市政をひらく安中市民の会・市民オンブズマン群馬

1995年に群馬県安中市で起きた51億円詐欺横領事件に敢然と取組む市民団体と保守王国群馬県のオンブズマン組織の活動記録

大同スラグ訴訟・・・12月29日に送られてきた被告第8準備書面が早速援用した前橋地検の不起訴処分

2016-12-31 22:30:00 | スラグ不法投棄問題
■2017年1月20日(金)午前11時から前橋地裁2階第21号法廷で開催される第8回口頭弁論期日が迫っている最中に、被告群馬県の訴訟代理人弁護士から当会あてに、第8準備書面が12月29日に郵送で届きました。さっそく、内容を見てみましょう。


*****送付書兼受領書*****
前橋地方裁判所民事第2部合議係
ご担当 清宮書記官 殿
原 告 小川 賢 殿
原 告 鈴木 庸 殿
                    平成28年12月27日
                  前橋市大手町3丁目4番16号
                  被告訴訟代理人
                  石原・関・猿谷法律事務所
                  弁護士 関   夕 三 郎
                  電話027-235-2040

          送  付  書

事件の表示 : 前橋地方裁判所
        平成27年(行ウ)第7号住民訴訟事件
当 事 者 : 原 告: 小川賢外1名
        被 告: 群 馬 県
次回期日 : 平成29年1月20日午前11時00分

下記書類を送付致します。
  1 第8準備書面                  1通
  2 乙第19号証乃至乙第23号証         各1通
  3 証拠説明書                   1通
                               以上
-------------------一切らずにこのままでお送り下さい---------------・

          受  領  書

上記書類,本日受領致しました。                ヽ
                      平成28年12月29日

     原 告 小 川   賢 印

前橋地方裁判所(清宮書記官)御中 :FAX 027-233-0901
石原・関・猿谷法律事務所 御中  :FAX 027-230-9622


*****被告第8準備書面*****

<P1>
平成27年(行ウ)第7号 住民訴訟事件
原 告  小川賢,外1名
被 告  群馬県知事 大澤正明

          第8準備書面
                   平成28年12月27日

前橋地方裁判所民事第2部合議係 御中
            被告訴訟代理人弁護士  関  夕  三  郎
            同      弁護士  笠  本  秀  一
            同    指定代理人  福  島  計  之
            同    指定代理人  松  井  秀  夫
            同    指定代理人  阿  野  光  志
            同    指定代理人  篠  原  孝  幸
            同    指定代理人  油  井  祐  紀
            同    指定代理人  安  藤     敏

<P1>
第1 平成28年11月11日午前10時30分の第7回口頭弁論期日における裁判所からの求釈明に対する回答
1(1) 求釈明事項
   「萩生川西地区 区画整理補完3工事」及び「萩生川西地区 農道舗装工事」の各対象場所について,書証を用いて準備書面を提出されたい。
(2) 回答
 ア 「萩生川西地区 区画整理補完3工事」や「萩生川西地区 農道舗装工事」の対象場所を正確に把握するためには,まず,「萩生川西地区県営農地整備事業」の全体の対象区域を確認しておく必要がある。
 イ 「萩生川西地区県営農地整備事業」は,吾妻郡東吾妻町大字萩生において実施された土地改良法に基づく区画整理事業である。
   その対象区域は,乙第19号証の図面(以下,「本件施工区域全体図」という。)に記載のとおりである。
   本件施工区域全体図のうち,色付けされている部分が事業対象区域である。
   本件施工区域全体図では,事業対象区域とその周辺には等高線の記載がなく,外縁部には等高線の記載があるが,これは,事業対象区域や説明文字を見やすくするために事業対象区域とその周辺の等高線を削除したものである。
   事業対象区域内の土地の境界線や道路・水路の記載は,区画整理事業の施工後の状況を表している。ちなみに,施行前は,土地の区画や道路・水路はもっと雑然としており,個々の土地は狭く不整形で,高低差により棚田のような場所も多く,進入道路も整備されておらず狭かったため,農業の作業効率が非常に悪かった。本件区画整理事業は,そのような状態の農地と道路水路を一旦均一にならして(ただし,本件施工区域全体図の右下の「凡例」欄に「既設利用(道路)」「既設利用(水路)」と記載されている部分は残す。),そこからこの本件施工区域全体図の状態に作り上げた事業である。
   なお,農地の表土は,一旦はぎ取って脇によけておき,整地後に埋め戻して

<P3>
いる。
 ウ 「萩生川西地区県営農地整備事業」は,施工区域を「区画整理1工事」から「区画整理8工事」までの8つの区域に分けて,順次,各区域ごとに施工された。
   各区画の境界は,本件施工区域全体図では,オレンジ色の線で表されている(本件施工区域全体図の右下「凡例」欄参照)。
 エ 他方,補完工事は,数回に分けて,8つの区画全体にわたって施工された補完的な工事である。
   このうち,「萩生川西地区 区画整理補完3工事」の明細は,乙第20号証記載のとおりである。
   補完工事は,犬きく「道路工」「用水路工」「排水路工」「整理工」に分かれており,具体的な施工内容は非常に細かく,また,多岐にわたっている。
   御庁が求釈明において特定を求めていると思われる「萩生川西地区 農道舗装工事」は,乙第20号証の「道路工」欄の「5工事」欄に記載のある3つの「敷砂利工」を指しているものと思われる。
 オ 上記のとおり,「萩生川西地区 区画整理補完3工事」は,本件施工区域全体に及び,また,施工内容は細かく多岐にわたるため,これを本件施工区域全体図(乙19)に全て書き込むと図面が非常に見にくくなる。
   そこで,御庁が求釈明において特定を求めていると思われる「萩生川西地区 農道舗装工事」の5か所の舗装工事の位置を,赤色の実線で表し,①ないし⑤の番号を付すに止めた。
   この①ないし⑤の農道について,「萩生川西地区 区画整理補完3工事」において,本件農道整備工事が施工され(その路線の長さや幅員については,乙20記載のとおりである。),その後,本件農道舗装工事が施工されたものである(その路線の長さや幅員は,本件施工区域全体図(乙19)の右下「萩生川西地区 農道舗装工事の工事内容一覧表」記載のとおりである。 )。
2(1) 求釈明事項

<P4>
   被告は,下層路盤材は基準値内であるが,風評被害を避けるためもあって補完工事をしたと主張しているが,「風評被害を防ぐことができるということは,仮に,下層路盤材から基準値を超えるフッ素や六価クロムが検出されるおそれがある場合であっても,その後アスファルト整備をすれば,環境基準を超えないことになる。」ことがその主張の前提でよいのか。
(2) 回答
   御庁が指摘される前提は,被告の主張と若干異なる。
   仮に,下層路盤材を敷設した地点の土壌から基準値を超えるフッ素や六価クロムが検出される場合,その対処方法は,土壌汚染対策法によって決められることになる。そして,詳細は次項で述べるが,仮に,本件舗装工事に先立って下層路盤材を敷設した地点の土壌から基準値を超えるフッ素や六価クロムが検出されていたとしても,土壌汚染対策法により,本件舗装工事と同様の舗装工事が実施されていたものと認められる。このとき,下層路盤材を敷設した地点の土壌からフツ素や六価クロムを除去するわけではないので,その地点の土壌は基準を超えたままである。

第2 下層路盤材が敷設された地点の土壌が土壌汚染対策法所定の基準を超えていると仮定した場合と土壌汚染対策法の関係
1 土壌汚染対策法とは
  土壌汚染対策法は,「土壌の特定有害物質による汚染の状況の把握に関する措置及びその汚染による人の健康に係る被害の防止に関する措置を定めること等により,土壌汚染対策の実施を図り,もって国民の健康を保護することを目的」とする法律である(同法1条)。
2 土壌汚染の2つのリスク(なお,本項ないし5項については,乙21参照)
  土壌汚染は,それがあることによって当然に人の健康に影響を及ぼすわけではない。
  そのことを踏まえて,土壌汚染対策法は,上壌汚染による健康への影響を2つのリスクの観点から整理している。すなわち,1つは,①土壌に含まれる有害物

<P5>
質が地下水に溶出し,その有害物質を含んだ地下水を経口摂取するリスクであり,もう1つは,②有害物質を含む土壌を直接的に経口で摂取し,又は,その土壌が皮膚に接触することで皮膚から有害物質を摂取するリスクである。
  そして,土壌汚染対策法は,まず,前者のリスク除去の観点から,25の物質(これを「特定有害物質」という。土壌汚染対策法施行令1条)について土壌溶出量基準を定め(土壌汚染対策法施行規則31条1項,別表第3),他方,後者のリスク除去の観点から,その25の特定有害物質のうち9の物質にれを「第二種特定有害物質」という。土壌汚染対策法施行規則4条3項2号ロ)について土壌含有量基準を定めている(土壌汚染対策法施行規則31条1項,別表第4)。
  なお,仮に本件農道舗装工事の施工前に検査を実施していたとすれば,土壌含有量の関係では,ブレンド骨材ないしそれを含めた表土の成分検査を実施することになるが,土壌溶出量の関係では,ブレンド骨材そのものの成分検査ではなく,ブレンド骨材の下にある土壌の成分検査を実施することになる。
3 土壌の汚染が基準値を超えていた場合
  土壌汚染の調査は,有害物質を使用していた施設の使用を廃止するときなどに行われるが(土壌汚染対策法3条など),調査の機序はさておき,調査結果が基準値を超えていたときは,都道府県知事は,その汚染が上記2つのリスクの観点から人の健康に被害が生じ,又は生ずるおそれがある場合には,その汚染区域を「要措置区域」に指定し(土壌汚染対策法6条),他方,人の摂取経路がなく,上記2つのリスクの観点から人の健康に被害が生ずるおそれがない場合には,その区域を「形質変更時要届出区域」に指定する(土壌汚染対策法11条)。
4 「要措置区域」に指定された場合の汚染の除去等の具体的措置
  「形質変更時要届出区域」に指定された場合は,その土地の形質を変更するときに,その変更をしようとする者が都道府県知事に形質変更の届出を行うなどすることになり(土壌汚染対策法12条),即時に汚染の除去等の措置を講ずる必要はないが,「要措置区域」に指定された場合には,即時に「汚染の除去等の措置」を講じなければならない(土壌汚染対策法7条)。
  そこで求められる「汚染の除去等の措置」は,具体的には,その区域の汚染の

<P6>
状況に応じて,地下水の水質の測定,原位置封じ込め,遮水工封じ込め,遮断工封じ込め,土壌汚染の除去,地下水汚染の拡大の防止,不溶化,土壌入換え,盛土,舗装,立入禁止などとされている(土壌汚染対策法施行規則36条,別表5)。
5 本件農道で仮に基準値を超えていた場合はどのような措置が取られるか
(1) 本件農道の下層路盤材の中に混在している鉄鋼スラグが含有していると認められる特定有害物質は,六価クロムとフッ素であるところ,この2つの物質は,いずれも第二種特定有害物質とされている(土壌汚染対策法施行令1条2号,21号,土壌汚染対策法施行規則4条3項2号口)。したがって,土壌溶出量と土壌含有量の両方が問題となる。
(2) 土壌溶出量の点,すなわち,地下水へ溶出した特定有害物質の経口摂取のリスクの除去の点については,下層路盤材の下に位置する土壌を採取して成分検査を実施することになる。
   そして,その結果,基準値を超過していた場合には,次の手順として,土壌溶出量は地下水からの経口摂取のリスクを回避するためのものであることから,近隣の飲用の井戸の有無を確認し,飲用の井戸が存在する場合には,近隣の地下水質の調査を実施することになる(なお,調査を実施するかは飲用の井戸の有無によって決まるが,調査白体は飲用の井戸に限らず周辺の地下水質を把握するのに適切な井戸から試料を採取する。)。
   調査対象とすべきの範囲については,環境省が定めた「土壌汚染対策法に基づく調査及び措置に関するガイドライン(改訂第2版)」(乙22)に準拠する。これによれば,六価クロムについては汚染地点から概ね500メートルの範囲,フツ素については概ね250メートルの範囲の井戸が対象となる(乙22・13頁)。
   そして,仮に飲用の井戸が500mの範囲内にあったとしても,地下水の検査結果により,基準値を超過していなかった場合は,土壌溶出量基準には適合していないけれども地下水に係る基準は超過していないということなので,「汚染の除去等のための措置」としては,地下水の水質測定を行うことになる(土壌汚染対策法施行規則別表5・1)。

<P7>
   なお,これまで,大同特殊鋼株式会社から排出された鉄鋼スラグが混合されているブレンド骨材が使用された群馬県内の場所に関し,現時点までに,上記の基準に従って実施された飲用の井戸から採取した地下水の検査において,基準値を超過した地点はない。
(3) 他方,土壌含有量の点,すなわち,直接的に経口や皮膚から摂取するリスクの除去の点については,盛土や舗装を行うことになる(同別表5・9)。
6 小活
  以上のとおり,仮に本件下層路盤材が敷設された地点の土壌が基準に適合していなかったとしても,土壌汚染対策法により,舗装工事が行われ,かつ,地下水の水質測定を行うことになるのであり,結局は,本件農道舗装工事と同じ結果になったのであり,本件農道舗装工事が最少経費最大効果の原則に合致していることは明らかである。
                     以 上


*****証拠説明書(乙19~23)*****

<P1>
平成27年(行ウ)第7号 住民訴訟事件
原 告  小川賢,外1名
被 告  群馬県知事 大澤正明

         証拠説明書(乙19~23)

                      平成28年12月27日

前橋地方裁判所民事第2部合議係 御中

            被告訴訟代理人弁護士  関 夕 三 郎
            同      弁護士  笠 本 秀 一

●号証:乙29
●標目(原本・写しの別):萩生川西地区 区画整理事業 施工区域全体図・写し
●作成年月日:H28.12月
●作成者:被告担当者
●立証趣旨:萩生川西地区の土地改良法に基づく区画整理事業の実施区域全域の地図。
 色付きの部分が施工区域である。等高線が消えている部分は,実施区域を見やすくするため等高線を消したものである。
 実施区域内の土地の区画道路,水路などは,施工後のもので

<P2>
ある(ただし,図面右下にある凡例のうち「既設利用(道路)」と「既設利用(水路)」については,施行前からの道路や水路をそのまま残したものである。)。
●号証:乙20
●標目(原本・写しの別):平成24年度県営農地整備事業(耕作放棄地解消・発生防止基盤整備)萩生川西地区 区画整理補完3工事の工事内容一覧表・写し
●作成年月日:H28.12月
●作成者:被告担当者
●立証趣旨:萩生川西地区の区画整旺事業における躾完E3工事の工事内容
 「道路工」の中の「5工事」の中の3つの敷砂利工が本件農道舗装工事である(ただし,幅員2メートルの敷砂利工136メートルのうち21メートルはブレンド骨材が使用されていない。)。

●号証:乙21
●標目(原本・写しの別):土壌汚染対策法の概要(公益財団法人日本環境協会HP)より・写し
●作成年月日:
●作成者:公益財団法人日本環境協会
●立証趣旨:土壌汚染対策法の趣旨,制度概要など

●号証:乙22
●標目(原本・写しの別):土壌汚染対策法に基づく調査及び措置に関するガイドライン(改訂第2版)(抜粋)・写し
●作成年月日:H24.8月
●作成者:環境省水・大気環境局 土壌環境課
●立証趣旨:土壌容出量基準不適合の土地がある場合に実施される地下水の調査は,六価クロムについては汚染地点から概ね500メートル,フッ素についてに概ね250メートルの範囲で実施すること。

<P3>
●号証:乙23
●標目(原本・写しの別):NHK NEWS WEB・写し
●作成年月日:H28.12.22
●作成者:NHK
●立証趣旨:鉄鋼スラグ問題に係る廃棄物処理法違反事件につき,大同特殊鋼株式会社等が嫌疑不十分で不起訴処分になったこと。
 なお,前橋地検によれば,不起訴の理由は「鉄鋼スラグを廃棄物と認定することや,撒意だったとすることが証拠上,困難」とのことである。

                         以上

*****書証目録******

前橋地方裁判所
平成28年(行ウ)第7号 住民訴訟事件

    書 証 目 録

乙第19号証 乃至 乙第23号証

        上記正写致しました
        弁護士   関   夕 三 郎


*****乙第19号証*****



*****乙第20号証*****



平成24年度県営農地整備事業(耕作放棄地解消・発生防止基盤整備)
萩生川西地区区画整理補完3工事の工事内容―覧表

  工事工種/ 工事区域名 / 工事明細 / 規格 /数量・単位 /工事の箇所番号
●道路工/2工事/ガードレール設置/     /15 m
        /ネットフェンス設置/門扉1箇所を含む/49m

/3エ事/道路工/幅員5m/214 m
        /道路工/幅員4m/597 m
        /道路工/幅員3m/178 m
        /路盤工/下層路盤工/675m2
        /路盤工/上層路盤工/675m2
        /アスファルト舗装工/厚さ4cm/716m2
        /敷砂利工/幅員5m/214 m
        /敷砂利工/幅員4m/597 m
        /敷砂利工/幅員3m/178 m
        /道路横断エ/     /11m
        /道路横断工/     /5m
        /ガードレール設置/     /136 m
        /継手水槽設置/     /1箇所
        /継手水槽設置/     /1箇所
        /ポリエチレン管設置/     /5m

    /4工事/道路工/幅員4m/287 m
        /敷砂利工/幅員4m/287 m

    /5エ事/敷砂利工/幅員4m/380m/①支道6号 L=173m ②支道7号L=207m
        /敷砂利工/幅員4m/136m/⑤支道27号 L=136m
        /敷砂利工/幅員2m/136 m/③耕道7号 L=67m  ④耕道8号 L=48m 耕道10号 L=21m
        /路床置換工/     /124m2
        /下層路盤工/     /249m2
        /上層路盤工      /249m2
        /アスファルト舗装工/     /249m2
        /舗装工/     /448m2

    /6工事/道路工/幅員3m/100 m
        /道路掘削工/     /687m2
        /敷砂利工/幅員4m/558 m
        /敷砂利工/幅員3m/100 m
        /敷砂利工/幅員2m/131 m
        /湧水処理/     /20 m

●用水路工/3工事/用水路工/BF300/209.6m
         /道路側溝/UA300/28 m
         /道路横断工/BF300用/19.8m
         /分水工/BF300用/6箇所
         /落差工/石張工/29m2
         /継手水槽設置/     /2箇所
         /取水工/VP150mm/17m2
         /取水工/VU150mm/5 m
         /用水路蓋設置/BF300用/13枚
         /蓋設置/UA300用/52枚
         /蓋設置/UA300用グレーチング/2枚
         /用水管敷設(仮設)/VU200/40 m

/4工事/用水路工/BF300/313.6m
         /道路横断工/BF300用/6m
         /水口分水工/BF300用/6箇所
         /落差工/石張工/27m
         /取水工/VU150mm/5m
         /用水路蓋設置/BF用/22枚

     /5工事/用水路工/BF300/7 m
         /道路横断工/BF300用/18 m
         /石積工/練積30cm内外/1m2
         /石積工/練積50cm内外/7m2
         /用水路蓋設置/BF用/20枚

     /6エ事/用水路工/BF300/250.5m
         /道路横断工/BF300用/11 m
         /水口分水工/BF300用/7箇所
         /用水取付工/石張工/3m2
         /落差工/石張工/75m2
         /取水管/VU150mm/7 m
         /用水路蓋設置/BF300用/22枚

●排水路工/幹線排水路/巨石張工/50cm内外/316m2
           /裏込工/RC40/47 m
           /敷張工/山砕100/47 m
           /巨石張工/50cm内外/214m2
           /巨石張エ(河床)/50cm内外/17m2
           /帯工/     /18m2

     /1工事/湧水処理エ/YUH100mm/120 m

     /2エ事/湧水処理エ/YUH100mm/51.8m

     /3工事/蓋設置/水槽用グレーチング2分割式/1箇所
         /蓋設置/水槽用ゲレーチッゲ/1箇所
         /水尻エ(横断)/     /4箇所
         /水尻工/     /6箇所

     /4工事/排水路工/穴あきU字溝300mm/61.3m
         /道路横断工/横断暗渠B300χH500/8 m
         /ポリエチレン管設置/Dia.300mm/10 m
         /水槽嵩上工/      /1箇所
         /落差工/石張工/1m2
         /湧水処理工/YUH100mm/18.5m
         /水尻工/     /5箇所

     /5工事/蓋設置/穴あきU字溝500mm用/10枚

     /6工事/道路横断工/Bχ05070/10m
         /落差工/石張工/5m

●整地工/2エ事/畦畔工/     /228 m

    /3工事/圃場整備/表土剥ぎ、基盤整地/1.06 ha
        /畦畔工/     /356 m
        /法面整形工/     /568m2

/4エ事/圃場整備/表土剥ぎ、基盤整地/0.83 ha
        /畦畔工/     /801 m
        /法面整形工/     /1、111m2

    /5工事/畦畔工/     /43m


*****乙第21号証*****
一般公益財団法人日本環境協会「土壌汚染法の概要」
http://www.jeas.or.jp/dojo/law/outline.html

*****乙第22号証*****

環境省 水・大気環境局 土壌環境課「土壌汚染対策法に基づく調査及び措置に関するガイドライン(改訂第2版)」
https://www.env.go.jp/water/dojo/gl_ex-me/pdf/full.pdf
※今回、乙22号証として被告が送ってきたのは、このうち表紙と目次と本文1~15ページまで。

*****乙第23号証*****

**********

■以上の通りの内容ですが、何とスラグが投棄された農道は、もともと「敷砂利工」だったことが、乙20号証ではっきりしました。

 また、乙21号証と乙22号証では、「仮に、本件舗装工事に先立って下層路盤材を敷設した地点の土壌から基準値を超えるフッ素や六価クロムが検出されていたとしても、土壌汚染対策法により、本件舗装工事と同等の舗装工事が実施されていたものと認められる」などと、苦しいこじ付けに終始した内容になっています。

 特に噴飯ものなのは、12月22日に前橋地検が不起訴処分を出したことに関するNHKのニュース記事を乙23号証として被告群馬県が送りつけてきたことです。

 大同スラグの不法投棄が「嫌疑不十分」という検察官の超法規的な判断をこれ幸いと、原因者らに撤去もさせずに血税で蓋をすることが正しいのだと主張しているのですから、完全に公僕の立場をわきまえることを放棄したに等しいと考えられます。

■この群馬県の論理だと、有毒物質の産業廃棄物を道路に埋め込んでも、近くの井戸水からただちに健康を脅かすほどのレベルが含有されていなければ、そのまま撤去せずに蓋をしておくだけでよい、ということになりかねません。

 となると、筆者が居住している安中市の岩野谷地区にある東邦亜鉛安中精練所から毎年5万トン余り排出される鉛やヒ素、カドミウムを含む非鉄スラグについても天然砕石と混ぜることにより、どんどん路盤材や盛り土、造成用資材として利活用できることになります。

 さらには、安中精練所から過去80年間にわたり周辺の農地や宅地に降り積もったカドミウム等を含む降下ばいじんで汚染された土壌についても、ただちに健康被害が出なければそのまま温存しておけばよいことになります。

■このように、前橋地検の不起訴処分を援用した群馬県の今回の第8準備書面における主張は、スラグなどの鉱さいを排出したり取り扱ったりしている事業者には、またとない福音になることでしょう。

 そんなことが許されるはずはありません。1月20日の第8回口頭弁論期日での裁判の行方が注目されます。

【市民オンブズマン群馬事務局からの報告】

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【続報】大同有毒スラグを斬る!…環境基本法の法体系に異議?地検様の「最高裁判決?そんなの関係ねぇ~」

2016-12-30 23:33:00 | スラグ不法投棄問題
■2016年12月22日から23日にかけて、各報道機関よりスラグ報道が配信されました。特に有害スラグ問題を世間に知らしめた毎日新聞では2日間に亘り熱心に「不起訴」の様子を伝えています。事件の経緯や背景、何が問題解決を歪めているのかを垣間見える報道内容となっている気がしてなりません。皆さまと共に記事を熟読してみましょう。

**********2016年12月23日毎日新聞群馬版
大同特殊鋼
鉄鋼スラグ「廃棄物の証拠不十分」 大同など不起訴 地検「故意性」認めず /群馬

 「再生資材」か「産業廃棄物」か--。大手鉄鋼メーカー「大同特殊鋼」の渋川工場から出たスラグ問題で、前橋地検は22日、書類送検された大同などを容疑不十分で不起訴とした。「廃棄物」と認定した県や県警に対し、大同側は「製品としての再生資材」と主張。地検の判断が注目されたが、不起訴の理由を「廃棄物だと立証するには証拠不十分だった」と説明する一方、「廃棄物では絶対ないという言い方はしない」と歯切れの悪いものとなった。【尾崎修二】
 不起訴になった法人は、大同のほか、佐藤建設工業(渋川市)と大同特殊鋼の子会社、大同エコメット(愛知県東海市)。
 廃棄物処理法で扱う「不要物」の定義をめぐっては、過去の最高裁の判例で、その物の性状▽排出の状況▽通常の取り扱い形態▽取引価値の有無▽事業者の意思--などを総合的に勘案して決めるのが相当と示された。
 県は、廃棄物処理法を所管する環境省と1年以上協議を重ねた上で、大同側が、スラグを環境基準を超える有害物質「フッ素」が含まれていると知りながら出荷▽販売額以上の金額を「販売管理費」名目で支払う「逆有償取引」だった--などの観点から「廃棄物」と認定。昨年9月に大同など3社を刑事告発した。
 県警も、これら2要素のほか、「製品」にもかかわらず流通経路が送検された3社間のみで完結していた点などから「廃棄物」と認定し、4月に書類送検した。
 県や県警は有害性や取引形態に着目したのに対し、地検の築雅子次席検事は、「関係者の故意性(廃棄物との自覚)の認定は、証拠上困難」とした。さらに、副産物の有効利用などを促す資源有効利用促進法に言及し、「有用な副産物は材料として利用できる、という視点もある。それらの法の趣旨に鑑みて、総合的に判断した」と述べた。
 県内では400カ所以上の工事現場でスラグ使用が発覚し、130カ所以上で環境基準を超えるフッ素や六価クロムが検出されている。大同は「不良製品への対応」との名目で、調査や被覆工事の費用を負担している。大同の本社広報室は「皆さまのご懸念、心配に対し、引き続き誠実に対応したい」とのコメントを発表した。
★関係者、驚きと落胆の声
 地検の不起訴処分に、関係者の間では驚きと落胆の声がもれた。
 県警に告発していた県の大沢正明知事は「不起訴処分は意外だ。不起訴の理由をよく確認して今後の対応を決めたい。県としては、引き続き鉄鋼スラグの使用箇所や環境への影響について調査を進め、県民の安全・安心をしっかりと確保していきたい」とコメントした。
 スラグを廃棄物と認定し、書類送検した県警生活環境課の幹部は「検察の判断について何も話すことはない」と言葉少な。ある捜査関係者は「地検が疑義があるとしたのは、大同など当事者が故意性を否定していることが大きかったのではないか。残念だが、仕方がない」と無念さをにじませた。
 スラグ問題を追及してきた「市民オンブズマン群馬」の鈴木庸事務局長は「健康被害を与えるかもしれないスラグの問題で、不起訴というのは無責任だ」と不満を述べ、検察審査会に申し立てる意向を示した。【鈴木敦子、杉直樹】

 ■大同特殊鋼のスラグを巡る問題の経緯■
2002年4月   大同特殊鋼が大同原料サービス(現大同エコメット)と鉄鋼スラグの委託加工、売買契約を締結
  09年7月   大同特殊鋼、大同エコメット、佐藤建設工業の3社で鉄鋼スラグを混ぜた路盤材の製造・販売契約
  13年10月  渋川市が市スラグ砕石対策調査委員会を設置
  14年1~2月 県が3社の立ち入り検査を開始
     8月   大同特殊鋼が内部調査の結果などを公表
          国交省が調査に着手
  15年1月   鉄鋼スラグ協会が再発防止ガイドラインを改正
     9月   県が3社を県警に刑事告発
          県警が3社の本社や工場を家宅捜索
  16年4月   県警が書類送検
**********

■ポイントを整理する前に、声を荒げて一言言わせていただきます。

前橋地検様は「群馬県民などは、人にあらず、有害スラグの毒で苦しんでも、分相応なので我慢しろ」とでも思っているのか!

 怒りを抑えて、今回もポイントを整理していきましょう。

●ポイント①「再生資源」か「産業廃棄物」かの 醜い“せめぎあい”であること

●ポイント②廃棄物処理法で扱う「不要物」の定義を無視したこと

●ポイント③各方面の反応と事件の経緯

 例によってそれぞれのポイントについて検証してみましょう。

●ポイント①
「再生資源」か「産業廃棄物」かの 醜い“せめぎあい”であること、について

 毎日新聞が、前橋地検が大同などを不起訴にしたことについて、特集を組んだ今回の報道の書き出しは、次の見出しで始まっています。

「『再生資材』か『産業廃棄物』か--。」

 「産業廃棄物」という言葉は廃棄物処理法に定義の規定があるようです、一方「再生資材」という言葉は資源有効利用促進法という法律に定義の規定があるようです。これらの法律の体系はどうなっているのでしょうか?

 環境省のホームページに、法体系が掲載されていました。↓↓
http://www.env.go.jp/recycle/circul/keikaku/gaiyo_3.pdf

PDF ⇒ zn.pdf

■環境基本法・循環型社会形成推進基本法・廃棄物処理法は環境省所管の法律ということのようです。

 一方、資源有効利用促進法は経済産業省産業技術環境局が所管する法律です。

 経済産業省のホームページに“資源有効利用促進法”は、経済産業省の関係法令との記載があります。↓↓
http://www.meti.go.jp/intro/law/index_sangyo.html



 このように循環型社会を形成するための法体系には、環境省を主体とするも経済産業省が割って入ってきている様子が確認できます。国民の生活環境を守る環境省と経済利益優先の経済産業省がその関係団体の陳情をうけてせめぎあっている事が想像されます。

 廃棄物処理法第2条第4項および廃棄物処理法施行令第2条で「鉱さい」という分類が示されています。スラグは鉱さいという名の廃棄物です。法律で鉱さいという分類が示されている以上どこまで行っても廃棄物です。その処分は毒がある場合には遮断型最終処分場に最終処分する、毒がない場合には安定型または管理型最終処分場に処分するのが法が決めたルールです。毒がなければ許可を受けてリサイクルすることは可能です。

 重要なのはあくまで、廃棄物として許可を得なければ本来ならないはずです。しかし現実は鉄鋼業界が強いため、この本筋ルールが歪められ、許可なく副産物だとして道路用鉄鋼スラグや海の埋め立てに利用されています。

 鉄鋼業界は無理を押し通すのではなく、鉱さいという分類をやめてもらうよう働きかけるか、廃棄物処理のルールを守るかどちらかにして欲しいものです。今回のように裁判沙汰になりそうになったら、不起訴にしてもらうよう働きかけて解決する?という政治力を使った強引な「対症療法」はやめて欲しいのです。

■特集記事の中盤には、前橋地検がうっかり口を滑らせたという印象が残る言葉が紹介されています。

「県や県警は有害性や取引形態に着目したのに対し、地検の築雅子次席検事は、『関係者の故意性(廃棄物との自覚)の認定は、証拠上困難』とした。さらに、副産物の有効利用などを促す資源有効利用促進法に言及し、『有用な副産物は材料として利用できる、という視点もある。それらの法の趣旨に鑑みて、総合的に判断した』と述べた。」

「総合的に判断した」などとほのめかしていますが、循環型社会を形成するための法体系のうち経済産業省所管の“資源有効利用促進法”のみを強く意識した?と読めてなりません。強く意識したのは、経済産業省とつながりのある団体からの要請・圧力があったのではないか?と新聞の行間から垣間見られる?と言えるでしょう。日本の基幹産業と自負している思い上がった鉄鋼業界からの強い圧力があったものと読者の皆様は想像できてしまうのではないでしょうか?

 また、大同特殊鋼由来のスラグには、フッ素毒が含まれていることがすっかり忘れられています。まるで有毒性について捜査をしていなかった?かのようです。

 特集記事では次の通り紹介されています。

「県内では400カ所以上の工事現場でスラグ使用が発覚し、130カ所以上で環境基準を超えるフッ素や六価クロムが検出されている。」

 国土交通省や渋川市などの調査の結果では、スラグに含まれる毒により土壌まで汚染されている様子が報告されているのに、それらのことなど、お構い無しのようです。

 毒が含まれている大同スラグは断じて「有用な副産物」などではありません。その証拠に現在の大同スラグは遮断型最終処分場に埋設処分されています。毒性がない廃棄物が処分される安定型・管理型最終処分場には処分されていません。

■検察から「関係者の故意性(廃棄物との自覚)の認定は、証拠上困難」と言われてしまえば、一般市民はそうなんだろうな、と思うしかありません。

 しかし「有用な副産物は材料として利用できる、という視点もある。それらの法の趣旨に鑑みて、総合的に判断した」などは、群馬県内の廃棄物の監督官庁である群馬県環境部局が決めることです。

 また最終的にこの決定が正しいかは、裁判所において、後日、判断されるべき事柄なのではないでしょうか?

 裁判所ではない検察がこのような事にまで言及するのは、“口が滑った?”としか思えません。検察が裁判所を超える存在になることを一般市民は期待していません、不起訴といった裁判手前の言わば敵前逃亡の理由づけに、裁判所を超えた神様にまで上り詰めるのは、どうかご勘弁をいただきたいのです。

●ポイント②
廃棄物処理法で扱う「不要物」の定義を無視したこと

 群馬県内の廃棄物の監督官庁は、群馬県環境部局です。「廃棄物かどうかの個別具体的な判断は群馬県によりなされる」との国会答弁もあります。そこには“検察の判断を仰ぐ”とは出てきません。日本国が群馬県に県内の廃棄物に関する権限を与えているのです、裁判になったときに裁判所により廃棄物性が否定されることがあるのかも知れませんが、その時には権限を有する群馬県の決定を、検察は裁判所にそのまま上程すべきなのではないでしょうか?

 この点について毎日新聞の特集記事は、群馬県の対応を以下のように紹介しています。

「廃棄物処理法で扱う『不要物』の定義をめぐっては、過去の最高裁の判例で、その物の性状▽排出の状況▽通常の取り扱い形態▽取引価値の有無▽事業者の意思--などを総合的に勘案して決めるのが相当と示された。
 県は、廃棄物処理法を所管する環境省と1年以上協議を重ねた上で、大同側が、スラグを環境基準を超える有害物質「フッ素」が含まれていると知りながら出荷▽販売額以上の金額を『販売管理費』名目で支払う『逆有償取引』だった--などの観点から「廃棄物」と認定。昨年9月に大同など3社を刑事告発した。
 県警も、これら2要素のほか、『製品』にもかかわらず流通経路が送検された3社間のみで完結していた点などから『廃棄物』と認定し、4月に書類送検した。」


 群馬県が環境省と1年以上協議を重ねた様子が紹介されています。しかもその協議の内容は、過去の最高裁判所の判例などを総合的に勘案して「廃棄物」と認定したと報道されているのです。廃棄物の管理を行う際の、その入り口である廃棄物認定について、群馬県のマネジメントは“良くやっている”との評価に値します。ある有名なロック歌手が口にする“最高”と言えるでしょう。

 その群馬県の廃棄物マネジメントを前橋地検は、裁判官でもないのに次の通り切って捨ててしまいました。

「不起訴の理由を『廃棄物だと立証するには証拠不十分だった』と説明する一方、『廃棄物では絶対ないという言い方はしない』と歯切れの悪いものとなった。」

 「廃棄物では絶対ないという言い方はしない」とは何なのでしょうか?

 歯切れが悪いを通り越して消化不良を起こしています。じゃ~大同有害スラグは一体何なの?と言いたくなってきます。「絶対ないという言い方はしない」なら、検察様の気分によりたまに廃棄物なのでしょうか?大同スラグは有毒なのです、ふざけてもらっては群馬県に住む県民はたまったものではありません。

 環境省は「行政処分の指針について」という通達を出し、地方自治法第245条の4第1項の規定に基づく技術的な助言を行っていますが、その中で「その物が有価物と認められるか否か判断し、有価物と認められない限りは廃棄物として扱うこと。」と助言を行っています。前橋地検様はこの法律に基づく技術的な助言を「廃棄物では絶対ないという言い方はしない」と冷やかし、裁判所でもないのにバッサリ否定?してしまったと言えるのではないでしょうか?

 これからの廃棄物行政は何を拠り所に行えば良いのか、環境省もさぞ困っているのではないでしょうか?前橋地検様の不用意な発言は日本の廃棄物行政を混乱させてしまったと言えるでしょう。

●ポイント③
各方面の反応と事件の経緯について

 県警に告発していた県の大沢正明知事は「不起訴処分は意外だ。」とコメントしています。群馬県はこのまま何もしない場合どうなるのでしょうか?「県としては、引き続き鉄鋼スラグの使用箇所や環境への影響について調査を進め、県民の安全・安心をしっかりと確保していきたい」としていますが、今後環境への影響が出てきた場合、誰が責任を取るのでしょうか?大同に代わって群馬県知事が責任を取っていただけるのでしょうか?廃棄物認定について群馬県に権限があることを確認する意味でも検察審査会に申し立てをしなければ、今後の廃棄物行政はうまく立ちいかないことになるでしょう。

 スラグ問題を追及してきた「市民オンブズマン群馬」の鈴木庸事務局長は「健康被害を与えるかもしれないスラグの問題で、不起訴というのは無責任だ」と不満を述べ、検察審査会に申し立てる意向を示した。と報道されました。

 この場合、当会の事務局長は「不満」ではなく「批判」をしたのですが、なぜか「不満」と紹介されてしまいました。これまで3年間にわたりこの問題に取り組んで、現在でも法廷で係争中なのですから、その決意をもっと毎日新聞の記者のかたがたにも理解していただきたかったと思います。

 それはともかく、不起訴とすることにより、群馬県中にばら撒かれたスラグのフッ素毒が消えてなくなるのでしょうか?健康被害が発生した場合に被害者の苦しみを思うとき裁判で責任の所在をはっきりさせなければならないのではないでしょうか?

■新聞報道の最後にこの事件の経緯が紹介されています。

「2009年7月大同特殊鋼、大同エコメット、佐藤建設工業の3社で鉄鋼スラグを混ぜた路盤材の製造・販売契約」

と既にこの偽装再生砕石問題の発端から7年余りの時が流れていることが報道されています。そして、2016年も年の瀬を迎えました。

 来年こそ大同有害スラグが撤去され、“きれいな群馬ちゃん”が取り戻せることを願っています。その手始めとして、2017年1月20日(金)午前11時から前橋地裁2階の21号法廷で開廷される第8回口頭弁論期日にご注目ください。

【市民オンブズマン群馬・大同祐独スラグ不法投棄特別調査チーム・この項続く】

※参考資料1:大同特殊鋼はスラグにフッ素毒が基準値を超えて含まれていることを承知しています。
**********
循環型社会の裏側(杉本修作著)一部抜粋
※循環型社会の裏側(1)PDF ⇒ zp.pdf
※循環型社会の裏側(2)PDF ⇒ zq.pdf
薄めてもゴミはゴミ
 2013年11月8日、大同渋川工場の会議室で、責任者である環境室長ら四人とはじめて相対した。冒頭、環境室長から飛び出した発言に驚かされた。
 「環境基準を超えるフッ素が含まれているのはやむを得ないんですよ。だから天然砕石と混ぜてフッ素の低減化をしている」

※参考資料2:群馬県内の廃棄物行政の監督官庁は群馬県です。群馬県の決定に影響を与えられるのは裁判所のみでなければなりません。
■環境省の説明をご覧ください。第187回国会 経済産業委員会 第8号(平成26年11月12日)において塩川委員の質問に答えた(環境省大臣官房廃棄物・リサイクル対策部長)鎌形 浩史政府参考人の話です。
**********
http://www.shugiin.go.jp/internet/itdb_kaigiroku.nsf/html/kaigiroku/009818720141112008.htm
○鎌形政府参考人 お答え申し上げます。
 御指摘の鉄鋼スラグが廃棄物に該当するか否かという点でございますけれども、個別具体的な判断につきましては、産業廃棄物の適正処理に関する指導監督権限を有する、この場合ですと群馬県において適切に判断するということになりますが、その判断の考え方について申し上げますれば、物の性状、排出の状況、通常の取り扱い形態、取引価値の有無、占有者の意思を総合的に勘案して判断するということになります。
 御指摘の土壌環境基準については、そのうち、物の性状の判断の要素ということになるということでございます。

※参考資料3:関係法令
■環境基本法 http://law.e-gov.go.jp/htmldata/H05/H05HO091.html

■循環型社会形成推進基本法http://law.e-gov.go.jp/htmldata/H12/H12HO110.html
第一条  この法律は、環境基本法 (平成五年法律第九十一号)の基本理念にのっとり、循環型社会の形成について、基本原則を定め、並びに国、地方公共団体、事業者及び国民の責務を明らかにするとともに、循環型社会形成推進基本計画の策定その他循環型社会の形成に関する施策の基本となる事項を定めることにより、循環型社会の形成に関する施策を総合的かつ計画的に推進し、もって現在及び将来の国民の健康で文化的な生活の確保に寄与することを目的とする。

■廃棄物処理法http://law.e-gov.go.jp/htmldata/S45/S45HO137.html

 廃棄物処理法施行令http://law.e-gov.go.jp/htmldata/S46/S46SE300.html
(産業廃棄物)
第二条  法第二条第四項第一号 の政令で定める廃棄物は、次のとおりとする。
一  紙くず(建設業に係るもの(工作物の新築、改築又は除去に伴つて生じたものに限る。)、パルプ、紙又は紙加工品の製造業、新聞業(新聞巻取紙を使用して印刷発行を行うものに限る。)、出版業(印刷出版を行うものに限る。)、製本業及び印刷物加工業に係るもの並びにポリ塩化ビフェニルが塗布され、又は染み込んだものに限る。)
二  木くず(建設業に係るもの(工作物の新築、改築又は除去に伴つて生じたものに限る。)、木材又は木製品の製造業(家具の製造業を含む。)、パルプ製造業、輸入木材の卸売業及び物品賃貸業に係るもの、貨物の流通のために使用したパレット(パレットへの貨物の積付けのために使用したこん包用の木材を含む。)に係るもの並びにポリ塩化ビフェニルが染み込んだものに限る。)
三  繊維くず(建設業に係るもの(工作物の新築、改築又は除去に伴つて生じたものに限る。)、繊維工業(衣服その他の繊維製品製造業を除く。)に係るもの及びポリ塩化ビフェニルが染み込んだものに限る。)
四  食料品製造業、医薬品製造業又は香料製造業において原料として使用した動物又は植物に係る固形状の不要物
四の二  と畜場法 (昭和二十八年法律第百十四号)第三条第二項 に規定すると畜場においてとさつし、又は解体した同条第一項 に規定する獣畜及び食鳥処理の事業の規制及び食鳥検査に関する法律 (平成二年法律第七十号)第二条第六号 に規定する食鳥処理場において食鳥処理をした同条第一号 に規定する食鳥に係る固形状の不要物
五  ゴムくず
六  金属くず
七  ガラスくず、コンクリートくず(工作物の新築、改築又は除去に伴つて生じたものを除く。)及び陶磁器くず
八  鉱さい
九  工作物の新築、改築又は除去に伴つて生じたコンクリートの破片その他これに類する不要物
十  動物のふん尿(畜産農業に係るものに限る。)
十一  動物の死体(畜産農業に係るものに限る。)
十二  大気汚染防止法 (昭和四十三年法律第九十七号)第二条第二項 に規定するばい煙発生施設、ダイオキシン類対策特別措置法第二条第二項 に規定する特定施設(ダイオキシン類(同条第一項 に規定するダイオキシン類をいう。以下同じ。)を発生し、及び大気中に排出するものに限る。)又は次に掲げる廃棄物の焼却施設において発生するばいじんであつて、集じん施設によつて集められたもの
イ 燃え殻(事業活動に伴つて生じたものに限る。第二条の四第七号及び第十号、第三条第三号ヲ並びに別表第一を除き、以下同じ。)
ロ 汚泥(事業活動に伴つて生じたものに限る。第二条の四第五号ロ(1)、第八号及び第十一号、第三条第二号ホ及び第三号ヘ並びに別表第一を除き、以下同じ。)
ハ 廃油(事業活動に伴つて生じたものに限る。第二十四条第二号ハ及び別表第五を除き、以下同じ。)
ニ 廃酸(事業活動に伴つて生じたものに限る。第二十四条第二号ハを除き、以下同じ。)
ホ 廃アルカリ(事業活動に伴つて生じたものに限る。第二十四条第二号ハを除き、以下同じ。)
ヘ 廃プラスチック類(事業活動に伴つて生じたものに限る。第二条の四第五号ロ(5)を除き、以下同じ。)
ト 前各号に掲げる廃棄物(第一号から第三号まで及び第五号から第九号までに掲げる廃棄物にあつては、事業活動に伴つて生じたものに限る。)
十三  燃え殻、汚泥、廃油、廃酸、廃アルカリ、廃プラスチック類、前各号に掲げる廃棄物(第一号から第三号まで、第五号から第九号まで及び前号に掲げる廃棄物にあつては、事業活動に伴つて生じたものに限る。)又は法第二条第四項第二号 に掲げる廃棄物を処分するために処理したものであつて、これらの廃棄物に該当しないもの

■資源の有効な利用の促進に関する法律
http://law.e-gov.go.jp/htmldata/H03/H03HO048.html

※参考資料4:環廃産発第1303299号 環境省大臣官房廃棄物・リサイクル対策部産業廃棄物課長
行政処分の指針について(通知)(抜粋)

http://www.env.go.jp/hourei/add/k040.pdf

4 事実認定について

(2) 廃棄物該当性の判断について

① 廃棄物とは、占有者が自ら利用し、又は他人に有償で譲渡することができないために不要となったものをいい、これらに該当するか否かは、その物の性状、排出の状況、通常の取扱い形態、取引価値の有無及び占有者の意思等を総合的に勘案して判断すべきものであること。
  廃棄物は、不要であるために占有者の自由な処理に任せるとぞんざいに扱われるおそれがあり、生活環境の保全上の支障を生じる可能性を常に有していることから、法による適切な管理下に置くことが必要であること。したがって、再生後に自ら利用又は有償譲渡が予定される物であっても、再生前においてそれ自体は 自ら利用又は有償譲渡がされない物であることから、当該物の再生は廃棄物の処理であり、法の適用があること。
 また、本来廃棄物たる物を有価物と称し、法の規制を免れようとする事案が後を絶たないが、このような事案に適切に対処するため、廃棄物の疑いのあるものについては以下のような各種判断要素の基準に基づいて慎重に検討し、それらを総合的に勘案してその物が有価物と認められるか否かを判断し、有価物と認められない限りは廃棄物として扱うこと。なお、以下は各種判断要素の一般的な基準を示したものであり、物の種類、事案の形態等によってこれらの基準が必ずしも そのまま適用できない場合は、適用可能な基準のみを抽出して用いたり、当該物の種類、事案の形態等に即した他の判断要素をも勘案するなどして、適切に判断されたいこと。その他、平成12年7月24日付け衛環第65号厚生省生活衛生局水道環境部環境整備課長通知「野積みされた使用済みタイヤの適正処理について」及び平成17年7月25日付け環廃産発第050725002号本職通知「建設汚泥処理物の廃棄物該当性の判断指針について」も併せて参考にされたいこと。
ア 物の性状
利用用途に要求される品質を満足し、かつ飛散、流出、悪臭の発生等の生活 環境の保全上の支障が発生するおそれのないものであること。実際の判断に当たっては、生活環境の保全に係る関連基準(例えば土壌の汚染に係る環境基準 等)を満足すること、その性状についてJIS規格等の一般に認められている 客観的な基準が存在する場合は、これに適合していること、十分な品質管理が なされていること等の確認が必要であること。
イ 排出の状況
排出が需要に沿った計画的なものであり、排出前や排出時に適切な保管や品質管理がなされていること。
ウ 通常の取扱い形態
  製品としての市場が形成されており、廃棄物として処理されている事例が通常は認められないこと。
エ 取引価値の有無
占有者と取引の相手方の間で有償譲渡がなされており、なおかつ客観的に見て当該取引に経済的合理性があること。実際の判断に当たっては、名目を問わず処理料金に相当する金品の受領がないこと、当該譲渡価格が競合する製品や 運送費等の諸経費を勘案しても双方にとって営利活動として合理的な額であること、当該有償譲渡の相手方以外の者に対する有償譲渡の実績があること等の 確認が必要であること。
オ 占有者の意思
客観的要素から社会通念上合理的に認定し得る占有者の意思として、適切に利用し若しくは他人に有償譲渡する意思が認められること、又は放置若しくは処分の意思が認められないこと。したがって、単に占有者において自ら利用し、又は他人に有償で譲渡することができるものであると認識しているか否かは廃 棄物に該当するか否かを判断する際の決定的な要素となるものではなく、上記アからエまでの各種判断要素の基準に照らし、適切な利用を行おうとする意思があるとは判断されない場合、又は主として廃棄物の脱法的な処理を目的とし たものと判断される場合には、占有者の主張する意思の内容によらず、廃棄物に該当するものと判断されること。

なお、占有者と取引の相手方の間における有償譲渡の実績や有償譲渡契約の有無は、廃棄物に該当するか否かを判断する上での一つの簡便な基準に過ぎず、廃プラスチック類、がれき類、木くず、廃タイヤ、廃パチンコ台、堆肥(汚泥、動植物性残さ、家畜のふん尿等を中間処理(堆肥化)した物)、建設汚泥処理物(建設汚泥を中間処理した改良土等と称する物)等、場合によっては必ずしも市場の形成が明らかでない物については、法の規制を免れるため、恣意的に有償譲渡を 装う場合等も見られることから、当事者間の有償譲渡契約等の存在をもって直ち に有価物と判断することなく、上記アからオまでの各種判断要素の基準により総合的に判断されたいこと。さらに、排出事業者が自ら利用する場合における廃棄物該当性の判断に際しては、必ずしも他人への有償譲渡の実績等を求めるものではなく、通常の取扱い、個別の用途に対する利用価値並びに上記ウ及びエ以外の 各種判断要素の基準に照らし、社会通念上当該用途において一般に行われている利用であり、客観的な利用価値が認められなおかつ確実に当該再生利用の用途に 供されるか否かをもって廃棄物該当性を判断されたいこと。ただし、中間処理業 者が処分後に生じた中間処理産業廃棄物に対して更に処理を行う場合には産業廃棄物処理業の許可を要するところ、中間処理業者が中間処理後の物を自ら利用する場合においては、排出事業者が自ら利用する場合とは異なり、他人に有償譲渡できるものであるか否かを含めて、総合的に廃棄物該当性を判断されたいこと。

② 廃棄物該当性の判断については、法の規制の対象となる行為ごとにその着手時点における客観的状況から判断されたいこと。例えば、産業廃棄物処理業の許可 や産業廃棄物処理施設の設置許可の要否においては、当該処理(収集運搬、中間処理、最終処分ごと)に係る行為に着手した時点で廃棄物該当性を判断するもの であること。



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アカハラと寮生死亡事件に揺れる群馬高専・・・物質工学科のアカハラ事件の公開質問で学校側から3行回答

2016-12-29 22:41:00 | 群馬高専アカハラ問題
■これまで電子情報工学科の学科長による陰湿なアカハラ行為が取りざたされた群馬高専では、2年間に3名の尊い寮生の命が失われていますが、情報公開の不徹底で、真相究明と責任の所在がおざなりになったままとなっております。こうした中、群馬高専のアカハラの実態調査の結果、あらたに同校の物質工学科でも悪質なアカハラ事件が発生していたことが明らかになりました。この件について、当会では2016年12月19日10時半に事務局長が同校を訪れて、公開質問状を提出したので、同12月26日(月)午前10時30分に当会代表が同校を訪れました。その時の状況をご報告します。

 定刻通り同校管理棟2階の総務課を訪れたところ、櫻井課長が奥から出てきてくれました。挨拶もそこそこに同課長が当会の代表に示したのは、日付も差出人も書いていない1枚のペーパーでした。そこには次の言葉が印刷されていました。



**********
 学校として、別紙に記載された内容について、事実関係を確認しているところであり、その結果を踏まえ、対応を判断したい。
(事実関係の確認を終えていない段階では、これ以上のことは申し上げられない。)

**********

■当会から同課長に、「事実関係の確認の結果はいつ頃になると予想されるのでしょうか?」と質問したところ、同課長は明言を避けました。当会からは「1月に折を見て連絡を取らせてもよいでしょうか?」とお願いしたところ、否定も肯定もされませんでした。

 学校側にはかなり緊張をしている様子がうかがえ、来月からはじまる願書受付を見据えて、この問題の対処に果たしてどの程度、時間をかけられるのかどうかが焦点になりそうです。

 当会から「前校長の当時のことでもあるので、関係者への確認も容易ではないと思いますが、できる限りの努力を傾注していただきたい」と申し入れました。

■このように取り付く島もない学校側の対応ぶりですが、当会として今回の4回目の公開質問状の件とは別に、今年7月の第3回目の公開質問状について、学校側からキチンと回答を得ていない項目があったので、これについても追加の公開質問のかたちで同校宛に、この日提出しました。内容は次のとおりです。

*****第3回公開質問の回答に関する追加の公開質問*****
                             2016年12月26日
〒371-8530 群馬県前橋市鳥羽町580番地
独立行政法人 国立高等専門学校機構
群馬工業高等専門学校
 校長 西尾 典眞 様
                        市民オンブズマン群馬
                         代表 小川 賢

     件名:第3回公開質問状に関わる再公開質問

 本年(2016年)7月8日に当会より提出された第3回公開質問状について、貴学(群馬高専)は同7月14日に「プライバシーの観点から回答を差し控える」として公開質問状にあった16項目すべてに対して回答を拒否されました。貴学としては電子情報工学科におけるアカデミックハラスメント事件の存在を2016年12月26日現在に至るまで一貫して公式に認めていないこと、そして当時は寮生連続不審死事件(※1)についての情報開示が行われていなかったことから、個人情報に触れそうないくつかの項目については回答の拒否はある程度の正当性はもしかすれば認められるのかもしれません。
 しかしながら、死亡事件に対する学校側の対応などを聞いているだけの、特定個人のプライバシーに一切関係ない項目まで十把一絡げに「プライバシー」を理由に回答拒否されてしまっています。 また現時点では寮生連続不審死事件に関する情報開示がすでに行われていることから、貴学から見て当事件の存在および経緯は伏せる必要が一切なくなっています。
 よって、第3回公開質問状に関して、客観的にどう見ても個人のプライバシーを侵害するとは考えられない以下3項目について、再度貴学に回答を求めます。 依然としてプライバシーのため回答不能であるという場合には、その項目について具体的に何がどういった形で特定個人のプライバシーに触れるかの説明をお願いいたします。
(※1)2014年1月から2016年1月にかけて発生した、寮生ら3名の「全く理由・動機が不明な」自殺・不審死事件をまとめてこう呼称する。

●再度回答を求める事項については以下の通りです。→箇所は当会の質問理由です。

✔質問1-6「同学の寮生の葬儀参加に何かブレーキはかけられませんでしたか?」
→2016年1月の寮生死亡事件に関し、「貴学がご葬儀に出席する寮生に対して公的欠席の許可を出したか」という、公的機関である群馬高専の当時の対応に関する事実を聞いているだけであり、特定個人のプライバシーに関わるとは認められません。

✔質問2-1「寮生に対する一斉強制帰省の指示と、それに伴う費用負担に問題はありませんか?」
→2014年1月の寮生死亡事件に関し、「すでに日が暮れている1月の冷え切った夜(※2)に、事件とは関係ない棟に住む方や、遠方に居住する方も含めた寮生たち全員に対して即日帰宅を命令し、あまつさえ交通費を全額負担させた」という、公的機関である群馬高専の当時の対応の経緯あるいは理由、もしくはその両方を聞いているだけであり、特定個人のプライバシーに関わるとは認められません。
(※2) 開示された2014年1月24日の寮生死亡事件に関する報告書によれば、寮生への帰宅命令を出した集会が開始されたのが17時45分。 また当日の高崎市における日の入りは17時1分。

✔質問2-2「ご遺族の意向という錦の御旗の影で、説明責任の懈怠はありませんか?」
→2014年1月の寮生死亡事件に関し、「事件に関して、どういった救命措置が行われたのかがなぜ当時説明されなかったのか」、および「こうした校内(寮内)死亡事案のリスクに対する、学校側の救護・救命のための態勢や対応策がなぜ今に至るまで説明されず、考えられてすらいないのか」という、公的機関である群馬高専の対応について聞いているだけであり、特定個人のプライバシーに関わるとは認められません。

●その他、当時の質問に関すること。→箇所は当会の質問理由です。

✔質問4-3「メンタルケアのようなパッシブ策でなく、アクティブな対応策を講じませんか?」に関して
→少なくとも当会、および当会に関わっている群馬高専関係者から見て、今回の第4回公開質問状を提出するに至った現状を鑑みても、群馬高専内に教員から教員・学生に対するアカデミックハラスメントや、学生から学生に対するいじめが蔓延しているのはもはや否定しようのない事実であると考えられます。
 そのため、今すぐにアカデミックハラスメントやいじめがないか(なかったか)の徹底的調査を行い、悪質であると認められる場合には処分も辞さないということが、人を教え導く機関として当然行われるべきことであると思われます。

 上記の質問項目に関する群馬高専の見解を聞きたく存じます。
                             以上
**********

■回答期限は敢えて付記しませんでした。なぜならこれから年末年始にかかることと、また新年からは新入生を迎えるための入試手続きなどで業務が輻輳することが予想されること、そして、なによりも、次の背景を考慮したからです。
※群馬高専平成29年度入学者選抜日程↓
http://www.gunma-ct.ac.jp/cms/nyugaku/gakka.htm

 今回判明した物質工学科のアカハラ事件は、西尾校長在任中である3年前の1月に発生した物質工学科所属の寮生の不審死事件も一部可能性として絡んでいるものの、竹本・前校長に関わる問題の可能性が大きいようですが、西尾・現校長がどの程度事実関係の確認を徹底して行えるかどうか、が注目されます。そのため、現校長の自主的な対応を見極めたいと考えています。


群馬高専創立50周年記念記念事業高額寄付者リスト。竹本前校長の名前も一番上の高額寄付者の欄に見受けられる。

 勿論、現校長がこの問題に対して消極的な対応を取り、自らの異動まで時間稼ぎをするリスクもありますが、むしろこれまでのアカハラ隠ぺい体質をあらためるための機会の提供という意味を込めてこうしました。

 竹本・前校長の任期中だった2012年3月にも同校ではアカハラ事件が発生していました。その時は、技術職員(教員ではない末端の構成員)と教授1名を懲戒処分にして、ホームページにも事件発生と処分について、再発防止の決意と共に、これらを公表しました。そのことで、群馬高専のクリーンなイメージの回復を世間にアピールして、竹本・前校長としては有終の美を飾って退職したかったのだと思われます。

 しかし今回、物質工学科のアカハラ事件が浮上してしまったため、あらためて竹本・前校長の評価が問われることになります。おそらく前校長はリタイヤをされて、悠々自適の毎日を過ごされているかもしれません。しかし、このアカハラ事件を隠ぺいしようとした経緯が事実だとすれば、やはり本人からきちんと見解を聞く必要があります。

 前校長の現在の所在や所属がどうなっているのか、また、関係する元職員やOBなど、既に群馬高専を去っているかたがたについても、当会には調べようもありませんから、群馬高専側のいう「事実関係を確認して、その結果を踏まえ、対応を判断する」という方針を尊重するしかありません。それには西尾・現校長の対応次第ということになります。

 オンブズマンからの公開質問状まで本件を認知していなかったと考えられる西尾現校長の責任は比較的薄く、一方で意図して隠ぺいと放置を行いアカハラを悪化させた竹本前校長の責任は重大です。しかし、もしかしたら、竹本前校長時代のアカハラ体質が、西尾現校長に引き継がれていたということもありうるかもしれません。

 過去のアカハラ事件について、現在の群馬高専として、どのような対応をとるのかどうかは、アカハラ体質の撲滅に関する学校側の決意を示すことでもあるため、上級機関で有る全国高等学校専門機構との連携も含めて、きちんと事実関係の調査と結果の公表が強く望まれるところです。

 こうして、物質工学科における過去の事件が浮き彫りになるのも、西尾・現校長による電子情報工学科を舞台にしたアカハラ事件に対して無神経かつ野放図に秘密主義を拡大し続けて問題を複雑化させたことが、大きな引き金になったと言えるでしょう。

 前述のとおり、寮生3名の連続不審死事件でも物質工学科から1名犠牲者が出ています。しかもアカハラを行っていた物質工学科の教授が担任だったことが判明しています。この他にもアカハラの犠牲者が出ていないかどうか、現在の群馬高専には徹底した当時の事件の実態調査が求められているのです。

■2017年2月3日には東京地裁で、同校の電子情報工学科のアカハラ事件を巡る情報不開示処分に関する処分取消訴訟の第1回口頭弁論期日が予定されています。

 新たな年が、開かれたキャンパスを実現するための群馬高専の改革につながるかどうか、当会では微力ながら、同校の体質改善のために全力を挙げてサポートしてゆく所存です。


玄関にある太陽光発電の発電表示パネル。


玄関を出て、外を見たところ。今回、校長室の前を通ったが、ドアは半開きになっていたものの、中に人の気配はなかった。西尾校長が当日勤務していたがオンブズマンの訪問に合わせて姿をくらましたのか、それとも早めの冬休みに入ったのかは、確認できていない。

【市民オンブズマン群馬事務局からの報告】

※関連情報「第4回目の公開質問状」
**********
                            2016年12月19日
〒371-8530 群馬県前橋市鳥羽町580番地
独立行政法人 国立高等専門学校機構
群馬工業高等専門学校
 校長 西尾 典眞 様
                           市民オンブズマン群馬
                            代表 小川 賢
           公 開 質 問 状
     件名:群馬高専物質工学科におけるアカハラの実態について

 拝啓、貴学ますますご清栄のこととお慶び申しあげます。
 当会は、群馬県において、行政及びその関連機関を外部から監視し、当該機関による税金の無駄遣いや行政及び関連する権限を不当に行使することによる住民・関係者の権利・利益の侵害に対する調査及び救済の勧告を図る活動をしているオンブズマン団体です。
 さて、昨年2015年4月15日付で貴学の内部で取り沙汰されている電子情報工学科におけるパワーハラスメント、セクシャルハラスメントなど、いわゆるアカデミックハラスメント(アカハラ)について最初の公開質問状として、事実関係の確認をお願いしましたが、貴学は関係者のプライバシー保護を理由に一切の回答を拒否されました。その後、当会の情報開示請求に対しても同様に一切の情報を不開示として現在に至っています。そのため、当会では当該法人文書不開示処分の取消請求訴訟を提起したことは、周知のとおりです。
 一方、その期間中に、電子情報工学科の4年生に在籍する2名の寮生が連続して不可解なかたちで亡くなるという重大事件が発生しました。この件では貴学は一定の情報開示を行いましたが、今年7月8日に貴学に対し提出した公開質問状に示されたような、この事件に関係する不可解な点および貴学の問題点についてほとんど一切記載がないばかりか、貴学の認識では別件であるはずの電子情報工学科におけるアカハラ事件の原因者とされる教授に関する情報までもがなぜか黒塗りされるなど、依然として貴学の情報秘匿体質が払しょくされたとは言えません。

 そうしたなか、当会では、貴学を揺るがしている電子情報工学科を舞台にしたアカハラ問題だけではなく、物質工学科においても陰湿かつ悪質なアカハラ事件が発生していたことを突き止めました。この新たに判明した事件に関して、貴学がどのような対応をとったのか、事実関係の確認をする必要があると考えております。
 そこで今回、物質工学科で起きたアカハラ事件に関して当会が調査した結果(別紙参照)について、質問形式で確認をさせていただきます。

【質問1】:当会の調査報告に示された(1)から(7)の事象について、あるいはアカハラの実行者とされる教員らの極めて悪質な言動について、貴学では把握していましたか?

【質問2】:物質工学科におけるこのアカハラ事件、および物質工学科に蔓延するアカハラをめぐる実情について、貴学ではすでに調査を行いましたか? 行っていないのであれば、これから調査を行うつもりはありますか?行なうつもりがない場合はその理由をお聞かせください。

【質問3】:(1)から(7)の事象について、事実と異なる箇所はありますか? ある場合は当該箇所をご指摘ください。

【質問 4】:貴学は(1)から(7)の事象を含む物質工学科におけるアカハラ事件について、国立高等専門学校機構に報告書を上げたことがありますか?ある場合は、その報告書の日付を教えてください。

【質問 5】:貴学は、(1)から(7)の事象で実名の挙がっているアカハラ事件の原因者らに対して、なんらかの処分をしていますか? している場合は、当該原因者の氏名(プライバシーとして開示できない場合は当該人物の職階のみでよい)、処分日、処分内容及び理由を教えてください。

【質問 6】:貴学で問題となっている寮生連続不審死事件にて最初に死亡した寮生が、物質工学科に所属していたことから、アカハラ事件との関連があらためて注目されます。しかもこの亡くなった寮生の当時の担任はアカハラを行っていた張本人です。貴学は、寮生連続不審死事件とアカハラ事件との因果関係について、どのように考えていますか?

【質問 7】:物質工学科におけるアカハラ事件で原因者である学科長(当時)に対する調査・処分が為されていない場合、きちんと実態解明および責任の所在の明確化が果たされていないことになります。よって貴学によって本件に対する調査・実態解明が行われるのは客観的に見ても当然のことと思われます。しかし判明している実態が事実である場合、このアカハラ事件の加害者は事実を平気で捻じ曲げるという、学問の世界に身を置く者としてあるまじき行為を平然と行う人物であると考えられます。したがって調査・実態解明にあたっては、加害者と目される人物の言い分を一方的に聞くだけでなく、すでに群馬高専を去られた方も含め物質工学科の関係者への聞き取りといったアクティブな働きかけが必要であると考えられますが、貴学はどのように考えていますか?

なお、貴学のご回答を得た上で、あるいは得られなかったときに、記者会見で回答の有無及び内容を明らかにしてまいりたいと考えます。同時に当市民オンブズマン群馬のホームページ上でも明らかにし広く群馬県民に広報してまいる所存です。つきましては、平成28年12月26日(月)午前10時30分に貴学を訪問する予定ですので、その際に、文書で回答をご準備いただきますよう、お願い申し上げます。
                            敬具
*****別紙・実態調査報告*****
                (別紙)
      群馬高専物質工学科におけるアカハラの実態調査報告

                             2016年12月19日
                           文責 市民オンブズマン群馬

 当会の調査により、物質工学科においてもアカハラ事件が発生していたことを確認しています。いずれも、関係者らからの情報をもとにまとめたものです。

(1)日常的に、学科会議においてO.M氏(教授)、T.H氏(発生当時准教授、現教授)が下位にある特定の教員に対し、当該教員が発言をすると「どういう立場でものを言っているんだ」と執拗に嫌味を言って発言をさえぎったり、「ものを考えていないからそういうことが言えるんじゃないですか?」など人格否定のような発言を多く行った。
 また、他の教員に対しても、自分の意見と反対のことを言われると2人揃ってその教員に対して、「馬鹿じゃないのか、頭が悪いんじゃないのか」などという暴言を浴びせていた。特にT.H氏の場合は、学科会議で大声を出して回りを威嚇し、他の人の発言を妨げ、会議にならず言い争いのような時間になっていた。O.M氏は声を荒げこそしなかったが、人格否定のような発言を繰り返す場面が多々あった。
(その後、アカハラの被害に遭った教員は精神に異常をきたしてしまったということである)

 さらにこのO.M氏、T.H氏、そしてF.M氏(教授)は、下位の教員に対して研究が十分に出来ないように仕向け妨害する行為を執拗に行っている。

(2)O.M氏およびT.H氏は自分の思い通りにならない学生に対して罵詈雑言を浴びせ、精神的に彼らを追い込んだり泣かせたりといった行為を日常的に行っていた。 これについては被害を受けた学生らが精神的に追い込まれていることからも決して「熱血指導」などという性質のものではないことは明白である。 一例として、T.H氏が担任となったとある学生が2年次編入の大学・学部を前々から志望していたが、T.H氏はそこに目をつけてその学生をわざわざ自室に呼び出し、「人生の損でしかない」「そんな所に行っても絶対に後悔するぞ」などと叱責と嫌味を徹底的に浴びせてその学生の夢や努力を真っ向から理不尽に否定し、号泣させたことがあった。

(3)2009~2010年度において学科長だったF.M氏は、入試の説明会の日にいなかった教員に対し、そのことで「お前は仕事をしていない」という罵倒を浴びせたことがあった。当該の教員の欠席については、本人から事前に学科長当人に相談し、学校長と教務主事に了解を得ていたことが確認されており、この発言は明らかに不当である。 自らの了承を覆す発言は、当該の教員としては、きわめて理不尽であったに違いない。また、F.M氏は当該の教員に対し、「辞めるならさっさと辞めて下さい」と嘲笑したことも判明している。

(4)2009~2010年度にかけて、当時の学科長のF.M氏はやむをえない出張の多い下位の教員に対して「出張はもう行かないだろうな」とプレッシャーをかけ、仕事や研究に伴う出張に対しても精神的負担を強い、間接的に業務を妨害した。 仕事に伴うそうした出張に対し、「今後控えろ」という業務に対する妨害ともとれる発言が、当時の学科長だったF.M氏から教員に投げつけられたことも判明している。

(5)当時学科長だったF.M氏に、教員からメールをしてあっても「受け取っていない」として、業務放棄のような発言を返された教員がいた。 同様に、メールで報告したにもかかわらず、F.M氏からは「報告を受けていないぞ。 私は聞いていない」と叱責された教員もいた。

(6)F.M氏が学科長時代に行っていたパワハラについては、被害を受けた教員らが学校側にも相談をし、総務課長らが相談に乗ったが、当時の竹本廣文学校長はほとんど触れたがらない対応、すなわち揉み消しと言っていい対応をとっていた。 結局、「パワハラ等の話を大きくしても不利益に働く」との見解が当時の総務課長から文書で関係者に通知されるという対応だったとのこと。 アカハラ被害に遭った教員が竹本校長に直接話をしても、同校長からは「事を大きくしないほうがいい」という言葉が返されてきたことが判明している。

(7)ちなみに、2014年1月の物質工学科所属の寮生の自殺者の担任は、F.M氏だったことが確認されている。 因果関係は不明なるも、相応の対応をしていなかったのではないかと物質工学科の実情とF.M氏の本性を知る教職員の間からも、推察がなされている。
                                  以上
**********

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東電の毒牙から赤城と県土を守れ!…また火災事故のトーセンと住民にウソをつく東電G関電工の二枚舌体質

2016-12-28 17:23:00 | 前橋Biomass発電問題・東電福一事故・東日本大震災
■当会も参加して群馬県を相手取り補助金の多重取りの前橋バイオマス計画ですが、この事業をリードして進めている東電グループの関電工の体質について今回検証してみました。
 なお、緊急報告として、放射能汚染された県内各地から集積される間伐材や廃材を木質チップに加工する前橋バイオマス燃料㈱に関電工と一緒に出資している㈱トーセンが藤岡市にある関連施設で大火災を起こしました。次に示す報道記事をご覧ください。

**********2016年12月14日上毛新聞 PDF ⇒ brt20161214gzlivj.pdf
木材加工場と事務所が全焼 藤岡
 13日午前6時15分ごろ、藤岡市下日野の県産材加工協同組合(東泉清寿理事長)の第2工場から出火していると、近隣住民の男性(64)から110番通報があった。軽量鉄骨造2階建ての事務所約164平方メートルと、東側に隣接する木造平屋建ての作業棟約480平方メートルが全焼した。
 藤岡署によると、出火当時は無人でけが人はいなかった。同署が出火原因を調べている。
 現場は藤岡日野小から北西に約250メートル離れた場所にあり、同日午後0時45分ごろ鎮火した。
 近所の女性(78)は「黒い煙を炎が上がっていた。破裂するような音が聞こえた。山が近いので燃え移ったら大変」と不安そうだった。
**********

■実は㈱トーセンが大火災事故を起こしたのは今回が初めてではありません。3年前にも自社のバイオマス発電施設向けの燃料供給用の製材工場があった栃木県那珂川町でも大火災事故を起こし、旧馬頭東中学校の体育館だった製材工場は完全に焼け落ちて、バイオマス発電の開始が大幅に遅れたことがありました。当時の地元紙の報道記事を見てみましょう。

**********2013年9月30日下野新聞
製材工場、1100平方メートル全焼 バイオマス支援の那珂川町に衝撃
 28日午後10時5分ごろ、那珂川町大山田下郷の県北木材協同組合(東泉清寿理事長)から出火、製材工場の鉄骨平屋の約1100平方メートルを全焼した。那珂川署によると出火当時、工場は無人でけが人はなく、出火原因などを調べている。
 工場は旧馬頭東中の体育館を利用し、2012年に木材販売のトーセン(矢板市山田、東泉清寿社長)が整備した。町によると昼間は約20人の従業員が働いているという。
 同社は敷地内に廃材や間伐材を活用したバイオマス発電所の建設を計画。町はバイオマス活用推進計画に同発電所の整備支援を掲げ、新産業創出を期待していただけに、火災発生の衝撃は大きい。大金伊一町長は「町の活性化になる工場だけに大変残念」と話した。
**********

 トーセンによる那珂川バイオマス発電施設では、2012年4月、森林資源のフル活用と地域振興を目指し、3mABC材を一括で受け入れる新工場が那珂川町の旧馬頭東中学校体育館を利用して建設され稼働が始められました。この時、丸太の消費量は月間2,400m3で、当初は製材機のみの稼働でし、その後木質焚きボイラーと乾燥機(100m3×2基)を整備しました。この木質焚きボイラーは、バークや含水率の高い燃料でも燃やすことができるとされ、熱は乾燥機のほか、うなぎの養殖や熱帯フルーツの栽培への利用も検討しているなどとPRされていました。

 そして2013年度には、木質バイオマス発電施設整備が計画され、那珂川工場に導入予定の発電施設は、2,500kW(所内電力300kW)で耐用年数は20年とされ、発電施設は木質専焼で,燃料の3割を製材残渣、7割を林地残材で賄うとし,燃料使用量は含水率50%(WB)で約5~6万t/年を想定し、小規模所有者からの廃材の持ち込みにも応じる予定で、「木の駅プロジェクト」なるものも試行されていました。

 木質バイオマス発電ではチップの含水率によって発電効率が変化するため,燃料用チップの乾燥が課題ですが、トーセンのこの計画では、素材生産業者と連携して,山土場で材を含水率40%(WB)まで乾燥させて、納入してもらうことを検討していました。

 運転開始は2014年初頭を予定していましたが、2014年9月の製材工場の全焼の影響で同年10月まで発電施設の稼働が遅れたようです。製材工場の火災原因は杜撰な安全管理によるものとみられています。

■また、トーセンが安中市松井田町五料地内に計画していた碓氷木質バイオマス発電も出力が2,500kwでした。こちらは進入道路沿いの地権者が道路の拡幅に反対したため、敢えなく頓挫しましたが、群馬県は県議会に補助金の交付について上程し、議会の議決を得ていました。

 後掲の記事にもあるように、初めにバイオマス発電ありきの計画で、発電用の蒸気発生ボイラーの燃料確保が最大のネックとなっていますが、なぜか、あちこちでバイオマス発電計画が浮上してくるのが不思議です。当然、県外の放射能汚染木材の導入も視野に入っているものと思われます。

■さて、2016年12月13日早朝に発生したトーセンの藤岡市下日野の木材加工場と事務所の全焼火災の第一発見者は近隣住民でした。なぜなら事業所には職員が不在だったからです。これをみても、同社の管理体制に問題があることがわかります。

 12月20日は消防署による立会検査が実施されたようで、トーセンは12月20日に予定されていた前橋バイオマス発電のチップ工場にかかる説明会を突然キャンセルしました。また、関電工にトーセンから火災発生の情報連絡があったのは、火災発生から4日後の12月18日(日)でした。

■関電工のバイオマス発電事業の共同出資者のトーセンがこうしたズサンな施設管理で問題を起こしていますが、主体の関電工は、さらにウソを嘘で固める体質を有しています。

 とりわけ問題となっているのは、次の2件です。

(1) アクセス道路の浸透式の変更の件

 353線からアクセスする市道及び敷地内の道路について、関電工は「浸透式にする」と周辺住民の皆さんに約束していました。11月の地元住民との話し合いの中で、関電工は「前橋市からの規制でこうなった」とする説明をしましたが、住民らが前橋市に確認したところ、「そもそも関電工からは浸透式の提案などなく、市は側溝式で許可した」ということが判明しました。

 このため、住民らが12月20日の地元説明会で、関電工の本件責任者である福本氏を問い詰めたら、ごまかしを認めました。ところが、呆れたことに「すみませんでした」の一言で済まそうとしていました。福本氏は、「設計がそうなったので了解した」と説明していますが、最初から、同氏の絵空事であったことが判明しました。

(2)発電所への電柱工事用道路から雨水が赤城ビュータウン・市道へ流入する件

 工事道路からの雨水対策として雨水浸透管20cm×8mが埋設したと11月27日に住民に説明がありました。然しながら埋設されているように見られないため、12月20日再確認を要求しました。12月23日に関電工・遠藤副部長から電話があり、現地で立ち会って確認し、工事写真も確認したところ雨水浸透管など埋設されていないことが確認されたのでした。

 11月27日に関電工の福本氏が「住民からの要求にこたえて、雨水対策を実施しました」とする説明をしたので、住民の皆さんのなかは「関電工も、結構良心的では・・・」などと思い込んだ向きもあったかもしれません。しかし、関電工の責任者の言葉は全く嘘っぱちだったのでした。

 住民の皆さんの感想です。
 「説明会で、あんなに淡々と嘘をつけるなんて・・・」
 「酷いものですね。親会社の東京電力はじめ、ずっとそうやってきたのでしょう」
 「約束なんて信じられなくなりますから、やはりチェック機構・体制が重要になりますね」

 12月26日に赤城山の自然と環境を守る会の横川会長をはじめ有志が東京田町の関電工本社を訪ねてきました。

 その際、有志の皆さんが「なぜ、説明と工事が違うのか?」と関電工に質問したところ、「業者から雨水浸透管を埋設してあるとの報告を受けていた」といつもの通りの答弁でした。あきらかに責任逃れです。

 住民の皆さんの抱いた感想は「なんでもかんでも他人の責任にするという体質は、相変わらずです」「酷いものです」「不安がさらに増幅しました」などなど。

 そこで赤城山の自然と環境を守る会では、「説明通り、20㎝ × 8mの浸透管を入れるように」と要求したところ、関電工は渋々「やり直す」との回答をつぶやいたそうです。

(3)苗ケ島自治会長からの要望への対応の件

 トーセンが世界初と自慢する油圧プレスによる木質チップの脱水機械から出るおびただしい絞り汁の処理問題について、関電工の福本氏は、苗ケ島自治会長に説明した際に、自治会から、「河川放流を検討して欲しい」旨を提案されたのを受けて、「難しいが3年以上はかかるだろう」などとコメントを出し、同自治会長に期待を持たせました。

 地元の住民の皆さんにより構成される赤城山の自然と環境を守る会が、同自治会長に確認したところ、「まさしく、3年以内に河川放流が実現するから承認した」とのことでした。そのため、同会では、関電工の本件責任者の福本氏に対して、「再度、事実を自治会長に説明するように」と要請しました。ちなみに、現行法では河川放流は難しいはずです。

 なぜ、関電工にはこのようなウソを嘘で固める体質が身に染みついてしまったのでしょうか。それは親会社の東電の体質が染みついているからだと考えられます。

■このように地域住民に対して平気でウソをつく法人企業がまともな計画を履行するはずがありません。その計画が大量の放射能汚染木材を20年間も我らが愛すべき県土の中央部で燃やし続けるというのですから、県民の不安や懸念はいやがおうにも高まります。

 こうした不徳の企業には、事業からの即座の撤回を求めていきましょう。

【市民オンブズマン群馬・関電工バイオマス発電放射能二次汚染問題特別対策班】

※参考情報:トーセンの幻の松井田バイオマス計画
**********2014年2月22日群馬建設新聞(日本工業経済新聞)
http://www.nikoukei.co.jp/kijidetail/00250108
安中市に木質バイオマス発電施設建設
 安中市松井田町五料地内で(仮称)碓氷木質バイオマス発電事業が計画されている。未利用木材の利用促進や再生可能エネルギー導入促進のため、木質バイオマス加工流通施設やバイオマス発電施設を建設する。木材製材などを行うトーセン(栃木県矢板市)が主体で現地法人となる株式会社を設立し、その株式会社が事業を行う。県では2月補正予算案に関連事業費4億円を計上し、加工流通施設整備や木質燃料の安定確保を支援する。
 建設地は、一級河川碓氷川を挟んだ碓氷製糸工場の対岸1.1ha。4億円を投入して木質バイオマス加工流通施設を整備するほか、12億円かけて発電施設を建設する。県では、林野庁の「森林整備加速化・林業再生基金事業」を活用して、2月補正予算案で加工流通施設整備費の50%にあたる2億円を補助する。これ以外に、発電施設の稼働初年度から安定的な燃料の供給を実現するため、燃料用チップの事前生産経費などに対して1億9500万円、燃料用チップ原料木材の安定供給などについて検討する協議会の運営経費などに対して500万円をそれぞれ補助する。発電施設はFIT(固定価格買い取り制度)により採算がとれるという考えから、整備費の補助は認められていない。
 (仮称)碓氷木質バイオマス発電事業計画をめぐっては、昨年10月に建設予定地の選定、11月には地権者説明会、ことし1月には用地測量のほか水質や地盤、排水、送電、雪、騒音、交通などの各種調査を実施している。今月に工場用地を取得するとともに現地法人の設立、設備などの協議・設計に着手する。その後、3月に受変電設備の決定や経済産業省へ工事計画書を提出する。4月に経産省からFIT設備認定を受け、東京電力と接続契約を結ぶ。6月から加工流通施設および発電施設に工事着手することとなりそうだ。加工流通施設は2015年3月、発電施設は16年2月の完成を見込み、同年4月の稼働開始を目指す。
発電規模は一般家庭約4000軒分にあたる2500kW。このうち2000kWは売電する。年間売上高は約5億1000万円を見込み、12人程度を工場で雇用する計画だ。
 年間に必要とする燃料用木質チップは5万tと膨大で、林地残材4万5000t、製材工場残材5000tをあてる。県林業振興課は「5万tもの木質燃料を集めるのは大変。建築資材の不適格材だけではまかないきれない」と話しており、安定調達コスト支援費として1億9500万円を補助、各種手続きや加工流通施設整備と並行して燃料を確保していく。どのように安定して燃料を確保するかを話し合う協議会も設立し運営費500万円を補助する。協議会は森林組合や素材生産業者を中心に構成し、県や周辺市町村がオブザーバーとして参加する見通しだ。毎年5万tの材料調達に向けて協議会で検討を重ねていく。
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【続報】大同有毒スラグを斬る!・・・大同特殊鋼などを不起訴の報道ぶり

2016-12-26 23:45:00 | スラグ不法投棄問題
■大きな事件を幕引きする場合、5月連休、9月連休、そして年末年始連休の直前に不起訴処分通知を出すケースが頻発しています。当会が手掛けてきた小渕優子元経産相の公選法・政治資金規正法違反の告発に対する東京地検の対応もそうでした。今回の大同有毒スラグ不法投棄問題については、当会が3年越しで取り組んでまいりましたが、やはり政治的な圧力に検察が屈した形になったとみるのが妥当でしょう。
 今回はこの事件の続報として、NHKが12月22日の夕方に報じた地元ニュースを見てみましょう。

**********2016年12月22日NHK NEWS WEB(ほっとぐんま640)
鉄鋼スラグ大同特殊鋼を不起訴

 鉄鋼の製造工程で出た有害物質を含む鉄鋼スラグの処分を無許可の業者に委託したとして、廃棄物処理法違反の疑いで書類送検された大手鉄鋼メーカーの「大同特殊鋼」などについて、前橋地方検察庁は、「鉄鋼スラグを廃棄物と認定するのは困難だ」などとして嫌疑不十分で不起訴にしました。


 名古屋市に本社がある大手鉄鋼メーカーの「大同特殊鋼」は、平成23年3月からおよそ1年間にわたって、渋川市にある工場から鉄鋼の製造工程で出た有害物質を含む鉄鋼スラグおよそ2万8300トンの処分を無許可の関連会社に委託したなどとして、


 関連会社など2社やそれぞれの会社の役員らあわせて5人とともに廃棄物処理法違反の疑いでことし4月に書類送検されました。


 これについて前橋地方検察庁は、「鉄鋼スラグを廃棄物と認定することや、故意だったとすることが証拠上、困難だ」として22日、嫌疑不十分で不起訴にしました。


 大同特殊鋼の広報室は、取材に対して、「弁護人を通じて全員の不起訴の連絡を受けた。皆様のご心配やご懸念に対して引き続き誠実に対応したい」とコメントしています。


 告発した群馬県の大沢知事は「不起訴処分は意外で、理由をよく確認し、今後の対応を決めたい。県としては鉄鋼スラグの使用場所や環境への影響の調査を進め、県民の安全と安心の確保に努めたい」というコメントを発表しました。

■次に、衝撃のBreaking Newsから一夜明けた翌12月23日の各紙が報じた記事を見てみましょう。

**********2016年12月23日朝日新聞デジタル

大同特殊鋼など不起訴 スラグ問題「立証困難」 /群馬県
 大手鉄鋼メーカー、大同特殊鋼(本社・名古屋市)の渋川市の工場から、基準値を超える有害物質を含む鉄鋼スラグが出荷された問題で、前橋地検は22日、廃棄物処理法違反(委託基準違反など)の疑いで書類送検された同社を含む計3社と大同特殊鋼の男性役員ら5人を不起訴処分(嫌疑不十分)にし、発表した。
 地検によると、過去の裁判例や法律の趣旨から考えて、「(スラグを)廃棄物と認定し、立証することは難しい」とした。また、男性役員らの違法性の認識についても「裁判で、スラグを廃棄物として故意に扱ったと立証できるまでの証拠が不十分」だったとしている。
 この問題をめぐっては、県が2015年9月に3社などを刑事告発。県警は今年4月、大同特殊鋼は、大同エコメット(愛知県東海市)が産業廃棄物の中間処理業の許可を得ていないことを知りながら、スラグ約2万8300トンの処理を依頼し、エコメットが処理、佐藤建設工業(渋川市)は無許可でその一部を委託収集したとして廃棄物処理法違反の疑いで書類送検した。
 不起訴処分の発表を受け、大沢正明知事は「県警は『被疑事実あり』として送検しており不起訴処分は意外。引き続き、スラグの使用箇所や環境への影響の調査を進めたい」とのコメントを出した。県は今後、検察審査会への申し出を含め、検討するという。
 大同特殊鋼総務部広報室は「皆様のご心配、ご懸念に対して、引き続き誠実に対応したい」とコメントしている。

**********2016年12月22日毎日新聞群馬
大同特殊鋼など5人不起訴処分 前橋地検
 大手鉄鋼メーカー「大同特殊鋼」(名古屋市)の渋川工場(群馬県渋川市)から出た鉄鋼スラグに環境基準を超える有害物質が含まれていた問題で、前橋地検は22日、廃棄物処理法違反容疑で書類送検されていた大同特殊鋼など法人3社と、各社の役員ら計5人を不起訴処分(容疑不十分)にした。地検は「スラグは廃棄物だと立証するには疑義が残った」と説明した。
 スラグは鉄を精製する際に発生する副産物で、有害物質が含まれていなければ再生利用できる。群馬県は関係先を調査した結果、大同がスラグに環境基準を超えるフッ素が含まれていることを把握していたことや取引形態から、再生資材を装った廃棄物処理だったと判断。処理に必要な許可を受けていない会社に処理を委託したなどとして昨年9月に3社を刑事告発し、県警が今年4月に書類送検した。一方、大同は「再生資材だ」と主張していた。
【尾崎修二、山本有紀】
**********

■今回も報道のポイントを整理してみましょう。

●ポイント①廃棄物処理法違反容疑の中身が不法投棄容疑でなく委託違反容疑などであったこと。

●ポイント②「鉄鋼スラグを廃棄物と認定することや、故意だったとすることが証拠上、困難だ」としていること。

●ポイント③群馬県知事は「県警は『被疑事実あり』として送検しており不起訴処分は意外」としていること。

 ではそれぞれのポイントごとに検証してみます。

●ポイント①
廃棄物処理法違反容疑の中身が不法投棄容疑でなく委託違反容疑などであったこと。

 大同特殊鋼由来のスラグの場合、スラグそのものを分析調査すれば必ずフッ素が基準値を超えて検出されます。有害スラグと土や石と混合しても、常温では混ざり合うことはないため、有害スラグそのものの毒性が問題となってきます。有害スラグは監督官庁の群馬県が「廃棄物」と認定していますので、有毒スラグは遮断型最終処分場に埋設処分することが、廃棄物処理法が定めたルールになります。ルールをみだりに破り道路や公園の駐車場・ソーラー発電所に埋設処分された有害スラグは不法投棄にあたります(廃棄物処理法第16条)。


前橋市田口町の上武道路の側道に投棄された有害スラグ。赤くサビが浮き見るからに有毒そうだ。石と混合して投棄してあるが、写真でもわかる通り常温では混ざり合う事は無くスラグは有害スラグのまま存在している。国土交通省は日輪寺改良工事では、土と混ざった状態で粉にして水につけ分析調査をして基準値を下回ったとして工事を再開しているが、我々の目をごまかすことはできない。

 毎日新聞の報道では「前橋地検は22日、廃棄物処理法違反(委託基準違反など)の疑いで書類送検された同社を含む計3社と大同特殊鋼の男性役員ら5人を不起訴処分(嫌疑不十分)にし、発表した。」となっていますが、最初の刑事告発段階で委託基準違反などとしたことから、ボタンを掛け違えた、とも考えられます。

●ポイント②
「鉄鋼スラグを廃棄物と認定することや、故意だったとすることが証拠上、困難だ」としていること。

 検察が「鉄鋼スラグを廃棄物と認定することが証拠上困難」とすることによって有害スラグの毒が消えてなくなるのでしょうか?不起訴になっても有害スラグにはフッ素毒や六価クロムの毒が存在し続けます。群馬県に広くばら撒かれてしまった有害スラグはそのほとんどが放置されたままです。当会は“きれいな群馬ちゃん”を取り戻すため微力ながら活動を続けてまいります。

●ポイント③
群馬県知事は「県警は『被疑事実あり』として送検しており不起訴処分は意外」としていること。

 朝日新聞の報道記事によれば、

*******
不起訴処分の発表を受け、大沢正明知事は「県警は『被疑事実あり』として送検しており不起訴処分は意外。引き続き、スラグの使用箇所や環境への影響の調査を進めたい」とのコメントを出した。県は今後、検察審査会への申し出を含め、検討するという。
*******

と、群馬県の考えを報道しています。群馬県内の廃棄物行政の監督官庁は群馬県です。法に基づき権限を与えられた群馬県が大同特殊鋼由来のスラグを廃棄物と認定しています。その群馬県の認定を「(スラグを)廃棄物と認定し、立証することは難しい」と言われては、群馬県知事として「意外」であることでしょう。

 「県は今後、検察審査会への申し出を含め、検討するという。」と報道されていますが当然の対応だと評価できます。是非二枚舌を使わず、検討だけにとどまらず検察審査会への申し出をされますことを切に希望します。

■冬になるとTDKという会社が、「加湿器を探しています」という広告を出しているのを目にします。もう何年広告を出しているのでしょうか?


 TDKのホームページはこちらです↓↓
http://www.tdk.co.jp/index.htm

 このような対応が優良企業の誠実な対応というものではないでしょうか?



群馬県渋川市橘北小学校にばら撒かれた生一本有害スラグ。せめて学校のスラグぐらい自主回収する考えは無かったのか!どこが誠実な対応なんだ!不起訴になることで群馬県中にばら撒かれた有害スラグはどうなるのか?

■不起訴処分についてNHKの報道では、

『大同特殊鋼の広報室は、取材に対して、「弁護人を通じて全員の不起訴の連絡を受けた。皆様のご心配やご懸念に対して引き続き誠実に対応したい」』

と大同特殊鋼のコメントを紹介しています。

 しかし、これまでも大同特殊鋼は、明らかに問題のある有害スラグを自主回収する動きを見せたことはありません。当会ではせめて日本の将来を担う子供たちが集う小学校にばら撒かれたスラグを撤去するよう願っていましたが、有害スラグを撤去すること無くアスファルトで蓋をしてしまいました。

 これが誠実な対応と言えるのでしょうか?不起訴になったことにより、引き続き“口先だけの誠実な対応”を繰り広げることでしょう。

■これだけ社会的に重大な影響を与えている大きな環境問題事件が不起訴処分とされた背景には、国や県、市町村が絡んでいることが挙げられます。なにしろ群馬県が通達で有毒スラグを再生砕石と同等品と見なして公共工事に使用してもよい、などとお墨付きを与えたことから、我々の血税を使って有毒サンパイの野放図な不法投棄が行われ、県土一帯が産廃処分場化されてしまったためです。

 こうした官業癒着の事件では、かならず政治力が働き、とんでもない司直の判断が下されてしまうのです。安中市土地開発公社51億円事件でも元職員の単独犯行とされていますが、実際には市役所や市議会、県や国、金融機関などを巻き込んだ一大スキャンダル事件でした。当会は収集した事件のさまざまな情報を全て警察に提供しましたが、警察や検察はそうした情報をむしろ市民がどの程度まで真相に迫っているかを判断する材料としか、見ていなかったのです。

 地方自治体を巻き込んだ事件では、当然のことながら当該自治体が自ら事件のケジメを法に基づいて決着させようという気概に欠けてしまいます。今回も、不起訴処分の理由として、そうした構図が見えてきてしまいます。

 前述のように一部報道によれば、告発した群馬県が、不起訴処分を不服として検察審査会に審査申立をするのではないか、ということも示唆されています。本当に群馬県が法律順守の法治行政を身に染みて認識しているのであれば、当然、検察審査会に審査申立をすべきでしょう。しかし、当会が群馬県に対してどのような内容の告発状を提出したのか情報開示を要請しても、群馬県はかたくなに固辞し続けてきました。まずは、告発の内容について、県民に公表してもらいたいものです。

■当会は、大同有毒スラグの公共事業における取り扱いを巡り、現在、群馬県を相手取って住民訴訟を行っています。今回の前橋地検の不起訴処分がどのような影響を、この住民訴訟に与えるのかどうか、これも来月1月20日(金)の午前11時に前橋地裁で開かれる第8回口頭弁論期日における裁判長の指揮が注目されます。

 基本的な疑問として、前橋地検が有毒スラグを排出した大同特殊鋼とその子会社の大同エコメット、そして有毒スラグを県土にまき散らした佐藤建設工業をいずれも嫌疑不十分で不起訴処分にすれば、これまで違法に投棄されてきたおびただしい有毒スラグの毒性が消えるのか?ということが挙げられます。

 おそらく前橋地検の検察官は、そうしたところまでは考慮していないのではないでしょうか?つまり、不起訴処分の判断は、環境基本法などとは全く別の次元の、いわゆる「超法規的措置」というヤツなのではないのでしょうか。

 いずれにしても、これまでスラグ=鉱滓=産業廃棄物として見なしてきた当会では、”きれいな群馬ちゃん”を守る立場から、このサンパイ違法投棄事件が起訴されようが不起訴になろうが、毒が消えて、安心・安全な生活・営農・自然環境が確保できればよいのです。盛り土や天然石と有毒スラグを混ぜても、有害スラグのフッ素や六価クロムは消えていません。有毒物質が、道路や駐車場、ソーラー発電施設などから消えてなくなるまで、当会は粘り強く、この問題に取り組み続けてまいります

【市民オンブズマン群馬・大同有毒スラグ不法投棄特別調査チーム・この項続く】

※参考資料:大同特殊鋼はスラグにフッ素毒が基準値を超えて含まれていることを承知しています。
**********
循環型社会の裏側(杉本修作著)一部抜粋
※循環型社会の裏側(1)PDF ⇒ zp.pdf
※循環型社会の裏側(2)PDF ⇒ zq.pdf
薄めてもゴミはゴミ
 2013年11月8日、大同渋川工場の会議室で、責任者である環境室長ら四人とはじめて相対した。冒頭、環境室長から飛び出した発言に驚かされた。
 「環境基準を超えるフッ素が含まれているのはやむを得ないんですよ。だから天然砕石と混ぜてフッ素の低減化をしている」

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