市政をひらく安中市民の会・市民オンブズマン群馬

1995年に群馬県安中市で起きた51億円詐欺横領事件に敢然と取組む市民団体と保守王国群馬県のオンブズマン組織の活動記録

録音あるのに口利きを否定?誤解を招くので政務官を辞任?官僚出身政治家の無責任の真骨頂!

2019-08-30 23:50:00 | 政治とカネ
■保守王国群馬県が生んだ自民党の上野宏史・厚生労働政務官が秘書に激怒して発した言葉が録音され、これをネタに外国人労働者の在留資格認定証明書の交付をめぐる口利き疑惑が8月20日に週刊文春により報じられてから9日目の8月28日、上野氏は政務官を辞任しました。同日公表したコメントでは「法令(あっせん利得処罰法)に反する口利きをした事実はない。報道は大変遺憾だ」とした上で、辞任の理由を「政務官の立場にあることで誤解を招きかねない」などと説明しました。この間、直接説明する記者会見などは一切開かれず、結果として説明責任を果たさないまま政務官を辞任しました。これで事が済まされてはますます政治とカネの構図が蔓延ってしまいます。呆れた辞任劇を報道記事から見てみましょう。

**********上毛新聞一面2019年8月29日


上野政務官が辞任 口利き疑惑「誤解招きかねない」
 自民党県連所属で厚生労働政務官の上野宏史衆院議員(比例南関東)は28日、外国人労働者の在留資格を巡る週刊文春の口利き疑惑報道を受け、政務官を辞任した。上野氏が辞表を提出し、政府が持ち回り閣議で決定した。自民党幹部によると、9月の内閣改造まで後任は置かない方向だ。上野氏は事務所を通じてコメントを発表し、違法な口利きをした事実はないとした上で「誤解を招きかねないと」して辞任を決意したと説明した。【関連記事2面】
 野党は、事実関係の説明が不十分だと批判。安倍晋三首相の任命責任を含め、秋の臨時国会で追及する構えだ。
 上野氏はコメントで、週刊文春の報道に関し「法令に反する口利きや、あっせん利得処罰法に触れる事実はない」と強調。辞任理由は「政務官の立場にあることで誤解を招きかねないとの指摘もある」「体調を崩し役所に出ることがままならない」とした。
 厚労省関係者によると、上野氏は8月16日を最後に登庁していなかった。
 週刊文春によると、上野氏は東京都内の人材派遣会社が関わった在留資格認定証明書を迅速に交付するよう法務省に働き掛ける見返として、同社から現金を受け取ろうと計画したとされる。
 上野氏は外国人労働者の技能実習を巡り、業界団体や地域の要望を聞く厚労省内の検討チームのトップを務めていた。
 県連の星名建市幹事長は「残念の一言に尽きる。辞任本人の判断だろう。県連にも説明はなく、今後の推移を見守りたい」と述べた。根本匠厚労相は辞任を受け「政治活動については一人一人の政治家が国民に不信を持たれることのないように常に自らが襟を正し、説明責任を果たすべきもの」とのコメントを出した。
 上野氏は衆院当選2回、参院当選1回。2010年に参院選比例代表で旧みんなの党から初当選し、12年衆院選で日本維新の会から群馬1区へ出馬し当選。14年は無所属で1区に出馬したが、落選。17年に比例代表南関東ブロック単独候補として自民が擁立し、当選した。18年10月から厚労政務官を務めていた。義父は上野公成元官房副長官。

**********上毛新聞二面2019年8月29日

野党 上野氏に説明要求 口利き疑惑首相責任も追及
 野党は28日、外国人労働者の在留資格を巡る口利き疑惑を週刊誌で報じられた自民党の上野宏史厚生労働政務官の辞任に関し、上野氏自ら事実関係を説明するように求めた。安倍晋三首相の任命責任も含めて徹底的に追及する方針で、速やかな臨時国会の開催が必要だと訴えていく。
 立憲民主党の長妻昭代表代行は「なぜ辞任なのか判然としない。記者会見を開いて説明してもらう必要がある。徹底的にうみを出し切らなければならない」と国会内で記者団に語った。逢坂誠二政調会長は取材に「事実をはっきりさせないで、ただ辞めればいいというものではない」と述べ、上野氏の対応は不十分だと批判した。
 国民民主党の玉木雄一郎代表は党本部で記者団に「辞任は当然で遅すぎる」と言明。疑惑解明へ秋の臨時国会を前倒しするよう与党に要求する考えを明らかにした。
 共産党の小池晃書記局長は取材に「疑惑が全て事実なら、政務官辞任にとどまらず議員辞職すべきだ。自民党の対応も問われる」と強調した。
 日本維新の会の馬場伸幸幹事長は「早期に自ら釈明すべきだ。政務官を辞めるのはその後だ」と指摘した。社会党の吉川元・幹事長は「あっせん利得の可能性がある。何があったのか、本人が説明しないといけない重大な問題だ」と語った。
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「違法口利きない」
○上野氏>>>>>
 上野宏史厚生労働政務官による外国人在留資格の申請を巡る口利き疑惑は、先週発売の週刊文春が報じた。人材派遣会社の申請が認められるよう法務省に問い合わせ、見返りに金銭を得ようとしたとの内容だ。上野氏はこの報道後、公の場に姿を見せず、辞任した28日に「法令に反する口利きをした事実はない」とコメントを出しただけだった。識者からは対応を疑問視する声も上がる。
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「金銭求めようと」
○週刊文春>>>>>
 週刊文春によると、東京都内の人材派遣会社が今年2~6月に外国人の187人分の在留資格を認定するよう申請。上野氏側は、速やかに申請が認められるよう法務省外局の出入国在留管理局に問い合わせ、その見返りに金銭を求めようとした疑いがあるとしている。
 文春が根拠としたのは、6月19日に録音された上野氏と秘書が交わしたとされる会話の内容だ。上野氏とされる男性は、申請のうち13件の許可が出たと知ると、「じゃあ26万戻ってきてください」「(人材派遣会社から)お金をもらう案件になっている」と秘書とみられる男性に指示。これに対し、秘書とみられる男性が「あっせん利得罪になる」と抵抗する会話が残っていた。
 日大の岩井泰信教授(政治学)は「(報じられた内容だけでは)あっせん利得に当たると判断するのは難しい」としながら「音声内容は国会議員としてふさわしくない。政務官を辞任したとしても疑惑は残る。自ら事実関係を明らかにし、国民への説明責任を果たすべきだ」と批判した。

**********毎日新聞2019年8月29日 14時14分(最終更新 8月29日 15時15分)
政務官辞任の上野氏について公明・北側副代表「記者会見すべきだ」
 公明党の北側一雄副代表は29日の記者会見で、自民党の上野宏史厚生労働政務官が辞任したことについて「(本人が)会見の場にきちんと出てきて説明責任を果たすべきだ」と述べた。辞任は、週刊文春で外国人労働者の在留資格を巡る口利き疑惑を報じられたことを受けたもの。上野氏は「法令に反する口利きをした事実はない」と疑惑を否定するなどのコメントを発表したが、公の場での説明はしていない。
 一方、菅義偉官房長官は会見で「政治家は、国民に不信をもたれることのないよう、常に自らの襟を正し、説明責任を果たすべきだ」と述べたが、上野氏が説明責任を果たしているかどうかの判断は避けた。【村尾哲、高橋克哉】

**********朝日新聞2019年08月29日23時39分JST
口利き疑惑の上野宏史厚労政務官 辞任は「誤解招かぬため」
「法令に反する口利きをした事実はない。報道は大変遺憾だ」とした上で、辞任の理由を「政務官の立場にあることで誤解を招きかねない」などと説明している。

口利き疑惑の上野厚労政務官 辞任は「誤解招かぬため」
 自民党の上野宏史・厚生労働政務官(48)=衆院南関東ブロック=は28日、外国人労働者の在留資格認定証明書の交付をめぐる週刊文春の口利き疑惑報道を受け、政務官を辞任した。同日公表したコメントでは「法令(あっせん利得処罰法)に反する口利きをした事実はない。報道は大変遺憾だ」とした上で、辞任の理由を「政務官の立場にあることで誤解を招きかねない」などと説明した。
 上野氏は経済産業省出身で、参院当選1回、衆院当選2回。昨年10月から厚労政務官として労働政策などを担当していた。報道を受けて直接説明する記者会見などは開かず、説明責任を果たさないまま辞任した。
 政府は9月に内閣改造があることから後任は置かず、もう一人の厚労政務官に兼務させる方針だ。国民民主党の玉木雄一郎代表は「辞任しても事実関係が消えるわけではない。説明責任をしっかり果たすべきだ。(安倍晋三首相の)任命責任もある」と記者団に語った。

**********時事通信社2019年08月28日18時59分
上野厚労政務官が辞任=在留資格で口利き疑惑

上野宏史厚生労働政務官
 政府は28日の持ち回り閣議で、自民党の上野宏史厚生労働政務官(48)=衆院比例代表南関東ブロック=の辞任を決めた。上野氏には外国人労働者の在留資格取得をめぐり口利きした疑惑が浮上。責任を問う声が強まり、関係者に辞意を伝えた。
 野党は国会で追及する構え。7月の参院選に勝利し、安倍晋三首相が長期政権の総仕上げに入ろうとするタイミングだけに、自民党には「政権運営にマイナス」(幹部)と影響を懸念する声が出ている。
 上野氏は辞任後に文書を発表。「法令に反する口利きをした事実はない」と反論しつつ、「誤解を招きかねないとの指摘があり、体調を崩し役所に出ることもままならない」と辞任の理由を説明した。

記者団に囲まれながら、首相官邸に入る根本匠厚生労働相=28日午後、東京・永田町
 根本匠厚労相も談話を出し、「国民に不信を持たれることのないよう常に襟を正し、説明責任を果たすべきだ」と強調した。内閣改造・党役員人事を9月半ばに控えるため、後任は当面置かない。
 週刊文春は先週、東京都内の人材派遣会社が在留資格を申請した外国人に関し、上野氏側から法務省に問い合わせる見返りに金銭を求めたなどと報道。野党から批判が上がり、自民党内にも「説明できないなら辞めさせるしかない」(中堅)と突き放す意見が出ていた。
 上野氏は経済産業省出身で衆院当選2回。2010年参院選で旧みんなの党から初当選。12年衆院選で日本維新の会からくら替え当選を果たし、その後、自民党に移った。昨年10月の第4次安倍改造内閣発足時に厚労政務官に就いた。
 最近の政務三役では、4月に不適切発言で桜田義孝五輪担当相と塚田一郎国土交通副大臣(いずれも当時)が辞任している。

**********週刊文春2019年9月5日号(8月28日発売)
口利き疑惑で辞任 上野厚労政務官がコーヒーぶちまけ金銭要求
 「週刊文春」(8月29日号)が報じた外国人在留資格を巡る口利き疑惑を受けて、辞任を表明した上野宏史厚生労働政務官(48)。この口利きの際、上野氏が、コーヒーの入ったカップを床に投げつけるなどして、お金を要求するよう、秘書に強要していた疑いがあることが、「週刊文春」の入手したメモでわかった。
 上野氏の「口利き疑惑」とは、人材派遣会社「ネオキャリア」(本社・東京都新宿区)が派遣する外国人の在留資格について法務省に口利きすることで、同社からカネを得ようと画策したもの。小誌が先週号で入手、公開した政策秘書A氏との打ち合わせの録音データには「100人だから(1件2万円で)200万円」「ネオキャリアからお金もらう案件でやってんだから」などの生々しい音声が含まれていた。

上野宏史厚労政務官(右) ©共同通信社
 なぜ、このような録音があるのか。A秘書から相談を受けた永田町関係者が新事実を明かす。
「問題の音声は今年6月19日のものですが、実はその前日にも、上野氏は『1件回答するごとに2万円もらう契約をしているんだ』などとA秘書に告げているのです。その際、上野議員はかなり高圧的に秘書に、金銭を要求した。あっせん利得処罰法に抵触する行為を平然と指示するのみならず、秘書にも金銭を要求することにAさんは衝撃を受け、事務所退所を決意。その日は録音していたわけではなく、即座にやり取りを備忘録として詳細にメモした。自らの身を守るため、翌日は上野氏とのやり取りを録音したのです」
 メモには「こっちは相手と1件回答するごとに2万円もらう契約をしているんだ、これではとれないじゃないか!」などと激高する様子が記されている。

6月18日のメモ
 上野氏が「何件回答しているんだ?」と問い詰め、A秘書が「11件程度」と答えると上野氏は「11件×2万円の22万円Aさんが払ってください」とも主張し、「もしこれがうまくいかなかったら、全体で100件だから200万円払って下さい」と言っている。
 上野事務所に、「1件につき2万円」発言などの確認を求めたが、個別の事実確認には答えず、「あっせん利得処罰法に触れる事実はありません」との旨、回答した。

投げつけられて割れたカップ
 上野氏の強圧的な金銭要求が1回だけではなかったことが明るみに出たことで、上野氏の議員としての資質を問う声が上がりそうだ。
 8月29日(木)発売の「週刊文春」では、官邸主導の上野氏への事情聴取の模様や、表舞台から姿を消した上野氏の最近の言動などについても詳しく報じている。

**********日刊ゲンダイDIGITAL 2019年08月29日 15時00分
口利き疑惑で辞任も…“雲隠れ”上野厚労政務官に詐欺未遂の可能性

どこが「しかるべき対応なのか(左から根本厚労相、上野議員)/(C)共同通信
 外国人労働者の在留資格をめぐって、法務省への「口利き」疑惑が浮上し、28日、厚労政務官を辞任した上野宏史衆院議員。問題が発覚してもロクに説明しないで逃げ回り、次は「体調不良」を理由に雲隠れ。
 そして、いよいよ逃げ切れないと分かったら要職を辞任してチョンだ。
 公選法違反の疑いで経産相を辞任した小渕優子衆院議員、UR(独立行政法人都市再生機構)をめぐる口利きワイロ事件で経産相を辞めた甘利明衆院議員など、自民党はいつもこのパターンで「疑惑隠し」しているが、今回こそ逃げ得は許されないだろう。
 週刊文春によると、上野氏は6月、都内の人材派遣会社が在留資格を申請していた外国人について早期に認定が下りるように法務省に求め、1人当たり2万円の報酬を会社から得ることを画策していたという。疑惑が報じられると、上野氏は厚労政務官でありながら役所に姿を見せず、沈黙を貫いていたが、文春が9月5日号で音声テープに続き秘書が残していたメモの存在を報じた途端、逃げ切れないと思ったのだろう。「誤解を招きかねない」などと言って根本厚労相に辞表を提出した。
 上野氏は27日に公表された年金の「財政検証」の担当だ。それなのにナ~ンも仕事せずに行方をくらましていたなんて冗談じゃない。根本厚労相は「しかるべく対応する」なんてのんきなことを言っていたが、すぐに上野氏を引っ張り出してメディアの前で説明させることが「しかるべき対応」だろう。このままノラリクラリはぐらかし、結局、問題ナシとか結論付けるのだろうが、国民を愚弄するにもホドがある。
 上野氏の行為はあっせん利得処罰法違反との指摘もあるが、逮捕することはできないのか。元特捜検事で弁護士の郷原信郎氏がこう言う。
 「甘利氏のケースでは、巨大な政治的影響力を背景に口利きをしたことが明らかで、あっせん利得処罰法違反の可能性が高いと言える。しかし、上野氏に甘利氏ほどの影響力があるかというと疑問です。むしろ、自らに影響力があるかのように見せかけ、人材派遣会社からカネを受け取ろうとしたのなら、詐欺未遂の可能性がある。倫理上の問題も大きく、議員辞職が妥当でしょう」
 仮に上野氏がN国党入りなんて事態になったら、もはやマンガだ。
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■前回の記事で当会が示唆したこと、すなわち出身政党の「みんなの党」と最近会派を組んだN国党に入党したら、原点回帰となるわけで、日刊ゲンダイもこの茶番劇が起こる可能性について言及しています。

 こうした事件があとを絶たないのは選ぶ方の国民にも責任があります。官僚出身の政治家の素行には、選挙民として特に今後も注意が必要です。

【9月26日追記】
 上野宏史衆院議員の口利き疑惑のその後の報道記事です。
**********産経新聞2019年9月2日
【主張】厚労政務官辞任 説明なき雲隠れ許されぬ
 厚生労働省の政務三役という要職にありながら自らの所掌分野で不適切な行為に手を染める。言語道断の所業である。
 政務官を辞任した自民党の上野宏史衆院議員のことだ。外国人労働者の在留資格取得で口利き疑惑が浮上した。辞任は事実上の更迭だろう。
 報酬を得ることを目的とした国会議員による公務員への口利きは、あっせん利得罪に問われかねない行為である。
 ましてや上野氏は、外国人労働者の在留資格のあり方を研究する同省検討チームのトップを務めていた。この問題に対する不信を高めた責任も極めて重い。
 やましいところがないというのなら、まずは国民の前に出てきて記者会見し、公人として当然の説明責任を果たすべきである。
 発端は週刊文春の報道だ。上野氏は、在留資格をめぐって口利きを行う見返りに、外国人の派遣企業に金銭を求めていたとの疑惑が報じられた。上野氏は辞任後のコメントで「法令に反する口利きをした事実はない」と釈明した。
 法令に反しない口利きとは何かを聞いてみたい。捜査当局が事実関係を調べるのは当然である。
 上野氏は辞任理由について「誤解を招きかねないとの指摘があり、体調を崩し、役所に出ることがままならない」としている。
 有権者を愚弄している。この既視感は何なのか。明確な説明もなく、言い訳だけして体調不良を理由に雲隠れするのでは、ただの逃げ口上にしかみえない。国会議員の進退は自らが決めることだとしても、この一点だけで議員の資質に疑問符がつく。野党には国会で厳しく追及してもらいたい。
 今年4月、外国人労働者の受け入れ拡大を図る改正入管法が施行され、新たな在留資格が設けられた。法務省の入国管理局も出入国在留管理庁へと格上げされた。
 その前から、外国人技能実習生への低賃金や違法残業、賃金未払い、暴行が発覚していた。悪質ブローカーによる人身売買まがいの所在不明事件も多い。この是正が上野氏の役割だったはずだ。自ら悪質ブローカーまがいのことをして国民が納得すると思うのか。
 安倍晋三首相の任命責任は大きい。首相は9月に内閣改造と自民党役員人事を行うが、議員の資質をしっかりと見極めるべきだ。もはや政権内の不祥事は許されぬと厳しく認識すべきである。

**********週刊文春2019年9月12日号(9月5日発売)
ZIP ⇒ 20190905ttlicj.zip
ワイド「9月はさよならの国」
 竹内まりやの名曲「September」では、振られた女心を「♪そして九月は さよならの国」
と歌うが、今の日本もさよならに満ちている。口利き議員は役職と、フィギュアの新星はコーチと、ギャルの教祖は「M」なる男と……。小誌は秋になってもスクープと別れません!
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特捜部が重大関心 上野宏史全政務官の悪だくみ音声
 「通常、四、五カ月かかるやつを一カ月半ぐらいでこれ出しました。ということでいいですか?」
 「むしろ次から次にジャンジャン新規案件をもらったほうが通る可能性ある」
 この新たな音声データの声の主は、自民党の上野宏史衆院議員(48)。小誌が外国人在留資格を巡る口利き疑惑を報じてから一週間後の八月二十八日に突如、厚生労働政務官を辞任すると表明したが、口利きを巡る闇は深まるばかりだ。

ネオ社が上野氏に送った申請一覧表

言い訳の「文書」
 小誌が直撃取材をした八月十六日以降、仕事を他の政務三役に押し付け“登庁拒否”していた上野氏は、最後まで雲隠れ。辞任の理由をA4一毎の文書で公表したが、《法令に反する口利きをした事実はありません》と主張しながらも、〈体調を崩し役所に出ることがままならない〉から辞任するとした。
 「公明党の北側一雄中央幹事会会長が『記者会見の場に出るべき』と批判するなど、与党内にも庇う声は一切ありません。十月からの臨時国会で野党が攻勢を強める前に、今後、離党や、最悪、議員辞職もありえるでしょう」(政治部デスク)
 上野氏の疑惑は、人材派遣会社「ネオキャリア」(以下ネオ社)が派遣する外国人の在留資格について法務省に少しでも早く許可がでるよう口利きすることで、同社からカネを得ようと画策したもの。小誌は、上野氏が政策秘書A氏との打ち合わせの席で「ネオキャリアからお金もらう案件でやってんだ」「一件につき二万円」などと語る生々しい録音データを入手、公開した。検察担当記者が語る。
 「今、特捜幹部が注目しているのは上野氏とネオ社をつないだ女性経営者N氏です。上野氏がネオ社から直にカネをもらわず、N氏の会社を経由して金銭を得ようとしていた可能性をにらんでいます。森本宏特捜部長は、以前、上野氏の義父・上野公成氏の官房副長官秘書官を務めていて、上野氏側の人脈や事情に通じていることも追い風です」
 既に、ネオ社からN氏にカネが渡っていることは小誌も確認済みだ。取材に対し、ネオ社は「今年六月一日、(N氏の会社と)コンサルティング契約をしました」と答え、N氏も、「(ネオ社が)私にお金を払ってくれている」と認めている。そのN氏が上野氏と“悪だくみ”する音声をさらに小誌は入手した。これはすでに公開した六月十九日の録音の翌日、上野氏がN氏を議員会館に呼び、打ち合わせを行った際のものだ。冒頭の上野氏の発言もその一部である。
 N氏は口利きの手間をネオ社に伝えることで、金額を吊り上げようと画策する。
N氏「私、手間がすんごいかかるって、ちょっと、わざと(ネオ社に)言っていて(笑)。言った方が値上でできるんで~。(略)高値で売りたいですよね」
上野氏「 許可も極力速やかに出すようにするので、そこで二万ずつ手数料もらうだけでも、 まあ月に百万でも入れば」
N氏「そう。私ももうちょっと値上げとか取れる所があると思ったんで(後略)」
上野氏「三とか五(万円)にするとか」
 まさに口利きをして利得を得るための計画の一端だ。上野事務所は「(以前)貴誌からの取材にお答えした通り」とだけで、 個別の質問には答えない。N氏は新たな音声データのやり取りは「事実です」と認めた上で、値上げの話などは「ネオ社に請求するコンサルティング報酬について」と言い、「上野議員に、パーティー券購入も含め金銭の提供をした事実もなく、その予定もない」と答えた。
 安倍政権の看板政策を政務官自らが食い物にしようとした悪質な問題。上野氏は疑惑について、記者会見を開いて説明すべきだろう。

**********NHK政治マガジン2019年9月11日
【注目の発言集】
口利き報じられた上野議員 離党や議員辞職しない考え


 外国人労働者の在留資格をめぐって口利きを行ったなどと報じられ、厚生労働政務官を辞任した自民党の上野宏史衆議院議員は、記者団に対し、違法な行為はしていないとして、離党や議員辞職をする考えはないことを強調しました。
 自民党の上野宏史衆議院議員は、先月、「週刊文春」で、外国人労働者の在留資格の認定をめぐって、法務省に口利きを行う見返りに東京都内の人材派遣会社に金銭を求めていたなどと報じられたのを受けて、厚生労働政務官を辞任しました。
 上野氏は、11日、辞任後初めて自民党本部を訪れ、党幹部と面会したあと記者団の取材に応じ、「地元の支援者や周りの方々に心配をかけ、大変遺憾に思っている。党側からはしっかり説明責任を果たすよう話があった」と述べました。
 一方で、「違法な口利きをしたり金銭を受け取ったりした事実はない。違法なことをしているわけではない」と述べ、離党や議員辞職をする考えはないことを強調し、引き続き議員活動を続ける意向を示しました。

**********週刊プレジデント2019年9月25日09:00
悪徳政治家と"出稼ぎ留学生"をつなぐ利権の闇
政務官辞任は氷山の一角でしかない

 8月に厚生労働政務官を辞任した自民党の上野宏史氏は、外国人労働者の在留資格を1件2万円で口利きしようとした疑惑が報じられた。ジャーナリストの出井康博氏は「外国人労働者の急増に伴い、政治家たちの利権も膨らみ続けている。今回の疑惑は、氷山のごく一角が露呈したにすぎない」と指摘する――。

厚生労働政務官を辞任する原因となった口利き疑惑について記者の質問に答える自民党の上野宏史衆院議員=2019年9月11日(写真=毎日新聞社/アフロ)
★外国人のビザ審査をめぐり、疑惑が浮上
 『週刊文春』のスクープで、厚生労働政務官を務めていた上野宏史・自民党衆院議員の“口利き疑惑”が発覚した。外国人の在留資格審査に関して法務省に口利きをし、見返りとして民間の人材派遣会社からカネを受け取ろうとしたとの疑惑である。1件の口利きにつき「2万円」といった秘書らとやりとりの録音まで暴露された。
 国会議員や秘書が公務員への口利きによって報酬を受け取れば、「あっせん利得処罰法」に問われる。また、口利きに効果があったように装ってカネを取った場合は、詐欺罪の対象となる。上野氏は疑惑を否定したが、政務官を辞任することになった。
 問題の案件は、人材派遣会社とコンサルティング契約をしていた女性経営者から上野氏に持ち込まれたという。文春の取材に対し、人材派遣会社は在留資格を申請した外国人のリストを上野氏に送ったことは認めたうえで、口利きの依頼はしていないと強調している。
 一方、同誌に載った上野氏と女性経営者の会話からも、2人にはこの会社からカネを取る目的が明らかにあったと思われる。
★口利きの“余地”がある入管行政の実態
 在留資格の申請をしていたのが人材派遣会社であることから、案件は外国人の就労ビザ取得に関するものだったのであろう。人手不足の深刻化によって、日本で働く外国人は急増中だ。厚生労働省の調べでは、外国人労働者は2018年10月時点で146万人を超え、過去5年間で倍増している。
 就労ビザの発給基準も大幅に緩んでいるが、審査する入国管理当局に一律の基準があるわけではない。現場担当者の裁量で、発給の可否や審査期間が左右されることも少なくない。そこに口利きの“余地”が生まれる。
 政治家による口利きが、実際に効果を発揮するのかどうかは不明だ。だが、外国人労働者の受け入れ現場を取材していると、政治家の陰が見え隠れすることはよくある。外国人の就労ビザ取得の現場で何が起き、いったいどんな外国人たちがビザを得ているのか――。
 外国人労働者の受け入れに着目し、利権にしようと試みる政治家は上野氏に限ったことではない。多くの政治家はもっと巧妙に、合法的なやり方で利権を手にしている。例えば、外国人技能実習制度を通じた実習生の受け入れ事業である。
 法務省によれば、外国人実習生の数は18年末には32万8360人に達し、やはり過去5年で2倍以上に増えている。実習制度に関しては、実習生の職場からの失踪をはじめ、数々の問題がメディアで頻繁に報じられる。同制度の根本的な見直しを求める声も多いが、逆に制度は拡大していく一方だ。その背景には、政治の利権が関係していることは間違いない。
★実習生を仲介するだけで「毎月3万~5万円」
 政府は実習制度の問題に関し、実習生から多額の手数料を取っているような「悪徳ブローカー」の排除が必要だと強調する。だが、政治家自身がブローカーの役割を果たしている実態については、政府、そして大手メディアも全く触れない。
 実習生の受け入れは、送り出し国と日本の双方に存在する仲介団体を通さなければならない。日本側では「監理団体」が、中小企業や農家といった受け入れ先への仲介を担う。監理団体は営利目的の仲介が禁じられていて、民間の人材派遣会社などの参入も認められていない。「事業組合」といった、一見公的な看板を掲げる団体しか監理団体にはなれないのだ。
 しかし実際には、実習生の仲介はビジネスそのものだ。監理団体は「監理費」として、実習生1人につき月3万~5万円程度を受け入れ先の企業から徴収できる。仲介するだけで継続的に手数料が入るわけだ。その運営には、人材派遣会社や日本語学校などの経営者が関わっていることもよくある。
 さらには、落選・引退した政治家の関与も目立つ。実習制度は1990年代初めにつくられたが、当初は「中国人実習生の受け入れは社会党、その他のアジア諸国は自民党」という利権の棲み分けもあったほどだ。利権は何も自民党関係者だけが独占しているわけではない。
★元閣僚や現職議員などが監理団体を統括
 実習生の受け入れは、問題が起きれば入管当局とのやりとりが生じる。また、送り出し国側との交渉においても、「元国会議員」といった肩書が威力を発揮する。
 実習生が急増しているあるアジアの国からの受け入れでは、つい最近まで監理団体を統括し、収入を得ている組織もあった。監理団体はこの組織にカネを払わなければ、実習生の仲介ができなかったのだ。
 この組織のトップは閣僚経験もある元国会議員で、理事には与野党の現職議員から関係省庁の事務次官経験者、元大使まで名を連ねている。関係者の間では知られた組織だが、錚々そうそうたる理事たちの顔ぶれを前に、監理団体は従うしかなかった。
 『週刊文春』2019年9月12号には、上野氏と問題の案件を仲介した女性経営者のこんなやりとりが載っている。
 上野氏「(就労ビザの=筆者注)許可も極力速やかに出すようにするので、そこで二万ずつ手数料をもらうだけでも、まあ月に百万でも入れば」
 経営者「そう。私ももうちょっと値上げとか取れる所があると思ったんで(後略)」
 上野氏「三とか五(万円)にするとか」
 人材派遣会社が外国人の就労ビザを取得できれば、彼らを取引先の企業に派遣して定期的な収入が見込める。その一部を上野氏らはハネようと考えたのだろう。しかし、口利きは完全な違法行為である。
 そんなことをせず、上野氏も実習生の受け入れに裏で関与していれば、合法的に利権を手にできたかもしれない。だが、知り合いの経営者から持ち込まれた案件に飛びつき、結果として政務官の地位を失うことになった。
★人材派遣会社がビザ申請をしていた謎
 さて、今回の案件では、人材派遣会社が外国人のビザ申請をしていた。一般の企業ではなく、なぜ人材派遣会社だったのか。
 外国人労働者の増加は、人材派遣業界にとって大きなビジネスチャンスとなっている。今年4月から始まった新在留資格「特定技能」による受け入れ制度では、人材派遣会社は「登録支援機関」として、実習制度の監理団体に似た役割を果たせる。
 「特定技能」は実習制度と同様、人手不足の職種に外国人労働者を供給するためにつくられた。介護や建設、外食、農業などの14業種において、当初の5年間で34万5000人の受け入れが見込まれる。人材派遣業界が色めき立つのも当然だ。
 そして、すでに同業界の参入が目立つのが、ホワイトカラーの仕事に就く外国人の就職斡旋あっせんである。ホワイトカラーの外国人が日本で就労ビザを得る場合、経営者や医師、大学教授などを除き、多くは「技術・人文知識・国際業務」という在留資格(通称・技人国ビザ)を得る。技人国ビザは原則、日本で専門学校か大学を卒業、もしくは海外の大卒以上の学歴がある外国人に限って発給される。
 今回、上野氏が関わった案件に登場する人材派遣会社の場合、海外の人材をリクルートしていたのだと思われる。就労や留学で新たに入国する外国人のビザ取得に必要な「在留資格認定証明書」を申請していたからだ。一方、人材派遣業界が海外人材にも増して注目しているのが留学生である。
★「口利き疑惑」は氷山の一角でしかない
 近年、日本で就職する留学生は増え続けている。法務省によれば、2017年には前年から約15パーセント増えて2万2419人と、過去最高を更新した。5年前と比べて2倍以上の急増だ。安倍政権が16年に発表した「日本再興戦略」(成長戦略)で、留学生の就職率アップを掲げたことが大きく影響した。当時は約35%だった就職率を5割まで引き上げようという政策である。
 この政策によって、技人国ビザの発給基準が大幅に緩んだ。前回の拙稿「外国留学生急増の裏で進む“偽装就職”の闇」(5月24日)で詳しく書いたように、技人国ビザで認められるホワイトカラーの仕事に就くように見せかけ、実際には弁当工場などでの単純労働に従事する“偽装就職”も横行している。
 そもそもホワイトカラーの仕事では人手不足は起きていない。外国人労働者を欲しているのは、日本人の嫌がる単純労働の職種なのである。そうした“偽装就職”の斡旋に、人材派遣会社が関わることが少なくない。留学生から数十万円の手数料を取ってのことだ。
 もう一つの「成長戦略」である「留学生30万人計画」達成のため、政府は留学ビザの発給対象にならないはずの外国人の入国を認め続けてきた。結果、ベトナムなどアジア新興国から、出稼ぎ目的の“偽装留学生”が大量に流入した。そんな彼らを底辺労働者として都合よく利用してきた日本は、今度は留学生の就職率アップという政策を通じ、この国へ引き留めたいのだ。
 外国人労働者急増の裏には、民間業者から政治家、官僚まで“オールジャパン”で加担する数々のインチキと利権の闇が広がっている。上野氏の“口利き疑惑”は、氷山のごく一角が露呈したにすぎない。
**********

【市民オンブズマン群馬事務局からの報告】

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安中市職員2名が青年海外協力隊員として海外で活動中

2019-08-29 23:45:00 | 安中市の行政問題

■先日、たまたま安中市のHPを見ていたところ、「市長の部屋」の「市長の動き(平成31年度)」の中に、「JICA海外協力隊表敬訪問」という記事が目に留まりました。派遣者の名前を見ると、農林課職員として、昨年3月末まで碓氷川流域公害防除特別土地改良事業で地元安中市岩井・野殿地区の事業推進委員会事務局のメンバーだった方だったので、さっそく市役所の秘書課人事研修係の飯塚氏に確認してみたところ、驚いたことに同氏が最初の派遣ではなく、安中市役所として、1年ほど前から派遣している職員がいることが分かりました。
※市長の動き:令和元年7月8日(月)JICA海外協力隊表敬訪問

独立行政法人国際協力機構が実施する、JICAボランティア事業に参加する壁崇志さんと長谷川久志さんが訪れました。壁さんはルワンダに、長谷川さんはブータンに派遣になります。参加されるお二人に対し茂木市長は、現地の方のために、今まで培ってきた知識や経験を存分にいかしてほしいと激励の言葉をかけました。(当会注:長谷川さんは民間出身の方という。



 そういえば地元紙の上毛新聞でも報じられていたのを思い出し、ネットで調べると次の記事が見つかりました。

**********上毛新聞2019年7月9日
「経験 地元に還元」 JICA隊員県庁を訪問

荻沢副知事に抱負を語る隊員
 国際協力機構(JICA)の海外協力隊員が県庁に荻沢滋副知事を訪れた。今月下旬に派遣される5人と帰国した1人が、抱負や経験を語った。
 フィリピンに小暮一樹さん(31)=前橋市、ネパールに渡辺桂祐さん(30)=渋川市、カメルーンに斎藤舞衣さん(23)=富岡市、ルワンダに壁崇志さん(30)=安中市、ブータンに長谷川久志さん(34)=同市=が派遣される。各隊員は教育やコミュニティー開発、経営管理などに協力する。
**********

 また、1年前からパナマに派遣中の市職員についても、「市長の動き(平成30年度)」を見ていくと、次の記事がありました。

○平成30年6月20日(水)JICAボランティアが来訪されました


独立行政法人国際協力機構が実施する、JICAボランティア事業に参加する安中市職員の小寺麻里菜さんが、茂木市長を訪れました。小寺さんは、これまでに培った経験をもとにパナマで支援を行い、生活改善指導を中心に様々なことに積極的に取り組んでいくとのことでした。

 さらに安中市の公式Twitterにも、次の記事が見つかりました。

**********安中市Twitter 2019年7月8日
https://twitter.com/annaka_city/status/1148156552429178880
【安中市職員・小寺麻里菜さんJICAボランティア(パナマ)活動報告】
パナマでは過ごしやすい乾季が終わり、雨季になりました。 乾季の間に観光客が村に放置していったごみを一掃するために、村人と協力してごみ拾いを行いました。今度は環境啓発の立て看板を村人と作る予定です。




午後6:07 · 2019年7月8日·Twitter Web Client
**********

■昨年7月からパナマ派遣中の女性職員と、今回ルアンダに派遣された男性職員は、二人とも平成23年4月に安中市役所に採用されており、社会経験を8年間積まれたことで、途上国において専門性を必要とされる青年海外協力隊ボランティア活動について、自信をもって参加を決断されたものと察せられます。

 なぜなら筆者も昭和53年2次隊後期組として、1979年4月~1981年4月まで企業を休職してホンジュラス共和国へ船舶機関で派遣され、現地で漁業協同組合所有の船内機や船外機の保守操作方法の技術指導に携わった経験があるためです。

 組織に所属していると、歯車のひとつのような仕事になりがちですが、途上国では、誰も日本からポッと来て、さあ、これをやってくれ、といわれることはほとんどありません。一応、隊員募集に際して、現地側から要請書は日本側に出されるのですが、学校の先生や看護師のような場合はともかく、現地での具体的な業務ははっきりしておらず、自ら相手側の関係者らと話し合って、どのような課題があり、自分に何が必要とされているのかを見つけていかなければならないのです。

 我が国の役所のような縦割り組織では、とうていそのような仕事環境は望むべくもありませんが、途上国では職種にもよりますが、とりわけパナマ派遣中の女性職員の場合、いわゆる村落開発普及員という類の職種だと思われますが、いちばんやりがいのある職種でもあるし、何もできないうちに2年間の任期を終えてしまう職種でもあります。要するに、2年間にどのような成果があげられるのかどうか、そして成果が得られても、得られなくても、派遣期間中に得られた達成感や挫折感が、結局、帰国時の本人の「成果」として、その後の人生に対して何らかの糧になるのは事実です。

■安中市総務部秘書課人事研修係には、派遣中の職員から定期的に所属先の安中市宛に報告書が送られてきているはずなので、それらをもとに広報誌にも活動記録を掲載すること、また、派遣中の隊員には、群馬県協力隊を育てる会とOB会から毎年1回、段ボール1箱分の激励用グッヅとして上毛新聞元旦誌面、うどん、即席めん、調味料、菓子類などの詰め合わせが送られていますが、安中市からも派遣中の隊員に市内の特産品などを送るように提案しておきました。

 これらの経費は、安中市土地開発公社の巨額横領事件で毎年群銀に支払っている2000万円(あと83年間継続、合計16億5000万円支払残)がなければ、問題なく捻出できるはずです。

 両隊員が帰国し、市役所にもどって勤務を再開し、海外ボランティア活動で得た経験や知見を存分に発揮すれば、安中市役所ももう少しは活性化するはずです。

■ちなみに地方公務員や企業勤務者らが青年海外協力隊に参加するには現職参加制度が利用できます。地方公務員が現職参加する場合には、下記のいずれかの措置が考えられます。

①「外国の地方公共団体の機関等に派遣される一般職の地方公務員の処遇等に関する法律」(昭和62年法律第78号)に基づき各地方自治体が制定した条例(通称:派遣条例)の適用による、「派遣職員」(有給休職)としての参加。

②「地方公務員法」(昭和25年法律第261号)第26条の5に基づき各地方自治体が制定した条例の適用による、「自己啓発等休業」(無給休職)を利用しての参加。


 具体的な対応は個々のケースにより異なり、また応募書類提出前に事前の承認を取り付けることが必須条件となる場合があります。安中市秘書課人事研修係に訊いたところ、安中市では協力隊への現職参加制度があり、現在派遣中の2名の職員はいずれも上記②による派遣です。この場合は「無給休職」ですが、派遣中はJICAから国内積立金として給与の半額程度が支給されます。また、現地では活動費として筆者の場合、40年前でしたが、毎月190~210ドル(当時は1ドル230円)が指定口座に振り込まれたので、物価の安い現地での日常生活には特に支障はありませんでした。

【ひらく会情報部】

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ネット動画発信を目論む山本一太新知事が県庁内に動画スタジオを設置検討か!

2019-08-27 23:42:00 | 県内の税金無駄使い実態
■かつて、国際協力事業団(JICA)職員としてニューヨークに駐在していたこともある山本一太新知事ですが、ブログなどを駆使して、その発信力は政界屈指と言われています。その人物が7月27日に群馬県の第20代知事に就任して1か月が過ぎました。こうした中で、知事として第1回目のインターネット番組を自ら企画・構成・出演・発信すべく、8月19日にマスコミを集めて高崎市内で生放送を行いました。今回はこの話題について取り上げたいと思います。

8月20日付け東京新聞群馬版の記事。


 筆者は1994年ごろ安中市内の軽費老人ホームの役員をしていましたが、当時、ホームの総会に顔を出してくれた父親の山本富雄氏と話をしたことがあります。息子の一太氏と全く異なり、父親の言動は落ち着いた物腰でした。ただしそのころは既に体調を崩していたせいもあったのかもしれません。そして富雄氏は、安中市土地開発公社の巨額横領事件が発覚する直前の1995年3月16日に肝不全で他界してしまいました。

 息子の一太氏は、渋高、中大を経て1985年5月に、ジョージタウン大学大学院の国際政治学修士課程大学院卒業後、朝日新聞社に入りましたが2か月で辞め、1986年11月にJICA採用となり、一時国連開発計画(UNDP)にも出向しニューヨークに滞在したこともありました。しかし父親から「体調が良くないから次の選挙を手伝ってくれ」と言われて帰国し1995年2月から父の議員秘書として手伝っていたところ、1995年3月に父親が亡くなってしまい、急遽父の後継として1995年7月23日投開票の第17回参議院議員通常選挙に群馬県選挙区から立候補し、初当選しました。この当時は、筆者としても安中市土地開発公社を舞台にした巨額横領事件が同年6月初めに公となり、その年11月の出直し選挙選に至るまでの半年間は人生のもっとも変動の激しい時期でした。一太氏の場合も同じことが言えるでしょう。

 筆者は安中市長選で次点に終わりましたが、一太氏はその後も4選を重ねました。しかし参院委員16年間を通じて、自らを含め世襲だらけの自民王国群馬県内の政局にこれ以上の活路を見いだせないと悟ったのでしょう。2018年11月、東京の世論調査会社に、次期群馬県知事に関する県民の意識調査を依頼し、その結果を11月23日、自身のブログ「気分はいつも直滑降」で「全体としては山本一太が大沢知事をダブルスコアで引き離している」と高い支持があることを発表。その後、2019年7月執行予定の群馬県知事選挙への立候補に向けて、準備を重ね、前任の大澤知事との確執も取りざたされたものの、圧倒的支持を背景に、知事選に臨み、史上最多得票で当選しました。

■では、本題に戻り、8月19日に放送されたネット番組に関するマスコミ記事を見てみましょう。

**********東京新聞2019年8月20日
<ウォッチ!一太県政>菅長官招きネット番組 県費負担には議論必要

ネット番組に出演する山本一太知事(左)と菅義偉官房長官=高崎市で
 山本一太知事は十九日、自身が主宰するインターネット番組を菅義偉官房長官を高崎市に招いて放映した。山本知事は終了後、報道陣に番組について「公務だ。(経費を)公費から出すかは考える」などと説明した。ただ、 知事は番組中に趣味のギターと歌を披露しており、県費で負担するかは県庁内や県議会で議論が必要になりそうだ。この番組は「 直滑降ストリーム 」。山本知事がプロデューサー、キャスター、放送作家、出演交渉などを自身で担当している。七~八年間は続けており、約百六十回は放映したという。
 撮影場所は山本知事の関係先で、応接間を改造したスタジオのため場所代は必要ない。ただ、撮影は機材を操作する数人の業者が担当し、放映費、人件費、出張費などが発生しているとみられる。今回は知事に職員一人が同行し、報道陣への対応のために別の職員二人も訪れた。
 山本知事は県庁内に最新の動画スタジオを設けるため、補正予算案に費用を計上する意向。今回のような趣味を披露する番組を県費を使ったスタジオで放映する場合にも議論が必要だ。
 番組では、菅官房長官が原発事故で続く中国の輸入規制に「風穴を開けたい」と述べた。(菅原洋)

**********上毛新聞2019年8月20日
ネット番組で菅氏と対談 山本知事 就任後初の生放送臨む

ネット番組で菅官房長官と語り合う山本知事(左)=19日午後、高崎市(代表撮影)
 山本一太知事は19日、群馬県高崎市内のスタジオに菅義偉官房長官を招き、インターネット番組「直滑降ストリームin群馬」の生放送に臨んだ。参院議員時代から定期的に放送してきたが、知事就任後は初。群馬県の観光や農産物、危機管理などについて意見を交わし、県政のリーダーとなった山本氏に菅氏がエールを送る場面もあった。
 対談は、菅氏に伊香保名物の水沢うどんを味わってもらう演出からスタート。リラックスした雰囲気の中で、約30分にわたって語り合った。
 観光振興について、菅氏は訪日外国人旅行者を呼び込むための4条件として気候、自然、文化、食を挙げながら「群馬は極めて可能性が高い」と強調。山本氏に対し「海外に目を向けるなどトップセールスを頑張ってほしい」と期待した。
 番組は山本氏が企画、進行しており、放送は約4カ月ぶり。今後は本県の現状や課題、未来をテーマに月1回ペースで放送する予定で、現職閣僚らもゲストとして招く方針。
 山本氏は「知事に当選しても必ず再開するという約束を果たす日が、ようやくやって来た。これから新しいバージョンで放送していく」と視聴者に語り掛けた。

**********毎日新聞2019年8月20日11:44
菅官房長官が群馬に 山本一太知事のネット番組に出演

© 毎日新聞 山本一太知事(左)のインターネット番組に出演する菅義偉官房長官=代表撮影
 菅義偉官房長官が19日、群馬県高崎市内で山本一太知事のインターネット番組の生放送に出演した。菅氏は山本知事が国会議員時代から慕う「頼れる兄貴分」。政府の事実上の危機管理者としての公務の合間を縫った来県で、番組出演終了後、すぐに東京へととんぼ返りした。山本知事にとっては、首相官邸との親密さを誇示する機会となった。【西銘研志郎】
 群馬県によると、山本知事のこの番組出演は公務扱いという。番組では、山本知事が県の魅力や県政課題を語り、菅長官に県政へのアドバイスや所感を聞く内容だった。県の観光について山本知事がインバウンド(訪日外国人)の来県を増やすために何が必要かと質問すると、菅氏は「群馬は極めて可能性が高い。政府としては外国人に来てもらい、楽しんでもらうための環境整備を応援したいが、実際に(観光客誘致を)やるのは地域。知事がぜひ先頭になってトップセールスをしてほしい」と語った。また東京電力福島第1原発事故を理由に中国が一部を除いた日本産農水産物・食品の輸入規制を続けていることについて、山本知事が「輸入解禁に働きかけてほしい」と懇願すると、菅氏は「日中関係はかつてないほど改善している。関係閣僚にしっかりと『(群馬県)知事が言っていた』と伝える」と応じた。

**********産経新聞2019年8月19日18:43
山本一太群馬知事が菅官房長官と対談 政権との近さアピール

インターネットの動画番組で対談する群馬県の山本一太知事(左)と菅義偉官房長官=19日、同県高崎市内(代表撮影)
 群馬県の山本一太知事は19日、自身のインターネットの動画番組の生配信で、菅義偉官房長官と対談した。観光施策などについて意見を交わすなどして、永田町時代から続く菅氏との「師弟関係」や安倍晋三政権との蜜月ぶりをアピールした。
 番組は「群馬県知事 山本一太の直滑降ストリーム in群馬」と題し、同県高崎市内のスタジオに山本氏が菅氏を招く形で実現。冒頭、山本氏が「兄貴」と慕う菅氏に群馬の名産品「水沢うどん」の試食を勧め、菅氏が「お世辞抜きでおいしい」と応じるなど終始和やかな雰囲気が漂った。
 対談は、観光施策や農業、外国人労働者など多彩なテーマで進行。草津温泉など豊富な観光資源があるにもかかわらず訪日外国人客(インバウンド)の数が伸び悩む群馬の課題についても話が及んだ。
 菅氏は「首都圏に近く恵まれている」と利点を指摘し、かえって誘客にあまり力を入れてこなかったのではないかとの考えを示した。
 これに対し、山本氏は「自らトップセールスで攻めていく」と語り、今後は2020年東京五輪・パラリンピックなどを契機にインバウンドの増加が期待できることから、観光振興に注力する姿勢を強調した。
 山本氏はこれまで、情報発信の強化の一環で県庁内に動画配信スタジオを新設する構想を繰り返し語っており、この日も実現に向けた意欲を重ねて表明。河野太郎外相ら閣僚を招いて動画番組を配信する考えを示した。

**********日経2019年8月19日19:05
群馬・山本知事がネット番組 菅官房長官が出演
 群馬県の山本一太知事は19日、就任後初めて自身のインターネット番組「直滑降ストリーム」を配信した。菅義偉官房長官が出演し、群馬県にインバウンド(訪日外国人)を呼び込むための方策や、農産物の輸出などについて意見を交わした。

 山本知事のネット番組に菅官房長官が出演した
 番組は群馬県高崎市から中継した。菅氏は「群馬は東京都から近く、観光資源も多い。知事が先頭に立って、インバウンドの取り込みを進めてもらいたい」と述べた。
 山本知事が「中国が日本の農産物の輸入を解禁するための働きかけをお願いしたい」と話すと、菅氏は「日中関係はかつてないほど改善している。(輸入禁止に)風穴を空けたい」と応えた。
 番組中には山本知事が群馬の名物「水沢うどん」を菅氏にふるまう場面もあった。
**********

■インターネット番組の放送のなかで、山本一太知事の発言した内容で気になることがあります。それは、「日中関係がかつてないほど改善している」というフレーズです。

 また、番組構成をみると、菅長官との対談が終わった後、「今、日本で最も現代中国の実態を知る男」と言われている中川コージ博士(一太知事のこの番組ではお馴染みなのだとか)の「知っチャイナ」コーナーが放送されました。この中で、農産物輸出を含む群馬の対中戦略を議論しています。

 筆者は、台湾の独立に向けた住民の動きを支持しており、ゆくゆくは我が国は台湾との連邦制を視野に入れて、中共政府に対して一線を画する外交政策を展開すべきだというのが持論です。なので、新知事に対して、これまで群馬県と友好を育んできた日台関係を軽視するのではないか、という懸念があります。

 情報発信はよいことですが、やみくもに、立場を鮮明にしないまま、善意を悪意にとらえる相手にもかまわず発信すれば、逆に相手に利用されかねません。新知事が、これまでどおり群馬県と台湾との友好関係を阻害することのないよう、注目していきたいと思います。

【市民オンブズマン群馬事務局からの報告】

※参考情報1「8月19日放送のインターネット番組」
**********
群馬県知事 山本一太の直滑降ストリーム in群馬(ゲスト・菅義偉官房長官)

https://youtu.be/pPRyuvjjzNg?t=8
【会場のご案内】
2019/08/19(月) 開場:14:35 開演:14:45
この番組は2019/08/19(月) 15:49に終了いたしました。
来場者数:2995人 コメント数:1825
7月に行われた群馬県知事選挙。
前参議院議員の山本一太氏が当選し、群馬県知事となりました。
山本知事は2011年より150回以上に渡り、自民党本部「カフェスタ」より 「直滑降ストリーム」の配信を続け、安倍晋三首相や河野太郎外相といった 大物ゲストを招いてきました。
今回ついに、「群馬県知事 山本一太の直滑降ストリームin群馬」として4月24日以来、約4ヶ月ぶりに放送を行います。
記念すべき「直滑降ストリームin群馬」第1回目のゲストは 山本知事が「兄貴」と慕う、菅義偉官房長官です。
果たして、どのようなトークを繰り広げるのか、お楽しみに!
<放送プログラム>
・一太の近況報告
・ゲスト対談(菅義偉官房長官)
・中川コージの知っチャイナ
※内容は変更となる可能性がございます。
◆山本一太(群馬県知事) 公式HP / 公式Twitter(@ichita_y)
1958年1月群馬県生まれ/中央大学法学部卒業/米国ジョージタウン大学大学院修了
1995年参議院議員通常選挙にて初当選
外務副大臣、外務政務次官、参議院外交防衛委員長、参議院自民党政策審議会長、参議院予算委員長、自民党外交部会長、内閣府特命担当大臣(沖縄及び北方対策 科学技術政策 宇宙政策)、海洋政策・領土問題担当、情報通信技術(IT)政策担当、自民党総裁ネット戦略アドバイザーなどを歴任。
2019年7月に行われた群馬県知事選挙で当選し、現職。

※参考情報2「気分はいつも直滑降」
**********山本一太のブログ2019年8月19日
 21時30分。ソファーの上で意識が戻った。30分ほど気絶(?)じていたようだ。(ふう)冷たい水で顔を洗った。運動する前にブログを更新する。今日も「ちっちゃな冒険」の連続だった。心地良い疲労感に包まれている。
 午前10時。商工会議所連合会、商工連合会、中小企業団体中央会の会長3名による表敬訪問を受けた。県とは(いろいろな意味で)関わりの深い3団体だ。
 午前11時。全編オール群馬ロケで撮影された映画「影踏み」の関係者と知事室で面会。主演の山崎まさよしさん、監督の篠原哲雄さん、原作者の横山秀夫さん等と言葉を交わした。この3人とお目にかかれるのをスゴく楽しみにしていた。その理由は改めて詳しく書く。
 昼食を食べた後、県内某所に直行。14時30分から知事がキャスター兼プロデューサーを務めるウェブ番組「直滑降ストリーム」に出演した。
 群馬版の新しいバージョンの最初のゲストは菅義偉官房長官。群馬の農業や観光の可能性、あるべき知事像等について議論した。中身の濃い対談が出来たと思う。
 番組を放送したスタジオは記者で溢れていた。初回の放送の模様や対談の内容については、とても書き切れない。近いうちに改めて取り上げる。
■群馬県まで足を運んでいただいた菅長官に心から感謝!!
 番組終了後、県庁へ急行。任期を終えた反町副知事に感謝状を手渡した。続けて17時から反町副知事の退任式にも出席。18時からの両副知事の送別会にも顔を出した。
 明朝は県内12市長との朝食会がある。早めに「筋力トレーニング」を終わらてしまおう。
追伸:「群馬県知事 山本一太の直滑降ストリーム IN 群馬」をYouTubeにアップした。ぜひご覧ください!!



さすがは内閣の要である官房長官!スタジオには大勢のメディア関係者が集まった。


映画「影踏み」は絶対に見る!もう一度、試写会、やってもらえないかなあ?!


直滑降ストリーム、弾き語りは40点!何度もコードを間違えた!(ため息)


反町副知事、40年に渡る県庁勤務、お疲れ様でした!!

※参考情報3「知事選前のインタビュー記事」
**********経済界2019年3月14日
山本一太・参議院議員が語る「群馬知事選出馬の理由とこれからの地方自治」
インタビュアー=鈴木哲夫(ジャーナリスト)   Photo=幸田 森
 稀有の発信力を保ってきた自民党の山本一太参議院議員が今年夏に実施される群馬県知事選挙への出馬を表明し注目を集めている。
 ところが、現職知事も現時点で進退を明言せず、4選出馬のチャンスをうかがっていると噂されている。現職知事が立候補を表明すれば、自民党分裂、保守分裂の構図となる。
 地域事情で見れば、現職を中心に築いてきた県政運営とこれを変えようとする山本氏の対決構図ということになる。
 しかし、この群馬県に限らず、全国の他の地方自治体そのものが少子高齢化や東京一極集中によって、税収減や政策転換など危機に面している。
 地方創生をそれぞれが目指す中で新しい発想が求められている。山本氏に、出馬の経緯と新しい地方自治体の在り方などユニークなヒントを聞いた。

1 山本一太・参議院議員プロフィール


(やまもと・いちた)1958年生まれ、群馬県出身。82年中央大学法学部卒業。85年米国ジョージタウン大学大学院(MSFS)修了。86年より国際協力事業団(JICA)勤務。95年17回参議院議員通常選挙に立候補し初当選。内閣府特命担当大臣(沖縄及び北方対策、科学技術政策、宇宙政策)、情報通信技術(IT)政策担当、海洋政策・領土問題担当(第2次安倍内閣)、外務副大臣、外務政務次官、外交防衛委員長、参議院自民党政策審議会長、自民党外交部会長、同遊説局長等を歴任。2019年に実施される群馬県知事選への立候補を表明している。

2 山本一太氏が群馬県知事選に出馬する理由

2.1 群馬に戻る決断の裏にあった支持者からの言葉
―― 参議院議員から群馬県知事に転身を決断したのはなぜか。
山本 国政を4期、23年以上やってきました。その間、閣僚、副大臣、予算委員長や党の役職も経験し、国会議員としてのやりがいを日々、感じてきました。
 そうした中でも、政治家として終盤のステージで何をするべきかを考えてきました。自身のライフワークである外交安全保障政策や科学技術政策等の分野で国益に貢献することも含め、やりたいことは山ほどあります。
 でも、あるとき、支持者の方からこう言われたんです。
 「例えば衆院に鞍替えして総理を目指すのだったらそれはそれでいい。でも、参院議員としてこれ以上、何をやりたいのか? 例えば、これから防衛大臣や農水大臣として活躍してくれたら、俺たちは嬉しい。でも、山本一太の人生としてどうなんだ。このまま参議院議員を続けるより、群馬県に戻って、地元のために尽くしてほしい。そっちのほうが政治家としてやりがいもあるし、人生として意味があるんじゃないか」と。
―― 随分前から考えていたのか。
山本 今年は参院選と知事選が同時にある年です。数年前からいろいろ考えていたこともあって、支援者の方の言葉は説得力がありました。私のようなタイプの政治家はいなかったからこそ、知事として群馬のポテンシャルを引き出してほしいと。

2.2 先進的な地方自治モデルを群馬から発信したい
―― どんな地方自治体の首長を目指すのか。
山本 群馬県のさらなる飛躍と県民生活の向上を目指すのは当然ですが、加えて、群馬県のモデルを先進的な地方自治のモデルとして内外に発信したい。それを日本の地方自治の仕組みや中央と地方の役割分担のスタンダードにしていけるような首長になりたい。
 地域から中央を変えるという流れを作りたいのです。地方創生は容易い仕事ではありませんが、これからは、首長の時代だと確信しています。
―― 具体的には?
山本 まず、今までやってきた外交の経験を生かせると思います。
 例えば、米国の州知事は外交にも積極的です。州知事ほどの権限はないとしても、日本の知事だって、群馬県とカリフォルニア州とか、群馬と台湾、韓国、中国という関係で地域外交を展開できるはず。経済や文化、人的交流を通じて地方自治体の可能性を広げられるはずです。
 今まで培ってきた各国要人との人脈、外交センスを駆使すれば十分、可能だと考えています。群馬モデルの地域外交を、全国の自治体に示したいですね。

3 群馬県知事としての山本一太議員の構想とは

3.1 群馬県民の新たなプライドをつくっていく
―― 地域外交は、政府の外交をカバーすることもできると。
山本 そう思います。加えて言うと、知事が県のGDP増加とか、県民所得の向上を目標に掲げるのは当然ですが、私がやりたいのは県民の新たなプライドを作り、根付かせること。
 群馬にはいいものがいっぱいあるのに、魅力度ランキングも幸福度ランキングも低い。郷土愛も低い。こういうものをぶち破って行きたい。
 同じ課題を抱える北関東の3県では、東京に引け目を感じている人もいる。でも見方を変えると違う世界が見えてくる。例えば、関東全体を3千万人が住むスーパーシティーだと考える。東京をその中の1つの核だととらえれば、群馬を含む3県も、それぞれ個性を持つ複数の核になる。こうしたポテンシャルを示しつつ、群馬県民の新たなプライドをつくりたいのです。
 私は、群馬を関東全体の中で、最先端のアーティストやクリエーターたちの居住区(拠点)にしたいと考えています。今は多くの人がインターネットで仕事をする時代。どこにいても会議ができるし、提案や資料のすりあわせもできます。事実、実力と才能のある私の友人たちは、パリや香港、軽井沢に住んで、自宅で仕事をしています。彼らは、どこに住んでもいいのです。
 エンジニアやプログラマーなどもそうですね。藤岡市には、“アーティストインレジデンス”というプロジェクトを実施している住民の方がいらっしゃいます。世界各国のアーティストが市内に滞在し、創作に励む。彼らがなぜわざわざここを選ぶかといえば、便利で落ち着きがあり、地域の人との交流も密な群馬という土地に、世界の他の場所にはない魅力を感じているからです。
 こういう流れをさらに発展させて、プログラマーとかエンジニアとかクリエーターを群馬県に呼び集める。群馬にはそれを実現できる条件が揃っていると思うのです。
 第一に物価が安く東京よりも広い家に住める。食べ物もすごくおいしい。物流のコスト面でも首都圏(東京)に近い強みがあるし、何より温泉がある。群馬に住んでもらう前段階として、閑散期に温泉地の旅館に受け入れるとかいろいろ工夫できるはずです。
―― 住環境は大きな武器になる?
山本 群馬県内をくまなく歩き回っていろいろ見ていて思うんですが、バランスがいいんですね。経済成長率も高いし、工場誘致の件数も昨年の1月から6月では全国でトップ。工業の生産額も14位から5位まで上昇している。県民所得の伸びも2009年から15年まで全国で4位です。
 にもかかわらず、地元の方々がよく言うのは「so what」なんです。群馬は中途半端だ、と。だから、もちろんこれからは突出した何かをPRすることも考えなければなりません。ただ、一方でバランスの良さも、もっと付加価値をつけて発信すれば大きなウリになると思います。

3.2 茨城、栃木、群馬でベネルクス三国のような枠組みを
―― 地方自治体として、産業での新しい試みを考えているのか。
山本 いわゆるハードの予算、インフラ整備はもちろん必要だし、企業誘致も重視すべきでしょう。しかし、問題はそこにプラスアルファ何をするかということなんです。
 例えば群馬県の農産物を分析するR&Dセンターみたいなものを他の県よりも高いレベルで整備できないのかな、と。
 もともと群馬県はイノベーション力があって新品種の開発で優れています。群馬で作ったリンゴの新品種を他県で生産していたりする。県内にR&D拠点を作ってそこに著名な研究者を集め、他の県と群馬の農産物がどう違うか。群馬と宮崎のキュウリのどこが違うか、トウモロコシでも群馬の高原トウモロコシのほうが北海道のそれより数段おいしいのですが(笑)、なぜそうなのかということを、成分を含めて徹底的に研究する。
 世の中は健康志向で予防医学がキーワードです。群馬の農産物を食べるとこんなにいいことがあるとか、そういう科学的分析をプロモーション部門につなげるサイクルを作る。そこに知事自身の発信力を加えられると面白いですね。
―― 他の自治体との連携などは考えているか?
山本 たかがランキング、されどランキングです。いわゆる北関東3県の茨城、栃木、群馬は魅力度ランキングで最下位レベルに低迷していますが、実はすごい潜在力がある。
 例えば、茨城は農業生産額が北海道についで全国2位。栃木は県民所得が全国で4位。もし知事になれたら、直後に茨城県知事と栃木県知事に会いに行こうと決めています。そしてベネルクス三国みたいな枠組みを提案し、共通の課題に当たる(注・ベルギー、オランダ、ルクセンブルクの3カ国。いずれも立憲君主制で小国。大国に対抗するために緊密な経済協力を行っている)。
 例えば農産物の輸出問題。実は、福島原発事故の影響で、中国、韓国、台湾は北関東3県の農産物の輸入を、まだ止めています。ここは3県の知事が協力すればいい。
 3人で政府に働きかけ、3人で中国等にも足を運ぶ。標的を絞ってアプローチすれば、きっとビジネスチャンスを開拓できるはずです。

群馬県の良さを引き出すと語る山本一太氏

4 ネットを使った山本一太流の群馬県PR構想

―― 山本さんはずっとメディアと政治の融合に挑戦してきたが、地方自治でも生かさない手はないのでは?
山本 私にしかできない独自の発信力を駆使して、いままで誰もやれなかったことをやりたい。
 例えばローカル局の群馬テレビなどもネットと組み合わせることで強力な武器になります。私はいま「直滑降ストリーム」というネット番組のプロデューサーとシナリオライターとキャスターを一人でやっています。総理はもちろん、第2次安倍内閣の全閣僚が出演した唯一の番組です。
 群馬テレビに、他県の知事や財界人や文化人やクリエーターなど多くの人を呼び、話を聞き、政策を議論し発信する。ネットTVやSNSとも連動させ、中央の大臣も毎月、番組に呼ぶ。地方自治体が時間を費やして政策の相談や陳情などに毎回、中央の大臣のところに足を運ぶという概念自体を変えたい。地方自治体と中央省庁の立場をそんなところからも対等にしていきたい。
 このネット時代、知恵と行動力があれば誰でも発信の拠点を作れることは、私自身が実践して証明してきました。県庁に動画を作る部署くらいはないとダメだと思います。
―― 県庁内にスタジオができるかもしれない(笑)。
山本 知事自身が群馬県の農産物や名産品などを販売する番組を作ることにも挑戦してみたい。もし、毎回、知事が登場すれば、群馬県の経済人はみんな見ます。日銀の前橋支店長もチェックせざるを得ないでしょう(笑)。
 このPR戦略をネットやCS放送などにも展開する。誰もやったことないから、絶対話題になります。その番組に直結する流通部門のセンターを作ったら雇用も生まれるじゃないですか。それを英語でもやる。群馬テレビとネットを結びつけて海外にも発信する。コンテンツは私(知事自身)ですから、出演者の予算はゼロですよ(笑)。
―― 地方自治にはあらゆる可能性があることが証明される。
山本 もちろんいま全国の地方自治体が抱えている課題は多い。少子高齢化が進んで税収減になり、自治体が消滅してしまうという予測もあります。群馬県の財政も実はかなり厳しい。財政調整基金がどんどん減っているんです。財政健全化も考えつつ、県政を進めていく必要がある。県民のみなさんと一緒に厳しい課題に向き合うこともしなければなりません。激動する時代の中で長く国会議員を務めてきた経験は、ガバナー(知事)としての仕事に生かされると信じています。でも、同時に大きなプレッシャーも感じています。大臣はいわば政府という会社の部長。最後に責任を取るのは社長である総理です。今度は自分自身がCEOを目指すのです。覚悟を持って、この挑戦を乗り越えていきたいと考えています。

<コメント>
この春に実施される統一地方選挙をはじめ、今年全国で行われる首長選挙は自民党分裂選挙が多く見られる。理由は簡単だ。長く安倍1強の自民党政権が続き野党が相変わらず弱いと、やがて今度は自民党内の身内の争いになって行く。群馬だけではない。しかし、安定政権は同時にそこに緩みや既得権益の固定化を生む。むしろ党内にライバルや意見が違う者が出現し、争うことで緊張感が生まれ為政者もまた成長する。山本氏が、硬直化した地方自治に対し、分裂と言われつつも挑戦することを私はむしろ政治の活性化と前進のために「良し」とする。(鈴木哲夫)
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またもや群馬県関連代議士が利権の最前線に・・・上野宏史代議士による口利き問題が浮上!

2019-08-26 23:19:00 | 政治とカネ
■保守王国と呼ばれる北関東(茨城県・栃木県・群馬県)、北陸地方(富山県・石川県・福井県)、岐阜県、和歌山県、山陰地方(鳥取県・島根県)、山口県、愛媛県、南九州(熊本県・宮崎県・鹿児島県)のなかでも、我らが群馬県では「ジミンでなければ人にあらず」といった風情を醸し出しています。「長いものには巻かれろ」の言葉通り、猫も杓子も自民党に所属したがります。当会はなぜこのような傾向が群馬県に根強いのか、これまでの活動から縷々分析してきました。結局、悪事を働いても、ジミンにコネがあれば、司法がお目こぼしをしてくれるので、このような状況を招いている、というのが目下の結論です。さて、このジミン王国の群馬県で、またもや「政治とカネ」を体現した政治家が、週刊誌の餌食となりました。さっそく記事を見てみましょう。


**********週刊文春2019年8月29日号(8月19日発売)P144-147
ZIP ⇒ 20190821ttl.zip
厚労政務官 上野宏史衆院議員
口利き&暴言音声を公開する

★外国人の在留資格を「お金もらう案件でやっている」★
わいせつ議員や暴行議員に続いて今度は安倍政権の中枢からトンデモ議員が現れた。政権の看板政策を担う厚労大臣政務官だ。あっせん利得罪に問われかねない口利き計画に巻き込まれた秘書が録音した音声。そこには、あまりに悪質な驚きの手口が語られていた――。
 参院選を間近に控え、党首討論で舌戦が繰り広げられた六月十九日。衆議院第二議員会館九階の一室で、国会議員が秘書を叱資する声が響いていた。
議員「遊びでやってんじゃないんだよ」
秘書「これあっせん利得になっちゃいますよ、代議士」
 いかにも剣呑なこのやり取りは、小誌が入手した音声から抜粋した一シーンだ。
 国会議員の名は自民党の上野宏史厚生労働政務官。参院議員から一期目の途中で衆院に鞍替えし、 現在二期目の四十八歳。昨年十月の内閣改造で初めて政務三役入りを果たした自民党期待の中堅議員である。
 会話の相手は四十代の政策秘書A氏。音声はA秘書が自身のスマートフォンで録音したものだ。
 会話中の「あっせん利得」とは、国会議員や秘書が公務員などへの口利きの見返りに報酬を得ることを禁じた「あっせん利得処罰法」を指す。つまり上野氏が自身の秘書から“犯罪的行為”を指摘された決定的なシーンなのだ――。
「Aさんは、上野氏のもとで長く政策秘書を務めていました。上野氏は秘書を大声で罵倒したり、気に入らないことがあるとモノを投げつけたり椅子を蹴り上げたり、暴言やパワハラが絶えない人で、秘書の入れわりも非常に激しい。そんな環境にも、これまで耐えに耐えて長く勤めてきたのです。でもこの六月下旬、ついに事務所を辞めました。というのも、上野氏が外国人の『在留資格認定証明書交付』を巡る法務省への口利きでカネを取ろうと企んだ計画に巻き込まれそうになったからなのです。
★仲人は安倍晋三夫妻だった★
 暴言やパワハラは何とか我慢してきたA さんも、さすがに犯罪に手を染めることだけはできないと、堪忍袋の緒が切れた。事務所を辞めることを決意した上で、自分に非がないことを証明する材料として、会話を録音したそうです」
 そう語るのは、A秘書から相談を受けた永田町関係者のX氏だ。A秘書は上野氏の口利きやパワハラの証拠として、冒頭の音声の他にも様々なやり取りを録音。また上の写真に示したように、上野氏が暴れて壊したゴミ箱や蹴とばした椅子、投げつけて割ったマグカップなどの写真も撮影。これらを複数の関係者に送り、相談を重ねてきたのである。
 上野氏の「表の顔」は、音声や写真からはかけ離れた、華麗なる経歴に彩られている。開成高校から東京大学経済学部に進み、卒業後の一九九四年に通産省(現経産省)に入省。在職中にハーバード大学大学院にも留学・修了したエリート中のエリートだ。
 国政進出のきっかけは、小泉内閣で官房副長官を務めた上野公成元参院議員の一人娘との結婚だった。
「〇五年十月に帝国ホテルで行われた披露宴には小泉総理、森喜朗前総理ら錚々たる顔ぶれが出席。 乾杯の音頭を取ったのは福田康夫前官房長官で、仲人が翌年総理になる安倍晋三幹事長代理でした。上野氏はこの時の安倍夫妻との写真を、今でも自慢げに見せるんですよ」(政治部デスク)
 五年後の一〇年六月に六年間勤めた経産省を辞めると、翌月の参院選にみんなの党から出て初当選。一二年の衆院選に日本維新の会から鞍替え出馬すると、群馬一区で比例復活当選。一四年衆院選の落選を経て、一七年衆院選には今度は自民党から南関東ブロックの比例単独候補で出馬、何とか滑り込んだ。
「党を転々としながら風に乗ってギリギリ当選してきており、 選挙区を持っておらず政治的基盤は弱い。それでも厚労政務官になれたのは、現在最も力を持つ総裁派閥の細田派に属しているからです」(同前)
 そんな上野氏が口利きをした相手企業は、東京都新宿区に本社を構える非上場の人材派遣会社「ネオキャリア」(以下ネオ社)だ。二〇〇〇年創業と後発ながら、従業員は約三千六百人、売上高は五百億円を超え急成長している。
 同社は、全国の飲食店やドラッグストアなどに、日本人のみならず外国人も派遣している。彼らの在留資格を取るため、各地方の法務省外局「出入国在留管理局」に大景の交付申請を行っているのだが、当然ながらより早く、より多くの交付を受け、スピーディーにビジネスを展開したい。そこでネオ社と上野氏を繋いだのが、以前から上野氏と親交があり、ペットシッター事業などを手掛ける女性経営者N氏だった。
 N氏からの話を受けた上野氏は、法務局に口利きをすることでネオ社からカネを得ようと画策していく。
 冒頭のシーンに戻ろう。計十七分にわたる録音には、上野氏の生々しい台詞がいくつも収められている。
「僕がネオキャリアの西沢(亮一)さんという社長と交渉することになっている」
「(在留資格認定証明書の交付を)早くしたっていう実績をウチが作ってあげて、その分ウチは(もらう金額を)交渉して、これを党費にあてようと思って。(交付申請が)百人だから、(一件二万円で)二百万円で、家族党員千人分にあてる」
 要は、上野氏が法務省に働きかけたおかげで在留資格認定証明書が交付されたのだとネオ社に思わせる“実績”をつくった上で、ネオ社から一件あたり二万円のお金を取ろうとしているのだ。古参秘書が解説する。
「在留資格を巡る陳情などは昔からよくあります。その見返りを求めるのは古典的な手口ですよ。でもね、今時、政治家が介入して交付不可の決定が覆ることなどまずありえない。
 ただ正直に言えば、法務省に国会議員の事務所から問い合わせの電話をすると、通知が発送される当日の朝に教えてくれる場合がままあります。役所としては決定前に秘密を洩らしたわけではない、 というギリギリの線なんでしょう。そこで、さも尽力したかのように先方に連絡することはあります。 郵送が届くのは数日後ですから、『さすが先生』と恩義を感じた企業さんがパーティー券を買ってくれたりする。でも数人程度お願いされることはあっても、百人、二百人というスケールの話は聞いたことがない。しかも一件につき二万円という具体的な金額まで明示するなど、まさにあっせん利得で手が後ろに回る話で、ありえません」
 小誌はネオ社が上野事務所に送った在留資格申請中の一覧表も入手した(前頁の写真)。一番右には、台湾、韓国、ベトナムなど彼らの国籍が並び、プライバシーに配慮して小誌が黒塗りした部分には、彼らの氏名や、受け入れ先企業名が詳細に記されている。今年二月から六月に申請されたもので、 合計人数は実に百八十七人。一件二万円の見返りを皮算用する上野氏には、このリストは“宝の山”に見えたことだろう。
 ところがA秘書とこのリストを巡って騒動が起きる。A秘書は一覧表を法務省国会連絡室に送って報告を待ち、認定の可否を一つずつ聞き取ると、上野氏に報告せずにネオ社の担当者に結果の一部を伝えたのだ。冒頭のシーンには、以下のようなやり取りがある。
上野氏「陳情の案件は勝手に返さないで絶対教えてくれって、僕、言ってるじゃないですか。(略。ネオ社に)伝えたのは何件ですか?」
A秘書「(数えながら)十三件です」
上野氏「十三件……じゃあ二十六万持ってきてください」
A秘書「え! それ、なんで私が出さないといけないんですか?」
(モノを叩きつける音)
上野氏「だってこれ、うちがネオキャリアからお金もらう案件でやってんだから」
 上野氏は、 ネオ社と交渉して一件につき二万円ずつもらうはずだったのに、秘書がそうした話を詰めずに勝手に十三件分の結果を教えてしまったため、取り損ねたから、その分を補填しろ、という意味のことを繰り返す。
上野氏「ダメだよ。それを社長と交渉しているんだから。この(十三件の)伝えたやつからはもらわないから」
A秘書「これはあの……あんまり良くないやり方」
上野氏「よくなくないよ!(略)党費にあてるんで、遊びでやってんじゃないんだよ」
 上野氏は再三「お金をもらう案件」「僕がもらうはずのお金」などと口にしているが、ネオ社が上野氏にお金を払う動機は十分ある。
「外国人の受け入れ企業は、 ネオ社のような派遣会社に一人あたり数十万円の紹介料を払うのが相場です。ネオ社にすれば、 在留資格をスムーズに取得できるのなら一件二万円の謝礼は安いもの。 上野氏は仲介者のN氏と結託してそこにつけこみ、ネオ社からのカネを山分けしようと企んだようです。翌六月二十日、上野氏はN氏を議員会館に呼び、A秘書も交えて打ち合わせをします。ここでもA秘書はやり取りを録音しました」(前出・X氏)
 その席でN氏は、明け透けにこう語っている。
「私、手間がすごいかかるってわざと(ネオ社に)言っていて(笑)。その方が値上げできるんで~(笑)、『これすごい大変なんですよ』ぐらいなことを、一応あれしてるんで。高値で売りたいですよね」
 上野氏もさらに追随する。不許可だったと伝えた件について法務省に再度プッシュするようA秘書に指示。
「(不許可となった)四件で、(決定をひっくり返せば一件)五万で二十万」
 上野氏はまさにこの分野の最前線にいる。安倍政権は外国人労働者受け入れ拡大を推進しており、今年四月、法務省の内部部局「入国管理局」は「出入国在留管理庁」へ格上げされ、新たな在留資格「特定技能」が設けられた。ネオ社は五月、その「登録支援機関」として同庁の登録を受けている。これに厚労省も連動し「技能実習の職種のあり方に関する検討チーム」を設置。このトップが上野氏なのだ。安倍政権の看板政策を利用した悪質なカネ稼ぎに見えるが、法律的にどう問題なのか。元東京地検検事の落合洋司弁護士が指摘する。
「国会議員や秘書が、国が締結する契約などに関し、請託を受けて、権限に基づく影響力を行使して公務員に職務上の行為をさせるようあっせんし、報酬を得ることはあっせん利得処罰法違反となります。上野氏本人が『法務省に働きかけた』という趣旨の発言をしていたのなら、『権限に基づく影響力』を認識していた可能性が高く、政策秘書が法務省にリストを送った行為も『影響力の行使』に該当する可能性がある。上野氏が『自分の働きのおかげで認定までの期間が短くなった』と、ウソと認識したうえで相手側に伝えたことが立証できれば、詐欺罪にもなります」
 上野氏は「自分の遊ぶ金欲しさではない。党費にあてるのだ」との趣旨の発言を繰り返しているが、これ自体、問題をはらむ。自民党群馬県連関係者が言う。
★「中曽根事務所のスパイなのか」★
「上野氏のように選挙区を持たず、次期選挙の公認が危うい議員は、党員獲得数で党本部にアピールするしかない。『一般党員』は年額四千円、その『家族党員』は同二千円が必要ですが、これを払ってくれる人を増やすのはなかなか大変です。しかも上野氏は、同じく群馬が地盤で選挙区を持たない中曽根康隆衆院議員に獲得数で負けたことから、焦りを募らせていました。党費を肩代わりすることで党員獲得数の上積みを狙っていた可能性がある」
 だが、「党費の肩代わりは絶対にダメ」と自民党本部は小誌に答えた。
 さらに音声には、上野氏の暴言やパワハラも含まれている。六月十九日の録音の中にも、上野氏が暴言を吐き、モノを投げつける音がいくつも入っている。
「(激しい物音)申し訳ないじゃないよ! なんで勝手な行動してるんだよ!」
「足を引っ張りたいのか。中曽根事務所のスパイなのか。(モノを叩きつける音)なんだよ! なんなんだよ」
 A秘書には実害も出た。
「怒った上野氏はA秘書の私用パソコンにマウスを叩きつけました。液晶画面が壊れ、ハードディスクも破損したそうです」(前出・X氏)
 当事者たちはどう答えるか。録音をした党のA秘書に連絡をとると、「私が上野議員の言動に疑問を感じ、身の安全のため、録音や写真をとったことは事実です。ただ今は別の事務所で働き始めていますし、これ以上はお話しできません」と語るのみ。
 上野氏を直撃した。
――外国人の在留資格を巡る法務省への口利きで、一見二万円の報酬を取ろうとしていましたか?
「まったく、そんな話もしていないし、もちろん(お金も)もらっていない。コンサルティングの会社(N氏の会社のこと)から依頼を受けて通常の陳情でやった。そこが(ネオ社と)どういう契約をしているかは存じ上げないですけど」
――そのお金を党費に回そうとしたのでは?
「そういう具体的な話はしていないですね」
――モノを投げたり、パソコンを壊したことは?
「認識はないです」
 録音とは打って変わって冷静な口調で、三十分にわたって否定し続けた。
 仲介役を担ったN氏は電話での直撃にこう応じた。
「数カ月前の食事会で、(ネオ社の)西沢社長を上野先生に紹介はしました。私はネオ社のコンサルティング業務を請け負っていて、在留資格の件を上野先生に伝えただけです。
 ネオ社は概ね次のように回答した。
「(N氏の会社とは)コンサルティング契約を締結、在留資格申請手続きについて相談し、リストも送付した。上野議員にも同リストを送付したが、出入国管理行政の実態を把握してもらうためで、いかなる役割も議員に期待しておらず、見返りを求められる立場にはない」
 娘婿の疑惑を、義父の上野公成氏はどう見るのか。
「俺は彼の政治活動には全然口出ししないし、ノータッチだよ。ただ本当にそういうことをしているんだったらあっせん利得罪になる」
 上野氏は録音を聞いてもなお否定し続けるのか。安倍政権の一員として、金銭の授受の有無も含めて説明責任を果たすべきだろう。

**********週刊文春オンライン2019年8月20日
URL ⇒ https://bunshun.jp/articles/-/13474
上野宏史厚労政務官の「口利き&金銭要求」音声
 上野宏史厚生労働政務官(48)が、外国人労働者の在留資格を巡り、法務省に“口利き”し、その見返りに金銭を求めていたことが「週刊文春」の入手した音声記録から分かった。

上野宏史厚生労働政務官 ©共同通信社
 東京都新宿区に本社を構える人材派遣会社「ネオキャリア」(以下ネオ社)は、全国の飲食店やドラッグストアなどに外国人を派遣している。彼らの在留資格を取るため、各地方の法務省外局「出入国在留管理局」に大量の交付申請を行っていた。
 上野事務所にはネオ社から在留資格申請中の外国人187人分のリストが送付されており、それに基づいて法務省に問い合わせを行っていたことも判明した。
 この申請を巡り、今年6月、上野政務官は政策秘書A氏に対し、次のような発言をしていた。
「(在留資格認定証明書の交付を)早くしたっていう実績をウチが作ってあげて、その分ウチは(もらう金額を)交渉して、これを党費にあてようと思って。(交付申請が)100人だから、(1件2万円で)200万円」

ネオ社が申請中の外国人の一覧表
 音声記録の中には他にも上野氏が「うちがネオキャリアからお金もらう案件でやってんだから」「僕がもらうはずのお金」などと口にする様子や、A秘書が「これあっせん利得になっちゃいますよ、代議士」とたしなめる場面も含まれている。
 元東京地検検事の落合洋司弁護士が指摘する。
「国会議員や秘書が、国が締結する契約などに関し、請託を受けて、権限に基づく影響力を行使して公務員に職務上の行為をさせるようあっせんし、報酬を得ることはあっせん利得処罰法違反となります」

根本厚労相と上野氏(右)
 上野氏を直撃すると、こう答えた。
――外国人の在留資格を巡る法務省への口利きで、1件2万円の報酬を取ろうとしていましたか?
「まったく、そんな話もしていないし、もちろん(お金も)もらっていない」
 上野氏は参院当選1回を経て、現在衆院2期目。総裁派閥の細田派に所属する中堅議員で、安倍政権が掲げる外国人労働者受け入れ拡大を巡っても、厚生労働政務官として「技能実習の職種のあり方に関する検討チーム」のトップに就くなど、上野氏は主要な役割を果たしている。
 8月21日(水)発売の「週刊文春」では、上野氏とA秘書のやり取りやリストの詳細、口利きに至る経緯、パワハラや暴言、自民党費を巡るさらなる問題についても詳しく報じている。また、「週刊文春デジタル」では、上野氏の“口利き&暴言音声”を公開中だ。
https://www.youtube.com/watch?v=8CUa7in4yUw

《予告編》厚労政務官 上野宏史衆議院議員 口利き&暴言音声を公開する
 自民党の上野宏史厚生労働政務官(48)が、自身の政策秘書に“犯罪行為”を指摘されていたことが「週刊文春」の取材で判明しました。上野氏は昨年10月の内閣改造で初めて政務三役入りした議員です。A秘書は自身のスマートフォンで、上野氏とのやり取りの一部始終を録音していました。  上野氏の“犯罪行為”とは、外国人の「在留資格認定証明書交付」を巡り、法務省への口利きでカネを取ろうという計画。口利きの相手企業は人材派遣会社の「ネオキャリア」(東京都新宿区)で、上野氏は口利きによって証明書の交付1件につき2万円を受け取ろうとしていました。
 この口利きを巡り、A秘書と上野氏の間でトラブルが起こりました。A秘書が、法務省からの認定の可否を上野氏に伝えずネオキャリアに一部報告したことで、結果をネオキャリアとの交渉材料にしたい上野氏は、A秘書の報告を受け激昂。
 録音には、上野氏がネオキャリアから受け取るはずだった金をA秘書に支払わせようとする上野氏の音声や、「(ネオキャリアとの交渉は)遊びでやってんじゃないんだ」とする音声が収録されていました。
 上野氏のA秘書に対する圧力はこれだけではありません。録音には、パワハラともとれる音声や、モノを叩きつけるなど激しい物音も残っていました。
 8月16日、議員会館事務所前で上野氏を直撃したところ、「まったく、そんな話もしていないし、もちろん(お金も)もらっていない」と、30分にわたって否定しました。
 「週刊文春デジタル」では激昂する上野氏の肉声を収めた《完全版》動画を公開中です。
**********

■これに追随して、新聞やテレビでも次々に報道されました。

**********時事ドットコム2019年08月20日22時38分
上野厚労政務官に「口利き」疑惑=文春報道
 外国人労働者の在留資格取得をめぐり、週刊文春(電子版)は20日、上野宏史厚生労働政務官(自民)の「口利き」疑惑を報じた。これによると、東京都内の人材派遣会社が在留資格を申請した外国人について、上野氏側が法務省に問い合わせるなどし、見返りに金銭を求めたとしている。
 上野氏は昨年10月に厚労政務官に就任。安倍政権が掲げる外国人労働者の受け入れ拡大に関し、外国人技能実習制度の運用弾力化に向けた検討会のトップを務めている。

**********上毛新聞2019年8月21日社会面

ZIP ⇒ 20190821ij.zip
上野宏史氏に“口利き”疑い 週刊誌報道 本人は記事中で否定
 週刊文春は20日、自民党群馬県連所属で厚生労働政務官の上野宏史衆院議員(比例南関東)が、外国人労働者の在留資格を巡って法務省に“口利き”し、見返りとして金銭を求めたとする記事をインターネットで公表した。上野氏は記事中で疑いを否定している。
 上野氏の事務所は上毛新聞の取材に対し「本人は不在。事務所は何も関知していない」とした。事務所関係者は「(上野氏)本人も週刊誌報道については把握している。近日中にきちんと説明があるはず」と述べた。
 自民党県連関係者は「週刊誌報道に関して本人から連絡があった。『事実無根なので弁護士と相談し、名誉棄損で訴える』と言っている」と話した。

**********東京新聞2019年8月22日

ZIP ⇒ 20190822vl.zip
【こちら特報部】ニュースの追跡
FAX 03(3595)0911 Eメールtokuho@chunichi.co.jp
上野政務官に疑惑、過去に片山氏、甘利氏にも
 外国人労働者の在留資格取得を巡り、週刊文春が報じた上野宏史・厚生労働政務官(自民)の「口利き」疑惑。政治家や秘書が官庁への口利きの見返りに金品を受け取る行為はあっせん利得処罰法により禁じられている。にもかかわらず、「政治とカネ」を巡る問題がなくならないのはなぜなのか。
★あっせん利得処罰法に限界★
 上野氏は昨年十月に厚労政務官に就任。阿部政権が掲げる外国人労働者の受け入れ拡大に関連し、外国人技能実習制度の運用弾力化に向けた検討会のトップも務める。
 同誌によると、上野氏側は金銭を受け取ることを前提に、東京都内の人材派遣会社が在留資格の交付申請をした外国人について法務省に問い合わせるなどしたとされる。事実関係を確認するため二十一日に衆議院議員会館の上野事務所に連絡すると、男性秘書が「報道については本人が対応を検討しており、連絡を待っている状態」と回答した。
 政治家らによる口利き疑惑が浮上するのは今回に限った話ではない。昨年十月には、片山さつき地方創生担当相の私設秘書だった男性が二〇一五年、税制優遇がある「青色申告」を取り消されそうになった会社経営者から百万円を受け取り、国税庁関係者に電話を掛けたと同誌が報道。片山氏は本紙の取材に「口利きをしたことも、百万円を受け取ったこともない」と否定した。
<【政】支援者に力誇示【官】政策通りやすく>
 一六年にも、道路工事の補償を巡って都市再生機構(UR)ともめていた建設会社から甘利明経済再生担当相(当時)と秘書が計六百万円を受領していたことが発覚。甘利氏はURへの口利きは否定したものの、秘書の監督責任を取るなどとして閣僚を辞任した。
 〇〇年十一月に成立したあっせん利得処罰法は、口利き行為をなくすのが目的だった。従来の収賄罪やあっせん収賄罪は職務権限がないと適用できず、立件のハードルが高かった。同年六月に中尾栄一・元建設相(故人)が受託収賄罪で逮捕され、国民の批判が高まったことが背景にあった。
★「亡くならず今後も増加」★
 ところがその後も一向に口利きはなくならない。全国市民オンブズマン連絡会議(名古屋市)の事務局長を務める新海聡弁護士は「なくならないどころが今後も増えていく」との見方を示す。
 「政治家は、カネや票につながる依頼を口利きでごり押しし、官僚を動かすことで支援者に力を誇示できる。官僚も話を聞いておけば貸しがつくれ、重要な政策に反対されないというメリットがある」と指摘。あっせん利得処罰法は歯止めにならないとし、「政治家、官僚とも口利きを隠蔽する。罰則があっても禁止するには限界があり、法自体が空文化している」と唱える。
 政治家らが一部の人間から口利きをして金を受け取り、利益を誘導するのがまかり通るようになれば、世の中全体に不公平感が広がっていく。新海氏は「政権交代がない状態が続けば続くほど、政治家と官僚の癒着は増える。『貸し借り』の政治が広まり、民主主義が劣化していく。そうさせないためには、国や地方自治体があらゆる口利きや働き掛けを記録して公表し、市民が監視できるように可視化することが重要だ」と提言した。

**********東スポWeb 2019年8月23日16:00
疑惑政務官・上野宏史氏の「前代未聞」法務省への口利き発覚の直前に美人秘書カラオケバトル優勝
 外国人労働者の在留資格取得を巡り、法務省に「口利き」した疑惑が報じられた自民党衆院議員の上野宏史厚生労働政務官(48)が、国会で野党の追及の嵐にさらされる。政策秘書との会話も暴露され「あっせん利得処罰法」に抵触するというもの。そんな折、上野氏の知名度をアップさせる出来事が起きた。美人ハーフの私設秘書が先日、テレビ東京系で放送されたカラオケバトル番組で見事優勝したのだ。疑惑がなければ好感度が上がっただろうに、まさにバッドタイミング――。
 上野氏は参院当選1回、衆院に鞍替えし、2期目の中堅議員だ。安倍政権が掲げる外国人労働者受け入れ拡大政策を巡っては、厚生労働政務官として「技能実習の職種のあり方に関する検討チーム」のトップを務める。
 週刊文春によると、疑惑の舞台は、全国の飲食店やドラッグストアなどに外国人を派遣している人材派遣会社「ネオキャリア」(本社・東京都新宿区)だ。上野氏は、外国人労働者の在留資格を取るため、各地方の法務省外局「出入国在留管理局」に大量の交付申請を行い、在留資格認定証明書の交付を早めるようにした見返りに金銭を求めたと詳報している。
 同誌デジタルメディアでは上野氏の“口利き&暴言音声”が公開されている。今年6月、上野氏が交わした政策秘書A氏との会話も暴露された。
「遊びでやってんじゃないんだよ」(上野氏)
 これにA氏は「これ、あっせん利得になっちゃいますよ、代議士」とたしなめている。
 上野氏は同誌にこの会話を「していない」、金銭授受についても「もらっていない」と否定したという。
 自民党関係者は「政策秘書のA氏は上野事務所を辞めて、現在、日本維新の会の議員秘書になったといわれています。官邸は文春の記事を受け、反響が広がれば、9月の内閣改造人事を待たずに上野氏を更迭する意向があるそうです」と話す。
 この記事が出る直前、テレビに出演し大きな話題を集めたのが、上野氏の別の私設秘書だ。小松ミユキ氏(25)という日本とトルコのハーフ美女が、今月18日にテレビ東京系で放送された「THE☆カラオケバトル『チャンピオンズカップ2019』」に登場。予選で岩崎宏美の「聖母たちのララバイ」、決勝では中島美嘉の「ORION」を熱唱し、99・885の超高得点を叩き出し見事に優勝したのだ。
 この小松氏、昨年はカラオケの世界大会に日本代表として出場しており、素人カラオケ界では知られた人物だ。
 上野氏は口利き疑惑が発覚する直前の今月上旬、ツイッターに小松秘書の番組出演について「地元・群馬の皆様にも熱く応援いただいた前回は惜しくも準優勝でしたが、今回はどうでしょうか。(略)私の映像もどこかで使われているはずです」と投稿していた。
 番組でも「歌がうますぎる美人国会議員秘書」と紹介され、小松氏もツイッターで優勝トロフィーを抱え、笑顔の写真とともに「優勝しました 応援して下さった皆様本当にありがとうございました これからも相変わらずのキャラで突っ走って行きますので応援宜しくお願い致します」と喜びのコメントをアップした。
 自らのイメージアップにもつながるはずの私設秘書の快挙だったが、疑惑が出たとあっては「あぁ、あのカラオケのうまい秘書がいる疑惑の代議士ね」とダーティーな宣伝効果になっている。
 自民党議員秘書は「テレビで拝見しましたが、歌は本当にうまかったですよ。しかし、政治家と秘書が同時に“時の人”になるのは前代未聞」と皮肉を込めて話した。
 週刊文春で疑惑の証拠となる会話を上野氏と交わした政策秘書A氏と小松さんは別人だが、同じ秘書で、小松氏も疑惑を知っていたのではないかとの見方もある。
 だが「小松氏は私設秘書の立場ですから、上野氏の口利き計画は知らなかったと思います」(自民党議員)。
 一方の野党は今後、安倍政権の看板政策を担う上野氏を秋の臨時国会で厳しく追及する構えだ。
 立憲民主党議員は「上野氏は音声データについて説明責任を果たす義務がある。政務官という立場の方が口利き疑惑を持たれては、国民の政治不信が加速します。野党合同で法務省からヒアリングを行い、真相を究明したい」と早くも追及の姿勢を見せている。
**********

■その後、テレビ朝日も上野政務官と秘書の会話録音を入手し、公表しています。

**********テレ朝News 2019年8月25日17:54
https://news.tv-asahi.co.jp/news_politics/articles/000162793.html
上野政務官“口利き”疑惑 「やりとり音声」を入手
 外国人労働者の在留資格取得を巡り、上野宏史厚生労働政務官が法務省に口利きをした見返りに金銭を要求していた疑惑が明らかとなりました。上野政務官と元秘書とのやり取りを収めたとされる音声を独自に入手しました。
https://www.youtube.com/watch?v=7y9a9PFlu8k
外国人労働者の在留資格申請をめぐり、上野宏史厚生労働政務官が法務省に口利きをした見返りに人材派遣会社から“口利き料”を受け取ろうとしていたのではないかという疑惑が浮上している。今年6月、上野政務官と元秘書のやり取りを収めたとされる音声記録の中には「うちが“人材派遣会社”からお金もらう案件になっている」「(在留資格の交付を)早くしたっていう実績をうちが作ってあげて、その分、うちは交渉して、党費に充てようと思って」などと発言している。一方、元秘書が「これあっせん利得になっちゃいますよ、代議士」とたしなめる場面も含まれていた。人材派遣会社は、“口利き”について、「依頼した事実はない」と取材に回答。上野政務官にも、21日に質問状を送るなど取材を申し込んでいるが、今のところ回答はない。
**********

 以上の通り、財界に配慮して安倍政権のもとで、2018年12月8日の参院本会議で可決・成立した外国人労働者の受け入れを拡大する改正出入国管理法(入管法)は、人手不足解消のため、一定の技能を持つ外国人に新在留資格「特定技能」を与えるものです。2019年4月1日に施行され、5年間で最大約34万5千人の受け入れを見込んでいますが、さっそく、安倍首相が仲人をした議員が、この法律のおいしい果実を貪っていた実態が発覚したことになります。

 厚生労働省によると、2017年10月末時点で約128万人の外国人が国内で働いています。しかし、就労のための在留資格が認められているのは大学教授や医師といった高度な専門的分野に限られていました。

 専門的な知識などを必要としない単純労働分野は、日本で学んだ技能を母国に伝えてもらうための技能実習制度で来日する実習生のほか、アルバイトの留学生が担ってきました。改正法は単純労働分野にも「労働者」として受け入れることを認める内容で、大きな政策転換となりました。

 受け入れ対象は介護業、ビルクリーニング業、素形材産業、産業機械製造業、電気・電子情報関連業、建設業、造船・舶用工業、自動車整備業、航空業、宿泊業、農業、漁業、飲食料品製造業、外食業の14業種。機械化などによる生産性向上や、高齢者の雇用など国内の人材確保に努めてもなお、人手が足りない業種です。ただし、各業種を所管する省庁などが人手不足が解消されたと判断した場合、外国人の受け入れは停止されます。

■実は、少子高齢化のために若手の労働力不足が表面化した10年前にも、似たような事件が起きました。その時に登場したのが、これまた我らが群馬県の誇る政治家の親族でした。当時の報道記事を見てみましょう。

***********Net IB News 特別取材2008年12月29日 09:36
「国家公認人身売買」は本当だった!(その1)
 賃金未払いやピンハネ、劣悪環境によるストレスなどから殺人、傷害事件まで発生。「こんな制度止めてしまえ」と数年前から社会問題化してきたのが外国人研修・技能実習制度だ。法務、外務、厚労、総務、経産、国交など各省庁が関わり、「国家公認人身売買」との批判もあるその実態は是正される一方、官業癒着としか思えない事例もまかり通っている。
 12月12日、宇都宮地裁足利支部は日中経済産業協同組合(東京)代表理事の小渕成康(おぶち・まさやす)被告、同組合元顧問ら3人に懲役1年から8月(ともに執行猶予3年)の有罪判決を下した。小渕被告は故・小渕恵三元首相の甥、小渕優子少子化担当相の従兄弟だ。
 同組合は複数の都道府県に組合員をもつ広域の協同組合である。組合員はほとんどが中小・零細企業。安い労働力として中国、ベトナム、インドネシアなど途上国から、技能研修生、実習生という名の人手を組合員企業に斡旋している。そこに不正があり、宇都宮地検から今年はじめに書類送検されていた。
 同制度は各省庁天下りが幹部に座る財団法人・国際研修協力機構(JITCO)が仕切るもので、1年目が研修生、2年目と3年目は実習生として合わせて3年間働ける仕組み。 その受け皿になるのが全国にある協同組合で、組合は傘下の組合員企業に必要とする人数の研修生を斡旋。研修生は残業禁止で研修手当のみが建前。実習生になると給料と残業代が支払われる。その支払い方法も組合によってさまざま。組合員企業が直接、研修生らの銀行口座に振り込む形もあれば、企業が組合経由で支払うケースもある。
 小渕被告らは後者の手法を悪用。06年3月まで、企業2社が実習生5人に支払った417万円から132万円を、さらに07年6月まで10社34人の実習生賃金1327万円から1070万円を着服したもの。裁判長は「中間搾取の隠蔽工作は悪質」と断罪したが、受け入れ研修生、実習生の総数700人ともいわれる大手協同組合のトップが起訴され、有罪になったのは画期的。ピンハネされたのは栃木県下の縫製業で働く中国人女性たちで、彼女たちが労働基準局に訴え出たのが摘発のきっかけになったもの。(つづく) 【ジャーナリスト=恩田勝亘】
○恩田勝亘(おんだ・かつのぶ)
1943年生まれ。67年より女性誌や雑誌のライター。71年より『週刊現代』記者として長年スクープを連発。2007年からはフリーに転じ、政治・経済・社会問題とテーマは幅広い。チェルノブイリ原子力発電所現地特派員レポートなどで健筆を振るっている。著書に『東京電力・帝国の暗黒』(七つ森書館)、『原発に子孫の命は売れない ― 舛倉隆と棚塩原発反対同盟23年の闘い』 (七つ森書館)、『仏教の格言』(KKベストセラーズ)、『日本に君臨するもの』(主婦の友社―共著)など。

**********人民網日本語版2009年5月5日
中国人実習生、小渕元首相の甥を起訴
 日本の故小渕恵三元首相の甥で「日中経済産業協同組合」の小渕成康理事長は2008年12月12日午前、中国人実習生の賃金約1200万円を着服したとして、かつて日本の「労働基準法」違反で、宇都宮地裁足利支部から懲役1年、執行猶予3年を言い渡された。当時の原告側は栃木労働基準監督署だった。「日本新華僑報」が伝えた。
 2006年3月15日、小渕理事長らは栃木県の企業2社が中国人実習生6人に支払われるはずだった130万円を着服した。さらに2007年6月4日と5日には栃木県、茨城県、群馬県の企業10社から中国人実習生44人に支払われるはずの1300万円を着服。中国人実習生約50人以上がこの手口の被害にあった。
 現在、被害者のうちの一人である倪文利さん(26)が勇敢に立ち上がり、日本のゴールデンウィーク最終日にあたる5月7日、中国人実習生の受け入れ団体「日中経済産業協同組合」と同組合の小渕成康理事長(42)を相手に215万円の賠償を求め東京地方裁判所に直接提訴する。
 倪さんの代理弁護士である出口裕規氏によると、倪さんは2004年11月から2007年2月まで群馬県桐生市の金属加工会社で研修・実習していた。2004年8月から2005年11月7日の「研修」期間中、毎月5万円の「研修手当」を受け取るはずが、実際には3万円しか受け取らなかった。さらに2005年11月8日から2007年2月11日の「技能実習」期間には毎月11万5000円あるはずの賃金が実際には2万から2万5000円しかなかったという。
 倪さんの口座には金属加工会社から毎月契約通りの賃金が振り込まれていたが、通帳と個人の印鑑は小渕成康さんが理事長を務める「日中経済産業協同組合」が直接保管しており、倪さん本人は引き出すことができなかった。
 その結果、最後に倪さんは賃金を176万円少なく受け取った。今回倪さんは慰謝料などを加え、「日中経済産業協同組合」と小渕成康理事長に計215万円の賠償を求める。
 出口弁護士は、「被害にあったより多くの中国人実習生が立ち上がり、自らの合法的権利を守ってほしい。私たちは追加起訴できる」と話す。一方、小渕理事長は4日現在、一切の取材を拒否している。(編集KA)

**********毎日新聞2009年5月5日 2時30分
http://mainichi.jp/select/today/news/20090505k0000m040114000c.html?inb=ff
提訴:中国人元実習生が賃金搾取賠償求め 東京地裁に7日
 賃金を中間搾取されたとして、中国人の元技能実習生の男性が7日、受け入れ団体「日中経済産業協同組合」(東京都渋谷区)と組合理事長で故小渕恵三元首相のおい、小渕成康(まさやす)さん(42)を相手に約215万円の賠償を求め東京地裁に提訴する。組合の仲介により金属加工会社で就労した2年余り、研修手当や賃金をピンはねされたと主張している。元実習生の弁護士によると、把握しているだけで同様の被害者は約50人、被害総額は3000万円に達するという。
 提訴するのは04年11月~07年2月に群馬県桐生市の金属加工会社で研修・実習した中国籍の倪文利さん(26)。
 倪さん側の出口裕規弁護士によると、研修期間の04年11月8日~05年11月7日、月額約5万円の研修手当が支払われるはずが約3万円しか支給されず、技能実習期間の05年11月8日~07年2月11日にも月額約11万5000円と定めた賃金が月2万~2万5000円程度しかなかった。
 倪さん名義の口座には金属加工会社から毎月、ほぼ契約通りの額が振り込まれていた。しかし通帳と印鑑を組合が保管しており、倪さんはお金を引き出せなかった。本来の支給額との差額約176万円に慰謝料などを加えた計約215万円の賠償を求める。
 小渕理事長は故小渕元首相の兄の長男で、小渕優子少子化担当相のいとこ。実習生の賃金約1200万円を着服したとして労働基準法違反(中間搾取)で在宅起訴され、宇都宮地裁足利支部で08年12月、懲役1年、執行猶予3年を言い渡され、確定した。判決は「常習的に中間搾取した」と指摘した。
 出口弁護士は「他の被害者を募り、追加提訴したい」と話す。一方、組合を通じた取材に対し、小渕理事長は4日現在回答していない。【銭場裕司】
 【ことば】▽外国人研修・技能実習制度▽ 1年の研修後、実習生として2年間労働できる。研修生は労働者ではなく研修手当が支給され、実習生は労働者として賃金が支払われる。07年の研修生は約10万2000人。08年、不当な時間外労働など「不正行為」が認定された企業・団体は452と過去最多だった。

**********夕刊フジ2009年5月9日
小渕優子のいとこ提訴される…実習生「賃金を搾取」
 約2年にわたって賃金の大半を中間搾取されたとして、中国人の元技能実習生が7日、受け入れ団体「日中経済産業協同組合」(東京都渋谷区)と小渕成康代表理事(42)を相手に、本来賃金との差額と損害賠償計約215万円の支払いを求める訴えを東京地裁に起こした。原告側弁護士によると、代表理事は故小渕恵三元首相のおいで、小渕優子少子化担当相のいとこにあたる。
 提訴したのは、外国人研修・技能実習生として来日した中国人の男性(26)。2004年11月から2年余、群馬県桐生市の金属加工会社で勤務した。
 訴状によると、男性は加工会社と月額11万5000円で雇用契約を結んだが、組合が通帳を管理。賃金を中間搾取し、男性に支払ったのは2万-2万5000円だったとしている。

**********毎日新聞2009年5月9日15:48
賃金搾取:中国の元技能実習生が小渕元首相のおい賠償提訴
 外国人研修・技能実習生の受け入れ団体「日中経済産業協同組合」を舞台にした賃金搾取疑惑で、中国人男性で元技能実習生の倪文利さんが7日、組合と組合理事長で故小渕恵三元首相のおい、小渕成康氏に約215万円の賠償を求め、東京地裁に提訴した。
 訴状によると、倪さんは04年11月から1年間、群馬県桐生市の金属加工会社で研修を受け、研修終了後も07年2月までこの会社で就労した。この間支給されたのは月約2万~3万円で、月額約11万5000円の賃金との差額や慰謝料などの支払いを求めている。
 生活苦で07年2月、職場を逃げ出した倪さんが、組合にパスポートや自己名義の銀行口座の通帳、印鑑の返還を求めると、パスポート以外は拒否されたという。
 倪さん側の指宿昭一弁護士は「全国的な問題で氷山の一角」と話す。組合を巡る被害者数は約50人、総額約3000万円を超えるとしており、現在中国・天津市に住む倪さんは「他の研修生の問題も解決してほしい」とするコメントを発表した。
**********

■どうやら群馬県関連の自民系政治家の間には、制度改正に便乗し、利権にありつこうとするDNAが連綿と継承されているようです。司法がこれをきちんと裁けない限り、今後も再発するに違いありません。

 当会は、税金を原資とする公金の無駄遣いや行政の不正・不当な事務事業の撲滅に向けて、引き続き微力ながら全力で邁進してゆく所存です。

【市民オンブズマン群馬事務局からの報告】

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安中公害闘争のシンボルの記念碑がある安中緑の大地を守る会のプレハブ事務所の壁面塗装作業(追加)

2019-08-24 23:31:00 | 東邦亜鉛カドミウム公害問題

■安中公害の原因企業の東邦亜鉛の創業時からの主力工場である安中製錬所の一番東側に、同社が高崎信金の名義で農地法違反をして、地元住民を騙してせしめた農地を変電所に作り替え、自らの名義の土地を高崎信金と交換して野球グランドにした場所があります。この隣に、安中公害訴訟弁護団を前身とする安中緑の大地を守る会の公園とプレハブ事務所があります。先日8月10日の事務所の壁面塗装作業に引き続き、8月24日の午前9時から、追加の仕上げ塗装作業を有志の皆さんで行いました。前回の作業の様子は次のブログをご覧ください。
〇2019年8月11日:安中公害闘争のシンボルの記念碑がある安中緑の大地を守る会のプレハブ事務所の壁面塗装作業
https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/3002.html

きれいに塗りあがったプレハブ事務所。









薄いベージュ色の壁面に焦げ茶色の裾部がアクセントとして映える。↑



きょうも隣りの高崎信用金庫(たかしん)のグランドで野球の練習に余念のないクラブチーム。ボールがこちらに2回ほど飛び込んできた。練習後は機械や人力で草刈り作業。

■本日は正午までに一連の作業と後片づけを終えて、事務所内で事務局の用意した弁当をいただき、地元の話題についてひとしきり話に花を咲かせた後、散会しました。今日の作業は、側壁の裾部の塗装と、側壁の仕上げ塗装、そして玄関のスノコ屋根を支える鉄柱および鉄枠部の塗装でした。作業完了後は、新品同然の外観を取り戻しました。

 こうして自前の労力で補修をすることで、安中公害の拠点であり、今後は、鉛・ヒ素入りスラグを平然と県土にばら撒いてきた東邦亜鉛安中製錬所のコンプライアンス欠如から生じる第2の公害事件をこれ以上拡大させないための地元の監視拠点として、引き続き活用していけることが担保されました。

 なお、雑談のなかで、8月29日(木)午後2時から北野殿公会堂で、公特事業推進委員会営農委員を対象とした会議が開催予定だという情報を耳にしました。広報担当の筆者には連絡がなかったため、事務局の安中市農林課に確認をしたいと思います。

【ひらく会情報部】

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