのです。

■とりわけ問題なのは、騒音と排ガスについてです。なぜなら、この前橋バイオマス発電施設は、火力発電所ですが、排ガス量が毎時4万ノルマル㎥を超えるように設計されているからです。

 この場合、条例では計画段階で環境影響評価(アセスメント)が必要になります。にもかかわらず、群馬県は、燃料の木質チップに水分が20パーセント含まれているのが前提なので、その水分が水蒸気となって排ガス中に含まれる分は差し引かれるべきだ、などと条例に特例条例を付与し、少しでも早く関電工がこの発電施設を稼働できるように配慮してしまったのです。

 本来であれば、きちんと2~3年かけてじっくりとアセスメントを行い、騒音や排水、排ガスなどによる周辺住民の安全・安心な生活環境の保全を最優先にしなければならないところ、群馬県環境森林部環境政策課は問答無用で環境アセスを免除してしまいました。

■この影響と弊害は現在でも続いています。

 そもそも、国等の責務として「国、地方公共団体、事業者及び国民は、環境影響評価の重要性を深く認識して、環境影響評価の手続が適切かつ円滑に行われ、事業実施による環境負荷をできる限り回避・低減すること等の環境保全の配慮が適正に行う」と環境影響評価法第3条に定めがあります。

 さらに憲法第94条には、「地方公共団体は、その財産を管理し、事務を処理し、及び行政を執行する権能を有し、法律の範囲内で条例を制定することができる」という規定があります。

 また、地方自治法第14条1項には、「普通地方公共団体は、法令に違反しない限りにおいて第二条第二項の事務(地域における事務及びその他の事務で法律又はこれに基づく政令により処理することとされるもの)に関し、条例を制定することができる。」という規定があり、そして、同法第14条2項には、「普通地方公共団体は、義務を課し、権利を制限するためには、法令に特別の定めがある場合を除いて、条例によらなければならない。」という規定があります。

■ところが、行政担当者はこうした法令などお構いなしに、ひたすら責任回避の対応を今なお続けています。

*****2023.8.22住民から県と前橋市あて発信メール*****
Sent: Tuesday, August 22, 2023 8:15 PM
Subject: 前橋バイオマス発電所の排ガス量測定について

群馬県環境政策課/石坂さま  前橋市環境政策課/橋本さま
 毎々、お世話になります。日々、群馬県/前橋市の環境政策についてご尽力頂き篤く御礼申し上げます。
 首記の件、環境省から群馬県環境政策課に情報連絡させていただきました
 前橋バイオマス発電所の排ガス量について、石坂さま、橋本さまから「年内に排ガス量測定実施」するとの回答いただきました。私たちの長年の懸案でありました排ガス量測定を実施いただけますことに篤く御礼申し上げます。このことは環境省殿とも情報共有化させていただきたいと思います。なお、測定実施予定日、実施後結果についてメール等で情報共有化させていただきたくお願いいたします。
  赤城山の自然と環境を守る会 会長 横川忠重、副会長 野原潤一

*****2024.1.8住民から群馬県あて発信メール*****
RE: 前橋バイオマス発電所の排ガス量測定について
Sent:2024/01/08 PM 12:18

群馬県環境政策課/石坂さま
 毎々、お世話になります。前橋バイオマス発電所の排ガス量の測定を実施する旨の回答を令和5年8月に頂きましたがその後の進捗状況について開示して頂きたくお願いいたします。
 大変恐縮ですが令和6年1月22日までにご回答頂きたくお願いします。
 また、測定方法につきましても教示頂きたくお願いいたします。環境省にも情報共有化いたしたいと思います。
  赤城山の自然と環境を守る会 会長 横川忠重、副会長 野原潤一

*****2024.1.9群馬県から住民あて受信メール*****
Sent: Tuesday, January 9, 2024 9:16 AM
Subject:前橋バイオマス発電所の排ガス量測定について

赤城山の自然と環境を守る会 野原様
 お世話になっております。
 群馬県環境政策課の石坂でございます。
 この度はご心配をお掛けしており大変恐縮です。
 さて、お問い合わせの件でございますが、令和5年8月に野原様へ回答した内容について改めて以下に記載しますと
・環境影響評価条例(条例環境アセス)を所管する県庁環境政策課には、大気環境を測定する権限はない。
・所管する前橋市へ聞きとりしたところ「当初、今年か来年に実施する予定だった調査を今年度中に実施する予定。実施予定時期は秋から冬にかけて。」と申し上げております。
 よって、お問い合わせにある「前橋バイオマス発電所」の大気環境の測定の実施状況等について県環境政策課ではお答えできることがございませんので
 ついては、前橋市さんへお問い合わせをお願いいたします。 

*****2024.1.9住民から群馬県から発信メール*****
タイトル:御礼と再要望 RE: 前橋バイオマス発電所の排ガス量測定について
受信日時:2024/01/09 PM 09:34

群馬県環境政策課/石坂さま
 早々の回答有難うございました。しかしながら、前橋バイオマス発電所の排ガス量は事業者から環境影響評価条例に規定されている基準値を超過しているにも関わらず、御課が運用ルールを1日で作成して環境影響評価を不要となった経緯があります。また、机上での排ガス量計算しかありません。
 環境影響評価の所管は群馬県環境政策課と認識していますので当然、実際の排ガス量は御課で把握されなければならないものと考えますが如何でしょうか?
 改めてこの点についてご回答頂きたくお願いいたします。
 なお、前橋市環境政策課さまからも今年度中に排ガス量の測定をすると昨年8月に電話回答頂いておりますのでご指示の通り問合せを致します。
  赤城山の自然と環境を守る会 会長 横川忠重、副会長 野原潤一

*****2024.1.15群馬県から住民宛受信メール*****
Sent: Monday, January 15, 2024 6:22 PM
Subject: 御礼と再要望 RE: 前橋バイオマス発電所の排ガス量測定について

赤城山の自然と環境を守る会 野原様
 お世話になります。
 群馬県環境政策課の石坂でございます。
 お問い合わせのありました件で下記のとおり回答いたします。
 どうぞよろしくお願いいたします。
(回答)
 前提として、環境影響評価制度とは、大規模な開発事業を行う前に、その事業の実施が環境にどのような影響を及ぼすかについて、あらかじめ事業者自らが調査、予測及び評価を行い、その結果を公表して住民や関係自治体などから意見を聴き、これらを行う過程においてその事業に係る環境の保全のための措置を検討して、よりよい事業計画を作り上げていこうという制度です。 
 この制度を事業者自らが執行するための手続について定めたものが、群馬県環境影響評価条例(以下「条例」という。)となっております。これは、条例第1条(目的)にも規定されているところです。 
 この条例に定める規模要件に該当する事業については、条例に定める対象事業となり事業者自らが条例に定める手続を執行することとなります。 
 つまり、本条例では手続について規定しているにとどまることから、事業に対する条例手続の要否判断は事業者の責務であり、本制度に規定する県環境政策課の責務の範囲外であります。 
 この前提を踏まえ、問いにある
「環境影響評価の所管は群馬県環境政策課と認識しています※①ので当然、実際の排ガス量は御課で把握されなければならないものと考えます※②がいかがでしょうか?」 
について回答いたしますと、
※①ご認識のとおり、条例の所管は群馬県環境政策課ですが、条例の手続の主体は事業者です。
※②そもそも適正かつ環境に配慮した事業運営の責務は「事業者」にあると考えます。環境基準値でも、その値を遵守するのは事業者であります。 
 加えて、条例に定める対象事業も含め、供用後における個々の事業へのモニタリング調査について県環境政策課が実施する規定は本条例に定めはないことから、モニタリングについては事業者が行うものと捉えております。

*****2024.1.21住民から群馬県あて発信メール*****
タイトル:御礼と再要望 RE: 前橋バイオマス発電所の排ガス量測定について
日時:2024/01/21 PM 10:06

群馬県環境政策課の石坂主任さま
 お世話になります。
 赤城山の自然と環境を守る会の野原です。早々の丁寧なる回答頂き篤く御礼申し上げます。
 「(回答)前提として、環境影響評価制度は・・・よりよい事業計画を作り上げていこうという制度です。」との詳細なご説明がありました。まさにその通り運用されば素晴らしい制度だと考えます。
 ですが、発電所近隣の住民は平成30年から稼働している前橋バイオマス発電所の騒音公害、生活水の水温上昇等で苦しんでいます。環境影響評価を実施していれば騒音公害等は未然防止できたと強く思う次第です。
 県は木質バイオマス発電の燃焼排ガス量について環境影響評価条例施行規則に運用ルールを付記しました。その内容は生木に近い燃料を枯れ木と同じ含水率として排ガス量を計算して良いとする内容でした。私たちは環境影響評価を実施しなかった経過に強い疑問を持っています
                 記
1.①この付記事項は事業者に偽装を進めるようなもので法秩序の点から如何なものかと思います。
 さらに付記事項は見識者等の見解も無いまま根拠のない解釈を一部門の判断で決め審議会にも報告せず、あろうことか事業者のみに知らせていました。
2.事業者は付記された運用ルールに基づき排ガス量を計算して平成28年(2016年)5月に経済産業省関東東北産業保安部長に排ガス量:42,400立方メートルN/時(空気比1.3)、その後、群馬県に排ガス量:41,533立方メートルN/時(空気比1.3)と報告しています。この排ガス量は40,000立方メートルN/時以上の為、条例により環境影響評価が必須なはずです。②しかしながら、県の指導により事業者はさらにを排ガス中の水蒸気を排ガス量から控除したものを提案し基準値内になるので環境影響評価不要と判断しました。群馬県はどのような法的根拠により、このような控除をした排ガス量を了とされたのでしょか?
3.前橋バイオマス発電事業は騒音規制法で定められた騒音特定工場に指定される大型の設備を導入しています。従って春夏秋冬、夜間騒音含め詳細な環境評価がされなければならない事業であると思います。③県は環境影響評価施行規則・運用ルール策定時に事業が騒音特定工場、居住地から100mの立地、大規模木質バイオマス発電事業、さらに原発事故由来の放射能汚染されている燃料等を十分考慮して検討しなければならなかったと思いますが如何でしょうか?
4.令和5年8月22日、午後4時ごろ私の携帯に石坂さまより、「前橋バイオマス発電所の排ガス量を年内に測定する。」との連絡ありました。しかし、唐突にモニタリングは事業者が行うものと回答いただきました。騒音公害、井戸水温の異常上昇等住環境が破壊されている住民に対する回答でしょうか?④何故変更されたのか? 私たちは前橋バイオマス発電事業に関する排ガス量計算に大きな疑義をもっています。私たちが検討した計算結果をお持ちしますので今後このような問題が起きないために議論する機会を設けて頂きたくお願いします。
 御多忙中、恐縮です。①~④について令和6年2月2日までにご回答頂きたくお願い申し上げます。
  赤城山の自然と環境を守る会 会長 横川忠重、副会長 野原潤一

*****2024.2.2群馬県から住民宛受信メール*****
Sent: Friday, February 2, 2024 4:43 PM
Subject: 御礼と再要望 RE: 前橋バイオマス発電所の排ガス量測定について

赤城山の自然と環境を守る会 野原様
 お世話になっております。
 群馬県環境政策課の石坂でございます。
 お問い合わせいただいておりました件で下記のとおり回答させていただきます。
(回答)
 環境影響評価は、大規模な開発事業を行う前に、その事業の実施が環境にどのような影響を及ぼすかについて、あらかじめ事業者自らが調査、予測及び評価を行い、その結果を公表して住民や関係自治体などから意見を聴き、これらを行う過程においてその事業に係る環境の保全のための措置を検討して、よりよい事業計画を作り上げていこうという制度であり、この制度を事業者自らが執行するための手続等について定めているのが、環境影響評価条例、条例施行規則及び技術指針です。
 未利用材による排ガス量の計算については、環境影響評価条例、条例施行規則及び技術指針では定められておらず、運用ルールとして定めたものです。
 県では、環境影響評価条例、条例施行規則及び技術指針等により環境影響評価制度を適正に運用しております。
 なお、前回も申し上げたとおり、当該施設の現在の稼働状況等については、事業者及び大気環境法令を所管する前橋市担当課へお尋ねいただきますようお願いいたします。

*****2024.2.2住民から群馬県あて発信メール***** 
Date: 2024年2月2日(金) 21:45
Subject: 御礼と再要望 RE: 前橋バイオマス発電所の排ガス量測定について

群馬県環境政策課 石坂さま
 お世話になっております。問合せの回答有難うございました。
 しかしながら、(ご回答)は赤城山の自然と環境を守る会からの問合せ回答になっておりませんので再度、問合せをさせて頂きます。私たちは環境影響評価制度、その役割、手続き等々理解をしているつもりです。運用ルールなるものが事業者に偽装を進めるようなもので法秩序から如何なものか?と問合せしているのです。
 ①~④の問合せについて各々回答をして頂きたくお願いします。
 石坂さまが担当される前の事案ですが運用ルール作成経緯を深堀して頂きたくよろしくお願いします。
  赤城山の自然と環境を守る会 会長 横川忠重、副会長 野原潤一

*****2024.2.8群馬県から住民あて受信メール*****
Sent: Thursday, February 8, 2024 1:43 PM
Subject: Re: 御礼と再要望  【自動転送】RE: 前橋バイオマス発電所の排ガス量測定について

赤城山の自然と環境を守る会 野原様
 お世話になります。
 群馬県環境政策課の石坂でございます。
 過日お問い合わせいただいておりましたことについて、下記のとおり回答をいたします。
(回答)
 県では、適正に定めた条例・施行規則・技術指針や運用ルール③に基づき環境影響評価制度を適正に運用しており、事業者に偽装をすすめるものではないと認識しております。①
 環境影響評価制度は、事業者自らが条例等に規定されている手続を履行することで、自主的に環境保全上の適正な配慮を行う制度であるため、規模要件の該当についても事業者自らが条例・施行規則・技術指針・運用ルールに基づき規模等を確認し手続要否を判断するものです。県は、事業者より条例・施行規則・技術指針・運用ルールに基づき判断したとの報告を受けております。②
 なお、回答を変更したものではなく、またこれまで問い合せに対し丁寧に回答をさせていただきました。④従来の回答のとおり当該施設の現在の稼働状況等については、事業者及び大気環境法令を所管する前橋市担当課へお尋ねいただきますようお願いいたします。
**********

 あまりにもそっけない群馬県環境森林課からの回答メールを受信したので、早速、住民のかたは群馬県環境政策課担当職員の石坂氏に電話で面談を申し入れましたが、進展はみられませんでした。

■この後、赤城ビュータウンの住民で赤城山の自然と環境を守る会の皆さんは令和6年2月13日までに大気環境法令による排ガス分析結果を前橋市に情報公開した結果を入手しました。しかし、残念ながら、このデータは平成30年10月の立入調査結果で2023年度の測定結果はまだでした。ですが、2024年1月に測定したようです。それにしても、今回もまたひどい話で、前橋市は5年前ですが排ガス量の測定データを持っていたのに、市民に何も連絡すらしてきませんでした。













 上記の測定は環境技研が実施したようです。測定結果は排ガス量41000立方m/hrで関電工が県に提出した数値に近いものでした。また、酸素濃度の測定結果から空気比1.3となります。

施設調査表

 売電開始したころは水分量の少ない間伐材を燃料としていたため測定結果も4100立方メートル(空気比1.3)となっていたかと推定します。ガス中の水分量も18.3%(Xw)とあります。


ばい煙発生装置

 平成30年12月の騒音測定はベース騒音40㏈、令和元年以降のベース騒音43㏈で騒音レベルが明らかに異なっています。原因不明となっていますが、推察するに水分量の高い燃料を使用し出したため、燃焼条件悪くなり空気量を多くしているのかもしれません。

■いずれにしても令和6年1月の排ガス量測定結果は年度内にまとまるようなので、住民の皆さんは、黒塗りだらけの開示にならないよう祈りつつ、再度、情報公開して測定結果を入手する予定です。

 それにしても、最近、群馬県と同様に、前橋市の環境政策課の対応が極めて悪くなっています。昨年、経済産業省・環境省との交渉(面談)を実施した後から、特にその傾向が強くなった気がします。昨年の令和5年11月に測定した前橋バイオマス発電所の騒音データについても、「情報開示請求を出せ」と前橋市環境政策課に言われました。こうした対応は、国、すなわち環境省の指示によるものであることも判明しました。

 そもそも、排ガス量毎時4万ノルマル㎥を超える火力発電施設なのですから、排ガス量も騒音も測定データは事業者に義務付けられた報告データも含めて積極的に行政が住民に対して開示しなければなりません。しかし、環境省が自らそうした流れと逆行する指示を出しているのですから、この国の環境政策が住民の目線に立って為されていないことは明らかです。

【市民オンブズマン群馬事務局からの報告】
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

【仰天ニュース!】行政犯罪を隠蔽する群馬県代理人ヤメ検弁護士が今年4月から群馬弁護士会会長に就任

2024-02-23 23:04:04 | 不良弁護士問題
関夕三郎弁護士。出典:石原・関・猿谷法律事務所HP。遅くとも今年2月から、それまで席を置いていた同事務所(前橋市大手町3丁目4番地16号)から離れて、新しく高崎オフィス(高崎市飯塚町490番地 カツミマンション101A号室)を立ち上げ、オフィス長に就任

■石原・関・猿谷法律事務所に所属する関夕三郎弁護士については、これまでにも当会のブログで取り上げていますが、ここ4年余りだけでも以下のとおり当会の活動の前に行政側擁護の立場で立ちはだかっている御仁です。とりわけ、群馬県は、行政による犯罪的な事務事業について我々オンブズマンの追及から虚偽公文書作成などに手を染める県職員を擁護すべく、関夕三郎弁護士に「群馬県代理人」の肩書を付与して県知事が委嘱状を交付しています。

○2020年9月20日:【行政の顧問弁護士とは?】行政内の不祥事揉み消しに雇われるヤメ検弁護士に血税で支払われる報酬の矛盾
○2020年9月19日:【行政の犯罪】藤岡市内の保安林を巡る公文書改ざん対応拒否を続ける群馬県代理人弁護士と県林務行政
○2020年9月6日:介護支援専門員と共に高崎市介護保険行政是正を求める当会会員が県を訪問…するとあの群馬県代理人が…!
○2020年7月29日:【行政の犯罪】藤岡市内の保安林を巡る公文書改ざん対応について群馬県代理人に意見書提出!
○2020年7月25日:【行政の犯罪】藤岡市内の保安林を巡る公文書改ざんで当会が告発状提出!するとあの群馬県代理人が!
○2019年7月28日:公道での路上会見取材を「盗み聞きだ」と恫喝した弁護士への懲戒請求で日弁連が当会の異議申出を棄却

 オンブズマンにとってまさに“天敵”の役割を果たしている群馬県代理人の関夕三郎弁護士ですが、令和6年2月22日の午後8時過ぎに、当会役員から筆者に「例の関夕三郎弁護士が、来年度の群馬弁護士会の新会長になられるようだ。益々調子づくと思うと腸が煮えたぎる思いだ。群馬の弁護士もかなりの人材不足みたいだね」という知らせが入りました。

 「えっ、まさか、社会正義の実現とは真逆の人物が群馬弁護士会の会長だって!ブラックジョークだよね」と思った筆者は、半信半疑でネット検索したところ、次の記事が飛び込んできたので、思わず絶句してしまいました。知らせの内容は本当だったのです。

**********群馬テレビ2023年2月22日
群馬弁護士会 関 新会長「精一杯取り組んでいきたい」

群馬弁護士会 関 新会長「精一杯取り組んでいきたい」© 群馬テレビ
 群馬弁護士会は22日、2024年度の役員について会見を行い、会長に選任された関夕三郎さんは「誠心誠意、精一杯取り組んでいきたい」と意気込みを悟りました。
 関夕三郎さんは新潟県出身の52歳で、2000年4月から4年間検事を務めたのち、2004年4月から弁護士として活動しています。犯罪等の被害者やその家族に対してのケアや支援を行う被害者支援センターすてっぷぐんまや犯罪を繰り返してしまう障害者を支援するぐんま・つなごうネットの活動に参加しています。
 また東日本大震災の発生直後、群馬弁護士会の災害対策委員会の担当副会長として、福島第一原発事故の被害者の支援活動に取り組み、避難者の救済訴訟では、弁護団の事務局長を務めています。
 関夕三郎氏「非常に、こう、能力が高くて、それでいて、いろいろな考えを持っている人たちの集団・・・集まりですから、覚悟を持っていろいろな決断をしたり、市民の、まあ、群馬県民の実さ何のお役に立てる存在に一段となれるように努力してまいりたいと思います。以上」
 また今月行われた前橋市長選で会員の小川晶さんが初当選したことをうけ、「地方自治の重要性が高まっている中、弁護士の能力は必要だと思う。市長として大いに活躍することを期待し協力していきたい」とエールを送りました。
 会長の任期は、4月1日から1年間です。
**********

 本日、新聞でも報じられました。

**********朝日新聞デジタル2024年2月23日10:45
群馬弁護士会長、関氏が就任へ 「役立つ存在へ、努力」

会見に臨む関夕三郎氏=2024年2月22日、前橋市大手町3丁目、吉村駿撮影© 朝日新聞社
 群馬弁護士会の新たな会長に関夕三郎弁護士(52)が就任する。任期は4月から1年間。関氏は22日、前橋市の群馬弁護士会館で記者会見を開き、「県民に役立つ存在になれるように努力する」と抱負を述べた。
 新潟県出身。中央大大学院を修了後、検察官を経て弁護士となった。これまで犯罪被害者支援に力を入れており、被害者支援センター「すてっぷぐんま」の理事も務めた。児童虐待や犯罪被害者支援では、弁護士に加え、行政や警察の力も大切だとし、「様々な専門家と一緒に社会課題に取り組んでいきたい」とした。(吉村駿)
**********

■ところで現在、群馬県庁17階の南フロアでは、「警察の事情聴取を受けた」という情報が飛び交っています。最近、筆者が森林簿の閲覧のため林政課を訪ねた際に「警察が入ったというのは本当でしょうか?」と職員に聞くと、小声で「はい」と頷きました。さらに隣の森林保全課に伺うと、筆者の錯覚かもしれませんが、外部からの訪問者の姿を目にしただけで、なにやら緊張感が漂っている風情でした。

 警察の事情聴取がどのような経緯で行われたのかは定かではありませんが、ひとつだけ思い当たるのは、昨年5月に当会が藤岡市内の山林における虚偽の保安林設定により、民間同士による山林の売買取引に対して行政権限を盾に妨害を続ける群馬県知事と藤岡市長に対して威力業務妨害の容疑で告発状を提出しようとしたことがあることです。

*****2023.5.17県知事・藤岡市長に係る告発状*****
            告  発  状
                         令和5年5月17日

群馬県警本部長殿

     告発人 住  所 〒371-0801群馬県前橋市文京町1丁目15番10号
         氏  名 市民オンブズマン群馬
              代表 小川 賢
         生年月日 昭和27年3月5日
         電話番号 027-224-8567(事務局・鈴木)
              090-5302-8312(代表・小川)
         ファクス 027-224-6624(事務局・鈴木)
              027-382-0468(代表・小川)
         Eメール ogawakenpg@aol.com

被告発人1 住  所 〒371-8570 群馬県前橋市大手町1丁目1番1号
      氏  名 群馬県知事(山本一太)
      電話番号 027-223-1111

被告発人2 住  所 〒375-8601藤岡市中栗須327番地
      氏  名 藤岡市長(新井雅博)
      電話番号 0274-22-1211

第1 告発の趣旨

 被告発人1群馬県知事山本一太と被告発人2藤岡市長新井雅博の下記の告発事実に記載の所為は、偽計業務妨害罪(刑法第233条)に該当すると思料しますので、捜査の上、厳重に処罰されたく、告発致します

第2 告発事実

1 150年以上の長年にわたって先祖代々が下刈りや枝打ち等をして大切に手入れをしてきた杉やヒノキが植栽されていた下記土地の山林内において、立木が所有者に無断で伐採されたこと(器物損壊罪・窃盗罪)、亀穴峠市道が所有者に無断で敷設されたこと(窃盗罪・窃盗罪)、無断で1,000㎡が占有され治山ダムが建設されたこと(器物損壊罪・窃盗罪)、所有者に無断で保安林手続を行い、保安林台帳や森林簿などを改ざんし関連書類を偽造したこと(虚偽公文書作成罪)について、告発人は、藤岡市上日野字田本乙1051-1、同じく1051-7の山林を所有する藤岡市上大塚1758-5在住の清水剛や、藤岡市上日野字矢掛1029及び1030の山林を所有する藤岡市●●●●●●●番地在住の●●●から情報提供をうけ、これまでに何度も被告発人1および2に対して、是正措置を求めて来たが、いずれも「行政における瑕疵は認められない」との判断が示されてきた。
               記
藤岡市上日野字田本乙1051-1 山林    353㎡ 全部事項証明書 清水剛所有
同所        1051-7 山林  2,700㎡ 同上      同上
藤岡市上日野字矢掛 1029(畑)山林 10,948㎡ 全部事項証明書 ●●●所有
同所        1030(畑)山林  6,363㎡ 同上      同上
2 そのため、上記の違法行為に関連する罰条をもとに藤岡警察署や県警本部捜査二課に告発の相談を何度も繰り返してきたが、いずれも「公訴時効を徒過している」という理由で告発状の受理を拒否されてきた。
3 こうした状況のもと、山林所有者である清水剛は、高齢にともない、所有する山林の有効活用を急ぐ必要がある。このため、山林の利活用についてパートナーとなり得る事業者を探していたところ、関心を示す太陽光施設事業者である株式会社■■■■■■■■■■■■(前橋市■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■)代表の◆◆◆◆が関心を示してきた。同事業者側も現地を見聞し、太陽光施設設置の観点から、その立地条件が適しているとして、所有者の清水剛に山林の買取りの意思があることを伝え、清水剛もこれを了承した。
4 そして同事業者が令和4年から、山林買取りの為に必要な情報を収集すべく群馬県や藤岡市を訪れて調査したところ、保安林設定が為されているが、その場所が行政でも特定できないこと、森林簿が実態と異なっているが、その是正について行政が極めて協力的でないことが判明した。
5 群馬県は令和4年7月に、群馬県代理人である関夕三郎弁護士を現地に派遣し、同代理人の指示で、保安林の場所を特定するための杭4本を現場で打設した。しかし、事業者がその場所を特定したところ、官報や県報に掲載されている藤岡市上日野字田本甲1051-1ではなく、清水剛所有の田本乙1051-1及び1051-7と、●●●所有の藤岡市上日野字矢掛1029及び同1030であることが判明した。
6 この事実について、指摘を受けた群馬県は、一向に間違いを認めようとせず、保安林の解除手続きを求める山林所有者の要請を無視しており、所有する山林を有効活用したいとする山林所有者と太陽光施設設置業者との山林売買取引業務を妨害し続けている。

第3 告発に至る経緯

1 上記山林①に設定されている保安林に於いて、令和4年7月8日10時40分頃、群馬県代理人(被告発者1から代理人を委嘱された弁護士関夕三郎)が保安林の場所を特定するにあたり、一緒に立ち会おうとした所有者(藤岡市上大塚1758−5番地在住清水剛)が「そこは地番が違う」と指摘したところ、関夕三郎から「地番はどうでも良い。地番にこだわるなら、帰る」などと話した。そして所有者(藤岡市上大塚1758−5番地在住清水剛)の立会い要請と指摘を無視して、官報記載の地番とはかけ離れた地番に、ピンク色のリボンを付けた杭を勝手に敷設した。

2 保安林が設定された場所は、官報及び県報に記載してあり、6筆が筆界未定地となっていて、その中の1筆が甲1051-1である。ところが、群馬県代理人の弁護士関夕三郎が「保安林だ」として設定した場所は、乙1051-1(山林①)及び1051-7(山林②)であり、官報に記載された場所とは直線距離で500mも離れている。山林①と②の所有者は一日も早く地方自治法2条に基づき、不法に設定された保安林指定を解除し、原状復帰を願っている。

3 一方、今年1月、山林③と④の所有者(藤岡市■■■■■■■番地在住■■■)から、「所有する山林内に、ダムや市道を藤岡市行政が無断で敷設した」との通報が告発人にあり、同じ問題を抱えて来た山林①と②の所有者清水剛を紹介したところ、●●●が「清水(剛)さんは私の山林の隣接者であるので事情について教えて貰いたい」と清水剛に話した。そして、令和5年2月3日金曜日、山林①に太陽光発電施設の設置を計画しているものの「いまだに保安林場所が分からない為、仕事が出来ない」として困り果てている太陽光発電施設業者にも立会ってもらい、清水剛と■■■が現場に赴き、市道や治山ダムの設置位置を確認するために、発電施設業者に測定してもらい、清水剛と●●●、◆◆◆◆が確認した結果、治山ダム工事現場(ダム本体及び袖部、ヒューム管などのコンクリート構造物や蛇籠等が一体として敷設してある場所)の面積は1,000㎡で、「平成8年、№3」と銘板に書いてある治山ダムが、●●●の所有山林③④内部と清水剛の所有山林①②の内部もしくはその隣接する場所に存在している実態が分かった。

4 令和5年2月6日、前項3を踏まえて●●●は「全く知らなかった」として心配になり、藤岡市役所内にある高崎法務局出張所で1029(山林③)と1030(山林④)の全部事項証明書2通の交付を受けた。そしてその直後、藤岡市役所の職員に「私(●●●)の山林内に市道が100メートル以上敷設してあり、私の知らないうちにダムなどがあるので、説明をお願いしたい」と聞いたところ、市職員は「あの山林は●●さんの山林ではありません」と話した。

5 以上の事から、地元住民らの先祖代々の山林や畑が、行政の不当な権限行使によって、勝手に占有され工作物が設置され、乗っ取られ、しかも所有地の利活用を望んでも行政がそれを阻んでいるとして、告発者に告発の要請が為された。上記罰条である偽計業務妨害罪は被害者が存在する犯罪であるが、非親告罪であり被害者の告訴がなくても偽計業務妨害罪で起訴できるが、●●●及び清水剛は、告訴を望んでおり、告発人に対して委任状が提出されている。山林所有者らは「1日も早くもとに戻してもらいたい」としており、「私たち住民は、行政を信用し税金を支払っているので、住民の信用を踏みにじる行政の違法不当行為は到底許せるものではない」と話している。

 以上のとおり、被告発人らの行った行為は,平穏な市民生活の治安秩序を乱すものであり、被告発人らは再犯の蓋然性も高く、極めて危険な存在です。
 よって、告発人はこのようなことを断じて許すことができないので、厳重な捜査の上、被告発人らを厳罰にして頂きたく、ここに告訴するものでする。
 なお、最後になりますが、告発人は、本件に関し、以後捜査に関して全面的な協力をすること、および、捜査機関の指示ないし許可なく取下げをしないことを、お約束致します。

            証 拠 資 料

1 藤岡市上日野字田本乙1051-1山林(畑)全部事項証明書 清水 剛 所有
2 藤岡市上日野字田本 1051-7山林(畑)全部事項証明書 清水 剛 所有
3 藤岡市上日野字矢掛 1029  山林(畑)全部事項証明書 ●● ● 所有
4 藤岡市上日野字矢掛 1030  山林(畑)全部事項証明書 ●● ● 所有
5 藤岡市上日野字田本甲1051- 山林(畑)全部事項証明書 清水 剛 所有
6 群馬県が100%偽装した森林簿を使い藤岡市行政が補助金事業に利用した森林簿95林班 1通
7 同じく群馬県が偽装した森林簿を藤岡市が美しい森林づくり補助金事業に利用した森林簿96林班 1通
8 偽装された保安林指定調査地図は藤岡市が95林班及び96林班で利用すべく航空測量業者(セントラル航空)に丸投げして描かせることで独自に作成したマイラー図でこれを県が保安林公文書に利用 1通
9 法務局公図 1通
10 95林班及び96林班No3ダム現場と市道を独自に図った現場の法務局公図 1通
11 96林班で全ての14筆の山林の地番が同じであることから「森林簿は都道府県が法務局公図や市町村の納税をもとに5年に1度見直して作成すると条文に明記されている」と指摘したところ「同じ地番で良い」と答えた県の職員千木良とのやりとりを示すFAX 1通
12 藤岡市上日野字田本甲1051-1陣内(注:筆界未定地なので「陣内」と呼称)官報記載地番の保安林にかかる公文書にある1基2600万円6基の写真 1通
13 藤岡市又は群馬県保安林承諾書偽装(公文書)偽装(新井市栄に関して) 1通
14 藤岡市又は群馬県保安林承諾書偽装(公文書)偽装(新井誠一に関して) 1通
15 群馬県報(平成11年5月11日)
16 群馬県作成(保安林台帳附属証明書)永久保存公文書を修正甲1051-1新井誠一錯誤          ※平成30年11月21日甲1051-1清水 剛修正

               添付書類

1 証拠資料写し 各1通
2 委任状(清水剛・●●●) 各1通
**********

■上記の告発状は当初、知能犯担当の群馬県警捜査2課に持ち込んだのですが、「威力業務妨害罪は捜査1課が担当となるので、捜査2課では受け付けられない」と言われたため、あらためて昨年5月17日に捜査1課に提出しようとしました。

 ところが捜査1課の担当警察官2名は、告発状の内容にざっと目を通すと、当会に対して「この告発状は、弁護士ないし司法書士に予め見てもらったのか?」と尋ねてきました。そこで当会は「いいえ、事前に捜査2課に相談した上で、威力業務妨害罪は捜査1課が扱っているということで、こちらに告発しに来た次第です」と答えました。

 すると捜査1課の担当警察官らは「威力業務妨害罪とはどのような要件なのか、弁護士など法律の専門家によく聞いて、内容についてアドバイスをもらってから出直してくるように」と言って、通常であれば「すぐに受理は出来ないが、内容を検討するために、写しを取らせてほしい」と言って、押印した原本を預かり、警察のコピー機で写しを取った後、原本を返されるところ、告発状の写しすら受け取ろうとせず、門前払いをされてしまいました。

 当会は、1年半前の安倍首相銃撃事件の直後、群馬県の公式Twitter(現・X)に「安倍、竹中の次はお前だな」と投稿した県民を県知事が威力業務妨害罪で被害届を出し、県警捜査1課がすぐに受理して3週間後に当該県民を逮捕した事例を示し、受理するよう再考を強く流しましたがダメでした。当時の顛末は次の記事を参照ください。
○2022年9月26日:【一太知事の独善】「安倍、竹中の次はお前だな」Twitter投稿に被害届を出した知事の思惑と今後の影響

■この警察に不受理とされた知事と藤岡市長への告発状にも記載してありますが、藤岡市で行政により不正に設定されている保安林について、令和4年7月8日10時40分頃、山本一太知事から「群馬県代理人」として委嘱された関夕三郎弁護士は、それまで再三に亘って保安林に指定された山林所有者が「どこに保安林を設定したのか分かるように場所の特定をしてほしい」という要請を拒否し続けてきたのに、さすがに民間事業者から場所の特定要請を受けたことにより、保安林の位置確認のため渋々現地に赴きました。

 しかし、そもそも筆界が未定となっている山林に、違法に保安林を設定したため、特定するのは困難であり、一緒に立ち会おうとした山林所有者が、保安林として指定された地番である「甲1051-1」とは別の場所に入り込むのを見て、思わず「そこは地番が違う」と関夕三郎に指摘したところ、関夕三郎は「地番はどうでも良い。地番にこだわるなら、帰る」と頑なな姿勢を示しました。

 そのため、山林所有者は敢えてトラブルになるのを避けるため、間違った保安林場所の特定のための立会い参加を控えました。一方、保安林の場所を知る必要のある民間事業者は場所特定の立会いに参加しましたが、関夕三郎は、山林所有者の指摘を無視して、官報記載の地番とはかけ離れた地番に、ピンク色のリボンを付けた杭4本を勝手に敷設したのでした。

■当会は後日、この保安林の場所特定作業の経緯について、事実関係を確認すべく、令和5年10月20日付で群馬県知事に次の要領で公文書開示請求を行いました。

**********
<開示を請求する公文書の内容又は件名>
 令和4年7月8日(金)午前10時に、地権者及び太陽光発電事業者からの依頼にy掘り、藤岡市上日野字田本1051-1の保安林の場所の特定のため、群馬県代理人関勇三郎弁護士と群馬県環境森林部森林保全課と思しき職員らが、現場で境界位置を示すため、園芸用のポールにリボンをつけたものを4カ所設置したが、その時の現場業務に関する報告書或いは復命書の類(その体使用した、保安林台帳、森林簿など、場所を特定するために参考とした資料等を含む。
**********

 すると同年11月2日付公文書部分開示通知が届いたので、同年11月10日に情報開示を受けました。開示通知と開示情報は以下のとおりです。



 このうち、肝心の復命書は一部黒塗りでしたが、次の内容でした。

*****2023.7.8復命書*****
           復 命 書
件名:藤岡市上日野田本甲1051-1地内の保安林指定区域について、現地確認
日時:令和4年7月8日(金)10時40分~12時
場所:藤岡市上日野田本甲1051-1地内
参集者:(県)石原・関・猿谷法律事務所 関弁護士
       森林保全課 佐藤次長 下山補佐
       藤岡森林事務所 牧田総務森林係長 (計4名)
    (相手)清水剛氏
        ◆◆◆◆氏(■■■■■■■■■■■■■■■■■■) (計2名)
【趣旨】
・清水氏が所有する森林の土地について、太陽光発電事業地として購入を検討している◆◆氏から、藤岡市上日野田本甲1051-1地内で保安林に指定されている区城を現地で示してほしい旨の申し出があったため、関係者立ち会いの下、現地確認を実施した。
【現地到着までの流れについて】
・県関係者は集合場所手前の「土と火の里公園」に10時40分に集合し、森林保全課の公用車に乗り合わせて集合場所へ向かう。
・10時50分、集合場所に指定された、清水氏所有の■■■(■■■■■■■■■■)の駐車場に到着。関弁護士がドアホンを押して建物内へ入り、清水氏、◆◆氏と接触。
・清水氏と◆◆氏は清水氏の車に乗り、森林保全課の車が戦闘で現地へ向かう。
【現地確認の状況]
・関弁護士の了解の下、下山補佐が保安林区域の表示方法を説明し、◆◆氏が了承。
・今回は、保安林に指定されている「概ねの区域」を表示する。
・(保安林台帳付属図面を見せながら)保安林の区域の四隅の位置について、職員が測量ポールで示し、その場所に■■氏が準備した仮杭(園芸支柱の先端にピンクリボンテープを結わえたもの)を設置する。
・説明の途中、清水氏が持参した図面等(情報公開請求で取得したもの)で自説(現地は筆界未定地であり、保安林に指定されている区域の地番は台帳のものと異なる)を主張し始めたが、関弁護士が『今日は現地の保安林の境界を確認するために来たのであり、貴殿の見解を聞きに来たのではない。確認作業を遮るのであれば立会を中止する。』旨警告した上で、◆◆氏に『どうしますか?』と打診。◆◆氏が確認作業の継続を希望する旨清水氏に伝えた結果、清水氏は車の中に入り、以後は立ち会いに不参加。
・7月4日に実施した事前調査に基づき、現地の事物を目安に、甲1051-1のうち一部指定されている保安林の位置を以下のとおり示し、■■氏の指示の下、仮杭を設置(別添図面参照)。
 (山腹斜面下部)
  上流側:No.1土留工名板から約5m上流側
  下流側:No.3谷止エ左袖天端から5m下流側
 (山腹斜面上部)
  No.5土留工の袖部(露出している部分)からそれぞれ1m外側から斜面上部を見通した作業道の路肩
  山腹斜面の中間部(No.2~No.4土留エ施工区域)については、それぞれの土留工の露出して
いる部分の端から、それぞれlm程度外側の区間が保安林の区域であると補足説明。
・◆◆氏は今回の表示に納得した様子であった。
・◆◆氏に、今後の問い合わせについては、関弁護士あて連絡するよう確認し、11時50分終了。(◆◆氏が清水氏の車に乗り込み、出発するのを見送る。)
・土と火の里公園に戻り、12時解散。
**********
 
 併せて、群馬県が保安林場所特定の根拠としたとされる文書・図面が開示されました。














 以上示した文書・図面類はいずれも事実や実態と異なる虚偽公文書です。このようなデタラメな公文書を、しかも保安林という国土保全上重要な文書ですら、行政は密かに作成し、多野東部森林組合のような一部の特定利権組織がそうした文書をネタに補助金事業と称して、実際には事業をしてもいないのに、巨額の公金をネコババし続けています。

 とりわけ、森林組合の事業に直結する、「山の住民票」とも言える森林簿は特に偽変造が酷く、おそらく県内各地で行政を舞台にした類似犯罪が今なお続いているものとみられます。

■さて、藤岡市内にある、この場所の保安林設定を巡って、これまでに治山ダムや土留工、そして林道整備や間伐事業などの補助金を使った公共事業がいくつも行われ、とりわけ歴代の藤岡市長が理事長や副理事長を務める多野東部森林組合が、林道整備や間伐事業などの巨額の補助金を山林所有者に支払わないまま、ネコババした疑惑が取りざたされています。また、治山ダムや土留工も、計画と実際との間に、場所や個数、規模が異なっており、これらの事業でも巨額の公金が使途不明になっています。

 さらに、この場所に作られた道路は、杜撰な治山ダムや土留工の整備により、谷合いの河川が増水時に溢水して土砂崩れや川筋の変位などで一部が崩落しています。藤岡市は、この道路を市道と言ったり林道と言ったり曖昧な位置づけとしていますが、そもそも、地権者の同意なく作った道路であることが最近判明しました。そのため、山林所有者は私有地に勝手に作られた道路を鍵付きのチェーンで封鎖しましたが、上流部にある亀穴峠のキャンプ施設に往来するためか、何者かがカギ付きチェーンを破壊して持ち去るという事件が発生しました。

■こうした事件を引き起こした原因として、群馬県と藤岡市と多野東部森林組合が結託して、本来、場所の特定は関係所有者しかできないはずの筆界未定地の山林に勝手に保安林を設定し、併せて治山ダムや土留工などの事業も偽装し、間伐事業や林道整備事業と称して所有者に無断で伐採や造成工事を行い、巨額の補助金をネコババしてきました。

 また、保安林設定が行われると、当該山林の固定資産税は免除されますが、山林所有者には引き続き課税通知が来ていたため、藤岡市税務課にその旨指摘すると、「遡って修正措置をとり、過誤納の税金還付は既に行った。しかし、誰にどのように還付したかについては守秘義務で教えられない」と言われ、山林所有者には1円も還付されていません。その理由がわかったのは、山林所有者が多野東部森林組合の補助金事業に係る情報開示請求で入手した資料のなかに、自ら所有する山林の伐採の補助金事業で、森林簿で所有者とされている「新井誠一」と同姓同名だが住所の異なる人物の名前を発見したからです。

 こうしたデタラメだらけの行政による事務事業がまかり通っている事実に気付いた山林所有者が、これまで粘り強く真相追及と責任の所在明確化に努めてきました。その過程で、群馬県や藤岡市、そして多野東部森林組合に是正措置を求め、数多くの要望書、要請書、上申書を提出するとともに、行政の違法手続きを警察や検察に告訴・告発や被害届を出したり、森林組合や行政を相手取り訴訟提起まで行ったりしてきました。

 しかし、行政はその都度、関夕三郎や飯塚理、高橋三兄弟ら、およそ社会正義は真逆の弁護士を公費で雇い、山林所有者に対する行政側の盾として利用してきました。それどころか、訴訟に持ち込むと、法廷で虚偽の公文書を平然と開陳し、行政に忖度する裁判所も、すべて行政よりの判断をするため、山林所有者が提起した訴訟事件は全て棄却もしくは却下されてしまいました。

 当会はここ10年にわたり、山林所有者の支援を続けてきましたが、保安林台帳のほかにも、森林簿や治山台帳も偽造されていることが判明したので、群馬県知事や藤岡市長には、早急に正しい森林行政に立ち戻るよう、要請しておりますが、行政は全く聞く耳を持ちません。

■それでも山林所有者とともに当会も粘り強く支援を続けてきた甲斐あって、冒頭のとおり、ようやく警察も重い腰を上げたのです。

 関夕三郎について、当会はこれまで何度も群馬弁護士会や日弁連に対して、懲戒請求や異議申出を行いましたが、いずれも棄却されました。

 今回、このような弁護士資格は有しているものの、弁護士としての資質が欠落している人物を群馬弁護士会が4月から1年間、会長に推挙したことについて、当会は、弁護士会自体が弁護士法に基づく理念を喪失している証であると捉えています。

【市民オンブズマン群馬事務局からの報告】


コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

【速報】市民オンブズマン群馬が「安中市政における不正疑惑」について県庁記者クラブで会見

2024-02-22 20:21:17 | 安中市の行政問題
当会の記者会見の場となった県庁5階記者クラブ(通称「刀水クラブ」)。場所代、光熱費はすべて税金で、メディアは無料で使える。

■当会は令和6年2月21日(水)午後2時から約1時間にわたり、群馬県庁5階刀水クラブ(県庁記者クラブ)で記者会見を行いました。内容は概ね以下のとおりです。


ちょうど県議会が開催中。議会中継の画面を見ながら何やら原稿作成中の担当記者。2024年2月21日13時50分撮影。

 最初の15分間、当会代表から挨拶と説明を行いました。

■記者会見に先立ち、次のとおり謝罪の言葉を述べました。

 本日、ご参集いただきましたマスコミ各社様、また本日参加されなかったマスコミ各社様に対しても、冒頭、お詫びを申し上げます。
 本来、このような記者会見の機会をいただきました際には、事前に幹事社を通じて、記者会見の内容をお伝えする慣行となっております。
 この記者会見の日程を調整いただきましたのが、2月7日水曜日の午後3時前でした。ところが早くも、その同じ日の夕方午後5時過ぎに、いつも貴重な情報を賜っている匿名の方から、本日の記者会見の実施とテーマについて、既に安中市側に知れ亘っている旨の連絡がございました。
 この記者会見や私ども「市民オンブズマン群馬」の活動にエールを送っていただくことに感謝申し上げつつも、なぜこんなに早く情報が伝わっているのか、と驚愕をいたしました。
 そのような経緯から、本日の記者会見の意義を鑑み、内容についての事前の案内を申し上げることを控えましたこと、いま記者会見の席にて、発表内容をお伝えすることになりましたこと、改めてお詫び申し上げます。

■続いて、本日の記者会見の概要説明に移りました。

 本日の記者会見ではお手元の資料に従いまして、4点のご報告をいたします。お配りした資料に記したように、
 ①市民オンブズマン群馬の今後の活動について
 ②市民オンブズマン群馬のオウンドメディアについて
 ③安中市に関する告発について
  ◆昨年秋以降、5件の告発を提出(不受理は現状なし)
  ◆群馬県警察本部への告発(3件)
   a,群馬県選挙管理委員会に対する告発
   b,幸福実現党の公職選挙法違反の告発
   c,「あんなかスマイルパーク」についての告発
  ◆前橋地方検察庁への告発(2件) 安中市役所職員など
  ◆今後の予定
   a,安中市観光機構の使途明細不明の1千万円をこえる支出について
   b,安中市役所内の労働諸法に抵触する重大事案
   c,安中市の公職者に関する重大事案(複数)
 ④群馬県公安委員会に対して苦情申立書の提出について
の内容となっております。このうち③番目の「安中市に関する告発について」は、本日「あんなかスマイルパーク」についての告発のご説明を申し上げますが、時間の都合上、残り4件については、この記した紹介のみとさせていただきます。

■さらに説明を続けました。

 これは安中市役所、安中市議会も関心や不安を抱いている事案ですので、一点だけ申し添えます。
 今回の一連の告発によって、現在、「被告発人」となっております主なかたがたを挙げます。(※敬称略
 ・安中市の前市長・茂木英子、前副市長で現在・群馬県議会議員の粟野好映
 ・安中市長・岩井均、安中市副市長・清水昭芳
 ・安中市議会議員20名のうち、9名
 ・実質的に茂木市長をコントロールしていた未来塾代表者
 また、これら5件の告発の中で、
 ・幸福実現党の公職選挙法違反の告発
を除く4件は、首謀者として、粟野好映・群馬県議会議員を挙げております。
 本日、明日と県議会は一般質問ですので、粟野好映・群馬県議会議員も県庁の敷地内にいらっしゃると思います。是非、お話を伺う機会をお作りください。
 国内の壮々たる優良企業の有価証券36銘柄、時価総額1585万2336円を所有されております。しかもこれは昨年8月7日の時点であり、当時平均株価は3万2000円台でしたが、ご案内の通り、昨日は3万8000円台に乗せており、財テク、錬金術など打ち出の小槌に関する興味深いお話が伺えると思っております。
 併せて、27日から安中市議会の開会にあたり、いわゆる「百条委員会の設置」の陳情を提出する予定です。

■次に「市民オンブズマン群馬の今後の活動」について説明しました。

 47都道府県の中で、代表や事務局、また構成員に、弁護士を含まない「オンブズマン」は、群馬県、石川県だけと承知しております。
 私ども「市民オンブズマン群馬」は、法律に則り、また自治体の所定の手続きを経て、調査分析を行って、問題の追及に挑んでおります。
 今後さらに活動を社会的な意義を示すために、「一般社団法人」として、法人化をいたします。
 共同通信社さんが、一般社団法人であることなどをなぞらえ、私ども会員各位の社会的意識と倫理観をさらに向上させます。
 法人化にあたっての決意として、群馬県内の諸問題に対して調査・分析・追及に加え、群馬県や各自治体、関係機関や団体、県民に対して、「建設的な提言」を行うことで、対立関係から協力・協働を目指して取り組んでいきたいと考えております。

■次に「市民オンブズマン群馬のオウンドメディア」について説明しました。

 法人化による活動の「グレードアップ」に挑みますが、やはり「市民オンブズマン群馬」の一丁目一番地は、隠された違法な行為を発掘し、調査・分析・追及を行なうことです。行政により引き起こされる県民の不条理な悲劇をなくすことが、私たちの活動の目的だからです。
 その点からも、私どもの取り組みを広く知っていただき、情報を共有し、群馬県はじめ自治体などに真剣に諸問題に向き合っていただくために、オウンドメディアの活用を始めております。
 ちなみに、昨年10月からYouTubeでの配信をスタートしております。資料でもご紹介しておりますので、是非、ご覧ください。チャンネル登録者数はまだ85名ですが、11本の動画、19本のショート動画を配信しております。総視聴回数は9,300回を超え、総視聴時間は、230時間を超えました。
 先日、安中市議会の議会報告会に参加したところ、参加者から「YouTube、観ています」と応援のお言葉をかけていただきました。
 引き続き、多くの問題を取り上げて参ります。
 動画配信のほか、音声ストリーミングによる配信も、まもなくスタートする予定です。
 本日ご参集の皆様も、是非、睡眠導入の助けとなると思いますので、ご視聴いただければと願っております。

■そのあと、群馬県公安委員会に対して苦情申立書の提出について話ました。

 昨日、群馬県公安委員会に対して、苦情申立書を提出しました。
 具体的な内容については、警察の執務執行に関する関係諸法に違背する独善的な不適切な事案ですので、ここで言及することに相応しいものではございませんが、群馬県警察本部捜査2課の課長補佐及び組織的な慣行であることから、群馬県警察本部長もその対象としております。
 公安委員会におかれましては、今後、調査を行ない、適切な処分、処置を講ずることを期待しております。

■このあと、「あんなかスマイルパーク」についての告発に関して、同席した当会サポーターから詳しい説明が為されました。

 この事案の問題点として挙げたのが、「土地取得から工事にかけて」と「運営団体の選定」です。
 後者の「運営団体の選定」について、問題となるキーワードとして「指定管理」「実績がない」「運営費の算出根拠」「運営方式/選定基準」「開園予定日(令和3年4月)から逆算した12月議会」「公募型プロポーザル方式」などを挙げて、それぞれの問題点をわかりやすく指摘しました。
 さらに補足として、「検討委員会の委員長交代(令和2年8月25日)」「議事録による検証」「トップに対する忖度体質」についての検証がなされました。
 まとめとして、「問題点の確認」の観点から、「2分の1(その実体は1分の1)の選定プロセス」「群馬県信用組合の理事就任(令和5年6月28日)」「現市政への不正の継承」を分かりやすく示した概要図を配布して、解説しました。

 その後、記者会見に参加したメディア6社の記者の皆さんから、数件の質問があり、当会の見解を回答しました。

■最後に、当会代表から、終了の挨拶がありました。その内容をまとめると次のとおりです。

 ・安中市政における役所組織のガバナンス欠如と自浄作用の不全が危険レベルに達していること
 ・そしてそれは29年前に安中市土地開発公社を巡る史上空前絶後の51億円巨額詐欺横領事件(通称タゴ事件)を引き起こしていた当時の安中市政の体たらくぶりとオーバーラップすること
 ・タゴ事件では組織ぐるみの犯罪だったのに警察・検察・裁判所が元職員タゴの単独犯行としたこと
 ・そのため不正のウイルスが市政に残存し、その後増殖し始めて、とうとう第二のタゴ事件の温床を形成してしまっていること
 ・よって、市役所内に蔓延る温床を今のうちに絶つべく、今こそ果敢に行動しなければならないこと

 以上の事項の認識が重要であることをメディア関係者に強くアピールして、1時間に亘る記者会見を終えました。

【2月23日追記】
 21日の記者会見の後、本件告発状を県警捜査2課に持ち込みましたが、生憎担当班長が不在のため、写しのみの提出に留まりました。そこで、22日午後3時42分にあらためて特定記録付きで原本を郵送しました。

 また、22日午後3時過ぎに安中市市議会事務局を訪れて、スマイルパークを巡る一連の不透明な経緯に係る不正調査のための陳情書を提出しました。生憎、罍次雄議長は不在でしたが、事務局職員に収受してもらいました。紹介議員の付かない陳情のため、常任委員会に参考資料として付託されるに留まりますが、陳情書の提出については、前日の21日に直接罍議長と面談し、事前に話をしておきました。



【市民オンブズマン群馬事務局からの報告】
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

桐生市生活保護不適切運用問題で、桐生市は第三者委の発足より関係職員の処分と刑事告訴を優先せよ

2024-02-13 18:09:16 | オンブズマン活動

桐生市が生活保護受給者から預かっていたという印鑑の一部。出典:朝日新聞

■昨年11月20日付けで群馬司法書士会から1通の要請書が桐生市長宛に提出されました。

*****11/20桐生市長宛要請書*****
                         群司発第329号
                       令和5年11月20日
桐生市長 荒 木 惠 司 様
                   群馬司法書士会
                    会 長  小 和 田 大 輔

      生活保護の運用の改善を求める要請書

 今般、桐生市で生活保護訴受給する50歳代の男性が、約2か月間にわたって、生活保護法で定められた生活扶助費を全額支給されていなかった事実が判明した。
 この男性は、令和5年7月26日に、桐生市福祉事務所において生活保護を申請し、同年8月18日から保護費を受給していたが、桐生市は、この男性に対し、支給開始日から生活扶助費を1日1,000円ずつ窓口で手渡して支給していたものである。しかも桐生市は、この男性に、毎日ハローワークで求職活動することを指導し、ハローワークに行ったことを確認してから窓口で1,000円ずつ支給していたことも明らかになっている。
 この男性に本来支給される生活扶助費は、月額約7万円であるが、1日1,000円ずつ支給される生活扶助費では、1か月で3万円程度にしかならず、生活保護法が規定する生活扶助費を大きく下回ることになる。そのため、当会会員が、本年10月12日に、この男性とともに桐生市福祉事務所で未支給分の生活扶助費の支給を求めたところ、桐生市は、未支給分の生活補助費134,180円をこの男性に支払っている。
 この点、日本国憲法25条は、「すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する」と規定し、これを受けて生活保護法は、用保護者の年齢別、性別、世帯構成別、所在地域別その他の必要な事情を考慮した厚生労働大臣の定める基準をもとに、生活保護の基準を厳格に定めている(生活保護法3条、同8条)。このように決定された生活扶助費について、これを下回る金額を支給すること、そして、その支給を一定の条件にかからしめることは、いずれも憲法25条及び生活保護法に反するものである。
 生活保護の実施機関である都道府県知事や市長らは、法の定めるところにより、生活保護を決定しかつ実施しなければならない責任を負う(生活保護法19条1項)。貴殿は、生活保護の実施機関として、日本国憲法および生活保護法に規定する生活保護基準を逸脱することなく、桐生市において適法に生活保護を実施する責任を負っている。それにもかかわらず、今般の事例において桐生市は、この男性に対し、約2か月近くにわたって生活保護法で規定された生活扶助費の約半分の金額しか支給せず、生活保護水準を大きく下回る生活をこの男性に強いている。これに加え、桐生市は、この男性に毎日ハローワークで求職活動することを求め、1日1,000円の生活扶助費の支給をこれに条件づけるかのような対応をしている。これらの点で、桐生市の生活保護の実施は、県報25条及び生活保護法に反する者であり、その実施機関としての貴殿の責任は、誠に甚大であると言わねばならない。
 さらに、桐生市が、この男性に限ってこうした違法な対応を行っている理由が見当たらないことから考えれば、桐生市は、生活保護受給者に対し、こうした違法な対応広く行っているのではないかという疑念を抱かざるを得ない。
 以上から、当会は、貴殿に対し、桐生市が実施する生活保護について、憲法25条及び生活保護法で規定された生活保護基準を逸脱することなく適法に運用するよう、その改善を強く求めるものである。
                            以上
**********

 その後、報道でもこの問題について取り上げられ始め、桐生市役所による上から目線のとんでもない生活保護制度の運用の実態が広く知られるようになりました。

**********東京新聞2023年11月20日 21時21分
生活保護費を1000円ずつ毎日手渡し 群馬・桐生市「生活指導の一環で適正」 司法書士会が改善要望
 群馬県桐生市が50代男性に、生活保護費を1日1000円ずつ手渡して全額支給しないなどの問題があり、群馬司法書士会が20日、運用改善を求めて荒木恵司市長宛ての要請書を提出した。厚生労働省も、市の対応を「適切とは言えない」としている。
◆支給額月7万円の一部しか支給せず
 要請書によると、男性は7月26日に市福祉事務所に生活保護を申請し、8月18日から受給が始まった。支給額は月額約7万円と決まったが、市側は1日1000円を窓口で手渡し、月に計3万円ほどしか支給していなかった。手渡す際も、求職活動のためハローワークに行ったことを確認していた。

1000円札(資料写真)
 司法書士会は、全額を支給しなかったことや、支給に条件を付けることはいずれも違法と指摘している。男性は10月12日に司法書士とともに市福祉事務所を訪れ、未支給分13万4180円を受け取った。
 市福祉課は「個別のケースについては答えられない」とし、「社会復帰を目指した生活指導の一環で、本人の同意を得て適正に行っている」と主張している。
◆男性「頭ごなしに説明された」 厚労省「適切とは言えない」
 一方、男性は本紙の取材に「1日1000円では生活できないと話したが、頭ごなしに説明された。支給を受ける立場なので、そういうものかと思ってしまった」と話した。同意を示す書面などはないという。
 厚生労働省保護課は「約7万円の保護費決定が出ているにもかかわらず、総支給額がそれに届かないのは適切とは言えない。必ずしも1カ月分をまとめて支給しなければいけないわけではないが、あまり聞いたことがない」としている。(羽物一隆、小松田健一)

**********東京新聞2023年11月21日 18時46分
生活保護費「1日1000円では生活できない」と訴えたのに…桐生市は「同意得て分割したという認識」

1000円札(資料写真)
 群馬県桐生市が50代男性に、生活保護費を1日1000円ずつ手渡して満額支給しなかった問題で、男性が21日、市内で記者会見し「『1日1000円では生活できない』とケースワーカーに言っても、一方的に分割された」と主張した。男性側は、国家賠償請求訴訟を検討していることを明らかにした。
◆その日の求職活動を確認してから1000円手渡し
 男性は糖尿病を患い、生活に困窮して今年7月に生活保護を申請。8月に月約7万1000円の支給が決定した。市は男性に、毎日の求職活動状況を書面で提出するよう求め、ハローワーク担当者の押印が書面にあるのを確認後、1000円を手渡したという。
 金曜日は週末分を含め3000円、光熱費や携帯電話料金は請求書を提示すれば別途支給されたが、支給額は合計で8月が3万3000円、9月も3万8000円にとどまった。男性は司法書士と市福祉事務所を訪ね、未支給分を10月に受け取った。
◆「桐生市の対応は自立を妨げる。国賠訴訟も検討」
 男性は「仕事を毎日探しても、パートタイムしか見つからなかった。ケースワーカーには『フルタイムの仕事に就かなければ、生活保護を打ち切る』と言われた」とも明かした。
 会見に同席した男性を支援している仲道宗弘司法書士は「市の対応は生活保護の目的である利用者の自立を妨げる。弁護士と相談し、国賠訴訟も検討している」と述べた。
◆未支給分、市は「預かったという認識」
 仲道氏は同日、群馬司法書士会として運用改善を市に申し入れた。市福祉課の小山貴之課長は取材に「受給者の事情に沿って対応している。本人の同意を得て分割し、決定額に満たなかった分を市が預かったという認識だ。申し入れは真摯(しんし)に受け止める」と話した。
 県健康福祉部は「未支給分があったのは問題で、日割り支給も生活に支障をきたし、不適切と考える。市に状況を確認したい」としている。(小松田健一)
◆あってはならない対応で人権侵害
 吉永純・花園大教授(公的扶助論)の話 仮に合意を得ていたとしても満額を支給しなかったのは、男性の最低生活費を侵害するあってはならない対応で、生活保護法違反の疑いが強く人権侵害だ。市は同法に基づく指導と主張するが、食うや食わずの状態での就労指導は問題だ。フルタイムの仕事に就かなければ支給を打ち切るというのも問題で、現在の雇用情勢だと50代では非常にハードルが高い。

**********東京新聞2023年11月22日 08時12分
桐生市で生活保護費一部不支給 自立遠ざける「1日1000円」 50代男性「暮らせない」 司法書士、ほかにも疑われる事例調査

生活保護費が1日千円しか支給されなかった経緯などを話す男性=桐生市内で
 「社会復帰しようとしても、1日千円では子どもだって暮らせない。何か悪いことをしたのかと思った」。生活保護を求めた50代男性に対し、群馬県桐生市が原則として1日千円、合計でも決定額の半分程度しか生活保護費を支給しなかった問題で、男性は21日、市役所で開いた記者会見で苦しい胸の内を明かした。(小松田健一)
 男性によると、中学卒業後に建築関係などの職場を転々とした。事故に遭ったり、結核を患ったりして一つの職場で長続きせず「働く意思はあっても体がついていかなかった」。親族の援助などでしのいでいたが所持金が底を尽き、支援団体関係者の手助けを受けて生活保護を申請した。
 分割支給を告げられた時は「1カ月待てば全額をもらえると思っていた」と言うが、状況が変わらず自暴自棄になったことも。満額受給できなかった間は支出を減らすため夜にスーパーへ行き、割引シールが貼られた総菜などで食事を済ませた。住まいのアパートにゴキブリが出ても、駆除する殺虫剤を買えなかった。

男性が桐生市から日割りで生活保護費を受け取ったことを示す書面(男性提供、一部画像処理)
 ハローワークへ日参したが「面接まで進めない」日々。車を持たないので、通勤できる会社が限られることもネックになった。
 支援団体関係者を通じて男性の窮状を知り、相談に乗った司法書士の仲道宗弘さんは「市に罰を与える権限などないが、本人は罰を受けたように感じている。生活保護法の目的は自立なのに、そこから遠ざけるような気持ちにさせた」と市の対応を強く批判した。桐生市では、ほかにも分割支給で満額に届いていないと疑われる事例があり、調査中という。
 会見終了後、報道陣の取材に応じた市の小山貴之福祉課長は「金銭管理が不十分といった場合は、こちらでお預かりして分割支給する場合もある」と話し、受給者に必要な指導、指示ができると定める生活保護法27条に基づいた指導を行う場合はあるとした。
 ただ、同条2項と3項でこれらは受給者の自由を尊重して必要最小限度にとどめ、強制してはならないとも規定している。
 男性の件については「個別事例はお答えできないが、口頭で合意を得たと認識している。(運用改善を求める群馬司法書士会の)申し入れを受けたが、説明責任を果たしていなかったと真摯(しんし)に受け止める」と述べた上で、今後はこうした場合に書面で同意を得るとした。また、ハローワークへ行くことを支給条件にしたことはないとした。
**********

■当会としても、この問題の根底にある行政の病巣を明らかにすべく、令和5年11月24日付で桐生市長宛に次の内容で公文書公開請求書を提出しました。

*****11/24桐生市長あて公文書公開請求書*****
<請求しようとする公文書の名称又は内容>
 令和5年11月21日(火)の新聞報道によると、桐生市は「生活保護を受給する50代の男性に対して1日1000円ずつ生活保護費を手渡しし、全額支給しなかった」と掲載されていました。このことに対して、次の通り情報公開請求を致します。
(1)男性の生活保護費の決定額(本来支給されるべき金額)
(2)男性に支給されるべき決定額と、実際に支給した金額の差額の推移がわかる情報
(3)男性が生活保護を申請してから、分割給付が始まり、満額受給に至るまでの時系列の状況がわかる情報
(4)生活保護費は月づき全額を一括で支払われると思いますが、1日1000円ずつ生活保護費を支払うように決めた経緯、および、法的根拠がわかる情報
(5)法的根拠がないとすれば、何故、1日ずつ手渡すようにしたのか、その理由がわかる資料
(6)このような対応をした関係職員の処分、あるいは責任の所在がわかる資料
(7)運用改善を求める群馬司法書士会からの申入れ内容が分かる情報
(8)上記(7)に対する市の対応が分かる情報(回答書などを含む)
**********

 この結果、同年12月11日付で開示に係る決定通知が届いたため、当会課員が桐生市役所を訪れて、開示資料を受領しました。












■ご覧の通り、群馬弁護士会の会長の要請書は全文開示されましたが、保護決定通知書はすべて黒塗りです。

 黒塗り箇所はなぜ個人を特定できるのか具体的に立証していません。当会会員は市側に何度も説明を求めましたが回答しようとしません。人事課に至っては「関係職員の処分を行っていない」と、平然と答える始末です。

 当会会員は、しかたなく、秘書室に行き、そこで「職員の処分は市長の専権事項ではないか? それを部長決裁で回答するのは、越権行為ではないか?」と市長へ苦情を伝えるとともに、説明を求めましたが、秘書室長は「人事課に伝える」と述べるにとどまりました。

 その後、この問題を取材して記事を書いた新聞社の記者に連絡をしたところ、「これは、氷山の一角である」とのことでした。また、「来週市長の記者会見があるので、なにか進展するのではないか」とも述べていました。

■その後、記者の言う通り、12月19日に桐生市のHPに次のメッセージが掲載されました。

*****12/19桐生市HP ページ番号1023289*****
                  更新日 令和5年12月19日
生活保護業務において保護費の毎日分割、預かり金、支給決定遅延など不適切な対応がありました。市長コメント、検証・点検結果、改善策を報告します。
【市長コメント】
 本市の生活保護業務に関しまして、保護費の分割支払いやそれに伴う月をまたいでの残金支払い、更には、事務手続の不備に寄ります生活保護費の支払いの遅延など、多くの不適切な対応があったことにつきまして受給者の皆様、並びにこのたびの事案発生により市民の皆様の信頼を損ねることになったことに対しまして、深くお詫び申し上げます。
 一連の不適切な状況につきましては、福祉事務所における組織にも課題があったと認識しております。
 そのため今後は、副市長の強力な指導の下、体制強化を図れるように保健福祉部長の職を副市長の事務取扱とし、現保健福祉部長を令和5年12月31日付けで異動させます。
 不適切な事務処理に関しましては、公務員として重要な規範意識を低下させるような職場風土が今回の中にあるとしたら、一掃しなければならないものと思っております。
 そのため、まずは他部局の職員による内部調査チームを設置し、来年1月中には第三者委員会を設置するよう指示したところです。
 この際、本市の生活保護行政を生まれ変わらせる。そのことが大切なことだと思っております。
 信頼回復に向け、今後の対応をしっかりと行ってまいります。
                桐生市長 荒木恵司
【経緯】
<事案1>
 受給者に、口頭で同意を受け、毎日来所を求め、1日1,000円を基本に保護費を分割で渡すこと、必要に応じ追加で渡すことを説明した上で、残金を金庫で保管していた。また、来所にあわせ、ハローワークの求職活動を指導していた。
 本人は分割を同意していない、求職活動を条件だと認識していたと報道された。
<事案2>
 受給者に、口頭で同意を受け、毎週来所を求め、本人必要額を基本とし保護費を分割で渡し、残額を金庫で保管していた。
 本人は同意していない、必要な支出ができなかったと報道された。
<事案3>
 生活保護支給決定の際、9月・10月分を決定すべきところを、10月分の支給を決定しなかった。その後、10月分の支給決定については、11月分の支給決定とともに約2~3週間遅延した。9月分の保護費支給は支給決定から約3週間後、10月・11月分の支給は本来支給決定すべき日から約1か月後となった。
 受給者からは、決定通知書を受け取っていないこと、また、9月分保護費の受領印を押していないことの申し出があった。
 担当者は8月に保護相談に来所した際、本人の意思で保護申請をしなかったと認識していたが、受給者は担当者から生活保護を実施できないと言われ申請できず9月に弁護士同席で申請できたとの認識であったことが報道された。
【検証結果】
<事案1・2>
 毎日の来所、支払いに条件を付けているかのような誤解を与えてしまったこと、残金の金庫保管は不適切であった。その原因としては、説明が口頭のみで分割同意の文書を交わさなかったこと、また、福祉事務所に毎日の来所及び残金を金庫で保管することについて不適切との認識がなかったことによる。
<事案3>
 支給決定の遅延については、担当者の誤った認識による事務処理によるもので、係長・課長が決裁時に確認を怠り、決定日に連絡後、予定日に来所しなかったのにもかかわらず担当者から再度の連絡を怠り、支給が遅延してしまった。
 決定通知書の交付については、交付したと説明したが、担当者1人で対応しており確証がなく、交付していない可能性が高い。9月分保護費の受領印については、本人から受領印をもらったと説明したが、実際には来所時に遅滞なく渡せるよう福祉課に保管してあった認印を受領簿に押し、本人から受領印を受けていなかった。
 申請を拒否したとの誤認については、保護相談の内容について、本人への確認が不十分だった。
【他事案の点検結果(平成30~令和5年度11月末)】
※事案1~3を含む。点検対象は882世帯(11月末469世帯及び廃止413世帯)
・分割世帯数…14世帯(分割開始年度…平成30~令和2年度0世帯、令和3年度3世帯、令和4年度4世帯、令和5年度7世帯)
・分割期間…15か月~1か月
・分割回数…毎日2世帯、毎週9世帯、隔週2世帯、月2回1世帯
・預かり世帯数…11世帯(令和5年11月末現在0世帯)
・最終預かり金(当月分を除く)…13万円~9,829円
・支給決定遅延…2世帯(平成30~令和4年度0世帯、令和5年度2世帯)
・福祉課保管認印の使用…86世帯
【対応】
 事案1~3及び新たに確認された支給決定遅延の受給者には、自宅に訪問し、謝罪を行いました。
 残額を預かっていた事案1・2以外の受給者には、今後、謝罪を行います。
【改善策】
・分割支給を行わない。
・特別な事案は群馬県に照会した上で対応する。
・遅延防止等の事務処理チェックリストを作成する。
・説明事項を書面化する。
・研修体制を充実する。
・関係機関との連携を強化する。
・点検を継続し、問題点を改善する。
・福祉課保管認印は一切使用しない。
**********

■上記の市側の改善策を見ると、関係職員の処分が見当たりません。その後の報道を見てみましょう。

**********東京新聞2023年12月16日
生活保護費「日割り支給」別の1人にも 桐生市、本紙の情報開示請求で判明 さらに「週割り」7人
 群馬県桐生市が生活保護費を日割りや週割りの分割で支給した上、1カ月の合計支給金額が決定額に届いていなかった問題で、本紙が市に分割支給についての文書を開示請求したところ、2022年度と23年度の2年間で分割にされた人は計10人で、そのうち日割りが新たにもう1人判明し2人だったことが分かった。(小松田健一)
◆2021年度以前の実態は不明
 開示請求したのは、13~23年度の関連文書。21年度以前は「文書を保有していない」との回答だった。
 開示資料によると、分割にされた人は、市が4日の市議会教育民生委員会で報告したのと同じ10人で、生活保護開始日ベースで22年度、23年度で5人ずつ。7人が週割りで、日割りが2人、月2回の分割が1人。分割期間の最長だったのは9カ月間で1人、6カ月間、5カ月間が各1人、3カ月間と2カ月間が各3人、1カ月間が1人だった。
 市は、分割支給は11月末時点で解消したと説明している。
 群馬県桐生市の生活保護費不適切支給問題 市内の50代男性に生活保護費を1日1000円ずつ手渡して全額支給しないなどとして、2023年11月、群馬司法書士会が桐生市に運用改善を要請。その後、他の生活保護受給者にも1万円ずつ分割で支給していた例が発覚した。市は「社会復帰を目指した生活指導の一環」「個別の事情に応じ本人の同意を得て分割支給し、残額を預かる場合もある」などと説明していた。
◆厚生労働省「生活保護法に適合しない」と明言
 一連の問題を巡り、7日の参院厚生労働委員会で、厚生労働省の朝川知昭社会・援護局長は、桐生市の対応に「全額を月末までに支給しない取り扱いは生活保護法に適合せず、適切ではないと考える」との見解を示した。立憲民主党の打越さく良氏の質問に答えた。
 朝川局長は、他自治体で同様の事例があるかについて「承知していない」と述べた一方で、「あれば指導監査で改善を促していく」とした。

生活保護費「日割り支給」別の1人にも 桐生市、本紙の情報開示請求で判明 さらに「週割り」7人© 東京新聞 提供

**********朝日新聞デジタル2023年12月18日13:00
群馬・桐生の生活保護、10年で受給者半減 際立つ取り下げ・却下率

県内の主な市の保護率の推移
 一部の生活保護受給者に保護費を満額支給せず、1日1千円で分割して渡していた群馬県桐生市で、生活保護の受給者数が過去10年に半減していたことがわかった。保護申請の取り下げや却下が多いことが背景にあるとみられる。桐生市は対応に問題はないとしているが、識者は「適切に運用されているか監査すべきだ」としている。
★ハローワークの判子見せたら1千円 桐生市の生活保護対応に改善要請★
 ケースワーカーや有識者らで作る団体「生活保護情報グループ」から厚生労働省に開示請求した資料の提供を受けたほか、県や市の資料をもとに、データを分析した。
 それらによると、桐生市の受給者は2011年度には1163人いたが、10年後の21年度には594人、22年度は547人とおよそ半減した。今年10月末時点では527人だった。
 人口1千人あたりの受給者数を示す「保護率」で見ると、桐生市は11年度が9・7人だったが、22年度は5・3人まで減っていた。22年度の保護率は、県内で人口の多い6市(高崎、前橋、太田、伊勢崎、桐生、館林)の中で最も低かった。この期間で高崎や前橋などの数値が上がるなか、桐生は最も数値が下がっていた。22年度の全国平均(22年12月時点)は、16・2人だった。

■そして、とうとう虚偽公文書作成に該当しかねない事態も明らかになりました。

*********東京新聞2023年12月19日 06時00分
前代未聞、受給者の認め印1944本 職員が預かり勝手に押印 生活保護不適切支給の桐生市

群馬県桐生市が生活保護受給者から預かっていた認め印の一部=18日、桐生市役所で(一部画像加工)© 東京新聞 提供
 生活保護費の全額を支払わず、1日1000円の日割りや1週間1万円の週割りにするなどの不適切な支給が発覚した群馬県桐生市で、福祉課が受給者の認め印を預かり、職員が書類への押印に使っていたことが分かった。18日の荒木恵司市長の定例記者会見で市側が明らかにした。
◆長年の慣行か、説明も預かり証もなし
 書類への押印は本来、受給者が自らで行う必要があるが、福祉課では1944本の認め印を預かり、2018年度から今年11月末にかけ、86世帯分の受領証などへの押印に使っていた。このうち少なくとも1件は受給者に無断で押印していた。預かっていた認め印の本数は、11月末時点での市の生活保護受給者(527人)数を上回る。
 小山貴之福祉課長は「来所がしにくいなどさまざまな事情で預かったと考えられるが、不正が行える余地を残す。正しい運用とは言えなかった」と説明し、今後は使用しないとした。認め印は生活保護の開始時に預かっていたといい「いつごろから実施しているかはっきりしない。現在は、新たには預かっていない」と述べた。課内で長年の慣行だった可能性があり、受給者に対しては具体的な説明をせず、預かり証も作っていなかった。
◆分割支給も新たに4件判明
 また、市は22、23年度に計10件の分割支給があったと市議会に報告したが、18年度分以降の調査で21年度以降にさらに4件の分割支給が判明し、計14件に上ったことを明らかにした。17年度以前の資料は、保存期限を過ぎているため存在しないとした。
 荒木市長は会見で「受給者と市民の皆さまに深くおわびします」と謝罪し、実態調査と原因究明のため、内部の調査チームを年内、第三者委員会を来年1月中にそれぞれ立ち上げる方針を表明した。(小松田健一)
  ◇
◆「市には自浄作用を期待できない」
桜井啓太・立命館大准教授(社会福祉学)の話 1000本を大きく超える印鑑を保管していたのは聞いたことがない。本当に本人へお金が渡ったのかを確認できないので、行政組織の信頼性にかかわる問題だ。前例踏襲で思考停止に陥っていたのではないか。市には自浄作用を期待できないので、法や生活保護の実務に精通したメンバーによる第三者委員会で徹底的な究明が必要だ。

**********朝日新聞デジタル2023年12月19日
生活保護受給者の印鑑1944本保管、無断で押印も 群馬県桐生市

桐生市が生活保護受給者から預かっていたという印鑑の一部(画像の一部を加工しています)=2023年12月18日午後4時46分、群馬県桐生市役所、柳沼広幸撮影© 朝日新聞社
 生活保護費を1日1千円に分割して支給をしていた群馬県桐生市は18日、生活保護を担当する保護係に1944本の印鑑が保管されていたと明らかにした。市によると、受給者から預かり、代わりに押印するためのものだったとみられる。また2018年度以降で、職員が受給者の書類に同姓の別人の印鑑を押した例が、少なくとも86世帯分であったことも発表した。
図表|群馬・桐生の生活保護、10年で受給者半減 際立つ取り下げ・却下率
 会見での市の説明によると、受給者が高齢などの理由で来庁が難しい場合、以前は市が印鑑を預かって代わりに押す運用がされていた。いつから行われていたかは不明だが、11年にはすでに印鑑があったという。
 近年は新たに預かることはなかったが、保管されている同姓の印鑑を押すことがあった。受給者に無断の場合がほとんどだという。分割支給の時の受領簿や、受給者が保護費を多く受け取っていて返還する場合の書類などに使われていた。

**********群馬テレビ2023年12月19日
桐生市の生活保護費分割支給 群馬司法書士会など4団体が共同声明

桐生市の生活保護費分割支給 群馬司法書士会など4団体が共同声明© 群馬テレビ
 群馬県桐生市が生活保護費を分割で払うなどしていた問題で、群馬司法書士会など4団体は、共同声明を発表しました。
 桐生市が市内在住の50代男性に対し、生活保護費をまとめて支給せず1日1000円ずつ分割して支給していたなどとした問題を受け、群馬司法書士会、県社会福祉士会、県精神保健福祉士会、群馬弁護士会の4団体が共同で声明を発表しました。
 共同声明は、生存権を守り適法に生活保護を実施することを求めるもので、分割支給などの事実関係の把握、原因究明、そして人権に配慮した行政運営を行うよう求めました。
 一方、桐生市側も会見を開き、荒木市長は冒頭で謝罪しました。 市によりますと、2018年度までさかのぼって882世帯の点検を行ったところ、合わせて14世帯で生活保護費を分割で支給していたということです。このうち11世帯で残金を翌月に繰り越し、残金を市の金庫で預かっていました。
 この他、市の担当者の誤った認識による事務処理で支給決定が遅延したケースが2世帯。福祉課内で複数の認印を保管し、本人への詳しい説明なしに押印したケースが86件あったということです。
 市では今後、保健福祉部以外の職員による内部調査を実施する他、1月に第三者委員会を設置し、問題点を検証し改善していくということです。

**********東京新聞2023年12月20日 10時54分
受給者の認め印預かりはいつから?「言えないぐらい前から…」 桐生市の生活保護問題

↑群馬県桐生市が生活保護受給者から預かっていた認め印の一部=18日、桐生市役所で(一部画像加工)↑
 群馬県桐生市が生活保護受給者から認め印を預かっていた問題を巡り、市の助川直樹保健福祉部長は19日、自身が福祉課係長だった2011年には既に預かった印があったことを明らかにした。市議会教育民生委員会で、渡辺恒(ひとし)議員(共産)への答弁で明かした。
 受給者に一部無断で書類に押印したことも分かっているが、助川部長は「他人の印鑑を使わないようにやってきた」と自身が無断押印したことはないとした。小山貴之福祉課長は「かなり古い印鑑もあり、いつからか言えないぐらい前から行われていた」と述べ、現時点で開始時期の解明は困難との認識を示した。
 渡辺議員は、福祉課職員が窓口で申請希望者や受給者らに大声を出すなど高圧的な対応をしているといった声があると指摘し、改善を求めた。
 助川部長は「大声を出す人に落ち着いてもらうため、こちらも声が大きくなったことはあったかもしれない」と答弁し、高圧的対応は否定した。(小松田健一)

**********上毛新聞2023年12月21日
「あってはならない」 桐生市の生活保護費問題で群馬・山本知事
 群馬県桐生市が、生活保護受給者の印鑑1944本を保管し、別人の書類に勝手に押印するなどしていた問題で、群馬県の山本一太知事は21日の定例記者会見で「あってはならないことだ」と述べた。
 山本知事は「県は(桐生市を)監査している立場でもあり、他人ごとではない。襟を正していかなければいけない」とした。その上で「誤りをしっかり明らかにし、いかに改善していくかが大事だ。(事案は)想定外の話だが、県としてどんなことができるか考えたい」とも述べた。
 桐生市の会見によると、記録が残る過去5年余りで14世帯17人に生活保護費を分割支給し、このうち11世帯14人には月ごとに決められた保護費を満額支払わず、計約67万円分が不支給だった。市が受給者の印鑑1944本を保管し、職員が別人の書類に勝手に押印するケースが86件あった。
**********

■一太知事は「あってはならない」と述べていますが、群馬県が「職員の懲戒処分の指針」に、刑事訴訟法239条第2項「官吏又は公吏は、その職務を行うことにより犯罪があると思料するときは、告発をしなければならない」の定めを追記すれば、済むことです。なぜなら、桐生市をはじめ県内各自治体もそれぞれの職員懲戒処分指針を県にならって運用しているからです。

 しかし、群馬県が職員の違法行為について、警察に告発や告訴、あるいは被害届を提出しようとしないため、県を見習っている群馬県内の各自治体の職員の違法不当行為はいつになっても収まる気配すら見られないのです。

**********東京新聞2023年12月23日13:26
「預けてもいない印鑑、無断で押された」受給者の女性が訴え 桐生市生活保護問題 市は当初虚偽説明
 生活保護受給者から1944本もの印鑑を預かっていたことが発覚した群馬県桐生市で、市職員が60代外国籍女性の書類に同姓の他人の印鑑を無断で押印していたことが分かった。
 女性は2022年1月に日本人の夫が病死後、同居親族から暴力や嫌がらせを受け、知的障害がある40代長男とともに桐生市内のアパートへ避難し、生活保護を申請。保護開始決定後、福祉課内部で作成された書類の受領印に印鑑が押されていた。

群馬県桐生市が生活保護受給者から預かっていた認め印の一部=18日、桐生市役所で(一部画像加工)
 女性は「印鑑は押しておらず、預けてもいない」と指摘したが、福祉課の担当者は「預かった印鑑を押した」と主張した。しかし、認め印のスタンプ型印鑑はスタンプが摩耗し、姓の印影を判別できない状態で、女性は「押された印鑑が自分のものではないことは明白だった」と話す。
★生活保護受給者に謝罪★
 市は20日、女性に無断押印と虚偽の説明を謝罪した。小山貴之福祉課長は本紙の取材に、担当者が当初、事実と異なる説明をした理由を「押印で不適切な取り扱いをしたので、指摘を受けて気が動転してしまったようだ」とした。
 女性を支援する上村昌平弁護士は、桐生市の対応を「現場で勝手な運用をして、必要な人へ迅速に保護を実施するという法の趣旨が実現できなくなっている」と批判した。(小松田健一)

**********東京新聞2023年12月30日06:00
「一種の経済的虐待」…第三者に生活保護費を管理させる契約を桐生市が受給者に押し付け 不適切支給問題
 不適切な生活保護費の支給が問題となっている群馬県桐生市が、20代の男性受給者に市との委託契約関係がない県内の民間団体を紹介し、保護費の管理を委ねるよう勧めていたことが分かった。男性と契約した団体は通帳と銀行印を預かり、保護費全額を渡さず、一部だけを月2回男性が自由に使える口座に振り込んでいた。専門家は「保護費を公的団体ではなく、権限がない第三者が預かる運用は通常あり得ない」と指摘する。(小松田健一)
◆月7万円のはずが2週間に1回、1万4000円だけ

男性の生活保護費振り込み口座の通帳。昨年12月末の残高は3円だ(画像一部加工処理)
 この団体は太田市の一般社団法人「日本福祉サポート」。ホームページでは主な事業に、高齢者の身元保証、財産管理や終活の支援、葬祭などを掲げる。
 男性は高校卒業後に勤めた職場で精神的に不調となり、2021年11月から月約7万円の生活保護費を受給。2週間に1回、現金で1万4000円の支給が条件とされ、残りは市が現金のまま保管した。市の担当者は「母親が以前生活保護を受給していたため」と説明したという。
◆団体が男性の通帳・銀行印を預かる
 22年12月には、市の担当者から、団体による財産管理と身元引き受けの契約を勧められた。契約に際し、市から保護費の受給先とする新たな口座を作るよう指示され、団体が保護費から月2回1万4000円を振り込む別の口座のキャッシュカードだけ渡された。通帳と銀行印は団体が預かった。
 男性の母親から相談を受けた仲道宗弘司法書士が、今月22日に団体から通帳と銀行印を返却させた。保護費の受給先の口座には、約19万円が残っていた。
◆団体は「独自の判断で管理することはない」
 小山貴之・桐生市福祉課長は、団体と市の契約関係はないとした上で「金銭管理が必要と考えられる方などを対象に、選択肢の一つとして同団体のほかNPO法人、社会福祉協議会を紹介している」と答えた。
 日本福祉サポートは本紙の取材に、桐生市から委託料などは受け取っていないと回答。「依頼者からの依頼に基づいて管理を実施しており、自治体や当法人独自の判断で実施することはない」とコメントした。
◆受給者男性「自分からは依頼していない」
 男性は取材に、仲道氏を通じ「自分から依頼はしていない」と否定。仲道氏は「受給者の立場では、市から勧められて断るのは難しい。満額支給しなかった上に、精神面で専門家の支援が必要な男性を専門的知見がない民間団体へ実質的に丸投げしたのは、一種の経済的虐待だ」と批判する。
 群馬県地域福祉推進室は「受給者へ丁寧に説明して理解と納得を得る必要はあるが、民間団体に財産管理を委ねること自体は不適切とは言えない」とした。
  ◇
◆第三者に任せると搾取される恐れ
京都市役所で生活保護業務の従事経験がある吉永純・花園大教授(公的扶助論)の話 金銭管理を任意の第三者に任せると搾取(ピンハネ)等の危険があり、基本的には成年後見や社会福祉協議会が行う日常生活自立支援事業など公的な規制の下に置かれなければならない。生活保護費は保護利用者の最低限の生活費であり、本件でもその団体が毎日1000円相当の保護費しか利用者に渡さない権限などあるはずがない。桐生市はその団体に保護費の管理を任すよう、生活保護利用者を事実上誘導していたと言われても仕方がなく、違法の疑いが強いと言わざるを得ない。

**********東京新聞2024年1月11日08:00
桐生市が一転、生活保護情報を公式ホームページに掲載 「ためらわずにご相談ください」消極姿勢を転換
 生活保護費を満額支給せず1日1000円に分割したり、支給開始が大幅に遅延したりするなど不適切な取り扱いが相次いで明らかになった群馬県桐生市は、公式ホームページに生活保護制度について広報するページを新たに設けた。
 「生活保護を受けることは国民の権利です」として、憲法25条で保障された生存権を根拠とする制度であることを紹介。「生活保護を必要とする可能性はどなたにもあるものですので、ためらわずにご相談ください」と呼びかけている。

桐生市がホームページに掲載した生活保護制度の広報
 その上で、制度の利用に当たっては現金や預貯金など所有資産を活用することや、働ける能力がある人は働くなどの条件を記載。基本的には厚生労働省が実施している広報の内容に沿っている。5日から始めた。
 生活保護制度については、国民の権利であることをホームページで広報するよう求める意見が市議会から出ていた。しかし、市側は「生活保護の制度自体を全面的にホームページで表してご理解いただくというのは非常に難しいと思っている」(2021年9月2日、決算特別委員会での助川直樹保健福祉部長=現・総務部参事=の答弁)と、これまで消極的な姿勢だった。(小松田健一)

**********東京新聞2024年2月1日
生活保護費 不適切運用問題 これまでの説明繰り返す 桐生市、生活困窮者支援団体と面会

生活保護制度の不適切な運用をめぐる問題について、県社会保障推進協議会のメンバーら(右側)と面会する桐生市の担当職員ら=同市役所で© 東京新聞 提供
 生活保護費を満額支給せず「1日千円」に分割するなど、制度の不適切な運用が明らかになった群馬県桐生市と、生活困窮者の支援団体などでつくる県社会保障推進協議会が31日、同市役所で面会した。協議会側は、これまで受給者から寄せられた相談内容や、報道されている事例について市側の見解をただした。
 市からは小山貴之福祉課長ら担当職員4人、協議会からは「反貧困ネットワークぐんま」代表の仲道宗弘司法書士ら5人が出席。協議会は市に対し、具体的な原因分析と改善策の提示、福祉課への外部調査実施などを要請した。
 協議会からの質問の多くに、市側は「具体的に把握していない」などと明言しなかったり、これまでの説明を繰り返したりした。一方、書類保存期間の5年を過ぎた事例も調査を行うとした。
 一般社団法人「日本福祉サポート」(太田市)が受給者と金銭管理契約を結び、保護費振込口座の通帳を預かり、満額を本人へ渡さなかった問題については、桐生市がNPO法人や市社会福祉協議会も受給者の金銭管理を請け負っていることを明らかにした。
 また、桐生市は31日、問題の検証と再発防止策の検討を行うための第三者委員会の設置要綱を公表した。委員は弁護士、社会福祉士、学識経験者、行政経験者の4人とし、人選を進めて本年度内のなるべく早い時期に初会合開催を目指すという。(小松田健一)

**********東京新聞2024年2月7日08:11
桐生市 生活保護不適切運用を検証 第三者委、今月初会合目指す
 群馬県桐生市は6日、生活保護制度の不適切な運用についての検証と、再発防止策を検討するための第三者委員会について、2月中の初会合を目指していると明らかにした。会合は原則として公開するとした。
 市は1月31日、委員会の運営などについて規定した要綱を制定し、委員は弁護士、社会福祉士、学識経験者、行政経験者の4人とした。これを踏まえ、群馬弁護士会や県社会福祉士会などに委員の推薦を依頼したという。
 第三者委員会に先立って設置した市内部調査チームは、生活保護を担当する福祉課から関係書類の提出を受けており、今後は職員への聞き取りを行う。第三者委員会も必要に応じ、書類の調査や職員への聞き取りを実施する。内部調査チーム責任者の森山享大(たかひろ)副市長は「いずれの調査にも、職員にしっかり協力してもらう」と述べた。(小松田健一)
**********

■こうしてようやく桐生市は第三者委員会を立ち上げましたが、いまだに生活保護制度の不適切な運用にかかわった職員の氏名すら公表していません。このまま警察に被害届や告発状を出さずに済まそうという魂胆がミエミエです。

【市民オンブズマン群馬事務局からの報告】


コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする