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1995年に群馬県安中市で起きた51億円詐欺横領事件に敢然と取組む市民団体と保守王国群馬県のオンブズマン組織の活動記録

東京ガス放散塔の情報非開示異議申立後13ヶ月でようやく答申を出した群馬県審査会の常識度

2010-04-25 23:11:00 | 東京ガス高圧パイプライン問題
■昨年早々、東京ガスが安中市北野殿地区に、突然高さ30mの放散塔などを有するバルブステーションを建設し始めたため、当会が、現場に張ってあった建築許可をもとに、平成21年1月21日に、放散塔などの施設の情報開示を群馬県に求めたところ、同年2月27日付部分開示決定で、ごく一部しか開示されませんでした。そこで、同年4月13日付で群馬県知事に対して異議申立をしていたところ、なんと1年以上経過した先週の平成22年4月22日に群馬県公文書開示審査会から群馬県知事に答申が出ました。しかも、異議申立人の意見陳述はなく、東京ガスだけの意見陳述を聞いて、ほとんど東京ガスの言い分だけを採用した一方的な答申内容となっています。


平成21年6月に、とっくに据付が終わった放散塔。バルブステーション施設全体も平成22年3月1日から稼動している。
 では、その群馬県公文書開示審査会の第一部会が、群馬県知事に答申した内容を見てみましょう。(赤字)は当会のコメントです。

**********
【異議申立人宛の答申書の写しの送付状】
公開審第720-1号
平成22年4月22日
小川 賢 様
     群馬県公文書開示審査会会長 (第一部会部会長 新井博)
答申書の写しの交付について
 下記の事件については、平成22年4月22日に答申をしたので、群馬県情報公開条例第35条の規定に基づき、答申書の写しを送付します。
     記
諮問番号:諮問第121号
事件名:「平成20年11月6日付で群馬県建築主事佐藤雅彦名にて、東京瓦斯株式会社群馬幹線建設事務所に出した「H20確認―工群馬県000092」の建築基準法の手続きに係る一切の情報」の公文書部分開示決定に対する異議申立て
    担当:県民生活課情報公開係 内線:2270

【知事宛の答申書送り状】
様式第17号(規格A4)(第21条関係)
公開審第720-1号
平成22年4月22日
群馬県知事 大澤 正明 様 (高崎土木事務所)
     群馬県公文書開示審査会会長(第一部会部会長 新井博)公印
答申書の交付について
 群馬県情報公開条例第26条の規定に基づく下記の諮問について、別紙答申書を交付します(答申第120号)。
     記
諮問番号:諮問第121号
事件名:「平成20年11月6日付で群馬県建築主事佐藤雅彦名にて、東京瓦斯株式会社群馬幹線建設事務所に出した「H20確認―工群馬県000092」の建築基準法の手続きに係る一切の情報」の公文書部分開示決定に対する異議申立て
     担当:県民生活課情報公開係 内線:2270

【答申書】
答申第120号(諮問第121号)
 「平成20年11月6日付で群馬県建築主事佐藤雅彦名にて、東京瓦斯株式会社群馬幹線建設事務所に出した「H20確認―工群馬県000092」の建築基準法の手続きに係る一切の情報」
の公文書部分開示決定に対する異議申立てに係る答申書
     群馬県公文書開示審査会 第一部会

第1 審査会の結論
 群馬県知事が行った公文書部分開示決定については、異議申立人が開示すべきとする部分のうち、別表1に掲げる部分は開示すべきであるが、その他の部分については非開示が妥当である。

第2 諮問事案の概要
1 公文書開示請求
 異議申立人(以下「申立人」という。)は、群馬県情報公開条例(以下「条例」という。)第11条の規定に基づき、群馬県知事(以下「実施機関」という。)に対し、平成21年1月21日付けで、「平成20年11月6日付で群馬県建築主事佐藤雅彦名にて、東京瓦斯株式会社群馬幹線建設事務所に出した「H20確認―工群馬県00092」の建築基準法の確認手続にかかる一切の情報」の開示請求(以下「本件請求」という。)を行った。
2 実施機関の決定
 実施機関は、平成21年2月27日、本件請求に係る公文書を「平成20年11月6日付で群馬県建築主事佐藤雅彦名にて、東京瓦斯株式会社群馬幹線建設事務所に出した「H20確認―工群馬県O00092」の建築基準法の手続きに係る一切の情報」(以下「本件公文書」という。)であると判断し、条例第14条第2号、第3号イ及び第4号に該当する情報が含まれていることを理由として、公文書部分開示決定(以下「本件処分」という。)を行い、申立人に通知した。
 なお、本件処分における非開示部分及び当該部分を開示しない理由は、別表2のとおりである。
3 異議申立て
 申立人は、行政不服審査法第6条の規定に基づき、平成21年4月13日付けで、本件処分における非開示部分のうち、別表2のうち「申立人が開示を求める文書」に掲げる部分(以下「本件設計図書」という。)について非開示の取り消しを求めるという趣旨で、実施機関に対し異議申立てを行った。
4 諮問
 実施機関は条例第26条の規定に基づき、群馬県公文書開示審査会(以下「審査会」という。)に対して、平成21年5月7日、本件異議申立て事案(以下「本作事案」という。)の諮問を行った。
第3 争点
1 争点1(条例第14条第3号イ該当性について)
 本件公文書で非開示とされた部分が、条例第14条第3号イに該当するか。
2 争点2(条例第14条第3号ただし書該当性について)
 本件公文書で非開示とされた部分が、条例第14条第3号ただし書に該当するか。
3 争点3(条例第14条第4号該当性について)
 本件公文書で非開示とされた部分が、条例第14条第4号に該当するか。
第4 争点に対する当事者の主張
1 争点1(条例第14条第3号イ該当性について)
(1)申立人の主張要旨
 実施機関は、設計技術の公表によるノウハウ流出を非開示理由に挙げているが、公文書のタイトルを見る限り、一般的な技術であり、ノウハウ流出とは考えられない。申立人が開示請求をしたのは、放散塔の設計図書である。東京ガスによれば、放散塔は首都圏だけでも数百箇所設置されており、これらは、大地震発生等に備えて、ガス施設の防災計画の一環として、施設の安全化対策として、ガス事業法、消防法、建築基準法、道路法等の諸法規並びに建築学会、土木学会の諸基準及び日本瓦斯協会基準に基づいているものであり、実施機関の主張するような「設計事務所に属する設計者の工作物設計に関する知識と独自の技術力を駆使した設計成果品の一部」に相当するものではない。
(2)実施機関の主張要旨
 本件設計図書は、東京瓦斯株式会社群馬幹線建設事務所(以下「築造主」という。)から依頼を受けた東京ガス・エンジニアリング株式会社一級建築士事務所(以下「設計会社」という。)に属する設計者が、専門的知識・技術に基づき、建設地の地盤状況等を考慮して作成した設計成果品であり、設計者が工作物設計に関する知識と独自の技術力を駆使した設計成果品の一部であることから、公にすることにより競合する同業者に参考とされるなど当該法人等の権利、競争上の地位その他正当な利益を書するおそれがあり、条例第14条第3号イに該当し、非開示と判断したものである。
2 争点2(条例第14条第3号ただし書該当性について)
(1)申立人の主張要旨
 申立人は、放散塔が設置される地元で生活しており、本件により、生命、健康、生活又は財産の安全を脅かされるので、条例第14条第3号ただし書により、本件非開示情報は公にすることが必要です。
 実施機関は、条例第14条第3号ただし書について、申立人の「生命、健康、生活及び財産の安全を脅かされる」という主張に対して、呆れたことに「当該情報を公にすることにより保護される人の生命、健康等の利益と、これを公にしないことにより保護される法人等の権利利益とを比較衡量し、前者の利益を保護することの必要性が、後者の利益より下回るから、開示しなくてもよい」と主張している。このような認識を持つ職員が、建築基準法の認可に携わっていると思うとぞっとする。
(2)実施機関の主張要旨
 建築基準法(以下「基準法」という。)は、国民の生命、健康及び財産の保護を図り、もって公共の福祉の増進に資することを目的としており、基準法では建築物の敷地、構造、設備及び用途に関する最低の基準を定めている。ガス放散塔(以下「本件工作物」という。)の建設計画については、工事着手前に群馬県建築主事の審査を受け、基準法及び建築基準関係規定に適合するものとして、確認済証が交付されており、基準法及び建築基準関係規定に適合していることが判明している。また、条例を解釈する上でその手がかりとなる、「群馬県情報公開条例の解釈及び運用の基準」(平成13年1月1日付総務部長通知)(以下「解釈及び運用の基準」という。)では、当該情報を公にすることにより保護される人の生命、健康等の利益と、これを公にしないことにより保護される法人等又は事業を営む個人の権利利益とを比較衡量し、前者の利益を保護することの必要性が上回るときには、当該情報を開示しなければならないものとするものである。
 以上のことから、条例第14条第3号ただし書に該当せず、非開示と判断したものである。
3 争点3(条例第14条第4号該当性について)
(1)申立人の主張要旨
 実施機関は、設計図書の公表による不法侵入・破壊活動等の懸念を非開示理由に挙げているが、地元住民に対して、不法侵入・破壊活動等のおそれを指摘することなど無礼きわまりない。
 東京ガスが自ら、放散塔は大地震発生時のような緊急時に二次災害を防止するための重要な防災施設の一部と位置づけているのに、実施機関は、開示請求をした県民であり地元関係住民が「テロリスト」化する脅威のほうを深刻だと本当に思っているらしい。これほど、県民を愚弄した言葉はない。
 放散塔など防災施設の保安管理の責任は東京ガスにあり、そうした対策は別途措置しているはずである。本件情報を開示したくらいで、保安管理に重大な支障があるとは到底思えない。普段、ひと気のない当該施設の周辺に居住する地元住民は、むしろ不審者の徘徊等に対して、施設の間接的な監視役の立場にあるといえる。実施機関は、世界に冠たる治安良好なわが国において、地域コミュニティの果たしてきた役割をまったく認識しておらず、言語道断である。
(2)実施機関の主張要旨
 本件設計図書は、築遊士が築造する施設(公共公益施設)で、天然ガスを安定供給するために建設するパイプラインに付帯して設けるガス放散塔であることから、本件設計図書を公にすることによって何人にも入手できることとなった場合、当該築造物へのテロ等の不法な侵入・破壊を招くおそれがあるなど、犯罪を誘発し又は犯罪の実行を容易にする可能性があり、施設保安・管理に支障を生じるおそれがある情報である。
 また、解釈及び運用の基準で、「公にすること」とは、秘密にせず、何人にも知り得る状態におくことを意味する。条例では、何人も開示請求ができることから、開示請求者に開示するということは、何人に対しても開示を行うことが可能であるということを意味する。したがって、非開示情報該当性の判断をする場合、「おそれ」の有無等については、「開示請求者に開示することにより」ではなく、「公にすることにより」判断することとしている。
 以上のことから、条例第14条第4号に該当し、非開示と判断したものである。
第5 審査会の判断
1 本件公文書について
 本件公文書は、基準法第88条第1項において準用する同法第6条第1項に基づき、築造主が本件工作物を築造するに当たり、群馬県建築主事に対して提出した「確認申請書(工作物)及び添付文書」であり、別表2に掲げる文書によって構成されている。このうち、申立人が開示を求めているのは、本件設計図書の非開示部分についてのみであることから、当審査会は、本件設計図書の非開示部分に関し、当該部分の開示非開示の妥当性について審議する。
2 本件設計図書について
 実施機関は本件設計図書について、前記第4 1(2)及び3(2)のとおり条例第14条第3号イ及び第4号に該当するとして、そのすべてを非開示としている。
 そこで、審査会では、設計会社及び築造主(以下「設計会社等」という。)に対して条例第30条第4項に基づき陳述依頼を求めたところ、平成21年11月24日付けで設計会社等から回答書が提出された。その回答書及び平成21年11月30日に開催した第29回群馬県公文書開示審査会第一部会における口頭陳述において、設計会社等は次のとおり主張する。(えっ、いつのまにか東京ガスの言い分だけ聞いたの?異議申立人は欠席裁判というわけかい)
 ガス事業関連建設工事分野は、一般の構造物と異なり特殊な技術を含む分野で、その工事の受注については、一定の技術ノウハウを有する複数のエンジニアリング会社による競争入札が通例となっており、いかに高品質かつ低価格の製品を納入するかが勝負となり人礼者間の競争は激化している。(これは東京ガスの勝手な言い分。東京ガスは東京ガスエンジニアリングに全て設計を丸投げしており、競争入札ではない。東京ガスは、大阪ガスなど他社にエンジニアリング業務の入札参加を促しているなら、その証拠を示すべきだ。それにしても、審査会とあろうものが片方の言い分を鵜呑みにするとは!)
 こうした状況を踏まえ、本件設計図書の開示による正当な利益の侵害について考えると、設計会社等が共同で蓄積した技術ノウハウが公にされることにより、競合する他の事業者が設計図書及び計算書等の技術ノウハウを入手する可能性がないとはいえず、これらを入手した事業者は、ほとんど労力をかけずに活用することや、手を加えてより優れたものとすることも可能と考えられ、同程度以上の成果を挙げるために払う対価等において、設計会社等が競争上不利益を破る可能性があり、条例第14条第3号イの「正当な利益を害するおそれ」に該当するものと考える。(ガス事業は高圧ガス保安規則や経産省の定める技省令など、安全対策に万全を期することから、細目に至るまで材料や構造が規定されている。従って、基本的な技術ノウハウは共有化されており、最低限の安全性は担保されなければならない。従って、建築基準法に基づく申請に用いる資料や図面には、基本的な安全を担保する範囲での情報が含まれているので、むしろ開示したほうが、企業イメージの向上に繋がる。やはり、何事も隠したがる秘密主義体質の東京ガスらしい口頭陳述での主張と言える)
 また、当該施設はガス安定供給上大変重要な施設であり、万が一でもガス供給が停止しないような設備の設置及び管理を行う必要がある。さらに、都市ガスという可燃性気体を扱うため、当該施設が破壊活動に利用される可能性がある。これらにより、本件設計図書の外部への公開等、第三者による侵入及び破壊活動を容易たらしめるおそれがある行為は最大限排除すべきと考える。
 よって、本件設計図書を公にすることにより、当該築造物への不法な侵入及び破壊活動に利用されるおそれがあるなど、施設保安・管理に支障を生ずるおそれがあり、条例第14条第4号にも該当すると思料する。(やはり、東京ガスは地元住民をテロリスト視して敵対意識をもっているらしい。呆れたことに、審査会もそれを追認している始末)


テロリストが入ろうと思えば容易に入れる施設だが、周辺の住民による衆人監視環境のおかげで安全が担保されていることに、なぜ東京ガスは気付こうとしないのだろう。

3 本件設計図書の構成について
 審査会が本件設計図書を見分したところ、その性質及び内容からみて以下の5つに分類できる。
 一つ目は、「放散塔全体外形図」、「放散塔基礎詳細図・構造特記仕様書」及び「PHC杭用継手金具姿図」(以下「本件公文書1」という。)であり、「放散塔全体外形図」には、本件工作物に係る設計仕様、使用材料の口径・材質、寸法等が記載されており、「放散塔基礎詳細図・構造特記仕様書」及び「PHC杭用継手金真姿図」には、本件工作物基礎の寸法・構造、ボルトの規格・配置数、配筋図・仕様、各部材の寸法等が記載されている。
 二つ目は、「杭伏図・柱伏図・敷地断面図」及び「基礎・地盤説明書」(以下「本件公文書2」という。)であり、これらの文書には、本件工作物の地盤に係る土質調査の結果、基礎杭の材質・長さ・仕様、杭支持層の選定、支持地盤、荷重根拠等が記載されている。
 三つ目は、「避雷設備設置概要」、「避雷設備設置概要図」、「避雷突針姿図」、「ダイヒカップリング姿図」、「鉄骨用接続端子姿図」、「導線取付金物姿図」、「ビニル筒取付金物姿図」、「端子ボックス姿図」及び「接地銅板姿図」(以下「本件公文書3」という。)であり、これらの文書には、本件工作物に設置される避雷設備の概要、設置方法、材料種別、数量、各部材の詳細寸法等が記載されている。
 四つ目は、「主要構造部材特記仕様書」及び「使用構造材料一覧表」(以下「本件公文書4」という。)であり、これらの文書には、本件工作物に使用される構造材及び材料規格、主要溶接構造等が記載されている。
 五つ目は、「放散塔構造計算書」及び「放散塔基礎構造計算書」(以下「本件公文書5」という。)であり、これらの文書は基準法等に基づき作成された計算書であり、本件工作物の構造及び基礎構造の詳細や構造計算の設定、結果等が記載されている。
 実施機関は本件設計図書について、条例第14条第3号イ及び第4号に該当するとしてすべてを非開示としていることから、当審査会は、上記の分類ごとに条例第14条第3号及び第4号の該当性について検討する。
4 本件公文書1について
(1)条例第14条第3号イ該当性について
 審査会が見分したところ、本件公文書1のうち「放散塔全体外形図」には、本件工作物に係る設計仕様、使用材料の口径・材質、寸法等が詳細に記載されており、「放散塔基礎詳細図・構造特記仕様書」及び「PHC杭用継手金具姿図」には、本件工作物基礎の寸法・構造、設計計算に基づくボルト配置数・規格、配筋図・仕様、杭用継手金具部材の寸法等が詳細に記載されている。
 一般に、建築物の設計に関して設計者は、土地の地耐力等を把握し、最も適切な部材、寸法を選択し、必要かつ十分な強度を確保しつつ、建設費を一定の経費内に納めなければならないなど種々の要素を勘案して設計図面等を作成しており、建築物を建築するための設計図面等には、設計者の創意工夫又はノウハウが含まれているものである。特に、ガス放散塔施設である本件工作物に係る設計技術は、一般性宅やアパート等の標準的な仕様で設計されているものとは異なり、設計会社がこれまで蓄積してきた技術経験やノウハウを踏まえた設計技術であるといえる。(前述のように、安全を担保するため、経産省や高圧ガス保安協会などが細部に至るまで基準を設けており、それに基づいて製作されたものです。審議会の弁護士らは技術面に疎いらしい)
 本件公文書1には、放散塔及び基礎の形状、放散塔上部と基礎との接続などの点において、いかに強度を確保しつつ建設費を抑えられるかなど、設計会社がこれまで蓄積してきた技術経験やノウハウを踏まえた設計上の工夫、使用部材の選定等、設計技術上の詳細な情報が記載されていることが認められる。(こちらが確認したいのは、爆発や地震、暴風による倒壊のおそれがないかどうかを図面でチェックすることなのに、争点をすり替えられてしまった)
 これらの情報を公にした場合、他の事業者に設計上の技術的ノウハウが知られることとなり、容易に模倣され、設計会社が競争上の不利益を被ることとなる事態も否定できないと考えられる。(繰り返して言うが、東京ガスエンジニアリングやその関係下請に丸投げなので、競争上の不利益を東京ガスが被る心配は皆無である)
 したがって、本件公文書1を公にすることにより、設計会社の競争上の地位その他正当な利益を害するおそれがあると認められ、条例第14条第3号イに該当すると判断される。(呆れた判断だ)
(2)条例第14条第3号ただし書該当性について
 申立人は、本件設計図書について、本件工作物が設置される地元で生活しており、本件により生命、健康、生活又は財産の安全を脅かされるので、条例第14条第3号ただし書に該当するため、開示すべきと主張する。
 同号ただし書は、「ただし、人の生命、健康、生活又は財産を保護するため、公にすることが必要であると認められる情報を除く」と規定している。
 これは、当該情報を公にすることにより保護される人の生命、健康等の利益と、これを公にしないことにより保護される法人等又は事業を営む個人の権利利益とを比較衡量し、前者の利益を保護することの必要性が上回るときには、当該情報を開示しなければならないとするものである。
 審査会が実施機関に確認したところ、本件工作物の確認申請に対しては、群馬県建築主事の審査を受け、基準法及び建築基準関係規定に適合するものとして、確認済証が交付されており、基準法及び建築基準関係規定に適合しているとのことである。一方、申立人の主張からは、本件工作物に関し明らかな危険性が存在するものと認めるに足る特段の事情は伺われない。(審査会は、異議申立人が、繰り返し主張している「本件工作物が可燃性でしかも70気圧という超高圧ガスを取扱う施設である」という事実を、意図的に無視している) したがって、将来発生する可能性の極めて高い人の生命、健康、生活又は財産に対する危険や損害を未然に防止するために、本件公文書1を開示することが必要であると認めることはできないと考えられ、条例第14条第3号ただし書には該当しないと判断される。(呆れた判断だ)
(3)本件公文書1のすべてを非開示とすることの妥当性について
 本件公文書1の欄外には、それぞれ工事名称、図面名称、設計会社及び建築士等に係る記載、図面作成目等が記載されている。これらの情報に関しては、設計図面等に記載される一般的項目であり、設計会社の設計上の技術的ノウハウは認められない。しかしながら、設計会社及び建築士等に係る記載部分については、確認申請書に記載されていない個人の氏名及び印影が記載されていることが認められる。個人の氏名及び印影は、特定の個人を識別することのできる情報と認められるため、条例第14条第2号に該当し非開示とすべき情報である。
 本件公文書1から上記(1)で示した非開示情報に該当する部分及び上記の個人情報に該当する部分を除くと、既に申立人に開示されている確認申請書等に記載された情報と同様のものしか残らず、これらの情報は客観的に有意な情報であるとは認められないため、本件公文書1全体を非開示とすることが相当である。(有意でない情報をなぜ開示しないのか。呆れた判断だ)
(4)条例第14条第4号該当性について
 上記(1)及び(2)で述べたとおり、本件公文書1で非開示とされた部分は、条例第14条第3号イに該当し、同号ただし書には該当しないと認められるため、同条第4号該当性の判断は行わない。(判断しないのは職務怠慢だ)
5 本件公文書2について
(1)条例第14条第3号イ該当性について
ア 「杭伏図・柱状図・敷地断面図]について
 審査会が見分したところ、本件公文書2のうち「杭伏回・柱状図・敷地断面図」には、本件工作物の詳細位置を示した「杭伏図」、本件工作物の地盤に係る土質調査の結果を表したボーリング柱状因に、設計会社が本件工作物の基礎構造図を追加記載した「ボーリング柱状図・断面図」、杭の材質、仕様、詳細寸法等を示した「杭仕様」及び「杭頭詳細図」が記載されている。
(ア)「杭伏図」について
 本件工作物の建設予定地の敷地形状や隣地境界線からの本件工作物の基礎位置を示したものにすぎず、設計会社の設計上の技術的ノウハウに関する情報とは認められない。また、これらの情報は、申立人に既に開示している「配置図」に記載された情報と同様のものであり、条例第14条第3号イには該当しないと判断される。
(イ)「ボーリング柱状図・断面図」について
 ボーリング柱状回は、本件工作物建設予定地の地盤に係る土質調査の結果を表したものにすぎず、設計会社の設計上の技術的ノウハウに関する情報とは認められない。しかしながら、「ボーリング柱状図・断面図」は、ボーリング柱状図中の標準貫入試験N値欄に設計会社が本件工作物の基礎構造図を追加記載しており、この部分の記載については、本件工作物の構造に関係する情報と認められ、これらを公にすると、本件工作物の構造設計に関する事項が明らかとなり、他の事業者が構造設計に関係するノウハウを活用することで、設計会社の競争上の地位その他正当な利益を害するおそれがあると認められる。(これは呆れた。サンパイ処分場の設計資料開示請求では、土質調査結果はこれまで全て開示されている。なぜ東京ガスのだけが開示されないのか不思議だ。そもそも、地質調査結果と基礎構造の解説内容は全て公表して安全な構造物である事を広く知らしめる必要がある)
 したがって、「ボーリング柱状図・断面図」のうち、本件工作物の基礎構造に関係する部分は条例第14条第3号イに該当するが、それ以外の部分は条例第14条第3号イには該当しないと判断される。(呆れた判断だ)
(ウ)「杭仕様」及び「杭頭詳細図」について
 本件工作物の基礎に使用する杭の材質、仕様、本数、詳細寸法等が記載されており、設計会社がこれまで蓄積してきた技術経験やノウハウを踏まえた使用部材の選定等、設計技術上の詳細な情報が記載されていることが認められる。(何ども言うが、建築確認申請の書類なんかに、他社と差別化すべきノウハウを東京ガスが書くわけがない。なぜならそのようなノウハウなどないからだ) しかしながら、杭仕様を示した表の項目部分は一般的項目であり、設計会社の設計上の技術的ノウハウは認められない。
 したがって、「杭仕様」及び「杭頭詳細図」のうち、杭仕様を示した表の項目部分は、条例第14条第3号イに該当しないが、それ以外の部分は条例第14条第3号イに該当すると判断される。(呆れた判断だ)
(エ)「杭伏図・柱状図・敷地断面図」の欄外には、工事名称、図面名称、設計会社及び建築士等に係る記載、図面作成目等が記載されている。これらの情報に関しては、設計図面等に記載される一般的項目であり、設計会社の設計上の技術的ノウハウは認められないことから、条例第14条第3号イには該当しないと判断される。
イ 「基礎・地盤説明書」について
 審査会が見分したところ、本件公文書2のうち「基礎・地盤説明書」には、基礎の種類、基礎杭の先端位置、荷重根拠等が記載されており、風、地震等に対応するための技術的な工夫や設計会社がこれまで蓄積してきた技術経験やノウハウを踏まえた使用部材及び規格の選定等、設計技術上の詳細な情報が記載されていることが認められる。これらを公にすると、他の事業者に設計上の技術的ノウハウが知られることとなり、容易に模倣されるなど設計会社の競争上の地位が損なわれるものと認められる。しかしながら、「基礎・地盤説明書」のうち、表紙、項目、添付資料の名称及び杭仕様を示した表の項目部分については、一般的なものであり設計会社の設計上の技術的ノウハウに関する情報とは認められず、また、添付資料2「ボーリング柱状回」及び添付資料3「地質断面図」についても、上記ア(イ)で述べたとおり、土質調査の結果を表したものにすぎない。
 したがって、これらの部分は条例第14条第3号イに該当しないが、それ以外の部分は条例第14条第3号イに該当すると判断される。(呆れた判断だ。全て開示しても何ら支障がないはずだ)
 また、「基礎・地盤説明書」には、本件公文書2の「ボーリング柱状図・断面図」と同様の図も記載されているが、上記ア(イ)で述べたとおり、本件工作物の基礎構造に関係する部分は条例第14条第3号イに該当するが、それ以外の部分は条例第14条第3号イには該当しないと判断される。
(2)条例第14条第3号ただし書該当性について
 上記(1)により条例第14条第3号イに該当するとした部分については、前記4(2)で述べた理由と同様の理由により、同号ただし書には該当しないと判断される。
(3)条例第14条第2号該当性について
 上記(1)ア(エ)及びイにより条例第14条第3号イに該当しないとした部分には、確認申請書に記載されていない個人の氏名及び印影が記載されていることが認められる。個人の氏名及び印影は、特定の個人を識別することのできる情報と認められるため、条例第14条第2号に該当し非開示とすべき情報である。(こうして個人情報保護を逆手にとって、情報開示を反故にするのが行政の常套手段)
(4)条例第14条第4号該当性について
 上記(1)において条例第14条第3号イに該当しないとした部分の条例第14条第4号該当性について検討すると、これらの部分は、本件工作物の基礎位置を示したものや土質調査結果、杭仕様を示した表の項目部分、設計図面等に記載される一般的項目を示したものに過ぎず、これらの情報が公にされたとしても、本件工作物への不法侵入及び破壊活動に利用されるおそれがあると認めるに足りる特段の事情は伺われない。
 したがって、上記(1)において条例第14条第3号イに該当しないとした部分は、条例第14条第4号にも該当しないと判断される。
(5)以上からすれば、本件公文書2のうち、別表1に掲げる部分については開示すべきであるが、その他の部分については非開示が妥当である。(ひどい判断だ)
6 本件公文書3について
(1)条例第14条第3号イ該当性について
 審査会が見分したところ、本件公文書3には、本件工作物に設置される避雷設備の設置概要図や設計計算に基づく設置方法及び落雷経路、使用部材の種別、数量、寸法等が詳細に記載されており、設計会社がこれまで蓄積してきた施工実績等に基づく技術経験やノウハウを踏まえた設置基準及び方法、使用部材の選定等、設計技術上の詳細な情報が記載されていることが認められる。これらを公にすると、他の事業者に設計上の技術的ノウハウが知られることとなり、容易に模倣されるなど設計会社の競争上の地位が損なわれるものと認められる。しかしながら、本件公文書3のうち、表紙、避雷設備設置概要の項目及び設置基準については、避雷設備に関する一般的項目を示したものに過ぎず、設計会社の設計上の技術的ノウハウに関する情報とは認められない。
 したがって、本件公文書3について、表紙、避雷設備設置概要の項目及び設置基準の部分は条例第14条第3号イに該当しないが、それ以外の部分は条例第14条第3号イに該当すると判断される。(避雷設備は、落雷の多い当地の気象条件から、とりわけ可燃性超高圧ガスを取り扱う施設にとっては、安全を左右する重要な要素技術である。十分な地絡能力があるのか、途中のケーブルのサイズや絶縁は十分か、を地元住民として確認しようとしたが、審査会はこれを拒否した。繰り返すが、東京ガスにとって、競争入札をしないのだから、あるいはしても談合なのだから、競走上の不利益という言葉は当てはまらない)
(2)条例第14条第3号ただし書該当性について
 上記(1)により条例第14条第3号イに該当するとした部分については、前記4(2)で述べた理由と同様の理由により、同号ただし書には該当しないと判断される。
(3)条例第14条第2号該当性について
 上記(1)により条例第14条第3号イに該当しないとした「表紙」には、個人の印影が記載されていることが認められる。個人の印影は、特定の個人を識別することのできる情報と認められるため、条例第14条第2号に該当し非開示とすべき情報である。(ひどい判断だ)
(4)本件公文書3のうち「避雷設備設置概要図」のすべてを非開示とすることの妥当性について
 本件公文書3のうち「避雷設備設置概要図」の欄外には、本件公文書1と同様に工事名称、図面名称、設計会社及び建築士等に係る記載、図面作成日が記載されており、これらの情報に関しては、設計図面等に記載される一般的項目であり、設計会社の設計上の技術的ノウハウは認められないが、前記4(3)で述べた理由と同様の理由により、「避雷設備設置概要図」全体を非開示とすることが相当である。(避雷設備は、こうしたプラント施設には必ず付随しており、安全設計基準にもとづき計算して仕様が決められるものであり、ノウハウなどはないのである)(5)条例第14条第4号該当性について
 上記(1)において条例第14条第3号イに該当しないとした部分の条例第14条第4号該当性について検討すると、これらの部分は、本件工作物に設置される避雷設備に関する概要を記載した文書の表紙、項目及び設置基準等、一般的項目を示したものに過ぎず、これらの情報が公にされたとしても、本件工作物への不法侵入及び破壊活動に利用されるおそれがあると認めるに足りる特段の事情は伺われない。
 したがって、上記(1)において条例第14条第3号イに該当しないとした部分は、条例第14条第4号にも該当しないと判断される。
(6)以上からすれば、本件公文書3のうち、別表1に掲げる部分については開示すべきであるが、その他の部分については非開示が妥当である。(ひどい判断だ)
7 本件公文書4について
(1)条例第14条第3号イ該当性について
 審査会が見分したところ、本件公文書4には、本件工作物に使用される構造材の材料、規格、寸法及び溶接材料等が詳細に記載されており、これらには設計会社がこれまで蓄積してきた施工実績等に基づく技術経験やノウハウを踏まえた使用部材の選定、主要溶接構造等、設計技術上の詳細な情報が記載されていることが認められる。これらを公にすると、他の事業者に設計上の技術的ノウハウが知られることとなり、容易に模倣されるなど設計会社の競争上の地位が損なわれるものと認められる。しかしながら、本件公文書4のうち「主要構造部材特記仕様書」の表紙については、設計会社の設計上の技術的ノウハウに関する情報とは認められない。(東京ガスにとって、グループ会社に丸投げなのだから、競争上の地位の毀損の心配はないのである)
 したがって、本件公文書4について、表紙は条例第14条第3号イに該当しないが、それ以外の部分は条例第14条第3号イに該当すると判断される。(ひどい判断だ
(2)条例第14条第3号ただし書該当性について
 上記(1)により条例第14条第3号イに該当するとした部分については、前記4(2)で述べた理由と同様の理由により、同号ただし書には該当しないと判断される。
(3)条例第14条第2号該当性について
 上記(1)により条例第14条第3号イに該当しないとした「表紙」には、個人の印影が記載されていることが認められる。個人の印影は、特定の個人を識別することのできる情報と認められるため、条例第14条第2号に該当し非開示とすべき情報である。
(4)本件公文書4のうち「使用構造材料一覧表」のすべてを非開示とすることの妥当性について
 本件公文書4のうち「使用構造材料一覧表」には、上記(1)で条例第14条第3号イに該当するとした部分を除いた部分には、文書名称、設計会社及び建築士等に係る記載及び一覧表の項目名が記載されており、これらの情報に関しては、設計会社の設計上の技術的ノウハウは認められないが、前記4(3)で述べた理由と同様の理由により、「使用構造材料一覧表」全体を非開示とすることが相当である。(ひどい判断だ)
(5)条例第14条第4号該当性について
 上記(1)において条例第14条第3号イに該当しないとした「主要構造部材特記仕様書」の表紙部分の条例第14条第4号該当性について検討すると、これは本件工作物に使用される構造部材に関する内容を記載した文書の表紙に過ぎず、これらの情報が公にされたとしても、本件工作物への不法侵入及び破壊活動に利用されるおそれがあると認めるに足りる特段の事情は伺われない。
 したがって、上記(1)において条例第14条第3号イに該当しないとした部分は、条例第14条第4号にも該当しないと判断される。
(6)以上からすれば、本件公文書4のうち、別表1に掲げる部分については開示すべきであるが、その他の部分については非開示が妥当である。(ひどい判断だ)
8 本件公文書5について
(1)条例第14条第3号イ該当性について
 審査会が見分したところ、本件公文書5は、本件工作物が自重、地震荷重等に対して安全な構造であることを検証するため、基準法及び建築基準関係規定等に基づき作成されたものであり、本件工作物の構造及び基礎構造の詳細や構造計算の設定、結果等が記載されている。前記4(1)で述べたとおり、建築物等を建築するための設計図面等には、設計者の創意工夫又はノウハウが含まれているところ、本件公文書5には、風、地震等に対応するための技術的な工夫や設計会社がこれまで蓄積してきた技術経験やノウハウを踏まえた使用部材及び規格の選定等、設計技術上の詳細な情報が記載されていることが認められる。これらを公にすると、他の事業者に設計上の技術的ノウハウが知られることとなり、容易に模倣されるなど設計会社の競争上の地位が損なわれるものと認められる。しかしながら、本件公文書5のうち「構造計算書」の表紙、改定履歴、目次のうち基準法で検討項目とされている部分、概要、構造概要の表の項目名及び確認申請書に記載されている内容、環境条件及び適用法規、また「放散塔基礎構造計算書」の表紙、目次のうち基準法で検討項目とされている部分、一般事項の項目名及び確認申請書に記載されている内容については、一般的項目等を示したものに過ぎず、設計会社の設計上の技術的ノウハウに関する情報とは認められない。また、「放散塔基礎構造計算書」には、地盤条件として本件公文書2のボーリング柱状図が記載されているが、これも前記5(1)ア(イ)で述べたとおり、設計会社の設計上の技術的ノウハウに関する情報とは認められない。(相変わらず、地元住民無視の、親方日の丸会社を擁護する立場をとっている。公平であるべき審査会がこれでは、群馬県知事の茶坊主と見られても仕方あるまい)
 したがって、これらの部分は条例第14条第3号イに該当しないが、それ以外の部分は条例第14条第3号イに該当すると判断される。(ひどい判断だ)
(2)条例第14条第3号ただし書該当性について
 上記(1)により条例第14条第3号イに該当するとした部分については、前記4(2)で述べた理由と同様の理由により、同号ただし書には該当しないと判断される。
(3)条例第14条第2号該当性について
 上記(1)により条例第14条第3号イに該当しないとした各表紙及びボーリング柱状図には、個人の氏名及び印影が記載されていることが認められる。個人の氏名及び印影は、特定の個人を識別することのできる情報と認められるため、条例第14条第2号に該当し非開示とすべき情報である。(個人情報保護を履き違えている)
(4)条例第14条第4号該当性について
 上記(1)において条例第14条第3号イに該当しないとした部分の条例第14条第4号該当性について検討すると、これは構造計算書の表紙や一般的項目、土質調査結果を示したものに過ぎず、これらの情報が公にされたとしても、本件工作物への不法侵入及び破壊活動に利用されるおそれがあると認めるに足りる特段の事情は伺われない。
 したがって、上記(1)において条例第14条第3号イに該当しないとした部分は、条例第14条第4号にも該当しないと判断される。
(5)以上からすれば、本件公文書5のうち、別表1に掲げる部分については開示すべきであるが、その他の部分については非開示が妥当である。
9 その他
 審査会が本件公文書を見分したところ、実施機関が非開示とした部分について、申立人は主張していないが、法人名を条例第14条第2号に規定する個人識別情報として非開示としていることが認められたことから、実施機関は、改めて行う決定に当たり、本件設計図書以外の部分についても非開示情報該当性の判断を適切に行うべきである旨を付言する。(いまさら、あたりさわりのない情報を開示してもらっても、もう施設は出来上がってしまっており、地元住民として改善提案を出せない状況にある)
10 結論
 以上のことから、「第1 審査会の結論」のとおり判断する。
第6 審査の経過
 当審査会の処理経過は、以下のとおりである。

【審査会の処理経過】
年月日/内容
平成21年 5月 7日/諮問
平成21年 6月12日/実施機開からの理由説明書を受領
平成21年 6月19日/異議申立人からの意見書を受領
平成21年 7月24日(第26回第一部会)/審議(本件事実の概要説明)
平成21年 8月25日(第27回第一部会)/審議(実施機関の口頭説明)
平成21年10月30日(第28回第一部会)/審議
平成21年11月 2日/条例第30条第4項による調査を実施
平成21年11月24日/設計会社等からの陳述書を受領
平成21年11月30日(第29回第一部会)/審議(条例第30条第4項による調査を実施)
平成22年 1月22日(第30回第一部会)/審議
平成22年 3月16日(第31回第一部会)/審議
平成22年 4月19日(第32回第一部会)/審議
平成22年 4月22日/答申(なぜこんなに時間がかかるのだろうか)

【別表1 開示すべき部分】
対象公文書/開示すべき部分
・本件公文書2[杭伏図・柱状図・敷地断面図]/各図面名称、杭伏図、「ボーリング柱状図・断面
図」のうち本件工作物の基礎構造に関係する部分を除いた部分、抗仕様の工法及び凡例の項目部分、図面欄外の部分(設計者の印影、確認申請書に記載されていない個人の氏名を除く)
・本件公文書2[基礎・地盤説明書]/表紙(設計者印影を除く)、1のうち杭工法及び杭の種類の内容部分を除いた部分、2の項目名及び添付資料名称、「ボーリング柱状図・断面図」
のうち本件工作物の基礎構造に関係する部分を除いた部分、添付資料2(コア鑑定者及びボーリング責任者の氏名を除く)、添付資料3
・本件公文書3[避雷設備設置概要]/表紙(設計者等の印影を除く)、避雷設備設置概要の項目及び設置基準
・本件公文書4[主要構造部材特記仕様書]/表紙(設計者等の印影を除く)
・本件公文書5[放散塔構造計算書]/表紙(設計者等の印影を除く)、改定履歴、目次(1~4)、1.構造、2.一般事項、2-1構造概要の項目部分、形式内容及び高さ、2-2、2-3(1)
・本件公文書5[放散塔基礎構造計算書]/表紙(設計者の印影を除く)、日次(1~4)、1.一般事項、1.1工事概要、1.2の2行目まで、1.3の項目名及び(3)(工法内容を除く)、1.4地盤条件(ボーリング柱状図中のコア鑑定者及びボーリング責任者の氏名を除く)

【別表2 「本件対象公文書一覧」、「非開示部分と非開示理由」及び「異議申立人が開示を求める文書」】
  対象公文書/非開示部分/非開示理由/申立人が開示を求める文書
1 確認申請書(第一面)・-/申請者の建設事務所代表者の印影/条例第14条第3号イ(申請者の印影は、取引上重要なものであり、これを公にすることによって何人にも入手できることとなった場合に、当該法人の権利競争上の地位その他正当な利益を害するおそれがあるため。)/-
2 委任状・-/以下、1と同じ
3 建築士免許証の写し・-/本籍地/条例第14条第2号(特定の個人を識別することができるもの又は個人の権利利益を害するおそれがあるため。)/-
4 公図写し・-/住所、氏名、地目、面積、調査・製図者の氏名及び印鑑/以下、3と同じ
5 付近見取り図・-/設計者の印影/以下、3と同じ
6 配置図・-/設計者の印影/以下、3と同じ
7 放散塔全体外形図・本件公文書1/全部/条例第14条第3号イ及び条例第14条第4号/法人である設計者が設計に関する知識・技能を用いて作成した設計図書を公にすることによって何人にも入手できることとなった場合に、築造物の設計技術のノウハウ等が明らかになり当該法人の権利、競争上の地位その他正当な利益を害するおそれがあるため。また、申請者(瓦斯事業者)が築造する施設(公共公益施設)の設計図書を公にすることによって何人にも入手できることとなった場合、当該築造物への不法な侵入・破壊活動等に利用される可能性があり、もって公共の安全と秩序の維持に支障を及ぼすおそれがあるため。
8 杭伏図・柱状図・敷地断面図・本件公文書2/全部/以下、7と同じ
9 放散塔基礎詳細図・構造特記仕様書・本件公文書1/全部/以下、7と同じ
10 PHC杭用継手金具姿図・本件公文書1/全部/以下、7と同じ
11 避雷設備設置概要・本件公文書3/全部/以下、7と同じ
12 避雷設備設置概要図・本件公文書3/全部/以下、7と同じ
13 避雷突針姿図・本件公文書3/全部/以下、7と同じ
14 ダイヒカップリング姿図・本件公文書3/全部/以下、7と同じ
15 鉄骨用接続端子姿図・本件公文書3/全部/以下、7と同じ
16 導線取付金物姿図・本件公文書3/全部/以下、7と同じ
17 ビニル管取付金物姿図・本件公文書3/全部/以下、7と同じ
18 端子ボックス姿図・本件公文書3/全部/以下、7と同じ
19 接地銅板姿図・本件公文書3/全部/以下、7と同じ
20 基礎・地盤説明書・本件公文書2/全部/以下、7と同じ
21 主要構造部材特記仕様書・本件公文書4/全部/以下、7と同じ
22 使用構造材料一覧表・本件公文書4/全部/以下、7と同じ
23 放散塔構造計算書・本件公文書5/全部/以下、7と同じ
24 放散塔基礎構造計算書・本件公文書5/全部/以下、7と同じ
25 確認申請書(第二面)/(全部開示)/-
26 申請敷地の現状写真/(全部開示)/-
**********

 こうして、あと1ヶ月くらいしてから、答申書の内容そのまんまの決定書が、大澤正明知事から送りつけられるものと見られます。


まったく無人状態で稼働中の制御棟。中央で、リモコンで監視しているらしいが、異常発生時には地元住民にどのように通知するのか、実際に人の手で対応しなくても大丈夫なのか、周辺住民の不安は無視されたままである。

【ひらく会・高圧ガス導管敷設問題研究班】

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安中市長選を振り返って・・・安中名物の怪文書が示す選挙土壌の特異性

2010-04-24 14:20:00 | 安中市長選挙
■今回の安中市長選挙では、公示日以降は表面的には一見穏やかな選挙選のように見えましたが、前哨戦となった告示日前の事前運動期間中の4月1日に、早くも怪文書が旧安中市街地区でばら撒かれたことは、当会のブログで報告したとおりです。

 「怪文書」を辞書(三省堂の大辞林)でひいてみると、「中傷的・暴露的な内容で、出所・筆者不明の文書。人や組織を中傷・誹謗することが目的の、出所が不明の文書。選挙の間際にばら撒かれる事が多い。」とあります。今日の東京新聞によると、明日、投開票の藤岡市でも怪文書がばら撒かれたと報じています。
 このように怪文書というものは、選挙の間際にばら撒かれるのが、通例となっています。安中市長選挙では、これまで毎回必ずばら撒かれていました。藤岡市でも過去に怪文書が飛び交っていますが、おそらく安中市のほうが上を行くでしょう。

■「怪文書」の定義は、①発行者が不明の匿名文書。②特定の組織・個人などを対象。③情報と称する類の内容です。したがって、出所や情報ソースが確かなものは怪文書ではありません。問題なのは、根拠不明の情報でありながら、拾って読む対象者に、ある種の影響を与え得ることです。

 会社や学校、役所などの組織内で不満を持つ者や、前述のように選挙の際に対立候補を貶めることを望む者によって作成されることが多いようです。たとえその内容が全くの事実無根だったとしても、それがウソだと証明できない場合もあり、様々な事情により当事者が否定しきれずに、あるいは嘘である事を証明できぬままに、さらに問題が大きくなってゆくケースもみられます。

 当会には、時々、市民から内部告発の情報が寄せられます。匿名の場合は怪文書と区別できないのではないか、と思われるでしょうが、きちんと告発先が特定されていることから、その情報の内容については、通常の怪文書よりも遥かに信憑性は高いものと予想されます。

■怪文書の場合は、権力や出世争いに絡む私利私欲による暴露や中傷を目的としたり、世間を騒がすだけの愉快犯など作成の動機は様々です。内部情報のリークは背任の恐れがあり、事実無根なら中傷で名誉毀損の恐れがあるため、それらを恐れて、怪文書の作者は、匿名か、個人の特定ができない自称を名乗ります。

 安中市長選挙の怪文書は、わざと人目に触れされる場所に張り出したり、針金でつるしたり、人家の庭先にばら撒くという手法が多く、どちらかというと古典的な手口です。今回の怪文書は、人気のない時間にポストに投函されていたようです。

■それでは、今回の怪文書の内容について分析を試みたいと思います。まずは怪文書というものをご覧ください。

 ご覧のように、「高橋」と明記してあり、明らかに高橋よしのぶ候補を名指しで攻撃しています。ただし、見出しにあるように、一見、いわゆる褒め殺しの手法をとっており、愉快犯を装っている感じがします。

 この怪文書が主張している4項目をテーマごとに並べてみると、「ヤクザ」「創価学会」「ボランティア活動」「市民団体」となっています。

■この怪文書を書いた卑劣な作者は、「ヤクザ」という言葉が最もスキャンダラスだと思っているのでしょう。ここで怪文書作者がいう「S氏」とは、かつて2003年の県議選で岡田義弘氏と争った人を指していると市民に思わせるのが、作者の意図するところのようです。その場合、確かに高橋候補と住まいが近いようですが、その種のメンバーなのかどうか、実際にどんな関係なのかどうか、この作者は根拠を示しておりません。

 だから怪文書といわれる所以なのですが、一つだけ言えることは、岡田候補と選挙戦を争った人物のことを挙げていることから、高橋候補を名指しで中傷しているこの怪文書の作者は、岡田候補寄りの立場であるということです。

 なお、高橋候補は選挙告示日直前に「産業廃棄物処分場の建設に反対します」というビラを配布しています。これは怪文書にある「岩野谷地区では産廃処分場の申請が過去にいくつもあったが、これら全てに高橋が反対してきた訳ではない。」というくだりを意識したものと思われますが、本来こうした怪文書のデマは、一切無視するのが正攻法です。

 次に、この怪文書の作者が持ってきたのは、宗教政治団体でした。高橋候補がこの団体の構成員であるという印象を読み手に与えようとするものです。ここでも作者は、根拠も示さず勝手に読み手に予断を与えていることから、これも怪文書の要件を具備していることになります。

 この卑劣な怪文書の作者は、3番目に「ボランティアを食いものにするエセボランティア」として高橋候補を攻撃しました。ここにある「○○塾」とは、読み手に未来塾であることを推測させます。「寄付行為をして県や市から表彰され紳士顔」「身障者やろうあ者を必要以上に表舞台に連れ出して」「弱者を食い物」などと、過激な表現を並べ立てて攻撃している作者の目標は、高橋候補と未来塾がだぶっているようです。よほど未来塾に恨みをもっているのでしょう。ということは、この作者は、前橋地裁高崎支所で現在未来塾と係争中の、岡田市政と岡田義弘氏個人を擁護する立場であることをうかがわせます。

 最後に、この作者は「高橋が市長で某女史が県会議員 安中氏は○○塾でもらった」と指摘して、高橋候補が市長に当選すると、県会議員のひとりである茂木英子氏とともに、未来塾の両メンバーが、それぞれ市長と県議として権勢をふるい安中市政をハイジャックしまうかのような印象を読み手に植え付けようとしました。よほど、未来塾の勢力拡大に危機感を持つ輩のようです。となると、やはりこの作者は、アンチ未来塾→岡田市政支持派であることを推測させます。

■このように、この怪文書の影響かどうかは測りかねますが、選挙結果は、この卑劣な怪文書の作者の意図が奏功した結果となりました。実際に、このビラが配布された旧安中市街地区では、「未来塾は安中市から補助金をもらって多額の報酬をフリマ動員者に支払っている」とか「そうした証拠を示す資料が区長らの間で回覧されている」という情報がずいぶん飛び交っていました。果たして実際はどうなのか。当会のブログで「岡田市政VS未来塾のフリマ中止をめぐるバトル裁判」の記事を詳細に読んでもらえれば、事実が理解できます。

 いまごろ、今回の選挙戦を汚した怪文書の作者は「してやったり」と、ほくそ笑んでいることでしょうが、結果的にこれが援護射撃となった岡田義弘候補は、今回の勝利をすっきりとした気持ちで受け止められたのでしょうか。

【ひらく会情報部・選挙不正監視班】

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選挙報道から分かる群馬テレビの偏向性と岡田市長の二枚舌インタビュー

2010-04-22 15:00:00 | 安中市長選挙
■4月11日投開票の安中市長選から早くも11日が経過しました。開票時には当会事務局長は国外に居たため、当会会員の方が、選挙速報番組を録画しておいていただいたので、先日、それを拝見する機会がありました。当会の事務局長の話では、15日の午後、ウラジオストク空港のロビーで昭和村の加藤村長と話したときに、村長は選挙結果に非常に関心を持っていたそうです。特に、富岡市の岩井候補とは以前からの知り合いだそうで、前回会ったときには「今度の選挙は厳しい」と言っていたことから、今回の富岡市長選の結果を当会事務局長から聞いて、たいそう驚いていましたが、安中市とみどり市の開票結果には、あまり関心を示さなかったそうです。


 安中市の首長選挙の場合、マスコミは、日本経済新聞社を除き、全国紙、地方紙ともに地元に記者を派遣して、旺盛に取材を行います。テレビ局としては、NHKがたまに首都圏ニュースで流すことがありますが、通常はもっぱら群馬テレビが、選挙期間中に、半日ほど各候補者の選挙カーのあとを追って、遊説の模様など選挙風景を取材します。

 そして、投開票日の昼ごろになると、各候補者の事務所にカメラクルーを乗せた放送車を横付けして、夕方までに候補者の当選インタビューに備えて、機材をセットしておくのです。この場合、候補者が多数ですと、あらかじめ出口調査で見通しをたてて、得票数が少ないと見込んだ候補の事務所には、放送クルーは派遣しません。今回は、富岡市とみどり市と同日の投開票のため、群馬テレビのスタッフは全員が各市に出払って取材に当たったと見られます。

■群馬テレビは、地元では「群テレ」とよばれ、本社は前橋市上小出町三丁目38番地の2に所在する株式会社です。代表取締役社長は新井啓允氏で、1970年(昭和45年)2月16日設立、2008年3月31日時点の資本金は9億6864万1千円、売上高は23億6250万1千円、従業員数78人で、主要株主は、群馬県15.06%、群馬土地株式会社8,18%、前橋市5.38%です。

 群馬県の政財界に肝入りで設立されましたが、これを反映するかのように、マスコミ関係では、とくに地元の上毛新聞と読売新聞との関係が深いようです。したがって、その報道姿勢には偏向があると指摘する声は少なくありません。

■さて、4月11日(日)午後8時から10時にかけて放送された群馬テレビの恒例の選挙速報の番組の模様について、見てみましょう。番組のテロップによると、群テレのスタジオに登場したのは次の3氏でした。

ゲスト 増田 正 教授(高崎経済大学)
解 説 萩原有紀(群馬テレビ報道部)
司 会 吉田 学



 録画ビデオでは、午後9時ごろ、当選が確定して、喜びに顔をほころばせた岡田候補の登場シーンが冒頭に登場します。なお、テレビの前の茶の間の声は赤字で示してあります。



【岡田候補】皆様、このたびは大変お世話になりました。ここに皆様のご尽力によって、二期目の当選の栄誉を与えていただきまして、心から、感謝と御礼を、申し上げます。私は、このたびの、勝利、結果につきましては、市民の皆様の勝利、市民の勝利である。確信をいたしております。それは私は、1日たりとも、選挙運動はしてこなかった。(えっ?去年から新聞折込みがしょっちゅう入れてあったけど、あれはいったい何だったんかい)それまでの4年間の、その…足跡(あしあと)を、どう評価していただけるのか。そこを、市民の皆様に、冷静に、ご判断賜りたい。こういうことで、こういう思いで、一切、挨拶回りだとか、お願いだとか、いたしません。街頭で、4日の告示以降、10…3箇所ぐらい、1日に15箇所ぐらいっていうこともありましたけども、そのぐらいの街頭から、市民の皆様に、これまでの行政の流れ。この流れを、変えなければ、市民行政は確立できない。そういうことで、一切の選挙運動は、いたしませんでした。(元校長に後援会長を頼んだり、公示前に地元のご婦人方に電話で支持を依頼したのは選挙運動じゃなかったんだ)ここに、良識ある、市民の皆様の、こころを、結果に、繋げていただきましたことに対しまして、高いところからまことに恐縮でございますけれども、最大の感謝を申し上げる、次第で、ございます。



【司会】見事再選を果たしまして岡田さんの喜びの声をお聞きしていただきましたけれども、あらためていかがですか。

【解説】街頭演説を10数箇所でこなしてきたというようなことをおっしゃっていましたけれども、座談会や決起集会をしない、告示日の出発式のみという形で、支持者の皆さんには、なるべく負担を掛けない選挙にしたいと、動員型の選挙は好まない、というようなことも明言されていまして。(えっ?地元の野殿地区じゃあ、60過ぎの初老の爺さんが、セイネンブチョーに任命されるなど、一斉動員かけて、動員型選挙そのものだったんだけど、本人は群テレにそんなこと言ってるの?呆れた)全市的にですね、かなり細かく遊説をされていました。あの、選挙戦最終日のきのうも、合併した松井田地区。こちら、商店街を歩いて遊説をされて、そうしますと、あのう、表に、あのう、どんどんどんどんと、人が、皆さん出てくるんですね。そしてあのう、握手を交わすような場面というのが見られまして、あのう、これまでの市長選挙でも、あの、4人の選挙がたった前回の市長選で、この岡田さんは、この松井田地区で、かなり票を獲得したというようなことも言われているんですね。で、この4年間の評価というものも、この選挙戦終盤の松井田地区での様子を見てますと、あのうまあ、かなり住民の皆さんからの信頼も厚いなというのは、そのう、見ていて感じました。(えっ?これってかなり偏った見解なのでは。だって、高橋候補も旧安中市街地を最終日に歩いたって言うから、それも見たんでしょ?)

【司会】4年前、前回11583票で、今回14600票ですから、3千票近くね、この、得票を2年前から拡大したということで、また、市民の受け皿ということにもなりましたが、果たして先程のインタビューにもありましたけれども、いろいろなほんとに課題、医療の充実ですとか、老後を何とかして欲しい、ほんと切実なメッセージが寄せられましたけども、その中であえて萩原さんが今後、岡田市政が取り組むべき課題というのは、まず最初に何が挙げられるでしょうか。

【解説】そうですね。医療の問題で言えば、医師不足で非常にこの公立碓氷病院の改革改善ですね。これがひとつの大きな問題として挙げられると思います。この公立碓氷病院は、平成17年に泌尿器科の常勤の医師が不在になりまして、その後、合併してから平成21年が整形、また眼科、内科とですね、相次いで常勤の医師がゼロになりました。非常勤という形になりました。で、非常勤という形になりますと、手術も出来ないと。病院内でですね。ということで患者数も大幅に減少しまして、財政の事情も悪化していると言われています。病院では、集中改革プランというものも策定しまして、平成26年ごろまでには、どうにか収支のバランスなども、効率化の方向にもっていきたいと取り組んでます。あとは医師不足ということですので、碓氷病院には医師を確保するための政策が必要です。今年度から、医師の手当てなども改善をしたり、また退職職員を補充しないなど、人件費の削減などにも取り組んでいます。また患者さんに出す給食の調理部門ですね。これを外部の業者に委託したりですとか、そうした病院以外の改革、環境の整備、そういったものにも取り組んでいます。岡田さんも、今回再選されましたけれども、整形、眼科の医師確保にも、今後また取り組んで行きたいというようなことで、おっしゃっています。(おっしゃったことを鵜呑みにするんではなく、言行不一致の二枚舌の経歴も調べたはすでしょ?)



【司会】増田さん、この国のガイドラインでとにかく2009年度から公立病院が、黒字にしなさいという形でガイドラインが示されていますが。

【ゲスト】公立病院のそうした例もありますが、まあ一自治体で全て改善できるわけではないと思いますが、しかしここに重点を置くということが重要なことですから、喫緊の課題ですね。

【司会】そうですね。まず碓氷病院を、こうね、経営をうまく乗せていこうと、それが大事な課題だと、さきほど萩原さんの話にもありました。

【解説】先程、インタビューの中で松井田地区の住民の方が、高齢者の足の確保にも取り組んで欲しいというような事をおっしゃっていました。そういった意味で、4年前にこの松井田地区は合併して安中市となったわけですが、この松井田地区、行ってみると、非常に山間部が多いんですね。で、坂道も多い中、現在の状況、この公共交通がどうなっているのかということを見てみますと、安中市役所とこの松井田の支所を結ぶ路線バスは1本だけなんですね。今。日曜日なども運休してしまうような状況になっています。多くの、この部分が、空白地帯というふうな形になっていまして、一方安中地区には6つ、市の補助金が出ている乗合バスがありまして、松井田地区の皆さんも乗合バスなどを導入することを希望する意見も非常に多く上がっています。市の方で現在どういう状況になっているのかといいますと、平成20年度から、今、公共交通の体系の問題については見直しの事業を進めているところです。今年度中には予算計画を策定しまして、運航時間が決っている路線バス。これとまた予約を受けて運航するデマンドバス。こういったものを組み合わせた新しい安中の交通体系を作っていこうというようなことで、今、検討が進められているところなんですね。ですから、今後も、試験運航などもしたいと市の方では平成23年度までにやっていきたい、というようなことも言っていますけども、新たな取り組みとなります。



【司会】やはりその山間部との合併ということで、やはりどうしてもこの公共交通体系の問題というのは切っても離せない課題でありますよね。

【ゲスト】そうですね、コミュニティバスというのは必ず赤字になりますし、それでその代替策としてのデマンドバスというのはかなり拡がってきているとは思うんですけれども、人口まばらな地帯に走らせるということで、なかなか収益には結びつかないと。そこで考え出された手段だと思います。まあこれ、細かい、これも収支を見ながら、そして地域の需要を見ながら運行させる必要があるのでなかなか難しいですね。

【司会】そうですね。このあたりも大変な課題と言えそうです。そして、公開討論会でも出ましたが、安中高校の跡地、これもかなり、市民の関心が集まっているんですよね。

【解説】そうですね。この安中高校というのは、安中市役所のすぐちかくにあります。この安中高校というのが平成20年の3月、2年前ですね。高校の再編などで、安中総合学園高校に統合されまして、廃校となりまして、今、その活用方法をめぐっていろいろな議論が出されているところです。21年度には、地域住民ですとか、学校の関係者、また有識者からなる検討委員会というものを立ち上げまして、いろいろな利用法について検討してきました。ただ財政上の問題もありますんで、基本計画を見直して、どういった形で活用していくのかというのがまだ結論が出ていないんですね。(報道部記者さんだったら、この件も選挙前のパフォーマンスだったことご存知なのでは?)

【司会】どこも学校問題というのは、有効利用策というのが、含まれますよね。

【ゲスト】ほっておくとただ劣化するということで、何かに使いたいけれど、学校というのは特有の構造があるので、図書館とか直ぐ出来るが、なかなか難しいですね。

【司会】さて続いて、まだ課題がありますか。安中については、これをこうすべきだというような課題としては。



【解説】そうですね。信越線の延長運転ですとか、また富岡製糸場と同じように世界遺産登録を目指している眼鏡橋とか、いろいろな観光資源がありますけれども、これをうまく開拓して、観光客を増やしていくための取り組みというのも今後の課題になるかと思います。来年度、ディスティネーションキャンペーンで観光客を誘致してゆくのもある程度必要ですけれども、どれだけ安中市によってもらう取り組み。要するに、富岡製糸場は世界遺産なので、眼鏡橋などは、これもひとつ安中市の魅力ではあるんですよね。富岡製糸場に行った方が、眼鏡橋に寄ってもらって、また、その眼鏡橋にいったあと、安中市にある温泉であるとか、いろいろな観光資源、こちらに観光客を振り向かせるための、そういった一段の取り組みというのものは、今後の課題になると思います。



【司会】増田さん、でも6月からまた高速道路が上限料金制になるとか、あくまで通過されない施策というのが必要ですよね。

【ゲスト】繰り返し来るという、長野県は北海道についで観光客が多いんですけど、それは要するにいろんなことがあると思いますが、そこにリピーターがいるということですね。これは高速道路の影響で、若干日帰り客が大幅に増えていることなんですが、大幅に増えているということですけども、群馬県が距離的に首都圏に近いということで、若干うまく、群馬らしく止まらせるのが難しいことがある。

【司会】安中ですと隣に軽井沢という大観光地がありますから。それとの、関連で、安中、富岡に共通する課題といえます。さて、続いて安中市長選の岡田さんのインタビューが入ってきました。



【リポーター】今のお気持ちをお聞かせいただきたいんですけども。

【岡田候補】お気持ちといわれてもですね。特別なことはございません。自分自身、はい。

【リポーター】あらためて選挙戦を振り返られましてどのような選挙でしたか?

【岡田候補】いやあ、あのう、ボクのほうは、全く、選挙らしい選挙、しませんでしたから。はい。(確かに今回は怪文書が一回しか出なかったよね)

【リポーター】行政の改革について岡田さんから見てどんな感想ですか?

【岡田候補】さきほど、もうしあげまして戴きましたように、24時間フルタイムという、この行政、をですね、先頭に立って、それで職員をぐいぐい引っ張ってきたと。それで、改革改善すべきとこは、徹底的に、指示を出し、そうしたことが市民の皆様が、よしとしたと、こういうふうに、思って、おります。

【リポーター】一期目の課題と言うのもご自身でかなりみえてきたところもあるとおもうんですが、1期目を踏まえて2期目はどんなあふうに市長として舵をとられるんですか?

【岡田候補】ははーん、これはご案内のように、100年に1度といわれる大不況下の経済状況でございますから、努力しても報われない方々に、しっかりと行政の、暖かい光を、すべて、届く、そういったきめ細かい、行政に、進めなければならない。こういうふうに考えております。

【リポーター】あらためてまして、投票率が53%台と低かったんですが、このあたりについては?

【岡田候補】これは、ボクもちっと、この事務所へ8時に入ったんですが、あのう、やっぱり、いま申し上げましたように、100年に1度と言われる、経済大不況ですから、その、恵まれない方々が、失望しているものと、市政や、行政に失望しているものと、思っております。(ということは自分の責任ということになるんだけどね)

【リポーター】あらためて、安中市、どんななふうにこう進めて行きたいと思いますか?

【岡田候補】教育、文化、観光、農工両善政策を進めたいと考えております。はい。



【司会】再選を決めた岡田さんに改めて山田アナウンサーがインタビュー伝えてもらいました。さて、富岡、安中、みどり市の市長選開票速報をお伝えしてきました。ここで開票結果を纏めて振り返ります。
富岡市長選挙、新人の岡野光利さんが現職で再選を目ざした岩井さんに、3253票の差をつけて初当選を果たしました。岡野さんの得票率55.6%でした。投票率は68.52%と前回より5.93%の落ち込みということになりました。
安中市長選挙です。現職で再選を目指した岡田さんが、激しく追い上げる新人の高橋さんに2272票の差をつけて当選しました。岡田さんの得票率は54.19%でした。投票率ですが、前回の選挙7.32ポイント下回る53.34%でした。
みどり市長選挙です。現職の石原条さんがおよそ94%にあたる15723票を獲得して再選を決めました。投票率は41.08%でした。
以上、今日の開票結果、お伝えしました。さて、2時間に亘ってお伝えしてまいりましたが、今回3つの選挙の取材に当たった萩原記者もこの放送を進めてくれました。この取材に当たった印象、どんな感じだったでしょうかね。

【解説】そうですね、今回3つの市長選挙を取材しまして、いずれも現職の候補は、合併後のこの行政運営の実績というものを強調していました。ただ、市民の皆さんの中には様々な要望や反応がありました。そのなかでまちづくりを行っていくなかで、私も含めて有権者の期待の高さ、というものを、非常に感じる選挙でした。また、7月の参議院の前哨戦というような見方もありまして、富岡市長選では現職の岩井さんが、まあ敗れたというようなことで波乱がありまして、今後そういった結果がですね、どういうように影響していくのか、関心がもたれますね。

【司会】前哨戦というような話も有りましたが、今回の選挙を振りかえっていかがでしょう。

【ゲスト】そうですね。まあ、候補者の数は同じだったんですけど、だいぶ様相が違って、結果もわかれたわけなんですけど、まあ、政党のかかわりかたも、いろいろな政党が関わっているようなみどり市のような場合もあれば、これは要するに現職を応援するという意味ですけれども、そうではなくて、富岡のように対立構造があったり、安中のようにあまりそういったところが見えなかったり、若干差があって、そういう中で、それらの3つの自治体の選挙は何だったかと考えますと、実は平成の大合併の一番最後の合併事例なんですね。言ってみれば国策の最終コーナーで駆け込み合併した自治体の、まあ開示が今回問われたということなので、それがなんとなく合併というものが、地域の統合という意味で問われたんだな、というふうにも思われますね。

【司会】はい、今夜はどうもありがとうございました。合併後4年後のこのありかた、また、継続か刷新か、任期満了に伴う3つの市長選、それぞれ結果が出ました。富岡は新人、安中、みどりはそれぞれ現職の方が当選したことになりました。今回の選挙、合併後の検証、今後のまちづくりについて考えるきっかけにして欲しいと思います。富岡、安中、みどりの開票速報をお伝えしてまいりました。今夜はこれで失礼いたします。(この瞬間に安中の当選者はすでに公約を忘れているのでは?)

【ひらく会情報部】

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安中市の市道整備の実態

2010-04-21 21:17:00 | 困ったちゃん岡田義弘・元市政

■きょうの東京新聞の群馬版に、安中市の中後閑地区の約240mの市道新設工事が、事業費約1.2億円で2002年度に着工されたにもかかわらず、約5千万円を注ぎ込んで、02、03年度に部分的に切り土工事が行われただけで、その後6年間も放置状態にされているという報道記事が掲載されました。
■記事を書いたのは、安中市の東京新聞販売店主で、岡田市長に以前、長年にわたり多額の政治献金を行ってきた「記者」のかたです。従って、市長選直後に、なぜこのような記事が書かれたのか、背景を十分調査した上で、分析する必要があります。

 東京新聞に掲載された記事はつぎのとおりです。

**********
安中 市道整備、6年間放置 住民「ずさんすぎる」
 安中市中後閑で、市が2002年度に着工した市道バイパス施設工事が、事業全体の約1割に当たる切り土工事が行われただけで、04年度以降、6年間も放置されていることが分かった。厳しい財政状況から休止を余儀なくされた格好で、再開のめどは立っていない。地元住民から不満の声が上がる一方で、当初の計画を疑問視する声も出ている。(樋口聡)
<投資無駄に?/財政厳しく再開できず>
 事業は、同市中後閑長足の市道の一部が狭いことから、新たに丘陵地を切り土し、幅7メートル、総延長約240メートルのバイパスを新設する工事。事業費は約1億2千万円の予定だった。市西部地域から長野新幹線・安中榛名駅などへのアクセス道として、また通学などバス路線に利用できる道路として地元の陳情を受けて計画された。
 1999年度から測量や用地買収などを行い、02年度に着工、約5年後には完成予定だったが、工事は03年度を最後に休止。これまでに約5千万円が投じられ、部分的に切り土工事などが行われたが、放置された状態が続いている。
 市建設部は休止について、大量の残土発生などで事業費が今後、約1億5千万円必要となり、当初計画を大幅に上回る事を挙げ、「費用対効果や財政状況を考慮して休止せざるを得なかった」と説明している。
 こうした状況に、陳情に加わった地元の男性(87)は「予算が厳しいことは分かるが、中断のまま放置するのではずさんすぎる」と市の対応を批判。一方、事業について、市監査委員が03年度の監査で「計画段階から慎重に検討するべきだった」と指摘するなど疑問視する声もある。
 06年度の市長就任以来、休止を続けている岡田義弘市長は「放置は税金の無駄遣い」と地元住民の批判を認めた上で、「十分に検討せずに事業着手した結果だ。厳しい財政状況が続いており、すぐに工事再開とはいかない」と話している。
(2010年4月21日東京新聞)
**********

 この記事から窺えることは、次の疑問です。

1)事業全体の約1割に当たる切り土工事が行われただけなのに、なぜ事業費約1.2億円のうち約0.5億円もの公金が投入されたのか。
2)なぜ、約240mのバイパスを新設するのに、約1億2千万円もの事業費(1mあたり約50万円)がかかることになっていたのか。
3)なぜ、市建設部は、大量の残土が発生するからとして、今後の事業費が約1.5億円必要になるとしているのか(当初の事業費と合わせると、約2.7億円に上る)。
4)なぜ、陳情を受け付けて、事業に至ったのか、その間の経緯が不明であること。

■その性格からすると、前市長の事業をすべて否定してきた岡田市長のことですので、本件についてどのような思惑があるのか、また、前市長当時の関係者の思惑についても、併せて分析すべく、当会としても情報公開で資料を入手し、検討を進めてゆく所存です。

 それにしても、口利きで人通りのない場所に立派な道路を作ったり、自分のウラにある檀家の寺の所有地をネコババして自分のうちの敷地にしたり、岡田市長のやることには目が離せません。岡田市長が安中市土地開発公社の理事監事時代に、土地不正取引方法の師と仰いでいた元職員タゴが、昨年秋にめでたく出所したことから、今後はさらに、こうして捻じ曲げられた公共事業の事例の増えることが懸念されています。

【ひらく会情報部】

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ウラジオストクの短い春(その4)

2010-04-18 08:11:00 | 国内外からのトピックス
■今回のウラジオストク訪問では、訪問先の代表者から、冒頭「日本からの飛行機の旅はどうでしたか。きのう(4月11日)はウラジオストクの近辺に乱気流があり、モスクワからの飛行機は着陸時、ずいぶん揺れたらしい。今、世界は飛行機の着陸に注目しています」と挨拶がありました。

 この背景には、今回の訪問直前、4月10日午前11時(日本時間10日午後4時)頃、ポーランド政府専用機が墜落し、乗っていたカチンスキ大統領夫妻をはじめ乗員乗客97人全員が死亡したと報じられたニュースがあるからです。


ウラジオストク空港の駐機場で翼を休める北朝鮮のツボレフTu154型機。後方3機はいずれも新型のTu204型機。

■代表者によると、2年前にも同じようなことがあり、ポーランドの大統領機がトビリシに着陸しようとして、乱気流で着陸が拒否され、アゼルバイジャンに着陸したことがあったそうです。

 同氏いわく「今回は、カチンでポーランドの代表団を待っていたが、2年前のことも考慮に入れて真相究明をしようとしています。大変悲惨な事故です。だから安全が第一なので皆さんも十分気をつけてほしい。レーベジという知事がいたがその知事も(2002年4月28日)飛行機(ヘリコプター)の事故で亡くなった。エリツイン時代にも墜落して政府高官がなくなったことがあります」とのこと。このようにロシアやCIS(旧ソ連邦)諸国では航空機事故が多いような気がします。

■ポーランドの大統領専用機は、1990年製のツボレフTu154型機でした。現在、成田とウラジオストクを結ぶウラジオストク航空では、ツボレフTu204型機もしくはエアバスA320型機を使用していますが、今まで3往復のうち、雪で2日遅れたときに一度Tu154型機に搭乗したほかは、いずれも新型のTu204型機が就航していました。

 このTu204旅客機の開発は、ソ連崩壊直前の1989年に始まり、初飛行はソ連崩壊後の1995年でしたが、主翼端にウイングレットが付いていて、外見は欧米のエアバスやボーイングと同じような格好をしています。1機あたり35億円程度という格安のため、Tu154型機の後継機として、ロシアやCIS諸国のほか、シリア、キューバ、北朝鮮、そして最近は西側からの注文も出始めています。


成田空港の駐機場の片隅で旅客を降ろすウラジオストク航空のTu204-300型機。

■ウラジオストク空港では、現在、滑走路の拡張工事の真っ最中です。これは、2012年夏にロシアが国家の威信をかけて開催を予定しているAPEC(アジア太平洋経済協力会議)に向けたインフラ整備の一環です。


ドイツのゼネコンによる空港拡張工事現場。

 2008年1月、当時のプーチン大統領はAPEC2012の中心業務地区(Central Business District=CBD)の諸施設の配置プランと建設・都市計画コンセプトを承認しました。会場はルースキー島のアヤスク湾に建設されますが、周辺インフラ建設など次の設備項目が挙げられています。
(1)上下水道、ウラジオストックとルースキー島に跨る(処理容量25万トン/日、2系統配管)
(2)ウラジオストック・クネフチ国際空港の拡張・近代化(3,000m滑走路+国際通関施設)
(3)金角湾自動車横断道路(2.1km)
(4)ボスポラス湾自動車横断道路(3.1km)
(5)空港・市内・ルースキー島間の高速道路(片道4車線)
(6)ルースキー島内のインフラ整備(道路、通信、電気、ガスなど)
(7)会議開催のメインホール(4千人収容)、プレスセンター、ホテル施設(1万500人)、医療センターなどの主会場
(8)船舶用ターミナル
(9)ウラジオストック市内整備事業

■このため、国際空港をはじめ、空港からウラジオストク市内に向かう道路の片側4車線化、ウラジオストク市内の金角湾を跨ぐ斜張橋、ウラジオストク市から東ボスポラス海峡を隔ててルースキー島に渡る斜張橋の工事が現在進行中です。このため、ウラジオストク市内のその他の建築工事では、作業員が不足していて作業が滞っているという情報もあります。


空港から市内に向かう道路の拡張工事現場。


金角湾を横断する橋の橋脚と、陸上部の橋桁を架設中。来るたびに光景が変わっている。

 ロシアでは、こうした事業に着手するまでに、いろいろな関係省庁の許認可取得に膨大な時間がかかり、たいてい工期が遅れる原因となり、工事期限が近付くと、昼夜兼行の突貫工事になるのが一般的ですが、APEC2012は、さすがにロシアの国家事業という位置付けから、プーチンが昨年12月に当地を訪れた際に「遅れは許されないが、手抜きも許さない。事業予算は1ルーブルたりとも、事業以外に使われてはならない」とハッパをかけています。

■この背景には、上記のような官僚主義の弊害のほかに、汚職の蔓延というロシアの実態があります。もっとも、日本も偉そうには言えない実情がありますが…。

 現地で聞いた話ですが、先年、ウラジオストクの副市長が、突然解任され、刑務所に送られました。原因は、ロシア中に巣くっているマフィアのうち、ウラジオストクに利権を持つ組織から賄賂を受け取ったことです。ただし、ロシアでは賄賂を受け取っても、その背景にあるマフィアの要求に応えれば、問題ないということです。

 この前副市長の場合は、賄賂をもらっても、マフィアの要求を無視したため、当局に密告されて御用となりました。刑務所に送られると、これまたマフィアの影響が塀の向こうにも及んでいるため、おそらく生きて出られないだろうという見方がされています。

■どこかの日本の自治体を彷彿とさせる話ですが、ロシアの場合は、実効はともかく、プーチン首相やメドベージェフ大統領が、汚職防止キャンペーンを熱心にやっています。他方、我らが日本国ではなぜか、不正経理が発覚しても首長は毅然たる態度を取ろうとせず、警察の立件に及び腰です。たまたま起訴されて有罪判決を受けても、公務員は、ほとんどの場合、もらった賄賂相当額を罰金として支払うだけで、懲役刑は執行猶予になり、塀の向こうに行くことはめったにありません。こうした実態を、日本国民はよく認識しておく必要があります。


空から見た空港ターミナル。


狭い国際線ロビーにも、2月に来た時はなかったコーヒーショップが営業中。来るたびに様子が変わっている。

【ひらく会情報部・海外取材班・この項おわり】

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