市政をひらく安中市民の会・市民オンブズマン群馬

1995年に群馬県安中市で起きた51億円詐欺横領事件に敢然と取組む市民団体と保守王国群馬県のオンブズマン組織の活動記録

BS-TBS「噂の東京マガジン」の桐生市新里町産廃報道番組であらわになった群馬県環境行政の馬脚!

2023-10-30 23:44:59 | 全国のサンパイ業者が注目!

■当会が今年の初めから取り組んできている桐生市新里町における産業廃棄物の不法投棄問題について、10月29日(日)午後1時からTBS衛星チャンネルの「噂の東京マガジン」で放映されました。まだ、ごらんになっていない方は、TVer(ティーバー)で11月6日(月)まで見られます。

 この番組で、特に印象的だったのは、群馬県の環境行政の本質が如実に語られていることです。つまり、住民不在、業者優先のこれまでの群馬県の対応そのものがまさに凝縮された事案といえます。

 番組でのやりとりを文字で表してみましたので、ぜひ、以下の内容を、上記のTVerの動画と合わせて、熟読いただければ幸いです。

*****10/29 BS-TBS「噂の東京マガジン」*****
ナレーション――続いて噂の現場。
●レポーター「あらら、これはひどいなあ」
――山間に大量のゴミの山。しかも、そのすぐ目の前には住民が暮らす家が。
〇住民「もう、わんさかわんさか、飛んでくるんです」
●うわーっ
――大量に飛んでくるゴミに困惑。ところが・・・
〇県に言っても、えー、著しい影響が出ない限りは、そのまんまの状態だって言うんですね
――県はなぜか支障がないという判断。そして、土地所有者を追跡すると・・・
「△〇□×」
●もしもし?
「・・・」
――声の主は本人なのか?住民を悩ませるゴミの山。いったいどうなるのか?
(CM)
■スタジオ:続いて噂の現場です。今回は家の目の前にゴミの山ができ、周辺住民は困っている問題なんです。住民はこれまでさまざまな迷惑を被っているんですが、県が「支障がない」と判断しているため、たいへん怒っています。
■キャスター:当の住民の方たちがね、「困っている」と言っているのに、支障がないといわれても・・・、それこそ困っちゃうなという話なんですけども、いったいこのゴミは誰が積み上げたのか。それも、併せて取材しました。
●群馬県桐生市にやってきました。桐生名物と言えば、これ!はい!コロリンシュウマイ!さあどんなお味なんでしょうね。・・・おいしいーっ!

――およそ40年前、桐生市で誕生したコロリンシュウマイ。シュウマイと言いながら、原材料はジャガイモ、玉ねぎ、でんぷんなど、ひき肉は使っていません。モチモチとした、どこか懐かしい味わいが、桐生市のソウルフードとして愛されています。
●いやあ、おいしいですね。この、コロリンシュウマイね。いや、このコロリンだったらいいんですけど、ここ桐生にはゴミがコロリンと転がってしまうような場所があるんだそうです。
――山口良一が見に行く。噂の現場。群馬県東南部に位置する桐生市は、市街地を流れる渡良瀬川や、屏風状に連なる赤城山に囲まれた自然豊かなまちです。ところが、このまちで今、ゴミの山が問題に・・・。
●えー、このあたり、住宅が並んでいるんですけど、なんか、現場だということなんですけどね。
――ゴミの山は・・・桐生市新里町の山間の住宅地にあると言います。
●あっ、こんにちは。すいません。今ちょっとお話大丈夫ですか?
〇はい。
●このあたりに何かゴミの山があるって聞いたんですけど。あるんですか?
〇あります。ものすごいんですよ。
●なにがすごいですか?
〇埃が。
●埃が?
〇ええ。それから4メートル以上あるようなビニールの破片が、電線に引っ掛って、何世帯か停電になって。
●えーっ、その絡まっただけで?
〇絡まっただけで。そのぐらい、その、ビニールゴミだとか、混じっているんですね。
●じゃあもう、いろんなゴミ。なにか特定のゴミっていうんじゃないですね?いろんなゴミがとにかく入っていると?
〇そうですね。
――住民は迷惑しているよう。
●あれですかねえ?いやあ、なんかいちおうね、鉄板で覆われてて、そうなのかもしれないんですが。こうやってみる限りはね。普通のなんかちょっと草生えている山?ちょっとした山にしか見えないんですね。
――一見、草が生い茂った普通の野山・・・本当にゴミ山なのか?そこで・・・。
(ドローンを飛ばす)
●全然草じゃないじゃない。ああー、これはひどい、ゴミの山だ。確かに。えらいこっちゃね。これ。
――鉄板の内側には大量のゴミが。その範囲は4400平方メートルに及んでいます。いったい何が捨てられているのか?
●うわーっ、あったあ、いきなり目の前になんかねえ。畳ですね。畳があったり、なんか、えー、なんかの機械のホースとか、なんかのモノの枠組みなのかな。ええ、あとはもうプラスチックから、なんかもう、いろんな種類ですね、これといったひとつの種類じゃないですね。いろんなモノを持ってきて積んじゃったという感じですね、
――大量に積まれた畳のほか、タンスや椅子など家具が散乱。捨てられているのは解体工事で出た産業廃棄物とみられています。このゴミの山の僅か30メートル先には住民が暮らす家が。話を聞いてみることに。
●あっ、おそれ入ります。BS-TBSの噂の東京マガジンというものですけど、すいません、ちょっと話、あ、すいません。こちらもうホント、もう目の前。
〇そうですね。はい。
●あれはいつ頃からできたものなんですか?
〇えーと、確か2021年ぐらい。
――住民によると、2年前の春ごろからゴミが捨てられ始めたと言います。
●実際、まあ、被害的にはどんなことがあるんですか?
〇えーとですね、この地域は、冬場特有の季節風が吹くんですよ。赤城おろしと呼ばれておいるんですけれども。あそこに見えるのが赤城山なんです。あちらの方向から、こう風が吹いてくるわけですよ。ですから、あそこにある軽いようなゴミ。発泡スチロールですとか、べニアの薄い板ですとか、ビニール袋ですとか、そういうのがもうワンサカワンサカか、飛んでくるんです。
●うわぁ!
――多い日は、この袋が2日でいっぱいになるほどのゴミが飛んでくると言います。
〇もともと私がここに越してきた理由の一つが、この景色、景観なんですよ。
●こういうね。
〇見てわかるように山々の稜線が、綺麗に見えるでしょう?
●赤城山が見えて。
〇はい。朝起きて、こう窓開けると、実に綺麗な景色があったのが、今はこの状態なんです。
●そういう場合、行政は何かしてくれるんですか?
〇いえ何も。県に言っても、著しい影響が出ない限りはそのまんまの状態だということですよね。

●これじゃあまだ著しい状況ではないんですか?
〇ないんですね。行政側はそう判断しているんですけれども、住んでる住民にとっては、もう影響出ているんですよね。
――ゴミの飛散や悪臭があっても、群馬県は「現時点では支障がない、と判断している」と言います。家の目の前にゴミの山。でも、県は「支障がない」って、どういうこと? 2年前からゴミが積まれ始めたここは、そもそも、どんな場所だったのか?
〇これがですね、えーと、まだ、産廃のゴミが持ち込まれる前の状況。現在地はここの、木があるところに今いるんですよ。
●こっち側が山になっているほう。
〇はい、林になっていますね。
●ほう、いい林があったということですね?
〇風よけの防風林になるような林があったんです。それを全部伐採しちゃって、で、ダンプで残土をこう、埋めていっちゃったんです。
――これは2年前の3月の現場。まだ、鉄板もゴミもなし。ところがその後、衝立ての鉄板が立てられゴミが捨てられ始めたといいます。
○最初はこう綺麗に分別していたんですよ。
●ほう。
〇木のガラとかコンクリートとか鉄パイプとか。
●分けていた?
〇一応仕分けはしてあったんですよ。数カ月くらいは。それがいずれ、ゴミの量が多くなってくると、全部、もう運んできたダンプのゴミを、全部、山積みにしていっちゃったんですよ。
――こちらは去年6月、住民が撮影したもの。ダンプカーで運び込んだ大量の廃棄物を、ショベルカーで掻き出し、捨てています。その後も多い時は1カ月間、ほぼ毎日ゴミが捨てられ、いつしか鉄板を優に超える高さに。
●うーん。
〇山が高くなると行政指導が入るんですよ。高すぎるって言って。
●ああ、高さ制限的なものですね。
〇はい、低くしろと言われると業者は山の上から、こう、谷側にゴミをこう落としていく。そしてまた低くする。
――その繰り返しでゴミの山は広がっていると言います。
●山の反対側に回ってきたんですけど見てくださいよ。ほら!大きさもよくわかるし、なんか崩れている感じがしません?これほんとに危険ですよねえ。
――鉄板の衝立てのないこちら側はゴミの山がむき出し。手前の土地にいつ崩れてきてもおかしくありません。さらに、他にも問題が・・・。
●実際なんか、あのう、ああいうものができてなんかちょっと被害みたいなものあります?
〇まあ、見た目もよくないけど、一番の問題はやっぱり水質で、あのう、どんなものが浸透してくるか、田圃のほうに。それが一番じゃないんですかね?
●うーん。
――ゴミの山に隣接する土地には田圃が広がっており、水質への影響が心配されています。そして他にも・・・。
●この太陽光パネルを持っていらっしゃる?
〇はい。
●ああ、そうですか
〇結構、中に飛んできたわけですね。下ならいいんですけれど、こう、パネルの上に乗ると、やっぱり、影響がでるわけですね。
●日があたらないわけですものね。
――飛んできたゴミの影響で、一時は発電量が半分に落ちたことも。
●あの、非常に腹が立ってしょうがないんですけどねえ。
――住民によると、今年はじめごろからゴミの搬入はなぜかストップ。また、夏場は雑草が生えることで、ゴミの飛散や悪臭も一時的に収まりました。しかし、冬になれば雑草も枯れ、また被害が始まると危惧しています。県はこのゴミの山についてどう考えているのか? 番組が取材を申し込んだところ、文書で回答が。

――まず、県による廃棄物の撤去は可能なのか?という質問には、「生活環境保全上の支障、又はそのおそれがある場合、県が自ら支障の除去ができる。しかし、本件に関しては、現時点で生活環境保全上の支障等がない、と判断している」とのこと。つまり県は、このゴミの山について、周辺住民の生活に影響がない、とみなしているのです。しかし「太陽光パネルの電力が半減するなど、現実に支障が出ているのでは?」という問いには、「生活環境保全上の支障が生じている場合とは、何かしら規制基準値を超過している場合のことであり、支障等がある状況とは現時点で考えていない」とのこと。

つまり、いくらゴミが飛んできても、それは、支障等がある状況ではない、という見解でした。これに対し、住民は・・・。
〇まあ実際、やっぱり風が吹けばゴミも飛んできますし、何をもって、その、影響が出ているか出ていないか、というのは、住んでいる近所の人たちが決めるべきものであって、行政側にこうね、勝手に判断されるものではないというふうには思いますね。はい。
●うーん。
(スタジオへ)
●はい。ということで、住民の方はもう2年以上困っているんだけど、県は「支障がない」という話なんですよね。
■2年であんなにゴミの山がひろがっちゃうんですね。
●だから、やっぱりものすごい量をあっという間に持ってきたという感じですよね。ちょっと場所のね、もう一度確認をしておきますけどね。ここへ私と住民のかたが立っていた場所なんですけれども。この向かい側にこのゴミの山。で、2年間捨て続けている間に4400平米。ちょっと想像つかないですよね。
■すごいとしか言いようがないですよね。
●ウチですら4000平米くらいしかないのにね。
■そんなにないよ。
■そんな巨大な家ではないでしょう。
●すいません100平米もなかった。
■そこは言いわなくっていいですけど。
●とにかく、もう、いろんなものが。ガラのようなものも、入っていましたしね、いわゆるまあ、家庭ゴミではなく、ま、産業廃棄物になりますかね。
■あれだけ畳があるというのは、なんかの解体だろうね。やっぱり。
●そうです。解体したものを、ざーっと崩してそのまま持ってきたという。
■でも、たかだか2年間で、ここまでゴミって集まるの? ありとあらゆるものがというのも、驚きですよね。
●だから、ありとあらゆる所から持って来たではないかとは思うんですけどもね。これはどっちかというと、産業廃棄物ですから、県のほうの管轄になりますから、県のほうも住民からの知らせで、指導とか、すぐ見張りとかもやっていたんですけれども、まあ、この番組でも何度も取り上げていますけれど、指導とかあっても、ま、すぐ効果が表れるもんじゃないじゃないですか? 何とか指導してみたいになるから、その間にもどんどん溜まっていってあの状態になっていたというわけです。
■あれだけの支障があるにもかかわらず、県とか行政が動かないという、まるでコールドスタートのような・・・。
●ちょっと使い方、間違えていますよ。
■まあ、冷たいフライパンからスタートするという料理法ですけどね。まあ、最悪ですね、今のは。
●まあ、対応が冷たいという面じゃあ、そういうことなのかもしれないですけどもね。
■ということはコールドしか合っていないということね。
■全然動いていないということだよね。
●そのまま固まっちゃってて。でも支障って・・・。
■失敗したな。
●ええ、失敗しましたよ、先輩。取り戻してください。どっかでね。で、あのう、群馬県にちょっと質問してみましてね。あのう、生活に支障しないと判断しているのはなぜなんだろうと。まあおかしいですものね、

と、答えが赤いところだけ見ますけれども、公共用水域の環境基準を超過している場合とか、まあ、悪臭が発生し敷地境界で規制基準値を超過している場合などですね、そういう時に、まあ、出るんですけれども、生活環境への支障というのは・・・
■支障という意味はそういう意味だっていうこと?
●だけど、今回の場合は「生活環境保全上の支障等がある状況とは現時点では考えていません」。
■へえー、そうなんだ。
■それは何か、測ってそういうふうに言っているわけ?
●いや、測ってないんです。目視と言いましょうか、県のかたがいらっしゃって、状況を見て、「うんまあ、悪臭もそんなにないし、まあ、とりあえずは大丈夫かな」って。で、水質に至っては、検査はまだしていないんですよ。それで何となく「支障が無いでしょう。これくらいなら」っていう感じで。
■ああそう。普通、文書の回答で「調査中です」というのなら分かるんですけど、はっきり支障がないというのは・・・。結構びっくりなんですけど。
●まあ環境のね、基準というのがあるわけですけど、それは測ってて、そうなったらなんとなく、数値が以下だったらしょうがないと思えるんですけど、これ、なんか釈然としないでしょ?
■しないねえ。
■ということはさあ、誰が捨てたのよ?
●ほう、気になりますよね、やっぱりね。
■とにかく、いいこと言った?
●誰が捨ててあそこは誰の土地なんだっていう。
■ああ、そういうことね。
●気になっちゃいますよね。
■2年前から運び込んだんでしょう?
●そうなんです。
■ということは、2年前から持ち主が代わったということ?
●2年前の5月くらいから急にあんなことになったんですよ。
■ありゃま。
●実はですね、住民のかたがですね、土地所有者の居場所の手がかりを掴んでいたんですよ。はい。CMのあとお送りします。
(CM)
●群馬県桐生市のゴミの山の問題。ゴミの山の土地所有者はどんな人物でどこにいるのでしょうか?こちらをご覧ください。
――住民を悩ませるゴミの山。持ち込んでいるのは誰なのか?
●こう、誰がこうやったかとか、誰の仕業というのはわかっているのですか?
〇聞いた話なんですけすが、これはクルド系の外国人の人が。
●外国人の人が・・
〇所有していた、ということは聞きました。
●はい。
〇それは分かっていたんですけれども、行政とやり取りする間に、逃げちゃったんですね。国外に。自国に戻ったのかどうかはわかりませんけれども。
●もう日本にいない?
〇いないということで、それで行政もそれ以上はもう、追及することができないということで。
――住民が市から聞いた話によると、土地所有者は中東系のクルド人。しかし、既に国外とのこと。

〇実はですね、ちょっとこう、不審に思うことが。登記簿謄本を取り寄せてみたんですよ。いちおう見ていただくとわかるんですけれども・・・。
――その登記簿謄本には、カタカナの名前と現住所が記載されていました。どんな人物で本当に日本にいないのか?住所として記載されていた埼玉県の某所へ。
●登記簿に書かれていた住所はこのあたり、ということで、ちょっと行ってみたいと思います。えー、ゴミがすごいなあ。
――住所の部屋の周辺。なぜかこちらもゴミだらけ。
●ちょっと押してみますか。
「・・・・」
●あれっ、ピンポンと音がしないということは、これ、電気が来ていないのかな?
「・・・」
(コツコツコツとノックする)
「・・・」
――その後も反応はなし。人が住んでいる気配もありません。しかし・・・。
●なんか会社名と個人の名前と電話番号、携帯の番号が書かれているものがドアの前に貼ってありますね。
――ドアには、登記簿と同じ名前、さらに携帯番号も記載されていました。その番号にかけてみると・・・。
「ツーツーツー・・・〇□×△」
●あっ、もしもし。
「×ケンサムシムシ?」
〇あのう、●●●●●●●さんの電話でしょうか?これは?
「●●●●●●●、●●●●、●●●」
――聞こえてきたのは外国語。そして・・・。
「モシモーシ」
●もしもし。
「ハイ」
●えー●●●さんですか?
「トモウシマス」
●群馬県桐生市の鶴ケ谷というところにあるゴミの問題で、今お電話をさしてもらっているんですけれども、それは、あー、あなたがやったお仕事ですか?
「・・・・・・ウーン」
●今も住民のかたが、近所のかたが困っていて、で、県とか市とからもなんかいろいろ指導とか出ていると思うんですけれども。
「ウン」
●それをどうにかするという、あのう、片付けるとか、他の場所に移すとか、そういうことは今ないんでしょうか?
「・・・イナイノデ、ワカラナイ、ワタシハ」
●ほう。これからどうなるかはわからない?
「ウン」
●ほう。
――そして質問を続けていると・・・。
「ナンデ、コノバンゴウニデンワシタノカ?」
●●●●●●●●●
「ア、●●●●●●●ワタシシラナイヨ」
●あなたは●●●●さんではない?
「ジャナイヨ。●●●●ツカイハジメタバカリダヨ」
――自分は聞かれた名前の人物でなく、この番号の携帯も使い始めたばかりとのこと。
●ドアの前に電話番号が書いてあったんで、ちょっとお電話を差し上げたので、あの、間違いでしたらどうもすいませんでした。
「ハーイ」
●はい、どうもありがとうございました。失礼しまーす。・・・これはなんだろうなあ。ほんとの●●●●・●●●さんなのか、そうでないのか。それはもう全然わかりませんけれども、少なくとも今このかたは、普通に電話を買ったら、この番号になったということで、ひょっとしたら、前使われていた番号はもう、廃止になってて、それが新たに、新たなユーザーのかたの番号になったということなのかもしれませんけども、ちょっとそこは分かりません。でも外国のかたでした。はい。そんな偶然あるのかなあ。
――結局、話した相手が土地所有者とは断定できず、今も土地所有者は見つからないことに、住民は・・・。
〇結局これ、捨て得、逃げ得ですよね?
●まあ、そうなりますよね。
〇元通りの綺麗な環境の里山に返してほしいというのが、私の願いですね、はい。
(スタジオへ)
■はーい。所有者は、クルド人のひとなの?
●まああのう、住民のかたが市から聞いた話によると土地所有者はクルド人。
■へぇー。
●で、まあ、国外に逃亡したんじゃないか、っていうふうに今聞いたとおっしゃっているんですけれども。
■でも結局そうすると、あれは誰がやったかもわからない。所有者もどこにいっちゃったかもわからない。で、あのまんま、ウヤムヤになっちゃうということですか?
●一応ですね。あのう、ま、市が差し押さえたんですよ。あの土地を。
■えっ、どういうこと? 買い取ったの?
●買い取ったというか、一応ほら、固定資産税とか払われていない場合、よく税金を取り戻さなければならないので、一回差し押さえて、まあ、払ってもらうという。
■所有権が移っているわけではないでしょ?
●所有権はまだもとのままなんですよ。ただ、差し押さえましたけども、差し押さえたとはいえど、市のものではないし、で、それはもちろん競売にかけて売ったお金で・・・っていう部分は。
■競売にかけられるの?
●かけられる。かけられるんですが、たとえ競売にかけたとて、えー、あの土地を買ったところで、ゴミが付いてくるわけじゃないですか? あれを、なんとかしなければ使えないじゃないですか? 多分、土地の値段よりも安く買ったとしても、片付けるお金のほうがかかっちゃうから。そんな・・・。
■あれだけのゴミを片付けるとなると、億単位になるよね。
●そうなると、そんなマイナスになってまでも手に入れたくないですよね?
■そうだね。
●結局、そうなると、今いくらか年数が経っても、どうしようもないから、結局市も解除しちゃう、差し押さえを。結局、困っているのは住民のかたが、ずーっと困ったままだけ残っちゃうっていう、ことになるわけです。
■いつの間にか、ゴミの山は、もうあのまんま放置されるわけだよね?
●はい、そうですよね。
■で、草がボウボウに生えちゃって、なんか、緑の山になっちゃった、というようなことになると、ゴミの山だかなんだか、もう分かんなくなっちゃうっていうことでしょう。
●そうなんですよ、いわゆる行徳富士という・・・。(注:「行徳富士」とは、成田空港方面に向かって首都高湾岸線を走行中、千葉県市川市行徳に差し掛かると左手に見えて来る高さ37mの山で、実際は不法投棄された産廃と残土がうず高く積まれ、放置されたままとなっている場所のこと) 
■行徳富士がそうでしたよ、ねえ。この番組でも取材しました。
●最初は土の山だったのが、今は緑の山になっちゃいましたものね。ああいうことになっちゃうという。
■そういうところが全国的に出てくるということだね。
●結局、捨て得、逃げ得みたいな形になっちゃうおそれがあるという、ことですねえ。
■なんか組織的なものは絶対あるんでしょうね? 土地を探すグループですとか、そういうことを引き受けるグループですとか、表に立つ顔のひとを探す人とか、そういうのがあるんでしょうね?
●だってとても個人で一人で動けるようなスケールではね、ないと思うんですけどねえ。
■で、あのう、県のほうはですね、土地の所有者がどこにいて、廃棄物についてどうするつもりなのかは把握しているのか? お聞きしたところ、はい。ま、調査指導を継続中であり、回答は差し控えますと。
■はあー、分からない。
●分からない、ということですね? 今後どういうような対応を考えているのか? さあ、こちらでございます。はい、えー、今後、監視とかね、指導を継続すると。で、まあ、随時確認し、必要と判断した場合には適切に対応する、というんですけれど、具体的にこうしますとか、こうこうでなくて・・・。
■これはだってね、所有者が、もう、どこにいっちゃったんだか分からないわけだし・・・。
●監視も何もねえ。
■監視も何もね。
●絶対に戻ってこないと思いますね。
■そうだよね。
●わざわざね。
■もうあそこは、用済みになっちゃんたんだな?
●そうですね、うん。もう、あそこで一儲けできたから、もう、じゃあ次に、ということだと思うんですね。
■ですけど、やり得やなこれね。
●そうなんですよね。
■こんなん、他にも出てきますよね。
■いやあ、どんどん出てくるよね
●だから、本当にこうなってからじゃ、丸々遅いですよね?
■うーん。
●だからトラックが搬入し始めた時点で、あれはおかしいと思った時、皆がそれを止める手立てみたいなのがほしいですよね。
■なかなかね。で、この番組でも散々モヤモヤしましたけれども、指導を続けて10年とかね。
■そうそう。
■そうですね。
●そうなっちゃうんで、指導じゃない、新しい対処の仕方というんですかね。ただまあ、これからは、まあ、勿論日本のかたでもそういうね、土地を買ってそういうことをやろうという人もいるだろうし、国籍も関係なく、土地を持っている方にまず気を付けてもらわなけりゃあいけないというのがある。どういうかたに売るのか、それをね、考えていただければと思うんですけれどもね。まあ、県の担当者の方はですね、「現地の状況を確認したうえで支障がない」って、・・・したそうなんですけれども、どうなんでしょうね。住民のお話を聞く限りね、やっぱり私も現場で見ましたけれども、支障はあちこち出ていると思うんですよね。ぜひ、この、赤城おろしが、こう、吹きおろす前に何とか対策を取ってほしいと思いました。以上、噂の現場でした。
(エンディングの音楽)
**********

 この番組を視聴した読者から、「最後のテロップに市民オンブズマン群馬の名前が見つからなかった」とのコメントが寄せられました。実際には、この番組作成にあたり、当会の桐生支部会員で副代表が大きな役割を果たしました。

 当会代表に突然電話がかかってきたのが9月26日(木)午後8時過ぎでした。夜遅くいったい誰なのだろうと電話をとると、BS-TBSの番組制作担当者と名乗る人物から「桐生市と太田市の現場を取材したいのだが、とりわけ桐生市の廃棄物不法投棄現場をよく知っている人はいないか」という要請がありました。

 そのため、急遽、桐生市在住の副代表に電話をして、番組取材班の目的と地元のかたがたに取材をお願いする際の橋渡し役を要請したところ、快く引きうけてもらい、よく27日にその旨、番組制作担当者に伝えました。すると、早くも9月28日(土)午前10時から、現場で取材と撮影が行われたのでした。筆者は生憎用事があったので、現場での立会いはできませんでした。

■最終的な編集がどうなったのか、BS-TBSからは放送日までなにも事前連絡がありませんでした。しかし、当日放送を見た当会は、大きなショックを受けました。

 それは、群馬県が「生活環境保全上、著しい支障がない」という呆れたコメントを繰り返したことではなく、テレビ局からの質問状に対して、すぐに回答書を出していたことです。

 当会は、桐生市新里町のサンパイ不法投棄問題では、令和5年5月22日付で県知事あてに公開質問状を出していますが(末尾「※参考情報」参照)、いまだになしのつぶてです。群馬県環境森林部廃棄物・リサイクル課不法投棄対策係に行くたびに、「いつ回答してもらえますか」と回答を促しているのですが、「内部で協議中」と答えるだけです。

 しかし、テレビ局からの質問状に対しては、すぐに回答していることがこの番組で明らかです。

■実は、当会が「噂の東京マガジン」から、当会の扱っているテーマについて取材協力依頼を受けたのは今回が2度目です。前回は、4年前で、当時は、レポーターとして笑福亭笑瓶(ショウヘイ)氏が、当会事務局を訪問し、取材を受けました。

 残念ながら笑瓶氏は今年の2月22日午前、急性大動脈解離のため、66歳で急逝されましたが、その時の取材や放映された番組等については次のブログ記事を参照ください。
〇2019年12月20日:噂の東京マガジン放映後…動画スタジオをめぐる一太知事の公式ブログ記事での言いたい放題

 この時も、テレビ局の取材陣は、県庁6階の知事室に入って取材をしました。納税者県民の大半は、6階の秘書課の中ですら、短時間でしか滞在が許されません。あまり長時間にわたり、ずるずるいたりすると、当会の場合、2階の行政暴力対策業務担当部署に通報され、県庁1階のロビーまで、エスコート付で降ろされることがあります。やはり、メディアに対する知事の思い入れを、県職員も十分認識していることがわかります。反面、納税者県民に対しては、セキュリティを口実に、絶対に知事室などには入れさせてもらえないのです。

■以上のように、群馬県環境森林部は、環境基本法の根幹である国民の生活環境の保全について、全く誤った解釈をしていることが、今回明らかになりました。

 群馬県環境森林部がテレビ局側に対して送った文書に記した回答を見ると、環境基本法における「生活環境」の範囲ではなく、「公害」の定義を前提にしていることがわかります。

 なぜかというと、環境基本法第2条第3項で、「公害」について「環境の保全上の支障のうち、事業活動その他の人の活動に伴って生ずる相当範囲にわたる大気の汚染、水質の汚濁、土壌の汚染、騒音、振動、地盤の沈下及び悪臭によって、人の健康又は生活環境(人の生活に密接な関係のある財産並びに人の生活に密接な関係のある動植物及びその生育環境を含む。)に係る被害が生ずること」を指すとされているからです。これは、まさに、TBSの質問に対する県の回答そのものです。

 では、環境基本法における「生活環境」の範囲は、どういう定義なのでしょう。環境基本法の解説によれば、「生活環境」という用語は、様々な法律において用いられているが、法律上の明確な定義が置かれている例はなく、常識的な意味で理解されるものを指すものであって、環境基本法では、そうした意味のほかに、さらに「人の生活に密接な関係のある財産並びに人の生活に密接な関係のある動植物及びその生育環境」をも含めた意味で「生活環境」という用語を用いることとしている、とされています。

 群馬県は今回の番組を通じて、県民の安心・安全な生活環境の保全は、実際に、大気、水、土壌、騒音、振動、地盤沈下、悪臭が、環境基本法の定める基準値を明らかに超えていて、人の健康や生活や財産に実際に被害が生じない限り、しかも、県職員により、そうした被害が出ているかどうかについて判断がなされない限り、生活環境の保全に著しい支障があるとは言えない、という見解を示したことになります。

■そして、もう一つ重要な事として、群馬県が、当会の公開質問に対して全く返事をしないのに、テレビ局の取材クルーから出された質問に対して、どのように迅速に回答できたのか、当会として、そのあたりをしっかり検証する必要があると考えています。さもないと、行政の一貫性が担保されず、特定の質問者にだけ、行政サービスを優遇することになりかねず、不公平の助長にもつながるおそれがあるからです。

【市民オンブズマン群馬事務局からの報告】

※参考情報「5月22日付の県知事あて公開質問状」
**********
                    令和5年5月22日
〒371-8570 群馬県前橋市大手町1−1-1
群馬県知事 山本 一太 様
TEL:027-223-1111 
          〒371-0801 群馬県前橋市文京町1丁目15番10号
          市民オンブズマン群馬  代表  小川 賢
          〒376-0052 桐生市天神町3丁目14番36号
               副代表/桐生支部長  長澤健二
          TEL: 090-5302-8312(代表・小川)/
             090-7197-6449(副代表・長澤)
          FAX: 027-224-6624(事務局)

   桐生市新里町の廃棄物不法投棄等の対応に関する公開質問

拝啓 日々益々ご健勝のこととお慶び申し上げます。
 弊団体は、行政およびその関連機関を外部から監視し、当該機関による権限の不当な行使ないしは不行使による一般国民への権利利益侵害、並びに税金を原資とした公的資金の濫費について、調査および救済の勧告を図る活動をしている民間団体です。その活動方法としては、行政事件に関わる住民監査請求や住民訴訟にまで及ぶことがあり、そのための情報の入手手段としては、住民等からの情報提供のほか、行政への公開質問や情報開示請求等を活用しております。
 さて、貴殿におかれましてもマスコミ、テレビ報道により、御存じとおもいますが、桐生市新里町に大量の産業廃棄物が不法に投棄された挙句、土地所有者が、母国に帰国してしまい、周辺住民の安心・安全な生活環境が脅かされています。住民の皆様方からの意向を踏まえて、我々市民オンブズマン群馬として、この問題の経緯を各方面から調査し、問題点を検証した結果、「一刻も早く産業廃棄物を撤去すること」が最も必要であると考えております。
 産業廃棄物の不法投棄を巡る問題は古くからあります。その最たる事案のひとつに、香川県の豊島(てしま)を舞台にした産廃不法投棄事件があります。これは豊島総合観光開発(豊島開発)が1975年から16年間にわたり、豊島の西端の海岸近くに産業廃棄物を大量に不法投棄し続けていた問題で、1990年に発覚し、当時は戦後最大級の不法投棄事件と言われました。これを受け、翌1991年には廃棄物処理施設の設置が届出制から許可制となるなど規制が強化されましたが、1999年に発覚し国内最大規模と言われた青森県・岩手県境の不法投棄事件を防ぐことができませんでした。
 豊島事件では産業廃棄物の撤去等に総額820億円(毎日新聞資料)もの税金が使われました。しかし、まだ、土壌汚染問題が残っているそうです。
 群馬県にも県内各地で産業廃棄物を巡る問題が多々発生しています。地元桐生市の新里町で今回発生した表記の産廃不法投棄事件を検証することにより、群馬県における産廃問題の実態を貴殿にぜひご承知いただくとともに、そして、何にもまして、県民と共にこの産業廃棄物問題を住民の目線で考えて、群馬県から産業廃棄物の不法投棄を根絶したいと願っております。
 貴殿におかれましてはご承知のことと存じますが、令和4年9月26日の一般質問において、環境森林部長が「産業廃棄物の問題は“早期発見”が重要である」と答弁されております。今回、桐生市新里町に持ち込まれた産業廃棄物においては、令和3年4月21日にさいたま市より御庁に情報提供があり、翌日御庁から群馬県警生活安全課に情報提供をしたとの記録があります。しかしながら、当該現場はすでに、2年以上経過した挙句、産業廃棄物が放置されたままであることは誠に遺憾です。
 令和5年5月11日の知事の定例会見において、記者より、桐生市新里の産業廃棄物について現状認識と今後の見通しに関する質問がありましたが、貴殿に代わって答弁した環境森林部長は「引き続きどういった状況かを確認し、必要があればたような行政代執行や、その前提となる措置命令といったものについても必要があれば選択肢としては排除しないで検討したい」と他人事のような答弁に終始しまいた。このことは、群馬県の環境行政を預かる実務トップの発言として不適切です。
 同部長は、令和4年9月26日の県議会の一般質問に対する答弁で「早期発見が重要である」との見解を示しました。ところが、不法投棄が発覚して2年以上経過するにもかかわらず、大量の産廃が放置されたままなのに、この期に及んで「土地所有者と連絡が取れない。鋭意努力して、コンタクトを試みているところだ」などと居直っている始末です。
 しかし、産業廃棄物の適正な処理については、排出業者にも大きな責任を課しています。これは、平成29年3月21日付環廃対発第1703212号・環廃産発第1703211号の「廃棄物処理に関する排出事業者責任の徹底について(通知)」に明示されています。群馬県が、この通知を知らないわけはありません。その中に「事業者は、その事業活動に伴って生じた廃棄物を自らの責任において適正に処理しなければならない。」と、排出事業者の責任が明確に規定されています。
 このことから我々市民オンブズマン群馬のみならず、広く県民の皆様は「群馬県は、排出事業者を特定してその責任を明確にしつつ、行政代執行をすればよかろう」と思うことでしょう。釈迦に説法で恐縮ですが、産業廃棄物の排出事業者は元請け業者であります。このような、何もしない、また、しようとしない環境森林部長の任命責任は貴殿にあることを肝に銘じていただきたいのです。
 つきましては、公務多忙な折り誠に恐縮ですが、下記の質問事項に対して、群馬県知事である貴殿の見解をお示しいただけますと幸いです。回答の程、よろしくお願い致します。
【質問1】
 群馬県には県民の生命、財産を守る義務があると思います。桐生市新里町の産業廃棄物の不法投棄、不適正保管事件は、これに該当する事案であると当会は考えておりますが、貴殿はどう思いますか?貴殿の見解を御教示いただきたくお願いします。

【質問2】
 地方自治法第1条は「この法律は、地方自治の本旨に基づいて、地方公共団体の区分並びに地方公共団体の組織及び運営にかんする事項の大綱を定め、併せて国と地方公共団体との間の基本的関係を確立することにより、地方公共団体の民主的にして能率的な行政の確保を図るとともに、地方公共団体の健全な発達を保障することを目的とする」と明示しており、第1条の2第1項では「地方公共団体は、住民の福祉の増進を図ることを基本として、地域における行政を自主的総合的に実施する役割を広く担うものとする。」と定められています。表記事件では、地元民から、ごみの散乱、悪臭、景観等の苦情が御庁や桐生市に出されています。地自法の総則に照らして、「新里の廃棄物」の問題を貴殿はどう考えますか?貴殿の見解を御教示いただきたくお願いします。

【質問3】
 産業廃棄物110番受付簿によると令和3年4月30日に不法投棄の通報があり、令和3年5月11日から調査記録の記載が始まりました。しかし、調査記録には、土壌検査で調査に行った際、当該検査会社の事務長から情報提供を受け発覚した事案であると記載されています。同年6月2日の調査記録には、令和3年4月21日にさいたま市から情報提供があったと記されています。このように、表記事件の初動対応について混乱が見受けられます。環境森林部廃棄物・リサイクル課(「廃リ課」)の職員は、速やかに情報共有していたのでしょうか?情報共有をしていればこのような対処になりません。貴殿の見解を御教示いただきたくお願いします。

【質問4】
 冒頭に記したように、令和4年9月26日の県議会の一般質問で環境森林部長は「早期発見が重要である」と答弁しています。令和3年4月30日の産業廃棄物110番受付簿によれば、令和3年4月21日にさいたま市より情報提供があり、「4月頃からフェンスを建て廃棄物を搬入している」との通報があった、と記されています。すなわち、令和3年4月初旬には産業廃棄物が桐生市新里町鶴ケ谷に搬入されていたとする情報を、廃リ課は同4月21日に覚知していたことになります。ところが、令和3年5月11日まで廃リ課は現地調査をしておらず、同日に土壌調査に行った際、当該検査会社の事務長より情報提供があり、初めて現地調査を行っています。その際、廃リ課は、産業廃棄物処分業の取得、収集運搬業の許可を取得するよう行為者に指導しました。この時点で、御庁は産業廃棄物処理法違反の事実を認識していたことになります。この一連の行動をどう解釈するのかご説明をお願いします。併せて、県議会の一般質問で環境森林部長の「早期発見が重要である」との答弁がありましたが、「早期発見」の観点からすれば、さいたま市からの情報提供により、直ちに現地確認することが必須だと、普通、考えるのではないでしょうか?環境森林部長が重要視する「早期発見」を担保するには、どうしたらよいのでしょうか?貴殿の見解を御教示いただきたくお願いします。

【質問5】
 環境森林部廃リ課は、表記事件行為者らによる産業廃棄物の無許可営業、収集運搬業の無許可営業を結果的に認めているも同然です。刑事訴訟法第239条第2項には「官吏または公吏はその職務を行うことにより犯罪があると思料するときは、告発をしなければならない」と明記されています。すなわち、公務員には告発義務が課せられているのです。表記事件において、御庁は何故これまで告発してこなかったのでしょうか?貴殿からのご説明をお願い致します。

【質問6】
 産業廃棄物の適正処理に際して、排出業者にも大きな責任が課せられています。これは、平成29年3月21日付環廃対発第1703212号・環廃産発第1703211号の「廃棄物処理に関する排出事業者責任の徹底について(通知)」に明示されています。群馬県がまさかこの通知を知らないはずはないでしょう。その通知の中に「事業者は、その事業活動に伴って生じた廃棄物を自らの責任において適正に処理しなければならない。」と排出事業者の責任が規定されています。排出事業者の責任に関する環境省の通知は、「平成28年1月、建設廃棄物において、下請け業者に処理の委託を無責任に繰り返し、最終的に処理能力の低い無許可解体業者によって不法投棄がなされた不適正処理事案が判明したことがきっかけです。」と記しています。正に、桐生市新里の産業廃棄物不適正保管事案と同じ構図を念頭に通知されたものと言えます。令和3年6月2日に行為者が判明したため、来課させた当該行為者に「解体現場から排出された廃棄物は無許可で収集運搬し、収集した廃棄物を分別したり、その廃棄物を埋めることは廃棄物処理法違反に抵触すること。現地に保管している廃棄物は許可業者に依頼し、適正に処理すること等を指導した」と記録にありますが、当該行為者は令和3年5月11日に現地で作業していた人物です。同じ人物に同じ指導を繰り返しても改善されないのでは意味がありません。この時に、指導を繰り返すのではなく業務改善命令等を出すべきではなかったでしょうか?
 それとも、廃リ課は令和3年6月2日までに現地確認をして、状況が改善されたと判断したのでしょうか?貴殿からのご説明をお願い致します。また、どうして、行為者に廃棄物の処理を依頼した排出事業者に関する情報(契約書、マニュフェスト等の有無とそれらの内容)を調査しないのでしょうか?この点についても貴殿からのご説明をお願い致します。

【質問7】
 令和3年5月11日から6月2日まで現地調査した記録が見当たりません。どうなっているのでしょうか?貴殿からのご説明をお願い致します。そもそも、同5月11日の調査記録には、今後の対応として「監視指導を続ける」と記してあります。これがきちんと実行されていれば、早期発見して、早期対応し、その後の廃棄物の搬入をくい止められたのではないでしょうか?これについても、貴殿からのご説明をお願い致します。

【質問8】
 令和3年6月7日の調査記録には、行為者(解体業社長カラハン・メメト)に指導書を渡した、と記してあります。ところが、その後の調査記録は令和3年8月5日まで見当たりません。しかも、同8月5日は、行為者から産廃処理の依頼を受けた者(株式会社ジュマ工業)が来庁してから、調査記録が記録されています。
 令和3年6月8日には通報記録が記され、同6月17日には地元の方が来庁し、同6月18日に通話記録が記され、同7月6日には地元民の記録によると「桐生市に対して県担当課に転送するように依頼したところ、県の廃棄物・リサイクル課から電話連絡があった」ことが記されていますが、県の開示資料には見当たりません。廃リ課は、1度指導票を発行するとそれで業務を終了したとして、その後フォローはしないのでしょうか?貴殿からのご説明をお願い致します。
 指導票を発行した後は、通報を受けたり、地元民の来庁があったりしても、なぜ現場調査をして確認しないのでしょうか?貴殿からのご説明をお願い致します。
 また、桐生市の記録によれば、「県の廃リ課の調査で土地所有者が帰国した」旨、記されています。御庁は土地所有者が帰国した事実をいつ、どのように知ったのでしょうか?貴殿からのご説明をお願い致します。
 さらに、同6月18日の通話記録には「県は相手に指導していますが、今後も引き続き相手方に繰り返し指導する予定です」と記されています。そして、同8月5日になって、行為者から産廃処理を依頼された者が来庁した際に指導したわけですが、この48日間における御庁の対応について、貴殿からのご説明をお願い致します。
 すなわち、御庁は「相手方に繰り返し指導する」と通報者に説明したわけですから、いつ、誰に、どのように指導したのか、貴殿からのご説明をお願い致します。
 以上についてご説明できないのであれば、通報者に嘘をついたことになるのではないでしょうか?

【質問9】
 令和3年10月20日の調査記録によると、「通報があり、現場に向かったが作業員と接触出来ず、行為者に依頼を受けた者に、電話聴取した」と記してあります。また、「現場には廃棄物が2トン車で10台分運び込まれていた」と記録されており、同年10月22日には作業者が「解体業(株式会社ARIN代表取締役)」に変わっています。これは明らかに行為者が意図的に作業者を変更して、廃棄物処理法違反の摘発を逃れる目的を意図していると考えられます。それ以降も作業者が替わっています。この流れをくい止めるには、早急に排出事業者を特定して、改善命令を出し、行政代執行をする必要があると思われます。県知事として貴殿の見解を御教示いただきたくお願いします。

【質問10】
 令和3年10月25日の通話記録には「群馬県は取締機関でないため、事件化などの理由については、回答できないが、この状況については桐生警察署へ情報提供して、協力して対応している。」と記録されています。上記【質問5】で触れたように公務員には告発の義務があります。「警察への情報提供」とは、具体的にどのようなものだったのでしょうか?貴殿からのご説明をお願い致します。

【質問11】
 令和3年11月2日の調査記録には「行為者から廃棄物の撤去が完了した旨の連絡があり、行為者を立会人として確認を行った。調査場所に置かれた廃棄物は撤去されていた」と記録されています。しかし、この記載内容は非常に曖昧であると言わざるを得ません。令和3年10月26日の調査記録には行為者(運搬者)は「RAMO工業社員」と記録されており、11月2日の立会人として、「RAMO工業の社長」との記載があります。記録は、事実関係を証拠づけるものですから、正確に記録して頂かねばなりません。開示資料には訂正箇所がいくつもあります。これでは、果たして、記録が正確に記述されているかどうか、疑問を払拭できません。次に、「通報があって現地調査した」とありますが、通報記録が見当たりません。これでは、「他にも通報記録があったのではないか」と県民が疑問を持つことでしょう。
 次に、令和3年10月26日の記録にダンプの荷台の廃棄物の写真が載っていますが、この廃棄物はこの後ヤードから排出させたのだろうと想像されます。ところで、ここでいう行為者は誰を指すのでしょうか?
 また、「行為者が搬入した廃棄物は撤去した」とあり、「別の行為者の廃棄物はそのままである」と記録されていますが。行為者の搬入した廃棄物と別の行為者が遺した廃棄物の区分はどうなっているのでしょうか?貴殿からのご説明をお願い致します。
 さらに、搬入者が廃棄物収集運搬業の許可を所持しているのかどうか、確認したことについての記載が見当たりません。このことからも、御庁は排出事業者の資格すら特定する意向もないと思われます。
 廃棄物の排出事業者は、マニフェストを5年間保管する義務があります。そして、罰則もある。御庁は「捜査機関でない」と主張するのであれば、せめて、告発の義務を守って頂きたく存じます。貴殿の見解を御教示いただきたくお願いします。

【質問12】
 御庁は、令和3年11月2日以降の調査記録として、令和3年12月7日まで現地調査の記録はなく、電話対応のみとなっています。御庁は、現地調査もやらず、法的対応もやらなくても、産業廃棄物の不法投棄が自ずと解消するとでも思っているのでしょうか?
 令和3年12月22日になって、廃リ課は、初めて行為者(RAMO工業社長)に「廃棄物の撤去を令和4年1月22日」と記載した指導票を交付しました。指導票には罰則についても記載されています。ところが、令和4年1月22日になっても、是正措置命令を発することもなく、再度、令和4年2月8日に指導票を交付しています。すなわち、令和4年2月8日に行うべきは指導票ではなく、業務改善命令等の法的拘束力のある行政処分が適正であると考えられるのではないでしょうか?何故なら、令和3年5月11日に指導して以降、現場の違法投棄状態が改善される見通しがないどころか、持ち込まれ続けた産業廃棄物の量がさらに増加しているからです。
 また、令和4年2月8日の調査記録として、黒塗りされた5ページにわたる開示資料があります。これは明らかに、御庁が、県民の知る権利に背を向けて、情報を隠している証拠だと言えるのではないでしょうか?なぜなら、群馬県の情報公開条例では、個人情報や、当該法人の不利益な情報は開示しなくてよいことになっていますが、それは、書いてある内容のことだからです。例えば、最初の黒塗り箇所は、その大きさから、免許証のようなものと考えられますが、「免許証」の文字そのものは個人情報ではありません。「○○免許証」は公開情報として扱われるべきです。次の4ページの黒塗り部分は、何の情報なのかさっぱりわかりません。仮に、事情聴取に関するものであれば、タイトルにあろうかと思われる「事情聴取」の文字は個人情報ではありません。貴殿は、知事部局によるこの行為について、どう思いますか?貴殿の見解を御教示いただきたくお願いします。

【質問13】
 上記【質問8】に示した原因者への指導書の手交以降、御庁は指導の繰り返しをするだけであり、一向に産業廃棄物がなくならないどころか、搬入の通報があることから、逆に産業廃棄物が増加していると考えられます。何故、廃リ課は、指導だけでなにもしないのでしょうか?理解に苦しむのは我々だけではないと思います。
 現に令和4年2月10日の調査記録には、「近隣住民から重機で穴を掘って埋めているとの通報で現地調査を実施した」と記されていて、同年2月19日の調査記録では、「RAMO工業従業員がマニュフェストを持参したので確認し、指導した」と記されていますが、どのように確認したのでしょうか?ついては、貴殿からのご説明をお願い致したい疑問点として、以下の事項があります。
 ①RAMO工業が排出事業者であるとしていますが、本当に元請け業者であると確認するため、マニフェストA票の産業廃棄物発生場所を確認したのでしょうか? 
 ②中間処理業者と契約を交わしているのでしょうか?
 ③中間処理業者がマニフェストを返送しているのでしょうか?
 ④マニフェストA票によると運搬車両が4枚とも同じナンバーであるのに、調査記録には、2回現場から搬送したと記録されています。同じナンバーであるなら、4回搬送したことになるのでしょうか?
 ⑤マニフェストの流れで言えば、収集運搬業者はマニュフェストB1、B2、C1、C2、D、E票を中間処理業者に渡し、中間処理業者はB1、B2、C1、C2、D、E票の「運搬の受託(1)」欄に運搬終了日を記入し、廃棄物とともに中間処理業者の担当者に渡します。中間処理業者は、廃棄物を受領した際、B1、B2、C1、C2、D、E票の「処分の受託(受領)」欄に受領日及び処分受託者(会社名)を記入の上、受領担当者がサイン又は押印し、B1、B2票を収集運搬事業者に渡します。中間処理業者は、廃棄物の処分を終了した際、C1、C2、D、E票の「処分の受託(処分)」欄に処分終了日及び処分受託者(会社名)を記入の上、処分担当者がサイン又は押印し、処分終了後10日以内に収集運搬業者に返送します。また、中間処分業者は、D票は廃棄物の処分が終了した際、10日以内、E票は最後の最終処分終了の報告を受けとき、10日以内に返送します。ということは、令和4年2月19日には、B1、B2票も無ければなりません。明らかにマニフェスト違反ではないでしょうか?
 上記①から⑤までの疑問点について、わかりやすく、貴殿からのご説明をお願い致します。

【質問14】
 桐生市が開示した資料によると、「令和4年9月14日、地元自治会の○○さんより説明会を開いてほしいとの要望あり。県産リ課は出せる情報がないとのことで断る。市では更に説明できるものがないことを説明し、納得していただいた」とのことです。しかし、我々市民オンブズマン群馬が、令和2月17日に情報開示請求を行い、同4月17日に貴殿から開示を受けた情報を見る限り、当時令和4年9月14日時点で廃リ課が集めていた情報は有り余る程の量と思えます。群馬県のこうした対応について、「情報隠しではないか」という疑念を払拭できせん。貴殿の見解を御教示いただきたくお願いします。

【質問15】
 令和5年5月11日の知事の定例会見において、環境森林部長はまるで他人事のように「行政代執行を検討する」と答弁し、「土地所有者とは現時点でまだ連絡は取れていないが、鋭意努力して、コンタクトを試みているところだ」と、照れ笑いを交えながら主張しています。これは、明らかに、県の対応ミスではないでしょうか?香川県豊島のごみ問題では、香川県は対応ミスを認めています。このような環境森林部長の対応ぶりをすぐそばで見て聞いていた貴殿の見解を御教示いただきたくお願いします。

【質問16】
 令和5年5月14日現在、地元民は悪臭等により、窓を閉めており、洗濯物も外に干せない状況と聞いております。周辺住民の安全・安心な生活環境の保全を担保するために、生活環境調査をする予定はありますでしょうか?貴殿の見解を御教示いただきたくお願いします。

【質問17】
 今後の対応について、どうしたら良いと思われるでしょうか?貴殿の見解を御教示いただきたくお願いします。


 以上、よろしくお願いします。なお、ご回答については、大変勝手ながら、2週間後の2023年6月7日(火)までに書面で郵送あるいはFAXにて上記弊連絡先まで折り返し送達いただければ幸いです。
 なお、何らかの事情によりこの期限までの回答が不能である場合は、大変お手数ではありますが上記弊連絡先まで、書面にてお伝えいただきたく存じます。
 なお、この公開質問と回答の内容は、マスコミにも情報提供致します。

                           敬具
**********



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太田市の清水市長が公選法違反容疑で書類送検・・・選挙無法特区の群馬で注目される地検の対応

2023-10-27 08:38:46 | 政治とカネ


■2021年4月の群馬県太田市長選の直前に授受された現金300万円を巡り、再選された清水聖義市長が、現金を選挙運動費用収支報告書に記載していなかったことを、現金を寄付した市民らが今年1月に知り、4月26日付で公選法違反の疑いで清水市長を群馬県警太田署に告発していました。

 この事件について、当会はこれまで以下のブログ記事で報じていますので、参照ください。
〇2023年4月27日:【速報】太田市長の政治資金規正法違反?・・・300万円の献金を巡る疑惑で市民らが清水聖義市長を告発!
〇2022年12月30日:太田市長に政治資金規正法違反の疑惑?・・・寄付金の記載の有無に関する質問状に答えを濁す市長

 報道によると、清水市長は、現金の授受を認めた上で、「直後に返金の意思を示したが、拒否されたため供託した」としています。つまり、いったん受け取ったが、その後、何らかの都合や事情が生じたことを口実にして、受け取ったことをもみ消すために、供託という方法を取ったとも受け取れます。

 公選法は、立候補の届け出前に選挙運動のための寄付を受けた場合、候補者は届け出後、速やかに出納責任者に明細書を提出しなければならないと定めています。また、寄付する側について政治資金規正法は、個人による特定の候補者への金銭の寄付を、選挙運動に関するものに限り年間150万円まで認めています。

■その後、警察で捜査が為されていたと見えて、本日、太田署から前橋地検あてに捜査書類が送付されたことが報じられました。

**********読売新聞2023年10月26日

清水・太田市長 公選法違反疑い 捜査書類送付
 現金300万円の寄付を受けたのに明細書を出納責任者に提出しなかったとして、太田署が清水聖義・太田市長(81)を今月20日に公職選挙法違反(明細書の提出)容疑で前橋地検太田支部に捜査書類を送付したことがわかった。
 男性会社社長(83)(同市)と男性会社役員(80)(同)の2人が4月26日に同署に告発状を提出し、同署が捜査していた。捜査関係者によると、同署は起訴を求める意見は付けなかった。
 複数の関係者によると、清水市長は前回の市長選で、告示前日の2021年4月3日、会社社長が用意した現金300万円を会社役員を介して受け取ったが、立候補届け出後に寄付の明細書を出納責任者に提出しなかった疑いが持たれている。市長側は300万円を前橋地方法務局太田支局に供託した。
 2人は清水市長の選挙運動費用趣旨報告書に寄付の記載がなかったとして、告発状を提出していた。
 清水市長は25日、読売新聞の取材に対し「寄付を受け取ったという認識は全くなかったので、選挙運動費用・・・・・・・・・・・・った。秘書に任せていた。(会社役員に)返そうとしたが受け取ろうとしないので、仕方なく供託した。検察の捜査には全面的に協力する」と話した。
**********

■この読売新聞記事を読むと、どうやら太田署は、清水聖義・太田市長を、いわゆる「書類送検」したことになります。

 書類送検は、刑事手続において司法警察員が被疑者を逮捕せず、または逮捕後釈放した後に被疑者の身柄を拘束することなく、事件を検察官送致(送検)することを意味しており、もっぱら報道で用いられる用語で、上記の読売新聞記事のように、「書類送付」とか「捜査書類送付」などと表現されることもあります。

 具体的には、司法警察員が、逮捕された被疑者、書類および証拠物、事件を検察官に送る手続(検察官送致:刑事訴訟法第246条本文)の一種であり、被疑者の逮捕・勾留の必要がない事件や、被疑者が送致以前に死亡した事件、公訴時効が成立した事件の被疑者が判明した場合などで行われます。

 一般に、司法警察員が被疑者を逮捕しない場合の送致を在宅送致、逮捕した場合の送致を身柄付送致(身柄送検)といい、「書類送検」は前者を指しています。

■原則として、司法警察員が犯罪の捜査をしたときは、速やかに書類及び証拠物とともに事件を検察官に送致しなければなりません。ただし、検察官が指定した事件については例外的に送致しなくともよいこともあります。これは刑事訴訟法第246条の但し書、いわゆる微罪処分の場合です。

 また、刑事訴訟法第242条では、「告訴又は告発は、書面又は口頭で検察官又は司法警察員にこれをしなければならない」と定めがあり、同第2項は「検察官又は司法警察員は、口頭による告訴又は告発を受けたときは調書を作らなければならない」とされています。

 次に同法第246条に「司法警察員は、犯罪の捜査をしたときは、この法律に特別の定のある場合を除いては、速やかに書類及び証拠物とともに事件を検察官に送致しなければならない。但し、検察官が指定した事件については、この限りでない」との定めがあります。

 すなわち、告訴または告発の場合には、送検は、警察による捜査の結果を問わず自動的に行われる手続であり、当該告訴または告発の内容が正当であったか否かの判断を示すものではなく、実際に犯罪の嫌疑があったことを示すものでもありません。しかし、現状では、いくら警察や検察に告訴や告発をしても、なぜか受理すらされていないのが実態です。

■今回の読売新聞記事には、「捜査関係者によると、同署は起訴を求める意見は付けなかった」と報じられています。

 これは「処分意見」というもので、犯罪捜査規範195条に基づき、送検時には罪状と情状を考慮した処分意見が付されることになっています。そして、この処分意見とは、慣行上次のように区分されています。
  ①厳重処分   :起訴を求める
  ②相当処分   :起訴・不起訴どちらでも良い
  ③寛大処分   :起訴猶予にしてやってほしい
  ④しかるべき処分起訴できないと考える

 このことから、太田署の捜査関係者が「起訴を求める意見を付けなかった」と言っているとなると、②相当処分(起訴・不起訴どっちでもいい)、③寛大処分(起訴猶予、つまり不起訴にしてやってくれ)、④しかるべき処分(起訴できないと考えている)のどれか、ということになります。そうすると、地検における清水聖義・太田市長に対する処分の判断がおのずと見えてくる気もします。

■ちなみに、警察の司法警察員から、送致を受けた地検の検察官は、裁判所に起訴するか否かを、刑事訴訟法247条に基き決定することになります。

 起訴しない旨決定した場合には不起訴処分となります。不起訴処分とする理由には、犯罪の成立は肯定できるものの、犯人の性格、年齢及び境遇、犯罪の軽重及び情状並びに犯罪後の情況により訴追を必要としない(刑事訴訟法248条)と認められると、「起訴猶予」という判断がなされることになるわけです。このほかにも、構成要件不該当・違法性阻却・責任阻却等の理由をあげて、地検が犯罪の成立を認定しないことが多々あります。

 告発や告訴をした一般市民は、もちろん起訴を望んでいるわけで、他県ではもちろん起訴に相当する場合であっても、こと群馬県に関すれば、なにぶんにも選挙無法特区の状態ですので、決して予断が許されないことは、ここで申し上げるまでもありません。

【市民オンブズマン群馬事務局からの報告】
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市民オンブズマン群馬のYouTubeチャンネルが本日開設!

2023-10-25 13:37:25 | オンブズマン活動
■当会の活動を効率的に伝えるためのツールとしてYouTubeの活用について、会員の皆様の間で必要性が理解されて討議を重ねてきましたが、この度、準備期間を経て、ついにチェンネル開設に漕ぎつけることができました。本日から予告バージョン2本の配信を開始いたしましたので、ぜひご視聴ください。



市民オンブズマン群馬 なんかやってんべチャンネル


市民オンブズマン群馬 なんかやってんべチャンネル公開(前編)

市民オンブズマン群馬 なんかやってんべチャンネル公開(後編)

■引き続き今後とも、当会の活動にご理解とご支援を賜りますようお願いいたします。

【市民オンブズマン群馬事務局からの報告】
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【一太行政】ぐんまちゃんも嘆くアニメ視聴率低迷!・・・それでも強気のノーテンキ知事

2023-10-19 00:05:13 | 県内の税金無駄使い実態

「とほほ・・・」
■2014年に県庁職員総出で投票した甲斐あって「ゆるきゃら」グランプリを獲得した2代目ぐんまちゃん。税金不感症の一太知事の推しもあり、群馬県自らが製作・著作を担当してアニメ化されたぐんまちゃんが、「シーズン1」として2021年10月3日から12月26日までテレビ神奈川(放送幹事局)や群馬テレビ等で、「シーズン2」は2023年4月8日から7月1日までBSフジや群馬テレビ等で放送されました。いずれも全13回で、各回は約7分のエピソード3本から構成されました。

 ところが、一太知事の思惑も空しく、シーズン1でも振るわなかった視聴率が、シーズン2では、さらに半分以下を記録したというのです。いったい、ぐんまちゃんの魅力のどこに瑕疵があったのでしょうか。さっそく報道記事を見てみましょう。

**********上毛新聞2023年10月16日
県制作アニメ「ぐんまちゃん」 シーズン2視聴率0.59%
4~17分放送 前作から0.82ポイント下落
 今年4~7月に放送された県制作のアニメ「ぐんまちゃん」シーズン2について、県は15日までに、推計視聴率が0.59%だったことを明らかにした。シーズン1(2021年10月~12月)の推計視聴率は1.41%で、0.82ポイント下落した。県メディアプロモーション課は、視聴率は低下したものの場所や時間に関わらず視聴できるアニメを「ぐんまちゃんの有効な広報手段の一つ」と位置付け、今後も2本のアニメを活用していく。
 推計視聴率は、全国の視聴率を調査するビデオリサーチ(東京都)が県内の視聴率を算出していないため、同課が代替数値から群馬テレビでの視聴率を独自に算出している。
 同課は下落の原因について「特定することは難しい」とした上で、放送時間の変更などが視聴率の変化に影響する可能性があるとした。毎週日曜の午前10時半から放送したシーズン1に対し、シーズン2は毎週土曜の午前5時からの放送だった。
 同課によると、ぐんまちゃんのアニメ制作関連費は、シーズン1が約2億4289万円、シーズン2が約2億4563万円の見込み。シーズン2の製作費が増えた理由については、人件費や製作コストの増加によるものとした。
 シーズン1放送後から、有料の動画配信サービスでの配信もしている。同課の担当者は、放送を見ていない人がこうしたサービスを利用して視聴することにも期待する。対面でぐんまちゃんと県民が触れ合うイベントと比較し、「距離を超えられるツール。イベントを両方活用してぐんまちゃんの認知度アップやファンを増やす活動を続けたい」と話した。
(長部通)
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■2021年秋から年末にシーズン1として県費約2億4千万円をつぎ込んで製作、放映されたにもかかわらず、県内の推定視聴率が1.4%に留まったアニメ「ぐんまちゃん」でしたが、一太知事はその結果をどのように受け止めていたのでしょうか。

**********NHK文研「放送研究と調査」2022年4月号
群馬県,アニメ『ぐんまちゃん』の続編制作を発表
 群馬県の山本一太知事は2月4日,2022年度の当初予算案を発表し,県のマスコットキャラクター「ぐんまちゃん」のテレビアニメの続編を制作することを明らかにした。
 アニメ『ぐんまちゃん』は,群馬県が制作する番組で,2021年10月から関東と関西の8局で放送された。このうち地元の群馬テレビ(以下,群テレ)で同年12月12日に放送予定だった回(注:第12回)が「内容が放送基準に抵触している」として,別の内容に差し替えられた。群テレによると,10月24日に競輪を扱った回を放送したあと,視聴者から「内容的に不適切ではないか」との意見がBPOに複数寄せられ,BPOから報告書を提出するよう求められたという。事態を重く受け止めた同局は,その後の放送内容を確認。12月12日に放送予定の回は競艇を扱っており,劇中での会話の内容が「児童,青少年の射幸心を過度に煽るもの」と判断し,臨時役員会議を開いて差し替えを決めたとしている。
 群テレはこの決定を放送幹事のテレビ神奈川を通じて事前に群馬県側に伝えていたが,山本知事は,12月16日の会見で,放送内容について「問題は全く感じられなかった」と述べたうえで,公営競技自体が否定的に捉えられているのではないかとの懸念を示した。その後も山本知事は,記者会見などで群テレの対応に不快感をあらわにしている。
 群馬県は群テレの株式を15%余り保有する筆頭株主ではあるが,一連の知事の対応は,行政の放送局への過度な介入にあたるおそれはないだろうか。続編も制作されることから,今後の動きに注目したい。
(熊谷百合子)
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 このあと、NHK群馬は、上記の論説を気にして、ワンマンな一太知事の機嫌を取り繕うとしたのか、次の提灯?記事を掲載しました。

**********NHK群馬News Web 2022年06月24日
群馬県宣伝部長 ぐんまちゃん戦略は 山本知事に問う【全文掲載】

こんにちは、ぐんまちゃんだよ!群馬県のマスコットで群馬県宣伝部長だよ!みんなに群馬の魅力を知ってもらうために頑張っているから応援してね!↑
 これは、ぐんまちゃんのSNSのプロフィール。
 8年前に「ゆるキャラグランプリ」を獲得して以降も、県内外で高い人気を誇り、その勢いは止まらない。折に触れて「目立たない」と言われる群馬県において、その存在感は“異質”と言っても過言ではない。
 なぜ、そんなに人気があるのか、なぜ、多額の予算をぐんまちゃんに投じるのか、そして、今後の戦略は?
 ぐんまちゃんの“上司”である、県のトップ、山本一太知事を直撃、30分間のインタビューで聞いた。
(前橋放送局記者 山枡慧/2022年6月取材)
★“キラーコンテンツ”ぐんまちゃん★
ーーー山本知事は、ぐんまちゃんを「群馬県最大のキラーコンテンツ」と称してきましたが、改めてどういう位置づけなのか聞かせて下さい。
 ゆるキャラグランプリで1位を取ったときは「くまモン」と「ふなっしー」が番外だったんですけども、何度か挑戦して、ゆるキャラグランプリを取り、県民の間ではかなり知られているし、非常に子供に愛されるキャラクターだし、そもそも群馬県内ではかなり知名度がありました。ただ、ここから先にもうちょっとぐんまちゃんのブランド価値を高めるとか、さらに全国的な知名度を上げる点では、もう1歩踏み込まなきゃいけないと思って、自治体としては初めてとなる本格アニメ制作をして放送しました。「ぐんまちゃんは何か?」と問われたら、群馬県にはいろんなキラーコンテンツがありますけども、なんと言っても温泉、全国一の温泉王国であることとか、農畜産物ですね。農業大国なので、キャベツのほか、夏秋なすやほうれんそうは生産高が全国トップですし、プラスアルファで雄大な自然がありますが、それに加えてキラーコンテンツを挙げるとしたら「ぐんまちゃん」が来るんじゃないかと。多くの県民に“癒やし”と“希望”を与える、そういうマスコットだと思ってます。
★ぐんまちゃん★
 1983年、群馬県で開かれた国体=国民体育大会をきっかけに誕生。それ以来、姿形を変えながら、2012年に県の“宣伝部長”に。2014年には「ゆるキャラグランプリ」獲得。去年はアニメ放送も行われた。現在、NHK前橋放送局の「ほっとぐんま630」火曜日のお天気コーナー「ほっとウェザー」に新村美里気象キャスターと出演中
★“ちびブレーク”の予感★

ーーー全国的に見ると、ぐんまちゃんはどういう立ち位置にあると見ていますか?
 全国のいわゆる「ゆるキャラ」、マスコットキャラクターのうち、知名度で言うと4番目ぐらいだと思うんですよね。1番が「くまモン」、2番が「ふなっしー」、3番が「ひこにゃん」、4番が「ぐんまちゃん」みたいな感じだと思うんですよね。でも、47都道府県にキャラクターがある中で言うと、4位というのは大健闘だと思うし、好感度でも多分そのぐらいまで行っていて、特にアニメ放送によって好感度は4~5%も上がっているということを考えると「ちびブレーク寸前」、ブレークの予感っていうのをものすごく感じています。ご存じだと思いますが、本郷みつるさんという「クレヨンしんちゃん」の監督を務めている本当に一流の監督を迎え、なおかつ、声優も群馬県出身の方が多いんですけど、5本の指に入る3人の声優を引っ張ってきて、音楽も「シティーハンター」を手がけた一流の方なので、アニメの制作陣は本当に一流の方々に来ていただき、第1シーズンを放送させていただきました。テレビ神奈川を中心に、群馬テレビも含まれますけれども、関東でいわゆる独立局のコンソーシアムのような形で組んでもらって、関西2局、配信では20局以上で放送させていただきました。群馬県として推定した視聴率は1.7%ありました。2%近いというのは、結構すごいことですよね。なおかつNHKの前橋放送局でも再放送をしてもらいました。NHKがコンテンツとしての価値を認めて再放送してくれてたことはすごいことだと思います。だから、ぐんまちゃんの今の立ち位置としては、群馬県民にとってのシンボルというところからもうちょっと飛び出して、国民的アイドルにはまだ至ってないけれど、群馬県のアイドルから全国的なアイドルへの脱皮を図っているところだということで、「ちびブレーク」寸前の予感みたいなものを感じています。第1シーズンが好評だったこともあり、県議会に(続編制作の)予算を認めていただきました。第1シーズンは年度をまたいだ予算を全部合わせると4億円ぐらいで作ってるんですけど、今回も同じぐらいの予算を確保できたので、シーズン2をこれから作り、どうなるかわかりませんが、来年4月ぐらいまでには放送できるんじゃないかということで、さらにおもしろい、シュールでインパクトのあるものをつくっていただこうと思っています。
★コンテンツは磨き続けてこそ★

ーーー知事就任以来、どういう戦略を描いてぐんまちゃんを育ててきたのでしょうか?
 キラーコンテンツになり得る非常に貴重な存在でありながら、1歩広がりがないというところがありました。県の中では知られていても、全国的なキャラクターじゃないわけですよね。これをもっとコンテンツとして磨くことによって、群馬県のブランド化に貢献できるだろうと。だからいくつかキラーコンテンツの卵を探していた時に見つかったコンテンツなんですよね。これをもうちょっと先まで展開させるためには、新しいやり方を考えなきゃいけないってことで、宇佐美友章メディア戦略アドバイザーと相談して「アニメ化をやってみよう」と。ただアニメ化といっても、ほかの都道府県のキャラクターもアニメになっていると思いますが、いかにも自治体が作るアニメじゃないですか。そうじゃなくて本格的なアニメにしたいと。だからメディア戦略アドバイザーも「ぜひやりたい」と言っていたので「GOを出すためには、相当一流の人を集めてきてくれ。それであればGOを出しましょう」と言ったところ、宇佐美アドバイザーが本当に思い描いた通りの一流の方々を集めて来てくれたので、ぐんまちゃんのアニメを発信することができたと思います。富岡製糸場もそうなんですけど、コンテンツというのは磨き続けないとダメなんですよ。世界遺産というブランドにそのまま甘えてたら、どんどん入場者も少なくなっちゃってるじゃないですか。だからそこからもう1歩踏み込む努力をしないと、実はブレークしない。そういう存在ですね。
★批判にどう向き合ってきたのか★

ーーーぐんまちゃんを含めて、群馬県はコンテンツ制作に力を入れていますが、行政がコンテンツ制作を担っているのは、どういう狙いがあるのでしょうか?
 県庁の32階に動画放送スタジオを作りましたが、これは県知事選挙のときの私の公約の1つだったんです。最初はスタジオを作ったことに対し「3億円もかけて」とか「県庁職員で回せない」など批判もされましたが、今はほとんど文句を言われません。我々が掲げた目標は全部クリアしていますし、県庁職員もだんだん研ぎ澄まされてきて、今や温泉CMなど視聴回数が100万回を超えるコンテンツも出てきました。基本的にどの自治体も動画を出していますが、今やテレビもインターネットに押されています。例えば都道府県が動画を発信する際は、ものすごいお金かかっていて、ちょっとした動画を作るのも20~30万円かかるんですね。でも、群馬県の場合は、職員の労力はありますが、ほとんど数万円で出来ているわけです。まずは動画放送スタジオを作って、群馬県庁としてのメディアを持たなきゃいけないと思ったんですけども、時代の流れとしては正しかったと思います。行政だから視聴率だけじゃないところもあるし、すごく大事なお知らせはそんな視聴数を稼げなくてもやらなければいけない。ただ、視聴率だけじゃないとはいえ、どうやって多くの視聴者に届けるかというマインドセットに変えていこうと。人事交流も広げていて、いわゆるエンタメ系にも職員を派遣しようと思ってるし、Netflixとも交渉してますが、やっぱり少し時間をかけても県庁にクリエイティブ集団を作りたい。これは無敵だと思いますね。ほかの都道府県では出来ないじゃないですか。県庁の中にコンテンツを作れる集団を作りたい。これは群馬県の将来を考えていく上で言うと、10年、20年後を見ても大きな力になると思います。
ーーー今年度の予算には「ぐんまちゃん」のブランド化戦略として4億円以上が計上されています。ゆるキャラブームは沈静化しているようにも見えますが、意義は何でしょう?
 よく「ゆるキャラブームが終わっている」みたいなことを言う方もいますが、ぐんまちゃんって「ゆるキャラ」でしょうか。ゆるキャラの定義にもよるので、マスコットキャラクターと言った方がいいと思いますが、ゆるキャラブームが今あるかどうかは別として、例えば熊本県の「くまモン」の経済効果は6000億とか7000億じゃないですか。ぐんまちゃんは1000億近い効果を生むポテンシャルがあるんですよ、いろんな商品化をすることによって。それは「くまモン」も証明しているじゃないですか。観光資源にもなるわけだから。そういう意味でマスコットキャラクターというのは、ブームがどうかは別に、戦略的に見たときに十分活用できるという面があると思うんですよね。マーケティングの天才と呼ばれる方と対談した際に、「子どもにほうれんそうジュースを飲ませようとしても、ほうれんそうを食べない子どもはジュースにしても飲まないけど、オレンジをミックスしておいしくしたら自然と飲むようになる。それがマーケティングの極意だ」と聞いて「そうだ」と思ったんですよ。例えば、県産いちご「やよいひめ」のブランド化を図るために成分を調べるなどしていますが、「本当においしくて、ビタミンも含まれていて健康にいいんですよ」というアプローチもあれば、ぐんまちゃんアニメの中には「ヤヨイヒメ」というキャラクターが出てきますが、ぐんまちゃんが本当にブレークすれば子どもたちの頭の中には自然と「やよいひめ」が刷り込まれるわけですよ。これが本当のマーケティングだと思うんですね。ぐんまちゃんのアニメの世界は、群馬県とは違う世界ということになっていますが、そこに富岡製糸場や温泉が出てくる、「やよいひめ」やこんにゃくをイメージしたラッパーのキャラクターが出てくることで、子どもたちの中に刷り込まれていく。最大の強みは名前が「ぐんまちゃん」ですから。第1シーズンは2%近い視聴率がありましたが、世帯で言えば5割以上カバーしています。ここでちゃんとブレークすると、アニメの中でいろんなことが自然に子どもたちの心に入っていくので、そういう意味から言うと、今の時代に合ったマーケティングであり、メディア戦略だと思います。
★“巨額予算”は未来への投資★
ーーー県議会では「予算の使い方の優先順位が違うのではないか」という指摘もありましたが、4億余りを投じる効果があると?
 もちろん。これは未来への投資としては必ずリターンがあるという風に思っています。こういう、群馬しかないキャラクターを生かして、コンテンツとして練り上げるということをやらなきゃいけない。予算のプライオリティー(優先順位)と言いますが、相当な予算の部分は新型コロナウイルス対策に充てているわけです。ただ、守るだけでは人間ダメじゃないですか。とにかく新型コロナ対策に全力をあげ、新型コロナの脅威から県民の命と健康、暮らしを守るということはもちろんですが、加えて未来への投資がなければ人間は希望を持てないじゃないですか。だからワクワクするようなところにもお金を付けたという、その代表がぐんまちゃんなんです。県議会の全会派からいろんな意見が出ましたけど、私が知る限り共産党もそんなに反対していなかったですよ、ぐんまちゃんについては。私の感覚では、ぐんまちゃんのアニメ化については、そんな猛烈な反対というのは無かったと思うんですね。ぐんまちゃん関連の4億円の予算も圧倒的な賛成で可決してくれたということを考えると、県議会もその価値をちゃんと認めてくれたのかなと思っています。
ーーーアニメ制作には、山本知事も直接、意見を述べることがあるのでしょうか?
 基本的に本郷みつる監督を始め、制作者の方々が決めることなんですけれども、私は群馬県の背景とか、群馬県が今、目指しているものとか、群馬県の未来ビジョンとか、そういうお話をさせていただいています。そうした情報を踏まえて物事を制作しているのは一流の制作陣たちですが、私はアニメ研究家なので(笑)。マンガについても(自民党副総裁の)麻生太郎さんが詳しいと言われていますが、私の方が詳しいですから。ここで自慢してもしかたないことですが、アニメ・コンテンツを研究してきた立場からいろんな意見を言うことはありますが、基本的には群馬県が目指している方向とか、群馬県の大きな流れについて少し知事として感じていることをお話をしているという、参考情報みたいな感じですね。
★他者否定しない共生の世界★

イラスト:群馬県提供
ーーー続編はどのようなコンセプトになるのでしょうか?シーズン1の"シュールさ"は維持されるのでしょうか?
 これは本郷監督が決めることですが、そこに流れている哲学は、はっきりしているわけです。群馬県は多文化共生の社会を目指していますが、ぐんまちゃんってムーミンみたいな世界だから。いろんな生き物がいて、それぞれの個性を発揮して共生していると。こういう世界観みたいなものは多分ずっと引き継がれるんじゃないかなと。これも本郷監督が決めることですが。それからぐんまちゃんは1つ1つのセリフも深いんですよ。他者を否定しないじゃないですか。ボーッとしているようだけど、いろんな価値を否定せず、何か物事をポジティブに捉えるところとかね。あとは当たり前なんですけれども、みんなが平和に共生していくという世界観みたいなものは、ぐんまちゃんを作る上で相当時間をかけて県庁内でも議論し、それが制作者の方々にも共有されているんじゃないですかね。でも、さらにシュールになると思いますよ、シーズン2だから。シーズン2もNHK前橋放送局が「また放送したい」と思えるようなものを我々は作りたいですね。

ーーーアニメの中に流れている価値観を子どもたちに伝えていきたいと?
 そうです。これは群馬県の新総合計画のビジョンとバッチリ一致していると思います。いろんな価値を持った人が生きられる社会がいい社会で、そこにやっぱりイノベーションが生まれてくると思うんですよね。1話、1話を見返してみましたけども、それぞれテーマが結構深いですよ。今回のアニメはまだ「ちびブレーク」だけど、それでも何とか県議会からもう1作作ってもいいと合格点をいただいた理由は、世界観をちゃんと練り上げたからだと思います。ただ単に「何か群馬の名物を紹介しよう」みたいなものではなくて、ぐんまちゃんワールドはどういう風にしていくのか、それぞれのキャラクターはどういう人たちなのか、そこに流れている、ぐんまちゃんっていうアニメで伝えようとしている世界観を徹底的に練り上げたから、ある程度今、受け入れられているんだと思います。ただ、まだこれは序ノ口なので、とにかくちゃんとブレークさせたいですね。
ーーー経済効果の算出については、どうなっていますか?
 今、一生懸命やっていると思いますが、「くまモン」や「ふなっしー」のレベルには全然届いていません。ただ、思ったよりもグッズの売り上げなども含めるといい感じかなと。でも、まだまだ。逆に言うと、そこが少ないというのは伸びしろが無限大だと思うので。ぐんまちゃんの知名度が上がれば当然、観光にも影響があるし、キャラクターグッズの販売も伸びるし、農畜産物なども、ぐんまちゃんのブランドがあることによってメリットがいっぱいあるので、「くまモン」のような相乗効果を狙っていきたいです。「くまモン」は高い、高い目標だけど、やっぱり「くまモン」とはまた違う独自の世界観をつくり上げたいですね。
★宣伝部長からの昇格は?★
ーーーぐんまちゃんは、来年の秋にはナンバープレートにも起用されます。現在の「宣伝部長」という肩書きから昇格させる考えはあるんでしょうか?
 そうですね。それはこれからの流れだと思います。でも、宣伝部長っていい感じかなと思うんで。「くまモン」は営業部長室がありますが、そこの世界観は本郷監督にお任せしたいなと思います(笑)。
★心の元気を広げたい★
ーーー山本知事は「県民幸福度の向上」という大きなテーマを掲げています。そこに、ぐんまちゃんはどう位置づけられるのでしょうか?
 ぐんまちゃんというブランドを群馬県は持っています。群馬県民に愛されているキャラクターが全国展開して、全国的にも有名になる。そのことは群馬県民の誇りの醸成につながっていくと思いますよね。だって、熊本出身の国務大臣のところに行ったら、写真撮影の時に必ず「くまモン」を抱くんですよ。それだけ愛されてるじゃないですか。しかも全国的にも圧倒的に人気のあるキャラクターだというのは、熊本県民の誇りですよね。ぐんまちゃんもそういう存在になるんじゃないかと。県民幸福度は初めて県民に意識調査を行い約7割の人が「幸せを感じている」と回答しました。一方で、群馬県に誇りを感じるかという面で見た場合、ぐんまちゃんがブレークすれば、さらに上がっていき、経済効果ではない「心の元気」にもつながっていくんじゃないかと思いますね。
(前橋放送局記者:山枡慧/2009年入局。青森局、政治部を経て、2021年11月から前橋局。現在、県政担当のほか多文化共生をテーマに取材中)
**********

 こうして見て来ると、シーズン1の反省もなく、失敗を覆い隠そうとさらに予算をつぎ込んで、一太知事は遮二無二、シーズン2に突入した感があります。そこには、誰も止める者がいない状況が垣間見えます。

■それにしても、昨年2022年7月8日の夕方、ツイッターの群馬県公式アカウントの投稿に対し、県民のかたが「安倍、竹中の次はお前だな、県税私的流用腐れ一太」とコメントしたことは、県民納税者として当然の行為であることがつくづく痛感されます。この貴重なコメントに対して、一太知事は返事をしないかわりに、群馬県警に被害届を提出したのでした。
〇2022年9月26日:【一太知事の独善】「安倍、竹中の次はお前だな」Twitter投稿に被害届を出した知事の思惑と今後の影響

 今後シーズン3が企画されるのかどうか、予断を許しませんが、当会としてはアニメ「ぐんまちゃん」のシーズン1とシーズン2を合わせて約5億円の公金がどのように使われたのか、この時点で、検証しておく必要性を痛感する次第です。

【市民オンブズマン群馬事務局からの報告】

※参考情報:群馬県知事「第49回定例記者会見要旨(2022年3月10日)」
**********
アニメ「ぐんまちゃん」の視聴率について
(記者)
 発表事項と少し離れてしまうんですが、すみません。
 今日、(議会の)総務企画常任委員会で、アニメ「ぐんまちゃん」の(推定)視聴率について説明がありました。以前にも会見で出していただいた1.4%という数字は、群馬県内の数字だと思うんですけれども、関東、関西のU局でも放送しています。他の県の視聴率をお調べになったり、おたずねになったりする予定はありますか。

(知事)
 これはなかなか他の県の視聴率を調べるのは難しいです。記者さんもご存知のとおりビデオリサーチが入ってないので、これはなかなか難しいんですが、今回は東芝レグザのサービスを使って、その東芝レグザとビデオリサーチの違い、これもちょっといくつかサンプルを取りながらやった結果、推定として1.4%ということになったので、少なくとも群馬ではそういう視聴率があったということなので、ここ全部調べるというのはなかなか難しいと思います。
 でもそういう意味でいうと、今回NHKが13回全部放送してくれることになったので、これは以前よりもしっかりとしたデータがある程度取れると思います。
 田子部長いますか。視聴率の件で何かあれば。

(知事戦略部長)
 群馬テレビ以外の局の方にも、独自で視聴率をとっていれば、そういったものを提供できないかというのは話をしていますけども、やはり各局、そういったものは出せないということです。
 レグザ等も、(他県での視聴率については)県の方でも調査はしてないということです。

(記者)
 知事のお話の中でビデオリサーチが入っていないので取れないという話があったんですけど、今各局でそれぞれ取っている視聴率もあるかもしれないと。群馬テレビも、ビデオリサーチでもレグザでもありませんけれども視聴率がございます。
 群馬県での視聴率というよりは、他県での認知度が上がった方がいいかと思うので、視聴率が分かったほうが効果というのも分かるのかなと思うんですけども、参考までにでもお尋ねになって、公表されるご予定はないですか。
 それは、U局が断っているということですか。

(知事戦略部長)
 こちらの方もお願いはしていますけれども、データについては、いただいていないというのが現状でございます。

(記者)
 U局にはそれぞれにお願いしているんですか。それとも幹事局のテレビ神奈川に尋ねていらっしゃるんですか。

(知事戦略部長)
 ちょっとそこはまた確認させていただきます。

(知事)
 なかなか視聴率を調べるというのは難しいと思います、他県の。ただ、記者さんの言うとおり、少しでも反響が分かればありがたいことなので、引き続き、情報提供できるところには提供してもらおうと思うので、それはちょっと呼びかけたいと思います。
 ただ、いろいろと推定をしたんですけども、今回のぐんまちゃんの視聴率はかなり実態に近いと思っています。前の番組と次の番組を調べても10倍違うので、ぐんまちゃんの10分の1ということですよ、視聴率がね。そういうことも分かったし、やっぱり、視聴率ってすごい大事ですよね。民間の会社があれだけのお金を使ってビデオリサーチを使っているというのは、やはり視聴率はものすごくエビデンスベースで大事じゃないですか。それを見てスポンサーはどうするかということを決めるので。そういう意味でいうと、今回いろいろ知恵を絞って、視聴率を推定したということはとても意味があったと思います。
 それからもう1つ言うと、今度は群馬県内についてもNHKが放送してくれるということなので、正式にどうなるか分からないですけど、でも、大体どのぐらいの人達が見ているのかというは、大体これも推定できると思うので、そういう意味で本当によかったと思います。
 ただ、他の局でどうなっているのかというのは、できるだけこれから、なかなか難しいと思いますけれど、データを取る試みは、一応呼びかけているんですけれど、今のところなかなか提供してもらえませんが努力したいと思います。

(記者)
 ぜひ関西などでもどれくらい見てくださっているのか知りたいので、ご公表をお願いいたします。
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コメント (2)
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東和銀行の審査体制の“節穴”が招いた融資金10億円騙し取り事件…28年前のタゴ事件の群銀との類似点

2023-10-18 22:49:32 | 群馬県内金融機関不祥事件


■「節穴」という言葉があります。この意味を調べると、「板などの節が抜けおちたあとの穴」とともに「見る能力のない目。見えるはずのものを見落としたり、物事の意味を見抜く力のないことをあざけっていう語」とあります。先週10月13日に県庁記者クラブで記者会見をする羽目になった東和銀行ですが、なぜ10億円近くもの巨額融資金をやすやすとだまし取られたのでしょうか?

 まずは、10月13日の刀水クラブでの東和銀行の記者会見を取材したマスコミ各社の報道記事を見てみましょう。

**********テレ朝News 2023年10月13日18:56
東和銀行の融資詐欺事件 総額10億円近くだまし取られたか

 融資金の詐欺事件、総額は10億円近くにのぼるとみられています。
 田中利武容疑者(59)と生方幹樹容疑者(39)は、群馬県の東和銀行高崎支店にうその融資申込書類などを提出し、およそ1000万円をだまし取った疑いで逮捕されました。
 東和銀行は会見を開き、田中容疑者が仲介して融資金をだまし取った取引は30以上あるとみられ、被害は9億7600万円にのぼることが新たに分かりました。
 また2人の行員が、融資の申し込みに必要な書類の確認を怠っていたことも明らかになりました。

**********上毛新聞2023年10月13日21:56
融資金の詐欺被害は6億7000万円 東和銀行(群馬・前橋市)が異例の行員60人処分

会見する桜井副頭取(左から2人目)🄫上毛新聞社
 東和銀行(群馬県前橋市)が事業運転資金などの名目で融資金をだまし取られた詐欺事件で、同行は13日、県庁で会見を開き、回収の見通しが立たない被害額が総額で6億7000万円超に上ることを明らかにした。申請書類の改ざんなどを見抜けなかった理由については、融資を担当した行員らが取引先の事業実態の確認を怠ったと説明。同行は役員以下、事件に関係した約60人を減給や降格処分とすることを発表し、融資管理体制を見直す方針を示した。
 同行の調査によると、2019年3月~22年5月、詐欺容疑で逮捕された男(59)=東京都足立区=が仲介する形で、高崎支店が計32の取引先に対し、総額9億7600万円の融資を実行した。しかし昨年6月、男への資金流用や不正があったことが判明。同行は男に渡った6億7700万円を、回収の見通しが立たない被害額としている。
 これまでの調査で、同じ詐欺容疑で逮捕された別の男(39)を含め、少なくとも八つの取引先で申請書類の改ざんを確認した。同行はこのうち七つについて、担当行員2人が見積書などの原本確認を怠る不適切な取り扱いをしたことを確認した。行員の一人は「実績を上げたい気持ちを優先した」と話しているという。同行はこの行員2人が男らとの共謀や書類改ざんへ関与した事実はなかったとしている。
 同行は行内規定に基づき、江原洋頭取ら役員8人を減給3カ月(5~20%)、関係した行員約50人を減給や降格処分にした。不適切な融資を行っていた期間が3年超と長く、異動で多くの行員が関わったことなどから、処分は異例の人数に膨らんだ。
 会見した桜井裕之副頭取は改ざんを見抜けなかった原因について「形式的な書類確認にとどまり、取引先の状況把握を怠った」と説明。ルールに基づく事務が徹底されなかったとし、原本確認の厳格化や新規取引先の確認方法の見直しを再発防止策に挙げた。

**********朝日新聞デジタル2023年10月13日22:52
融資金6.7億円不正流用されたか 東和銀行、詐取容疑で逮捕の男に

会見で説明する東和銀行の桜井裕之・代表取締役副頭取=2023年10月13日、前橋市大手町1丁目、吉村駿撮影

東和銀行の本店=2021年1月、前橋市
 個人事業主を装い、東和銀行(前橋市本町2丁目)から約1千万円の融資金をだまし取った疑いで男2人が群馬県警に逮捕された事件を受け、東和銀は13日、同市内で会見した。逮捕された男1人に、東和銀の融資先から融資金が6億円以上流れていたことを明らかにした。男はこの融資先を銀行側に紹介していたといい、東和銀は「融資の管理体制が十分ではなかった」と説明した。
 12日に詐欺容疑で逮捕されていたのは、東京都足立区のアルバイトの男(59)と群馬県高崎市の会社員(39)。
 県警によると、会社員の男が個人事業主を装い、虚偽の確定申告書を出して融資金をだまし取っていたという。融資金は会社員の口座に振り込まれた後、ほとんどがアルバイトの男の口座に移っていた。会社員は「金に困っていた」と話しており、県警はアルバイトの男が融資を受けるよう持ちかけたとみている。
 東和銀によると、アルバイトの男が当時経営していた高崎市の電気工事会社と2016年から取引があり、その後たびたび顧客を紹介されていた。昨年5月、会社員とは別の人物が東和銀高崎支店に「資金を流用してしまった」と申告したことがきっかけで問題が発覚したという。
 東和銀が紹介された取引先を調べたところ、全32の取引先で流用が判明。19年3月~22年5月に融資した9億7600万円のうち、6億7700万円がアルバイトの男が管理している口座などへ移っていたという。
 32の融資に関わったのは2人の行員。通常、融資の申し込みがあれば、融資先を訪問し、売り上げなどの経営状況を確認したり、確定申告書など必要書類の原本を確認する必要があるが、2人はそれを怠っていたという。このうち1人は「融資の実績をあげたいという気持ちだった」と話しているという。東和銀は、男らとの共謀や、書類の改ざんは認められなかったと説明している。
 東和銀の桜井裕之・代表取締役副頭取は「お客様の状況把握が徹底されていなかった」「取引があったため、信用してしまったのではないか」と説明。現場の担当者任せになっていたことが今回の事案を招いたとし、「担当者や役職者などによる複数の確認を徹底するなどして、再発防止をしていく」と話した。(吉村駿)

**********東京新聞2023年10月14日
東和銀融資 仲介者に不当還流
群馬県警 詐欺容疑で男2人逮捕
 東和銀行(前橋市)は13日、取引先への融資が、3年余りにもわたって仲介者へ還流する案件があったと発表した。取引先32カ所に対して行った総額9億7600万円の融資のうち6億7700万円が不当に還流した。
 この関係で群馬県警は12日、詐欺の疑いで、東京都足立区古千谷本町、元会社経営田中利武(59)と高崎市問屋町、会社員生方幹樹(39)両容疑者を逮捕した。
 逮捕容疑では、両容疑者は2020年3月、偽った書類で申し込んだ1千万円の融資のうち、「諸経費を除いた約965万円をだましとったとされる。田中容疑者は当時、高崎市内で電気工事会社を経営していた。
 銀行の調査によると、還流案件は19年3月から22年5月までに発生。取引先32カ所のうち、26カ所は田中容疑者側に直接資金が流れ、6カ所は別の会社を通した後に還流した。
 少なくとも8カ所で必要書類の改ざんを確認した。融資金の一部は回収したものの、田中容疑者に流れた資金を中心に多くが回収不能となる可能性があるという。
 昨年5月、生方容疑者とは別の取引先から「資金を渡してしまった」と申し出があり発覚した。同年9月、両容疑者を県警に刑事告訴していた。
 同行は書類の原本確認などを怠るなど、不適切な取り扱いがあったとして、融資を担当した2人のほか、監督責任がある約50人を減給などの処分にした。頭取ら8人も報酬の一部を返上する。回収不能金は昨年度決算で引当金を計上しており、本年度決算の業績予想に影響はないという。
 内部監査を担当した桜井裕之副頭取は「担当者任せの部分があったのが一因。複数人でチェックするなど、再発防止に努めたい」と話した。
(羽物一隆)
**********

 以上の報道記事を読んでも、すぐにはどのように騙し取られたのかがピンときません。冒頭のテレ朝の解説が、最もわかりやすいように思われます。

 ところで、今回の詐欺事件のプレーヤー2名のうち、「東京都足立区のアルバイトの男」とか「仲介者」と言われている田中利武容疑者(59)について、群馬県法に次の掲載があります。

**********群馬県報第9897号(令和3年(2021年)4月30日)
■公告
 建設業法(昭和24年法律第100号)第29条第1項第7号の規定による処分をしたので、同法第29条の5第1項の規定により、次のとおり公告する。
  令和3年4月30日           群馬県知事 山 本 一 太
1 処分をした年月日 令和3年4月20日
2 被処分者
   商号又は名称:株式会社エルテック
   主たる営業所の所在地:群馬県高崎市棟高町1868番地80
   代表者氏名代表取締役 田中利武 
   許可番号:群馬県知事許可(般-1)第24762号
3 処分の内容 建設業法第29条第1項第7号の規定による建設業許可の取消処分
 (1) 取消処分の対象となる許可番号 群馬県知事許可(般-1)第24762号
 (2) 取消処分の対象となる建設業 建築工事業、電気工事業
4 処分の原因となった事実 被処分者の代表取締役は、令和元年5月22日に前橋地方裁判所高崎支部から道路交通法(昭和35年法律第105号)の規定違反により懲役7月執行猶予3年の刑の言渡しを受け、同年6月6日にその刑が確定しているにもかかわらず、同年7月3日付け及び令和2年3月2日付けで提出した建設業許可申請書に、申請者及び申請者の役員等が建設業法第8条各号に規定されている欠格要件に該当しないことを誓約する旨を記載した誓約書及び賞罰がない旨を記載した許可申請者(法人の役員等)の住所、生年月日等に関する調書を添付し、もって不正の手段により、令和元年8月2日付け及び令和2年3月27日付けで同法第3条第1項の許可を受けた。このことは、同法第29条第1項第7号に該当する。
**********

 この株式会社エルテック)は、資本金300万円建設業許可番号:群馬県知事第024762号、許可業種:一般建設業電気工事で、2017年4月12日に法人番号3070001033361で群馬県高崎市足門町788番16に所在する法人として前橋地方法務局で新規に法人登録され、2018年10月5日に、国内所在地が群馬県高崎市菅谷77-161に変更後、2020年10月22日に国内所在地が群馬県高崎市棟高町1868-80に変更されています。最終更新日は2020年11月13日で、この後、上記のとおり、2021年4月20日に建築業許可が取り消されました。この地域の労働局は群馬労働局。高崎労働基準監督署が所轄の労働基準監督署です。

■群馬県報には田中容疑者に関連して、もう1件記載があります。

**********群馬県報第9891号(令和3年(2021年)4月9日)
■公告
 建築士法(昭和25年法律第202号)第26条第1項の規定による処分をしたので、同条第4項において準用する同法第10条第5項の規定により、次のとおり公告する。
  令和3年4月9日                群馬県知事 山 本 一 太
1 処分をした日 令和3年3月19日
2 処分を受けた者等
 (1) 名称 REGALO建築士事務所
 (2) 所在地 群馬県高崎市棟高町1868-80
 (3) 開設者 株式会社エルテック 代表取締役 田中利武
 (4) 建築士事務所の別 二級建築士事務所
 (5) 登録番号 群馬県知事登録第4981号
3 処分の内容 建築士事務所登録の取消し
4 処分の原因となった事実 虚偽の事実に基づいて登録を受けた。
**********

 このREGALO建築士事務所について、地元紙が昨年6月に次の報道をしています。

**********上毛新聞社2022年6月18日
建築工事を手がけるRegalo設計(群馬県高崎市)が事業停止
 建築工事を手がけるRegalo設計(群馬県高崎市棟高町、中沢哲也社長)が事業を停止し、自己破産申請の準備に入ったことが17日、分かった。
**********

 上記記事のRegalo設計が田中容疑者の関わるREGALO建築士事務所と同一の法人とみられるRegalo設計について次の法人情報があります。

**********
法人番号 3070001030367
法人名 株式会社Regalo設計
フリガナ レガロセッケイ
住所 〒370-3521群馬県高崎市棟高町1868番地80
社長/代表者 中澤哲也
電話番号 0270-26-6021
法人番号指定日 2015/10/05以前
最終登記更新日       2021/09/01
登記の変更履歴
 2021/09/01 名称・商号変更 旧:株式会社なかざわ建設から⇒新:株式会社Regalo設計に変更
 2021/09/01 所在地変更 旧:群馬県伊勢崎市豊城町1497番地1(〒372-0012)から⇒新:群馬県高崎市棟高町1868番地80(〒370-3521)に変更

**********JC Net 2022年6月21日
群馬に拠点をおく、(株)Regalo設計が自己破産の準備に入ったことが判明した。
負債総額は約1.5億円。
以下要約。
1 破綻企業名 (株)Regalo設計
2 本社地 群馬県高崎市棟高町1868-80
3 代表 中澤哲也(※本件との関係は不明だが、同姓同名の人物として、東京の立川にあるもえぎ法律事務所の中澤哲也弁護士(東京弁護士会所属)がいる。同弁護士の略歴は群馬県高崎市出身、群馬県立高崎高等学校卒業、早稲田大学法学部卒業、同志社大学大学院司法研究科修了、最高裁判所司法研修所司法修習過程修了とある)
4 創業 1997年
5 設立 2014年12月.
6 資本金 100万円
7 業種 建築工事会社
8 売上高 2021年10月期、約5億円
9 破綻 2022年6月14日 事業停止/自己破産申請の準備中
10 委託弁護士 金澤宏尚弁護士(田中善信・二階堂慎法律事務所)電話:027-326-3038 
11 裁判所 未定
12 負債額 約1.5億円
13 破綻理由
 同社は建築工事会社、地元工務店や住宅メーカーからの下請から、最近は自社ブランドを持つ注文住宅を主に店舗や老健施設などの建築工事に展開していた。しかし、それまで1億円前後の売上高から急成長させた結果、資金繰りが付いて行かず、金融機関の支援も限界で受けられず、支払い難から信用不安を引き起こし、今回の事態に至った。
**********

 こうしてみると、田中容疑者は、2016年からRegalo設計を通じて東亜銀行と取引実績を作り、その後、㈱エルテックを作って、群馬県に建築業登録を繰り返し、それらの書類を東和銀行の融資担当の行員に提示し、実績を上げたいと思う行員らに言葉巧みに取引先を紹介し、一方で、取引先として金に困った生方幹樹容疑者に個人事業主を装わせ、ウソの融資申込書類を東和銀行に提出させ、融資金をだまし取らせて、そのうちの大半を、生方容疑者から田中容疑者に還流させたものとみられます。

 今回発覚したのは、「昨年5月、会社員とは別の人物が東和銀高崎支店に『資金を流用してしまった』と申告したことがきっかけで問題が発覚したと朝日新聞が報じていますが、同紙は田中容疑者を「アルバイトの男」と表現していたり、「アルバイトの男が当時経営していた高崎市の電気工事会社と2016年から取引があり、その後たびたび顧客を紹介されていた」と報じるなど、よくわからない部分があるのが気になります。

■さて、安中市役所を舞台にした土地開発公社のタゴが、群馬銀行安中支店に対して、ウソの融資申込書(金銭消費貸借証書)による融資金の騙し取り事件は、通称「タゴ51億円詐欺事件」と呼ばれていますが、これはタゴが安中市のずさんな公印管理を悪用しただけでなく、群馬銀行の審査部も不自然な融資申込書類に気付かないまま、どんどんタゴに融資をして、結局、51億円余りの巨額の公金が騙し取られるという失態を呈しました。

 今回の東和銀行の詐欺事件でも、安中市土地公社から舞台を民間企業に移した格好で、同様にウソの書類を用いて、あたかもまともな手続きを装って融資金の騙取が繰り返されていました。

 報道記事にあるとおり、通常、融資の申し込みがあれば、銀行は、融資先を訪問し、担当者にヒヤリングをして、その過程で必要な資料の提示を求め、売り上げなどの経営状況を確認したり、確定申告書など必要書類の原本を確認する必要があります。東和銀行の行員2人はそれを怠っていて、このうち1人は「融資の実績をあげたいという気持ちだった」と話しているといいますが、東和銀行は、実行犯らとの共謀や、書類の改ざんは認められなかったと説明しています。しかし、警察の捜査の結果、そのような事実が確認されたのかどうかは、定かでありません。

 タゴ事件では15年間同一職場にタゴを配置していたため、しかも、上司や同僚の目が「節穴」だったうえに、群馬銀行の審査部の目も「節穴」だったことから、地方自治体としては空前絶後の51億円余りの詐欺横領事件として被害が肥大化しました。

 今回の東和銀行を舞台にした詐欺事件では、2019年3月から2022年5月までの3年3か月の期間に発生したもので、そのうちの後半2年間はちょうど新型コロナの蔓延時期に重なるため、犯行が10億円に肥大化したのかもしれません。

■また、注目すべきは、この事件に関連して責任を取らされた行員が約60名に及ぶことです。東和銀行の従業員数は、単体で1287名(2023年3月時点。臨時440名を除く)なので、実に20人に一人が処分対象になったことになります。まさに東和銀行として大失態と言えます。

 社会的責任が通常の企業とは桁違いの金融機関として、信頼の失墜は、なんとしても避けなければなりません。なので、記者会見をし、組織の緩みを立て直すべく大量処分という形での自浄作用を示す必要があったわけです。

 もう一つ注目すべきは、10億円もの回収不能金、つまり、損失を出しながら、「既に昨年度決算で引当金を計上しており、本年度決算の業績予想に影響はない」という東和銀行の発表です。

 事実、東和銀行の「令和5年3月期決算概要」によれば、令和5年3月期における損益状況は、本業の収益力を示すコア業務純益が53億49百万円、経常利益は39億51百万円、当期純利益は40億70百万円となっています。

■ことほどさように、現在、銀行業界は2年前から好調を維持しています。

**********NHK News Web 2023年5月15日21:03
大手金融グループ3社 昨年度決算 増益か前年度同水準に
 大手金融グループ3社の昨年度の決算は、コロナ禍からの経済活動の正常化に伴い国内外で資金需要が高まったことなどから最終的な利益が三井住友とみずほで増益となり、三菱UFJも過去最高だった前の年度とほぼ同じ水準となりました。
 発表によりますと大手金融グループの昨年度の最終的な利益は、三井住友フィナンシャルグループが8058億円と前の年度より14%増え、みずほフィナンシャルグループは5555億円と4.7%増加しました。
 また、三菱UFJフィナンシャル・グループは、前の年度より1.3%少ない1兆1164億円で過去最高だった前年度とほぼ同じ水準でした。
 大手金融グループの決算が堅調だったのは、コロナ禍からの経済活動の正常化に伴って国内外で資金需要が高まり、金利収入などが増えたほか、アメリカの金利の上昇で現地での貸し出しの利ざやが改善したためです。
 3社は、今年度の業績予想について、いずれも最終的な利益がさらに増えると見込んでいますが、15日記者会見した各社のトップは、欧米でくすぶる金融不安や海外経済の減速懸念などのリスク要因が業績に及ぼす影響に警戒感を示しました。(以下略)
**********

 東和銀行は第2地方銀行として分類されますが、10億円近い回収不能金を単年度の引当金で損金処理してもなお、40億円の純利益を出しています。

■そうすると、安中市土地開発公社で平成7年5月18日に発覚した51億円余りの巨額詐欺横領事件(通称「タゴ51億円事件」により、当初38億円とも言われた巨額損失を出した群馬県を代表する金融機関である群馬銀行の最近の業績をどうなのでしょうか。

 群馬銀行の令和5年3月期の決算短信には、冒頭に次の記載があります。

*****群銀2023年3月期決算短信の添付資料から*****
1.経営成績等の概況
(1)当期の経営成績の概況
 当連結会計年度の経営成績は、次のとおりとなりました。
 経常収益は、資金運用収益やその他経常収益(株式等売却益等)が増加したことなどから前期比263億92百万円増加し1,765億89百万円となりました。経常費用は、その他業務費用(国債等債券売却損等)が増加したことなどから前期比271億87百万円増加し1,382億73百万円となりました。
 これらの結果、経常利益は、前期比7億94百万円減少し383億16百万円となりました。
 一方、親会社株主に帰属する当期純利益は、法人税等調整額の減少を主因に前期比14億96百万円増加し279億33百万円となりました。
(2)当期の財政状態の概況
 当連結会計年度末の財政状態は、次のとおりとなりました。
 総資産は期中4,862億円減少し10兆6,623億円となり、負債は期中4,727億円減少し10兆1,464億円となりました。
 また、純資産は期中134億円減少し5,158億円となりました。
 主要勘定につきましては、貸出金は期中2,332億円増加し5兆9,912億円となりました。
 有価証券は期中1,162億円増加し2兆6,172億円となりました。預金は期中855億円増加し8兆448億円となりました。
**********

 このように群馬銀行も業績が絶好調であることがわかります。

■こうした状況下において、現在、安中市は、28年前に土地開発公社を舞台に発覚したタゴ51億円事件で、タゴが群銀からだまし取った合計51億円あまりのカネのうち、民事訴訟で平成10年(1998年)12月8日に和解(実質的は安中市の全面敗訴も同然)が確定した24億5000万円の損害賠償金を毎年クリスマスの12月25日に群銀にプレゼントし続けています。

 そして、安中市と市土地開発公社と安中市が連帯して債務24億5000万円のうち、4億円を平成10年(1998年)12月25日に支払い、翌平成11年(1999年)から毎年クリスマスに2000万円ずつ分割で返済しています。民法により10年ごとに安中市・公社は証文(つまり安中市の債務保証書)を群銀に提出しており、これまでに2009年と2019年に群銀に証文を提出しており、次回は2029年となる計算です。

 群銀との和解条項によれば2009年以降は安中市の債務保証のもと、同公社の財政状況や経済情勢の推移を見ながら、年間支払額が2000万円を下回らない範囲で返済するというもので、計算上は2103年まで返済が続く可能性があります。

■こうした中、当会では独自の調査に基づき、群銀が、山本一太知事の父親で参議院議員だった故・山本富雄氏に対して、2000年代に32億円もの債権を帳消しにした事実を突き止めました。

 この事実の概要は、山本富雄氏が経営していた山田屋が、1980年代後半のバブル景気の際に、リゾートホテル事業として草津の天狗山スキー場の付近にホワイトタウンというホテルを建設して事業を始めたものの、バブル崩壊のあおりで事業に失敗し、32億円ともいわれる巨額の債務を抱えて事業から撤退したのが発端です。

 この債務について、自民党県連の県議らが、群馬銀行の当時副頭取だった五十嵐哲夫(後に会長、相談役:1931年04月06日生、2008年10月29日死去)に掛け合い、債権放棄をするように強く働きかけを行いました。こうした表に出せない交渉を任されるのは、群銀の歴代の副頭取の役割となっています。そして、なんと群馬銀行は自民党県連の政治圧力を受け入れて、32億円とも言われる債権を放棄してやったのです。

■このことから、当会は、今年1月9日に、タゴ事件の単独犯とされた多胡邦夫が死去し、安中市と市土地開発公社が民事裁判でタゴに対して損害賠償請求訴訟で勝訴した22億2309万2000円のうち、未回収分の22億653万1500円が、タゴの配偶者や子弟らの全員による相続放棄の結果、永久に回収不能となったため、群馬銀行に対して、タゴの置き土産の負の遺産である、あと残り79年分に相当する15億7000万円の債務を放棄してほしいと申し入れたのでした。

 そして、安中市長と市土地開発公社の副市長に対して、早期に群馬銀行のトップと、債権放棄について話し合い、今年12月5日に迫った25回目の2000万円の支払いとそれ以上の支払いをせずに済むように交渉してほしいとお願いをしました。
〇2023年5月23日:安中市土地開発公社巨額横領事件発覚28周年…タゴ死去で市と群銀は今こそ永久モラトリアムの決断を!!

■しかし、市土地開発公社の債務保証をしている安中市は、これまでのところ、何もアクションを起こしていません。

 群馬銀行にとって、タゴの負の遺産である残り15億7000万円など、簡単に引当金で損金処理ができるはずです。東和銀行ですら、約10億円の回収不能金を単年度で引当金処理したのです。

 銀行業界が業績絶好調の今を逃せば、今後、再びチャンスが巡ってくる確証はありません。タゴ亡き後、安中市がタゴ事件の負の遺産を公金で贖う正当性はもはやありません。安中市長と土地会は済公社理事長である副市長に対して、当会は微力ですが最大限の働きかけを行う所存です。

【市民オンブズマン群馬・市政をひらく安中市民の会事務局からの報告】

※関連情報「金融機関での融資審査の流れ」
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1.銀行融資の種類
 銀行融資は、次の3つに大別できます。
  ①プロパー融資
  ②信用保証付き融資
  ③ビジネスローン
 それぞれの特徴は次のとおりです。
■プロパー融資
  金利相場:1~3%程度
  メリット:金利が安い・信用力向上になる
  デメリット:審査に通りにくい。借入期間が短い
■信用保証付き融資
  金利相場:1.5~3%程度
  メリット:審査に通りやすい。借入期間が長い
  デメリット:保証料がかかる
■ビジネスローン
  金利相場:10~15%
  メリット:審査に通りやすい
  デメリット:金利が高い
 さらに詳しく見てみましょう。
■プロパー融資
 プロパー融資は、信用保証協会が介入せず銀行と直接取引する融資制度です。
 信用保証協会とは、信用保証協会法という法律に則って事業者の資金調達を支援する公的機関です。プロパー融資では、審査は銀行が行い、金利・融資限度額・返済期間などを決めます。
 メリットは、信用保証協会へ支払う保証料がないので金利が安いことです。また、プロパー融資は企業の実績を厳しく審査する制度であるため、審査通過の実績が信用力向上にもつながります。
 デメリットは、審査が厳しく融資を受けられる企業が限定的であることです。また、信用保証協会が介入しない融資は貸し倒れリスクが高いので借入期間が短く、月々の返済額は高くなります。
■信用保証付き融資
 信用保証付き融資とは、信用保証協会が公的な保証人として間に入る融資のことです。
 審査は銀行と信用保証協会の両方で行われます。
 メリットは、プロパー融資より審査が通りやすく、借入期間も5年から10年の長期になるため、毎月の返済額の負担が少ないことです。
 デメリットは、信用保証協会へ支払う保証料が発生することです。保証料は、融資限度額もしくは融資額に対して約2%以下の利率で産出されます。
■ビジネスローン
 ビジネスローンとは、法人や個人事業種が事業資金を借り入れるための融資のことです。
 ビジネスローンは「銀行系」と「ノンバンク」系の2種類があり、銀行系のビジネスローンのほうが3%程度低い金利で利用できます。
 メリットは原則として無担保・無保証で融資を受けられるうえに審査に通過しやすい点です。
 デメリットは、金利が高いことです。通常の事業融資の金利相場が1~3%程度であるのに対し、ビジネスローンは10~15%程度かかります。
2.銀行融資の審査の流れ
 金融機関での融資審査とは、融資を受ける人に返済能力があるかどうかを審査することです。審査の流れは以下のとおりです。
  ①銀行の選定
  ②融資の申し込み
  ③必要書類の準備
  ④面談
  ⑤審査の実施
  ⑥融資の実行
 では、どのように審査が進められるのか順を追ってみてみましょう。
■銀行の選定
 銀行は、地方銀行と都市銀行の2種類に分けられます。
<地方銀行>
 地方銀行とは、横浜銀行や群馬銀行など各都道府県で展開されている地域密着型の銀行のことです。ちなみに、相互銀行や信用金庫から普通銀行に転換した銀行を第二地方銀行と言い、東和銀行(旧・大生相互銀行)もそのひとつです。主に地方に営業基盤を置き、中小企業を顧客としています。
 信用保証協会は都道府県単位で活動しており、地方銀行と連携して融資を提供しています。そのため、地方銀行では信用保証付き融資が通りやすい傾向です。
 小口取引を取り扱っているうえに審査に柔軟性があるので、事業規模が忠程度であれば地方銀行の融資審査を受けることが推奨されます。
<都市銀行>
 都市銀行とは、大都市に本店を構えて全国展開している大手の銀行のことです。
 このうち総資産がおよそ1兆ドル以上の銀行をメガバンクと呼び、国内では三菱UFJ銀行、三井住友銀行、みずほ銀行を指しています。
 資金が豊富なため金利が安く、巨額な融資に対応しているのが特徴です。
 大口の融資が必要で、なおかつ、大規模な事業を営んでいる場合は、都市銀行への融資の相談がお勧めです。
■申し込み
 複数の銀行に相談したうえで原稿を決めたら、融資の申し込みをします。申し込みの際のチェック事項は次のとおりです。
  ・返済方法
  ・借入期間
  ・審査にかかる期間
  ・申し込みのスケジュール感
 こうして、融資を受ける際には、返済方法と借入期間を決めることになります。
 返済方法は、一括と分割があり、返済期間は1年以内に完済する短期融資と、1年を超える長期融資があります。
 返済期間を短く設定しすぎると毎月の返済額の負担が大きくなってしまうため、収支の現状と見通しを適切に分析し洗濯することをお勧めします。
 審査に係る期間は2週間程度で、融資を受けたい日から1か月半ほど前に申し込んでおくと余裕のあるスケジュールとなります。
 銀行や融資内容で異なるため、不明な事項は融資担当者に聞いておくことです。
■必要書類の準備
 銀行融資の審査には次の書類が必要です。
  ・決算書
  ・資金繰り表
  ・事業計画書
  ・試算表
  ・借入状況
  ・登記簿謄本(法務局で入手)
  ・印鑑証明書(法務局で入手)
  ・確定申告書(税務署で入手)※確定申告書は所得税の申告書。納税証明書は、税金を納めたことを証明する書類で、国や市区町村、都道府県などが発行する。
 これらの書類をもとに融資の可否や条件が決定されます。
 いずれの書類も入念にチェックされますが、とりわけ審査への影響が大きいのは決算書と事業計画書です。
■面談
 書類を提出し、融資担当者と面談します。面談では書類だけでは把握でいない事業主の人柄なども見られます。
 一般的に面談で聞かれる質問は次のとおりです。
  ・自己資金はどの程度あるのか。
  ・融資でカネを得てどのように使う予定なのか。
  ・どうやって借りたカネを返済していくのか。
■審査の実施
 面談の内容と受け取った書類は複数の関係者を巡って最終的に権限者にわたり、融資の可否が決められます。審査期間の目安は融資の種類によって概ね次のとおりです。
  ・プロパー融資:1か月~2か月程度
  ・信用保証付き融資:1週間~1か月程度
  ・ビジネスローン:3日~5日程度
 融資の可否以外に、返済期間、金利などの融資条件も決められます。
■融資の実行
 融資審査に通過すれば、審査結果の通知と契約について連絡がきます。
 契約書が送付されるので、内容を確認して署名、捺印をします。必要書類を郵送し、契約手続きを行います。契約締結から振り込みまでに要する期間は1週間程度です。
 審査に係る期間は銀行や融資の種類で異なりますが、概ね次のとおりです。
  ・申し込み~面談:7~10日程度
  ・面談~結果連絡:2週間程度
  ・結果連絡~融資契約:7~10日程度
  ・融資契約~入金:1週間程度
 銀行融資が2回目以降であれば、申し込み~入金まで10~20日程度まで短縮されます。
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