市政をひらく安中市民の会・市民オンブズマン群馬

1995年に群馬県安中市で起きた51億円詐欺横領事件に敢然と取組む市民団体と保守王国群馬県のオンブズマン組織の活動記録

狩野浩志県議の公選法・政治資金規正法違反不起訴処分に異議あり!当会が検察審査会に審査申立て

2023-03-23 23:47:26 | 政治とカネ

当会の審査請求申立を報じる3月23日付上毛新聞記事

■一昨年の2021年2月の前橋市議会選挙を巡る一連のカネを巡る不正疑惑について、有権者の皆様方からの情報提供を基に3件の告発を前橋地検にしてきましたが、昨年12月12日付、今年1月27日付と次々に不起訴処分通知が地検から届きはじめ、そして最後の本丸と目してきた狩野浩志県議の選挙買収事件についても、2月28日付で前橋地検の土屋大気検事から不起訴処分通知が送られてきました。

 このため、広島県内で起きた同様の買収事件である河井夫妻に対する司法判断と大きく異なり、群馬県における独特な政治風土が醸し出した今回の検察による画期的な無法「特区」群馬県を認定しかねない処分の扱いについて、当会では3月14日の定例会で参加会員に諮りました。すると、「満場一致で検察審査会に審査を申し入れるべきだ」とする方針が決定し、さっそく3月22日に、以下のとおり前橋検察審査会に2件の不起訴処分について審査を申し立てました。

*****3/21審査申立書(公選法違反)*****
            審 査 申 立 書
前橋検察審査会 御中

申立年月日  令和5年3月22日

申 立 人
  資 格   告訴人
  住 所   〒371-0801
        前橋市文京町一丁目15-10
  電話番号  090-9134-2942
  年 齢   71歳(昭和26年9月10日生)
  職 業   自営業
  氏 名   鈴 木   庸     (印)

 申立人は、以下の公訴を提起しない処分に不服があるため、検察審査会法第30条に基づき、貴会に対し、その処分の当否の審査を申し立てます。

第1 罪状
   公職選挙法違反

第2 不起訴処分年月日・事件番号
   令和5年2月28日(令和4年検第429号)

第3 不起訴処分をした検察官
   前橋地方検察庁 検察官 検事 土屋 大気

第4 被疑者
   氏名 狩野 浩志
   年齢 62歳(昭和35年8月23日生)
   職業 政治家
   住所 〒371-0018前橋市三俣町2-20-7

第5 被疑事実の要旨
   被疑者は、群馬県議会議員の公職にあるものであるが、法定の除外事由がないのに、令和3年1月31日から2月6日頃、選挙事務所などにおいて、前橋市議会議員選挙の行われる区域内にある以下に示す5人に対し、封筒に入れた現金を供与し、もって当該選挙に関し、寄付をしたものである。
      阿部忠幸 10万円
      新井美香 5万円
      鈴木数成 5万円
      鈴木俊司 10万円
      豊島孝男 5万円

第6 不起訴処分を不服とする理由
   申立人は一昨年2021年2月7日に投開票された前橋市議選を巡って取りざたされた公選法違反やそれに関連する政治資金規正法違反について、寄せられた情報や証拠に加え申立人の独自調査をもとに3件の告発状を前橋地検に提出した。すると1年余り経過した昨年2022年3月24日の報道で、これら3件の告発状が受理されたことを知り、同3月25日に群馬県庁で記者会見を開いた。
   その後、同4月に前橋地検で本件担当の藤井検事が八王子地検に異動し、後任の検事が警察と合同捜査を続けていたようだが、昨年12月12日に突然、1件目の公職選挙法違反事件の被疑者小島大輔に関する不起訴処分が下され、12月14日に通知書が郵送されてきた。
   そして、今年に入り、1月27日に、2件目の政治資金規正法違反事件の被疑者内田康雄、吉野貴幸、狩野浩志に関する不起訴処分が下され、1月30日に通知書が申立人あてに郵送された。このことについて1月31日の記者会見で報告した。
   その後、地検に不起訴理由を確認したところ、「起訴猶予」であることがわかった。
   そして、2023年3月3日、申立人に、最後に残った狩野浩志の公職選挙法違反容疑に係る申立人の告発に対して、前橋地検から2月28日付で「不起訴処分通知書」が郵送で届けられた。この後、地検に不起訴理由を確認したところ驚くべきことに「嫌疑不十分」であることがわかった。
   前任の藤井検事から、何度も告発書の内容について書き直しの指示があり、前向きな対応を続けている様子がうかがえていたにもかかわらず、検事が交代後、地検に進捗を問い合わせても反応がなく、懸念が膨らみつつあったところ、今回の不起訴処分通知が為されたものである。
   本件について、別件である政治資金規正法違反容疑と同様に、多くの証拠を添えて告発していたが、なぜ不起訴になったのか、誠に不可解である。県議選の投開票日まで、あと1か月余りと迫ったタイミングから、前橋地検としては、既に出馬の意向を表明している狩野浩志に対して、「安心して」立候補できる環境を整える意味でも、このタイミングで申立人に不起訴処分通知を発したものと思料される。
   狩野浩志による2021年2月の前橋市議選を舞台にした買収事件で思い起こされるのは、2019年7月に行われた第25回参議院議員通常選挙の広島県選挙区において立候補していた自由民主党の河井案里を当選させるために、その夫であり自由民主党の衆議院議員でもある河井克行が、案里と共謀して大規模な買収行為を行った事件である。この結果、案里は当選し、また克行も同年9月11日、安倍晋三内閣において法務大臣に就任した。しかし、同年10月30日以降にこの選挙違反疑惑が報じられ、10月31日に克行は法務大臣を辞任した。参議院選挙から11ヶ月が経過した2020年6月17日、河井夫妻は自由民主党を離党、翌6月18日、公職選挙法違反の容疑で東京地方検察庁特別捜査部によって逮捕され、2021年2月5日、案里には懲役1年4か月・執行猶予5年の有罪判決が確定し、5年間の公民権停止が命じられた。これにより、案里は公職選挙法の規程により議員失職し、3月25日、克行は大島理森衆議院議長宛てに議員辞職願を提出し、4月1日に衆議院本会議で許可され議員辞職しました。10月21日、克行には懲役3年・追徴金130万円の実刑判決が確定したのであった。
   しかし、狩野浩志が起こした同様の選挙買収事件で、前橋地検は広島の河井夫妻の事件と正反対に不起訴処分とした。いかに群馬県が政治倫理面で日本国内内で治外法権化しているかの証左ともいうべき今回の地検による不起訴処分通知であるが、申立人は県民有権者のひとりとしてこのまま座して結果を受け入れるわけにはいかないのである。
   なぜなら、多くの証拠を添えて告発したので、検察官の裁量で不起訴にしたのであれば再発防止の観点からも問題が残る。検察審査会においてきちんと検証する必要があるため、ここに審査を申し立てるものである。


 被疑者は、以上のとおり、群馬県の政界でもかねてより行状の悪さが取りざたされており、本事件が公になった後も、一切の謝罪や反省が無いことや、間近に予定されている統一地方選挙にも出馬する予定であり、今後さらなる違法行為を犯すおそれがあり、県民は安心して投票行動を行うこともままならないため、厳正に捜査した上で、厳重な処罰をしていただきたく、審査を申し立てる次第です。
                              以上

              証拠資料

1.告訴状        写し 1通
2.処分通知書      写し 1通
3.不起訴処分理由告知書 写し 1通

*****3/22審査申立書(政治資金規正法違反)*****
            審 査 申 立 書
前橋検察審査会 御中

申立年月日  令和5年3月22日

申 立 人
  資 格   告訴人
  住 所   〒371-0801
        前橋市文京町一丁目15-10
  電話番号  090-9134-2942
  年 齢   71歳(昭和26年9月10日生)
  職 業   自営業
  氏 名   鈴 木   庸     (印)

 申立人は、以下の公訴を提起しない処分に不服があるため、検察審査会法第30条に基づき、貴会に対し、その処分の当否の審査を申し立てます。

第1 罪状
   政治資金規正法違反

第2 不起訴処分年月日・事件番号
   令和5年1月27日(令和4年検第430、431、432号)

第3 不起訴処分をした検察官
   前橋地方検察庁 検察官 検事 土屋 大気

第4 被疑者
 1 氏名 内田 康雄
   年齢 不詳
   職業 狩野浩志後援会会計責任者、狩野浩志政治経済研究会会計責任者
   住所 〒371-0018前橋市三俣町2-25-187
 2 氏名 吉野 貴幸
   年齢 不詳
   職業 自由民主党群馬県前橋市第11支部会計責任者
   住所 〒371-0048前橋市田口町311-1
 3 氏名 狩野 浩志
   年齢 62歳(昭和35年8月23日生)
   職業 政治家
   住所 〒371-0018前橋市三俣町2-20-7

第5 被疑事実の要旨
   被疑者1内田康雄及び被疑者2吉野貴幸は、政治資金規正法に基づき総務大臣に設立届出のある政治団体「狩野浩志政治経済研究会」の会計責任者、被疑者3狩野浩志は同政治団体の代表であるが、共謀の上、同法12条1項の規定により群馬県選挙管理委員会を経て総務大臣に提出すべき総政治団体の平成29年から平成31(令和元)年分の収支報告書を作成するにあたり、告訴状の別紙記載のとおり、各収入があったにも関わらず、これを前記収支報告書に記載せず、前記収支報告書を総務大臣に提出し、もって前記政治団体の収支報告書に虚偽の記入をしたものである。

第6 不起訴処分を不服とする理由
   申立人は一昨年2021年2月7日に投開票された前橋市議選を巡って取りざたされた公選法違反やそれに関連する政治資金規正法違反について、寄せられた情報や証拠に加え当会の独自調査をもとに3件の告発状を前橋地検に提出した。すると1年余り経過した昨年2022年3月24日の報道で、これら3件の告発状が受理されたことを知り、同3月25日に群馬県庁5階で記者会見を開いた。
   その後、2022年4月に前橋地検の本件担当の藤井検事が八王子地検に異動し、後任の検事が警察と合同捜査を続けていたようだが、昨年12月12日に突然、1件目の公職選挙法違反事件の被疑者小島大輔に関する不起訴処分が下され、12月14日に通知書が郵送されてきた。
   そして、今年に入り、1月27日に、2件目の政治資金規正法違反事件の被疑者内田康雄、吉野貴幸、狩野浩志に関する不起訴処分が下され、1月30日に通知書が申立人あてに郵送されてきた。
   多くの証拠を添えて告発したのだが、なぜ不起訴になったのか、誠に遺憾である。そこで、不起訴処分理由について前橋地検の本件担当検事あてに、不起訴理由告知請求申立書を提出したところ、「起訴猶予」であることが分かった。これは刑事訴訟法248条が定める「犯人の性格、年齢及び境遇、犯罪の軽重及び情状並びに犯罪後の情況により訴追を必要としないときは、公訴を提起しないことができる」を適用するもので、罪を犯したことが強く疑われ、それを証明する証拠が揃っている場合であることを示すものである。にもかかわらず、検察官は起訴を猶予したことになる。
   狩野浩志による2021年2月の前橋市議選を舞台にした買収事件の背景になったのは、本来収支報告書に正しく記載されるべき政治資金が不記載により裏金として運用され、こうした買収資金として使途されたことが強く推認される。こうした政治とカネの問題が尽きない群馬県の政治風土を根本から是正する必要があるにもかかわらず、前橋地検は今回、申立人による告発に対して不起訴処分の判断を下したが、申立人は県民有権者のひとりとしてこのまま座して結果を受け入れるわけにはいかないのである。
   なぜなら、多くの証拠を添えて告発したので、検察官の裁量で不起訴にしたのであれば再発防止の観点からも問題が残る。検察審査会においてきちんと検証する必要があるため、ここに審査を申し立てるものである。


 被疑者らは、本事件が公になった後も、一切の謝罪や反省が無いことや、間近に予定されている統一地方選挙が迫っている状況下で、今後もさらなる違法行為を犯すおそれがあり、県民は安心して投票行動を行うこともままならないため、厳正に捜査した上で、厳重な処罰をしていただきたく、審査を申し立てる次第です。
                             以上

               証拠資料

1.告訴状        写し 1通
2.処分通知書      写し 1通
3.不起訴処分理由告知書 写し 1通
**********

■上記2通の審査申立書を前橋地裁庁舎内にある前橋検察審査会に提出し、様式を満たしていることからその場で受理されました。そして、その後、県庁記者クラブに情報提供を行ったところ、冒頭の記事が翌日3月23日の地元紙朝刊に掲載されました。

 併せて、3月23日には前橋検察審査会からも2件の審査申立受理通知書が発出されたという連絡があり、即日地裁を訪れて直接受け取ってきました。

■まもなく統一地方選挙が本格的にスタートします。群馬県議会議員選挙も県内全域の各選挙区で令和5年3月31日金曜日に告示され、同4月9日日曜日の午前7時から、一斉に投票が開始され(投票所の閉鎖時間は、投票所によって異なります)、即日開票されます。

 今回、狩野県議に対して前橋地検から出された不起訴処分は、明るく正しい選挙を信じて投票する有権者に対して、誤ったシグナルを送ってしまう懸念があります。そのため、告示日を目前に控えたこのタイミングで当会は検察審査会に狩野県議が絡む政治とカネの問題を問うために2件の審査申し立てを行った次第です。有権者県民、とりわけ前橋市区の有権者の皆様には、投票行動に際して慎重な判断をぜひお願いいたします。

【市民オンブズマン群馬事務局からの報告】

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【速報:渋川建設残土訴訟敗訴!】足かけ5年の裁判の果てに・・・行政の不正行為に目をつぶる裁判所

2023-03-20 07:32:25 | 県内の税金無駄使い実態

■3月17日午後1時25分、前橋地方裁判所本館2階の第21号法廷のドアのかぎが開けられ、法廷には筆者、傍聴席には地元紙記者1名と県職員ら5名が待機する中、午後1時30分に杉山順一裁判長が2名の裁判官を従えて入廷しました。一同一礼し着席すると、近藤書記官が「令和元年行ウ第13号事件」と事件番号を読み上げ、杉山裁判長が「それでは判決を言い渡します。主文、1、原告の請求を棄却する。2,費用は原告の負担とする。以上です」という言葉が法廷内に響きました。そそくさと席を立つ裁判長裁判官に向けて筆者は、「裁判長殿!行政の不法行為はどうやって是正及び抑止ができるのでしょうか?」と問いかけました。その声を聴いて一瞬立ち止まった裁判長は、筆者に向かって軽く会釈をするなり、法廷正面の両開きと扉から退室していきました。

 群馬県では、県土整備部の建設企画課が建設発生土ストックヤードの整備の重要性をHPでも謳っていますが、渋川土木事務所所管のストックヤードを巡り、河川法を無視して大規模な掘削あるいは大量の発生土の集積が行われ、6年間の稼働を終えた時点で大量の発生土が忽然と消えるなど、問題視されています。当会は、入手情報をもとに、2019年3月25日に住民監査請求を群馬県監査委員に提出しましたが、その甲斐もなく、同年6月3日付で棄却・却下されました。

 その後、当会は2019年7月4日に住民訴訟(事件番号:令和元年(行ウ)第13号、事件名:行方不明建設残土量に係る損害賠償請求訴訟事件)を前橋地裁に提起し、第1回弁論が9月20日に、それ以降、第2回弁論が11月1日、第3回が2020年1月10日、第4回が同2月14日、第5回が当初同4月24日のところ新型コロナ感染拡大のため7月3日に順延、第6回が同9月11日、第7回が同11月13日、第8回が2021年1月29日、第9回が同4月23日、第10回が同7月3日、第11回が同9月10日、第12回が同11月12日、第13回が2022年1月28日、第14回が同4月22日、第15回が同7月11日、ぢ16回が同10月14日、そして第16回弁論が同12月23日午前10時に開かれ、杉山順一裁判長は「これで結審とします」と宣言し、今年2023年3月17日に冒頭のとおり、判決言渡しを行いました。

■判決言渡しのあと、判決文をもらいにさっそく地裁本館3階の民事第2部受付に立ち寄り、既に用意してあった判決文と予納郵便切手の使用残額分2702円を受け取りました。

 判決文は27ページでしたが、14ページ目から始まる「第3 裁判所の判断」には、裁判の最後に、本来であれば証人尋問をすべきところ、裁判所が、群馬県が本件公共事業入札に先立って実施したストックヤードの測量業務を委託したアコン測量への調査嘱託に拘りました。原告が「売り上げの8割以上の仕事を群馬県から受注している業者が、まっとうな返事をしてくれるはずがない」と意見したにもかかわらず、結局、裁判所主導でアコン測量に調査嘱託することになりました。その結果、原告が予期した通り、被告群馬県の主張にしたがった回答が裁判所に提出され、その回答を根拠に判決文が構成されました。「住民訴訟において行政側を敗訴させると自らの出世に支障をきたす」という裁判官の心情の観点から、この裁判でも、行政不敗神話が存分に発揮された判決結果となった次第です。

 あまりにも酷い判決なので、筆者は思わず冒頭にお知らせした通り、杉山裁判長に声がけをしました。14日以内に控訴すべきかどうか検討することにしています。

【市民オンブズマン群馬事務局からの速報】

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サンパイ110番の看板が泣く…桐生市内で山積された廃棄物への行政の及び腰対応のその後の経過報告

2023-03-19 22:58:23 | 全国のサンパイ業者が注目!

■昨日開催した市民オンブズマン群馬の3月定例会で、県内各地で取りざたされている行政がらみの諸問題について、熱心な討議が行われました。中でも、桐生市の新里町にある約4,440㎡の原野において、2021年5月に外国人が所有権を取得してから、県外の建設現場から排出された木片やプラスチックなどの産業廃棄物が、神奈川や埼玉ナンバーのトラックによって大量に搬入されたまま山積みされ放置されていて周辺住民の生活環境に大きな不安と支障を与えている問題について、メディア関係者もオブザーバーとして加わっていただき、現状の情報共有と今後の活動方針を話し合いました。概要は本日の朝刊記事を参照ください。
 
**********読売新聞2023年3月19日
廃棄物放置の山林 情報開示
桐生市 市民オンブズ 県にも請求
 桐生市新里町鶴ヶ谷の私有地に廃棄物が大量に放置されている問題で、「市民オンブズマン群馬」(小川賢代表)は18日、前橋市で開いた定例会で、2018年に現地で行われた山林伐採の目的が「太陽光発電施設への転用」だったことを明らかにした。オンブズマンの開示請求を受けて桐生市が公開した伐採届や市の受理書でわかった。
 また、廃棄物が搬入された経緯や行政指導に関する公文書の開示請求を県に行ったことも報告し、県は4月17日までに開示の可否を決定すると回答したという。
 桐生市の長澤健二副代表(71)は「原状は造成目的と全く異なっており違法状態だ。周辺の住宅地は悪臭が漂い、のり面は廃棄物で埋まり土砂流出の恐れもある。住民と情報共有を図り、県に誠意ある対応を求めたい」と報告。小川代表は「住民に寄り添い、会としてしっかりと対応したい」と話した。
**********

■このように、行政の及び腰対応が、ルール無視の不良業者の蹂躙を助長しているため、毅然とした行政の事務事業が強く求められています。一方、住民側も結束して不良業者に対抗すべく、行政を動かす必要性を痛感しており、署名活動の開始に当たり、住民組織が結成される動きが具体化しています。引き続き、当会としても、住民目線でこの問題解決のための支援に尽力する所存です。

【市民オンブズマン群馬事務局からの報告】

※関連記事
**********読売新聞2023年3月8日
廃棄物山積み 住民苦慮
 桐生市新里町鶴ヶ谷に、建築廃材などの廃棄物が10メートルを超す高さまで積まれ、断熱材やほこりが近くに飛来したり、風向きによっては悪臭が漂ったりしている。近隣住民は県などに対応を求めているが、所有者と連絡がつかず、撤去されるめどは立っていない。
★桐生の山林斜面 県、所有者と連絡とれず★

金属製フェンスを超える高さに積み上げられた鹿棄物の山。住民が飛んでくるゴミを拾う作業に追われていた(2月、桐生市新里町鶴ヶ谷で)
 現場は「県立ぐんま昆虫の森」から南に約300メートル離れた山林の西側斜面にある私有地。高さ約3メートルの金属製フェンスが約70メートルにわたって立てられている。
 近くには約10戸の民家があり、これまでに撤去を求める通報が県に約60件寄せられた。県は当初、「廃棄物の場外保管に当たる 」として所有者に届け出るよう指導したが、まもなく連絡が取れなくなった。
 県は桐生市や県警とともに、現場の作業員らに早期撤去と搬入禁止、私有地の管理徹底について指導を繰り返したが、搬入は続き、廃棄物の重みでフェンスが傾くこともあったという。住民らは「雨で崩落する恐れがある」と不安がる。
 登記簿などによると市有地の面積は約4400平方メートルで、埼玉県川口市の外国人とみられる人物が2021年5月に購入した。ただ、近隣住民によると、埼玉、千葉県内で交付されるナンバーなどを付けたトラックが20年5月頃から、断熱材や畳などを昼夜を問わず廃棄していた。
 川口市の住所を読売新聞記者が訪ねると、アパートのドアに産業廃棄物処理の業者名を記した看板が取り付けられていた。近所の人によると、トルコ人が住んでいたが、帰国し、居住者はいないという。
 桐生市は今年1月、市税滞納を理由に私有池の差し押さえを実施。廃棄物がフェンスを超える高さになり、作業員らが重機で斜面の下に落としていたが、同月下旬に搬入が中断され、トラックの出入り口がシートで閉じられた。
 だが、廃棄物は野積みになったままだ。向かい側に住む60代の男性は「廃棄開始直後から県や市に指導をお願いしてきたが、所有者がいないのでは苦情の持って行き場がない。早い段隋で毅然とした措置を取っていれば、このような状況は防げた」と不満をあらわにした。県廃棄物・リサイクル課は所有者の所在を確認する考えだが、「廃棄物を私有地に置いているだけでは不法投棄の認定は難しい。現状は環境保全上の必要性が認められず、強制代執行などに踏み込むこともできない」としている。
★「まず分析、周辺環境調査を」 関東学院大 津軽石教授★
 
廃棄物の山の下で住民から説明を受ける津軽石教授(右)。辺リにかび臭いにおいが漂っていた(4日)
 廃棄物政策に詳しい津軽石昭彦・関東学院大教授(地域調環境政策)が4日、現地を訪れ、「石こうボードのようなものがあり、住宅の解体で出た廃棄物が分別されず持ち込まれたように見える」と話した。石こうボードは有害なガスが発生する恐れがあるほか、建築廃材には発がん性のあるアスベストが含まれている場合もあり、「まずは廃棄物を分析し、周辺の環境調査を行うべきだ」と訴えた。
 津軽石教授は、1998年に発覚した岩手・青森県境での産業廃棄物不法投棄事件に岩手県職貝として関わった。投棄された量は国内最大規模の約150万トンにのぼり、撤去や業者への行政処分などにあたった。
 津軽石教授は「不法投棄の場合、投棄の実行者や排出事業者など、土地所有者以外に対しても撤去などを求めることができる。排出事業者が作る『産業廃棄物管理票』を確認すれば、関わった業者の特定が可能だ」として、「強制代執行を考える前に打つべき手はいろいろあるのではないか」と述べた。
(栗村政伸)

**********毎日新聞2023年3月15日
あふれ出るごみの山 桐生の住宅地近く 飛散、異臭 所有者は連絡取れず /群馬

フェンスの切れ目から斜面にはみ出した廃棄物の山=群馬県桐生市新里町鶴ケ谷で2023年3月1日、大澤孝二撮影
 桐生市新里町鶴ケ谷の私有地に大量のごみが積まれ、風で飛散したり、異臭が漂ったりして住民を悩ませている。撤去を望む住民らが県に対応を求めているが、県は所有者と連絡が取れず、自治体が強制的にごみを撤去する行政代執行にも慎重な姿勢だ。【大澤孝二】
 私有地があるのは山の斜面で、住宅地の向かい側。約4400平方メートルあり、土砂やビニールだけでなく古畳やロッカーなどが積み上げられている。金属製のフェンスで周囲を覆っているが西側は囲いがないため、ごみが斜面にあふれ出ている。
 斜面の近くに住む住民は「大雨が降ってごみが崩れ落ちたら、斜面の下にある水田などに影響が及ぶのは避けられない」と不安を口にする。別の住民は「天気が良ければ遠くに浅間山が臨める風光明媚(めいび)な場所を選んでついのすみかとしたかったのに、今はごみの山を眺める日常になってしまった」と憤る。
 登記簿などによると、土地の所有者は埼玉県に住む外国人とみられ、2021年5月に取得。住民らの話では、その頃から私有地の周囲にフェンスが張り巡らされ、ごみが持ち込まれるようになった。中の様子が見えないため詳細には分からないが、埼玉県や神奈川県などのナンバーの大型ダンプが廃棄物を持ち込み、それほど時間がかからないうちにごみの山ができあがったという。
 桐生市は1月中旬、固定資産税の未払いがあるとして私有地を差し押さえた。住民によると同下旬以降は重機の出入りがほとんどなくなり、大がかりなごみの搬入は止まっているという。
 ただ、ごみが放置されている状況は変わらず、地区の班長をしている男性は「元々の地主が雑木林を処分して盛り土をし、造成した後に所有者が変更して状況が変わってしまった。市に訴え、事態の解決を図る糸口を探りたい」と話す。私有地の近くに太陽光発電のパネルを設置している会社の役員は「設置しているパネルに飛散した土砂がかぶり、発電効率が半分以下に落ち込んでしまった」とこぼし、原状回復を求める意向だ。
★代執行には慎重★
 県廃棄物・リサイクル課の担当者は、景観の悪化などについて現地視察をしたと明かし、「所有者に適切なごみ処理と現在地からの撤去を求めているが、先方とは連絡がつかない状況だ。所有者に代わってごみを撤去する行政代執行に県民の税金を使うのは慎重な検討が必要」と話す。桐生市は「県や警察と連携を図りながら、これ以上はごみの搬入をしないよう土地所有者に求めていく」としている。
**********

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タゴ51億円事件で単独犯とされたタゴが1月9日死去!!…事実を伏せていた安中市の不誠実な体質

2023-03-17 23:28:43 | 土地開発公社51億円横領事件

2022年11月に元職員タゴが安中市土地開発公社に振り込んだ1万円に対して市公社がタゴに送付した領収書と送り状(債務確認書)

■本日の安中市議会全員協議会で安中市が、我が国の地方自治体における空前絶後の51億円巨額詐欺横領事件で単独犯とされた元職員多胡邦夫が、1月9日に死去していたとする報告をしたことが地元紙で先ほど配信されました。

**********上毛新聞2023年3月17日18:30
51億円詐欺事件の元安中市職員死亡 市が議会に報告 債務不履行の可能性も
 群馬県安中市元職員による市土地開発公社を巡る巨額詐欺事件で、元職員が死亡していたことが17日、分かった。公社と元職員の債務残高は約22億円(昨年3月31日時点)。元職員の死亡で、公社への債務が不履行になる可能性がある。市が同日の市議会全員協議会で明らかにした。
 元職員からは複数回にわたり公社名義口座に返済があり、 昨年11月末も1万円入金されたが、翌12月末には返済がなく、返済依頼の郵便を元職員宛に送付した。しかし連絡がなかったため、関係者に電話で確認したところ、元職員は1月9日に死亡していた。
  公社から市に対し、元職員の相続権利者全員の相続放棄を確認した報告があり、市が全協で元職員の死亡や経緯を説明した。
 事件は1995年に発覚。元職員が公文書を偽造するなどして群馬銀行が公社に振り込んだ事業資金などをだまし取り、被害総額は51億円に上った。同行は元金33億8600万円などの返済を求めて提訴し、98年に市と公社が24億5000万円を支払う和解が成立した。
**********

■当会では、昨年12月26日に安中市長に対して、次の内容で情報開示請求をしていました。

*****12/26行政文書開示請求書*****
<開示請求に係る行政文書の内容又は件名>
(1)市土地開発公社(市が連帯保証人)が群銀へ12/23に支払ったことがわかる情報
(2)元職員から市・公社に返済したことが分かる情報(令和3年12月28日以降現在まで)
(3)市・公社が和解20年目以降、群銀とこの件で協議したことがわかる情報
**********

 すると、2023年1月10日付で上記(1)と(2)について、行政文書部分開示決定通知が、上記(3)について行政文書不存在通知が送られてきました。

 そして、2023年1月16日に安中市役所2階の行政課で開示された情報を受け取り、冒頭に示したとおり、昨年12月1日付で元職員タゴ宛に送った「領収書の送付について」と題する文書で、債権元金残高が金22億653万1500円になった旨通知していました。

 ところが、市公社は、2021年12月までは、元職員タゴから基本的に毎月末に1万円の支払いがあるたびに「債務承認書」という文書に押印をさせて、タゴから市公社に提出させていたのに、2022年1月以降、この文書を提出させていないことが判明しました。

2021年12月までは、安中市・公社はタゴに対して都度「領収書と債務承認書」の提出を求めていた。

 しかも、この債務承認書には、2021年12月までは、「残元金」に加えて「平成10年12月9日から完済まで年5分の割合による遅延損害賠償金」の項目があったのに、2022年1月以降、「領収書の送付について」と題する文書には、この「遅延損害賠償金」の項目が見当たりません。

■そこで当会では、1月16日の開示情報の受領の際に、安中市企画経営部秘書政策課の担当者らに、「なぜ、遅延損害賠償金の項目を削除したのか?」と疑問を投げかけて「このタゴ事件にかかる元職員多胡邦夫に対する債権の種別について、債権管理台帳上、公債権なのか私債権なのか?また公債権の場合は、強制徴収公債権なのか、非強制徴収公債権なのか?」と説明を求めました。すると市担当者らは、「後日調べて連絡する」と回答しました。

 その後、さっぱり連絡が来ないため、2月28日朝8時半、別件で安中市役所を訪れた際に、用事を済ませてから朝8時50分ごろ「1月16日の公社から群銀への和解金支払いと元職員からの支払いに係る情報開示を受けたときにお願いした債権の種別等に関する回答依頼について、現状どのようになっているのか?」を聞くために、秘書政策課に立ち寄りました。部課長は不在でしたが、在席していた担当職員から「ちょうど本日回答しようと思っていた」として、回答案をプリントして見せてくれました。しかし、これを受領することで回答とされたくなかったため、「お手数ながらメールで回答をいただきたい」と担当職員に依頼しておきました。

 簡単な依頼について回答するだけなのになぜ1か月半も要したのか、安中市役所の対応にはいつも落胆させられるところですが、安中市から3月1日に次のメール回答がありました。

*****3/1安中市からのメール回答*****
From: 山村 浩正
Date: 2023年3月1日(水) 15:33
Subject: ご依頼いただきましたメールを送付いたします。
To: <ogawakenpg@gmail.com>

=======================================
個人情報保護の観点から、宛先を1件ずつ送信しています。
=======================================
小川 賢 様

お世話になります。
先日ご来庁いただきました際にご依頼いただきましたメールを送付させていただきます。
以下秘書政策課からの文書となります。

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小川様

日頃から本市行政運営に賜ります多大なるご支援とご協力に深く感謝申し上げます。
先日はご来庁いただき、ありがとうございました。

ご質問いただきました3点について、土地開発公社に確認した内容を回答いたします。
ご連絡が遅くなりまして大変申し訳ございませんでした。

①R4年度より、債務者から債務承認書を何故もらっていないか。
→債務の承認だけでなく、債務の一部弁済も時効の中断事由となります。以前は定期的な返済がなく、提出してもらう必要がありましたが、本人名義の口座から定期的に振込がされるようになり、通帳に記録が残りますので、承認書をもらう必要がなくなったため、とのことでした。

②債権管理台帳で管理をしているか。
→土地開発公社において債権管理台帳は作成していない、とのことでした。債権管理の方法につきましては、今後も校舎(ママ)に対し指導・監督を行います。

③土地開発公社の債権は公債権か私債権か。
→土地開発公社の債権であり、市の債権ではありませんが、分類を行うのであれば性質上は私債権に分類されるものと考えているとのことです。
------------------------------------------------------------------------------------------
以上となります。
ご査収ください。

┏┏┏ 安中市役所 総務部 行政課 文書法規係
┏┏┏ 山村 浩正
┏┏┏ TEL:027-382-1111(内線1044)
┏┏┏ FAX:027-381-0503
**********

■今回の地元紙の報道で、元職員タゴが年明けの1月9日に死去していたことが、遅くとも1月中に安中市では把握していたはずであったことがわかります。にもかかわらず、当会への連絡がずるずると遅くなり、結局3月1日にメールでの正式回答となったわけです。

 あまりにも酷い対応に、怒りを通り越して情けない気持ちです。2022年6月から前任の粟野好映氏にかわり、安中市副市長兼市土地開発公社理事長になった清水昭芳氏や、市企画経営部長の町田氏や、秘書政策課長の田中氏らには、群銀への和解金支払い債務の解消と、元職員タゴからの債権回収の徹底について、強く申し入れ、1952年3月生まれで71歳を迎えるタゴがいつまで元気でいるかわからないので、早期に債務の継承を担保できるような手配をしておくことが何より重要である旨、説いていたところでした。

 そうした最中の今回の仰天ニュースは、当会にとって腰が抜けそうな衝撃です。こうなると一刻も早く群銀への和解金支払いを停止するための交渉を直ちに開始するよう、岩井市長の政治力を期待するほかはありません。

群銀に毎年クリスマスに和解金2000万円を支払っている安中市・公社は、2022年12月23日にも群銀に24回目の支払いを実行した。

【市政をひらく安中市民の会事務局からの報告】

 

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【無法「特区」群馬県!】狩野浩志県議の選挙買収事件を不起訴にした前橋地検の「政治的」配慮

2023-03-04 10:44:39 | 政治とカネ

■3月3日はひな祭り。ひな人形は、流し雛の風習のように「女の子の穢れを人形にうつし、身代わりとなって厄災を引き受けてもらう」という意味があるといわれています。春一番を思わせる強い風が吹きましたが、快晴に恵まれたこの日、午前11時頃、当会事務局に1通の郵便物が届けられました。前橋地方検察庁からの封書です。中身を取り出すと次の通知が出てきました。

*****2/28前橋地検からの不起訴処分通知書*****

様式第97号(刑訴第260条、規程第60条)

               処 分 通 知 書

                            令和5年2月28日

鈴木 庸  殿

                  前橋地方検察庁

                     検察官 検事    土屋 大気

 

 貴殿から令和4年3月18日付けで告発のあった次の被疑事件は、下記のとおり、処分したので通知します。

                  記

 1 被疑者   狩野浩志

 2 罪名    公職選挙法違反

 3 事件番号  令和4年検第429号

 4 処分年月日 令和5年2月28日

 5 処分区分  不起訴

**********

 一昨年2月の前橋市議会選挙を巡る一連のカネを巡る不正疑惑について、有権者の皆様方からの情報提供を基に3件の告発を前橋地検にしてきましたが、昨年12月から次々と不起訴処分通知が地検から届き、そして今回、本丸と目してきた狩野浩志県議の選挙買収事件についても、不起訴処分通知という結果となりました。

 広島県内の選挙区で同様の買収事件を起こした河井夫妻の場合、きちんと司法によるしかるべき判断が下され、夫妻はそれぞれ厳罰に処せられました。ところが群馬県の場合は、超法規的とも言うべき判断を検察が下したのです。今年予定されている統一地方選において県議選の投開票をあと1か月後に控えた群馬県の政界関係者、とりわけ自民党関係者の間には、選挙で買収目的のカネを関係する政治家に対してばらまいても司直からのお咎めがないという今回の重大な判断結果に接し、安堵感が広がることは必至です。

■こうした実態を懸念した当会は、さっそく緊急の記者会見を行うことにしました。県庁5階にある記者クラブ「刀水クラブ」に電話をすると、今月の幹事社が東京新聞であることがわかり、担当の羽物(はぶつ)記者に連絡を取り、午後4時10分に記者会見をセットしてもらいました。

 そして、定刻通り、刀水クラブで記者会見を行いました。あらかじめ準備した以下の記者会見用のメッセージを会見に先立ち加盟各社19社(以前18社でしたが最近日刊工業新聞が新たに加盟)に配布しました。

*****3/3緊急記者会見用メッセージ*****

                                 2023年3月3日

関係各位

                            市民オンブズマン群馬

                            代  表  小川 賢

                            事務局長  鈴木 庸

 

   2月28日付で前橋地検が狩野浩志を公職選挙法違反不起訴処分とした件について

 

 当会は一昨年2021年2月7日に投開票された前橋市議選を巡って取りざたされた公選法違反やそれに関連する政治資金規正法違反について、寄せられた情報や証拠に加え当会の独自調査をもとに3件の告発状を前橋地検に提出しておりました。すると1年余り経過した昨年2022年3月24日の報道で、これら3件の告発状が受理されたことを知り、同3月25日にここで記者会見を開かせていただきました。

 その後、4月に担当検事が八王子地検に異動し、後任の検事が警察と合同捜査を続けていたようですが、昨年12月12日に突然、1件目の公職選挙法違反事件の被疑者小島大輔に関する不起訴処分が下され、12月14日に通知書が郵送されてきました。

 そして、今年に入り、1月27日に、2件目の政治資金規正法違反事件の被疑者内田康雄、吉野貴幸、狩野浩志に関する不起訴処分が下され、1月30日に通知書が当会事務局に郵送されました。このことは1月31日の記者会見でご報告したとおりです。

 その後、地検に不起訴理由を確認したところ、「起訴猶予」であることがわかりました。

 そして、本日、当会事務局に、最後に残った狩野浩志の公職選挙法違反容疑に係る当会の告発に対して、前橋地検から2月28日付で「不起訴処分通知書」が郵送で届けられました。

 このあと地検に不起訴理由について確認してみますが、間違いなく「起訴猶予」の返事がくるものと考えられます。

 本件も、政治資金規正法違反容疑と同様に、多くの証拠を添えて告発したのですが、なぜ不起訴になったのか、誠に不可解です。県議選の投開票日まで、あと1か月余りと迫ったことから、前橋地検としては、既に出馬の意向を表明している狩野浩志に対して、「安心して」立候補できる環境を整える意味でも、このタイミングで当会に不起訴処分通知を発したものと思料します。

 狩野浩志による2021年2月の前橋市議選を舞台にした買収事件で思い起こされるのは、2019年7月に行われた第25回参議院議員通常選挙の広島県選挙区において立候補していた自由民主党の河井案里を当選させるために、その夫であり自由民主党の衆議院議員でもある河井克行が、案里と共謀して大規模な買収行為を行った事件です。この結果、案里は当選し、また克行も同年9月11日、安倍晋三内閣において法務大臣に就任しました。しかし、同年10月30日以降にこの選挙違反疑惑が報じられ、10月31日に克行は法務大臣を辞任しました。参議院選挙から11ヶ月が経過した2020年6月17日、河井夫妻は自由民主党を離党、翌6月18日、公職選挙法違反の容疑で東京地方検察庁特別捜査部によって逮捕され、2021年2月5日、案里には懲役1年4か月・執行猶予5年の有罪判決が確定し、5年間の公民権停止が命じられました。これにより、案里は公職選挙法の規程により議員失職し、3月25日、克行は大島理森衆議院議長宛てに議員辞職願を提出し、4月1日に衆議院本会議で許可され議員辞職しました。10月21日、克行には懲役3年・追徴金130万円の実刑判決が確定したのでした。

 しかし、狩野浩志が起こした同様の選挙買収事件で、前橋地検は広島の河井夫妻の事件と正反対に不起訴処分としました。いかに群馬県が政治倫理面で日本国内内で治外法権化しているかの証左ともいうべき今回の知見による不起訴処分通知ですが、このまま座して結果を受け入れるわけにはまいりません。

 なぜなら、多くの証拠を添えて告発したので、検察官の裁量で不起訴にしたのであれば再発防止の観点からも問題が残ります。検察審査会に申し立ててきちんと検証する必要もあると考えています。約1か月後に迫った県議選の投開票ですが、有権者の皆様にもぜひ今回の事態を参考に対処していただければ幸いです。

                                      以上

 

配布資料:2月28日付不起訴処分通知書

**********

 記者会見でオンブズマンから記者発表をした後、幹事社、上毛新聞、共同通信社から質問がありました。「不起訴通知書が届いたのは3月3日で間違いないか」「検察審査会に審査を申し立てるというが、スケジュール感を教えてほしい」「不起訴処分で感じたという違和感とは具体的にどういうことか」という質問でした。これらに対して当会から「本日3月3日の昼前です」「来週18日にオンブズマンの定例会があるので、それまでに審査申立書の案をつくり、会員に諮ったうえで、早ければ3月20日の週に検察審査会に提出したい」「群馬県の特異な政治風土によるもので、広島県における河井夫妻の選挙買収事件との対比で、真逆の判断を検察がしたことです」とコメントしました。

■本件不起訴処分に関してこれまでに報道された記事やニュースは以下のとおりです。

**********NHK群馬 NEWS WEB 2023年03月03日21:24

“市議選で県議が立候補者に現金配付” 選挙違反の告発は不起訴

 おととし2月の前橋市議会議員選挙に立候補した議員に「陣中見舞い」として現金を配ったのは公職選挙法違反にあたるとして、市民グループは自民党の狩野浩志県議会議員を告発していましたが、前橋地方検察 庁は3日までに不起訴にしました。

 「市民オンブズマン群馬」は前橋市選挙区の選出で自民党の狩野浩志県議会議員が、おととし2月に行われた前橋市議会議員選挙で、現職の市議会議員少なくとも5人に、みずからの名前が書かれた封筒に現金を入れ、「陣中見舞い」として配ったのは公職選挙法違反の寄付行為にあたるとして、おととし3月に前橋地方検察庁に告発状を提出していました。

 その後、前橋地検は、去年3月に告発状を受理し、捜査を行ってきましたが、先月28日付けで狩野議員を不起訴にしました。

 

**********東京新聞2023年3月4日

NEWSフラッシュ★公選法違反疑いで告訴された県議不起訴

 公選法違反(寄付の禁止)疑いで、市民団体「市民オンブズマン群馬」が告発していた狩野浩志県議(六三)=自民、前橋市区=について、前橋地検が不起訴としたことが分かった。

 同団体が三日、県庁で記者会見して明らかにした。二月二十八日付。告発は二〇二一年二月に投開票された前橋市議選に関するもので、同団体が同時に告発した政治資金規正法違反(不記載、虚偽記載)など二件とともに、すべて不起訴となった。

**********

■記者会見でコメントしたように、群馬県では政治活動に関して、不適切な行為が発覚して警察や検察に告発しても、他の都道府県と異なる対応と判断が為されてきましたが、今回ほどあからさまな対応の事実を付けつけられたことで、つくづく保守王国「群馬県」の選挙を巡る無法「特区」ぶりが浮き彫りとなりました。今回の結果を踏まえてさらに無法状態が酷くなることが強く予見できます。

 これに対して、選挙を巡る違法行為が発覚した場合、行政の選管に通報しても「選管は選良のやることに口出しできない」というだけで、警察や検察に告発して、善処を求めるしか方法はありませんが、群馬県では今回のように保守系政治家が絡む告発に対して、極めて異例の対応がとられるため、これすら期待できないのです。

 こうなると選良を選ぶ有権者側が選挙を通じて、こうした政治とカネを巡る状況を刷新するほかはないことになります。当会としても、残された手段である検察審査会への不起訴処分についての審査申し立てを行うことについて、3月18日予定の定例会で会員とともに検討する予定です。

【3/4追記】

 このブログ記事を作成していると、本日配達された新聞朝刊に「自由民主」(令和5年3月4日土曜日、号外)と題するチラシが折り込まれているのに気付きました。見ると、表ページの冒頭に自民王県連総務・部会長と山本一太知事とある写真が掲載されており、前列の左から2番目に狩野浩志の姿が見えます。

 さらに裏面には4月9日投開票の県議選を視野に入れて、現職県議の県内各選挙区ごとの計28名の顔写真が掲載されており、中央の前橋市区3名の真ん中に狩野浩志が見えます。まさに絶妙のタイミングと言えます。

 

 さらに調べると、狩野浩志は地元選挙区の前橋市内に今年1月に、自身の活動を特集した「自由民主」(令和5年1月吉日、号外)を新聞折込で配布していることがわかりました。既にこのとき、検察から「お咎めなし」の方針が定まったことを知っていたのでしょう。

【市民オンブズマン群馬事務局からの報告】

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