市政をひらく安中市民の会・市民オンブズマン群馬

1995年に群馬県安中市で起きた51億円詐欺横領事件に敢然と取組む市民団体と保守王国群馬県のオンブズマン組織の活動記録

【出張!オンブズマン】外出自粛中に長野高専総務課長が車で週末東奔西走?…真偽確認の公開質問提出!

2020-05-26 22:55:00 | 【出張!オンブズマン】長野高専の闇
■5月25日の夕方に政府は、北海道、埼玉、千葉、東京、神奈川の5都道県で続いてきた新型コロナウイルスの緊急事態宣言を解除しました。しかしウイルスが完全に撲滅できたわけではなく、今後、全世界的に蔓延したこの武漢発のやっかいなウイルスが経済活動の再開に伴って再び第2波、第3波として襲いかかるリスクとともに過ごすことになります。
 こうした中、教育分野では春の間じゅうずっと、児童、生徒、学生のかたがたがStay Homeを強いられて授業や課外活動を奪われてしまい、一方で教員のかたがたも出張できないといった状況が続いてきました。このように日本中、そして世界中が我慢している状況下において、当会が取り組んできているアカハラ・いじめ・学校私物化等問題が山積みの高専組織の体質改善に関連して、お隣の長野高専からとんでもない情報がもたらされました。
 本来、学校においてルールを作成し率先して遵守しなければならない管理職が、新型コロナによる緊急事態宣言下にも関わらず、毎週県境を越境していた疑惑があるというのです。いったい何が起きていたというのでしょうか。

越境常習疑惑の管理職
※長野高専幹部職員録ZIP ⇒ e.zip

 毎週、東京の自宅まで往復していた疑惑があるのは同校の総務課長の岩佐氏です。ルールでは、長野県から県境を越えて東京に行くことは、原則自粛しなければならず、やむを得ず行った場合は14日間自宅待機する必要があります。ところが、岩佐総務課長の場合、一切そうした感染防止措置を取らなかったようです。

 当会が収集した情報によると、総務課長が利用している宿舎には県外ナンバーの車も何台か駐車してあるということですが、総務課長の白の広島ナンバーの車だけが金曜日から日曜日迄毎週必ず不在となっており、東京に帰っているとの学内でもっぱらの噂のようです。

 ウイルス拡散を防ぎ人命を守るため、学生・教員も含め日本中が堪え忍び我慢の生活を続けていました。ルールを一番守らなければならない国の教育機関の管理職ともあろう者が、緊急事態宣言下の東京へ頻繁に不要不急の往来をし、あまつさえ何食わぬ顔で職場に顔を出し同僚を危険に晒していたという異常事態が発生していたとなれば、「自粛警察」ならずとも、問題視せざるをえません。

■そのため、当会として事実関係を確認するために、5月25日付で、次の内容の公開質問状を長野高専トップである土居学校長あてにメールとFAXで提出しました。

*****公開質問状*****ZIP ⇒ 20200525wzj.zip
                           令和2年5月25日
〒381-8550 長野県長野市大字徳間716
独立行政法人国立高等専門学校機構 長野工業高等専門学校
学校長  土井 信数 殿
TEL: 026-295-7003/FAX: 026-295-4356

 〒371-0801 群馬県前橋市文京町1丁目15番10号
          市民オンブズマン群馬  代表  小川 賢
                 TEL: 027-224-8567(事務局・鈴木)/
                      090-5302-8312(代表・小川)
                 FAX: 027-224-6624

          公開質問状
拝啓 日々益々ご健勝のこととお慶び申し上げます。
 弊団体は、行政およびその関連機関を外部から監視し、当該機関による権限の不当な行使ないしは不行使による一般国民への権利利益侵害、並びに税金を原資とした公的資金の濫費について、調査および救済の勧告を図る活動をしている民間団体です。なお、弊団体は群馬県を主な活動地域としていますが、事案によっては、適宜近隣の県への出張活動も行っております。
 現在当団体では、5年前に群馬工業高等専門学校において発生したアカデミックハラスメント(通称アカハラ)問題について調査を行っておりますが、5年にわたる本事件に関する追及をおこなっている過程で、群馬高専にかぎらず全国各地で類似の事件が多発していることが判明しました。そのため先年、貴学にも訪れる機会があり、ご担当者様からヒヤリングをさせていただいたこともございます。
 さて、この度のコロナ禍による学校教育への影響は深刻であり、貴学もその影響とは無縁ではなく、学生の皆様が授業を受けられないままStay Homeの状況を強いられ、教員のかたがたも出張もできないような毎日が緊急事態宣言下で続けられ、日本中が我慢している状況にありました。
 こうした中で、貴学関係者からと思しき複数の情報筋からいくつかの看過できない情報が当会に寄せられております。そのためこれらの話について、貴殿(ないし貴学)が認知されているのかどうか、またどのようにお考えになり、どのような対応をおこなっているのかを確かめるため、下記のとおり質問をさせていただきます。
                                敬具
              記
【質問1】
 貴学の総務課長である岩佐氏について、県境をまたぐ移動の自粛が要請されている緊急事態宣言期間中にも関わらず、毎週末に東京の自宅に帰っていた疑惑が取り沙汰されているようです。事実、(呉高専に勤務していた関係か)特徴的な白の広島ナンバーが付いている岩佐総務課長の車だけが、毎週金曜日から日曜日まで必ず宿舎を不在にしているようです。このことについて、貴殿もしくは貴学では承知していますか?また、この疑惑について事実か否かを回答いただきたく存じます。

【質問2】
 一般論として、学生や教職員に外出自粛・移動自粛を命じ、忍耐を強いる側である以上、自ら範を示さなければならない学校幹部らが、仮に自らその通達や要請を破っていた場合、貴学のコンプライアンスや規則に照らして問題はありますか、ありませんか。

【質問3】
 貴学の校長であり、今年4月から高専機構の理事に名を連ねた貴殿のご自宅も、前職の東京高専及び機構本部の所在する八王子界隈にあるようですが、緊急事態宣言中に、ご自宅には一切戻ってはいませんか?

【質問4】
 今年3月に退職した電子情報工学科の女性教員について、貴学内において同学科の人物から「セクハラ」ないし「セクハラを超えてストーカー紛いとも思える行為だった」と言う、セクハラが原因の退職だとする疑惑がささやかれているようです。さらには「昨年度1年間殆ど出勤していない」とも聞こえてきております。このことについて、貴学もしくは貴学では事実関係を把握されていますでしょうか?また、把握されていた場合、どのような対応をおとりになったのでしょうか?

 以上、よろしくお願いします。なお、回答については、大変勝手ながら、書面で2020年6月5日(金)までに郵送あるいはFAXにて上記弊連絡先まで折り返し送達いただければ幸いです。
 なお、何らかの事情によりこの期限までの回答が不能である場合は、大変お手数ではありますが上記弊連絡先までお伝えいただきたく存じます。
                                 以上
**********

■果たしてどのような調査がなされ、その結果が明らかにされるのかどうか、予断は許されませんが、長野高専のトップからしかるべき回答が期限までに寄せられましたら、皆様にご報告いたします。

【5月31日追記】

■内部関係者からの提供情報によれば、5月29日付けで土居信数校長から全教職員宛てに「4月15日付けで要請した、緊急事態宣言区域へ往来した場合の14日間出勤禁止・在宅勤務命令を解除する」という内容の通達があったようです。

 5月25日に政府が緊急事態宣言の全面解除を発令したことに伴ったもののようですが、裏を返せば「緊急事態宣言区域へ往来した場合の14日間出勤禁止命令」が発令日からの最低40日間有効だったことが改めて示された形になります。

 情報提供者のかたがた曰く、いつもはこの手の連絡はただの事務からだったのに、なぜかこの連絡は、課長補佐からで少し違和感を感じたそうです。この「小さな違和感」と当会からの公開質問状提出に関係があるかは目下のところ不明ですが、情報提供者曰く「何となく不穏な雰囲気を感じる」とのこと。どうやら、一挙手一投足に目を光らせる必要があるようです。

 「解除したからもう過去の話」などと水に流すのではなく、規則を定めた幹部自身が真っ先に違反したというあるまじき疑惑について、しっかりと検証し、嘘偽りなくその結果を公表する姿勢が土居校長には求められています。

【6/4追記】
■6月3日、長野高専から驚愕の隠蔽回答が寄せられました。詳細は以下記事をご覧ください。↓
https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/3171.html

【市民オンブズマン群馬事務局からの報告】

コメント (24)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

受託収賄元文科省幹部の佐野太の現況…新型コロナ騒動の裏で一進一退の法廷お膳立て

2020-05-23 07:34:00 | 【出張!オンブズマン】長野高専の闇
■2018年7月、息子の裏口入学と引き換えに便宜を図った容疑で逮捕起訴された元文科省幹部・佐野太。エリート官僚による文科行政私物化の呆れた実態を浮き彫りにしたそのニュースは、衝撃とともに日本を駆け巡りました。天下り文科官僚によって引き起こされた群馬高専の悲劇を追及する当会としてもそれは注目の事件であり、当時大きく本ブログにて取り上げました。
○2018年7月5日:補助金と天下りで教育行政を歪める文科省の官僚とそれに順応して教育の本質を見失った学校組織のトップ
https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/2686.html

 ところが話はそれで済まず、当会が別途追及し続けている長野高専の石原祐志天下り前校長が、実は佐野太と極めて繋がりの深い同門同期であり、その強力な後ろ盾によって校長の椅子を得ていたという衝撃の経緯が明らかになりました。
○2019年12月31日:【スクープ】長野高専石原祐志前校長就任・退任の裏事情…実はあの日本中激震の大事件と連動していた!?
https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/3102.html

【6月6日追記】
 この度、東京地裁に確認したところ、新型コロナの影響で審理が止まっていた事件の再日程が組まれていて、佐野太事件についても、「7月6日(月)10:00~」に初公判が行われる予定である事が判明しました。この事件は社会的に大きな物議を醸したことから、「傍聴券の対象になる可能性があるので、東京地方裁判所のHPをこまめにご確認ください」とのことです。ちなみに通例、有名事件の傍聴抽選券配布は開廷の1時間半以上前に締め切られますが、具体的な時刻は事件によってまちまちなので、都度事前に確認する必要があります。
※東京地裁HP:URL ⇒ https://www.courts.go.jp/tokyo/index.html
※傍聴券交付情報: URL ⇒ https://www.courts.go.jp/app/botyokoufu_jp/list?id=15,18,19,20,21,22,23,24,25
【追記終】


日本中を騒がせた有名人からこんな「友情の校長プレゼント」がなされていたかもしれない?

■並んで気にかかっていたのは、佐野太のその後の処遇でした。18年7月に逮捕起訴され、同年12月には保釈されていたものの、20年1月になっても初公判が開かれる兆しすらなかったのです。国民がすっかり事件を忘れた裏で、不思議な後日談が進んでいたのです。

 前回記事で報告したのはここまででしたが、その後の報道によると、今年(2020年)3月末をもって、休職中だった佐野太は正式に文科省を定年退職した扱いになったようです。

**********日経2020年3月31日5:00
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO57406920Q0A330C2CC1000/
文科省元局長が定年退職 息子合格に便宜で起訴
 文部科学省の私大支援事業で便宜を図る見返りに自分の息子を東京医科大に合格させてもらったとして、受託収賄罪で起訴された同省元科学技術・学術政策局長、佐野太被告(60)が定年退職することが30日、文科省への取材で分かった。2018年7月に起訴され、休職中だった。退職は今月31日付。
 国家公務員退職手当法などの規定に基づき、退職金の支払いは差し止められ、有罪が確定すれば払われない。佐野被告らの初公判は4月20日、東京地裁で開かれる予定。
〔共同〕
**********

■上記記事のとおり、待たせに待たせてようやく4月20日に初公判の日程が決められていたのがわかります。ところがこの記事が載った3月31日からたった1週間後の4月7日、歴史的な新型コロナ緊急事態宣言が発令され、対象地域で4月中に予定されていた裁判の大半が中止に追い込まれてしまいました。それはやっとのことで開かれようとしていた佐野太の初公判も例外ではありませんでした。
○2020年4月7日:【お知らせ】新型コロナ緊急事態宣言のため高専過剰不開示体質是正訴訟の審理が一時中断
https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/3144.html

 そこで、当会関係者から5月21日に東京地裁刑事16部に電話してその後の進捗を確認しました。すると回答は次のとおりでした。

・新型コロナウイルスの関係で佐野太被告の初公判は取り止めになり、再日程はまだ決まっていない。
・4月20日に問題なく初公判が行われていたなら、傍聴は抽選になっただろう。
・新型コロナウイルスに関する状況は時々刻々変化しているので、初公判の日程などは電話や東京地裁のHPで都度確認してほしい。


■5月23日現在、東京でも緊急事態宣言が緩やかに解除される見通しが出てきており、佐野太の初公判の再日程が決まる日もそう遠くはないと推察されます。

 東京地検特捜部が起訴から初公判まで2年近くもかけた事情とはいったいなんだったのでしょうか。それだけの時間の対価として、より鮮明に事件の真相が明かされることになるのでしょうか。佐野太の口からはいったい何が語られ、あるいは語られないのでしょうか。

 かつて佐野太がむりやり石原を校長として送り込んでしまったせいで理不尽に振り回され続けた長野高専の関係者らと共に、本件推移も注視していきたいと思います。

【市民オンブズマン群馬事務局からの報告】

※参考情報「佐野太親子の東京医科大裏口入学事件」
この破廉恥事件の2年前の発覚当時の報道記事をあらためて集めてみました。
**********日刊ゲンダイ2018年7月5日14:50
血税使い我が子を裏口入学 “収賄逮捕”文科省局長の素性

右が“裏口”局長(C)共同通信社
 これで「道徳」の教科化とは噴飯モノだ。4日、文科省の科学技術・学術政策局長の佐野太容疑者(58)が受託収賄の疑いで東京地検特捜部に逮捕された。
 昨年5月、東京医科大の関係者が、同省の官房長だった佐野容疑者に、私立大などを対象とする支援事業に選ばれるよう便宜を図って欲しいと依頼。その見返りに今年2月、佐野容疑者は同大を受験した自分の子供の点数を加算させて合格させてもらった疑いだ。
■もはや教育を司る資格なし
 許し難いのは、“裏口入学”に、国民の血税が使われたことである。同大医学部医学科は倍率16倍の狭き門。佐野容疑者はわが子をねじ込むために自分の懐を痛めず、特色ある研究を支援する「私立大学研究ブランディング事業」で便宜を図ったのだ。
 この事業の予算規模は年間約55億円で、選ばれた大学は3~5年にわたり、事業内容に応じて年額2000万~3000万円程度の補助金をもらえる。昨年度、応募した188校中、60校が選ばれた。
「私大と文科省はズブズブですよ。人口減少で学生数が減っても、大学側は従来通り助成を受けたい。官僚に口を利いてもらう代わりに、大学側は教授のイスなど“天下り先”を用意する。官僚側から何らかのポストを要求することも珍しくなく、見返りに応じない大学の風当たりは厳しい」(私大関係者)
 そんな癒着の“権化”ともいえる佐野容疑者は、早大大学院理工学研究科を修了後、1985年、旧科学技術庁に入庁。01年の省庁再編後は、高等教育局私学部参事官や大臣官房審議官を歴任した。
「官房長だった昨年、天下りあっせん問題で厳重注意を受け、同年7月に現在のポストに就任。省内では『将来の次官候補』と目されていました」(文科省関係者)
 しかも、文相経験のある自民党の元代議士の娘婿との情報もあり、「本人も政界進出に色気があって、結婚したのではないか」(文科省関係者)と囁かれている。
 今回の事件で、出世も政界進出の思惑も全てパー。林文科相は佐野容疑者の逮捕を受け、「何らかの措置を速やかに取りたい」と語ったが、部下の処分だけで収まる話じゃない。監督責任を負って辞任がスジだ。
 それにしても、教育を司る省庁トップ候補が裏口入学とは……。天下りや加計問題、局長逮捕で汚れた“三流官庁”に、もはや教育を語る資格はない。
 倫理観ゼロの政権下で、この国のモラルは地に落ちるばかりだ。

**********日刊ゲンダイ2018年7月7日06:00
文科省の収賄局長が失った 麻布の“億ション”セレブライフ

佐野太容疑者(右)の麻布“億ション”(C)共同通信社
 この国の教育行政は、どこまで腐敗しているのか――。文科省前科学技術・学術政策局長の佐野太容疑者(58)が、受託収賄容疑で逮捕された事件。国の私大支援事業で東京医科大に便宜を図った見返りに、自分の息子を同大医学部に“裏口入学”させ、とんだ「親バカ」ぶりを見せた。しかも、血税を使って不正を働きつつ、“億ション”ライフを満喫していたのだから許しがたい。
■不正の裏でリッチな生活
 現役局長の汚職事件を巡って、5日、東京医科大トップの臼井正彦理事長(77)と鈴木衛学長(69)が不正に関与した疑いが浮上。臼井理事長が昨年5月、佐野容疑者に便宜を図るよう依頼し、鈴木学長が口利きの見返りに、同大医学部を受験した佐野容疑者の息子を不正に合格させるよう学内で指示したとみられる。
 加計学園や日大に続いて、また怪しい理事長が登場し、疑惑は拡大。文科省職員が「信じられない」と唖然とするのも当然だ。佐野容疑者は省内で「科学技術畑のエース」の誉れ高く、「将来の次官候補」と目されていたからだ。
 そんな期待を裏切って、“三流官庁”の看板をドブに叩き落とした佐野容疑者は、港区麻布狸穴町の超高級マンション暮らし。東京メトロ南北線六本木一丁目駅から徒歩6分という好立地で、周囲にはロシア大使館や外国人御用達の会員制クラブが並ぶ。不動産情報サイトによると、1室の売値は中古でも、およそ1億3000万~1億5000万円。敷地面積4600平方メートルの上に立つ瀟洒な建物は、地上8階地下2階で、2013年に新築されたばかりだ。
「狸穴町は、高級住宅地といわれる麻布の中でもさらにワンランク高い地域。政治家や要人に馴染み深いところです。テレビによく出演する弁護士が、同マンションの1室を所有しています」(不動産関係者)
 登記簿によると、佐野容疑者は14年、5500万円のローンを組んでマンションを購入している。近隣住民は、佐野容疑者について「感じの良い人。すてきなご夫婦です」と言っていた。
 裏口入学した佐野容疑者の息子とみられるツイッターアカウントは、昨年2月から12月にかけて、<今日からセブ島で一人暮らしすることにした><センター試験16日前なのに俺セブ島で何してんだっていうね>などと投稿。家族揃ってセレブライフを満喫していたのだろう。
■共犯者は六本木タワマン居住
 佐野容疑者に負けず劣らずの贅沢な生活を送っていたのが、不正の片棒を担いで逮捕された都内の医療コンサルティング会社元役員の谷口浩司容疑者(47)。佐野容疑者と臼井理事長を仲介した人物で、受託収賄幇助容疑で捕まった。
「大学の経営が傾くと、仲介ビジネスで儲けようとするブローカーが現れる。省庁や銀行、企業に人脈があるなどと言って、大学側にすり寄るのです。実際、関西のとある私大から、大学ビジネスで儲けようとするブローカーの存在を聞いたことがあります」(元文科官僚で京都造形芸術大教授の寺脇研氏)
 谷口容疑者の自宅は、六本木にある25階建てのタワーマンション。賃料100万円を超す部屋もあり、庶民が簡単に住めるところじゃない。フロントコンシェルジュやプール付きスパ、朝食サービスなど、セレブ感満載である。
 佐野容疑者といい、谷口容疑者といい、贅を極めると、血「税」をふんだくっても良心は痛まなくなるようだ。

**********ZakZak by 夕刊フジ 2018年7月16日
東京医科大「裏口入学」、佐野容疑者とのやりとり録音「息子が一番行きたい大学です」

佐野容疑者
 私大支援事業をめぐって受託収賄容疑で文部科学省の前科学技術・学術政策局長、佐野太容疑者(58)が逮捕された事件で、東京医科大の臼井正彦前理事長(77)が、入試を受ける佐野容疑者の息子の扱いについて「正規合格がいいか、補欠合格がいいか」と尋ねていたことが13日、関係者への取材で分かった。佐野容疑者は「(東京医科大は)息子が一番行きたい大学です」「よろしく」などと応じたという。
 東京地検特捜部は、両者の詳細なやりとりを記録した音声データを入手し、不正合格に至った経緯を調べている。
 佐野容疑者は官房長だった昨年5月、臼井氏から文科省の「私立大学研究ブランディング事業」の対象校にするよう取り計らってほしいと頼まれ、その謝礼と知りながら医学部医学科の入試で息子を合格させてもらった疑いがある。
 関係者によると「官房長に事業の対象校選定の職務権限はなく、得点の加点を頼んだこともない」と容疑を否認している。
 佐野容疑者と臼井氏は同じころ、元医療コンサルティング会社役員、谷口浩司容疑者(47)=受託収賄幇助(ほうじょ)容疑で逮捕=も交えて複数回会食。臼井氏はこの場で息子を不正に合格させることを前提に、正規合格か補欠合格かの選択肢を示した。臼井氏は佐野容疑者の言動から正規合格を希望したと判断し、担当者に加点を指示したとみられる。

**********日経2018年7月24日 14:32
文科省汚職で前局長ら起訴 不正入試疑惑、調査へ
 私立大支援事業を巡る文部科学省汚職事件で、東京地検特捜部は24日、同事業の申請で東京医科大に便宜を図る見返りに息子を同大に不正合格させたとして、同省の前科学技術・学術政策局長、佐野太容疑者(59)=東京都港区=を受託収賄罪で起訴した。同大の臼井正彦前理事長(77)と鈴木衛前学長(69)=いずれも6日付で辞職=も贈賄罪で在宅起訴した。

佐野被告が局長を務めていた文部科学省
 特捜部は佐野被告と臼井被告の仲介役となったとして、当時医療コンサルタント会社役員だった谷口浩司容疑者(47)も受託収賄ほう助の罪で起訴した。特捜部は4被告の認否を明らかにしていない。
 一方、林芳正文科相は24日、東京医大で以前から入試不正をしていた疑いが出ていることについて、担当部局に事実関係の調査を指示したことを明らかにした。事件が一つの区切りを迎えたことで、省として調べる必要があると判断した。前幹部の起訴について、林氏は「厳粛に受け止める。国民に深くおわびし、信頼回復に向けて全力を挙げる」と語った。
起訴状によると、佐野被告は文科省官房長だった2017年5月、東京都内の飲食店で臼井被告から私立大支援事業の対象校選定で便宜を図るよう依頼され、見返りとして18年2月の入試で息子の点数を加算して合格させてもらったとされる。
 関係者によると、会食で佐野被告は息子が同大を志望していると告げた上で「よろしく」などと依頼。同大が同省の「私立大学研究ブランディング事業」で提出する事業計画書の書き方について、「字を大きくしたほうがいい」「図表を入れたほうがいい」などと助言した。その後も、谷口被告を通じて指導や添削を続けていたという。
 関係者によると、佐野被告は特捜部の調べに対し事業計画書への助言を認めた上で、「当時は官房長で、事業選定の職務権限はなかった」と主張していた。ただ特捜部は官房長が同省の幅広い事務や総合調整に権限が及ぶことから、収賄罪に問えると判断した。
 臼井、鈴木両被告は佐野被告の息子の1次試験の点数を加点するよう入試担当者に指示。息子は本来合格水準に達していなかったが、不正に合格させていた。

**********週刊現代2018年7月30日
公務員史上最大の事件「東京医大への裏口入学」はなぜ起こったか
一番のバカは誰か
★次官候補のエリート
 「佐野さんは、汚れ仕事を嫌がるタイプで、ややこしい仕事は自分ではやらずに、さばいて部下にやらせるような人でした。でも、自分を慕う人は可愛がる一面もあった。佐野さんに付いたほうが得策だと考えて、従っていた人も多かった。
 一方で、上の人に取り入るのは上手かった。着々と次官ルートに乗って出世していましたし、そういう意味では『ずる賢い人』なんだと思っていましたが……」(文科省関係者)
 7月4日、文科省の私立大学支援事業を巡る汚職事件で、受託収賄容疑で逮捕された前科学技術・学術政策局長の佐野太容疑者(58歳)。
 佐野は、自分の息子を東京医科大学に入学させることを条件に、同校の「私立大学研究ブランディング事業」への選定を斡旋したとみられる。
 次官候補のエリートは、順調な官僚人生のゴール直前に、なぜこのような事件を起こしてしまったのか。
 早稲田大学大学院理工学研究科を修了した佐野は、旧科学技術庁を経て、文科省の官房長など、要職を歴任してきた。将来の次官候補として名前を挙げられていたという。
 「天下り問題で辞任した前川(喜平・前文科事務次官)さんとは、かつて上司と部下の関係でした。前川さんの次官時代に、官房長を務めていたのが佐野さんだったんです。
 前川さんは、今回の件を聞いて驚いていたようです。『なんで佐野が……』と、今もショックを受けています」(同)
 佐野はエリートであると同時に、「野心的な人物」としても知られていた。自分が「次官候補」であることを意識しており、「省内では、常に上の立場の人間の顔色を窺い、出世のために誰にすり寄ればいいのかを考えながら生きているような人だった」(文科省キャリア)という。
 さらに佐野は、国会議員との折衝に長けており、政治への転出が噂されることもあった。
佐野の妻は、元文科大臣の小杉隆氏の娘だ。小杉氏と言えば、'10年、妻と私設秘書が架空の投資話で約1億8000万円をだまし取ったとして詐欺容疑で逮捕され、追われるように政界を引退したことで知られる。
 佐野が政界とのパイプを持ちながらキャリアを重ねてきたのは事実だ。実際、地元の'15年の山梨県知事選では、自民党山梨県連から擁立の動きもあったというほどだ。
 官界から政界に食指を伸ばさんとするやり手だった佐野。そんな男だけに、息子にもエリートたれ、と思っていたのだろう。
 その願いがいびつな形で現れたのが、今回の「裏口入学」収賄だったと言える。実際、佐野のように、子どもを医学部に入学させるため、手を尽くすエリート層の親は多い。ある有名大学医学部の元教授が話す。
 「私自身も、受験生の氏名と受験番号を入試担当者に渡し、点数をかさ増ししたことがあります。
 一点数十万円で、百万円単位、親によっては1億円前後の『裏金』を出す人もいた。それほど、『子どもが医学部』というブランドは、親にとってかけがえのない誇りになるのです」
 今回、佐野に「私立大学研究ブランディング事業」への選定を依頼していたとされるのが、東京医大のトップである臼井正彦理事長だ。
 臼井氏は同大学の学長を務めていた'09年、約50人の医局員が博士号を取得する際に「謝礼」として、総額およそ500万円を受け取っていたと報じられたことがある。
 だが、臼井氏は厳重注意処分を受けたのみで、その座を離れることはなかった。前出の元教授は、こうして続いていった臼井氏の「支配」こそが今回の事件を招いたのだと指摘する。
 「臼井さんは、'08年に学長に就任し、そのまま'13年には理事長になっている。つまり、およそ10年間にもわたってトップの地位に座り続けているのです。何か問題が起きても、臼井さんに直接指摘できる人は周囲に誰もいません」
★国民の税金で入学させた
 東京医大の「裏口入学」という贈賄も、この長期体制が生んだ悪弊だったという。
 ただ、ここで一つの疑問が湧く。そもそも佐野の息子が実力で東京医大の医学科に入学することができていれば、贈収賄は起こっていなかったのではないか。
 佐野の息子は、医系大学受験を得意とする予備校の出身だという。だが、優秀な周囲の受験生と比較して、勉強を重ねても、あまり成績は向上しなかったようだ。
 つまり、佐野はデキの良くない息子を心配して、端から「援護射撃」の準備をしていた――。そういうシナリオも浮かんでくるのだ。

 だが、仮にどれほど息子を思いやったが故の行動であれ、教育を司る文科省のエリートが私欲のために便宜をはかるなど、言語道断であることに変わりはない。元文科省官僚で、京都造形芸術大学客員教授の寺脇研氏が語気を強めて言う。
 「今回の件で恐ろしいのは、100年以上も歴史のある東京医大で、贈賄が行われていた、ということです。ここがやっているなら他の私立医大でも同様のことが行われているのでは、と思われかねない。
 佐野容疑者は高等教育局で2回も働いていて、入試を担当していた。素人ではなく、プロの官僚が国民の税金を自分の息子の裏口入学のために使っていたことには、倫理観を疑います。
 これが発覚しなければ、こんな人物が文科省のトップになってしまったかもしれないと考えただけで怒りが湧いてきます。これは、公務員史上最悪の事件ですよ」
 現時点で佐野の息子が合格を自分の「実力」だと信じていたのか、それとも父の「援護」のおかげだと知っていたのかは判然としない。いずれにせよ、息子はもう東京医大には通えないだろう。
 結果的に佐野は自分だけでなく、息子の将来をも滅茶苦茶にしてしまった。「デキの悪い子ほど可愛い」というが、この事件でもっともバカだったのが「親父」の佐野だったことは言うまでもない。
(文中一部敬称略)<「週刊現代」2018年7月21日・28日合併号より>

**********Business Journal 2018年8月2日
東京医科大学、裏口入学が常態化か…その驚愕の実態:大学医学部の裏口入学の闇

文部科学省科学技術・学術政策局長だった佐野太容疑者(写真:読売新聞/アフロ)
 東京医科大学の裏口入学の問題で7月24日、収賄側として、息子を入学させた文部科学省の前科学技術・学術政策局長の佐野太被告(59)と、仲介役を果たした医療コンサルティング会社の元役員、谷口浩司被告(47)が起訴された。また贈賄側として、東京医科大の臼井正彦前理事長(77)と鈴木衛前学長(69)が在宅起訴された。
 東京医科大における裏口入学は今回が初めてではなく、恒常的に行われていたという報道もある。他の医科大学でも同様なことが行われているということはないのか。『勝つ大学・伸びる大学』(エール出版社)など大学に関する著書も多い評論家の島野清志氏に話を聞いた。
「1980年代から90年代の前半くらいまでは、寄附金をもらって点数を水増しするという情実型の入学は、医大に限らず名のある私立大学でも多く聞かれました。今はもう、特に医大などはお金があるんです。第2次ベビーブーマーの受験期があって、その後も今みたいに18歳人口が悲惨なほど少ない状況ではなかったので、内部留保が大きいんですよ。だから、わざわざ評判を落とすようなことをする必要はなくなりました。
 今回驚いたのは、ブローカーがいたことです。もし医大の内部関係者が学長に直接言えば簡単に話がついて内々で終わってしまうので、外部に露見することはない。以前もブローカーが介在して裏口入学がバレてしまうことがあったので、そういう手法は消えたと思ってました。ブローカーはフリーハンドで、失敗しても別の仕事をやればいいから、第三者にペラペラ話して情報が広まってしまう。仲立ちしているだけなので、大した罪にもならないですから。ブローカーではなくて、医学専門の予備校が仲介するという話は聞いたことがあります。そういうところは受験がビジネスですから、口が堅いので露見しないですよね」
 今回の裏口入学に関しては、東京医科大の体質が関係しているのだろうか。
「私立大学というのは設立の時の経緯が、現在に至る校風に大きく影響してると思います。たとえば早稲田大学は、政治家とジャーナリストを育てるためにつくられた大学です。慶應義塾大学は財界に行く人材を育てるためにつくられた大学。明治大学や法政大学、中央大学は法律家を育てるための大学。そのカラーは今でもありますよ。
 東京医科大は、日本医科大学から分裂するかたちで設立されました。日本医大に不満を持った先生や学生が集団で辞めて、それでつくった大学です。日本医大は、慶應や慈恵医大とともに“私立医御三家”と言われる名門です。そこから脱退したところなので、反主流であるとともに独立心が旺盛、唯我独尊でもある。
 医学の世界は保守的なので、慶應閥とかいろいろな閥がありますが、東京医大というのは孤立しているわけですよ。それで新宿に高層の病院を建てるなど大胆な行動に出たり、ちょっとがんばりすぎてしまう傾向があるんですね。どこかの閥に入っていれば、バックボーンがあって安心ですが、それがないので無理してしまう。そのため他の医大に比べて“常にお金が欲しい状態”で、それが今回の事件の背景にある気がします」
★他の医大でも裏口入学が行われている可能性
 医大に入っても、医師国家試験に受からなければ医師にはなれない。裏口入学させた後、そのハードルをいかにして越えさせるのだろうか。
「国家試験の壁がありますから、そんなに多くは裏口入学させてはいないでしょう。東京医科大は入学者の出身高校別人数を公表していますが、今年は1位が海城高校、2位が浅野高校、3位が慶應高校で、東大や京大にもたくさん生徒を送り出している進学校ばかり。医学部に入るのが不自然だなという高校の出身者はいません。昨年度の東京医科大の医師国家試験の合格率は97.1%で全国平均より高いです。ボーダー線上の受験者であれば小論文や面接でいかようにもできますけど、今回の場合、失礼ながら相当にできない子を入れてしまったということが、露見の原因の一つかもしれません。
 報道を見ると、彼の高校時代の評定値が5段階の3.9だといわれています。これでは、医大に限らず有名な私立大学にはどこも入れません。4.2以上じゃないと厳しい。入れてしまえば国家試験に受かるかどうかは自己責任と考えていたのか、6年間のうちに引き上げようとしていたのか、そのあたりはわかりませんけど」
 法学部に入って司法試験を受けない学生はいくらでもいるが、医科大学で国家試験に合格できずに医師になれなかった場合、どうなるのだろうか。
「いやあ、そうとうに悲惨じゃないですか。専門の勉強しかしてないですから、他に道がありません。専門的な世界で、一般的な世界との接点も少ないですから。過去に調べようとしたことがあるのですが、例が少ないし、そういう人は隠そうとするから見つからないんですね」
 東京医大以外でも、裏口入学というのはあるのだろうか。
「東京医大というのは、難易度の高い大学です。それでも裏口入学があるんだから、難易度の低い大学でもあるかもしれません。1つの目安が、成績開示申請ができるかどうかです。今ほとんどの大学でこの制度を設けていて、不合格者が申請すると試験の成績を教えてくれます。この制度を設けていないのは、医科大学だと東京医大を含めて十数校しかありません。ただ単に不親切なのかもしれませんけど、開示するとまずいことになるという懸念があるのかもしれませんね」
 教育を司る文部科学省の幹部が裏口入学に手を染めていたのだから、推して知るべしというべきか。
(文=深笛義也/ライター)

**********日経2019年1月17日 20:28
文科省汚職事件、元コンサル役員の保釈決定
 文部科学省元幹部を巡る2つの汚職事件で、東京地裁は17日、受託収賄ほう助と贈賄の罪で起訴された元医療コンサルタント会社役員、谷口浩司被告(47)の保釈を認める決定をした。保釈保証金は1千万円で、即日納付された。
 弁護人が11日に保釈請求し、地裁は16日にいったん請求を却下。弁護人が不服として17日に準抗告したところ、地裁は保釈を認めた。
起訴状によると、谷口被告は2017年5~6月、文科省の元科学技術・学術政策局長、佐野太被告(59)と東京医科大側を仲介し、私立大支援事業で同大に便宜を図る見返りに佐野被告の息子を合格させる手助けをしたとされる。
 また、宇宙航空研究開発機構(JAXA)理事だった同省元国際統括官、川端和明被告(57)に対し、15年8月~17年3月、自社の事業への助言などへの見返りとして21回の接待やタクシーチケットの提供をしたとされる。

**********本が好き2019年7月5日
「東京医大不正入試事件」の後、女性合格者が明らかに増えた!
 2018年7月――東京医大の入試不正事件をきっかけに明るみに出た、女性の医学部受験者への減点操作。フリーランス麻酔科医として政治家・プロスポーツ選手・AV女優など様々な患者の手術を行い、ドラマ『ドクターX~外科医・大門未知子~』(テレビ朝日系)など医療ドラマの制作協力にも携わる著者筒井冨美が、今まで誰も公言できなかった女医問題の真実を語る光文社新書『女医問題ぶった斬り!~女性減点入試の真犯人~』が刊行!これを記念して、本書の一部を公開します。東京医大事件は何を世に問うたのか?

◆ツイッターで合格宣言
 2018年7月、文部科学省の前局長である佐野太(ふとし)氏が、私立大学支援事業の対象校選定に便宜を図った見返りに、東京医科大学の入試で息子を不正に合格させてもらっていたとして、受託収賄容疑で逮捕された。
 学長や理事長も絡む大規模な不正だったようで、新聞テレビともにトップニュースとして扱った。高級官僚の贈収賄が、現金・株・土地などで行われる事件は昭和時代から存在していたが、「医大入試で加点」というのは目新しい。
 この事件、さらに目新しいのは、インターネット上に佐野元局長の息子とおぼしきツイッターアカウントが存在し、事件に関するツイートが複数存在したことである。
 ツイッターによると、2017年5月に「浪人して良かったー!!!!!!」という歓喜の書き込み(パパに裏口合格を教えてもらった日?)があり、2017年12月28日には大学入試センター試験の16日前にもかかわらず「セブ島で年を越す」という浪人生とは思えない海外バカンスの報告がある。
 さらに、医大受験が終わった直後の2018年3月3日には「受験おわったー!!!!(中略)たぶん東京医科大行きます」と、すでに合格宣言をしている。
 事件発覚後、元のアカウントは閲覧不可能になったが、スクリーンショットなどに残された情報はSNSで拡散され炎上した。
 2015年の電通新人女性社員過労自殺事件では、会社側が「私生活における恋愛関係のもつれによる自殺」として処理しようとしたのを、女子社員がSNSに残した長時間労働やパワハラ・セクハラに苦しむツイートが発見されて、世論を動かしたが、この事件もSNSが世論を動かした事件とも言える。
◆ニュースがもたらした驚き
 そもそも、東京医科大学とは東京都新宿区にある私立医大の一つであるが、一般人に広く知られている有名校とは言い難い。
 本件に関しても、案の定、TBSやニューズウィーク誌など複数のメディアが東京医科歯科大学の写真を誤使用してしまい、東京医科歯科大学が公式ホームページで異例の抗議文を掲載した。
 東京医大卒業生としては、先にも紹介した、日本人初の国際機関トップとなった元世界保健機関事務局長の中嶋宏氏や、人気テレビドラマシリーズ『医龍』の原案を担当した内科医兼医療ジャーナリストの永井明氏、精神科医の香山リカ氏などが挙げられる。
 新宿駅から徒歩圏内の都心部に立地しており、その雰囲気は永井明氏の自伝的小説『新宿医科大学』に詳しい。
 このニュースに、私を含む50代医師の多くは驚いた。
 1980年代の受験常識では、東京医大を含む中堅私立医大の入試偏差値は50~55程度、学力的には東大京大はおろか早慶にも及ばないイメージだった。
 「開業医の跡継ぎ向けの特殊な学校」「面接試験では寄付金の交渉をする」「加点1点ごとに100万円」などと、当時の週刊誌ではまことしやかに報道されていた。
 医師国家試験の合格率も高くはなかったので、新宿区には同校や同様の私立医大を対象にした、医大生や医師国家試験浪人生向けの予備校が存在し、年数百万円という学費にもかかわらず繁盛していた。
 つまり、当時の常識では「一般家庭では高額学費(+寄付金+国家試験予備校学費)を捻出できないし、卒業しても国家試験合格率は低いし、それを突破して医者になっても勤務医じゃ学費の元を取れない」とされていたので、同校に入学希望者が殺到することはなかったのである。
 しかし、NHKの報道によると、2018年の東京医大の一般受験枠は75名、受験者約2600名、一次合格者451名、最終合格者171名、進学者85名だそうである。
 そして、佐野ジュニアは「一次試験が合格ラインに達していなかったので、学長・理事長の指示で大幅加点」したそうである。
◆変わる私立医大入試の裏事情
 ここからは私の推測だが、2018年頃の私立医大入試では、コネによる加点と言っても「小論文・面接」でごまかせる範囲のレベルが主流で、一次の学力試験は基本的には自力突破が要求された(らしい)。
 1980~1990年代、私立医大では寄付金と引き換えに学力イマイチ学生を入学させたが、「学力不足で留年や国家試験浪人を繰り返した挙句、30代無職」のような悲惨な事例が相次いだ。
 医師国家試験はマークシート方式の純粋な学力試験でカネ・コネの効かない世界なので、本人の基礎学力や意欲が乏しい場合には結局のところ突破できないのである。
 そして、医師免許取得を諦めてキャリアチェンジを検討する年頃になると、新卒や若さが重視される日本社会では、人生の選択肢が限りなく少なくなっている。
 こうした元ベテラン医大生たちは高い確率でメンタルを病み、中には性犯罪で逮捕されるなど、保護者も医大側も事後処理に苦慮させられたので、近年の医学部人気もあって学力試験の大幅加点は下火になった(らしい)。
 佐野パパは、文科省の中でも旧科学技術庁の出身であり、このような私立医大入試の裏常識(?)に疎く、よくある一般私立大のAO入試のように解釈してしまったのではないか。
 また、医大理事長側も「有名高校の学生だし、面接でチョロッと加点すれば大丈夫だろう」と忖度して、合格を安請け合いしてしまったのではないだろうか。
 そして、佐野パパはAO入試やら就活内定の感覚で息子に医大合格の内定を告げてしまい、息子もそれをSNSで全世界に発信してしまった。
 親子で医大入試をナメて、直前に海外リゾートでバカンスを楽しむなどした挙句、勉強に身が入らなくなって一次試験の自力合格も果たせなかった。
 その結果、医大理事長は「一次試験の大幅加点」という悪目立ちする行為に手を出さざるを得なかった。
 また、SNSでの息子のはしゃぎっぷりから推測するに、現実社会でも周囲に「オレのオヤジは文科省局長だから、コネで医大入学決まったぜ!」のような自慢話を繰り返していたのではないだろうか。
 やがて周囲の受験生から疑問視されるようになり、しかるべき筋へ告発する者が出現したのではないだろうか。あくまでも私の想像だが。
 医学部人気は知っていたが、「文科省高官がイリーガルな手段を使ってまで、息子を私立医大に入学させたがる時代なのか」と、私は驚かされた。
 そして、「文科省高等教育局」やら「国立大学副学長」を経験して、日本の高等教育を知り尽くした人材が、不正手段を講じてまで息子に与えたかった学歴が、慶応義塾大学や早稲田大学のような既存名門校ではなく、中堅私立医大というライセンススクールという事実に、現代日本の大学教育や科学研究の行き詰まりをヒシヒシと思い知らされたのだった。

**********日経2019年12月4日 11:25 (2019年12月4日 13:02 更新)
文科省元統括官に有罪 JAXA巡る飲食接待で

宇宙航空研究開発機構(JAXA)の業務を巡る汚職事件で、飲食接待を受けたとして収賄罪に問われた元JAXA理事で文部科学省元国際統括官、川端和明被告(58)=起訴休職中=の判決公判が4日、東京地裁であった。西野吾一裁判長は懲役1年6月、執行猶予3年、追徴金約150万円(求刑懲役1年6月、追徴金約150万円)を言い渡した。
 川端被告は飲食を賄賂と認識していなかったとして無罪を主張していた。西野裁判長は判決で、同被告が医療コンサルタント会社元役員、谷口浩司被告(48)=贈賄罪などで起訴=に「失脚したくないので、会食していることはご内密に」とのメッセージを送っていたことなどから、賄賂と認識していたと判断した。
 その上で川端被告がコンプライアンス担当の理事でありながら業者から接待を受け、便宜を図っていたなどとして、「幹部官僚という地位に関する自覚を著しく欠き、職務の公正さに対する国民の信頼を大きく損なった」と批判した。
 判決によると、川端被告はJAXA理事だった2015年8月~17年3月、東京医科大への宇宙飛行士の講師派遣などで便宜を図った見返りに、谷口被告らから21回の飲食店接待とタクシーチケットの提供を受け、計約150万円相当の賄賂を受け取った。
 文科省を巡っては、私立大支援事業を巡る汚職事件で同省元科学技術・学術政策局長、佐野太被告(60)や東京医科大の元理事長らが起訴されている。
**********

コメント (10)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

みなかみ町前町長セクハラ事件の疑義・・・被害女性の所属確認情報不開示の審査請求棄却で提訴

2020-05-21 22:21:00 | みなかみ町政の暗闇
■草津、伊香保など群馬県の名湯と並ぶみなかみ温泉ですが、おひざ元のみなかみ町では一昨年の2018年5月に前町長を巡るセクハラ事件が突然勃発しました。ところが同年12月27日付で前橋地検が不起訴処分を決定すると同時に、セクハラを受け被害届を警察に出した筈の被害女性が告訴を取り下げました。この不可思議なセクハラ事件の真相を究明するには、被害女性が前町長のセクハラをどのように役所に通報したのか、被害女性の所属先はどこで雇用形態はどうだったのか、など疑問点をあきらかにする必要がありますs。そこで、当会では地元会員を通じて、2019年3月4日付で情報開示請求を同町に提出したところ、同年3月15日付で部分開示決定が通知されました。ところが隊員氏名など黒塗りにされていたため、隊員が特定できないために同3月25日付で異議申立をしたところ、同年5月27日に隊員名が明らかとなる情報が開示されました。しかし、複数存在するはずの隊員が僅か1名のみとなっているため、当会会員は同年7月5日付で審査請求を行いました。そして、2019年11月25日付で審査結果の裁決書が届き、当会会員の審査請求が棄却されました。そこで当会会員は、6か月の期限が迫る今年2020年5月20日に、不開示決定処分の取消を求める住民訴訟を前橋地裁に提起しました。

ZIP ⇒ n.zip

 なお、この事件の関連記事もご覧ください。
○2019年1月29日:みなかみ町前町長セクハラ事件の疑義・・・前町長の不起訴処分は被害女性側からの告訴取下と示談申出?
https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/2873.html
○2020年4月3日:みなかみ町前町長セクハラ事件の疑義・・・告訴取下げ被害女性の所属確認のため同町に開示請求した結果
https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/2921.html

■提訴の前置となった審査請求の経緯は次のとおりです。

*****審査請求書*****ZIP ⇒ 20190705rinsjj.zip
                      令和元年7月29日
みなかみ町長 鬼頭 春二 様 宛て

                   審査請求人  鈴木 章二  ㊞

        審 査 請 求 書 (異議申立書)

 次の通り、審査請求(異議申立て)をします。

1 審査請求人の氏名及び住所
 氏名   鈴木 章二
 住所   群馬県利根郡みなかみ町布施339-1

2 審査請求に係る処分の内容
 みなかみ町長が審査請求人に対し、令和元年5月27日付けみ総務発第208号により行った請求人宛公文書部分開示決定通知書(添付1)において開示された次の資料;
(1)「回議用紙」/発議年月日:平成28年7月13日、発議者:総合戦略課室長鈴木伸一、件名:地域おこし協力隊の募集について、別紙:募集要項(業務内容、応募要件等)
(2)「回議用紙」/発議年月日:平成28年8月3日、発議者:総合戦略課室長鈴木伸一、件名:地域おこし協力隊(非常勤嘱託職員)の内申について、別紙:嘱託員任用内申書(山本健太)・辞令(山本健太)
(3)「回議用紙」/発議年月日:平成29年3月1日、発議者:総合戦略課室長鈴木伸一、件名:地域おこし協力隊(非常勤嘱託職員)の内申について(継続)、別紙:嘱託員任用内申書(山本健太)・辞令(山本健太)
(4)「起案用紙」/発議年月日:平成30年3月1日、発議者:総合戦略課企画グループ主任三富健司、件名:地域おこし協力隊(非常勤嘱託職員)の内申について(継続)、別紙:募嘱託員任用内申書(山本健太)・辞令(山本健太)
において、「開示資料の内、個人の住民・生年月日」を開示しないとした部分開示決定処分。

3 審査請求に係る処分があったことを知った年月日
  令和元年6月3日(月)

4 審査請求の趣旨
(1)審査請求人は、「平成28年度以降」の地域おこし協力隊事業に基づく応募状況と選考結果に関する情報を求めた。
(2)しかるに、みなかみ町は、山本健太のみの情報を開示決定した。
(3)平成28年度以降は、1名ではなく複数の隊員に対して、選考の結果辞令を交付しているはずであり、上記2の処分は明らかに不当であり、取消されなければならない。

5 審査請求の理由
(1)広報みなかみNo.141(2017年(平成29年)7月号)の13ページ(添付2)の下段記事を見ると、「過疎のまちのために働く4名 地域おこし協力隊の活動」と題して、「・・・(前略)・・・みなかみ町では、昨年8月から藤原地区を拠点とする山本健太さん、昨年11月からみなかみ町観光協会で活動する鈴木雄一さん、今年4月に着任した阿部茜さん、みなかみ農村公園を中心に町内4つの直売所で手腕を発揮する西坂文秀さんの4名が活動しています。・・・(後略)・・・」という記載がある。
(2)このことから、少なくとも、平成28年度以降の「地域おこし協力隊」事業に基づき、応募と選考結果に関して、山本健太1名のみではなく、少なくともそのほかに3名の隊員が選考され、活動していたことがうかがえられる。
(3)よってみなかみ町の部分開示決定の判断は誤っているので、直ちに上記2に示す処分は取消けされ、対象者全員の情報が開示されるべきである。

6 処分庁の教示の有無及び教示の内容
 「この処分について不服があるときは、この処分があったことを知った日の翌日から起算して3月以内に、実施機関に対して異議申立てをすることができます(なお、この処分があったことを知った日の翌日から起算して3月以内であっても、処分の日の翌日から起算して1年を経過すると異議申立てをすることができなくなります。)」との教示があった。
                             以上

添付1:公文書部分開示決定通知書
添付2:広報みなかみNo.141((2017年(平成29年)7月号)13ページ
**********

■すると2019年9月17日付でみなかみ町情報公開審査会から当会会員宛に意見書・資料の提出通知が届きました。また、町側の同9月13日付の弁明書も同封されていました。

*****通知*****ZIP ⇒ 20190922eom.zip
                             (公印省略)
                             令和元年9月17日
鈴木 章二 様
                           みなかみ町情報公開審査会

            意見書又は資料の提出について(通知)

 あなたは、下記1の諮問事件について、みなかみ町情報公開条例第19条の4に基づき、当審査会に対し、意見書又は資料を提出することができますが、当審査会において、下記2のとおり提出期限を定めたので、通知します。
                   記
1 諮問事件
  諮問番号:諮問第1号
  事件名:平成28年度以降の「地域おこし協力隊」事業に基づく応募状況と選考結果に関する情報の開示決定に関する件

2 意見書又は資料の提出期限等
 (1) 提出期限
   令和元年9月27日 (金)
 (2) 提出方法
   任意の様式により作成した意見書又は資料を、持参又は郵送でみなかみ町役場総務課に提出してください。また、提出された意見書又は資料は、諮問庁に対して、みなかみ町情報公開条例第19条の5第1項の規定に基づき写しを送付する又は同条第2項の規定に基づき閲覧に供することがありますので、その適否についての考えを、別紙「提出する意見書又は資 料の取扱いについて」に記入し、意見書又は資料に添付してください。ただし、当該取扱いについての当審査会の判断が、あなたの意見と異なる場合があることをご承知おきください。

=====別紙=====
(別紙)                       諮問第1号事件
       提出する意見書又は資料の取扱いについて

みなかみ町情報公開審査会長  様

                         令和  年  月  日

                   氏名

1 この度みなかみ町情報公開審査会に提出する意見書又は資料を、諮問庁に対して、みなかみ町情報公開条例第19条の5第1項の規定に基づき写しを送付する又は同条第2項の規定に基づき閲覧に 供することは、
□ 差し支えがない。
□ 適当ではない。
(適当ではない理由)

=====諮問通知書=====
                           み総戦発第90号
                          令和元年9月13日
鈴木 章二 様
                  みなかみ町長  鬼 頭 春 二
                      (総合戦略課)

            情報公開審査会諮問通知書

 令和元年5月27日付け公開決定等に対する審査請求について、次のとおりみなかみ町情報公開審査会に諮問しましたので、みなかみ町情報公開条例第18条の3の規定により通知します。

                 記

1 公開決定等に係る公文書の件名
  平成28年度以降の「地域おこし協力隊」事業に基づく応募状況と選考結果に関する情報の開示決定に関する件

2 審査請求の内容
  平成28年度以降の「地域おこし協力隊」事業に基づく応募状況と選考結果に関する情報の開示を求めたところ、複数名辞令を交付しているはずだが、実際に情報開示されたのは1名のみであったため、処分不当であり、取り消されなければならない。

3 審査請求年月日
  令和元年7月29日

4 諮問年月日
  令和元年9月13日

5 諮問実施機関
  みなかみ町役場 総合戦略課

=====弁明書=====
                          み総戦発第87号
                         令和元年9月13日
みなかみ町情報公開審査会長 様
                    処分庁
                    みなかみ町長  鬼 頭 春 二
                        (総合戦略課)

               弁 明 書

 審査請求人 鈴木 章二(以下、「審査請求人」という。)からの令和元年7月29日付け審査請求事件につき、処分庁は、以下のとおり弁明する。

                 記

第1 処分の内容及び理由
 1 処分の内容
   審査請求人に対する公文書部分開示決定処分(以下、「本件処分」という。)

 2 処分の理由
   平成31年3月4日付けで公文書開示請求のあった件について、みなかみ町情報公開条例に基づき、本件処分を行ったものである。

第2 審査請求の理由について
 1 処分に至った経緯について
   公文書開示請求のあった『平成28年度以降の「地域おこし協力隊」事業に基づく応募状況と選考結果に関する情報(応募者数、応募要領、選考手順、採用者氏名、活動開始~終了年月。活動内容を含む選考結果が分かる情報を含む)』について、住所と生年月日を除く全ての対象者情報の開示を行った。
 2 審査請求の理由に対する反論
   「広報みなかみ」No.141(2017年7月号)掲載の「過疎のまちのために働く4名地域おこし協力隊の活動」の記事中、開示対象者の山本健太の他に3名の紹介があり、これをもって、みなかみ町で選考された人数が1名ではなく4名であるとの主張であった。しかし、山本健太以外の3名については、それぞれ「みなかみ町観光協会」及び「みなかみ農村公園公社」が独自に雇い上げており、応募状況や選考手順等については各団体で把握されている。そのため、みなかみ町において提供できる範囲の情報はすべて開示しており、本件処分に当たり、行政手続上の瑕疵は認められない。

第3 結語
   以上のとおり、審査請求の理由はなく、本審査請求は棄却されるべきである

**********

■これに対して当会会員は次の意見書と資料をみなかみ町に提出しました。

*****意見書*****ZIP ⇒ 20190927.zip
                             令和元年9月27日
みなかみ町情報公開審査会 御中

                      審査請求人
                       鈴 木 章 二     印

          意見書および資料の提出について

 諮問第1号にかかる令和元年9月17日付貴通知書について、下記の通り意見を述べます。

                 記

1.処分庁は弁明書のなかで、審査請求の理由に対する反論として、次の通り主張しています。

  「広報みなかみ」No.141(2017年7月号)掲載の「過疎のまちのために働く4名地域おこし協力隊の活動」の記事中、開示対象者の山本健太の他に3名の紹介があり、これをもって、みなかみ町で選考された人数が1名ではなく4名であるとの主張であった。しかし、山本健太以外の3名については、それぞれ「みなかみ町観光協会」及び「みなかみ農村公園公社」が独自に雇い上げており、応募状況や選考手順等については各団体で把握されている。そのため、みなかみ町において提供できる範囲の情報はすべて開示しており、本件処分に当たり、行政手続上の瑕疵は認められない。

2.処分庁の「山本健太以外の3名については、それぞれ『みなかみ町観光協会』及び『みなかみ農村公園公社』が独自に雇い上げており、」とする主張は、次の理由で失当です。

  総務省が定めた「地域おこし協力隊推進要綱」(平成21年3月31日(総行応第38号)制定)によれば、「第2 事業概要」として、「地方自治体が都市住民を受け入れ、地域おこし協力隊員として委嘱し、一定期間以上、農林漁業の応援、水源保全・監視活動、住民の生活支援などの各種の地域協力活動に従事してもらいながら、当該地域への定住・定着を図る取組について、地方自治体が意欲的・積極的に取り組むことができるよう、総務省として必要な支援を行う。」とされております。
  また、「(1)地域おこし協力隊員」でも、「地域おこし協力隊員は、おおむね1年以上3年以下の期間、地方自治体の委嘱を受け、地域で生活し、農林漁業の応援、水源保全・監視活動、住民の生活支援などの各種の地域協力活動に従事する者をいう。」とあります。
  さらに、「(2)地方自治体」でも、「地方自治体は、設置要綱等を策定した上で広報・募集等を行い、地域おこし協力隊員とする者を決定し、当該者を地域おこし協力隊員として委嘱し地域協力活動に従事させる。また、事業実施にあたっては、全国的な地域づくり推進組織、NPO 法人や大学等と連携することが望ましい。」と明記されております。
加えて、「第3 対象」の「(1)「地域おこし協力隊員」」において、「この要綱における「地域おこし協力隊員」とは、以下に該当する者をいう。① 地方自治体から、委嘱状の交付等による委嘱を受け、地域協力活動に従事する者であること。② ①の委嘱に当たり、地方自治体が、その対象者及び従事する地域協力活動の内容等を広報誌、ホームページ等で公表していること。」と定義づけられています。
  このように、地域おこし協力隊員はすべて地方自治体から委嘱されたかたちとなっています。
  したがって、処分庁のいう「山本健太以外の3名については、それぞれ『みなかみ町観光協会』及び『みなかみ農村公園公社』が独自に雇い上げており、」というのは失当で、全員が処分庁の委嘱を受けていなければなりません。
  資料1は、処分庁のみなかみ町が募集期間:平成28年11月7日~12月15日(木)で1名を、みなかみ町観光協会嘱託員として雇用することを目的に、同町のホームページに掲載したものです。
  資料2は、処分庁のみなかみ町観光協会が募集期間:平成30年4月5日(木)~5月31日(木)で1名をみなかみ町観光協会嘱託員として雇用することを目的に、同協会のホームページに掲載したものです。
  資料1および2ともに、冒頭に「みなかみ町では地域おこし協力隊を募集いたします。」と明記してあります。
  資料3は、総務省のホームページに掲載されている「地域おこし協力隊の活躍先①」であり、平成30年度特交(特別交付税)ベースでの全国各市町村における隊員数の一覧表です。2ページ目のみなかみ町の隊員数欄をみると、「5」とあります。このことからも、処分庁の主張する「1名」ということは有り得ません。
  資料4の4ページ目には、「地域おこし協力隊の受入れに当たっての留意点」として、地域おこし協力隊の任用・勤務条件について記されています。これをみると、「各地方自治体において、主に以下の2つの任用形態の地域おこし協力隊が存在します。」とあります。また、「このほか地方自治体が任用せず、委託契約を締結する場合も見られています。」とあることから、処分庁が任用していない可能性ももちろん否定できません。
  しかし、みなかみ町のホームページや、各団体のホームページにおいても、「業務内容」「勤務日数」「報酬」といった表現で任用があるように記載されていることから、地方公務員法に基づき、地方公務員として処分庁が任用していることが分かります。

3.処分庁の「応募状況や選考手順等については各団体で把握されている。そのため、みなかみ町において提供できる範囲の情報はすべて開示しており、本件処分に当たり、行政手続上の瑕疵は認められない。」とする主張は、次の理由で失当です。

  資料1は、処分庁のみなかみ町が募集期間:平成28年11月7日~12月15日(木)で1名を、みなかみ町観光協会嘱託員として雇用することを目的に、同町のホームページに掲載したものです。
  資料2は、処分庁であるみなかみ町観光協会が募集期間:平成30年4月5日(木)~5月31日(木)で1名をみなかみ町観光協会嘱託員として雇用することを目的に、同協会のホームページに掲載したものです。
  資料1および2ともに、冒頭に「みなかみ町では地域おこし協力隊を募集いたします。」と明記してあります。
  したがって、処分庁が委嘱して各団体に嘱託員として所属させていたとしても、その応募状況や選考手順等について、各団体から報告を受けていないはずはなく、実際に資料1にみられる通り、みなかみ町のホームページで掲載している例もあります。
  情報公開条例では、処分庁が作成した情報のみならず、他から受領した情報も行政情報として取り扱われることから、処分庁が委嘱した地域おこし協力隊員にかかる応募状況や選考手順等について、各団体のみで情報を保有することは許されません。
  よって、処分庁の「みなかみ町において提供できる範囲の情報はすべて開示しており、」とする主張は認められず、本件不開示処分は明らかに不当であり、行政手続上の瑕疵であることに疑いの余地がありません。
  なお、仮に、処分庁が主張する通り、当該各団体(今回の場合、みなかみ町観光協会およびみなかみ農村公園公社)の職員等(今回の場合嘱託職員)を地域おこし協力隊員として委嘱する場合には、地方自治体と隊員との間に直接的には指揮監督関係がないことや、隊員の活動内容や当該団体の公益性を踏まえ、当該団体と委託契約等を締結することが地域おこし協力隊の制度趣旨に合致していることなどを説明できることが必要とされています(資料4の13ページ目参照)。

                             以上

資料1:地域おこし協力隊を募集します|みなかみ町
資料2:みなかみ町観光協会 みなかみパーフェクトガイド新着情報「地域おこし協力隊募集について」
資料3:地域おこし協力隊の活躍先①(抜粋)
資料4:地域おこし協力隊の受入れに関する手引き(第3版)(抜粋)
**********

■そして、2019年11月20日付でみなかみ町情報公開審査会から町側に対して次の答申がなされました。

*****答申書*****ZIP ⇒ 20191120_toushin_sho.zip
                           (公印省略)
                          令和元年11月20日
鈴 木  章 二 様
                     みなかみ町情報公開審査会

        答申書の写しの送付について

 下記の事件については、令和元年11月20日に答申をしたので、みなかみ町情報公開条例第10条の6の規定に基づき、答申書の写しを進付します。

              記
  諮問番号:諮問第1号
  事件名:平成28年度以降の「地域おこし協力隊」事業に基づく応募状況と選考結果に関する情報の開示決定に関する件


=====答申=====
<P1>
答申第1号
諮問第1号
件名:平成28年度以降の「地域おこし」協力隊事業に基づく応募状況と選考結果に関する情報の開示決定に関する件

               答   申

第1 審査会の結論
 審査請求人(以下「請求人」という。)の平成31年3月4日付け公文書開示請求(以下「本件開示請求」という。)に対してみなかみ町長(以下「実施機関」という。)が令和元年5月27日付けで行った公文書部分開示決定(以下「本件処分」という。)は,妥当である。

第2 事件経過
 別紙事件進行経過記載のとおり

第3 請求人の主張の要旨
 請求人の主張の要旨は,概ね以下のとおりである。
1 審査請求の趣旨
 本件処分は,地域おこし協力隊員(以下「協力隊員」という。)1名についての開示請求対象文書のみが開示されているが,協力隊員は複数名いるはずであるから,本件処分は不当であり取り消されるべきであって,開示されていない協力隊員に関する開示請求対象文書も開示されなければならない。
2 害査請求の理由
(1)平成28年度以降の地域おこし協力隊事業に基づく応募状況と選考結果に関する情報を求めたところ,実施機関は1名の情報を開示したが,「広報みなかみ」の記事により,少なくとも他に3名の協力隊員が選考され,活動していたことがうかがえる。したがって,複数の協力隊員に関する開示請求対象文書が存在するはずである(任用者が複数名存在するはずであることの主張)。
(2)実施機関は,町で任用した協力隊員は1名であり,その他の協力隊員について,それぞれ「みなかみ町観光協会」及び「みなかみ農村公園公社」(以下「各団体」という。)が独自に雇用していると主張しているが,総務省の地域おこし協力隊梓進要綱(平成21年3月31日付け総行応第38号。以下「推進要綱」という。)第 2・事業概豊には「地方自治体が(中省略)『委嘱し』」との記載があるため,協力隊員全員が町からの委嘱を受けていなければならないはずである。したがって,複数の 協力隊員に関する開示請求対象文書が存在するはずである(少なくとも

<P2>
委嘱状が存在するはずであることの主張)。
(3)実施機関は,令和元年9月13日付の弁明書において,「応募状況や選考手順等については各団体で把握されている。そのため,みなかみ町において提供できる範囲の情報はすべて開示して」いると主張しているが,町のホームページの記載内容等から考えれば,実施機関が応募状況や選考手順等について各団体から文書による報告を受けているはずである。したがって,複数の協力隊員に関する開示請求対象文書が存在するはずである(実施機関が各団体から報告を受けているはずであること の主張)。

第4 実施機関の主張の要旨
 実施機関の主張の要旨は,概ね以下のとおりである。
1 主張の趣旨
  町が募集して任用した協力隊員は1名である。町は各団体と業務委託契約を締結し,各団体が独自に協力隊員の募集,選考を行っている。また,地域おこし協力隊事業に基づく応募状況と選考結果に 関する情報について各団体から文書による報告は受けていないから,各団体と契約を締結している者についての開示請求対象文書は存在しない。委嘱状はそもそも作成交付していない。よって,審査請求は棄却されるべきである。
2 主張の理由
(1)請求人は,協力隊員全員が町からの委嘱を受けていなければならないから,そうであるとすると,地方公務員法に基づく地方公務員として町が任用しているはずの者が存在するはずであると主張する。しかし,町が任用する者を除くその他の協力隊員については,町と各団体との間で地域おこし協力隊についての業務委計契約を締結している。そして,同契約を前様に,それぞれ各団体が独自に 協力隊員と何らかの労務の掃供に関する契約をしているはずであり,かつ,応募状況や選考手順等に ついても各団体で把握されている。
   この点,協力隊員への委嘱と,公務員としての任用は別の行為である。結果として,部分開示した1名の協力隊員の他に任用した協力隊員はおらず,請求人が主張する開示請求対象文書は存在しない。 (2)町と各団体が業務委託契約を締結した後,実施機関は,各団体が行った選考手続きや手順等に ついて文書による報告は受けていないし,選考手続き等に関与していない。結果,部分開示した1名の協力隊員のものの他に,請求人が主張する開示請求対象文書は存在しない。
(3)請求人の主張する,協力隊員への『委嘱』について,推進要綱の第3・対象の(1)④なお書きには,「委嘱の方法,期間(中省略)弾力的に対応することで差し支えない」旨の記載がある。実施機関としてはこの記載に基づき,委嘱状の交付をもって委嘱をするという方法は採用せず7地域の実情に応じた委嘱の方法(口頭での事後承認)をとったと認

<P3>
識している。したがって,委嘱状も存在しない。また,各団体との委託契約書の存在が認められれば,国からの財源手当てが受けられる仕組みとなっており,委嘱状は財源手当てを受けるための要件となっていないため,必須不可欠の文書とは認識していない。結果として,請求人が主張する開示請求対象文書は存在しない。

第5 争点
 実施機関は,既に開示済みの山本健太氏(以下「山本氏」という。)に関する文書の他に,その他協力隊員についての文書も保有しているか。

第6 審査会の判断の理由
1 協力隊員には,公務員たる身分を有する者と,公務員たる身分を有しない者が存在しうることが認められる。
  すなわち,協力隊員には,地方自治体が任用し,一般職非常勤職員たる地位を有する者及び特別職非常動職員たる地位を有する者が存在しうる。 また,地方自治体が任用せず,各種団体等と委託契約を締結することを前提に,各種団体と何らかの労務提供契約(雇用契約等)が締結されている者も存在しうる。各種団体と委託契約を締結することを前提に各種団体件と契約を締結している者には,原則として,地方自治体との間において任用関係は生じない。ただし,実質的指揮監督関係等の存在によって労働者性が認められる可能性はある(平成31年3月総務省地域力創造グループ地域自立応援課 地域おこし協力隊の受入れに関する手引き(第3版)。以下「手引き」という。)。
2 実施機関は,各団体とそれぞれ「地域おこし協力隊業務委証契約」(以下「各業務委託契約」という。)を締結したことが認められる。各業務委託契約書には,各団体から町への報告等については何らの定めがない(審議の結果に基づく。)。
  そして,かかる各業務委託契約の存在を前提にしても,各団体が,地域おこし協力隊事業に基づく応募状況や選考結果に関する情報を町に文書による報告をしたことは認められない(審議の結果に 基づく。)。
  なお,協力隊員の記事が「広報みなかみ」に掲載されているが,当該記事の具体的記載内容を検討するに,各団体が協力隊員を採用後,何らかの方法(電話,直接面談)で,何らかの情報を実施機関に提供しているとしても,地域おこし協力隊事業に基づく応募状況や選考結果に関する情報(開示請求の対象となる情報)自体を実施機関に文書により報告していると認めるのは困難であるし,実施機関が当該情報を保有していると合理的に推認することも困難と言わざるを得ない。また,実施機関が山本氏を除くその他の協力隊員に委嘱状を交付した事実は認められない。この点,結果として国から町に対して財源手当てが行われていることが認められ,この事実からすると,各団体との委託契約書

<P4>
の存在が認められれば国からの財源手当てが受けられる仕組みとなっており,委嘱状は財源手当てを受けるための要件となっていないため,実施機関において作成が必須不可欠の文書とは認識してしいないとの実施機関の主張は信用することができる。そして,かかる認識を前提にすれば委嘱状の作成が行われなかったことの経緯は具体的に説明がされてしいると考えられる。
3 地域おこし協力隊の募集経過は以下のとおりであると認められる。
(1)実施機関は,平成28年7月13日に隊員募集についての決裁を行い,「地域おこし協力隊員を募集します」と題する文書をホームベージ上に掲載することによって協力隊員を募集したことが認 められる(発議年月日平成28年7月13日付回議用紙及び「地域おこし協力隊員を募集します!」と題する文書)。
(2)そして,実施機関は,平成28年8月15日発令,任期満了年月日を平成29年3月31日とし,山本氏を任用したことが認められる。同人は引き続き平成29年4月1日から平成30年3月31日まで再度町に任用されたことが認められる。同人は,さらに平成30年4月1日から平成31年3月31日まで任用されたことが認められる(平成28年8月3日付嘱託員任用内申書案,同年同月15日付辞令案,平成20年3月1日付嘱託員任用内申書案,同年4月1日付辞令案,平成30年3月1日付嘱託員任用内申書案,同年4月1日付辞令案)。
   実施機関が地域おこし協力隊制度を利用して,協力隊員を任用したのは,平成28年度が初めてである。手引き,推進要綱いずれにも各団体と地方公共団体が委託契約を締結して協力隊員を募集した場合において,各団体からどのような内容,どのような方法で報告を受けるべきかについて詳細な記載はない。
   同人の各再任時期にあたり,新たに協力隊員が募集されたことはない(審議の結果に基づく。)。
(3)上記山本氏は,平成30年10月31日に退職した。実施機関は,上記山本氏の退任後,協力隊員を募集したことはない。
   上記の経過であり,町には,平成28年以降,協力隊員として山本氏のみが任用されており,同人を除いては誰も任用されていない(審議の結果に基づく。)。
4 結語
 請求人は,手引きの記載等を根拠に,実施機関が各団体から文書により報告を受けていないはずがないと主張している。しかし,各業務委託契約書中には,各団体から町への報告等については何らの定めがないこと,各団体と町との業務委託契約の存在が国からの財源手当ての要件となっており実施機関においてその他の文書を必須不可欠と認識していないこと,実施機関が地域おこし協力隊の制度を利用したのは平成28年度が初めてであり以後募集を行っていないことの各事実を総合勘案しても,請求人が主張する報告に関する

<P5>
文書や委嘱状等の開示請求対象文書が存在していないとしても不自然とは言えない。そして,町が任用した者は山本氏1名であり,請求人主張の開示請求対象文書は存在しないから,本件処分は妥当である。よって,第 1記載の「審査会の結論」のとおり判断する。

<P6>
別紙 事件進行経過

  年 月 日         内 容
平成31年 3月 4日   本件開示請求
平成31年 3月15日   公文書部分開示決定
平成31年 4月 1日   異議申立て
令和 元年 5月 2日   申立認容による公文書部分開示決定
令和 元年 7月29日   審査請求(異議申立て)
令和 元年 9月13日   実施機関から諮問を受けた。実施機関から弁明書を受領した。
令和 元年 9月25日   審査請求人の左記同日付,意見書及び資料の提出についてと題する書面の提出を受けた。
令和 元年 9月30日   審議(第1回審査会)。実施機関から理由説明,意見聴取,インカメラ調査
令和 元年10月23日   審議(第2回審査会)
**********

■この5日後に、早くもみなかみ町長から当会会員あてに審査請求に対する裁決通知が出されました。

*****審査請求裁決通知*****ZIP ⇒ 20191125r.zip
<P1>

                           み総戦発第120号
                           令和元年11月25日
鈴木 章二 様
                      みなかみ町長  鬼 頭  春 二
                         (総 合 戦 略 課)

         審査請求に対する裁決について(通知)

 今和元年7月29日付けで提起された公文書の公開決定等に対する審査請求については、別紙のとおり裁決したので謄本を送付します。
                 記
1 裁決書(謄本)  1部

=====裁決書=====
           裁 決 書
                       審査請求人
                        みなかみ町布施339番地1
                         鈴木 章二

 上記審査諸求人(以下「請求人」という。)から令和元年7月29日付けで提起されたみなかみ町惜報公開条例(平成17年条例第5号)第11条第1項の規定による情報の部分開示決定処分(以下「本件処分」という。)に対する審査諸求については、次のとおり裁決する。
              主  文
 本件審査請求を棄却する。

              理  由
第1 事実
1 請求人は、平成31年3月4日付けで「平成28年度以降の「地域おこし協力隊」事業に基づく応募状況と選考結果に関する情報(応募者数、応募要領、選考手順及び各採用者の氏名、活動開始~終了年月、活動内容を含む選考結果が分かる情報を含む)」他l件の公文書開示請求を行った。
2 実施機関は、平成31年3月15日付けで部分開示を決定し、町で任用していた地域おこし協力隊員(以下「協力隊員」という。)1名に係る公文書の開示を行った。
3 請求人は、平成31年4月1日付けで「開示資料の内、個人を特定できる部分」の解釈について異議申立てを行った。
4 実施機関は、請求人の申立てを認容し、令和元年5月27日付けで本件処分を行った。
5 請求人は、令和元年7月29日付けで「l 名でなく複数の隊貝」に関する情報開示を求め、審査請求を行った。
6 実施機関は、本件処分の維持が適当との理由により、令和元年9月13日付けでみなかみ町情報公開審査会へ諮問を行った。
7 実施機関は、令和元年11月20日付けでみなかみ町情報公開審査会より答申を受けた。

<P2>
第2 請求人の審査請求の趣旨及び主張要旨
 請求人の主張の要旨は、概ね以下のとおりである。
1 審査請求の趣旨
 本件処分は、協力隊員1名についての開示請求対象文書のみが開示されているが、協力隊員は複数名いるはずであるから、本件処分は不当であり取り消されるべきであって、開示されていない協力隊員に関する開示請求対象文書も開示されなければならない。
2 審査請求の理由
 (1) 平成28年度以降の地域おこし協力隊専業に基づく応募状況と選考結果に関する情報を求めたところ、実施機関は1名の情報を開示したが、「広報みなかみ」の記事により、少なくとも他に3名の協力隊員が選考され、活動していたことがうかがえる。したがって.複数の協力隊員に関する開示請求対象文書が存在するはずである(任用者が複数名存在するはずであることの主張)。
 (2) 実施機関は、町で件用した協力隊員は1名であり、その他の協力隊員について、それぞれ「みなかみ町観光協会」及び「みなかみ農村公園公社」(以下「各団体」という。)が独自に雇用していると主張しているが、総務省の地域おこし協力隊推進要綱(平成21年3月31日付け総行応第38号、以下「推進要綱」という。)第2・事業概要には「地方自治体が(中省略)『委嘱し』」との記載があるため、協力隊員全員が町からの委嘱を受けていなければならないはずである。したがって、複数の協力隊員に関する開示請求対象文書が存在するはずである(少なくとも委嘱状が存在するはずであることの主張)。
 (3) 実施機関は、令和元年9月13日付の弁明書において、「応募状況や選考手順等については各団体で把握されている。そのため、みなかみ町において提供できる範囲の情報はすべて開示して」いると主張しているが、町のホームページの記載内容等から考えれば、実施機関が応募状況や選考手順等について各団体から文書による報告を受けているはずである。したがって、複数の協力隊員に関する開示請求対象文書が存在するはずである(実施機関が各団体から報告を受けているはずであることの主張)。

第3 実施機関の主張要旨
 実施機関の主張の要旨は、概ね以下のとおりである。
1 主張の趣旨
  町が募集して任用した協力隊貝は1名である。町は各団体と業務委託契約を締結し、各団体が独自に協力隊員の募集、選考を行っている。また、地域おこし協力隊事業に基づく応募状況と選考結果に関する情報について各団体から文書による報告は受けていないから、各団体と契約を締結している者についての開示請求対象文書は存在しない。委嘱状はそもそも作成、交付していない。よって、審査請求は棄却されるべきである。
2 主張の理由
 (1) 請求人は、協力隊員全員が町からの委嘱を受けていなければならないから、そうであるとすると、地方公務員法に基づく地力公務負として町が任用しているはずの者が存在すがまずであると主張する。しかし、町が任用する者を除くその他の協力隊員については、町と各団体との間で地域おこし協力隊についての業務委託契約を締結し

<P3>
ている。そして、同契約を前提に、それぞれ各団体が独自に協力隊員と何らかの労務の提供に関する契約をしているはずであり、かつ、応募状況や選考手順等についても各団体で把据されている。この点協力隊員への委嘱と、公務員としての任用は別の行為である。
   結果として部分関示した1名の協力隊員の他に任用した協力隊員はおらず、請求人が主張する開示請求対象文書は存在しない。
 (2) 町と各団体が業務委託契約を締結した後、実施機関は、各団体が行った選考手続きや手順等について文書による報告は受けていないし、選考手続き等に関与していない。結果、部分開示した1名の協力隊員のものの他に、請求人が主張する関示請求文書は存在しない。
 (3) 請求人の主張する、協力隊員への『委嘱』について、推進要綱の第3・対象の(1)④なお書きには、「委嘱の方法、期間(中省略)強力的に対応することで差し支えない」旨の記載がある。実施機関としてはこの記載に基づき、委嘱状の交付をもって委嘱をするという方法は採用せず、地域の実情に応じた委嘱の方法(口頭での事後承認)をとったと認識している。したがって、委嘱状も存在しない。また、各団体との委託契約書の存在が認められれば、国からの財源手当てが受けられる仕組みとなっており、委嘱状は財源手当てを受けるための要件となっていないため、必須不可欠の文書とは認識していない。結果として、請求人が主張する開示請求対象文書は存在しない。

第4 裁決の理由
1 協力隊員には、公務員たる身分を有する者と、公務員たる身分を有しない者が存在し うることが認められる。
  すなわち、協力隊員には、地方自治体が任用し、一般職非常勤職員たる地位を有する者及び特別職非常勤職員たる地位を有する者が存在しうる。また、地方自治体が任用せず、各種団体等と委託契約を締結することを前提に、各種団体と何らかの労務提供契約(雇用契約等)が締結されている者も存在しうる。各種団体と委託契約を締結することを前提に各種団体と契約を締結している者には、原則として、地方自治体との間において任用関係は生じない。ただし、実質的指揮監督関係等の存在によって労働者性が認められる可能性はある(平成31年3月総務省地域力創造グループ地域自立応援課 地域おこし協力隊の受入れに関する手引き(第3 版)。以下「手引き」という。)。
2 実施機関は、各団体とそれぞれ「地域おこし協力隊業務委託契約」(以下「各業務委託契約」という。)を締結したことが認められる。各業務委託契約書には、各団体から町への報告等については何らの定めがない(審議の結果に基づく。)。
  そして、かかる各業務委託契約の存在を前提にしても、各団体が、地域おこし協力隊事業に基づく応募状況や選考結果に関する情報を町に文書による報告をしたことは認められない(審議の結果に基づく。)。
  なお、協力隊員の記事が「広報みなかみ」に掲載されているが、当該記亭の具体的記載内容を検討するに、各団体が協力隊貝を採用後、何らかの方法(電話、直接面談)で、何らかの情報を実施機関に提供しているとしても、地域おこし協力隊事業に基づく応募状況や選考結果に関する情報(開示請求の対象となる情報)自体を実施機関に文書によ

<P4>
り報告していると認めるのは困難であるし、実施機関が当該情報を保有していると合理的に推認することも困難と言わざるを得ない。
  また、実施機関が山本氏を除くその他の協力隊員に委嘱状を交付した事実は認められない。この点、結果として国から町に対して財源手当てが行われていることが認められ、この事実からすると、各団体との委託契約書の存在が認められれば国からの財源手当てが受けられる仕組みとなっており、委嘱状は財源手当てを受けるための要件となっていないため、実施機閑において作成が必須不可欠の文書とは認識していないとの実施機関の主張は信用することができる。そして、かかる認識を前提にすれば委嘱状の作成が行われなかったことの経緯は具体的に説明がされていると考えられる。
3 地域おこし協力隊の募集経過は以下のとおりであると認められる。
 (1) 実施機関は、平成28年7月13日に隊員募集についての決裁を行い、「地域おこし協力隊員を募集します!」と題する文書をホームページ上に掲載することによって協力隊員を募集したことが認められる(発議年月日平成28年7月13日付回議用紙及び「地域おこし協力隊員を募集します!」と題する文書)。
 (2) そして、実施機関は、平成28年8月15日発令、任期満了年月日を平成29年3月31日とし、山本氏を任用したことが認められる。同人は引き続き平成29年4月1日から平成30年3月31日まで再度町に任用されたことが認められる。同人は、さらに平成30年4月1日から平成31年3月31日まで任用されたことが認められる(平成28年8月3日付嘱託員任用内申書案、同年同月15日付辞令案、平成29年3月1日付嘱託員任用内申書案、同年4月1日付辞令案、平成30年3月1日付嘱託員任用内申書案、同年4月1日付辞令案)。
   実施欅関が地域おこし協力隊制度を利用して、協力隊員を任用したのは、平成28年度が初めてである。手引き、推進要綱いずれにも各団体と地方公共団体が委託契約を締結して協力隊員を募集した場合において、各団体からどのような内容、どのような方法で報告を受けるべきかについて詳細な記載はない。
   同人の各再任時病にあたり、新たに協力隊員が募集されたことはない(審議の結果に基づく。)。
 (3) 上記山本氏は、平成30年10月31日に退職した。実施機関は、上記山本氏の退任後、協力隊員を募集したことはない。
   上記の経過であり、町には、平成28年以降、協力隊員として山本氏のみが任用されており.同人を除いては誰も任用されていない(審議の結果に基づく。)。
4 結語
  請求人は、手引きの記載等を根拠に.実施機関が各団体から文書により報告を受けていないはずがないと主張している。しかし、各業務委託契約書中には、各団体から町への報告等についでは何らの定めがないこと。各団体と町との業務委託契約の存在が国からの財源手当ての要件となっており実施機関においてその他の文書を必須不可欠と認識していないこと。実施機関が地域おこし協力隊の制度を利用したのは平成28年度が初めてであり以後募集を行っていないことの各事実を総合勘案しても、請求人が主張する報告に関する文書や委嘱状等の開示聘求対象文書が存在していないとしても不自然とは言えない。

<P5>
  そして、町が任用した者は山本氏1名であり、請求人主張の開示請求対象文書は存在しないから、本件処分は妥当である。

よって、主文のとおり裁決する。

  令和元年11月25日

                        みなかみ町長 鬼 頭 春 二

(教示) この裁決に不服がある場合には、この裁決があったことを知った日の翌日から起算して6ヵ月以内に、みなかみ町を被告として(訴訟において町を代表する者は町長となります。)裁決の取消しの訴えを捉起することができます(なお、この裁決があったことを知った日の翌日から起算して6ヵ月以内であっても、裁決の日の翌日から起算して1年を経過すると、裁決の取消しの訴えを提起することができなくなります。
**********

■そして、半年近くの期間を経て、やはりこれはきちんと法廷の場で、地域おこし協力隊全員の情報を開示してもらう必要があると考えて、2020年5月20日に次の訴状を前橋地裁に提出しました。

*****訴状*****ZIP ⇒ 20200520ieinj.zip
          訴    状
      
                           令和2年5月20日
前橋地方裁判所民事部 御中

                   原   告  鈴 木 章 二

 〒379-1414 群馬県みなかみ町布施339-1(送達先)
        原   告    鈴 木 章 二
         電 話 090-1431-6607(携帯)
         FAX 0278-64-0753(固定電話兼用)

 〒379-1393 群馬県利根郡みなかみ町後閑318
        被   告    みなかみ町
        上記代表者    町長 鬼 頭 春 二
         電 話 0278-62-2111(代表)
         FAX 0278-62-2291


法人文書不開示処分取消請求事件
 訴訟物の価額 金160万円(算定不能)
 貼用印紙額   金1万3000円

第1 請求の趣旨
1 被告が原告に対し、平成31年3月15日付み総務発第1064-2号公文書部分開示決定(以下「本決定」)において不開示とした箇所のうち、山本健太以外の阿部茜ら地域おこし協力隊員に関する情報について不開示を取消せ。
2 訴訟費用は被告の負担とする。
 との判決を求める。

第2 請求の原因
1 請求に至る経緯
(1)原告は、みなかみ町情報公開条例(以下「条例」)に基づき、被告に対して平成31年3月4日付で、公文書開示請求を行ったが、平成31年3月15日付公文書部分開示決定通知書で、地域おこし協力隊員の山本健太の情報のみ開示された。
(2)広報みなかみNo.141(2017年(平成29年)7月号)の13ページの下段記事によれば、少なくとも山本健太以外にも地域おこし協力隊員がみなかみ町で活動しているようすがうかがえるため、原告は、令和元年7月29日付で被告に審査請求書を提出した。
(3)その後、被告から令和元年9月17日付で「意見書又は資料の提出について(通知)」、及び、令和元年9月13日付み総戦発第87号弁明書が届いた。
(4)原告は、通知にもとづき、みなかみ町情報公開審査会宛に令和元年9月27日に「意見書および資料の提出について」を送った。
(5)その結果、令和元年11月20日付で、みなかみ町情報公開審査会から原告宛に答申書の写しが送付された。
(6)そして、令和元年11月25日付で、被告は、原告の審査請求を棄却するとした「裁決書」を原告に通知した。
2 部分開示(不開示処分)取消請求理由
(1)被告であるみなかみ町では、地域おこし協力隊員事業を毎年行っている。
(2)地域おこし協力隊事業とは、人口減少や高齢化等の進行が著しい地方において、地域外の人材を積極的に受け入れ、地域協力活動を行ってもらい、そのて移住・定着を図ることで、意欲ある都市住民のニーズに答えながら、地域力の維持・強化を図っていくことを目的とした制度であるとされている。
(3)地域おこし協力隊になるためには、次の手続きを踏むとされている。
   ①地方自治体による協力隊の募集情報を確認する。活動内容や条件、待遇等は各自治体によって異なる。
   ②募集している地方自治体へ申込む。
   ③地方自治体による選考(書類選考、面接等)の結果、採用が決定する。
   ④地方自治体から、委嘱状等の交付により「地域おこし協力隊」としての委嘱を受ける。
   ⑤現住所から採用先の自治体に住民票を移動し、地域おこし協力隊として活動を開始する。
(4)期間・待遇は、おおむね1年以上3年以下の期間、地方自治体の委嘱を受け、地域で生活し、各種の地域協力活動を行う。また、活動費については、自治体及び活動内容により異なっている。
(5)このことから、みなかみ町は、平成28年度以降、地域おこし協力隊員に対して、委嘱状を発行していなければならず、広報みなかみNo.141(2017年(平成29年)7月号)の13ページの下段記事によれば、少なくとも平成28年8月からの山本健太以外にも、同年11月から鈴木健一、平成29年4月から阿部茜、西坂文秀が地域おこし協力隊員として被告が委嘱していることがわかる。
(6)これらの地域おこし協力隊員のうち、少なくとも、阿部茜については、みなかみ町前町長の前田善成が、平成30年4月18日に水上温泉街で行われた同町観光協会の送別会の2次会で、男子トイレで阿部茜に無理やりキスをしたとして平成30年5月7日に阿部茜が強制わいせつの被害届を提出した。
(7)その後、同年9月18日に前町長は失職したが、同年10月24日、群馬県警が強制わいせつの疑いで、前町長を書類送検した。
(8)一方で、前町長は平成30年8月8日に阿部茜を相手取り民事事件(事件番号:平成30年(ワ)第361号、謝罪広告等請求事件)を前橋地裁に提起し、同年11月2日に第1回口頭弁論が開かれたあと、同年12月21日に非公開での弁論準備手続きが行われることになっていた。
(9)しかし非公開での弁論準備手続きは突然キャンセルとなり、同年12月27日に、阿部茜は過度の精神的苦痛により、「これ以上事件を長引かせたくない」として刑事事件の被害届を取下げた。
   ところが、前橋地検は民事事件の取下げに応じようとしない前町長に対して、阿部茜に関する一方的なブログ記事の掲載は、上司としてパワハラになることを理由に、民事事件について示談にしないかぎり、刑事訴追すると迫った。その結果、同日、前町長が示談に応じ、刑事事件も民事事件もともに取り下げられた。
(10)このことから、阿部茜に対してみなかみ町長がセクハラ事件に関する事情をブログで公開したことが上司として部下に対するパワハラと判断されたことが分かる。このことは地域おこし協力隊の阿部茜に対し、みなかみ町長が委嘱状を交付したことを意味しており、地域おこし協力隊員の雇用主が首長であり、隊員の給料は自治体の一般会計から支出されていることを示している。
(11)また、阿部茜の場合は、一時高崎市に在住していたようだが、実家はみなかみ町内で燃料商を営んでおり、少なくとも、県外からの移住者ではないことから、被告は本当に地域おこし協力隊の制度を、ルール通りに運用していたのかどうかも定かでない。

第3 むすび
   以上のとおり、本決定において山本健太以外の、阿部茜ら地域おこし協力隊員に関する情報について不開示とした処分が違法であることは明らかであるから、すべて取消を求める。

                                   以上

           証拠方法

 1 甲1号証の1 公文書部分開示決定通知書
 2 甲1号証の2 開示資料一式(山本健太)
 3 甲2号証   審査請求書(異議申立書)
 4 甲3号証   意見書又は資料の提出について(通知)
 5 甲4号証   意見書および資料の提出について
 6 甲5号証   答申書の写しの送付について
 7 甲6号証   審査請求に対する裁決について(通知)

           附属書類

 1 訴状副本     1通
 2 証拠説明書    1通
 3 甲号証写し   各1通

                            以上
**********

■前町長をセクハラで訴えた被害女性は、みなかみ町観光協会に所属する地域おこし協力隊員でした。情報筋によれば、前町長が被害女性を名誉毀損にかかる謝罪広告等請求事件を提訴した際、被害女性が応訴のため起用した弁護士費用は、すべてみなかみ町観光協会が支出した可能性を指摘する声があります。もしそうだとすれば、公費で職員のプライベートな訴訟費用が支払われたことになります。

 いずれにしても、被害女性が地域おこし協力隊員として、みなかみ町長から委嘱状を交付されていないとするみなかみ町の主張が本当なのかどうか、この裁判により法廷できっちりと判断されることがなにより重要です。

 なぜなら、そのことにより、前町長が被害女性に無理やりキスをしたとするセクハラ(強制わいせつ)事件は、キスは被害女性との合意のもとに行われたとする前町長のブログによる不特定多数に対する公表が被害女性の意に添わなかったのが真相であり、実はセクハラ事件ではなく、町長から委嘱を受けた地域おこし協力隊員がプライバシーを首長に公にされたことを不服としたパワハラ事件として、警察や検察が取り扱っていたことが確認できるからです。

 はたしてみなかみ町側が、この事件の訴訟代理人をいったいどの弁護士事務所に依頼するのか、そのことも極めて注目に値します。引き続き、当会会員からの今後の報告を注視してまいります。

【市民オンブズマン群馬事務局からの報告】

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

感染者がダラダラと続く我が国を尻目に、すでに28日間国内感染者ゼロを達成した台湾の状況

2020-05-12 23:34:00 | 新型コロナ問題
■ピーク時よりはだいぶ感染者数が減ってきた我が国の新型コロナウイルスの発生状況ですが、近隣諸国の実態はどうなのでしょうか。5月7日12時時点での新型コロナウイルス関連の肺炎と診断されている症例及び死亡例の数について、近隣各国政府の公式発表数字を見てみると、人口約2400万人の台湾の健闘が目立っています。
  国・地域 / 感染者 / 死亡者
 ○中国     82,885   4,633
 ○香港      1,041     4
 ○マカオ      45     0
 ○日本     15,463    551
 ○韓国     10,810    256
 ○台湾       439     6
 ○シンガポール 20,198     18

 その台湾では、既に国内での感染者数ゼロの日が28日を達成したと報じられています。
*********TAIWAN TODAY 2020年05月11日
台湾内部での新型コロナ感染者は28日連続でゼロ、陳指揮官は「全ての人の功績」

台湾では海外からの流入を除いて、新型コロナウイルスの感染者が28日連続で見つかっていない。中央感染症指揮センターの陳時中指揮官は台湾に住む全ての人々の功績だと称えた。写真は10日、日中最高気温が32度を超えた台北市(台湾北部)天母の公園で遊ぶ子どもたち。(中央社)
 台湾では海外で感染して台湾に入境した人を除いて、新型コロナウイルス(COVID-19)の感染者が28日連続で見つかっていない。中央感染症指揮センター(新型肺炎対策本部に相当)専門家諮問チームの張上淳召集人はさきごろ、28日間(新型コロナウイルスの潜伏期とされる14日間の2倍)を超えて台湾内部での感染例が確認されなかった場合、公衆衛生の見地から言えば台湾は大変安全なコミュニティだと言えると述べていた。
 中央感染症指揮センターの陳時中指揮官は10日午後の記者会見で、台湾内部での感染者が28日連続で見つからないという成果を台湾があげられたのは台湾に住む全ての人々の功績だと指摘、本国人か外国人かを問わず非常に努力し、中央政府と地方自治体が協力したからこそ全世界に胸を張れる成果をあげることが出来たのだと述べ、引き続き台湾が誇らしくいられるようにと願った。
 台湾は感染防止に成功しているほか、感染者の回復率も83%で世界平均の34%を大幅に上回る。人口100万人あたりの死亡者も0.3人と非常に少ない。世界平均は36人に達する。
 ただ陳指揮官は、台湾での感染拡大は勢いを弱めているが国際的には依然として大規模な流行段階にあり油断はできないと強調、今後も水際での警戒を強め、国内では感染症を防ぐ新たな生活方式を実行していくことで、「のんびりと感染症予防に努める」生活環境の中、楽しく戦っていこうと呼び掛けた。
 台湾では台湾内部での感染例が28日連続で見つかっていない。報道関係者が、28日連続で感染者が見つからなかった場合はデング熱に照らし、台湾での「国内疫情警示」(国内感染症警告)を解除するか尋ねたのに対し、陳時中指揮官はデング熱が全世界で起きている感染症ではないことを指摘、その上で、新型コロナウイルスに関しては海外での深刻な感染状況にかんがみ、防疫のための戦略を引き続き厳格に守っていかねばならないとし、感染状況が収まって来たならば関連の制限を継続的に緩めていく考えを示した。
**********

■こうした実績を背景に、台湾の副総統が「ウイルスに国境はない」として中共による圧力がWHOから締め出されている現状を訴え、早期に台湾をWHOに復帰させるよう国連でアピールをしました。韓国が「K防疫」と銘打って、独自対策の成果を自慢した直後、再感染が広がりメンツをなくしましたが、すでに4週間感染を完全に押さえつけている「台湾方式」について、日本のメディアももっと注目しなければなりません。

**********TAIAWAN TODAY 2020年05月11日
陳副総統「WHOは専門性と中立性堅持し台湾を総会に招待せよ」

陳建仁副総統(写真)が台湾時間8日、米スタンフォード大学フーヴァー研究所が開催した「台湾と全世界の新型コロナウイルス感染状況:世界への啓示」オンライン討論会に参加して基調講演を行った。陳副総統はその中で、世界保健機関(WHO)に対し、台湾をWHOの体系に加えるよう呼びかけた。(総統府サイトより)
 陳建仁副総統が米西部時間の7日午前9時(台湾時間8日零時)、米スタンフォード大学フーヴァー研究所が開催した「台湾と全世界の新型コロナウイルス感染状況:世界への啓示(Taiwan and The COVID-19 Pandemic:Lessons For The World)」オンライン討論会に参加して基調講演を行った。講演はあらかじめ録画されたものが使用された。陳副総統はその中で、重症急性呼吸器症候群(SARS)を経験して以降、台湾は「注意深い態度」、「迅速な対応」、「先手先手の配備」という感染症対策の3大原則を確立していると説明、さらに「台湾モデル」で最もカギになるのは、国民がオープンで透明化された情報を得られることの確保だと強調した。
 以下は陳副総統の講演の抜粋である。
 全世界で新型コロナウイルスに感染した人は4月30日までで320万人以上、それによる死者も22万人を超えている。この感染症が人々の生活や労働の活動に与えた影響は未曾有のもので、全世界の経済もそれによって大きな打撃を受けている。
 グローバル化した世界では、台湾もこの災難を逃れることは出来ない。しかし台湾はウイルスが最初に発生した場所から極めて近い位置にありながら、被害の程度が中国そして他の国々よりずっと軽くて済んでいる。これは台湾が2003年に流行したSARSから得た厳しい教訓を生かしたことが原因だ。過去17年間十分な備えをしてきたことで、今回のウイルスに適切に対処することが出来たのである。
 SARSは台湾の防疫体制に多くの欠点があることを明らかにした。そして流行が収まると、我々は防疫体制の再構築に乗り出した。我々は「伝染病防治法」ならびに関連法規を見直して改正。それにより、今では感染症が広がった場合、政府は特定の医療機関を感染症対応病院もしくは感染者の隔離用病院に指定する権限を持つ。同時に、入院患者、外来の患者、救急患者の出入り口を分けるなど、院内感染を防ぐための措置をとることも出来る。さらに感染症の監視と通報の標準作業手続きを制定、水際での検疫作業の流れも最適化した。
 我々はまた、感染者と接触があった人ならびに感染地域から台湾にやってきた旅行者に対する「在宅隔離」もしくは「在宅検疫」措置も強化。関係機関には常に十分な緊急医療物資を確保しておくよう要求した。一方、感染状況について事実と異なる情報を伝えた者には罰金処分を科す。我々はSARSの経験から感染症に対応する人材が不足していることを痛感し、感染症の専門医を多く集めている。
 SARSは様々な専門家によって構成される防疫チームを発足させた。また、行政院衛生署(現・衛生福利部=日本の厚労省に類似)には「国際合作組」(国際協力部)が設けられ、公衆衛生に関する国際的な協力と情報の共有を推進することになった。これにより我々は国際社会にいっそう貢献できるようになっている。
 系統立てて組織を再構築することは情報のオープン化と透明化、そして共有を促した。これもまた17年後の今日、台湾が今回の感染症に対して一定の備えが出来ていた原因であろう。
 台湾は現在、新型コロナウイルスへの対応で主に3つの原則を守っている。SARS流行後に定めたもので、「注意深い態度」、「迅速な対応」、「先手先手の配備」である。
 まず「注意深い態度」。昨年12月31日、衛生福利部疾病管制署(CDC)の関係者はインターネット上の書き込みに中国の武漢当局の公告があることに気付いた。それはSARSと似た症状の感染例について詳しく書かれたものだった。慎重に考慮した上で我々は国際保健規則(IHR)の仕組みを通じ、世界保健機関(WHO)に電子メールを送り、武漢におけるこの患者たちが隔離治療を受けていることを伝えた。
 次に「迅速な対応」だ。我々は昨年12月31日からただちに、武漢からの入境者全員に旅客機搭乗前の検温を行うことにした。同時に一連の防疫措置を起動。その後、疾病管制署に特別対策チームを設置し、感染状況の監視に努めると共に専門家2名を武漢での実地調査に派遣した。
 そして3つ目は「先手先手の配備」。1月21日に台湾で初めて感染者が確認されると、同日ただちに中央感染症指揮センター(新型肺炎対策本部に相当。中国語では中央流行疫情指揮中心)を立ち上げて様々な措置を前倒しでスタート、政府全体で取り組む姿勢を打ち出した。また水際対策も強化、台湾に入境する全ての旅行者に自主的な健康状態の記録と申告を行わせ、海外からの感染者をただちに発見できるよう努めた。3月19日からは、海外から入境する全ての旅行者に14日間の「在宅検疫」を義務付けた。また、感染者と濃厚に接触した人には14日間の「在宅隔離」を課した。そして「在宅検疫」及び「在宅隔離」を終えた人にもさらに7日間の自主健康管理を義務付けた。
 人々に防護物資を行き渡らせることも極めて重要だ。我々にはSARSが広がった時、感染予防に有効なN95マスクが足らなくなった経験がある。今回我々はマスクの生産量を高めなければならないこと、そして必要な時にはマスクの配給制度を実施しなければならないことを知っていた。今、台湾では1日に1,500万枚以上のマスクを生産できる。この生産能力は1日2,000万枚まで引き上げる予定だ。
 こうした全ての措置の中で強調したいのは、「台湾モデル」の最も重要なカギが「透明化」であることだ。政府は新型コロナウイルスの感染が広がり始めた時、人々がオープンで透明な情報を得られるよう努力した。中央感染症指揮センターは1月から毎日記者会見を開いている。衛生福利部の部長(大臣)とそのチームが最新の感染者数を発表し、関連の防疫措置を詳しく説明する。メディアが根拠に基づいて正確な報道ができるようにするためだ。中央感染症指揮センターは当初からオープンで透明な情報提供に力を尽くしたことで権威を確立し、人々の信頼も得た。このことは社会の安定につながり、みなを政府の感染症対策に協力しようという気にさせた。フェイクニュースのもたらす影響を減らす効果もあった。こうしたことでプラスの循環が生まれた。人々の信頼の度合いが大きければ大きいほど、多くの人々が政策に従い、我々はこの難関を乗り越えることが出来るのだ。
 SARSが広がった時、台湾は孤立無援だった。そして今また、WHOから排除されている。しかし我々のつらい経験は、いかなる国も単独で感染症に向き合うべきではないことを告げている。国際的な協力こそが世界的な感染症に対抗する唯一の道なのだ。今回、「台湾モデル」は全世界から評価されている。我々は我々の知識と経験、専門能力を国際社会と喜んで共有したいのだ。「台湾がお手伝いします。そして今、手伝っています」。4月30日までに我々は様々な国に1,700万枚のマスクを寄付している。
 台湾で学術研究をリードする中央研究院も、欧州連合(EU)の政府関係者、チェコ、トルコの科学研究機関とそれぞれテレビ会議を開き、実現可能な国際協力について話し合っている。台湾の病院でもテレビ会議を用いて、助けを必要とする国々と感染症対策の経験と技術を分かち合っている。
 感染が広がっている間、世界各国は団結してこの問題を克服しなければならない。我々はこれからもマスクや医薬品、科学技術を提供して国際社会をサポートする。世界がグローバル化している今、感染を制御出来ない国があったならば、我々にも安全は永遠に訪れない。だからこそ、台湾は自からの力を尽くして感染症の蔓延を阻止しなければならないのだ。
 全世界が団結しなければならないのに、台湾が世界で最も重要な公衆衛生機関であるWHOから再び拒絶され、WHOの外に置かれることがあってはならない。台湾をWHOの体系から除外しておくことは台湾の2,300万人の権益を無視するばかりでなく、それによって生まれる抜け穴が全世界の防疫ネットワークのリスクを高めるのである。
 2009年から2019年までの間に我々はWHOに対し、187回の技術会議への出席を申請した。認められたのはそのうちわずか57回である。拒否される率は70%だ。最新の情報が欠落した交流は、全世界の公衆衛生体系の潜在的なリスクとなるであろう。台湾のWHO参与は政治的な議題とみなされるべきではない。それは人々の生活と公衆衛生、人権に関わることなのだ。
 「台湾モデル」が新型コロナウイルス対策に有効なことを全世界は知っている。我々のストーリーは人々の耳に届かなければならない。台湾の感染症対策は見事な成果を上げており、経験を共有できれば、我々は国際社会が次の感染症のためにより周到な準備を整えるのを助けることが出来る。
 今回の感染がいつ収束するのか、また感染の次の波がいつ来るのか誰も知らない。最も重要なことは、全ての国々が今回の教訓を生かし、台湾が2003年のSARS以降に行ったように完璧な防疫措置をとることであろう。
 全世界の公衆衛生に責任を負うメンバーの1人として、我々はこれからも「台湾モデル」を他と分かち合い、全力で貢献していく。ウイルスに国境は無い。そしてウイルスは政治と無関係だ。団結してこそ撃退できるのである。
**********

■しかし中共は、今回の新型コロナ禍の原因国としての自覚もなく、むしろ今回の惨事で、香港問題から国際世論の目をそらせることができたとして、さらには、新型コロナ禍で苦しむ国々に対して、「いち早く感染を沈静化できた」などと強権国家ならではの防疫手法を自画自賛し、医療援助を通じて、自国の権益を広めるチャンスとばかりに、攻勢に転じています。すでに、セルビアや隣国ハンガリーをはじめ、アフリカ諸国には、その破廉恥な手法に同調した国々もあらわれています。

 その矛先は、当会がこれまで6回にわたり取材をした南米パラグアイにも向けられています。

**********フォーカス台湾2020年05月08日18:46
パラグアイで台湾支持派への圧力増加か 外交部「関係は密接で友好的」

中華民国、パラグアイの国旗小旗を振るパラグアイの学生たち=2018年8月14日、アスンシオン
(台北中央社)米誌アメリカズ・クオータリー(電子版)は7日付の記事で、経済や新型コロナウイルスの影響を背景に、パラグアイ内部で台湾支持勢力に対する圧力が強まっていると指摘した。外交部(外務省)の欧江安報道官は8日、台湾とパラグアイの関係は長年にわたり密接で友好的だと説明し、今後も各分野で引き続き外交や協力関係を深化させていくと述べた。
 パラグアイは1957年に中華民国(台湾)と国交を樹立。台湾と外交関係を結ぶ南米唯一の国となっている。
 欧報道官によれば、パラグアイで3月末、中国との即時国交樹立を政府に求める提案が野党議員7人から連名で提出され、先月17日の上院臨時議会で反対25、賛成16、欠席4の反対多数で否決された。
(陳韻聿、楊育銓/編集:名切千絵)

**********Taiwan News 2020年05月08日14:08
Paraguay could loosen ties with Taiwan in favor of China: Americas Quarterly
Paraguayan beef and soy exporters eye the Chinese market


Paraguayan President Mario Abdo Benitez (right) with President Tsai Ing-wen in Taipei in 2018 (CNA photo)
TAIPEI (Taiwan News) — Paraguay's Senate defeated a motion to switch recognition from Taiwan to China just last month, but pressure for a change is mounting from farmers and businesses in the Latin American country, according to an article published in Americas Quarterly Thursday (May 7).
In their article, Tom Long and Francisco Urdinez note how the recent vote was pushed by politicians arguing that China is better situated to help Paraguay weather the Wuhan coronavirus (COVID-19) pandemic. Taiwan’s supporters won the vote 25 to 16, and the island has donated 280,000 face masks and other items to the South American nation.
However, the enormous appeal of the Chinese market for Paraguay’s beef and soy industries may yet lead to a switch. At present, the products might reach China through an indirect route but without the return of loans, credits, and investments.
Until now, the links between Taiwan and Paraguay produce mutual but asymmetrical benefits, the authors argue. The island’s only remaining South American ally backs its case at international bodies, such as the United Nations General Assembly and the World Health Assembly, and it sympathizes with Taiwan because of its own history of being bullied by larger neighbors.
As Taiwan’s only ally in the region, Paraguay can play a unique role that it could not if it were one of China's many diplomatic partners, according to Long and Urdinez. In the end, China is succeeding in fracturing Paraguay’s once-unified elites, making some wonder why they should ignore the most populous nation in the world when it offers great financial and economic benefits, the authors said.
(By Matthew Strong, Taiwan News, Staff Writer)

**********フォーカス台湾2020年05年11日13:01
「台湾とパラグアイに外交危機はない」=呉外相

呉ショウ燮外交部長(ショウ=刊の干を金に)
(台北中央社)南米パラグアイで中華民国(台湾)との外交関係を巡り生じている不穏な動きが米誌で伝えられたのを受け、呉ショウ燮外交部長(外相)は11日、「台湾とパラグアイに外交危機はない」と述べ、危機出現を否定した。立法院(国会)外交・国防委員会への出席前に報道陣の取材に応じた。(ショウ=刊の干を金に)
 米誌アメリカズ・クオータリー(電子版)は7日付の記事で、パラグアイ内部で台湾支持派への圧力が強まっていると指摘。パラグアイ上院で先月、中国との国交樹立に関する採決が行われたことなどを例に挙げた。
 呉部長は取材に対し、パラグアイ政府は一貫して台湾を支持していると説明した上で、民主主義国家において様々な意見が出るのは普通のことだと言及した。
 外交部によると、パラグアイでは3月末、中国との即時国交樹立を政府に求める提案が野党議員7人から連名で提出され、先月17日の上院臨時議会で反対25、賛成16、欠席4の反対多数で否決された。
(游凱翔/編集:名切千絵)
**********

■こうして、筋金入りの反共国家であったパラグアイは、おなじく反共政策を掲げた台湾の国民党政府とはかつてのストロエネル大統領(1954年~1989年まで通算8期35年間)時代から好関係ですが、互いに民主国家体制になった現在、台湾では国民党が親中政策をとる始末となりました。幸いにも、中共の覇権主義を警戒する民進党が、ストロエスネル時代からパラグアイの与党であり続けるコロラド党との関係を維持しています。

 他方で中共の圧力により、今回の台湾排除動議の背景となった農業国パラグアイの輸出産品である大豆や牛肉の買い付けをはじめ、Huaweiをはじめとする中国製品の輸入は目覚ましいものがあります。したがって、今後、とくに新型コロナ禍のあとの経済社会動静にもよりますが、中共の甘言に弄されたパラグアイの政治家や経済人らが、不穏な動きを見せる事態は常にあります。

【群馬県台湾総会理事】

コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

みなかみ町政の闇・・・RDF燃焼実証実験を巡る行政詐欺事件の住民監査請求をようやく受理した監査委員

2020-05-02 09:39:00 | オンブズマン活動
■みなかみ町のたくみの里近くの日帰り温泉「遊神館」の一角に、「RDF実証試験施設」なるものが建てられたのは、平成30年でした。しかし、議会の議決を経ないまま署名された協定書にもとづき、建てられたこの施設でRDF実証試験の目途は立たず、行く先を失ったRDFが保管庫から溢れ、あわてて2017年6月から別の業者とRDFの引取り契約を交わしたら、それまでの2倍の処理費用の1トン当たり3万8000円となり、みなかみ町は泣き面にハチという状況です。こうした事態を招いた真相究明と責任の所在明確化のため、当会会員が現在住民訴訟中ですが、3月11日予定だった第2回口頭弁論は新型コロナ禍のため5月20日以降に延期となりました。
 一方、このRDF燃焼実験施設を巡り、不透明な経緯をあぶりだすべく、上記裁判とは別途、町と協定書を結び施設を建設した業者側に対して、いまだに行政関係者から代金が支払われていないため、このままだと業者側からみなかみ町に損害賠償請求が起こされる可能性があります。そうなると、元町長らが勝手に業者と協定書を締結したにもかかわらず、みなかみ町に債務が発生することになるため、これを抑止するため、当会会員が、債務は元町長や強引にRDF燃焼実証施設計画を推し進めた関係者に有り、町には債務がないことを確認すべく、3月31日付で債務不存在確認のための住民監査請求書を、町の監査委員に提出しました。そして補正を経て、この度4月23日付で、受理通知が監査委員から届きました。

みなかみ町監査委員からの4/23受理通知書。

 なお、この事件のこれまでの経緯については、次のブログ記事を参照ください。
○2019年10月13日:スッポン養殖に目がくらみ禁断のRDFに手を出したみなかみ町に住民監査請求
https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/3050.html
○2019年11月2日:禁断のRDFとみなかみ町・・・お粗末過ぎる住民監査結果を通知された当会会員が住民訴訟提起
https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/3068.html
〇2019年12月22日:禁断のRDFとみなかみ町・・・RDF問題に光を当てる住民訴訟の第1回弁論期日が1月15日10時に決定
https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/3093.html
○2020年2月15日:禁断のRDFとみなかみ町・・・1月15日住民訴訟第1回弁論で町側が争う姿勢、次回期日は3月11日
https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/3123.html
○2020年3月8日:禁断のRDFとみなかみ町・・・第1回弁論で争う姿勢を見せたみなかみ町がようやく準備書面(1)を提出
https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/3132.html

 さっそく監査委員の受理通知を見てみましょう。

*****受理通知*****ZIP ⇒ 20200423zmq.zip
                       令和2年4月23日
請求人
 鈴木 章二 様
                  みなかみ町監査委員 渋谷 正誼

       住民藍査諸求の受理について(通知)

 令和2年3月31日付けで請求のありましたRDF燃焼実証実験に関する住民監査請求につきましては、下記のとおり地方自治法(昭和22年法律第67号)第242条に規定する住民監査請求の要件を満たすので受理いたしました。
**********

 ここで言及している3月31日付けで当会会員が提出した住民監査請求書は、その後、補正命令が同町監査委員事務局から出されたため、それを踏まえて、4月13日付で補正後の住民監査請求として次の内容の職員措置請求書が提出されました。

*****補正後の住民監査請求書*****ZIP ⇒ 20200410z.zip
              みなかみ町職員措置請求書
 
みなかみ町長に関する措置請求の要旨

1.請求の要旨
1-1.誰が(請求の対象となる執行機関又は職員)
 以下に示すとおり。
 ・元町長 岸良昌
 ・元副町長 鬼頭春二
 ・元生活水道課長 高橋孝一
 ・元生活水道課次長 林昇
 ・元生活水道課GL 高橋実(現・奥利根アメニティー所長)
 ・元生活水道課環境政策室長 林市治
 ・元総務課長 増田伸之
 ・元総務課長/元農政課長 原澤志利
 ・元総務課次長 杉木隆司
 ・元総務課次長 金子喜一郎
 ・元総合政策課長 増田和也
 ・元総合政策課次長 桑原孝治
 ・元総合戦略課長 宮崎育雄(現・観光商工課長)
 ・元観光商工課長 澤浦厚子
 ・元観光商工課次長 深津賢治
 ・元観光商工課次長 桜井学
 ・農政課長 松井田順一
 ・元農政課次長 田村雅仁
 ・元農政課次長 林和也
 ・元議会事務局長 石田洋一
 ・現議会事務局長 高橋康之
1-2.いつ、どのような財務会計上の行為をしたか(又はしなかったか)
(1) みなかみエネルギーサービス(以下「MES」という)の社長の山地敏男は、6年前の平成26年3月にみなかみ町にRDFを買いにきた。そして山地が、当時のみなかみ町生活水道課長の高橋、同GLの高橋に次の内容の話をした。(事実証明書1-1「甲の1-1」)
  「RDFはすっぽん養殖の加温燃料として、愛媛県戸部町で使用している。北海道富良野市でもすっぽん養殖を行いたいという。嬬恋村にすっぽん養殖組合がある。その近辺でも養殖事業を行いたいとしている。板倉町はRDF事業をやめているが・・」
(2) その際、高橋課長らからの返事はなかったが、その後、山地が3回目に生活水道課長の高橋に会った際、高橋から次の話が出された。
  「山地さんの話で、みなかみ町のRDFを固形燃料としてボイラーで使用できるか?みなかみ町ですっぽん養殖事業ができないか?富良野市だけでなく、みなかみ町猿ヶ京温泉ですっぽん養殖事業として、最低でも1万匹の養殖を計画し、加温燃料としてRDFを年間500トン~600トン使用するとして、可能性のある事業だと思う」
(3) 高橋課長は、「林一彦議員も協力する」と付け加えたが、その際、高橋課長は「すっぽん養殖事業計画」(事実証明書1「甲の1」)と題する文書を提示し、次のようにこの計画の内容を明かした。
  「場所の候補地だが、赤根峠(注:これは誤りで、月夜野町大字後閑字大樽地内が正しい)の炭焼き小屋のところは、下に農家があるので、排水でまずい。給食センターはオール電化だし、アイチ車両の裏の土地がよいのではないか。しかし、そこは(ウィズウエストジャパンの前身の山一カレットが)産業廃棄物を埋めた土地だから(事実証明書2-1「甲の2-1」)」
  「スッポン養殖事業の用地については東峰のウィズウエイトジャパンの土地を借りたい。施設の運営については、農村公園公社にお願いしたい」(事実証明書2-2「甲の2-2」)
  以上のやりとりについて、MES代表の山地敏男は「生活水道課長高橋孝一が前鬼頭副町長に説明した」と語っている。
  こうしたやり取りを経て、高橋孝一および関係者らは、最終的に計画場所を利根郡猿ケ京温泉民宿通り付近にある北群ファームの鶏舎跡地に決めた(事実証明書2「甲の2」)。
(4) それからさらに富良野市視察前、高橋課長から次の話が山地に持ち掛けられた。
  「いきなりRDF燃料を使った加温施設は(町の稟議が)通らないので、富良野市と同じく公共施設での試用がよい。町有施設の遊神館のなかにボイラー施設を民設民営で建てるのがよいと思っている」
(5) 高橋課長と山地との話では、処理料金として町が山地に支払い、みなかみ町のRDF全量をいったん、四国に持って行き(事実証明書10「甲の10」32頁目下段)使う分だけ、買い戻す。運搬費だけにすると四国は一寸遠いが年間3,000万円以上浮いてくる。IKE(株式会社IHI環境エンジニアリング)には平成29年度から町で有効活用する旨伝えてある。RDFの有価物としての処理費用のうち、遊神館での加温施設に年間500~600トンを処理することで、年間2500トン発生するみなかみ町のRDFを全量処理するにはボイラーが3台必要だ、などの話題が出された。
(6) 平成28年7月に町議会厚生常任委員会による富良野市への視察が行われた。みなかみ議会だより47号10頁目(事実証明書3「甲の3」)にその概要報告が載っている。
  この議会だよりには、みなかみ町が事前に富良野市に送ったRDFの燃焼試験結果について言及されており、「当町のRDFは問題なく燃焼試験されていました」との記載がある。
  ちなみに、この議会だより47号10頁目には「まとめ 生ごみの分別で経費は削減できる」との一文があるが、これは平成28年10月の赤袋(生ごみ専用袋)の無料配布を示唆したものである。
(7) ところが平成30年7月24日付、議会全員協議会での配布資料「■遊神館RDF経過(説明)」(事実証明書4「甲の4」)の2頁目には「燃焼自体は問題ないが、排ガスよりダイオキシン類38ng(ナノグラム)が発生」と記載されてある。2016年8月23日付計量証明書(事実証明書4-1「甲の4-1」)には、38ngと明記されており、こちらが事実と思われるため、議会だより47号の当該記事は虚偽の記載となる(虚偽公文書作成・行使に相当)。
(8) ちなみに、事実証明書4-1「甲の4-1」の計量証明書には、「試料採取場所:富良野リサイクルセンター バイオマスボイラー 煙突(室内)」とあるが、同センターにはボイラーが無いことは明白となっている。
  また、同センターの住所について「北海道富良野市山部東21線12」とあるが、「平成28年6月2日 厚生常任委員会議事録」(事実証明書5「甲の4-4」)の2頁目には「富良野市エネルギーサービス株式会社 代表取締役 山地氏、取締役 宍戸氏 1.みなかみ町RDFの燃焼実験について(富良野市農業担い手育成センター研修宿泊棟)」とあり、食い違いを見せている(虚偽公文書作成・行使に相当)。
(9) また、北海道富良野市市民生活部環境課リサイクルセンター所長高橋秀文の名刺(事実証明書4-3「甲の4-3」によれば、富良野市リサイクルセンターの住所は、「富良野市山部西20線21番地」となっており、これも計量証明書と食い違いを見せている(虚偽公文書作成・行使に相当)。
(10) さらに、「RDFボイラー実証試験導入経緯について」(事実証明書4-2「甲の4-2」)には、「平成30年6月20日16:20~17:00富良野市市民生活部環境課リサイクルセンター所長高橋秀文氏・請求人訪問」として高橋所長から聴取した内容をメモしてあるが、高橋所長いわく「富良野市として、まったくかかわりあいは無い。(リサイクルセンターには、ボイラーは無く燃焼実験は出来ないので)どこかでやったんでしょう。山地さんが?」とのことである。
(11) 上記の事実証明書3と同4-1、同4-2を比較すると、事実証明書4-2では中段で「H28.7.20~21 富良野市の一般廃棄物処理場(RDF)の視察・・・・・を終えて、次にRDFボイラー実証実験を行っている所いきボイラーの燃焼の確認を行いました、その時の燃料(RDF)はみなかみ町のRDFの燃焼実験も行いましたが、環境面も何ら問題無く燃焼出来ていました。(後日富良野市から環境測定試験結果が送られてきましたが問題ありませんでした。)・・・」とあり、虚偽公文書の作成は明白である。
(12) また、事実証明書4-2では上段で「H28.6. 厚生常任委員会の生ごみ袋無料についての協議の中で・・・・富良野市の視察を決めました。」とあるが、平成28年6月2日厚生常任委員会会議録(事実証明書5「甲の5」)の1~3頁によると、2頁目の中段に「(2)RDFについて ・RDFの全量買取についてスッポン養殖が事業計画に加わったので事業化が具体的になってきた。」と記されている。また、同議事録2ページ下部に遊神館実証実験とスッポン養殖を念頭において、議員の久保が「実験ボイラーは進めていい?」と質問しており、この時既に遊神館での実証実験ボイラーの件は周知していることが分かる。
(13) さらに、議員の久保秀雄は、監査委員の議会代表でもある。請求人が前回令和元年8月1日付で提出したみなかみ町職員措置請求書(事実証明書6「甲の6」)は、令和元年8月1日付の収受印が押されている。この2頁目に、請求人がみなかみ町監査委員として「渋谷正誼様 久保秀雄様」と両名を併記したが、「令和元年9月30日み監発第3号みなかみ町職員措置請求に基づく勧告について(通知)」(事実証明書6-1「甲の6-1」)には、発出者として「みなかみ町代表監査委員渋谷正誼」の名前しか無く、議員でもある久保秀雄が「みなかみ町遊神館RDFボイラー実証試験協定書」における建家建設工事に関わったことは、明白である。なぜなら、地方自治法により、住民監査の際に、監査委員が関与している事案については監査ができないためである。
(14) 加えて、久保工業は、「平成29年3月14日 みなかみ町長岸良昌宛」として「工事件名:ボイラー機械室新設工事 下記のとおり御見積申し上げます。 御見積金額 ¥5,456,862.- 合計金額\5,052,650.- 消費税額\404,212.- (株)久保工業 〒379-1618 群馬県利根郡みなかみ町阿能川144 TEL.0278-25-4384 FAX.0278-25-3168」と記載された御見積書(事実証明書6-2「甲の6-2」)を岸良昌町長(当時)に提出していた。
  ちなみに、この見積書の日付平成29年3月14日は、元町長岸良昌とMES代表山地敏男による協定書の日付平成29年10月3日より半年以上早い時期に当たる。
(15) この御見積書について、請求人が令和2年3月4日に、木内建設(株)代表取締役の木内 孝広に確認したところ、「この見積の件は知らなかったし、(株)久保工業という会社自体も不知だった」と述べた。
  さらに木内いわく「現在、遊神館の建家費用の支払いは、お金が無くて、100万円しか支払いしていなく、久保工業には申し訳なく思っている。以前、元生活水道課長高橋孝一に、遊神館建家工事の際は久保工業を使うよう頼まれた。」とのこと。
  ちなみに以上のような行為は、地方自治法92条及び92条の2(議員の兼業禁止)に該当する。
(16) また、MES代表の山地と木内建設代表の木内孝広は両者ともに「町から『議会の一任を受けて厚生常任委員会で進めている』と幾度と無く聞いていたので、この事業はみなかみ町の仕事だと思っていた」としている。事実、山地は「民設民営と聞かされていたので、金融機関から借入などを試みた」と証言している。
  しかしMESには、みなかみ町における業務実績が無く、群馬銀行月夜野支店、利根郡信用金庫月夜野支店、JA月夜野支店等金融機関からの借入れが出来ない状況にあった。山地は「JA月夜野支店では、地元有力企業が保証人になれば可と言われた。町との契約書があれば、1億円の融資が受けられた。しかし協定書では無理だった。」と証言している。
(17) 「物件売払(いわゆる、RDF購入に関する)契約書」(事実証明書7「甲の7」)、「固形燃料(RDF)収集運搬委託契約書」(事実証明書7-1「甲の7-1」)に絡んで、「平成30年6月8日厚生常任委員会会議録」(事実証明書7-2「甲の7-2」)の3頁目の下段で、厚生常任委員会委員長の山田が「・・・町長が印鑑を押せば良いのですがそこで止まっておりなぜ止まっているかなぜ出来ないかの理由が解らない・・・」と述べ、同じく山田が、同4頁目最下行~5頁目8行目にかけて「(平成29年)10月の(町長)選挙まで岸町長がやりましょうと言う事で委員会も含めて進めていた。それに沿って当時の高橋課長が進めておりました。・・・『高橋課長が独断でこんなこと出来る訳無い』 等言っているが全くその通りであり、その当時の首長については了解は得ているようである。忘れているかどうかは別として・・・ 」などと発言しているが、事実証明書7と同7-1に示す2つの契約書に町長印を押さなかった前町長の前田善成の判断は正しいと言える。
(18) そもそもRDFは一般廃棄物であるから、焼却炉でなければ処理出来ないことは明らかである。ボイラーでRDFを燃焼させることは無理である。ところが、議会常任委員会は富良野市に視察に行き、燃焼実験まで実施したが38ngのダイオキシン発生が確認された。本来はここでダイオキシン対策を検討するはずである。
  富良野市の指導をきちんと受けていれば、本件のような非常識な事業計画は防げたはずである。
(19) さらに言えば、みなかみ町RDFが有価物か廃棄物かを予め検討しておれば、平成29年3月31日で、それまで継続してきた関商店との有価物としての取引を断わる必要などなかった。関商店との間で、年間約2,500トン搬出、運搬費トン当たり21,000円の取引を継続し、遊神館でのRDFボイラー燃焼実験に使用する分量を購入すれば済むことであった。
(20) にもかかわらず、町は「一般廃棄物(固形燃料RDF)運搬・処理業務委託契約書」(事実証明書7-3「甲の7-3」)で、「平成29年5月22日~平成30年3月31日までとする。(株)ウィズウェイストジャパンと契約。委託費は、1t当たり金38,000円。これに消費税8%(3,040円)を加算した合計金額41,040円。」とする契約を締結した。
(21) そしてその1か月後に、町は「業務委託変更契約書」(事実証明書7-4「甲の7-4」) で、「業務期間平成29年5月22日から平成30年3月31日。ただし、契約変更の適用は、平成29年7月1日からとする。1t当たり金39,000円。これに消費税8%(3,120円)合計金額42,120円」とする契約変更を締結した。
(22) 上記の事実証明書7-3及び同7-4は「一般廃棄物 (固形燃料RDF)運搬・処理業務委託」に関わる5,000万円以上の契約となる。なぜなら、過去のRDF搬出量の実績から計算すると年平均約2,500トン×約4万円/トン=約1億円となるのは必至だからだ。
(23) 地方自治法96条第1項第5号には「その種類及び金額について政令で定める基準に従い条例で定める契約を締結すること。」とあり、同第6号には「条例で定める場合を除くほか、財産を交換し、出資の目的とし、若しくは支払手段として使用し、又は適正な対価なくしてこれを譲渡し、若しくは貸し付けること。」と定めている。
  町は「みなかみ町議会の議決に付すべき契約及び財産の取得又は処分に関する条例」(平成17年10月1日条例第47号)で、
「(趣旨)第1条 議会の議決に付すべき契約及び財産の取得又は、処分に関しては、この条例の定めるところによる。
(議会の議決に付すべき契約)
第2条 地方自治法(昭和22年法律第67号。以下「法」という。)第96条第1項第5号の規定により議会の議決に付さなければならない契約は、予定価格5,000万円以上の工事又は製造の請負とする。
(議会の議決に付すべき財産の取得又は処分)
第3条 法第96条第1項第8号の規定により議会の議決に付さなければならない財産の取得又は処分は、予定価格700万円以上の不動産若しくは動産の買入れ若しくは売払い (土地については、1件5,000平方メートル以上のものに係るものに限る。又は不動産の信託の受益権の買入れ若しくは売払いとする。
附則 この条例は、平成17年10月1日から施工する。」
  以上の通り、5,000万円以上の工事ないし製造の請負と、町有地の貸し付けであるから、当然ながら議会における議決が必要となる。
(24) 平成30年4月6日16:00から生活水道課打合せ室におけるMES代表の山地敏男、町側の金子課長、高橋アメニティー所長、林次長による「会議録 件名:RDFの処理計画に伴う聞き取り」(事実証明書8「甲の8」)の2頁目に「以前、岸町長と高橋課長からRDF買い取りの話があったが表には出ない旨の話あり。みなかみエネルギーサービス(株)の収入源は?の質問に遊神館のヒートポンプでの電気代が年間6百万円ぐらい削減すると考えておりその半額の3百万円くらい頂きたい。」とのMES山地が述べている。「表には出ない旨の話」については、議会内の一部の議員や職員、その他数名による密約があったことをうかがわせている。
  加えて、事実証明書1-1「甲の1-1」2頁目で山地の発言として高橋孝一が「町の計画書10年以上のものを持ってきてほしい。(高橋課長から)」としているが、この10年間の計画書については、生活水道課が平成29年2月1日に厚生常任委員会に諮る資料として作成した「RDFボイラー実証試験計画書」(事実証明書 甲14「甲の14」)のことと思われる。この2頁目に遊神館電気料として、平成16年から26年までの11年間の電気料・使用量が載っており、さらに3頁目には、御見積書として、MES宛ての「GV社製60万kcal/hRDF温水ボイラー」の本体、輸送費、設置工事費などとして合計7000万円が見積もられている。
  これを裏付ける記録として、事実証明書8「甲の8」の1頁目下段で「その後高橋課長から厚生常任委員会に諮る資料として遊神館の熱源の試料を求められたが当初90,000千円ぐらいの見積もりであったが70,000千円でなければ話がとおらないとのことで70,000千円の見積もりを出し直した。」とし、上記の「3百万円くらい頂きたい。」とする話につながっている。
(25) 事実証明書8「甲の8」の1ページ目の本文冒頭に「当初、みなかみエネルギーサービスがプレーヤーとして進める計画であった。(平成29年)10月中旬~11月にかけて木内建設を紹介され土木・建築・ボイラー設置等の施工を依頼(。同年)10月27日に、テスエンジニアリングがスポンサーとなって、民設民営で行う運びとなった。当初は(嬬恋、富良野あたりで、みなかみ町のRDFを購入し、加温燃料とした養殖事業を行う予定で)ボイラーを設置し、RDFを町から買い受けをしたい旨高橋課長に申し入れたが2、3回は回答をいただけなかった。その後、高橋課長から 仕事を行うなら町内業者でなくては難しいとのことで、みなかみエネルギーサービス(株)を立ち上げた」とある。
  まさに、生活水道課課長の高橋が本件を取り仕切ってきたことが分かる。
(26)また、MES登記簿である「履歴事項全部証明書」(事実証明書9「甲の9」)には「成立:平成28年6月13日。本店:みなかみ町真庭128-3B-3」とあるが、アパート貸主の倉澤長男の山地に対する「家賃督促状」(事実証明書9-1「甲の9-1」)を見ると、令和2年2月22日現在の家賃滞納状況として「B-3号 440,000円、A-3号 480,000円」とある。これはみなかみ町からの支払いが無く、山地に金が無いために家賃を滞納していることがうかがわれる。山地は「スッポン事業は民間の為(いつ、どこで、誰が?)公共の施設は利用できない等の話を伺っている。・・・・スッポンの方が良いと思われたのでその旨の話をした。」と述べている(事実証明書8「甲の8」1頁目中段)。
(27) さらに山地いわく「その後高橋課長から『厚生常任委員会に諮る資料』として遊神館の熱源の資料を求められたが、当初90,000千円ぐらいの見積りであつたが70,000千円でなければ話が通らないとのことで70,000千円の見積りを出し直した。」という。(事実証明書 甲14「甲の14」)3頁目
  これに関連して、平成29年2月1日付厚生常任委員会議事録(事実証明書10「甲の10」)の32~38頁のうち、35頁目の上段で「(委員長)・実証実験が済んだ後、町がどの様に引き取るのか?」の問いに対して「A:町が買い取ることもできる。リースもあり。■■■■■■■■■は常駐者を置いて運転管理を行う。ボイラーを売ったらバイバイでなく責任を持って運転管理を行う。」とある。
  ちなみに、このときの厚生常任委員会において久保は「・利用計画について、その後農業用に小型ボイラーが想定される。-スッポンの養殖計画もあるのか。」と質問し、高橋は「・スッポンは場所さえあれば計画はできている。■■■■■■■■■■■■■が実施する。吾妻にスッポン組合があり吾妻の方で実施するのでRDFを売ってくれと話しがあったが、場所を確保するので町で実施してほしい旨伝えてある。計画はハウス10棟で5万匹。絵はできあがっている。みなかみ町は休耕地がある・・・・中略・・・・3月過ぎればスッポンの話しも場所が言えると思う。あと農業関係で■■■■がやりたいのはパプリカの栽培。ただ農業公社がやった場合だめだと先生が言っている。・・・」とあり、スッポン養殖計画には、農業公社が深くかかわっていることがこのことからも明らかである。
  また、厚生常任委員会に諮る資料として山地は7千万円の見積を出し直したというが、地方自治法第96条第1項第5号「その種類及び金額について政令で定める基準に従い条例で定める契約を締結すること」の規定に抵触することを、高橋課長も厚生常任委員会もすでに承知していることになる。
(28) 事実証明書10「甲の10」の32頁目の中段で「(生活水道課長)・遊神館は・・・電気代が年2,000万円かかっている。遊神館にボイラー導入した場合の削減効果は机上で1,400万円となる。」と発言している。
  このことは、差額の600万円が生じて、この半分の300万円がMESの管理費用=収入源と見込まれていたことをうかがわせる。
(29) このことは、別表3:みなかみ町遊神館RDFボイラー導入(事実証明書9-2「甲の9-2」)及び遊神館/すっぽん養殖RDFボイラー運用スキーム(案)(事実証明書9-3「甲の9-3」)によると、「③ボイラー保守管理費3,000,000」がMES、「⑦リ ース代10,000,000」が木内建設子会社、「⑨遊神館利益4,280,000」が観光商工課・農村公社、「⑩事業者4,280,000」がみなかみ町(幹部?)という各関係者の思惑がうかがえる。
(30) 事実証明書10「甲の10」の33頁目の最上段で「・現状では運搬費という21,000円/tの内の本当の運搬費は6,000円/t(IKE)で、15,000円/t加工費(RDF→RPF)がかかっている。運送費だけにすると四国は一寸遠いが年間3,000万円以上浮いてくる。IKEには、H29年度から町で有効活用する旨伝えてある。」とあり、実際に、このとおりに町がそれまでの関商店との取引を断った。
(31) 事実証明書10「甲の10」の34ページ目の下段には「(久保委員)・富良野で夏の実験で停止しているのだからみなかみ町でも停止することもあろう。1年の実験は必要ではではないか。」とあるが、事実証明書3「甲の3」の議会だよりには「この日は、特別に当町のRDFがボイラーに投入され、燃焼を確認できました。」と記されている。
  委員の久保は「夏の実験で停止」と発言しているが、富良野市での視察日は、平成28年7月20~21日であり「真夏である。」となると、議会だより(事実証明書3)の記載は虚偽であることが明白である(虚偽公文書作成・行使に相当)。
(32) 事実証明書「甲の1-1」の2頁目上段に、「富良野市で実証実験しているのでいらないが、念のため遊神館でも実証実験をします。」とあるが、実際に富良野市での燃焼試験の結果、ダイオキシン3 8ngが発生した(事実証明書4-1「甲の4-1」)。
  また、事実証明書「甲の1-1」の2頁目上段によれば、「猿ヶ京の図面もいただいている。(すっぽん養殖事業。高橋課長から)」とあり、事実証明書2「甲の2」を見ると、猿ヶ京温泉ですっぽん養殖事業の計画図面であることから、遊神館での燃焼実証試験は、すっぽん養殖事業が念頭に有ったことは明白である。
(33) 平成30年7月24日付の「■遊神館RDF経過(説明)」(事実証明書4「甲の4」)の6頁目最上段で、「▮平成30年5月24日県環境森林事務所協議」として「あくまで有価物として動く場合は、有価物5要件中で県の現在の認識では疑義が三点有り、有価物としては、現在認めづらいと見解が示される」とされており、実際に「RDFは有価物としての5項目の決まりに当てはまらない」旨、吉田、前原、金子に言われた(事実証明書「甲1-1」の2頁目上段参照)。
(34) 事実証明書1-1「甲の1-1」の2頁目中段で、MES代表の山地と木内建設の木内が「高橋課長個人として貸してくれるところはないか?(融資?) 2年間の時が過ぎた。高橋課長の紹介で木内建設(12月末に当初施工)。テスエンジニアリングがスポンサー。山地さんも困っている。町も困っている。木内建設も困っている。」との発言がある。
  テスエンジニアリングがスポンサーとなることは事実証明書8「甲の8」1頁目本文冒頭にも記されている。
  さらに、事実証明書8「甲の8」には、山地が高橋課長に、木内建設を平成29年10月中旬から12月下旬にかけて紹介され、最初は土木・建築・ボイラー設置等の施工を依頼された。そして同年10月27日にテスエンジニアリングがスポンサーとなり民設民営をおこなうこととなったが、平成29年12月27日に今までの話しがだめになり、木内建設が、資金面・工事面を含み表に出ることになったため、テスエンジニアリングが引いてしまい、山地は木内建設へのボイラー納入業者の立場になり、木内からカネを支払ってもらわないと事業推進ができないこととなった。
  こうなったのも、高橋課長が「町内業者でないとダメ」と仕切ったことに起因している。
(35) 高橋課長は、RDF2500トン/年を年間1500トンまで減少させるべく、生ごみを分別するために、無料の生ゴミ袋(通称「赤袋」)の配布の為480万円を投じて、平成28年10月1日から生ごみをたい肥化のためにリサイクルセンターに回した。その後、たい肥の消費者からクレームが出されて業務改善命令が発令された。この経緯は新聞にも報道された(事実証明書11「甲の11」)。
(36) 平成28年7月20~21日、厚生常任委員会が富良野市を視察したが、そもそも民設民営のはずなのに、公費で行き、富良野市に知らせずに燃焼実験をして、その結果38ngものダイオキシンが発生したことを町民に隠していた。
  みなかみ町はRDFを年間2,500トン生産するが、生ごみ分別でRDF年間1,500トンとなるとして、RDFが年間1,000トンの削減効果が見込めるなどとしている。見た所良いようだが、町民にしてみれば、果たして本当かという気持ちだ。
(37) なぜなら、平成30年8月25日付読売新聞記事(事実証明書11「甲の11」)によれば、「町生産の堆肥に異物 みなかみ 県が改善指導」と題して「みなかみ町が農家向けに生産・販売している堆肥から、貝殻やビニール片などの異物が見つかり、県農政部が文書で改善指導していたことがわかった。きちんと異物を除去しないまま、生ごみを原料にしていたためだ。生ごみは本来、圧縮・乾燥させてごみ固形化燃料 RDFに加工する流れになっているが、乾燥にかかるコストを減らそうと、堆肥生産に回していた。
  「県の指導を受け、町は生ごみの使用を中止。・・・堆肥販売も取りやめている。」と報じられ、取材を受けた県農政部は「自治体の生産した堆肥に異物が混入するのも、指導するのも異例。木質チップも『おがくず』とは言えず・・・変更届けが必要だ」と指摘した。
  生ごみは本来RDFの原料にしているはずだったが、本来使うはずだった「おがくず」がどこかに消えたことから、町は横流しをしているのではないかとの疑惑が当時町民の間で噂されたが、実態は闇の中と言える。
(38) さらに同記事では「一方、RDFは、燃料として有効利用出来ないことが問題視されている。町は年間約1億円をかけ、一般廃棄物として県外業者に処理を委託している。」としており、「一般廃棄物(固形燃料RDF)運搬・処理業務委託契約書」(事実証明書7-3「甲の7-3」)及び「業務委託変更契約書」(事実証明書7-4「甲の7-4」)の実態を報じている。
(39) RDF利活用の背景となったアメニティーパーク経費削減計画については、平成27年にRDFによる循環型社会形成構想の推進(事実証明書4「甲の4」下段参照)の一環として、RDF約2500t/年を生ごみ分別により約1500t/年に削減するとトン当たり2万1000円なので年間1000トン削減で2100万円節約できるとともに、RDF約500~600t/年を遊神館の加温ボイラー用に使用することで、遊神館の電気料金が600万円節約できる(事実証明書8「甲の8」最下部参照)ことから、合計2700万円削減されることになるため、これが事実証明書1-1「甲の1-1」2頁目の中段にある山地の「3千万の理由(当時の処理費、6千万円~8千万円)→コストダウン(ボイラー1号機5千万円、2号機5千万円)→遊神館からスタート(2号機転売、3号機5千万円。リース会社に転売すればお金が戻る?町長の交代でそんな話は聞いていない(前・前田町長)町長→課長 町政の連携がされていない。)」と発言の背景にあると考えられる。
(40) 事実証明書1-1「甲の1-1」の1頁目下段で、山地いわく「私は詐欺師呼ばわりされている。町の処理費は妥当ではない。信じてついて行っているのに。平成29年4月に、山地さんにやってもらうわけにはいかない、と言われる。が、平成29年12月27日、当初予算でMESで 山地→処理費 木内建設→輸送費 正確には受理をされましたという物が来ていない。」とあるが、これはMES山地が前町長前田善成と契約しようとした物件売払契約書(事実証明書7「甲の7」)と、木内建設木内が同じようにしようとした固形燃料(RDF)収集運搬委託契約書(事実証明書7-1「甲の7-1」
が受理されなかったことを示しており、前町長前田善成の判断の正しさを物語る。
(40) 平成29年10月3日に締結された「みなかみ町遊神館RDFボイラー実証試験協定書」(事実証明書12「甲の12」)及び同じく「みなかみ町遊神館RDFボイラー実証試験協定書」(事実証明書12-1「甲の12-1」)を見比べてみると、後者は「平成29年 月 日」とあるだけで、日付指定の無い協定書となっている。
  「10」と「3」は誰が、いつ、どこで、記入したのか?
(41) ばい煙発生施設設置届出書について、当初平成30年3月20日、申請者を町名義で提出したため、取り下げたが、その後、同年4月27日、事業者(木内建設)により、あらためて県に提出されたものの、預かり状態とされた。このように現在の届出は町と木内建設とでコロコロ変わっている。木内建設は「なんで、今頃、誰が責任を取ってくれるのか?」と言っており、MESの山地は「詐欺師よばわりされている」と言っている。
(42) 読売新聞記者の石川は「建屋はいつ頃に完成したのか?」(事実証明書 甲1-1「甲の1-1」3頁目中段)と木内建設木内・MES山地に対し、質問したところ、「11月中旬着工、敷地130㎡、建屋はボイラーは有るが倉庫の扱い。新治地区は平屋で作業所なら建築確認申請はいらない」と言われたという。
  しかし、木内建設木内は「工程表 工事名:遊神館ボイラー新設工事」(事実証明書12-2「甲の12-2」)で、「下記の通り施工しますから、承認願います」として平成29年10月25日で、おそらく町にこれを提出していた。
(43) 以上総括すると、温泉の温度が低いから温泉を加温する施設として循環式の配管設備を施工し、その費用は4~5千万円であったが、これにはボイラーの代金が含まれておらず、現在もなお、MESには支払われていないという。MES代表の山地はボイラー設置のための協定書(事実証明書12「甲の12」)を持っているが、RDFが有価物かゴミかの問題でボイラーの認可が下りていないのが現況である。
  この有価物かゴミかの問題は、木内建設が(株)JET名義でばい煙発生施設設置届を環境森林事務所に提出したところ却下されたため、前述の通り、あらためて木内建設名義で再提出したが、以前として県の預かり状態となっている。このことについて山地は「群馬県がみなかみ町のRDFをゴミとみなすなら全国どこでもダメ」と言っている。
(44) 木内建設社長の木内は「口約束だろうがなんだろうが、1千万円位高橋課長から貰いたい。足りないけど。」と言っており、「群馬銀行からの融資は受けていない」という。
  MES代表の山地は「建設費は全て木内建設。町を訴える。高橋課長を訴える。」と主張しているという。
  木内によれば、これまで木内建設は、みなかみ町・前町長・前田善成御中として、建屋他全部で1億円、ランニングコストで2千万円として、消費税¥9,464,000.-込みで¥127,764,000円也の「見積書 但し遊神館RDFボイラー新設工事」(事実証明書12-3「甲の12-3」)」を平成30年6月4日に提出済みという。
  このことは、生活水道課課長(当時)の高橋が地方自治法第96条第1項第5号「その種類及び金額について政令で定める基準に従い条例で定める契約を締結すること。」と、みなかみ町議会の議決に付すべき契約及び財産の取得又は処分に関する条例(平成17年10月1日、条例第47号)に抵触しており違法である。
(45) MES代表の山地は「厚生常任委員会の富良野市視察前から平成30年5月3日迄説明している。議会で議論されない。富良野市でもあつた。RDF処理費をごまかしている から、町も処理費に関する情報をかくしている。RDFを片側方向から見ている。大手企業の利権、環境庁、エコパークにもポイント。化石燃料の半分の排ガス。大手企業に10年前に行った。当時、トン当たり2万円の処理費の話はあった。奈良県庁の仕事で環境部長、3年間のテナント。RDFのモデル事業をやっている。」などと述べており、みなかみ町の対応を批判している。
(46) さらにPDFボイラー実証試験用の建屋施工工事について補足すると、建築申請は高橋住建が倉庫として行っており、建屋は久保工業、電気は北斗電設、水道は渡辺水道、基礎他は木内建設が施工。ボイラーは平成29年10月頃、高橋課長(テスエンジニア~ボイラー日本へ)、同11月初めにみなかみ町奥利根アメニティーパークヘ入荷し、木内建設により荷下ろしされた。
(47) 平成30年4月19日9時から、みなかみ町役場の第5会議室にて開催された「会議録 件名:遊神館熱供給実証実験事業についての会議録」(事実証明書13「甲の13」)によれば、次のやりとりがあったことがわかる。
 「町 RDFの 実証実験に向けて今までの流れをまとめたいので教えて頂きたい。
 木内建設 当初町と山地氏で協定を取り交わしておりその協定の中で動いていたと認識 しているが29年10月位と思うが高橋課長からテス・エンジニアリングがボイラーを 10月末に日本へ来るからその後アメニティーパークに運搬車から下ろして頂きたい旨のお願いを受けた。その後11月2日にアメニティーパークに輸送されてきたボイラーを、ラフター等の手配を行いボイラーを降ろした。その後議会の誰か(厚生常任委員会)解らないが見るとのことであった。
  事実証明書13-1「甲の13-1」下段によれば、「*2:更生(原文通り)常任委員会視察(平成29年12月15日)」とあり、議会の誰かが見たことがわかる。
(48) 事実証明書14「甲の14」)1~10頁目によれば、平成30年3月12日に一般社団法人農村公園公社の理事会・評議員合同会議が豊楽館食堂で開催され、スッポン養殖研修会と称して、本件RDFボイラー実証試験と深く関わるスッポン養殖計画について試食会も含め、関係者が集まって会議を開いたことがわかる。これを見ると「2. あいさつ」として理事長・綿貫新寿、評議委員長・河合生博らの名前が載っており、RDFボイラー事業の強引な推進に関わるメンバーが参加していたことがうかがえる。
(49) 事実証明書14-1「甲14-1」には、平成30年2月10日に、一般財団法人みなかみ農村公園公社上田常務理事に、MES山地がすっぽん養殖候補地案内のお礼とすっぽん講習会の打ち合わせをしていた様子が記されている。
(50) 同じく事実証明書14-2「甲14-2」では、すっぽん講習会の様子を写した写真が掲載されている。この時、講習会の席にて山地は「すっぽん養殖用RDFボイラーの施工を、どんどん進めてくれ。後はこっちで全部やるから、どんどん進めろ。遊神館も、すっぽん養殖も、奥利根アメニティーも公社で全部やるから。」と言われたが、山地にとって、それが誰であるかは不知であった。
  席上、山地が知人に聞いたところ、「今はみなかみ町の議員だけど、この次の公社理事長になる人だよ。」と言われ、初めて河合生博を知った。この会話は、木内建設の木内社長も「聞いていた」と話しており、事実確認済みである。
  木内建設社長との打ち合わせの席上で、木内から「この仕事の裏には、生博さんがいるんですか?」と質問されたので、請求人は、「すっぽん試食会で、遊神館も、すっぽん事業も、アメニティーも公社でやるから、どんどんすっぽんボイラーを、すすめろと、言ってたんだから、そうじゃないの。」と答えた。
  このことから、河合生博は、みなかみ町遊神館RDFボイラー実証試験及び猿ケ京すっぽん養殖加工販売事業計画の、主導的立場にあると分かる。
(51) 更に事実証明書14-3「甲14-3」1~5頁目には、すっぽん養殖事業計画の加工販売事業キャッシュフローが示してある。
(52) 事実証明書14-4「甲14-4」は、MES山地に対して、農村公園公社の常務理事の上田宜実が送った礼状であり、この中で、すっぽん研修会の案内、およびすっぽん養殖計画への前向きな検討姿勢について綴られている。
(53) 事実証明書15「甲15」は、すっぽん養殖場向け温水ボイラー1式として木内建設(株)に対する平成29年12月1日付見積書で、MESが作成・提出したもの。GV社製70万kcal/hRDF温水ボイラー等1式で合計\67,400,000(税抜)、支払条件・契約時:4,000万円、中間金:1,500万円、竣工時:1,240万円となっており、次に示す注文書(事実証明書15-1「甲の15-1」)のきっかけとなったもの。
(54) 事実証明書15-1「甲15-1」は、すっぽん養殖場向け上記温水ボイラーMESに対する木内建設(株)の平成30年2月16日付注文書。令和2年3月現在、このすっぽん養殖用温水ボイラーは木内建設(株)倉庫で保管中。
  この結果、RDFボイラー及びこれと深い関係のあるすっぽん養殖用ボイラーの調達が行われた。前者については、木内建設社長によれば「町に請求を出した。生活水道課の林昇・次長に手渡した。建屋他全部で1億円、処理費のランニングコスト2千万円、合計1億2千万円だ」(事実証明書1-1「甲の1-1」の3頁下段参照)という。詳しくは「平成30年6月4日 遊神館RDFボイラー代金  \127,764,000.-」(事実証明書12-3「甲の12-3」)とある。
  後者についても、木内建設の注文書に「平成30年2月16日 すっぽん養殖用ボイラー代金  \67,400,000.-」(事実証明書17-1「甲の17-1」)とある。
  これらはいずれも元町長岸良昌とMES山地との間の協定書の締結に伴い、発生した支払であるが、公金で支払うべきでなく、議会に諮るべきであると十分周知していながら、画策した者達が、支払うべきである。
  これらの計画を画策した関係者は、元町長・岸良昌、元副町長・鬼頭春治、元議長・河合生博(前・農村公園公社理事長、同公社評議委員長)、同・林喜美雄、元議員・林一彦(前みなかみ農村公園公社評議員)、前厚生常任委員会委員長・高橋市郎、同副委員長・石坂武、同委員・森健治、同委員・阿部賢一(前みなかみ農村公園公社監事)、同委員・山田庄一、同委員・久保秀雄、議会だより編集特別委員会・委員長・森健治、同副委員長・高橋久美子。
  町長当局の職員としては、当時の(平成26~29年度)元生活水道課長・高橋孝一、同課次長・林昇、同課GL・高橋実、環境政策室長・林市治、元総務課長・増田伸之、同課長・原澤志利、同課次長・杉木隆司、同課次長・金子喜一郎、元総合政策課長・青木寿、同課長・増田和也、同課次長・桑原孝治、元総合戦略課長・宮崎育雄(前みなかみ農村公園公社監事)、元観光商工課長・澤浦厚子、同課次長・深津賢治、同課次長・桜井学、元農政課長・原澤志利、同課長・田村雅仁(前みなかみ農村公園公社評議員)、同課長・松井田順一(前みなかみ農村公園公社評議員)、同課次長・林和也、元議会事務局長・石田洋一、現議会事務局長・高橋康之、みなかみ町観光協会・山賀晃男、一般財団法人みなかみ農村公園公社の元理事長・綿貫新壽、前常務理事・上田宜実、他、関係職員多数である。
  これら関係者らは、本件について議会に諮るべきと、周知していたことは明白である。
(55) 事実証明書16「甲の16」は、平成30年1月30日の議会全員協議会次第であり、当日午前9時から町役場の3階第2会議室で開かれた。この議事の中で、「3)アメニティーパークごみ処理経費について」と題して、生活水道課の高橋孝一課長が、全協の場で「平成29年度 議会全員協議会資料(アメニティパークごみ処理経費)」と題する資料(事実証明書16-1「甲の16-1」)を配布し説明している。
  全員協議会次第に添付された議事録によれば、次の重要な発言のあったことがわかる。
   <協議会資料1頁目についての議事>
    議会事務局長(高橋康之君) 皆さん、おはようございます。・・・河合議員より欠席届出ております。(添付の全協議事録1頁目)
    議長(林喜美雄君) 次に、(3)番のアメニティーパークごみ処理経費について。(添付の全協議事録22頁目)
    生活水道課長(高橋孝一君) 生活水道課です。よろしくお願いします。(添付の全協議事録22頁目)
          ・・・電気料が下がっている・・・マイナス(ごみ処理経費)4億3,920,万8,000円ていど、かかっている・・・・。(添付の全協議事録23頁目)
   <協議会資料2頁目についての議事>
    生活水道課長(高橋孝一君) 平成28年・・IKE運搬・・、関商店で買取・・再加工・・RPF「BC商品」・・買い手なし
          ウィズウエイトジャパン・・ひきとる\39,000/t一般廃棄物ですから。(添付の全協議事録23頁目)
   <協議会資料3頁目についての議事>
    生活水道課長(高橋孝一君) 生ごみの実績・・・・・。(添付の全協議事録24頁目)
   <協議会資料4頁目についての議事>
    生活水道課長(高橋孝一君) 燃料費の対比H27~28年の差額\4,299,201・・・生ごみを、分けているから(空白)「電気代」 下がっている。(添付の全協議事録24頁目)
   <協議会資料5頁目についての議事>
    生活水道課長(高橋孝一君) 固形燃料化施設の灯油使用料・・・H27とH28の差額、158,124リットルあり・・金額にしますと700万円あるが、石川島(IKE)との覚書で、町が脱臭の燃料費は、1,500万円までは町が面倒みる・・・削減されているが、決済書のなかでも出てこない・・・。(添付の全協議事録24頁目)
   <協議会資料6頁目「RDFボイラー実証試験導入について」についての議事>
    生活水道課長(高橋孝一君) それでRDFの町内利用ということで・・・今実際に建屋をつくっている段階で進行中・・・(添付の全協議事録24頁目)
   <協議会資料7頁目「遊神館RDFボイラー実証試験平面図」についての議事>
    生活水道課長(高橋孝一君) ・・・源泉を水槽に入れて、水槽からボイラーに入れて一旦ボイラーであっためて・・・(添付の全協議事録24頁目)
(56) 事実証明書16「甲の16」は、平成30年1月30日の議会全員協議会次第であり、当日午前9時から町役場の3階第2会議室で開かれた。この議事の中で、「3)アメニティーパークごみ処理経費について」と題して、生活水道課の高橋孝一課長が、全協の場で「平成29年度 議会全員協議会資料(アメニティパークごみ処理経費)」と題する資料(事実証明書16-1「甲の16-1」)を配布し説明したあと、次のやりとりがあった。
    15番(久保秀雄君) 実証実験の期間は1年、・・・遊神館の土地は・・・無償で・・・。(添付の全協議事録26頁目)
          撤去費用だとか・・・協定書に入っているという理解で・・・。
    生活水道課長(高橋孝一君) さっきの費用関係・・、協定書の中には撤去費用というのは打ち込んでいない・・・・(前田町長から言われて・・・再協議をします。)・・・・・。
          民間で撤去・・。民間で処理する。・・RDFは提供します・・費用の2万1,000は払います。・・・・・、場所を無償で提供しますという協議もされてません。口約束の中で前の町長との[まあ、実証だからいいだっぺ。]ということでいただいておりますけれども、それも入っておりません。(添付の全協議事録27頁目)
    生活水道課長(高橋孝一君) 概算で申し訳ない・・・ボイラーの管理費で、大体   400万円程を考えております。(添付の全協議事録29頁目上段)(事実証明書9-2「甲の9-2」の「別表3の③300万円」参照」
    生活水道課長(高橋孝一君) 実績なんですけれども、全国で、うちと富良野だけ、・・・機械の対応年数が15年です・・・。(添付の全協議事録29頁目下段)(事実証明書12「甲の12」の「第6条 2)期間 ボイラー法定対応年数以上」参照)
    生活水道課長(高橋孝一君) RDFの処理問題、・・・25年(廃棄物処理法)         にそのへんが撤廃され・・・MESには買ってもらい(1,000/t)・・・MESが町内の業者に運搬を(21,000/t)頼む、・・・・。(添付の全協議事録30頁目上段)
    生活水道課長(高橋孝一君) 直接的にはそこに費用を払っちゃうと有価物として扱いが出来ないので費用はそこにはいきません。MESと契約しないで、運送会社と契約する・・・。(木内建設)(添付の全協議事録30頁目下段)
    (11時03分 休憩  11時13分 再開)
    議長(林喜美雄君) なお、町長については・・・・・一時退席しております。(添付の全協議事録31頁目上段)
    議長(林喜美雄君) 詳細について、若干まだ行き届かない部分が多少あったんかな・・・、次の機会にまた厚生委員長と打ち合わせをさせていただきたい・・いいですか。
    議長(林喜美雄君) それじゃ、委員長。
    14番(高橋市郎君) この件については、・・・。(添付の全協議事録31頁目下段)
    14番(高橋市郎君) 委員会または委員長、副町長に対してはそれなりにきちんと相談なりはありまして、私の判断の中でこれは進めるべきということで、・・・委員会において説明すべき範囲の中はきちんと説明したという、・・・ですので私は自信を持って水道課長にはどんどん進めていいという委員会の判断であるというふうに思っており、またそれに対して、前町長の決裁はいただいて今まで進んできているということは事実あるわけであります。・・・・・・委員会の中では説明できる範囲の中で説明をし、その中でゴーサインを出しているというのが事実であり、「私の責任においてそれは明言をさせていただきます。」・・・。(添付の全協議事録32頁目中段)
                                   以 上
(57) 以上のやり取りからわかるとおり、元町長・岸良昌、前副町長・鬼頭春二、当時の厚生常任委員会の委員長・高橋市郎、副委員長・石坂武、委員・森健治、同・阿部賢一、同・山田庄一、同・久保秀雄、元議長・河合生博、同・林喜美雄、その他議員でありながら一連を議会の決裁に諮らず、隠蔽し、前町長・前田善成を辞職させ、職員らと結託し、町政を混乱させた関係者の所業は許しがたいものがある。こうした振る舞いは密室談合・審議不在・金権腐敗の何事でもない。    
(58) みなかみ町遊神館RDFボイラー実証試験協定書(事実証明書12「甲の12」)によれば、「<目的>本協定は、[みなかみ町の製造するRDFを燃料とした]RDFボイラーを町営奥平温泉遊神館に建設して温泉施設の加温実証試験を行うことを目的とする。」とあるが、実際にはRDFは、平成29年5月22日より一般廃棄物であるため、供給不可であり、RDFを燃料として前提とした事業自体成り立たないことは明らかであった。にもかかわらず、誰が?平成29年10月3日の月日を記入したのか?真相追及と責任の明確化が必須である。
(59) また「<役割分担>第4条 ・・・RDFの設置及び[供給]並びに実証試験に関する総合調整 みなかみ町役場」とあるが、これについても、みなかみ町のRDFは、一般廃棄物固形燃料であるので、そもそも供給不可であり、RDFを燃料として前提とした事業自体成り立たないことは明らかであった。真相追及と責任の明確化が必須である。
(60) 次に「<構成員の個別責任>第5条 構成員の個別責任は役割分担に応じて次の通りとする。 3)構成員が本事業の執行に関し、当核構成員の責めに帰すべき事由によりみなかみ町または第三者に損害を与えた場合は、当核構成員がこれを負担するものとする。」とあるが、木内建設(株)は、なんら契約をしておらず、元生活水道課長・高橋孝一の虚偽発言で行ったと認めるべきである。
  木内建設(株)は、第三者の被害者であり、責任は、みなかみ町元町長岸良昌及びその他関係者である、と認めるべきであり平成30年6月4日に提出された見積書(請求書)\127,764,000.- プラス法定金利を早急に支払うべきであると判断できる。
  またMES山地敏男は、高橋孝一に「町業者で無いと、一連の業務が出来ない」と申し渡されて、真庭の倉澤アパートを借りMESを設立したが、みなかみ町から全く金銭の支払いが無く、山地は、家賃が払えず(家賃督促状)を令和2年2月23日に92万円を請求されている。
  アパートの貸主であり、利根郡みなかみ町月夜野2273の倉澤長男氏は、第三者の被害者であり、みなかみ町元町長岸らは、早急に倉澤氏に滞納分家賃(令和2年2月現在92万円)を支払う義務があるべきと判断出来る。
(61) さらに「<事業の瑕疵担保責任>第9条 本事業に瑕疵があったときは、各構成員は業務分担内でその責に任ずるものとする。」とあるが、みなかみ町の一般廃棄物固形燃料RDFは、そもそも燃やせる代物では無いので協定書第1条に照らして供給不可である。
  木内建設(株)は、すっぽん用ボイラー代金\67,400,000.-の内\25,000,000.-は、既にMESに支払い済であり、残金\42,400,000.-プラス法定金利も含めて、みなかみ町元町長らは、木内建設に全額を早急に支払うべきである。
(62) <財産の所有及び管理>第10条 本事業により取得した財産については、みなかみエネルギーサービス株式会社が占有する本とする。」とあるが、ここでいう遊神館の町有財産の占有とは、地方自治法96条1項第6号に値することは明白である。
(63) 今回、本事業計画に関連してみなかみ町元町長らの行為には次に掲げる市の財務会計上の問題がある。
  ・違法もしくは不当な公金の支出が相当の確実さで予測される(ボイラーの購入費)
  ・違法もしくは不当な債務、その他の義務の負担が相当の確実さで予測される(MESに約束した債務、木内建設からの見積に相当する債務)
1-2. それはどのような理由で違法又は不当であるのか
 議会に諮らず締結した協定書は地方自治法第96条第1項第5号及び第6号に違反する。
1-3. その結果、みなかみ町にどのような損害が生じたのか
 協定書の締結により、協定書の締結相手のMES代表取締役の山地と、工事を請け負った木内建設社長の木内らから、みなかみ町を相手取り損害賠償請求訴訟を提起される可能性が高く、みなかみ町に相当な損害が発生する蓋然性が極めて高い。
1-4. どのような措置を講じることを求めるのか
 みなかみ町長(当時)の岸良昌は、議会の承認を経ないまま、2017年(平成29年)10月3日にみなかみエネルギーサービス(株)との間でみなかみ町遊神館RDFボイラー実証試験協定書の締結を行った。この協定書の締結に当たり、みなかみ町に債務が発生する可能性を回避するため、みなかみ町監査委員には、この債務については、原因者である町長(当時)の岸良昌をはじめ、本件を推進してきた元生活水道課長の高橋孝一、本事業をすっぽん養殖事業に絡めてサイドから推進し議員でありながら自ら経営する法人が建屋建設工事にかかわった久保工業・その他関係者が負うべきものとし、みなかみ町には支払うべき債務は存在しないことを確認されたい。
1-5. 請求期間
 地方自治法第242条第2項の規定により、住民監査請求は当該行為のあった日又は終わった日から1年以内とされている。本件監査請求は、平成29年10月3日にみなかみ町がみなかみエネルギーサービス(株)との間でみなかみ町遊神館RDFボイラー実証試験協定書の締結を行ってから1年以上経過したものであるが、元町長が議会に諮らず締結した契約によりみなかみ町が被った損害に対する損害賠償請求権等の行使を怠っていたとするものであり、「財産の管理を怠る事実」に該当することから、請求期間の制限の適用は受けない。
 また、請求人がみなかみ町遊神館RDFボイラー実証試験協定書の存在を知ったのは2019年5月25日(土)の読売新聞記事であるが、さらに詳しい協定書締結の経緯を知ったのは、2019年9月3日にみなかみ町議会定例会本会議で報告のあった、みなかみ町議会の調査特別委員会によりまとめられた最終報告書であり、その報告書を同日事務局から入手した。その結果、協定書の締結に関して調査する必要が不可欠だと考えた請求人は、その後、協定書の当事者や関係者から聞き取りなどを通じて、詳しい経緯や背景、そして事実関係を確認しつつ、真相究明と責任明確化による再発防止の重要性を確信したうえで本件住民監査請求に及んだもので、請求人には正当な理由がある。

2.請求者
  住 所  群馬県利根郡みなかみ町布施339-1
  氏 名        鈴 木 章 二

 地方自治法第242条第1項の規定により,別紙事実証明書を添え必要な措置を請求します。

  令和2年3月31日(同4月13日補正)

   みなかみ町監査委員  澁谷正誼 様
   同          久保秀雄 様


別紙  事実証明書
**********

■この一般ゴミの固形化燃料(RDF)問題は、岸良昌・元町長から引き継がれたもので、前町長の前田善成氏がその計画の不透明さ故に、実態の究明と責任の明確化に取り組もうとしていました。

 ところが、その矢先にセクハラ問題が起きてしまい、行政の監視機関である議会で取り組んでもらおうと、前田・前町長が2018年8月6日に議会解散の理由に挙げていました。しかし、残念ながら、このRDF事業に絡む疑念を積極的に論じる候補者は現れず、結局、守旧派ばかりの議員が当選してしまったのでした。当時の報道記事をみてみましょう。

**********朝日新聞デジタル2018年9月8日 3時00分
群馬)ごみ処理で解散、争点は不透明に みなかみ町議選

29人が届け出た町議選=JR後閑駅前
 群馬県みなかみ町の前田善成町長のセクハラ問題に端を発した異例の町議選(定数18)は9日、投開票される。町長が議会解散の理由に挙げたのが、前町長から引き継いだ家庭ごみの固形化燃料(RDF)事業に対する疑念だった。だが、この問題を積極的に論じる候補者は目立たず、町長が狙った争点化の成否は不透明だ。
 「不可解な点がある」。前田町長は町議会を解散した8月6日、会見でRDFという言葉を唐突に挙げて疑問を口にし、「(解散前の)議会は推進派」という対決構図を示してみせた。
 RDF事業は当初、町が町内の施設で発電用燃料として利用することで成り立っていた。しかし、施設が故障。現在は年約1億円を支払って業者に処理してもらっている。このため、町営の温泉施設でRDFを加温燃料として新たな使い道を探る実証試験が計画されている。
 ただ、会見でも前田町長は踏み込んだ説明はしていない。町長の問題意識が、全国的にコストの問題などで見直しが相次ぐRDF事業全体を指すのか、実証試験だけなのかは不明だ。
 4日の告示前、朝日新聞が候補者29人へのアンケートを実施し、この問題への考えを尋ねたところ、未回答の2人を除く多くが「争点というなら昨年10月の町長選で問題にするべきだった」「今後も議会として調査、研究、議論が必要で、町議選の争点ではない」などと、争点化に否定的な見方だった。
 ごみ処理として、町のRDF事業を問題視する候補者は前職にも新顔にもいる。「処理費に約1億円使われ、続けていくことは難しい」「RDFそのものが過去の遺物」……。
 ある前職は、実証試験については町議会で町当局に疑問点をただす動きもあったと証言する。町長が指摘する「議会は推進派」という図式は乱暴に映る。「町長は疑惑があるとするが、公の場で説明がない。誰が指示し、町はどう関わっているのか、明らかにすべきだ」とする意見や、「セクハラ疑惑隠しの問題のすり替え」という回答もあった。
 町議選には無所属27人、共産、公明各1人の計29人が立候補している。投票は午前7時~午後8時(一部午後7時まで)に町内20カ所で行われ、午後9時から町中央公民館で開票される。午後10時半ごろには新議員が決まる見通し。3日現在の有権者数は1万6787人。(泉野尚彦)

**********産経新聞2018年9月9日23:25
群馬・みなかみ町議選、「反町長派」が過半数制す セクハラ疑惑の前田善成町長、失職不可避

町長への信任が事実上の争点となった町議選。午後9時から開票が始まった=9日、群馬県みなかみ町(吉原実撮影)
 群馬県みなかみ町議選(定数18)は9日、投開票が行われ、新議員の顔ぶれが決まった。団体職員の女性に対する前田善成町長(51)のセクハラ疑惑をめぐり、町議会から不信任決議を受けた町長が議会を解散したことに伴う選挙で、事実上の「町長信任投票」となる中、改選後に再び不信任決議案に提出された場合、賛成するとみられる「反町長派」が過半数を制した。町長の失職は不可避となった。
 不信任決議案は過半数の賛成があれば可決され、前田町長は自動的に失職する。
 当選したのは前職11人、元職1人、新人6人。少なくとも13人が不信任決議案に賛成するとみられ、最大で16人が賛成する可能性もある。
 選挙戦では、セクハラ疑惑に対する認識と不信任決議案への賛否が最大の争点となった。
 反町長派が前田町長のセクハラ疑惑を追及し、早期退陣を求めた。一方の町長派は、セクハラ疑惑の争点化を避け、「議会改革」などを訴えたが、勢力を拡大できなかった。

**********毎日新聞2018年9月10日 11時31分(最終更新 9月10日 11時59分)
みなかみ町議選 反町長派が過半数当選 群馬

群馬県みなかみ町の前田善成町長=畑広志撮影
 自身のセクハラ問題に関連して、不信任決議を受けた群馬県みなかみ町の前田善成町長(51)による議会解散に伴う町議選は9日投開票された。定数18に対し、不信任決議に賛成した前職13人中11人が当選した。
 この結果、18日開会の議会で町長の不信任決議案が再提出された場合、賛成が過半数(10人以上)に達する見通しとなり、可決されれば前田町長は失職する。投票率は70.27%(前回66.77%)。
 この問題を巡っては、前田町長が4月18日夜、町内の団体の飲み会で、団体職員の女性に抱き付きキスをするなどのセクハラ行為をしたとして、女性が5月に群馬県警に強制わいせつ容疑で被害届を出した。町長は「犯罪的、セクハラ的なものではない」と説明している。【畑広志、鈴木敦子】
**********

■なお、補正後の住民監査請求書の受理通知とともに、同町監査委員から次の陳述案内通知が届きました。


*****陳述案内通知*****ZIP ⇒ 20200423zmq.zip
                        令和2年4月23日
みなかみ町布施339-1
   鈴木 章二 様
                   みなかみ町監査委員 渋谷 正誼


   みなかみ町職員措置請求書に伴う陣述について(通知)

 このことについて、地方自治法242条第6条の規定により下記のとおり機会を設定したので通知いたします。
               記
1 日 時  令和2年5月11日(月)午後2時から
2 場 所  みなかみ町役場 3階第4会議室
3 その他  代理人が出席される場合は、委任状を提出して下さい。
**********

■RDF問題に取り組もうとしていた前田前町長が、突然、その動きを制するかのように沸き起こったセクハラ事件。その結果、前町長が議会から失職に追い込まれて果たせなかったRDF問題。岸良昌元町長が遺したこの不可解な問題について、岸良昌元町長のもとで副町長だった鬼頭春二・現町長が、この住民監査請求の結果を踏まえてどのように対応するのか。当会会員の投げた一石から広がる波紋の行方に注目が集まります。

【市民オンブズマン群馬事務局からの報告】

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする