■平成20年8月20日(日)早朝に発生した首都高5号池袋船タンクローリー横転火災事故から、間もなく2ヶ月を経過しようとしていますが、9月25日付けで首都高速道路株式会社が発表したところによると、これまで暫定2車線運用を行なっていた板橋ジャンクション~熊野町ジャンクション間が、下り車線が10月2日(木)午後1時から、上り車線が10月14日(火)午後1時から、それぞれ全面開通となります。事故から2ヶ月たらずで、復旧のメドにこぎつけた首都高速道路会社の危機対応能力は、驚嘆に値します。
「すわっ、テロか」と社会を震撼させ、首都圏を中心に社会経済及び生活面で多大な損失を与えたのが多胡運輸所有の1台のタンクローリーによるものであることを、我々安中市民は知っています。ところが、この甚大な損害を起こした事故の原因、責任、真相、背景などについて、我々は全く知らされていません。このまま、10月14日に完全復旧すれば、人々の記憶から、この忌まわしい交通事故のことは急速に薄らいでいくことでしょう。そして、それを、心待ちにしている方々がいることも事実です。
そのような方々の強い想いに対して、首都高速道路株式会社はどのように対応するのでしょうか。その対応次第では、巷間で囁かれている政治的圧力というものが、どの程度のものか、推測できるかもしれません。現時点では、依然として多くの人たちが、事の成り行きを見守っていることは確かです。
■8月29日付の日経BPは、つぎのように報じています。
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【首都高速火災事故】首都高は損害賠償請求へ、タンクローリー所有会社の共済は応じられるか?
首都高速道路会社は8月28日、2008年8月の首都高速道路全体の交通量が2007年8月の実績と比べておよそ8%減少していると発表した。料金収入は1日当たり約5000万円減っている。
同社の藤井敏雄常務執行役員は、同日の記者会見で「事故に起因する収入減と復旧工事に要する費用は、タンクローリーの所有会社に請求する」と話した。交通量の減少は、天候やガソリン高の影響もある。首都高速道路会社では現在、事故による減少分を精査しているところだ。
一方、事故を起こしたタンクローリーを所有する多胡運輸(群馬県高崎市)は、日経コンストラクションの取材に対して「責任者がいないので答えられない」と回答した。
今後、首都高速道路会社が多胡運輸に損害賠償を請求した場合、多胡運輸が加入している関東交通共済協同組合の共済を使って賠償額を支払うとみられる。ただし、危険物を搭載するタンクローリーの損害保険や共済は、無制限の契約であっても、支払い条件を定めた様々な特約が付くのが一般的。多胡運輸や同組合が首都高速道路会社の請求に対してどこまで応じられるのかどうかは不明だ。同組合では「個別の契約内容に対してお答えできない」と話している。
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■首都高速道路会社は、多胡運輸に対して、本当に損害賠償請求をするのかどうか?
当会では、多胡運輸のお膝元の群馬県西部で、市民のネットワークを駆使して、情報収集に努めていますが、その結果、「最近、多胡運輸の代表者が雲隠れしたらしい」という非公式情報を入手しました。雲隠れした理由というのが、「18億円の請求が舞い込んだから」という話しもあります。
安中市民には、この情報を聞いて、「ああ、やっぱりな」と思い当たるフシがあります。安中市土地開発公社の51億円詐欺横領事件発覚後、忽然と安中市民の前から姿をくらましたり、事件のことについて口を閉ざした公社元職員の親族や事件関係者らの、当時の素行と共通するからです。
51億円事件の刑事裁判では、元職員の親族は、裁判所で証人尋問を受けた際に、裁判官に対して、事件への謝罪と、巨額損害の補填について、殊勝な言葉をたくさん話していました。しかし、実際には、事件の巨額の尻拭いには、安中市民の支払った税金がことごとく使われてきました。
この理不尽な結末に納得できない安中市民は、刑事記録を閲覧して事件の真相と背景を調べ、責任の所在を明らかにして、再発防止に努めようと、長年にわたり苦労を重ねてきました。そして、いまでもその努力は続いています。
■51億円横領事件は、刑事事件として立件されたため、警察が調べた情報が裁判所に提出されたため、ある程度は全貌がつかめています。ただし、全体の4分の1は、「関係者の平穏ね生活を脅かす恐れがある」(検察庁)として、閲覧できないため、事件の核心部分はいまだに闇に包まれたままです。
ところが、今回の首都高におけるタンクローリーの横転炎上事故は、刑事事件としては立件されていません。タンクローリーに乗っていた多胡運輸の運転手が、事故直後に、警察の聴取に対して「なにしろくたびれた」ということを言ったため、警察から情報をもらった地元の群馬県の運輸局が、8月5日に多胡運輸本社に無通告で立入監査を行い、労働条件等について調べらたことが、マスコミに報じられました。
しかし、運輸局の立入監査の結果はどうだったのか、いまだに公表されていません。国交省に情報開示請求をすれば、何か出してくれるかもしれません。何も出してくれないかもしれません。
既に立入監査から2ヶ月近く経過しているにも関わらず、何も発表がないところを見ると、やはり、何かの強い力が働いているに違いないと、推測せざるをえません。公社51億円事件で、安中市民はいやというほど、この得体の知れない力を痛感させられたためです。「このままもみ消しされて、うやむやに時間の彼方に追いやられるのではないか」というトラウマが付きまとうのです。
■本当に多胡運輸の代表者が雲隠れしたのか? その引き金の可能性があるのは、前述の報道にもあるように、首都高速道路会社からの損害賠償にかかる請求書の送付が為されたかどうかです。
そのため、当会では、9月28日(日)に、首都高速道路会社に、情報公開請求を行いました。請求の内容は「8月3日早朝の首都高速道路熊野町ジャンクション付近のタンクローリー横転炎上事故に起因する貴社の収入減と復旧工事に要した費用のうち、タンクローリーの所有会社に請求することを決めた金額」です。
同社からは、この請求情報が開示に馴染むか否か、検討したうえで、判断が下されるものと思われます。
まさか、泣き寝入りして、今回の事故に起因する莫大な損害を、一般利用者に転嫁することはないと信じておりますが、元職員の尻拭いを安中市民に対して平気で押し付ける役所の行状を見せ付けられているだけに、我々安中市民としては、僅かな懸念さえも払拭しきれていないのも事実です。けれど、民営化された同社の常識的な判断を期待したいと思います。
開示請求の経過については、今後とも都度報告します。
【ひらく会事務局】
写真:9月28日、暮れなずむタゴ運輸の様子と元請会社本社前の標語看板等
「すわっ、テロか」と社会を震撼させ、首都圏を中心に社会経済及び生活面で多大な損失を与えたのが多胡運輸所有の1台のタンクローリーによるものであることを、我々安中市民は知っています。ところが、この甚大な損害を起こした事故の原因、責任、真相、背景などについて、我々は全く知らされていません。このまま、10月14日に完全復旧すれば、人々の記憶から、この忌まわしい交通事故のことは急速に薄らいでいくことでしょう。そして、それを、心待ちにしている方々がいることも事実です。
そのような方々の強い想いに対して、首都高速道路株式会社はどのように対応するのでしょうか。その対応次第では、巷間で囁かれている政治的圧力というものが、どの程度のものか、推測できるかもしれません。現時点では、依然として多くの人たちが、事の成り行きを見守っていることは確かです。
■8月29日付の日経BPは、つぎのように報じています。
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【首都高速火災事故】首都高は損害賠償請求へ、タンクローリー所有会社の共済は応じられるか?
首都高速道路会社は8月28日、2008年8月の首都高速道路全体の交通量が2007年8月の実績と比べておよそ8%減少していると発表した。料金収入は1日当たり約5000万円減っている。
同社の藤井敏雄常務執行役員は、同日の記者会見で「事故に起因する収入減と復旧工事に要する費用は、タンクローリーの所有会社に請求する」と話した。交通量の減少は、天候やガソリン高の影響もある。首都高速道路会社では現在、事故による減少分を精査しているところだ。
一方、事故を起こしたタンクローリーを所有する多胡運輸(群馬県高崎市)は、日経コンストラクションの取材に対して「責任者がいないので答えられない」と回答した。
今後、首都高速道路会社が多胡運輸に損害賠償を請求した場合、多胡運輸が加入している関東交通共済協同組合の共済を使って賠償額を支払うとみられる。ただし、危険物を搭載するタンクローリーの損害保険や共済は、無制限の契約であっても、支払い条件を定めた様々な特約が付くのが一般的。多胡運輸や同組合が首都高速道路会社の請求に対してどこまで応じられるのかどうかは不明だ。同組合では「個別の契約内容に対してお答えできない」と話している。
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■首都高速道路会社は、多胡運輸に対して、本当に損害賠償請求をするのかどうか?
当会では、多胡運輸のお膝元の群馬県西部で、市民のネットワークを駆使して、情報収集に努めていますが、その結果、「最近、多胡運輸の代表者が雲隠れしたらしい」という非公式情報を入手しました。雲隠れした理由というのが、「18億円の請求が舞い込んだから」という話しもあります。
安中市民には、この情報を聞いて、「ああ、やっぱりな」と思い当たるフシがあります。安中市土地開発公社の51億円詐欺横領事件発覚後、忽然と安中市民の前から姿をくらましたり、事件のことについて口を閉ざした公社元職員の親族や事件関係者らの、当時の素行と共通するからです。
51億円事件の刑事裁判では、元職員の親族は、裁判所で証人尋問を受けた際に、裁判官に対して、事件への謝罪と、巨額損害の補填について、殊勝な言葉をたくさん話していました。しかし、実際には、事件の巨額の尻拭いには、安中市民の支払った税金がことごとく使われてきました。
この理不尽な結末に納得できない安中市民は、刑事記録を閲覧して事件の真相と背景を調べ、責任の所在を明らかにして、再発防止に努めようと、長年にわたり苦労を重ねてきました。そして、いまでもその努力は続いています。
■51億円横領事件は、刑事事件として立件されたため、警察が調べた情報が裁判所に提出されたため、ある程度は全貌がつかめています。ただし、全体の4分の1は、「関係者の平穏ね生活を脅かす恐れがある」(検察庁)として、閲覧できないため、事件の核心部分はいまだに闇に包まれたままです。
ところが、今回の首都高におけるタンクローリーの横転炎上事故は、刑事事件としては立件されていません。タンクローリーに乗っていた多胡運輸の運転手が、事故直後に、警察の聴取に対して「なにしろくたびれた」ということを言ったため、警察から情報をもらった地元の群馬県の運輸局が、8月5日に多胡運輸本社に無通告で立入監査を行い、労働条件等について調べらたことが、マスコミに報じられました。
しかし、運輸局の立入監査の結果はどうだったのか、いまだに公表されていません。国交省に情報開示請求をすれば、何か出してくれるかもしれません。何も出してくれないかもしれません。
既に立入監査から2ヶ月近く経過しているにも関わらず、何も発表がないところを見ると、やはり、何かの強い力が働いているに違いないと、推測せざるをえません。公社51億円事件で、安中市民はいやというほど、この得体の知れない力を痛感させられたためです。「このままもみ消しされて、うやむやに時間の彼方に追いやられるのではないか」というトラウマが付きまとうのです。
■本当に多胡運輸の代表者が雲隠れしたのか? その引き金の可能性があるのは、前述の報道にもあるように、首都高速道路会社からの損害賠償にかかる請求書の送付が為されたかどうかです。
そのため、当会では、9月28日(日)に、首都高速道路会社に、情報公開請求を行いました。請求の内容は「8月3日早朝の首都高速道路熊野町ジャンクション付近のタンクローリー横転炎上事故に起因する貴社の収入減と復旧工事に要した費用のうち、タンクローリーの所有会社に請求することを決めた金額」です。
同社からは、この請求情報が開示に馴染むか否か、検討したうえで、判断が下されるものと思われます。
まさか、泣き寝入りして、今回の事故に起因する莫大な損害を、一般利用者に転嫁することはないと信じておりますが、元職員の尻拭いを安中市民に対して平気で押し付ける役所の行状を見せ付けられているだけに、我々安中市民としては、僅かな懸念さえも払拭しきれていないのも事実です。けれど、民営化された同社の常識的な判断を期待したいと思います。
開示請求の経過については、今後とも都度報告します。
【ひらく会事務局】
写真:9月28日、暮れなずむタゴ運輸の様子と元請会社本社前の標語看板等