■2017年1月20日(金)午前11時から前橋地裁2階第21号法廷で開催される第8回口頭弁論期日が迫っている最中に、被告群馬県の訴訟代理人弁護士から当会あてに、第8準備書面が12月29日に郵送で届きました。さっそく、内容を見てみましょう。
*****送付書兼受領書*****
前橋地方裁判所民事第2部合議係
ご担当 清宮書記官 殿
原 告 小川 賢 殿
原 告 鈴木 庸 殿
平成28年12月27日
前橋市大手町3丁目4番16号
被告訴訟代理人
石原・関・猿谷法律事務所
弁護士 関 夕 三 郎
電話027-235-2040
送 付 書
事件の表示 : 前橋地方裁判所
平成27年(行ウ)第7号住民訴訟事件
当 事 者 : 原 告: 小川賢外1名
被 告: 群 馬 県
次回期日 : 平成29年1月20日午前11時00分
下記書類を送付致します。
1 第8準備書面 1通
2 乙第19号証乃至乙第23号証 各1通
3 証拠説明書 1通
以上
-------------------一切らずにこのままでお送り下さい---------------・
受 領 書
上記書類,本日受領致しました。 ヽ
平成28年12月29日
原 告 小 川 賢 印
前橋地方裁判所(清宮書記官)御中 :FAX 027-233-0901
石原・関・猿谷法律事務所 御中 :FAX 027-230-9622
*****被告第8準備書面*****
<P1>
平成27年(行ウ)第7号 住民訴訟事件
原 告 小川賢,外1名
被 告 群馬県知事 大澤正明
第8準備書面
平成28年12月27日
前橋地方裁判所民事第2部合議係 御中
被告訴訟代理人弁護士 関 夕 三 郎
同 弁護士 笠 本 秀 一
同 指定代理人 福 島 計 之
同 指定代理人 松 井 秀 夫
同 指定代理人 阿 野 光 志
同 指定代理人 篠 原 孝 幸
同 指定代理人 油 井 祐 紀
同 指定代理人 安 藤 敏
<P1>
第1 平成28年11月11日午前10時30分の第7回口頭弁論期日における裁判所からの求釈明に対する回答
1(1) 求釈明事項
「萩生川西地区 区画整理補完3工事」及び「萩生川西地区 農道舗装工事」の各対象場所について,書証を用いて準備書面を提出されたい。
(2) 回答
ア 「萩生川西地区 区画整理補完3工事」や「萩生川西地区 農道舗装工事」の対象場所を正確に把握するためには,まず,「萩生川西地区県営農地整備事業」の全体の対象区域を確認しておく必要がある。
イ 「萩生川西地区県営農地整備事業」は,吾妻郡東吾妻町大字萩生において実施された土地改良法に基づく区画整理事業である。
その対象区域は,乙第19号証の図面(以下,「本件施工区域全体図」という。)に記載のとおりである。
本件施工区域全体図のうち,色付けされている部分が事業対象区域である。
本件施工区域全体図では,事業対象区域とその周辺には等高線の記載がなく,外縁部には等高線の記載があるが,これは,事業対象区域や説明文字を見やすくするために事業対象区域とその周辺の等高線を削除したものである。
事業対象区域内の土地の境界線や道路・水路の記載は,区画整理事業の施工後の状況を表している。ちなみに,施行前は,土地の区画や道路・水路はもっと雑然としており,個々の土地は狭く不整形で,高低差により棚田のような場所も多く,進入道路も整備されておらず狭かったため,農業の作業効率が非常に悪かった。本件区画整理事業は,そのような状態の農地と道路水路を一旦均一にならして(ただし,本件施工区域全体図の右下の「凡例」欄に「既設利用(道路)」「既設利用(水路)」と記載されている部分は残す。),そこからこの本件施工区域全体図の状態に作り上げた事業である。
なお,農地の表土は,一旦はぎ取って脇によけておき,整地後に埋め戻して
<P3>
いる。
ウ 「萩生川西地区県営農地整備事業」は,施工区域を「区画整理1工事」から「区画整理8工事」までの8つの区域に分けて,順次,各区域ごとに施工された。
各区画の境界は,本件施工区域全体図では,オレンジ色の線で表されている(本件施工区域全体図の右下「凡例」欄参照)。
エ 他方,補完工事は,数回に分けて,8つの区画全体にわたって施工された補完的な工事である。
このうち,「萩生川西地区 区画整理補完3工事」の明細は,乙第20号証記載のとおりである。
補完工事は,犬きく「道路工」「用水路工」「排水路工」「整理工」に分かれており,具体的な施工内容は非常に細かく,また,多岐にわたっている。
御庁が求釈明において特定を求めていると思われる「萩生川西地区 農道舗装工事」は,乙第20号証の「道路工」欄の「5工事」欄に記載のある3つの「敷砂利工」を指しているものと思われる。
オ 上記のとおり,「萩生川西地区 区画整理補完3工事」は,本件施工区域全体に及び,また,施工内容は細かく多岐にわたるため,これを本件施工区域全体図(乙19)に全て書き込むと図面が非常に見にくくなる。
そこで,御庁が求釈明において特定を求めていると思われる「萩生川西地区 農道舗装工事」の5か所の舗装工事の位置を,赤色の実線で表し,①ないし⑤の番号を付すに止めた。
この①ないし⑤の農道について,「萩生川西地区 区画整理補完3工事」において,本件農道整備工事が施工され(その路線の長さや幅員については,乙20記載のとおりである。),その後,本件農道舗装工事が施工されたものである(その路線の長さや幅員は,本件施工区域全体図(乙19)の右下「萩生川西地区 農道舗装工事の工事内容一覧表」記載のとおりである。 )。
2(1) 求釈明事項
<P4>
被告は,下層路盤材は基準値内であるが,風評被害を避けるためもあって補完工事をしたと主張しているが,「風評被害を防ぐことができるということは,仮に,下層路盤材から基準値を超えるフッ素や六価クロムが検出されるおそれがある場合であっても,その後アスファルト整備をすれば,環境基準を超えないことになる。」ことがその主張の前提でよいのか。
(2) 回答
御庁が指摘される前提は,被告の主張と若干異なる。
仮に,下層路盤材を敷設した地点の土壌から基準値を超えるフッ素や六価クロムが検出される場合,その対処方法は,土壌汚染対策法によって決められることになる。そして,詳細は次項で述べるが,仮に,本件舗装工事に先立って下層路盤材を敷設した地点の土壌から基準値を超えるフッ素や六価クロムが検出されていたとしても,土壌汚染対策法により,本件舗装工事と同様の舗装工事が実施されていたものと認められる。このとき,下層路盤材を敷設した地点の土壌からフツ素や六価クロムを除去するわけではないので,その地点の土壌は基準を超えたままである。
第2 下層路盤材が敷設された地点の土壌が土壌汚染対策法所定の基準を超えていると仮定した場合と土壌汚染対策法の関係
1 土壌汚染対策法とは
土壌汚染対策法は,「土壌の特定有害物質による汚染の状況の把握に関する措置及びその汚染による人の健康に係る被害の防止に関する措置を定めること等により,土壌汚染対策の実施を図り,もって国民の健康を保護することを目的」とする法律である(同法1条)。
2 土壌汚染の2つのリスク(なお,本項ないし5項については,乙21参照)
土壌汚染は,それがあることによって当然に人の健康に影響を及ぼすわけではない。
そのことを踏まえて,土壌汚染対策法は,上壌汚染による健康への影響を2つのリスクの観点から整理している。すなわち,1つは,①土壌に含まれる有害物
<P5>
質が地下水に溶出し,その有害物質を含んだ地下水を経口摂取するリスクであり,もう1つは,②有害物質を含む土壌を直接的に経口で摂取し,又は,その土壌が皮膚に接触することで皮膚から有害物質を摂取するリスクである。
そして,土壌汚染対策法は,まず,前者のリスク除去の観点から,25の物質(これを「特定有害物質」という。土壌汚染対策法施行令1条)について土壌溶出量基準を定め(土壌汚染対策法施行規則31条1項,別表第3),他方,後者のリスク除去の観点から,その25の特定有害物質のうち9の物質にれを「第二種特定有害物質」という。土壌汚染対策法施行規則4条3項2号ロ)について土壌含有量基準を定めている(土壌汚染対策法施行規則31条1項,別表第4)。
なお,仮に本件農道舗装工事の施工前に検査を実施していたとすれば,土壌含有量の関係では,ブレンド骨材ないしそれを含めた表土の成分検査を実施することになるが,土壌溶出量の関係では,ブレンド骨材そのものの成分検査ではなく,ブレンド骨材の下にある土壌の成分検査を実施することになる。
3 土壌の汚染が基準値を超えていた場合
土壌汚染の調査は,有害物質を使用していた施設の使用を廃止するときなどに行われるが(土壌汚染対策法3条など),調査の機序はさておき,調査結果が基準値を超えていたときは,都道府県知事は,その汚染が上記2つのリスクの観点から人の健康に被害が生じ,又は生ずるおそれがある場合には,その汚染区域を「要措置区域」に指定し(土壌汚染対策法6条),他方,人の摂取経路がなく,上記2つのリスクの観点から人の健康に被害が生ずるおそれがない場合には,その区域を「形質変更時要届出区域」に指定する(土壌汚染対策法11条)。
4 「要措置区域」に指定された場合の汚染の除去等の具体的措置
「形質変更時要届出区域」に指定された場合は,その土地の形質を変更するときに,その変更をしようとする者が都道府県知事に形質変更の届出を行うなどすることになり(土壌汚染対策法12条),即時に汚染の除去等の措置を講ずる必要はないが,「要措置区域」に指定された場合には,即時に「汚染の除去等の措置」を講じなければならない(土壌汚染対策法7条)。
そこで求められる「汚染の除去等の措置」は,具体的には,その区域の汚染の
<P6>
状況に応じて,地下水の水質の測定,原位置封じ込め,遮水工封じ込め,遮断工封じ込め,土壌汚染の除去,地下水汚染の拡大の防止,不溶化,土壌入換え,盛土,舗装,立入禁止などとされている(土壌汚染対策法施行規則36条,別表5)。
5 本件農道で仮に基準値を超えていた場合はどのような措置が取られるか
(1) 本件農道の下層路盤材の中に混在している鉄鋼スラグが含有していると認められる特定有害物質は,六価クロムとフッ素であるところ,この2つの物質は,いずれも第二種特定有害物質とされている(土壌汚染対策法施行令1条2号,21号,土壌汚染対策法施行規則4条3項2号口)。したがって,土壌溶出量と土壌含有量の両方が問題となる。
(2) 土壌溶出量の点,すなわち,地下水へ溶出した特定有害物質の経口摂取のリスクの除去の点については,下層路盤材の下に位置する土壌を採取して成分検査を実施することになる。
そして,その結果,基準値を超過していた場合には,次の手順として,土壌溶出量は地下水からの経口摂取のリスクを回避するためのものであることから,近隣の飲用の井戸の有無を確認し,飲用の井戸が存在する場合には,近隣の地下水質の調査を実施することになる(なお,調査を実施するかは飲用の井戸の有無によって決まるが,調査白体は飲用の井戸に限らず周辺の地下水質を把握するのに適切な井戸から試料を採取する。)。
調査対象とすべきの範囲については,環境省が定めた「土壌汚染対策法に基づく調査及び措置に関するガイドライン(改訂第2版)」(乙22)に準拠する。これによれば,六価クロムについては汚染地点から概ね500メートルの範囲,フツ素については概ね250メートルの範囲の井戸が対象となる(乙22・13頁)。
そして,仮に飲用の井戸が500mの範囲内にあったとしても,地下水の検査結果により,基準値を超過していなかった場合は,土壌溶出量基準には適合していないけれども地下水に係る基準は超過していないということなので,「汚染の除去等のための措置」としては,地下水の水質測定を行うことになる(土壌汚染対策法施行規則別表5・1)。
<P7>
なお,これまで,大同特殊鋼株式会社から排出された鉄鋼スラグが混合されているブレンド骨材が使用された群馬県内の場所に関し,現時点までに,上記の基準に従って実施された飲用の井戸から採取した地下水の検査において,基準値を超過した地点はない。
(3) 他方,土壌含有量の点,すなわち,直接的に経口や皮膚から摂取するリスクの除去の点については,盛土や舗装を行うことになる(同別表5・9)。
6 小活
以上のとおり,仮に本件下層路盤材が敷設された地点の土壌が基準に適合していなかったとしても,土壌汚染対策法により,舗装工事が行われ,かつ,地下水の水質測定を行うことになるのであり,結局は,本件農道舗装工事と同じ結果になったのであり,本件農道舗装工事が最少経費最大効果の原則に合致していることは明らかである。
以 上
*****証拠説明書(乙19~23)*****
<P1>
平成27年(行ウ)第7号 住民訴訟事件
原 告 小川賢,外1名
被 告 群馬県知事 大澤正明
証拠説明書(乙19~23)
平成28年12月27日
前橋地方裁判所民事第2部合議係 御中
被告訴訟代理人弁護士 関 夕 三 郎
同 弁護士 笠 本 秀 一
●号証:乙29
●標目(原本・写しの別):萩生川西地区 区画整理事業 施工区域全体図・写し
●作成年月日:H28.12月
●作成者:被告担当者
●立証趣旨:萩生川西地区の土地改良法に基づく区画整理事業の実施区域全域の地図。
色付きの部分が施工区域である。等高線が消えている部分は,実施区域を見やすくするため等高線を消したものである。
実施区域内の土地の区画道路,水路などは,施工後のもので
<P2>
ある(ただし,図面右下にある凡例のうち「既設利用(道路)」と「既設利用(水路)」については,施行前からの道路や水路をそのまま残したものである。)。
●号証:乙20
●標目(原本・写しの別):平成24年度県営農地整備事業(耕作放棄地解消・発生防止基盤整備)萩生川西地区 区画整理補完3工事の工事内容一覧表・写し
●作成年月日:H28.12月
●作成者:被告担当者
●立証趣旨:萩生川西地区の区画整旺事業における躾完E3工事の工事内容
「道路工」の中の「5工事」の中の3つの敷砂利工が本件農道舗装工事である(ただし,幅員2メートルの敷砂利工136メートルのうち21メートルはブレンド骨材が使用されていない。)。
●号証:乙21
●標目(原本・写しの別):土壌汚染対策法の概要(公益財団法人日本環境協会HP)より・写し
●作成年月日:
●作成者:公益財団法人日本環境協会
●立証趣旨:土壌汚染対策法の趣旨,制度概要など
●号証:乙22
●標目(原本・写しの別):土壌汚染対策法に基づく調査及び措置に関するガイドライン(改訂第2版)(抜粋)・写し
●作成年月日:H24.8月
●作成者:環境省水・大気環境局 土壌環境課
●立証趣旨:土壌容出量基準不適合の土地がある場合に実施される地下水の調査は,六価クロムについては汚染地点から概ね500メートル,フッ素についてに概ね250メートルの範囲で実施すること。
<P3>
●号証:乙23
●標目(原本・写しの別):NHK NEWS WEB・写し
●作成年月日:H28.12.22
●作成者:NHK
●立証趣旨:鉄鋼スラグ問題に係る廃棄物処理法違反事件につき,大同特殊鋼株式会社等が嫌疑不十分で不起訴処分になったこと。
なお,前橋地検によれば,不起訴の理由は「鉄鋼スラグを廃棄物と認定することや,撒意だったとすることが証拠上,困難」とのことである。
以上
*****書証目録******
前橋地方裁判所
平成28年(行ウ)第7号 住民訴訟事件
書 証 目 録
乙第19号証 乃至 乙第23号証
上記正写致しました
弁護士 関 夕 三 郎
*****乙第19号証*****
*****乙第20号証*****
平成24年度県営農地整備事業(耕作放棄地解消・発生防止基盤整備)
萩生川西地区区画整理補完3工事の工事内容―覧表
工事工種/ 工事区域名 / 工事明細 / 規格 /数量・単位 /工事の箇所番号
●道路工/2工事/ガードレール設置/ /15 m
/ネットフェンス設置/門扉1箇所を含む/49m
/3エ事/道路工/幅員5m/214 m
/道路工/幅員4m/597 m
/道路工/幅員3m/178 m
/路盤工/下層路盤工/675m2
/路盤工/上層路盤工/675m2
/アスファルト舗装工/厚さ4cm/716m2
/敷砂利工/幅員5m/214 m
/敷砂利工/幅員4m/597 m
/敷砂利工/幅員3m/178 m
/道路横断エ/ /11m
/道路横断工/ /5m
/ガードレール設置/ /136 m
/継手水槽設置/ /1箇所
/継手水槽設置/ /1箇所
/ポリエチレン管設置/ /5m
/4工事/道路工/幅員4m/287 m
/敷砂利工/幅員4m/287 m
/5エ事/敷砂利工/幅員4m/380m/①支道6号 L=173m ②支道7号L=207m
/敷砂利工/幅員4m/136m/⑤支道27号 L=136m
/敷砂利工/幅員2m/136 m/③耕道7号 L=67m ④耕道8号 L=48m 耕道10号 L=21m
/路床置換工/ /124m2
/下層路盤工/ /249m2
/上層路盤工 /249m2
/アスファルト舗装工/ /249m2
/舗装工/ /448m2
/6工事/道路工/幅員3m/100 m
/道路掘削工/ /687m2
/敷砂利工/幅員4m/558 m
/敷砂利工/幅員3m/100 m
/敷砂利工/幅員2m/131 m
/湧水処理/ /20 m
●用水路工/3工事/用水路工/BF300/209.6m
/道路側溝/UA300/28 m
/道路横断工/BF300用/19.8m
/分水工/BF300用/6箇所
/落差工/石張工/29m2
/継手水槽設置/ /2箇所
/取水工/VP150mm/17m2
/取水工/VU150mm/5 m
/用水路蓋設置/BF300用/13枚
/蓋設置/UA300用/52枚
/蓋設置/UA300用グレーチング/2枚
/用水管敷設(仮設)/VU200/40 m
/4工事/用水路工/BF300/313.6m
/道路横断工/BF300用/6m
/水口分水工/BF300用/6箇所
/落差工/石張工/27m
/取水工/VU150mm/5m
/用水路蓋設置/BF用/22枚
/5工事/用水路工/BF300/7 m
/道路横断工/BF300用/18 m
/石積工/練積30cm内外/1m2
/石積工/練積50cm内外/7m2
/用水路蓋設置/BF用/20枚
/6エ事/用水路工/BF300/250.5m
/道路横断工/BF300用/11 m
/水口分水工/BF300用/7箇所
/用水取付工/石張工/3m2
/落差工/石張工/75m2
/取水管/VU150mm/7 m
/用水路蓋設置/BF300用/22枚
●排水路工/幹線排水路/巨石張工/50cm内外/316m2
/裏込工/RC40/47 m
/敷張工/山砕100/47 m
/巨石張工/50cm内外/214m2
/巨石張エ(河床)/50cm内外/17m2
/帯工/ /18m2
/1工事/湧水処理エ/YUH100mm/120 m
/2エ事/湧水処理エ/YUH100mm/51.8m
/3工事/蓋設置/水槽用グレーチング2分割式/1箇所
/蓋設置/水槽用ゲレーチッゲ/1箇所
/水尻エ(横断)/ /4箇所
/水尻工/ /6箇所
/4工事/排水路工/穴あきU字溝300mm/61.3m
/道路横断工/横断暗渠B300χH500/8 m
/ポリエチレン管設置/Dia.300mm/10 m
/水槽嵩上工/ /1箇所
/落差工/石張工/1m2
/湧水処理工/YUH100mm/18.5m
/水尻工/ /5箇所
/5工事/蓋設置/穴あきU字溝500mm用/10枚
/6工事/道路横断工/Bχ05070/10m
/落差工/石張工/5m
●整地工/2エ事/畦畔工/ /228 m
/3工事/圃場整備/表土剥ぎ、基盤整地/1.06 ha
/畦畔工/ /356 m
/法面整形工/ /568m2
/4エ事/圃場整備/表土剥ぎ、基盤整地/0.83 ha
/畦畔工/ /801 m
/法面整形工/ /1、111m2
/5工事/畦畔工/ /43m
*****乙第21号証*****
一般公益財団法人日本環境協会「土壌汚染法の概要」
http://www.jeas.or.jp/dojo/law/outline.html
*****乙第22号証*****
環境省 水・大気環境局 土壌環境課「土壌汚染対策法に基づく調査及び措置に関するガイドライン(改訂第2版)」
https://www.env.go.jp/water/dojo/gl_ex-me/pdf/full.pdf
※今回、乙22号証として被告が送ってきたのは、このうち表紙と目次と本文1~15ページまで。
*****乙第23号証*****
**********
■以上の通りの内容ですが、何とスラグが投棄された農道は、もともと「敷砂利工」だったことが、乙20号証ではっきりしました。
また、乙21号証と乙22号証では、「仮に、本件舗装工事に先立って下層路盤材を敷設した地点の土壌から基準値を超えるフッ素や六価クロムが検出されていたとしても、土壌汚染対策法により、本件舗装工事と同等の舗装工事が実施されていたものと認められる」などと、苦しいこじ付けに終始した内容になっています。
特に噴飯ものなのは、12月22日に前橋地検が不起訴処分を出したことに関するNHKのニュース記事を乙23号証として被告群馬県が送りつけてきたことです。
大同スラグの不法投棄が「嫌疑不十分」という検察官の超法規的な判断をこれ幸いと、原因者らに撤去もさせずに血税で蓋をすることが正しいのだと主張しているのですから、完全に公僕の立場をわきまえることを放棄したに等しいと考えられます。
■この群馬県の論理だと、有毒物質の産業廃棄物を道路に埋め込んでも、近くの井戸水からただちに健康を脅かすほどのレベルが含有されていなければ、そのまま撤去せずに蓋をしておくだけでよい、ということになりかねません。
となると、筆者が居住している安中市の岩野谷地区にある東邦亜鉛安中精練所から毎年5万トン余り排出される鉛やヒ素、カドミウムを含む非鉄スラグについても天然砕石と混ぜることにより、どんどん路盤材や盛り土、造成用資材として利活用できることになります。
さらには、安中精練所から過去80年間にわたり周辺の農地や宅地に降り積もったカドミウム等を含む降下ばいじんで汚染された土壌についても、ただちに健康被害が出なければそのまま温存しておけばよいことになります。
■このように、前橋地検の不起訴処分を援用した群馬県の今回の第8準備書面における主張は、スラグなどの鉱さいを排出したり取り扱ったりしている事業者には、またとない福音になることでしょう。
そんなことが許されるはずはありません。1月20日の第8回口頭弁論期日での裁判の行方が注目されます。
【市民オンブズマン群馬事務局からの報告】
*****送付書兼受領書*****
前橋地方裁判所民事第2部合議係
ご担当 清宮書記官 殿
原 告 小川 賢 殿
原 告 鈴木 庸 殿
平成28年12月27日
前橋市大手町3丁目4番16号
被告訴訟代理人
石原・関・猿谷法律事務所
弁護士 関 夕 三 郎
電話027-235-2040
送 付 書
事件の表示 : 前橋地方裁判所
平成27年(行ウ)第7号住民訴訟事件
当 事 者 : 原 告: 小川賢外1名
被 告: 群 馬 県
次回期日 : 平成29年1月20日午前11時00分
下記書類を送付致します。
1 第8準備書面 1通
2 乙第19号証乃至乙第23号証 各1通
3 証拠説明書 1通
以上
-------------------一切らずにこのままでお送り下さい---------------・
受 領 書
上記書類,本日受領致しました。 ヽ
平成28年12月29日
原 告 小 川 賢 印
前橋地方裁判所(清宮書記官)御中 :FAX 027-233-0901
石原・関・猿谷法律事務所 御中 :FAX 027-230-9622
*****被告第8準備書面*****
<P1>
平成27年(行ウ)第7号 住民訴訟事件
原 告 小川賢,外1名
被 告 群馬県知事 大澤正明
第8準備書面
平成28年12月27日
前橋地方裁判所民事第2部合議係 御中
被告訴訟代理人弁護士 関 夕 三 郎
同 弁護士 笠 本 秀 一
同 指定代理人 福 島 計 之
同 指定代理人 松 井 秀 夫
同 指定代理人 阿 野 光 志
同 指定代理人 篠 原 孝 幸
同 指定代理人 油 井 祐 紀
同 指定代理人 安 藤 敏
<P1>
第1 平成28年11月11日午前10時30分の第7回口頭弁論期日における裁判所からの求釈明に対する回答
1(1) 求釈明事項
「萩生川西地区 区画整理補完3工事」及び「萩生川西地区 農道舗装工事」の各対象場所について,書証を用いて準備書面を提出されたい。
(2) 回答
ア 「萩生川西地区 区画整理補完3工事」や「萩生川西地区 農道舗装工事」の対象場所を正確に把握するためには,まず,「萩生川西地区県営農地整備事業」の全体の対象区域を確認しておく必要がある。
イ 「萩生川西地区県営農地整備事業」は,吾妻郡東吾妻町大字萩生において実施された土地改良法に基づく区画整理事業である。
その対象区域は,乙第19号証の図面(以下,「本件施工区域全体図」という。)に記載のとおりである。
本件施工区域全体図のうち,色付けされている部分が事業対象区域である。
本件施工区域全体図では,事業対象区域とその周辺には等高線の記載がなく,外縁部には等高線の記載があるが,これは,事業対象区域や説明文字を見やすくするために事業対象区域とその周辺の等高線を削除したものである。
事業対象区域内の土地の境界線や道路・水路の記載は,区画整理事業の施工後の状況を表している。ちなみに,施行前は,土地の区画や道路・水路はもっと雑然としており,個々の土地は狭く不整形で,高低差により棚田のような場所も多く,進入道路も整備されておらず狭かったため,農業の作業効率が非常に悪かった。本件区画整理事業は,そのような状態の農地と道路水路を一旦均一にならして(ただし,本件施工区域全体図の右下の「凡例」欄に「既設利用(道路)」「既設利用(水路)」と記載されている部分は残す。),そこからこの本件施工区域全体図の状態に作り上げた事業である。
なお,農地の表土は,一旦はぎ取って脇によけておき,整地後に埋め戻して
<P3>
いる。
ウ 「萩生川西地区県営農地整備事業」は,施工区域を「区画整理1工事」から「区画整理8工事」までの8つの区域に分けて,順次,各区域ごとに施工された。
各区画の境界は,本件施工区域全体図では,オレンジ色の線で表されている(本件施工区域全体図の右下「凡例」欄参照)。
エ 他方,補完工事は,数回に分けて,8つの区画全体にわたって施工された補完的な工事である。
このうち,「萩生川西地区 区画整理補完3工事」の明細は,乙第20号証記載のとおりである。
補完工事は,犬きく「道路工」「用水路工」「排水路工」「整理工」に分かれており,具体的な施工内容は非常に細かく,また,多岐にわたっている。
御庁が求釈明において特定を求めていると思われる「萩生川西地区 農道舗装工事」は,乙第20号証の「道路工」欄の「5工事」欄に記載のある3つの「敷砂利工」を指しているものと思われる。
オ 上記のとおり,「萩生川西地区 区画整理補完3工事」は,本件施工区域全体に及び,また,施工内容は細かく多岐にわたるため,これを本件施工区域全体図(乙19)に全て書き込むと図面が非常に見にくくなる。
そこで,御庁が求釈明において特定を求めていると思われる「萩生川西地区 農道舗装工事」の5か所の舗装工事の位置を,赤色の実線で表し,①ないし⑤の番号を付すに止めた。
この①ないし⑤の農道について,「萩生川西地区 区画整理補完3工事」において,本件農道整備工事が施工され(その路線の長さや幅員については,乙20記載のとおりである。),その後,本件農道舗装工事が施工されたものである(その路線の長さや幅員は,本件施工区域全体図(乙19)の右下「萩生川西地区 農道舗装工事の工事内容一覧表」記載のとおりである。 )。
2(1) 求釈明事項
<P4>
被告は,下層路盤材は基準値内であるが,風評被害を避けるためもあって補完工事をしたと主張しているが,「風評被害を防ぐことができるということは,仮に,下層路盤材から基準値を超えるフッ素や六価クロムが検出されるおそれがある場合であっても,その後アスファルト整備をすれば,環境基準を超えないことになる。」ことがその主張の前提でよいのか。
(2) 回答
御庁が指摘される前提は,被告の主張と若干異なる。
仮に,下層路盤材を敷設した地点の土壌から基準値を超えるフッ素や六価クロムが検出される場合,その対処方法は,土壌汚染対策法によって決められることになる。そして,詳細は次項で述べるが,仮に,本件舗装工事に先立って下層路盤材を敷設した地点の土壌から基準値を超えるフッ素や六価クロムが検出されていたとしても,土壌汚染対策法により,本件舗装工事と同様の舗装工事が実施されていたものと認められる。このとき,下層路盤材を敷設した地点の土壌からフツ素や六価クロムを除去するわけではないので,その地点の土壌は基準を超えたままである。
第2 下層路盤材が敷設された地点の土壌が土壌汚染対策法所定の基準を超えていると仮定した場合と土壌汚染対策法の関係
1 土壌汚染対策法とは
土壌汚染対策法は,「土壌の特定有害物質による汚染の状況の把握に関する措置及びその汚染による人の健康に係る被害の防止に関する措置を定めること等により,土壌汚染対策の実施を図り,もって国民の健康を保護することを目的」とする法律である(同法1条)。
2 土壌汚染の2つのリスク(なお,本項ないし5項については,乙21参照)
土壌汚染は,それがあることによって当然に人の健康に影響を及ぼすわけではない。
そのことを踏まえて,土壌汚染対策法は,上壌汚染による健康への影響を2つのリスクの観点から整理している。すなわち,1つは,①土壌に含まれる有害物
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質が地下水に溶出し,その有害物質を含んだ地下水を経口摂取するリスクであり,もう1つは,②有害物質を含む土壌を直接的に経口で摂取し,又は,その土壌が皮膚に接触することで皮膚から有害物質を摂取するリスクである。
そして,土壌汚染対策法は,まず,前者のリスク除去の観点から,25の物質(これを「特定有害物質」という。土壌汚染対策法施行令1条)について土壌溶出量基準を定め(土壌汚染対策法施行規則31条1項,別表第3),他方,後者のリスク除去の観点から,その25の特定有害物質のうち9の物質にれを「第二種特定有害物質」という。土壌汚染対策法施行規則4条3項2号ロ)について土壌含有量基準を定めている(土壌汚染対策法施行規則31条1項,別表第4)。
なお,仮に本件農道舗装工事の施工前に検査を実施していたとすれば,土壌含有量の関係では,ブレンド骨材ないしそれを含めた表土の成分検査を実施することになるが,土壌溶出量の関係では,ブレンド骨材そのものの成分検査ではなく,ブレンド骨材の下にある土壌の成分検査を実施することになる。
3 土壌の汚染が基準値を超えていた場合
土壌汚染の調査は,有害物質を使用していた施設の使用を廃止するときなどに行われるが(土壌汚染対策法3条など),調査の機序はさておき,調査結果が基準値を超えていたときは,都道府県知事は,その汚染が上記2つのリスクの観点から人の健康に被害が生じ,又は生ずるおそれがある場合には,その汚染区域を「要措置区域」に指定し(土壌汚染対策法6条),他方,人の摂取経路がなく,上記2つのリスクの観点から人の健康に被害が生ずるおそれがない場合には,その区域を「形質変更時要届出区域」に指定する(土壌汚染対策法11条)。
4 「要措置区域」に指定された場合の汚染の除去等の具体的措置
「形質変更時要届出区域」に指定された場合は,その土地の形質を変更するときに,その変更をしようとする者が都道府県知事に形質変更の届出を行うなどすることになり(土壌汚染対策法12条),即時に汚染の除去等の措置を講ずる必要はないが,「要措置区域」に指定された場合には,即時に「汚染の除去等の措置」を講じなければならない(土壌汚染対策法7条)。
そこで求められる「汚染の除去等の措置」は,具体的には,その区域の汚染の
<P6>
状況に応じて,地下水の水質の測定,原位置封じ込め,遮水工封じ込め,遮断工封じ込め,土壌汚染の除去,地下水汚染の拡大の防止,不溶化,土壌入換え,盛土,舗装,立入禁止などとされている(土壌汚染対策法施行規則36条,別表5)。
5 本件農道で仮に基準値を超えていた場合はどのような措置が取られるか
(1) 本件農道の下層路盤材の中に混在している鉄鋼スラグが含有していると認められる特定有害物質は,六価クロムとフッ素であるところ,この2つの物質は,いずれも第二種特定有害物質とされている(土壌汚染対策法施行令1条2号,21号,土壌汚染対策法施行規則4条3項2号口)。したがって,土壌溶出量と土壌含有量の両方が問題となる。
(2) 土壌溶出量の点,すなわち,地下水へ溶出した特定有害物質の経口摂取のリスクの除去の点については,下層路盤材の下に位置する土壌を採取して成分検査を実施することになる。
そして,その結果,基準値を超過していた場合には,次の手順として,土壌溶出量は地下水からの経口摂取のリスクを回避するためのものであることから,近隣の飲用の井戸の有無を確認し,飲用の井戸が存在する場合には,近隣の地下水質の調査を実施することになる(なお,調査を実施するかは飲用の井戸の有無によって決まるが,調査白体は飲用の井戸に限らず周辺の地下水質を把握するのに適切な井戸から試料を採取する。)。
調査対象とすべきの範囲については,環境省が定めた「土壌汚染対策法に基づく調査及び措置に関するガイドライン(改訂第2版)」(乙22)に準拠する。これによれば,六価クロムについては汚染地点から概ね500メートルの範囲,フツ素については概ね250メートルの範囲の井戸が対象となる(乙22・13頁)。
そして,仮に飲用の井戸が500mの範囲内にあったとしても,地下水の検査結果により,基準値を超過していなかった場合は,土壌溶出量基準には適合していないけれども地下水に係る基準は超過していないということなので,「汚染の除去等のための措置」としては,地下水の水質測定を行うことになる(土壌汚染対策法施行規則別表5・1)。
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なお,これまで,大同特殊鋼株式会社から排出された鉄鋼スラグが混合されているブレンド骨材が使用された群馬県内の場所に関し,現時点までに,上記の基準に従って実施された飲用の井戸から採取した地下水の検査において,基準値を超過した地点はない。
(3) 他方,土壌含有量の点,すなわち,直接的に経口や皮膚から摂取するリスクの除去の点については,盛土や舗装を行うことになる(同別表5・9)。
6 小活
以上のとおり,仮に本件下層路盤材が敷設された地点の土壌が基準に適合していなかったとしても,土壌汚染対策法により,舗装工事が行われ,かつ,地下水の水質測定を行うことになるのであり,結局は,本件農道舗装工事と同じ結果になったのであり,本件農道舗装工事が最少経費最大効果の原則に合致していることは明らかである。
以 上
*****証拠説明書(乙19~23)*****
<P1>
平成27年(行ウ)第7号 住民訴訟事件
原 告 小川賢,外1名
被 告 群馬県知事 大澤正明
証拠説明書(乙19~23)
平成28年12月27日
前橋地方裁判所民事第2部合議係 御中
被告訴訟代理人弁護士 関 夕 三 郎
同 弁護士 笠 本 秀 一
●号証:乙29
●標目(原本・写しの別):萩生川西地区 区画整理事業 施工区域全体図・写し
●作成年月日:H28.12月
●作成者:被告担当者
●立証趣旨:萩生川西地区の土地改良法に基づく区画整理事業の実施区域全域の地図。
色付きの部分が施工区域である。等高線が消えている部分は,実施区域を見やすくするため等高線を消したものである。
実施区域内の土地の区画道路,水路などは,施工後のもので
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ある(ただし,図面右下にある凡例のうち「既設利用(道路)」と「既設利用(水路)」については,施行前からの道路や水路をそのまま残したものである。)。
●号証:乙20
●標目(原本・写しの別):平成24年度県営農地整備事業(耕作放棄地解消・発生防止基盤整備)萩生川西地区 区画整理補完3工事の工事内容一覧表・写し
●作成年月日:H28.12月
●作成者:被告担当者
●立証趣旨:萩生川西地区の区画整旺事業における躾完E3工事の工事内容
「道路工」の中の「5工事」の中の3つの敷砂利工が本件農道舗装工事である(ただし,幅員2メートルの敷砂利工136メートルのうち21メートルはブレンド骨材が使用されていない。)。
●号証:乙21
●標目(原本・写しの別):土壌汚染対策法の概要(公益財団法人日本環境協会HP)より・写し
●作成年月日:
●作成者:公益財団法人日本環境協会
●立証趣旨:土壌汚染対策法の趣旨,制度概要など
●号証:乙22
●標目(原本・写しの別):土壌汚染対策法に基づく調査及び措置に関するガイドライン(改訂第2版)(抜粋)・写し
●作成年月日:H24.8月
●作成者:環境省水・大気環境局 土壌環境課
●立証趣旨:土壌容出量基準不適合の土地がある場合に実施される地下水の調査は,六価クロムについては汚染地点から概ね500メートル,フッ素についてに概ね250メートルの範囲で実施すること。
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●号証:乙23
●標目(原本・写しの別):NHK NEWS WEB・写し
●作成年月日:H28.12.22
●作成者:NHK
●立証趣旨:鉄鋼スラグ問題に係る廃棄物処理法違反事件につき,大同特殊鋼株式会社等が嫌疑不十分で不起訴処分になったこと。
なお,前橋地検によれば,不起訴の理由は「鉄鋼スラグを廃棄物と認定することや,撒意だったとすることが証拠上,困難」とのことである。
以上
*****書証目録******
前橋地方裁判所
平成28年(行ウ)第7号 住民訴訟事件
書 証 目 録
乙第19号証 乃至 乙第23号証
上記正写致しました
弁護士 関 夕 三 郎
*****乙第19号証*****
*****乙第20号証*****
平成24年度県営農地整備事業(耕作放棄地解消・発生防止基盤整備)
萩生川西地区区画整理補完3工事の工事内容―覧表
工事工種/ 工事区域名 / 工事明細 / 規格 /数量・単位 /工事の箇所番号
●道路工/2工事/ガードレール設置/ /15 m
/ネットフェンス設置/門扉1箇所を含む/49m
/3エ事/道路工/幅員5m/214 m
/道路工/幅員4m/597 m
/道路工/幅員3m/178 m
/路盤工/下層路盤工/675m2
/路盤工/上層路盤工/675m2
/アスファルト舗装工/厚さ4cm/716m2
/敷砂利工/幅員5m/214 m
/敷砂利工/幅員4m/597 m
/敷砂利工/幅員3m/178 m
/道路横断エ/ /11m
/道路横断工/ /5m
/ガードレール設置/ /136 m
/継手水槽設置/ /1箇所
/継手水槽設置/ /1箇所
/ポリエチレン管設置/ /5m
/4工事/道路工/幅員4m/287 m
/敷砂利工/幅員4m/287 m
/5エ事/敷砂利工/幅員4m/380m/①支道6号 L=173m ②支道7号L=207m
/敷砂利工/幅員4m/136m/⑤支道27号 L=136m
/敷砂利工/幅員2m/136 m/③耕道7号 L=67m ④耕道8号 L=48m 耕道10号 L=21m
/路床置換工/ /124m2
/下層路盤工/ /249m2
/上層路盤工 /249m2
/アスファルト舗装工/ /249m2
/舗装工/ /448m2
/6工事/道路工/幅員3m/100 m
/道路掘削工/ /687m2
/敷砂利工/幅員4m/558 m
/敷砂利工/幅員3m/100 m
/敷砂利工/幅員2m/131 m
/湧水処理/ /20 m
●用水路工/3工事/用水路工/BF300/209.6m
/道路側溝/UA300/28 m
/道路横断工/BF300用/19.8m
/分水工/BF300用/6箇所
/落差工/石張工/29m2
/継手水槽設置/ /2箇所
/取水工/VP150mm/17m2
/取水工/VU150mm/5 m
/用水路蓋設置/BF300用/13枚
/蓋設置/UA300用/52枚
/蓋設置/UA300用グレーチング/2枚
/用水管敷設(仮設)/VU200/40 m
/4工事/用水路工/BF300/313.6m
/道路横断工/BF300用/6m
/水口分水工/BF300用/6箇所
/落差工/石張工/27m
/取水工/VU150mm/5m
/用水路蓋設置/BF用/22枚
/5工事/用水路工/BF300/7 m
/道路横断工/BF300用/18 m
/石積工/練積30cm内外/1m2
/石積工/練積50cm内外/7m2
/用水路蓋設置/BF用/20枚
/6エ事/用水路工/BF300/250.5m
/道路横断工/BF300用/11 m
/水口分水工/BF300用/7箇所
/用水取付工/石張工/3m2
/落差工/石張工/75m2
/取水管/VU150mm/7 m
/用水路蓋設置/BF300用/22枚
●排水路工/幹線排水路/巨石張工/50cm内外/316m2
/裏込工/RC40/47 m
/敷張工/山砕100/47 m
/巨石張工/50cm内外/214m2
/巨石張エ(河床)/50cm内外/17m2
/帯工/ /18m2
/1工事/湧水処理エ/YUH100mm/120 m
/2エ事/湧水処理エ/YUH100mm/51.8m
/3工事/蓋設置/水槽用グレーチング2分割式/1箇所
/蓋設置/水槽用ゲレーチッゲ/1箇所
/水尻エ(横断)/ /4箇所
/水尻工/ /6箇所
/4工事/排水路工/穴あきU字溝300mm/61.3m
/道路横断工/横断暗渠B300χH500/8 m
/ポリエチレン管設置/Dia.300mm/10 m
/水槽嵩上工/ /1箇所
/落差工/石張工/1m2
/湧水処理工/YUH100mm/18.5m
/水尻工/ /5箇所
/5工事/蓋設置/穴あきU字溝500mm用/10枚
/6工事/道路横断工/Bχ05070/10m
/落差工/石張工/5m
●整地工/2エ事/畦畔工/ /228 m
/3工事/圃場整備/表土剥ぎ、基盤整地/1.06 ha
/畦畔工/ /356 m
/法面整形工/ /568m2
/4エ事/圃場整備/表土剥ぎ、基盤整地/0.83 ha
/畦畔工/ /801 m
/法面整形工/ /1、111m2
/5工事/畦畔工/ /43m
*****乙第21号証*****
一般公益財団法人日本環境協会「土壌汚染法の概要」
http://www.jeas.or.jp/dojo/law/outline.html
*****乙第22号証*****
環境省 水・大気環境局 土壌環境課「土壌汚染対策法に基づく調査及び措置に関するガイドライン(改訂第2版)」
https://www.env.go.jp/water/dojo/gl_ex-me/pdf/full.pdf
※今回、乙22号証として被告が送ってきたのは、このうち表紙と目次と本文1~15ページまで。
*****乙第23号証*****
**********
■以上の通りの内容ですが、何とスラグが投棄された農道は、もともと「敷砂利工」だったことが、乙20号証ではっきりしました。
また、乙21号証と乙22号証では、「仮に、本件舗装工事に先立って下層路盤材を敷設した地点の土壌から基準値を超えるフッ素や六価クロムが検出されていたとしても、土壌汚染対策法により、本件舗装工事と同等の舗装工事が実施されていたものと認められる」などと、苦しいこじ付けに終始した内容になっています。
特に噴飯ものなのは、12月22日に前橋地検が不起訴処分を出したことに関するNHKのニュース記事を乙23号証として被告群馬県が送りつけてきたことです。
大同スラグの不法投棄が「嫌疑不十分」という検察官の超法規的な判断をこれ幸いと、原因者らに撤去もさせずに血税で蓋をすることが正しいのだと主張しているのですから、完全に公僕の立場をわきまえることを放棄したに等しいと考えられます。
■この群馬県の論理だと、有毒物質の産業廃棄物を道路に埋め込んでも、近くの井戸水からただちに健康を脅かすほどのレベルが含有されていなければ、そのまま撤去せずに蓋をしておくだけでよい、ということになりかねません。
となると、筆者が居住している安中市の岩野谷地区にある東邦亜鉛安中精練所から毎年5万トン余り排出される鉛やヒ素、カドミウムを含む非鉄スラグについても天然砕石と混ぜることにより、どんどん路盤材や盛り土、造成用資材として利活用できることになります。
さらには、安中精練所から過去80年間にわたり周辺の農地や宅地に降り積もったカドミウム等を含む降下ばいじんで汚染された土壌についても、ただちに健康被害が出なければそのまま温存しておけばよいことになります。
■このように、前橋地検の不起訴処分を援用した群馬県の今回の第8準備書面における主張は、スラグなどの鉱さいを排出したり取り扱ったりしている事業者には、またとない福音になることでしょう。
そんなことが許されるはずはありません。1月20日の第8回口頭弁論期日での裁判の行方が注目されます。
【市民オンブズマン群馬事務局からの報告】