市政をひらく安中市民の会・市民オンブズマン群馬

1995年に群馬県安中市で起きた51億円詐欺横領事件に敢然と取組む市民団体と保守王国群馬県のオンブズマン組織の活動記録

館林北部第三工業団地のフッ素土壌汚染問題で隣接のダノン所有地の取扱いについて館林市と協議

2024-02-25 22:22:45 | スラグ不法投棄問題

2024年2月5日(月)午後1時半から3時まで館林市役所5階会議室で行われた協議の模様

■館林市の北部に工業団地が拡がっています。造成・分譲順に第一、第二、第三とあり、この工業団地には、多くの食品工場が立地しています。アサヒ飲料やブルドックソース、ダノンなどがその一部です。現在、館林北部第四地区の造成工事が進行中です。この地区は約19.3ヘクタールの面積を持ち、約13.0ヘクタールが工業用地となる予定です。この北部工業団地の第四地区の造成工事は2028年度に開始する予定でしたが、5年前倒しして2023年から開始し、2024年度には分譲を開始する計画で、造成工事は今年4月30日までに完了予定となっており、2024年度には分譲が開始される予定です。

 こうした中、当会は、2月5日(月)午後1時半に館林市役所5階会議室で、市側担当者らと、北部第三工業団地におけるフッ素土壌汚染問題にかかるダノン所有地の現状と今後の取扱いについて、市側の考え方をヒヤリングすべく、協議に臨みました。この問題については、次のブログ記事を参照ください。

○2024年2月4日:館林北部第三工業団地を巡る土壌汚染問題の責任明確化が問われる館林市と群馬県環境森林部(その1)
○2924年2月5日:館林北部第三工業団地を巡る土壌汚染問題の責任明確化が問われる館林市と群馬県環境森林部(その2)
○2024年2月5日:館林北部第三工業団地を巡る土壌汚染問題の責任明確化が問われる館林市と群馬県環境森林部(その3)


伊勢崎駅でJRから東武に乗り換え

剛志駅あたりから雪が本降りとなってきた
館林駅改札口

 前日来の降雪予報のため、筆者は車でなく電車で安中駅から高崎駅経由、両毛線で伊勢崎駅まで行き、同駅で東武伊勢崎線に乗り換えて館林駅に午後0時45分に到着しました。



 伊勢崎駅を出たころから雪が降り始め、館林駅に着く頃は本降りになりました。さっそく、駅前からタクシーで館林市役所に行き、1階のロビーで当会顧問の館林支部長と、桐生から車で来た副代表と合流しました。エレベーターで5階の最上階へ上がり、左奥の突き当たりの部屋に通されました。


■午後1時半から始まる会議に先立ち、当会顧問が準備した2通の書類(群馬県からの弁明書と県への反論書)を市側参加者4名にも配布しました。

 最初に当会3名の自己紹介を行い、続いて市側の参加者4名のかたがたの紹介がありました。産業政策課産業政策係の福田係長と尾崎担当、行政課法規登記係の吉永係長と石川担当が市側参加者です。

左から行政課法規登記係の石川担当、吉永係長、産業政策課産業政策係の福田係長と尾崎担当

 冒頭に当会代表から今回の協議に関して、概要説明を行いました。

「まず今日の件、長年にわたり、物議を醸しているこの問題。皆さんにとっては裁判で決着がついているというスタンスかもしれないが、館林市北部にある下早川田町の第三工業団地があり、現在第四工業団地を造成中と聞く。今の第四工業団地は群馬県の企業局がやっているようだが、第三工業団地は解散した土地開発公社が手掛けたと認識している。
 この時、フッ素が出たということで、なぜあのようなところでフッ素が出るのか。銅であれば昔は足尾銅山の影響かもしれない。実は当会としてフッ素というと製鉄の過程で出るスラグ、つまり、とりわけ電気炉を使ったスクラップ由来原料の製鉄過程で蛍石という安価で効率よく不純物を除去できる物質を使用するが、これが群馬県内の場合、大同特殊鋼という渋川駅近くに拠点を持つわが国屈指の特殊鋼メーカー。そこから排出されている鉄鋼スラグが由来で、これがあちこち物議を醸している。
 当会はこの問題をずっと追及してきており、八ッ場ダムの関連工事だとか、今工事が大体終わっているが上武国道の埋土材や路盤材に大量に使われている。これが問題になっている。
 上武国道では、大同特殊鋼が国交省と毎年工区を決めて除去工事をしている。舗装の下は本線なので交通を止められないので路肩部分を順に施工している。これは国交省の工事となっているが、費用は大同特殊鋼がスラグを撤去するということで負担して行っている。
 そういう観点からフッ素というと、そこ(大同特殊鋼)が由来だとしていろいろ調査している。県が産廃として指定しているが、スラグを使用している場所がどこかというデータを開示しない。なので、当会は開示請求を県にした。「館林の北部第三工業団地及びその近辺に使用されているかどうか」を知るために情報開示請求をしたら、県は「不存在とは言っていない」のに開示しない。すでに2年ほど経過する。
 それは別途審査請求を進めているが、この第三工業団地は平成22年頃、館林市土地開発公社が工事をした。その時に持ち込まれているのではないかという懸念がある。なぜなら、平成19年までは大同特殊鋼は渋川で副産物で出たスラグ、これをアスファルト骨材として、当時まだ廃業していなかった井上工業という県内の中堅ゼネコンの子会社のアスファルト舗装会社で使っていた。
 ところが、井上工業は平成19年に廃業した。そのため大同特殊鋼はそれまでフッ素入り鉄鋼スラグを引き取ってもらっていたが、引き取ってもらえなくなり困ってしまった。そこに目を付けたのが佐藤建設工業という渋川市内に拠点を持つ土建屋。そこが渋川市内の山間部に自社で砕石場を保有しており、そこから出る砕石とフッ素入りのスラグを混ぜて資材として販売していた。
 但し、販売時にスラグがそのままだと濃度が基準をオーバーしてしまうので、10倍以上天然砕石と混ぜて販売していた。これをあろうことか群馬県は、多分政治的圧力と思われるが、「再生砕石とみなして、公共工事につかってもよい」と、当時の県土整備部の倉島敬明氏が業者に通達を出した。これが平成22年から23年ころだったと思う。
 そのため、こちらで土地開発公社が工業団地計画で造成時に、それを業者が入れたのではないかという疑念がある。そのためずっと、この裏付けを調べているが、なにしろ群馬県に聞いても、館林市の皆さんの諸先輩に聞いてもよく分からない。なぜこういうことになったかということは我々として疑念のベースとしている。
 そして、トーモクが、売れ残ったというか、最後の土地2.7ヘクタールを買ったわけだ。その時に、3年くらい遊ばせて、あと、自分では使わずにまるまる大同薬品工業というダイドーのドリンク剤を作る会社が関東に工場を作りたいとして探していたら、ここがとりあえず空いていると。なぜトーモクが買ったのか、第2工場をつくろうとしたか、それは皆さんのほうがよく知っているはず。
 それでその時に群馬県に土壌汚染対策法の第4条に基く届出、形質の変更届をした。そしたら県がどういう原因だがわからないが、農政部と東部環境事務所、そこと皆さんの館林市に問い合わせをして、その結果、どうもあそこは土壌汚染のおそれがあるらしいことを聴いた。そして、県への届出は大同薬品工業だが、地主はトーモクということで、届けた大同薬品工業に対して県が土壌調査命令をだした。それを地主であるトーモクが土壌を調べたらフッ素が出てきた。
 ところがその隣はダノン、プラスチック・ホンダ、それと日立物流。これはダノンが買ってそこで物流センターとして貸しているようだ。それと手島精管だが、手島精管は土対法の届出を出していないようだ。
 それで今言った3社、ダノンと日立物流の施設を作った大和ハウス工業、それにプラスチック・ホンダは、土壌汚染対策法第4条に基く届出をしている。
その時は、平成24年頃だが、当時群馬県は農政部や館林市、東部環境事務所に問い合わせたところ、結論として問題ないとなった。
 なぜ、どういう理由で、当時は問題なく、その3年半後にトーモクが出した時は問題があるのか、小林会員は不思議に思い、情報開示をしたら、肝心の箇所は真っ黒けにされて、だから異議申し立ての審査請求をした。それで県が弁明書を出してきて、そこにあるが、それに対して反論書を出した。
 今日はその問題について腹を割って隠し事のないように、この問題についてどのように館林市のほうは認識しているのか。小林会員が前々から心配しているように、いろいろとダノンから何か言われているのではないか、これ以上一般会計から多額の公費を公社の尻拭いに投入することは何としても避けたい。これが趣旨だ。
 私も先ほど申し上げたように東邦亜鉛の土壌汚染。カドミウム、鉛、ヒ素。この降下煤塵で今土壌汚染防除の土地改良で地元の推進委員会の会長を仰せつかり1年半になる。
 今回の場合、なぜ群馬県が土対法第4条の届出に対して違う対応をして、その結果、トーモクは5.2億円で汚染土壌を排客土し、ダノンの所有土地はまだぺんぺん草が生えている。これはなにか今後、市に対する悪影響になってくるのではないのか。この点はきちんと説明してもらいたい。
 これについてきちんと説明責任を果たしてもらわないと、館林市民納税者にとって影響が大きい。説明したら影響が消えるかどうかはわからないが、やはりきちとありのままを説明して、なぜこうなったのかをきちんと究明して責任の所在を明確にし、なんとか市民に負担がかからないような解決策を模索すべきだ。」

 次に、当会顧問で館林支部長から、先日県から送られてきた弁明書と、それに対する反論書について。市側職員に対して「内容をよく把握してもらうために、内容を読み上げてほしい」と要請しました。

 しかし、市側職員らは、「読み上げるというのはこの弁明書全部か?」と難色を示したので、当会顧問は「でないと皆さん同じ認識にならないと思う。一応私の方で読み上げてもよいが、これは県のほうの役所の声として受け止められたい」と述べました。結局読んでいると結構な時間がかかるということで、大雪が降り続く窓の外の様子を見て、内容の読み上げ依頼は取り下げました。

 次に、当会代表が、
「本当に認識していただきたいのは、この一番重要なところ、なぜダノンの3社の時には、同じように関係先から連絡、調査というか、ヒヤリングをした結果、土壌調査命令がなく、それとトーモクの時となぜ違うのか、そこのところ理由と根拠について県に開示をお願いしているわけだ。
 だが、県の弁明を見ると『全部おそれがある』という。公文書非開示の理由として、県の条例に該当する条項をいろいろ挙げている。第14条第6号に関係するとか。法解釈による不適切なおそれ云々などとしている。
 このおそれという理由でひた隠しにしようとしているので、同じ行政である館林市のほうでもきちんとこの経緯というかなぜこういう状況になったのかを、我々にかわって、県に対して説明責任を果たすように求めてもらいたい」

と市側に申し入れました。そして、さらに続けて、

「おそれがあるから一切これ以上の開示には応じませんと、県は頑なに言っている。そういうことでなくて当会会員が何を求めているか、これは2度とそういう理不尽な負担を一般会計、つまり、市民からの税金で成り立つ予算からの支出はやめてほしい。
 本来であれば、トーモクのときでも、土壌汚染で土を入れ替えなくても、これ大同特殊鋼の他の地区では基本は撤去だが、渋川市などは保育園とか小中学校の父兄用の駐車場にも大量に敷きこまれているが、簡易舗装すればいいというやり方もまかり通っている。要するに雨が降ってフッ素入りのスラグに対して、雨が降ったり、地下水に浸されたりする影響もあるが、それらを遮断すればいいと。そうすれば滲み出た水の中にフッ素化合物が入らないという。
 なぜ、ダノンや他のところも当然影響を及ぼすことが分かっていたのにもかかわらず、大同薬品工業が、人の口から体内に入る商品を製造するということで、県は『これは土壌汚染調査命令を出す必要がある』ということで判断したのか。だから土壌調査命令が出されたので調べたら、フッ素が出てしまった。
 皆さんは、『裁判で和解』だから、また、裁判所は、館林市が、公社の時にガイドラインには沿っていないけれども、きちんと不要化処理した、とか、一部撤去したなどと言い訳を主張したことで、司法でも和解としたので、市としては裁判で悪いと言われなかったから責任を取る必要は無い、という、こういうスタンスかもしれない。
 一番問題なのは、県がそこで、そういう判断を出した背景だ。当然その後、県から、市町村としては大きな自治体である館林氏がどういう影響を被るか、深謀遠慮があったのかどうか分からないが、『そのプロセスを明らかにしてほしい』と当会の顧問が市民代表としてお願いしているわけだ。となると、皆さんの力を借りるしかない。
 なぜこうなったのかということ。ダノンの状況がわからない。ダノンの情報が開示されないので、あえて市民として懸念するわけだ。あそこの土地を使って(工場を建てて)いないのは、ダノンがトーモクの汚染土壌撤去を横で見ているから、当然(自分の土地の汚染を)知っているはず。
 ということは、市に対して、いろいろ水面下でも言ってきているかもしれない。どうするのか。
 それは県にも大きいな責任があるはずで、裁判の前に、トーモクがあれほど調整で何とかしましょうよ、減額にも応じますよ、と言っているのに、市は『もう弁護士に頼んだからガチンコでやるんだ』と。『どうせ損害賠償は一般会計で市民の血税で尻拭いすればいい。所詮税金なんてアブク銭だ』と。こういう考えはオンブズマンとして一番許せない対応なんです。
 これは安中市の51億円事件と同じで、毎年群銀に2000万円ずつ103年間にわたり続けているが、これは裁判で和解になったから。裁判所の判事に言わせると、『行政に恥をかかせられない。行政に恥かかすと自分の出世に影響がある』とこう言っている。『特に群馬県が相手だと、県の職員は6000人もいて我々裁判官は3名しかいない。裁判長の自分と右陪席と左陪席の3人しかいないが、相手は6000名もの職員がいる。連合艦隊を相手に竹槍で勝負するようなものだ』という。戦時中のプロパガンダのようなことを言っている。
 皆さんは、裁判の結果、和解で市に失態がなかった、とお墨付きを得たかもしれないが、現実を直視してほしい。
 きちんと説明を頂かないと、我々としてさらに妄想を膨らませざるを得ない。」

 次に当会顧問が、あらためて懸念を表明しました。

「要求事項として、要は山本知事からの弁明書に対して、当方として、それに対する返事について、ここに17ページにわたり反論を纏め上げた。本来であれば、この反論書も全部読み上げて、この問題についての認識を新たにしてもらいたいが、降雪の関係で全部読み切ることができない。最後の18ページに、ダノンが未操業の土地があり、ここに新たな工場の建設もされていないようだ。この理由が、フッ素による土壌汚染となれば、係争となり、『瑕疵付きの工業団地を売りつけた』として、再び係争になりかねない。
 そして「館林市とトーモクとの関係においても、群馬県も積極的に関与し、支援や証言を行ってくれていれば、館林市は一般会計から約5,2億円もの支出をせずに済んだはずだ。今回の県の情報不開示決定処分が取り消され、土壌調査命令がなぜトーモクに対して発出されたのか、ダノンなど3社が立地する土地について、再び係争状態にならないよう、館林市の納税者市民として経緯を知っておく責務がある。なぜなら納税者市民県民として、請求人は二度と原因者に代わって館林を尻拭いのすることのないようにしたいからだ」

 とし、最後に、

「第三工業団地について、今、トーモクだけでなくダノンその周辺地域の土壌汚染についても心配されているので、そこらあたりをどうするのかということが、具体的に館林市はどういうふうに今後この問題を扱っていくのか、そこのところの答えを聞きたい。
 具体的にフッ素汚染土壌を今後どうするのか。このことについて館林市は考えておられるのか。これが最大の心配事だが、どうなのか?係長!そのあたりは?」

 と当会顧問が市側に迫りました。すると、市側は

「ちょっと話がわかるところもあるし、わからないところもあるが、まず前提として、汚染されているということなんですか?」

 と、呆れた質問を返してきました。当会顧問が、

「汚染されているから(汚染土の)入れ替え費用として、館林市は5億2千万円払ったと議会も認めている。その隣りのダノンはどうなのか。ちょっと心配されるのだが、ダノン(の土地)はコンクリートで覆っているから、もう(雨水は)浸み込まないのか。現地に行ってみると、だいぶ覆ってあるようだが」

 と食い下がると、当会代表も

「福田係長さん。分かるところもあるが分からないところもある、ということは、我々の話したことが認識として、分からないということは、つまり、間違っているとか、不確実ということは察していただきたい。我々は情報開示請求でしか行政情報を入手する手段がない。
 しかも、そこのところが黒塗りにされている。公開質問状という形でも(館林市側に)投げさせてもらっている。この公開質問は、小林会員から複数回出しているが、市側の回答は『弁護士と相談させていただく』など、まともな答えがない。
 間違っているなら指摘してもらいたい、但し言えないということでずるずるいくと、また大変な問題になってしまう。そうではなく、『いや、この問題は全部きれいになっている』というのであれば、その根拠は『和解したから』ではダメで、科学的な根拠、或いはこれまでの経緯、そして相手方から確認を取って『ここはもう汚染されていない』という確証があれば、我々安心できるのだが、その確証がとれていない。群馬県が、そのように(土壌調査命令を)二重基準でやっているのも問題だ。土壌汚染の土対法に関する県の環境保全課の大気、水、土壌のうち、とくに土壌担当部署は非常に杜撰で二重基準だ。我々は真相を知りたいだけだ」

 と呼応すると、当会の顧問は、

「その真相というのは、これはどこからフッ素をもってきたのか、(行政側は)何も言わない。一番よく知っていると思うのに。(フッ素汚染土を)どこから誰が持って来たのか? 青木議員が、要は同じあそこの渡良瀬地区出身の青木議員が、ある業者を頼んで『安い土砂があるから持ってこい』と言って、(その挙句に)勲章をもらったのかということになれば、とんでもないことだ」

 と畳みかけました。すると市側は、

「ちょっとあのう、その部分については、何か、多分資料を渡したとか、既にお話しした話ではないかと思う。私どもは、ちょっと言い方はあれだが、当事者ではなかったので、といってはなんだが、資料とか、(役所にまだ)居る人の話を聞いて、事実として確認したことをお伝えしてきているつもりだ。あとは、書類も、それを渡しているはずだ」

 と、既に報告済みであることを強調する発言をしました。当会顧問は、「直接の担当者はいないのか?」と突っ込みを入れると、市側は「直接の担当者・・・うーん。当時のですねえ」と首を傾げるので、「石川さんは違うの?」と、当人は「私は立場が違います」と、他人事のような返事でした。

 それを聞いていた当会の副代表は、

「ちょっといいですか? 皆さんは、地方自治法って知っていますか?」

 と市側に質問しました。すると市側は一様に「え?」と訝しそうな表情を浮かべたので、当会副代表から次の説明をしました。

「(地方自治法の)目的に何と書いてあるのか? 住民の福祉の増進を基本目的としてと書いてある。情報公開法は原則開示なんですよ。それ知ってますでしょ? なぜかというと説明責任のための資料なんですよね」

 さらに当会顧問は、

「あの地区の代表者である青木(一夫・元)議員をこの席に呼んでほしい。この件をどう見ていたのか、その説明を以前から直接(本人に)言おう言おうと思っていて言えなかったが、この場を借りて担当地区の青木議員は(この件を)どのように見ていたのか、あるいは直接関与していたのではないか、とも思う。何度言ってもしらばっくれて逃げ回っていて聞けないでいた。だからそういう場を作ってほしい。福田さん、お願いします」

 と市側に申し入れると、市側は「青木元議員ねえ」といかにも乗り気のなさそうな返事なので、当会顧問は「直接対決したい」と申し入れると、市側は「まあ難しいですね」と他人事のような回答でした。

 当会顧問は、このような市側担当者の煮え切らない回答に業を煮やし、

「なんで自分の地区で汚染物質を出すようなことをやったのか? 過去にあそこの(早川田)地区は(足尾銅山)鉱毒事件で雲龍寺があったところだ。二度とああいうことをやらないということなので、第二の鉱毒事件ではないかと私は思う」

 と声を絞り出しました。当会代表も「まさにそうだと思う」とコメントしました。当会顧問は続けて、

「腹が煮えくり返っている。同じことを同じ地区で二度もやった。それでなおかつ勲章までもらったというからたまげた。この席に市長を呼びたかった。そして、市民が抱くおそれを徹底的に最後まで追求してくれと、思っていた。不思議ではないか。(元議員は)逃げ回っていて説明がつかない。市長は(この事件を)追及したのか?」

 と言うと、市側が

「青木元議員のことですか?因果関係というものが、今回のそれについて、青木元議員の責任だよというのは、何かはっきりした証拠があるのか?」

 と質問してきたので、当会顧問は、

「あるよ。勲章をもらっているから。勲章だよ。逆だよ。これに対して勲章をくれて口をふさいでしまった。勲章で」

 と反論。当会副代表も、

「ちょっと皆さん、他人事のように言っているが、さっき言ったように地方自治法にはちゃんと住民の福祉の増進がうたわれている。館林市は住民である小林さんにきちんと説明責任を果たしてくれればいい」

 とコメントしました。すると市側は、

「さきほど申し上げたとおり、事実として、はっきりと、こちらで申し上げられることはお伝え申し上げた。情報公開としても出している。黒塗りというのは、おそらく県のほうの話だと思う」

 と釈明したので、当会副代表は、

「だからお宅らの存在意義は、住民の福祉の増進を基本目的としているのだから、実際に税金は住民のものであり市長のものではない。ちがいますか?」

 と説明すると、市側は「皆さんのお考えはわかります」と言うので、当会副代表が、

「それが不当に使われないように、こういうふうに市の対応を聴いているわけだ。県については、別途情報開示をやっている。だから、情報公開法について、ちゃんと文章と解釈をみてくださいよ」

 と、重ねて説明しました。しかし、市側は、まだよく呑み込めていない様子で、

「その情報公開で黒塗りとおっしゃっていたのは、今回こちらの方の件? 私ども館林市の話か?」

 と聞き返してくる始末です。当会副代表は、

「おそれを理由に不開示としてはいけない。ちゃんと具体的にそういうおそれを立証する責任が(行政側に)ある。これは最高裁の判例でもちゃんと出ている。現に私はそれで勝訴している。裁判所も『具体的なおそれでないといけないから、具体的に立証しなさい』と言っている。情報開示条例でも住民の福祉に反するものは開示しなければならないとうたっている。守らなければならない生命と財産に関するものは、とりわけ、そうですよ」

 と粘り強く説明しました。市側も「そうですね」と言うものの、まだ、認識が不十分な様子なので、当会副代表は、

「明らかに税金の使い道の無駄を防ごうとしているわけで、これは市民の財産だ。そういう立場で行政をするのはあたりまえのことだ。そのために我々は説明責任を果たしてほしいと言っているわけだ」

 と念を押しました。当会顧問は、

「吉永さん、さっき言った青木(元)議員がいろいろ知っているのではないかと私は思っているわけだ。それをいろいろ言わせるために、吉永さんにはいろいろお願いしているが、どうなのか?」

 と、ダノンに売却した土地のフッ素汚染疑惑について市側に問いました。すると市側は、

「あの、私は青木(元)議員の存在はわからない。当時、(土地開発)公社にいらっしゃったのは分かるが」

 というので、当会顧問は、

「あそこの地区で発生した10年前の時期の、その地区の議員だよ。原点だよ。その地区でそれでよくやったということで館林市はその人を祭り上げたから私も何も言えない。だけどこの場だから言うが、福田さん、館林市にこれについて追及する委員会を作ってほしい」

 として、調査委員会の設置を提案しました。しかし市側は「青木(元)議員を追及する委員会か?」とまだ趣旨が呑み込めていない様子です。当会顧問は、

「青木(元)議員ではなく、第三工業団地のフッ素の解明ということで委員会を作ってほしい。青木(元)議員ももちろん入れてほしい。それで究明してください。私にはそこまでの権限がないからできないが、福田さん、あなたならできるでしょう?」

 と強くお願いをしました。すると市側は「第三者委員会を作ること?」と、とぼけたことを言っています。当会顧問は、

「そうそう。その傍聴席に私は入って聴かせてもらいたい。そこで発言はしないが、傍聴するだけでいい。このままでは真相がつかめないまま終わってしまう」

 と調査委員会の重要性を強調しました。しかし市側は、

「まず、群馬県さんが調査命令を出したとか出さないとかの判断は、当然我々も分からないし」

 などと、拍子抜けする見解を示す始末です。当会出席者は声を揃えて、

「分かりますよ」
「(県に)問い合わせすればいい」
「なんで(調査命令を)出したのか、とか」

 と言いました。さらに、当会代表からは、

「あたりまえですよ。今の地方自治法の目的に立ち返って、すぐそれをやってほしい。我々は(県に)なめられているが、皆さんだったら行政として対等の立場ですから。しかも当時、館林市職員のかたにヒヤリングした記録を彼ら(県)は持っている。それを小林さんが(県に)出してほしいと言っても(県は)出さない。皆さんも出さないでしょ。
 だから、皆さんが直接群馬県知事に聞いてください。簡単な事だ。なぜそれをやらないのか。やらないで、また5億2千万円あるいはそれを超えても、その金額を(税金から)支払えばいいと思っているのではないのか?
 そもそも、ダノンとの話は水面下でどうなっているのか? なんなら、私らはダノンに対する利害や権限はないが、ダノンにその辺(のいきさつ)について公開質問状を出さなくてはいけない。皆さんの話を聞いたうえで、聞いても話してもらえないのであればね。市はこの問題について、どう考えているのか。
 ダノンはグローバル企業であり、(企業ガバナンスは)ものすごく厳しい。だから打算も厳しい。どういういうふうに軟着陸させるのか、そのためには、ありとあらゆるテクニックを駆使するグローバル企業だ。彼らにしてみれば、地方自治体がいくら弁護士を雇っても、多寡をくくっているかもしれない。これはあくまで推測だが。だから第三者の調査委員会をつくってもらいたい。
 さもないと、ダノンに聞かざるを得ないことになる。我々も。こんなことはしたくないが、そのようなグローバル企業で力をもっているところであっても、必要なら問い合わせる。決してビビっているわけではない。SNSで何でも発信できる。とにかくお願いしたい。『これは、問題ないんだ。市民への負担はかからない』と今、根拠のある説明をしてもらえれば我々も市民も納得する。
 問題なのは、土対法の調査権限を持つ群馬県において、そういう摩訶不思議なことがあることだ。県は当時、(館林市土地開発)公社の職員に(土壌汚染のことについて)事情をきいているが、それについての情報も真っ黒けだ。それを皆さんから、行政として開示を求めれば、群馬県は皆さんに開示するだろう。それは皆さんにとって『平穏な事務事業を害するおそれがある』ということで、いつも情報不開示の口実になるかもしれない。群馬県もそうだ。しかしそういうおそれはない。なにしろ、昔の話だから。
 とはいえ、そうやって闇に葬っていいのか。(当会顧問の)小林さんが、こんなに長い間、土地開発公社の羽衣事件以来、不正を追及してきている。それなのに何という対応なのか。恥と言うものを知ってほしい」

 と説明。当会顧問も

「委員会を作って究明するということで本日の会議は終わりにしたいと思うがが、どうですか? 福田さん」

 と再度申し入れました。それでもなお市側は、

「まあ、今この場で委員会を作るとか言う話はできない。今の話をきいて、ちょっと我々として考える時間をいただきたい」

 と及び腰の見解を示すだけです。当会代表からは、

「もう考えているでしょう。それを話していただきたい。よく、まだ未成熟の情報だからということで開示しないが、未成熟だから、まだ決まっていないからというのではなく、現時点でどういう判断をしているのか、そこをきちんと開示してもらいたい。或いは、説明責任を果たしてもらいたい。どの自治体にもこういう話をしているが、地方自治法の基本をわきまえていないのではないか、そうとしか思えない」

 と重ねて情報開示と共有をお願いしました。当会顧問も、

「福田さんとしては、委員会を作る筆頭責任者に適している立場かなと思う。名目上は市長だが、実際に動く人は福田さんしかいない」

 というと、市側は「第三者委員会というのは市の職員で作る委員会ということか?」と聞き返してきました。当会副代表から、

「市の職員で委員会を作っても解明できない。桐生市もいろいろ問題があって市の職員による調査委員会を作ったが解明できると思いますか。いままでこういう事件を解決できなかった人たちがなぜ解決できるのか、と思う」

 と見解を示しました。当会顧問は

「議員を立てた方がいいと思い、実はこの席に議員を誘った。誘ったが、まあ、断られたけどね。一人くらいでは何ともならないのでやはり協力者としての議員も必要かと思う。そうすれば頼んでみようと思う。青木(元)議員の親戚の議員だと反対されるので、彼はちょっとよけていてもらいたいが、女性議員のなかで、この問題について今日も同席してもらおうかと思った人がいる。どうすれば(調査委員会の設置が)できますか? 福田さん」

 と話を向けると市側は「分からないですね。正直言うと分からない」と言うので、当会顧問が「吉永さんはどうですか? どういうふうな方策なら解決するか?」と尋ねると、市側は、

「解決するというのは、原因をはっきりさせるということですよね?」

 と聞き返してきました。当会代表は、

「事の重要性を認識されていますか? (トーモクに支払った)5.2億円など端金だと。当時の公社は解散しているから、昔やっている奴がやったことだと。トーモクとの裁判でも『和解で市は悪くなかった』と。あぶく銭の血税で尻拭いしたのでそれでお仕舞いだと、思っているのではないか。
 安中市も同じだ。だから反省しないでまた同じように不正が蔓延るわけだ。安中市の場合は、先ず真相究明、責任の所在を明らかにする。それをもって再発防止。このホップ・ステップ・ジャンプがきちんとなされないと、後に禍根を遺して同じことがまた起こる。もう水面下で起きているかもしれないが。
 ひょっとしたら『こんなことはよくあるひとつで、日常茶飯事だ』と思っているのかもしれないし、しかも、『たった5億2千万円などたいしたことではない』と思っているのではないか。
 役人は無謬性ということで法律でも性善説だ。地方自治法もそういう考え方で成り立っている。だから告発義務でなく守秘義務しか守ろうとしない。なので、どの自治体もあいかわらず悪事が蔓延って、税金の無駄遣いと行政権限の不当な行使でいろいろな市民や関係者が迷惑をこうむる。ぜひ自分のこととして考えてほしい。市民の税金で尻拭いしようとしないで、第三者の調査委員会をどうすべきかと。即刻皆さんが考えるべきだ。
 まあ第三者委員会となると、公正・中立を担保するために人選に苦慮する。そうでなくても、なにか裏があるのでは、ということでゴタゴタする。第三者調査委員会をどうするか。即皆さんが考えるべきだ」

 さらに当会代表が続けます。

「真相究明について、書類も10年たったらもう廃棄だと。書庫にあっても不存在にしてしまえ、そういう考え方が蔓延っている。真相究明は難しいかもしれない。だから私はフッ素について、大同特殊鋼由来で持ち込まれたと思う。あと電炉メーカーとしては、藤岡市の神流川の対岸にある朝日工業も電炉を使っている。あそこの鉄鋼スラグも八ッ場ダム付近に持ち込まれたことが、県の資料で確認されている。
 あとは沿岸部にあるJFEだ。昔の川崎製鉄。こちらから持ち込まれた可能性もなきにしもあらず。だが、あそこは高炉の製鉄なのでフッ素はあまり使われていないかもしれない。いずれにしてもフッ素がこんな内陸で発見されたこと自体、私は大同特殊鋼由来だと思う。
 だから群馬県に開示するように求めてほしい。県は(大同スラグの使用箇所について)調べている。どこに使ったかというのを調べた。大同特殊鋼であり、大同薬品工業ではない。それはリストとして挙がっている。だから『館林北部第三工業団及びその近辺で使われていることが分かる情報』ということで開示請求した。しかし不開示とされた。もう2年近く経過しているがまだ結論がでない。そういうリストを、皆さんが群馬県に開示するように言ってほしい。県はちゃんと持っているんだから、(フッ素土壌汚染が)大同特殊鋼由来のものかどうか、すぐわかるはず。直ぐに皆さんならやれるはずだ。そういうふうにして原因者も容易に突き止められる手段はあるわけだ。県が見せてくれればいいのだが、(当会に対して)県は見せないから、『ああ、何かあるんではないか』とこう思うわけだ。ぜひ我々の代わりに群馬県の環境保全課に、あるいは山本一太知事に言って『すぐ見せろ』と。『どこに大同特殊鋼フッ素入りスラグがまかれたのか』とね。排出先の情報は全部記録しなければならないからね」

 すると市側から「一点だけよろしいか?」と質問が出されました。当会が「どうぞ」というと、市側は次の説明をし始めました。

「当時、北部第三工業団地の造成に当たり、外部から土を持って来た事実はある。それについては小林さんから情報開示請求を頂き、どこから持って来たのか、ということと、持って来た土について、当時公社が検査していたようだ。その検査の結果については、もうお渡ししている。それによるともう見ていただけば分かると思うが、佐野の山だったりする記録がある。当時フッ素は(基準値を)超えていないという記録がちゃんと残っていて、それはお渡ししているところだ」

 これを聞いた当会が「でも実際には(フッ素が)出ているわけだ」というと、市側は「そうですね」と言うので、当会代表がさらに付け加えました。

「業者は材料試験表を偽造するわけだ。だから、排出者のほうで、群馬県が調べている。私は、『大同特殊鋼だ』という確たる証拠はないのだが、群馬県がもう2年にわたり私の方に(「大同スラグの使用場所」の調査結果リストを)見せずにいるわけだ。
 しかも当時も土地開発公社というとにかく伏魔殿みたいな組織だから。安中市も土地開発公社を舞台に51億円を抜かれた。土地開発公社は利権の巣窟なので、そこで工事を発注したりして、工事監督というのも職員が兼務するが、みな杜撰で業者任せ。群馬県もいい加減だが、一応国でもそう。しかしそれでも提出する材料証明書は半年に1回。それを県指定の試験センターでチェックしたのを付ければよいこととなっている。
 だから実際には大量のスラグが県内の公共事業で、また国では上武道路などにばらまかれた。なので、館林市の伏魔殿のような土地公社の事業などはチョロいもので、やりたい放題だ。だから今残っている資料、いろいろな配慮で(市側で)遺していただけるのはありがたいが、そうでなくて別ルートでも情報があるわけだからそれらを駆使して情報収集する。
 実際にスラグが入れられたことについては、破砕されているかもしれないが、それを分析するなりすれば、ある程度特定できる。どこで生産されているかを。他にフッ素でそんなに濃度の高いものを出すという産業は見当たらない。今PFASなどいろいろなフッ素化合物でテフロン加工だとか、いろいろな消火剤とかあるが、これだけ大量に広範囲に地面に含まれているのは、そういうスラグ由来の汚染と見るのが一般的だ。
 だからぜひ皆さんにお願いしたい。群馬県は、大同スラグの資料として、使用場所についてリストを持っている。どこにどれだけ出荷したというのを、彼らは持っているし、一覧表にしている」

 これを聴いていた市側は「・・・・」だったので、さらに当会代表から、

「出来る術は有るんです。皆さんの権限をもってすれば、地方分権だから同じ対等な目線ですからね。こういう訳で第三者調査委員会の設立に向けてアクションプランを前向きに考えてもらいたい。市民に見えるかたちで。
 それで一番重要なのは、ダノンのあの土地が、どういうふうな今、立ち位置というか、建付けになっているのかを。なぜダノンはあそこに工場を作らないのか。ダノンは当然、これは私の勝手な推測だが、大同薬品工場が口に入る製品を作るから県もそういう所であるからということで、あそこに土壌調査命令を出したのだと思う。
 ダノンも食べ物としての製品を作っているので、当然(土壌汚染には)神経質になっているはず。だから、あそこに(工場を)建てられないというのであれば、それはフッ素が原因だということは当然うかがえる。
 ではどうするのか。ダノンあっての館林というか、館林市は、ダノンジャパンが唯一日本で工場を持っている自治体だ。だからダノンのHPにも書いてある。館林市との友好関係についてよく書いてある」

 その時、会議室のドアを叩いて入ってきた職員が「お時間です」と言ってきました。市側の参加者は「まだだ」と合図を送りました。当会代表はそのまま話をつづけました。

「それだけお互い持ちつ持たれつの間だったら、きちんと、どうすべきかというとことを皆さんからも説明しているはずだし、向こう(ダノン)だって『隣が土壌汚染しているから、うちのところも』という話が出ている筈。なので、心配なので、ダノンとの交渉について、情報開示請求をさせてもらうかもしれない。そうしないと市民は心配するからだ。それが出せないとなると、また5.2億円プラスアルファ。ダノンの敷地は確か7.2ヘクタールある。そのうち2.63ヘクタールは大和ハウス工業が日立物流に貸している。日立物流がダノン4分の3、ヤクルト4分の1の割合でロジスティックス業務を担当することとで操業している。そこには建物は建っている。だけどダノンは2022年までに隣接地に新工場を作ると2014年のHPでプレスリリースしている。あのグローバル企業がこういうふうなアクションプランを作ったら、それに沿ってきちんとフォローする。
 だけど、まだ作っていない。既に2024年になっていても、だ。ということはやはり懸念される。あそこの場所はどうするのかと。トーモクの2倍もある。トーモクも館林に第1工場に加えて第2工場を、その時は作りたいという計画があったのかもしれない。土壌汚染問題が発覚しても、トーモクは『館林さんとは仲良くやっていきたいので穏便に』と言っていたにもかかわらず、その時は皆さんは『もう弁護士を立てている』として、蹴飛ばした。
 ダノンともそういうやりとりをやるつもりなのか。ダノンが取得してまだ工場が立っていない場所は、トーモクの場所のほぼ2倍の面積がありますよね。今、トーモクが大同ドリンコHDの子会社の大同薬品工業に転貸したのかは定かでないが、2.7ヘクタールを全部転貸したとして、そのほとんどに大同薬品工業が施設を作った。
 あれ2.7ヘクタール全部に排客土工事をしたのかどうか定かではないが、88区画各10m四方で1㎡4万円かけて汚染土壌除去をやりましたよね。そうなると5.2億円の費用では追い付かないかもしれない。今度は倍となるわけで、そうすると10億円となるわけだ。
 果たしてそうなるのかどうか、『心配いらない』と云うならそれでいい。オンブズマンが勝手に妄想を膨らませて『心配性だな』と。『そんな心配は無用だ。心配はない。もうダノンとは手打ちをしたんだから』とおっしゃりたいのかもしれない。
 なので、今度の(現在造成工事がほぼ完了しつつある)第四工業団地に(ダノンの)土地を手当てをして、あそこ(の土壌汚染の土地)はそのままにして、ほとぼりをさます方針なのではないか、と、我々としても妄想が広がるわけだ」

 すると当会顧問が次の見解を述べました。

「議員を動かさないとダメかな。議員の賛成は、というよりは決まってしまえば予算を組んでやるでしょうよ。要は、下手をすると、ダノンの土地を、ダノンが今の(汚染土壌の)ままだと逃げられてしまう。あまり私も騒がないようにするのは、騒ぐと(ダノンに)逃げられるからだ。それを逃げないようにするにはどうすればよいか、ということを議員の間で話をして、その土地を浄化してダノンさん使ってくださいというしかないと思う。
 下手に第三者委員会を立ち上げてガタガタやっていると、ダノンが逃げてしまうと私は思う。私は御カネがないから、カネを動かすのは議員だと、私は思うので、議員に相談してそこら辺をダノンの土地を浄化すると、いうことでやったらいかがかなということで、提案してみたい。2倍の土地があるんだから10億くらいかかるんでしょうけど。
 そこらへん、よく分からないけど、トーモクが三味線引いて、3分の1、4分の1で、本当は1億で(土壌汚染除去が)できるのに5億も(市に)請求したのかどうか、私には分からないが、館林が自分でやれば、1億か2億でできるのではないか。
 そこは、上っ面だけきれいにして、ということをやるとまた問題なので、ちゃんとその辺は浄化して綺麗になりました、ということで、県にも相談するとよいかもしれない」

 それを受けて当会代表が発言しました。

「群馬県はいい加減なのでケース・バイ・ケースで判断する。だからトーモクが大同ドリンコの子会社に関東工場を作らせるというので、格好をつけて、きちんと浄化するように、と配慮したのかもしれないが、土壌調査命令を出した県の環境保全課の担当係長は「(ダノンらの土対法第4条による届出の際は土壌汚染のおそれがあることを)知らなかった」と言っている。
 さっきの話で思い出すのが、東邦亜鉛安中製錬所の場合で、重金属汚染土地の上に安全な客土を45センチ敷いたことでOKを出した。任意の措置としているけれども、それでも県はOKと言っている。
 それと渋川市の場合はフッ素汚染土地を舗装することでOKとしている。安中市のクレー射撃上の改装でライフル射撃上に併設する場所も、散弾など鉛やカドミウムによる汚染区域の指定をした。それは2mくらいの深さでかなり大規模で天地返しと呼ばれる反転工法で実施し、県はそれでOKだとしている。
 しかし、ダノンジャパンはグローバル企業なのでそういう小手先の工法では絶対納得しないと思う。でも群馬県と皆さんと相談して、あそこをどうやって被害を最小化させるのか、本当であれば原因者は誰かということを追及しなければならないのだが、これ以上、火の粉が拡がらないようにするにはどうすればいいのか。
 通常なら、例えば、東邦亜鉛は公害でならした大企業だし、小渕優子に政治献金しているからかどうか分からないが、汚染土地の上に45センチの上乗せ客土でOKとしたのかもしれないし、県営のクレー・ライフル総合射撃場の汚染土壌対策のように、天地返しでOKというのかもしれない。
 だけど、群馬県があのような土壌調査命令を出したり出さなかったりしたから今回の問題が起きた。群馬県の判断の二重基準をやめさせないと、再発防止にならないのではないか、と当会は言っている。
 とにかくダノンの場合は、市民の負担のないようにしてもらいたい。ダノンともう、いろいろと交渉しているというなら、すぐ、あそこのところを、交渉の過程も含めて、オープンにしないといけない。いきなり結果を示されると、その内容にもよるが、市民は驚いてしまう。それ(第三工業団地を造成する)以前にも、公社がガイドラインに沿わない形で、何か(フッ素除去にかかる)工事をしているわけだが、あれもそれなりにカネがかかっていたはずだ。
 そうでなくても土地開発公社は20億円を一般会計で損切りをしているではないか。しかもそれを、10年から20年かけて、市が返済中だ。安中市の公社51億円事件の103年ローンもそうだが、役所の誰もが真剣に考えないのは、尻拭いに使われるカネが税金由来のアブク銭だからと思っているからだ。
 だから、裁判所が、行政を和解にしたという背景はよく分かる。最初からそうするつもりだったからだ。誰がどう見ても汚染物質が入っているから館林市側の分が悪い。トーモクも市との関係を慮って減額に応じる姿勢を示していたではないか。それを蹴飛ばしてしまった。
 ダノンとの交渉では、そういうことをしないでもらいたい。私は館林市民ではないが、安中市民として行政のそういう理不尽な勝手な決ぬぐいで2113年まで安中市が連帯補法人で群馬銀行に和解金の返済をしている状況に我慢ならないので、館林市民と同じ思いだ。
 話が散漫になったがまず第三者委員会の設立に向けて真剣に前向きに討議してもらいたい。それと、スラグがどこから持ち込まれたかは群馬兼に聞けば、すぐ分かるので、これは今すぐにでもできるアクションだ。それと、ダノンと今、水面下でおそらく進めている交渉についても、発表できるかどうか、ダノンとの内々の約束もあるのかもしれないが、一応、方向性など、市民に負担を掛けません、という方向で、やっているのかどうか、これが知らされないと市民としては枕を高くして寝られないと思う」

 そして最後に、当会顧問から次の発言があった。

「一応、山本一太知事がこの話に乗ってくれているので、こういう時期なので、一太知事にさらに、やはり良い知恵を借りて、市は対応してもらいたい。前の市長は何と言ったか、(市側から「須藤です」とコメントあり)須藤前市長は、一太知事と懇意だった。
 政治的に、私も議員を動かす力はないので、ぜひ議員を動かして一太知事に、せっかく一太が前向いてくれているわけなので、話に乘りかかってくれているわけなので、いい機会だと思う。まあそんなわけで、今日のところは、尻切れトンボになったかもしれないが、ひと津宜しくお願いします。福田さんの右腕にかかっているからね」

 すると市側から「私には権限がないんです」と弱気な発言があり、それに対して当会顧問は、

「係長さんにおいては、一番脂がのっているポジションなので、権限があるはず。一番のキーマンだ。だからこうして出てきていただいた」

 と持ち上げましたが、市側は「小林さんが私を指名してきたから」と最後まで、消極的な姿勢でした。

 会議室の窓から外を見ると、一面の雪景色です。会議が始まりもう1時間半が経過していました。市側には「本日の協議については動画で記録しており、後日YouTubeで公表する予定です」と申し上げ、了承を得ました。




帰路、JR両毛線の前橋駅で「高崎駅構内で雪によるポイント故障のため、電車が各駅に停まっており、この電車もしばらくここで待機します」とのアナウンス。その後もズルズル遅れ、信越線で安中駅についたのは予定より1時間遅れの午後7時過ぎだった

■本日の館林市側との協議を踏まえて、当会は、近日中に、「第三者調査委員会の設置」と「フッ素による土壌汚染の原因調査」、そして「ダノンが買わされた土壌汚染土地の今後の取扱い方針と現状報告」について、文書で館林市長宛に要望することにしています。


【市民オンブズマン群馬事務局からの報告】

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館林北部第三工業団地を巡る土壌汚染問題の責任明確化が問われる館林市と群馬県環境森林部(その3)

2024-02-05 00:34:54 | スラグ不法投棄問題

館林北部団参工業団地の大同薬品工業関東工場

■知事からの通知には、上記の弁明書に対して反論する場合には、令和6年1月15日までに反論書が提出できるとあったので、当会会員は次の反論書を提出しました。

*****1/15知事あて反論書*****
(別紙:処分についての審査請求用)
                          令和6年1月15日
群馬県知事 山本一太 様

                  請求人 住所 館林市台宿町1-31
                      氏名 小林 光一

               反論書の提出について

 行政不服審査法(平成26年法律第68号)第9条第3項において読み替えて適用する同法第30条第1項の規定に基づく反論書を、下記により提出します。

                    記

1 審査請求
  審査請求年月日: 令和5年10月27日付け
  事件名:「館林市の北部第三工業団地において、トーモクが館林市から取得した土地に大同薬品工業が工場を建設するのに先立ち、土壌汚染対策法に基づく届出をトーモクが県に提出した際、県は当該土地の土壌がフッ素及びその化合物により汚染されている恐れがあるとして、土壌調査を命じた。その結果、環境基準を超える土壌汚染が確認され、トーモクと館林市との間で係争となり、土壌検査や士壌の入れ替え工事費用約5.2億円を、館林市が負担することで和解となった。そうすると、同じく館林市が造成して分譲したトーモクの十地以外の部分についても、例えばダノンの土地も同様に土壌汚染されていることが想定される。トーモクが県に届出をした時点で、既に工場建設が済んでいるところについて、県がなぜ調査命令を出していないのか、その理由がわかる一切の情報(ダノン等の土対法に基づく県への届出書なども含む。)」の公文書部分開示決定に対する審査請求

2 開示請求公文書の特定について
  処分庁は、「『館林市の北部第三工業団地において、トーモクが館林市から取得した土地に大同薬品工業が工場を建設するのに先立ち、土壌汚染対策法に基づく届出をトーモクが県に提出した際、県は当該土地の士壌がフッ素及びその化合物により汚染されている恐れがあるとして、土壌調査を命じた。その結果、環境基準を超える土壌汚染が確認され、トーモクと館林市との間で係争となり、土壌検査や土壌の入れ替え工事費用約5.2億円を、館林市が負担することで和解となった。そうすると、同じく館林市が造成して分譲したトーモクの土地以外の部分についても、例えばダノンの土地も同様に士壌汚染されていることが想定される。トーモクが県に届出をした時点で、既に工場建設が済んでいるところについて、県がなぜ調査命令を出していないのか、その理由がわかる一切の情報(ダノン等の士対法に基づく県への届出書なども含む)。』という請求書の記載から、請求者は土壌汚染対策法(平成14年法律第53号。以下「法」という。)の調査命令の発出に関する審査に関する文書の開示を求めているものと考えた。」としています。
  請求人は、行政内部で作成している公文書にどのようなものがあるのか、住民・納税者として行政の外に位置する者であるため、詳細については把握していないものの、本件請求の趣旨は、次のとおりです。
  館林市土地開発公社(当時。平成26年3月31日解散)が、同市下早川田町において造成した北部第三工業団地(16.4ha)のうち、㈱プラスチックホンダ(用地面積1.595ha。うち立地面積0.48ha)、ダノンジャパン㈱、大和ハウス工業㈱の3社(以下「ダノンなど3社」という)に平成24~25年にかけて(土対法第4条第1項に基づく形質変更届がそれぞれ平成25年1月18日、同年8月28日、同年11月19日とあることから推測。なお、大和ハウス工業はダノンが7.2haを館林土地開発公社から購入し、そのうち2.63haを譲渡されたと思われる)売却し、その後、残りの区画を平成26年2月に㈱トーモクに売却した。最初の3社が土対法第4条第1項に基づく形質変更届出を群馬県に提出した時、処分庁は「土対法施行規則第26条の該当は無いものと認められる」とし、東部環境事務所を通じて3社に対し「汚染のおそれなし」と通知した。だが、トーモクが平成30年に大同薬品工業㈱に2.7haの購入土地を譲渡したあと、大同薬品工業が土対法第4条第1項に基づく形質変更届出を群馬県に提出すると、処分庁は「汚染のおそれがある」として調査命令を通知しました。同じ時期に館林市土地開発公社が北部第三工業団地として造成した土地が、隣接しているのになぜ、最初の3社に対して「汚染のおそれがない」として調査命令を出さず、後の1社に対して「汚染のおそれがある」として調査命令を出したのか、審査請求人は「その理由が分かる情報」を開示請求しましたが、処分庁は部分開示として、必要な情報部分を不開示としたため、審査請求に及んだものです。したがって、ダノンなど3社に対して、なぜ調査命令の発出がなされなかったのか、その理由が分かる文書がすべてもれなく特定されていなければなりません。
  処分庁はまた、「法では、一定の規模以上の土地の形質の変更を行う場合、法第4条第1項の規定により事前に届出を行い、届出に係る土地が士壌汚染のおそれがあると認めるときは、法第4条第3項の規定により、知事は、当該士地の所有者等(土地の所有者、晉理者又は占有者をいう。以下同じ。)に対して土壌汚染状況調査(法第2条第2項)を命ずることができるとされている。」としています。
  この届出を広く周知させるために、環境省は次のパンフレットを作成しています。



  したがって、処分庁は、ダノンなど3社に調査命令を出さず、トーモク(大同薬品工業の土地所有者)に調査命令を出さなかったという判断を、以下の土地の基準に照らして、行っていたことになります。
      【②汚染のおそれがあると認められる土地の基準】
        ・特定有害物質による汚染が明らかな土地
        ・特定有害物質が埋設、飛散、流出、地下浸透した土地
        ・特定有害物質を製造、使用、処理した事業用地
        ・特定有害物質を貯蔵、補完した事業用地
        ・上記と同様の汚染のおそれのある土地
        例)道路拡張工事区域に昔、クリーニング店があった。
  すなわち、館林市の北部第三工業団地の土地が、これらの土地の基準に合致しているかどうかを処分庁はしっかりと検証しているかどうか、その過程が分かる情報が、開示請求公文書として特定されることになります。
  この観点から、部分開示された情報が黒塗りになっていることもあり、果たしてもれなく特定されているかどうか、冒頭に述べたとおり、請求人は、行政内部で作成している公文書にどのようなものがあるのか、住民・納税者として行政の外に位置する者であるため、詳細については把握できる立場になく、さらに、部分開示と称して、黒塗りされている状況では、開示請求対象となる公文書を請求人がはっきりと特定することは困難です。

3 群馬県情報公開条例における開示・不開示の解釈について
(1)処分庁は「群馬県情報公開条例(平成12年群馬県条例第83号。以下「条例」という。)第14条では、開示請求に係る公文書に不開示情報が記録されている場合は、当該公文書を開示してはならない旨を定めている。」と解釈するが、重要なのは不開示情報の定義である。処分庁は常にきれいごとだけを主張するが、実際には、公務員の守秘義務の名のもとに、原則開示による開かれた行政の実現とは真逆の暴挙を平然と犯しているのです。
(2)処分庁は「同条第3号は、法人等に関する情報であって、公にすることにより、当該法人等の権利、競争上の地位その他正当な利益を害するおそれがある情報を定めている。」と解釈するが、この場合の「おそれがある情報」については、単に「おそれがある」というだけではダメであり、どのような権利や競争上の地位その他、正当な利益を害するのか、個別具体的にわかりやすく説明しなければなりません。ところが、処分庁は、県民への説明責任を全く果たそうとせず、単に「おそれがある」と弁明しているにすぎません。
(3)処分庁はまた、「同条第6号は、県が行う事務又は事業に関する情報の不開示情報の要件を定めている」として、「群馬県情報公開条例の解釈及び運用の基準」を引用して、縷々説明しますが、これらのなかで示す「当該事務又は事業の性質上、適正な遂行に支障を及ぼすおそれがあるかどうかの判断」、「適正な遂行に支障を及ぼすおそれとは、該当性の客観的な判断の必要があり、おそれの程度も法的保護に値するもの」、「検査とは、法令等の執行確保のためで、事前に公にすると行政客体の適正かつ公正な評価や判断が困難になったり、法令違反行為を助長したりするおそれがある」という説明は、意味が分かりません。単に「おそれがある」というだけではダメであり、どのような権利や競争上の地位その他、正当な利益を害するのか、個別具体的にわかりやすく説明しなければなりませんが、処分庁は、県民への説明責任を全く果たそうとせず、単に「おそれがある」と弁明しているにすぎません。

4 公文書を開示しない理由に対する意見
(1)不開示情報(電話相談)は条例第14条第6号(事務事業情報)イに該当しない
   処分庁は、対象公文書「館林市産業政策課(同公社)の担当者及び当課(処分庁)の担当者間での応対記録を供覧した文書」について、「適正な遂行に支障を及ぼすおそれ」があるとして、次の(ア)と(イ)を挙げました。それぞれについて反論します。
   (ア)相手方との信頼関係を損なうおそれ
      処分庁は「相手方」が館林市産業政策課(同公社)だと認識しています。つまり、相手方も行政であり、「信頼」が最も重視されるべき組織です。相手方の情報は、すなわち、館林市民の財産でもあるのです。
      処分庁は、「相手方にとっては、当該情報を断りもなく開示されることは当然、想定していないと考えられます。また、当該公文書には法人情報に類する情報も含まれている」と主張しますが、この情報は平成23年6月29日のものです。今から13年近く前の既実施の情報が、なぜ今開示されると不都合なのでしょうか? また、この情報は、北部第三工業団地の土壌汚染という極めて重要なものであり、その後、館林市が約5.2億円の和解金をトーモクに支払う羽目になった端緒とも言える情報です。さらに処分庁は「法人情報に類する情報も含まれている」と説明していますが、「法人情報に類する情報」とは何でしょうか? 意味が分かりません。推察するに、おそらく北部第三工業団地として売り出す前の造成の段階で、フッ素化合物による土壌汚染が発覚し、その対策結果に関するやりとりだと推測されますが、館林市は、トーモクとの訴訟においても、一貫して北部第三工業団地は、既に土壌汚染対策済みなので、特定有害物質が含まれていない、つまり土壌汚染はない、ということを主張しています。なので、これ等の情報を開示しても、相手方の信用を失墜させるおそれはありません。
      処分庁は、この電話応対記録について「相手方から自主的に報告された情報及び当時の当課における土壌汚染のおそれの判断を含んでいる」としており、まさに、館林市が、トーモクとの裁判結果について、和解になったことにより、「汚染土壌はない、という当市の主張が裁判で認められた」と述べていることから、処分庁の弁明は失当です。
      なお、処分庁は、館林市や該当法人(北部第三工業団地に進出した企業?)に対して、請求人の開示請求について第三者照会による開示の可否をしましたか?しなかった場合は、その理由をお聞かせくださいますか?
      さらに処分庁は「相手からの自主的な報告や情報提供」だとしていますが、土壌汚染のおそれの判断は、土対法施行規則に基づくものですから、相手方から情報収集することは、むしろ義務だと言えます。
      にもかかわらず処分庁は「今後、当課において、法が規定する土壌汚染状況調査の契機(法第3条から第5条まで参照)では捕らえ切れない士壌・地下水汚染の把握を難しくさせるとともに、これらに対する適切な対策及び指導等も困難にさせ、ひいては法の施行にまで影響を及ぼすおそれが高いことから、『適正な遂行に支障を及ぼすおそれ』(同号本文)に該当する。」などと弁明し、適正な遂行すらためらうほどの意向がうかがえます。
      この背景として、処分庁は、この電話相談のやりとりを請求人に開示すると、非常に都合の悪い事情がバレてしまうおそれがあるからではないでしょうか?
   (イ)法解釈の錯誤に伴う自己判断による不適切な対応を助長するおそれ
      処分庁は「これは、あくまでも同団地の土地に対しての土壌汚染のおそれの判断内容であって、広く同団地の土地以外の土地に対して一律に適用できる判断ではない。」と弁明するが、同団地の造成は一括して行われたとききます。つまり、ダノンなど3社が館林市から購入した土地と、トーモクが購入した土地ですから「一律に適用できる判断ではない」とする処分庁の弁明は矛盾します。
      また、処分庁は「当該判断内容が広く一般に通じるものと無用の誤解を与えるおそれが出て来る。」と弁明するが、逆に、当該判断内容が広く一般に通じるものでないということになりますと、これこそ行政の二重基準という不適切な対応をさらに助長するおそれが生じます。
      さらに処分庁は「その結果、自己判断による不適切な対応を行い、事前に被ることが予想される法的な不利益を回避するために当課への相談・報告自体を躊躇・忌避する事態となる可能性が出て来る。」と弁明するが、行政客体(行政行為を受ける側の自然人ないし法人)が自己判断による不適切な対応をしないように、処分庁は、判断基準を広く明らかにすることが肝要です。
      こうしてみると、処分庁が「このように、行政客体による調査を含む正確な情報が得られなくなることは、収集した情報に基づき土壌汚染のおそれの判断を行う事務を担う当課にとって、業務を全うできなくなることを意味する。」と弁明すること自体、既に処分庁が、自らの行政能力について、不安や懸念を抱いていることを示すものです。だから、同じ工業団地敷地内なのに、ダノンなど3社には調査命令を出さず、トーモクには調査命令を出すなど、ちぐはぐな判断を出す温床が厳然として存在しているのです。
      加えて処分庁は「このように、行政客体による調査報告を含む正確な情報が得られなくなることは、収集した情報に基づき土壌汚染のおそれの判断を行う事務を担う当課にとって、業務を全うできなくなることを意味する。仮に、汚染が判明した場合、本来であれば、管轄行政機関は速やか にその汚染による人の健康に係る被害が生じるおそれの有無を把握しなくてはならないが、先述した土壌汚染のおそれを判断するために行う情報の収集が滞ることによって、必要な対応が取れなくなる事態が想定される。このことは、最終的に土壌汚染による人の健康被害を防止するという法の目的(法第1条参照)が達成できなくなることを意味する。」などと、もはや処分庁は、自ら公務員の業務所掌(行政において各部署が担当する業務範囲を定めたもの)を、自信をもって理解していないようです。業務分担を理解していないと、突発的な業務が発生したときに、適切な対応ができません。今回の処分庁の二重基準的判断がまさに如実に当てはまります。
      この背景として、やはり処分庁は、この電話相談のやりとりを請求人に開示すると、非常に都合の悪い事情がバレてしまうおそれを抱いていることがうかがえます。
(2)不開示情報(審査情報)は条例第14条第3号(法人等事業情報)イ及び同条第6号(事務事業情報)イに該当しない
   処分庁は、対象公文書「同団地に進出する事業者から、法第4条第1項の規定による一定の規模以上の土地の形質の変更届出書が提出されたことを受け、当課が法に基づく審査を行ったことを示す文書」について、「届出書の内容及び届出者の事業内容に関する情報」と「届出に対して、当課が法に基づく審査を行った経緯・結果に関する情報」が含まれており、不開示の理由として、次のエとオを挙げました。このうちエは、今回の処分庁の弁明書で追加の不開示理由とされたものです。それぞれについて反論します。
  エ 条例第14条第3号(情人等事業情報)イ該当性について
    処分庁は「当該届出者は、法人たる株式会社であり、法第4条大2項の届出書に添付される情報は当該法人の事業に関する情報が含まれている」ので、「多くの場合、届出者は企画する事業戦略の一環として法第4条第1項による届出を行う」ことから、「添付情報の中に、土地の形質の変更を行う具体的場所に係る面積並びに平面図、立体図及び断面図、さらには事業の全体が把握できる計画図等、事業の内容が明らかにされ又は具体的に推測される情報が多く含まれている」ので「これらは第三者が通常一般には入手できない情報であり、これ等の情報を開示することは、届出者の競合会社等に情報が漏出することにつながり、届出者の権利、競争上の地位その他正当な利益を害する恐れが考えられる」として、不開示理由の弁明をしています。
    しかし、ダノンなど3社が東部環境事務所経由処分庁に土対法第4条第1項に基づく届出をしたのは、10年以上前の平成25年です。ダノンと大和ハウス工業については、ダノンが2014年5月13日にプレスリリースした情報(10ページ、11ページ参照)において、「ダノンジャパン株式会社(本社:東京都目黒区)は、日本でのヨーグルト需要の拡大に対応するため、 2013年より 2022年までに 、ダノンジャパンの国内唯一の生産拠点である館林工場(群馬県館林市)において施設の増設・新設 によって、生産能力を2倍に拡大する計画を進めています。その計画の一環として、館林工場に隣接する土地への物流 センターの誘致が決定し、建設の運びとなりました。」と公表しています。また、プラスチックホンダも、同社のHP上で、以下に示すとおり、館林工場のレイアウトや設備について詳細に公表しています。






    このように、現在では、企業はCSR(企業の社会的責任)やIR(投資家情報)の観点から積極的に自社の情報を公表しています。したがて、処分庁が「情報漏出で届出者の権利、競争上の地位その他正当な利益を害するおそれがある」と弁明するのは、すでにアナクロニズム(時代錯誤)による考え方そのものと言わざるを得ません。
    処分庁は続けて、「さらに、当課及び管轄環境事務所が行う所管法令及び所管法令以外の審査結果に関する情報には、届出者が届出を行おうとする土地で使用されている特定有害物質の種類や施設情報を推知できてしまうものもあり、仮に開示した場合、届出者の競合会社等に情報が漏出することにつながり、届出者の権利、競争上の地位その他正当な利益を害するおそれがあると考えられる。」とし、「また、届出対象地周辺において、現に、土壌汚染による健康被害が確認されたという情報を県が把握していない以上、情報を開示しないことで人の生命、健康等の利益が法人等の権利利益を上回るとは考えられず、『人の生命、健康、生活又は財産を保護するため、公にすることが認められる情報を除く。』(条例第14条第3号ただし書)にも該当しない。」などと弁明するが、こうなると、トーモクが購入した土地に隣接するダノンの土地や、地続きのプラスチックホンダの土地についても、フッ素化合物による汚染のリスクについて、処分庁が認識していることになります。しかし、処分庁が土壌汚染のリスク(おそれ)を認識しているのであれば、それを看過してはならないはずです。なぜなら、現在PFAS(PFOS/PFOA等)に代表されるフッ素系化合物の問題は、有機、無機にかかわらず世界的な課題として注目されているからです。それなのに処分庁は、土壌汚染の及ぼす生活環境、自然環境、営農環境そして経営環境への影響を軽視あるいは無視し、情報の隠蔽というかたちで「臭いものには蓋」という弁明を行う始末です。こうした行政の姿勢が、日本を先進国の中でも三流にしてしまったと言っても過言ではありません。
    ここでもやはり処分庁は、この審査情報を請求人に開示すると、非常に都合の悪い事情がバレてしまうおそれを抱いていることがうかがえます。
  オ 条例第14条第6号(事務事業情報)イ該当性について
    処分庁は、対象公文書である審査に係る事務の情報は「検査」に該当し、かつ「当該事務又は事業の性質上」に該当すると弁明し、その根拠として土対法第56条(資料の提出の要求等)第2項「都道府県知事は、この法律の目的を達成するため必要があると認めるときは、関係行政機関の長又は関係地方公共団体の長に対し、必要な資料の送付その他の協力を求め、又は土壌の特定有害物質による汚染の状況の把握及びその汚染による人の健康に係る被害の防止に関し意見を述べることができる。」の定めに基づくとして、「上記審査のみに使用するとして、使用目的を限定して関係行政機関から提供された情報を含み、審査の効率化を図るため当課で加工した情報である。上記土壌汚染のおそれに関する情報には、公共安全情報(条例第14条第4号)としての性格を有するものも含まれる。ただし、これらの情報は、上記のとおり当課で加工したものであり、公共安全情報に直接該当するものではないと思料し、『県の機関・・・が行う事務又は事業に関する情報』(条例第14条第6号本文)に該当する。」などと苦しいこじつけをした挙句、「適正な遂行に支障を及ぼすおそれ」があるとして、次の(ア)と(イ)を挙げました。それぞれについて反論します。
   (ア)相手方との信頼関係を損なうおそれ
      処分庁は「相手方」について、「情報を提供した関係行政機関」としていますが、対象公文書は「届出者の事業内容に関する情報」と「届出に対して、当課(処分庁)が法に基づく審査を行った経緯・結果に関する情報」のはずですので、相手方とは「行政客体」のことではないでしょうか? 処分庁の認識が不適切と考えます。
      仮に、「相手先」が情報を提供した関係行政機関だとして、それが例えば、館林市や、県の出先の行政機関(東部環境事務所など)であるとしても、当該情報を住民に開示することで、なぜ、「今後、関係行政機関から必要な協力を得られない可能性が強く懸念される」のでしょうか? そして処分庁が「この場合、今後、当課では土対法に基づく適正な審査を行えなくなることを意味する」となぜ考えなければならないのでしょうか? 
      ここでもやはり処分庁は、この審査情報を請求人に開示すると、非常に都合の悪い事情がバレてしまうおそれを抱いていることがうかがえます。
   (イ)法解釈の錯誤に伴う自己判断による不適切な対応を助長するおそれ
      処分庁は「当該公文書は、当課による土壌汚染のおそれの判断内容を含んだものであるが、この判断はあくまでその当時施行されていた法令に基づくものである。判断は、法令等の新たな施行に基づき、その都度されるものである。この内容を開示することにより、法に基づく届出をしようとする者や自主的な土壌汚染対策をする者等の行政客体に、現状においても、当該判断内容が広く一般に通じるものとの誤解を与えるおそれがある。」と弁明するが、判断が法令等の新たな施行の都度、大幅に変わるとは考えにくいと思われます。しかも、その当時の審査情報を開示しても、誰もそれが現在でも通用するとは考えないでしょう。なぜなら、都度、行政客体は、その時点での法令等に基づき、行政主体に対して接するためです。処分庁がこれほどまでに、「自己判断による不適切な対応を助長するおそれ」を強調する背景には、処分庁自らが、何らかのかたちで不適切な対応をしたことを危惧していることがあるのではないでしょうか? だとすれば、率直に不開示情報を開示し、再発防止に努めることで、行政主体としての信頼が担保できるのではないでしょうか?
      処分庁はさらに、「このことは、これを判断の拠り所の一つとして法解釈の錯誤を生じさせ、その結果、自己判断による不適切な対応を行い、事前に被ることが予想される法的な不利益を回避するために当課への相談・報告自体を躊躇・忌避する事態が生じる可能性が出てくる。」と懸念を示し、「このように、行政客体による調査報告を含む正確な情報が得られなくなることは、収集した情報に基づき士壌汚染のおそれの判断を行う事務を担う当課にとって、業務を全うできなくなることを意味する。仮に、汚染が判明した場合、本来であれば、管轄行政機関は速やか にその汚染による人の健康に係る被害が生じるおそれの有無を把握しなくてはならないが、先述した土壌汚染のおそれを判断するために行う情報の収集が滞ることによって、必要な対応が取れなくなる事態が想定される。このことは、最終的に士壌汚染による人の健康被害を防止するという法の目的(法第1条参照)を達成できなくなることを意味する。」とまで異様に細部にわたって弁明するが、ダノンなど3社からの10年以上前の形質変更届出に対する審査と、平成30年のトーモクからの形質変更届出に対する審査が異なる結果となったのかを検証することが、なぜ処分庁の適正な事務事業の遂行に支障を及ぼすおそれがあるのか、全く理解できません。むしろ、不開示情報を開示するほうが、行政主体としての信頼が担保できるのではないでしょうか?
      やはり処分庁は、この審査情報を請求人に開示すると、非常に都合の悪い事情がバレてしまうおそれを抱いているのでしょうか? だとすれば、本末転倒です。

5 審査請求人の主張に対する反論への再反論
(1)審査請求の理由1関係
   処分庁は「条例の解釈を故意かつ不当に捻じ曲げていない。」などと弁明するが、ここまで理不尽なこじつけまでして、不開示を正当化しようとする姿勢こそ、「条例の解釈を故意かつ不当に捻じ曲げている」証左です。群馬県の公務員のモラルはここまで落ちぶれたのでしょうか?
(2)審査請求の理由2関係
   処分庁は「条例の解釈を故意かつ不当に捻じ曲げていない。」などと弁明するが、ここまで理不尽なこじつけまでして、不開示を正当化しようとする姿勢こそ、「条例の解釈を故意かつ不当に捻じ曲げている」証左です。群馬県の公務員のモラルはここまで落ちぶれたのでしょうか?
(3)審査請求の理由3
   処分庁は「条例の解釈を故意かつ不当に捻じ曲げていない。」などと弁明するが、ここまで理不尽なこじつけまでして、不開示を正当化しようとする姿勢こそ、「条例の解釈を故意かつ不当に捻じ曲げている」証左です。群馬県の公務員のモラルはここまで落ちぶれたのでしょうか?
(4)審査請求の理由4
   反論書で述べた通り、処分庁の不開示の判断は不当であり、弁明の内容は失当です。
(5)審査請求の理由5関係
   反論書で述べた通り、処分庁の不開示の判断は不当であり、弁明の内容は失当です。
(6)審査請求の理由6関係
   請求人は、ダノンなど3社に対して土壌汚染のおそれがなく、トーモクに対して土壌汚染のおそれがあるとして調査命令を発しました。ダノンなど3社のうち、ダノンは世界的な食品メーカーです。その日本法人であるダノンジャパンは日本で唯一館林市内に工場を保有して稼働させております。仮にここの土壌が隣地のトーモクの土地と同様に、フッ素化合物による土壌汚染が事実だとすると、その影響は計り知れません。処分庁もご存知でしょうが、大同薬品工業㈱に転売されたトーモクの土地(2.7ha)の土壌汚染対策として、館林市は裁判所の和解条項に基づき、約7.2億円を一般会計から支払いました。請求人は館林市の納税者・市民として、トーモクの場合と同様に、栽培所の和解条項にもとづき、土壌検査費用や排客土による原状復旧の費用を一般会計から負担させられるリスクは絶対に回避しなければならないと確信しております。なぜなら、ダノンの土地はトーモクの約3倍の7.2haもあるからです。
   したがって、不開示情報は条例第14条第3号イの但し書き「人の生命、健康、生活または財産を保護するため、公にすることが必要であると認められる情報を除く」に該当することは明らかです。
(7)審査請求の理由7関係
   反論書で述べた通り、処分庁の不開示の判断は不当であり、弁明の内容は失当です。
(8)審査請求の理由8関係
   処分庁は「請求人が『今回の処分は直ちに取り消されなければなりません。』と主張している点について、上記のとおり、処分の取消しは不適当であると考える。」と呆れた弁明をするが、請求人が求めているのは、土壌汚染対策法(平成14年法律第53号)第4条第1項の規定に基づき、 一定の規模以上の土地の形質の変更(工事)を行う場合、着工の30日前までに都道府県知事等に届出が必要であることから、ダノンなど3社について、どのように審査が行われ、その結果、土壌汚染のおそれがなかった、その審査過程と結論についての検証に必要な情報です。
   請求人の調べによると、平成23年6月29日に館林市産業政策課から処分庁に電話相談があった時点では、館林市は既に北部第三工業団地の土地がフッ素汚染されていることを承知していたからです。なぜなら、館林市(公社)は、プロファ設計㈱に対して、北部第三工業団地の土壌調査業務委託をしており、プロファ設計から平成22年8月、10月、11月、平成23年1月、2月にかけて、5度にわたり報告書(その1からその5まで)を受領しており、その中で、「フッ素が2区画で指定基準値を超過していた」(その1)、「調査した163区画のうち、9区画でフッ素の溶出量基準値を超過していた」(その4)などの記載がありました。
   ですので、平成23年6月29日の処分庁と館林市産業政策課(公社)の職員とのやりとりでは、当然、北部第三工業団地の造成区域内の土地について、土壌汚染に関する認識について相談は合ったものと推測できます。
   請求人は、フッ素を含む土壌が北部第三工業団地の造成区域内で発見されたことは、間違いなく市外から持ち込まれた有害物質によるものと考えています。そもそもフッ素は、鉄鋼の精練工程で不純物の吸収材として「蛍石」が好んで使用されることから、群馬県内では大同特殊鋼㈱渋川工場、県外では埼玉県の朝日工業㈱埼玉工場、千葉県のJFEスチール㈱東日本製鉄所、日本製鉄㈱君津製鉄所で副産物のスラグとして発生することが推測されます。このうち、運搬距離を考えると、請求人は、やはり県内の企業が輩出したスラグが原因だと強く推認しています。
   そもそも、なぜ、館林市の北部第三工業団地の土壌がフッ素化合物で汚染されていたのか、その原因を特定しないまま、館林市はなぜ北部第三工業団地を造成し販売してしまったのか、また、土壌汚染対策法に基づき調査命令を出す権限を持っている群馬県も、なぜ傍観者を決め込んでしまっているのか、こうした事情や背景が明らかになっていません。不開示情報にそのヒントがあるとすれば、なぜ不開示にしなければならないのでしょうか?
   別紙の令和3年10月14日付で館林市長が請求人に対して発出した「館林市行政文書公開許諾通知書」は、平成30年5月28日付と平成30年10月14日付の「トーモク売却土地(北部第三工業団地)に関する打合せ結果(報告)」ですが、それぞれ、同年5月23日と10月11日に、館林市経済部産業政策課とトーモク及びその子会社のスウェーデンハウスが館林市役所とトーモク本社(都千代田区丸の内)で打ち合わせた概要が記されています。
   このうち、平成30年度10月11日の打合せ報告の2頁目の下から10行目で、トーモク側は次の発言をしています。
    「トーモク野土地以外の部分についても、例えばダノンの土地も同様なことが想定されるのではないか。(北部第三工業団地内で)既に工場建設が済んでいるところについて、県が調査命令を出していないのは県にも誤りがあったのではないか。裁判となれば県の証言も必要ではないか。」
   このことから、館林市(被告)とトーモク(原告)との裁判でも、原告・被告の双方から、処分庁である群馬県に訴訟参加や証拠申立などの相談があってしかるべきと考えます。しかし、訴訟記録をみても、処分庁が訴訟に関与した痕跡は見当たりません。
   館林市の北部第三工業団地に関するHPには、「ダノンジャパン株式会社 企業情報(PDF:78.7KB) 所在:下早川田町110-1(地番) 注:未操業地」とあります。他方、ダノンの2014年のプレスリリースによると「また、計画第2期にあたる2017年~ 2022年には、 現工場および 物流 センターに隣接する新たな工場を建設し、生産ラインを6本設置、既存工場とあわせて、2013年比2倍の生産能力を実現します。」とあります。
   しかし、いまだに未操業どころか、新たな工場の建設もされていないようです。この理由が、フッ素による土壌汚染だとしたら、係争となり、瑕疵付きの工業団地を売りつけたとして、再び係争になりかねません。
   処分庁は、このような土壌汚染対策として、例えば、大同特殊鋼渋川工場から排出されたフッ素を含む鉄鋼スラグで汚染された場所の地表を、簡易舗装で覆えば、雨水から遮断されるので重金属の溶出が防げるとしており、群馬県もこのような対策を容認しています。
   館林市とトーモクとの係争でも、群馬県が積極的に事前の段階から関与し、助言や証言を行っていれば、館林市は一般会計から約7.2億円(ママ。正しくは約5.2億円)もの支出をせずに済みました。
   今回の処分が取り消され、なぜ、土壌調査命令が発出されなかったのか、ダノンなど3社が立地する土地が、再びトーモクのような係争状態にならないよう、館林市の納税者市民である請求人としては、その経緯をしっかりと検証して、再発防止に努める責務があります。なぜなら、納税者市民・県民として、請求人は、二度と、有害物質を排出した原因者に代わって、館林市が尻拭いをすることのないようにしたいからです。

                             以上

別紙:令和3年10月14日付館林市行政文書公開諾否決定通知書および開示文書一式
**********

■以上のとおり、群馬県は、館林市土地開発公社が一括して造成した館林北部第三工業団地を分譲した土地について、トーモク(のちに大同薬品工業)が所有する土地はフッ素汚染のおそれがあるとして土壌調査命令を出し、ダノン(大和ハウス工業分を含む)やプラスチック・ホンダが所有する土地は土壌汚染のおそれがないとして土壌調査命令を出しませんでした。

 しかし、その理由を確かめようと、当会会員が情報開示請求しても、黒塗りの文書しか出してきません。仮に、ダノンが未だに工場建設をしていない、トーモクの隣の敷地が、フッ素汚染が原因だとして、工場建設に着手できないとなると、再び館林市に対して損害賠償請求訴訟を提起することが懸念されます。


ダノンジャパンの未操業の土地。ここの土壌がフッ素で汚染? なお、中央奥に見えるのが大同薬品工業関東工場。

 ダノンジャパンが購入した土地は、大和ハウス工業分と合わせて7.2ヘクタールあります。一方、トーモクが購入して大同薬品工業に転貸した土地は2.7ヘクタールでした。仮に、ダノンジャパンの土地の汚染土壌を除去するとなると、既に建物が建っている日立物流センターの2.63ヘクタールを除く、まだ更地のままとなっている4.57ヘクタール分だけでも、トーモクの土壌汚染除去した土地のほぼ2倍に当たります。となると、トーモクに支払った約5.2億円を単純に面積比で計算すると約10億円の汚染土壌除去費用がかかることになりかねません。

 ダノンジャパンは、隣のトーモクの土地で土壌汚染問題が発生し、訴訟に発展し、裁判所から和解勧告が出されて、全面的に館林市が損害賠償責任を負う形で決着がついたことを知っているはずです。この問題について、館林市長や、土壌汚染対策法に基づき土壌調査命令を出す立場にある群馬県知事はこれまで館林市民にひた隠してきましたが、今に至り、一体どのように認識しているのか、当会は、今回の審査請求を通じて、問い直して行く必要があると考えています。

【市民オンブズマン群馬事務局からの報告】
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館林北部第三工業団地を巡る土壌汚染問題の責任明確化が問われる館林市と群馬県環境森林部(その2)

2024-02-05 00:29:27 | スラグ不法投棄問題

館林北部第二工業団地にある既存のダノンジャパンの工場

■これに対し、令和5年12月13日付県支広第40-35号で、群馬県知事から当会会員あてに、処分庁から次の内容の弁明書が送られてきました。

*****11/30知事からの弁明書*****
(別紙:処分についての審査請求用)

                  弁 明 書


 下記1の審査請求について、行政不服審査法(平成26年法律第68号)第9条第3項において読み替えて適用する同法第29条第2項の規定により下記のとおり弁明する。

                   記

1 審査請求
  審奎請求年月日:令和5年10月27日付け
  事件名:「館林市の北部第三工業団地において、トーモクが館林市から取得した土地に大同薬品工業が工場を建設するのに先立ち、土壌汚染対策法に基づく届出をトーモクが県に提出した際、県は当該土地の土壌がフッ素及びその化合物により汚染されている恐れがあるとして、士壌調査を命じた。その結果、環境基準を超える士壌汚染が確認され、トーモクと館林市との間で係争となり、土壌検査や土壌の入れ替え工事費用約5.2億円を、館林市が負担することで和解となった。そうすると、同じく館林市が造成して分譲したトーモクの士地以外の部分についても、例えばダノンの土地も同様に土壌汚染されていることが想定される。 トーモクが県に届出をした時点で、既に工場建設が済んでいるところについて、県がなぜ調査命令を出していないのか、その理由がわかる一切の情報(ダノン等の土対法に基づく県への届出書なども含む。)」の公文書部分開示決定に対する審査請求

2 開示請求公文書の特定について
   「館林市の北部第三工業団地において、トーモクが館林市から取得した土地に大同薬品工業が工場を建設するのに先立ち、土壌汚染対策法に基づく届出をトーモクが県に提出した際、県は当該土地の士壌がフッ素及びその化合物により汚染されている恐れがあるとして、土壌調査を命じた。その結果、環境基準を超える土壌汚染が確認され、トーモクと館林市との間で係争となり、土壌検査や土壌の入れ替え工事費用約5.2億円を、館林市が負担することで和解となった。そうすると、同じく館林市が造成して分譲したトーモクの土地以外の部分についても、例えばダノンの土地も同様に士壌汚染されていることが想定される。トーモクが県に届出をした時点で、既に工場建設が済んでいるところについて、県がなぜ調査命令を出していないのか、その理由がわかる一切の情報(ダノン等の士対法に基づく県への届出書なども含む)。」という請求書の記載から、請求者は土壌汚染対策法(平成14年法律第53号。以下「法」という。)の調査命令の発出に関する審査に関する文書の開示を求めているものと考えた。
   法では、一定の規模以上の土地の形質の変更を行う場合、法第4条第1項の規定により事前に届出を行い、届出に係る土地が士壌汚染のおそれがあると認めるときは、法第4条第3項の規定により、知事は、当該士地の所有者等(土地の所有者、晉理者又は占有者をいう。以下同じ。)に対して土壌汚染状況調査(法第2条第2項)を命ずることができるとされている。
   同団地の土地において株式会社トーモクが所有する土地で工場を建設しようとした大同薬品工業株式会社が、平成30年3月1日付けで法第4条第1項の規定による一定の規模以上の土地の形質の変更の届出を提出し、この届出に対し県が法に基づく審査を行った結果、当該届出に係る土地について土壌汚染のおそれがあるとして平成30年4月5日付けで法第4条第3項の規定により土地の所有者等である株式会社トーモクに対し土壌汚染状況調査を命じている。
   この届出のほかに、同団地の土地において、株式会社トーモク及び大同薬品工業株式会社に係る届出は提出されていないことから、「トーモクが館林市から取得した士地に大同薬品工業が工場を建設するのに先立ち、土壌汚染対策法に基づく届出」とは、この平成30年3月1日付けで大同薬品工業株式会社が提出した法第4条第1項の届出であると考えた。
   また、「トーモクが県に届出をした時点で、既に工場建設が済んでいるところについて、県がなぜ調査命令を出していないのか、その理由がわかる一切の情報」とは、同団地の土地において工場建設等の目的で法第4条第1項の届出が提出されたもののうち、株式会社トーモクが所有する士地における法第4条第1項の届出が提出された平成30年3月1日以前に届出が提出され、事務処理が完結しているものについて、その届出の審査を含む事務処理に関する文書及び同団地の土壌汚染のおそれに関連する情報を記録した文書が該当するものとして文書を特定した。
   すなわち、平成30年3月1日時点で既に事務処理が完結している「平成25年2月12日付け環保第30046-97号」、「平成25年9月19日付け環保第30046-62号」及び「平成25年12月10日付け環保第30046-124号」を特定した。また、土壌汚染のおそれに関連する情報を記録した文書として、同団地造成当時の館林市産業政策課(館林市土地開発公社(当時))及び群馬県(環境保全課(以下「当課」という。))間の応対記録を特定した。

3 群馬県情報公開条例における開示・不開示の解釈について
  (1)群馬県情報公開条例(平成12年群馬県条例第83号。以下「条例」という。)第14条では、開示請求に係る公文書に不開示情報が記録されている場合は、当該公文書を開示してはならない旨を定めている。
  (2)同条第3号は、法人等に関する情報の不開示情報としての要件を定めている。
    ア 「群馬県情報公開条例の解釈及び運用の某準」では、「法人その他の団体」(同号本文)には、株式会社等の会社が含まれるとされている。
    イ 「群馬県情報公開条例の解釈及び運用の基準」では、「法人その他の団体・・・に関する情報」(同号本文)とは、法人等の組織や事業に関する情報のほか、法人等の権利利益に関する情報など、法人等と何らかの関連性を有する情報を指すとされている。
    ウ 「群馬県情報公開条例の解釈及び運用の基準」では、同号ただし書の解釈として、当該情報を公にすることにより保護される人の生命、健康等の利益と、これを公にしないことにより保護される法人等の権利利益とを比較衡量し、前者の利益を保護することの必要性が上回るときには、当該情報を開示しなければならないとされている。この場合には、現実に人の生命、健康等に被害が発生している場合に限らず、将来これらが侵害される蓋然性が高い場合も含まれるとされている。
      なお、法人等の事業活動と人の生命、健康等に対する危害などとの明確な因果関係が確認されなくても、現実に人の生命、健康等に対する被害などの発生が予想される場合もあり得るとされている。
    エ 「群馬県情報公開条例の解釈及び運用の基準」では、同号イに該当する可能性のある情報の会社における具体例として、販売計画など販売上の戦略が明らかにされ又は具体的に推測される情報で通常一般に入手できないものを挙げている。
  (3)同条第6号は、県が行う事務又は事業に関する情報の不開示情報としての要件
を定めている。
    ア 「群馬県情報公開条例の解釈及び運用の基準Jでは、「当該事務又は事業の性質上」(同号本文)とは、適正な遂行に支障を及ぼすおそれがあるかどうかを判断するに当たっては、当該事務又は事業の本質的な性格、具体的には、当該事務又は事業の目的、その目的達成のための手法などに照らして行うという趣旨であるとされている。
    イ 「群馬県情報公開条例の解釈及び運用の基準」では、「適正な遂行に支障を及ぼすおそれ」(同号本文)とは、実施機関に広範な裁駄権限を与える趣旨ではなく、各規定の要件の該当性を客観的に判断する必要があり、また、事務又は事業がその根拠となる規定又はその趣旨に照らして公益的な開示の必要性などの種々の利益を考慮した上での「適正な遂行」と言えるものであることが求められるとされている。 「支障」の程度は名目的なものでは足りず実質的なものが要求され、「おそれ」の程度も単なる確率的な可能性ではなく、法的保護に値する蓋然性が要求されるとされている。
    ウ 「群馬県情報公開条例の解釈及び運用の基準」では、「検査」(同号イ)とは、法令等の執行確保、会計経理の適正確保、物資の規格・等級の証明等のために帳簿書類その他の物件等を調べることをいうとされ、事実を正確に把握し、その事実に基づいて評価、判断を加えた上で、一定の決定を伴うことがある事務であるとされている。また、このような事務に関する情報の中には、事前に公にすれば、適正かつ公正な評価や判断の前提となる事実の把握が困難となったり、行政客体における法令違反行為又は法令違反に至らないまでも妥当性を欠く行為を助長したりするなどのおそれがあるものがあり、このような情報については、不開示とするとされている。

4 公文書を開示しない理由
   以下の(1)及び(2)のとおり、上記3で示した不開示情報に該当するものについて、開示しない理由を述べる。
   なお、不開示清報に該当するものに、当課及び管轄環境事務所が行う所管法令及び所管法令以外の審査結果に関する情報があり、これらは、当初、条例第14条第6号イに該当するとして不開示としたが、検討の結果、同条第3号イにも該当することから、この点について、以下の(2)エのとおり不開示の理由を追加する。
  (1)本件審査請求に係る公文書(平成23年度作成 士壌汚染対策法(4条相談等関係))に記載されている館林市産業政策課(館林市士地開発公社(当時))との応対及び法に基づく審査に関する情報を、条例第14条第6号イに該当するとして不開示とした。
    ア 対象公文書の説明
      対象公文岩は、館林市産業政策課(同公社)の担当者及び当課の担当者間での応対記録を供覧した文書である。
    イ 背景となる制度やそれに関する事務の流れ、関係法令の説明
      当課では、事業者等から法に関する相談があった場合は必要に応じてその応対記録を作成し、適切な期間保存している。
    ウ 不開示とした情報の説明
      当該公文書には、同団地の土地における法に基づく審査に関する情報が含まれている。
    エ 条例第14条第6号イ該当性について
       まず、当該公文書における当課の判断は、「県の機関・・・が行う事務又は事業に関する情報」 (同号本文)に該当する。
       次に、当該公文書は、土壌汚染による人の健康被害を防止するという法の目的(法第1条参照)を達成するため、土地の所有者等に土壌汚染状況調査を実施させるための要件該当性(法第4条第3項、法施行規則第26条各号)を判断するにあたり参考となる資料の一部である。その判断に当たっては、土壌汚染のおそれに関する情報を調べる必要があることから、当該審査に係る事務は「検査」(同号イ)に該当し、「当該事務又は事業の性質上」(同号本文)に該当する。
       そして、次の(ア)及び(イ)のとおり、当該公文書は、「適正な遂行に支障を及ぼすおそれ」 (同号木文)に該当する。
      (ア)相手方との信頼関係を損なうおそれ
          当該公文書は、当時の館林市土地開発公社が造成した館林市北部第三工業団地に係る上壌汚染対策に関する館林市産業政策課(同公社)の担当者(以下「相手方」という。)との応対記録であり、相手方から自主的に報告された情報及びその情報に基づく当時の当課における土壌汚染のおそれの判断を含んでいる。相手方にとっては、当該情報を断りもなく開示されることは当然、想定していないと考えられる。また、当該公文書には法人情報に類する情報も含まれている。
          これらを開示することは、当課に対する相手方からの信用を失墜させ、以後、相手方からの自主的な報告や情報提供、聴取への応諾等が行われなくなることが危惧される。
          このことは、今後、当課において、法が規定する土壌汚染状況調査の契機(法第3条から第5条まで参照)では捕らえ切れない士壌・地下水汚染の把握を難しくさせるとともに、これらに対する適切な対策及び指導等も困難にさせ、ひいては法の施行にまで影響を及ぼすおそれが高いことから、「適正な遂行に支障を及ぼすおそれ」(同号本文)に該当する。
      (イ)法解釈の錯誤に伴う自己判断による不適切な対応を助長するおそれ
          当該公文害には、上記(ア)のとおり、同団地の土地を対象にして自主的に報告された情報及びその情報に基づく当課における同土地に対する土壌汚染のおそれの判断が含まれているが、これは、あくまでも同団地の土地に対しての土壌汚染のおそれの判断内容であって、広く同団地の土地以外の土地に対して一律に適用できる判断ではない。しかし、開示することによって、法に茎づく届出をしようとする者や自主的な土壌汚染対策をする者等の行政客体をして、当該判断内容が広く一般に通じるものと無用の誤解を与えるおそれが出てくる。また、これを判断の拠り所の一つとして法解釈の錯誤を生じさせ、その結果、自己判断による不適切な対応を行い、事前に被ることが予想される法的な不利益を回避するために当課への相談・報告自体を躊躇・忌避する事態となる可能性が出てくる。
          このように、行政客体による調査報告を含む正確な情報が得られなくなることは、収集した情報に基づき土壌汚染のおそれの判断を行う事務を担う当課にとって、業務を全うできなくなることを意味する。仮に、汚染が判明した場合、本来であれば、管轄行政機関は速やか にその汚染による人の健康に係る被害が生じるおそれの有無を把握しなくてはならないが、先述した土壌汚染のおそれを判断するために行う情報の収集が滞ることによって、必要な対応が取れなくなる事態が想定される。このことは、最終的に土壌汚染による人の健康被害を防止するという法の目的(法第1条参照)が達成できなくなることを意味する。
          こうしたことから、当該公文書を開示することは、適正かつ公正な評価や判断の前提となる事実の把握を困難にするおそれがあることから、上記(ア)と同様に、「適正な遂行に支障を及ぼすおそれ」(同号本文)に該当する。
       以上の理由から、不開示とした。
  (2)本件審査請求に係る公文書(平成24年度及び平成25年度作成 土壌汚染対策法第4条に基づく一定の規模以上の土地の形質の変更届出書について(H24-82、H25-47及びH25-111))に記載されている届出者に関する情報及び当課における法に基づく審査に関する情報を、それぞれ、条例第14条第3号イ及び同条第6号イに該当するとして不開示とした。
    ア 対象公文書の説明
       対象公文書は、同団地に進出する事業者から、法第4条第1項の規定による一定の規模以上の土地の形質の変更届出書が提出されたことを受け、当課が法に基づく審査を行ったものである。
    イ 背景となる制度やそれに関する事務の流れ、関係法令の説明
       法第4条第1項では、一定の規模以上の土地の形質の変更をしようとする者は、土地の形質の変更に着手する30日前までに知事に届け出なければならないとされている。そして、知事は、当該土地が特定有害物質(法第2条第1項)によって汚染されているおそれがある、すなわち、士壌汚染のおそれがあると認めるときは、当該土地の所有者等に対し、土地の土壌の特定有害物質による汚染の状況について、調査し報告することを命ずることができる(法第4条第3項)。
       法を所管する当課では、届出書の内容及び届出対象地における、当課で収集した土壌汚染のおそれに関する情報に基づき、法施行規則第26条各号の要件該当性の判断に係る審査を行う。また、届出者に対して、当該届出を受理した旨を通知している。
    ウ 不開示とした情報の説明
       当該公文書は、法第4条第1項の規定に基づく届出の情報として、届出者の事業内容に関する情報が含まれ、また、届出に対して、当課が法に基づく審査を行った経緯・結果に関する情報が含まれる。
    エ 条例第14条第3号イ該当性について
       当該届出者は、法人たる株式会社であり、法第4条第1項の届出書に添付される情報は当該法人の事業に関する情報が含まれている。多くの場合、届出者は企図する事業戦略の一環として法第4条第1項による届出を行うものであるが、添付情報の中には、土地の形質の変更を行う具体的場所に係る面積並びに平面図、立面図及び断面図、さらには事業の全体が把握できる計画図等、事業の内容が明らかにされ又は具体的に推測される情報が多く含まれている。これらは第三者が通常一般には入手できない情報である。これらの情報を開示することは、届出者の競合会社等に情報が漏出することにつながり、届出者の権利、競争上の地位その他正当な利益を害するおそれが考えられる。
       さらに、当課及び管轄環境事務所が行う所管法令及び所管法令以外の審査結果に関する情報には、届出者が届出を行おうとする土地で使用されている特定有害物質の種類や施設情報を推知できてしまうものもあり、仮に開示した場合、届出者の競合会社等に情報が漏出することにつながり、届出者の権利、競争上の地位その他正当な利益を害するおそれがあると考えられる。
       また、届出対象地周辺において、現に、土壌汚染による健康被害が確認されたという情報を県が把握していない以上、情報を開示しないことで人の生命、健康等の利益が法人等の権利利益を上回るとは考えられず、「人の生命、健康、生活又は財産を保護するため、公にすることが認められる情報を除く。」(条例第1 4条第3号ただし書)にも該当しない。
       以上の理由から、不開示とした。
    オ 条例第14条第6号イ該当性について
       まず、当該公文書における当課の判断は、「県の機関・・・が行う事務又は事業に関する情報」(同号本文)に該当する。
       次に、当該公文書における法に基づく審査は、士壌汚染による人の健康被害を防止するという法の目的(法第1条参照)を達成するため、土地の所有者等に土壌汚染状況調査を実施させるための要件該当性(法第4条第3項、法施行規則第26条各号)を判断するものである。その判断に当たっては土壌汚染のおそれに関する情報を調べる必要があることから、当該審査に係る事務は「検査」(同号イ)に該当し、「当該事務又は事業の性質上J (同号本文)に該当する。
       ここで、上記土壌汚染のおそれに関する情報とは、法第56条第2項に基づき、上記審査のみに使用するとして、使用目的を限定して関係行政機関から提供された情報を含み、審査の効率化を図るため当課で加工した情報である。上記土壌汚染のおそれに関する情報には、公共安全情報(条例第14条第4号)としての性格を有するものも含まれる。ただし、これらの情報は、上記のとおり当課で加工したものであり、公共安全情報に直接該当するものではないと思料し、「県の機関・・・が行う事務又は事業に関する情報」(条例第14条第6号本文)に該当する。
       そして、次の(ア)及び(イ)のとおり、当該公文書は、「適正な遂行に支障を及ぼすおそれ」(同号本文)に該当する。
      (ア)相手方との信頼関係を損なうおそれ
          当該公文書は、上記のとおり使用目的を限定して提供された情報を含んだものであることから、情報を提供した関係行政機関においては当該情報を開示することは当然想定していないと考えられ、仮に開示すれば、それは目的外の使用に当たることから、関係行政機関と当課との信頼関係が著しく損なわれ、今後、関係行政機関から必要な協力を得られない可能性が強く懸念される。この場合、今後、当課では上記法に基づく適正な審査を行えなくなることを意味するものであり、これは、「適正な遂行に支障を及ぼすおそれJ (同号本文)に該当する。
      (イ)法解釈の錯誤に伴う自己判断による不滴切な対応を助長するおそれ
          当該公文書は、当課による土壌汚染のおそれの判断内容を含んだものであるが、この判断はあくまでその当時施行されていた法令に基づくものである。判断は、法令等の新たな施行に基づき、その都度されるものである。この内容を開示することにより、法に基づく届出をしようとする者や自主的な土壌汚染対策をする者等の行政客体に、現状においても、当該判断内容が広く一般に通じるものとの誤解を与えるおそれがある。
          このことは、これを判断の拠り所の一つとして法解釈の錯誤を生じさせ、その結果、自己判断による不適切な対応を行い、事前に被ることが予想される法的な不利益を回避するために当課への相談・報告自体を躊躇・忌避する事態が生じる可能性が出てくる。
          このように、行政客体による調査報告を含む正確な情報が得られなくなることは、収集した情報に基づき士壌汚染のおそれの判断を行う事務を担う当課にとって、業務を全うできなくなることを意味する。仮に、汚染が判明した場合、本来であれば、管轄行政機関は速やか にその汚染による人の健康に係る被害が生じるおそれの有無を把握しなくてはならないが、先述した土壌汚染のおそれを判断するために行う情報の収集が滞ることによって、必要な対応が取れなくなる事態が想定される。このことは、最終的に士壌汚染による人の健康被害を防止するという法の目的(法第1条参照)を達成できなくなることを意味する。
          こうしたことから、当該公文書を開示することは、適正かつ公正な評価や判断の前提となる事実の把握を困難にするおそれがあることから、上記(ア)と同様に、「適正な遂行に支障を及ぼすおそれ」(同号本文)に該当する。
       以上の理由から、不開示とした。

5 審査請求人の主張に対する反論
(1)審査請求の理由1関係
    審査請求人(以下「請求人」という。)が「処分庁は対応日時、相手方、対応者以外の部分を不開示とし、その理由を(中略)条例の解釈を故意かつ不当に捻じ曲げており、撤回しなければなりません。」と主張している点について、上記4   (1)工のとおり、条例第1  4条第6号イの該当性について、条例を所管する県民活動支援・広聴課が示している一般的な解釈に基づき不開示と判断したものであり、その解釈を故意かつ不当に捻じ曲げていない。
(2)審査請求の理由2関係
    請求人が「土対法施行規則第26条で定める基準による審査内容及び結果、(中略)を不開示とし、その理由を(中略)条例の解釈を故意かつ不当に捻じ曲げており、撤回しなければなりません。」と主張している点について、上記4(2)オのとおり、条例第14条第6号イの該当性について、条例を所管する県民活動支援・広聴課が示している一般的な解釈に基づき不開示と判断したものであり、その解釈を故意かつ不当に捻じ曲げていない。なお、検討の結果、同条第3号イにも該当していたことから、上記4(2)エにおいて不開示の理由を追加した。
(3)審査請求の理由3関係
    請求人が「土地の形質の変更の規模、(中略)を不開示とし、(中略)条例の解釈を故意かつ不当に捻じ曲げており、撤回しなければなりません。」と主張している点について、上記4(2)エのとおり、条例第14条第3号イの該当性について、条例を所管する県民活動支援・広聴課が示している一般的な解釈に基づき不開示と判断したものであり、その解釈を故意かつ不当に捻じ曲げていない。
(4)審査請求の理由4関係
    請求人が「群馬県情報公開条例第14条第6号イには、(中略)上記1と2に示した黒塗り箇所が、なぜこの条項に該当するのか、全く理解できません。」と主張している点について、1は上記4(1)で、2は上記4(2)で示したとおりである。
(5)審査請求の理由5関係
    請求人が「群馬県情報公開条例の解釈と運用基準によれば、同条例第14条第6号イの解説(4)で、(中略)この観点からの判断の経過と結果について説明がされないまま黒塗りの部分開示処分されたことは、容認できません。」と主張している点について、上記4(1)エ及び4(2)オで示したとおりである。
(6)審査請求の理由6関係
    請求人が「群熙県情報公開条例第14条第3号イには、(中略)但し書きとして「人の生命、健康、生活または財産を保護するため、公にすることが必要であると認められる情報を除く」と付記されています。本件黒塗り情報はまさにこの但し書きに該当しています。」と主張している点について、上記4(2)エで示したとおりである。
(7)審査請求の理由7閲係
    請求人が「群馬県情報公開条例の解釈と運用基準によれば、同条例第14条第3号イの解説(4)で、(中略)「単なる確率的な可能性ではなく、法的保護に値する蓋然性が求められる」としており、この観点からの判断と結果についての説明がなされないまま黒塗りの部分開示処分されたことは、容認できません。」と主張している点について、上記4(2)エで示したとおりである。
(8)審査請求の理由8関係
    請求人が「今回の処分は直ちに取り消されなければなりません。」と主張している点について、上記のとおり、処分の取消しは不適当であると考える。

    令和5年11月30日
                     群馬県知事 山本 一太
**********

【市民オンブズマン群馬事務局からの報告・この項つづく】

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館林北部第三工業団地を巡る土壌汚染問題の責任明確化が問われる館林市と群馬県環境森林部(その1)

2024-02-04 23:19:49 | スラグ不法投棄問題

館林北部第三工業団地のトーモクの土地に建てられた大同薬品工業関東工場。2021年11月3日撮影。

■発端は、2021年(令和3年)9月9日の上毛新聞の報道でした。「館林市が5億賠償方針 工業団地で土壌汚染 土地購入のトーモクと和解」というタイトルの記事で、「館林市土地開発公社が2014年3月の解散寸前に段ボール製造会社『トーモク』に2.7haの工業用地を5億3千万円で売却し、その後その土壌から環境基準値を超えるフッ素(溶出量)が検出され、市がトーモクに賠償金5億1910万5000円を支払うことで和解した」というものです。

 館林市には、7カ所の工業団地(計178.3ヘクタール)や2か所の産業団地(計28.5ヘクタール)、2か所の流通団地(計21.6ヘクタール)が整備されていますが、いずれも分譲が終了しています。そのため、企業進出の受け皿となる産業用地を新たに整備する計画を進めるため、群馬県企業局団地課は、大島町地内に面積56.2ヘクタールの産業団地に加えて、大神田町地内に面積約19.3ヘクタール(うち工業用地は約13.0ヘクタール)の工業団地を、現在下早川田町地内にある北部第三工業団地の南側で、大新田町地内の同第二工業団地西側に造成工事を進めています。


北部第三工業団地及びその周辺図


北部第三工業団地及びその周辺(航空写真図)

 ところで、現在造成工事中の北部第四工業団地の北側にある北部第三工業団地は、平成22年から23年にかけ館林市土地開発公社が造成工事を行いましたが、その過程で市公社の自主調査でフッ素による土壌汚染が確認され、平成23年に市公社により次の対策が施されました。
 ・市公社は、平成22年7月に、120m格子の5地点均等混合法による自主調査(表層土壌調査)を行い、本件土地がふっ素及びその化合物により土壌溶出量が高いことを認識した。
 ・市公社は、平成22年9月に、120m格子内を単位区画(100㎡)ごとに区切り、表層土壌長ら及びボーリング調査により、6区画(600㎡)の深度GL~0.5mで汚染を認識した。
 ・市公社は、平成22年12月に、30m格子の5地点均等混合法による再調査を行い、本件土地の4区画で基準不適合を確認した。
 ・市公社は、平成23年1月に、平面範囲を絞り込むため単位区画ごとの表層土壌調査と詳細調査として500㎡ごとのボーリング調査により、合計15区画(1500㎡)で汚染を確認し、そのうち5区画の深度GL~0.4m、10区画のGL~0.3mで汚染を確認した。
 ・市公社は、平成22年から23年にかけて、不溶化処理、緑地への集積埋設、汚染箇所に山砕で埋め戻しを行った。

 市公社は「土壌汚染対策を実施した」として、北部第三工業団地の分譲に踏み切り、平成24年~平成26年にかけて、プラスチックホンダ、ダノンジャパン、大和ハウス工業、手島精管、トーモクの5社に売却されました。

 土地を購入し、施設の建設工事を始めるにあたり、土壌汚染対策法第4条に基く形質の変更届出を最初に群馬県に行ったのが、プラスチックホンダで平成25年1月18日に群馬県環境保全課に届出書が提出され受理されました。

 続いて届出をしたのがダノンジャパンで平成25年8月28日に群馬県環境保全課に届出書が提出され受理されました。

 その後、大和ハウス工業が平成25年11月19日に群馬県環境保全課に届出書を提出し受理されました。

 なお、手島精管については、群馬県から情報開示された土染法第4条に基く届出にかかる公文書の中に含まれておらず、届出をしたのか否かは不明ですが、同社に関する情報を検索すると、平成24年10月に群馬県企業誘致推進補助金補助事業者として群馬県より指定を受けたことを契機に、早くも平成24年11月に新工場建設に着工し、翌平成25年4月に既存の本社工場と第二工場を統括し、生産効率向上の為、館林市下早川田町に新築した新工場に移転したとあります。したがって、土地の取得は平成24年の前半には済ませていたと思われます。

 最後に残った土地約2.7ヘクタールは、市公社が解散する平成26年3月の直前の同年2月にトーモクに売却されました。

■土地を購入した各社は、それぞれ自社の施設の建設を行ったわけですが、大和ハウス工業の場合、平成24年までに購入した土地は、ダノンの物流センター計画に基づくもので、実際にはダノンジャパンが資金を出していたと推測されます。


館林北部第三工業団地の大和ハウス工業が建てた日立物流の物流センター。ダノンとヤクルトが共同使用している。2021年11月3日撮影。

 この背景として、ダノンジャパンは当時、日本でのヨーグルト需要の拡大に対応するため、平成25年から10年計画で、ダノンジャパンの国内唯一の生産拠点である館林工場(隣接の北部第二工業団地にある)の増設と新設によって、生産能力を2倍に拡大する計画を進めていました。その計画の一環として、館林工場の隣接地に物流センターを建設し、同センターの稼働により、輸送時間の短縮や業務効率の向上、輸送距離の短縮による環境負担の軽減を実現することが狙いでした。

■さて、市公社の解散直前の平成26年2月に北部第三工業団地で売れ残った土地を買ったトーモクは、既に館林市内の野辺町に工場を保有し稼働させており、当初は、館林第二工場として計画していたのかもしれません。しかし、その後、新工場の建設に着手することなく、4年近く経過した平成30年3月1日に、突然、大同薬品工業株式会社の名義で、群馬県知事あてに土対法第4条に基く形質変更の届出書が提出されました。

 この背景として、当時、ダイドードグループHDの100%子会社の大同薬品工業が、関東地区で新工場の立地場所を探していたところ、トーモクが購入していた土地が空いているということで、急遽、この場所に進出する話がトーモクとまとまったという経緯があります。その後、大同薬品工業の関東工場が完成し、令和元年(2019年)10月10日に竣工式が執り行われました。

 しかし、平成30年3月1日に大同薬品工業が提出した土対法第4条に基く「一定の規模以上の土地の形質の変更届出書」が大きな波紋を起こしたのでした。

■現在、館林北部第三工業団地には、ダノンジャパン株式会社(所在地:下早川田町110-1)、手島精管株式会社(下早川田町306-11)、株式会社日立物流館林物流センター(下早川田町110-81)、株式会社プラスチックホンダ館林工場(下早川田町201-11)、大同薬品工業株式会社(下早川田町110-7)が進出し立地しています。日立物流の流通センターは、平成27年(2015年)4月からヤクルト本社も同センターの共同利用者として、全体の約25%相当(ダノンジャパン75%)を利用しています。しかしこのうち、ダノンジャパンの土地だけは未操業地となっています。

 ダノンジャパンは、日本でのヨーグルト需要の拡大に対応するため、平成25年(2013年)までに、館林工場内の生産ラインを8本から9本に増設し、生産能力が13%向上させ、平成28年(2016年)までにもう2本増設し、2013年比で約50%の生産能力増を達成し、さらに研究開発施設であるヨーグルト・イノベーション・センターおよび一般見学者向けのビジターセンターも開設し、平成29年(2017年)から令和4年(2022年)にかけて、現工場および物流センターに隣接する新たな工場を建設し、生産ラインを6本設置、既存工場とあわせて、2013年比2倍の生産能力を実現する予定だったのに、なぜ北部第三工業団地において、これまで施設建設に着手せず、未操業地のままにしているのでしょうか。

 「ひょっとしたら、フッ素土壌汚染がその背景にあるのでは」と考えた当会会員で館林支部長は、これまでに土壌汚染の原因解明と責任の所在を確かめるために、館林市に対して情報開示請求、住民監査請求、そして住民訴訟を提起していきました。この問題に関してこれまでこのブログでとりあげた記事は以下のとおりです。

○2021年10月1日:2014年3月解散の館林市土地開発公社が解散直前に売却した土地の土壌汚染で市がトーモクに約5億円の尻拭い?【前編
○2021年10月1日:2014年3月解散の館林市土地開発公社が解散直前に売却した土地の土壌汚染で市がトーモクに約5億円の尻拭い?【後編】

■さて、冒頭の新聞報道に戻ってみます。上毛新聞の記事によると「館林市土地開発公社が2014年3月の解散寸前に段ボール製造会社『トーモク』に2.7haの工業用地を5億3千万円で売却し、その後その土壌から環境基準値を超えるフッ素(溶出量)が検出され、市がトーモクに賠償金5億1910万円を支払うことで和解した」とあります。

 ここで、「館林市がトーモクに賠償金5億1910万円を一般会計から支払うことで和解した」と報じられていますが、トーモクから請求のあった損害賠償額の満額を館林市が支払ったのに、なぜ和解なのか、当会では全く訳が分かりませんでした。

 そのため、この裁判の経緯を調べるため、館林市に情報開示請求を通じて裁判資料等を入手し、その内容を分析しました。すると、以下のことが分かりました。

【開示された文書一覧】
<原告トーモクの裁判資料>
1.訴状       H31.3.19
2.訴えの変更申立書 H31.4.26
3.訴えの変更申立書 R2.5.18
4.訴えの変更申立書 R2.10.7
5.被告第1準備書面 R1.11.22
6.被告第2準備書面 R2.3.1
7.被告第3準備書面 R2.7.10
8.被告第4準備書面 R2.12.1
<原告トーモクの証拠資料(甲号証)>
11.甲3の2 見積書 H30.4.6 (訴状汚染調査工事 648万円)
12.甲4の2 見積書 H30.4.23 (土壌汚染調査追加工事280万円)
13.甲5の2 見積書 H30.5.15 (土壌汚染調査詳細調査1512万円)
14.甲6の2 見積書 H30.6.21 (土壌汚染対策工事1期工事1.54億円)
15.甲7の2 見積書 H30.8.10 (土壌汚染対策工事追加変更250万円)
16.甲10  見積書 H30.8.10 (土壌汚染対策工事2期工事2.852億円)
17.甲?  見積書 R1.9.2 (土壌汚染対策工事2期工事2.853億円)
18.甲17  見積書 R2.3.5  (土壌汚染対策増減変更1062万円)
19.甲?  土地の形質変更をしようとする形質変更時用届出区域の状況を明らかにした図面          ※甲号証が見積書しかない!
<被告館林市の裁判資料(乙号証)>
 ※答弁書がない!
21.被告準備書面(1) R1.7.10
22.被告準備書目(2) R1.9.20
23.被告準備書面(3) R1.12.6
24.被告準備書面(4) R1.12.16
25.被告準備書面(5) R2.1.15
26.被告準備書面(6) R2.3.12
27.被告準備書面(7) R2.5.4
28.被告準備書面(8) R2.5.14
29.被告準備書面(9) R2.9.17
30.被告準備書面(10) R2.9.17
 ※被告準備書面(11)がない!
31.被告準備書面(12) R2.10.21
32.被告準備書面(13) Rr3.2.12
<被告館林市の乙号証証拠資料>
 ※乙号証が全くない!

【開示文書を読んで気づいた点】
1.市側は、最初からトーモクに一方的に攻められており、反論がギクシャクしている。
2.トーモクは、公社からH26.2.28付土地売買契約で本件土地を取得した。
3.トーモク、市、公社はH26.2.28付覚書(甲2)を締結し、本件契約の公社の責務と権利を公社解散後に市が承継することを確認した。
4.公社は、H22.7に、120m格子の5地点均等混合法による自主調査(表層土壌調査)を行い、本件土地がふっ素及びその化合物により土壌溶出量が高いことを認識していた。
5.公社は、H22.9に、120m格子内を単位区画(100㎡)ごとに区切り、表層土壌長ら及びボーリング調査により、6区画(600㎡)の深度GL~0.5mで汚染を認識していた。
6.公社は、H22.12に、30m格子の5地点均等混合法による再調査を行い、本件土地の4区画で基準不適合を確認した。
7.公社は、H23.1に、平面範囲を絞り込むため単位区画ごとの表層土壌調査と詳細調査として500㎡ごとのボーリング調査により、合計15区画(1500㎡)で汚染を確認し、そのうち5区画の深度GL~0.4m、10区画のGL~0.3mで汚染を確認していた。
8.公社は、H22~H23にかけて、不溶化処理、緑地への集積埋設、汚染箇所に山砕で埋め戻しを行った。原告はこのことについて、適正な対策ではないと明言。
9.原告トーモクの訴状には「当時、群馬県が市に対し、土壌汚染対策法に沿った調査・対策をとるよう指導し、土壌汚染対策法14条の申請を促したが、市は対応していない。」とあるが、館林市に情報開示請求したところ、市は「北部第三工業団地造成時、館林市土地開発公社が実施した土壌調査及び土壌汚染対策工事は、群馬県から発出された調査命令に基づくものではなく、法的な拘束力のない自主調査であった。自主調査のため、法的に汚染対策が義務つけられたものではなく、当時群馬県から土壌改良の要望書は発出されていない。」と群馬県から市に出された文書は「不存在だ」としている。
10.トーモクは、本件土地の土壌汚染について適正対策が施されていなかったので、土地取得後、土壌汚染を認識し、提訴時に市に1.93428億円の損害を被った。
(疑問その1:トーモクは、なぜいわくつきの土地を買ったのか?)
11.公社は、本件契約8条1項5号で、本件土地に土壌汚染が確認された場合でも適正な対策が施されていると表面保証したが、適正な対策がしていないので、表面保証違反だとトーモクが提訴した。
12.昨今、不動産売買においても、「表明保証条項」を入れる場合が多くなった。表明保証条項は、例えば、「買主は、以下の記載の各事項が、本売買契約日において真実かつ正確であることを表明し、保証する。⑴本物件につき、建築基準法、消防法等いかなる法令の違反もなく、また、適用される条例に違反するものでもないこと。・・・」というような契約の条項のこと。買主は、売主に対し、詳細かつストレートな表明保証を要求する傾向にあるが、売主は、できる限り、表明保証をする事項を限定し、また、売主が責任を問われる場合を限定した表明保証条項としたいと考える傾向にある。表明保証条項に違反した場合の効果(契約の解除まで認めるのか、損害賠償のみ認めるのか等)についても契約書で明記しておくことが必要。不動産売買においても、売主の瑕疵担保責任が法定されているが、瑕疵担保責任は、不動産につき購入後に買主が発見した問題点が「瑕疵」に該当するか否かにつき、売主と買主との間で紛争が紛糾する場合が多い。特に高額の取引においては、買主側としては、表明保証条項を設け、できる限り売主の責任の所在を明確にしておくメリットは大きい。他方、買主側としても、売主の責任を大きくすることばかりを要求していては、売主において当該買主に不動産を売却することに消極的にならざるを得ない。表明保証条項の範囲を必要性の高いものに限定したり、表明保証条項に違反した場合の効果を限定したり、売主の表明保証条項違反を追及できる期間を限定するなど、売主側への配慮も必要。
13.市は、トーモクに対して、H31.1.30付応答書(甲11)で、「売主が瑕疵担保責任を負うのは、売買の目的物に隠れた瑕疵がある場合の他、本件のように売主が保証した性能を有しないことも含まれると解されている。要するに「ない」とした前提に「あった」ときも、瑕疵担保責任のカテゴリーに含まれると解されているので、本契約書第8項でした表明及び保証(表面保証のことか?)は担保責任の法理におり律せられることとなる」と反論し、本件契約書第7条の権利消滅を主張した。
14.ところがトーモクは、市が引用する文献は売主が保証していた性質を欠いていた場合に瑕疵担保責任を追及できるか否かという議論であり、本事件の論点は、売主が表面保証違反をした場合、瑕疵担保責任の他に表面保証違反による債務不履行責任を追及できるか否かとは関係がないと反論。表明保証は契約で定めた責任であるのに対して、瑕疵担保関には特定物売買における飼い主を保護する法廷責任であり、表面保証違反による責任追及は、瑕疵担保責任とは異なり、期間経過による消滅は認められないと主張。
15.その根拠として、トーモクは、市が「本件土地について、土壌汚染対策法に準ずる土壌調査を実施し、同法に定める基準値を超過した汚染物質の有無を確認している」と表面保証したにもかかわらず、実際には土壌汚染対策法に準ずる土壌調査を実施していないと指摘した。そのうえで、市は「汚染物質が確認された場合であっても、売主の費用負担で適正な対策が施されている」と表面保証したが、実際には簡易的な対策しかせず、ガイドラインに基づく適正な汚染除去等をしていないと主張。実際に土壌汚染対策を施したとされる個所からも土壌汚染が確認されていることからも、適切な対策工事がされていないことは明白だと主張。
16.トーモク曰く、H29.9.22の館林市役所での会議で、市担当者は、公社の調査方法が自主調査にとどまった理由について、「土壌汚染対策法に旬日土壌調査よりも課にな自主調査を選択して、対策費用を低く抑えた」旨の説明をしたと主張。
17.トーモクが、H30.3.1に群馬県に対し、形質変更の申請をした時点で、既に群馬県としては過去の公社による自主調査が簡易的であると認識しており、土壌汚染対策法4条3項に基づく調査命令を発令する旨を言及していたと主張。
18.トーモクは、公社が地歴調査を実施していないと指摘。
(疑問その2:以上の観点から、なぜトーモクが公社から、H26.2.28に工業団地の分譲を受けた後、大同薬品工業に転貸しようとしたのか、土壌汚染のあるキズモノの土地であることを認識していたからこそ、こうした手段で汚染除去費用を市に転嫁しようと画策していたかもしれない)
20.R2.3.5付原告第2準備書面では、市側が工事の減額について主張し出していたことから、トーモクが土壌汚染対策工事はガイドラインに則った適正なものだったとして、ゼネコン最大手の一つの鹿島建設が見積もった金額だから、間違いない、などと主張している。とりわけ、掘削については鉛直掘りは、汚染土の取り残しのリスクがあるとして、オープンカットと余掘りの正当性を強調。
(疑問その3:原告第2準備書面の3ページと4ページと6ページに挿入してある説明図を見ると、掘削深度が僅かに1mにも満たないのに、対象範囲の10mにくらべて、随分縦方向の縮尺を大きくしており、あたかも、5mちかく掘削したかの誤解を与えかねない見取り図を掲載してあるのはいかがなものか)
(疑問その4:鹿島建設が平成30年6月21日にトーモクに提出した見積書の9ページをみると、1期工事の汚染土壌の運搬・処分について館林から川崎まで2771㎥を運搬し、単価32,900円/㎥で合計91,165,900円とある。土の比重を1.8t/㎥とすると、トン当たり18,277円となり、単にダンプで運んで、沿岸部の埋立地に運ぶだけで1トンあたり1万8千円以上と高額である。20tダンプで10万円程度だから、トンあたり5千円程度とすれば、3倍強も高い価格となる)
(疑問その5:鹿島建設が平成30年8月10日にトーモクに提出した見積書の10ページをみると、実績値として、処分地での重量計測により比重1.8t/㎥換算として、5215トンとなり、415万7611円を追加請求している。単純に汚染土壌の掘削容積(2771㎥)と処分地での重量計測値(5215.49トン)によれば、土の比重は1.88t/㎥であり、途中で雨が降ったりすれば当然重量は変化する為、統一的な比重を用いるべきである)
(疑問その6:さらに、鹿島建設が令和元年9月2日にトーモクに提出した見積書の10ページをみると、2期工事の汚染土壌の運搬・処分について館林から川崎まで9237.5トンを運搬し、単価18,277円/トンで合計168,823,788円とある。土の比重は、1期工事の実績による算出比重2.051t/㎥を採用し、計画体積量4503.9㎥から汚染土壌の重量を9237.5トンと算出。館林市が主張する通り、こんな比重の重い土壌は想定しがたい)
(疑問その7:鹿島建設が令和2年3月5日にトーモクに提出した見積書の9ページをみると、2期工事の実績値として、処分地での重量計測により10340.65トンとなり、2016万2272円を追加請求している。この計算からすると、単純に汚染土壌の掘削容積(4503.9㎥)と処分地での重量計測値(10340.65トン)によれば、土の比重は2.2959t/㎥となり、ベラボーな比重である。原告のトーモクも酷いが、これを指摘しない館林市もひどすぎる)
21.同じく原告第2準備書面では、トーモクは土壌改良の施工スケジュールが確定していると主張し、大同薬品工業との契約で、土壌汚染対策工事が遅れると、工場稼働遅延で損害賠償を請求されるとして、被告の館林市には施工スケジュールを説明済みだから、土の改良が不要になるまで待つ義務はないと主張。ということは、土壌汚染対策をトーモクが発注した鹿島建設が大同薬品工業の工場建設も請け負っていたことも考えられる。となると、鹿島の土壌汚染対策工事と工場建設の基礎工事との関連性が注目される。
22.トーモクはR2.7.11の原告第3準備書面から本格的に館林市公社の地歴調査の不備や、土壌汚染状況調査の手法が不十分であり、公社の調査はあくまで自主調査であり、土壌汚染対策法に準じたものではなく、また、ガイドラインに沿ったものではないことを執拗に主張し始めている。
(疑問その8:トーモクは、用地取得に際して、公社から事前に資料を受け取っており、その際、公社から説明も受けているはず。そのとき、土壌汚染の存在を承知しており、また、公社が行う対策工事についても不十分だと認識していたのではないか。だから協定書に表面保証を明記して、公社がそうした法的知識に疎いことをよいことに、契約を締結し、その後、本件土地を転貸することを思いつき(あるいは既に飲料大手の大同グループが工場建設用地の需要があることを察知していた可能性もある)、そこに転貸するに合って土壌汚染の問題がハイライトされるから、そこでゴネれば、タダで公社から用地を手に入れられると踏んだと考えても不思議はない)
23.また原告第3準備書面の5ページ目の4(1)に、トーモクがH30.3.11に群馬県担当者に確認した内容として「平成22~23年、公社は群馬県に対して自主調査の内容を報告しているが、その打ち合わせの際、県から『今後、その土地で何かを行う場合には土壌汚染対策法14条に基づく申請が必要ではないか』と指摘した。にもかかわらず公社は、この指摘を無視し、県が土壌汚染対策法14条1項に基づく申請を促したことは群馬県の打合せ記録に残っている」と主張。これが本当だとすれば、市側が本件訴訟に敗訴する決め手となりかねず、トーモクの主張が本当かどうか、市側に公開質問をするとともに、オンブズマンとしても県の担当部署(廃棄物・リサイクル課)に確認する必要がある。
24.原告第3準備書面の最終13ページ目の結語として「公社による自主調査及び汚染除去工事は、土壌汚染対策法及びガイドラインに準拠しておらず、表面保証違反は明らかだ」としている。この指摘は、トーモクがあらかじめ自主調査の内容について瑕疵が有り、その後の公社による汚染除去工事の対策方法も不十分であったことを知っていた可能性を示す。
25.R2.12.1付の原告第4準備書面の4ページ目で、トーモクが群馬県に対して、形質変更届け出における施工計画土量として汚染深度75センチとして報告したという甲15号証の17ページ目の記載を確認する必要がある。なぜなら、掘削深度を75センチに減縮することを県に確認し、県が承諾したので、対策工事をしたから問題ないと主張しているからだ。なぜ、75センチで県がOKしたのか、その経緯と背景を確認しておく必要がある。また、5ページ目には、「群馬県に対して形質の変更届出において必要に応じて鋼矢板の設置について報告し、確認し、承認を得たうえで仮設工を準備した」とあるが、県に事実関係を確認する必要がある。
26.裁判資料を通じて一貫して感じた事。
(疑問その9:疑問なのは、旧地表面が、現在の地表面からどの程度深いレベルなのか不明である事。当初は農用地だったというが、その上に公社が盛土をして(せいぜい1m程度か?)造成した土地が今回の工業団地用地ということになる。公社がトーモクに売却する際に、土壌汚染調査を実施したということは両者認めているが、公社が造成した際に埋め立てに使った土の中にフッ素が混入していたことになる。さらに、それを公社が撤去して、あらたな客土で埋め立てた結果、やはりフッ素が検出されているということを見ると、いったい、2回の作業(造成作業及び汚染土壌の入替の為の排客土作業)で、公社がどのような土を使ったのか、極めて不可解である。)
27.今回の事件で、市は、汚染土壌の定義について、被告準備書面(1)の1ページ目で「溶出量基準値0.8㎎/リットルを超えるフッ素及びその化合物が検出された土壌」としている。これは癌優良基準で言えば8000ppmに匹敵するほどの高レベルなフッ素が含有されていることになる。このような高濃度のフッ素を含む汚染土壌は、大同特殊鋼などの電気製鋼のスラグしか想定し得ない。なので、このことについて、公社の記録をきちんと精査する必要がある。
28.被告の館林市は、R1.7.10付の準備書面(1)の3ページ目で、公社が平成22年7月に土壌調査を実施していること、その時は本件土地を含む北部第三工業団地全体を調査したこと(乙1)、このときエリアを12区画(区画AからL)とし、本件土地はAからCに含まれること。この調査を自主調査①という。
 その際、区画Aで0.78㎎/リットル、区画Cで0.76㎎/リットルのフッ素が検出。その後、同年9月に公社は区画Aと区画Cの一部で、一辺10mのメッシュごとの詳細調査(表層及びボーリング調査)を実施。これを自主調査②と称する。その結果区画A-3のうち6箇所で深度0.5m未満で汚染土壌を特定した(乙3)。
 そして同年12月に、公社はさらに詳細調査の為、30mメッシュの3地点均等混合法による表層調査を実施。これを自主調査③と称する。その結果、18A、18E、19A、19Bで汚染土壌が発覚(乙4)。
 翌平成23年1月、公社は、汚染土壌の位置とその深度を特定するために単位区画ごとの詳細調査を実施。これを自主調査④という。その結果、15カ所の谷区画で深度0.3~0.4m未満の範囲で汚染土壌を特定した。(乙5)
29.公社はその後、遅くともH23.4.25までに汚染土壌を除去した。自主調査④までに特定された汚染土壌をメッシュごとに深度0.3~0.5未満で表層土壌を掘削し、エリア外に搬出した。
 H23.4.11と同4.25に、汚染土壌除去後の表層調査が実施され、いずれも基準値を下回る結果だった(乙6)。この時点で自主調査①~④以前から存在していた汚染土壌は除去された。
 その後、公社は本件契約までに掘削場所に、「購入土(山砕)」を使ったとしている。そして、この購入度はいずれも土壌汚染の環境基準を満たしていることが事前に確認されているとしている。
(疑問その10:この山砕というのは、採石プラントで、川砕だけでなく、山砕として製造されるもので、山砕とは、岩石を破砕して砕石として使用するもので、川砕との大きな違いは石の硬さにばらつきがないということ。したがって、大同特殊鋼を山砕と一緒に混合して出荷していた佐藤建設工業から調達した山砕の可能性は否定し得ないので、要調査。手始めに公社が残した購入土の試験成績書の開示が必要)

【当会が裁判資料を読んだ感想】
●館林市は、和解を受け入れずにいると遅延損害金が発生するから、云々と言っているが、判決文でもないのに、和解条項に、遅延損害金のことが書いてあるとは思えない。なので、ぜひ和解条項を市に開示させる必要があると思われます。
●そもそも和解なのだから、原告と被告の間で、誠意をもって協議をすることになるのだから、むしろガラス張りのなかで、双方が直接最善策を交渉して、早期に落着すべきである。しかし、なぜか双方ともそうした気配が見えず、市においては一刻も早く議会の可決に基づき損害賠償金を支払うことに夢中になっている。そうした姿勢に、ますます疑惑を感じざるを得ない。
●先日の公開質問状の回答が今週末(明日)あるはずなので、その結果も踏まえて、もういちど住民監査請求をやるぞ、とか、住民訴訟に踏み切るぞ、と、市側に緊張感をあたえることが効果的かもしれない。

■また、当会は、ダノンと館林市がこの問題について協議している筈と考えて、情報開示請求をしたところ、平成30年5月23日と、同年7月(日にちは不詳)、同年10月11日に相互の事務所で協議をしていることが判明しました。









■このやりとりの中で、トーモクは、「裁判にする前になんとか話し合いで折り合いを付けたい」という姿勢をみせているにもかかわらず、館林市は「既に丸山弁護士に依頼しており、弁護士同士で話をしたい」として、最初から裁判での決着を目指している姿勢がミエミエです。

 しかも、トーモクは「市が本件土地に関してウソをついて土地を売ったとなれば詐欺となりうる。トーモクの土地以外の部分についても、たとえばダノンの土地も同様なことが想定されるのではないか。さらに北部第三工業団地内で既に工場建設が済んでいるところについて、県が調査命令を出していないのは県にも誤りがあったのではないか。裁判となれば県の証言も必要ではないか」とまで心配して、館林市にいろいろ提言しているにもかかわらず、館林市は問答無用とも言えるそっけない対応なのが気になります。

■こうして、平成31年(2019年)3月19日にトーモクが館林市を相手取り損害賠償請求訴訟(平成31年(ワ)第192号)に踏み切り、前橋地裁で争われた結果、令和3年7月19日(2021年)7月19日に前橋地裁の和解勧告によって、館林市が5億1910万5000円を、トーモクに損害賠償金として支払うことになりました。

 その後、館林市は議会の承認など必要な手続きを経て、一般会計、すなわち市民の血税から約5.2億円をトーモクに支払ったのでした。トーモクへの土地売却額が約5.3億円でしたから、トーモクとしてみれば、ほとんどタダ同然で、工業団地の2.7ヘクタールの造成済みの土地を手に入れ、大同薬品工業に売却でき、丸儲けとなったことがうかがえます。

 この結果、つまり館林市民の血税による尻拭いという最悪の事態に憤慨した当会顧問で館林支部長は、情報開示請求をして部分的に入手した情報をもとに、館林市に住民監査請求を行いましたが、あっさりと令和3年9月30日付けで却下されたため、令和3年11月26日に館林市長を相手取り、損害賠償事件(令和3年(行ウ)第17号)を前橋地裁に提起しました。

 しかし、前橋地裁民事第2部の杉山順一裁判長ら裁判官は、市民の願いを無視するような的外れの審理をするだけで、提訴からわずか8か月後の令和4年6月10日に原告の請求を棄却する判決を言い渡しました。

■土壌汚染源となったフッ素を持ち込んだ原因者の責任が棚上げにされたのか疑問に思った当会は、なぜ、ダノンやプラスチックホンダ、ダイワハウス、手島精管の場合、群馬県が土壌汚染対策法第4条に基く土壌調査命令を受けず、トーモクだけに土壌調査命令を出したのか、その疑問を解くために、群馬県に情報開示請求をしました。しかし、いずれも殆ど黒塗りされた公文書が令和5年8月10日に「部分」開示決定されたため、同年10月27日に行政不服審査法に基づく審査請求書を群馬県知事に提出しました。

*****10/27知事あて審査請求書*****
       審 査 請 求 書
                 令和5年10月27日
群馬県知事 山本一太 様
    審査請求人 住所又は居所 〒374-0068群馬県館林市台宿町1-31
          (電話番号090-2231-4601)
          ふりがな こばやし こういち
          氏  名 小林 光一
<対象となる処分>
 以下の処分について不服があるので審査請求をします。
●処分庁 群馬県知事
●通知日 令和5年8月10日
●処分の内容
 館林市の北部第三工業団地において、トーモクが館林市から取得した土地に大同薬品工業が工場を建設するのに先立ち、土壌汚染対策法に基づく届出をトーモクが県に提出した際、県は当該土地の土壌がフッ素及びその化合物に汚染されている恐れがあるとして、土壌調査を命じた。その結果、環境基準を超える土壌汚染が確認され、トーモクと館林市との間で係争となり、土壌検査や土壌の入れ替え工事費用約5.2億円を、館林市が負担することで和解となった。そうすると、同じく館林市が造成して分譲したトーモクの土地以外の部分についても、「例えばダノンの土地も同様に土壌汚染されていることが想定される。トーモクが県に届出をした時点で、既に工場建設が済んでいるところについて、県がなぜ調査命令を出していないのか、その理由がわかる一切の情報(ダノン等の土対法に基づく県への届出書なども含む)。」の部分開示処分
●文書番号等 環保第30097-4号
●処分があったことを知った日 令和5年8月11日
●審査請求の趣旨 「対象となる処分を取り消す。」との裁決を求めます。
●審査請求の理由
 以下の点から、対象となる処分は違法・不当であるため、処分の取消しを求めます。
1.処分庁は、平成23年作成の文書名「土壌汚染対策法(4条相談等関係)」のうち対応日時、相手方、対応者以外の部分を不開示とし、その理由を群馬県情報公開条例第14条第6号イ(当該事務事業の適正な遂行に支障を及ぼすおそれがある)に該当するとして黒塗りにしましたが、これは条例の解釈を故意かつ不当に捻じ曲げており、撤回しなければなりません。
2.処分庁は、平成24年作成の文書番号300046-62、文書番号「土壌汚染対策法第4条に基く一定の規模以上の土地の形質の変更届出書について(H25-47))」のうち、土対法施行規則第26条で定める基準による審査内容及び結果、土対法審査における届出場所以外の情報、同審査における届出の型式審査内容及び結果、同法施行規則第26条で定める基準による審査内容及び結果、土壌汚染のおそれに関する根拠、土対法審査における届出の型式等審査及び審査の根拠となる書類の部分を不開示とし、その理由を群馬県情報公開条例第14条第6号イ(当該事務事業の適正な遂行に支障を及ぼすおそれがある)に該当するとして黒塗りにしましたが、これは条例の解釈を故意かつ不当に捻じ曲げており、撤回しなければなりません。
3.処分庁は、平成24年作成の文書番号300046-62、文書番号「土壌汚染対策法第4条に基く一定の規模以上の土地の形質の変更届出書について(H25-47))」のうち、土地の形質の変更の規模、工事名称、事業内容、土対法審査における届出場所以外の情報の部分を不開示とし、その理由を群馬県情報公開条例第14条第3号イ(当該法人の権利、競争上の地位その他正当な利益を害するおそれがある)に該当するとして黒塗りにしましたが、これは条例の解釈を故意かつ不当に捻じ曲げており、撤回しなければなりません。
4.群馬県情報公開条例第14条第6号イには、公にすると適正遂行に支障をおよぼす「おそれ」のあるものとして、「監査、検査、取り締まり、試験又は租税の賦課若しくは徴収に係る事務に関し、正確な事実の把握を困難にするおそれ又は違法もしくは不当な行為を容易にし、もしくはその発見を困難にするおそれ」と例示されています。上記1と2に示した黒塗り箇所が、なぜこの条項に該当するのか、全く理解できません。
5.群馬県情報公開条例の解釈と運用基準によれば、同条例第14条第6号イの解説の(4)で、「適正な遂行に支障をおよぼすおそれ」については、実施機関に広範な裁量権限を与える趣旨ではなく、各規程の要件の該当性を客観的に判断する必要がある。また、事務又は事業がその根拠となる規定又はその趣旨に照らして公益的な開示の必要性などの種々の利益を考慮した上での「適正な遂行」と言えるものであることが求められる」としており、「支障」の程度は名目的なものでは足りず実質的なものが要求され、「おそれ」の程度も「単なる確率的な可能性ではなく、法的保護に値する蓋然性が求められる」としており、この観点からの判断の経過と結果について説明がなされないまま黒塗りの部分開示処分されたことは、容認できません。
6.群馬県情報公開条例第14条第3号イには、国や自治体やその関連する行政法人・公社以外の法人その他団体及び個人事業者に関する情報について、公にすることにより、「当該法人等又は当該個人の権利、競争上の地位その他正当な利益を害するおそれがあるもの」と例示されています。上記1と2に示した黒塗り箇所が、なぜこの条項に該当するのか、全く理解できません。さらにこの条項には、但し書きとして「人の生命、健康、生活または財産を保護するため、公にすることが必要であると認められる情報を除く」と付記されています。本件黒塗り情報はまさにこの但し書きに該当しています。
7.群馬県情報公開条例の解釈と運用基準によれば、同条例第14条第3号イの解説の(4)で、「害するおそれ」があるかどうかの判断に当たっては、「法人等又は事業を営む個人には様々な種類、性格のものがあり、その権利利益にも様々なものがあるので、法人等又は事業を営む個人ん性格や権利利益の内容、性質等に応じ、当該法人等又は事業を営む個人の憲法上の権利(信教の自由、学問の自由等)の保護の必要性、当該法人等又は事業を営む個人と行政との関係等を十分考慮して適切に判断する必要がある」としており、「おそれ」の判断に当たっては、「単なる確率的な可能性ではなく、法的保護に値する蓋然性が求められる」としており、この観点からの判断の経過と結果についての説明がなされないまま黒塗りの部分開示処分されたことは、容認できません。
8.よって、今回の処分は直ちに取り消されなければなりません。
<教示> ○有 ・ 無
(内容)
 なお、この処分について不服があるときは、行政不服審査法(平成26年法律第68号)の規定により、この処分があったことを知った日の翌日から起算して3月以内に、群馬県知事に対して審査請求をすることができます(処分があったことを知った日の翌日から起算して3月以内であっても、処分の被の翌日から起算して1年を経過すると審査請求をすることができなくなります。)
 また、この処分の取り消しを求める訴訟を提起する場合は、行政事件訴訟法(昭和37年法律第139号)の規定により、この処分があったことを知った日の翌日から起算して6月以内に、群馬県を被告として(訴訟において群馬県を代表する者は、群馬県知事となります。)、処分の取消しの訴えを提起することができます(処分があったことを知った日の翌日から起算して6月以内であっても、処分の日の翌日から起算して1年を経過すると処分の取消しの訴えを提起することができなくなります。)。ただし、審査請求をした場合には、その審査請求に対する裁決があったことを知った日の翌日から起算して6月以内に、処分の取消しの訴えを提起することができます。
<添付書類等>・対象となる処分の通知書の写し
**********

【市民オンブズマン群馬事務局からの報告・この項つづく】



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国有林内の林道に捨てられた有害スラグにフタをする工事を、国が大同特殊鋼に丸投げ!

2023-08-20 22:34:21 | スラグ不法投棄問題

渋川市小野子字裸岩の国有林地内の現場に設置されている工事内容を表示する看板。あたかも関東森林管理局が発注者であるかのような記載となっている。

 

■海なし県の群馬県ですが、第二次大戦前から豊富な水力発電の電気を利用した製錬事業者が操業しています。大同特殊鋼渋川工場(1937年操業開始、関東電気製錬㈱から1938年に関東製鋼㈱に社名変更、1964年の関東製鋼(株)と大同製鋼(株)の合併により大同特殊鋼㈱渋川工場となる)と、東邦亜鉛安中製錬所(1937年操業開始、日本亜鉛製錬㈱から1941年に東邦亜鉛㈱に社名変更)です。奇しくも日中戦争勃発の1937年に操業を開始し、鉄と非鉄材料の分野で戦後も事業を拡大し、副産物として大量の有害スラグを排出し、県内各地に不法投棄を続けてきたこと、政治力を駆使して行政に影響力を行使し、スラグ問題を矮小化してきてことなど、ブラックな話題として共通性の多い両事業者です。

 

 さて、そのうち製鋼業を営む大同特殊鋼渋川工場では、年間2万5千トンのフッ素や六価クロムを含む鉄鋼スラグを副産物として排出していますが、その多くが公共工事の路盤材として堂々と不法投棄されてきました。その実態について、当会はこれまで継続して問題提起をしてきました。しかし、国も群馬県も渋川市をはじめとする県内自治体も、当会の指摘に対して極めて及び腰で、しかも不法行為を隠ぺいする姿勢を取り続けてきたことは、すでに報告してきたとおりです。

 

 そうした中で、当会の渋川支部を通じて、久しぶりに大同スラグに関する情報提供が寄せられました。その内容たるや、国有林に有害スラグが投棄してあるにもかかわらず、国有林の管理責任者である国の機関の林野庁は、事の重大性に関心を示さず、有害スラグを撤去すべきところ、工法も含めて対策工事を原因者である大同特殊鋼㈱に丸投げして、自らはオブザーバー役として傍観者的に参加しているという、これまで行政の体たらくを十分認識してきた当会にとっても、俄かに信じられないような驚くべき情報提供でした。現地情報については当会渋川支部のブログ記事をご覧ください。

〇2023年08月17日:【レポート】夏休み恒例スラグ調査①

http://blog.livedoor.jp/lytton_cyousadan/archives/40595576.html

 当会では、このとんでもない情報に接して、正式に文書にして、国に報告するとともに、直ちに是正措置を求める必要を痛感し、「上申書」として次の文書を作成し、令和5年7月11日(火)午前11時半に、前橋市岩神町の林野庁関東森林管理局を訪れました。

 

*****7/11林野庁関東森林管理局あて上申書*****

                          令和5年7月11日

〒371-8508群馬県前橋市岩神町4-16-25

関東森林管理局

森林整備部森林整備課 御中

電話:027-210-1155(代表)

写し:〒100-8952東京都千代田区霞が関1-2-1

   林野庁 森林整備部整備課⇒国有林野部業務課 御中

   電話:03-3502-8111(代表)

 

          〒371-0801 群馬県前橋市文京町1丁目15番10号

          市民オンブズマン群馬  代表  小川 賢

          TEL: 090-5302-8312(代表・小川)

          FAX: 027-224-6624(事務局)

 

上申書(群馬県渋川市の国有林地内におけるスラグ対策工事についての上申)

 

拝啓 日々益々ご健勝のこととお慶び申し上げます。

 弊団体は、行政およびその関連機関を外部から監視し、当該機関による権限の不当な行使ないしは不行使による一般国民への権利利益侵害、並びに税金を原資とした公的資金の濫費について、調査および救済の勧告を図る活動をしている民間団体です。その活動方法としては、行政事件に関わる住民監査請求や住民訴訟にまで及ぶことがあり、そのための情報の入手手段としては、住民等からの情報提供のほか、行政への公開質問や情報開示請求等を活用しております。

 さて、群馬県渋川市小野子字裸岩の国有林地内におけるスラグ対策工事について、下記に示す問題が指摘されます。そのため、直ちに中止して、スラグ撤去を行う工事を、関東森林局が発注者となって適切に実施するよう、何卒、ご検討の程、宜しくお願い申し上げます。

 なお、ご検討結果について、お手数をおかけして恐縮ですが、7月28日(金)までに文書で上記連絡先FAX(027-224-6624)あてにお送りいただけますと幸いです。

                   記

1 工事の内容

  本件工事は次の工事関係者によって施工されるスラグ対策工事です。(資料1参照)

   ・オブザーバー 関東森林管理局森林整備部森林整備課

   ・発注者    大同特殊鋼株式会社

   ・受注者    国土防災技術株式会社

  本件工事が目的としているスラグ対策は、スラグを撤去せずに存置し、その上に下層路盤工としてクラッシャーランC-40、上層路盤工として粒度調整砕石M-40を敷き込み、表層工に密粒度アスコン(アスファルト)を施す工事のようです。スラグ撤去費が工事別数量内訳書に見られないことから、スラグにアスファルトでフタをする工事と考えられます。(資料2参照)

 

2 上申事項

  本件工事は以下に示す理由から、いったん中止し、関東森林管理局が発注する工事としてスラグを撤去する工事に切り替えるよう求めます。

 

 【理由その①】関東森林管理局が行う工事ではないこと。

  地方財政法には次の規定があります。

               *****

   (国がその全部又は一部を負担する建設事業に要する経費)

   第十条の二 地方公共団体が国民経済に適合するように総合的に樹立された計画に従つて実施しなければならない法律又は政令で定める土木その他の建設事業に要する次に掲げる経費については、国が、その経費の全部又は一部を負担する。

    一 道路、河川、砂防、海岸、港湾等に係る重要な土木施設の新設及び改良に要する経費

    二 林地、林道、漁港等に係る重要な農林水産業施設の新設及び改良に要する経費

    二の二 地すべり防止工事及びぼた山崩壊防止工事に要する経費

    三 重要な都市計画事業に要する経費

    四 公営住宅の建設に要する経費

    五 児童福祉施設その他社会福祉施設の建設に要する経費

    六 土地改良及び開拓に要する経費

               *****

  国有林の林道工事については、国が建設工事をやらなければなりません、それを関東森林管理局がオブザーバーとはどんな工事なのでしょうか?

  そのほかの法律もあろうかと思いますが、コンプライアンスの観点から、法令を遵守していただく意味からも、ぜひ関東森林管理局が発注者となって責任ある工事を適切に実施していただきますよう強く要請します。

  もちろん大同特殊鋼株式会社が投棄したスラグの撤去費用について大同特殊鋼株式会社に費用負担を求めることについて、当会は異議を挟むものではありません。

 

 【理由その②】有害物質を含む大同スラグは撤去し適切に処理しなければならないこと。

  大同特殊鋼株式会社が投棄したスラグは、環境基準を超える六価クロムやフッ素が含まれており、群馬県が違法有害廃棄物に認定しています。(資料3参照)

  この有害スラグを管理できる場所は廃棄物の処理及び清掃に関する法律施行令第7条第1項第14号ハの管理型最終処分場のみです。国有林は私設の産業廃棄物処分場ではないので、スラグを撤去して管理型最終処分場で管理しなければならないはずです。

 

 【理由その③】スラグによる住民の生活環境への汚染リスクを排除すること。

  スラグが投棄されている渋川市小野子字裸岩の現場のすぐ下流に渋川市の水道で使用する貯水池があります。有害スラグが残置されたままですと、渋川市民が将来の水質汚染を心配し続けなければなりません。どうか、渋川市民の安全・安心な生活環境を保全できるよう、ご配慮ください。

 

3 関連(参考)資料等

  以下の関連資料を参考までに添付します。

  資料1:国有林地内「木の間林道地先作業道」設計鑑

  資料2:国有林地内「木の間林道地先作業道」設計書(抜粋)

  資料3:群馬県のスラグ廃棄物認定

 

                                     敬具

=====関連資料=====

**********

 

■あらかじめアポイントを取り、当日、森林整備部森林整備課の森川真紀・課長補佐ほか2名の計3名と面談し、上申書を提出しました。そのうえで、発注者を大同ではなく国にあらため、有害なフッ素入りスラグを残置するのではなく、きちんと撤去し、高世代に環境リスクを残さないように配慮するように申し入れました。

 

 そして、国交省の高崎河川国道事務所の場合、国がスラグの撤去のための工事を毎年度計画的に発注していること、負担はすべて大同に転嫁していることも説明しました。さらに、上記の文書で指定した期限である7月28日(金)までに文書で回答するように強く申し入れました。

 そのあと当会は、別件で東京地裁に行って訴状を提出した後、隣の農林省のある合同庁舎を訪れ、窓口で「林道整備の担当部署である『森林整備部整備課』の担当者に面談したい」と申し入れました。すると窓口の女性があちこちあたったところ、国有林地内の林道は、「国有林野部の業務課」が担当部署であることが判明し、農林省の北館814室に行くよう告げられてゲートパスを渡されました。

 そのパスを、農林省入口のゲートチェックにかざして中に入り、左手の奥をさらに右手に入り、突き当たりを2階に階段で上り、渡り廊下を通って北館の最上階の8階までエレベータで行きました。ようやくたどり着くと、林野庁国有林野部業務課の澤井孝仁・課長補佐(路網整備班担当)(電話03-6744-2325)と加藤正治・森林土木専門官が応対に出てきました。

 そこで、午前中前橋の関東森林管理局を訪れ手渡しした上申書の写しを手渡し、同じく説明を彼らにしました。そして、大同スラグによる群馬県内各所において官民事業で大量に有害物質として違法な使われ方をしている実態を伝えました。果たして、どの程度身に染みたのかわかりませんが、いちおう一生懸命メモをとっていました。

 

■その後、7月27日(木)午後7時37分に関東森林管理局の森林整備部森林整備課の森川課長補佐から当会代表あてに電話で「明日7月28日が回答期限となっているが、局内での稟議に時間がかかっており、明日までに回答することが難しい。局内の手続きが完了したら、回答するようにしたい」という趣旨の連絡がありました。

 しかし、現時点ではまだ当会への回答の時期について、関東森林管理局から何も連絡が来ておりません。このまま、うやむやにするつもりなのか、それともどのようなかたちで回答すべきか迷っているのか、もう少し様子を見たいと思います。

■なお、上述のとおり、大同スラグが上武国道に大量に不法投棄されてきた件についても、当会は一貫して追及してきました。こちらのほうも先日、国交省関東地方整備局高崎河川国道事務所に上申書を提出したところ、「文書での回答ではなく口頭での回答にしてほしい」として、 同事務所で担当課長から口頭で説明されたことがあります。

 いずれにしても、大同スラグの不法投棄を助長してきた行政、とりわけ群馬県と渋川市への不信感は当会として根強いものがありますが、国についても、同様なのか、それとも、きちんとコンプライアンスに則った対応をしてくるのか、注目したいと思います。

 

【市民オンブズマン群馬事務局からの報告】

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