市政をひらく安中市民の会・市民オンブズマン群馬

1995年に群馬県安中市で起きた51億円詐欺横領事件に敢然と取組む市民団体と保守王国群馬県のオンブズマン組織の活動記録

安中市公用車の車検・保険切れ使用にかかる当会の告発状に関し前橋地検から「数日後に通知」と連絡あり

2024-11-20 20:42:24 | 安中市の行政問題

安中市副市長らが今年2月から4月にかけて乗り回していた車検切れ・保険切れの公用車ニッサン・リーフ(Sタイプ、5人乗り、2WD)電気自動車

■読者の皆さんは、車を所有し運転する方も多いかと思います。とりわけ群馬県の場合、公共交通が未発達ですが、道路網は充実しており、車無しでは生活が成り立たないほどです。実際に、2022年3月末時点の群馬県における自家用乗用車保有台数は138万1714台と全国第14位ですが、総人口でみた1人当たりの保有台数は0.696台で、全国第1位です。また、令和2年国勢調査による群馬県における人口に占める運転免許保有者の割合は72.1%で全国第2位です(1位は山梨県)。

 このように群馬県民と車とは切っても切れない関係ですが、自分が所有する車を運転する場合、車検切れかどうかは、運転席のフロントガラスに張り付けてある車検証で容易に確認できます。しかし、車検が切れていることを知らずに運転した場合、道路運送車両法違反になります。なぜなら道路運送車両法の第40条によると、自動車の構造が運輸省令で定めた保安基準を満たしていなければ、運行してはならないからです。

 ところが、我々一般住民の常識は、役人には通用しないかもしれません。なぜなら、安中市の場合、副市長をはじめ、秘書課職員らが2か月にわたり、車検の切れた公用車を乗り回したにもかかわらず、その責任を全くとっていないからです。安中市の車検切れ公用車の違法運行事件については、当会のブログ記事を参照ください。
○2024年5月17日:車検切れ公用車を乗り回していた安中市幹部が体現する行政ガバナンス欠如無責任体質の証左

■当会は、この事件に関して、複数の行政文書開示請求を安中市長宛に提出し、関連情報の開示を受け、内容を精査し、疑問点については、関係先に確認をしたりするなどして、裏付けを取りました。

 そして、安中市役所に対し、車検切れ公用車を乗り回していた安中市幹部や職員らはもとより、しかるべき監督責任を有する立場にある市幹部らの処分が適切に行われるよう、安中市役所に申し入れてきました。

 しかし、一向に関係者の処分が行われる気配がなく、職員課長に確認したところ、安中市職員の懲戒等に関する指針に照らして、車検切れ公用車の運転は、いわゆる「非違行為」にあたらないとして、何ら処分をするつもりがないことが明らかになりました。当会代表が職員課長に「市長にもきちんと処分について確認したのか」と訊いたところ、「市長も口頭での注意でよいと言った」とのことでした。さすがタゴ51億円事件を起こしてまでも、誰も未だに責任を取っていない稀有な市役所だけあります。

 一方、一般住民が車検切れの車を乗り回せば、当然警察沙汰となって、罰則なり罰金、そして免停処分を受けることは必至です。

 安中市のHPによれば、「なお、令和6年4月17日、安中警察署に報告いたしました」と公表していることから、警察は市役所の本件被疑者らに対して、何らかの処分、たとえば、免許停止や、道路運送車両法及び自動車損害賠償保障法に基づく罰則や罰金を科すはずです。しかし、これについても、安中市幹部や秘書課職員らは、その後免停はおろか、罰則や罰金を科せられた風情はありません。となると、安中警察署が本件不祥事について、なんら関心を示さずにいることが懸念されます。

■そのため、当会では、しかるべき処分を求めるため、次の2件の告発状を令和6年5月13日付で群馬県警本部長あてに提出しました。

*****5/13県警本部長あて市職員に係る告発*****

               告 発 状
                             令和6年5月13日

群馬県警察本部長 殿

                        告発人 小川 賢  印

   告発人    住  所   群馬県安中市野殿980
          氏  名   市民オンブズマン群馬
                 代表 小川 賢
          生年月日   昭和27年3月5日
          電話番号   090-5302-8312

   被告発人   住  所   群馬県安中市安中1−23−13(市役所住所)
          氏  名   企画政策部及び運転者
          職  業   安中市役所職員及び特別職の公務員(清水副市長)
          電話番号   027―382−1111(代表番号)

              第1 告発の趣旨

 安中市が4月18日に公表し、マスコミ各社にも報道もされた公用車の車検切れ及び自賠責保険切れの事案に関して、道路運送車両法第58条(無車検運転)、自動車損害賠償保障法第5条(無保険運転)などの諸法違反に該当すると思料するので、捜査の上、厳重に処罰されたく、告発する。

              第2 告発事実

 証拠資料(公文書)の車検切れの車両の運行記録参照。

             第3 告発に至る経緯

 令和6年4月18日に、安中市は、公用車の車検切れ及び自賠責保険切れの事案を公表し、当該車両が清水昭芳副市長も利用する車両であることを含め、マスコミ各社によって報道され事件を把握し、情報開示請求を行ない、5月8日に開示を受け、公表された事案が事実であり、安中警察署が責務の放棄、任務の違背の結果、犯人の放置に加担する行為を行なっていることを掌握した。
 当該車両の運行記録は公文書であり、違反行為の証拠能力を有することは、群馬県警察本部に確認をしており、安中警察署への報告などの記録については、群馬県警察本部より、安中警察署が隠蔽などを行わないように、安中警察署内、安中市役所内において、至急、証拠の押収・確保を希望する。
 なお、末筆ではあるが、告発人は、本件に関し、以後捜査に関して全面的な協力をすること、および、捜査機関の指示ないし許可なく決して取下げをしないことを、ここに約束する。

                                      以上

証拠資料
1 運転者を特定できる「公文書」である運行記録を含む情報開示文書(秘書課分)
2 同(資産活用課分)

*****5/13県警本部長あて安中署員に係る告発*****

               告 発 状
                             令和6年5月13日

群馬県警察本部長 殿

                        告発人 小川 賢  印

   告発人    住  所   群馬県安中市野殿980
          氏  名   市民オンブズマン群馬
                 代表 小川 賢
          生年月日   昭和27年3月5日
          電話番号   090-5302-8312

   被告発人   住  所   群馬県安中市原市707−2(警察署住所)
          氏  名   署長及び交通課
          職  業   警察官
          電話番号   027―381−0110(代表番号)

             第1 告発の趣旨

 安中市が4月18日に公表し、マスコミ各社にも報道もされた公用車の車検切れ及び自賠責保険切れの事案に関して、安中警察署は、安中市より4月17日に相談・報告があったにも関わらず、少なくとも情報開示のあった5月8日まで放置していた。これらは、本来、罰則として6ヵ月以下の懲役または30万円以下の罰金や免許停止などの行政処分が科せられる道路運送車両法第58条に該当し、免許停止など、車を運転することのできない可能性のある違反者を、安中警察署が積極的に見逃していたという事実を示している。このことは刑事訴訟法、道路交通関連法のみならず、犯人隠避を行ない、さらに特定の人物である公務員らに「便宜供与」を行なったことを意味する。よって、本件は、警察官を辞するべき事件であり、組織的な犯罪行為であるので、司法警察官、法律の関わる職務・権限を鑑み、重大な責務違反と判じるため、厳重に処罰されたく告発する。

              第2 告発事実

 被告発人である安中警察署及び同交通課は、安中市公表に先立ち、令和6年4月17日に車検切れ及び自賠責保険切れの事案について報告を受けた。
 しかし、告発人が安中市より本件にかかる行政文書開示請求に基づく情報開示と説明を受けた同5月8日の段階で、安中警察署からの処分や対応についての連絡がないことを、安中市役所企画政策部秘書課・伊丹課長、中曽根係長からの説明で確認した。
 このことにより、公務員としての職権の濫用や、責務の放棄、任務の違背の結果、犯人の放置に加担する行為を繰り返していると思惟できることから、その犯罪性は極めて悪質である。

             第3 告発に至る経緯

 令和6年4月18日に、安中市は、公用車の車検切れ及び自賠責保険切れの事案を公表し、当該車両が清水昭芳副市長らも利用する車両であることを含め、マスコミ各社によって報道された。このため、本事件を把握した告発人は、安中市情報公開条例に基づき、行政文書開示請求を行なったところ、5月8日に関連情報の開示を受けた。その結果、公表された事案が事実であり、安中警察署が責務の放棄、任務の違背の結果、犯人の放置に加担する行為を行なっていることを掌握した。
 当該車両の運行記録は公文書であり、違反行為の証拠能力を有することは、群馬県警察本部に確認をしており、安中警察署への報告などの記録については、群馬県警察本部より、安中警察署が隠蔽などを行わないように、安中警察署内、安中市役所内において、至急、証拠の押収・確保を希望する。
 なお、末筆ではあるが、告発人は、本件に関し、以後捜査に関して全面的な協力をすること、および、捜査機関の指示ないし許可なく決して取下げをしないことを、ここに約束する。

                                      以上

証拠資料
1 運転者を特定できる「公文書」である運行記録を含む情報開示文書(秘書課分)
2 同(資産活用課分)
**********

■当会が開示された資料をはじめ、関係当事者の安中市役所の秘書課や職員課など関係部署、ならびに当該公用車を安中市に納入した群馬日産安中高崎西店に確認したところ、今回の公用車の車検切れ乗り回し不祥事件について、以下のことが判明しました。

(1)購入仕様書


(2)自動車検査証
   自動車登録番号:高崎300に8786
   登録年月日/交付年月日:令和3.2.4
   車名:ニッサン
   車台番号:ZE1-102091
   型式:ZAA-ZE1
   原動機の型式:EM57
   所有者の氏名:安中市
   有効期間の満了する日:令和6.2.3
   備考:〔群馬〕新規登録 自動車重量税免税
      〔31年度税制〕令和3.2.4新規登録 免税措置済み
             次回継続検査時の免税対策車
      平成28年度騒音規制車:騒音カテゴリM1A1A

(3)自動車損害賠償責任保険証明書
   標識の番号(車台番号):ZE1-102091
   保険期間:自 令和3.2.4 至 令和6.2.4
   保険料:¥30,170
   保険契約者の住所及び氏名:群馬県安中市安中1丁目23-1 安中市
   自動車損害賠償責任保険料:収納済 3.2.3 損害保険ジャパン株式会社

(4)当該公用車の調達経緯
 令和2年12月15日起案・同日決裁の起案用紙によると、安中市長茂木英子と群馬日産自動車株式会社代表取締役天野慎太郎との間で、「電気自動車(日産リーフ)の特命随意契約による物品購入契約締結」が決まった。

 電気自動車(日産リーフ)及び附属設備(以下「電気自動車」という。)の購入については、令和2年12月14日付安財第1733号で決裁し、契約金額3,623,138円(うち消費税及び地方消裁税の額325,409円)で、群馬日産自動車株式会社(前橋市城東町一丁目6番地の8)から、令和3年2月末日納期で、予算科目:2款1項5目2-2(庁舎管理事業)17節(備品購入費)により納品場所・安中市役所とした。
 なお、特命随意契約の該当性について、市は「電気自動車の購入については、地方自治法施行令(昭和22年政令第16号)第167条の2第1項第2号の規定(その性質又は目的が競争入札に適しないもの。)に該当すると考えられるため、随意契約によることとする」とし、理由について「鼈気自動車は、環境性能に優れ、二酸化炭素の排ガスがなく、騒音等も少ないことから次世代自動車として、期待されている車です。なお、電気自動車は安中市内の事業所が取り扱いできる自動車はなく購入後の車検、点検等のメンテナンス等を考慮した際に、群馬日産自動車株式会社からの購入と考え、特命随意契約といたしたい。また、蓄電池が搭載されていることから、可搬型給電器『パワームーバー』を使用することにより、電気機器に電力を供給することができ、災害発生時における避難所等の電力不足を補うこともできます。なお、可搬型給電器『パワームーバー』は、令和元年危機管理課において無償提供を受けております」とある。
 つまり、群馬日産から前年度に可搬式給電器をもらったので、その厚意に応えるべく、安中市は匿名随契で購入した。したがって、価格は群馬日産の言い値であり、極めて不透明な調達となっている。




(5)車検切れ発覚の経緯
 令和6年4月17日に秘書課職員が、EV公用車を使おうと起動したところ、全く動かず、パネルに異常を知らせる「販売店に要連絡」の表示が出たので、群馬日産の安中高崎西店に連絡した。同店はただちに積載車を差し向けて、EV公用車を積んで同店併設の整備工場に運び込んだが、車検が切れていることが判明。同店の整備責任者の話によると、「不具合は動力系のリチウム蓄電池ではなく、制御系の通常の鉛蓄電池が放電状態である」ことが判明。充電後、EV公用車の車検と自賠責保険を付保した上で納車した。

群馬日産安中高崎西店

(6)自動車運行日誌
 当該EV公用車の無車検・無保険期間中の運行記録は以下のとおり。


(7)安中署への報告
 安中市が今回の不祥事を踏まえて安中署の水野良大・交通課長に報告したとする文書は「R.C.Cシート」というタイトルのA4判1枚の文書。秘書課に「『R.C.C』の意味は何か?」と訊ねたところ、「いわゆる『報・連・相』と呼ばれるビジネス用語で、報告・連絡・相談を英語の「report・communication・consultation」のそれぞれの頭文字で表したもの」だという。
 この中で、安中市は、車検通知について「群馬日産高崎西店によると、車検の案内通知は、販売店で購入している場合は発送しているが、法人営業部からの購入の為発送していないと思われる(現在確認中)とのこと」と安中署に報告しているが、当会が直接同店の責任者に確認したところでは「安中市から、車検通知は不要と言われた」と説明された。
 安中市は「今後、庁内の調査が終了次第、議会に説明し、公表する」としているが、議会への説明と公表は4月18日に行ったという。
 また、配布先として市長のみチェックマークが付けられているだけで、肝心の副市長のところにチェックマークが見当たらない。秘書課の監督責任があり、自分自身、無車検車・無保険車を乗り回していた人物なのだから、イの一番に報告すべきではないか。あるいは、パワハラ体質の副市長に報告した場合の「叱責」を秘書課職員がおそれて報告するのをビビったのかも。



■5月13日に当会が県警本部長あてに、上記のとおり2件の告発状を提出した後、5月下旬に安中署が市役所に来て関係者からヒヤリングしたという情報が当会に寄せられました。このことは秘書課長も認めていました。

 そのため、当会の2件の告発のうち、安中署長と交通課を被疑者にした告発状が奏功したのかどうか確認する術はないものの、安中署は当会のもう一つの告発状の趣旨に基づき、捜査をしていることがうかがえました。

 そして、8月6日に当会代表の携帯電話に安中署交通課の高橋担当から電話があり「いただいた告発事件について、7月26日付で前橋地検に送致しました」との連絡がありました。

 その後、全く動きもなく、3カ月半が経過しようとした11月20日午前9時54分に当会代表の携帯電話に着信があったことを午前11時に知りました。電話番号にこころあたりがないため、さっそく11時6分に折り返し電話をしてみると、前橋地方検察庁であることが分かりました。

 すぐにピンときた当会代表は、逸る心を押さえつつ「1時間ほど前に電話をいただいたオンブズマンの小川と申します。農作業中で電話に出られずすいません」と告げました。

 すると電話に出たのは、ちょうど電話をした本人の検察官のかたでした。そして、「5月13日付で警察に告発された小川さんですね。安中署から7月26日に送致を受けた安中市役所の車検切れ公用車の件で、間もなく通知を出す予定ですが、封筒は前橋地方検察庁のロゴの入ったもので、宛先は告発状の住所でよろしいでしょうか。また、通知文の宛先は市民オンブズマン群馬代表小川賢さんでよろしいでしょうか」と確認を求められました。

 当会代表は「はい、それでかまいません」と答えました。

■これまで、当会では数々の告訴・告発状を警察や検察に提出してきましたが、いずれも突然、忘れたころに、とくに長い連休に入った直後のタイミングに合わせて、いきなり配達記録付き郵便で告発に関する通知文が送られてくることがもっぱらでした。

 こうして、事前にわざわざ電話連絡を受けたことは記憶にありません。検察官は電話口で「通知文の発送までに、あと数日程度かかります」とまで親切におっしゃっていただきました。

 となると、「もしや、今度こそは・・!!」と期待でワクワクした気持ちがフツフツを湧き出てくる高揚感を禁じ得ません。その一方で、これまで何度も味わった落胆や挫折感も沸き上がってきます。なぜなら、これまで数多く告訴・告発をしてきましたが、検察からいただいたのは不起訴処分通知ばかりだからです。

 やはり平常心で、おそくとも今月中には届くであろう前橋地検からの通知を、粛々と待ちたいと存じます。

【市民オンブズマン群馬事務局からの報告】
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車検切れ公用車を乗り回していた安中市幹部が体現する行政ガバナンス欠如無責任体質の証左

2024-05-17 15:25:28 | 安中市の行政問題


■明日5月18日は、あの忌まわしい安中市土地開発公社を舞台にした51億円巨額詐欺横領事件が、現在の安中市に市庁舎の2階の都市計画課兼公社の事務所で、ひそかに発覚した日から29周年となるメモリアル・デイです。

 ところが、先月4月19日に衝撃的なニュースが安中市民を襲いました。この日、安中市役所が、秘書課で管理する3台の公用車のうち、副市長や秘書課職員らが使用する電気自動車(EV)1台が、車検切れになっているにも関わらず、2か月間にわたり、副市長らが乗り回していたというのです。

 安中市が記者発表した記事は以下のとおりです。

**********安中市HP 2024年4月19日更新
公用車の無車検での使用について
 このたび、秘書課で管理する公用車1台が、車検期間が満了していたにも関わらず使用していたことが令和6年4月17日に判明いたしました。
 市政に対する信頼を損なう事態となり、深く反省しお詫び申し上げます。今後こうした不適正な行為を繰り返さないよう、再発防止に取り組んでまいります。
<原因及び概要>
 適切な車両管理が行われていなかったため。
・車検満了日 令和6年2月3日
・走行距離 163km
・使用回数 11回
・車検満了日以降の使用期間 令和6年2月13日~4月12日
<事実判明の経緯>
 4月17日に車両に異常表示があり、整備を依頼した際に、指摘され判明いたしました。
<判明後の対応>
 この事態に際し、市所有の公用車全車両について確認いたしましたが、対象車両以外に同様の事案はありませんでした。
また、当該車両については、所定の手続きに入っております。
 なお、令和6年4月17日、安中警察署に報告いたしました。
<今後の対応について>
 車検を含む定期点検について、複数チェックを行う体制を整備し、再発防止に努めます。
<市長コメント>
 このたび、市が所有する公用車について、車検期間が満了していたにも関わらず運行した事案が発生したことは、誠に遺憾であるとともに、市民の皆様の市政に対する信頼を損なう結果となりましたことを深くお詫び申し上げます。
 このような事態を招いたことを深く反省し、二度とこのような過ちを繰り返さないよう職員一人一人が緊張感を持ち、組織全体が一丸となって再発防止に取り組み、信頼回復に努めてまいります。
※報道発表資料 [PDFファイル/151KB]↓
https://www.city.annaka.lg.jp/uploaded/attachment/11384.pdf
このページに関するお問い合わせ先
企画政策部秘書課秘書係
〒379-0192群馬県安中市安中1-23-13
Tel:027-382-1111 Fax:027-381-0503
※メールでのお問い合わせはこちら↓
https://www.city.annaka.lg.jp/form/detail.php?sec_sec1=2&inq=02&lif_id=13602&check
**********

安中市役所北側の公用車だまり。左手の1階の奥のシャッターガレージに、市長用の公用車と、今回事件となった秘書課専用のEV公用車がある

■この他、メディアもこの破廉恥な事件を報じました。

**********群馬テレビ2024年4月19日
車検切れの公用車 約2カ月間使用 群馬・安中市

安中市役所© 群馬テレビ
 安中市は、公用車1台を車検が切れた状態で約2カ月間使用していたと発表しました。
 車検切れが判明したのは、安中市の秘書課が管理する公用車1台です。17日、車両に異常表示があり市内の自動車会社に整備を依頼したときに指摘され、判明したということです。
 公用車は今年2月3日に車検期間が満了しましたが、今月12日までの間に11回使用し163キロ、走行していたということです。
 市では既に車検の手続きをし、所有する他の公用車278台についても確認し、他に車検切れの車両はなかったということです。
 岩井市長は「組織全体が一丸となって再発防止に取り組み信頼回復に努めてまいります」とのコメントを発表しています。

**********東京新聞2024年4月20日
安中市が車検切れ公用車を2か月使用
 群馬県安中市は18日、秘書課が管理する公用車1台を車検が切れた状態で約2か月間使用していたと発表した。
 市によると、車検満了は2月3日だったが、4月17日に判明するまで11回使用し、走行距離は計163キロだった。
 同課職員のほか、副市長が公務で使用したこともあったという。車に異常表示があり、整備を依頼した際に業者の指摘で判明した。同日、安中署に報告。他に車検切れの公用車はないという。
 課の担当者が車検を失念していたという。市は複数チェックを行い、再発防止に努めるとしている。

**********上毛新聞2024年4月19日
公用車の車検切れ、気付かず2カ月 群馬・安中市
 群馬県安中市は18日、秘書課で管理する公用車1台が車検期間を満了していたことに気付かず、約2カ月間にわたり使用していたことを明らかにした。
 市によると、公用車は2月3日に車検満了を迎えたが、2月13日~4月12日にかけて計11回使われ、163キロ走行した。事故はなかった。
 17日に車両に異常表示があり、整備を依頼した際に指摘されて、判明した。同日、県警安中署に報告した。
 事態を受けて、市所有の公用車全車両を確認したが、今回の対象車両以外に同様の事案はなかった。市は車検を含む今後の定期点検について「複数でチェックする体制を整備し、再発防止に努める」としている。
**********

■そもそも、車検が切れた車を所有しているだけでは罰則は適用されません。ところが、公道で運転していることが発覚すると、6か月以下の懲役または30万円の罰金が科せられます。

 同様に、自賠責保険が切れている車で公道を運転した場合、別の法律違反になり、さらに1年以下の懲役または50万円以下の罰金が科せられることになります。

 なお、車検切れを起こした車は、自賠責保険の補償期間も切れてしまっているケースがほとんどです。車検と自賠責保険の両方が期限切れの状態で公道を走らせた場合、違反点数12点、80万円以下の懲役もしくは1年6ヵ月以下の懲役に加え、90日間の免許停止処分と非常に重い罰則の対象となってしまうため、注意が必要です。通常はディーラーから車検の案内の連絡があるので、車検切れや保険切れの車を運転するリスクはありません。

 車検が切れてしまった車を公道で走らせるには、仮ナンバーを取得しなければなりません。なぜなら、道路運送車両法第35条により仮ナンバーを取得し、同法に定められた条件のもと、「特例で一時的に」運行許可を与えてもらう必要があるからです。この仮ナンバーは、「自動車臨時運行許可番号標」といい、赤い斜線が入っているのが一般的で、市区町村などが臨時に貸し出す仮のナンバープレートのことです。仮ナンバーを発行してもらうと、市役所で手数料750円程度かかります(安中市は750円)。自賠責保険に加入していないと仮ナンバーは取得できません。

 仮ナンバー取得手続きには、自動車臨時運航許可申請書、自賠責保険証原本(有効期限内)、本人確認書類(運転免許証等)、自動車確認用の書類(有効期限切れ車検証など)の書類の作成や準備が必要です。そのため、「面倒だ」として、車検切れの車の移動を車検業者に依頼すると、今度はレッカーが使えません。なぜなら、レッカー車を使った場合、車の後輪が公道に接します。そのため、エンジンをかけていなくても「公道を走っている」とみなされてしまいます。このような理由から、車検切れの車はレッカー移動することができないのです。

 だから、この場合、積載車に車検切れの車を乗せて目的地まで運ぶ必要があります。積載車のサービスを利用すると、車種は勿論、距離や時間にもよりますが、大体2万円以上かかります。

■今回、安中市が起こした車検切れの公用車は、保険も切れていて無保険状態にあった可能性も十分に考えられます。

 無保険には2つの意味があります。

 ひとつは強制保険である自動車損害賠償責任保険(自賠責保険)または自動車損害賠償責任共済(自賠責共済)に加入していない自動車(自動二輪車を含む)という意味です。もうひとつは「任意保険に加入していない」状態の車という意味です。

 仮に、今回の安中市の車検切れ公用車が、自賠責保険にも任意保険にも加入していない「無保険車」だった場合、安中市職員らは、無車検、無保険車を運行したことになります。この場合の法令違反や罰則、罰金はどのようになるのでしょうか。


公用車ガレージ

公用車だまりの様子

■まず、無車検運行の罰則について、検証してみます。車検切れの自動車を運転した場合、無車検運行にあたり、道路運送車両法第58条の違反となり、同法第108条の処罰の対象になります。

<無車検運転の罰則と罰金・違反点数>
・違反点数:6点
・罰則と罰金:6ヵ月以下の懲役または30万円以下の罰金
・行政処分:免許停止

■次に、無保険(自賠責保険切れ)運行の罰則について、検証してみましょう。自賠責保険(正式名称:自動車損害賠償責任保険)とは、自動車損害賠償保障法1条に基づき、交通事故が発生したとき、被害者の対人賠償を担保するために加入が義務づけられた強制保険です。

 通常、自賠責保険の補償期間は、車検の1ヵ月後に満了になるように設定されています。したがって無車検車の場合、自賠責保険の補償期間も切れていることがほとんどです。

 自賠責保険切れにもかかわらず、自動車を運転した場合は無保険運行にあたり、自動車損害賠償保障法第5条の違反となり、同法第86条の3の1号の処罰の対象となります。

<自賠責保険切れ運転の罰則と罰金>
・違反点数:6点
・罰則と罰金:1年以下の懲役または50万円以下の罰金
・行政処分:免許停止

■そして、今回の事件が、無車検運行、無保険運行(自賠責保険切れ)の両方に違反した場合、果たしてどうなるのでしょうか。繰り返しになりますが、無車検車の場合、自賠責保険の補償期間も切れていることがほとんどです。つまり無車検運行は「道路運送車両法第58条」だけでなく「自動車損害賠償保障法第5条」にも抵触する可能性が高いわけです。

 では無車検運行と無保険運行(自賠責保険切れ)の両方に違反した場合の罰則と罰金はどうなるのでしょうか。

 道路交通法施行令(別表第2の3備考1の1)では、2つ以上の違反行為をしたときは最も高い違反点数が適用され、同じ点数の場合はその点数が付加されることが定められています。また刑法併合罪47条では2つ以上の罪について有期の懲役又は禁錮に処するときは、重い方の刑期の1.5倍が適用されると定められています。さらに罰金についても刑法併合罪48条で2つの罰金の合計以下が科せられると定められています。

<無車検運行と無保険運行の両方に違反した場合の罰則と罰金>
・違反点数:6点
・罰則と罰金:1年6ヵ月以下の懲役または80万円以下の罰金
・行政処分:免許停止

■無車検車運行・無保険車運行は、初犯であれば略式裁判による罰金処分で済むことが多いのですが、理論上は上記の処罰になります。

 ちなみに、国土交通省による調査によると、少し古い統計ですが、平成26~28年度の3年間、国土交通省がナンバー自動読取装置によって行った無車検運行車両の実態調査によれば、読取車両全体の0.27%程度、約20万台が車検切れで公道を走っていると推定されています。車検切れの車は自賠責保険も切れている無保険車であることが多く、車検切れ運行車両の撲滅は、自動車の安全上の問題に加え、事故の被害者への補償を担保するという意味でも非常に重要です。このようなことから国交省では「ナンバー自動読取装置」を平成30年度から全国の街頭検査で運用を開始しています。

 また、国交省は、無車検車・無保険車対策の一環として無車検車・無保険等車通報窓口を設置して、市民からも情報を得ることで、無車検車、無保険車対策を進めています。

■こうした車検切れ・保険切れの車の違法運行は、善良な納税者・市民にとって、全く無縁です。なぜなら、車を購入する際にディーラーに手続きをすることで、いつ車検切れと自賠責保険切れの時期がくるのか、必ず通知が届くので、車検切れの車や保険切れの車を乗り回すことは困難だからです。

 ところが、役所やその関係機関では、頻繁にこうした不祥事件が起きるようです。ざっと調べると、確かに全国各地で類似事件が発生していることがわかります。

**********岐阜県関市の場合
【報道発表事案】車検切れ公用車の公務使用について
2022年4月7日ID:18158
車検切れ公用車(消防団車両)の公務使用について
 このたび、市が所有する消防団車両1台が、自動車検査証の有効期限を過ぎて運行したことが判明しました。
 このような事態を招いたことを深く反省し、今後こうした不適切な行為を繰り返さないように再発防止に努めてまいります。
1 判明の経緯
令和4年4月6日(水)に確認をしたところ、令和4年3月7日をもって車検の有効期限が切れていることに気付いたものです。
2 車検有効期限後の車両使用状況
走行回数2回、走行距離11km
3 判明後の対応
ただちに車両の使用を中止し、検査を依頼しました。なお、本件は関警察署に報告済みです。
4 再発防止策
車内の見やすい場所へ車検有効期限を表示するとともに、車検対象車両の確実な把握に努めます。

**********北海道池田町の場合
車検切れの公用車使用 9か月間、町長が陳謝 池田町
 池田町ブドウ・ブドウ酒研究所(安井美裕所長)が所管する公用車1台が、自動車検査証有効期限きれ(車検切れ)のまま約9か月間にわたって使用されていたことが、14日までにわかった。池田署が道路運送車両法違反の疑いで、車検切れの公用車を運転した職員らを対象に任意で事情を聴いている。
 2017年8月18日に車検切れとなり、13人の職員が述べ236回運転していた。実際に走った居地が1万2317㎞。

**********埼玉県八潮市の場合
市の公用車、車検切れたまま2か月間使用…1か月間は自賠責保険も期限切れ
読売2021/08/15 20:27
 埼玉県八潮市は13日、公用車1台を約2か月間にわたり、車検が切れた状態で使用していたと発表した。このうち約1か月間は自賠責保険の期限も切れていた。
 発表によると、経営課が所有する公用車は5月23日に車検の有効期間が満了したが、同月25日から7月20日まで、高校などへの啓発物配布や給水訓練などで9回使用したという。自賠責保険は6月24日に期限が切れた。
 今年度予算の執行状況を確認中に車検切れなどが判明したといい、8月11日に草加署に報告した。大山忍市長は「市民の信頼を損ねる結果となり、深くおわび申し上げる。再発防止に万全を尽くす」とのコメントを発表した。

**********読売新聞の報道の場合
公用車の車検切れ発覚続々、隠す例も…失効時期見落としやすい?
2023/05/13 07:45
 車検切れの車を公道で運転すると、道路運送車両法で運転者には行政処分に加えて、6か月以下の懲役または30万円以下の罰金が科される。車検切れの車は、自動車損害賠償責任保険(自賠責保険)期間も切れていることが多く、公用車で事故が起きれば、賠償を公費で賄う必要も生じる。
■ 目に付く所に
 自治体は再発防止を図っている。熊本県合志市は、毎月の公用車の点検報告書に車検の満了日を記入するよう変更した。同県上天草市は、期限の20日前までに車検を済ませるよう徹底。運転日誌に次回車検日のシールを貼り、有効期間を確認させている。
 山口県は車検の期限の一覧表を作り、管理職ら複数人で共有するようにした。長崎県大村市も期限を記した注意書きを、執務室や車のダッシュボードなどに貼り付けている。
 今年1月から電子車検証の交付が始まり、有効期間が紙に記載されなくなって、見落としに一層の注意が求められる。国土交通省の担当者は「組織としても、ドライバー自身も忘れずに確認してほしい」と呼びかけている。
 職員が車検切れを隠そうとして、懲戒処分される事態も。熊本県上天草市では20年、車検手続きが1か月遅れたのを隠そうと、職員が車検証の写しの有効期限を書き換えたことが露呈。職員は減給処分を受けた。
■ 緊急車両も
 消防の緊急車両でも起きている。同県菊池市では22年3~9月、車検の切れた消防団の小型ポンプ車が、火災時や訓練などで44回、579キロ走行していた。山口県の宇部・山陽小野田消防局でも20年1月、車検切れの救急車1台が234キロ走っていた。
 長崎県大村市は19年2月、車検の切れた消防指令車1台を3か月以上使用していたと発表。火災現場への出動を含めて1768キロ走っていた。普段は市職員が使い、車検手続きも市の仕事だが、車体に「消防団」の文字もあり、「消防団が発注する」と誤解したという。
 読売新聞の調べでは、20~22年中の3年間に少なくとも67の自治体や公的機関で、公用車の車検切れが確認された。ある自治体の担当者は頻発する背景を、「複数の職員が利用する上、管理担当者の異動も頻繁で、車検の時期を見落としやすい」とみる。
 車検では、ライトや計器類、ブレーキの作動などが安全基準を満たしているかを確認する。有効期間を過ぎて整備が不十分なままでは事故を招く恐れもある。
 車検切れの車を公道で運転すると、道路運送車両法で運転者には行政処分に加えて、6か月以下の懲役または30万円以下の罰金が科される。車検切れの車は、自動車損害賠償責任保険(自賠責保険)期間も切れていることが多く、公用車で事故が起きれば、賠償を公費で賄う必要も生じる。
■ 目に付く所に
 自治体は再発防止を図っている。熊本県合志市は、毎月の公用車の点検報告書に車検の満了日を記入するよう変更した。同県上天草市は、期限の20日前までに車検を済ませるよう徹底。運転日誌に次回車検日のシールを貼り、有効期間を確認させている。
 山口県は車検の期限の一覧表を作り、管理職ら複数人で共有するようにした。長崎県大村市も期限を記した注意書きを、執務室や車のダッシュボードなどに貼り付けている。
 今年1月から電子車検証の交付が始まり、有効期間が紙に記載されなくなって、見落としに一層の注意が求められる。国土交通省の担当者は「組織としても、ドライバー自身も忘れずに確認してほしい」と呼びかけている。

**********日本海テレビ2024年4月18日18:37
接触事故で発覚 島根県立少年自然の家が所有する軽トラックが車検切れの状態で約半月使用 島根県江津市

 島根県江津市にある県立少年自然の家が所有する軽トラックが車検切れの状態で使用されていたことが分かりました。
 今回の件は4月16日、県立少年自然の家が所有する軽トラックが敷地内の駐車場で乗用車と接触事故を起こした事で車検の有効期間が3月28日で切れていることが発覚しました。
 この軽トラックは2年前に新車で購入したものですが、貨物運送用の4ナンバー登録していたため、車検の有効期限が短くなることに気づかなかったということです。
※4ナンバー登録の車検有効期間は、新車購入時は初回2年(車両総重量8t未満)。5ナンバー登録は新車購入時は初回3年。
 軽トラックは、車検切れの状態で約30km業務で走行していたということです。県立少年自然の家の運営を受託している公益財団法人「しまね文化振興財団」は江津警察署に報告し、口頭で注意を受けたということです。
 業務を委託している島根県教育委員会は、今後は年2回車の整備状況を現地で確認するなど、再発防止に努めるとしています。
**********

■このように全国各地の自治体で、車検切れ・保険切れ公用車の違法運用にかかる事件が後を絶ちません。そのなかで、我が安中市役所でも起きてしましました。

 29年前に起きた地方自治体を舞台にした史上最大の詐欺横領事件(通称:タゴ51億円事件)でも、単独犯とされた元市職員タゴ以外は誰一人責任を取らなかった安中市役所ですので、今回の事件でも無責任体質が如実に示されるであろうことは想像に難くありません。

右手前の建物の1階が安中市長の公用車や秘書課専用のEV公用車が入っているガレージ。左奥の建物が西庁舎で、2階の手前には29年前に安中市土地開発公社を兼務していた都市整備課があった(今は物置になっている)。2階の壁面に見える窓は、1995年5月18日にタゴ51億円事件が公社内部で密かに発覚したあと、同5月31日にタゴを懲戒免職となり、同6月3日に警察に告訴後、警察の捜査が入る前に、公社職員らが深夜、ここから重要書類を窓下に止めてあった軽トラ公用車の荷台に大量に投げ捨て、市営のゴミ焼却場にピストン輸送したメモリアルな場所。

 当会としては、情報開示請求を通じて、今回の不祥事件の顛末を明らかにして、責任の所在明確化と再発防止策を検証して参りたいと存じます。

【市民オンブズマン群馬事務局からの報告】

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磯貝建材製側溝偽装事件発覚から15カ月…未だに「真相調査中」の群馬県となぜか先行気味の安中市

2024-05-11 22:24:08 | 安中市の行政問題

磯貝建材の全景。群馬県コンクリート製品協同組合のHPからは現在、削除されている。

■令和5年2月に、群馬県甘楽町の林道整備工事で、外見から品質が劣ると見られるコンクリート側溝が見つかりました。あまりにも歪んでいたので、施工業者が不審に思い、施主の群馬県に報告したと思われます。しかし、群馬県はこの経緯を含め当会の情報開示請求に対して、ホンの僅か開示しただけで、未だに「本件調査中」を理由に開示を先送りしています。

 その後、県が詳細に調べたところ、中に入っている鉄筋が県の定めた規格と比べて細く、本数も少ないことが確認できたとしていますが、その7が月後の同年9月1日に、山本知事は知事記者会見で、この事件に関して次のように述べました。



「公共工事の適正性を維持するという観点、また県民の安心安全を守るという観点からもまずは、手直し工事などによって道路の安全性の確保に県として万全を尽くしていきます。そして、今後二度とこのようなことが起きないよう厳正に対処してまいります」

■この記者会見を受けて、当会はさっそく次のブログ記事を発表しました。
〇2023年9月9日:安中市内業者による側溝の偽装品製造から透けて見える行政とメーカーとの不透明な関係

 そして。令和5年10月4日に安中市長あてに行政文書開示請求書を提出しました。

*****10/4安中市行政文書開示請求書*****
<開示請求に係る行政文書の内容又は件名>
 磯貝建材に対して発注した又は磯貝建材の製品(側溝)を使用した安中市発注の工事案件リスト(発注時期、工期、工事名、金額、側溝の型式と数量)
**********

 この結果、10月17日付けで開示決定通知があり、同月19日に開示情報を受領しました。それによると、過去5年間で、農林課分が8工事、トータル646m、都市整備課分が1工事、トータル1135.3m、土木課のうち旧安中市区域が14工事、トータル974.7m、土木課のうち旧松井田町区域が39工事、トータル2665.2mであることがわかりました。

 ところが、開示資料に当該工事を受注した施工請負業者名が含まれていないため、令和5年10月19日に追加の開示請求を安中市長に提出しました。

*****10/19安中市行政情報開示請求*****
<開示請求に係る行政文書の内容又は件名>
磯貝建材に対して発注した又は磯貝建材の製品(側溝)を使用した安中市発注の工事案件リスト(受注した施工請負業者がわかるもの)
*********

 この結果、令和5年10月24日に開示決定通知があり、同月31日に開示を受けました。それを見ると、5年間の合計工事施工数は、㈱萩原工業が3、㈲さくら工務店が4、㈱飯沼組が5、亀建工業㈱が5、萩原建設㈱が3、小板橋建設㈱が12、㈲須藤工業が5、㈱田中土木が3、㈱野口組が1、鬼形建設㈲が2、安中土建㈱が1、㈱ユーキ建設が6、峰岸土木㈱が2、土屋建設㈱が4、㈱石井造園建設が3でした。

■一方、群馬県知事に対して、令和5年11月1日に公文書開示請求を行いました。

*****11/1群馬県公文書開示請求*****
<開示を請求する公文書の内容又は件名>
 群馬県は9月1日、「県発注の道路工事で、規格で定めた強度に満たないコンクリート製側溝が32カ所で使われていた。建材メーカーの磯貝建材(安中市)が、製品を偽装して工事業者に納入していた。県は、工事を施工した22社に側溝の交換を指示した。調査対象は過去5年分で、これ以外にも規格外の製品が使われている可能性がある。県だけではなく、市町村発注の道路工事に使われている可能性もあり、県は市町村に今回の調査結果について情報提供した。磯貝建材の製品は、一定の品質を満たしている群馬県型側溝(GpU)として、2017年から県の承認を受けていた。承認を受けると、県による検査手続きの一部が省略される。今年2月、甘楽町の林道整備工事で、外見から品質が劣ると見られるコンクリート側溝が見つかった。詳細に調べたところ、中に入っている鉄筋が県の定めた規格と比べて細く、本数も少ないことが確認できた。そのため県は、過去5年間に、磯貝建材の製品が使われた34カ所の県発注工事を調査し、32カ所で『偽装側溝』が確認された。区間は合わせて約3キロだった」と発表した。ついては、次のことがわかる情報。
①県発注の道路工事で指定強度に満たないコンクリート製側溝(偽装側溝)が使われた32カ所の当該工事の契約日、工期、工事名、施工受注業者、金額、側溝の型式、仕様、数量
②当該工事を施工した22社に側溝の交換を指示した内容を記した文書。
③調査対象は過去5年分だが、これ以外にも規格外の製品が使われている可能性があると判断した根拠。
④県発注の道路工事で偽装側溝を使用したのが、県土整備部扱いだけではなく、他部署(農政部、環境森林部など)でも使用した可能性があると判断し、情報を共有したかどうか。
⑤市町村発注の道路工事に使われている可能性を鑑み、市町村に今回の調査結果について情報提供した事実。
⑥磯貝建材の製品は、一定の品質を満たしている群馬県型側溝(GpU)として、県が2017年から承認した経緯(いつ、誰が、どのような協議を経て、どんな理由で承認したのか、を含む)。
⑦承認を受けると、県による検査手続きの一部が省略されることについての詳しい内容(どの部分が、どのような根拠で省略できるのか、を含む)。
⑧今年2月、甘楽町の林道整備工事で、外見から品質が劣ると見られるコンクリート側溝が見つかった際の詳しい経緯(なぜ林道なのに県土整備部が把握できたのか、を含む)
⑨詳細に調べたところ、中に入っている鉄筋が県の定めた規格と比べて細く、本数も少ないことが確認できたことが県庁内で共有されることになった「不具合検査」報告書。
⑩前項⑨と関係するかもしれないが、過去5年間に、磯貝建材の製品が使われた34カ所の県発注工事を調査し、32カ所で「偽装側溝」が確認され、その使用区間は合わせて約3キロだったことを確認できた根拠。
⑪34カ所中、2カ所は磯貝建材の製品が偽装ではなかったことになるが、その理由(例えば、2017年頃製造したもので、まだ不正が行われなかった時期のものだった、を含む)
⑫2017年に検査手続きの一部が省略されたことが、今回の偽装側溝事件の端緒となりえた可能性について、これまでの調査で判明した内容から指摘されうる事項。
⑬発覚後、新たに発生した偽装側溝使用の事例や、是正工事の進捗状況
**********

 そして、それから8か月が経過しましたが、未だに群馬県は当会の情報開示請求に対して、「調査中」と言い続けています。

■一方、安中市のほうも、その後のこの問題に対する対応状況について何ら情報発信がないことから、当会は令和6年3月1日に次の内容の行政文書開示請求書を安中市長に提出しました。

*****3/1安中市行政文書開示請求****
<開示請求に係る行政文書の内容又は件名>
磯貝建材社製の規格外製品を使用した工事等についての安中市の対応が分かる情報
**********

 すると、同年3月12日に開示決定通知があり、同月3月21日に開示文書を受領しました。

 それによると、前年の令和5年10月5日に、安中市は、群馬県の記者発表を受けて安中市発注の請負工事及び原材料支給について調査したところ、複数の箇所で磯貝建材社製のBOU3型側溝を納入していることが判明した、として、安中市の工事入札参加資格を有していて、非破壊検査実績もある㈱中井産業(高崎市八千代町2-4-26)から見積を取り、市内鷺宮字三本木地内で令和5年10月15日から11月2日にかけて、磯貝建材製GPU3型側溝の非破壊検査業務を計画し、同社に随契で121万円で電磁レーダーを使った非破壊検査を実施しました。その結果は次の表のとおりです。



 このほかにも、以下の文書が開示されました。

*****10/6起案用紙*****
起案用紙 2023100103&
文書番号 安財第189001号
起 案 日 令和5年10月6日
決 裁 日 同日
起 案 者 財政課契約検査係 主幹 室岡隆
決裁区分 部長
件  名 弁護士法律相談依頼について
修補が必要と認められた工事についての受注社に対する修補請求について、法律相談を依頼したく別添のとおり行政課へ依頼してよろしいか伺います。

=====弁護士法律相談依頼書=====
                     令和5年 月 日
行政課長 様
               企画政策部 財政課 中嶋清美
顧問弁護士 弁護士事務所所在地 安中市岩井2470-3 安中法律事務所内
      弁護士氏名 小坂 景子 電話番号027-386-6667
相談希望日時 令和5年10月19日(木)
<事件等の概要>
修補が必要と認められた工事についての受注者に対する修補請求について
【群馬県の対応】
今年2月の県発注工事で、磯貝建材製品の側溝が、県の定める規格と異なる鉄筋が使用されていることが確認された。
群馬県は過去5年間の県発注の工事のうち、磯貝建材社製の側溝で施工された34件の工事について調査した結果、32件の工事で県が定める規格を満たしていないことが判明した。
磯貝建材製の側溝を使用して工事を施工した元請業者に対して契約約款に基づき(別添資料)手直し工事を依頼し、磯貝建材については、群馬県型側溝承認を取り消した。
【安中市の対応】
・磯貝建材社製の側溝で施工された工事箇所について調査。
 13事業者  54現場  3,471.2mで使用確認。
・対象工事について現場の安全確認を実施済み。危険及び損傷個所無し。
・側溝が規格を満たしているか調査予定。(準備中)
・県と同様に、修補が必要と認められた工事については受注者に修補請求を行う予定。議会へ報告済み。
<法律上の問題点>
1.契約約款契約不適合責任により、修補請求することは妥当か
 県は、契約約款第53条第5項の「受注者の故意または重過失による場合は民法の定めによる」を根拠に受注者に修補請求を行うと聞いておりますが、受注者側から見ると、県により承認を受けている(工場検査を省略できる)道路側溝を、承認事業者である磯貝建材に発注・納品を受け、市の材料使用願いにより確認を受け施工したものであり、その一連の行為が、「受注者の故意または重過失」にあたるのか、ご教示願いたい。
2.独占禁止法優越的地位の濫用
 前記内容により、受注者に修補請求することは、優先的地位の濫用にあたらないか、ご教示願いたい。
3.調査費用について
 市では、使用された側溝について、不適合製品であるかの調査を実施しますが、その費用について、磯貝建材に請求することは可能か、ご教示願いたい。
<出席予定者>
企画政策部 部長 町田博幸
企画政策部 財政課 参事 中嶋清美、主幹 室岡隆
<添付書類>
1 契約約款(抜粋)
2 群馬県型側溝承認要領

=====弁護士法律相談報告書=====
                      令和5年11月9日
行政課長 様
                      財政課長
相談日時  令和5年10月30日(月)9時30分~10時20分
相談弁護士 弁護士 小坂景子
相談場所  安中市岩井2470-3戸田ビル1階西 安中法律事務所
出席職員  企画政策部長町田 財政課長中嶋 契約検査係長室岡
●相談した事件等の要旨
※相談を行った項目ごとになるべく箇条書きで記入してください。
1. 契約約款に基づき、契約不適合責任により、工事受注業者へ修補請求することは妥当か
2. 前記内容により受注者に修補請求することは、優先的地位の濫用にあたらないか
3. 市では、使用された側溝について、不適合製品であるかの調査を実施しますが、その費用について、磯貝建材に請求することは可能か
■回答の要旨談
※先の相談を行った項目ごとに弁護士からの回答の要旨を箇条書きで記入してください。
1. 5年である民法の「故意または重過失」にあたるかどうかの判断は定型的なものがあるわけではなく一概には言えない。重過失については諸事情を考慮する必要がある。受注者にどんな義務があったか。受注者がどんな注意を払っていれば十分だったか。まず側溝製品の外見では判断できない。今まで県内で側溝の仕様を偽装した事件が明るみに出たことは無かった。県の承認を受けていても工場へたまには検査へ行くべきだったか。磯貝建材が粗雑な製品を納入しているという認識は市内業者に無くはなかった。発注者としては明確な原因者が受注者の先にいる以上請求することにはなる。(請求すればここで争ってもと考えて受注者としては請求に応じるかもしれない。実際に県工事では応じる業者がいる。)ただ2年以内は確実に契約不適合で請求できる。
(とはいえ県が5年で請求しているのに市が2年というわけにもいかないだろう。)
2. 独占禁止法における優越的地位の濫用とは、商取引上優位な立場にある者が商慣習に照らして不当な要求を行うことを指すが、今回の場合は既に締結されている契約に基づいての請求であり、優越的地位の濫用には当たらないと考えられるとのこと。
3. 契約不適合製品かどうか調査する費用を磯貝建材に請求できるかについては、
(契約不適合責任では)請求できないだろうとのこと。もう一つの請求根拠である不法行為は市の方に証明する責任が生じるが立証は難しいだろう。
  今後は県の対応も見ながら市長とも相談して決めていくことになる。類似の案件があるか、調べて知らせていただけるとのこと。
<今後の相談の有無>有り( 年 月 日)・〇無し

*****1/15起案用紙******
起案用紙 20240101661
文書番号 安財第290003号
起 案 日 令和6年1月15日
決 裁 日 令和6年1月16日
起 案 者 財政課契約検査係 主幹 室岡隆
決裁区分 部長
件  名 磯貝建材製群馬県型側溝使用業者への現地パトロール依頼について
 磯貝建材(株)が納入した群馬県型側溝の中に規格を満たさない製品が含まれていたとの群馬県の発表を受け、職員によるパトロールを行った上で安中市が発注した請負工事及び原材料支給につき非破壊検査を実施したところですが、今後群馬県に倣い破壊検査や修補請求を行う場合でも安全性について一定の結論が得られるまでは現地における安全を確保するためパトロールが必要と考えられることから、受注業者に対し下記の通りパトロールを依頼してよろしいか伺います。

1 対象工事  平成30年度から令和4年度に本市が発注し、磯貝建材株式会社製の群馬県型道路側溝(GPU3型、同横断型、同消音型)が納品された工事
2 パトロールの頻度  おおむね3か月に1回
3 期間  当面の間
4 報告の方法  ・別添様式のとおり
         ・なお、1回1現場あたり3枚以上の写真を添付、内訳としては遠景を1枚、近景を2枚以上
         ・提出先は財政課契約検査係、提出方法は紙又は電子データ

=====受注業者宛依頼状=====
受注業者各位
                           令和6年 月 日
                         安中市長 岩井 均

      磯貝建材製品が納品された工事箇所のパトロールについて(依頼)

 日頃、市行政にあたりましては、深いご埋解ご協力を賜り厚く御礼申し上げます。
 さて過日、本市定例記者発表で報告されました磯貝建材製群馬県型道路側溝の仕様偽装につきまして、現在調査中でございますが当面の間下記のとおり受注業者様による現地パトロールを依頼します。
 なお今回の依頼は当該側溝に起因する事故等の発生を未然に防ぐことが目的であり、ご多忙のところ恐縮ですが意図をお汲み取りいただいた上でご協力をお願いするものです。

                  記

1.対象工事  ・平成30年度から令和4年度に本市が発注し、磯貝建材株式会社製の群馬県型道路側溝(GPU3型、同横断型、同消音型)が納品された工事
2.パトロールの頻度  ・おおむね3か月に1回
3.報告書  ・別添様式のとおリ
      ・ なお、1回1現場あたり3枚以上の写真添付をお願いします。内訳としては遠景を1枚、近景を2枚以上です。
      ・提出先は財政課契約検査係(本庁3階)、提出方法は紙または電子データでお願いします。

          担当:安中市役所企画政策部財政課契約検査係 室岡
          電話:027-382-1111 内線1091
          電子メールアドレス:keiyaku@city.annaka.lg.jp


=====磯貝建材製群馬県型道路側溝使用工事に係る現地パトロール報告書=====
No./調査年月日/業者名/調査した者/発注年度/工事名/箇所名/側点名/結果
(例)
1/R6.2.3/○○(株)/安中太郎/令和〇年/□□号線道路改良工事/安中一丁目/No.20+2.0/問題なし

*****2/13起案用紙*****
起案用紙 20240201747
文書番号 安財第319002号
起 案 日 令和6年2月13日
決 裁 日 \\同日
完 結 日 令和6年3月31日
起 案 者 財政課契約検査係 主幹 室岡隆
決裁区分 課長
件  名 磯貝建材製GPU3型側溝破壊検査について
 磯貝建材(株)が納入した群馬県型側溝の中に規格を満たさない製品が含まれていたとの群馬県の発表を受け、安中市が発注した請負工事及び原材料支給につき非破壊検査を実施したところ、複数の箇所で磯貝建材(株)がGPU3型側溝を納入していることが判明したことから事故の未然防止のため非破壊検査を実施したところですが、引き続き下記の通り破壊検査を実施してよいか、また決裁後は安中市の工事入札参加資格を有志群馬県発注による破壊検査の実績もある安中土建(株)から見積書を徴収してよろしいか併せて伺います。なお、根拠法令として次の規則が該当します。
  ・政令第167条の2第1項第5号(緊急の必要により協働に付することができないとき。)

1 案 件 名    磯貝建材製GPU3型側溝破壊検査
2 履行場所    安中市鷺宮字三本木地内外
3 履行期間    令和6年2月19日~3月18日
4 設 計 額     1,887,600円(税込み)
5 予算科目    2-1-5-3-1-14節 工事請負費 (予備費から充当予定)
6 工事の概要   GPU3型側溝の破壊検査実施に必要な作業 一式 全5路線
7 前払い金の有無 無
8 部分払いの有無 無
9 契約保証金   無
10 見積依頼者   安中土建(株) 安中市安中三丁目15-17

=====磯貝建材GPU3型側溝(非)破壊検査 仕様書=====
1 案 件 名      磯貝建材製GPU3型側溝(非)破壊検査
2 履行場所      安中市鷺宮字三本木地内外
3 履行期間      令和6年2月19日~3月18日
4 業務等の概要   ・訴外建材製GPU3型側溝の破壊検査
           ・検査対象は別紙位置図に記載された路線とする。
           ・検査箇所はH30~R4年度、各1カ所とする
           ・各検査箇所における検査対象は側溝及び溝蓋各1個とし、配筋の径を調査できるようにするものとする。
           ・作業に際しては交通等の安全に十分配慮すること。

=====別紙位置図=====















**********

■こうして、安中市が、令和5年9月1日の県知事の記者発表のあと、当会が同月4日にこの問題で安中市内での偽装された道路側溝を使用した市発注工事リストを情報開示請求した直後に、該当工事で使用されている偽装側溝の状況を調査するため、安中市が非破壊検査業務として133万1000円を設計費として計上していたことがわかりました。

 しかし、こうした検査業務は、本来、群馬県が既に実施していたはずであり、安中市は県の検査結果を踏まえてから対応すべきです。そう考えると、なぜ、安中市が唐突に133万1000円をかけて非破壊検査業務を手金で実施したのか、背景と理由を調べる必要があると当会は考えました。その結果、やはり、群馬県からの意向を受けて、こうした非破壊業務を実施したのではないか、という疑問がわいてきたので、これはきちんと検証する必要があると判断し、令和6年4月16日付で監査請求を行うことにしました。

*****4/16住民監査請求*****
             安中市職員措置請求書

1 安中市長に関する措置請求の要旨
 2023年9月6日付の上毛新聞記事によると、「地元業者が規格外の側溝使用した問題受け、工事場所の調査に乗り出す 群馬・安中市」との見出しで「群馬県発注の道路工事で、規格外の側溝が使われていた問題を受け、安中市の岩井均市長は5日、過去に市が発注した工事について、該当する側溝の有無に関する調査に乗り出したことを明らかにした。側溝を納入した建材業者が地元業者のため、実態を把握する調査が必要と判断した。同日開かれた市議会決算審査特別委員会で報告した。今回の調査は、工事関係の書類が保存されている期間(国庫補助事業10年、市単独事業5年)が対象。工事した場所を把握した上で、現場で破損などがないかを確認する。同時に側溝が規格を満たしているかどうかも確認。規格を満たしていない場合には、契約約款に基づき、受注者に対し、再度工事を指示する方針。同業者の側溝をめぐっては、鉄筋の太さや本数、形状などで県の規格を満たしていない側溝が、県発注の道路工事で少なくとも32カ所(計約3キロ)で使われていたことが判明している。(宮崎秀貴)」とする報道が為された。
 このため、請求人は、規格外の側溝を納入した地元業者の製品が、どのようなかたちで安中市発注の道路工事に使用されたのかを確認すべく、2023年10月4日、同19日および2024年3月1日の3度にわたり、安中市長に対して条例に基づき関連情報の開示請求を行った。その結果、不当な財務会計上の行為又は怠る事実を以下のとおり確認したので、これを是正することにより市民全体の利益と安全を守るべく、住民監査請求を行う。
⑴ だれが(請求の対象となる職員等)。
  安中市長。
⑵ いつ、どのような財務会計上の行為を行ったのか
  規格外の製品を製造・納入した地元業者である磯貝建材㈱の製品「GPU3型側溝」が、安中市発注の公共工事に使用されたことに関連して、それらの製品が規格を満たしているかどうか、事故の未然防止のため確認する必要があるとして、安中市が2023年10月16日から同11月2日にかけて非破壊検査業務を実施した。
  そして、安中市はその費用1,331,000円(税込み)を安中市の一般会計「2-1-5-3-1-12節 委託費(予備費から充当)」から支出した。
⑶ その行為は、どのような理由で、違法又は不当なのか
  本件は、本来、GPU3型側溝の規格を定めた群馬県が、製造者に対して、規格に合致した製品を製造・納入するよう検査・指導・監督すべきであり、今回、磯貝建材製の規格外の側溝が2023年2月に甘楽町での県営の林道工事で使用が発覚したことを端緒に、群馬県知事が2023年9月1日の記者会見で公表したものであるから、当然に、群馬県に費用負担を申し入れるべき事案である。
  にもかかわらず、そうした手続きを怠り、安中市の一般会計から支出し、しかも現在に至るまで、群馬県に費用負担の申し入れの相談すら行っていない。
⑷ その結果、どのような損害が市に生じているのか
  すでに、令和5年度の決算が閉められており、この支出が損害として確定してしまった。
⑸ どのような措置を求めるのか(是正等措置を求める内容及び対象者)
  監査委員会は、安中市長に対して、市長が、以下の事項を速やかに実行するよう、勧告する。
  ①群馬県に対して、至急、安中市が支出した1,331,000円と相当な経費(人件費その他、金利も含む)の弁済を求める。
  ②なぜ、磯貝建材製の規格外の側溝が市内の公共事業で使われたのか、第三者委員会を設置し、経緯と影響を調査し、真相究明と責任の所在の明確化を通じて再発防止をはかる。
⑹ 財務会計上の行為から1年を経過している場合は、その正当な理由
  該当しない。

2 請求人
  住  所 安中市野殿980
  電話番号 090-5302-8312
  氏  名 小川 賢(自署)

 地方自治法第242条第1項の規定により別紙事実証明書を添え必要な措置を請求します。

令和6年(2024年)4月16日

安中市監査委員 殿

別紙:事実証明書
1 安中市行政文書開示決定通知書(令和5年10月17日安財第193004号)
2 安中市行政文書開示決定通知書(令和5年10月24日安財第206004号)
3 安中市行政文書開示決定通知書(令和6年3月12日安財第346003号)
**********

■ところが、その2日後の4月18日に監査委員事務局から電話があり、財務会計上の支出額は133万1000円ではなく、121万円であり、監査請求書を訂正するように指示がありました。

 さっそく、監査委員事務局で指示通り修正しましたが、事務局から「証拠を示してもらう必要がある」と言われました。当会は仰天し、「それは、監査委員の権限でお願いします。121万円という数字の根拠は、事務局で調べたのだから、それを監査結果として裁決書の中で、説明すればよいのではないでしょうか」と説明しました。事務局はいぶかしげな様子でしたが、粘り強く説明するとようやく納得してもらいました。

 住民監査請求の結果は60日以内が原則ですから、予定では6月15日が土曜日ですから、6月14日までに結果通知があることになります。

■そうしたなかで、5月10日に当会に「安中市が偽装側溝問題で記者発表を行った」という情報が14時から16時過ぎにかけて複数寄せられました。翌11日の新聞記事を見ると、確かに安中市が発表したことがわかりました。

**********朝日新聞デジタル2024年5月11日14:37
強度偽装の側溝は40カ所に 群馬県安中市、工事やり直し命令を検討

破壊検査した磯貝建材製のコンクリート側溝=群馬県安中市提供
 群馬県発注の道路工事で規格を偽装したコンクリート側溝が見つかった問題で、安中市は10日、市発注工事で同じ製造業者の側溝を検査したところ40カ所で偽装製品を確認したと発表した。工事請負業者に工事のやり直しを命じるか検討する。
 偽装側溝を製造したのは磯貝建材(安中市)。過去5年間に同社製側溝が使われた市道は約3・1キロで、ここから99カ所を抽出して県の規格に適合するか調べた。非破壊検査では35カ所、破壊検査では5カ所で規格で定めた強度を満たさない偽装製品が確認された。破壊検査では、鉄筋が県の規格6・35ミリに対し偽装製品は4ミリだった。
 破壊検査した場所は正規品に交換しているが、非破壊検査は偽装製品が設置された状態で、定期的にパトロールして点検する方針。市は今後、県の動きもみながら工事請負事業者への対応を検討していく。(角津栄一)

**********東京新聞2024年5月11日
側溝の部材偽装 少なくとも40カ所 市発注工事で確認 /安中
 群馬県発注の道路工事で県の規格に満たない側溝が使われていた問題で、安中市は10日、市が2018年~22年度に発注した工事で同様の部材偽装を少なくとも40カ所確認したと発表した。いずれも磯貝建材(安中)の製品で、県企画より細い鉄骨が使われていた。
 市によると、非破壊検査で県規格に満たない部材を35カ所で確認。各年度1ヶ所を抽出した計5件の破壊検査では、全て県規格に適合しなかった。
 市財政課は「抽出した箇所以外でも、同じ年度の同様の工事であれば部材が偽装された疑いがある。対応は先行している県の対応を踏まえて検討する」としている。
(石井宏昌)
**********

■当会は、この情報に接し、令和6年3月21日の時点で、非破壊検査結果の報告書は4月末までに出来上がると、安中市企画政策部財政課から聞かされていたので、ビックリしました。5月1日の時点でも、担当者からは、実際に破壊検査を行ったという説明は一切ありませんでした。

 しかし、3月21日に開示された公文書を改めてよく読んでみると、2月13日に安中市が地元の安中土建株式会社に随契で磯貝建材の規格外側溝の破壊検査を依頼しようとしていたことが分かりました。

 市側から非破壊検査について主に説明されたため、うっかり破壊検査のほうまで意識が回りませんでしたが、当会はこの「2月13日」という起案・決裁日について注目しています。なぜなら、この日は、この側溝偽造事件において、極めて重要なマイルストーンだからです。

 安中市側が破壊検査について、当会への説明が消極的だったのは、当会が積極的に質問をしなかったことが理由かもしれませんが、恣意的にそうしたのであれば、安中市特有の情報隠ぺい体質によるものかもしれません。近日中にあらためて、情報開示請求を通じて確認するとともに、現在進行中の住民監査請求にも、必要であればこの破壊検査にかかる公金の支出についても、関連付けを検討してみたいと考えています。

■本記事の末尾にもうひとつ指摘しておきたいことがあります。それは、群馬県が管理する県道や農林道なども同じですが、安中市が管理する市道や農林道などで、いったいどの場所に磯貝建材の不正な側溝が使用されているのか、住民に全く知らされていないことです。

 安中市は、受注業者に3か月に1度の頻度でパトロールするように要請していますが、群馬県は、32カ所で不正に作られた側溝を使用した工事が施工されたと記者発表しただけで、いまだに当該箇所を特定できる情報を公表していません。

 事故が起きてからでは遅すぎます。一刻も早く安中市は、磯貝建材の不正な側溝を使用した場所を地元の自治会長を通じて回覧板で住民に周知するとともに、当該現場に「危険個所」であることを示す目印を設置すべきです。群馬県も同様な対応を直ちに実施する必要があると思いますが、まずは当会の情報開示請求に対して、いつまでも「調査中」と言わずに、即刻、関係情報を開示することが先決です。

【市民オンブズマン群馬事務局からの報告】


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虚偽公文書作成三昧のタゴ51億円事件から29年…国にすら平然とウソをつく安中市役所の危うい現況

2024-04-05 09:28:20 | 安中市の行政問題

広報あんなか2022年6月1日号の16ページ目の上段に掲載された写真記事。「国の制度を活用し・・・」などと虚偽情報を平然と公表している。

■2024年4月3日朝、のエープリルフール人事異動のわずか二日後、台湾東部の花蓮市の沖合を震源とする地震と沖縄への津波警報が報じられましたが、その日の朝日新聞朝刊に、3月30日の報道記事の続報として、安中市役所を巡る不正行為を報じる記事が掲載されました。エープリルフール人事異動の僅か二日後、新年度早々、またもや明らかになった安中市行政の体たらくに、市民の皆さんも呆れ果てたのではないでしょうか。

**********朝日新聞2024年4月4日
総務省、事前に指摘 安中市、地域活性化制度「対象外」
 群馬県安中市が国の支援をあてにして民間から職員を受け入れたのに、条件を満たさず制度を活用できなかった問題で、総務省が事前に市側へ「このままでは交付税措置の対象外」と伝えていたことがわかった。市は指摘後も申請内容を改めず、結局、職員の給与など約450万円を全額負担することになった。市は「事前に指摘を受けたかはわからない」としている。
 安中市が利用しようとしていたのは、総務省の「地域活性化起業人」制度。企業と協定を結ぶ自治体が総務省へ申請して対象と認められれば、派遣された社員の給与や発案した企画の経費として、1人あたり年間で最大560万円の特別交付税が自治体に支給される仕組みだ。
 市は、2022年4月にこの制度の利用を総務省に申請。同28日にこの制度を使って旅行大手「エイチ・アイ・エス」(HIS)と協定を結び、同社員を非常勤職員として迎え入れると発表した。
★市、申請内容改めず全額負担★
 だが、総務省によると、勤務条件を週2日とした市からの申請内容が交付税措置の条件を満たしていないことに気づき、締結よりも前に市に「このままでは対象外」と伝えたという。記録も残っているという。
 市はこのことについて、「4月28日の発表より前に総務省から『対象外』と告げられたかどうかはわからない」とした。対象外であることは発表後から同年5月末までに自発的に気づき、「総務省へ連絡した」とも主張している。
 市は結局、その後も申請内容を変更しなかった。これについては「調整の上の勤務日数なので、増やすことは難しかった」としている。(杉浦達朗)
**********

■このように総務省の指摘に対して平気でしらばくれる安中市にとって、市民にウソをつくのは朝飯前のことでしょう。

 そして、何よりも市民として心配なのは、今回の事件で交付税措置を受けることが前提の地域活性化起業人制度そのものが使えていないのに、市の内部においても、「この制度を活用している」とする文書が飛び交っていたことです。さらに、総務省の指摘を受けていたのに、制度活用の手続きの誤りを是正することなく、不正な手続きにより、市民の血税である一般会計からHIS職員の給与など約450万円が賄なわれたことも重大問題です。

 これはまさに安中市役所内部のコンプライアンスとガバナンスが、29年前のタゴ事件発覚当時の不正の温床レベルにあることを如実に示していると言えます。

 当会では、第二のタゴ事件の発生を抑止するため、住民監査請求など、しかるべき対応を検討中です。

【市民オンブズマン群馬・ひらく会事務局からの報告】

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交付税で起業人活用のはずが予備費450万円でHIS社員を受け入れ…ウソまみれ安中市行政

2024-04-03 09:47:58 | 安中市の行政問題
■2023年度の最後の週末である3月30日土曜日の朝日新聞朝刊に、安中市役所を巡るとんでもない報道記事が掲載されました。起床後、同紙の朝刊を開き、群馬版を見ていっぺんに目が覚めた安中市民も少なからずいたのではないでしょうか。

**********朝日新聞2024年3月30日
安中市、国の支援受けられず 民間企業との地域活性化制度
2年間の経費450万円全額負担
 安中市に旅行大手「エイチ・アイ・エス」(HIS)から派遣されている職員の勤務状況が、市が活用しているとしていた国の制度の条件を満たしていなかったことがわかった。このために国からの支援がまったく受けられず、2022年4月からの2年間でかかった経費約450万円を市が全額負担することになった。市は「(補助の)対象外だったことに後から気付いた。致し方ないこと」としている。

2022年4月28日、安中市は総務省の「地域活性化起業人」制度を活用し、HISの社員を非常勤職員として迎えると発表した=HISのホームページから
 安中市が活用しようとしていたのは「総務省の「地域活性化起業人」制度。企業人材派遣制度とも呼ばれ、観光やデジタルなど専門知識を持った民間企業の社員を、自治体が職員として迎えることを促すものだ。企業と協定を結び自治体が総務省へ申請して対象と認められれば、派遣された社員の給与や発案したkぃ核の経費について、1人あたり最大で年間560万円が特別交付税として自治体に支給される仕組みだ。
 市とHISは22年4月28日に、この制度を活用して同社員を非常勤職員として迎え入れる協定を締結したと発表した。同年6月の市議会でも、当時の産業環境部長が「制度を活用している」と答弁していた。
 市によると、当初は自治体と企業などの専門人材をマッチングさせる内閣府の制度を利用してHISから職員を受け入れることにしていた。ただ、この制度には交付税措置などはなく、給与や企画に対しての補助がある総務省の制度の併用を検討したのだという。
 総務省によると、市からは「HISと協定を結び、来年度から社員を週2日非常勤職員として迎える」という内容で、特別交付税の申請があった。ただ、週2日の勤務が「受け入れ自治体の開庁日の半分以上を同自治体区域内での業務に従事する」という交付税措置の条件を満たしていなかったため、市に「このままでは対象外」と伝えたという。その後、市から条件を改めた申請はなかった。
 非常勤職員は、2年間で秋間梅林や磯部温泉といった観光地活性化などの業務をし、今年の4月にHISへ戻るという。
★「後から気づいた」「致し方ないこと」★
 安中市は「勤務日数を調整した結果、交付税の対象外だったことに後から気づいた」としている。その後、条件を改めなかったことについては「調整の上で勤務日数なので、増やすことは難しかった」
 その上で、「市としては総務省の制度を使ってHISから職員を迎えられた。致し方ないことだ」とし、現在でも制度を活用しているとの認識を示した。また、費用面も含めて問題はないとの考えだという。
 総務省によると、制度は特別交付税を受けることを「前提」としたもので、安中市を除くほぼ全ての市町村が交付税を受けているという。同省のホームページにある22年度の「起業人の活躍先」には、群馬県は中之条町と嬬恋、高山、片品の各村が記載されているが、安中市はない。
(杉浦達朗)
**********

■この記事のサブタイトルにもある「後から気づいた」「致し方ないこと」を平然と言いのけるあたり、さすが29年前に、地方自治体としては空前絶後、前代未聞の51億円事件の舞台となった安中市ならではの独自の「言い草」です。

 「致し方ない」とは、「仕方ない」の丁寧語とも言われますが、取材記者に追及に対して、シドロモドロで、「仕方がない」を丁寧語で表現して、なんとかその場をとりつくろうとした様子が目に浮かびます。

 しかし、行政手続き上、虚偽(ウソ)があったにもかかわらず、その事実を直視せず、「後から気づいた」などと出まかせを言い、さらに「致し方ない」などと言い訳することは、自らの不正支出手続きについて、真摯に反省し是正するつもりがないことを、公表したのも同然です。

 このような体質に陥っている安中市の現在の様相は、29年前に発覚したあの忌まわしいタゴ51億円事件当時のどうしようもない安中市政の体たらくを想起させます。

■「致し方ない」と言う表現について、さらに考察してみましょう。

 これは、「仕方がない」とか「やむを得ない」という意味を謙譲語の「致す」を使って丁寧に表した言葉です。何か物事をやるとき、物事をどうにかする方法ややり方がない状態のことです。例えば、天候や天変地異、予測できないような突発事変や先方の都合などの不可抗力により、自分の努力ではどうにもならないとき、その状況を受け入れるしかないときに使います。

 このように「致し方ない」は「他にどうすることもできない状況である」という意味を持つため、「満足はしていないが、どうしようもないので受け入れる」といったニュアンスを含みます。基本的にネガティブな印象を与える言葉でもあります。

 また、自分の行いによる結果に対して、実際にはもう少し努力できる状況であったにもかかわらず「致し方ない」と表現した場合は、それを聴いて、「やる気がない」と感じたり、「無責任だ」と思ったりする人もいるでしょう。

 今回の指摘を記者から受けた安中市の回答は、まさにこれに当てはまります。

■記事によれば、安中市は、当初から不認可と承知している総務省「地域活性化起業人制度」を「活用」とうたい、事実ではないのにあたかも同制度を活用したかのような公文書を作成し、この事案の執行にあたって予算措置(稟議・決裁)を行わず、安中市予算から、決裁なく予備費で不適切な執行を行なったことがわかります。

 なぜ、安中市は、このようなことをしでかしたのでしょうか。当会の調べでは、「当時の副市長の強い指示があった」という関係者の証言を得ております。すなわち、遅くとも令和3年11月までに、市の観光事業の進行を図るため、国の支援制度である総務省の地域活性化起業人制度を活用するよう、指示されたというのです。

 このため、7社に声をかけてヒアリングシートを送り、その回答内容を踏まえて、株式会社エイチ・アイ・エス(HIS)を含む2社に絞り、オンラインで面接をして、最終的にHISの職員を受け入れた経緯が明らかになっています。

 ところが、HISがヒアリングシートに記載していた出勤可能日数が、総務省が制度の活用に必須条件としている開庁日の半分(令和4年度まで。令和5年度以降は、「半分以上」)となっていたため、選定先として不適格だったことは、その時点で安中市も承知していたはずです。

 にもかかわらず、安中市は、令和4年4月27日の令和4年度第1回定例記者発表で、デカデカとこの虚偽情報を宣伝したのでした。

**********安中市HP 2022年4月27日
地域活性化起業人制度による民間人材の受け入れについて
 市は、観光振興などを推進するため、令和4年5月から民間人材の受入れを行います。
 国の地域活性化起業人制度(地方創生人材支援制度併用)を活用し、株式会社エイチ・アイ・エスと派遣協定を締結します。
 地域活性化起業人制度は、民間企業等の社員を一定期間受け入れ、そのノウハウや知見を活かしながら地域独自の魅力や価値の向上等につながる業務に従事してもらい、地域活性化を図る取組です。
 協定式につきまして、下記のとおり実施いたします。
   日 時 4月28日(木曜日)午後2時
   場 所 安中市役所 本庁舎2階 203会議室
   協定先 株式会社エイチ・アイ・エス
       (代表取締役 矢田素史)
 問合せ 総務部職員課(内線:1030)
**********

 この発表を受け、翌4月28日に安中市はHISと協定式を行い、それを広報で市民に伝えました。また、協定相手のHISも、自社のホームページにこの協定について大きく掲載しました。

**********㈱エイチ・アイ・エスHP 2022年4月28日
群馬県安中市 「地域活性化起業人制度」による派遣に関する協定を締結
アフターコロナにおける観光振興による地方創生と観光消費拡大にむけて
 株式会社エイチ・アイ・エス(本社:東京都港区 以下、HIS)と群馬県安中市は、総務省が推進する「地域活性化起業人制度」を活用し、HIS より群馬県安中市へ人材を派遣する協定を締結し、本日4 月28日(木)に調印式を執り行いました。

(左から 安中市産業環境部長 大竹将夫氏、 副市長 粟野好映氏、市長 岩井均氏、HIS執行役員 高野清、官公庁・自治体営業グループ統括部長 小林健二、五日市一訓)
 安中市は群馬県西南部に位置し、江戸時代より中山道の宿場町として栄えた歴史のある街として、市内には温泉記号「♨」の発祥地である「磯部温泉」や、日本の近代化を支えた鉄道遺産の観光地「碓氷峠鉄道施設」、そして、ぐんま三大梅林である「秋間梅林」など自然豊かな観光資源にも恵まれております。
 このたびの協定により、HISと安中市は、観光資源の開発、磨き上げを強化項目とし、観光と・食の魅力を国内外に発信し、国内外旅行の需要回復、持続的に魅力ある地域の活性化を目指し、相互連携と活動を推進いたします。
 HISは、海外60ヶ国に展開するHISの集客・送客機能と、これまで事業を通じて培った経験を活かし、安中市の観光振興と、地域の様々な課題解決に取り組んでまいります。

<協定に基づく取り組み内容>
(1) 観光の振興及び安中ブランドの発信に関すること
(2) 安中市産品の販路拡大に関すること
(3) その他地方創生の推進に関すること

派遣社員略歴 ※非常勤にて派遣
五日市 一訓 (いつかいちかずのり) (法人営業本部 官公庁・自治体営業セクション)
2006年 入社 営業所にて個人旅行商品の販売に従事
2010年 法人営業本部にて主に団体旅行商品の販売に従事
2016年 群馬営業所長に着任後、法人営業と並行して地方創生事業に従事
2021年 官公庁・自治体営業セクションにて群馬県を中心に地方創生事業に従事
**********

■この時、令和4年4月17日投開票の安中市長選で現職の茂木英子候補をダブルスコアで破り、翌18日に市役所で当選証書を受け取り、4月25日に初登庁を果たしたばかりの岩井均市長が、そうした不透明な経過について知ってか知らずか定かではないものの、もちろん当然知らされていなければならないはずですが、HISとの協定式で誇らしげに記念撮影写真に納まっています。

 ここで不可思議なのは、特別地方交付税措置が定義づけられている総務省の地域活性化起業人制度において、安中市は、この制度の活用資格がないまま、なぜHISの社員を非常勤職員として受け入れ、その人件費を支払えたのか、ということです。

■安中市は、前述の通り、29年前に土地開発公社を舞台にした巨額詐欺横領事件を起こした自治体です。当時、公文書の取扱いはデタラメの極みで、市長印や理事長印が勝手に押された文書が飛び交い、課税台帳も改ざんされるなど、無法状態にありました。

 あれから29年が経過した現在、同様の事情が市役所内で起きているとなると、第二のタゴ事件の温床が既に出来上がっている状況にあると言っても過言ではありません。

 タゴ事件では、元職員多胡邦夫だけがしょっぴかれ、共同正犯同然だった多くの市幹部、上司や同僚職員、政治家、反社勢力関係者などは、いずれも罪を問われませんでした。

 そのため、公文書の取扱いに対して、コンプライアンスが徹底しきれず、再び市役所が29年前の状況に陥っていることは、重大事態と言えます。

 引き続きこの問題について、当会としてもフォローしてまいります。

【市民オンブズマン群馬・ひらく会事務局より】

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