市政をひらく安中市民の会・市民オンブズマン群馬

1995年に群馬県安中市で起きた51億円詐欺横領事件に敢然と取組む市民団体と保守王国群馬県のオンブズマン組織の活動記録

【安中市役所庁舎建替えを巡る利権?】安中市幹部職員ら主導の市民懇談会の運用に疑問符

2020-08-29 22:44:00 | 安中市庁舎建替えに伴う予算過大問題
■今年6月に市庁舎建て替えの市民懇談会というのがスタートしたという新聞記事が先日掲載されました。それによると、わずか5回の会合で10月には市長に答申を出すことになっています。市民懇談会の委員も一般公募の市民は、大学生2名の他は1名のみとなっており、高価な買い物である市庁舎の方向性を、短期間で安易に決めてしまうのは問題と思う、との声が市民から寄せられました。

 他市町の同様な事業例と比べ、地方自治体では史上最高額の51億円という横領事件を起こした安中市の場合、「市民の意見を聞きました」というアリバイ操作が体質的に身についているため、結論ありきの市民懇談会であってはなりません。


現在の安中市庁舎。7月29日撮影。

 お隣の富岡市が新市庁舎を建てた際の事例では、市民検討委員会は、全11回で1年1ヶ月をかけて議論されました。経緯は次のURLをご覧ください。
https://www.city.tomioka.lg.jp/www/contents/1527062448225/index.html



旧庁舎。

中庁舎。

新庁舎。

 富岡市の市庁舎検討委員は、公募市民5名を含む20名、事務局4名で、名簿も議事録も市民に開示されています。ちなみに、松井田町の例では、広報まついだバックナンバーの記事によると町民各界・各層から選出された36名の委員が2年をかけて検討を重ねてきた意見や要望を集約した庁舎建設基本構想とあります。

 安中市の場合の一般公募市民の少なさと会議の回数の少なさは異様です。巨額横領事件の真相と責任の所在を曖昧にしたことがあるだけに、市民の意見を蔑ろにして、合併特例債に間に合う令和7年度竣工に突き進むのではないか、という懸念が払しょくできません。

 そうした市民のかたがたから当会に対して、本件についてもっと情報を安中市に開示させてほしいという要請がありました。

 さっそく、必要な資料の入手を図るべく、安中市長宛に情報開示請求を行いました。

※2020年7月6日:行政文書開示請求書 ZIP ⇒ 20200706r1ssjisskaj.zip

 すると、まもなく部分開示決定通知が、市長から届きました。
※2020年7月16日:行政文書部分開示決定通知書 ZIP ⇒ 20200716ssjmisvzj.zip

 開示決定日は7月27日を予定していましたが、都合により7月29日に市役所で情報開示を受けました。

■開示された情報は次のとおりです。

**********
<市庁舎に関わる市民懇談会に関連する次の情報>
1.令和2年6月23日(火)午後6時30分から安中市役所本庁3階委員会室(安中市安中1丁目23番13号)で開かれた第1回会議の録音記録
⇒【1】庁舎に関わる市民懇談会第1回議音声記録MP3(視聴のみ)(全部開示)
  ZIP ⇒ 20200623ssk1c.zip
2.第1回会議で配布された全ての資料
⇒【2-1】第1回懇談会議資料纏め(資料13を除く)(全部開示)
URL⇒ https://www.city.annaka.lg.jp/gyousei/soumu/kikaku/choushakondankai.html
https://www.city.annaka.lg.jp/gyousei/soumu/kikaku/files/1choushasiryou1-12.pdf
⇒【2-2】資料13_本庁舎の配置図(全部開示)
URL⇒ https://www.city.annaka.lg.jp/gyousei/soumu/kikaku/choushakondankai.html
https://www.city.annaka.lg.jp/gyousei/soumu/kikaku/files/1choushasiryou13.pdf
3.18名の委員のうち、令和元年12月2日に公募した「募集人員3人(大学生男女各1人、他1人)」とする設定条件がどのようにして決まったのかがわかる内部討議資料(起案書、回議書、打合せメモ、応募人数などに関する情報を含む)
⇒【3-1】市長との打合せ事項(令和元年10月16日)(全部開示)
  ZIP ⇒ 2020072931_20191016sij.zip
⇒【3-2】ホームページの更新について(令和元年11月25日付け決裁)(全部開示)
  ZIP ⇒ 2020072932_20191125zywxv.zip
⇒【3-3】安中市庁舎に関わる市民懇談会の公募市民委員の決定について(令和2年2月25日付決裁)(部分開示)
  ZIP ⇒ 2020072933a_20200225ssks.zip
2020072933b_20200225sksise9ilj.zip
2020072933c_20200225sksise9ilj.zip
4.加えて、それ以外の15名の委員のうち、「公募市民委員」と称する2名の委員がどのようにして(追加特別公募?)決まったのかがわかる情報(なお、起案書、回議書、選考手続き、選考評価結果、内部打合せメモ、実際の追加特別公募?への応募者人数もしくは想定候補者、などに関する関連情報を含む))
⇒【4-1】安中市庁舎に関わる市民懇談会に関わる公募市民委員の選考について(伺い)(令和2年2月14日付け決裁)(部分開示)
  ZIP ⇒ 2020072941_20200214sskwsil.zip
⇒【4-2】市民懇談会市民公募委員の辞退について(R・C・Cシート)(令和2年3月4日付け報告)(部分開示)
  ZIP ⇒ 2020072942_20200304sks.zip
5.それ以外の15名の委員の選考過程が分かる内部討議資料(起案書、回議書、打合せメモなど含む)
⇒【5-1】安中市庁舎に関わる市民懇談会委員の市民団体宛推薦依頼について(令和元年11月19日付け決裁)(全部開示)
  ZIP ⇒ 2020072951_20191119ssksce.zip
⇒【5-2】安中市庁舎に関わる安中市庁舎に関わる市民懇談会委員(大学職員)の就任に係る大学学長及び理事長宛て許可依頼について(令和2年1月31日付け決裁)(全部開示)
  ZIP ⇒ 2020072952a_20200131skacwwweiqyj.zip
2020072952b_20200131skacwwweiohkyj.zip
⇒【5-3】第1回安中市庁舎に関わる市民懇談会の開催及び委員委嘱について(令和2年2月26日付け決裁)(部分開示)
  ZIP ⇒ 2020072953a_202002261sskjy.zip
2020072953b_202002261sskjy.zip
**********

■このうち、最初の1番の「庁舎に関わる市民懇談会第1回会議録音声記録」については、安中市企画課により「視聴のみ」とされました。理由は「安中市庁舎に関わる市民懇談会運営方法として傍聴人には『写真、動画等を撮影し、又は録音等をしてはならない。』を遵守事項としているため、写しの交付は致しかねます。」というのです。

 しかし、実際の運営方法としては、「会長が傍聴や録音等を認めればその限りではない」と定めていることから、録音したデータのダウンロードを強く求めました。ですが、安中市企画課では、頑なに拒否の姿勢をとりました。そこで、当会から「会長の小竹准教授に、きちんと確認したのでしょうか?」と質問したところ、「していない」との回答がありました。

 会長に「傍聴者の録音について、OKでしょうか?」と確認もしないのに、「の録音データのダウンロード(コピー)をしてはならない」と当会に断言してくる安中市の対応は、市民にひらかれた市政とは真逆です。そのため、「小竹先生にはしっかりと録音の是非を確認しもらいたい」と市企画課に強く申し入れました。田中企画課長は「わかりました」と返事をしましたが、現時点でまだ結果確認の回答連絡がありません。

 確かに会議録はホームページで開示されていますが、実際の録音を聞かないと、発言のやり取りがすべて正確に会議録に反映されているとは限らないからです。そのため、実際に視聴すべく8月11日の午前8時半に市役所に行き、録音を視聴しました。会議録と照らし合わせながら録音を聞いていると、ずいぶん、実際の発言と会議録との間に相違があることがわかりました。会議録のほうが、大幅に発言内容を簡略化しているからです。

 正確に反映させようと録音をなんども聴き直しましたが、結局12時までに全部確認できませんでした。当会が全体の半分くらい視聴したところ、ずいぶん発言内容を端折っているなあ、と感じました。残念ながら、聞き取ったとおりの修正版を全体の1割程度作成したのですが、パソコンに記憶し忘れてしまいました。安中市にはすべて録音も市のHPに掲載することが、市民の信頼ヲ得るために求められています。市が公表した第1回安中市庁舎に関わる市民懇談会会議録を以下に示します。

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     第1回 安中市庁舎に関わる市民懇談会会議録

開催日時:令和2(2020)年6月23日(火)午後6時30分から午後9時6分まで
開催場所:安中市役所本庁舎3階 委員会室(安中市安中一丁目23番13号)
出席委員(敬称略):小竹裕人(会⾧)、小川博(副会⾧)、吉田茂、河井香織、小林和樹、高橋正章、前島正樹(代理:佐藤俊樹)、三好建正、恩幣宏美、半田樹衣、藪ほの郁、久米史可、石井清和、北野敦則、大石祐子(計 15 人)
欠席委員 (敬称略):佐俣利幸、竹内佳重、三辻茂(計3人)
事務局等:粟野副市長、阿部総務部長、地域力創造アドバイザー大山氏
[企画課]田中課長、大野係長、金田主任
[建築住宅課]櫻井課長、田嶋係長
傍聴者:1人
公開日:令和2(2020)年7月2日(金)

●会議内容は次のとおりです。

1 開会 (午後6時30分開会)

2 市長あいさつ 安中市長 茂木英子
<あいさつ要旨>
 本日は、夕方からの会議で大変お疲れのところ第1回の安中市庁舎に関わる市民懇談会にお集まりいただきまして誠にありがとうございます。新型コロナウイルスの関係で、当初3月末の予定であった第1回会議を約3カ月延期して、皆様のご協力で開催できましたことに心より感謝申し上げます。
 この安中市役所の庁舎は後で内覧もしていただきますが、この会議室は平成 13 年に建った新庁舎の3階にありますが、一番古い旧庁舎は昭和34年に竣工し約60年経過、その他中庁舎など付け足しで増築してきました。老朽化が進み、昨今の巨大地震など自然災害の大規模化があるなかで、今まで考えてこなかった庁舎について考えていくには、市の庁舎は市民の財産であるので、まずは市民の皆様のお考え、機能性などご意見をいただいた上で、まだ先は長いのですが、市が方向性を決めていきたいと考えています。今後会議も計5回ほど開催されますが、ぜひ市役所への想いなども含めてご議論いただければと思っておりますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。大変お世話になります。

3 委員紹介 名簿の順に自己紹介(自己紹介後、市長退席)

4 会長・副会長の選出
[会長]小竹裕人委員 [副会長]小川博委員 に決定

5 会長・副会長あいさつ
会長:前橋の美術館のワークショップなど何回かワークショップの会長を務めさせていただいたことがあります。出来レースでなく、皆様のご意見をいただきながらバランスよく話し合いたい。会の雰囲気は柔らかく、会の議論はシリアスに、という形で忌憚のないご意見をいただければと思います。よろしくお願いします。
副会長:普段は区の仕事に追われており、あまり専門的なことはわからないが皆様のご協力を得ながら、少しでも多くのお力添えをいただければと思っております。よろしくお願いします。

6 議事[議長:会長]
(1) 懇談会設置要綱、懇談会の運営等について
[事務局より資料 No,1、2、3、4により説明]
<説明要旨>
・運用方法(案)(資料1)は、会議録は発言者名を伏せて作成すること、傍聴人の制限などについて説明し、委員一同より了承を得た。
・設置要綱(資料2)は、令和元年 12 月1日付けで施行しているが、第2条の所掌事務、第3条の組織、第4条の任期の内容について報告した。
・検討フロー(案)(資料3)は、全5回でどのような検討を行うのか、流れについて説明した。なお、第3回懇談会テーマ:今後の方向性についてはあくまでも整理のイメージとして紹介した。第4回・第5回会議で提案書案をまとめて、市長に提出する。
・開催スケジュール(案)(資料4)は、6/23 以降月に1回のペースで会議を開催し、10月下旬市長に提案書の提出を予定しているが、新型コロナウイルス対応や進み具合などで変更の可能性がある。会議資料は事務局で可能な範囲内で準備する旨を説明した。
[質疑応答等]
会長:資料2は報告で特段委員が提案するものでもなく、資料3、資料4は案ということだが、今日了承を得て資料のタイトルから「案」が取れるというものでもなく、引き続き会議を進めていきながら弾力的に、目安、イメージとして柔らかく捉えていただくものとの事務局の説明である。内容について質問などあるか。
会長:なければよろしいということで、次に進める。

(2) 庁舎に関わるこれまでの経緯について
[事務局より資料No.5、6、7により説明]
〈説明要旨〉
・これまでの経緯(資料5)は、平成19年2月23日の本庁旧庁舎と中庁舎の耐震診断判定結果通知が出されたことから始め、庁内事前準備組織で3か所(埼玉県北本市、茨城県稲敷市、長野県小諸市)に視察に行ったが選定理由は人口規模が似ていて、特徴的な機能があり、近場で新しい庁舎であること、その後報告書が提出されたことを紹介。その他市報(広報あんなか)に3回掲載後、市民懇談会の委員募集などの経過を紹介した。
・「庁舎建替に関する報告書」の写し(資料6)は、平成29年に庁内事前準備組織が市長に提出したもので、視察資料は割愛したが、会場内に備え付けてある。現時点において市の公式な考えとして「参考としますが、この内容に拘束されることはない」と位置付けている。報告の経緯、構成員、会議、視察、内容、検討結果、事業費・財源の積算、工程表、庁舎面積の算出について準備組織で検討した内容の概略を説明。財源について合併特例債はほぼ不可能との記載があるが、現時点で令和8年3月末までに延長された旨も説明した。
・これまでの広報(資料7)は、災害に備えるというテーマで全3回掲載した。初回の掲載では耐震性能ランクについてもわかりやすくまとまっているので、確認をお願いしたい旨を説明した。

[質疑応答等]
会長:資料6については、その内容に拘束されることはないとの説明だったが、資料5~資料7までで、なにか質問などあるか。
委員:資料7で旧庁舎がDランク、中庁舎がCランクとのことだが、新庁舎、保健センター、西庁舎は耐震診断をしなかったのか。
事務局:耐震診断を行う義務付けがあるのは昭和56年以前に旧耐震基準で建築されたもので、新庁舎は平成13年、保健センターは昭和61年、それぞれ新耐震基準において建築されたもののため、実施してないが、耐震は大丈夫であろうと思われる。昭和39年建築の西庁舎での耐震診断の状況、経緯は次回までに確認し、報告する。
委員:どこが良くてどこが悪いのかわからないと、どういうものを建てればいいかわからない。10年前の試算で9500㎡の庁舎面積だが、人口減少も進んでいて、実際にどのくらいの規模が必要なのかを出してもらわないと会議をしてもわからない。
会長:資料6の面積は試算値ではあるけれども、現状に照らすとどうなのか確認する必要があるとのご指摘でもあるし、少子高齢化などで今の職員数、現員のままでよいのか、組織変更なども込みで考えると、長期的な部分では疑問が残るということかと思う。第2回懇談会で必要な機能・役割について検討する段で意見出しして揉んでいくなかで、将来的な組織変更など勘案しながら微修正していくこととなっていくのかな、資料も事務局と相談しながら出せるところまで出していくということになるのかなと思う。
委員:高齢化がすすむにつれ、平らで建築面積が横に広いような建物で歩く距離が長くなるより、コンパクトでエレベーターなどで縦に高いほうが仕事もしやすくいいように感じているし、松井田庁舎にしても広くて歩くのが大変なので、階によって部署をわけることで来庁者も便利でいいのかなと思う。
会長:色んな意見があるなかで、事業費でいうと縦に長いほうがコストがかかるなどの色んな事情もあるであろうが、一緒くたに意見を出しながらみんなで考えるということになるかと思う。
委員:国土交通省方式にしろ総務省方式にしろ事務職員数で必要面積を出しているが、旧松井田町と旧安中市が合併したという事情もあり現在の職員数は適正かわからない部分もあるので、市の人口規模から必要な面積を出したほうがこれからはいいと思う。
会長:この算出基準は役職によって必要面積を分けて考えてもいるようだが果たしてこれでよいか、安中的なやり方もこれからの議論で考えていくのでもあるが、「よすが」としてこの基準で市は算出したのであろう。意見出しではこれにひっぱられないでよいとも思う。資料6によれば本庁舎の現在地は第1種住居地域の指定で、建蔽率、容積率があまり高くないなどの制約があるようだが、指定は群馬県が行うのかどうか。
委員:最終的には県で決定かと思う。用途地域は商業地域や工業地域、住居系地域などあるが、あちこちに色んなものがあると街並みとしてよくないとか、環境整備として建てられる建築物の規模をそれぞれの地域で決めている。用途地域のほか農業系の地域などの制約もある。現在地が第1種住居地域となっている経緯はわからないが、土地の広さに対してあまり大きなものは建てられないという状況かと思う。商業地域であれば大規模な建物が建てられる。
会長:用途地域の網掛けも変えることができるのかゆくゆく気になるポイントでもある。委員:職員数の関係で質問があったが、行政職520人、医療職120人の計640人、臨時職員と嘱託職員は計491人という議会の広報資料による報告があったようである。
委員:人口規模で役所の庁舎を決めたらいいのではという話は、庁舎に一番長く滞在しているのは市の職員だが、一人当たりどのくらいのスペースが必要か基準を示してい
るのが、国交省や総務省。大体全国の市町村の庁舎の面積を決めるときは、これにならって決めているというのが基本。そのなかで市側で市の職員がこんなにいらないとなれば庁舎面積も減るし、まちが発展していきもっと職員数が必要であれば増える、将来展望を見据えて決まってくるのであろう。その増減の判断にあたり人口規模も間接的に関わってくるのであろう。
会長:地方交付税交付金もそうだが、標準的な団体があって、それを増やしたり縮めたりで予算が決まってくるが、ベースとなる標準的な自治体の人口であったり、子ども、高齢者の数であったりで予算増減をしている。庁舎の建設にあたっても基準があって、それが職員数などとなっているが、これに拘泥される必要があるのか事務局と相談する。なにか質疑あれば引き続き受け付けるが、一旦休憩を挟んだのち次の議事をすすめる。(8分休憩)

(3) 庁舎に関わる現状と課題について
[事務局より資料No,8、9、10、11、12 により説明]
〈説明要旨〉
・現庁舎の概要(資料8)は、主に老朽庁舎(旧庁舎・中庁舎)の竣工年、経過年数、構造(RC(鉄筋コンクリート)造)、Is値、耐震性能ランクについて説明した。
・県内12市の竣工状況(資料9)は、安中市の旧庁舎が県内12市で一番古く、中庁舎は伊勢崎市の本館に続き5番目に古い旨を説明した。
・計画上の位置づけ(資料10)は、第2次総合計画、公共施設等総合管理計画、新市建設計画上での庁舎整備の位置づけについて紹介した。
・現庁舎の課題として考えられること(資料 11)は、耐震性の不足、老朽化(平成27年度~平成31年度にかけて空調設備改修、ボイラーの更新等で約4800万円の修繕費がかかっているほか、雨漏りも発生しているなど)、市民利用への配慮不足(旧庁舎・中庁舎にはウォシュレット便座はなく、全体でも3割程度であるなど)、防災拠点としての機能不足(防災無線や情報通信機器が耐震性の低い旧庁舎にあるなど)、その他(老朽化対応や省エネ機能がないための維持管理コスト増など)が一例として挙げられることを説明した。
・耐震診断業務委託報告書の写し(資料12)は、一部を抜粋したものであるが、原本は会場に備え付けてある。旧庁舎、中庁舎併せて委託料として577万5千円を支払い調査した。それぞれ結果通知書記載の判定結果、耐震診断概要(Is値、耐震性能評価(性能ランク等、ランク上昇・下げ要因、上げ下げ後のランク)、調査状況写真などを説明、紹介した。

[質疑応答等]
会長:資料12の目次の見え消し部分は、今回資料から割愛したから線が引いてあるという理解でよいか。
事務局:目次の見え消し部分は、そもそも今回の検査対象となっていないため、調査をしていないから線が引いてある。更に今回調査している部分についても資料を割愛しているが、原本は会場内に備え付けてある。
会長:隠すというわけではないとのことなので、ご確認いただきたい方はご確認していただければということである。
委員:資料12について補足すると耐震診断業務は建築会社が行うが、群馬県建築技術センター建築物耐震診断判定委員会という国から認められている機関が建築会社の行った診断業務が正しいかどうかきちんと判断して出した結果であるため、他の会社に依頼すれば別の結果が出るというものではない。
 耐震診断は1次~3次診断まであるが、1次診断は簡易的な診断で、2次診断でより詳細に、建物の一部をくり抜き強度や劣化具合を写真のとおり測ったりする。3次診断はもっと専門的で複雑な計算などするが、基本的には2次診断の結果を使っているのが現状。
 Is値が耐震性能があるかどうかの指標で、Iso=0.70 というのがあるが、一般の建物であると 0.60 である。0.60 以上あればまあまあ耐震はいいですということになるが、公共、行政の施設というのは、一般の建物よりも強くつくらなければならない。災害が起きた時に行政が先頭を切って市民の安全を守らなければならないなかで、その建物が先に壊れてしまうわけにはいかないから少し多めに、国の基準で決まっている。0.70 を下回ると耐震性能がないということである。
 X方向、Y方向というのは建物の南北方向か東西方向か、⾧手方向か短手方向かということで考え、旧庁舎はPH(ペントハウス)のY方向で 0.14 でほとんど耐震性能がない、他の階でも 0.70 に到達しているのは1つもないので、かなり耐震性能は低いということになる。
 耐震性能ランクのAランクは大地震が来たときに無傷ではないが、建物が倒壊する可能性はほぼないであろう、Bランク(0.60 以上)はある程度建物にひび割れなど出るが、崩壊する可能性は低いが、施設の機能が使えなくなる可能性がある、Cランク(0.30 以上 0.60 未満)は大地震が来たときに倒壊する可能性がある、Dランク(0.30 未満)は大地震が来たときに倒壊する可能性が高いということである。
 旧庁舎は数値でみると 0.30 以上のCランクだがそれぞれの建物の特徴を加味して、ランクを上げても下げてもいいのではというのが上昇、下げ要因である。大地震時に 頑張ってくれる大きな壁があれば上昇要因、スラブ(床部分)のたわみが 100cmで1cmたわんでいれば下げ要因、敷地が崖地、高台などの不整地であれば下げ要因な ど。それら加味してコメントのとおり「直上階に壁をもつ第2種構造要素の柱があり、又、コンクリート強度が、13.5N/mm2 未満であるため、(C3 ランクから)ランクを1つ下げてD1 ランクとする。」ということである。
 コンクリート強度が、13.5N/mm2 未満はかなり低い(弱い)ほうで、現在法律で決められている強度は 18N/mm2 以上。設計式においてもそれ以上のものを基本的には使う。60 年前のものでそれなりの素材(当時もいい素材もあったが)ということ。
 大地震については、現在の建築基準法で建物を建てる際の3段階の基準があるが第1段階として建物が通常の建っている状態で使えなくなることがないこと、例えば人やモノが載ったりするなかで、ドアが開かなくなるや床がたわむなどないこと。第2段階として建物が建っている間で一度くるかどうか(50 年~100 年に一度)の中程度の地震(一概に言えないがだいたい震度5強、6くらい)、大型台風の後に、そのまま補修せずに使えるようにできること、第3段階は500年~1000年に一度の大地震の際に建物が(壁にひび割れ、鉄筋が露出するかもしれないが)倒壊しないように、人の命を奪うことがないようにすることが設計法で決まっている。
 今回の診断結果は万が一の大地震が来たときに旧庁舎は潰れてしまう可能性が高いというもの。逆にいえば大きな地震が来なければ建ってはいるが、2011年の東日本大震災は500年に一度、1000 年に一度といわれている地震であったし、東南海でも大地震が来るといわれ30年、40年経っているが、それらが大地震である。今すぐ潰れるわけではないが、群馬は地震が少ないといわれているが断層もありそれが動くと大地震となる可能性もある。2011年の地震では群馬は震度5弱、5強の地震がきたが潰れてないが(多少補修などしたのだろうが)、それが中地震程度ということで、それ以上であれば潰れる可能性が高いということである、というイメージを持っていただければよいと思う。
委員:いずれにしろ旧庁舎と中庁舎はダメであるということか。
委員:大地震が来た時にAランク、Bランクであれば、建物の一部が壊れるにせよ潰れて、人が亡くなることはないだろう。Cランク、Dランクであれば建物が潰れる可能性があるという客観的な判断である。
会長:理論上、科学的には危険であるが、東日本大震災のときもひび割れなどあったかもしれないが、結果としてはたまたま潰れなかったという理解となるのであろう。
委員:鉄筋コンクリート(RC)造の寿命もある。建築基準法でも決められているが、中に入っている鉄筋が錆びると、建物の寿命と決まっている。コンクリートは強アルカリ性でpH(ペーハー)では14、上限の数値である。アルカリ性の高いものの中に鉄筋とか錆びるものを入れておくと錆びる(酸性になる)ことはない。コンクリートのアルカリ性は表面から中性化していく(pHが落ちていく)が、中まで進んでいくと鉄筋が錆びはじめる。鉄筋は耐震性能を保つために必要なので錆びてなくなってしまうと耐震性能は当然落ちる。それが寿命となり、計算式もあるが平均的に60年~70年といわれている。資料12の12ページの写真にも中性化試験(コンクリートに薬品をかけて反応を試験)があるが、それほど中性化はしてないようである。24ページの鉄筋の写真では主筋径25パイとあるが、今鉄筋コンクリート造で使う鉄筋は異形鉄筋というもので、表面がでこぼこ、凹凸しているものである。60年前はその技術がなく表面がつるつるしている。鉄筋とコンクリートが一体化して機能を果たしているので、現在の建築基準法では異形鉄筋を使うこととなっている。
会長:ちょうどラーメンの麺がちぢれているほうがスープに絡むような、コンクリートとがっちり組み合わさるようなそんなイメージか。
委員:そうである。例えば鉄筋の錆びを止めるための補修をするような工法もある。鉄筋までのコンクリートを全部斫(はつ)り、新しいコンクリートを打てば、そこから60年くらいは錆びないであろうが、鉄筋自体が今の基準に適合していないという点では問題があるのもある。兵庫県南部地震で倒壊した鉄筋コンクリートの建物はほとんどつるつるの丸鋼を使っているのが多かったので、まあまあ危険と思われる。建物そのままで鉄筋を交換することもできるが、それでよいのかどうかも懇談会で委員の意見を聞いて判断することでよいのであろう。
会長:主筋径が25パイという太さはどうか。
委員:太さとしては問題なく、太いものを使っている。
会長:首都高で海砂を使っていて鉄筋を錆びさせてコンクリートが剥離し、落ちたとかという問題もあったが、写真をみると鉄筋も綺麗だがこの建築年代はそういう問題もあるのか。
委員:海砂は塩分を落とすが全部を落としきれず残ってしまい、コンクリートをアルカリ性から酸性にしていまい鉄筋が錆びるというのがあるが、群馬なのでわざわざ海砂を持ってくることはないのではないか。写真をみる限りでもおそらく川砂利、玉砂利を使っていると思われるので、塩分はないと思われる。当時は川砂利や玉砂利で川べりに転がっているものを使うことが多かったが、自然破壊になるのと、最近は足りなくなってきたので、山を砕いて砕石をコンクリートに使っている。
会長:東京オリンピック(1964年)の時に工事量が多く、原材料が足りなくなり急遽の材料を使ったところ、あとで大きなしっぺ返しがあったように記憶していたので、お聞きした。
委員:結局のところ、老朽庁舎は壊したほうがいいのか、耐震補強をするのがいいのか、資料だけだとよくわからないがどちらがいいのか。
委員:どちらでも大丈夫である。将来的にみて、壊して作るというのはほかの要因が強い。待合室が狭いなど市役所の機能が60年前、50年前に考えた社会情勢からかなり変わっている。情報化社会の進展や建築関係の法改正もある。一番大きいのは20年くらい前にバリアフリー法で建物には必ず身障者用のエレベーター、トイレを付けるなど決まっているが、それ以前の建物は当然気にせず2、3階建てでエレベーターがなかったり、あっても車イスに対応していないことなどがある。そういうものを新たに付けますとか段差をなくしますとかの工事や補強工事をするのであれば新しくしたほうがいいという考え方もあれば、がちがちに補強したものがみえてしまうが、安上がりでお金もないので、という考え方もある。あくまでも建替え一択ではないが、Dランクであれば建て替えた方がよく、Cランクは補強してもまだ使える、ということになる。
 普通の住宅やマンションは補強すればいいのだが役場庁舎は防災拠点となるということは重要な点。マンションや事務所、ビルを建てる時よりも新築設計時には2割から3割強めに設計する。通常の建物は1.2や1.3の安全率をかけるが高崎芸術センター、Gメッセ群馬など、学校も含めて基本的に公共施設は1.5の安全率をかける。大地震が来た時に、市庁舎が潰れてしまったら市民はどこを頼りにすればいいのか、そのことで役所の職員が右往左往しているのではダメですということ。国も合併特例債もだが、大地震が来ても壊れない建物を作りなさいという国の政策で援助している。それらを含め、建替えか補強か、委員で考えていただくかたちなのだと思う。
会長:どちらか、ゼロかイチかではなくいろいろな要因があるので、これから委員のなかで市庁舎の用途やどう使うか機能を考えていき、今ある庁舎と見比べたときに、どうなのかという話につなげていければと思う。
委員:合併特例債は令和8年(3月末)まで使えるとのことだが、使える金額、合併特例債でまかないきれるのかどうか、建物を建て終わってなければいけないのかなど情報あれば。
事務局:令和8年3月末までに庁舎が供用開始されていることが合併特例債の条件。合併特例債の限度額は現状では 36 億円あまり。
会長:全額というわけにもならなそうだが、庁舎の規模による部分もありそうなので、おいおいこちらも話し合えればと思う。
委員:現庁舎が建っている場所の敷地面積は。建替えの場合はどこまでの施設を新しい庁舎に入れることを考えて検討しているのか。
事務局:現庁舎の敷地面積は正確な数字が手持ちでないので、次回報告する。これから日程が進むのに当たって、どういう庁舎が必要か議論のなかで検討していくことになる。旧庁舎と中庁舎が老朽化していてほうっておける状態ではないためそこだけ対応するか、あるいはもっと機能を増やすかなどによって内容が変わってくるが、現時点で前提としていただけるようなものはない。
委員:資料6の報告書では、本庁舎と松井田庁舎を合体させる前提で庁舎面積も考えていたが、今回はゼロから考えるということか。
事務局:資料6の10ページの第8回の会議では役所の効率性、合理性の理想で考えれば一か所に機能を集中させるのがよいという原則論の一方で、広範な地理条件や松井田庁舎は比較的新しい建物であるから有効活用を考慮し、分庁方式を含めた検討を今後詳細に行っていくことが必要と、市の事前準備組織でも結論を出している。庁舎機能をどうするか、各庁舎が分散していて、どこを改修するかそのまま使うかなど種々の条件があるなかで、市民懇談会を重ねながら、複合的にご検討いただきたいと考えている。
会長:旧庁舎、中庁舎は耐震性の面からはあやしいという事務局の話で、庁舎が備えるべき機能は委員のなかで考えていき、機能に見合うサイズが決まってきた段階で、次にどうするか考える。物理的な庁舎の耐久性の部分と求める機能面が今の議論で一緒に走っている状況である。
委員:旧庁舎と中庁舎は何もしなくてもいいという状況ではない。耐震診断の結果からすれば、大地震が来た時に補強なりお金をかけてなにかしないと潰れてしまうということなので、その現状をご理解いただきたいというのが、今回の会議の趣旨と事務局はしているのではないか。建て替えるのであれば、どういう機能を入れようか、新しい場所にするか、補強するだけにしようかは、委員で今後議論するということであると思う。
会長:内覧の時間もあるので、後日でも追加質問などあれば事務局に連絡いただき、次回以降会議の場でも答えるなど透明性をもってやっていければと思う。

(4) 庁舎内覧
[事務局より資料No,13 により説明、内覧]
(内覧を希望しない委員はこの時点で退室した。)

〈説明要旨〉
・密対策のため、2班に分かれて配置図(資料 13)も参考にしながら建築住宅課職員の案内により庁舎を内覧いただき、耐震診断結果が出た箇所やひび割れ箇所、バリアフリーの観点などから確認いただきたい旨説明。

内覧箇所:旧庁舎望楼、議場、傍聴席、3階廊下、3階旧庁舎トイレ前、保健センター2階、2階旧庁舎トイレ(危機管理課前)、土木課前、当直室前、1階旧庁舎トイレ前、地下書庫、福祉課前、1階防災無線室前

[質疑応答等]
会長:質疑応答を予定しておったが、時間も押していることもあるので、本日は状況を把握、実態を観ていただくという目的は達成できたとして、質疑応答は省略して、全ての議事を終了したということで、事務局に進行を返します。

7 その他
次回の会議日程について
(日時:令和2(2020)年7月29日(水)午後6時30分から2時間程度)
(場所:安中市役所本庁舎3階 委員会室)

8 閉会(午後9時6分閉会)
事務局:これをもって第1回庁舎に関わる市民懇談会の会議を閉会とします。長時間にわたり誠にありがとうございました。
**********

■その後、現在までに第2回、第3回の会議が既に開催されました。あらましは安中市のHPで公表されています。

<第1回会議>
 日   時:令和2年6月23日(火)午後6時30分から午後9時6分まで
 会   場:安中市役所本庁舎3階 委員会室
 議論テーマ:現庁舎の現状と課題の把握
 〇第1回会議録PDFファイル( https://www.city.annaka.lg.jp/gyousei/soumu/kikaku/files/choushakaigiroku1.pdf
 〇第1回会議資料(13以外)PDFファイル( https://www.city.annaka.lg.jp/gyousei/soumu/kikaku/files/1choushasiryou1-12.pdf )
 〇第1回会議資料13PDFファイル( https://www.city.annaka.lg.jp/gyousei/soumu/kikaku/files/1choushasiryou13.pdf )

<第2回会議>
 日   時:令和2年7月29日(水)午後6時30分から午後8時22分まで
 会   場:安中市役所本庁舎3階 委員会室
 議論テーマ:市役所庁舎の機能・役割に何を求めるか
 〇第2回会議録PDFファイル( https://www.city.annaka.lg.jp/gyousei/soumu/kikaku/files/choushakaigiroku2.pdf )
 〇第2回会議資料①PDFファイル( https://www.city.annaka.lg.jp/gyousei/soumu/kikaku/files/2choushasiryou1.pdf )
 〇第2回会議資料②(各種事例からの視座)PDFファイル( https://www.city.annaka.lg.jp/gyousei/soumu/kikaku/files/2choushasiryou2kakushujirei.pdf )

<第3回会議>
 日時(予定):令和2年8月25日(火) 午後6時30分から2時間程度
 会場(予定):安中市役所本庁舎3階 第305会議室
 議題(予定):市役所庁舎の機能に何を求めるか(意見交換)
 傍 聴 人:10名(予定)

<第4回会議>
 日時(予定):令和2年9月予定
 会場(予定):会場未定

<第5回会議>
 日時(予定):令和2年10月予定
 会場(予定):会場未定
*********

■7月29日の情報開示で安中市企画課と面談した際、この問題についての現時点での当会としての考え方として「現在ある市役所の場所で、耐震構造に問題のある建物を特定し、必要な補強を実施すること。その場合、建て替えた方が多少コスト高でも公共施設としての防災機能を完備する必要があるため、安全優先の観点から、スクラップ・アンド・ビルト(同じ場所での解体・撤去・新築を伴う建て替え)が望ましい。既に、松井田庁舎、谷津庁舎を取得しているのと、今後の少子化や、コロナ後の行政の事務事業の在り方を見据えて、一極集中は望ましくなく、安中高校跡地への全庁舎統合を前提として新築は論外である」旨、伝えました。




市役所の駐車場に隣接するタゴ51億円横領元職員の自宅。タゴに対する約24億円+遅延損害金の債権を直ちに行使すれば、市庁舎建替えのためにわざわざ合併特例債を使う必要はないはず。なお、タゴの債務履行の一部として、隣接するこの土地を、安中市に譲渡させることも十分検討に値する。

 とりわけ、現在、市役所の駐車場に隣接して元安中市都市計画課兼安中市土地開発公社職員だったタゴの配偶者の親族の土地のうえに、タゴの家が建っており、群銀への和解金103年ローンのあと82年分を残すこの時点で、このモニュメントのある現在の場所から移転することは、市民感情からしても到底容認できないはずです。

 引き続き、当会としても、この庁舎移転問題について注視していきたいと存じます。

【10月11日追記】
 10月3日に市庁舎建設への提言を積極的に行っている市民団体によるシンポジウムが安中公民館で開催されました。当会が特に関心を抱いたのが、タゴ元職員の親族が所有する市役所駐車場に隣接する土地についてです。ここを取得すると、庁舎建替え向けてレイアウト的にも非常に土地の利用効率がアップするという説明がありました。動画の18:40あたりからぜひご視聴ください。
※参考URL ⇒ http://pumpkin9b.blog.fc2.com/
**********
●これでいいのか!庁舎建設
群馬県安中市庁舎建設への提言

https://youtu.be/BlvHCHZ6Keg
安中市まちづくりワンワンチーム
第5回 住民シンポジュウム
・主催 安中市まちづくりワンワンチーム
・日時 2020.10.3(土) ・場所 安中公民館
・テーマ【まちづくりから市庁舎建設を考える】
   ­建築家からの一つの提案­
・提案者 水上 勝之 氏 (一級建築士、日本建築家協会会員)
   ※無事、終わりました。
   ・分かり易く、目から鱗の提案でした。
   ・水上さんのお話しは、最高でした。とのご感想を多くの参加者から戴きました。
----------------------------------------------------------
提案の目次:
----------------------------------------------------------
0:00 自己紹介・JIA群馬クラブのテーマについて
5:27 安中市のカタチ
12:12 安中市庁舎を考える
13:05 庁舎の統合型か分散型か?
16:20 安中庁舎・配置図から庁舎の位置を考える
(18:40 タゴ元職員の親族所有地に関する説明)
25:00 安中高校跡地をどうする?
25:46 安中市まちづくりと安中高校跡地利用の提案
----------------------------------------------------------
・本シンポジュウムは、住民が理想的な市庁舎について自分たちで考え、話し合う場です。
●第5回住民シンポジュウム 討論・質疑応答
2020/10/07
https://www.youtube.com/watch?v=Fqumw-rT3f4

【ひらく会情報部】

※関連情報「市庁舎建て替え問題についての報道記事」
**********東京新聞2020年7月27日 07時30分
市庁舎建て替え考える 安中でシンポ 安中市

市庁舎建設の経緯や状況を説明する参加者=安中市で
 築六十年以上経過し、老朽化した安中市庁舎の建て替え問題を考える市民グループ「安中市まちづくりワンワンチーム」が、市民シンポジウム「まちづくりから考える市庁舎建設」の第一回を安中公民館で開いた。市民約二十人が参加し、既存の市松井田支所庁舎(旧松井田町役場)の有効活用などを話し合った。
 シンポは、市庁舎の役割や建設のあり方などをテーマに市民から提案してもらい、住民の立場から行政に提言するのが狙い。月一度のペースで十回を予定し、インターネットで動画配信もする。
 初回は同チームのメンバーが将来の人口予測や県内外の庁舎建設問題などを説明し、新庁舎建設の問題点を指摘。松井田支所の庁舎は建設が比較的新しく、非常用発電機も備えるなどの点から、同庁舎の活用による費用圧縮を提案した。
 参加者からは「大きな建物はいらない」「市民目線では、既存庁舎を活用していくことが重要」などの意見が出た。同チームの吉永真会長は「今はお金を防災や減災に使うべきではないか」と話した。
 市庁舎建設では、市が設置した市民懇談会や市議会特別委員会で協議している。一方、住民側でも「市庁舎建設を考える市民の会」と「安中市まちづくり研究会」の二つの市民団体が発足。両団体有志が一月、シンポ開催を目的に同チームを設立した。(樋口聡)

**********朝日新聞2020年6月27日 10時30分
群馬)市民、市庁舎の古さに驚き 安中市の建て替え問題


古びた庁舎内を見学する委員ら=2020年6月23日午後9時1分、群馬県安中市安中1丁目、野口拓朗撮影
 築61年と老朽化した群馬県安中市庁舎の建て替え問題に関する市民懇談会の初会合が23日夜、市役所であった。委員らは会合後、東日本大震災でひびが入った壁などを見学。深刻な老朽化に驚いていた。
 懇談会には大学の教員や学生、商工会関係者ら委員15人が出席した。市側が、県立安中高校跡地への移転新築や現在地での建て替えといった諸案や、過去の耐震診断結果などの建て替え問題の概要を説明。委員からは「高齢化が進み、移動に苦労するので広さよりコンパクトで階数が多いほうがいい」「防災拠点として丈夫な構造が必要」などの意見が出た。
 会長には小竹裕人・群馬大社会情報学部准教授を選んだ。懇談会は10月まで5回開き、経費や機能などを踏まえた提案書を茂木英子市長に提出する予定。(野口拓朗)

**********毎日新聞2020年6月26日
庁舎の将来像考える 市民懇談会が初会合 安中 /群馬

「旧庁舎」の塔屋を視察する市民懇談会のメンバーら=群馬県安中市で
 老朽化した安中市本庁舎の今後を考える市民懇談会の初会合が23日夜、同庁舎であった。10月下旬をめどに、移転や新改築などを含めた本庁舎の将来像を茂木英子市長に提案する。
 本庁舎は主に5棟で構成。このうち3棟は1981年5月以前の旧耐震基準で建てられている。市は2006年度に3棟のうち旧庁舎(59年築)と中庁舎(69年築)の耐震診断を実施。その結果、旧庁舎の耐震性は「非常に低い」、中庁舎は「低い」と診断された。
 05年築の庁舎に全部署を収容するのは不可能で、市は庁内に検討組織を作り、17年に「移転新築が最善」とする報告書を市長に提出している。
 懇談会は市民の意見聴取の場として設置。公募で選ばれた市民や学識経験者ら18人で構成する。初回は市側から庁舎の現状説明を受けた後、庁舎内を視察。「東日本大震災の際に庁舎と庁舎のジョイント(つなぎ目)部分が開いた」といった説明をメンバーは熱心に聞いた。【佐藤伸】

*********産経新聞2020年6月22日07:09
安中市庁舎のあり方検討 あす初の市民懇談会
 安中市は、新型コロナウイルス感染拡大の影響で3カ月近く延期していた「安中市庁舎に関わる市民懇談会」の初会議を、23日に市役所で開く。新庁舎(平成13年建設)▽旧庁舎(昭和34年建設)▽中庁舎(同44年建設)▽西庁舎(同39年建設)-で構成される市庁舎のあり方を検討する。
 多くの部署が入る旧庁舎と中庁舎は耐震面で大規模改修や補強の必要性が指摘されており、懇談会では、こうした現状を踏まえ、建て替えや移転などを含めたハード面や庁舎に求められる機能などソフト面での対応を幅広く議論する。
 メンバーは団体代表や有識者ら18人で、10月下旬には方向性をまとめて、茂木英子市長に提言する。
 市は庁舎建設基金を積み立てており、金額は令和元年度末時点で4億2700万円。

**********朝日新聞デジタル2020年5月11日11:00
群馬)庁舎老朽化 期限や財源に苦慮する自治体

老朽化が激しい安中市役所の旧庁舎。右は築19年の新庁舎=2020年4月24日午後0時11分、安中市安中1丁目、野口拓朗撮影

安中市役所の旧庁舎の床に貼られた粘着テープ=2020年4月24日午後0時6分、安中市安中1丁目、野口拓朗撮影

外壁の傷みが目立つ安中市役所の旧庁舎=2020年4月24日午前11時25分、安中市安中1丁目、野口拓朗撮影
 大災害時に司令部となる自治体庁舎。老朽化した建物が大地震で倒壊、機能不全に陥ると危惧される庁舎もある。老朽化が著しい群馬県などの事情を報告する。
 人口約6万の安中市。安中1丁目にある市役所の中でも、鉄筋3階建ての「旧庁舎」は建てられてから61年がたつ。外の金属製雨どいはさびつき、クモの巣だらけ。庁内の天井には雨漏り跡がのぞき、はがれた床には粘着テープがはりつけられ、壁にはあちこちひび割れが。「東日本大震災の時に入りました。こんど大地震が来たら3階が落ちてくるかも。身の危険を感じながら仕事をしている」と職員。
 旧庁舎と連結している中庁舎も築51年、西庁舎は築56年。14年前に実施した耐震診断では、耐震性が低く、大規模な改修や補強が必要とされ、大規模地震での倒壊が懸念されている。
**********

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東電の毒牙から赤城と県土を守れ!…当会が上告理由書と上告受理申立書を東京高裁第22民事に提出

2020-08-28 23:06:00 | 前橋Biomass発電問題・東電福一事故・東日本大震災
■2019年10月31日に前橋地裁で全面敗訴となった東電グループの関電工による前橋バイオマス燃料・発電施設の差止を求める住民訴訟は、原告が直ちに控訴手続きを取り、この度、控訴人として、1月6日付で控訴理由書を東京高裁に提出しました。その後、高裁で手続きをとり、控訴審第1回期日が2020年3月9日(月)14時30分から東京高裁4階424号法廷でひらかれ、即日結審しました。その際、判決日は5月20日(水)13:10に言い渡される予定でした。しかし、4月から感染者が急増したため、裁判所の審理も一時中断を余儀なくされ、判決日は一旦取り消しとなりました。その後6月22日(月)13:10に判決が言い渡され、一審判決全面支持の原告敗訴が決まりました。
 そのため、地元住民の皆さんと相談の上、上告を決意し、7月6日に上告手続きを取ったところ、同9日に東京高裁第22民事部から上告提起通知書・上告受理申立て通知書が送られてきました。そして、本日、提出期限日の8月28日に東京高裁を訪れて、上告理由書と上告受理申立書の2件の書類を民事第22部に提出しました。



 当日は、高崎発13:54の上越新幹線とき320号で東京駅に向かいました。14:44東京駅到着後、丸ノ内線に乗り換え霞ヶ関まで行き、裁判所には炎天下の15時05分頃到着しました。

 なお、2018年4月25日(水)午後4時30分に開かれた第8回弁論準備以降、これまでの本件裁判に関する情報は次のブログ記事を御覧下さい。
○2018年6月15日:東電の毒牙から赤城と県土を守れ!…6月20日前橋バイオマス補助金返還第9回弁論に向け原告が準備書面(8)提出
http://pink.ap.teacup.com/ogawaken/2669.html
○2018年8月4日:東電の毒牙から赤城と県土を守れ!…9月5日前橋バイオマス補助金返還第10回弁論に向け被告が第7準備書面提出
http://pink.ap.teacup.com/ogawaken/2716.html
○2018年8月28日:東電の毒牙から赤城と県土を守れ!…9月5日前橋バイオマス補助金返還第10回弁論に向け原告が準備書面(8)提出
https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/2737.html
○2018年10月2日:東電の毒牙から赤城と県土を守れ!…10月26日前橋バイオマス補助金返還第11回弁論に向け原告が証拠申出書を提出
https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/2767.html
○2018年10月6日:東電の毒牙から赤城と県土を守れ!…10.26前橋バイオマス補助金返還第11回弁論に向け被告第8準備書面が届く
https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/2772.html
○2018年10月27日:東電の毒牙から赤城と県土を守れ!…10.26前橋バイオマス補助金返還第11回弁論準備でついに証人尋問決定!
https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/2795.html
〇2019年1月22日:東電の毒牙から赤城と県土を守れ!…1.30前橋バイオマス発電訴訟第12回弁論準備に向けて被告陳述書2通が到来!
https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/2864.html
○2019年2月4日:東電の毒牙から赤城と県土を守れ!…前橋バイオマス補助金返還第12回弁論準備で4月24日に尋問決定!
https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/2876.html
○2019年7月17日:東電の毒牙から赤城と県土を守れ!…前橋バイオマス補助金返還訴訟が7月17日に結審!判決は10月31日(木)14時!
https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/2980.html
○2019年10月31日:東電の毒牙から赤城と県土を守れ!…前橋バイオマス訴訟の10月31日14時の判決を傍聴しよう!
https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/3061.html
○2019年10月30日:【速報】東電の毒牙から赤城と県土を守れ!…前橋バイオマス訴訟で原告住民全面敗訴判決!
https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/3065.html
○2019年11月1日:東電の毒牙から赤城と県土を守れ!…原告住民全面敗訴判決のこれが全文!
https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/3066.html
○2019年11月1日:東電の毒牙から赤城と県土を守れ!…原告住民全面敗訴判決から見える裁判官の一分(いちぶん)とは
https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/3067.html
○2019年11月14日:東電の毒牙から赤城と県土を守れ!…前橋バイオマス訴訟一審敗訴を受け原告が控訴状提出!
https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/3073.html
○2020年1月18日:東電の毒牙から赤城と県土を守れ!…控訴審第1回期日が3月9日14:30東京高裁424号法廷で開催
https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/3113.html
○2020年2月26日:東電の毒牙から赤城と県土を守れ!…控訴審第1回期日3月9日が迫り群馬県から控訴答弁書
https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/3120.html
○2020年7月7日:東電の毒牙から赤城と県土を守れ!…6月22日の控訴審敗訴判決により、7月6日最高裁に上告!
https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/3178.html
○2020年8月8日:東電の毒牙から赤城と県土を守れ!…なんと福島県でも除染を隠れ蓑にした木質バイオ発電計画が進行中
https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/3188.html

■地上に出ると、裁判所の前の歩道に大勢の人だかりが見えました。プラカードを見ると、神奈川アスベスト訴訟原告団及び支援者のかたがたでした。どうやら本日判決が言い渡されるようです。



 人だかりの間を縫って裁判所に入りました。いつものように玄関先でアルコール消毒液を手に振りかけた後、荷物検査を通過し、エレベーターで15階に高裁第22民事部を目指しました。

 受付で用件を告げると、書記官が直ぐに理解し、奥から分厚い裁判資料を持って来て、事件番号を照合し、添付された副本の部数が7部あることを確認すると、「確かにお預かりしました」と言い、理由書をファイルに綴じました。

 8月28日の午後3時20分頃、東京高裁に提出した上告理由書の内容はそれぞれ次の通りです。

*****上告理由書*****ZIP ⇒ 20200828rioocixij.zip
令和2年(行サ)第67号住民訴訟によるバイオマス補助金支払差止請求控訴事件
上 告 人 小川 賢
被上告人 群馬県知事 山本一太

       上  告  理  由  書

                          令和2年8月28日

   最高裁判所 御中

                 上告人 小 川   賢 印

 頭書の事件について,上告人は,次のとおり上告理由を提出する。

           上 告 の 理 由
1 憲法解釈の誤り
(1)憲法25条
   日本国憲法第25条は、(1)「すべて国民は健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。」、(2)「国は、すべての生活部面について社会福祉、社会保障及び公衆衛生の向上及び増進に努めなければならない。」と、規定している。これは国民には生存権があり、国家には生活保障の義務があるという意である。
   それまで赤城山の麓で平穏な生活を享受していた国民・住民らが、とつぜん強大な企業の子会社による営利目的の為にはじめられたバイオマス発電事業により、健康で文化的な生活が乱され、すべての生活部面におけるメリットが奪われた。なぜならば、放射能で汚染された森林から伐採した樹木由来の木質チップを大量に集荷し、燃焼させることにより、濃縮された放射能が灰や、排ガスや排水、さらに粉塵のほか、チップを粉砕・脱水・運搬・燃焼するための設備から発する騒音や振動、臭気等を通じて、わずか150mの地点に済む住民への生活環境の保全にデメリットを与えている。
   憲法に定めた国民の基本的な権利を担保するために、最小限の手段として設けられた環境アセスメントさえ行わず、東京電力の筆頭子会社の関電工主導による営利事業がなぜまかりとおるのか、これまでの原審、控訴審を通じて、裁判所はそうした見地からの判断を全く下さず、補助金の対象は前橋バイオマス燃料㈱であり、前橋バイオマス発電㈱とは別法人だから、国民の訴えは無効であるなどとする判断を司法が行ったとすれば、あまりにも憲法を無視しており、主権在民の国家とは到底言えない。
(2)憲法13条
   さらに日本国憲法第13条には、個人の尊重(尊厳)、幸福追求権及び公共の福祉について規定し、第11条・第12条とともに、人権保障の基本原則を定めている。このうち、幸福追求権は、東電の子会社のような強大な企業の利潤追求権よりも、決して劣ることはないはずである。本来、こうした企業VS住民の間に摩擦が生じた場合は、国や地方公共団体は、社会的弱者である一般国民・住民に対してより多くの配慮をすることが求められる。しかし、本事件においては、地方自治体である群馬県は、圧倒的に企業側(しかも原発事故の原因者である東京電力の子会社!)に配慮し、忖度し、企業側の都合のみを勘案し、以前から国民・県民・市民として納税義務を果たし、地元で営々と生活をしてきた住民側に対して裁判所はあまりにもひどい判決を言い渡した。
 2 上告人の主張
   たしかに、企業でも個人でも、活動する上にで、どうしても環境に対してはなんらかの影響を与えるものであるから、裁判所が、本事件で住民側が当初希望した絶対的な差止めを認めたくないのかもしれない。だからといって、控訴審で東京高裁から事前のアンケートが配られ、そこに上告人として「せめて環境アセスメントの実施を条件に和解に応じる用意がある」と記入した。なぜなら、住民側の最小限の生存権に配慮してほしい」と願ったからである。
   人間社会ではつねに利害の適正な衡量が必要であり、裁判所はそのために和解を勧めると聞いている。しかし、東京高裁の裁判長は、結局、強大な企業側と、あまつさえ、その企業が群馬県にやってきて放射能汚染の拡大事業を迅速に推進できるよう加担する、行政として強大な権限を有する群馬県の言い分のみに耳を傾け、判決に反映させた。
   原審の判決を言い渡した裁判長は、別訴(前橋地裁平成29年(行ウ)第8号)で、群馬県が社会参加費という税金に基づく交際費を使って、記者クラブと毎年1回、定時後に前橋市内の一流の宴会場を借り切り、県政懇談会と称して、その実、どんちゃん騒ぎをやっていた事件で、課長や課員まで参加して飲み食いしていた事実を把握し、県知事を相手取り、宴会参加職員の会費の返還を求める損害賠償請求を促して争っていた上告人に、和解を勧めたが、その際、概ね次のように語った。
  「我々裁判官は陪席も含めて3名しかいない。かたや群馬県の職員は正規職員だけでも6千人を優に超える。したがって、3名で6000人余を相手にしているのも同然。行政を勝たせないと後の影響(たぶん自身の出世のことと思われる)が心配なので、いちおう調書で小川さんら市民オンブズマン群馬の言い分を明記するので、請求を自主的に取り下げてほしい」
   上告人は「へえ、裁判官とはそのようなものか」とたまげたが、真剣なまなざしの裁判官の強い要請を受け入れ、「今回限り」ということで取り下げたことがある。
   このことから、住民訴訟で、裁判所が行政の肩をなぜ持つのか、そのためになぜ住民訴訟で勝訴の確率が極めて低いのか、痛感させられたことは事実である。
   しかし、そのような背景を以てしても、本事件では、あまりにも強大な企業と組んだ行政側に肩入れし過ぎた判決であることは明らかである。
   業者の利潤追求による裨益効果と、国民の平穏で安全・安心な生活享受とを全く比較考量せず、しかも本来適用されるべき排ガス量4万ノルマル立法メートルという大気汚染防止法にも定めた規模要件を上回っているにもかかわらず、特例としてなんら意味のない水分量という曖昧な物差しを用いて、排ガス量の計算を意図的に操作することで、特定の業者の思惑を優先した行政の横暴さを裁判所が看過することはあってはならない。
   上告人は、上記の業者の経済活動自由に基づく利潤追求欲求と、住民の生存活動における安心安全な生活享受欲求とを比較考量するための、環境アセスメントは少なくとも実施されるべきだと考えて、東京高裁に控訴した際にも、そうした配慮を裁判所にお願いした。せめて環境アセスメントを実施することにより、安心安全な住民の最小限の生存権が担保されることが、業者の利潤追求とのバランスにおいて、考慮されることが妥当な判断だと信じ、それを裁判所に期待したのであった。
   生存権にも大きく関連する環境基本法においても、国・地方公共団体・事業者・国民(=住民)の責務として、環境への負荷の少ない持続的発展が可能な社会の構築、国際的協調による地球環境保全の積極的推進、環境基本計画や環境基準の策定などを規定している。国を構成する法人・個人として、業者と住民は少なくとも対等な立場であるはず。にもかかわらず、原判決、二審判決智、100%業者側に都合よく相手方行政たる群馬県は主張し、その極めて偏った主張を裁判所はすべて容認した一方で、上告人ら住民側の主張は、ただのひとつも判決の中で認められず、判決内容は不当としか言いようがない。
   すくなくとも住民側の生存権に少しでも思いが至れば、条例に基づく環境アセスメントを実施させることが、公平な裁判を通じて、憲法で保障されている私たちの権利や自由を守る、大切な役割を担っているとされる裁判所の責務ではないか。
   また、裁判所の中でも国会でつくられる法律が憲法に違反していないかどうかを最終的に判断する役割を担っている最高裁判所においては、まさに、国民の生存権と幸福追求権の観点から、今回の極めて片務的な原審および控訴審判決を破棄するよう、賢明な判断をお願いしたい。
 3 以上によると、原判決は違法であり、破棄されるべきものである。

附 属 書 類
1 上告理由書副本              7通
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■続いて、一緒に提出した上告受理申立て理由書の内容は次の通りです。

*****上告受理申立て理由書*****ZIP ⇒ rioocixij.zip
令和2年(行ノ)第69号住民訴訟によるバイオマス補助金支払差止請求控訴事件
申 立 人 小川 賢
相 手 方 群馬県知事 山本一太

          上 告 受 理 申 立 て 理 由 書

                          令和2年8月28日

   最高裁判所 御中

                 申立人 小 川   賢    印

 頭書の事件について,申立人は,次のとおり上告受理申立て理由を提出する。

           上告受理申立ての理由
1 地方自治法第2条の次の各項の解釈の誤り
(1) 同条第14項 地方公共団体は、その事務を処理するに当つては、住民の福祉の増進に努めるとともに、最少の経費で最大の効果を挙げるようにしなければならない。
(2) 同条第16項 地方公共団体は、法令に違反してその事務を処理してはならない。なお、市町村及び特別区は、当該都道府県の条例に違反してその事務を処理してはならない。
(3) 同条第17項 前項の規定に違反して行った地方公共団体の行為は、これを無効とする。
2 各種法令違反
(1) 大気汚染防止法施行規則の別表第6(法第16条関係)の四の解釈の誤り
  原判決は、前橋バイオマス燃料施設が、騒音基準値を超えていると訴えた申立人(一審原告、二審控訴人)の主張を一顧だにしないまま、「その他、控訴人は、原判決の事実認定等を種々論難するが、その主張するところを踏まえて本件記録を精査しても、原判決の結論を不当とする事情は認められない」旨、二審判決でも判示したが、大気汚染防止法と騒音防止法の解釈を誤ったものである。理由は次の通り。
  前橋バイオマス燃料(株)のチップ加工用建物は平成27年度(繰越)群馬県林業・木材産業再生緊急対策事業補助金の支給を受けて建設されている。平成28年5月18日に前橋バイオマス燃料(株)及び前橋バイオマス発電(株)(以下「関電工関連会社」という)が前橋市・群馬県へ提出した前橋バイオマス環境配慮計画に「切削は、一般粉じんが飛散しにくい構造の燃料チップ製造所建屋内で行う。」と明記されている。なお、チップ加工用建物は環境配慮計画で「燃料チップ製造所」と記載されているため以下この名称を使用する。
  しかしながら燃料チップ製造所内で切削を行うと騒音規制法の規制基準値55㏈を守ることが出来ないため、あろうことか関電工関連会社は平成30年8月頃、燃料チップ製造所の北側の建屋外(屋外)で切削を開始した。この建屋外でも平成30年9月7日、前橋市の立入騒音測定結果、規制基準値を超えていたため改善の指導が行われた(甲78号)。
  同補助金で建設された燃料チップ製造所は、その目的を達成できないまま、建屋外でチップ切削を行っており、大気汚染防止法施行規則別表第6の四を遵守できておらず、結果としてチップ切削時の粉塵及び木材に含まれる放射性物資を大気中に放出している。この事実は近隣住民が動画で撮影しており、ゆるぎない真実である。よって、相手方は直ちに補助金の返還を関電工関連会社に求めなければならない。また、このことを看過した原判決は破棄されるべきである。
(2) 群馬県補助金等に関する規則の解釈の誤り
  1) 燃料チップ製造所の違反
    上記(1)により、相手方(一審被告、二審被控訴人)は群馬県補助金等に関する規則(以下「補助金規則」という)の(関係者の責務)第二条の二で定めた「補助金補助金等に係る予算の執行にあたる関係職員は、補助金等が県民から徴収された税金その他の貴重な財源で賄われるものであることに特に留意し、補助金等が法令、条例、他の規則及び予算で定めるところに従って公正かつ効率的に使用されるように努めなければならない。」に自ら違反している。よって、相手方は直ちに補助金の返還を関電工関連会社に求めなければならない。また、このことを看過した原判決は破棄されるべきである。
  2) 木質バイオマス燃料を集積するための専用運搬車2台の違反
    前橋バイオマス燃料(株)は平成28年度の林業・木材再生緊急対策事業として補助金14,700,000円の交付申請を行い前橋バイオマス発電(株)へ木質バイオマス燃料を集積するため専用運搬車2台を購入した。しかしながら、専用運搬車の1台(登録ナンバー:前橋は198)は週1回の頻度で木質バイオマス燃料を搬入しているものの、同じく登録ナンバー:No.199の専用搬入車は2年もその姿を見かけていない。
    木質バイオマス燃料の運搬は主に横坂運輸の木質バイオマス専用車で2回/日以上搬入されている。この事実は前橋バイオマス発電(株)への木質バイオマス燃料専用運搬車として購入したにも関わらず利用していないか、他の事業に転用している可能性がある。
    いずれにしても、被告は補助金規則の(関係者の責務)第二条の二で定めた「補助金補助金等に係る予算の執行にあたる関係職員は、補助金等が県民から徴収された税金その他の貴重な財源で賄われるものであることに特に留意し、補助金等が法令、条例、他の規則及び予算で定めるところに従って公正かつ効率的に使用されるように努めなければならない。」に違反しているのは明らかである。よって、相手方は直ちに補助金の返還を関電工関連会社に求めなければならない。また、このことを看過した原判決は破棄されるべきである。また、相手方は、税金その他の貴重な財源を投入したのだからどのように活用されているのか、調査して説明責任を果たす責務がある。
    相手方の順法精神の欠如は著しいものがあり、施設周辺の地域住民が群馬県環境森林部林業振興課あてに、関電工関連会社の前橋バイオマス燃料㈱が保有する補助事業で整備した施設(機器類含む)について、平成30年7月19日付で公開質問状のかたちで問い合せをした。その結果、相手方は、同年8月3日付林新30260-10号で回答をよこした。その内容は「個別事業者の事業活動に関する情報となりますので、回答は差し控えさせていただきます。」であった。(公開質問状および回答は添付参照)
    地域住民が、関電工関連会社による補助事業で整備した施設(機器類含む)の稼働状況、設置場所及び補助事業から逸脱した運用をしている可能性があるため、公開質問状で相手方に問い合せたにもかかわらず、こうした不誠実な回答は補助金規則(関係者の責務)第二条の二第2項に定めた「補助金等に係る予算の執行にあたる関係職員は、補助金等が県民から徴収された税金その他の貴重な財源で賄われるものであることに特に留意し、補助金等が法令、条例、他の規則及び予算で定めるところに従って公正かつ効率的に使用されるように努めなければならない。」に違反する行為である。よって、相手方は直ちに補助金の返還を関電工関連会社に求めなければならない。また、このことを看過した原判決は破棄されるべきである。
  3) 関電工関連会社が自ら作った環境配慮計画の環境基本法違反
    関電工関連会社は、平成28年5月18日付で前橋バイオマス環境配慮計画を自ら策定して相手方と前橋市に提出している。燃料チップ製造所(環境配慮計画に記載されている呼称)の操業時間は「月曜日~金曜日 午前8時~午後6時」と規定しているがプレス式脱水乾燥機は土曜日、日曜日も稼働している。移動式チッパ―は燃料チップ製造所建屋内で行うと規定しているが建屋外で稼働している。被告は補助金規則 関係者の責務第第二条の二で定めた「補助金補助金等に係る予算の執行にあたる関係職員は、補助金等が県民から徴収された税金その他の貴重な財源で賄われるものであることに特に留意し、補助金等が法令、条例、他の規則及び予算で定めるところに従って公正かつ効率的に使用されるように努めなければならない。」に違反している。よって、相手方は直ちに補助金の返還を関電工関連会社に求めなければならない。また、このことを看過した原判決は破棄されるべきである。
    この他にも、補助金で調達したボルボ製大型トレーラーも利用頻度が少なく、もともと本事業で必要があったのかどうか疑わしく、当初から関電工関連会社が別の用途に使用することを念頭に、本事業に含めて補助金を不正流用したとみられる。
さらにあからさまに補助金を騙し取っているのは、プレス式脱水乾燥機である。これは関電工関連会社のもうひとつの出資者であるトーセンが自社開発したもので、単なる2000トン油圧プレスなので、せいぜい2000万円のものが、なんと2億5000万円で、関電工関連会社がメーカーの川崎油工から随契で購入した。おそらく巨額の技術料がメーカーからトーセンに支払われているはず。
(3) 騒音規制法の解釈の誤り
  関電工子会社の前橋バイオマス発電㈱は、平成30年3月4日の営業運転開始以来、夜間の騒音が敷地境界で騒音規制法の規制基準値45dBを超過して違法操業をしており、未だに改善されずにいる。
  この間、地域住民は何回も前橋市環境森林課に騒音測定の申請を行い、平成30年12月3日に前橋バイオマス発電㈱の敷地境界で前橋市の騒音測定が実施された。前橋バイオマス発電㈱は送風機が原動機出力7.5kW以上の送風機を設置しているため電気事業法・騒音規制法で定められた「特定指定工場」に該当する。
  前橋市環境森林課は平成30年12月3日21時~翌朝6時まで1時間単位の騒音測定をした結果、いずれの時間帯も45㏈値を満足していないと判定した。明らかに前橋バイオマス発電(株)は営業運転開始以来、違法操業していた。
  然しながら、前橋地裁の一審判決は令和元年10月31日の判決文34項7行から10行で「騒音規制法の基準値内となるように対策を行っていることが認められ、騒音規制法の違法操業状態であると認められず、原告らの上記主張は理由がないから採用できない。」としている。
  騒音規制法の業務を唯一担当している前橋市環境森林課は令和元年5月に騒音測定を実施したがカエルの鳴き声で騒音測定できなかった。その後、令和元年10月31日の判決日まで一切の騒音測定を実施していない。従って「違法操業状態であるとは認められず」との判断は公正な判決と言えない。
  前橋市環境森林課は同年11月21日に夜間の騒音測定を実施した。騒音のベース音の増加、ベルトコンベアの騒音(ギー音と呼称)、45㏈をはるかに超すスパイクが継続して測定されている。前橋バイオマス発電(株)の騒音規制法違反は前記した事実以外に平成30年3月の操業以来、同年6月、同年8月、及び令和2年2月27日に騒音規制値基準を超過する轟音が1時間以上も確認された為、令和2年2月27日の轟音については書類にて違法操業のクレームを申し入れた。前橋バイオマス発電所は原因と対策について書類を送付してきたが騒音「特定指定工場」の認識など皆無であり、自ら定めた環境配慮計画は機能していないと言える。(令和2年2月27日の騒音事件の原因と対策については、控訴審準備書面を参照)
   申立人は騒音について、弁論において例えば次の通り主張した。
   相手方(二審被控訴人)は、控訴答弁書の「18 同17項(その他,一審判決文で誤った解釈がなされた控訴人(一審原告)の主張)」の「(3)(3)(騒音の実態)」で、「原審は事実を証拠等により適切に認定しているから、控訴人の主張には理由がない」などと反論しているが、騒音の実態についての認識が完全に欠如している、として、申立人(二審控訴人)は、関電工が運用中の前橋バイオマス燃料・発電施設が発する騒音の実態について、事実の証拠にもとづき以下のとおり主張した。
  1) 前橋バイオマス発電所からの騒音で生活環境が著しく阻害されている地域住民は騒音規制法違反で操業している苦情を前橋市へ平成31年3月25日に陳情している。(甲89号証)
この陳情に対して前橋市から平成31年4月10日付で「このため、事業者に対して敷地境界で規制基準超過していることを伝え、発生音の改善について行政指導を行いました。今後は事業者に対し対応状況について確認していきたいと考えています。」との回答を頂いた。(甲78)
  2) 前橋市は対応状況の確認として令和元年5月16日、5月22日に敷地境界で騒音測定を実施した。16日は降雨、17日はカエルの鳴き声等により評価できなかった。しかし、スパイク音はグラフより確認出来る。(甲90号証)
    令和2年5月16日以降、令和元年10月31日判決言渡日までに前橋市の騒音測定は一切、実施されていない。従って令和元年10月31日原審は騒音の事実を適切に認定しているとは言えず失当である。
  3) 前橋市は同年11月18日に改善確認のため騒音測定を実施した。しかし、18日は一時降雨があったため21日を追加測定した。一時間単位の騒音グラフによるとスパイク音のみならず、ギー音、ベース音の増加が両日とも顕著に確認されている。(甲91号証)
    前橋バイオマス発電の操業開始以来、騒音改善されておらず、現在まで続いている事実は地域住民の生活環境が著しく阻害されていることを証明している。
  4) 前橋市は平成30年12月3日と令和元年11月18日、21日の午後9時から10時までの騒音値グラフを令和2年1月15日に開示した。このグラフによると平成30年12月3日と令和元年11月18日、21日の騒音値は是正されているどころかベース騒音も増加していることが明確となった。(甲92号証)
  5) 甲90号証~甲92号証は前橋バイオマス燃料・前橋バイオマス発電所による住環境被害を受けている住民団体が前橋市への苦情申入れにより、騒音規制法で定める特定指定工場の騒音測定の実務の結果である。前橋市と地域住民団体との交渉は近藤よしえ前橋市議が立ち合い、第三者の証明があることを追記する。
  このように、前橋バイオマス燃料施設が、騒音基準値を超えていると訴えた申立人(一審原告、二審控訴人)の主張を一顧だにしないまま、「その他、控訴人は、原判決の事実認定等を種々論難するが、その主張するところを踏まえて本件記録を精査しても、原判決の結論を不当とする事情は認められない」旨、二審判決でも判示したが、大気汚染防止法と騒音規制法の解釈を誤ったものである。
(4) 関電工が計算した排ガス量は3万8483ノルマル立方メートルとした空気比1.3の根拠を検証しない行為は地方自治法第2条の解釈の誤り。
  申立人は、排ガス量を計算している空気比に問題があり、前橋地裁にて再議論して頂きたいと主張した。被告は平成30年10月3日の前橋地裁にて求釈明にて「本訴訟の争点の審理に直接関連性がないとして釈明の必要がない」と断じ、根拠を示していない。一方、控訴人は科学的根拠に基づいた空気比を示し、排ガス量の計算値を示している。なお、詳細は控訴人準備書面(1)に記載している。
  この計算値から水分量を考慮した群馬県の運用を採用しても環境アセスメントの実施基準4万ノルマル立方メートルを超過し、52,953ノルマル立方メートルであり、前橋バイオマス発電は条例違反している。環境アセスメントの条例を関電工の事業に運用規定を設定してまで便宜を与えたにも拘わらず、これを検証しない原判決、二審判決は地方自治法第2条の解釈の誤りであり公正な判決と言えない。
  念のため、このことの証左として、次の例を挙げる。
   平成30年10月3日付の被告被告第8準備書面で、被告である相手方は次のように主張した。
    6 原告準備書面(9)第2-4項(「求釈明9について」)における求釈明について
    (1) 求釈明事項
      「・・・だが,メーカーに提出したサンプルの素性や量を明確にした上での試験結果,さらには,先行機の実績データや燃料の素性や条件,ボイラー性能などが明確にされなければ納得できるものではない。さらなる釈明を求めたい。」
    (2) 被告の回答
      空気比の値を「1.3」としたことについて,被告は,第6準備蓄面第2-2項(2)のとおり,木質バイオマス発電で使用される同種のボイラーにおける一般的な空気比として「1.0~l.5」とされていること(乙13)を挙げ,妥当である旨主張した。
      これに対し,原告らは,「あれだけ水分最の多いチップを燃焼させるのだから,燃焼に必要な空気量は,1.5を遥かに超える可能性がある。」 などと反論するものの(原告準備書面(8)12頁),上記空気比の仮定値が不合理であることを示す具体的な現由を主張するものではない。この点,本訴訟の争点は,本件発電事業が条例アセスメントを実施していない違法の有無であり(争点1-(1)-イ),同事業に関する一切の情報を明らかにすることではない。
      したがって,原告らが求める情報が本訴訟の争点の審理に直接関連性を有するものではない以上,釈明の必要性はない。
   このことは行政の基本である説明責任を法廷において相手方が放棄したことの証左である。それを判決で指摘しないことは失当である。
(5) 温泉法の解釈の誤り
  群馬県薬務課によれば、温泉を湧出させる目的で土地を掘削しようとする場合は、温泉法に基づき事前に許可を受ける必要があり、今回は関電工関連会社が「工場の冷却水に使うため」としているが、掘削の目的をあらためて確認する必要があり、その結果によっては温泉の掘削許可申請をする必要があると明言している。また、ポンプなど動力装置を設置して温泉をくみ上げようとする場合にも、事前に許可を受ける必要があり、その他に温泉を採取する際にも、所定の手続きが必要となり、結果的に温泉が出てしまった場合、無許可でそのまま使用することはできないと薬務課ははっきりと説明している。
  申立人が令和元年7月6日の準備書面(11)の4ページから5ページにかけて主張した通り、関電工関連会社が施設の冷却水として使用している地下水のメタケイ酸量が50mg/リットル以上であれば、これは温泉水であり、温泉法に基づく届出をしなければならないが、関電工関連会社はそれを怠り、無許可で温泉を搾取している。このことは、相手方が関電工関連会社の違法行為を黙認しているに他ならず、補助金の不正申請や不正流用に目をつぶり、環境アセスメント条例の運用で特例措置をあたえる相手方が、大企業重視の姿勢を一貫して取っていることを示している。
  こうした違法行為を看過する判決は失当である。
(6) 群馬県北部・西部等の森林からの間伐材の搬出は放射性同位元素等に よる放射線障害の防止に関する法律による管理区域の解釈の誤り
  関電工の親会社の東京電力が引き起こした未曽有の福島第一原発事故により大気中に放出された放射性物質が降り注いだ栃木県北部と群馬県北部・西部は大半の区域が1平方メートルあたり4万ベクレルを超えて汚染されてしまった。したがって、本来、これらの区域は放射線管理区域に指定されなければならない。そうすれば、これらの区域から汚染物質を持ち出す場合にはきちんと放射能を測定して管理しなければならないのは当然である。
  ところが、関電工は、管理結果を公表しておらず、施設の入口にトラックスケールを設置して空間線量を測っているだけで、実効性がみられない。にもかかわらず相手方は何ら対応措置をとっていない。
  この相手方の法令無視の姿勢は、次の事実からも明らかである。
  平成30年6月に多くの市町村で野生のコシアブラ、タラの芽から食品の放射能規制基準(100㏃/㎏)を超えたため国より出荷制限指示が群馬県にされた。同年6月17日、BS NHKで放送された「被ばくの森2018」は福島第一原発由来の放射性物質が樹木を通して循環していることが見えて来たと報じた。
  福島大学ウァシル・ヨシェン特任教授の調査で浪江町津島地区のヒノキの心材:14,085Bq/kg、辺材:22,426Bq/kgの放射性物質が確認されている。赤松は心材:521Bq/kg、辺材:3,235Bq/kgが検出されている。福島第一原発由来の放射性物質は森林の中で樹木を通して循環しているのである。このような森林から未利用材を集め、燃料とすること自体問題である。さらに、群馬県の未利用材の放射性物質の実態調査もせず、事業者に環境影響調査を不要とする特権を特例として与えた相手方は法令違反している。この事実を判決に反映しない原判決は失当である。
3 以上の事実によると,原判決は重要な法令の解釈を誤ったものであり,破棄されるべきである。

附 属 書 類
1 上告受理申立て理由書副本     7通
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■提出後、裁判所の外に出ると、さきほどの神奈川アスベスト訴訟の原告団が引き続き集会を開いていました。どうやら勝訴判決が出た後、まだ法廷では裁判長による判決内容の朗読が続いているようです。この裁判については、末尾の関連情報をご覧ください。









 この裁判のように、前橋バイオマス訴訟についてもよい結果を期待したいものです。

■2016年7月15日に前橋地裁に提訴して以降、4年余りにわたって群馬県行政と係争を続けてきましたが、ようやく最終ステージを迎えました。司法が大企業の関連会社と癒着した行政に対して、毅然とした態度を示せるのかどうか、注目してまいりたいと思います。

【市民オンブズマン群馬事務局からの報告】


※参考情報「神奈川アスベスト訴訟」
**********NHK 首都圏News Web 2020年08月28日18:53
アスベスト訴訟 2審も賠償命ず
 建設現場でアスベストを吸い込んだ元作業員などが健康被害を訴えた裁判で、2審の東京高等裁判所は、1審に続いて国と一部の建材メーカーの責任を認め、あわせて9億円あまりの賠償を命じました。
 神奈川県内の建設現場で働いていた元作業員や遺族あわせて64人は、アスベストを吸い込んで肺がんなどの病気になったとして賠償を求め、1審の横浜地方裁判所は平成29年、国と建材メーカー2社にあわせて3億円あまりの支払いを命じました。
 28日の2審の判決で東京高等裁判所の村上正敏裁判長は「国は遅くとも昭和50年からは粉じんの吸い込みを防ぐ『保護具』の使用を義務づけるべきだった」として1審に続いて国の責任を認めました。
 その上で、国に4億円あまりの賠償を命じ、建材メーカー3社にもおよそ5億6900万円の賠償を命じました。
 また、個人で仕事を請け負っていたいわゆる一人親方の訴えは1審では退けられましたが、2審は国の責任を認めました。
 弁護団によりますと、建設現場でのアスベスト被害をめぐる全国の裁判で国に賠償を命じる判決はこれで13件連続で、基金制度などの救済策を求める声が上がってます。
 また最高裁判所は、一連の訴訟では初めて、ことし10月に双方の意見を聞く弁論を開くことにしていて、判断が注目されています。
 判決後の会見で弁護団長の西村隆雄弁護士は、「1審で認められなかったいわゆる一人親方についても賠償が認められ、すばらしい判決を得ることができた。国は、原告勝訴の判決が続いていることを受け止め、被害者を救済する制度を早くつくってほしい」と訴えました。
 原告の1人で、住宅の引き渡し前の清掃作業を請け負っていたいわゆる一人親方の望月道子さんは、「被害を受けた人たちの中には亡くなる人も多く、命を削る思いで裁判に臨んできた。原告全員が何らかの形で救済され、大変安堵した」と話していました。
 厚生労働省は、「国の主張が一部認められなかったものと認識しています。判決内容を精査するとともに関係省庁と協議しつつ、対応を検討していきたい」とするコメントを出しました。

**********時事2020年08月28日19:34
国、建材3社に9億円賠償命令 石綿訴訟、一審より増額―東京高裁

建設アスベスト訴訟の判決で、東京高裁に向かう原告ら=28日午後、東京都千代田区
 建材に含まれるアスベスト(石綿)を吸い込み、肺がんなどを発症した元労働者や遺族ら計64人が国とメーカー43社に計約16億9700万円の損害賠償を求めた神奈川訴訟第2陣の控訴審判決が28日、東京高裁であった。村上正敏裁判長は国とニチアス(東京都中央区)、ノザワ(神戸市)、エーアンドエーマテリアル(横浜市)の責任を認め、総額9億円余の支払いを命じた。
 建設労働者の石綿訴訟では、各地で国の責任を認める判決が続き、原告勝訴は13回連続。
 村上裁判長は、一審横浜地裁が認めなかった個人事業主の一人親方に対する賠償責任についても、「(国は)労働安全衛生法に基づく規制権限を行使すべき職務上の法的義務を負担する」と判断。賠償額を一審より増額した。
 厚生労働省石綿対策室の話 判決内容を精査し、対応を検討したい。

**********弁護士ドットコム2020年8月28日19:51
建設アスベスト、控訴審で「全員勝利」 一人親方救済、新たに1社の責任も…神奈川2陣訴訟


「全員勝利」の旗を掲げる弁護士(2020年8月28日、東京高裁前、編集部撮影)
 建設現場でアスベスト(石綿)を吸い込み肺がんや中皮腫などになったとして、神奈川県の労働者や遺族ら64人が国と建材メーカー43社に約17億円を求めた「首都圏建設アスベスト神奈川第2陣訴訟」の控訴審判決で、東京高裁(村上正敏裁判長)は8月28日、国と3社に一審判決の約3倍となる計9億超の支払いを命じた。
 一審判決では認められなかった一人親方らに対する国の責任が先行事件と同じように認められた。国との関係では全員勝訴となった。
 建材メーカーとの関係では、一審よりも1社多い計3社の責任が認められ、原告64人中62人に対する賠償が命じられた。また、弁護団によると解体・改修工に対しても企業の責任が認められるのは初めてだという。
●高裁では「一人親方救済」「メーカー責任」増える
 アスベストをめぐっては、健康への悪影響が指摘されながら、充分な安全管理が行われてこなかった。
 裁判では大きく、(1)一人親方らについて、国の責任が認められるか、(2)建材メーカーの責任がどこまで認められるか、が争点になっていた。
 一審判決では、雇用された労働者ではないことから、国の一人親方らに対する責任が認められなかった。これに対し、控訴審判決では、建設業界の「重層下請け構造」の実態などを踏まえ、労働安全衛生法の観点から国の責任が認められた。
 同種の高裁判決は今回を含めて6つあるが、そのうち5つで一人親方に対する責任が認められたことになる。
 また、建材メーカーにも、アスベストの危険性について、十分な警告表示を行っていなかったという問題があった。どこの建材が健康被害を生じさせたかの立証方法がポイントになっていたが、控訴審判決は、マーケットシェアなどからニチアス、ノザワに加えて新たにA&Aマテリアルの責任を認定した。
 6つの高裁判決のうち、メーカーの責任を認めたのは今回で5回目。
●提訴しないでもいい救済制度を
 同種の訴訟は、今回も含めて13個の地高裁判決が出ており、対象や期間に幅はあるものの、いずれも国の責任が認められている。
 もっとも進んだ事件については、最高裁で10月に弁論が開かれる予定であり、近く統一的な判断が示される見通しだ。
 ただ、今回の訴訟の被災者のうち大半が亡くなっているように、アスベストの健康被害は深刻。提訴しないと救済を受けられないとなると、被害者にとって大きな負担といえる。
 判決後の会見で、原告団長の望月道子さんは、国に対して「謝罪と責任を果たしていただきたい」としたうえで、「被害者自ら訴訟をしなくても良いよう、(国と建設業者らの共同出資による)基金の創設に向けて頑張っていきたい」と話した。

**********神奈川新聞 2020年08月29日 05:00
石綿訴訟、一人親方への責任も認定 9億5千万円賠償命令 東京高裁
 建設現場でのアスベスト(石綿)対策を国などが怠ったため肺がんや中皮腫になったとして、県内の建設労働者と遺族64人が国と建材メーカー43社に計約17億円の損害賠償を求めた「建設アスベスト神奈川第2陣訴訟」の判決が28日、東京高裁であった。村上正敏裁判長は、国と新たに1社を加えたメーカー3社の賠償責任を認め、原告64人に計約9億5千万円の支払いを命じた。2017年10月の一審横浜地裁判決が、保護対象となる労働者に該当しないとしていた「一人親方」と呼ばれる個人事業主に対する国の責任も新たに認定し、賠償範囲を拡大した。
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コロナ禍で開催が4カ月半遅れた第29回工場視察会で、東邦亜鉛がK砕の有毒性について仰天説明!

2020-08-27 23:28:00 | 東邦亜鉛カドミウム公害問題
■例年桜シーズンである4月上旬の土曜日に開催される恒例の東邦亜鉛安中製錬所の工場視察会は、今年で29回目を数えます。ところが、今年の4月は新型コロナウイルスが急激に蔓延していたため、延期になっていました。そうした中、安中緑の大地を守る会事務局の皆さんの努力で、東邦亜鉛側と交渉していただき、4か月半遅れの8月22日(土)午前9時から、安中公害訴訟の和解にともない、原告団と東邦亜鉛との間で締結された協定書に基づき始められた工場視察会の第29回目が開かれました。

 当日は、午前8時50分に東邦亜鉛安中製錬所の事務部のある総合事務所の2階会議室に集合しました。いつもは、事務所の1階の会議室が控室になるのですが、コロナ対策ということで、なるべく集まっている時間を短縮するため、このような措置をとったものです。




 事務所の玄関先でピストル型の非接触式検温計で体温測定を受けたら、36.5℃でした。そのあとアルコール消毒液で手を満遍なく拭いてから中に入り、2階に上がっていつもの大会議室に着きました。



 参加者は、それぞれ自分の名前が書かれた机に着席しましたが、筆者の名前が見当たらず、会社側に訊くと、一番奥のスライド投影用のスクリーンと、本社とのテレビ会議用ディスプレーのある側の机を指示されました。すぐ後ろの壁際には、業務用の扇風機が換気のために唸りを上げて回っています。



 冷房効果を高めるためにブラインドが下ろしてあり、いつもよりかなり暗い雰囲気です。スクリーンと反対側にある窓が開いており、ブラインドを通して、風を外に出す工夫がされており、不足する冷風は、隣の部屋の冷房空気をオレンジ色の複数のダクトで会議室に導いて、外部に排出される冷気を補充して、部屋の温度が上がらないような対策が凝らされていました。

 さて、午前9時の定刻になり、予定通り第29回工場視察会が始まりました。

 以下はそのやりとりの模様です。扇風機の回転音がうるさいのと、東京本社からのウェブを通じた音声が聞き取りにくく、十分正確にメモがとれませんでしたので、一部、再現性の不十分な箇所があることを予めご了解ください。

~~~~~~~~~~

■朝の挨拶会

会社側中島正宏司会:みなさま、おはようございます。

参加者一同:おはようございます。



司会:時間より若干早いですが、皆さまお揃いということですので、本日の工場視察会、始めさせていただきたいというふうに思います。私は事務部環境管理室長を担当している中島と申します。宜しくお願いを申し上げます。本日は工場視察会での工場側の司会を担当させていただきます。どうぞよろしくお願いをいたします。例年4月にこの工場視察会を行っていますけれども、今年につきましては諸事情によりこの時期の開催となってしまいました。新型コロナウイルス感染予防、それと真夏での開催ということで、安全に十分に配慮しながら開催をしてまいります。感染予防のための人数制限をさせてただきます。また時間の短縮ですとか、マスクの着用、手の消毒、いろいろご協力いただきましてありがとうございます。たとえば廊下に出ていただきますと、オレンジ色のダクトがありまして、ちょっとものものしいような感じがあったかと思うのですが、換気をしながら、冷房を入れながら、ここのエアコンではちょっと間に合わなくて、今回違う部屋から冷気を入れるような工夫をしてみました。扇風機をこちら側において、こういうふうに流れをつくって、あちらのカメラを構えている…カメラのところから空気を出すというふうな、流れをこういうふうにつくるというような換気の方法を考えて、試してしていました。いずれにしても、ご注意をいただきながら視察のほうをしていただければ、というふうに思います。お手元の資料にもありますが、本日の工場視察会、終了を10時50分、まあ先程も申し上げました通り、コロナウイルス感染予防の考えで、時間短縮ということで、終了時間10時50分というふうに予定をさせていただいております。ご協力のほうよろしくお願いをいたします。
そうしましたら、会社の出席メンバー、ご紹介をさせていただきます。本日、本社の参加メンバーにつきましては、新型コロナウイルス感染症予防対策としまして、ウェブでの参加ということになりあす。モニターのほう、ご覧ください。まず、最初に総務本部長の大久保執行役員でございます。


大久保浩総務本部長:大久保でございます。本日は諸事情もあり、そちらのほうにお伺いすることができず、こちらからのウェブでの参加ということになりますがよろしくお願いします。

司会:同じく総務本部の高橋副本部長でございます。


高橋宏総務本部副本部長:高橋です。よろしくお願いします。

司会:次に、環境安全室の石井室長でございます。


石井光環境安全室長:石井です。今日はよろしくお願い致します。

司会:総務部の橋田課長でございます。


総務課長:橋田でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

司会:弁護士でございます。眞田弁護士でございます。

(眞田淡史弁護士は欠席)

司会:おなじく弁護士の大坂弁護士でございます。


大坂周作弁護士:・・・(横から画面に現れ軽く会釈)。

司会:続きまして、安中製錬所のメンバーでございます。所を代表します森田執行役員所長です。

森田英治所長:どうぞよろしくお願い致します。

司会:次に製造部長の八杉部長でございます。


八杉貴雄製造部長:八杉でございます。よろしくお願いします。

司会:それと、さきほども申しましたが事務部環境管理室長を担当しております私、中島。このメンバーで本日の工場視察会、担当させていただきます。では、朝の代表挨拶を頂戴したいと思います。安中緑の大地を守る会会長でございます藤巻岩男さんです。よろしくお願いいたします

会長:おはようございます。

参加者一同:おはようございます。

会長:今年は梅雨が長くて毎日毎日降って、この辺ですが、こんなにぶっ続けで降るって言うことはまずなかったんですね。梅雨に貼れれば五月晴れなどといって喜んだんですが、今年はまったくそのようなことがなく、ぶっ続けで。さて梅雨が上がった。今度は毎日毎日暑い日でね。これはこれで全くもうどうにもならない。相当響いているのではないかと思うんです。そこにコロナの騒ぎで大変なことだと思います。今ね、冷房を点けていただいておりますが、コロナ騒ぎで部屋を開けなさいといわれまして、そうすると冷房も聞かない、というような状況が、今年が長く続いております。そのようななかでの今回の視察会の開催になるわけですけれどもね。まあ、例年4月なのでまだ陽気がいい時だったんですけど、先程来、話が出ているように暑い日が続いている中での実施と言うことになりまして、だいぶ体が疲労しながらと思いますが、ひとつ素人にも分かるように説明をいただきながら視察会をやっていただきたいと思います。よろしくお願いをいたします。

司会:会長、ありがとうございました。続きまして、会社を代表しまして所長の森田よりご挨拶を申し上げます。


所長:マスクをとった形で大変失礼を申し上げていますが、どうぞご容赦をお願い致したいと思います。おはようございます。

参加者一同:おはようございます。

所長:昨年4月に行われました工場視察会以降、6月末に拝命されました新任の所長でございます、森田でございます。まず、はじめに当製錬所で生産されます非鉄スラグにつきましては、たいへんお騒がせをし、ご迷惑をおかげしておりますこと、まずもって、深くおわびを申し上げたいとおもいます。本年は、2月からコロナウイルス感染拡大もありまして、開催時期につきましては、さきほど会長さんから・・・会長様もお話していただいたように、安中緑の大地を守る会の幹部役員様とご相談を重ねさせていただき、まあ、真夏の猛暑と、まだ予断を許されないコロナ時期ではありますが、弊社、コロナ対策ルールに沿った形をとらせていただきまして、本日工場視察会を進めさせていただきます。さて会社の業績につきましては、米中貿易摩擦を端に発しまして、金属価格が大暴落しまして、鉱山の操業不調もございまして、2期連続の赤字と、非常に厳しい結果でございました。また足元も、コロナショックによる景気の後退の情勢にありますが、製錬所のほうは、操業は安定した状況にありまして、なんとか早いコロナの解消と、景気も浮揚となることを望むばかりでございます。従来よりも、不自由さを感じられる工場視察会ではございますが、これまで同様に、皆様のご指導ご鞭撻を頂戴いたしまして、簡単ではございますが、挨拶に代えさせていただきます。本日はどうもよろしくお願いいたします。


司会:続きまして本日の視察コース、また日程につきまして製造部長の八杉より説明をさせていただきます。


製造部長:製造部の八杉でございます。きょうはよろしくお願い致します。例年と同じく、製錬所内の製造工程、並びに公害防止設備、ご案内させていただきます。さきほど会長様からもご要望ありました。分かりやすく伝えるように努力いたします。先程、森田からもご報告いたましたけれども、操業自体は安定して行っております。設備も大きな変化はございませんので、このあたりもご案内させていただければと思います。例年と異なりますので、新型コロナ対策で、マスク着装しておりますので、ハンドマイクですと、かなり聞き取り辛いかもしれませんけれどもなるべく早口にならないように、注意して進めたいと思います。あと時期が例年4月に対して8月になってございます。この部屋は冷えてございますけれども、例えば乗り降り、冷房の温度差なり、現場で暑く感じられて体調を壊されるようなことがありましたら、遠慮なく申し出てください。もしもの時の準備として迎えの車だとか冷えた部屋だとか、準備してございます。見学についてですが、マイクロバスが1台、ワゴン車が2台準備してあります。健脚コースはマイクロバスでございますけれども、視察場所ごとにバスを降りてのご案内。よってヘルメットの着装をお願いします。バスのなかではコロナ関係のソーシャルディスタンスということで、窓側に離れてお座りいただくようにお願い致します。楽々コースのほうはワゴン車でございます。こちらは、現場に降りませんので、ワゴン車の中からの案内でございますので、ヘルメットは不要でございます。担当者が外に出て待っています。注意点をご説明いたします。1点目のお約束は写真撮影についてでございます。これについてはカメラ等の場内での持ち込みはご遠慮願いますようお願い申し上げます。健脚コースのほうはバスを降りて若干の距離ですけれども、歩きますので、足元だとか、注意して頂いて、また同時に、設備や製品には触れられないようにお願いをいたします。ではこれから、視察に入りますので、準備をしていただいて、事務所の入口のほうに移動のほう、よろしくお願いします。


司会:それでは視察に入るんですけれども、例年、工場視察の前に記念撮影をさせていただいておるんですけれども、今年については3密を避けるという意味で記念撮影については中止ということにさせていただきます。トイレを済ませていただいて、先ほど言った、現場視察ということでお願いしたいと思います。

~~~~~~~~~~

■配布された工場視察会のレジメによると、各コースの時間割は次の通り。
<第1班:健脚コース>
09:10 会場発
09:15 排煙脱硫着
09:25 ロータリーキルン着
09:40 K砕出荷場着
09:50 第二鋳造着
10:10 会場着(実際には予定より15分早く会場に帰着)
<第2班:楽々コース>
09:15 会場発
09:20 K砕出荷場着
09:30 第二鋳造着
09:40 排煙脱硫着
09:50 ロータリーキルン着
10:05 会場着(実際には予定より15分早く会場に帰着)

~~~~~~~~~~
 筆者は現場で降りて視察できる健脚コースをいつも選択しています。3密を避けるため、マイクロバス車内各列の座席では、両方の窓側にひとりずつ着席しました。渡されたヘルメットを着装し、9時18分頃、事務所をマイクロバスで出発しました。30:15

 安中製錬所の正面入口から入り、最初の視察場所に向かうマイクロバスの車内で、八杉部長から工場概要の説明がありました。

「みなさま、おはようございます。(参加者:おはようございます)先程説明させていただきましたとおり、まず工場の一番上にあがって、そっちから下りながら順に説明させていただきますのでよろしくお願いします。当社はおもに亜鉛と鉛の地金を生産しております。そのほかに、藤岡のほうで、電子部品、粉末冶金などを行っております。で、安中製錬所、当安中製錬所では、亜鉛地金、亜鉛合金、硫酸、粉末冶金など焼結部品などを生産しております。主力製品である亜鉛は、年間およそ14万トン、月に1万トンの生産能力を超えますけれども、国内の約20%のシェアを持っております。最近はコロナの関係もありまして生産は若干落ち込んでおります。生産した亜鉛の65%は自動車などに主に使われております。」

 9時21分頃、いよいよ登坂に差し掛かりました。

「このあたりは、くらいなんですけれどもここから少し道が曲がりくねっています。私たちは通常では東邦スカイラインと呼んでいますが、バスが少し揺れますのでご注意ください」

■降下ばい塵の汚染元のひとつの排煙脱硫

 9時25分頃、最初の視察現場の排煙脱硫装置のある場所に着きました。八杉部長の説明が続きます。

「今、排ガス工程、ここは排ガス脱硫と言われている工程なんですが、ローターリーキルンという炉から排出された排ガスを処理する工程です。炉から出たガスは、ここのTCAという吸収装置です。この工程では主に亜硫酸ガスを処理します。埃のほうは下のほうで落として、上のほうに上がってきて、亜流ガスを処理するというような工程です。この1番と言うのが亜鉛華TCAと言いまして、こちらのほうをご覧いただくと、亜鉛華TCAとかいてあります。ここでは1段目に、下からガスが入って、上に昇っていきます。吸収液というものを上から降らせて向流懸濁ですね。下からガスが入って、上から吸収液を落として気液接触させて、亜硫酸ガス、SO2ガスを吸収させます。TCAというんですが、Turbulenceは乱流ですね。中でガスを乱流させて、CはContactですので、接触すること。で、AはAbsorberという名前で、吸収するという名前でTCAという名がついています。中にこういうボール(ピンポン玉に類似)が入りまして、こういうボールが4段積みになっています。中でボールがこういうふうにコトコトコトコト動いています。おそらくこれくらいのレベル(15センチ程度)で動いていてその中をガスが通過して、そのボールに向かって吸収液を降らせますので、そこで亜硫酸ガスを吸収さして液に混じるという形になります。次に、ドーンと上に昇ったあとにガスを横引きしまして、こちらの苛性ソーダに付けます。その次の苛性ソーダのTCA、こちらも構造的には全く同じものですが、吸収材として使っているのが、亜鉛華ではなくて、ここでは苛性ソーダを使っています。苛性ソーダは亜硫酸ガスと良く反応して亜硫酸ソーダとして脱硫をしています。で、そのあと、水TCAにガスを送りまして、水で洗浄してから、あの真ん中の排気塔から大気中に放出します。一見古いですけれども、定期的に検査し、年2回のメンテナンスをして順調に稼働してます。では次の工程に行きたいと思いますので、足元に気を付けて、行きたいと思います。」

 そこからマイクロバスで再び“東邦スカイライン”をくだり、途中、9時34分頃、ロータリーキルンのある現場に着きました。46:00

■K砕を生み出すローターリーキルン

「ここはロータリーキルンの工程です。先ほど見ていただいたのは、ロータリーキルンの排ガスを処理する工程です。今いるのは、そのロータリーキルンの工程です。今見えているのは、この2番の赤いものがここに見えています。約45mあります。ここの工程は、溶け残りの鉱さいというものをドライヤーである程度のところまで乾燥させます。その後、ロータリーキルンでコークスとともに供給しまして、蒸焼き状態で中にある亜鉛を揮発させます。固体から蒸気にさせます。その後に、空気のなかで参加して粗酸化亜鉛というかたちの固形物に戻します。原料は、こちらに入り、回転と共に右手の方向に流れていきます。バーナーは右手の一番末端のところに付いています。ですから、これも向流式でありまして、こちら側から、左手側から供給して、右手側がバーナー側から出すということです。出てくるものは先程申し上げた亜鉛の、商品になった固形物でなくて、これはダストというのですけれども、そこで重力沈降させながら、ガス温度を下げていく。その後、あの建物の中にバグフィルターというのがあり、そこで固形物をしっかり除去したあとに、先ほど見ていただいた排ガス工程へガスを送っていくことになります。この工程から出ていくのが、K砕が出ていきますが。残りが鉄の主成分のものです。だいたいキルンの炉内温度は1300℃くらいです。中の一番反応が進んでいるところで1300℃くらいの温度になっています。出てくるところはおよそ600℃から700℃くらいの温度で、ガスクーラーで熱交換して温度を下げた後に埃をしっかりとっていくというような形の設備であります。向こうに向かってどんどん温度が上がっています。今、蒸気があがっているのは、キルンの函体を冷やすために水をかけており、その蒸気が蒸発したのが見えています。」

参加者:水をかけているのはベアリングのところにかけているのですか?

製造部長:いいえ、水をかけているのはベアリングではなくて、函体を冷却するためにかけているんです。

参加者:中でせっかく高温を上げなければならないのに、なぜ周りを冷やさなければならないんですか?

製造部長:鉄の温度が600℃くらいなんです。外は鉄で中にレンガ積みしてあるんです。

参加者:耐火煉瓦ね?

製造部長:そうです。

参加者:それが持たなくなるからですか?

製造部長:持たなくなるのではなく、熱バランスをとっている。水をかけて熱バランスをとっています。あのあたりが一番温度が高いところです。

参加者:ではスラグはあっちから取り出すわけですね。その後、コンベアであっちに運び出すわけですね。バッチ式、それとも連続式?

製造部長:連続です。ではよろしければ、次の工程に行きます。バスのほうへお願いします。

■かつて亜硫酸ガス汚染の元凶だった古い焙焼炉群

 午前9時38分頃、猛暑の中、さらに運転中の輻射熱で暑くなっているロータリーキルンの視察を終えて、マイクロバスは、再び、建物が覆いかぶさった狭くて暗い通路を通り、ふたたび東邦スカイラインに戻りました。途中、暗い通路の両側がブルーシートで覆われていました。これらは、現在は使用されなくなった古い小型の非密閉式の焙焼炉群を視察参加者の視線から遮るためのものです。かつて、筆者が子供の頃、中宿の保育園に通っていた当時、黄色い煙がこの一角からモクモクと発生し、特に冬場は北西の風になびいて通園路だった坂道(地元住民は「タテの坂」と呼んでいました。今は東邦亜鉛の敷地に組み入れられています)にも達し、保育園の行き帰りに何度もあやうく窒息しそうになった経験は今でも頭にこびり付いています。

 現在は、密閉式の大型の焙焼炉が使われていますが、東邦亜鉛は公害遺産として、未だに古い焙焼炉をスクラップにせず、保存(放置?)しています。今回、東邦亜鉛安中製錬所が排出している鉛・ヒ素入りの有害な非鉄スラグの不法投棄問題が社会問題となっていることから、数年ぶりにロータリーキルンを視察ルートに組み込んだため、わざわざブルーシートで見えないように養生したとみられます。

■今でも出荷先が不透明なK砕置場

 その後、東邦スカイラインをくだって、マイクロバスはK砕置場に向かいました。製造部長が優しい心遣いを見せます。
「さきほど説明したロータリーキルンから今から行くK砕置場に向かいます。さきほどの暑かったと思いますが、気分が悪くなったかたはいらっしゃいませんか?」

参加者ら:大丈夫です。(車窓から見える老朽施設に)酸性のガスに晒されるからボロボロになっている。こわいくらいだね。それにしても、なぜ取り壊さないんだろうか。スラップアンドビルトをすれば、これから行くK砕置場を新たな場所に新設する必要は無かったのに。

 やがてバスは、下り坂から平坦な道に出ました。左手にたくさんのアルミ電極版が束になって置かれているのが見えました。視察者がそっちのほうに目線をやるのに気付いた製造部長が、アナウンスします。
「いま、左手に見えているのが新電解工場です。さきほど並んでいたのがアルミの、電解工場で使うカソード板が見えました。」

参加者ら:数が多いねえ。

 マイクロバスはそのままK砕置場に入りました。昨年までは、新電解工場の車止めのところにバリケードを造り、50mくらい離れた場所から遠目でしかK砕置場を視察させてくれませんでした。さすがに有害な非鉄スラグの不法投棄が社会問題になっているため、K砕置場の中に、マイクロバスを入れることにしたようです。車中での製造部長の説明です。
「先程のロータリーキルンからベルトコンベヤで、こちらのK砕出荷場へK砕が送られてきます。このK砕出荷場は1万2000平米あって、ここでK砕を管理します。地面はコンクリート製でありまして、周りは高さ4mのセメント製の壁に、プラス2mのフェンスを設置してございます。粉塵や音が、場内に滞留しないように工夫してあります。まずは床面も常時湿った状態にするように、水を散水するとか、そういった管理も行っております。2016年から使用を開始いたしました。

 以前は山と積まれていたスラグですが、今回は、ダンプ5台分くらいの小さな山が、仕切りの中に積まれていて、スラグが置いてある仕切りの数も10か所前後でした。マイクロバスは、K砕置場で停まることなく、そのままストック場の中央部に残置された古い変電施設の手前でぐるりと回って、次の溶解工程に向かいました。そして、午前9時42分頃、溶解工程に着きました。

■亜鉛ダストと騒音が充満する溶解・鋳造工程

 製造部長が「ここで降りますが製品は熱いので触らないようにしてください。」と事前注意を喚起した後、視察者らはバスを降り、騒音が常に響いている現場に集まりました。
「ここが鋳造工場です。鋳造というのは鋳込むということです。電解工場でできたカソード亜鉛をここで製品化していきます。今目の前に見えるのがジャンボインゴットと言って、1トンあります。これは何に使うかと言いますと、自動車工場向けに使います。鋳造は、前の所で溶かした後に、お客さんの要望に応じた成分をブレンドして、お客さんの指定の型に鋳込んで、お客さんに供給します。小さいものも大きいもの、形状にはいろいろありますが、形状、サイズの異なるものが200種類ほどございます。では、次の工程に行きます。そのまま歩きます。」

 といって、隣の鋳造工程に歩いて移動しました。ここは更に騒音レベルが高く、拡声器を使った説明もよく聞き取れないほどでした。
「ここでは電気亜鉛スラブというものを作っています。電気亜鉛スラブは、電気亜鉛でつくっており、スラブと言うのは板状の形のものをスラブと言います。そちらにあるのが完成品になります。1枚が20キロあり、50枚積みで、一山で1トンの量です。左手の奥に見えますのが炉になります。この製造の方法としては、調合亜鉛と同様ですね。溶解をした後、金型に流し込む。で、冷却をして金型から取り外す。離型をして、積み込む、というような工程になってございます。積み込みについてはご覧のとおりロボットにより積み込んでいます。電気亜鉛の工程については以上です。よろしければ次の工程にまいります。」

参加者:あのう、あそこに亜鉛の粉末がありますが、あれ、いつもああやってこうむき出しになっていますが、今は外側で壁を覆っているんですが、なんか、風で飛ばないんですかね。いま、亜鉛粉末の黄色の容器の蓋の上部を触ったら、亜鉛粉末がうっすらと降り積もっていました。亜鉛は直ちに毒ではないかもしれませんが、やはり、周囲に大量に排出されると具合が悪いと思われます。

製造部長:・・・。

 ジャンボインゴットにしても電気亜鉛スラブについてもこれまでの視察会に比べると圧倒的に現場に置いてある物量が少なく見えました。

■新集水池以外変わり映えのしない排水処理施設

 時刻は午後9時51分頃になりました。マイクロバスは視察ルートの最後の浄水工程に着きました。
「最後はここ、浄水工程です。製錬所の雑排水をここに集めて処理しています。工程内で使っている溶液などは工程内で使っているんですけれども。たとえば床の洗浄だとか、道路洗浄機だとか、こういう製錬所のなかから水がここに集まってきて処理します。処理系統図ですけれども、給水地に集められて、苛性ソーダで中和槽でアルカリに持って行きます。一般的には凝集沈殿法と言いまして、液中に溶けている重金属をペーハー調整することにより、固形物として沈殿させるという方法法であります。中和槽のあとに、シックナーでシックニングして、そのあと沈殿池でさらに浮遊物を最終的に沈殿させ、砂ろ過機を通して、機械的に除去した後に、ペーハー調整槽でいっぺん中性に戻すんですね。そして放流していくんです。2019年にできたのが、その向こうに見えますけれども第6集水池ということで新たにできて運用を開始すると。おそらくそこ以外は例年とかわらず同じ風景ではないかと思います。よろしければ、事務所に戻りたいと思います。」

 浄水工程の見学用の高台から北側を見下ろすと、硫酸工場の手前に新しく作った第6集水池が見えました。池と言っても地表に、高さ3mほどの塀でグルリと囲われており、スラブ置場の感じでしたので、最初はよくわからず、その向こう隣りに見える掘った池のことと勘違いしました。その他の光景は、代わり映えしていませんでした。
~~~~~~~~~~

 出発地の総合事務所に戻ったのは午前9時56分頃でした。ヘルメットを脱ぐと内側の紙製カバーが汗でびしょ濡れでした。

■情報交換会

 事務所の2階の会議室に戻ると、既に楽々コースの視察者の皆さんが待機していました。すると会社側司会者から午前10時3分頃、説明がありました。1:08:00 1:15:00

「ご視察ご苦労様でした。予定より10分ほど早い状況でございます。予定ですと10分間休憩ということで時間をとってございますので、予定より10分早めるんですけれども、このあと10分まで休憩をしていただいて、10分から再開することにしたいと思います。宜しくお願いします」

 午前10時10分になりました。現場視察の後の情報交換会の開始です。

~~~~~~~~~~
司会:本社のほうは、再開してよろしいでしょうか。


本社:はい、大丈夫です、よろしくお願いします。


司会:そしたら、再開をさせていただきたい、というふうに思います。大変暑い中、どうもご視察大変ご苦労さまです。暑い中で大変ではありますが、引き続きお願いしたいと思います。そうしたら意見情報交換会に移させていただきます。意見交換会で会社側の司会を務めさせていただきます中島です。引き続きよろしくお願いをいたします。それでは平成元年度の経過、ならびに、ああ、すいません、令和元年度ですね。令和元年度の経過、それと令和2年度の設備改善計画につきまして、所長の森田よりご報告をさせていただきます。
暑い中、視察のほう、大変ご苦労様でございました。それでは元年、2年にわたります当所の経過と計画についてご報告をさせていただきます。令和元年度につきましては、先ほどこの視察会でもご報告させていただきましたが、ひとつは硫黄を処理します焙焼炉の側壁更新工事の最終、元年度ですべて更新が終わったということで最終工事を行いました。あと、キルンの排ガスを吸収した中和処理槽の更新、ならびに3番目としては第2変電所の受電側の遮断機の更新工事を行いました。2年度につきましては、キルンのドライヤーにありますガラス?ギア並びにピニオンギアというところの部分の交換工事を行います。その2番目としまして、我々で呼びます造液工程の溶解槽SHL1号槽の更新と、3番目としましては西系の排水路の地上化更新工事、主だったところではこの3点の計画を進めております。工事案件については、今報告したようなところでございますが、昨年、今年度と、とりわけ老朽化した設備を含めました製錬所の整備を正確に更新して進めてゆく所存でございます。地元の皆さんのご理解のほどよろしくお願いしたいというふうに思っております。以上が平成元年度、2年度の工事計画の結果と経過でございます。それでは引き続きまして、懸案事項の報告につきましては、担当の中島のほうから報告していただきます。以上でございます。


司会:続きまして、懸案事項の報告につきまして、環境管理室中島より報告をさせていただきます。まず、公特事業推進について、でございます。2019年につきまして、昨年ですね、4月、7月、8月、10月、11月、そこで6回にわたって、安中市産業部農林課、および群馬県農政部技術支援課、こちらと情報交換を行っております。情報交換の中でご報告いただいた内容ですけれども、まず、平成31年3月に、群馬県農政部長様より、弊社社長あてに、碓氷川流域農用地土壌汚染対策計画の変更について、こういった公特事業の計画変更が通知をされております。内容につきましては、岩井畑地区の事業計画面積の変更があります。3.72haから2.18haに変更がされております。2つ目として、土取場、客土の取得地ですね。こちらの変更ということで、安中市鷺宮、上間仁田、中野谷、こういったところが今迄の土取場だったのですが、これが西毛広域幹線道路の施工地、それと、利根川河川改修施工地、こういうふうに変更がされています。3つ目が、排土厚区分の追加でございます。変更前が15、30cm。この2区分でございましたが、ここに45cmというものが追加されたということです。おもにこの3点が計画の変更点ということです。それ以降、打合せを何度か重ねましたけれども、5月30日に開催されました公特事業推進委員会本部役員会、これ正式名称かどうか、私はわからないんですけれども、こちらで事業の進みそうな場所から進めるということを確認したというふうに伺っております。岩井畑地区については、原状回復方式で工事に着手する、ということが確認されたという報告をうかがっております。岩井畑作地区公特事業の工事の内容につきましては、3点ほどお話いただいたのですが、排土置場について、それと客土の搬入手段について、事業費、この3点について概略ですけれども報告を受けたということです。令和2年、今年になってから、2月に野殿地区におきます土壌整備事業計画のなかで、急峻地形部の計画について検討するための地元説明会、こちらが開催されたというふうに聞いています。こちらの流れにつきましては、会社のほうにも、説明会を開くようになっておるのですが、残念ながらまだ、この説明についてはうかがっていないということで、これから説明を受けると言うことになっております。3月に弊社と群馬県知事との間で承諾書の取り交わしが行われました。内容については2点ございまして、碓氷川流域農用地土壌汚染対策事業、岩井畑地区に限るのですが、ここにかかる費用負担について、それと排土の受入れについての承諾書。こちらについて弊社と県知事の間で承諾書の取り交わしが行われました。これに合わせて、群馬県、安中市の費用負担割合について、協定を締結したということでお聞きしております。簡単ではございますが、以上が、情報交換の概要でございます。公特事業につきましては、皆さまのほうがご承知の部分が多いのだと思います。それ以外の報告について、ご存知であれば、この場でお聞きできればというふうに思います。続きまして、令和元度産米のカドミウムについて述べます。例年、カドミウムの濃度については安中市さんが調査を行っているということですが、今年については調査が行われなかったというふうに聞いております。まあ、ずっと例年問題ないということで、調査をやらなかったということでございます。ただ、令和2年度につきましては調査を再開するというふうにうかがっております。高崎市、こちらの検査結果ですけれども、こちらについては異状なしということで報告をいただいています。以上、会社が把握している令和元年度の結果で、少し端折った部分もありますが、詳細部分についてはご質問いただければ、それにお答えする形で、ご理解いただければというふうにお願いいたします。

■非鉄スラグ問題に関する説明

司会:で、続きまして非鉄スラグの問題につきまして、環境安全室の石井室長より、説明をさせていただきます。正面にプロジェクターを用意してございますので、こちらをご覧いただければと思います。それでは石井室長、よろしくお願いをいたします。

環境安全室長:はい、それでは東京からちょっと遠隔ではございますが説明をさせていただきます。宜しく終え外いたします。たぶん、いろいろお聞き苦しい点があろうかと思いますが、ご容赦お願いいたします。それでは正面のスライドをご覧ください。


まず題名でございます。「非鉄スラグ(K砕)について」ということで簡単にご説明させていただきます。では次のスライドお願いいたします。


この1枚目は製造工程でございます。これにつきましては、前からコンセプト等、報告しておりますので、ご承知のかたも多いかと思いますが、あらためてご説明させていただきます。まず、いろいろ皆様にご心配ご懸念をおかけしておりますK砕について、どんなものか、どういう工程でできたかということをご説明いたします。まず、亜鉛の原料であります鉱石。簡単に申しますと硫酸に溶かしまして、それを電解工程にかけまして純度の高い亜鉛を作ります。それを指定の型にして、各ユーザー様の用途に合わせてから供給することが安中製錬所の大きな仕事になります。ではK砕とは何かと申しますと、先ほど申しました原料を硫酸に溶かすわけですが、溶け残りのものがやはり出るわけです。それが濾過分離回収物というものであります。で、ロータリーキルン、ご覧いただいたと思いますが、あの丸い大きな円筒形のものに高熱で熱を掛けます。それで亜鉛分はガス状で発生します。残った者につきまして、それを粉砕いたしまして、それから磁石に、それが磁選機というところでございます。その後、粉砕したものを、それをK砕というふうに呼んで、私共は外部に出荷しているということでございます。それでは次のスライドをお願いいたします。


K砕の成分というものが、カラーでご覧いただけるかと思いますが、まず主成分がそこにございます鉄分でございます。だいたい30%から40%くらいになろうかと。というのは、用いているものによって、若干違っているからです。炭素、それからケイ素、カルシウム等がそこにございますとおり合計いたしますと、まあ、現在の手元の数字で申しますと、ケイ素、カルシウム、それから炭素を合計いたしますと、50%から60%くらいということでございます。それから先程申しました鉄分が30%から40%ですので、ほぼ90%以上がそういうことになります。では残りは何かと申しますと、そこにあるとおり、亜鉛、それから鉛、まあ一部ヒ素等というふうにご理解いただければと思います。で、現在の、これはほぼ現在の数字ですが、過去にも若干数字のほうは異なってくるものがあります。では、次のスライドをお願いします。


K砕の用途でございます。過去にいろいろご説明しましたが、従来からそもそも、昔の段階では、K砕というのは鉄原料として、セメントに混入していたわけですが、セメントさんがいろいろ販路の問題で受け入れを絞ったために、いろいろ心配をしておりました。それで、この用途としては、そこにございますとおり、鉄原料、セメント原料とあって、あと防音建材、路盤材等ということになってございました。で、路盤材につきましては、そこにございますとおり、2016年、いまから4年前の4月に出荷を停止して、現在では、鉄原料、セメント、防音建材ということで出荷してございます。K砕はさきほど申しました、鉄原料、それから遮音・・・防音建材、セメント原料でございますけれども、それぞれ各販売先に出荷しまして、で、販売先から、最終の使用先にそれぞれ送られているということになります。それでは次の洲ランドですね。



では、いろいろ皆様ご心配しておられるかと思いますが、なぜこういったことが起きたかと申しますと、問題発生の原因と言うことで、販売先に対しまして、当社の管理監督が非常に不十分でございました。それから一部で敷砂利等、不適切な使用がなされているというような場合がございました。これらについては、ひとえに当社の反省点ということでこの場を借りてあらためてお詫び申し上げます。では、次のスライドをお願い申し上げます。


で、再発防止でございますが、さきほど申しました当社のいろいろな問題が原因だということで、組織として、東邦亜鉛の組織として、取り組まなければならないと。まず1点目は従来は品質管理に問題があったということで、当社の技術部の下にあった品質保証の業務を、品質保証室というものを新たに設けて、で、その部門において、その安中製錬所を含めまして、各部門を統括管理するということで、品質保証体制を、品管体制を強化してございます。あわせまして、従来総務本部のなかにありました、環境安全部門を、環境・安全室という形にして、社長の直属のかたちにいたしまして、安中製錬所を含めまして、各工場、各事業部門を統括して、環境部門に関する課題をあらためて整理してやるようにしたいと思います。で、次のスライドをお願いします。


これまでの対応と今後の対応でございます。K砕につきましては、使用先の特定ということで、まあ、これまでにわかっているところは調査して、ちょっと今もなお調査を進めているところでございます。それから、行政機関および関係者と協議をしてまいるとともに、K砕だとあらためて発見された場合は、撤去回収作業をしてまいります。それから昨年来、新聞等に公告をだしていますし、当社のホームぺージにも広く情報のご提供をおねがいしております。併せましてお願いでございますが、もしなにか気になる点がございましたら、ご連絡いただければ、当社としてもなんからの調査の上、対応させていただきたいと考えております。宜しくお願い致します。


最後に、K砕による健康への影響ということでご説明します。ではどんな問題があるかということですが、K砕を含んだ土壌を食べた場合に、そうしますと、腹痛とか、悪寒、貧血等、そのような症状が出る可能性があるというふうに言われております。あのう、現在調査の段階で、土壌関係におきまして、有害な成分が周りの土壌を汚染しているということは、いまのところ報告されていませんので、基本的には大きな心配はない。ただし、ここにあるようにK砕を含んだ土壌を口に入れるような場合は少し問題があるということで、実際には口に含む可能性は個人的にはあまりないと思っております。えー、それでは簡単な説明ではございましたけれども、以上で説明を終わらせていただきたいと思います。どうもありがとうございました。

司会:我々のほうとしては以上でございます。以降の進行につきましては高坂先生にお願いしたいと思います。高坂先生よろしくお願い致します。


高坂隆信議長:皆様きょうはどうもご苦労様でした。それでは、さきほどの会社からの説明、あるいは普段から疑問に思っていること、その他なんでも結構ですので、ご質問なりお願いしたいと思います。

参加者A:まずよろしいでしょうか。

議長:はいどうぞ。

参加者A:北野殿の小川でございます。

司会:マイクの準備をしますので、お待ちください。

参加者A:北野殿の小川でございます。大変お世話になっております。本社の皆様もいつもお世話になります。いろいろ話したいことがあるので、もうあと25分しかないということで、20分か、15分か、手短に絞って質問します。非鉄スラグの件は、また別途東邦亜鉛さんのほうにいろいろ質問なり、お願いしたいと思います。なぜ、非鉄スラグを排出しなければならないかというプロセス上の問題についてもいろいろ申入れしたいことがございます。今日は、とくに降下ばいじんについては定期的に群馬県のほうから、情報公開してもらっているんですけれども、今回、ふと思い立ちまして公開請求したところ、たまたま先週出てきた。
※情報開示請求と開示資料一式 ZIP ⇒ 202008071mojmj.zip
202008072mojmj.zip
202008073mojmj.zip
なので、今朝エクセルでまとめたんですが、これみて、まだ寝起き直後だったのでちょっと数字が間違っているかもしれません。

降下煤塵調査結果(平成30年4月から令和元年4月)

降下煤塵調査結果(令和元年5月から令和2年6月)
※降下煤塵調査結果(平成30年4月から令和2年6月ZIP ⇒
oi30n4a2n6nccgj.zip
ですが、これを見ると、6月のカドミウムと鉛の排出量、県は毎月1回測定しているのですが、5月16日から6月16日の間に、これを見ますと、いつもは、カドミウムは0.1kg/km2/月。1ヶ月当たり、1平方キロあたり、0.1kgか0.2kgなんですが、なぜか、工場の安中駅に近いところにある地点で、0.4kg。つまり3倍くらい多いんですね。それから北野殿の工場に近いところでも、0.71kgと出ているんですよ。これと符号するように、鉛についても、普段は1平方キロあたり0.8kgか1kgくらいなんですが、6月、先々月のコロナの最中、中宿の安中駅近くのところで、2.47kg、北野殿のところが5.84kgで、例年の数値の数倍、4、5倍に増えています。これ、どういうことなのか。会社のほうでも、毎月同じ近くの地点で測定しているはずで、まあ、こちらのほうは、企業秘密ということで一切公開していませんが、群馬県のこれ見ると、なぜ6月に突出しているのか、5月も少し多くなっており、コロナの時期に手を抜いて操業したのではないかと。人が休んでいた時にね。というような懸念が感じられますが、一応この原因について、お疑いでしたら、県に情報公開してください。あとで差し上げてもよいです。よく原因を究明して、とくにカドミウムと鉛は特定有害物質ですから、本来ゼロでなくてはならない。この対象区の太田市にある、たしか社会福祉事務所だったか、これと比べると桁が1桁ないし2桁違うんです。多いんです。だから再汚染がどんどんしているんでね。少しでも減らすような、限りなくゼロにするような配慮。そのためには、なぜ5月から6月にかけて、急に増えているのか、7月はもっと増えているかもしれませんけどね。これ、徹底的に調査してもらいたいんですよ。以上。どうぞ。


議長:今、数字がありましたけれども、県の公表した資料と言うことですね。

参加者A:そうです。県はカネを払って業者に1年契約で、測定させているんです。毎月1回4箇所、それと太田市に対照区として、汚染されていないところということでね。これは毎月やっています。

議長:そこで、6月は去年の月に比べて多いと言うことですね。

参加者A:そうです。

議長:会社では、県の数値は把握されているんですか。

司会:群馬県の測定値というのはデータの把握は出来ていません。さきほど、小川さんがいったように弊社が独自に降下ばいじんについては毎月測定はしてございます。ただそれは、社内の自主測定ということになります。今、小川さんがおっしゃったような数値は、実際に県に情報を請求して、その数字が本当なのかと、いうことで、原因を追究していきたいと思います。

議長:今の段階で、会社のほうから、こういう事情だと言うことはご説明いただけない?

司会:すいません。5月、6月の値が、特別なのかどうか、弊社でのデータでも、毎月ばらつきがございます。時期によってもばらつきが出てきます。毎月測っているんですけども、5月、6月はどうだったかというと、高ければたぶん私、数字を覚えているんですけれども、しかしそういう記憶がないので、特別なことがあったのかと言われると、認識はないので、そこまで高かくはなかったのではないのかなと。自主調査で言えば、ですね。ただ、小川さんのまずその数値を確認したい。その数字をいただいて、弊社の本社とも検討したい。

議長:それは、またあとでまとめて協議の場でご回答いただくということで、いいですか。

司会:そうですね。比較して原因調査をしたいというふうに思います。そして、それについても報告していきたいと思います。

議長:よろしいですか。

参加者A:ええ。ここに1部余りがありますけれどもね。もしあれでしたら差し上げてもよいですよ。そうすれば、わざわざ県に行かなくても調査ができると思います。いずれにしても、調査をするのはいいんですけれども、その結果は、タイムリーに迅速に公表してもらわないといけないんです。これ重要なポイントですから、今ここで申し入れておきますから。
では調査の結果は、協議の場でご回答いただくということでよろしいですか?

司会:はい。

参加者B:すいません。市会議員の金井久男です。私は2件ほど会社に見解をお願いしようと思います。1件目は昨年の3月20日に櫻井ひろ江議員と二人で、当時騒がれていた非鉄スラグの問題で、実情を聞きたいと言うことで、御社にうかがって、本社総務課のナガオカ・マサノリさんと面談をしました。そこで、当時、既にスラグが御社のものではないかということがかなり報道されていたので、その辺についてどういう事情なのか、説明してほしい求めたんです。そのときは、全く詳しい説明をされなかったので非常に残念なんですが。それから、間もなく、記者会見等あって、排出したことを認めて、そこから70億円をかけて回収するというようなことを見て、私共としては、少し憤慨というか、気分がよくなかったんですね。そのときに、状況はよく説明してほしかったなあということを思います。なによりもやっぱり、今日こうしてお見えになっている緑の大地を守る会の皆さんが、長年にわたって苦しんできたということから見れば、地元の皆さんには率直に謝罪なり反省なりしてほしかったなあと、こういうことで、会社の見解をちょっとうかがいたいと思います。
もうひとつは、市内でのスラグが使用されたというか、路盤材として使われたということが明らかになっていないんですけれども、先ほどのスライドでは、スラグを食べなければ、ということが言われましたが、誰も食べる人などいませんから、そういう曖昧なことでなく、鉛やヒ素が混じっていたということで、水質汚染なり間接的な汚染は絶対にあり得るということはハッキリしているわけなので、市内でもし、どこそこに業者が持って行ったらしいということを、やっぱり後追いでしっかり検証して、市民に知らせてほしいと思うんですけれども、その辺について、今の時点でどうなのでしょうか。お答えいただければありがたいのですが。
これはどなたがお答えするのでしょうか。

司会:はい、では私のほうで。すいません。金井議員と櫻井議員のおふたりにお越しいただいたときに情報をお伝えしなかったということですが、その時点ではまだ、調査が始まったというかとっかかったところでして、最終需要家の把握がまだできていなかったということです。その後、販売先、弊社の顧客になりますが、こちらを通じて、いろいろと関係先について調査しているという状況でございます。その辺は大変申し訳なかったのですけれども、実際今は説明をさせていただいた段階では、まだそこまで申し上げるほどではなかったということでございます。
それともう1点、(非鉄スラグの)使用状況ということでございますが、今も、ご報告というかご相談があれば調査をしているんですけれども、その使用された場所について判明した場合ですけれども、その都度、所有者さんとか、それと管理者、行政になるんですけれども、そちらにはご報告をさせていただいております。ただ、具体的な場所等については、個人情報でございますので、回答は差し控えたいというふうに思います。いろいろがございますので。ただ、先ほど申し上げましたように、所有者様、それと関係者、行政を含むですね、そちらのほうには逐次報告するようにしております。

参加者B:ということはその時点で、じつは箕郷町のゴルフ場の付近で設置された路盤材みたいなサンプルをお見せしたときに、これはうちのスラグではない、という話があったんですが、それは間違いだと思うんです。それと、もうひとつは市内での状況なんですけれども、まあ、個人情報も有ったりして公表は難しいというもあるんですけれども、ということは、実際には使われている箇所があったということで理解してもよろしいんでしょうか。

司会:すいません。繰り返しになって申し訳ありませんが、その辺につきましては、会社で調べているとおり、当然所有者様にはご報告して説明させていただいております。同時に行政にも報告してございます。すいません。そういう対応でございます。

参加者A:市内にあるかどうかだけですよね。応答拒否?個人情報、関係ないんじゃないの?

議長:安中市内にあったということは、申し上げられないと言うことでしょうか。

司会:もうしわけございません。

議長:本社のほうはいかがですか?

環境安全室長:本社のほうからご回答申し上げますと、皆様のご心配されているのは承知していますが、ただし、説明の繰り返しとなります。実際、所有者、その他のかたのご意向もございますので、申し訳ありませんが、ちょっとお答えは控えさせていただきたいと思います。それから、スラグの監督不十分については、あらためてお詫び申し上げます。当社が把握していなくて、いろいろご説明では、お客さんのほうが判明していなかったということで、ご理解いただきたいと思います。それから、水やその他土壌のほうは心配ないのかというようなご質問でございますけれども、それにつきましては、群馬県さんがホームページで、6月26日にデータを公表してございます。
※当会注:【6月26日】東邦亜鉛(株)安中製錬所から搬出された非鉄スラグに関する使用箇所の状況について(環境保全課、廃棄物・リサイクル課)↓
https://www.pref.gunma.jp/houdou/e17g_00030.html
そのデータでは、環境への影響調査の結果では、建設資材から土壌環境基準等を超過する有害物質が検出された箇所はあるが、土壌汚染ないと確認されていないという群馬県さんの報告もございますので、あわせて、ご理解いただければと思います。
他にご質問はありますか。

参加者ら:・・・。

議長:ちょっと私のほうからご質問をさせていただきたいのですが、東邦亜鉛のほうでは、今後、非鉄スラグの問題については、これまでの段階でちゃんとどういうふうなところに問題があったというのを検証して公表する予定はあるのですか?どういう原因でどこに問題があったのかということを、きちっと社内で検証して、確定していただくということなのでしょうが。

環境安全室長:当社で、東邦亜鉛とすれば、それにつきましては、実は群馬県さんによっていろいろ調査中でございます。なので、結果がどういうふうなものになるのかということについては、ちょっと私共、ちょっとまだ分かりません。あのう、調査が済みましたらその内容を見まして、検討するようにしますので、もうしわけございませんが、今しばらく時間を頂ければと存じます。

議長:今、石井室長のほうから、いろいろ説明がありましたけれども、これで、なぜこのようなことが起きたのかということが、十分理解できたとも、思えませんし、納得したとも言えないのでやはりきちんと社内で調査を掛けて、なぜこういう事態がおきたのか、それから、対策は本当に大丈夫なのかどうか、ということをあらためてきちんと説明していただきたいと思います。それは現在具体的にどう対応するのか、そういうのは私たちも分かりませんので、そういうことも含めてきちんとした説明をこれから準備していただいて、それを説明していただきたいと思います。他になにかご質問ありますか。

参加者A:はい、議長。1点だけ。あまり時間もないので。小川でございます。いまのやりとりを拝聴して、安中市内に非鉄スラグ、鉛とヒ素のたっぷり入ったスラグが捨てられているかどうかということについて、どうも会社から煮え切らない返事なので、しかし、行政のほうには報告したということですから、私としては群馬県にそういう報告があったのかどうか、情報開示請求すると。おそらく存否応答拒否とか、忖度されるかもしれませんが、それはそれで、これはありそうだなということは間接的に分かると思うので、それをやってみたいと思います。やった結果は、皆様の情報共有させていただきたいと思います。宜しくお願いします。以上。

議長:私があまりしゃべるのは申し訳ないんですけれども、これまでにも協定等を結ぶ時にも、大きな問題がありまして、住民の意向を踏まえないということで、まあ、東邦亜鉛で働いている従業員についても、やはり会社の姿勢としてそういうところには十分思いを注意して頂かねいといけないなと思っています。今日のお答えも先程申し上げましたように、十分なものだというふうには受け取れませんので、やはり社内でより深くほりさげたご検討をしただいて、また別の機会にそれをおうかがいしたいというふうに思います。



締めの挨拶をする本社の大久保総務本部長。
~~~~~~~~~~






■午前11時15分頃、コロナ禍の中で、4か月半遅れで開催された恒例の第29回東邦亜鉛安中製錬所工場視察会が終了しました。

 その後、安中緑の大地を守る会の役員の皆さんは、西岩井にある記念公園にあるプレハブの事務所に集い、本年度の定期総会を約1時間にわたって開きました。その結果、非鉄スラグを安中市内に投棄したのかどうか、東邦亜鉛が行政に報告したということから、情報開示等を通じて確認する必要があることを全員一致で了承しました。

 本来、行政に対してこのような報告が為されているのであれば、地元議員が率先して議員特権を活用して情報開示を行政に求めて、その結果を住民に報告すべきですが、これまでのところ地元議員が誰もそうしたことを行ってきた気配がないため、守る会の事務局でも行政に開示を要請することになりました。

【9月6日追記】
 8月24日付で東邦亜鉛安中製錬所の非鉄スラグの使用現場に関してこれまで群馬県に対して、同社から連絡ないし報告された情報の開示、およびその中で安中市内で非鉄スラグが使われたかどうかが分かる情報の開示を求めていた所、9月3日付で群馬県廃棄物・リサイクル課より、目一杯の2ヶ月間の開示決定延長の通知が届きました。開示するかしないかの判断は10月22日までお預けとされたのです。
 開示請求の際の同課畠中次長らの対応から、直ぐに開示しそうもない雰囲気が伝わってきましたが、案の定、「対象公文書の特定及び開示決定等の審査業務に多大な時間を要する」という延長理由が示されました。
※2020年9月3日「決定期間延長通知書」 ZIP ⇒ 20200903jmimsxosgpj.zip

【市政をひらく安中市民の会事務局からの報告】

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【報道】大同特殊鋼スラグのフッ素毒に狂う渋川市でお役人様の天下り問題発覚!一体どこまで腐っているの?

2020-08-22 23:28:00 | スラグ不法投棄問題
■法律で性善説に守られているお役人様。悪事を働いても仲間でかばい合い、万一悪事がバレても不起訴処分にしてもらえるのは、裁く方もお役人様だから。なのでやりたい放題に……。

 大同特殊鋼(株)渋川工場が排出した有害廃棄物であるスラグは、同じ渋川市にある(株)佐藤建設工業が天然石と混合しフッ素毒を薄めたと見せかけて、群馬県中にばら撒かれました。もちろん常温ではスラグと天然石は混ざり合うことはありません。特に、大同特殊鋼からスラグの供給をほぼ独占的に受けていた(株)佐藤建設工業は、大同スラグにフッ素毒があると知りながら、所在する地元に渋川市に大量に投棄してきました。

 渋川市では、大同特殊鋼(株)と(株)佐藤建設工業を必死に庇うため(?)、市長と市会議員、そしてお役人様が、スラグが投棄された場所をアスファルトでフタをする工事に邁進中です。有害廃棄物に認定された大同スラグは、管理型最終処分場に撤去し、片づけることが法律で決められていますが、大同スラグのフッ素毒に思考能力を狂わされた渋川市では、遮二無二に、“臭いものにフタ”の対応を進めています。そんな市民の健康を無視した腐った渋川市で、天下り汚職問題発覚の報道がありました。どんな問題なのか、さっそく検証しましょう。

社会福祉法人渋川市社会福祉協議会の本所(出典:同協議会HP)。この建物の中にフッ素毒に狂う化け物が巣食う?
**********毎日新聞デジタル2020年8月22日9:43
https://mainichi.jp/articles/20200822/k00/00m/040/013000c
渋川市276万円肩代わり 18年度、元幹部の再就職先人件費 /群馬
 渋川市が、退職した元部長職の再就職先の社会福祉法人「渋川市社会福祉協議会」に対し、人件費として2018年度に276万円を交付していたことが明らかになった。毎日新聞が入手した市の内部文書で判明した。市が幹部職員の「天下り」先の人件費を肩代わりした形で、要綱などに基づかずに交付しており、市は「不適切だった」として19年度から交付は取りやめた。
 市の資料などによると、元部長職は17年度に同協議会の常務理事として再就職した。18年度になって常務理事の報酬分として276万円を交付。だが、市の内部でこの支出について疑問視する声が上がり、19年度は交付が止められた。
 過去にも市の元職員が常務理事として再就職したケースはあったものの、市は常務理事の報酬に相当する人件費は交付していなかった。18年度の交付について、市は「当時の市幹部が協議会に(元部長職の男性の)常務理事就任を依頼し、17年4月に『人件費を18年度分の交付金に上乗せする』と口頭で約束した」と説明している。【庄司哲也】
**********

【8月23日追記】
 本日、地元紙にもこの事件についての報道記事が掲載されました。

**********上毛新聞2020年8月23日
元職員の役員就任で社協に276万円上乗せ 渋川市が交付
 渋川市社会福祉協議会を巡り、渋川市が退職した元市幹部職員の役員就任を働き掛け、役員報酬276万円を市から社協への補助金に上乗せして交付していたことが22日までに分かった。交付は2018年度に行われた。過去に兼務でははい役員の報酬分を補助金に含めていた例がなく、19年度は「適切ではない」との声が上がり、交付しなかった。
 市によると、元幹部職員は17年3月に退職し、同年6月に社協の常務理事に選任された。
 市からは社協に対し毎年度、職員の人件費含む運営費として補助金が交付されており、18年度は「常務理事報酬」分が増額された。19年度も同額が予算要求されたものの、査定の段階で疑問視する声があり、除外されたという。
 18年度に上乗せされた経緯に関連し、社協の会長名で「(市からの)提案及び推薦を踏まえ、市役所OBの当該役員就任を考えている」「当該人件費の予算措置についてご配慮ください」などとする要望書があったことも分かった。
 高木勉市長は「専任ポストを設け、人件費を市から交付したことは好ましいことではなかった」としている。
**********【以上追記終わり】

 今回の汚職の舞台となった社会福祉法人 渋川市社会福祉協議会のホームページはこちらです。↓
http://shibukawa-csw.or.jp/

■今回も報道のポイントを整理してみましょう。

ポイント①大同スラグで有名な渋川市で、市幹部職員の「天下り」問題が発覚し渋川市が「不適切だった」と認識していること。

ポイント②渋川市は、要綱などを定めず、好き勝手に天下り先の人件費を肩代わりしていること。

ポイント③天下りした常任理事と、天下りを依頼した当時の市幹部は誰か!?ということ。

■それではそれぞれのポイントごとに考察してみましょう。

ポイント①
大同スラグで有名な渋川市で、市幹部職員の「天下り」問題が発覚し渋川市が「不適切だった」と認識していること。

 大同有害スラグは、廃棄物の監督官庁である群馬県廃棄物リサイクル課により“有害”廃棄物に認定されました。有害な産業廃棄物は、管理型最終処分場に撤去・片づけるのが法の定めです(廃棄物処理法施行令第7条)。しかし渋川市が中心となって組織した鉄鋼スラグ連絡会議は、廃棄物処理法を無視して、そのほとんどをアファルトでフタをする工事を推し進めました。

 そんなフッ素毒に狂った施策を進めたであろう渋川市の市幹部職員が、なんと好き勝手に市を退職した後の「天下り」を確保し、不正に市の金を支出していたことが発覚しました。

 そして質の悪いことに、その渋川市が「不適切だった」と認識しているも、その後の2019年度以降の「人件費の肩代わり」の交付を取りやめるのみで、刑事告発や損害賠償を求めようとしないのです。この報道内容から、そのような背景や経緯がうかがえ、現市長や市会議員、そしてお役人様も、皆グルではないか?と読みとることができます。未だに渋川市はフッ素毒にやられて、試行判断を狂わされている様子です。

ポイント②
渋川市は、要綱などを定めず、好き勝手に天下り先の人件費を肩代わりしていること。

 記事では、「市の資料などによると、元部長職は17年度に同協議会の常務理事として再就職した。18年度になって常務理事の報酬分として276万円を交付。だが、市の内部でこの支出について疑問視する声が上がり、19年度は交付が止められた。」と報じらています。

 限られた紙面の中なので、少し分かり難い表現となっていますが、整理してみますと、次のとおり報道を読むことができます。
 「元部長職は17年度に同協議会の常務理事として再就職した」
 「先払いのように理事に報酬が支払われていて、翌年の18年度になって常務理事の報酬分として276万円を交付」
 「しかし問題となったため「19年度は交付が止められた」
 「今現在も常務理事は報酬をもらっているが、渋川市はお目こぼしを続け、刑事告発や損害賠償を請求していない」
 地方公共団体において、要綱を定めず、血税からお金を支出することは立派な犯罪行為です。

 ところで、問題の常務理事ですが、いったいどのくらい渋川市民の血税が報酬として搾取されていたのでしょう。報酬規程を見ていきましょう。↓
○社会福祉法人渋川市社会福祉協議会 役員等の報酬及び費用弁償に関する規程
http://shibukawa-csw.or.jp/relays/download/18/13/37/1724/?file=/files/libs/1724/201804131111005699.pdf
**********
(平成18年2月20日制定)
沿革 平成23年3月25日議決 平成29年2月23日議決 平成29年10月20日決議 平成30年3月28日決議

第3条 役員等の報酬は、次のとおりとする。
(1) 会長 年額240,000円
(2) 常務理事 月額256,800円
(3) 委員会の委員及び心配ごと相談員 日額2,000円

**********

 なんと問題の2017年(平成29年)から2018年(平成30年)に3回も決議されていますが、驚くことに一番偉い会長報酬が「年額240,000円」であるのに対し、その下に控えし常任理事が年額3,081,600円(月額256,800円)となっていることです。

 さらに姑息なのが、報酬規程の字ズラを合わせるために、「会長 年額240,000円」と年額なのに対し、「常務理事 月額256,800円」と月額表示にして、バランスを装っていることです。大同スラグのフッ素毒に侵され、脳ミソが腐りきってしまった渋川市だけに、“いかにも”と失笑を買う規定になっているのです。

ポイント③
天下りした常任理事と、天下りを依頼した当時の市幹部は誰か!?ということ。

 社会福祉法人渋川市社会福祉協議会のホームページには、役員名簿が公表されています。」↓
http://shibukawa-csw.or.jp/relays/download/73/389/302/4223/?file=/files/libs/4223/202004011426372757.pdf
**********
社会福祉法人渋川市社会福祉協議会 役員等名簿(令和2年3月31日現在)
会  長 萩 原 進
常務理事 佐久間 功

**********

 ここで念の為、報酬規程と役員名簿を合わせて記載してみます。
**********
社会福祉法人渋川市社会福祉協議会 役員等名簿(令和2年3月31日現在)
会  長 萩 原 進  年額240,000円
常務理事 佐久間 功  年額3,081,600円(月額256,800円)

**********

 今回の毎日新聞の報道では、「市は『当時の市幹部が協議会に(元部長職の男性の)常務理事就任を依頼し、17年4月に《人件費を18年度分の交付金に上乗せする》と口頭で約束した』と説明している。」となっています。

 常務理事・佐久間功氏(元部長職)の常務理事就任を依頼し、17年4月に《人件費を18年度分の交付金に上乗せする》と口頭で約束した人物とはいったい誰なのでしょうか?同じく毎日新聞の報道で、参考となる記事を見つけたので見ていきましょう。

**********毎日新聞2016年2月24日
渋川市 副市長に田中氏を起用へ 談合事件で空席 /群馬
 渋川市発注の公共工事を巡り、加重収賄や官製談合防止法違反などの容疑で副市長が逮捕された問題で、市は解職で空席となっている副市長に田中猛夫企画部長(60)を起用する方針を固めた。3月1日開会の定例会で市議会の同意を得て、4月1日付で就任する見通し。
 田中氏は1979年に北橘村役場に入り、市町村合併後の渋川市で法制管理課長や行政課長を務め、13年から企画部長。3月末に定年を迎える。【高橋努】
**********

 また政治山というサイトに選挙当確情報があります。↓
https://seijiyama.jp/area/card/14040/ebhWJC/M?S=qenel0laogrg
**********
選挙:渋川市議会議員選挙
投票日:2019年2月3日
氏名:田中 猛夫 たなか たけお
得票数:2005 当

**********

■この副市長は、今回問題となった社会福祉協議会の常務理事と同じく、元渋川市の幹部職員であり2016年4月より渋川市副市長職であったようです。社会福祉協議会の常務理事就任劇の舞台裏で、どのような腐ったやり取りがあったのでしょうか?

 大同スラグのフッ素毒がまん延する渋川市のことですから、さぞかし、お役人様同士で、市民の生活を無視した“悪人のみに都合が良い(?)”話し合いが持たれていたことでしょう。

 なお、こうしたお役人様同士の悪事の隠し合いは、大なり小なり多くの自治体でまん延している可能性があります。読者の皆様におかれましても、お住いの自治体のお役人様への不断の監視の目を凝らしていただければ幸いです。

【市民オンブズマン群馬事務局からの報告】

※参考資料1:大同特殊鋼渋川工場由来スラグの廃棄物認定
https://www.gunma-sanpai.jp/gp26/003.htm

※参考資料2:渋川市が主導した廃棄物処理法を無視した「鉄鋼スラグを含む材料の対応方針(案)」
https://www.pref.gunma.jp/06/h8000260.html#gidai1

※参考資料3:大同スラグ投棄実行役の(株)佐藤建設工業に対する行政処分
https://www.gunma-sanpai.jp/gp09/161.htm

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【高専過剰不開示体質是正訴訟・報告】酷暑の中で行われた8.20ダブル口頭弁論の様子

2020-08-21 20:15:00 | 群馬高専アカハラ問題
■高専組織の悪質極まる情報隠蔽体質……当会ではその是正を狙って、2019年10月、第一次・第二次の二度にわたり各種情報不開示処分の取消を求めて高専機構を提訴しました。当会ではこの二つの訴訟を「高専過剰不開示体質是正訴訟」プロジェクトとして、取り組みを続けてまいりましたが、審理も佳境に差し掛かったところで、新型コロナ緊急事態宣言による長期中断に遭ってしまいました。

 その後、夏になってようやく再開の歯車が回り始め、裁判所の配慮かはたまた被告高専機構側の意向が反映されたのか、8月20日午後に二つの訴訟の口頭弁論が連続してセッティングされました。このダブル口頭弁論に向けて、原告・被告双方の準備書面も出揃い、あとは当日を待つばかりとなりました。

○2020年7月9日:【高専過剰不開示体質是正訴訟・報告】七夕の第一次訴訟第3回弁論報告&第二次訴訟の再開通知到来!
https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/3180.html
○2020年8月14日:【高専過剰不開示体質是正訴訟・報告】コロナ凍結の第二次訴訟再開目前に届いた被告高専機構の準備書面(2)
https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/3190.html
○2020年8月16日:【高専過剰不開示体質是正訴訟・報告】第一次訴訟で当会が原告準備書面(2)提出…機構は準備書面無し!?
https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/3192.html

■そして、高専過剰不開示体質是正訴訟の天王山となるであろうダブル口頭弁論の当日8月20日を迎え、当会出廷者が満を持して東京地裁に向かいました。


高崎駅前の商業ビルの屋上に設置された日付、時間、温度の電光表示板。


8月20日の昼さがり、気温42.0℃と表示されていた。8月15日には43.0℃の表示目撃者も。

■当日8月20日(木)も日本列島は広く高気圧に覆われ、各地で気温が上昇しました。気象庁の発表では、埼玉県熊谷市や群馬県桐生市などで38.6度を観測しました。そうした猛暑のなか、午後1時54分高崎発のとき320号に乗車し東京に向かいました。昼下がりの新幹線車内は乗車率4割程度でした。

 午後2時44分に東京駅に到着し、いつものように丸ノ内線に乗り換えて、霞ヶ関で降り地上に出るとちょうど午後3時でした。



間もなく埋設工事が始まるのか、地表になにやら白くマーキングが。

午後3時ともなると、裁判所に出入りする人も少ない。

 玄関のアルコール消毒液で手を拭き、手荷物をX線検査のために預け、金属探知ゲートをくぐって裁判所の中に入りました。右手のエレベーターホールに行くとちょうど昇りのドアが開いたので乗り込んだところ、8階までノンストップの高層階用エレベーターでした。8階で降り、その向かい側のエレベーターで1階下の7階に着きました。

■まずは、703号法廷で15時30分からおこなわれる第一次訴訟第四回口頭弁論の番です。703号法廷は皇居側(法務省側)の一番奥に近い位置にあります。入口脇の開廷表を見ると、当日審理される12件の事案がずらりと並んでいました。その一番最後に、確かに「令和元年(行ウ)第515号 法人文書不開示決定処分取消請求事件」という事件名があり、あわせて原告当会と被告高専機構の名前が記されていました。

 開廷表に更に目を通していたら、当日の午後1時15分に4つの事件の判決言渡しがあったうちのひとつに、どこかで見たことのある名前が原告欄にありました。あの和歌山ヒ素入りカレー事件で有名なかたと同姓同名の人物が国を相手取った事件です。令和2年(行ウ)第217号損害賠償請求事件と記してありましたが、はたしてどのような事件と判決だったのだろうか、としばし思いを巡らせました。

 ということで、ここに間違いないことを確認して、時計を見ると、まだ午後3時7分でした。開廷までには時間があるため、控室で過ごそうと中に入ると、真っ暗で誰もいませんでした。入口の照明スイッチを入れて、ノートパソコンを起動していると、突然電話がありました。

 出廷者の本業の相手先からの電話でしたが、長電話になり、終わったのが開廷の5分前でした。急ぎ703号法廷の傍聴席に入ると、既に高専機構の訴訟代理人の藍澤弁護士が法廷内の被告席に着いていました。当会が幾度となく世話になっている前橋地裁は出頭簿の置いてある位置が違うので、いつものクセで動きかけたところで「おっと」と思い出し、法廷の中に入って、原告席の壁側の机の上にある出頭簿の用紙の原告欄に名前を大きく記入し、着席しました。

 傍聴席に目をやると、七夕の日に行われた前回口頭弁論と同じく、高専機構関係者と思しき傍聴者が3名いるのが見えました。どうも、公務として給料を貰いながら合法的に仕事をサボるうまみに味を占めたようです。

■まもなくマスクを着けて、森裁判長と陪席裁判官2名が右側のドアから入ってきました。壇上で着席するとすかさず書記官が「令和元年(行ウ)第515号」と事件番号を読み上げました。第一次訴訟第四回口頭弁論でのやり取りは以下のとおりです。

~~~~~~~~~~
裁判長:はい、期日間に原告から準備書面(2)が出ております。これ陳述されますね。

原告:はい、陳述します。

裁判長:はい。それから甲号証として、35号証から46号証までいただいております。これ全部写しということで提出されますね。

原告:はい、提出します。

裁判長:被告からも乙5号証をいただいております。これ提出されます?

被告:はい。

裁判長:それで、えー、今回の原告の準備書面に書いてあるところについて、ちょっと被告人にお伺いしたい点が1点ございます。

被告:はい。

裁判長:で、それはですね。今回の原告の準備書面(2)の、えー……10ページから11ページにかけて、なんですが、10ページの下のほうで、「また」(※筆者注:「また,上記の被告の主張は,文面のとおり群馬高専の補助職員のうち各学科所属の者に限って適用されうるものであり,その他の部署に所属の補助職員に関する退職時の所属や職名のみの情報について,法5条1号本文前段の個人識別情報に該当する旨の主張は一切ないから,議論の余地なく開示が妥当である。」)で始まる段落があるんですけど、原告よりこの主張は、補助職員のうち各学科所属の者について適用されうるものであり,その他の部署に所属の補助職員に関する退職時のうんぬんかんぬんについては主張が一切ないから、議論の余地なく開示が妥当である、というふうにしております。で、実際のところ、被告のほうには、その、補助職員で各学科所属の者でない、その他の部署に所属する補助職員っていらっしゃるんですか?

被告:はい、あのう、事務系の、えーと、いわゆる総務とか、そういった部署に、えーと、複数補助職員が、まあ、若干名おりますけれども、えー、まあ、そのへんも、あのう、技術系の職員と同じように、えー、1名ないし若干名ですので、そうすると、ある機会とすれば、当該本人が特定できてしまうというような問題かと思いますけれども。

裁判長:えーと、とすると、同じことが妥当すると言うことなんですか?主張として?

被告:はい、ご指摘の通りです。
(それを聞くと、裁判長は向かって左側の右陪審裁判官になにやらひそひそと語り掛けて、右陪審裁判官も何やら小声で返事をしていた。その間約30秒)

裁判長:あ、わかりました。じゃあ、そういうふうなご主張というふうなことでお伺いします。よろしいですかね。原告のほうも。もう、被告がそういうふうなつもりだというふうなことで。

原告:(被告としてそういう)つもり(ということ)ですから、はい。それはそれで……、あ、それからひとつ、前回、甲31、32、33あたりで提出しました甲号証の、その、年報、学校の校報、この出どころについて、お尋ねいただいたんですけれども、これ確認しましたところ、いずれもホームページに公表資料として掲載されているということを確認しておりますので、ここで一言申しておきます。

裁判長:はい、わかりました。はい。

原告:したがいまして、開示決定書とか、開示通知とか、そういうものはなく、ただダウンロードしただけのものをお出ししたということです。

裁判長:はい、はい。ありがとうございます。

原告:はい。

裁判長:えー、裁判所としましては、あのう、今までご主張等いただきましたけれども、あのう、本件につきましては判断の熟する程度に審理をしたというふうに考えております。それで、双方から特段、これ以上主張、立証が、望むところがなければこの段階で終結して判断をしたいと思いますが、よろしいでしょうか。

被告:はい。

原告:はい、異存ございません。

裁判長:はい、わかりました。それでは、双方主張の継続がなし、ということで判断させていただいて、弁論を終結いたします。

被告:……。

原告:はい、ありがとうございます。

裁判長:判決の言渡しですが、少し先になります。11月24日の、1時15分、午後1時15分、11月24日火曜日の午後1時15分に当法廷で行います。

被告:……。

原告:はい、ありがとうございます。

裁判長:それでは、これで終わります。閉廷します。

(以上約4分30秒間)
~~~~~~~~~~

 裁判長はそう言い残し、立ち上がると陪席裁判官を連れて法廷を退場していきました。当会出廷者が、机の上のパソコンとメモ用紙をカバンに詰めて、書記官らに「お世話になりました」と声をかけてから、法廷内を眺めると、藍澤弁護士と3名の傍聴者はすでに外に出ており、703号法廷の外に出ても、誰も見当たりませんでした。

 傍聴人入口のドアが開きっぱなしになっていたので、閉めようとすると、中から書記官が来て、ちょうど閉めるところでした。あらためて「お世話になりありがとうございました」と声をかけてから、エレベーターホールに出ました。そこにも被告高専機構側の関係者(藍澤弁護士と傍聴人)らの姿はなく、既に第2ラウンドのある4階に向かったようでした。当会出廷者もそのままエレベーターの下降ボタンを押しました。

■4階に移動した後、さっそく419号法廷に行き開廷表をチェックしました。間違いなく、16時ちょうどから同法廷で開かれる第二次訴訟第二回口頭弁論の予定が記されていました。後で気付いたことですが、清水裁判長は依然本件担当ながら、それ以外の裁判官と書記官が全員、2月の前回口頭弁論から総入れ替えされていました。年度をまたいだのでメンバーが更新されたものとみられます。

 ●前回時「裁判官:村松悠史,松原平学 書記官:山本尚秀」⇒ 今回時「裁判官:河山泰弘,釜村健太 書記官:戸谷多恵」

 チェック後、午後3時40分ごろから待合室で待機しましたが、誰も来ません。被告の訴訟代理人や傍聴に来た高専機構職員らも姿が見えません。おそらくどこかで雑談をして時間調整をしているものとみられます。そこで、当会出廷者が、控室にて隙間時間を利用して本業の打合せの電話をしていたところ、控室の前に数名のかたがたが集まってきました。隣の法廷で行われる別の裁判の傍聴に来た人たちのようです。

 仕事の打合せの電話を終え、開廷7分前になったので、傍聴入口のドアを開けて419号法廷の傍聴席に入りました。奥の左手に書記官補佐の若手の職員がたむろしているだけで、中には他に誰もいませんでした。傍聴席の原告側に最も近い席に座り、時間が来るのを待っていました。やがて書記官が来たので、出頭簿に署名して法廷にはいりました。

 原告席に座って間もなく、藍澤弁護士と、そのお供の高専機構関係者と思しき3名が一緒にドカドカ入ってきました。開廷2分前でした。

 そして定刻の午後4時になり、書記官補佐の「ご起立ください」という声で全員起立していると、マスクを着けた清水裁判長と陪席裁判官2名が右側のドアから入ってきました。裁判官が壇上で着席するとすかさず、書記官補佐が「令和元年(行ウ)第549号」と事件番号を読み上げました。第二次訴訟第二回口頭弁論のやり取りは以下のとおりです。

~~~~~~~~~~
裁判長:それでは開廷します。前回の弁論から、裁判所の構成が一部変わりましたので、弁論の更新をいたします。従前のことということでよろしいですね。(※上述の年度替わりに伴ったメンバー入れ替えを指している)

原告:はい。

裁判長:出していただいただいた準備書面について、原告のほうで準備書面(1)を陳述されますね。

原告:はい。

裁判長:被告は準備書面の(1)と(2)を陳述と言うことですね。

被告:はい。

裁判長:それから、書証に関しましては、甲号証は甲9号証から17号証まで写しとしてですね。

原告:写しで、はい。

裁判長:乙号証は1号証から3号証まで写しとして提出ですね。

被告:はい。

裁判長:で、あのう、出していただいた書面についてちょっと、えー、確認をしたいんですけれども、まずあのう、えー、その、えー、まあ、5条1号の但書のイにあたるかどうかということで、双方、準備書面でお書きになっているんですが、本件は、4号該当性が問題となっていまして、1号但し書きのイというのは、1号該当性が認められる場合の規定ですので、やっぱり4号該当性とは、まあ、関係がないわけですね。あのう、ですので、まあ、あのう、本件は4号の該当性について双方議論すれば、まあ十分なのかな、と思うところでありまして、1号但書該当性というのはあまり議論しても意味がないんじゃないか、というふうに思いますが、いかがでしょうか。

被告(注:いきなり嬉しそうに)はい、ご指摘の通りだと認識しております。

原告:……はあ。

裁判長:じゃあ、あのう、えーと、まあ、5条1条但し書に関しては(双方)撤回するということでよろしいでしょうかね。

被告:はい!

原告:……ええ、はい。

裁判長:えーと、それで、そのうえですけれども、被告のほうで準備書面をふたつ出していただいて、えー、その4号該当性についても主張されているわけなんですけれども、答弁書では、もうひとつですね、今回準備書面で書かれていることは非常勤講師の対応の問題と、あと派遣候補者になる人が、躊躇を感じるのではないか、というようなことについて書かれているんですけれども、その他に答弁書を見ますと、他の高専の教員や採用希望者による恣意的な異動および採用の方法というようなことがかかれていますけれども、ちょっと抽象的でありまして、具体的にどういうことを言いたいのかというのは、これだけではよくわからないですね。その点についての疎明が十分でないような気がしますので、その点については補充をお願いしたいと思います。

被告:はい、承知しました。(注:直前の口頭弁論とは打って変わって、声が大きい)

裁判長:それとですね、えーと、この、本件の制度の仕組みに関わるところではあるんですけれども、準備書面を拝見しますと、高専の校長が派遣者の受入れについて、受入先の高専の校長と協議をして決めるというようなことが書いてあるんですが、ただ、あのう、趣旨について誰がどういう権限をもっているのかということで、まあ、えーと、学校ごとにまあ、非常勤講師の雇用も決めるというようなことも書いてあるんですけれども、法人が人事権を持っているということであると、学校ごとに決めるというのもよくわからないところもありまして。ですので、誰がどのような権限を持っていて、どういう手続きで、これらの一連の手続きを行っているのかというようなところを、もう少し、具体的にですね、その権限関係がわかるように説明していただいた方がいいと思うんですね。

被告:はい。

裁判長:そこのところの補充をおねがいします。

被告:はい、承知いたしました。

裁判長:えーと、被告のほうで以上の補充をするということなんですけれども、あのう、原告として、今の時点で、被告が出したものについて反論されるか、それとも、被告の補充が出てから、それに対して反論されるかと、という点についてはいかがでしょうか。

原告:はい、まずそのコロナのせいで4か月くらい延びてしまったんですけれども、その間で、今回の訴訟指揮で出されるべき被告の準備書面(2)がもう出てきてしまったので、これに対して、原告として言いたいことがありますので、ぜひ、それ、準備書面(2)に対する反論を出させていただきたいと思います。

裁判長:はい、分かりました。では、双方で書面を出すということでよろしいでしょうか。

被告:……。

原告:はい。

裁判長:はい。そうすれば、それぞれ準備書面をお出しいただくのですが、提出期限を決めたいと思います。

原告:こちらはもう、半月もあればよろしいんですけれども。

裁判長:いちおう、同じ期限と言うことで。

原告:ええ、そうですね。同じように出しますけれども、2週間もあればこちらはOKですけども。

裁判長:期限より早くお出しいただいても全く問題ありません。(微笑む)

原告:はい、わかりました。

被告:9月末まででお願いできますでしょうか。

裁判長;9月の末ですね…9月30日までということでよろしいでしょうか。

被告:はい。

裁判長:ではあのう、双方とも、9月30日までにお出しください。

被告:……。

原告:はい。

裁判長:では次回の弁論ですが……と、あのう、曜日とか時間帯でこの辺は避けてほしいとか、あるいは、この辺が良いとか、曜日としては当部では、火曜日、木曜日、金曜日の法廷です。

原告:ああそうですか。できればどちらかと言えば、金曜日のほうがいいんですけど。時間的にはいつでもいいです。もちろん、火でも木でもいいんですけども、もし選ばせていただけるのであれば、金曜日が、私のほうとしてはいいです。

裁判長:時間帯では午前でも午後でもいいですかね?

原告:はい、どちらでもいいです。

裁判長:それから、被告はよろしいですかね。

被告:はい、結構です。

裁判長:それでは次回10月16日の金曜日ではいかがでしょうか。

被告:はい。

原告:はい、OKです。

裁判長:それでは午前11時ではいかがでしょう。

原告:はい、承知しました。

裁判長:では次回、10月16日金曜日午前11時といたします。

原告:はい。

裁判長:本日はこれで閉廷します。

原告:はい、ありがとうございます。

(以上約10分50秒間)
~~~~~~~~~~

 こうして第二次訴訟の第二回口頭弁論も終了しました。

■終了後、傍聴席にいた3名のうち、白シャツ姿の傍聴者はいち早く部屋の外に出ましたが、柄物シャツを着た2名の傍聴者は、代理人の藍澤弁護士が法廷から出てくるまで待って、一緒に外に出ていきました。当会出廷者もその後を追うように出ていきましたが、被告高専機構側の一団はしきりにこちらを気にしている様子でした。なので、コロナ密を避けるためにも、藍澤弁護士と機構職員を先に行かせ、別のエレベーターで下に降りました。1階に着いて、エレベーターから正面ロビーに出ると、既に高専機構側関係者の姿は見当たりませんでした。

 裁判所の外に出ると、4時過ぎでもお構いなしの真夏の日差しが照り付けて、セミの声が聞こえました。





ほぼ連日、プラカードを掲げて抗議している不当裁判の被害者。心境はいかばかりか。歩道にはみ出た樹木の枝を裁判所にきちんと切らせたのは快挙と言える。なぜなら前橋地裁の場合、当方が指摘しても一向にはみ出たままだからだ。

■さて、以上のとおり、第一次訴訟については事前の見込みどおり結審し、判決の言い渡しが11月24日(火)午後1時15分から東京地裁703号法廷にて行われることになりました。森裁判長ら裁判官が各項目についてどのように判断を下していくかは未知数ですが、原告当会としてももう何もできることはありませんから、三か月後の結果を待つ所存です。

 問題はやはり、10月16日(金)午前11時から第三回口頭弁論が開かれることになった第二次訴訟の方です。上記報告のとおり、裁判長が法5条1号ではなく法5条4号が争点になると言い出した瞬間、藍澤弁護士は突如として弾かれたように勢いづき始め、まさに「水を得た魚」そのものの雰囲気でした。

 法5条4号ヘの不開示事由(※人事管理に係る事務に関し、公正かつ円滑な人事の確保に支障を及ぼすおそれ)が単一の争点になると、高専のことなど何も知らない裁判官相手に、「とにかく高専機構の業務に支障をきたす」とまくし立てていれば、なんとか押し切れると判断している可能性が指摘されます。藍澤弁護士と高専機構側も、そうした観点から何かしらの「手ごたえ」を感じ、元気付いたのかもしれません。

 とはいえ、どこまで行っても被告高専機構側の言い分が詭弁とこじつけを積み上げているだけの張りぼてなことには変わりありませんから、原告当会としてはそうした見せかけの勢いに惑わされず、冷静になってその致命的な穴を突いていくことになります。

■あわせて気になるのは、裁判の長期化です。当会が第二次訴訟の訴状を東京地裁に提出したのは、2019年10月18日でした。すると、第三回口頭弁論に至るだけで丸一年を費やしていることになります。加えてこのペースでは、判決が2021年に持ち越されることも確実になってしまいました。

 提訴当時、対象が多岐にわたる第一次訴訟は長期化し、対象と争点が極めてシンプルな第二次訴訟は早期結審するだろうと考えていましたが、イレギュラーが重なりすぎて、第一次訴訟の方が早く結審してしまいました。

 雑賀洋平が1年間の沼津バカンスから群馬に戻り、コロナ騒ぎのドサクサ紛れで学級担任に就任して既に4か月以上が経ちます。つまり、すでに沼津派遣期間を明らかにすること自体の実用上の利益はなくなり、過去の処分の不当性を証明することによる高専組織の情報隠し体質の是正が唯一の目的となりました。ところがこうも長期化が続くと、高専組織の体質是正に取り組むことすらどんどん先送りにされてしまいます。

■高専過剰不開示体質是正訴訟におけるダブル口頭弁論の報告は以上となります。当会として、第一次訴訟については判決待ちの状態となりましたから、第二次訴訟について、9月30日提出期限の準備書面の作成に着手してまいります。

【8/31追記】
■第一次訴訟については、上記のとおり、口頭弁論終了直後の時点ではそのまま判決を待つ所存でした。しかし、あらためて口頭弁論の内容を精査してみると、裁判長の質問を受けて藍澤弁護士が口頭で行った疎明の内容が正確でないことに気付きました。「学科の所属でない補助職員」の有無について聞かれた際、藍澤弁護士は総務等事務部署にわずかに存在しているという旨の回答をしました。しかし当会として、その記載は、訴状から一貫して指摘している群馬高専の「教育研究支援センター」所属の技術職員を念頭に置いたものでした。にも関わらず、被告側は継続して争点のひとつとなっているはずのこの点について、一切言及しませんでした。

 このままでは、被告側の一方的な説明が鵜呑みにされたまま、判決に移られてしまう危険性があります。新たな事実主張を伴わなければ、弁論終結後でも準備書面は出せることから、補足説明として8月27日に以下の原告準備書面(3)を東京地裁と被告代理人弁護士事務所に郵送で提出しました。

*****原告準備書面(3)*****ZIP ⇒ iitrj.zip
令和元年(行ウ)第515号 法人文書不開示処分取消請求事件
原告  市民オンブズマン群馬
被告  独立行政法人国立高等専門学校機構

         原告準備書面(3)
                     令和2年8月27日
東京地方裁判所民事第2部Bc係  御中

                原告  市民オンブズマン群馬
                    代表 小川 賢

            記

 令和2年8月13日付原告準備書面(2)における原告側主張について、新たな事実主張を伴わない範囲で、補足説明をする。

1 原告準備書面(2)10ないし11頁にかかる主張について
 原告は、当該箇所で「また,上記の被告の主張は,文面のとおり群馬高専の補助職員のうち各学科所属の者に限って適用されうるものであり,その他の部署に所属の補助職員に関する退職時の所属や職名のみの情報について,法5条1号本文前段の個人識別情報に該当する旨の主張は一切ないから,議論の余地なく開示が妥当である。」と記載した。
 このことに関し、令和2年8月20日第四回口頭弁論において、被告が「補助職員であって各学科所属でない者の有無」に関する事実の説明を裁判長から求められたところ、被告は、総務課等の事務系部署に複数補助職員がいるものの、少人数である(ため法5条本文1号前段の個人識別情報に該当する)旨を口頭にて疎明した。
 しかし、被告の言及した一部の事務系職員のみならず、群馬高専の教育研究支援センター所属の技術補佐員も明らかにこれにあたり(令和2年4月6日付被告準備書面(2)6頁)、原告のかかる主張も教育研究支援センター所属の者を含め念頭に置いたものである。そして教育研究支援センター所属の者については、特に一段事情が異なることは、訴状4項、原告準備書面(1)3項、原告準備書面(2)3項および甲10ないし11、甲31ないし33によって一貫して指摘しているとおりである。被告は上記の第四回口頭弁論における口頭疎明においてこの点言及しなかったため、本準備書面によって原告側主張の補足説明とする。
以上
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■3か月間をかけ、果たしてどのような判決が書き上げられるのでしょうか。当ブログで判決のご報告をする頃にはすでに師走も目前です。提訴から丸一年を潰したからには、マトモな判決が出てほしいものです。【追記終】

【市民オンブズマン群馬事務局からの報告】

コメント (8)
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