■ジブチに別れを告げて、東アフリカのハブ空港のひとつのアジスアベバ空港に着きました。標高2400mのアジスアベバは、夜の7時で気温がなんと14度C。一気に20度以上も気温が低くなりました。
アジスアベバのシェラトン・ホテルを事前に予約しようとしたのですが、いくら確認しても10月27日は満室という返事。あれだけ大きなホテルなのに変だな、と思いましたが、仕方がなくヒルトン・ホテルに変更しました。
↑福田元総理御一行様をはじめ、世界人口会議の参加者でシェラトン・ホテルが満杯のため、ヒルトン・ホテルに変更を余儀なくされた。↑
■その理由がアジスアベバに到着して、判明しました。10月27日と28日にかけて、国連世界人口会議がアジスアベバで開催されていたため、会場に近いシェラトン・ホテルは満室だったからです。
115カ国が参加した国連世界人口会議には、日本からも、なぜか福田康夫・元総理大臣が参加しました。ところが、現地の外交筋の情報によると、元首相といえども、もはや野党の一議員なので、大使館関係者も困っているというのです。というのは、福田元首相は、まだ自分自身として「元首相」という意識が強く、「エチオピアの首相との面談」を希望して、大使館関係者を困らせているのです。
■もちろん、大使館関係者も、福田康夫代議士が、元首相だということは承知しているのですが、いまや単なる野党の一議員。エチオピアの首相と面談できたとしても、もはや、福田康夫氏は、日本国を代表する立場ではありません。「いったい何を話すのだろうか」と大使館関係者も非常に困っていました。
「あなたとは違うんです」などと気色ばんで、インタビューした記者に言い放ち、首相の座を投げ出した無責任な福田元総理なので、大使館関係者の苦労が偲ばれます。こうして、まだ、国費を使って海外に勝手に出かけ、周囲を困らせていることを知り、地元群馬県人として赤面の至りでした。
■ところでエチオピアは、面積が110万4300平方キロ、人口約8千万人の大国で、古代からの独立国として、アフリカでは独自の文化と歴史を持つ特異な存在で知られています。
気候的には、6月から9月は雨季で、結構雨がよく降りますが、一日中降るわけではありません。昼間は暑いですが、朝晩は相当涼しくなります。
■エチオピア人の主食は、テフという粟のような小粒の穀物を粉にして、イーストを加えて数日間放置して発酵させたものをフライパンに薄く広げて直火で焼いたもので、「インジェラ」とよばれる、見かけはスポンジ状の灰色のパンケーキです。
↑おしぼりではありません。インジェラです。↑
すこし酸味があり、クセのある味ですが、エチオピア人は、3度の食事にこれがないと落ち着かないほどの大好物です。このインジェラをちぎりながら、「ワット」と呼ばれるスパイシーなシチューというか、カレーを食べますが、相当辛い食べ物です。
テフは、小麦粉と違いグルテン分がゼロなので、小麦粉アレルギーの人などが使う場合もあり、欧米では健康食品として知られており、日本でも最近注目されています。
■ワットを煮込む時などは、圧力鍋を使わないと、うまく調理できません。なにしろ標高2400mなので、沸点が低いため、米を普通に炊く場合には、芯ができてしまうからです。内陸国のため、ナイルパーチやティラピアなどの白身の淡水魚しか魚は手に入らず、海の魚はジブチに行かないと食べられません。
エチオピアには、圧倒的なキリスト教徒をはじめ、イスラム教徒やユダヤ教徒が多いため、豚肉を食べる習慣はなく、野菜や豆だけの料理がしばしばです。
↑典型的なエチオピア料理の一例。↑
エチオピアは、コーヒーの原産地として有名です。現在、ブラジル、ベトナム、コロンビアに次いで、世界第4位のコーヒー生産国です。コーヒーの自生地は北緯6~9度、東経34~38度、標高1500~1900メートルで、水の十分にある涼しい高原です。
↑アジスアベバ市内で有名なコーヒー販売店「トモカ」。店内ではコーヒーも飲める。また、紅茶類も販売している。↑
■エチオピアの経済は、現在、重大な危機に直面しています。今年の2月の時点で、外貨準備高がなんと9億ドル(約800億円)くらいにまで減りました。理由は、輸出が輸入の5倍くらいあるため、外貨準備が追いつかないためです。
9億ドルは、1ヶ月間の輸入額にも満たないため、とりあえず世銀から借金をしてしのいでいます。もちろん、世銀からは「輸入を抑制せよ」という条件が付けられているため、エチオピアへの入国時には、かならずドルの所持金額を申告しなければなりません。申告せずに、2000ドル以上を持ち出そうとすると、没収されてしまいます。また、現地通貨のブル(Birr)も、200ブル以上の持ち出しは厳禁とされています。ちなみに、現在は100ドル=1279Birr、1Birr=約7円となっています。
■このように、ドル不足に陥っているため、エチオピアで、なにかを輸入しようとしても、銀行で信用状(L/C)をなかなかひらいてもらえません。現在では、食料や医薬品以外の品物は贅沢品だとして、非常に輸入が困難です。新車を購入しようとすると、税金が250%付加されるため、日本で300万円くらいの四輪駆動車が、なんと1050万円もします。
エチオピアの企業はブル(Birr)の口座しか持っていません。だからなにか、物を輸入するときはProforma Invoiceをつくって、銀行に持ってゆき、そのInvoiceで自分の銀行口座で、Birrをドルに転換して、信用状を開設してもらいます。こうして、ドルは全部ナショナルバンク(中央銀行)が管理しています。ホテルでもドルの現金で支払おうとすると、一旦、銀行でBirrに変えて、Birrで支払うように指示されます。クレジットカードを使えるのは外国人用のホテル内での支払いくらいで、市中の商店やレストランでは、クレジットカードは全然使えません。
↑アジスアベバ市内。↑
■外貨獲得対策として、輸出を振興していますが、エチオピアは農業国なので、せいぜいコーヒーとかゴマといった農産品しかなく、あとは、鉱物資源として、金が少し出るくらいです。
海岸部だったエリトリアが独立してしまったため、エチオピアには、港がありません。完全な内陸国ですが、ナイル川の源流のタナ湖があります。この湖は青ナイルの源流です。また、豊富な降水量と、起伏に富む地形から、電力は水力発電で80%くらい賄われています。しかし、このため、雨季に雨が不足すると、たちまち電力不足に陥り、計画停電を余儀なくされます。
↑アジスアベバ市内。空気が薄いので階段の上りは直ぐ息が切れる。↑
■石油は、ジブチ経由でタンクローリーで輸入していますが、最近は、内陸国境を隔てた隣国スーダンからパイプラインで輸入する割合が増えつつあります。
エチオピアもアフリカの他の諸国と同様に、最近は、中国人の進出が目につきます。エチオピアに在留する日本人は200人程度ですが、中国人は8000人もおり、道路や発電所の建設を、ソフトローンで行っています。
■このように誇り高きエチオピア人ですが、ドル不足解消のためには、もっと観光などにも力を入れて、海外からの旅行客を増やそうとする努力が必要です。
↑丸裸だったアジスアベバ周辺の山々は、19世紀末に豪州から導入されたユーカリの植林でこのように見渡す限り森林となった。現在ではユーカリは燃料用に100%、建材用に90%が使用されている。↑
↑背中にユーカリの薪を背負って、山道を下るのは女性の仕事。男性はふもとでそれを待ち受けて、売りさばく。↑
【ひらく会・海外取材班】
アジスアベバのシェラトン・ホテルを事前に予約しようとしたのですが、いくら確認しても10月27日は満室という返事。あれだけ大きなホテルなのに変だな、と思いましたが、仕方がなくヒルトン・ホテルに変更しました。
↑福田元総理御一行様をはじめ、世界人口会議の参加者でシェラトン・ホテルが満杯のため、ヒルトン・ホテルに変更を余儀なくされた。↑
■その理由がアジスアベバに到着して、判明しました。10月27日と28日にかけて、国連世界人口会議がアジスアベバで開催されていたため、会場に近いシェラトン・ホテルは満室だったからです。
115カ国が参加した国連世界人口会議には、日本からも、なぜか福田康夫・元総理大臣が参加しました。ところが、現地の外交筋の情報によると、元首相といえども、もはや野党の一議員なので、大使館関係者も困っているというのです。というのは、福田元首相は、まだ自分自身として「元首相」という意識が強く、「エチオピアの首相との面談」を希望して、大使館関係者を困らせているのです。
■もちろん、大使館関係者も、福田康夫代議士が、元首相だということは承知しているのですが、いまや単なる野党の一議員。エチオピアの首相と面談できたとしても、もはや、福田康夫氏は、日本国を代表する立場ではありません。「いったい何を話すのだろうか」と大使館関係者も非常に困っていました。
「あなたとは違うんです」などと気色ばんで、インタビューした記者に言い放ち、首相の座を投げ出した無責任な福田元総理なので、大使館関係者の苦労が偲ばれます。こうして、まだ、国費を使って海外に勝手に出かけ、周囲を困らせていることを知り、地元群馬県人として赤面の至りでした。
■ところでエチオピアは、面積が110万4300平方キロ、人口約8千万人の大国で、古代からの独立国として、アフリカでは独自の文化と歴史を持つ特異な存在で知られています。
気候的には、6月から9月は雨季で、結構雨がよく降りますが、一日中降るわけではありません。昼間は暑いですが、朝晩は相当涼しくなります。
■エチオピア人の主食は、テフという粟のような小粒の穀物を粉にして、イーストを加えて数日間放置して発酵させたものをフライパンに薄く広げて直火で焼いたもので、「インジェラ」とよばれる、見かけはスポンジ状の灰色のパンケーキです。
↑おしぼりではありません。インジェラです。↑
すこし酸味があり、クセのある味ですが、エチオピア人は、3度の食事にこれがないと落ち着かないほどの大好物です。このインジェラをちぎりながら、「ワット」と呼ばれるスパイシーなシチューというか、カレーを食べますが、相当辛い食べ物です。
テフは、小麦粉と違いグルテン分がゼロなので、小麦粉アレルギーの人などが使う場合もあり、欧米では健康食品として知られており、日本でも最近注目されています。
■ワットを煮込む時などは、圧力鍋を使わないと、うまく調理できません。なにしろ標高2400mなので、沸点が低いため、米を普通に炊く場合には、芯ができてしまうからです。内陸国のため、ナイルパーチやティラピアなどの白身の淡水魚しか魚は手に入らず、海の魚はジブチに行かないと食べられません。
エチオピアには、圧倒的なキリスト教徒をはじめ、イスラム教徒やユダヤ教徒が多いため、豚肉を食べる習慣はなく、野菜や豆だけの料理がしばしばです。
↑典型的なエチオピア料理の一例。↑
エチオピアは、コーヒーの原産地として有名です。現在、ブラジル、ベトナム、コロンビアに次いで、世界第4位のコーヒー生産国です。コーヒーの自生地は北緯6~9度、東経34~38度、標高1500~1900メートルで、水の十分にある涼しい高原です。
↑アジスアベバ市内で有名なコーヒー販売店「トモカ」。店内ではコーヒーも飲める。また、紅茶類も販売している。↑
■エチオピアの経済は、現在、重大な危機に直面しています。今年の2月の時点で、外貨準備高がなんと9億ドル(約800億円)くらいにまで減りました。理由は、輸出が輸入の5倍くらいあるため、外貨準備が追いつかないためです。
9億ドルは、1ヶ月間の輸入額にも満たないため、とりあえず世銀から借金をしてしのいでいます。もちろん、世銀からは「輸入を抑制せよ」という条件が付けられているため、エチオピアへの入国時には、かならずドルの所持金額を申告しなければなりません。申告せずに、2000ドル以上を持ち出そうとすると、没収されてしまいます。また、現地通貨のブル(Birr)も、200ブル以上の持ち出しは厳禁とされています。ちなみに、現在は100ドル=1279Birr、1Birr=約7円となっています。
■このように、ドル不足に陥っているため、エチオピアで、なにかを輸入しようとしても、銀行で信用状(L/C)をなかなかひらいてもらえません。現在では、食料や医薬品以外の品物は贅沢品だとして、非常に輸入が困難です。新車を購入しようとすると、税金が250%付加されるため、日本で300万円くらいの四輪駆動車が、なんと1050万円もします。
エチオピアの企業はブル(Birr)の口座しか持っていません。だからなにか、物を輸入するときはProforma Invoiceをつくって、銀行に持ってゆき、そのInvoiceで自分の銀行口座で、Birrをドルに転換して、信用状を開設してもらいます。こうして、ドルは全部ナショナルバンク(中央銀行)が管理しています。ホテルでもドルの現金で支払おうとすると、一旦、銀行でBirrに変えて、Birrで支払うように指示されます。クレジットカードを使えるのは外国人用のホテル内での支払いくらいで、市中の商店やレストランでは、クレジットカードは全然使えません。
↑アジスアベバ市内。↑
■外貨獲得対策として、輸出を振興していますが、エチオピアは農業国なので、せいぜいコーヒーとかゴマといった農産品しかなく、あとは、鉱物資源として、金が少し出るくらいです。
海岸部だったエリトリアが独立してしまったため、エチオピアには、港がありません。完全な内陸国ですが、ナイル川の源流のタナ湖があります。この湖は青ナイルの源流です。また、豊富な降水量と、起伏に富む地形から、電力は水力発電で80%くらい賄われています。しかし、このため、雨季に雨が不足すると、たちまち電力不足に陥り、計画停電を余儀なくされます。
↑アジスアベバ市内。空気が薄いので階段の上りは直ぐ息が切れる。↑
■石油は、ジブチ経由でタンクローリーで輸入していますが、最近は、内陸国境を隔てた隣国スーダンからパイプラインで輸入する割合が増えつつあります。
エチオピアもアフリカの他の諸国と同様に、最近は、中国人の進出が目につきます。エチオピアに在留する日本人は200人程度ですが、中国人は8000人もおり、道路や発電所の建設を、ソフトローンで行っています。
■このように誇り高きエチオピア人ですが、ドル不足解消のためには、もっと観光などにも力を入れて、海外からの旅行客を増やそうとする努力が必要です。
↑丸裸だったアジスアベバ周辺の山々は、19世紀末に豪州から導入されたユーカリの植林でこのように見渡す限り森林となった。現在ではユーカリは燃料用に100%、建材用に90%が使用されている。↑
↑背中にユーカリの薪を背負って、山道を下るのは女性の仕事。男性はふもとでそれを待ち受けて、売りさばく。↑
【ひらく会・海外取材班】