■関電工による放射能汚染木材を大量に集荷し、チップにしてから、機械的に油圧プレスで脱水し、ボイラーに投入して燃焼させ、発生した高温高圧の蒸気でタービンを回すことで、発電機を駆動させて電気を起こし東電に販売するという亡国事業=バイオマス発電施設設置計画で、事業者である関電工が群馬県環境アセスメント条例の適用を受けずに、運転開始が目前となっております。
当会では、なぜこのようなことが出来るのか、その理由を確かめようと、群馬県に情報開示請求しましたが、群馬県はその根拠を示す文書が存在しないと主張しています。そのため、行政訴訟に踏み切りましたが、一審の前橋地裁の塩田裁判長は、被告群馬県側の主張である「口頭で条例の特例措置を説明したが、条例に対象外と判断したのは事業者である関電工だから、文書としては存在しない」という、無茶苦茶な主張だけを採用し、2017年11月8日に原告オンブズマン敗訴の判決を下してしまいました。そこで、当会では同11月22日に控訴状を前橋地裁に提出したところ、このたび、2018年1月26日付で、被控訴人(原審被告)の群馬県から控訴答弁書が送られてきました。
この訴訟事件に関する原審判決以降、現在までの経緯は次の通りです。
〇2017年11月8日:東電の毒牙から赤城と県土を守れ!…環境アセス不要根拠文書不存在訴訟で地裁が原告敗訴の問答無用判決↓
http://pink.ap.teacup.com/ogawaken/2456.html#readmore
〇2017年11月30日:東電の毒牙から赤城と県土を守れ!…赤城山南麓に漂うバイオマス発電の白煙と控訴状不備を指摘してきた裁判所↓
http://pink.ap.teacup.com/ogawaken/2482.html#readmore
〇2017年12月4日:東電の毒牙から赤城と県土を守れ!…環境アセス免除根拠不存在訴訟の一審敗訴で控訴理由書等を地裁に提出↓
http://pink.ap.teacup.com/ogawaken/2486.html#readmore
〇2017年12月12日:東電の毒牙から赤城と県土を守れ!…環境アセス免除根拠不存在訴訟の控訴審が年明けに東京高裁で開催見込み↓
http://pink.ap.teacup.com/ogawaken/2498.html#readmore
〇2017年12月19日:東電の毒牙から赤城と県土を守れ!…環境アセス免除根拠不存在訴訟の控訴審が2月5日に決定!↓
http://pink.ap.teacup.com/ogawaken/2504.html#readmore
■それではさっそく群馬県の控訴答弁書の内容を見てみましょう。
*****送付書兼受領書*****PDF ⇒ 20180126ti.pdf2018年1月26日 11時34分 石原・関・猿谷法律事務所 NO.2882 P.1/8
東京高等裁判所第23民事部 Cイ係 御中
御担当 小原書記官 殿
控訴人 市民オンブズマン群馬 御中
平成30年1月26日
群馬県前橋市大手町3丁目4番16号
石原・関・猿谷法律事務所
被控訴人訴訟代理人
弁護士 石 原 栄 一
弁護士 織 田 直 樹
TEL027(235)2040/FAX027(230)9622
送 付 書
事件の表示 平成29年(行コ)第368号
事 件 名 公文書不存在決定処分取消請求控訴事什
当 事 者 控訴人 市民オンブズマン群馬
被控訴人 群馬県
1、控訴答弁書 1通
--------------------------------------- 切らずにこのままでお送り下さい ---------------------------------------
受 領 書
上記書類,本日受領致しました。
平成30年1月27日
控訴人 移民オンブズマン群馬 印
東京高等裁判所第23民事部Cイ係(ご担当小原書記官殿)御中
FAX 03-5510-3129
石原・関・猿谷法律事務所 行 FAX 027-230-9622
*****控訴答弁書*****PDF ⇒ 20180126ti.pdf
<P1>
平成29年(行コ)第368号
公文書不存在決定処分取消請求控訴事件
控 訴 人 市民オンブズマン群馬
被控訴人 群馬県
控 訴 答 弁 書
平成30年1月26日
東京高等裁判所 第23民事部Cイ係 御中
371-0026
群馬県前橋市大手町三丁目4番16号
石原・関・猿谷法律事務所(送達場所)
TEL 027-235-2040 / FAX 027-230-9622
被控訴人訴訟代理人
弁 護 士 石 原 栄 一
弁 護 士 関 夕 三 郎
弁 護 士 織 田 直 樹
同指定代理人 増 田 一 郎
同 小 菅 健 久
同 森 下 留 美 子
同 星 野 智 史
<P2>
第1 控訴の趣旨に対する答弁
1 本件控訴を棄却する。
2 控訴費用は控訴大の負担とする。
第2 控訴理由に対する認否及び反論
1 はじめに
本件控訴には理由がないことから,連やかに棄却されるべきである。
被控訴人の反論ないし主張は,原審における主張を援用するが,以下,必要に応じて述べる。
2 「1.県境影響評価条例は,該当する事業を行う事業者は必ず条例を順守しなければならないこと」について
控訴人の主張は,粂例により環境影響評価が義務づけられている以上,事業者が環境影響評価条例に該当するか否かの判断を被控訴人に仰いでいた事実が認められるというものである。
しかし,事業者に条例順守義務があることから,直ちに事業者が環境影響評価条例に該当するか否かの判断を被控訴人に仰いだという事実が推認できるものではない。
原判決でも判示されたとおり,群馬県環境影響評価条例の対象となるか否かを判断する主体は,あくまで事業者であるから,被控訴人に判断を仰ぐ必要はない。したがって,控訴人の主張は誤りである。
3 「2.行政判断は必ず文書により行われなければならないこと」について
(1)第1段落乃至第4段落について
控訴人は,公文書の管理に関する法律及び行政文書の管理に関するガイドラインを引用して行政の文書主義を主張する。
しかし,控訴人の引用する公文書の管理に関する法律及び行政文書
<P3>
の管理に関するガイドラインの適用対象は,国の行政機関等であり(同法第2条・同ガイドライン「第1総則」-「2定義」),地方公共団体である披控訴人には面接適用されるものではない。
なお,行政の文書主義自体を否定するものではない。
(2)第5段落について
控訴人は,行政手続法第7条を引用して申請の文書主義を主張する。しかし,被控訴人と事業者との協議及び独話において「申請」は無いから同条の適用はなく,主張の前提を欠いている。
(3)第6段落について
控訴人は,原判決が控訴人(第一審原告)申立ての調査嘱託を「本事件とは無関係」だとして採用しなかった旨主張するが,誤りである。
すなわち,被控訴人の調査嘱託の申立に対する意見書(平成29年8月16日付)で述べたとおり,同調査嘱託により証明しようとする事実が,被控訴人が環境影響評価条例の対象除外と判断した根拠と経緯等を示す一切の情報である本件文書の存在を何ら推認させるものでないことから,原審裁判所は調査嘱託の必要性を認めなかったものである。
(4)第7段落について
原判決は,「行政も同様に口頭主義の場合もあるのでは」などとは判示していない。
(5)項目全体について
控訴人の主張は,行政の文書主義を根拠に,被控訴人が事前の協議及び礦認において文書を作成しているはずであるというものである。しかし,同主張を前提としても「本件文書」の存在を推認するものではない。
すなわち前記(3)で述べたとおり,「本件文書」とは,被控訴人環境政策課が,前橋バイオマス発電施設設置工事について,群馬県環境影響評価条例に定める環境アセスメントの対象除外と判断した根拠・経緯を示す情報を記録する公文書である(甲1)。そして,原判決及び前述
<P4>
のとおり,かかる判断を行うのは事業者である。したがって,仮に被控訴人が事業者との事前の協議及び確認において文書を作成していた事実が認められたとしても,同人が環境アセスメントの対象除外と判断した事実は推認されない。
したがって,控訴人の上記主張は失当である。
4 「3.曖昧な事情を確認しようとしないまま,推測だけで判断してしまったこと」について
控訴人は,関電工と被控訴人との間で行われた協議及び確認の態様を明らかにするため,調査嘱託中立(平成29年7月7日付)を採用すべきと主張する。
この点について,前項及び調査嘱託の申立に対する意見書(平成29年8月16日付)で述べたとおり,協議及び硝郷の態様は,確控訴人が環境アセスメントの対象除外と判断したか否かとは無関係であるから,本件文書の存在を推認するものではなく,調査嘱託の必要性はない。
5 「4.これまでの時系列の出来事を鑑みると関電工が被控訴人と協議を始めた時期は平成27年1~3月だけではないこと」について
控訴人は,披控訴人が条例アセスメントの適用除外と判断したことを前提とし,同人が判断するための情報を有している旨主張する。
しかし、原判決も認定したとおり,被控訴人は前橋バイオマス発電施設の設置工事が条例アセスメントの対象となるか否かを判断すべき立場にはないから,控訴人の主張は前提を欠き失当である。
6 「5.被控訴人代表小川の開示請求情報と会員羽鳥の開示請求情報は同一であること」について
控訴人代表小川による平成28年4月22日付公文言開示請求における開示を請求する公文書の内容(甲1)と,訴外駒鳥による同年9月13
<P5>
日付公文書開示請求における開示を請求された公文書の内容(甲12)とは,全く異なっている。
すなわち,前者(本件文書)は,前橋バイオマス発電施設設置工事について,群馬県環境影響評価条例に定める環境アセスメントの対象除外と判断した根拠・経緯を示す情報を記録する公文書という,被控訴人環境政策課が具体的事実において判断を行った場合に存在する情報である。
他方で,後者は,群馬県環境影響評価条例施行規則別表第1の運用について木質バイオマス発電に関してはその排ガス量を2割削減して計算してもよいとされた技術的な根拠等というご一般的な情報である。
このように,前者(本作文書)は,披控訴人が判断を行ったことを前提とする侍報であるのに対し,後者は,被控訴人が判断を行ったか否かに関わらず存在する情報であるから,両者が異なるものであることは明白である。
したがって,控訴人の主張は誤りである。
7 「6.被控訴人代表小川の開示請求時点で不存在の公文書が,会員羽鳥の開示請求時点で存在したのであれぼ,当該文書はその期間内に新たに作成されたことを意味し,それは虚偽公文書の作成及び行使にあたること」について
(1)標題について
前項で述べたとおり,控訴人代表小川による平成28年4月22日付公文書開示請求における開示を請求する公文書の内容(甲1)と,訴外羽鳥による同年9月13日付公文奮開示請求における開示を請求された公文書の内容(甲12)とは,全く異なっている。
したがって,両者が同一であることを前提とする控訴人の主張は,その前提を欠くため,失当である。
(2)第1段落乃至第3段落について
控訴人は,原判決が,環境影響評価の実施は「事業者の判断次第」で
<P6>
あると判示したことを前借に,それが環境影響評価制度に適合しない旨主張する。
しかし,原判決は,「条例は,事業者に対し,実施しようとする事業が条例アセスメントの対象となるか否かを事業者自身が判断した上で,第一種事業方法書を作成し,その後の条例アセスメントを行うことを求めているものというべきである」と判示したに過ぎない。このことは,事業者がその自由な判断で粂例アセスメントを実施するか否かを判断できることを意味するものではない。したがって,控訴人のかかる主張は前提を欠く。
(3)第4段落及び第5段落について
控訴人の主張は,本件文言の存在を何ら推薦するものではなく,失当である。
なお,控訴人が主張する被控訴人の不正な手続きとは,事実無根であり,控訴人の憶測に過ぎない。
(4)第6段落について
控船人の主張は,訴外羽鳥に対して開示された文書(甲10)が被控訴人の判断により作成したものであるから,被控訴人が判断するための資料であるというものである。
しかし,被控訴人が当該文書を作成する際に行った,技術的な根拠という,一般的な情報に関する判断と,具体的に前橋バイオマス発電施設設置工事についての判断とは別物であり,控訴人の主張は両者を混同しており,失当である。
(5)第7段落について
控訴人は,訴外羽鳥に対して開示された文香(甲10)の内容について主張するが,同主張は本件文書の存在を推認するものではなく,失当である。
なお,控訴人は,同文書(甲10)が公文書として成立していないと主張するが,同文書は被控訴人の職員が職務上作成した文書であって,
<P7>
同職員が組織的に用いるものとして,被控訴人が保有しているものであるから,公文書である(群馬県情報公開条例第2条4項)。
(6)第8段落及び第9段落について
控訴人は,訴外羽鳥に対して開示された文書(甲10)について印刷日の表示が作成日より前となっていることをもって披控訴人により偽装工作されたものである旨主張するが,そのような事実はない。被控訴人が印刷日のみを遡らせる理由がなく,文書情報の食い違いのみをもって偽装工作と断定することは到底できないはずである。
(7)第10段落乃至第21段落について
控訴大の主張は,訴外羽鳥に対して開示された文書(甲10)が被控訴人により偽装工作されたものであることを前提に,縷々憶測を述べている。
しかし,前記(6)で述べたとおり,被控訴人による偽装工作の事実は全く存在しない以上,主張の前提を欠いており,失当である。
第3 結語
以上より,本件控訴は理由がなく速やかに棄却されるべきである。
以上
*********
■前橋地裁での裁判は、途中から裁判長自ら被告の代弁者のような態度に豹変しました。また、当会が提出した調査嘱託も文書嘱託もいずれも却下されてしまいました。
もともとこの裁判長は、行政への軸足の置き方がとりわけ顕著な傾向であり、当会は、さっさと原審で敗訴して、前橋地裁よりははるかに「良識」があると期待される東京高裁に控訴して判断を仰いだほうが時間と費用の無駄が軽減されると考えました。
今回、群馬県の控訴答弁書を読むと、原審の裁判長が認めたクロをシロと言いくるめる支離滅裂な論理をそのまま記載しています。すでに公僕としての良識のかけらも見られない彼らの主張に対して、控訴審で東京高裁の裁判長の良識度がどのように示されるのか注目したいと思います。
【市民オンブズマン群馬事務局からの報告】
当会では、なぜこのようなことが出来るのか、その理由を確かめようと、群馬県に情報開示請求しましたが、群馬県はその根拠を示す文書が存在しないと主張しています。そのため、行政訴訟に踏み切りましたが、一審の前橋地裁の塩田裁判長は、被告群馬県側の主張である「口頭で条例の特例措置を説明したが、条例に対象外と判断したのは事業者である関電工だから、文書としては存在しない」という、無茶苦茶な主張だけを採用し、2017年11月8日に原告オンブズマン敗訴の判決を下してしまいました。そこで、当会では同11月22日に控訴状を前橋地裁に提出したところ、このたび、2018年1月26日付で、被控訴人(原審被告)の群馬県から控訴答弁書が送られてきました。
この訴訟事件に関する原審判決以降、現在までの経緯は次の通りです。
〇2017年11月8日:東電の毒牙から赤城と県土を守れ!…環境アセス不要根拠文書不存在訴訟で地裁が原告敗訴の問答無用判決↓
http://pink.ap.teacup.com/ogawaken/2456.html#readmore
〇2017年11月30日:東電の毒牙から赤城と県土を守れ!…赤城山南麓に漂うバイオマス発電の白煙と控訴状不備を指摘してきた裁判所↓
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〇2017年12月4日:東電の毒牙から赤城と県土を守れ!…環境アセス免除根拠不存在訴訟の一審敗訴で控訴理由書等を地裁に提出↓
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〇2017年12月12日:東電の毒牙から赤城と県土を守れ!…環境アセス免除根拠不存在訴訟の控訴審が年明けに東京高裁で開催見込み↓
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〇2017年12月19日:東電の毒牙から赤城と県土を守れ!…環境アセス免除根拠不存在訴訟の控訴審が2月5日に決定!↓
http://pink.ap.teacup.com/ogawaken/2504.html#readmore
■それではさっそく群馬県の控訴答弁書の内容を見てみましょう。
*****送付書兼受領書*****PDF ⇒ 20180126ti.pdf2018年1月26日 11時34分 石原・関・猿谷法律事務所 NO.2882 P.1/8
東京高等裁判所第23民事部 Cイ係 御中
御担当 小原書記官 殿
控訴人 市民オンブズマン群馬 御中
平成30年1月26日
群馬県前橋市大手町3丁目4番16号
石原・関・猿谷法律事務所
被控訴人訴訟代理人
弁護士 石 原 栄 一
弁護士 織 田 直 樹
TEL027(235)2040/FAX027(230)9622
送 付 書
事件の表示 平成29年(行コ)第368号
事 件 名 公文書不存在決定処分取消請求控訴事什
当 事 者 控訴人 市民オンブズマン群馬
被控訴人 群馬県
1、控訴答弁書 1通
--------------------------------------- 切らずにこのままでお送り下さい ---------------------------------------
受 領 書
上記書類,本日受領致しました。
平成30年1月27日
控訴人 移民オンブズマン群馬 印
東京高等裁判所第23民事部Cイ係(ご担当小原書記官殿)御中
FAX 03-5510-3129
石原・関・猿谷法律事務所 行 FAX 027-230-9622
*****控訴答弁書*****PDF ⇒ 20180126ti.pdf
<P1>
平成29年(行コ)第368号
公文書不存在決定処分取消請求控訴事件
控 訴 人 市民オンブズマン群馬
被控訴人 群馬県
控 訴 答 弁 書
平成30年1月26日
東京高等裁判所 第23民事部Cイ係 御中
371-0026
群馬県前橋市大手町三丁目4番16号
石原・関・猿谷法律事務所(送達場所)
TEL 027-235-2040 / FAX 027-230-9622
被控訴人訴訟代理人
弁 護 士 石 原 栄 一
弁 護 士 関 夕 三 郎
弁 護 士 織 田 直 樹
同指定代理人 増 田 一 郎
同 小 菅 健 久
同 森 下 留 美 子
同 星 野 智 史
<P2>
第1 控訴の趣旨に対する答弁
1 本件控訴を棄却する。
2 控訴費用は控訴大の負担とする。
第2 控訴理由に対する認否及び反論
1 はじめに
本件控訴には理由がないことから,連やかに棄却されるべきである。
被控訴人の反論ないし主張は,原審における主張を援用するが,以下,必要に応じて述べる。
2 「1.県境影響評価条例は,該当する事業を行う事業者は必ず条例を順守しなければならないこと」について
控訴人の主張は,粂例により環境影響評価が義務づけられている以上,事業者が環境影響評価条例に該当するか否かの判断を被控訴人に仰いでいた事実が認められるというものである。
しかし,事業者に条例順守義務があることから,直ちに事業者が環境影響評価条例に該当するか否かの判断を被控訴人に仰いだという事実が推認できるものではない。
原判決でも判示されたとおり,群馬県環境影響評価条例の対象となるか否かを判断する主体は,あくまで事業者であるから,被控訴人に判断を仰ぐ必要はない。したがって,控訴人の主張は誤りである。
3 「2.行政判断は必ず文書により行われなければならないこと」について
(1)第1段落乃至第4段落について
控訴人は,公文書の管理に関する法律及び行政文書の管理に関するガイドラインを引用して行政の文書主義を主張する。
しかし,控訴人の引用する公文書の管理に関する法律及び行政文書
<P3>
の管理に関するガイドラインの適用対象は,国の行政機関等であり(同法第2条・同ガイドライン「第1総則」-「2定義」),地方公共団体である披控訴人には面接適用されるものではない。
なお,行政の文書主義自体を否定するものではない。
(2)第5段落について
控訴人は,行政手続法第7条を引用して申請の文書主義を主張する。しかし,被控訴人と事業者との協議及び独話において「申請」は無いから同条の適用はなく,主張の前提を欠いている。
(3)第6段落について
控訴人は,原判決が控訴人(第一審原告)申立ての調査嘱託を「本事件とは無関係」だとして採用しなかった旨主張するが,誤りである。
すなわち,被控訴人の調査嘱託の申立に対する意見書(平成29年8月16日付)で述べたとおり,同調査嘱託により証明しようとする事実が,被控訴人が環境影響評価条例の対象除外と判断した根拠と経緯等を示す一切の情報である本件文書の存在を何ら推認させるものでないことから,原審裁判所は調査嘱託の必要性を認めなかったものである。
(4)第7段落について
原判決は,「行政も同様に口頭主義の場合もあるのでは」などとは判示していない。
(5)項目全体について
控訴人の主張は,行政の文書主義を根拠に,被控訴人が事前の協議及び礦認において文書を作成しているはずであるというものである。しかし,同主張を前提としても「本件文書」の存在を推認するものではない。
すなわち前記(3)で述べたとおり,「本件文書」とは,被控訴人環境政策課が,前橋バイオマス発電施設設置工事について,群馬県環境影響評価条例に定める環境アセスメントの対象除外と判断した根拠・経緯を示す情報を記録する公文書である(甲1)。そして,原判決及び前述
<P4>
のとおり,かかる判断を行うのは事業者である。したがって,仮に被控訴人が事業者との事前の協議及び確認において文書を作成していた事実が認められたとしても,同人が環境アセスメントの対象除外と判断した事実は推認されない。
したがって,控訴人の上記主張は失当である。
4 「3.曖昧な事情を確認しようとしないまま,推測だけで判断してしまったこと」について
控訴人は,関電工と被控訴人との間で行われた協議及び確認の態様を明らかにするため,調査嘱託中立(平成29年7月7日付)を採用すべきと主張する。
この点について,前項及び調査嘱託の申立に対する意見書(平成29年8月16日付)で述べたとおり,協議及び硝郷の態様は,確控訴人が環境アセスメントの対象除外と判断したか否かとは無関係であるから,本件文書の存在を推認するものではなく,調査嘱託の必要性はない。
5 「4.これまでの時系列の出来事を鑑みると関電工が被控訴人と協議を始めた時期は平成27年1~3月だけではないこと」について
控訴人は,披控訴人が条例アセスメントの適用除外と判断したことを前提とし,同人が判断するための情報を有している旨主張する。
しかし、原判決も認定したとおり,被控訴人は前橋バイオマス発電施設の設置工事が条例アセスメントの対象となるか否かを判断すべき立場にはないから,控訴人の主張は前提を欠き失当である。
6 「5.被控訴人代表小川の開示請求情報と会員羽鳥の開示請求情報は同一であること」について
控訴人代表小川による平成28年4月22日付公文言開示請求における開示を請求する公文書の内容(甲1)と,訴外駒鳥による同年9月13
<P5>
日付公文書開示請求における開示を請求された公文書の内容(甲12)とは,全く異なっている。
すなわち,前者(本件文書)は,前橋バイオマス発電施設設置工事について,群馬県環境影響評価条例に定める環境アセスメントの対象除外と判断した根拠・経緯を示す情報を記録する公文書という,被控訴人環境政策課が具体的事実において判断を行った場合に存在する情報である。
他方で,後者は,群馬県環境影響評価条例施行規則別表第1の運用について木質バイオマス発電に関してはその排ガス量を2割削減して計算してもよいとされた技術的な根拠等というご一般的な情報である。
このように,前者(本作文書)は,披控訴人が判断を行ったことを前提とする侍報であるのに対し,後者は,被控訴人が判断を行ったか否かに関わらず存在する情報であるから,両者が異なるものであることは明白である。
したがって,控訴人の主張は誤りである。
7 「6.被控訴人代表小川の開示請求時点で不存在の公文書が,会員羽鳥の開示請求時点で存在したのであれぼ,当該文書はその期間内に新たに作成されたことを意味し,それは虚偽公文書の作成及び行使にあたること」について
(1)標題について
前項で述べたとおり,控訴人代表小川による平成28年4月22日付公文書開示請求における開示を請求する公文書の内容(甲1)と,訴外羽鳥による同年9月13日付公文奮開示請求における開示を請求された公文書の内容(甲12)とは,全く異なっている。
したがって,両者が同一であることを前提とする控訴人の主張は,その前提を欠くため,失当である。
(2)第1段落乃至第3段落について
控訴人は,原判決が,環境影響評価の実施は「事業者の判断次第」で
<P6>
あると判示したことを前借に,それが環境影響評価制度に適合しない旨主張する。
しかし,原判決は,「条例は,事業者に対し,実施しようとする事業が条例アセスメントの対象となるか否かを事業者自身が判断した上で,第一種事業方法書を作成し,その後の条例アセスメントを行うことを求めているものというべきである」と判示したに過ぎない。このことは,事業者がその自由な判断で粂例アセスメントを実施するか否かを判断できることを意味するものではない。したがって,控訴人のかかる主張は前提を欠く。
(3)第4段落及び第5段落について
控訴人の主張は,本件文言の存在を何ら推薦するものではなく,失当である。
なお,控訴人が主張する被控訴人の不正な手続きとは,事実無根であり,控訴人の憶測に過ぎない。
(4)第6段落について
控船人の主張は,訴外羽鳥に対して開示された文書(甲10)が被控訴人の判断により作成したものであるから,被控訴人が判断するための資料であるというものである。
しかし,被控訴人が当該文書を作成する際に行った,技術的な根拠という,一般的な情報に関する判断と,具体的に前橋バイオマス発電施設設置工事についての判断とは別物であり,控訴人の主張は両者を混同しており,失当である。
(5)第7段落について
控訴人は,訴外羽鳥に対して開示された文香(甲10)の内容について主張するが,同主張は本件文書の存在を推認するものではなく,失当である。
なお,控訴人は,同文書(甲10)が公文書として成立していないと主張するが,同文書は被控訴人の職員が職務上作成した文書であって,
<P7>
同職員が組織的に用いるものとして,被控訴人が保有しているものであるから,公文書である(群馬県情報公開条例第2条4項)。
(6)第8段落及び第9段落について
控訴人は,訴外羽鳥に対して開示された文書(甲10)について印刷日の表示が作成日より前となっていることをもって披控訴人により偽装工作されたものである旨主張するが,そのような事実はない。被控訴人が印刷日のみを遡らせる理由がなく,文書情報の食い違いのみをもって偽装工作と断定することは到底できないはずである。
(7)第10段落乃至第21段落について
控訴大の主張は,訴外羽鳥に対して開示された文書(甲10)が被控訴人により偽装工作されたものであることを前提に,縷々憶測を述べている。
しかし,前記(6)で述べたとおり,被控訴人による偽装工作の事実は全く存在しない以上,主張の前提を欠いており,失当である。
第3 結語
以上より,本件控訴は理由がなく速やかに棄却されるべきである。
以上
*********
■前橋地裁での裁判は、途中から裁判長自ら被告の代弁者のような態度に豹変しました。また、当会が提出した調査嘱託も文書嘱託もいずれも却下されてしまいました。
もともとこの裁判長は、行政への軸足の置き方がとりわけ顕著な傾向であり、当会は、さっさと原審で敗訴して、前橋地裁よりははるかに「良識」があると期待される東京高裁に控訴して判断を仰いだほうが時間と費用の無駄が軽減されると考えました。
今回、群馬県の控訴答弁書を読むと、原審の裁判長が認めたクロをシロと言いくるめる支離滅裂な論理をそのまま記載しています。すでに公僕としての良識のかけらも見られない彼らの主張に対して、控訴審で東京高裁の裁判長の良識度がどのように示されるのか注目したいと思います。
【市民オンブズマン群馬事務局からの報告】