市政をひらく安中市民の会・市民オンブズマン群馬

1995年に群馬県安中市で起きた51億円詐欺横領事件に敢然と取組む市民団体と保守王国群馬県のオンブズマン組織の活動記録

「不退去罪で現行犯逮捕するぞ!」弁護士の指示に従った藤岡署員が示す警察の中立性と行政の犯罪性の比較衡量

2024-12-23 01:56:11 | 藤岡市内保安林を巡る行政犯罪

20241220藤岡市役所窓口で来訪を告げる

■藤岡市在住の当会会員が、平成6年に購入した山林が、知らない間に平成9年に群馬県により保安林指定され、治山を名目に止水工など治山ダムが6基設置されたが、実際には1基しか現場に見当たらず、ダム設置工事の為のアクセスとして藤岡市が作った林道すら、山林所有者の同意を得ないまま造られたため、これらの是正と原状復旧を求めて、県や市に長年に亘り、要請を続けています。

 さらに保安林指定されたら樹木の伐採が制限されるはずなのに、地元の多野東部森林組合が、京都議定書によるCO2削減を名目にした補助金事業として「森林管理」を装い、山林所有者に無断で林道の造成や森林の間伐などの申請を藤岡市に行い、伐採したナラの木をシイタケ栽培の原木として売り払うなど、やりたい放題の無法状態で、山林所有者である当会会員は多額の損失を被りました。

 そのため、当会会員は、多野東部森林組合を相手取り損害賠償請求訴訟を提起しましたが、組合の顧問弁護士はインチキ文書を裁判所に提出し、裁判官もその虚偽文書を信用し、当会会員の請求を矮小化して実質敗訴判決を言い渡したのでした。

 当会会員は、年齢も80歳となり、保有する山林の利活用を真剣に検討し、八方手を尽くした結果、関心を示した太陽光発電事業者を見つけました。しかし保有山林が保安林指定されているため、売買が出来ません。そのため、藤岡市や群馬県に保安林指定手続きをお願いしていますが、行政は徹底してシカトを続けています。

 それにもかかわらず、当会会員は群馬県知事、藤岡市長、多野東部森林組合長に対して数々の要請書、上申書などにより、善処を求めてきました。すると、県も市も森林組合も、いずれも「代理人」と称して、弁護士を盾に、当会会員との接触を避けるようになりました。

 群馬県知事が代理人として業務を委嘱したのは、現在群馬弁護士会の会長をしている関夕三郎弁護士です。また、藤岡市長が代理人に任命したのは、高橋三兄弟法律事務所です。ちなみに、多野東部森林組合の顧問弁護士は飯塚理弁護士です。

 当会は悪徳行政の被害を長年に亘り被って来た藤岡市在住の会員から8年前の2016年から情報提供を受けて、この問題に取り組んできました。被害届、告発状、行政訴訟などありとあらゆる手段を尽くしましたが、事態は何ら改善されませんでした。群馬県、藤岡市、多野東部森林組合とも、これまでの主な経緯に関するブログ記事は、次のURLをご覧ください。
○藤岡市内保安林を巡る行政犯罪

■役所の犯罪とも言うべき、およそ法治国家を自認する我が国の行政とは思えぬこの所業を、なんとか諫めようと、今年5月9日付で当会会員が藤岡市の新井雅博市長あてに次の上申書を提出し、5月15日に市役所で藤岡市代理人を交えての面談を申し入れました。

****5/9市長あて上申書******
                             令和6年5月9日
〒375-8601群馬県藤岡市中栗須327番地
藤岡市役所
市長 新井 雅博 様
電話:0274-22-1211(代表)
ファクス:0274-24-3252

               〒375-0054藤岡市上大塚1758-1番地
                株 式 会 社清 水 企 画
                取 締 役 会長 清 水   剛   印
                電話:0274-24-5413
                ファクス:0274-24-8823

               上 申 書
件名:藤岡市内の民有林を巡る不適切な現状(保安林台帳・森林簿・補助金・迂回路・納税・林道などを含む)の早期是正に関する緊急協議について

 藤岡市上日野にある私が所有する民有林およびその周辺では、長年に亘り、様々な不具合が発生しているにもかかわらず、依然として不適切な状況が解消されていません。
 この件では、貴殿が統括する市長部局の関連部署に都度報告し、問題の解決に向けて相談をしてきましたが、一部の部署では、「藤岡市代理人(法人受任)と称する群馬県高崎市八千代町二丁目1番1号に所在する弁護士法人高橋三兄弟法律事務所の弁護士らを通じてのみ対応しない」との見解が示されています。
 このように当方の財産にもかかる重大な事案なので、再三にわたり善処をお願いしてきましたが、成果が見られません。これまで以上に本件に関して積極的な対応をお願いしたく、藤岡市代理人を交えたかたちで、下記に示す要領にのっとり本件に関する初回協議を、ここに上申いたします。
 ご回答は、令和6年5月10日(金)17時までに文書で上記連絡先までFAXないし電話でご連絡のほどよろしくお願い申し上げます。
                 記
1 日 時  令和6年5月15日(水)午後2時から
2 場 所  藤岡市役所
3 出席者  藤岡市側 市長、藤岡市代理人、市長部局及び藤岡建設部、森林課、納税課各担当責任者
       住 民 側 藤岡市在住当事者、取引先事業者、市民団体代表者
4 議 題  藤岡市数々の杜撰な公開質問と弁護士の回答及び、その他について。
                              以上

=====別紙=====

1 亀穴峠市道・林道の位置付けとこれまでの経緯及び今後の取扱いについて?

2 藤岡市上日野の民有林に設定した保安林及びその関連事業の課題について?

3 平成9年5月9日土地使用・保安林指定筆界未定地の新井市栄承諾書について?

4 平成9年5月9日土地使用・保安林指定筆界未定地の新井誠一承諾書について?

5 平成8年5月頃当時69区・区長の戸川一弘の保安林申請書公文書について?

6 保安林指定調査地図と称するマイラー図について?

7 平成22年2月12日伐採及び伐採後造林計画適合通知書96林班12-5小班について?

8 平成24年6月頃「筆界未定地」でありながら山林所有者に無断で保安林を敷設したことについて?

9 平成24年~25年頃同姓同名の新井誠一に対する保安林の税還付金と間伐事業補助金の支出について?

10 平成24年~25年頃同姓同名の松田良一に対する96林班間伐事業の補助金の支出について?

11 保安林に係る公文書の保存期間は永年であるが、令和2年12月11日「治山事業なので10年過ぎたので農林課にはありません」と真下担当職員が廃棄処分したことについて?

12 平成21年3月4日藤岡市指令農林第69号補助金交付決定通知81,369,441円の根拠について?

13 令和6年4月25日藤岡市納税相談課の尾形照彦・宇佐見勝一ら担当職員が当方の事務所に来て「納税通知何度も出していた。徴収できなかった」と話したが、当方から「保安林の還付金の件は」と聞いたところ、「その話は弁護士を通してくれ」と答えた件について?

14 その他について?
                             以上
**********

 すると、藤岡市代理人と称する弁護士事務所から次の回答が、5月10日に送られてきました。

*****5/10藤岡市代理人からの「ご連絡」*****

                        令和6年5月10日
清 水   剛  殿
          (〒370-0861)群馬県高崎市八千代町二丁目1番1号
                弁護士法人 高橋三兄弟法律事務所
                TEL. 027-325-6603/FAX.027-325-9936
                  藤岡市代理人(法人受任)
                    弁護士 高 橋 伸 一
                    弁護士 福 島 翔 也
                    弁護士 清 水   卓

             ご 連 絡

前略 当職らは、藤岡市の代理人として、貴殿の令和6年5月9日付「上申書」と題するに書面に対し、以下のとおりご連絡いたします。

1 貴殿より、藤岡市に対し「藤岡市数々の杜撰な公開質問と弁護士の回答及び、その他について」、藤岡市役所内での対面協議の申し入れを受けておりますが、当方としては、現状、対面協儀の必要はないと考えており、対応することは出来かねます。
2 貴殿からの質問に関しては、何度か書面で回答しているところです。仮に新たな質問事項等があるのであれば、書面にて当職ら宛にご連絡ください。必要な範囲で対応を検討させていただきます。
 繰り返しになりますが、市にご連絡いただいても対応出来ませんので、今後のご連絡は当職ら宛にお願いいたします。
 以上、よろしくお願いいたします。
                                草々
**********

 藤岡市代理人は「貴殿からの質問に関しては、何度か書面で回答しているところです」と回答していますが、彼らの回答というのは、いつも次のような文面です。




■このように、代理人は「回答する立場にありません」「10年前に回答した通りです」などと、突き放したかたちの紋切り型の短文でしか、返事をしようとしません。そのため、この問題について行政の事務事業の当事者である市職員と相対で協議する必要を痛感していている当会会員は、再度上申書を提出しました。

**********
                               令和6年5月12日
〒375-8601群馬県藤岡市中栗須327番地
藤岡市役所
市長 新井 雅博 様
電話:0274-22-1211(代表)
ファクス:0274-24-3252
               〒375-0054藤岡市上大塚1758-1番地
                株 式 会 社清 水 企 画
                取 締 役 会長 清 水   剛   印
                電話:0274-24-5413
                ファクス:0274-24-8823
              上 申 書(2)
件名:藤岡市内の民有林を巡る不適切な現状(保安林台帳・森林簿・補助金・迂回路・納税・林道などを含む)の早期是正に関する緊急協議について(再要請)

 藤岡市上日野にある私が所有する民有林およびその周辺では、長年に亘り、様々な不具合が発生しているにもかかわらず、依然として不適切な状況が解消されていません。
 この件では、5月8日付で上申書をお送りしたところ、5月11日に藤岡市代理人(法人受任)と称する群馬県高崎市八千代町二丁目1番1号に所在する弁護士法人高橋三兄弟法律事務所の弁護士らから、別紙の文書が郵送で届きました。
 この文書を拝見しますと、「藤岡市代理人を通してほしい」という貴殿の指示に基づいて、「藤岡市代理人とこの問題について協議をしたい」とする当方の上申を貴殿が拒んだように読めますが、このような指示を藤岡市が代理人に貴殿の意向として伝えたのでしょうか?
 仮に、貴殿がこのような意向を、代理人に伝えたとすれば、代理人との相対での面談すら拒否したことになります。
 その場合、藤岡市は社会に影響力を及ぼす行政機関であるにもかかわらず、行政と直接の利害関係を持つ納税者・市民(ステークホルダー)に、その活動や権限行使の予定、内容、結果等の報告をする説明責任を放棄していると言わざるを得えません。
 このような無責任な判断は許されません。よって、既にお送りした上申書に下記した日時のとおり、藤岡市役所に赴きますので、しかるべく藤岡市の説明責任者(藤岡市代理人を含む)を待機させていただくことをここに要請いたします。
                 記
1 日 時  令和6年5月15日(水)午後2時から(2時間程度)
2 場 所  藤岡市役所
3 出席者  藤岡市側 市長、藤岡市代理人、市長部局及び藤岡建設部、森林課、納税課各担当責任者
       住 民 側 藤岡市在住当事者、取引先事業者、市民団体代表者
4 議 題  藤岡市数々の杜撰な公開質問と弁護士の回答及び、その他について
                                      以上
**********

 すると、当会会員に対して藤岡市代理人は、急遽FAXで以下の文面を送り付けてきました。

*****5/13藤岡市代理人からの「ご連絡」*****

2024年5月13日13時35分 高橋三兄弟法律事務所  NO.0780 P.1
                        令和6年5月10日
清 水   剛  殿
Fax.0274-24-8823
          (〒370-0861)群馬県高崎市八千代町二丁目1番1号
                弁護士法人 高橋三兄弟法律事務所
                TEL. 027-325-6603/FAX.027-325-9936
                  藤岡市代理人(法人受任)
                    弁護士 高 橋 伸 一
                    弁護士 福 島 翔 也
                    弁護士 清 水   卓

             ご 連 絡

前略 当職らは、藤岡市の代理人として、貴殿の令和6年5月9日付「上申書」と題するに書面に対し、以下のとおりご連絡いたします。
1 繰り返しになりまずが、当方としては、現状、対面協議の必要はないと考えておりますので、5月15日に来庁いただいても対応できません。
  当職ら5月10日付「ご連絡」書でも記載した通り、貴殿からの質問に関しては、何度か書面で回答しているどころであり、仮に新た質問事項があるのであれば、書面にて当職ら宛にご連絡いただくようお伝えしております。貴殿との協議を拒否しているわけではなく、今後書面でのやり取りを通じた後、必要であると判断すれば対面での協議をすることに何らの支障はありませんので、当方の意向を曲解なさらぬよう申し添えます。
2 なお、来庁いただいても対応できないと繰り返しお伝えしているにも関わらず、5月15日に来庁され、仮に市職員の業務を妨害した場合には、公務執行妨害罪、業務妨害罪、退庁に応じない場合には不退去罪等、刑事罰の対象となることもあり得ますので、その旨申し添えます。
                                草々
**********

 この時は、このFAXを警察に示して相談したところ、「無用なトラブルに巻き込まれると、これまでの努力が水の泡になりかねないので、当日市役所を訪問するのは控えた方がよい」とのアドバイスを受けたため、当会会員は納得できないものの、結果的に市役所を訪れることはしませんでした。

■その後も当会会員は粘り強く藤岡市役所に電話をし、ようやく担当職員に話を聞いてもらえる目途がついたことから、今回、再度、市側と協議する時期が熟したと判断し、事前に警察にもその旨告げたところ、特段、「やめるように」とのアドバイスもなかったので、12月20日午後4時に市役所で藤岡市代理人を交えて協議をしたい旨、上申書で申し入れました。

*****12/18藤岡市長あて上申書*****
                         令和6年12月18日
〒375-8601群馬県藤岡市中栗須327番地
藤岡市役所
市長 新井 雅博 様
電話:0274-22-1211(代表)ファクス:0274-24-3252
               〒375-0054藤岡市上大塚1758-1番地
               株 式 会 社清 水 企 画
               取締役会長 清 水   剛  印
               電話:0274-24-5413
               ファクス:0274-24-8823
             上 申 書
件名:藤岡市内の民有林を巡る不適切な現状(保安林台帳・森林簿・補助金・迂回路・納税・林道などを含む)の早期是正に関する緊急協議について

 藤岡市上日野にある私が所有する民有林およびその周辺では、長年に亘り、様々な不具合が発生しているにもかかわらず、依然として不適切な状況が解消されていません。
 この件では、貴殿が統括する市長部局の関連部署に都度報告し、問題の解決に向けて相談をしてきましたが、一部の部署では、「藤岡市代理人(法人受任)と称する群馬県高崎市八千代町二丁目1番1号に所在する弁護士法人高橋三兄弟法律事務所の弁護士らを通じてのみ対応しない」との見解が示されています。
 このように当方の財産にもかかる重大な事案なので、再三にわたり善処をお願いしてきましたが、成果が見られません。これまで以上に本件に関して積極的な対応をお願いしたく、藤岡市代理人を交えたかたちで、下記に示す要領にのっとり本件に関する初回協議を、ここに上申いたします。
 ご都合について、折り返し文書で上記連絡先までFAXないし電話でご連絡のほどよろしくお願い申し上げます。
                 記
1 日 時  令和6年12月20日(金)午後4時から約1時間半程度
2 場 所  藤岡市役所
3 出席者  藤岡市側 藤岡市代理人、市長部局担当責任者
       住 民 側 藤岡市在住当事者、市民団体代表者
4 議 題  保安林指定手続きの経緯、関連する固定資産税の取扱い、間伐事業補助金の支出先など
                                 以上
**********

 当会会員は、上記上申書をFAXで市役所に送信した後、藤岡市役所の農林課長に電話をして、「12月20日午後4時に訪問するので森林簿の不実記載など諸々の問題に関して説明してもらいたい」と打診したところ、同課長は「少し広いが、第一会議室で、暖房を入れて待っている」との連絡をもらいました。

 そのため、当会会員は、市民オンブズマン群馬の代表の筆者を伴い、12月20日午後3時50分ごろ自宅を出発しましたが、途中で書類を入れたカバンを忘れたのに気が付き、一旦引き返した後、午後4時5分ごろ藤岡市役所に到着しました。

 そして、市役所の受付窓口で「農林課長がいるのか」と尋ねて、1階ロビーの右手の奥の相談コーナーで座って待っていたところ、黒っぽい背広を着た、一見反社組織を連想させる風体の人物2名が近づいてきました。そして当会会員と筆者に対して、「今日は、話が出来ないので引き取り願いたい」という趣旨の話をし始めました。


20241220藤岡市代理人からの圧力

 当会会員は「あんたは誰だ?」と訊ねると、黒装束の2名のうち、リーダー的な感じのひとりが「弁護士の福島だ」と名乗りました。もうひとりは「私は弁護士の清水だ」と名乗りました。福島と名乗る人物は当会会員に、清水と名乗る人物は筆者に対して、「帰れ」の一点張りで、詰め寄ってきました。

 当会会員は「私は事前に市役所に連絡を取り、聞きたい事があるのでここに来た」と弁護士を自称する福島と名乗る人物に説明しましたが、弁護士と称する人物は一方的に「帰ってくれ」の一点張りで、当会会員の説明を聞こうともしませんでした。そのため当会会員は「説明をしてもらわない限り、帰れない」と答えると、福島と名乗る人物は「警察を呼ぶ」と切り出しました。

 当会会員は、「どうぞ呼んでくれ」と言い、筆者も「なんなら、私のほうで呼びましょうか」と持ち掛けると、福島と名乗る人物は自ら携帯電話を取り出し、藤岡署に電話をしました。


20241220藤岡署から警察官4、5名が市役所に到着
https://youtu.be/wAWgS4xTnsg

 するとまもなく、藤岡署から4~5名の警察官が現場にやってきました。当会会員は、中島巡査(あとで警部補と判明)ともうひとりの若手の警察官に対して、なぜ我々が市役所にやってきて協議をする必要があったのか、その理由について丁寧に説明をしました。


20241220藤岡署警察官が当会会員に事情聴取
https://youtu.be/lcTEwTxSkyo

 しかし、警察の内部で、当会会員が長年に亘り直面してきた保安林を巡るさまざまな問題について、情報共有が不十分と見えて、警察官側はなかなか理解できない様子でした。

 そうするうちに、午後5時になり、なかなか退去しそうにない当会会員と筆者の様子を前に、藤岡市代理人の弁護士事務所に所属する弁護士らは、イライラ感を募らせました。そして、とうとう「まだ帰らないのか。なんども帰るように言ったのに、拒否し続けると不退去罪で警察に逮捕を要請するぞ」と脅し始めました。

 当会会員は「逮捕するなら、してくれ」と話しました。すると、業を煮やした高橋三兄弟法律事務所の福島と名乗る弁護士は、藤岡署の警察官にコソコソと何やら耳打ちをし始めました。耳を澄まして聞いていると、当該弁護士は「これから、(中島巡査の)面前で、自分がハッキリと『退去しなさい』とこの二人に告げるので、それを証拠に不退去罪で現行犯逮捕をしてもらいたい」と藤岡署員に指示をしました。

 そして、ひそひそ話を聞いた藤岡署員が頷くと、当該弁護士は居住まいを正し、直立姿勢を取ってから、我々に「帰れと何度も伝えた。なのに、未だにここに居座っているので、ここに正式に通告する。ただちに退去しろ!」と告げました。

 それを聞いた藤岡署員は、「そういうわけだから、ここから退去してもらいたい」と、弁護士の指示に従うような発言をしました。最初に市役所に駆け付けた時は「自分たちは中立だ」と言っていましたが、結局、弁護士と称する人物の指示には逆らえないようです。

 当会会員は、「事前に市職員に連絡をしてあり、その職員は『会議室の暖房を入れておく』と話していたのに、警察官がこのような態度をとるとはもってのほか。法律を破り、市民の財産である山林を8万㎡以上のっとっている藤岡市の見方をするのが警察なのか?逮捕するというが容疑は一体何か?」と抗議しました。しかし、藤岡署員は、しきりに弁護士のほうを気にしながら、次第に逮捕に踏み切る姿勢をし始めました。

 この様子を見ていた筆者は、「職員が会議室を用意して待っていると言ったのに、藤岡市長の代理人の弁護士を自称する人物が、『職員は誰も合わない』と断言し、この言葉を藤岡市長の発言として発している限り、ここに居ても埒が明かない。この場所は市役所の執務スペースではなく、パブリックスペースなので、本当に不退去罪が適用になるのかどうか、逮捕されてみるのも一つの選択肢だが、留置場はもっと寒いので、そろそろ帰ることにするか」と呟きました。当会会員も「そうするか」と同意したため、午後4時52分ごろロビーを出ることにしました。

 しかし、高橋三兄弟法律事務所所属の弁護士2名がしつこく付きまとうのは目障りなので、藤岡署員には「まず、この連中から先に退去してもらいたい」と告げました。


20241220ようやく市役所ロビーから退去させたと藤岡市代理人に報告する藤岡署員
https://youtu.be/rfEs74VfGbI

 その後、当会会員と筆者は、おもむろに市役所の玄関から外に出て、車内で暖をとりつつ、関係する市職員らに電話をしてみると、「弁護士から、ぜったいに午後4時に来庁する市民にあってはならないと言われた」ことがわかりました。それでも、車の外では、暗闇の寒さの中、藤岡署員のふたりは、ずっと待機を続けていました。

 不憫に思った当会会員は、藤岡署員らに「寒いから帰りなよ」と声を掛けると、警部補は「ふたりが帰るのを見届けないと、我々は署に戻れないので」と答え、藤岡市代理人の指示を厳守する決意のほどがうかがえました。

 そのため、当会会員は車を出したのですが、その後を警察の覆面パトカーがぴったりついてきます。そこで当会会員は一旦市役所前のとおりを進んだのですが、途中で折り返し、市役所の駐車場から自宅のある方向に近い出口の方に進路を変えて走行すると、なんと覆面パトカーも後をついてきます。市街地に出て、信号機に差し掛かり、ちょうど赤信号に代わるタイミングで通過すると、さすがにそこから覆面パトカーはついてこなくなりました。

 こうして、2回目の藤岡市役所との直談判は空振りに終わりました。当会会員は今後の対応について当会と相談しながら検討したいとしています。

■前回の市役所訪問通告に引き続き、今回も藤岡市代理人弁護士から妨害され、不退去罪での現行犯逮捕という事態に直面し、危く逮捕されそうになりましたが、この問題では、2023年3月に当会が藤岡市内の山林における虚偽の保安林設定により、民間同士による山林の売買取引に対して行政権限を盾に妨害を続ける群馬県知事と藤岡市長に対して威力業務妨害の容疑で告発状を提出しようとしたことがあります。

 昨年3月18日15時30分に当会は群馬県警捜査二課の中島刑事と面談し、当会会員と事業者により群馬県知事、藤岡市、多野東部森林組合に関する告発書を提示し、事情説明を行い、受理してもらいたいと申入れました。

 中島刑事の話は、「本件の事情や経緯はこれまでにも聞いており、今回の説明を聞くと、治山ダムや道路や保安林手続きの犯罪対象となるとされる行為の時期については、すでに時間が経過しており、時効の定義が適用されることになってしまうと思うが、唯一、偽計業務妨害はそうした定義とは別に現在直面している事件ということで、受理の可能性があるかと思う。しかし、自分のいる捜査二課は詐欺横領や公選法違反などの知能犯罪が担当であり、偽計業務妨害罪の犯行は捜査一課が担当となるので、あらためてそちらの方に相談してみてほしい」というものでした。

 そのアドバイスに基づき、2023年5月に改めて偽計業務妨害罪にかかる告発状を県警捜査1課に持参し、受理を求めたところ、捜査1課の刑事は「この告発状は弁護士もしくは司法書士に予め内容を精査してもらった文書なのか。そうでない限り、受理できない」として、写しすらしようとせず、問答無用で追い返されました。

■こうして、この問題は、我が国の森林行政を巡る補助金の不正受給にかかる森林組合を舞台にした巨額の行政犯罪の一環として、警察や検察、そして裁判所も機能不全の症状を呈しています。

 当会は、引き続き、藤岡市在住の当会会員に寄り添い、この問題の解決に向け尽力する所存です。

【2025/01/19追記】
 上記のブログ記事のとおり、当会代表と藤岡在住会員が、昨年末の12月20日に事前に訪問のアポイントを取ったうえで、藤岡市役所を訪問した際、藤岡市代理人と称する高橋三兄弟法律事務所の弁護士2名が、我々の訪問を阻止しようとした上に、「直ちに退去しないと警察を呼ぶぞ」と威嚇し、当会代表が「どうぞ呼んでください。何なら、こちらから藤岡署に来庁を要請しましょうか」と、警察の仲介で、弁護士らの横暴を諫めてくれるのではないか、と期待したのですが、結果的に、市役所に来庁した藤岡警察署員らのリーダー格の警部補が、弁護士らにベッタリ付き添うかたちで、藤岡住民と付き添いの当会代表に対して、「いまから数を10数えるから、それまでに退去しないと逮捕するぞ」と逮捕予告しました。
 なぜ、警察が高橋三兄弟法律事務所所属の弁護士らにこうもへりくだるのか、疑問に感じていたところ、当会副代表の元警察官から1月18日の定例会の席上、「それは、次の報道記事を見れば明らかだ」と教えていただきました。
**********上毛新聞2022年7月5日
この人 高橋伸二さん(81) ーーーー県公安委員長に就任
「範を示し」免許返納


 「県民の代表として、公正かつ誠実に警察の管理に努めたい」。前橋市の県警本部で開かれた就任会見で、県民目線で取り組む決意を述べた。
 県内は昨年、刑法犯認知件数が戦後最少を記録した。一方、特殊詐欺被害者や交通事故死者に占める高齢者の割合は高く、対策強化が必要と指摘する。
 大の車好きで、初めて買った車は米国車。その後もドイツ車など多くの車を乗り回したが、委員長就任前に運転免許証を返納した。東京・池袋で起きた暴走事故や家族の後押しなどを踏まえ、「加害者となる恒例運転手は多い」として決断したという。「公安委員長という役職を頂いたので、自分も覚悟を決めて範を示さなければならないと思った」と話す。
 弁護士として長年県内で活動する。藤岡市内の建物がオウム真理教の拠点として使われていた際には、退去に向けて取り組んだ。元プロボクサーという異色の経歴も持つ。ボクシングは強いパンチをもらわないために、怖くても相手に近づく必要があるという。この経験から「全てのことに怖がらず、堂々と立ち向かえるようになった」と笑う。
 目指す姿は実家の裏山に生えていたケヤキ。大雪が降ると雪の重みで竹が倒れたが、ケヤキ近くの竹だけは倒れなかった。「ケヤキのように人を支えられる人間になりたい」と力強く語った。
(高木大喜)
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たかはし・しんじ
 中央大法学部卒。群馬弁護士会長、日本弁護士連合会副会長などを歴任した。現在、高崎ボクシングジムオーナーや上毛倶楽部理事長、群馬交響楽団理事などを務める。1日付で委員長就任。富岡市七日市。
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 なるほど、そういうことなのか、と腑に落ちた次第です。

【市民オンブズマン群馬事務局からの報告】
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「東邦亜鉛が本業の亜鉛精錬から撤退!」で揺れ動く安中製錬所の周辺農地の土壌汚染対策はどうなるの?

2024-12-20 23:29:20 | 東邦亜鉛カドミウム公害問題

空から俯瞰した東邦亜鉛安中製錬所の様子

■12月19日の午後1時49分に地元のかたから、「東邦亜鉛の安中製錬所が亜鉛精錬から撤退するという情報を知り合いから聞いた」と筆者に電話がありました。さっそくネットで検索してみると、次の記事が見つかりました。

**********MIRU(Metal Information Resources Universe) 2024年12月18日18:59
東邦亜鉛 24年度末までに亜鉛製錬から撤退 二次亜鉛原料などに注力――阪和と業務提携
 東邦亜鉛が安中製錬所(群馬県安中市)の亜鉛製錬の一部ラインを2024年度末までに停止、環境ダストリサイクルの熔融設備に切り替える計画であることが18日わかった。小名浜製錬所の亜鉛焙炒炉と付随する硫酸工程も停止する。同日の発表資料などで、その方針を示した。亜鉛事業を対象に最大160人の希望退職も募る。また、同日には阪和興業と国内外における鉛・銀製品の拡販、鉱石・リサイクル原料の供給などで業務提携することも発表しており、一連の対策で事業再生を目指す。
 安中製錬所の亜鉛製錬の一部ラインの変更は、「事業再生計画および第三者割当増資の概要」などで示した。亜鉛製錬事業の今後の活動方針として、24年度末までに主要亜鉛精錬設備を停止すると明記。27年度以降、環境ダストリサイクル熔融設備の新設による二次亜鉛原料販売と貴金属回収を計画として、新たな方向性を示している。25‐26年度の2年間で溶融設備などの導入を進める。35億円を投資するという。
 小名浜製錬所については、亜鉛焙炒炉と付随する硫酸工程も停止する一方、既設の硫酸タンクを利用した濃硫酸の購入販売と薄硫酸の製造販売を継続、また24年10月に開始した新規事業であるLIBリサイクル事業に注力する。
 同日発表の阪和興業との業務提携は、①国内外における鉛・銀製品の拡販、鉱石およびリサイクル原料の供給、②製品および原料の相場価格変動のリスク低減の支援または価格ヘッジにかかわる負担の軽減――が柱になるとしている。
 事業面での支援を阪和興業から受けながら、アドバンテッジパートナーズ(AP)、辰巳商会に第三者割当増資を実施、75億円の資金を調達することで、事業再生を目指す。
 24年3月期の決算(連結)は、売上高が前の期比10.3%減の1308億300万円、純損失は464億5200万円だった。25年3月期の連結最終損益は54億円の赤字予想となっている。
(IRuniverse G・Mochizuki)

**********日本経済新聞2024年12月18日 18:53
東邦亜鉛、第三者割当増資で75億円調達 経営建て直しへ
 東邦亜鉛は18日、投資ファンドのアドバンテッジパートナーズ(AP、東京・港)などを引受先とした第三者割当増資で、計75億円を調達すると発表した。市況変動や高コストな鉱山運営で財務体質が悪化している。増資で財務基盤を改善するほか資源事業の撤退など不採算事業の整理や希望退職にも取り組み、経営の建て直しをめざす。
 2025年2月に開く臨時株主総会の承認を得た上で第三者割当増資を実施する。APに加えて、運送業の辰巳商会(大阪市)からも5億円の出資を受ける。同時に阪和興業とも業務提携し、製品や鉱石の調達と販売面での強化をめざす。今後は鉛・銀の製錬を軸として、リサイクル事業を拡大していく。
 不採算事業の整理では25年3月期までに群馬県安中市の製錬所などの設備を停止する。オーストラリアに3カ所持つ亜鉛や鉛鉱山のうち2カ所を直近で売却しており、残る1カ所も早期に処分する。希望退職は亜鉛製錬の設備停止に伴い募集する。募集は25年2月から募り最大160人を見込む。
 同日、25年3月期の連結最終損益が54億円の赤字(前期は464億円の赤字)になる見通しだと発表した。売上高は前期比11%減の1162億円、営業損益は32億円の黒字(前期は6億9000万円の赤字)を見込む。

**********上毛新聞2024年12月19日06:00
東邦亜鉛 安中製錬所(群馬・安中市)の製錬設備停止へ 希望退職者募集、配置転換も

東邦亜鉛安中精練所=2021年
 東邦亜鉛(東京都港区)は18日、事業再生計画を発表し、2025年3月末までに亜鉛製錬事業の主力工場、群馬県の安中製錬所(安中市)の主要設備を停止することを明らかにした。設備停止に伴い希望退職者の募集や配置転換を行う。同製錬所では27年4月以降、亜鉛をリサイクルする新事業を計画しており、事業再編に乗り出す。

**********毎日新聞2024年12月19日
東邦亜鉛、創業地・群馬の製錬設備停止へ 25年3月末、事業再編

夜景で知られる東邦亜鉛安中製錬所=群馬県安中市中宿で2012年10月2日午後7時46分、角田直哉撮影
 東邦亜鉛(本社・東京都)は18日、事業再生計画を発表し、2025年3月末までに亜鉛製錬事業の主力工場である安中製錬所(群馬県安中市)の主要設備を停止することを明らかにした。同社の亜鉛製錬事業に従事する従業員については、今後、希望退職者の募集や配置転換を行うとしている。【庄司哲也】
 安中製錬所は、1937(昭和12)年に設立され、同社の創業地でもある。JR安中駅の裏手にある小高い山の斜面をはうように広がる製錬所は、夜景で有名なスポットになっている。現在約230人の従業員が在籍する。
 計画によると、亜鉛製錬事業は市況変動が大きく価格転嫁が困難な事業環境であるのに加え、近年の電力料金やエネルギー価格の高止まり、亜鉛鉱石の市況悪化で高コストの事業となっていた。また、これをカバーするため進出していたオーストラリアの3カ所の鉱山事業は操業不調で、大きな損失が出ていた。
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■上記のとおり、今年度末を目途に安中製錬所での亜鉛精錬事業を停止し、その後、鉄鋼ダストなどから亜鉛などを回収するリサイクル事業に転換するための設備投資をして2027年度から新事業を開始する方針であることがわかります。

 この報道に接し、現在筆者の住む安中市野殿地区では、カドミウム公害問題の原因者である東邦亜鉛安中製錬所から排出されて長年に亘り周辺部に降り注いでいる重金属を含む降下煤塵に起因する土壌汚染の解消のため、30年前から計画推進中の公害防除特別土地改良事業(公特事業)に対して、どのような影響があるのか、地元として大きな衝撃が走っています。

 東邦亜鉛安中製錬所を巡るカドミウム公害に長年取り組んできた安中緑の大地を守る会(前身は安中公害訴訟原告団)の事務局によると、今年の新春に東邦亜鉛(株)本社で執り行われた新春賀詞交換会に出席した安中市の岩井均市長に対して、同社トップから「将来的に安中事業所でリサイクル事業を計画している」との説明が有ったということで、さっそく市長のFace Bookをチェックしました。

**********岩井均Face Book 2024年1月12日(抜粋)
都内で開かれた【信越化学工業(株)新年賀詞交歓会】に参加し、斉藤社長や上野専務、群馬事業所の佐藤所長や土居事務部長等と懇談しました。
群馬では「西の信越、東のSUBARU」と言われる位、売上高や利益がある超優良企業であり、安中市の雇用や税収、地域活動等で大きく貢献して頂いています。
その後、東邦亜鉛(株)に伺い、伊藤社長等と懇談しました。安中製錬所は今後、リサイクルに力を入れていくとのこと。SDGsを推進する企業として素晴らしい取組だと思います。
本市として両社は、東京に本社がある2大上場企業です。今後も企業と市が連携協力し、本市の発展を図りたいと存じます。

(当会注:左から岩井均・安中市長、今井力・東邦亜鉛取締役(監査等委員)、伊藤正人・東邦亜鉛代表取締役社長、大久保浩・東邦亜鉛常務執行役員総務本部長)

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 また、今年4月6日に開催された同社安中製錬所の工場視察会でも、筆者の質問に対して、会社側から「スラグ置場を空っぽにしているのは、新事業の立ち上げを想定している」という趣旨の説明がありました。ところが、新事業についての具体的な説明を参加者から求められても、会社側の司会者は「現時点では未定で、自分自身も知らないし承知していない」の一点張りでした。
○2024年4月14日:三分咲きのサクラの中で開催された東邦亜鉛安中製錬所第33回工場視察会の一部始終(後編

 ということは、今年の始めには同社の上層部として、苦境を打開するための方策として、事業転換については既に相当な議論を交わしていて、「環境リサイクル事業に舵を切る」方針が決まっていたものとみられます。

 前述の通り、同社の2024年3月期の決算(連結)は、売上高が前期比10.3%減の1308億300万円、純損失は464億5200万円であり、今回12月18日公表の2025年3月期の連結最終損益予想は売上高が前期比11%減の1162億円、営業損益は32億円の黒字(前期は6億9000万円の赤字)を見込むものの、連結最終損益は54億円の赤字(前期は464億円の赤字)としています。

 東邦亜鉛の財務履歴を見ると、財務基盤の指標となる自己資本比率が昨年末から急落しており、一時2.8%を記録したあと、現在も6.4%と低迷しています。


 通常、自己資本比率が50%以上の場合は、一般的に優良企業という評価がされています。また、自己資本比率が20%~49%の場合は、標準的な資金力であると言えます。一般に、自己資本比率が40%以上あれば財務は比較的安定していると考えられ、倒産リスクは低いと判断されることが多いようです。

 そして自己資本比率が19%以下の場合は、資金力が低い状態とみなされます。すぐに経営状態が悪化するとは言い切れないものの、業種や事業内容によっては負債総額が資産総額を上回る「債務超過」のリスクも考えられます。

 東邦亜鉛の場合は、自己資本比率が一時、一桁台の2.8%まで落ち込んだだめ、債務超過のリスクが現実的となったことから、支援してくれる相手を必死で見つけ出す必要があったわけです。なぜなら、自己資本比率がマイナスの場合はすでに債務超過の状態になるため、全資産を売却しても負債を返済することはできなくなるからです。

■今回、環境リサイクル事業に活路を見出す方針を打ち出した東邦亜鉛ですが、種々の金属、そしてLIB(リチウムイオン電池)や太陽光パネルのリサイクル事業は、既存および新規参入企業も多いように見受けられます。そのため、一にも二にも技術的なアドバンテージを持ち合わせているかが、事業転換の成否のカギを握ります。

 このため、同社が記者発表したような筋書き通りに行くかどうか、いずれにしても、今後2、3年はイバラの道が待ち受けているのではないかと危惧されます。

 同社のHPに掲載されている公表資料や、増資に応じたアドバンテッジパートナーズ(AP)社のHPの記事などから、東邦亜鉛の取締役9名のうち、過半数の5名が70億円と引き換えに第三者割当増資を受けるAP社からの派遣者が占めることとなるようです。AP社の増資分70億円のうち30億円が優先株式となることから、実質的に東邦亜鉛はAP社に身売りしたようなかたちです。既存の株主がこの増資を受け入れるかどうかは来年2月27日の臨時株主総会次第ということで、まだまだ東邦亜鉛の動向から目が離せません。

 資本金146億円(来年2月に75億円増資予定)の東邦亜鉛の株価は本日の時点で542円とあり、年初来の安値でストップ安となっていますが、AP社への優先株式は1株1000円で300万株あり、劣後株式は1株256.6円で1754万株と乱発しており、これでは投資家の間で嫌気がさすのも無理有りません。

 今年4月の東邦亜鉛安中製錬所における工場視察会後の質疑応答で、会社側から「スラグ置場を新事業の為空っぽにする」という説明がありましたが、これは鉄鋼ダストや各種メタルダストなど、都市鉱山的な産業廃棄物を原料としてストックするためであることが、今回の同社の記者発表で裏付けられたことになりました。

 また、安中製錬所では電解工程を廃止し、環境ダストリサイクル熔融設備を導入し、これまでの電解工程で生じた残差をロータリーキルンに投入して蒸し焼きにして粗酸化亜鉛を回収したプロセスではなく、高温の溶融炉で、各種業界工程から発生する環境ダストを溶かし、亜鉛や鉛を揮発させて酸化亜鉛や酸化鉛で回収するプロセスに変えるようです。

 そうすると、公害防止設備もそれに対応したものにする必要があると思いますが、どこまで降下ばいじんが減らせるのか、注目したいと思います。

 資本構成が大幅に変動するため、地元の公特事業に対する東邦亜鉛の姿勢がどのように変わるのか否か、来春4月上旬に実施予定の安中製錬所工場視察会で、会社側がどういう対応や説明をするのか、大変関心が持たれます。

■また、来年度と再来年度は、安中製錬所における亜鉛精錬事業がストップするわけで、同社の売上高が相当量落ち込むことは必至で、この間、基盤・成長事業として東邦亜鉛が期待する「鉛、環境リサイクル、電子部品、電解鉄」が思惑通り年間40億円以上の利益を生み続け、その他の事業で損失が出ないかどうか、綱渡りだと思います。安中製錬所もリストラの嵐が吹き荒れるのでしょうが、そうなると公特事業の推進についても、東邦亜鉛は政治力を使い、されにあれこれ先送りするための圧力を行政に加えるのではないか、と懸念されるところです。

 引き続き、今後の同社の動静について、公特事業推進委員会の会長を仰せつかっている筆者として、重大な関心を向けてゆく所存です。

【市民オンブズマン事務局からの報告】

※参考情報
**********2024年12月19日15:00
群馬県「情報収集進める」――東邦亜鉛の亜鉛製錬事業撤退による安中製錬所一部停止で
 2024年度末をめどに亜鉛製錬事業からの撤退を表明した東邦亜鉛の事業再生の動きを受けて、主要拠点である安中製錬所がある群馬県では情報収集を急いでいる。県の担当課では「昨日の今日で新聞報道以上の情報は手元にまだない。安中製錬所とは19日朝も連絡をとったが、会社から直接話を聞く機会も今後出てくると思う」と、事態の推移を注視している。

**********レイルラボ2024年12月20日17:02更新22:53
“安中貨物”廃止へ…東邦亜鉛、2024年度末に亜鉛製錬事業を停止

EH500形 2018年03月03日撮影©レイルラボ FM-805Dさん
 大手非鉄金属メーカーの東邦亜鉛(とうほうあえん)は、2024年12月18日付けで事業再生計画の事業支援を目的とした阪和興業との業務提携契約を締結したと発表しました。
 同社は、不採算事業からの撤退・再編計画として、2024年度末までに主要亜鉛製錬設備を停止するとのこと。このためJR信越線 安中駅近くの安中精錬所(群馬県)なども閉鎖されるとみられ、鉱石を運搬する貨物列車輸送「通称:安中貨物」が終焉を迎えることとなりそうです。
 安中貨物は、東邦亜鉛が福島・小名浜製錬所から群馬・安中製錬所へ焼鉱を輸送するために、福島臨海鉄道から常磐線・高崎線・信越線等を経由して運転されている貨物列車。同社は1969(昭和44)年から、専用タンク貨物列車「東邦号」の運行を開始。現在はJR貨物EH500形電気機関車が、トキ25000形貨車やタキ1200形を牽引しています。

トキ25000形 2018年03月03日撮影©レイルラボ FM-805Dさん

タキ1200形 2024年08月11日撮影©レイルラボ Tsurugi2999さん

**********上毛新聞2024年12月20日06:00
「群馬を代表する工場」「停止は残念」…東邦亜鉛の安中製錬所設備停止で

東邦亜鉛安中製錬所(2012年撮影)。夜景の名所としても知られている
 東邦亜鉛(東京都港区)の亜鉛製錬事業の主力工場である安中製錬所(群馬県安中市)の主要設備停止の発表から一夜明けた19日、地元関係者から「残念だ」との声が広がった。
 県商工会議所連合会の金子昌彦会長(68)は「安中というより県内を代表する工場だったので残念だ」と述べた。
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