市政をひらく安中市民の会・市民オンブズマン群馬

1995年に群馬県安中市で起きた51億円詐欺横領事件に敢然と取組む市民団体と保守王国群馬県のオンブズマン組織の活動記録

高崎高校センバツ出場と野球部後援会の使途不明金の光と影

2012-03-29 12:50:00 | 他の自治体等の横領事件とタゴ51億円事件
■31年ぶりに甲子園の土を踏んだ高崎高校野球部でしたが、残念ながら初戦突破の壁は破れませんでした。当初3月23日(金)午後2時からの第3試合の予定でしたが、予想外の降雨のため、当日の全試合が翌日に順延となり、さらに、24日(土)の第3試合となった再試合、3回裏の近江高校(滋賀)の攻撃中に雨で中断し、そのまま降雨ノーゲームとなりました。そして、25日(日)午後4時からの第4試合に組み込まれて、再再試合となりました。


高崎駅西口側のコンコースに飾られていた高崎高校甲子園選抜出場祝いの横断幕。2月8日撮影

 高崎は1回表、金子の適時二塁打で1点を先制。近江はその裏、藤原の適時3塁打で追いつき、3回裏にも藤原が適時二塁打を放って勝ち越しました。高崎は4回表、倉金の適時2塁打で同点に追い付きました。しかし、近江は4回裏、福井、橋本らの適時打など打者9人で6安打を集めて4点のリードを奪い、6回裏にも代打・宮北の犠飛で加点しました。高崎は5回以降、近江の村田から得点を奪えず、2対7で敗れました。

初戦敗退とともに撤去された高崎駅西口側コンコースの様子。

■敗れはしましたが、同校同窓生の悲願である31年ぶりの甲子園の夢をかなえてくれた選手らに拍手を送ると共に、これから夏の甲子園初出場に向けて目標を定め、気持ちを切り替えて再び活躍を期待したいと思います。また、高崎から出場したもう1校の選抜初出場の健大高崎は22日(木)の第2試合でセンバツ22度目出場の天理(奈良)を9-3で破り、初戦を突破しており、さらに27日(水)には九州大会の覇者である神村学園を3-1で退けて、引き続き活躍が期待されます。

一方、快進撃を続けてベスト8強入りを決めた健大高崎の横断幕は、高崎駅東口側コンコースに引き続き飾られている。3月28日撮影。

 ところで、高高のセンバツ甲子園は幕を閉じましたが、今回のセンバツ出場で奇しくも浮上した31年前の寄付金流出問題は、その後どうなったのでしょうか。2月2日付の東京新聞の記事はこの件を次のように報じました。

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センバツ出場 高崎高野球部 元役員ら500万円返済で和解 後援会の使途不明金問題
 31年ぶりに選抜高校野球大会への出場を決めた高崎高(高崎市八千代町)の野球部後援会で、過去に卒業生などから集めた寄付金で約2千万円が使途不明となり、元役員などから計約5百万円の返済を受けて和解したことが2月1日、分かった。現在の後援会関係者は「過去にけじめをつけ、甲子園に行くに当たり、理解と支援を得やすいようにしたい」と説明している。(菅原洋)
 後援会関係者らによると、野球部は1981年に同大会に初出場した際、約1億5百万円の寄付金が集まった。初戦で敗れたため、約8千万円が余り、一部を育英会資金などに充て、後援会が約3千万円を引き継いだ。
 その後、後援会は休眠状態が続き、2010年11月に復活させる際に約2千万円の使途不明が判明した。通帳や決算関係の書類は紛失したという。
 後援会関係者が3人の元役員に返済を求めようとしたが、既に2人が亡くなっていた。このため、元役員と遺族2組、後援会側の双方で弁護士を立てて交渉し、昨年末に計約5百万円を返済することで和解した。和解金は今回の出場資金として役立てる予定。
 後援会関係者は「二人は故人のため、全額返済を受けるのは難しかった」と話している。ある卒業生は「けじめがついたので、これからは気持ち良く支援し、部員たちには野球に専念してほしい」と語った。
(東京新聞2012年2月2日朝刊P26群馬版)
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高崎高の野球部後援会、使途不明2千万円…和解
 今春の選抜高校野球大会に2度目の出場を決めた群馬県高崎市の県立高崎高校の野球部後援会で、31年前の初出場時にOBなどから集めた寄付金に使途不明金が約2000万円あり、このうち約500万円を元役員らが後援会側に返済し、和解していたことがわかった。
 現任の後援会関係者の1人は「昨秋以降、選抜出場が有力になり、いつまでも未解決のままではいけないと思った。けじめをつけることで支援を受けやすいようにしたい」と話した。
 関係者によると、選抜大会に初出場した1981年に同校野球部の特別後援会が結成され、約1億500万円の寄付金が集まった。大会後、約3000万円が野球部後援会に引き継がれた。その後、野球部後援会は休眠状態となり、2010年11月の臨時総会で復活させる際に約2000万円の使途不明金が判明した。
(読売新聞2012年2月3日 )
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 また、この件については、群馬県立高崎高等学校野球部甲子園出場後援会のホームページhttp://www3.ocn.ne.jp/~tktkob/Baseballob/top.htmlにも経緯が記載されています。

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高崎高校野球部後援会使途不明金解決の経緯について
 31年前の選抜高校野球大会初甲子園出場の際、多くの方々の高崎高校並びに本校野球部への熱き思いが多額のご支援となりましたこと、改めまして関係の方々に対し御礼申し上げます。
 さて、その際寄せられた協賛金の残金の一部を高崎高校野球部後援会が引き継いだわけですが、昭和61年以降本会の総会、役員会は開催されず、決算報告も行われませんでした。
平成22年11月に臨時総会を開催し、実態の解明を決定し、弁護人を立て、相手方(前会長)と折衝しましたが、関係書類の提示、説明は全くありませんでした。
 平成23年5月事態打開のため、高崎簡易裁判所に民事調停申立を行い、調停を重ねましたが、長い年月が経過し又相手方が認知症という状況で事実の解明が困難でありました。平成23年12月相手方家族より債務550万円を返還するとの回答があり、これ以上の進展は望めないと判断し、不本意ながらこれを了承いたしました。
 事件が表面化して以来、多くの方々にご心配をおかけしましたことを、深くお詫び申し上げます。
 この教訓を生かし、これからは適切な会計計処理を行い、総会、役員会を毎年開催し、決算報告も適正に行いたいと考えておりますので、ご理解を頂きたいと存じます。
                     高崎高校野球部後援会
         会 長 若山 亨
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■当会では、高高野球部の31年ぶりのセンバツ甲子園出場が決定した今年1月27日以降も、大勢の関係者らからの聞き取り調査を続けて来ました。その結果、次の経緯が判明しました。

 まず、高高野球部の後援会を舞台に発生した事案ですが、多額の寄付金を流出させてしまった昭和61年以前の後援会を「旧後援会」、平成22年11月に24年ぶりに臨時総会を開催して、新たに立ち上げた後援会を「新後援会」と呼んで区別したいと思います。

 旧後援会の3人の元役員について、当会で調査したところ、いずれも高崎高校のOBで、卒業者名簿で確認すると次の3名の大先輩諸氏であることが判明しました。
①小山禧一氏(高高42期卒。前美峰酒類㈱会長、高高元同窓会長、高高野球部選抜甲子園大会出場特別後援会会長。2006年2月15日死去)
②中川保氏(高高52期卒。元㈲高崎刃物店社長、高高元野球部OB会会長。2009年7月頃死去)
③小森谷久氏(高高47期卒。現㈲小森谷商会会長、高高野球部後援会前会長)

■上記の通りいずれも地元の名士の方ばかりですが、このうち故人となったのは①②の大先輩で③の大先輩だけが存命です。新後援会の関係者が弁護士を立てて、昨年5月、高崎簡易裁判所に民事調停申立を行った際に、①②③の先輩諸氏の遺族或は家族もまた弁護士を立てて、本件について争う姿勢を見せました。

 新後援会が調停を申し立てる際に、弁護士に相談したところ、いろいろな問題が発生しました。それは、「誰が使ったのか分からない」「時効になっている」ということと、最も問題だったのは「法律的に被害者が居ない」ということです。これはどういうことかというと、多額の寄付金を管理していた旧後援会の団体そのものが消滅してしまっていたことです。

 勿論、旧後援会には3人の元役員の先輩がいたわけですが、寄付金を管理していた通帳や決算書類などが存在せず、旧後援会を運営する総会も全く開催されてこなかったため、旧後援会の存在を証明するものが何もない状態にあったということになります。

 当然、被告側として旧後援会元役員らも弁護士に依頼しているため、こうした状況については十分認識しているため、法的な責任を回避するための反論を準備してきたことは明白と考えられます。

■総会も開かず、通帳の管理もずさんだったため、そもそも旧後援会そのものの存在が法的に担保されている状態に無かったことになります。そのため、原告側(被害者?)の新後援会も被告側(加害者?)の元役員らにも、本来、調停を起こす資格がないため、新後援会が複数の弁護士に調停の代理人として要請しても、門前払いされたのは無理もありません。

 それでも、ようやく高崎高校OBの弁護士に無理やり調停代理人を依頼して引き受けてもらい、新後援会は旧後援会の3人の元役員を相手取り、高崎簡裁に調停を申し立てたのでした。

■寄付金を集めるために旧後援会という任意団体を形成したのはよいのですが、81年に甲子園が終わり、巨額の寄付金の分配を受けたあと、1986年までは旧後援会が存続していましたが、その後はうやむやになってしまいました。僅か5年間しか活動していなかったのです。

 旧後援会が実態として消滅してしまったため、通帳を預かっていた役員の皆さんとしては、残金や使途報告をする必要もなく、やがて報告義務のない使い勝手の良いカネだと錯覚するまでにさほど時間は要しなかったと推察されます。

 旧後援会が実態として消滅したため、残金が消滅しても、実態として「被害者」が存在しないという事態になったのでした。

■新後援会側が相談した法律の専門家である弁護士らは、「こういう状態だから訴訟適格が無いので勝ち目が無い」と後援会にアドバイスしたようですが、よく考えてみれば、被害者は道義的には寄付に応じたたくさんの高崎高校OBであり、この不祥事でイメージダウンをさせられた母校そのものであり、さらには甲子園出場を目指し野球に打ち込んできた現役の選手諸君です。

 もちろん、こうした不明朗な事態を憂慮していた野球部後援会関係者もいます。総会も開催せず、通帳の管理もされず、巨額の残金が使途不明となっていた問題をずっと引きずって来た高高野球部の旧後援会を「一刻も早く立て直し、きちんとやらなければ、高高OBの信頼を取り戻せない」と考えたのは、高高野球部の新後援会の現会長の若山亨氏です。

 若山現会長は、旧後援会で多少会計に関わっていましたが、当時の勤務先の都合で、時期的に地元から離れて東京に異動していた時期がありました。

 若山会長が、ひさしぶりに地元に戻ってきて、野球部後援会の様子を目の当たりにしたとき、総会も開かれておらず、通帳もどっかに消えてしまったことを知って大変憂慮されました。あとを引き継いでいた元役員のお歴々に、本来であれば「いったいどうなっているのか?」と質問したかったに違いありません。しかし、錚々たる重鎮の大先輩には、面と向かってなかなか切り出せなかったに違いありません。

 結局、真相解明は先送りとなり、2006年(平成18年)2月に小山禧一氏が物故し、2009年(平成21年)7月頃に中川保氏も物故したため、2010年(平成22年)11月に臨時総会を開催して関係者を招集し、本事案の実態解明を決定したのでした。

■ところが、前述のように、既に小山禧一氏も中川保氏も死去しており、実態の解明のカギを握っているのは、小森谷久氏のみとなっていたわけです。そこで、新後援会は小森谷前会長と折衝しましたが、前会長からは関係書類の提示や説明は皆無でした。

 そこで業を煮やした新後援会の野球部OBたちの間には、「訴訟を起こして断固戦おう」という機運が高まり、2011年(平成23年)5月に高崎簡裁に調停を申し立てたのでした。

 「訴訟も辞さない」という野球部OBの皆さんの気持ちは十分想像できます。

 「なぜ貴重な募金を、多くの同窓生らから集めた浄財を、あろうことか母校のOBであり野球部OBでもある大先輩たちが使っちゃって戻ってこないのか?それは絶対におかしい」

 こう思うのは極めて当然なことです。ところが、裁判所で調停という形での裁判に着手したのですが、3人の役員のうち2人はもう亡くなっており、残る1人からは痴呆症という診断書が弁護士を通じて提出されたのでした。

 このため、原告の新後援会が依頼した高高OB弁護士も「これ以上戦えない」というほどの事態に陥ってしまったのでした。一方で、冒頭の新聞記事にもある通り、時を同じくして、高高野球部が関東大会ベスト4となり甲子園出場がほぼ確実視されることになったため、急遽、和解の方向に動き出し、2011年12月に、相手方の家族から550万円を返還するとの回答があったため、この条件で手打ちをすることにしたのでした。

■実際に使途不明金として流出した金額は約2000万円ですから、550万円の返還ではまだ約1450万円ほど不足することになります。新後援会側は、裁判所に調停を申し立てる前に、若山会長自ら相手方の家族に対して交渉し、一生懸命説得を試みたようですが、相手方の家族は「家族としては何も事情は分からない」というばかりで、全然埒があきませんでした。

 「それでは仕方が無い」ということで、裁判に踏み切ったわけでしたが、相手方の家族は、元役員本人が認知症であるとの医師の診断書を弁護士を通じて裁判で提出してくる有様で、新後援会としては、着手金を支払い、高高OBの弁護士を起用して、トライしたものの、結局、中途半端な結末で幕が引かれることになりました。

 この結果に、新後援会の関係者の間には、不満が鬱積しており、悔しがる声が多数聞かれます。

■新後援会としては、31年前に初戦敗退したため、集まった約1億500万円の浄財のうち、経費として支出した残りの残金約8000万円のうち約3000万円を振り分けられ、その一部は確かに野球部が強くなるためのマシンだとか、ネットを整備する際の足しに費消されました。ただし、その分をひいても、まだ約2000万円残っているはずであり、これを基盤にして、新たに必要な資金を募金で集めるつもりだったに違いありません。

 しかし、旧後援会の収支を記録した台帳も銀行口座の通帳もなく、銀行に問い合わせても預金・支払いの状況や経緯は不明でした。総会が開催されなかったため、会計報告もなく、その後のフォローアップもありませんでした。

 若山現会長は、当初は自ら旧後援会の会計を見ていました。ところが当時の勤務先だった井上工業㈱の都合で東京方面に転勤を余儀なくされました。その間に、会計処理がいつのまにか、うやむやになってしまっていたのでした。

■既に鬼籍にある小山禧一氏は、かつて旧後援会の会長として、1981年のセンバツ出場の時の特別後援会をつくったほか、高高野球部が関東大会に出場したときも特別後援会を作っていました。また、小山禧一氏は高高の同窓会長にも平成2年~9年にかけて就任しており、政治的には福田派の総帥として知る人ぞ知る存在でした。

 同氏は、経済人として著名であり、美峰酒類㈱のほか、群馬酒造㈱(2007年3月末事業停止)、トヨタカローラ高崎、電算センター、スポーツジムなどを経営を手掛けていた事業家でもありました。1981年の高高野球部のセンバツ初出場の時、急遽特別後援会を結成し、短期間に1億500万円の浄財を集めた手腕はもう誰も真似できないでしょう。しかし、結果的にこうした結末になった事は、本人はどの程度認識されていたのかどうかは分かりませんが、晩節を汚した格好になってしまい、誠に残念です。

 同様に、2年半前に物故された中川保氏も高崎市鞘町で刃物店を営んでいました。高崎高校野球部OB会長を務めた方です。これ以外には、当会では、中川氏の情報はあまり持ち合わせていません。

■3名の旧後援会役員のうち、唯一存命されている小森谷久氏は、高崎市下豊岡町で保険代理業を営んでいる方です。この方の家族が、小森谷氏本人が認知症だとする医師の診断書を裁判で提出したのでした。

 「認知症だから、旧後援会の通帳のありかも、多額の残金の使途も記憶にない」という論理で、小森谷氏側が応訴してきたため、新後援会側も結局、流出した残金全額の回収を諦めて、550万円で手打ちをしたのでした。

 こうして、3名の旧後援会の役員の方々は2名が物故され、残る1名の方も認知症による痴呆症状のため、民事責任の追求に必要な「意思能力」が欠如している状況であることが判明したわけです。

■もしも今回の多額の残金の流出問題が着服、すなわち刑法第252条に定める横領罪に該当する刑事事件として取り上げられるという場合に相当すると判断されますと、刑事訴訟法第250条に定める「公訴時効5年」という壁が立ちはだかります。実際、刑事事件として提起しようという動きもあったようですが、会えなく時効の壁に阻まれて断念せざるを得ませんでした。

 一方、民事の場合、民法第709条に定める不法行為を行った当時、加害者が精神的に正常な状態であったならば民事責任を追究することは可能です。しかし、痴呆症のような「意思能力」を有しない人に対して民事訴訟をするためには、痴呆症の本人ではなく、本人の「法定代理人」(通常は成年後見人)を被告にして訴訟を提起する必要があることを民事訴訟法第31条では定めています。今回、本人の認知症の診断書が出ていることから、家族が法定代理人として応訴してきたと考えられます。

 民事の場合の公訴時効の観点からみると、民法第724条の「不法行為による損害賠償請求権は、被害者または被害者の法定代理人が、損害と加害者を知った時から3年間行使しないときには消滅する。不法行為の時から20年を経過したときにも消滅する」という定めがあるため、昭和61年(1986年)以降、6年以内にもし残金流出にかかる不法行為が行われていたとすれば、これもやはり公訴時効に該当することになります。

 他方、1993年以降に、不法行為があれば、それは時効扱いにはされないことになります。

■今回の騒動では、原告側から相談を受けた弁護人は、こうした「横領」という刑事罰のくくりではなく、民事事件としてどう扱うかという点で、いろいろ検討し考えあぐねた末に、一番問題なのは、「旧後援会が総会も開かず」「通帳も紛失してしまい」「銀行で収支の経緯を調べても分からない」という事情だったため、「被害者が存在しない」という状態のため、民事事件として俎上に載せるというより、道義的問題として調停に持ち込むのが精一杯だったと結論付けたことです。新後援会から依頼を受けた弁護人としては、最終的に加害者側から譲歩を引き出した結果、550万円を回収できたことを成果として強調したいところでしょう。

 しかし、約2000万円のうち550万円を回収できたと言っても、第3者から見れば損害額の27.5%しか回収できていないことになり、また弁護士費用もかかっているわけですから、正味の回収率はもっと低いことになります。

■ところで、小森谷久氏は現在も会長として、家族経営同然の有限会社形式の保険代理店業を営んでいます。同社のホームページhttp://komoriya.biz/guide/sut.htmlをチェックしてみると、「スタッフ紹介」欄に「こんなスタッフです。どうぞよろしくお願いいしたします。」として「小森谷 久(会長)」のことについて、次のように記載されています。

 「その独特なキャラで小森谷商店の基盤を作り上げました。現在、営業活動は息子に任せ、事務所の奥座敷に鎮座?しています。同じく一線を退いた方、是非遊びにいらしてください。う見えてお酒は飲めません。う煙草はすってません。っ食パーティでも座っています。さいも肉も大好きです。が昇る前から起きています。むさが体に堪えます。ょう和一桁生まれです」

 また、別のページhttp://komoriya.biz/archives/210には「谷課長の社内アンケート」と題して、同社のスタッフのアンケート結果として、小森谷久会長のことが次の通り掲載されています。

「お題:あえて聞きます! 将来の夢は?」
 ・仕事に復帰!会長
「お題 :思わずお上に代わって成敗しそうになる! ?? コレだけは許せないものってなーに?」
 ◇禁煙禁煙の世の中(会長)
「お題 :なぜか許しちゃうものってなーに?」
 ◇食べすぎること(会長)
「お題 :最近おこった自分事件は?」
 ◇ちょっとだけ痩せた!?(会長)・・食事の量が1人前程度に減ってきたようです。
「お題 :もしも自分が独裁者だったら?」
 ◇寝ていたい(会長)
「お題 :もしも3億円の宝くじが当たったらどうする?」
 ◇小森谷商店のために働いてくれている人たちに全部さしあげたい。(会長)

■こうしてみると、まだまだ認知症の症状は軽度であるという感じがします。当会は、実際にご本人と面談して、事情をヒヤリングしようと考え、同社のホームページを通じて、先日、質問をしてみました。

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(3月2日)
高崎高校野球部後援会の資金流出について
 前略 突然のお問い合わせで大変恐縮です。
 私は高崎高校の第69期の卒業生で、安中市に在住しており、市民団体の代表をしている者です。
 1981年春、高崎高校野球部が最初に選抜甲子園出場のときは、先代の父親(高中第35期卒)の分と合わせて2万円を寄付させていただいた経緯があります。
 このたび、31年ぶりに母校野球部が選抜に出場するに当たり、新聞で当時の寄付金の剰余金のうち野球部後援会にまわった約3000万円のうち約2000万円が行方不明になったということ報道に接して心を痛めている卒業生のひとりです。
 この件で、貴社の前会長が野球部の後援会の役員をされていたことを知りましたが、行方不明になった余剰金の行方や経緯について教えていただければ幸いです。
 この件がどうしても心に引っ掛かり、今回の31年ぶりの母校野球部の選抜甲子園出場に対して、不祥事の顛末がわからないと、安心して寄付をしたいという気もちになれないためです。
 このメールあてで構いませんので、本件についてご存じの範囲で教えていただきたくよろしくお願い申し上げます。草々
安中市野殿980 小川賢
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 すると自動返信で次のメッセージが折り返し、発信されてきました。

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(3月2日)
件名: 小森谷商店お問合せ控え高崎高校野球部後援会の資金流出について
小川賢 様
 小森谷商店へお問合せいただきありがとうございます。
内容を確認させていただき担当者よりお返事させていただきます。
 なお、弊社に無関係と思われる内容、個人のプレイバシーにかかわるご質問にはお答えできない場合がございます
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 そこで当会から、次の返事を発信しておきました。

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(3月2日)
小森谷商店 谷様
 さっそくのご連絡ありがとうございます。
表記に関しては、縷々高崎高校野球部の関係者ら(OBらを含む)から説明を聞いておりますが、貴社前会長様が役員をされていたということで、ぜひコメントを戴きたく存じます。
 できるだけ多くの関係者の皆様のコメントを戴いた上で、今回の母校の選抜出場に向けた寄付行為を判断したいと考えております。
 お手数をおかけしますが、よろしくお願いします。
安中市野殿980 小川賢
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 その後、しばらくして、次のメッセージが同社の代表取締役の方から送られてきました。

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(3月7日)
小川様
 この度はお問い合わせを頂いたにも関わらずお返事が遅くなりもうしわけありませんでした。
 私はN学園の出身であり、当時小学生だった事もありその時の記憶はほとんどありません。
 当時の高高野球部後援会の関係者はほとんど他界しているとお聞きしており、私の父親も現在認知症を発症しており2年以上入院したままです。
 私が申し上げる事ではないかもしれませんが、おそらく当時の事を憶測で言う方は多いと思われますが正確に知る方は皆無だと思われます。
 ただ、地元の人間として高崎高校野球部のご活躍をご祈念申し上げます。
有限会社 小森谷商店 代表取締役 小森谷 剛
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 そこで、最後に、本件について当会が把握した経緯が正しいかどうかを確認していただくため、次の内容について連絡を同社代表取締役のかたに差し上げました。

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(3月8日)
有限会社 小森谷商店
代表取締役 小森谷剛 様
件名:高崎高校野球部後援会をめぐる事件の真相解明と責任所在明確化と再発防止について
 ご返事深謝申し上げます。
 本件については、憶測の部分を最小限にしようと各方面の関係者からヒヤリングをしてきました。
 これまでのヒヤリング結果では、当時の役員の方々が3名本件に関係されて、そのうち後援会長をされていた小山大先輩と、市内で刃物店を営んでいた大先輩は他界され、存命されておられるかたは小森谷大先輩のみとお聞きしております。
 2010年11月に野球部後援会があらためて活動を再開しようとしたところ、31年前に後援会に渡った3000万円のうち野球部の練習用具を整備したのこりの約2000万円くらい残っていたはずの通帳が見当たらず、当時の役員をしていた関係者およびその遺族にも確認したところ、行方不明となっていることが判明したため、小森谷大先輩にいろいろと聞いたところ、それでも事情がよくわからないため、結果的に後援会が当時の役員のみなさんを相手取り訴訟を起こしたと聞いております。ところが、通帳がない為、何人か弁護士に掛け合って相談しても取り合ってくれず、ようやくOBの弁護士がなんとか引き受けたので、地裁に提訴したところ、小森谷大先輩を含む元役員ら関係者がやはり弁護士を立てて応訴したということをお聞きしております。
 故人となった2役員の遺族は「事情をしらないので」と主張され、小森谷大先輩からは「認知症のため記憶がない」ということでその根拠となる医師の診断書を提出されたということで、そもそも使途が不明という状況の中で証拠提出も互いにままならない状況で、まさかの高崎高校野球部の活躍があり、ズルズルと裁判を続けていると週刊誌の格好のネタにされかねないとして、最終的に後援会と役員らとの間で約550万円で和解となったというふうに聞いております。また、この件に関連して、ある遺族が責任を感じて、かなりの金額を後援会の口座に入れておいたが、それがいつのまにか消えてしまったという情報もあります。
 また、2000万円の使途については、後援会の役員が、あぶく銭という感覚で後援会の集まりなどで飲食に使ってしまったのではないか、という見方や、あるいは個人的な目的で費消してしまったのではないか、という見方もあります。これらについて、憶測が憶測をよび、事実とかけ離れた情報が独り歩きをすることだけは避けたいと念じて、このたびこのようなぶしつけなかたちでお願いをしたものです。
 いずれにしましても、小森谷大先輩からコメントを戴きたかったのですが、やはり認知症で2年も入院中ということですと、私の願いもかなえられないことのようです。
 貴殿は地域の中で信用を大事にされて事業を営んでおられるわけですが、こうした事件にお父様であり貴社の会長である大先輩が関与していたことはまことに残念でなりません。
 また、貴殿の兄弟のかたも母校の同窓生で、貴社と同じ業界の大手企業にお勤めだときいております。この事件のことも当然ご存知だと思います。顧客の大切なお金を取り扱う保険・損保業界において、信用第一がモットーということは、申し上げるまでもなく、皆様は十分に認識しておられることと存じます。
 私は、この高崎高校野球部後援会をめぐる事件の真相解明と責任所在明確化と再発防止についてきちんと総括をしなければならないと思う一念で、これまでいろいろな関係者からヒヤリングをしてきました。最後に小森谷大先輩の言い分を聞かなければ不公平だと思い、ざっくばらんなコメントを得たいと思った次第です。
 ご子息である貴殿からの説明が得られた為、これ以上、この件でお問い合わせすることはありませんが、依然として憶測の域を脱しきれないままの状態で、本件の総括を行わざるを得ないことは本当に残念です。
 なお、もしも、私のヒヤリングした上述のなかに、なにか間違いや誤解などがあれば、ご指摘いただければ幸いです。
 乱筆乱文ご容赦ねがいます。
 最後に貴社のますますのご発展を祈念しております。
安中市野殿980 小川賢
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■以上の通り、旧後援会の残金流出問題の顛末を調べてみましたが、次のことを感じざるを得ませんでした。

 ご承知の通り、高崎高校は、総理大臣を2名輩出しておりますが、そのため、福田系と中曽根系という2つの大きな政治パワーの影響を受けて、同窓会を起点とする人脈ネットワークが構築されているのが事実です。

 前回、1981年の甲子園センバツ出場の際に、寄付金集めの旗振り役をした小山禧一氏は福田系の総帥だった人物でした。そのため、同氏のネットワークをフルに活用して旧後援会にあっというまに1億500万円もの浄財が集まったのでした。

 そうした雰囲気の中で、なんとなく選挙のときの政治資金のような感じで、関係者の間には“掴みガネ”といった気持ちが無意識の中にあったのではないでしょうか。また、きちんとした経理処理がなされていないことが気になった若山亨氏のような良識ある方でも、やはり地元政界に太いパイプを持つ小山氏に対して、直接意見を具申する勇気はさすがに持ち合わせていなかったようです。

■また、次のエピソードも当時ささやかれていました。

 1981年(昭和56年)の春、高崎高校が甲子園選抜大会に出場した時、旧制第一高等学校時代に硬式野球部にいたという福田赳夫は喜んで寄附に応じたが、中曽根康弘は「たかが高校野球」とか何とか言って、いい顔をしなかった。たちまち、高崎高校の同窓生から猛反発が出たため、慌てた中曽根康弘は、高崎高校野球部のチームが出発する日、高崎駅へ激励に駆けつけた。

 今回、今年の1月28日(土)に高崎ビューホテルで開催された第110回高崎高校同窓会新年総会には、大勲位の中曽根康弘氏が自ら登場して祝辞を述べたように、高崎高校の同窓生にとって、野球部の甲子園出場は歴史的快挙であり、その愛校心を刺激するまたとないイベントであることが分かります。31年前は、政治的な集票ネットワークをも駆使して、それに便乗した格好で、巨額の資金がたちまちのうちに集まったのでした。

 その結果、皮肉にも今回のような不透明な事案が発生し、その後処理で、誇り高い同校野球部OB関係者は、一昨年の秋頃から今年にかけて振り回され続けたのでした。

■これに懲りた新後援会は、再発防止策として次の対策を掲げて、高崎高校OBに対して募金を必死に呼びかけたのでした。

**********
甲子園出場募金の管理について
 日頃より皆様方から暖かいご支援ご厚情頂きまして、誠にありがとうございます。
 さて、本会は皆様から寄せられた貴重な協賛金を適正に管理するため、以下のような会計制度で運用していることを報告いたします。
①会計処理を複数人で行うこと。
②口座名義人とは別のところで通帳・印鑑を管理すること(学校の金庫で保管、管理する)
③支出決定事務と支払い事務を峻別し、別人で行うこと。
④弁護士・公認会計士・税理士等で構成する資金管理委員会を設け、臨時監査、検査を行うこと。
       群馬県立高崎高等学校野球部甲子園出場後援会
           会 長    原 浩一郎
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2月当初に全同窓生に発送された「群馬県立高崎高等学校 第84回選抜高等学校野球大会出場募金趣意書」。

 当初の募金目標額は6000万円を設定していたそうですが、一体どの程度の浄財が今回寄せられたのかは定かでありません。残念ながら高高は初戦敗退したため、今回、費消した金額はさほど大きくはなかったものの、雨で2日間も予定を狂わされた多数の同窓生OBや学校関係者らの熱意はたいへん大きかったのは事実でした。

 そしてなによりも、甲子園出場の夢を実現してくれた現役野球部の選手たちに、感謝の気持ちを伝えたいと思います。

■春のセンバツでは残念ながら今回も初戦突破の夢は果たせませんでしたが、まだ夏の甲子園大会や、秋の関東大会と、引き続き目標は続きます。ぜひまた高高同窓生のために、夢をふたたび実現できるよう、選手諸君の活躍を祈念します。

【ひらく会情報部】


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議員年金を巡り提訴を取下げた市議会議員共済会に対して反撃に心弾ませる岡田市長の訴訟継続の本気度は?

2012-03-28 22:15:00 | 困ったちゃん岡田義弘・元市政
■安中市の岡田市長が地方議員年金制度の廃止に伴って増えた公費負担の支払いを拒否している問題で、市議会議員共済会(事務局・東京)は先月2月21日に、安中市を相手取り、2011年6月1日施行の改正地方公務員等共済組合法に違反するとして、平成23年(2011年)度の負担金約1億円の支払いを求めて東京地裁に提訴していましたが、市議会議員共済会が、3月27日に東京地裁に取下書を提出したと報じられました。
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安中市の議員年金訴訟を取り下げ 市議会議員共済会
 地方議員年金制度の廃止に伴い、安中市が大幅に増額された公費負担の納付を一時拒否し、年金運営をしている市議会議員共済会(東京)から、未納金約1億円の支払いを求める民事訴訟を起こされていた問題で、市議会議員共済会は3月27日、東京地裁に提訴していた訴訟を取り下げる手続を行った。3月22日の市議会本会議で、負担金を議会費として盛り込み議員提出の修正案が賛成多数で可決されたことを受けた措置。
 一方、岡田義弘市長は「議会が独自に予算を増額修正できる指導を市議会に対して行わず、しかも市長が議決された予算の執行を拒否していない段階で、提訴したのは乱暴だった」と指摘。共済会側の提訴で市の名誉が傷つけられたなどとして、法的手段を検討する方針を示している。
(2012年3月28日上毛新聞社会面P22)
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■岡田市長が支払いを拒否していた議員年金問題が最終章を迎えています。岡田市長に対して、面と向かって文句の言えない我らが住民代表の市議会議員のお歴々のため、結局、市議会議員共済会におんぶに抱っこしてもらって、あろうことか市議会議員共済会に、議員年金の掛け金未払い問題を提訴してもらう事態となってしまいました。

 しかも、最後の最後に、市議会の3月定例会で、3月12日に開かれた総務常任委員会で平成23年度補正予算審議の途中で、議会側から「議員年金納付金を支払うための修正案」が提出され、全会一致で可決されたことを踏まえて、3月22日の本会議で、平成23年度一般会計補正予算案に地方議員年金制度廃止に伴う市負担増分8576万円を増額するなどの修正案が賛成多数で可決されました。

 安中市の岡田市長は同日、修正案の可決を受け、同年金を運営する市議会議員共済会(事務局・東京)に平成23年度の未払い分約1億円の振り込み手続をしたと述べました。

■安中市長と安中市議会の間の茶番劇が、これほど日本全国の注目を浴びるとは当会も想像していませんでしたが、最終的に市議会議員共済会が取下手続をしたことで、裁判おたくの岡田市長の負けん気に一気に火がつきました。

 当会もかつて、タゴ51億円事件で、単独犯とされたタゴを含めて、他にも、安中市土地開発公社の歴代の理事長、副理事長、理事、監事及び事務局長ら、事件関係者20数名を提訴したことがありますが、土地開発公社は別法人だとする最高裁の判例が足かせとなるということで、訴訟代理人の弁護士から和解を勧められて、取下げに応じたことがあります。

 ところが、被告のうち、ただ一人、同公社の理事・監事の経験を持つ岡田市長(当時へ県議)だけが和解に応じず、訴訟を継続し、裁判所の事務官も知らないうちに、裁判長が独断で、勝手に、当会敗訴の判決を出したことがあります。

 その後、当会は高裁に控訴し、棄却された為、最高裁に上告しましたが、結局、公社は別法人だという理屈で、棄却されましたが、岡田市長はこのことを今でも得意げに吹聴しており、相手方が取下げ手続をした場合、傘にかかって、取下げに応じず、勝訴を得ようと訴訟を継続するのが常套手段となっています。

■今回、2月21日に市議会議員共済会が東京地裁に提訴しており、取下げたのが3月27日ですから、1ヶ月以上の時間が経過したことになります。

 民事訴訟法第261条第2項は「2 訴えの取下げは、相手方が本案について準備書面を提出し、弁論準備手続において申述をし、又は口頭弁論をした後にあっては、相手方の同意を得なければ、その効力を生じない。(以下略)」と定めています。

 また、民事訴訟規則第162条には「訴えの取下げの書面の送達は、取下げをした者から提出された副本によってする。2 訴えの取下げがあった場合において、相手方の同意を要しないときは、裁判所書記官は、訴えの取下げがあった旨を相手方に通知しなければならない。」と定めています。

■訴えの取下げの意義とは、訴訟を提起した後に裁判所に対して訴えの全部もしくは一部を撤回する旨の意思表示をすることで、訴えを取り下げることにより訴訟は終了することになります。

 この場合、訴えの取下げの効果としては、民事訴訟法262条によれば、「①取下げにより訴訟は終了し、はじめから訴訟が継続しなかったものとみなされる」「②終局判決があった後に訴えを取り下げた者は同一の訴えを提起することができなくなる」と定めています。また、訴訟提起による時効中断の効果も消滅します。

 取下げの方法として、民事訴訟法第261条第3項により、書面でしなければなりませんが、口頭弁論等の期日においては口頭ですることができます。この場合は、調書に記載されます。

 原告が訴えを取り上げても、相手方(被告)の同意が必要な場合があります。訴えを取り下げた時点で、被告が既に応訴した場合は、被告にも判決を得る利益が生じているために、原告の一方的な意思だけで訴訟手続きが終了するのは、被告にとって不利益となるためです。この場合に同意を必要とするのは民事訴訟法第261条第2項により、次の場合が定められています。
①被告が準備書面を提出した
②被告が弁論準備手続きでの申述をした
③口頭弁論をした後

 また、同法第261条第5項によると、相手方が訴え取下げの送達を受けてから2週間以内に異議を述べないと取下げに同意したものとみなされます。

■こうした法律上の規定から、原告の市議会議員共済会が訴えを取下げたことで、傘にかかって、逆提訴しようといきまいている被告の岡田市長にとって、その望みを実現するには既に、顧問弁護士の渡辺明男氏と相談して、準備書面を提出したかどうかにかかっています。

 岡田市長としては、冒頭の上毛新聞記事にあるとおり、「議会が独自に予算を増額修正できる指導を市議会に対して行わず、しかも市長が議決された予算の執行を拒否していない段階で、提訴したのは乱暴だった」として、「共済会側の提訴で市の名誉が傷つけられたことから、法的手段を検討したい」という方針発言が本当であれば、既に答弁書を提出している可能性があります。なぜなら、答弁書は準備書面に他ならないからです。

 ただし、原告(=市議会議員共済会)の訴状に対する被告(=安中市長)の最初の準備書面である答弁書で、被告の岡田市長が、本案(原告の請求の当否、すなわち原告の請求を認容すべきか、あるいは棄却すべきか)について、「原告の請求棄却判決を求めるのではなく、訴訟要件が欠けることを理由に訴えの却下判決を求めるものである」という場合は、本案についての準備書面ではないため、被告の岡田市長の訴訟継続の同意は必要ない、とされてしまいます。

■先日、フリマ中止問題をめぐる安中市広報を媒体としたデタラメの情報流布で名誉毀損による損害賠償請求訴訟で、最高裁から棄却通知をもらったばかりの岡田市長としては、今回、訴えを取下げてきた原告の市議会議員共済会を相手取り、鬱憤を晴らすためのリベンジのお膳立てとして絶好の機会だと思ったことでしょう。

 しかし、民事訴訟法の裏付けもなく、単に、思いつきで「共済会側の提訴で市の名誉が傷つけられたことから、法的手段を検討したい」などと発言したとなると、これまた、問題です。

■当会としては、岡田市長が緻密な計算により、議員年金の意味を問う為に本気で訴訟継続を行い、たとえ敗訴したとしても、原告の市議会議員共済会に対して、議員年金廃止を隠れ蓑にお手盛り一時金を手厚く増額する愚を明らかにしたり、昨年6月から今年2月までの延滞利息(一説によると約250万円とか)の支払いを拒んだり、なぜ原告が説明責任を果たさない市議会に対して全くアドバイスをしないのか、その理不尽さを明らかにしたりするのであれば、30万円をかけて顧問弁護士を代理人に立てて、訴訟を継続することには反対しません。

 この問題については、市区長会の代表や市議会議員OB会の役員らが「裁判を避けて法で決まったものは納付するように」と再三、岡田市長に要請が行われました。

 もし、岡田義弘市長が、持論の情報公開と説明責任を果たし、当初の方針からブレずに、なんとしても議員年金問題の不条理を徹底的に法定で明らかにするという、強い意思が本当にあるとするならば、当会は、市議会議員共済会から売られたケンカを岡田市長は買うはずだと考えています。

■タゴ51億円事件で旨い汁を吸った挙句、特権的な議員年金をもらっている退職市議が何人か存在することは紛れもない事実です。現実に、市内で議員年金を受給している市議退職者は70人もいます。

 彼らに毎年1億円近い金額を支払うことになると、一人平均130万円近くも血税が注がれることになります。年金は老後の暮らしに最低限の金額があれば十分なはずです。議員は他の年金にも加入できるのですから、その上さらに議員年金を受け取れる特権を持つ必要は有りません。全部、震災で被災した方々への義捐資金や震災復興の為の予算の足しにすべく、全額寄付させるべきです。

【ひらく会情報部】

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大山鳴動して鼠1匹・・タゴ百年ローンに加え今後50年以上続く議員年金負担を受け入れた安中市長の茶番劇

2012-03-26 12:46:00 | 困ったちゃん岡田義弘・元市政

■先月2月25日の朝の「みのもんたのサタデーずばッと」で、安中市の岡田義弘市長が電話出演し、地方議員年金の負担拒否でさっそうと“持論”を展開し、一躍マスコミの寵児となりましたが、当会が当初から指摘してきたとおり、しりすぼみに終わり、単なるスタンドプレーだったことが明らかになりました。

 この結局、市民の税金で後始末が為されることになり、安中市民は、タゴ51億円事件の尻拭いに加えて、市民の為の仕事らしい仕事を何もしていない大体数の市議会議員らの老後の面倒まで公金で支払わされることになりました。

■岡田市長が、自らも長年に亘って受給してきた議員年金のことを棚に上げて、この期に及んで突然、自らには何の痛みも伴わない議員年金のことを取り上げるようになったのは、昨年6月1日に議員年金制度が廃止される直前の5月25日でした。平成23年5月26日付の東京新聞は次の通り報じています。

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議員年金全額公費で安中市長 負担金予算計上せず
市民への説明責任先決
 安中市の岡田義弘市長は5月25日の定例会見で、6月1日から全額公費負担となる市議の年金について、支給に必要な負担金約1億円を、市議会6月定例会に提出する一般会計補正予算案に計上しない意向を表明した。
 現行の地方議員年金制度は掛け金の半額程度ずつを本人と公費で分担しており、制度の変更について、市議会に市民への説明責任を果たすように促すのが狙い。公費の大半は国から地方交付税などで支給される。
 岡田義弘市長は市議会に議会広報での説明や市内の各種団体から理解を得ることを求めており、応じなければ、住民投票で市民に是非を問う構え。ただ市長は「年金の支給事態は否定しない」と述べ、年金の支払いが滞る事態は避けたい意向だ。
 地方議員の年金制度は、下校制度を6月1日に廃止する改正地方法等共済組合法が20日に成立。市町村合併で地方議員が減り、積立金が枯渇して制度が維持できなくなるのが要因。このため既に受給資格を持つ議委への年金支払いは今後全額公費負担となる。
 市によると、市内は旧松井田町議を含め、三期以上勤めた議員年金受給者が現在60数人いる。
 市議を務めた岡田市長も受給者だが「受け取っているからこそ、東日本大震災による財政難の中、情報開示が必要が」と説明している。
【菅原洋】
**********

 なお、当時の当会のブログも参照ください。
http://pink.ap.teacup.com/ogawaken/647.html#readmore

■なぜ突然このようなパフォーマンスを思いついたのかは定かではありませんが、大方、どこかの後援会で聞きかじったか、誰かに言われたのか、あるいは急に議員年金の廃止により、土建業界に配分する予定の予算が削られることになったので何か言い訳を捻り出す必要性があったものと思われます。

 当会も議員年金の廃止に大賛成です。奇しくも、この法案が閣議決定されたのは、東日本大震災に見舞われた当日でした。ところが、議員年金の廃止という耳触りのよい言葉の裏で、実は巨額の税金が投入され続けることは国民に知らされていなかったのです。

 というのは、年金の「廃止」に際して、受給中の退職議員の年金額や、受給資格を持つ現職議員の将来に亘る年金額が減額されたり抹消されたりするのではないからです。「廃止」の実態は、新たな受給資格者をつくらず、自然減を待つだけなのです。ここで問題になるのは、「廃止」により議員の掛け金支払いはなくなる代わりに、年金給付の費用などが全額(共済会の積立金を除く)、自治体負担となる点です。国の試算では、公費負担は約60年間続き、負担総額は約1兆1400億~1兆3600億円にも上るというのです。

■議員全員がこれに見合う仕事をしてきたのであれば、納税者は納得できますが、実態は程遠いものがあります。もっとも、そうした怠慢議員らを選んできたのは納税者である住民自身ですから、忸怩たるものがあります。

 欧州では地方議員というものはもともとボランティアの名誉職のようなものでスイスやフランスなどは無報酬の人が大半で、英国などでも年間せいぜい数十万円程度です。役所の職員の平均給与以上の待遇を保証されている我が国の地方議員はそのことを十分に自覚する必要があります。

 これまで自分たちの歳費の値上げについては、党派を超えて積極的にお手盛りで賛成してきた地方議会ですが、今回の議員年金の「廃止」は、その最後の仕上げということができるでしょう。

■民間企業の場合、退職給付会計に基づき、積立金としての年金資産と、年金の支払いに必要な退職給付債務の差額を計算して、「退職給付引当金」として財務諸表に計上しなければなりません。また、年金資産や退職給付債務も注記として計上されますが、地方議会が所属する地方公共団体の場合は、このような計算は行われていないのです。

 この観点から、もし、この議員年金廃止問題について岡田市長以外の首長が、岡田市長の発した「声明」と同じ趣旨の主張を行えば、安中市民は勿論諸手を挙げて賛同するのですが、二枚舌を駆使してブレまくって来た岡田市長が、こうした“正論”を突然主張すると、違和感を抱いてしまうのです。

■今年2月25日の“みのもんた”のテレビ番組への電話出演のきっかけになったのが、次の報道記事です。

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市議会議員共済会:安中市を提訴 市の主張、法廷で /群馬
地方議員年金の廃止に伴う公費負担増に応じなかった安中市が2月21日、全国の市町村議員年金を運営する市議会議員共済会(事務局・東京)に提訴された。
「公費丸抱えの特権的な年金制度が残り、納税者の負担だけが増える」との同市の主張は東京地裁で展開されることになり、岡田義弘市長は「訴訟には粛々と対応したい」とのコメントを出した。訴状によると、同市への請求額は、制度廃止の11年6月から今年3月までの10カ月分1億1万8800円など。
地方議員年金制度の廃止を盛り込んだ改正地方公務員等共済組合法では、受給者への年金支給に要する費用は、地方公共団体が負担すると定められた。
自治体の1カ月当たりの負担金は、議員報酬月額、議員定数などに、年ごとに総務省令で定められた係数を掛けて算出される。
11年度の係数は、在職12年未満の現役議員への一時金の支払いも加わり、全国一律102.9%。4回に分けて請求され、最終の納付期限は今月20日だった。
廃止直後は、全国に負担増分の支払いを拒否する自治体が出たが、国は「地方交付税で手当てされる」と説明したことから支払いに転じ、拒み続けているのは全国で安中市だけになっていた。
岡田市長は「地方交付税も国民の税金。公費負担は50年間続き、1兆円以上を納税者が負担しなければならない。負担増について納税者の理解を得る努力なしに国会で議決された」と批判し、今月17日には、制度見直しを求める声明を野田首相らに送付している。【増田勝彦】
(2012年2月22日付け毎日新聞)
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市議会議員共済会 安中市など提訴 市長の負担金拒否問題
 地方議員年金制度の廃止に伴い市議会議員共済会への地方自治体の負担金が増えたことを受け、安中市の岡田義弘市長が増額分の予算計上と納付を見送り同共済会から再三の督促を受けていた問題で、同共済会は同市などに支払いを求め東京地裁に提訴した。
 地方公務員等共済組合法と同施行規則等の改正により同年金制度が廃止され、以後、年金給付などの費用は同共済会の積立金を除き全額が自治体負担となった。同市の本年度分の負担額は約一億三百万円で、前年度の約千九百万円から大きく膨らんだ。
 負担増について市民へ周知や説明責任がなされていないと指摘する岡田市長は「大勢の(東日本大震災の)被災者がいる中、特権的改正はいかがなものか。年金財源欠乏ならば大幅縮小すれば良い」などと国などへ意見書を提出。今月は市のホームページで「声明」を掲載した。一方、市議会側は予算措置をとるよう求めている。
同共済会は、六月一日の法施行後の未払い分約一億円の負担金の支払いを求めている。訴えが認められると、約5%の延滞金も課せられる模様だ。(樋口聡)
(2012年2月23日付東京新聞)
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■このあと、岡田市長お得意の安中市の広報誌「おしらせ版あんなか平成24年3月11日号No.137」を使ってのパフォーマンスが行われました。野田首相らにも送ったと言われる「声明」文を5ページ目に掲載したのでした。

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「地方議会議員年金制度廃止に関する声明」の送付について
 地方議会議員年金制度が廃止となりましたが、これに伴い、今後の年金支給の財源は、残された積立金を除いて、全て地方自治体の負担となります。
 これは昨根殿負担金額と比較しても5倍以上であり、制度に対しる国民周知、説明責任が果たされていないとの考えから、現在、平成23年度予算への計上を見送っています。
 あわせて、財政の現状を訴えると制度廃止に伴う公費負担をできるだけ少なくする変更を求め、政府(各大臣)および国会に議席を有する政党へ声明を送付しましたので、ご報告します。
< 声  明 >
 平成23年3月11日の悪夢により、我が国は未曽有の国難に直面しています。
 間もなく東日本大震災から1年が経とうとします。
 想像をはるかに超える津波の映像に息をのみ、言葉も出ない状態は、日本の一大危機と感じます。
 大震災で死者・行方不明2万名余、さらに父親や母親を亡くした子どもの数は、推計で2,000名以上、また、両親ともに失った遺児は、200名余りいると報道されています。
 他方、失業された方は、6万名以上にのぼると伝えています。
 こうした人たちを置き去りのまま、新議員年金は、特権的な快晴と多くの批判が出されていたにもかかわらず、国難最中の平成23年5月20日に成立しました。
 そして、国民・市民への周知期間も設けず、国会議決から10日あまりで議員年金新制度は、平成23年6月1日から改正地方公務員等共済組合法により施工「実施」されたのです。
 これまで地方議員年金は、議員本人の掛け金と公費で負担してきました。
 安中市の場合、議員1人当たりの負担額は、月57,600円と公費負担が59,400円だったのです。
 平成23年6月1日から議員本人の掛金は廃止です。
 議員年金財源は、全額公費負担となり、平成23年までの安中市の年間負担額は、1,460万円から約1億322万円へと増加し、血税負担は5.8倍となりました。
 この負担分は地方交付税で手当て(不明確)されるとしても、借金をつけ回す政治でいいのかと憂いています。
 いま国家財政赤字額は、1,000兆円超えです。
 この「1,000兆円超の財政赤字の付けを子どもに回すことは、子ども虐待だ」との著名人の声もあります。
 議院年金に公的負担の終了は、平成70年を見込んでいますが、今後50年間で国民・市民負担額は、1兆1,400億円~1兆3,600億円に達すると試算されています。
 現役議員の掛金と公費負担の2本立てならば、他の公的年金と同じ構造ですが、納税者の理解を得る努力なしに、3.11の未曽有の国難最中であり、復旧復興には財源不足が懸念される中、議員年金共済掛金が全額公費でいいのか心が痛みます。
 子どもたちの将来にわたり多額の公費負担でいいのか心が痛みます。
 国は、なぜ社会保障と税について明らかにしないのか?
 現状でも借金で賄っている社会保障です。
 今日、国の累積債務が1,000兆円超と見込まれる現状を考えれば、税と社会保障の改革は、少しの猶予も許されない状況にあるのです。
 したがって、年金をめぐる対応についても、総括すればよいのです。
 年金は大事ですが、子育てや医療、介護など、切迫した社会保障の改革なくして議員年金を語ることはできないということです。
 上記、不条理な現実に政府・国会は偏った判断と政策決定で議員年金を擁護するだけでは、問題は解決しないのです。
重ねて政府・国会の懸命な判断を望みます。
 同時に血税を納める納税者の声なき声の貴捨てをせず、政府・国会として最後まで真剣に向き合うべきです。
 議員年金の財源が欠乏すれば、年金支給額を大幅に減額するのは当然の良識の理です。
 政府・国会は、議員優位の考えの反省を望みます。
 以上の観点から、これまで財政再建や行政改革の必要性を多くの議員が指摘してきたのですから、自分たち議員も「痛み」を避けずに国会・地方議会自ら身を切る模範を示すことを切望します。
 議員諸氏が模範を示さねば、政治不信を深めるばかりと心配になると共に、立法府(議会)の自殺行為と声なき声です。
 早急に再検討し、見直すべきであると考えます。
 なお、追書的に申すならば、地方自治法第97条第2項には、「議会は、予算について増額してこれを議決することを妨げない・・・」と明記されていることから、同法の規定に基づき、市議会が説明責任を果たし、議会年金にかかる予算を増額修正することも可能であることを申し添えます。
 平成24年 2月17日
                安中市長 岡田義弘
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■この「声明」文から、この時すでに幕引きの暗示をしていることが判ります。

 その意向を受けたのか、案の定、安中市議会は、3月12日に常任委員会で市長の暗示に応える決議をおこないました。

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市の負担増分を計上 議員年金で安中市議会
 国による地方議員年金制度の廃止に伴い、安中市が市議会議員共済会(事務局・東京)への負担増額分の支払いを見送り、同会が支払いを求めて東京地裁に提訴している問題で、同市議会は3月12日、総務文教常任委員会を開き、委員が連名で、未払い分を計上した2011年度補正予算修正案を提出、全会一致で可決した。3月22日の本会議で可決される見込み。
 この問題では岡田義弘市長が「市民への周知、説明責任が果たされていない」と負担増分約8千6百万円の支払いを見送り、同会が提訴した。
 今回の修正案提出に、奥原賢一議長は「提訴され、市民に遅延損害金等の多大な負担が生じる懸念があることから、苦渋の選択だ」と述べた。新年度予算案にも負担増分が盛り込まれていないことに「(市に)対応していただけると信じている」と話した。
 同会は訴訟取り下げや遅延金などについて「支払いが完了した時点で協議する」としている。【樋口聡】
(2012年3月13日付東京新聞)
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■その動機はともあれ、それでも、岡田市長の行動は「一市長の反乱」として、全国でマスコミにもてはやされました。岡田市長のスタンドプレーを見抜いた報道機関や週刊誌は皆無だということに驚かされます。その中で、3月22日付の週刊ダイヤモンド誌の内容を例示します。

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議員年金廃止で公費激増に異議 一市長が起こした反乱の顛末
 2011年、市議会議員共済会の年金の積立金がゼロになってしまいました。事実上、破たんです。積立金がゼロになってしまった大きな原因は市町村合併により、年金を負担する議員や市が減少したにもかかわらず、給付を受ける人が増えたことによります。加入議員は3万6000人に激減する一方、受給者は約9万4000人になっています。
ですから、2011年に制度を廃止しましたが、12年以上のキャリアがある議員は議員を引退する際、一時金(退職金)か年金を選択することができますし、OB議員は今まで通りの年金の方式になります。年金額はある程度は減額されますが、相模原の場合はおよそ年額で200万です。また、キャリアが12年未満の議員が引退した場合には一時金を支払うことになりますが、これは今までの掛け金の80%になります。掛け金は議員が負担した額になります。しかし、積み立てたお金が0になったので、そのお金を市が全額負担しなければなりません。つまり、一時金や年金に市の税金が投入されているわけです。その一時金や年金が多額にかかるため、 このような自業自得な積立不足を補うために相模原市の約3.4億円(前年度は約6500万円)という税金が投入されます。
 積立金不足を市の税金で賄うことを疑問に思い、市の担当者に問い合わせたところ、「これは国が要求した金額です。」との回答を得ました。つまり、市は議員年金の見積りをせず、国や共済会に任せ切りという状態にあります。
普通の企業でしたら、退職給付会計に基づき、年金資産(積立金)と退職給付債務(支払うべき年金)の差額を計算して退職給付引当金として財務諸表に計上します。また、年金資産や退職給付債務も注記として計上されます。しかし、地方公共団体の場合はこのような計算は行われていません。
市は議員年金にかかる費用は把握しておらず、国や共済会の言いなりになっています。国や共済会も言わば、どんぶり勘定で議員年金を運営して破綻寸前まで至ったわけです。その責任を追及することはせず、地方公共団体に負担させる。それが今年度の予算の3.8億円の議員年金になっています。しかも、退職する議員が全員一時金制度を選択したという前提で予算が計上されています。これで、仮に年金方式を選択した議員がいるとすると、予算が余ります。
その一方、予算が足りずに、命にかかわることも起きています。議員年金が支給されなかったために死んでしまう人はいないと思います。予算が足りないからといって、様々な事業が削減されている中、このような支出は異常です。拠出した年金の額とOB議員が受け取る年金、一時金の額をしっかり把握して国と交渉すべきです。
(週刊ダイヤモンド3月17日発売)
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■そして、予定通り、安中市議会は3月22日の定例本会議で、議員年金負担増に係る補正予算の増額修正案を可決したのでした。

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安中市議会:議員年金廃止に伴う増額修正案を可決 市長「訴訟継続」 /群馬
 安中市議会は22日の本会議で、11年度一般会計補正予算案に地方議員年金制度廃止に伴う市負担増分8576万円を増額するなどの修正案を賛成多数で可決した。12日の総務文教委員会で増額修正が議員提案され、可決されていた。12年度一般会計予算案などは原案通り可決した。
 市は同日、修正案の可決を受け、同年金を運営する市議会議員共済会(事務局・東京)に11年度の未払い分約1億円の振り込み手続きをしたという。岡田義弘市長は「議会制民主主義のルールにのっとり、支払い手続きを行った。12年度も今後、負担増分を補正予算案に盛り込みたい」と述べた。
 同共済会は市を相手取り、未払い分の支払いを求める民事訴訟を東京地裁に起こしているが、岡田市長は「国民の負担増を伴う特権的な年金制度の改正にもかかわらず、周知期間も設けず実施された。この点を裁判で訴えていきたい」と訴訟継続の意向を示した。【増田勝彦】
(2012年3月23日付毎日新聞)
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未払い分の1億円納付 市議会議員年金問題で安中市
 安中市議会は3月22日の本会議で、未納となっている市議会議員共済会への増額負担分を予算計上する2011年度の補正予算修正案を賛成多数で可決した。市は同日、未払いとなっている約一億円を同会に納付した。
 支払いを求め提訴していた同共済会は「近く協議し対応を決めたい」としている。 【樋口聡】
(2012年3月23日付東京新聞)
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■こうして、当初は住民投票も辞さぬ覚悟で、この問題に挑んだはずの岡田義弘・安中市長でしたが、住民投票もするつもりもなく、単にマスコミを騒がしただけで、竜頭蛇尾の結果に終わり、市民には、今後50年以上、大多数の無能な市議会議員の退職後の面倒を見なければならないという、理不尽な負担がのしかかることになりました。

 とくに、年金受給の対象となる退職市議らのなかには、タゴ51億事件でうまい汁をすすっていた議員らも含まれており、タゴ51億事件の尻拭いを103年間(現在12年経過したため、残りあと91年間)しなければならない安中市民にとって、まことにゆゆしき事態となってしまいました。

 当会では、今後、安中市議にアンケートを配り、今回の岡田市長のパフォーマンスの顛末についての感想と、今後、年金受給を受けるにあたり、在職12年以上の現職議員には掛け金の80%の一時金か、廃止前の水準の年金のどちらを選択したのか、また、全議員に対して、年金の一部を辞退あるいは震災被災者に対する支援費用など、なんらかの社会的還元するつもりがあるのかどうか、見解を質してみたいと考えています。

■今回の議員年金廃止の裏で、結局、最後にダシに使われたのが綿地たちの血税です。安中市の場合、地方自治体で史上最高額の51億円余りの公金が横領され、その尻拭いが市民に使われるべき公金で賄われている有様です。このように、政治家や役人の不始末のツケをすべて税金に転嫁させるのが、もはや常とう手段となっているこの国の無責任さは、留まるところを知りません。住民による監視の目がますます重要です。

【ひらく会情報部】

※参考資料
◆地方議会議員年金制度の廃止までのあらまし
http://www.si-gichokai.jp/official/kyousai/rules/全国市議会議長会ホームページから
1. 沿革
 地方公共団体の議会の議員(以下、「地方議会議員」という。)の年金制度は、昭和36年6月8日公布、同日施行の「地方議会議員互助年金法」(以下、「互助年金法」という。)により地方議会議員の互助年金制度として創設されました。
 この互助年金制度は、地方公共団体の議会の任務の重要性にかんがみ議員及びその遺族の生活の安定に資することを趣旨とするもので任意加入のものでした。この互助年金を給するための組織として、地方議会議員の区分にしたがい、都道府県議会議員互助会、市(特別区を含む。以下同じ。)議会議員互助会、町村議会議員互助会がそれぞれ設立されました。
 翌昭和37年9月、地方公務員共済組合法(のちに「地方公務員等共済組合法」と改称。以下「法」という。)が制定される際、同法の第11章に「地方議会議員の年金制度」として規定されました。ここに互助年金法は廃止され同法に統合されました。同法は同年12月1日に施行され、すべての地方議会議員を対象とした強制適用の公的年金制度となりました。この年金給付を行う組織として地方議会議員の区分に応じ、都道府県議会議員共済会、市議会議員共済会、町村議会議員共済会が設立されました。
 地方議会議員の年金制度は、昭和37年の創設以来、幾多の改正を経てきましたが、全国的に実施されたいわゆる平成の大合併が大規模かつ急速に進んだことによる議員数の急減に加え、行政改革に伴う議員数や議員報酬の削減が行われたことにより、市・町村議会議員共済会の財政状況が急速に悪化し、平成23年度には年金を含む共済給付金に要する積立金の枯渇が見込まれる極めて危機的な状況となりました(都道府県議会議員共済会は、平成34年度に積立金枯渇の見込み )。
 そのため、総務省、全国都道府県議会議長会、全国市議会議長会及び全国町村議会議長会において制度の見直しについて種々検討してきましたが、その結果、平成23年5月27日に地方議会議員年金制度の廃止措置を講ずる「地方公務員等共済組合法の一部を改正する法律」(平成23年法律第56号。以下「廃止法」という。)が成立し、平成23年6月1日をもって地方議会議員年金制度は廃止となりました。
 制度は廃止となりましたが、廃止法では、既に退職年金、公務傷病年金、遺族年金を受給されている方については、これまでどおり継続して給付が行われる一方で、退職年金については「退職年金に係る給付の引下げ及び支給停止措置の強化」が行われることとなりました。
3. 給付の財源
 共済給付金の給付に要する財源は、互助年金制度創設から昭和47年3月までは地方議会議員の掛金のみで賄っていましたが、昭和47年4月からは給付に要する費用の地方公共団体の負担、いわゆる公費負担制度が導入されました。
 廃止前の制度では、共済給付金の給付に要する費用は、地方議会議員の掛金、特別掛金及び地方公共団体の給付費負担金並びにこれらの運用によって生ずる利息によって賄われていました。
 制度廃止後の給付に要する費用は、廃止法により、地方議会議員共済会が保有する残余の積立金を除き、地方公共団体が負担することとされております。

◆世界各国の議員数と議員報酬
議員制度について テーマ:政治
世界各国の議員数と議員報酬について調べてみました。
(1)G8各国の国会議員数と年間報酬
No./国名/人口/国会議員数/人口/議員数/年間報酬
1/イギリス/61,000,000/1,050/58,000/\8,900,000
2/イタリア/60,000,000/905/66,000/-
3/フランス/60,000,000/898/67,000/\10,000,000
4/カナダ/33,000,000/405/81,000/-
5/ドイツ/82,000,000/755/109,000/\10,000,000
6/日本/128,000,000/732/175,000/\24,000,000
7/ロシア/140,000,000/628/223,000/-
8/アメリカ/310,000,000/535/579,000/\18,000,000
※フランスとドイツの年間報酬は1,000万円前後らしい。
(2)各国の地方議員数と年間報酬
No./国名(自治体)/人口/地方議員数/人口/議員数/年間報酬
1/スイス/7,500,000/53,000/132/\50,000
2/フランス/60,000,000/506,000/119/\100,000
3/ドイツ/82,000,000/182,000/440/\550,000
4/アメリカ/310,000,000/174,000./1,667/\640,000
5/イギリス/61,000,000/22,000/2,727/\730,000
6/韓国(基礎)/48,000,000/3,500/14,286/\2,100,000
7/韓国/48,000,000/4,200/11,905/\2,300,000
8/韓国(広域)/48,000,000/700/71,429/\3,500,000
9/日本(町村)/128,000,000/36,072/3,327/\3,990,000
10/アメリカ(州)/310,000,000/7,000/41.429/\4,000,000
11/ドイツ(州)/82,000,000/2,000/40,000/\6,200,000
12/日本/128,000,000/60,128/2,127/\6,800,000
13/日本(市)/128,000,000/21,222/6,031/\9,520,000
14/日本(県)/128,000,000/2,874/44,537/\21,290,000
※スイスとフランスの地方議員は無報酬の人が大半であることから、適当な額を記入しました。
※参考資料:http://www.kosonippon.org/temp/060925gikai.pdf
こうしてみると議員数の多さが大きな問題ではなく、年間報酬の多さが大きな問題である事がわかります。
そこで日本を除いた世界各国の最高年間報酬と同等に修正する事を提案します。
(私案)
国会議員:2,400万円→1,800万円(アメリカの国会議員)
県会議員:2,119万円→ 620万円(ドイツの州議会議員)
市会議員: 952万円→ 350万円(韓国の広域議会議員)
町村議員: 399万円→ 210万円(韓国の基礎議会議員)
世界の趨勢は議員は公僕だという認識の下、住民参加型であり、無報酬の議員も多い。
もう一つの案は福島県の矢祭町のように日当支払いにし、期末手当をなくするやり方です。
矢祭町の場合、年間の活動日数約30日に日当3万円を掛けると年間報酬は90万円になります。
どの案を採用するにせよ、多すぎる議員報酬の見直しをしなければ、日本は立ち行かなくなります。
因みに総理大臣の年間報酬は4,022万円ですが、他国はアメリカ大統領の3,600万円、イギリス首相の3,100万円、フランス大統領の2,900万円、インドネシア大統領の240万円、フィリピン大統領の52万円です。
<出典:2009-06-01 付け「瀬戸内四郎」氏ブログ>
http://www.kosonippon.org/temp/060925gikai.pdf

◆東京新聞2011年5月15日付「こちら特報部」より
★地方議員年金廃止の怪 税投入で「一時金」増 在任短くても掛け金の80%
 国会で審議中の地方議員年金制度を廃止する法案で、税金の「付け回し」による議員の“追加優遇”がまたも明らかになった。在任期間が短く年金受給を満たさない議員についても、現行では掛け金の49~56%しか受け取れない「一時金」を80%に増額するのだ。東日本大震災の復旧・復興財源で、基礎年金の国庫負担分を転用するなど国民負担が増す中、地上議員も特権的な年金を拠出すべきではないか。(秦淳哉)
 「地方議会議員年金制度の廃止に伴う留意事項」-。総務省福利課は、廃止案が国会に提出される前の2011年1月25日付で、議員年金の事務を担当する県や市町村の各議員共済会に事務連絡を出した。内容は制度廃止後の対応方針をまとめたものだ。
 文書には「昨今の厳しい年金財政の状況を踏まえ、平成23年6月1日をもって制度を廃止する」と記し、「通常国会に廃止措置を講じる法案を提出する予定」とある。衆参両院で与野党の多数が異なる「ねじれ国会」のため、法案の成否は未定だが、制度廃止を既定路線として自治体に対応を求めた。
 驚くのは文書の内容だ。議員年金制度廃止による地方自治体の負担額は、2011年度だけで都道府県が百億円、市町村長が1243億円。これは前年度と比べ、都道府県で約5倍、市町村で約5.4倍にもなる。
 議員全員が年金ではなく一時金を選択した場合、58年度までの公費負担額は市町村と都道府県で合わせて約1兆1千4100億円。4年に一度の統一地方選時には、引退議員が増えるため特に公費負担が増加する。
 なぜ、これほど負担が増えるのか。理由は年金制度の廃止によって、議員が支払う「掛け金収入」が消えるためだ。
 この年金制度では、議員の掛け金と地方時自治体が負担する公費(全金)を積み立てて、受給資格者に年金を支給してきた。ところが「平成の大合併」により、地方議員数が減少して年金財政が悪化。ついに支給する年金が底をつき、破綻が避けられない状態に陥っている。
現受給者は制度を継続
 そこで浮上したのが年金制度の廃止だ。総務省は、廃止後の対応として①在職12年以上の現職議員は、掛け金の80%の一時金か、廃止前の水準の年金を選択②在職12年未満の現職議員は、現行一期4年で掛け金の49%、二期8年で56%とした一時金を、いずれも80%に増額。今年一月以降に退職した議員にも適用③現在の年金受給者は従来通りの制度を継続―としている。
★お手盛り 国「丸のみ」 総務省「国会議員と同等に考慮」 震災の復興費用に回すべきでは?
 地方議員年金制度が破たんしているにも関わらず。総務省は従来の制度よりも手厚い受給を可能にした。
 ②のケースでは、受け取る一時金が破たん前よりも増加するのだ。地域政党「神奈川ネットワーク」の試算によると、横浜市議の場合、これまで2期務めて約485万円だった一時金が、年金制度廃止後には約863万円に跳ね上がるという。
 そもそも2009年12月に総務省の地方議会議員念制度検討会(大橋洋一座長)がまとめた報告書では、①の場合も一時金は掛け金の64%だった。今回の廃止法案や事務連絡文書によると、同省が地方議員側の要請を「丸のみ」して増額したことは明らかだ。
 神奈川ネットワークに所属し、地方議員年金の廃止に取り組んできた岩本香苗元相模原市議は「自治体の負担が大きいのに、市民に対する説明は一切ない。総務省が地方議員の要望を丸のみする必要はない。8割もの返還は余りに手厚すぎる措置だ」と批判する。
 国は自治体負担分を地方交付税で手当てするとしているが、全額負担を強いられることになる不交付自治体の中には、国の方針に異を唱える動きも出ている。
 神奈川県の鎌倉市と藤沢市は、地方議員年金制度廃止に伴う負担分の本年度当初予算への計上を拒否したのだ。
自治体負担めぐり反発
 藤沢市の海老根靖典市長は「これは国がやるべきことで、地方自治体が負担しなければならない者ではない。突然総務省から話がきた。こんなばかげたことはない」と国を批判。
鎌倉市の松尾崇市長も「廃止案が成立すれば、(加入から)12年未満の議員もおしなべて8割もの掛け金が戻って来る。なぜ国民がそこまで負担しなければならないのか」と疑問視する。
 これに対し、総務省福利課は「既に廃止された国会議員年金も80%を返還しており、地方議員も同等となるようにバランスを考慮した。投入する税金は当初増加するが、年金を廃止することで将来出来には減少していく」と話す。
 しかし、国会に地方議員年金の廃止法案が提出された後で、東日本大震災が発生した。政府は第一次補正予算で、本来は基礎年金の国庫負担分に充てるはずだった約2兆51千億円分の埋蔵金を、復旧・復興のための費用に回した。つまり、復興費用を国民の年金で肩代わりしたことになる。これに伴い、当面の年金支払いについては、積み立てた年金資金を取り崩して対応することになりそうだ。
 地方議員年金の廃止法案はすでに衆院を通過。今秋以降、参院で可決された成立する公算が大きい。特権的とされる地方議員年金も「お手盛り」を排し、受給額を大幅に減らして震災の復旧・復興に回すべきではないだろうか。
 立正大大学院の渡部記安教授(国際年金比較)は「地方議員年金制度ができてから2009年度までの48年間に使われて公費は約6千4百億円。今後も①調1千4百億円の公費が使われるとなれば、もはや廃止とは言えない。形を変えた制度の存続だ」と批判する。そして「未曽有の大震災で國人が大変な時に、現在の廃止案でいいのか。制度廃止をうたいながら、実際は税金を食い物にすることはやめるべきだ」と指摘する。
〔地方議員年金〕地方議員全員に加入義務がある年金制度。議員の掛け金と自治体の公費負担で運用し、両者の負担割合は6対4.受給資格の獲得まで12年(3期)と比較的短い上、国民年金や厚生年金との重複加入も可能で「特権的」との指摘がある。平均受給額は県議が年間195万年、市議が103万円、町村議が68万円。
〔デスクメモ〕「血税」の補充もある年金制度で、引退後も豊かな暮らしを約束・・・。そんな特権は廃止して当然だが、この期に及んで一時金を手厚く盛るなんで。破綻の責任とツケを国民に押し付ける構図は、東電救済策にそっくりだ。政治家や官僚にいつも厳しい目を向けねばならないとは、何と民度の低い国か。(立)


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第2、第3の大澤知事女性宿泊事件を防ぎ全国の公舎ラブホテル化を抑止すべく住民監査請求補正書を提出

2012-03-17 18:21:00 | オンブズマン活動
■当会の事務局長が代表を務める市民オンブズマン群馬では、大澤知事の知人女性宿泊問題の発覚に端を発した知事公舎を巡る不正使用と無断改修による税金の無駄遣いを追求するため、2月23日に群馬県監査委員に大澤知事の住民監査請求を提出しました。

 その約1週間後の3月1日付で、群馬県監査委員会事務局から市民オンブズマン群馬事務局あてに補正通知書が届きました。簡単に言うと、群馬県監査委員が、オンブズマンの提出した住民監査請求の書きぶりについてイチャモンを付けて来たのです。

 とりわけ異質に感じたのは、監査委員が県民からの住民監査請求で、県民に対して、「大澤知事のどの行為又はどの怠る事実が、地方自治法第242条に照らして、どういう理由で違法又は不当なのか、を判断していないので、それを分かりやすく追記しろ」という補正の趣旨です。

■たいていの県民は、役人の役割について記した地方自治法とは、通常殆ど無縁です。だから監査委員という地方自治法を熟知した人たちが、県民に代わって「大澤知事の知事公舎を巡る不適切な事件が、公金の支出の根拠や手続等の観点から、法的に正しいのかどうかを判断してくれるはず」であり、「税金の無駄遣いの疑いのある事象を県民が指摘すれば、それについて真相を調査の上、監査してくれるはずだ」と思っています。

 なのに、「素人の県民に、その見解を仰がないと判断ができない」というのですから困ったものです。県民が情報公開で大澤知事の行状を調べて、その結果、世間一般常識では通用しない支出行為の事例を列挙して、手間を掛けて準備したのちに、監査委員の判断を仰いだのに、監査委員は「県民の見解を聞いてから判断する」というのですから驚かされます。

 これでは、県行政の内部事情について権限を持たない県民が、せっかく監査請求で問題を提起しても、監査委員が「監査請求で県民から示された事項が不十分だから棄却する」という口実を監査委員に与えてしまうことになります。だから、監査請求をしても、その内容がきちんと調査され、責任の所在を明らかにして再発防止の歯止めとなることが、極めて稀になり、手間暇かけて住民監査請求をしても、時間と経費の無駄、ということで、県民にあきらめの気持ちを持たせる結果となるのです。

 もちろん、行政側の思惑はそこにあるわけです。こうした住民監査請求制度の形骸化については、別途機会をみて、詳しく述べたいと思います。

■それでは、群馬県監査委員からの補正通知書を見てみましょう。

**********
【群馬県監査委員かからの補正通知書】
                          群監第202-2号
                           平成24年3月1日
   小川  賢 様
   鈴木  庸 様
                 群馬県監査委員 富 岡 恵 美 子
                 同       横 田 秀 治
                 同       狩 野 浩 志
                 同       村 岡 隆 村
          住民監査請求書の補正について(通知)
 平成2 ,4年2月23日に提出のあった住民監査請求書について、地方自治法第242条に定める請求の要件を具備しているかどうかの判断が必要な箇所があるので、下記のとおり、補正をしてください。
                  記
1 補正を求める事項
  別紙1「住民監査請求書の補正書」のとおり
2 住民監査請求書の補正書の提出期限
  平成24年3月12日(月)までに、持参または郵送により提出してください。
  ※郵送の場合は、3月12日(月)必着でお願いします。
3 提出先
  群馬県庁 監査委員事務局
  〒371-8570 前橋市大手町1-1-1 群馬県庁26階北
4 その他
(1)補正に要する期間の除外
 この通知の翌日から、住民監査請求の補正書が監査委員に到達するまでの期間について、地方自治法第242条第5項で定める監査を行う期限(60日)から除外します。
(2)補正書が提出されない場合
 期限までに補正書が提出されない場合、住民監査請求を却下することがありますので、念のため申し添えます。
(3)請求人が2名のため、それぞれの請求人に通知します。
                  〔電話番号 027-226-2767〕

<別紙1:補正書の書き方>
                   住民監査請求の補正書
   群馬県監査委員 あて
                           平成  年  月  日
                           住 所
                           氏 名            印
                           住 所
                           氏 名            印
1 住民監査請求の様式は、地方自治法施行規則第13条において規定されており、別紙2のとおりです。
様式に従い、次のとおり補正をお願いします。
【番号】:1
【「住民監査請求書」からの引用】:
1)住民監査請求書
2)記載なし(表題と「1請求の要旨」の間)
【補正を求める内容】:
1)群馬県措置請求書、と表題を変更する。
(                    )
2)群馬県知事に関する措置請求の要旨、と表題と「1 請求の要旨」の間に追加する。
 (                    )
2 「住民監査請求書」には、下表左欄「「住民監査請求書」からの引用」の記載がありましたが、地方自治法第242条に定める請求の要件を具備しているかどうか判断が必要な箇所がありますので、下表右欄「補正を求める内容」に記載してください。(表は複数頁あります)
(1)公舎の「目的外使用」(群馬県公舎管理規則第2条、第4条、第8条第1項第2及び3号違反)
【番号】:1    
【「住民監査請求書」からの引用】:
《要件審査の観点》
1)どのような財務会計上の行為を行っているか
2)その行為又は怠る事実は、どのような理由で違法又は不当なのか
「知事公舎は、県費で建設され、県費で維持されており、~【中略】~公共施設がこうした目的で使用されたことは財務会計上の観点から、違法、不当です。」※2頁7~10行目
【補正を求める内容】:
「財務会計上の観点から」とは、次のどれに該当し、違法又は不当なのでしょうか。
①公金の支出
②財産の取得、管理又は処分
③契約の締結又は履行
④債務その他の義務の負担
⑤公金の賦課又は徴収を怠る事実
⑥財産の管理を怠る事実
該当する番号と該当するとする理由を、(  )内に簡潔に記載してください。
(                    )
その行為が違法又は不当の具体的な理由に簡潔に記載してください。
(                    )
【番号】:2
【「住民監査請求書」からの引用】:
《要件審査の観点》
3)その結果、群馬県にどのような損害が生じているか
「今回の女性宿泊に関しては、同等の設備を有する民間宿泊施設を利用した場合、~【中略】~、1泊2万円から14万円の範囲に相当すると考えられます。
よって、大澤正明知事が、知事公舎に親族でもない女性を泊めたことは、~【中略】~費用相当を全額、県に返還するよう、監査委員から勧告をされたい。」※2頁11~16行目
【補正を求める内容】:
1で記載した請求の対象とする財務会計上の行為又は怠る事実によって、生じる群馬県の損害(又は生じるおそれ)を(  )内に具体的・簡潔に記載してください。
(                    )
(2)公舎の「不正改修」(群馬県公舎管理規則第8条第1項第1号違反)
【番号】:1
【「住民監査請求書」からの引用】:
《要件審査の観点》
1)どのような財務会計上の行為を行っているか
「大澤正明知事の指示や許可のないまま、平成19年12月1日の知事の知事公舎入居後に施工された一連の改修工事等の費用支出は理由なく~【略】」
【補正を求める内容】:
次のどれに該当する財務会計上の行為として住民監査請求を行っているのでしょうか
①公金の支出
②財産の取得、管理又は処分
③契約の締結又は履行
④債務その他の義務の負担
⑤公金の賦課又は徴収を怠る事実
⑥財産の管理を怠る事実
 該当する番号と該当するとする理由を、(  )内に簡潔に記載してください。
(                   )
【番号】:2
【「住民監査請求書」からの引用】:
《要件審査の観点》
2)財務会計上の行為のあった日又は終わった日から、1年を経過していると思われる支出項目については、正当な理由があるか
「当該期間に施工された工事(添付「支出項目別調査結果」に示した支出項目No19からNo30までの、及びNo31-3~6、No32-5~10、No33-1~2の費用相当)※4頁16~18行目
【補正を求める内容】:
「No31-5~6、No32-10、No33-2」以外は、1年を経過しているように思われまずが、地方自治法第242条第2項に規程している「正当な理由」を(  )内に簡潔に記載してください。
(                    )
(3)公舎の「衛生費、光熱費、軽微費用等の不正支出」(群馬県公舎管理規則第9条違反)
【番号】:2
【「住民監査請求書」からの引用】:
《要件審査の観点》
1)どのような財務会計上の行為を行っているか
 「大澤正明知事が承知しないまま、自己負担額が設定されて勝手に県が棒引きしていた平成22年4月以降~【中略】~当然使用者が負担すべき費用のうち、県が立替払いしていた分については、支出に対する合理的な理由がないため」※5ページ6~10行目
【補正を求める内容】:
次のどれに該当する財務会計上の行為として住民監査請求を行っているのでしょうか
①公金の支出
②財産の取得、管理又は処分
③契約の締結又は履行
④債務その他の義務の負担
⑤公金の賦課又は徴収を怠る事実
⑥財産の管理を怠る事実
 該当する番号と該当するとする理由を、(  )内に簡潔に記載してください。
(                   )
【番号】:2
【「住民監査請求書」からの引用】:
《要件審査の観点》
2)財務会計上の行為のあった目又は終わった日から、1年を経過していると思われる支出項目については、正当な理由があるか
「平成22年4月以降平成23年7月までの使用者が支払うべき衛生費、光熱費、軽微費用等の総額、および、平成19年12月以降、平成22年3月までの当然使用者が負担すべき費用のうち、県が立替払いしていた分」※5頁7~9行目
【補正を求める内容】:
1年を経過しているように思われる「支払うべき衛生費、光熱費、軽微費用等の総額」・「県が立替払いしていた分」の記載がありますが、地方自治法第242条第2項に規定している「正当な理由」を(  )内に簡潔に記載してください。
(                    )
3 「住民監査請求書」の記載文章の中で、下表左欄「「住民監査請求書」からの引用」のとおり疑問があります。監査する上で正確を期すめ、下表右欄「補正を求める内容」に、必要に応じて、補正後の語句を記載してください。
【番号】:1
【「住民監査請求書」からの引用】:
1)「平成23年だけでも」とありますが、これは「平成22年だけでも」でしょうか。※1頁6行目
2)「平成24年に」とありますが、これは「平成23年に」でしょうか。※1頁7行目
3)「平成23年8月2日付で我々は」とありますが、これは「平成23年7月20日付」でしょうか。※2頁18行目
4)「492万4000円で渡辺工務店により完成」とありますが、これは「4 8 8万2500円で佐田建設(株)により完成」でしょうか。※3ページ4行目
5)「軽微費用」とありますが、これは「軽微な修繕に要する費用」でしょうか。※19行目及び5頁8行目
6)「平成23年8月2日付の」とあり訂正されています、訂正後は「平成23年7月29日付の」でしょうか。※6頁10行目
【補正を求める内容】:
(                     )
(                     )
(                     )
(                     )
(                     )
(                     )

<別紙2:県の定める住民監査請求の様式>
              群馬県職員措置請求書
群馬県知事に関する措置請求の要旨
1 請求の要旨
   (次の事項が明らかとなるように、まとめて記載して下さい。)
・誰が(請求の対象となる機関・職員)
・いつ、どのような財務会計上の行為を行っているのか
・その行為又は怠る事実は、どのような理由で違法又は不当なのか
・その結果、群馬県にどのような損害が生じているのか
・どのような措置を請求するのか
2 請求者
 ・住所
 ・職業
 ・氏名(自署・押印)
 地方自治法第242条第1項の規定により、別紙事実証明書を添えて、必要な措置を請
求します。
                       年 月 日
 群馬県監査委員(あて)
**********

■こうして、平成24年3月12日(月)の期限日に、市民オンブズマン群馬では、次の補正書を監査委員事務局に提出しました。

**********
<県監査委員あて補正書>
住民監査請求の補正書

群馬県監査委員 あて
平成24年3月12日
                     住 所 群馬県安中市野殿980
                     氏 名  小川 賢 (自署押印)
                     住 所 群馬県前橋市文京町1-15-10
                     氏 名  鈴木 庸 (自署押印)
1 住民監査請求の様式は、地方自治法施行規則第13条において規定されており、別紙2のとおりです。
様式に従い、次のとおり補正をお願いします。
【番号】:1
【「住民監査請求書」からの引用】:
1)住民監査請求書
2)記載なし(表題と「1請求の要旨」の間)
【補正を求める内容】:
1)群馬県措置請求書、と表題を変更する。
 (別紙2にならって表題を変更する。
2)群馬県知事に関する措置請求の要旨、と表題と「1 請求の要旨」の間に追加する。
 (別紙2にならって追加する。
2 「住民監査請求書」には、下表左欄「「住民監査請求書」からの引用」の記載がありましたが、地方自治法第242条に定める請求の要件を具備しているかどうか判断が必要な箇所がありますので、下表右欄「補正を求める内容」に記載してください。(表は複数頁あります)
(1)公舎の「目的外使用」(群馬県公舎管理規則第2条、第4条、第8条第1項第2及び3号違反)
【番号】:1    
【「住民監査請求書」からの引用】:
《要件審査の観点》
1)どのような財務会計上の行為を行っているか
2)その行為又は怠る事実は、どのような理由で違法又は不当なのか
「知事公舎は、県費で建設され、県費で維持されており、~【中略】~公共施設がこうした目的で使用されたことは財務会計上の観点から、違法、不当です。」※2頁7~10行目
【補正を求める内容】:
「財務会計上の観点から」とは、次のどれに該当し、違法又は不当なのでしょうか。
①公金の支出
②財産の取得、管理又は処分
③契約の締結又は履行
④債務その他の義務の負担
⑤公金の賦課又は徴収を怠る事実
⑥財産の管理を怠る事実
該当する番号と該当するとする理由を、(  )内に簡潔に記載してください。

①目的外使用で損なわれた公舎使用に係る減価償却費、什器消耗量、無用な光熱費などは、違法不当な公金の支出に該当する。
②目的外使用を許した公的財産(土地、建物、物品などを含む)の違法不当な管理
③上記の大澤正明と知人女性による目的外使用にもかかわらず上記①の損害回復のための請求を違法不当に怠る事実


その行為が違法又は不当の具体的な理由に簡潔に記載してください。

①平成23年7月8日から8日にかけての大澤正明の知人女性宿泊によって、本来、公務の円滑化のために使われるべき施設が目的外使用、それも完全に公務と無関係の私的使用により、施設に投じられた費用の毀損、並びに施設内の什器備品類の公務外使用による毀損、また、7月8日から9日にかけて、目的外使用により費消された水道代、下水道代、電気代、ガス代、さらには目的外使用により発生したゴミの処理代、清掃代などは、完全に公務と無関係の私的支出であり、これらを公金から支出したことは地方自治法により違法・不当である。
②知事公舎は公的財産であり、その利用については規則で厳然と定められている。大澤正明は、我々の公開質問に対して「平成19年9月上旬の台風9号の災害を契機に危機管理の観点から公舎利用が必要」と回答している。ところが、実際には、大澤知事は家族がありながら、単身で週末しか利用しておらず、その週末には、元金融機関に勤務していた後、群馬県議会議事務局で単純事務に勤務していた頃知り合い、以来長年にわたり交際を続けていた知人女性と逢瀬を過ごしていた可能性も取りざたされている。また、大澤正明自身、知事公舎の必要性についても否定的な発言を知事の立場で議会等でしている。こうした知事公舎をたとえ1回とはいえ、大澤正明に目的外使用させた管理不作為の責任は到底免れ得ない。
③大澤正明と知人女性による目的外使用にもかかわらず上記①と②の損害回復のための請求をまだ大澤正明にしていないのは明らかに知事公舎という県民財産の管理を違法不当に怠るものである。


【番号】:2
【「住民監査請求書」からの引用】:
《要件審査の観点》
3)その結果、群馬県にどのような損害が生じているか
「今回の女性宿泊に関しては、同等の設備を有する民間宿泊施設を利用した場合、~【中略】~、1泊2万円から14万円の範囲に相当すると考えられます。
よって、大澤正明知事が、知事公舎に親族でもない女性を泊めたことは、~【中略】~費用相当を全額、県に返還するよう、監査委員から勧告をされたい。」※2頁11~16行目
【補正を求める内容】:
1で記載した請求の対象とする財務会計上の行為又は怠る事実によって、生じる群馬県の損害(又は生じるおそれ)を(  )内に具体的・簡潔に記載してください。

①の違法不当な公金の支出にもかかわらず、まだ大澤正明に何の損害回復の為の手立てをしていないことは⑥の違法不当な財産管理を怠る事実を示しており、大澤正明が知人女性と私的に公的施設に一泊させたことは、施設の原価償却、什器備品類の損耗、電気・ガス・電話・水道・下水道・清掃などの経費負担を当然伴うことになり、それらの価値は、知事公舎と同等な敷地及び部屋面積、同等な什器備品を有する施設、その他光熱費、清掃経費などを勘案すれば、同等クラスの民間ホテルや庭園付き・警備付き民間宿泊施設の一泊料金と比較して、2万円(帝国ホテルのシングルクラスの宿泊料に相当)ないし14万円(庭園付きの目黒雅叙園の宿泊料に相当)の間が妥当と思われる。ところが、大澤正明はこれらの目的外使用に係る諸費用を全く支払っておらず、公金でカバーしている。にもかかわらず、自らは「公舎管理規定に違反してるとは考えていない」と公言しており、損害の回復を違法不当に怠っている。よって群馬県に相当の損害を与えている。

(2)公舎の「不正改修」(群馬県公舎管理規則第8条第1項第1号違反)
【番号】:1
【「住民監査請求書」からの引用】:
《要件審査の観点》
1)どのような財務会計上の行為を行っているか
「大澤正明知事の指示や許可のないまま、平成19年12月1日の知事の知事公舎入居後に施工された一連の改修工事等の費用支出は理由なく~【略】」
【補正を求める内容】:
次のどれに該当する財務会計上の行為として住民監査請求を行っているのでしょうか
①公金の支出
②財産の取得、管理又は処分
③契約の締結又は履行
④債務その他の義務の負担
⑤公金の賦課又は徴収を怠る事実
⑥財産の管理を怠る事実
 該当する番号と該当するとする理由を、(  )内に簡潔に記載してください。

そもそも、大澤正明は知事公舎に一人住まいのはずなのに、また警備上も万全な対策を施してあるにもかかわらず、目隠し用のフェンスを設置したり、隣のマンションとの間に目隠し用の樹木を植えたり、玄関脇にわざわざマンションの住民から出入りの模様が見えないように竹垣を設置したりして、自らのプライバシー重視の改修をしているが、これは当初の災害時への対応という公務目的とは相容れないものである。
①正当な理由もなく本来禁止されている公的財産の私的目的の為の改修を行ったことは違法不当な公金支出に該当する。
②平成19年12月の入居後、しかるべき指示も正当な理由もなく知事公舎の改修を許した公的財産(土地、建物、物品などを含む)の違法不当な管理
③また改修に伴う業者との契約が随意契約あるいは業者指名で行われており、入札の場合も業者の応札金額と予定価格が近接しており、応札者同士の金額も近接しており、不自然な感じは否めない。
⑥上記①の損害回復のための請求を違法不当に怠る事実


【番号】:2
【「住民監査請求書」からの引用】:
《要件審査の観点》
2)財務会計上の行為のあった日又は終わった日から、1年を経過していると思われる支出項目については、正当な理由があるか
「当該期間に施工された工事(添付「支出項目別調査結果」に示した支出項目No19からNo30までの、及びNo31-3~6、No32-5~10、No33-1~2の費用相当)※4頁16~18行目
【補正を求める内容】:
「No31-5~6、No32-10、No33-2」以外は、1年を経過しているように思われまずが、地方自治法第242条第2項に規程している「正当な理由」を(  )内に簡潔に記載してください。

請求者らは、次の通り「正当な理由」について記す。
請求の対象となる行為のうち、大澤正明が知人女性を知事公舎に宿泊させたことは平成23年7月13日発売の週刊誌で知った。その行為は、週刊誌にも記載されている通り、秘密裏に行われたものであること。また、知事公舎で当該期間中に施工された施設内の改修工事等の内容についても、週刊誌を読んで、初めて不明朗な工事内容に関する指摘が認められたため、平成23年7月20日に情報開示を行い、同10月21日に情報開示を受けて3800ページ余りの開示情報の中身を精査した。これらの不明朗な施設内での改修工事は、それらの開示情報を読んで初めて内容を知り得たものである。しかし、公舎内部のレイアウトをはじめ、請求者らの知りたい情報は開示資料には含まれていない。そのため、それらを補完すべく知事公舎の見学会を知事に要請したが全て拒否されたという事実がある。
情報開示の時系列的な経緯は次の通り。請求者らは、平成23年7月20日に本件関係の証拠類を情報公開したところ、同9月16日に部分開示通知があり、同10月21日に3800ページ余りの情報の開示を受けた。また、平成23年12月19日には秘書課と管財課の書類の流れと、知事公用車の運行情報について情報公開請求をした経緯がある。その他、本件の事情を出来る限り詳しく知る為に大澤正明知事宛てに公開質問状を2度にわたり提出すると共に、現場実地調査のため、知事公舎の立ち入りを3度に亘って知事に要請したが全て拒否されている。これらは事実証明書として添付済みである。


(3)公舎の「衛生費、光熱費、軽微費用等の不正支出」(群馬県公舎管理規則第9条違反)
【番号】:2
【「住民監査請求書」からの引用】:
《要件審査の観点》
1)どのような財務会計上の行為を行っているか
 「大澤正明知事が承知しないまま、自己負担額が設定されて勝手に県が棒引きしていた平成22年4月以降~【中略】~当然使用者が負担すべき費用のうち、県が立替払いしていた分については、支出に対する合理的な理由がないため」※5ページ6~10行目
【補正を求める内容】:
次のどれに該当する財務会計上の行為として住民監査請求を行っているのでしょうか
①公金の支出
②財産の取得、管理又は処分
③契約の締結又は履行
④債務その他の義務の負担
⑤公金の賦課又は徴収を怠る事実
⑥財産の管理を怠る事実
 該当する番号と該当するとする理由を、(  )内に簡潔に記載してください。

そもそも、大澤正明は知事公舎で公務の為やむを得ず一人住まいしている期間中の経費はともかく、知人女性を宿泊させたりするなど私物化をしていた。また、機会あるごとに、知事公舎の必要性について疑問視をする発言を議会等で繰り返していたことも判明している。平成23年7月13日発売の週刊誌の報道により、週末に大澤正明が知事公舎に滞在していたのは、知人女性との逢瀬など私的目的である可能性が極めて高かったことが指摘されており、そうした場合の水光熱費、清掃費、老朽化による照明灯や什器備品等の交換や修理費用は当然自己負担でなければならない。にもかかわらず、根拠もないまま自己負担分の上限額設定を不当に低く行った。
①正当な理由もなく違法不当に自己負担分の上限額を低く設定したことは違法不当な公金支出に該当する。
⑥上記①の損害回復のための請求を違法不当に怠る事実


【番号】:2
【「住民監査請求書」からの引用】:
《要件審査の観点》
2)財務会計上の行為のあった目又は終わった日から、1年を経過していると思われる支出項目については、正当な理由があるか
「平成22年4月以降平成23年7月までの使用者が支払うべき衛生費、光熱費、軽微費用等の総額、および、平成19年12月以降、平成22年3月までの当然使用者が負担すべき費用のうち、県が立替払いしていた分」※5頁7~9行目
【補正を求める内容】:
1年を経過しているように思われる「支払うべき衛生費、光熱費、軽微費用等の総額」・「県が立替払いしていた分」の記載がありますが、地方自治法第242条第2項に規定している「正当な理由」を(  )内に簡潔に記載してください。

請求者らは、次の通り「正当な理由」について記す。
請求の対象となる行為のうち、大澤正明が知人女性を知事公舎に宿泊させたことは平成23年7月13日発売の週刊誌で知った。その行為は、週刊誌にも記載されている通り、秘密裏に行われたものであること。また、知事公舎で当該期間中に施工された施設内の改修工事等の内容についても、週刊誌を読んで、初めて不明朗な工事内容に関する指摘が認められたため、平成23年7月20日に情報開示を行い、同10月21日に情報開示を受けて3800ページ余りの開示情報の中身を精査した。これらの不明朗な施設内での改修工事は、それらの開示情報を読んで初めて内容を知り得たものである。しかし、公舎内部のレイアウトをはじめ、請求者らの知りたい情報は開示資料には含まれていない。そのため、それらを補完すべく知事公舎の見学会を知事に要請したが全て拒否されたという事実がある。開示された情報を精査している過程で、本来、受益者が支払うべき衛生費、光熱費、警備費用等のうち、根拠もなく上限額が設定されていることが判明した。大澤正明は知事公舎を毎週末私的目的に使用していたのであるから、本来であれば、全額自己負担とすべきところ、低く設定した自己負担分を超える部分について、群馬県の公金を違法不当に充当していた。なお、情報開示の時系列的な経緯は次の通り。請求者らは、平成23年7月20日に本件関係の証拠類を情報公開したところ、同9月16日に部分開示通知があり、同10月21日に3800ページ余りの情報の開示を受けた。また、平成23年12月19日には秘書課と管財課の書類の流れと、知事公用車の運行情報について情報公開請求をした経緯がある。その他、本件の事情を出来る限り詳しく知る為に大澤正明知事宛てに公開質問状を2度にわたり提出すると共に、現場実地調査のため、知事公舎の立ち入りを3度に亘って知事に要請したが全て拒否されている。これらは事実証明書として添付済み。


3 「住民監査請求書」の記載文章の中で、下表左欄「「住民監査請求書」からの引用」のとおり疑問があります。監査する上で正確を期すめ、下表右欄「補正を求める内容」に、必要に応じて、補正後の語句を記載してください。
【番号】:1
【「住民監査請求書」からの引用】:
1)「平成23年だけでも」とありますが、これは「平成22年だけでも」でしょうか。※1頁6行目
2)「平成24年に」とありますが、これは「平成23年に」でしょうか。※1頁7行目
3)「平成23年8月2日付で我々は」とありますが、これは「平成23年7月20日付」でしょうか。※2頁18行目
4)「492万4000円で渡辺工務店により完成」とありますが、これは「4 8 8万2500円で佐田建設(株)により完成」でしょうか。※3ページ4行目
5)「軽微費用」とありますが、これは「軽微な修繕に要する費用」でしょうか。※19行目及び5頁8行目
6)「平成23年8月2日付の」とあり訂正されています、訂正後は「平成23年7月29日付の」でしょうか。※6頁10行目
【補正を求める内容】:
「平成22年だけでも」と修正する
「平成23年に」と修正する
「平成23年7月20日付で」と修正する
「488万2500円で佐田建設(株)により完成」と修正する
「軽微な修繕に要する費用」と修正する
「平成23年7月29日付けの」と修正する
**********

■ところで、監査委員事務局から、市民オンブズマン群馬の請求人2名に対して、一昨日の3月16日(金)に「請求人は意見陳述ができるが、都合の良い日を教えてほしい」と連絡がありました。

そこで、「3月22日(木)もしくは同28日(水)あるいは同29日(木)にしてください」と監査委員事務局に伝えたところ、「3月22日は監査委員の都合がつかず、同28、29日だと遅すぎて60日の監査期間に食い込んでしまい、なるべく早くやりたい。請求人の希望には添えない」などと、監査委員にずいぶん気兼ねしている様子がうかがえました。

■今後、60日掛けて監査委員が本件について調査し、審議して、遅くとも5月12日ごろまでには監査結果が出る予定ですが、もし却下ないし棄却されれば、晴れて住民訴訟の資格ができます。

しかし、当「市政をひらく安中市民の会」がタゴ51億円事件の真相解明で通算5件の住民訴訟を行った経験からすると、地方自治法242条に定める住民監査請求の対象となる事実のうち、⑤公金の賦課又は徴収を怠る事実、及び⑥財産の管理を怠る事実については、行政訴訟を行っても、行政側は「まだ公金の賦課徴収や財産管理を怠っていることは現時点ではまだ確定したわけでなく、これから賦課徴収や財産管理を行う可能性があるから、怠っているという県民の指摘はあたらない」と反論し、それを裁判所も認めたことから、今回も同じような展開が予想されます。

■このように、住民訴訟に持ち込んでも、住民側が勝訴する確率は極めて僅かですが、もし、この問題で住民側が敗訴した場合には、全国の自治体の公舎が公然とラブホテル化しても、なんらおとがめなしというお墨付きが出るわけで、非常に注目されます。

 その意味でも、市民オンブズマン群馬として、きちんと最後までこの件についてけじめを付ける所存です。

【市民オンブズマン群馬事務局からの情報】

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幼児を含む多数の国民が大量のヨウ素131に曝されていた事実を報じたETV特集番組

2012-03-12 23:54:00 | 前橋Biomass発電問題・東電福一事故・東日本大震災

■昨日一日中放送していた3.11東日本大震災の一周年特集番組のなかで、夜10時から何気なくEテレにチャンネルを合わせていたら、「ネットワークでつくる放射能汚染地図5 埋もれた初期被曝を追え」という番組をやっていたので、思わず見入っていました。すると、東電福島第一原発事故の初期に、国民の知らないうちにベントを繰り返して大量の放射能を環境中に撒き散らしたうえに、相次ぐ水素爆発で大量のヨウ素131を含む放射能が環境中に撒き散らされていたことが改めて検証されていました。

2011年3月15日14:00のヨウ素131の分布状況。

 同番組の概要についてNHKのホームページは次のように説明しています。
**********
福島第一原発事故は事故初期に大量の放射能を環境中に放出した。中でもヨウ素131は、チェルノブイリでは、体内に取り込んだ子供の一部に、甲状腺がんが現れるなど、その危険性は国際的に認められている。
しかし、今回の事故では、住民にヨウ素131の影響がどれだけあったのか、その詳細はわかっていない。ヨウ素131は半減期8日と短い間に消失してしまうため、早期の測定、調査が必要とされてきた。しかし、国は、事故初期の現場の混乱などによって、ヨウ素131の動きを十分に捕まえることができず、住民の内部被ばく調査も行うことがなかった。
浪江町津島地区は事故初期から大量の放射能におそわれた。環境中に大量のヨウ素131があったと見られる時期も、多くの住民にその情報は届いてはいなかった。無防備なままヨウ素131にさらされた可能性がある住民の間では、子どもへの影響を懸念し、どれだけ被ばくしたのか知りたいという声があがっている。
どうすれば事故初期の被ばくの実態に迫れるのか。取材を進める中で、事故初期に独自の甲状腺調査が行われていたことや、これまで公開されていなかった原発周辺のデータがあることが判明。放射能測定の草分け岡野眞治博士や気象シミュレーションを行う研究者たちとネットワークを築き、その解明に挑む。
http://www.nhk.or.jp/etv21c/file/2012/0311.html
**********

■番組を見ていると、昨年3月15日あたりのヨウ素131の飛散がもっと多く、弘前大学放射線研究所の床次教授のシミュレーションの結果、ヨウ素被曝の最大値の推定計算値として、幼児で800mSv、4歳児で400mSvが得られたという報告がありました。

 この他、政府が事故直後のサンプリングの収集をほとんどやっていなかったという事実もあきらかにされました。

 なぜ、3.11の一周年の今頃になってこのような事実が明らかになったかと言うと、津波や停電で全滅したはずだったモニタリングポストの中に、3月15日前後の放射線のスペクトルのデータが克明に残されていたものが発見されたからだということです。

 それらの蓄積データをもとに、専門家がヨウ素被曝の追跡調査を改めて行い、ヨウ素131の拡散の模様を詳細にシミュレーションしたのでした。


2011年3月15日(火)03:00


05:00


07:00


09:00


12:00


14:00


16:00


19:00風がやみ、拡散が収まった。

■その結果を見た群馬県を含む関東地方の視聴者は、みな驚愕したことでしょう。なぜなら、風に乗って流された大量のヨウ素131の帯が、関東地方北部をなでるように横切っていたからです。

 これから何十年後に亘り、どのような影響が、とくに幼い子どもたちの間に広まるのかどうか、注意深く検査する必要があることはもちろん、こうした事態を手をこまねいて招いた責任はだれにあるのかを、きちんと追求し、責任の所在を明確化しておくことが、現在の私たちの使命だということを痛感させられる番組でした。

【ひらく会情報部】
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