市政をひらく安中市民の会・市民オンブズマン群馬

1995年に群馬県安中市で起きた51億円詐欺横領事件に敢然と取組む市民団体と保守王国群馬県のオンブズマン組織の活動記録

安中市大谷地区に計画中の大規模サンパイ処分場に県が出した設置許可に異議を申し立てた当会が提訴!(2)

2023-07-20 09:49:37 | 全国のサンパイ業者が注目!

■安中市と高崎市と富岡市が境界を接する安中市岩野谷地区、高崎市吉井町上奥平地区、富岡市桑原地区には、廃棄物処理施設として中間施設や最終処分場が集中しています。これまでにも住民は、廃棄物処分施設の計画が持ち上がるたびに反対運動を展開していきましたが、業者と癒着した行政の前に、ほとんどの場合、敗れ去り、今日の「廃棄物銀座」と呼ばれる景観を呈する惨状となってしまいました。

 

 そのような現状にさらにとどめを刺す、安中市岩野谷地区の大谷地内に計画されたサンパイ場に群馬県が2021年2月3日に設置許可証を交付していたことがわかりました。このサンパイ計画の当初から反対運動を展開してきた当会は、さっそく審査請求を行いましたが、サンパイ処理施設設置を優先する国や県の方針に阻まれ、あえなく却下されました。そこで、悩みぬいた挙句、国と県を相手取り提訴することにしました。

 

■前橋地裁には、群馬県知事を相手取り、サンパイ処理施設設置許可処分の取り消し訴訟を提起しました。訴状は以下のとおりです。

 

*****7/11群馬県知事を相手取る訴状*****

 

            訴    状

 

                    令和5年7月11日

 

前橋地方裁判所 御中

 

       原告 〒379-0114 群馬県安中市野殿980番地

                小  川     賢

                電話 090-5302-8312

       被告 〒371-8570 群馬県前橋市大手町一丁目1番1号

                群馬県 代表者 知事 山本一太

                電話 027-223-1111

 

産業廃棄物処理施設許可処分取消請求事件

 

訴訟物の価格   160万円(算定不能)

貼用印紙額    13,000円

 

第1 請求の要旨

 1 被告は、令和3年2月3日付けで株式会社ジョウソウに対して行った産業廃棄物処理施設設置の許可処分を取り消せ。

 2 訴訟費用は被告の負担とする。

  との判決を求める。

 

第2 当事者

 1 原告は群馬県安中市野殿の住民であり納税者である。

 2 被告は、群馬県を代表する者であり、上記処分を行った者である。

 

第3 本件事案の内容

 1 本件は、群馬県安中市岩野谷地区の大谷地内に設置が計画されている産業廃棄物処理施設で管理型最終処分場(以下「本件施設」という。)について、処分庁である被告群馬県知事が令和3年2月3日に群馬県第425号-0号として設置許可処分をした事案である。

 2 原告が居住する岩野谷地区は、岩井、野殿、大谷の3地区から構成されている。隣接する高崎市吉井町上奥平地区並びに富岡市桑原地区における廃棄物処理施設の設置計画及び設置実現が多発していたことから、その影響が実際に岩野谷地区に及ぶことが懸念されており、良識ある住民らにより監視が続けられてきたが、平成2年頃から、大谷区域でサイボウ環境による管理型一般廃棄物最終処分場の設置計画が持ち上がった。住民らは反対運動を展開したが、平成9年に被告群馬県知事が設置許可を出してしまったため、平成19年に開業されてしまった。その後、大和建設の中間処理施設が稼働したり、大谷区域の谷津と呼ばれる山間部に次々に産廃業者による産業廃棄物最終処分場の設置計画が被告群馬県に提出されてきた。

 3 今回のジョウソウによる産業廃棄物最終処理施設(サンパイ処分場)は、前記のサイボウ環境の処分場が稼働した平成19年当時から、同処分場設置手続きや地上げに関与していた関係者が次の案件として地元で画策していたものである。すなわち、本件施設は、そもそも平成18年5月26日に地元安中市内の不動産業者らにより設立されたペーパー会社の株式会社環境資源が、群馬県職員OBでかつて県林務部長を務めていた中島信義らの支援を得て、安中市大谷地区の岩井川源流部にある農業用ため池に近接する山間に、産業廃棄物管理型最終処分場を作ることを企てたものである。そして、環境資源は平成18年の設立直後から、地元の地権者や周辺住民の同意書、下流の水利組合員からの同意書を取り付けたりしていたが、その後、環境資源は被告群馬県に対して事前協議を申請し、平成25年8月19日に被告群馬県知事が事前協議終了通知を環境資源に発出した。

 4 環境資源は平成25年10月22日付で産廃処分場設置の許可手続きのための本申請を被告群馬県知事に行ったことから、危機意識を共有した地元区長会は、平成27年3月29日(日)午後2時から、岩野谷公民館2階講義室において「廃棄物処分場に関する特別講座」を開いた。この特別講座には、大谷地区住民を主体に、岩井地区、野殿地区の住民らを含め総勢40名余りが参加した。そして、設置許可手続きの最終段階にある環境資源のサンパイ処分場の設置阻止に向けて、安中市の市長や副市長も参加し、安中市職員による出前講座のあと、専門家による特別講座が行われた。

 5 その後、環境資源による表立った動きは見られず、地元住民の間では、環境資源が財政的に行き詰まったとして、安堵する声も聴かれるようになった。

 6 そうした状況下で2年半が経過した平成29年10月14日、突然㈱ジョウソウという聞き慣れない事業者による「株式会社ジョウソウ(旧環境資源)管理型最終処分場事業住民説明会」が開催され、原告も地元住民から連絡を受けて急遽、同日午後6時半から安中市商工会館3階の大研修室に行った。ジョウソウの説明では、環境資源を引き継いだとのことであったが、原告は、「単に引き継いでも、会社名が変わり経営陣が入れ替わっており、最初から事前協議をしなければならないことをよく認識したほうがよい」とアドバイスをした。

 7 なお、後日明らかになったことだが、群馬県知事はこの住民説明会の開催日について、審査請求の審理において、審査庁の環境省に対して平成29年10月25日だと説明した。しかし、実際には原告の言う通り平成29年10月14日(土)18時30分から2時間20分開催されたのであり、これはジョウソウが平成29年10月19日に被告群馬県知事に対して事業承継に係る申請関係書類を提出した時の5日前であり、ジョウソウが被告に地元説明会開催日について虚偽の説明をしたか、あるいは被告が審査庁に対して鷽の説明をしたかのどちらかである。

 8 その後、ジョウソウの動きも見られないまま3年が経過した令和2年3月9日に、地元住民から「群馬県がジョウソウの大規模産廃計画に対して設置許可を出したという未確認情報がある」との通報を受け、直ちに被告群馬県に情報開示請求を行い、3月26日に開示を受けた文書で、被告群馬県知事がジョウソウの本件計画に対して令和3年2月3日付で設置許可処分を出したことを知った。

 

第4 審査請求の前置

 1 原告は、令和3年3月26日に開示を受けた文書により、被告群馬県知事が本件設置許可処分を出したことを知り、令和3年6月18日に審査請求を被告に提起した。

 2 提起後、令和3年8月4日付で、審査庁環境省から「弁明書の送付および反論書の提出等について」と題する送り状が届き、令和3年7月28日付の被告群馬県知事の弁明書が一緒に送付されてきた。

 3 原告は、令和3年8月23日付で審査庁あてに反論書を郵送した。その後も、複数回、審査庁と被告、審査庁と原告の間でやり取りがなされた。

 4 審査庁は、令和4年11月13日に「審理手続の終結等について」と題する文書を原告に郵送した。この中で審査庁は「審理員が、行政不服審査法第41条第3項の審理員意見書および事件記録を環境大臣に提出する予定時期を、令和4年12月5日とした」と原告に通知した。

 5 審査庁は、令和5年1月6日付裁決書を同年1月10日の消印で配達証明付にて原告あてに発送し、原告は同年1月11日に裁決書を受け取り、さいけつがなされたことを知った。

 

第5 裁決に至る判断の誤り

 1 審査庁の裁決書に記された理由によれば、1年半余りかけて審理された挙句、本件設置許可処分については全く審理の対象とされず、処分庁である被告群馬県知事の言い分を全て受け入れた、いわゆる“門前払い”同然の却下裁決とした根拠は、「審査請求期間の徒過」とされている。

 2 審査庁はその根拠として、「行政不服審査法第18条第1項本文は、処分についての審査請求は、『処分があったことを知った日』の翌日から起算して3か月以内にしなければならない旨規定するところ、処分の名宛人以外の第三者の場合については、諸般の事情から、上記第三者が処分があったことを了知したものと推認することができるときは、その日を上記『処分があったことを知った日』としてその翌日を上記第三者の審査請求期間の起算日とすることができるものというべきである(最高裁平成5年12月17日第三小法廷判決 民集47巻10号5530頁参照)」を持ち出した。

 2 そのうえで審査庁は、「これを本件についてみると、審査請求人(原告)が令和3年3月10日に本件開示請求をする際に、対象となる公文書の内容等について群馬県環境森林部廃棄物・リサイクル課の職員に相談したことに争いはないものと解される。そして、審査請求人が上記の相談の後に開示を請求をした公文書が本件施設の設置許可証の写し等であることからすれば、審査請求人は上記の相談の際に同課の職員から本件設置許可処分があったことを告げられ同処分があったことを了知したものと推認するのが相当である」との判断を示した。

 3 原告は、令和3年3月10日に本件開示請求をする際に、処分庁である被告群馬県環境森林部西部環境森林事務所を訪れ、「巷間でジョウソウの産廃処分場の設置許可を県が出したという情報が飛び交っているが、事実かどうか確認したいので、設置許可証の写しを見せてほしい」と担当職員に相談したが、「写しは見せられない。見たければ情報開示請求をする必要がある」と口頭で告げられたのである。

 4 そのため、原告は、被告の指示に従って本件開示請求を行い、開示された本件施設の設置許可証等が原告の手元に届いて本件設置許可処分が事実であったことを認識した同年3月26日が、本件処分があったことを知った日であると一貫して主張してきた。したがって原告には「正当な理由」がある。

 5 だが審査庁は、「審査請求人の主張するように設置許可証等が開示請求等により行政処分の名宛人以外の第三者に交付されるまで当該第三者が『処分があったことを知った』といえないとすると、行政処分の効果を一定期間の経過により確定させようとする同条の趣旨に反する結果を招来することは明らかである」として、被告の隠ぺい体質に寄り添う判断をする始末である。被告群馬県の環境行政の体たらくは県民の誰もが嘆いているが、国民の安全・安心な生活環境の保全を担保する元締めの環境省がこのありさまである。

 6 審査庁の上記の論理が全てまかり通ってしまうと、住民監査請求などで、処分から1年を経た事案について、住民にとって唯一ともいうべき情報開示請求により不法行為の事実の存在を知り得ても、行政に是正措置を求める手段が奪われてしまうことになる。情報公開制度を利用して知り得た事実をもとに住民が行政を相手取り、1年以上経過した行政処分に関して住民監査請求を提起するケースは、遺憾ながら行政の隠ぺい体質により全国各地で多発している。今回の場合、処分庁の被告群馬県が本件設置許可証の写しをホームページで掲載していれば、そして、処分庁の被告の職員が、原告からの相談を受けた際に「県のホームページに掲載してある」と説明すれば、原告は、処分がなされた事実を確認できた。だが、そうした事情について、審査庁は裁決書の中で全く触れておらず、処分庁である被告群馬県の主張をうのみにして、原告の主張を退けた。このことは、国民・住民の知る権利をないがしろにするものであり、断じて許されない。

 7 なお、審査請求の裁決書の却下裁決の取消し処分については、別途国を相手取り提訴する。

 

第6 本件設置許可処分についての当事者の主張

 1 審査請求にあたり、原告は本件設置許可処分について、概ね次の通り主張した。

   ア 処分庁が本件設置許可処分に当たり、本件意見書に記載された懸念事項についてどのような指導をしたのか、事業者がどのような対応したのか、処分庁から本件開示請求により開示された公文書を見ても全く確認できない。

   イ まして、環境資源は既に存在しておらず、千葉県に拠点のある株式会社城装が主体となって設立したジョウソウが、それまで環境資源が行政や地元関係者と協議をしてきた経緯や結果をなぜそのまま「継承」し得るのかなどの不明点や疑問点について合理的な説明もない。

   ウ そもそも、群馬県は特定地域に廃棄物処理施設が集中することを避けるために条例を制定しているはずである。そのことを群馬県環境森林部廃棄物・リサイクル課に指摘すると、「本件は環境資源が設置計画を申請した時点では発効しておらず、適用外だ」という。しかし、今回の事業者はジョウソウであり、そもそも事業者が実質的に異なるのだから適用外という判断は当てはまらない。

     また、ジョウソウは地元関係者に対して同意書を取っているのかどうかも確認できておらず、環境資源が平成19年当時に取得した同意書をそのまま踏襲しているとなれば、その有効性についても疑問符がつく。

   エ さらに、山本群馬県知事は本件設置許可処分に先立ち、令和2年12月25日の午前9時ころ、環境森林部長や廃棄物 リサイクル課長を同道し、安中市長らに面談のため安中市役所を訪問している。その際、「設置許可申請のための書類が揃っているので、これ以上先延ばしにできない」などと安中市長側に説明したという。審査請求人はこのことについて、安中市側に情報開示請求をしたところ、安中市には当該協議に関する議事録がないとのことで、どのような説明が群馬県側からなされたのか確認できていない。少なくとも、審査請求人が本件意見書で述べた懸念事項等について明確な説明が短時間でなされたとは到底思えない。

   オ 地元住民らが強く反対し、安中市行政としても設置を望んでいない、このような関東圏で最大クラスの大規模産業廃棄物処分場設置について県民の安全、安心な生活環境の保全を司る群馬県が、住民の声にも耳を傾けようとせず、十分な検討や精査も尽くさないまま、設置許可処分をすることはできない。

     よって、本件設置許可処分を取り消すとの裁決を求める。

 2 これに対し、被告は、本件設置許可処分について次のように審査庁に弁明している。

   ア 廃棄物処理法第15条第6項の規定による意見書は、施設の設置に対して単純な賛否を求めるものではなく、より正確な審査を行うために必要な「生活環境保全上の見地からの意見」を求めるものである。処分庁は、提出された意見書の内容及び群馬県廃棄物処理施設等専門委員会から出された生活環境保全上の見地からの意見を踏まえ、廃棄物処理法第15条の2第1項第2号に定められる周辺地域の生活環境の保全等について適正な配慮がなされており、かつ、その他同法の定める要件に適合していると判断したものである。

   イ ジョウソウは、環境資源から社名変更等を行ったものであり、法人格の変更はない。社名変更等の事実は履歴事項証明書で確認しており、審査請求人に対して令和3年3月26日に当該証明書も開示している。

   ウ また、群馬県において、審査請求人が主張するような特定地域に廃棄物処理施設が集中することを避けるための条例は制定していない。群馬県では、廃棄物処理施設の設置に関して、「群馬県廃棄物処理施設等の事前協議等に関する規程」を制定し、廃棄物処理法の手続を行う前に事前協議を実施するよう事業者に指導している。本件施設に係る事前協議書は、平成18年7月7日に提出されており、平成25年4月1日の同規程の一部改正で、設置を行おうとする施設が最終処分場の場合、他の最終処分場の敷地の境界からの距離が1 km以上あること(第7条第1号イ)等が追加された。なお、ここでの審査請求人の指摘は、いずれも上記事前協議規程に関するものであり、本件設置許可申請の審査において適用されるものではない。

   エ 山本群馬県知事による安中市長への訪問については、知事が許可処分の前に地元市長に群馬県の方針を伝えたものである。

   オ 廃棄物処理法は、産業廃棄物処理施設の設置の許可の申請が同法の定める要件に適合する場合においても、なお都道府県知事に対して、許可を与えるか否かについての裁量権を与えるものではないのであって、処分庁は、本件設置許可申請について、廃棄物処理法の定める要件について慎重に審査を行い、適合することを確認したため本件設置許可処分を行ったものである。

 3 前項2の被告の弁明に対して、原告は反論書で反論したが、どういうわけか審査庁の裁決書には、原告の反論内容が反映されていない。

 

第6 まとめ

 審査請求において審査庁の環境省は、上記の本件設置許可処分に関する原告と被告の主張について単に並べただけで審理することなく、審査庁は審査請求期間のみについて、一方的に被告の言い分を丸呑みするだけで、原告の審査請求を門前払いとする却下裁決をくだした。

 よって原告は、本件設置許可処分について、取り消すべきだとする司法の判断を求めてここに提訴する。

 

                              以上

**********

 

■続いて東京地裁には、被告を国の代表者の法務大臣とした産業廃棄物処理施設許可処分に係る審査請求の却下裁決の取り消しを求める訴訟を提起しました。訴状は以下のとおりです。

 

*****7/11国を相手取る訴状*****

 

            訴    状

 

                    令和5年7月11日

 

東京地方裁判所 御中

 

       原告 〒379-0114 群馬県安中市野殿980番地

                小  川     賢

                電話 090-5302-8312

       被告 〒100-8977 東京都千代田区霞が関1-1-1

                国 代表者 法務大臣 齋藤 健

                電話 03-3580-4111

 

産業廃棄物処理施設許可処分に係る審査請求の却下裁決取消請求事件

 

訴訟物の価格   160万円(算定不能)

貼用印紙額    13,000円

 

第1 請求の要旨

 1 被告は、令和5年1月5日付環境省環境再生・資源循環局長がなした「処分庁(群馬県知事山本一太)が令和3年2月3日付けで株式会社ジョウソウに対して行った産業廃棄物処理施設設置の許可処分」に係る審査請求について、「却下する」とした裁決を取り消せ。

 2 訴訟費用は被告の負担とする。

  との判決を求める。

 

第2 当事者

 1 原告は群馬県安中市野殿の住民であり納税者である。

 2 被告は、国を代表する者であり、上記却下裁決を行った者である。

 

第3 審査請求の事案の内容

 1 本件は、群馬県安中市岩野谷地区の大谷地内に設置が計画されている産業廃棄物処理施設で管理型最終処分場(以下「本件施設」という。)について、処分庁である群馬県知事が令和3年2月3日に群馬県第425号-0号として設置許可処分をした事案である。

 2 原告が居住する岩野谷地区は、岩井、野殿、大谷の3地区から構成されている。隣接する高崎市吉井町上奥平地区並びに富岡市桑原地区における廃棄物処理施設の設置計画及び設置実現が多発していたことから、その影響が実際に岩野谷地区に及ぶことが懸念されており、良識ある住民らにより監視が続けられてきたが、平成2年頃から、大谷区域でサイボウ環境による管理型一般廃棄物最終処分場の設置計画が持ち上がった。住民らは反対運動を展開したが、平成9年に群馬県知事が設置許可を出してしまったため、平成19年に開業されてしまった。その後、大和建設の中間処理施設が稼働したり、大谷区域の谷津と呼ばれる山間部に次々に産廃業者による産業廃棄物最終処分場の設置計画が群馬県に提出されてきた。

 3 今回のジョウソウによる産業廃棄物最終処理施設(サンパイ処分場)は、前記のサイボウ環境の処分場が稼働した平成19年当時から、同処分場設置手続きや地上げに関与していた関係者が次の案件として地元で画策していたものである。すなわち、本件施設は、そもそも平成18年5月26日に地元安中市内の不動産業者らにより設立されたペーパー会社の株式会社環境資源が、群馬県職員OBでかつて県林務部長を務めていた中島信義らの支援を得て、安中市大谷地区の岩井川源流部にある農業用ため池に近接する山間に、産業廃棄物管理型最終処分場を作ることを企てたものである。そして、環境資源は平成18年の設立直後から、地元の地権者や周辺住民の同意書、下流の水利組合員からの同意書を取り付けたりしていたが、その後、環境資源は群馬県に対して事前協議を申請し、平成25年8月19日に群馬県知事が事前協議終了通知を環境資源に発出した。

 4 環境資源は平成25年10月22日付で産廃処分場設置の許可手続きのための本申請を群馬県知事に行ったことから、危機意識を共有した地元区長会は、平成27年3月29日(日)午後2時から、岩野谷公民館2階講義室において「廃棄物処分場に関する特別講座」を開いた。この特別講座には、大谷地区住民を主体に、岩井地区、野殿地区の住民らを含め総勢40名余りが参加した。そして、設置許可手続きの最終段階にある環境資源のサンパイ処分場の設置阻止に向けて、安中市の市長や副市長も参加し、安中市職員による出前講座のあと、専門家による特別講座が行われた。

 5 その後、環境資源による表立った動きは見られず、地元住民の間では、環境資源が財政的に行き詰まったとして、安堵する声も聴かれるようになった。

 6 そうした状況下で2年半が経過した平成29年10月14日、突然㈱ジョウソウという聞き慣れない事業者による「株式会社ジョウソウ(旧環境資源)管理型最終処分場事業住民説明会」が開催され、原告も地元住民から連絡を受けて急遽、同日午後6時半から安中市商工会館3階の大研修室に行った。ジョウソウの説明では、環境資源を引き継いだとのことであったが、原告は、「単に引き継いでも、会社名が変わり経営陣が入れ替わっており、最初から事前協議をしなければならないことをよく認識したほうがよい」とアドバイスをした。

 7 その後、ジョウソウの動きも見られないまま3年が経過した令和2年3月9日に、地元住民から「群馬県がジョウソウの大規模産廃計画に対して設置許可を出したという未確認情報がある」との通報を受け、直ちに群馬県に情報開示請求を行い、3月26日に開示を受けた文書で、群馬県知事がジョウソウの本件計画に対して令和3年2月3日付で設置許可処分を出したことを知った。

 

第4 審査請求の前置

 1 原告は、令和3年3月26日に開示を受けた文書により、群馬県知事が本件設置許可処分を出したことを知り、令和3年6月18日に審査請求を被告に提起した。

 2 提起後、令和3年8月4日付で、被告から「弁明書の送付および反論書の提出等について」と題する送り状が届き、令和3年7月28日付の群馬県知事の弁明書が一緒に送付されてきた。

 3 原告は、令和3年8月23日付で被告あてに反論書を郵送した。

 4 被告は、令和4年11月13日に「審理手続の終結等について」と題する文書を原告に郵送した。この中で被告は「審理員が、行政不服審査法第41条第3項の審理員意見書および事件記録を環境大臣委提出する予定時期を、令和4年12月5日とした」と原告に通知した。

 5 被告は、令和5年1月6日付裁決書を同年1月10日の消印で配達証明付にて原告あてに発送し、原告は同年1月11日に裁決書を受け取り、さいけつがなされたことを知った。

 

第5 裁決に至る判断の誤り

 1 被告の裁決書に記された理由によれば、1年半余りかけて審理された挙句、本件処分については全く審理の対象とされず、処分庁である群馬県知事の言い分を全て受け入れた、いわゆる“門前払い”同然の却下裁決とした根拠は、「審査請求期間の徒過」とされている。

 2 被告はその根拠として、「行政不服審査法第18条第1項本文は、処分についての審査請求は、『処分があったことを知った日』の翌日から起算して3か月以内にしなければならない旨規定するところ、処分の名宛人以外の第三者の場合については、諸般の事情から、上記第三者が処分があったことを了知したものと推認することができるときは、その日を上記『処分があったことを知った日』としてその翌日を上記第三者の審査請求期間の起算日とすることができるものというべきである(最高裁平成5年12月17日第三小法廷判決 民集47巻10号5530頁参照)」を持ち出した。

 2 そのうえで被告は、「これを本件についてみると、審査請求人(原告)が令和3年3月10日に本件開示請求をする際に、対象となる公文書の内容等について群馬県環境森林部廃棄物・リサイクル課の職員に相談したことに争いはないものと解される。そして、審査請求人が上記の相談の後に開示を請求をした公文書が本件施設の設置許可証の写し等であることからすれば、審査請求人は上記の相談の際に同課の職員から本件設置許可処分があったことを告げられ同処分があったことを了知したものと推認するのが相当である」との判断を示した。

 3 原告は、令和3年3月10日に本件開示請求をする際に、処分庁である群馬県環境森林部西部環境森林事務所を訪れ、「巷間でジョウソウの産廃処分場の設置許可を県が出したという情報が飛び交っているが、事実かどうか確認したいので、設置許可証の写しを見せてほしい」と担当職員に相談したが、「写しは見せられない。見たければ情報開示請求をする必要がある」と口頭で告げられたのである。

 4 そのため、原告は、処分庁の指示に従って本件開示請求を行い、開示された本件施設の設置許可証等が原告の手元に届いて本件設置許可処分が事実であったことを認識した同年3月26日が、本件処分があったことを知った日であると一貫して主張してきた。したがって原告には「正当な理由」がある。

 5 だが被告は、「審査請求人の主張するように設置許可証等が開示請求等により行政処分の名宛人以外の第三者に交付されるまで当該第三者が『処分があったことを知った』といえないとすると、行政処分の効果を一定期間の経過により確定させようとする同条の趣旨に反する結果を招来することは明らかである」として、処分庁の隠ぺい体質に寄り添う判断をする始末である。群馬県の環境行政の体たらくは県民の誰もが嘆いているが、国民の安全・安心な生活環境の保全を担保する元締めの環境省がこのありさまである。

 6 被告の上記の論理が全てまかり通ってしまうと、住民監査請求などで、処分から1年を経た事案について、住民にとって唯一ともいうべき情報開示請求により不法行為の事実の存在を知り得ても、行政に是正措置を求める手段が奪われてしまうことになる。情報公開制度を利用して知り得た事実をもとに住民が行政を相手取り、1年以上経過した行政処分に関して住民監査請求を提起するケースは、遺憾ながら行政の隠ぺい体質により全国各地で多発している。今回の場合、処分庁の群馬県が本件設置許可証の写しをホームページで掲載していれば、そして、処分庁の職員が、原告からの相談を受けた際に「県のホームページに掲載してある」と説明すれば、原告は、処分がなされた事実を確認できた。だが、そうした事情について、被告は裁決書の中で全く触れておらず、処分庁である群馬県の主張をうのみにして、原告の主張を退けた。このことは、国民・住民の知る権利をないがしろにするものであり、断じて許されない。

 7 1年を経過した処分について、住民が情報開示制度を利用して知りえた事案がすべて期限徒過ですべて行政不服申し立て出来ないとなると、行政の隠ぺい体質と相まって、住民の知る権利に対する重大な悪影響を及ぼすことになる。

 8 原告は本件事案について、地元で一貫して注視してきており、常に行政にも地元の意向と懸念を伝えてきたが、こうした形で設置許可処分に係る審査請求期間について徒過を理由に門前払いをくらわされたことに憤りを禁じ得ない。開かれた行政を具現化するためにも、本件裁決は取り消されなければならない。なぜなら、そうすることにより、処分庁による本件設置許可の違法・不当性についての本案の審理が可能となるからである。

 

                              以上

**********

 

■東京地裁では、14階の民事受付の担当者が「30分ほど後にまた来てほしい。それまでに事件番号が確定するから」と言われ、30分後に再訪すると担当者から「本事件は東京地裁民事第51部が担当する予定で、事件番号は令和5年(行ウ)第298号です」と告げられ、受付票を交付してもらいました。その後、7月18日9時33分に東京地裁民事第51部の楠見書記官から連絡があり、「第1回弁論期日として9月19日と21日を想定していますが、都合はどうでしょうか」と聞かれたので、「両日とも終日OKです」と回答しました。

 

 するとそれから間もなく10時19分に楠見書記官から連絡があり「第1回期日が9月21日火曜日午後2時から東京地裁第419号法廷に決まりました」と口頭で通知されたので、直ちに期日請書をファックスで東京地裁民事第51部あてに発信しました。

 

■他方、前橋地裁からはまだ連絡がないため、7月19日の午後、別件で県庁を訪れた際に、16階の廃棄物・リサイクル課産業廃棄物係を訪れ、「訴状はもう届きましたか」と訊ねたところ、「まだだが、訴状っていったいなんのことか」と聞かれたので、「地元の大谷地区にジョウソウが計画しているサンパイ場設置許可処分の件です」と答えました。どうやら、まだ裁判所から何の連絡も来ていない様子がうかがえました。

 

 そのため、「もうすぐ2階のほうから前橋地裁に提出した訴状の複本が届くと思いますが、時間がかかるかもしれないので、当会のブログに掲載しておきますから、それを見ておいてください」と依頼しました。

 

 群馬県の担当者も当会の口頭説明だけでは、なぜ国と知事とをどのような理由で提訴したのがよく呑み込めていないことがうかがえます。当会は裁決書の教示に基づき今回の対応に至ったわけですが、元より弁護士には一切相談していません。群馬県の弁護士に相談しても、高額の相談料や着手金をとられるだけで、行政相手の訴訟には皆及び腰で、裁判所も行政に加担することから、誰も親身になってとりあってくれないためです。

 

 方や群馬県の場合、顧問弁護士としてリストアップされた弁護士は多数おり、訴訟代理人としての費用も我々県民から集めた血税で賄うため、弁護士も高額報酬を示されて、2つ返事で訴訟代理人業務を引き受けます。今回、群馬県が訴訟代理人としてどの弁護士を起用するか注目したいと存じます。

【8月1日追記】

 その後7月31日(月)午後1時2分に前橋地裁民事第2部の富澤書記官から電話連絡がありました。用件は、「事件番号が令和5年(行ウ)第11号」となったことと、裁判官から訴状を訂正するよう指示があったことでした。後者については、訴状1ページ目の当事者である被告の表示を「群馬県 代表者 知事 山本一太」から「群馬県 同代表者兼処分行政庁 知事 山本一太」とすること、それとあとできれば訴状4ページ目の「第3」の8項目の「その後、ジョウソウの動きも見られないまま3年が経過した令和2年3月9日に、地元住民から」とあるのは、「その後、ジョウソウの動きも見られないまま3年が経過した令和3年3月9日・・・」が正しいと思われるので、訂正できればお願いしたい、というものでした。

 あらためて訴状を見直すと、誤字脱字等が、指摘された箇所以外にも散見されましたが、とりあえず、上記の訴状本文で赤字部分で示した個所を修正する旨、訴状訂正申立書を作成し、8月1日の午後1時に前橋地裁3階の民事受付に提出しました。

 訴状訂正申立書を見てもらうと、「『3年が経過した』ところは、実際には4年に満たないので、訂正せずにそのままでもよかったのに」と言われ、なるほどと思いましたが、そのまま受け付けてもらいました。書記官は「これで、第1回弁論の手続きを進めますので、おって期日について決まればご連絡します」とのことでした。

 その足で、県庁16階の廃棄物・リサイクル課を訪れました。すでに訴状を提出したことは伝えてありましたが、「訴状訂正申立書をさっき出してきたが、これから第1回弁論に向けた準備に入ると地裁書記官が言っていたので、そのうち連絡があると思います」と報告したところ、廃・リ課は「こちらにはまだ訴状は届いていない」とのことでした。また、「訴状が届いていないので、訴訟代理人弁護士を誰にするかも全く考えていない」とのことでした。筆者からは「ブログに訴状を掲載しておいたので、事前に目を通しておいてもらいたい」と依頼しておきました。

 

【8月4日追記】

 本日午後9時8分に前橋地裁民事第2部の富澤書記官から電話で連絡があり、「本事件の第1回口頭弁論期日を9月29日(金)午前10時としたいのですが、出頭できますか」と都合を聞かれたので、「はい、大丈夫です。それではこの後、期日請書を送っておきます」と返事をしました。そして、ファックスで期日請書を地裁あてに送信しました。

 そして、群馬県廃棄物・リサイクル課にもその旨電話で伝えたところ、「まだ、地裁からは訴状も含めてなにも連絡がない。そうすると、そのうち期日呼出状が届くことになるのか」という返事でした。そのため、「こちらはてっきり群馬県のほうの都合も勘案して、9月29日の第1回弁論期日を指定してきたのだとばかり思っていたけど、そうではないとすると、おそらく、原告の都合だけ確認すれば、被告のほうは第1回弁論には『擬制陳述』といって、欠席することが可能なので、こうした対応をとっている可能性があるのではないか」と説明しました。

 当日、群馬県側が訴訟代理人としてどんな弁護士を起用してくるか、また、上述のとおり、第1回弁論では、被告は答弁書だけ提出して、誰も法廷に出頭しない、いわゆる「擬制陳述」という形をとる場合が行政裁判の場合、かなり目立つため、被告群馬県側のこの事件に対する誠意というのを推し量る一つの指標となるため、注目したいと思います。

 なお、本件訴訟の推移については都度ご報告してまいりますので、この裁判を通じて、群馬県の環境行政が、地元住民の安心・安全な生活環境の保全と、サンパイ処分場の確保による産廃業者の利権の保全のどっちを重点政策としているのか、皆さんとご一緒に検証してまいりたいと考えております。

 

【市民オンブズマン群馬・市政をひらく安中市民の会事務局より】

 

 

※参考情報「環境資源⇒ジョウソウに名義変更した大規模サンパイ処分場計画の15年間の経緯」

**********

〇2009年11月28日:柳川喜郎・岐阜県前御嵩町長の体験談から見える群馬県西毛地区のサンパイ場計画の深刻さ↓

https://blog.goo.ne.jp/ogawakenpg/e/65f148c453841cf5442ad51824a6b1d8

 

〇2010年1月24日:岡田市長の選挙戦略? 突然に配布された廃棄物処分場反対チラシの目論見↓

https://blog.goo.ne.jp/ogawakenpg/e/01263c7a16351c21a23d6e9bca0051b2

 

〇2010年12月27日:サンパイ銀座として全国の業者が注目する岩野谷地区で住民による学習会開催↓

https://blog.goo.ne.jp/ogawakenpg/e/ebf7baf2a0c69420fbba045fb06c0120

 

〇2012年4月15日:安中市大谷地区2番目となる大規模サンパイ場計画の第2回説明会の顛末報告(前半)↓

https://blog.goo.ne.jp/ogawakenpg/e/23d0ec642ac793cd665b0202790b4324

 

〇2012年4月19日:安中市大谷地区2番目となる大規模サンパイ場計画の第2回説明会の顛末報告(後半)↓

https://blog.goo.ne.jp/ogawakenpg/e/1284bfe9bb84311dd066096f4f58c82d

 

〇2013年5月27日:安中市大谷の廃棄物処分場設置問題にかんする岩野谷区長会主催の意見交換会↓

https://blog.goo.ne.jp/ogawakenpg/e/bc236207d0fff9c97bc6cf97e6cec512

 

〇2012年6月10日:これでいいのか群馬県環境行政・・水源地域保全条例にサンパイ場目的の森林売買監視強化も含めよ!↓

https://blog.goo.ne.jp/ogawakenpg/e/5cebb8783f982fb26d6ad9efc35ed915

 

〇2012年7月3日:サンパイ問題説明会で県職員の無責任発言に黙った議員らをチラシで批判する岡田市長のキャンドル精神(1)↓

https://blog.goo.ne.jp/ogawakenpg/e/e7cf6408db3e4d5c40fda22d4ee29a5d

 

〇2012年7月4日:サンパイ問題説明会で県職員の無責任発言に黙った議員らをチラシで批判する岡田市長のキャンドル精神(2)↓

https://blog.goo.ne.jp/ogawakenpg/e/a7c5d987656caa380e7a4c2cdcf943c1

 

〇2012年8月1日:安中市岩野谷地区で3番目となる廃棄物処分場に対して反対の意見書を県知事に提出↓

https://blog.goo.ne.jp/ogawakenpg/e/946934b72590d9741125a83e4e6febd0

 

〇2012年8月17日:これでいいのか群馬県環境行政…職員OBを役員に迎え県土サンパイ化に盤石を期す業者とそれを支える群馬県↓

https://blog.goo.ne.jp/ogawakenpg/e/196cc81f992423362731b9250261a775

 

〇2012年11月18日:サンパイ銀座化阻止のため安中市岩野谷地区住民らが設置した看板に早速イチャモンを付けた安中市と群馬県↓

https://blog.goo.ne.jp/ogawakenpg/e/96682c74f3862af76e333f5a98605d24

 

〇2012年12月1日:「条例違反…」住民に看板を撤去させたサンパイ業者/環境資源㈱お抱え大物役人OBの威光と安中市の弱腰↓

https://blog.goo.ne.jp/ogawakenpg/e/d9d624a25c67cabf9991ae7a4578e32b

〇2012年12月14日:住民が県道脇に建てた看板を群馬県に命じて15cmずらさせたサンパイ業者天下り大物役人OBのツルの一声↓

https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/918.html

〇2013年6月21日:これでよいのか群馬県環境行政…ついに事前協議の最終局面を迎えた安中の大規模サンパイ場計画↓

https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/1057.html

〇2013年7月19日:本日の大規模審議会で事前協議を終了し設置に向け業者・行政が邁進するか安中市大谷の大規模サンパイ場計画↓

https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/1081.html

〇2013年7月29日:ついに日刊ゴルフ場跡地まで目を付け始めた廃棄物処理業者…群馬県西部サンパイ銀座化拍車の懸念↓

https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/1086.html

〇2013年7月30日:これでよいのか群馬県環境行政…資本金300万円で廃棄物処分場設置申請ができる理由を非開示にする深いワケ↓

https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/1087.html

〇2013年9月19日:8月19日に事前協議を終えた㈱環境資源のサンパイ場計画で早くも市道路線廃止で便宜を図る安中市↓

https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/1125.html

〇2013年11月7日:これでいいのか群馬県環境行政…事前協議を終え政官業一体で突き進む安中市岩野谷地区のサンパイ場計画↓

https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/1158.html

〇2013年11月15日:これでいいのか群馬県環境行政・・・大規模審議会の議事録から見えてくる政官業トライアングル(その1)↓

https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/1163.html

〇2013年11月16日:これでいいのか群馬県環境行政・・・大規模審議会の議事録から見えてくる政官業トライアングル(その2)↓

https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/1164.html

〇2013年12月15日:いよいよ大谷地区に大規模サンパイ場を実現させるべく3期目の出馬表明に向けて地ならしを始めた岡田市長↓

https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/1180.html

〇2014年4月22日:緑の県民税の疑問…県知事が新市長への説明に24日午後派遣することになった岩野谷サンパイ銀座化のA級戦犯↓

https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/1276.html

〇2014年4月25日:新市長就任の翌日に安中市役所を訪れ、新市長に緑の県民税のPRをした岩野谷地区サンパイ銀座化の張本人↓

https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/1279.html

〇2014年5月14日:これでいいのか群馬県環境行政・・・市長選前は時間の問題だけだった環境資源のサンパイ場計画の今後(1)↓

https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/1288.html

〇2014年5月14日:これでいいのか群馬県環境行政・・・市長選前は時間の問題だけだった環境資源のサンパイ場計画の今後(2)↓

https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/1289.html

〇2014年7月10日:只今縦覧中の安中市岩野谷地区3番目の廃棄物処分場計画・・・意見書には必ずページ総数を記載しよう↓

https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/1339.html

〇2014年7月13日:これでいいのか群馬県環境行政…環境資源サンパイ場計画を後押しする環境森林部長と元上司の大物OB↓

https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/1338.html

〇2014年7月30日:官業癒着で粛々と進む岩野谷地区のサンパイ場設置計画の本申請に対して住民として意見書を提出↓

https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/1352.html

〇2015年4月10日:環境資源サンパイ場計画許可目前でガン死の恐怖に晒される岩野谷住民が特別講座で知った驚愕の実態(1)↓

https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/1579.html

〇2015年4月11日:環境資源サンパイ場計画許可目前でガン死の恐怖に晒される岩野谷住民が特別講座で知った驚愕の実態(2)↓

https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/1581.html

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安中市大谷地区に計画中の大規模サンパイ処分場に県が出した設置許可に異議を申し立てた当会が提訴!(1)

2023-07-20 01:16:01 | 全国のサンパイ業者が注目!

■安中市と高崎市と富岡市が境界を接する安中市岩野谷地区、高崎市吉井町上奥平地区、富岡市桑原地区には、廃棄物処理施設として中間施設や最終処分場が集中しています。これまでにも住民は、廃棄物処分施設の計画が持ち上がるたびに反対運動を展開していきましたが、業者と癒着した行政の前に、ほとんどの場合、敗れ去り、今日の「廃棄物銀座」と呼ばれる景観を呈する惨状となってしまいました。

 

 なかでも、平成18年から安中市岩野谷の大谷地区の一番奥に計画されている㈱環境資源による関東屈指の大規模な産業廃棄物最終処分場計画は、地元の生活環境や営農環境保全の観点から、最後のとどめを刺されかねないため、地区住民は深刻な脅威として対処してきました。その過程は、本件記事の末尾に記載してあります。

 

 そうした中、突如として群馬県知事が2021年2月3日に㈱ジョウソウに対して、この大規模サンパイ廃棄物最終処分場の設置許可を出したと言う情報が地元に知らされました。仰天した地元住民のかたがたは、直ちに安中市や群馬県に事実関係を確認したところ、事実であることが判明したというのです。

 

 当会も早速情報の真偽を確認すべく、群馬県環境森林部廃棄物・リサイクル課産業廃棄物係に確認したところ、担当部署である出先の西部環境森林事務所廃棄物係に聞くように言われ、2021年3月10日に訪れて担当者に話を聞きました。すると、「2月3日に許可処分を出した」というので、驚いて「どのような許可処分を出したのか、許可証の写しがあれば見せてほしい」と担当者に頼んだところ、「情報開示請求をするように」と言われました。

 

 そして県の指示に基づき当会が情報開示請求を行い、2021年3月26日に開示を受けた文書に含まれていたサンパイ場設置許可証など処分内容に関する情報を確認したところ、群馬県が本当にジョウソウという会社に対して、県知事がサンパイ場の設置許可証を交付したことが判明しました。

 

 そして、行政不服審査法に基づく異議申し立ての審査請求を行うため、県に「どこに対して審査請求書を提出したらよいのか」と聞いたところ、「本件は廃棄物処理法に基づく処分なので審査庁は国、つまり環境省になる」と教えられたので、2021年6月18日に環境省に審査請求書を提出しました。

 

 その後、何度か審査庁の環境省とやり取りしましたが、とりわけ、群馬県知事からの弁明書で、当会が審査請求を提起した日は、処分を知った日である2021年3月10日から3か月を超えた同年6月18日であるから、審査請求は違法だという主張を国にしていることを知ったときは、思わず天を仰ぎました。

 

 1年半近くにわたり、審査庁の環境省は当会の審査請求を審理していましたが、国は2022年11月13日に審理手続の終結を宣言し、同年12月5日に本件に係る環境省審理員の意見書および事件記録が環境大臣に提出予定だと当会に通知してきました。

 

 群馬県に聞くと、「この後処分庁の環境省は第三者機関に諮問し、答申を得てから最終判断をして裁決するのだろう」と言いました。ところがあにはからんや、環境省は2023年1月6日付の裁決書を同月10日に当会あてに郵送し、当会は同月11日に受け取りました。

 

■裁決書の内容は次のとおりです。

 

*****送り状*****

                      環循規発第2301061号

                      令和5年1月6日

 

審査請求人 小川 賢 殿

 

              環境省環境再生・資源循環局長

 

       裁決書の謄本の送達について

 

 審査請求人が令和3年6月18日に提起した審査請求について裁決されたので、行政不服審査法(平成26年法律第68号)第51条第2項の規定により、別添のとおり裁決書の謄本を送付します。

 

 

*****1/6裁決書*****

                      環循規発第2301061号

 

            裁 決 書

 

      審査請求人      群馬県安中市野殿980

                 小川 賢

      処分庁        群馬県知事 山本 一太

      審査請求に係る処分  処分庁が令和3年2月3日付けで株式

                会社ジョウソウに対して行った産業廃棄

                物処理施設設置の許可処分

 

 

 審査請求人小川賢(以下「審査請求人」という。)が令和3年6月18日に提起した廃棄物の処理及び清掃に関する法律(昭和45年法律第137号。以下「廃棄物処理法」という。)に関する審査請求(以下「本件審査請求」という。)について、次のとおり裁決する。

 

 令和5年1月6日

 

          環 境 大 臣  西 村 明 宏

 

          主   文

 

       本件審査請求を却下する。

 

            事 案 の 概 要

 

 1 本件審査請求の骨子

  本件は、長野県安中市内に設置が計画されている産業廃棄物処理施設(管理型最終処分場。以下「本件施設」という。)について、処分庁が令和3年2月3日に設置許可処分(群馬県第425号一0号。以下「本件設置許可処分」という。)をしたことに対し、同市に居住する審査請求人が、住民の声にも耳を傾けようとせず、十分な検討や精査も尽くさないまま設置許可処分をすることはできないなどとして、本件設置許可処分の取消しを求める事案である

 2 前提となる事実

(1)審査請求人は、群馬県安中市野殿に居住する住民である。

(2)株式会社環境資源(以下「環境資源」という。)は、平成18年5月26日に設立され、群馬県安中市内に本店を置く、一般廃棄物、産業廃棄物の最終処分場の建設、運営、管理等を目的とする株式会社であり、平成29年6月22日に株式会社ジョウソウ.(以下「ジョウソウ」という。)に商号変更した(履歴事項全部証明書)。

(3)環境資源は、平成25年10月22日、処分庁に対して廃棄物処理法第15条第1項の規定により、本件施設の設置許可申請(以下「本件設置許可申請」という。)を行った(産業廃棄物処理施設設置許可申請書)。

(4)審査請求人は、廃棄物処理法第15条第6項の規定に基づき、本件施設の放流水が、ダイオキシン類、全窒素、CODの基準を満たしておらず、周辺の農業用水や生活環境に重大かつ深刻な影響を及ぼすこと等から本件設置許可申請に対して許可を出してはならない旨の意見書(平成26年7月30日付け株式会社環境資源産業廃棄物処理施設設置許可申請にかかる生活環境保全上の見地からの意見書。以下「本件意見書」という。)を処分庁に提出した。

(5)処分庁は、令和3年2月3日、ジョウソウに対して次の内容の本件設置許可処分を行った(産業廃棄物処理施設設置許可証)。

 ア 施設の種類

   管理型産業廃棄物最終処分場

 イ 処理する産業廃棄物の種類

   ①燃え殻、②汚泥、③廃プラスチック類、④紙くず、⑤木くず、⑥ゴムくず、⑦金属くず、⑧ガラスくず・コンクリートくず及び陶磁器くず、⑨鉱さい、⑩がれき類、⑪ばいじん、⑫13号廃棄物(以上12種類)

   なお、②については含水率85パーセントの無機性汚泥に限られ、④及び⑤については付着物に限られる。

 ウ 設置場所

   群馬県安中市大谷字新山1259番2ほか6筆

 エ 処理能力

   埋立面積30,794㎡

   埋立容量644,924㎥

(6)審査請求人は、同年3月10日、処分庁に対して群馬県情報公開条例に基づき、「廃棄物処理法第15条第1項の規定により設置の許可を受けた、ジョウソウによる産業廃棄物最終処分場設置許可申請書及び添付書類一式並びに産業廃棄物処理施設設置許可証の写し」の開示を請求(以下「本件開示請求」という。)した。

   同月19日、処分庁は、審査請求人に対し、開示を請求された上記公文書のうち、「①役員及び発行済み株式総数の百分の五以上の株式を有する株主の住民票の写し、②役員及び発行済み株式総数の百分の五以上の株式を有する株主の成年被後見人及び被保佐人に該当しない旨の登記事項証明書、③各事業年度における決算書類並びに法人税の納付すべき額及び納付済額を証する書類、④印鑑証明書及び⑤財務基盤及び事業の事業性に関する書類」を除いて開示することを決定した(公文書部分開示決定通知書)。

(7)審査請求人は、本件設置許可処分を不服として、同年6月18日付けで本件審査請求をした(審査請求書)。

 

            審理関係人の主張の要旨

 

 1 審査請求人の主張

(1)審査請求期間について

   審査請求人が、本件設置許可処分があったことを知ったのは、本件開示請求により開示された本件施設の設置許可申請書類及び施設の設置許可証が審査請求人の手元に届いた令和3年3月19日であるから、この日が「処分があったことを知った日」(行政不服審査法(平成26年法律第68号)第18条第1項)である。

   審査請求人は、同年6月18日に審査請求をしているから同項に規定する3か月の審査請求期間内に審査請求をしている。

   処分庁は、審査請求人が同年3月10日に本件開示請求のため群馬県庁に来庁した際に、本件設置許可申請の審査を担当する群馬県環境森林部廃棄物 リサイクル課の職員が審査請求人に対して本件設置許可処分の事実を伝え、開示請求する公文書の内容又は件名の記載について助言したことをもって、本件設置許可処分があったことを知ったと主張するが、単に設置許可処分をなしたと口頭で告げられただけで、本件設置許可処分を知ったということにはならない。

   処分庁は、本件設箇許可処分の事実を地元にも伝えておらず、ホームページにも掲載せず、まして記者発表や新聞報道もした形跡がない。そうした中で、同月8日、審査請求人にたまたま隣接地区の区長から設置許可が出たらしいので確認する必要があるとの連絡が入り、本件施設の計画地である大谷地区の知り合いに電話で確認したところ、そのような噂があるが詳しい経緯が分からないというので、審査請求人が同月10日に処分庁に公文書の開示の相談をして、開示請求する内容に麒齢がないか確認した上で群馬県の情報公開係に開示請求書を提出したのである。

   仮に同月8日が「処分があったことを知った日」とすると、半信半疑の状態でも「知った」状態にあるとみなされることになってしまい、そうでなくても群馬県の環境行政は、住民に情報を隠しながら事業者側に立ってどんどん手続を進める性向があるため、唯一、我々住民の権利である開示請求によりどのような処分がどのような手順を踏んで行われたのか知るほかない。

   群馬県情報公開条例の解釈及び運用基準によると、審議検討情報の非開示情報としての要件を定めた同条例第14条第5号の「不当に県民の間に混乱を生じさせるおそれ」とは、「未成熟な情報や事実関係の確認が不十分な情報などを公にすることにより、県民の誤解や憶測を招き、不当に県民の間に混乱を生じさせるおそれがある場合をいう。適正な意思決定を行うことそのものを保護するのではなく、情報が公にされることによる県民への不当な影響が生じないようにするという趣旨である。」とされている。

   このように処分庁は自ら未成熟な情報では、不当に県民の間に混乱を生じさせるおそれがあると判断しているのに、審査請求人が、地元の巷間情報であっても「設置許可がなされた」という言葉を耳にしただけで「知った」とみなすのは、同条例に照らしても、あきらかに矛盾するものである。

(2)本件設置許可処分について

 ア 処分庁が本件設置許可処分に当たり、本件意見書に記載された懸念事項についてどのような指導をしたのか、事業者がどのような対応したのか、処分庁から本件開示請求により開示された公文書を見ても全く確認できない。

 イ まして、環境資源は既に存在しておらず、千葉県に拠点のある株式会社城装が主体となって設立したジョウソウが、それまで環境資源が行政や地元関係者と協議をしてきた経緯や結果をなぜそのまま継承し得るのかなどの不明点や疑問点について合理的な説明もない。

ウ  そもそも、群馬県は特定地域に廃棄物処理施設が集中することを避けるために条例を制定しているはずである。そのことを群馬県環境森林部廃棄物・リサイクル課に指摘すると、「本件は環境資源が設置計画を申請した時点では発効しておらず、適用外だ」という。しかし、今回の事業者はジョウソウであり、そもそも事業者が実質的に異なるのだから適用外という判断は当てはまらない。

   また、ジョウソウは地元関係者に対して同意書を取っているのかどうかも確認できておらず、環境資源が平成19年当時に取得した同意書をそのまま踏襲しているとなれば、その有効性についても疑問符がつく。

 エ さらに、山本群馬県知事は本件設置許可処分に先立ち、令和2年12月25日の午前9時ころ、環境森林部長や廃棄物 リサイクル課長を同道し、安中市長らに面談のため安中市役所を訪問している。その際、「設置許可申請のための書類が揃っているので、これ以上先延ばしにできない」などと安中市長側に説明したという。審査請求人はこのことについて、安中市側に情報開示請求をしたところ、安中市には当該協議に関する議事録がないとのことで、どのような説明が群馬県側からなされたのか確認できていない。少なくとも、審査請求人が本件意見書で述べた懸念事項等について明確な説明が短時間でなされたとは到底思えない。

 オ 地元住民らが強く反対し、安中市行政としても設置を望んでいない、このような関東圏で最大クラスの大規模産業廃棄物処分場設置について県民の安全、安心な生活環境の保全を司る群馬県が、住民の声にも耳を傾けようとせず、十分な検討や精査も尽くさないまま、設置許可処分をすることはできない。

   よって、本件設置許可処分を取り消すとの裁決を求める。

 2 処分庁の主張

(1)審査請求期間について

   審査請求人は、令和3年3月10日、本件開示請求のため群馬県庁に来庁している。その際、群馬県環境森林部廃棄物・リサイクル課の職員が本件設置許可処分の事実を伝え、開示を請求する公文書の内容又は件名の記載について、助言している。よって、遅くとも同日には審査請求人は本件設置許可処分があったことを知っているところ、本件審査請求は同年6月18日付けでなされたものであるから、行政不服審査法第18条第1項所定の審査請求期間を徒過しており、不適法である。

   このことは、同人のブログ記事(令和3年4月6日掲載)にも、「3月8日に隣の富岡市桑原地区のかたから知らせを受け、地元大谷地区の関係者に確認したところ、群馬県が地域住民の意向を無視して、強引に設置許可をジョウソウに出していたことが分かりました。そして3月10日に群馬県環境森林部廃棄物 リサイクル課を訪れて、担当者らと協議し、情報開示請求手続きをとりました。」と記載されている。

(2)本件設置許可処分について

 ア 廃棄物処理法第15条第6項の規定による意見書は、施設の設置に対して単純な賛否を求めるものではなく、より正確な審査を行うために必要な「生活環境保全上の見地からの意見」を求めるものである。処分庁は、提出された意見書の内容及び群馬県廃棄物処理施設等専門委員会から出された生活環境保全上の見地からの意見を踏まえ、廃棄物処理法第15条の2第1項第2号に定められる周辺地域の生活環境の保全等について適正な配慮がなされており、かつ、その他同法の定める要件に適合していると判断したものである。    

 イ ジョウソウは、環境資源から社名変更等を行ったものであり、法人格の変更はない。社名変更等の事実は履歴事項証明書で確認しており、審査請求人に対して令和3年3月26日に当該証明書も開示している。

 ウ また、群馬県において、審査請求人が主張するような特定地域に廃棄物処理施設が集中することを避けるための条例は制定していない。群馬県では、廃棄物処理施設の設置に関して、「群馬県廃棄物処理施設等の事前協議等に関する規程」を制定し、廃棄物処理法の手続を行う前に事前協議を実施するよう事業者に指導している。本件施設に係る事前協議書は、平成18年7月7日に提出されており、平成25年4月1日の同規程の一部改正で、設置を行おうとする施設が最終処分場の場合、他の最終処分場の敷地の境界からの距離が1 km以上あること(第7条第1号イ)等が追加された。

   なお、ここでの審査請求人の指摘は、いずれも上記事前協議規程に関するものであり、本件設置許可申請の審査において適用されるものではない。

 エ 山本群馬県知事による安中市長への訪問については、知事が許可処分の前に地元市長に群馬県の方針を伝えたものである。

 オ 廃棄物処理法は、産業廃棄物処理施設の設置の許可の申請が同法の定める要件に適合する場合においても、なお都道府県知事に対して、許可を与えるか否かについての裁量権を与えるものではないのであって、処分庁は、本件設置許可申請について、廃棄物処理法の定める要件について慎重に審査を行い、適合することを確認したため本件設置許可処分を行ったものである。

 

               理   由

 

 1 本件に係る法令等の規定

(1)廃棄物処理法

 ア 廃棄物処理法第15条第1項は、産業廃棄物処理施設を設置しようとする者は、当該産業廃棄物処理施設を設罹しようとする地を管轄する都道府県知事の許可を受けなければならないと規定する。

   同条第4項は、都道府県知事は、産業廃棄物処理施設について第1項の許可の申請があった場合には、当該施設の設置の場所等を告示するとともに、申請書等を当該告示の日から1月間講習の縦覧に供しなければならない旨規定する。

   同条第6項は、第4項の規定による告示があったときは、当該産業廃棄物処理施設の設置に関し利害関係を有する者は、同項の縦覧期間満了の日の翌日から起算して2週間を経過する日までに、当該都道府県知事に生活環境の保全上の見地からの意見書を提出することができることを規定する。

 イ 廃棄物処理法第15条の2第1項は、都道府県知事は、前条第1項の許可の申請が次の各号のいずれにも適合していると認めるときでなければ、同項の許可をしてはならないと規定し、同項第2号は、「その産業廃棄物処理施設の設置に関する計画及び維持管理に関する計画が当該産業廃棄物処理施設に係る周辺地域の生活環境の保全及び環境省令で定める周辺の施設について適正な配慮がなされたものであること。」と規定する。

(2)行政不服審査法

   行政不服審査法第18条第1項は、「処分についての審査請求は、処分があったことを知った日の翌日から起算して3月を経過したときは、することができない。ただし、正当な理由があるときは、この限りでない。」と規定する。

 2 審査請求期間について

(1)行政不服審査法第18条第1項本文は、処分についての審査請求は、「処分があったことを知った日」の翌日から起算して3か月以内にしなければならない旨規定するところ、処分の名宛人以外の第三者の場合については、諸般の事情から、上記第三者が処分があったことを了知したものと推認することができるときは、その日を上記「処分があったことを知った日」としてその翌日を上記第三者の審査請求期間の起算日とすることができるものというべきである(最高裁平成5年12月17日第三小法廷判決 民集47巻10号5530頁参照)。

(2)これを本件についてみると、審査請求人が令和3年3月10日に本件開示請求をする際に、対象となる公文書の内容等について群馬県環境森林部廃棄物 リサイクル課の職員に相談したことに争いはないものと解される。

   そして、審査請求人が上記の相談の後に開示を請求をした公文書が本件施設の設置許可証の写し等であることからすれば、審査請求人は上記の相談の際に同課の職員から本件設置許可処分があったことを告げられ同処分があったことを了知したものと推認するのが相当である。

(9)この点について、審査請求人は、上記のとおり、本件開示請求により開示された本件施設の設置許可証等が審査請求人の手元に届いて本件設置許可処分を確定的に認識した同月19日が処分があったことを知った日にあたると主張する。

   しかし、行政不服審査法第18条第1項本文は特段の制限を付することなく、単に「処分があったことを知った」と規定しているのみならず、審査請求人の主張するように設置許可証等が開示請求等により行政処分の名宛人以外の第三者に交付されるまで当該第三者が「処分があったことを知った」といえないとすると、行政処分の効果を一定期間の経過により確定させようとする同条の趣旨に反する結果を招来することは明らかである。また、同項は、ただし書において「正当な理由があるときは、この限りでない。」と審査請求期間の制限が解除される場合を規定しているから、このように解したからといって審査請求人にとって酷な結果になるとはいえない(京都地裁昭和 51年1月30日判決・判夕338号319頁参照)。

   したがって、「処分があったことを知った日」を審査請求人が主張するように解することはできず、審査請求人は令和3年3月10日に本件設置許可処分があったことを知ったものというべきである。

(4)また、審査請求人は、地元の巷間情報であっても「設置許可がなされた」という言葉を耳にしただけで「知った」とみなすのは、群馬県情報公開条例に照らしても明らかに矛盾するとも主張するが、上記(2)の認定は、審査請求人が地元の知人から設置許可がなされたことを耳にしたことを理由に処分があったことを知った日」を認めるものではないから、審査請求人の主張はその前提を欠くものであって採用できない。

(5)そうすると、本件審査請求は、審査請求人が本件設置許可処分があったことを知った日の翌日から起算して3か月を超えた後の令和3年6月18日になされたものであるから、審査請求期間を経過した後になされた不適法なものといわなければならない。

(6)そして、本件審査請求が審査請求期間を経過した後になされたことについて「正当な理由」(行政不服審査法第18条ただし書)に該当する事実も認められない。

 3 結論

   よって、本件審査請求は、不適法であるため、行政不服審査法第45条第1項の規定により、主文のとおり裁決する。

                            以上

 

 

                教  示

 

 この裁決については、この裁決があったことを知った日の翌日から起算して6か月以内に、国を被告として(訴訟において国を代表する者は法務大臣となります。)、裁決の取消しの訴えを提起することができますが、この裁決の取消しの訴えにおいては、不服申立ての対象とした処分が違法であることを理由として、裁決の取消しを求めることはできません。

 処分の違法を理由とする場合は、この裁決があったことを知った日の翌日から起算して6か月以内に、群馬県を被告として(訴訟において群馬県を代表する者は群馬県知事となります。)、処分の取消しの訴えを提起することができます。ただし、上記の期間が経過する前に、裁決があった日の翌日から起算して1年を経過した場合は、裁決の取消しの訴えや処分の取消しの訴えを提起することができなくなります。なお、正当な理由があるときは、上記の期間やこの裁決があった日の翌日から起算して1年を経過した後であっても裁決の取消しの訴えや処分の取消しの訴えを提起することが認められる場合があります。

 

 

                    環循規発第2301061号

 

 

この謄本は、原本と相違ないことを認証する。

 

 

令和5年1月6日

 

 

                環境大臣  西 村 明 宏

**********

 

■なんと環境省は第三者機関に本件を図ることなく、すぐさま裁決書で当会の審査請求に対して群馬県の言い分をすべて聞き入れ、門前払いをしたのです。

 

 当会は、これが前例となると、行政から口頭で処分の有無を告げられただけで、「処分があったことを了知した」と判断されてしまうことになるため、提訴すべきが熟慮を重ねました。なぜなら、裁判所に行政訴訟を提訴しても、裁判所は行政の肩を持つため、勝訴は全く望めないからです。弁護士をつけなくても、1件当たり1万3000円の手数料と切手代6000円を支出しなければならず、弁論期日には裁判所まで往復しなければならず、心身そして懐の負担を生じる上に、結果は絶望的だからです。

 

 それでも最後には思い直して、提訴期限ぎりぎりの2023年7月11日(火)に提訴することを決意し、その前に週末に急遽訴状を書き上げ、当日午前中に前橋地裁に、午後東京の霞が関に行き、東京地裁にそれぞれ訴状を提出しました。

 

【市民オンブズマン群馬・市政をひらく安中市民の会事務局からの報告】 ⇒ この記事つづく 

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東電の毒牙から赤城と県土を守れ!…関電工が政官と癒着して稼働中の前橋バイオマス発電所を巡る近況報告

2023-07-06 00:05:37 | 前橋Biomass発電問題・東電福一事故・東日本大震災

2017年末に完成し2018年3月から稼働中の前橋バイオマス発電所。右側が前橋バイオマス発電㈱の発電施設、左側が前橋バイオマス燃料㈱のチップ加工保管施設。年間約8万トンのチップ化した間伐材を流動床ボイラで燃焼させ、蒸気タービンで発電。出力6,750kW。年間発電量はほぼ一般家庭8,700軒分の消費電力量に相当(但し一般家庭の平均年間電力消費量を4,936kWh/年とした場合)

■株式会社関電工は、関東地方を中心に、電気設備工事、リニューアル工事、空調・給排水設備工事、電力工事、エネルギー工事、通信工事に携わる総合設備企業で、もともと東電系の企業として設立され、今でも東電パワーグリッドが46%の筆頭株主です。その名前から当初は、関西電力の子会社かと思っていましたが、松井田でバイオマス事業を手掛けて挫折したトーセンが設立した松井田バイオマス発電を継承し、2015年6月22日に前橋バイオマス発電株式会社と看板を架け替え、親会社の東電の威光をバックに前橋市苗ケ島町にある電中研の土地の一部を払い下げてもらい、周辺住民にきちんとした説明をしないまま、木質バイオマス発電所を建設し、2018年(平成30年)3月から本格的に運転をスタートさせて、早くも5年余りが経過しようとしています。

 

 このバイオマス発電所には、トーセンが主体となって木質チップ燃料を供給する前橋バイオマス燃料の施設が隣接しており、発電・燃料双方に、自民党群馬県連の重鎮が仕切る群馬県森林組合連合会(県森連)や、その息のかかる群馬県素材生産流通協同組合(素材協)も一部出資をしています。いわば、FIT補助金獲得と東電福島原発事故による県内の放射能汚染樹木の焼却処分を目的に群馬県の政官と癒着して、しゃにむに推し進めた事業です。

 

 そうした政官の思惑を背負って事業主体となった関電工ですが、周辺住民が懸念していた通り、群馬県環境森林部は、本来であれば、排ガス量4万㎥以上の火力発電設備に義務付けられる環境アセスメントを、「木質チップの水分は、燃やしても水蒸気だから」として排ガス量を低く査定し、免除してしまいました。そのため、騒音や、放射能汚染の間伐材燃焼による大気や排水についても、すべて不問同然としてしまったのです。

 

 そのため、周辺住民の皆さんの意向をもとに、当会では住民訴訟を提起しましたが、政治圧力や行政に忖度する地元の前橋地裁はもとより、東京高裁でも住民側の訴えはことごとく退けられてしまい、最後の頼みの最高裁さえも、政官と東電に加担して、三行半の棄却判決を出す始末です。

2021年01月15日:東電の毒牙から赤城と県土を守れ!…当会の上告理由書と上告受理申立書を最高裁第三法廷が棄却!

https://blog.goo.ne.jp/ogawakenpg/e/4b08a4e564cd4120feaa90b52367afda

※また、前橋バイオマス発電を巡るこれまでの経緯は次の記事を参照ください。

前橋Biomass発電問題・東電福一事故・東日本大震災

https://blog.goo.ne.jp/ogawakenpg/c/4ae0ef6e75d21f8b1a3c9c3090414d60

 

■バイオマス発電所が稼働後も、相変わらず騒音レベルは環境基準に収まっておらず、住民の皆さんは前橋市環境部に関電工への行政指導を再三お願いしてきました。しかし、現在に至るまで、関電工はのらりくらりしており、前橋市も関電工に対して及び腰です。

 

 当会が提起した住民訴訟の最終段階で、証人尋問が行われ、関電工の事業責任者が法廷で証言しました。その際、騒音対策については前橋市行政の指導に沿って適切に対処している」という趣旨を裁判官の前で明言していました。しかし、その後、現在に至るまで騒音は基準内に収まっていません。

 

 証人尋問に先立ち、証人は「ウソは言いません」と宣誓書を裁判長の前で読み上げさせられます。関電工の責任者は、騒音対策は適切に取っているから騒音の問題はない、と明言したのに、未だにそうなっていないのは、ウソをついていたことになります。そこで、当会は、地元住民の皆さんの同意を得て、2021年10月8日に、前橋地検に次の告訴状を提出しました。

 

*****2021/10/08告訴状*****

              告 訴 状

                           令和3年10月8日

前橋地方検察庁検事正 山口 英幸 殿

 

                    告訴人 小川 賢(自著押印)

 

1 告訴人  住  所 〒379-0114 群馬県安中市野殿980

       氏  名 小川 賢(市民オンブズマン群馬・代表)

       生年月日 昭和27年3月5日

       電話番号 090-5302-8312

 

2 被告訴人 住  所 〒371-0241 群馬県前橋市古市町215-6

       氏  名 福本雅邦

       職  業 前橋バイオマス発電株式会社・代表取締役

       電話番号 027-288-0594

 

3 告訴の趣旨

  被告訴人の行為は、「4 告訴事実」に書いたように、法廷偽証罪に該当する(刑法第169条に違反)と思料するので、被告訴人について刑事上の処罰を求めるため、ここに告訴する。

 

4 告訴事実

  平成31年4月24日、群馬県前橋市大手町3丁目1番34号前橋地方裁判所民事第1部第21号法廷において、平成28年(行ウ)第27号請求事件の証人として宣誓の上、全く虚偽であることを知りながら、裁判長から「騒音について前橋市のほうから何らかの連絡のようなものがあったのか」とする質問に対して、

  「それに対して、その音を管理基準の45デシベル以下にするための少なからず応急処置的な対策は速やかに打って、その数字以下になったというところを確認するまで実際仕事としてはやらせていただいて現在運転をしているところです。」

  また、告訴人の「スパイク音を無くして運転しているということですね。」との質問に対して、

「管理基準値以下にするようにしてですね。」

さらに、告訴人が「いや、スパイク音というのを除去して運転されているということですね。現在はね。問題はないということですね」との質問に対して、

  「問題のない数字になっています。」

などと、あたかも騒音対策に万全を期して管理基準値をクリアしたかの如く虚偽の陳述をし、もって、偽証したものである。

 

5 告訴の経過

(1)被告訴人は、群馬県前橋市苗ケ島町2550-2に、群馬県の森林組合等から調達した間伐材など年間約8万トンを集めて、それらをチップ化して燃料としてボイラーで燃やし、汲み上げた地下水を加熱して蒸気をつくりタービンを回して発電する方式の出力6750kWのバイオマス発電施設を、平成30年3月から稼働させている。

(2)ところが、この施設は、近隣の住宅地から僅か150mしか離れておらず、しかも、排ガス量が毎時4万ノルマル㎥を遥かに超えるため、騒音や大気汚染、さらには放射能を浴びた群馬県内の北部森林地帯から間伐された木材を燃焼させることによる放射能の影響を強く懸念した周辺住民らが、施設の計画段階で開催された説明会で、環境アセスメントの実施を要請した。

(3)ところが、被告訴人は一方的に説明しただけで、周辺住民の意見に耳を傾けようとせず、結局、排ガス量が毎時4万ノルマル㎥を超えていて、群馬県の環境影響評価条例に該当する施設であるにも関わらず、使用する木材の水分量が多いため、排ガス中の水蒸気は排ガスとしてカウントしないまま、騒音、排ガス、排水など周辺住民の生活環境保全に必須な環境アセスメントを実施しないまま、上記(1)のとおり平成30年3月から本格稼働させた。

(4)被告訴人の発電施設では、ボイラー、モーター、コンプレッサー、送風機、チップ搬送ベルトコンベア等の機械を使用しているが、これらの機械は年中無休で24時間休みなく稼働し、騒音を発し続けている。

(5)これらの騒音により、周辺住民らは、安寧な生活環境を妨害され、血圧の上昇、動悸、睡眠不足等の被害を受けている。

(6)そのため、周辺住民らは、被告訴人に対し、再三、対策の実施を申し入れたが、被告訴人は、何ら誠実な対応を示さなかった。

(7)やむなく周辺住民らは、前橋市の環境課に苦情を申し出て、騒音測定をしてもらったところ、敷地境界では、規制基準値を超える結果が平成30年12月に確認された。(証拠資料1:平成30年12月騒音測定結果参照)

(8)このため、平成31年1月に前橋市は規制基準を超過していることを被告訴人に伝え、発生音の改善について行政指導を行った。しかし、その後も実効性のある対策を被告訴人が実施しなかった。

(9)そして、前橋市による騒音測定の結果、令和3年4月に規制基準値を超過していることが再び確認された。(証拠資料2:騒音についての行政指導、証拠資料3:令和3年4月騒音測定結果参照

(10)そこで、平成30年12月に測定された結果と令和3年4月の結果を比較すると、ベースとなっている騒音が約4㏈増加していることが判明した。また、チップを運ぶベルトコンベアの擦れ音は施設操業時から発生して全く改善されていない。(証拠資料4:平成30年12月・令和3年4月騒音時系列グラフ参照

(11)周辺住民らが居住する住宅地およびその近辺は、比較的静穏で良好な環境にあり、特に夜間の騒音は、非常に耳障りで、心身に多大な悪影響を及ぼすものである。また、せめて、土日ぐらいは静穏な環境で生活を送りたいというのが周辺住民らの心情である。

(12)この問題につき、周辺住民らは、被告訴人が環境アセスメントの実施もせずに操業を始めようとしたため、騒音の源になるボイラー、送風機、コンベヤ、コンプレッサーなどの騒音による生活環境の保全確保の観点から、上記(2)のとおり、環境アセスメントの実施について群馬県を通じて被告訴人に申し入れた。

(13)ところが被告訴人は、燃料の木質チップが水分を多量に含むため、大半は水蒸気だから排ガス量は毎時4万ノルマル立米未満だと主張し、なんらアセスメント実施に応じようとしなかった。

(14)そこで告訴人らは、前橋地裁に差止と施設整備に対する補助金の取消しを求めた住民訴訟(前橋地裁平成28年(行ウ)第27号)を前橋地裁に提訴した。結果的に原審は、令和元年10月31日に告訴人ら住民側の請求を棄却し、控訴審(東京高裁令和元年(行コ)第316号)では令和2年6月22日に、上告審(最高裁第三小法廷令和2年(行ツ)第260号・令和2年(行ヒ)第298号)も令和3年1月12日に、いずれも住民側の請求を退けた。

(15)こうしたなか、被告訴人は、平成31年4月12日に原審の前橋地裁で開かれた証人尋問で、宣誓書を朗読後、「騒音対策は実施済みで基準値をクリアしている」と証言を行ったが、上記(4)から(10)に照らせば、法廷で虚偽の陳述をしたことは明らかである。(証拠資料5:尋問調書抜粋参照

(16)被告訴人が、虚偽の陳述を行ったことにより、裁判所は被告訴人がしっかりと騒音対策を実施しているものと判断したため、周辺住民らの悲痛な訴えが棄却されてしまった。(証拠資料6:前橋地裁判決文抜粋参照

(17)そもそも、偽証罪が保護しているのは、国家の審判作用の適正性の担保である。裁判においては、裁判官がさまざまな証拠を取り調べたうえで事実を明らかにしていき、判決を下す。証拠のなかには物的なものだけでなく参考人などの証言も含まれるため、証言に虚偽があれば正確な審理結果が期待できない。

(18)被告訴人の行った偽証は、法治国家である我が国の平穏な市民生活の治安秩序を乱すものであり、しかも、被告訴人は東京電力グループで最大の子会社である関電工の幹部職員でもあり、その社会的影響は大きい。こうした人物が法廷で虚偽の陳述をしたことが見過ごされたりすれば、我が国の社会生活の健全性が公然と踏みにじられたことを意味し、重大事である。

(19)よって、告訴人はこのようなことを断じて許すことができないので、厳重な捜査の上、被告訴人を厳罰にして頂きたく、ここに告訴するものである。

(20)なお、最後になりますが、告訴人は、本件に関し、以後捜査に関して全面的な協力をすること、および、捜査機関の指示ないし許可なく取下げをしないことを、ここにお約束致します。

                                  以上

 

                証拠資料

  • 平成30年12月騒音測定結果
  • 騒音についての行政指導
  • 令和3年4月騒音測定結果
  • 平成30年12月・令和3年4月騒音時系列グラフ
  • 尋問調書(抜粋)
  • 前橋地裁判決文(抜粋)

 

                添付書類

  • 証拠資料写し 各1通

**********

 

■実は告訴状は、最初群馬県警にも提出したのですが、「本件は、法廷偽証罪という司法判断に関連することから、直接地検に提出してほしい」と言われました。確かに捜査をするまでもなく、書類で判断でき、あとは当事者本人からヒヤリングするなり、必要であれば現場を一度視察すれば事足りるからです。

 

 その後、1年半が何事もなく過ぎました。地検はやはりやる気がないのかな、と思い始めた矢先、住民の皆様から情報をいただきました。それによると、2013年1月26日の大寒波に伴う暴風でバイオマス発電施設が故障のため停止し、最近ようやく再稼働したようだが、関電工の関係者で証人尋問を受けた当事者が、地検から呼び出しを受けたらしい、ということです。

 

 やっと地検が腰を上げたので、近日中に何らかの連絡が来るかな、と思っていたところ、案の定、年度末ギリギリで、地検から処分通知書が送られてきました。ご覧のとおり、「不起訴処分」とあります。担当検事が、在任中、棚の上にのせていた懸案事件を異動直前に、しれっと不起訴にして処分通知を出すのは慣例化していることがうかがえます。

 

 当会では、騒音が改善されていないことを示す前橋市の測定結果を提出していたことから、なぜ不起訴処分になったのか、「起訴猶予」か「嫌疑不十分」か、それとも「嫌疑なし」なのか、はっきり知っておく必要があったため、あらためて、地検に不起訴処分の理由を文書で問い合わせました。すると、新年度になり新しく前橋地検に異動してきた別の検事名で、不起訴処分理由告知書が4月10日付で送られてきました。

■不起訴処分の理由を見ると「嫌疑不十分」とあります。騒音が現在でも閑居基準をクリアできていない状況を示す証拠を提出しているにもかかわらず、担当検事は法廷偽証罪に係る告訴に対して「嫌疑不十分」と判断したのですから、訳がわかりません。明らかに大企業やそれにたかる自民党県連の重鎮や、群馬県環境行政に対して、検察まで忖度していることがうかがえます。

 

 そこで、やむなく当会は、6月5日に前橋地裁を訪れて、新館4階にある前橋検察審査会の事務局に行き、以下の審査申立書を提出しました。

 

*****2023/06/05審査申立*****

審 査 申 立 書

前橋検察審査会 御中

 

申立年月日  令和5年6月5日

 

申 立 人

  資 格   告訴人

  住 所   〒379-0114

        群馬県安中市野殿980

  電話番号  090-5302-8312

  年 齢   71歳(昭和27年3月5日生)

  職 業   会社員

  氏 名   小 川   賢     (印)

 

 申立人は、以下の公訴を提起しない処分に不服があるため、検察審査会法第30条に基づき、貴会に対し、その処分の当否の審査を申し立てます。

 

第1 罪状

   偽証

 

第2 不起訴処分年月日・事件番号

   令和5年3月28日(令和3年検第1899号)

 

第3 不起訴処分をした検察官

   前橋地方検察庁 検察官 検事 黒澤 葉子

 

第4 被疑者

   氏名 福本 雅邦

   年齢 59歳(生年月日不祥)

   職業 会社員(前橋バイオマス発電株式会社・代表取締役)

   住所 〒371-0844群馬県前橋市古市町215-6(関電工群馬支社)

      〒371-0241群馬県前橋市苗ケ島町2550-2(事業所)

 

第5 被疑事実の要旨

 1 被疑者が策定した環境配慮計画の概要

   平成28年4月15日、被疑者が関電工の戦略事業本部環境エネルギー発電事業部職員として、バイオマス発電建設事業の実務の総責任者であるときに、「環境配慮計画」を策定し、同年5月18日に前橋市に提出した。同計画は、前橋市から平成28年5月25日に群馬県に参考送付として提出されたが、その中で、環境管理体制として、バイオマス発電の社長を運営協議会の会長とし、発電所の所長とバイオマス燃料の工場長の直轄下に公害防止責任者をそれぞれ置くことが示されている。さらに、自主管理基準の遵守状況の確認・審査、住民対応状況の確認、その他環境に関する方針等の決定をすることなども、その環境配慮計画に記載されている。

   環境配慮の項目は、大気関係、水質関係、騒音・振動関係、放射性物質関係、廃棄物関係からなっており、騒音・振動では、騒音の自主管理基準は、8時から18時で55㏈以下、6時から8時及び18時から21時で50㏈以下、21時から翌6時で45㏈以下とし、これは騒音規制法、群馬県の生活環境を保全する条例の第2種区域の規制基準と同等に定めた。

 2 騒音等に関する被疑者の不十分な対応の推移

   騒音等に関し、前橋市とバイオマス発電関係の責任者である被疑者や、被疑者が代表を務める事業者である前橋バイオマス発電(株)の状況を時系列で確認しておく。まず、赤城南麓周辺は、騒音規制法、群馬県の生活環境を保全する条例の区域外であり、騒音・振動の規制は無く、夜間など30㏈強の静けさが確保されており、騒音規制基準でいえば第1種区域以下となり、地域住民の中には、療養として移住している者もいたほどである。

   しかし、前橋市は、バイオマスの建設計画を事業者と推進するために、騒音規制外の建設地をピンポイントで特定し、そのエリアにおける騒音・振動規制を口頭で定めるなどして、発電所建設が計画通りに進むよう事業者側の立場を配慮したかたちで、円滑な手続きのための地ならしを行った。もちろん、通常は市から動くというようなことは無いので、被疑者らが持ち掛けたことは明白である。本来、行政である公務員の使命は住民保護であるはずだが、実際には、生活環境の悪化のリスクを懸念する住民の反対を押し切って、前橋市は不当にも、こうした生活環境の悪化をもたらす一連の地ならしを推進した。

   環境配慮計画では、主要な音源である移動式チッパーによる間伐材のチップ加工について、事業者が移動式チッパーを建屋内に設置することで音源からの騒音の拡散を抑制してチップ加工を行う、という方式の採用を明文化している。ところが、それとは裏腹に、事業者は、当初からチッパーを建屋外に設置し、屋外でチップ加工を実施している。素人が考えても、建屋の開口部を塞ぐなど音漏れ対策を施した屋内でチップ加工するのが常識だが、事業者はそれをせずに、移動式チッパーを屋外に置きチップ加工を実施する状況が現在まで続いている。

   前橋市宅地開発指導要綱に基づく事前協議に関する覚書(平成27年9月29日付)の中で、第5条の注意事項として、「乙丙が行う各種工事の施工に当たっては、周辺住民に事業内容を良く説明し、了解を得て現在及び将来においてトラブルが生ずることのないよう努めなければならない」と記載されている。乙とは、被疑者が今計画の総責任者であった前橋バイオマス発電(株)のことである。また、宅地開発事前協議に関する指示事項として、「2 環境政策課からの指示」として、「騒音及び振動については、敷地境界において、第2種区域と同等の対策を講じること」と明記されている。しかし、この時点では、赤城南麓は、騒音・振動の規制対象外区域である、まだ第2種区域には指定されていないことになる。

   平成27年10月3日に開催された事業者による第1回説明会において、騒音・振動に関する環境基準が初めて住民に開示された。内容は、前橋市との宅地開発事前協議に関する指示事項に準じた。平成27年12月20日の第2回説明会において、主な騒音対策として、「音の発生源となるチッパーは、遮蔽効果のある建屋内に設置します」と明記してある。

   騒音測定作業および空間線量率測定作業のお知らせ(平成27年10月25日付)を周辺住民に配布し、平成27年10月28日午前10時から同月29日午前12時まで実施した。

平成28年1月20日、前橋市は赤城南麓一体まで都市計画区域を拡大し、そこを騒音・振動規制の対象区域として指定する方針である旨、突如新聞発表した。そして、市民への周知期間も設けず直後の同年2月1日から29日まで僅か一か月間、パブリックコメントを募集し、同年4月1日から施行する旨を発表した。事実上の決定、施行であり、それまで、なんの議論もなされずに、住民には具体的内容や経緯など何も知らされないまま、前橋市は、いきなり新聞発表をしたのであった。新聞発表された記事には、「目的として、住環境を守る」と記されたが、完全なる住環境破壊そのものであり、前橋市が被疑者らの環境破壊を目論む事業をバックアップすることを意図したのは明らかである。

   なぜなら、前橋市が、前橋市宅地開発指導要綱に基づく事前協議に関する覚書を被疑者が代表を務める事業者と取り交わした平成27年9月29日の4か月後に、発電所設置予定地を含むエリアを、両社で勝手に「騒音・振動規制の第2種区域に指定する」ことを取り決めしてしまい、さらに市民への周知期間も設けずに、大慌てで平成28年2月1日~29日に市民にパブリックコメントを求めることは、常識的にあり得ないことだからである。前橋市は被疑者の都合のよい工事日程に合わせ、本来、騒音・振動規制の第1種区域であった場所を、第2種区域に指定する準備を整えてやって、被疑者の事業を進めさせ、後追いで当該の第2種区域に指定した。こうした不適切な行為は、絶対にあってはならないことである。

平成28年8月27日、住民らは被疑者ら3名と打ち合わせした。

平成30年2月2日、住民らは、前橋市環境政策課と打ち合わせし、騒音・振動が環境基準を超えた場合、市の方から改善命令や行政指導を行うことを確認した。

平成30年2月22日、住民らは事業者の最大の出資者である関電工と打ち合わせた。

平成30年3月4日、前橋バイオマス発電(株)が営業運転を開始した。

平成31年2月3日、住民は、前橋バイオマス発電(株)の工場長経由で被疑者あてに以下の内容のメールを送付した。

(以下、メール内容の引用はじめ)

       関電工 遠藤さま

       毎々、お世話になります。

       お手数ですが本メールを(株)前橋バイオマス発電代表取締役

       福本雅邦氏及び関電工バイオマスプロジェクト代田氏へ転送頂

       きたくお願いします。

       

       福本さま 代田さま

       ご無沙汰しています。赤城山の自然と環境を守る会の野原です。

       昨年の発電所稼働時から、燃料会社のチッパー騒音、発電所の

       再稼働時の爆音及び日常の騒音についての再三、苦情を伝えて

       ありますが一向に誠意ある対応がなく、大変遺憾に感じていま

       す。

       今回、燃料工場と発電所は騒音規制法で定められている騒音規

       制の特定工場であること確認いたしました。法令で定められて

       いる騒音規制値の遵守状況を確認したく早急に打合せを実施お

       願いします。

       御社が前橋市へ提出した環境配慮計画に記載されている住民へ

       の対応を遵守していただきたくお願いします。

       2月6日までに打合せ日程の回答をください。

       赤城山の自然と環境を守る会

(以上、メール内容の引用おわり)

平成31年6月28日に発表された決算報告書によると、被疑者が前橋バイオマス発電(株)の代表になっているが、平成30年当初には、バイオマスプロジェクトの本部長になると同時に社長になったと思われる。これは、関電工関係者との話し合いや会議の中で聞いた情報である。発電を開始したのは平成30年3月4日であり、この前後には社長になり業務引継ぎ等で繁忙になり多少、住民の苦情等の情報が上がってこなかったり、工場責任者任せになったりした事情があったのかもしれない。だが、逆に、環境配慮計画に記されているように、発電所の社長は、公害防止に係るすべての責任を取ることになっており、第3回口頭弁論が行われた平成31年4月24日時点で、被疑者は、住民からの苦情の主だった内容である騒音問題を知らなかったはずが無いことは明白である。また、検察の最大の役割は、捜査により事実関係を明らかにしなければならないことから、公害防止責任者や苦情窓口である工場長に、「被疑者に報告したのか」と問えば済むはずである。この経緯は、運営協議会の議事録を見れば明らかであり、地検の「嫌疑不十分」の判断は明らかに失当である。仮に、協議会が開催されていなかったり、議事録が無かったりすれば、それ以上に問題である。

 3 被疑者の偽証陳述が及ぼした判決への影響

   被疑者が偽証陳述を行ったことによって、原告の請求の一部が以下の内容で棄却されている事実を検証すべきである。

  (1) 判決の事実と理由における裁判所の判断

    申立人が提起したバイオマス補助金支払差止請求事件(平成28年(行ウ)第27号)の判決の「事実及び理由」の「第3 当裁判所の判断」「3 争点1(本件事業の補助事業としての適格性)」「(4) 環境配慮計画について」のウ(判決文のページ33の最下段)において、「上記(1)アのとおり、本件発電事業の不適合性は、本件補助の交付決定の違法性を基礎づけるものないものの、事案に鑑みて判断すると、確かに、本件発電事業における夜間の騒音が騒音規制法の定める基準値を超えていた事実は認められる(甲78)。しかしながら、証拠(証人福本)によれば、本件発電事業による夜間の測定基準が騒音規制法の基準値を超えることとなったのは、前橋市による騒音の測定基準が変更されたためであり、前橋バイオマス発電(株)は、平成31年1月から2月頃、前橋市からの指摘を受け、騒音規制法の基準値以内となるよう対策を行っていることが認められ、騒音規制法違反の状態は是正されていることからすれば、本件発電事業が違法操業状態であるとは認められず、原告らの上記主張は理由がないから採用することができない。」

  (2) 偽証の事実

   ア 被疑者は、「前橋市による騒音の測定基準が変更された」と証言したが、これは偽証である。なぜなら、前橋市の測定は環境規制法で定められた測定法であり変更した事実はないからである。また、前橋バイオマス発電(株)は、騒音規制法で定められた特定工場に該当している。

   イ 被疑者は、「前橋市からの指摘を受け、騒音規制法の基準値以内となるよう対策を行った」と証言したが、これは偽証である。そもそも、特定工場等において発生する騒音及び特定建設作業に伴って発生する騒音について規制する地域として指定した地域であり、この指定地域での測定は、同法第21条の2に基づき、前橋市長が、騒音の大きさを測定するもので、前橋バイオマス㈱が騒音測定できるものではない。さらに、平成31年4月24日までに前橋市により、騒音規制法の基準値以内に対策されたことは確認されていない。

   ウ その事実を裏付けるもとして前橋市による令和3年12月、令和4年12月の騒音測定の結果に基づき、前橋バイオマス発電(株)は騒音規制法の基準値超えで行政指導されている。

   エ 検察の最大の役割は、捜査であり、証拠を発見、収集、保全する手続きをしなければならないことを考えるならば、被疑者の当該裁判での偽証は、裁判判決に重大な影響を及ぼす結果となり、裁判内容を明らかに歪めた。再調査を実施することにより、被疑者が口頭弁論で、「騒音・振動規制値をオーバーし、行政指導を受けたことは無い」という証言は、「行政指導をした」とする前橋市の山本市長の回答と正反対である。このことは、再度調査を実施し、本件関係者から事実関係について聴取すれば、容易に明らかになるはずである。いくら東京電力の筆頭子会社の管理職であり、前橋バイオマス発電(株)の代表取締役であっても、裁判を軽視した虚偽証言は許されるものではない。検察審査会においてきちんと検証する必要があるため、ここに審査を申し立てるものである。

                               以上

 

証拠資料

1.告訴状                       写し 1通

2.追加証拠資料送り状                 写し 1通

3.訴状(全部)                    写し 1通

4.証人調書(全部)                  写し 1通

5.判決文(全部)                   写し 1通

6.原告準備書面(10)(全部。関連する甲号証含む)   写し 1通

7.騒音測定結果(前橋市役所による測定を明記)     写し 1通

8.処分通知書                     写し 1通

9.不起訴処分理由告知書                写し 1通

**********

 

■すると、6月6日付で前橋検察審査会の事務局から、受理通知が送られてきました。

 

■このため、審査申立てをしてから1か月が経過しようとする直前の7月5日に、追加資料として以下の文書を前橋検察審査会事務局に提出してきました。

 

*****7/5追加資料*****

                          令和5年7月5日

前橋検察審査会 御中

 

                          申立人 小川 賢

 

      不起訴処分を不当とする理由の補足資料の提出について

 

 下記案件について、不起訴処分を不当とする理由の補足に必要と考える資料を「追加資料」として、本状に添付して提出いたします。

 よろしくご査収くださるようお願い申し上げます。

 

 

1 審査申立人   小 川   賢

2 被 疑 者   福 本 雅 邦

3 罪   名   偽証

4 申立受理日   令和5年6月6日

5 事件番号   令和5年(申立)第7号

 

                               以上

 

=====追加資料=====

                     令和5年7月5日

 

           追加資料

 

                   審査申立人 小川 賢

 

 

事業者である前橋バイオマス発電㈱による、地域住民の安心・安全な生活環境の保全を蔑ろにした事業運営に対し、憤りを感じ、赤城山の自然と環境を守る会を結成して活動してきている地域住民は、事業者の親会社である㈱関電工取締役社長に「申入れ書 前橋バイオマス発電(株)の騒音公害クレームについて(お願い)」(添付資料1参照)を令和3年9月9日付で提出しました。

 しかし、遺憾なことに、現在まで関電工から何の回答も頂いておりません。

 このように、関電工、前橋バイオマス発電(株)とも地域住民への説明責任を無視した企業運営を行っている現状です。

 一方、地域住民のうち、赤城ビュータウンに住んでいる住民らは、生活水として前橋バイオマス発電(株)の敷地から約80m離れたところの井戸水を使用しています。

 すると、令和4年10月ごろ、井戸水の水温が24~25℃と異常に高いことに気づきました。それまで、この井戸水は17℃~18℃が通常でした。

 事業者が運転している前橋バイオマス発電所では、タービン発電のために使用している高圧・高温の蒸気をボイラーに戻す際に、タービンから出てきた蒸気を復水器で冷却するため、膨大な地下水をくみ上げて使用しています。

 この冷却水は地下水ですが、コスト節減のため、事業者は前処理も施さずにそのまま冷却用に使っているため、繰り返し使うと濃縮されボイラーや配管の内部にスケールと呼ばれる湯垢がこびりつくため、一度冷却用に使っただけで、温水状態のまま、地下浸透方式で排水処理されています。

 たしかに、夜間の騒音レベルが騒音規制法で規定されている基準値を超えている事実と、この排水処理問題との関連については、事実関係が証明されているわけではありませんが、住民らが日々使用している井戸水の水温上昇との因果関係の観点から、十分に要因となりうる可能性があります。

 このことについて、住民らは、令和5年2月10日付で前橋市へ緊急要請書を提出していますが(添付資料2参照)、前橋市からは、現在まで明確な回答がありません。

 ちなみに、前橋バイオマス発電とほぼ同時期に新潟県三条市にてほぼ同じ規模の木質バイオマス発電所が稼働しています。前橋バイオマス発電所の近隣住民が、令和5年7月4日に、三条市の地域住民の方に連絡をとったところ、三条市のバイオマス発電所に関する情報を頂くことができました。

 それによると、三条市のバイオマス発電所の温排水は、排出口で温度が38℃あり、直径100mmの塩ビ管で排出しているとのことです。排出量は、正確にはわからないというものの、おおよそ毎時15トンのようです。

 更に、発電用ボイラーに投入する木質燃料として使われる間伐材は、密閉された建屋のなかでチップ加工を実施していて、粉じん、騒音対策がしっかりと実施されているとのことです。関電工を主体に、トーセン、県森連(群馬県森林組合連合会)、素材協(群馬県素材生産流通協同組合)が出資する前橋バイオマス発電・燃料施設では、間伐材のチップ加工は、移動式のチッパーと呼ばれる粉砕機を屋外で稼働させており、周囲に騒音と粉じんをまき散らしていても平然なのに比べると雲泥の差です。

 こうしたバイオマス発電所に関する情報ですが、前橋バイオマス発電の場合、前橋市を通しても、また事業主体の関電工に問い合わせても、さっぱり聞き出せない情報が、三条市の場合、行政や事業者から何の隠し立てもなく公開されていることに、群馬県民として、驚きを禁じえません。

 とりわけ、三条市のバイオマス発電所の住民対象の見学会はこれまでに何回も実施されたそうですが、前橋バイオマス発電所は、建設完了時に一度だけ件学会を実施しただけで、稼働後でも必ず見学会を開くと言って、その後、一度も件学会の開催要請に応じようとしない事業者の前橋バイオマス発電や親会社の関電工との企業体質の違いに、あらためて驚かされます。

 事業者が、きちんと住民の安心・安全な生活環境の保全に真に目覚めるよう、事業者の責任者による法廷での偽証という重大な罪の意味をぜひとも認識させていただきたくよろしくお願い申し上げます。

 

                                 以上

 

添付資料1:令和3年9月8日付地域住民団体から関電工社長あて申入書

 

添付資料2:令和5年2月10日付地域住民団体から前橋市長あて緊急要請書

 

**********

 

■さて、前橋検察審査会ではどのような判断をしてくれるでしょうか。これまで一度も不起訴不当と決定してもらったことがないだけに、当会としても今度こそという気持ちで結果を注視してまいります。

 

【市民オンブズマン群馬事務局からの報告】

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