市政をひらく安中市民の会・市民オンブズマン群馬

1995年に群馬県安中市で起きた51億円詐欺横領事件に敢然と取組む市民団体と保守王国群馬県のオンブズマン組織の活動記録

政官癒着の権化・税金ムダ遣いの象徴/カネまみれ八ッ場ダム物語

2009-02-28 21:16:00 | 八ッ場ダム問題
■八ッ場ダムはすでに、3000億円以上の予算を注ぎ込んでいるにも関わらず、まだ本体関連事業に、本格的に取り掛かれておりません。今後の本体関連事業費に加え、生活再建関連事業費などを加えると、総額1兆円を超えるとも言われている世紀の税金無駄遣いプロジェクトは、巨額の利権の固まりでもあります。そのため、その内部や背後では、いろいろなことが起きています。今回は、「八ッ場ダム物語」と題して、平成19年当時、当会に寄せられた地元関係者からの衝撃的な情報をご報告します。

当会はこの情報を市民オンブズマン群馬に伝え、気骨のあるジャーナリストの協力を得て、数度にわたる現地調査を重ね事実関係を把握したうえで、平成19年2月に県庁の刀水クラブで記者会見を開くとともに、国交省の八ッ場ダム工事事務所に公開質問状を提出しました。とりわけ重要事項である、地元の神社移設に伴う、所有権移転登記について、公文書偽造等のルール違反の経緯について、国の見解を質しました。しかし、登記簿に「錯誤」と記載しただけで、とりあえず所有権は村に戻しましたが、国がやることはすべて法律に基づいているという理屈で、違法不当な手続きはいっさいしていないという趣旨の回答でした。

ダム建設のような巨額の利権を伴う公共事業には必ず、こうしたウラ事情が存在します。ここで報告する内容は、決して八ッ場ダム事業だけの特殊な出来事ではなく、全国津々浦々の大規模公共事業では大なり小なり、こうした話があるという意味で、参考になれば幸いです。
■その1 T林業による地元造成工事

八ッ場ダムによって、水没する墓地を新しく移転先に作るため、T林業が造成工事を受注した。この工事は、地元交渉委員長で地元の信用組合理事長Hの息のかかった業者が入っている。土留め、改修工事、土盛りなど2600平米の造成工事だが、平成18年の暮れに入札があった。相当な大工事だが、なぜT林業でできるのか。どこかに丸投げではないか。地元の林業会社ができるわけがない。それを着工したからには、たしかに工事をするのだろうが、結局、国交省に、要は入札させたのはHだ。現場の看板を見てびっくりした。Hが護寺会長であることもさることながら、あの仕事に関わっている寺のところだから、おそらく国交省のほうに根回ししたと思う。
(看板には工事の事業名は出ているのか?)
出ている。すぐに分かる。六合村に行くところの造成地。T林業が受注している。T林業は相当ダムのほうの仕事も取っている。その見返りとして、前橋の○○ホテルがあるが、そこにT林業の社長は年間契約で部屋を借りている。そこをHは「年間を通して自由に使ってもよい」という契約で、友人と一緒に週に一回くらい泊まっている。

■その2 K信組とK知事

Hはこの友人とは35年間付き合っていることで知られている。3年前に彼が地元信組の理事長になった。しかし、この友人はれっきとしたある人のパートナーだ。それなのにずーっと35年間も関係している。そのことは、T林業も、おそらくK知事も知っている。K知事も友人連れのHと同席しているからだ。友人を連れて、「俺の世話になっている人だ」とHはK知事にその友人を紹介している。だから、K知事も知っているはず。K知事がどういう人物かはよく分からないが、Hはやりたい放題やっている。
それで、よく今までそうやって、見え見えだったにもかかわらず、みんな水面下で燻っている。だけどもやはり、なぜ告発できなかったのかというと、所詮狭い村だからだ。村の中でそうした事実をしても、「こうなってしまうと、やっぱり差障りがある。まだ自分たちも補償交渉が終わっていなかった。やっぱり連合交渉委員長の気分を損ねると(交渉が)長引くのではないか」。そういうしがらみの中で、皆腹の中が煮えくり返っていても、どうにもならなかったというのが現状だ。
で、去年補償交渉が一段落して、全部終わった。するともうあとは一対一の個人だから、だからみんながぶつぶつ言い始めた。今年7月はHの信組理事長としての任期期限だ。自分の保証金を10何億円と積んでいるから、続投するのではないかという話がある。理事長を取ってしまうともう役がない。あとは神社の総代、氏子総代を何十年も明け渡さない。寺の護持会長も渡さないという。だから死に水をとるものは誰もいないのではないか、とHの周囲も言っている。でも、「もう世代交代させたい」と皆言うんだ。単独でやられてしまうと、寺だってやはり困っている。だからみな下が反発する。坊さんが間に入って大変らしい。もうあの年になったら、当然誰かに禅譲して…。
(Hって、いくつくらいなの?)
今年で76になる。今、ダム本体工事が大体決まってしまうところで、ダムに反対ということは今更もう難しいと思うけど、要は自分の私利私欲で、このダムを使って利用して、自分のよいように誘導している。所詮、カネだってみんな税金だから。

■その3 国交省所長の置き土産で自分の敷地内に道路変更

たとえば、もっとひどいのは去年だ。去年、道路を変更させてまで、自分の屋敷にかけたというのがまずひとつ。地元から猛反発を受けている。要は自分の屋敷の中にどーんと道路を付けさせれば、自分のところが買収になるよね。それをHがやったことで、皆が「連合交渉委員長の役得かね」と言っている。

■その4 横壁の諏訪神社の違法な移転登記

もうひとつは、この間話したように、知らないうちに村人の尊社を、誰にも相談無しに、Hが氏子総代としての勝手な判断で11月10何日だったかに、国土交通省に村の財産を移転登記させてしまった。これがまず二つ目で、もう地元は腸が煮え繰り返っている。Hは国交省といいようにしているからだ。
地元住民で、その登記簿をとって、国交省の工事事務所に見せて「出るところに出るよ」と言ったら、あわてて用地課長は「知らなかった」と釈明した。そこで、「所長呼んで来い」と促した。まだS所長が来てから3ヶ月から4ヶ月だった。前のY所長からダムの所長が変わったのは昨年の8月ごろ。そのS所長も、「来たばかりでわからなかった」といい、結局宮司も「わからない、知らない」と今では言っているが、その当時は、国交省が「書類ができたのでお願いします」というと、宮司は「わかりました」と言い、村人が全部賛成で合意したと思って、神社庁へ書類を持って行ったそうだ。神社庁も、要は宮司が持ってくるわけで、もう村人が賛成したと思って。それで「分かりました」ということで(神社の用地が)国交省のものになってしまった。ところが村人の誰にも話がない。それではじめて違法が発覚した。
(氏子に総代会というのがある。で、その決議が必要だ。印鑑証明はともかく、実印を付けないと許可にならないよね?)
結局、Hが神社の氏子総代だから。
(で他の人はどうしたの?)
だから、勝手にHがすべてなんでもやる。ここはほんとに言い換えればキム・ジョンイルみたいなものだ。
(田舎の蛸壺のようなコミュニティーだから)
そうそう。本当にそうなんだよね。それで初めて去年の12月の何日かな、22日と聞いている。そのときに、住民が国交省の役人に「要はペーペーじゃ分からない。上を呼んで来い」と公民館で言った。それまでHは「俺は知らない」とシラを切っていたが。皆が「おかしい」と。「なんだこれは?いつの間に国交省になっているんだ」と。とあの謄本をみて追及した。
(それは墓地の?)
いえ神社だ。尊舎だ。横壁の諏訪神社というんだ。

■その5 川原畑の諏訪神社の決算書が出ない問題

(これは川原畑の諏訪神社で、T建設が作ったのはT建設のHPにのっているね)
これは川原畑。T建設は渋川だろう?
(宮大工がいるからということで、随意契約でここに決めたというが)
ところがこれの決算書がまだ出てこない。出ていないんで、村がくすぶっている。決算書すら出さないのに、いつの間にか(諏訪神社を)作ってしまった。
(これと同じような感じで、これが前例という感じで次の横壁地区のが、まだ着工はしていないのか?)
していない。やっと場所が決まって、土留めがおわって、それで「こうしますよ」というので、この間12月の末に村人が集まって、「じゃあここにできるんだね」と言っていたら、どうもこんなふうな(L字型)参道らしい。入り口が。それで「何でまっすぐにしねえんだ?」と。そしたら「こっちが竹やぶのどうのこうの・・・」といったので、「いやそんなことは買収すれば簡単なことではないか」と、「何もこんなふうに持って行ってやっていくことはない」と。それで部落側が反対した。国交省が作った青写真で、あれでは結局「これでは納得いかない」ということになった。ところがHは「これでよかんべ」と。そのときポロッと喋ったんだが、見積もりも図面も何もできていないのに、「TK建設にまかせりゃいいや」と言っちゃったらしい。地元のTK建設に。それで結局また村の人たちが「それはおかしいだろう」と言った。普通は、予算があって、見積もりがあって、図面があって、そして入札でどこに決めましょうかと言う手順になる。ところがHが「いやTK建設にさせりゃあいいや」と取り仕切った。「だからみんな内々でできてるんだ」と、言い争いになった。初めて横壁の住民らがHに反旗を翻したことになる。

■その6 横壁神社の移転登記問題

(勝手に移転登記された経緯をもう少し詳しく・・・)
去年の11月18日かな。国土交通省に移転登記しちゃったんだ。それで「なんだこれは」ということになった。で、村の会議が中断になった。そこで、国交省がまた12月にみんなを集めた。そのとき、国交省担当者が口頭で「こうなりますよ。神社の移転はこうなりますよ」と説明した。皆で集まってその候補地を見に行った。ある程度、今の諏訪神社も粗造成は終わっていて、視察が終わったのでそこで現場立会いをした。そこで、神社の前の公民館に皆が集まって、「今後のその青写真を見ながらやりましょう」っていうことになったら、もう、開口一番にHが、「もう国交省のものだから」って言っちゃった。それで一同「?」となった。
それで、住民としては「うーん? 国のものになった? この神社は村の尊舎で、村の財産なのに、いつになったんだ?」と。若い国交省の担当者は、型にはまったとおり言うわけだ。「国のものなのでこれからこうします。ああします」と主導権をとってしゃべりだしたので、住民が「ちょっと待った。それはおかしいのではないか? 俺たちそんなことは聞いてないよ」と言った。それでHが氏子総代だったので、聞いてみたらHは「いや俺は知らねえ」と最初はシラを切った。「それじゃあ、おかしい」というので「ではその謄本を取れば、分かるんだろう」ということになり、そのときは集会を終えた。「じゃあ俺が取ってくるよ」というので、住民のひとりが謄本を取りに行った。「もしそんなことがあったら、誰も村の人は聞いていないんだから、これは表ざたになったら大変なことになるよ」と言ったら、翌日S所長とその担当者とHが、またもう一回村人を集めて「無かったことにしてくれ」といって「このとおりだ」ということで3人して公民館で土下座した。
結局、宮司は「国交省から書類が上がりました。よろしくお願いします」と言われたんで、「ああ、分かりました」と。「じゃあ村の人が合意したんだな」と思って、そのままそっくり書類を持って神社庁に行ったことを告白した。神社庁がOKすれば、移転登記が整って、神社の土地は国交省のものになる。だから宮司も裏切られたわけだ。結局、宮司にも「宮司、おまえも知っていたのか?」って、当然非難が集まる。だから宮司も「俺は知らない。村がOKだと思って俺はやったまで。だから、俺の責任じゃない」と釈明した。だから宮司は今度は「Hさんはいったい何をやっているのか」ということを言っている(※その後、この宮司はHや国交省にプレッシャーをかけられ、矛を収めてしまった)。だから去年の12月にとんでもないことになっていた。で年明けに「とにかくなかったことにしてくれ。一旦白紙に戻します」と言いはじめて、「だから公にしないでくれ」というのが国交省の気持ちだとおもう。

■その7 「元に戻す」といった国交省

(白紙に戻すといったって、国交省からの移転登記はできないだろう?)
でも、それを結局、国交省は「元に戻します」と言った。だって、それをしないと違法行為がばれちゃう。
(どうも気になる。多分、間違っていないと思うけど横壁だよね。当会が調べた結果は、そういう事実はないという報告は受けている。それがもしあれば、それこそ虚偽記載の偽造公文書作成罪に国が関与しているわけだよね?)
そうだねえ。法務局、法務省と国交省がいい加減にやったということになるので、エライことになる。それで、「とにかく神社の移転が遅くなる」と、国交省もHに言ったらしい。「村の住民が何年かかってもかまわない、と言っている。だからこれでは困る」と。だから、業者もすべて一応今のところは白紙のところで、これから建設委員を立ち上げて、もうHに任せないで、俺たちの中で、部落の中で10人くらい建設委員を立ち上げて決めるという機運になった。そして、神社移転の予算は大体1億円ある。だから、それを図面を描かせて、そして、古いものを持っていくなら持っていく。そして業者を選んで、その中で入札させる。なにも1億円予算があるからと言って1億円を全部食うことはない。7千万円で終われば3千万は残しておける。俺たちはそういう考え方だが、ところがHは違う。「1億なら1億使え」っていう考え方だ。自分のところに入っていくんだろうというわけだ。だから「TK建設に」って言っちゃった。
(地元だから俺がボスだと言う意識がHにあって、だから気が緩んだのだろう)
だから、仕事をするのにも先が見えていない。
(その手で成功した例がいくつもあるんだろう。だから今度も大丈夫だと思ったのだろう)
いままで全部成功だった。友人宅までTM建設に建てさせているという。いかに持って行ったか分かるだろう。1億、2億の世界ではない。T林業もそうだ。何億の仕事を出しているか分からない。国交省だって、なぜおかしいと思わないのか。国交省の所長を呼んで宴会をしちゃうんだから、無理もない。この話は有名だ。まず国交省が半端じゃない。
(TM?)
これと、Hはべったり。そこにT設備がくっついている。だからHとK知事もべったりだ。なぜなら誕生会に呼ばれた。伊香保の○○ホテル。
(毎年いったんかい?)
2回あった。去年は信組の不祥事件で中止だった。不祥事件のことをHは、新聞に伏せようと思ったがダメだったらしい。そのため、去年、金融庁から3ヶ月間の異例の査察が、Hの信組に入ったそうだ。その信組が一昨年7月に、理事長交代の時に、なぜHが理事長になれたのかということは知っているか?

■その8 HがK信組新理事長になれた経緯

(あれは組合組織だから理事長は選挙で選ぶんだよね)
普通はそうだ。それで、その信組の前身の初代の理事長だった中之条町の人の末裔が、理事長に一昨年になるはずだった。ところがHは、ダムの補償で10億近いカネを信組に預けている。自分でも何億も株ですってしまい、信組に借金があった。一説によると4億の借金があるらしい。4億円の借金に約1億円の利息が付いて、それで5億円を返したそうだ。それでもまだ6億円か、7億円が信組に残っているんだ。Hは「俺に(理事長を)させなければ(預金を)引き揚げるよ」と、言った。預金は群銀でもどこで持って行けるわけだから、そのことを言ったら、他の役員は困っちゃった。中之条町の末裔いわく「俺はカネで負けた」と言っていたそうだ。それでHは知事に、「自分から」ということができないので、K知事から「なってくれ」と肩をたたかれたと言いふらしている。「誰も居ないのでHさん、ひとつやってくれないか」と。「で、知事に頼まれたんでやってくれ」と言っている。ほんとは違う。「俺をさせなければ預金を下ろすよ」と圧力をかけたんだ。
(でも組合の選挙はやったんですかね。一応)
信用組合というのは、今は金融庁が管轄らしい。だけど信用組合はあくまでも群馬県のトップが、つまり、知事がそこの親方みたいなものらしい。そのため「知事が」って言えばもう誰も反対しないと踏んだようだ。だからHは知事に「(俺のために)言ってくれ」と頼んだことも充分考えられる。逆に今まで根回しで、「もう俺がならなくては、俺、カネおろしてもいいんだよ」みたいなことを言いふらせば、信組も5億~6億という預金が出て行くのは大変なことだから、こういう話も考えられる。
それで3年前に中之条町の末裔は「俺はカネで負けた」と言っていたようだ。でもHは取り巻きに「いや、誰もなり手が居なくて、しょうがないから休憩時間に県庁に行き、休憩タイムのときに知事が『Hさん、やってくれないか』と肩を叩かれたので理事長になった」と言っているという。ところが実際には違っていた。要は脅しだ。だから金でなったと皆知っている。社員はみな知っているが、言わないだけだ。
(急にパッとなったというのはねえ。Hは自動車教習所もやっている?)
名前だけだが、独身の息子がどうしようもない。息子も実は当初、信組に入れたそうだ。高校は、高崎にある私立に出して、信組伊香保支店に入れたそうだ。そしたら、どうもアレ絡みで、コレがいたので脅されて、ついでに信組も脅された。
(では○○市の市長みたいだね)
それで辞めたんだ。結局それからプータロウ。このHは昔からH林業という合資会社を自分で持っている。そこの役員を自分の息子がしている。息子は地元にアパートを借りてゴルフ三昧だ。ただ従兄弟に、東京の弁護士がいる。その弁護士がHに付いているので、「やり方が強気なんだよ」という話だ。生まれはこっちだろうけど、この弁護士がすべてHのバックボーンになっている。
長野原にあるMカントリークラブが破産になった。Hはどうもこれを3億くらいで買いたかったらしい。息子が独り者であまり芳しくないんで、Hは自分が死んでも何かがあれば食っていけると考えたに違いない。ところが、中之条の町長が、町として買いたかったらしい。でも予算の問題でギブアップしたため、Hは買う気になり従兄弟の弁護士に相談したら、「行政が手を出すところは、もめるから」と。それで買うのを辞めたのが真相のようだ。

■その9 委員長・理事長の不道徳問題

普通、銀行であれば、行員が不道徳したら人事面で処罰があるんじゃないかな。そういう非道徳的なことをやっている人物が、特に金融機関のトップに居て、ましてそういう国の大事なお金を扱う委員長をやっているのに不道徳とは問題だ。「信組さんはどうなのかな」と疑問符がついてしまう。信組の職員は皆知っているが、なぜそのことを皆言えないのかが不思議だ。
(田舎だから、知事と懇意だと政治力をちらつかせると田舎の職員の方はびびってしまう。今はどこでも内部告発を奨励しているけどね。そういう状態は問題だね)
ある人物いわく「Hをつぶすのは簡単だ。こんな不道徳をやったら銀行なんて一発でクビだと。金融庁が放っておくことはないだろう」という。いまHは信組の任期があと半年ある。この役職を外れれば、自ずとダムのほうも行使力が落ちてくるから、地元の人たちの本来の思い通りにやれるのではないだろうか。八ッ場ダムの功罪はともかく、地域にとってもよい方向になるはずだ。ところが、いまの状態では公金をいくらつぎ込んでも、皆Hが食い尽くしてしまう。
ダムの恩恵で、各地区には50億の予算があるという。例えば、横壁地区の例をとると、ここに国道145号が走っている。草津口の駅があり、その近くで、両端がダムとなる。横壁地区はこのあたりだ。ずーと草津へ向かって行くと、林地区、川原畑があり、川原湯がある。この横壁地区にこれからダムサイトができて、国道ができる。そうすると、造成地がここに決まっているので、そこに皆が移転する。家が引っかかった人は、代替地の住宅地。ここに今度山があったり、畑があったり、若干田んぼがあったり、猫のひたいほどの土地があり、それを整備する事業に、予算が50億円だという。各地区にそれだけの予算がある。川原湯温泉は温泉が出るからもっとあるだろう。

■その10 H委員長は川原湯温泉の大地主

いろんなコンサルタントが来ている。やはり彼らはポンと建物を作って、あとはご自由にどうぞだ。本来地元が将来孫子の代まで使えるものを作らないといけない。そのため、今頭が痛い。工事予算は、100億だ1000億だと言っているけれども、この部落では住民が僅か30名くらいだ。そこに何年がかりで予算が毎年プールされていて、最終的に50億円だそうだ。
来年から本体工事がはじまる。だから、いまゼネコンが熾烈な戦いだ。本体工事に入ったら、このあたりはもう決まっているが、あと残っている場所のあたりになぜまだ家がないかというと、そこらはHが大地主だからだ。全部所有地がかかってくる。川原湯温泉もHが山を持っている。そのうち半分くらいは貸している。あの温泉街に貸している。貸している条件は補償金の取り分を0対100という契約で貸しているそうだ。補償が出たら、その取り分は0対100。いままで長年安く貸していたので、出て行くときには、ただで、というわけだ。だから、借りていた人たちは、補償だけでは旅館が維持できないという。川原湯のT館なんかもそうだ。だけど、ほかの地主によっては、30対70とか、50対50で補償されるという。いい地主はそうやっている。地主に「70もらって30あげるよ」といわれれば、1000万円だったら300万持っていけるわけだ。そういう地主もいるけど、Hの場合はゼロだそうだ。
(借地で、家を建てた場合はね)
借地権が付いてるから。でも、Hは総取りするつもりだ。

■その11 地元各地区組織関係者について

代替地分譲基準連合交渉委員会委員長Hのしたに、川原畑地区分譲基準交渉委員会委員長、川原湯地区分譲基準交渉委員会委員長、横壁地区分譲基準交渉委員会委員長H、林地区分譲基準交渉委員会委員長、長野原地区分譲基準交渉委員会委員長がいる。
川原畑の神社が今回引っかかっている。決算書が出せないでいる。同地区交渉委員長も氏子総代だ。
だからこの氏子総代と、副会長ともう一人自動車業が川原畑地区にいる。この3人が工事を発注したのが渋川のT建設。この建設会社に信組の運転手をしている人物が一口絡んでいる。やはりうわまえを取っている。毎日Hの運転手をやっていて、川原畑で最初の移転神社が出来たとき、「今度渋川の業者でも頼めばいいや」と言った。ということは運転手がHに毎日耳打ちしているはず。だからまだいまだに決算書が出てこない。
なぜなら川原畑が一番早く補償交渉をもらって、住民の半分が出ていった。半分が残った。そのうちの一人が、現在の委員長の前の委員長だった。彼は片品に行ったが、彼が自分が引っ越すときに「後の事は頼む」と言い残し、今の地区交渉委員長に全権を預けて行った。もちろん、神社の移転先の場所も決めてあった。そして神社が去年できた。ヘリコプターで移動したと新聞に出ていた。完成後、新しい神社に御霊を入れた。出て行った住民にとっても、もともと住んでいたふるさとだ。たとえば落慶法要が行なわれるときは、実際に来る来ないは別にしても、中之条や渋川や東京とかよそに出て行った人がいるんだから、葉書一枚出して「いらっしゃい。村の神社はよくできましたから、お出かけください」というくらいはやる。しかし、今の委員長はそれすらしなかった。それで片品に行った前の委員長さんが「なにやってんだ」って怒ったんだ。
招待状が来ない者は行けない。そして挙句の果てに、何の収支決算も出てこなかった。どこの業者に頼んで、いくらで発注したのかがさっぱりわからないため、さすがに前の委員長が怒っていた。

■その12 勝手放題の村の幹部

(これも国交省のお金なんだから公金だ)
本来おかしいんだ。公金だけど入札なんてしていない。内々で頼んでいる。多分T建設を紹介したのは運転手だ。彼はもうやりたい放題。この事務社の前にまだ鳥居がある。周りの囲いが御影石だが、T建設に神社建設を丸投げした中で、石屋も選定した。運転手と今の委員長は従兄弟で、その知り合いの業者が鳥居に1千万から2千万円かけたというが、相場の倍だという話だ。結局1億円の予算を全部使っちゃったらしい。要はどんぶり勘定だよね。それでキックバックを取って、後は「これでやってくれ」と。だからどういうわけか、見積もりも図面も何もなくて、いつの間にか「はいできました」と。皆、はじめは喜んでいたが、ふと我に返ると「村のカネはどうなったんだ?」「いくら残っていくら足りなくて?」と疑念がわく。もうとにかくダムは今やりたい放題だ。

■その13 濃密な人間関係

(なるほど。濃密な人間関係ですな)
田舎だから、都会では考えられないと思う。都会でこんなことやったらもう、すぐに翌日新聞沙汰だね。これが何十年も出ないというところがおもしろいんじゃないか。だから、マヒしちゃうんだよね。おそらく何をやってもばれないと。もう正しいと思っているんだろう。
(今は八ッ場ダム工事事務所の所長は誰がやっているのか)
現場の所長は去年7月に変わった。それまではYという所長。彼がHに置いていった置き土産が、道路をHの家の敷地に引っ掛けること。予定変更までして、道路のルート変更までした。そして自分の蔵と屋敷を引っ掛けてもらったら、またカネが入るからね。
(道路はできたんかね)
いやまだだ。これから。ところが今度は、村の人は引っかからないわけだ。なぜ連合交渉委員長のところだけなのか。委員長のところは道路変更までさせたのだから、「俺のところも引っ掛けてほしかった」と皆思う。公共事業を私物化してる。
(これは公金だからね)
そのとおり。毎年、いままで500億円くらい出ていた。今年は300から400億くらいの予算だ。前年度の繰越でいろいろなのがあるそうだ。あと今度はいくらか群馬県のほうも僅かだが、栃木県だって、茨城県だって、埼玉県だって出すよね。だから結局もう全部の税金でもって、この連中が寄ってたかっているわけだ。ほんとにダムは要らないと思う。役に立たないものだと思う。Hのことは地元では人気がないとつくづく思う。皆チクリチクリといっている。
(総代会のはんこを取らずに勝手にやったことはどうなんのだろう。偽造だな)
多分、氏子や総代、総代のハンコだけは駄目なんだよね。周りの総代、役員のハンコが必要なはずだ。

■その14 総代会のハンコを取らないと偽造か

(全部要るはずだ)
この地区は名字が3つしかないから、偽造は用意だ。国のやることだし、神社庁も宮司も疑わないわけだ。だから、たとえば住民が30戸あったとして、全部パソコンで名前と住所を打って、あとどんどんどんとハンコを押して、一番上にHの実印でも押して持って行ったら…。
(と思うね)
で、トップの実印があれば、それで神社庁は受けたと思う。要は国が持って行くことだし、これは神社庁だってNOと言えない。もう了解済みだと思って、「いいですよ」ということで持って行けば、それで国交省のものになってしまう。普通には、こんなに勝手にやることはできない。だから私物化しているということだ。

■その15 TM建設と友達の家

Hが一番の問題だと思う。皆むかっ腹が立っている。やりたい放題だからだ。T林業がなんであそこまで伸びたのかというとダムのカネだ。この小さな会社が、相当仕事を取っている。週に1回は前橋の○○ホテルで会合だ。そこにHが友達を連れていっている。あと問題なのはTM建設。
(これは昔からいろいろ話のあるところね)
TM建設は、Hと入魂の仲。いまから10年位前、TM建設に工事発注しているはずだ。Hの地元でも、「なんだか知らないが、TM建設というのがF市から入ってきたんだよな」と皆話している。Hの自宅の隣接地にTM建設の現場事務所を作らせている。住民が「隣がおたくの親戚だ、親戚だと言っているがほんとか」と聞いたそうだが、Hは「知りませんよ」と言ったとか。
(いまTM建設はだいぶ業績がよくないので、いつあれするかわからないと)
ああそう。でっかい会社かと思ったが、実は友達の家を建てたという話も地元にある。
(これが県の格付け表だ)
これがF市のTM建設ね。
(935点は結構良い。これが大手。)
I工業はどうか。前橋のI工業は。I工業もHと入魂。
(それは出ていない)
TM建設が、友達の家を建てたと言っていたという。その友達は土地を持っていた。中之条に300坪買って持っていた。家の建築で、HがTM建設に仕事をさせた。いまから10年くらい前だった。TM建設がやったが頭金1千万だけ友達が支出したが、残りのカネをTM建設が被ったという話がある。だがTM建設は一気に払えない。払ったら税務署に目を付けられるからだ。それで毎月20万円ずつ、支払って、一昨年やっと払い終わった。つまり帳簿上TM建設から20万円来たのを毎月友達が返した形にする。友達も税務署を晦まさなければいけないので、要は残りをTM建設が出したということにしたらしい。TM建設にとっても、一気に払わなくても結局10年間で償却した形となった。Hは「だから俺が建ててやったんだ」と思っているが、実際にはそういうことになる。だから実際は1000万円しか出していないのに、3000万円の家が建ったわけだから。2000万円はHからの手当のようなもんだ。

■その16 誕生会にみる官民癒着の実態

ところで伊香保でやってるHの誕生会だが、9月26日がHの誕生日だ。俺の会社も2回続けて出た。去年はなかったけど。誕生会の宴席では、まずここにK知事が座る。宴会の途中で浴衣に着替えてね。ここに国交省のY所長が座る。ここにHが座る。彼の誕生会だからね。ここに付属が付いて、あとここにずーっとここに100人。俺なんか末席でこのあたり。出席者はほとんど男。ゼネコン関係。みなゼネコン関係だよ。だから池原、池下、井上工業など県内のゼネコン、建築屋が全部来る。もちろんT設備、T林業もだ。T設備なんか司会進行をやっている。女性も何人か居る。Hの友達も連れて行って別部屋に待たせておく。Hがよっぱらってくると、その友達をK知事のところに連れて行って紹介する。一緒に写真を撮らせる。で、酔っ払った勢いで「俺が何十年世話になった人だ」とK知事に紹介している。K知事は大体1時間で帰る。また浴衣から背広に着替えてね。それからはしっちゃかめっちゃかだよね。Hは特室を取っている。友達とともに料金2万5千円で泊まるわけだ。ホテルに聞けばわかる。

■その17 国内外旅行も友人同伴で業者のアゴアシ付き

(わかったほうがいいけど、75歳にもなってそういうことになるのかな?)
そうだね。実はT林業も、T設備もこの年寄りのHの友達を煙たがっているという話だ。ということは友人は結構カネに目ざといかららしい。それで毎年北海道旅行。何年前か、T設備の社員旅行で、台湾に行ったらしい。あるいはタイだったか。海外旅行。その時、ちゃんと二人は呼ばれて行っている。招待で、去年は北海道に行った。T林業なんかと。で、結局必ず友人と一緒。だから、この二人の分はT林業が持つかT設備が持つか、折半で持つか。いずれにしてもHと友達はただで行っている。そういうことをしょっちゅうやっている。だから相当今はT林業とべったりだね。建築の専門家が神社を見たというんで話をきいたことがある。出来上がったのを、坪数と大きさで査定した。国の予算は1000万だといわれているが、実際には8000万円かかったという。土地は含まず建物だけ。社務所と本体で。
(で、どのくらいでできるの?)
半分でできると言っていた。
(だけど宮大工がどうのこうのと、宮大工を抱えているのはここだけだという口実でここに決めたらしいよね)
川原湯温泉にある神社が5、6年前に燃えたことがある。あそこが燃えて補償した。
(あの菅原神社とどっちが立派?)
向こうのほうが全然立派。こっちは、大きさがその3分の1。奥行きだってこんなもんだしね。あれの3分の1だと思えばいい。村にある鎮守に毛が生えたようなものだ。俺に言わせれば。あれがもしこれが8000万だ、一億円だといえば、ふざけるんじゃないという感じだよ。
(丸柱ではないよね、四角だよね。あれとは違うよね?)
だから値段も全く違うと思う。大きさも違うし。これで8000万、一億というなら、ほんとふざけるんじゃないよという感じだ。では誰が良い思いをしたのか、ということになると、結局上のほうがみな良い思いをしたのだろう。適当に領収書を書かせて。だから計算書が出てこない。収支報告書が出てこないんだというんだから。去年の暮れ、その前の委員長が「社長おかしいと思わないかい? N君は何をやっているんだ?」と質問した。残っている住民に聞いたってわかんないよね。そうやってみなぶつぶつ文句を言って帰ってゆくんだ。

■その18 八ッ場ダム工事事務所長の役割

この公共事業で国交省もどういうふうな査定をしているのかわからないね。いいなりになっているのかな?
(いいなりだろうね。無頓着で前任者から継承しているんだろうね)
Yという所長のこと知ってるかい? H個人の「丸岩会」という誕生会がある。K知事はHの友達だったとしてもかまわないと思うが、そのHの誕生会に土建屋を全部、ゴルフと宿泊代で2万5千円から3万円。要はパーティ券を買わせて、それで○○ホテルへ人を集めている。その晩にHを囲んで、大宴会を開くが、そこに、なぜ国交省の所長を中央に据えて、ダムの進捗状況の報告をさせるんかね? 俺はびっくりした。最初に行った時にその模様を見て。だから俺は、あとで村で某議員に「なんでY所長を呼んで、国交省の所長を呼んでダムの進行状況を話しさせるんかな?」と言ったら「そんなことやっているのか?」「そうだよ」と。「俺はな、Hと同じ部落だから言いたかねえけど、やるのはかまわないけど、あまりハデにやるなよと言っていたけど」と。でもやはりやってしまった。2年続けて。ほんとに2年間、まったく同じに。一昨年は○○ホテルの女将が離婚した。それで下のほうにS亭というのがある。あそこで雇われ女将をやっているんだ。それで女将はもうHにべったりだ。それで、○○ホテルに居たときは、あの頃はちょうど離婚調停の真っ只中だった。でもHの誕生会だというので、そのときだけ女将が出てきた。で、翌年は離婚が成立して、それで、S亭を買ったか借りたというんで、一昨年はS亭でやった。ゴルフと宴会、泊り込みで行ってね。なんだかんだで、5、6万円払うわけだ。だって、T設備が幹事だから。あと県庁にいたM山T男。
(S亭か。まだ競売やったばかりだ。去年11月の暮れに。)
ほんとだ。これは息子だ。
(これは一括だけど、お湯はない、お湯は別だ。だから新しい人が買ってもお湯がいかないんだ。これを買いたい人が居たが、「お湯がないよ」と言ったら「じゃあ、やめた」と言っていた)
いくらになっている?。
(これは売却だ。いくらもないよ)

■その19 手玉に取られる国交省のキャリア所長

そのYという所長が3年前に初めて八ッ場ダム現地事務所に赴任したときに、川原湯温泉のお祭りに、Y所長もお祭りに呼ばれて運転手付きでやって。二次会は寿司屋でやった。その1週間後に、T林業の社長がM館という旅館を、沢渡に秘境の宿だということでやっている。それで社長が「何月何日に来いよ」って知り合いたちを呼んだ。「Hさんの誕生会の前祝だ」という触れ込みだった。その時はH、Y所長、T林業社長。T設備の社長、もと県庁のダム課長だったM山T男らが集まった。M山T男は今榛名町に住んでいる県庁のOBで、生まれは長野原だ。それにHの友達や○○ホテルの女将らがいたらしい。まだ離婚のゴタゴタをしている最中だった。みんなお風呂に入って宴会が始まったところにY所長がきた。まずHが「おお、座れや」と。T林業の社長が「背広じゃあれだから浴衣に着替えて来い」と。「今日はHさんの誕生会の前祝だ」と言うんで、Y所長は4合ビン一本、ポロッとカバンから出し「おめでとうございます」と出した。前任地が山形だったので出羽桜の4合ビンだったらしい。
T林業の社長が、国交省から来たY所長のことを「あいつは使えねえ」とかねがね言っていた。「就任早々あいつは使えねぇ」と言っていたくらいだ。一目で無能ぶりを見抜いていた。Y所長の下に、副所長のSというのがいた。このSは湯西川ダムにいたことがあるノンキャリアだ。これはほんとに地べたから這い上がった人物。ところがT所長はT大出のキャリアだ、40代そこそこで所長なわけだ。
このSも嘆いていた。Y所長は使えないと。霞が関からぽーんと来ても、何も現場のことがわからない。「これだもの、現場作業が遅いよな」とS副所長も言っていた。Sはまともだが、結局、2年ごとに頭(=所長)が変わるたびにまたゼロからやり直しだ。そうだよね。だから地元の関係者もみな口をそろえて言っている。「所長なんか来ても、何の役にも立たない」と。
(○○市役所にもT大が初めて入ったが、「あいつは全然使えない」という評判になっちゃった)
それと同じだよ。肩書きだけで来ているんだから。霞が関から出張していたころは、Y所長はそれまで川原湯温泉に泊まっていた。すると「ばーか、おめえな、あんな床の抜けそうな旅館に泊まるんじゃねえ。ここを使え」とM館を紹介された。このようにHとT林業はべったりだ。それにT設備もだ。
ということで、Hも、T林業社長もT設備もその女将とは懇意。でそのあとすぐ○○ホテルで9月26日、昼間、Mカントリーでゴルフをやって、夜は○○ホテルでパーティをやった。だから、ゴルフから来る人も居れば、パーティだけ来る人も居れば、そのときのメンバーは全部ゼネコンだ。土建屋だよ。
(これが丸岩会のメンバー表か。これはすごいな)
だからそこにY所長が主賓で座って、一生懸命、ダムの今は、こうだとかああだとか。「おいおいHの誕生会になんでダムの所長が来るのかねえ」。そう思ったのは俺だけじゃないと思う。あれをみてね、おかしいと思わない人はバカだ。毎年こんなことをやっているのか、と改めて呆れた、一度行くと2年目も行かないわけに行かないから、それで一昨年も行ったやつは多い。

■その20 去年も内々でやった誕生会

昨年はK信組で不祥事があったんで、伊香保で大っぴらに誕生会を開けなかった。だけど内輪メンバーだけで、T林業のM館でやっている。内内でね。
(S亭というのは、前の伊香保町長がおかしなことをしてああなっちゃった。それで競売になった)
あれは誰が買ったのか?
(ホテルT。だけど自分の名前を出さない。他人の名前を使っている。)
3年前に○○ホテルと分かれて、今度S亭と名前を変えて実質女将になって、年間何千万という借り代だったかな。1ヶ月何百万か家賃を払うんだよね。それで「大変なので、協力してくれ」と言われたHは「じゃあ女将も大変だから」というので、ほとんどそこに行っている。消防の集まりでも、何でもかんでもHは、その女将のところに宴会を持っていっている。大事なプライベートの場合には、T林業のM館へ行くというふうに使い分けしている。そして前橋で何かがあって外泊のときは、○○ホテルのT林業のお抱えの部屋を借りてもらっているから、Hはいつもそこに泊まっている。この3箇所を探せばきっとHの居所は見つかるはずだ。

【ひらく会情報部】


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安中市土地開発公社に係る岡田市長宛公開質問状の回答先送り

2009-02-22 04:43:00 | 土地開発公社51億円横領事件

■2月17日(火)午後6時50分から岩野谷地区で地区別懇談会が開催されたのを機会に、当会事務局長は、安中市土地開発公社理事長で、かつて元職員のタゴの書いた決算報告書を監査したこともある岡田市長に対して、同公社が、群馬銀行との和解で毎年支払い続けている103年ローンや、同公社が元職員のタゴに対して、損害賠償請求訴訟を提起して勝訴したにも関わらず、まだ1500万円程度しか、回収できていない問題や、「同公社は安中市とは別法人なので、市には被害がない」なとと主張して、当会が提起した住民訴訟に勝訴した岡田市長に対して、タゴやその取り巻き連中、そして元公社の歴代役員や関係した市職員らへの賠償請求、さらに、タゴが偽造した稚拙な書類にいとも簡単に騙された群馬銀行の責任の所在の明確化と、再度、和解条項の見直しに向けた交渉を求めるべく、次のような公開質問状を、地区別懇談会の最後に、直接岡田市長(=公社理事長)に手渡しました。

**********
【安中市土地開発公社に係る公開質問状】
平成21年2月17日
〒379-0192安中市安中一丁目23-13
安中市長 岡田義弘様
安中市土地開発公社理事長 岡田義弘様
    公開質問人:〒379-0114安中市野殿980番地 小川 賢
安中市土地開発公社に係る公開質問状
 このことについて、次の質問にお答え下さるようお願い申し上げます。なお、期限は2月20日(金)必着でお願いします。
1.公社が被った損失の責任は、歴代の公社役員や職員にあると考えられます。なぜ、そうした人たちへの責任の所在追及を行なわないのですか。
2.群馬銀行との和解条項を、さらに10年間継続するということですが、市民には事件の経緯が分かりません。公社にも落ち度があり、その責任は上記1項で追及されるべきと考えますが、群銀の責任についてももっと、市民にあきらかにして、あらためて、群銀との裁判を視野に入れた行動をとるつもりはおありですか。
3.元職員は、すでに仮出所したとの情報もあるようですが、公式には、いつ刑期を終えるのでしょうか。
4.元職員の出所を機会に、元職員およびその関係者らへの損害賠償請求をどのように行う予定ですか。
5.公社の損失は、市とは別法人である公社に解決の責任があると思いますが、元職員が正規な手続きを踏まずに購入したりした土地を、なぜ買い取ろうとしているのですか。
6.元職員から絵画や骨董品をもらった安中市の関係者はたくさんいたようですが、彼らに返還を求めましたか。   以上
**********

■2月20日(金)必着で回答を求めていましたところ、次の内容の連絡が、昨日2月20日(金)午後5時20分に安中市役所(FAX:027-381-7018)からFAX送信されてきました。

**********
【土地開発公社からの連絡】
平成21年2月20日
安中市野殿980番地 小川賢 様
   安中市土地開発公社 理事長 岡田義弘(公印)
安中市土地開発公社に係る公開質問状について
 たいへんお世話になっております。
 さて平成21年2月18日付安中市土地開発公社に係る公開質問状回答の件ですが、2月20日(金)必着とありまが、安中市土地開発公社として、回答内容の検討・決裁等時間が必要なため、2月20日までには回答出来ません。大変申し訳ございませんが、早急に回答書を送付するようにいたしますのでよろしくお願いいたします。
**********

 これによりますと、回答に時間がかかっているようですが、そのうち回答書をいただけるようです。市民の痛みには敏感なはずの岡田市長(公社理事長兼務)が、タゴの莫大な負の遺産だけは例外だ、とばかりに、市民の痛みもいとわずに、タゴやその取り巻き連中の豪遊のツケを、平気で市民に押し付けようとするつもりなのかどうか、近日中に示されるはずのその方針に注目したいと思います。

【ひらく会事務局】


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多胡運輸の悪夢?首都高の肝を冷やした熊野町のコンテナ横転事故

2009-02-15 14:27:00 | 首都高炎上とタゴ運輸
■昨日、正午少し前の11時47分ころ、首都高5号池袋線(上り)熊野町付近で、大型コンテナを積んだトレーラーが横転する事故が発生しました。夜6時45分のNHK首都圏ニュースで報じた画面を見たら、なんと、昨年8月3日にガソリンや軽油を満載した多胡運輸のタンクローリーが同じく5号池袋線(下り)熊野町ジャンクションで横転炎上した現場から100mも離れていない場所でした。

 ニュースでは、事故を起こして死亡した運転手の身元はまだ判明していないと報じていましたが、所属する運送会社名は報じられませんでした。また、タゴ運輸かと直感的に思った人も多かったらしく、当会のブログにも反応がありました。

 横転事故を起こし、あやうくコンテナを直下の交差点に落とすところでしたが、落下したのは壊れた側壁の一部で、幸い、下を走る車両や通行人への被害はありませんでした。コンテナを台車に固定していたため、外れて外に落下せずに済んだと思われます。

 事故を起こした運送会社は多胡運輸ではありませんでしたが、同じく北関東の栃木県に本社を持つ富士山運輸(株)(〒321-0102宇都宮市江曽島町1428番1)という運送会社で、東京港と横浜港で国際海上コンテナの輸送を扱っており、保有車両は100台ほどですから、多胡運輸の3倍強以上の会社規模のようです。
 事故原因は、スピードの出しすぎか、ハンドル操作のミスか、飲酒運転か、いずれにしても警察が原因調査中のようですが、運転手が死亡したものの、クレーン車が出動して撤去作業が迅速に行なわれました。

 首都高発表によれば、「この事故の影響で、5号池袋線は熊野町JCT付近で上下線とも通行止めとなったが、19時35分に下り線、19時45分に上り線の通行止めが解除となり通行可能となった。なお、上り線では、引き続き一部車線規制中」とのことで、当日は夕方まで周辺で相当な渋滞を引き起こしたようですが、多胡運輸のタンクローリーの横転炎上事故で2ヶ月以上、広範囲に交通渋滞を引き起こした時に比べれば、影響ははるかに軽いといえます。事故を起こした運送会社としても、死亡した運転手の労災手続きのほかには、破損した防音壁等の修理費用と、車両撤去作業に要した費用、そして荷主への補償程度で、時間的にも通行料減少による首都高の収益に与えた影響は僅かでしょうし、保険も付保していたでしょうから、弁済のための資力には問題ないと思われます。

 首都高では、2005年6月29日早朝にも、東京都港区東新橋1の首都高環状線で、25トントレーラーが左側壁に衝突し、横転しました。この時は、台車部分が約90センチの壁を乗り越え、コンテナを固定していなかったためか、積んでいた長さ40 フィートのコンテナ(長さ12メートル、幅2.5メートル、高さ2.9メートル)だけが、約7.5メートル下の道路に落下しました。コンテナには材木などが入っており重さは約20トンありましたが、幸いけが人はありませんでした。警視庁高速道路交通警察隊は、運転していた運転手(当時52)を道交法違反(酒気帯び運転)の容疑で現行犯逮捕しました。

 今回、運転手が飲酒していたかどうかは分かりませんが、多胡運輸のときと同じく、休日での事故でした。休日は交通量が少ないのでスピードを出し勝ちになるのかもしれません。海上コンテナを積んだトレーラーがこれほど横転し易いということが分かったので、道路を走る際には、タンクローリーと同じく、あまりコンテナ搭載車には近づかない方が無難なようです。

 ところで、多胡運輸への損害賠償のほうは、補修工事が残っていて損害額が確定できていないためか、まだ請求がなされていないようです。あるいは、多胡一族を取り囲むバリアーに尻込みさせられているとする見方もあります。今回、奇しくも同じ場所で起きた事故についても、きちんと補償を運送会社に求めなければ、今後さらに再びこの種の事故が起きた時に、きちんと損害賠償請求ができなくなります。

 いずれにしても、今期の決算報告で、多胡運輸のタンクローリー横転炎上事故で被った巨額損害金の扱い次第では、首都高速道路会社の経営評価に大きな影響を及ぼしかねません。同社の経営陣としては、監査法人と充分に相談して、そろそろ対処方針を決断することが求められる時期にきていると思われます。

【ひらく会情報部】

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農業振興を忘れ「花見酒」状態の農協に果たして明日は来るのか?

2009-02-15 10:13:00 | 群馬県内金融機関不祥事件
■平成21年1月16日(金)に碓東支所の2階会議室でJA碓氷安中の緊急の説明会が開催されました。会場には、JA碓氷安中の幹部が勢揃いしたほか、市役所からも職員が来ており、説明者側は総勢8名でした。一方、参加者側は、平日の昼間であったため、農協組合員の地区支部長と隣組の組合員が主で、年配者が殆どを占めていました。

 JA側の説明の内容は、2月に碓東支所を閉鎖し、近日中に県内の単位農協を全部で6つに再編するため、JA碓氷安中もおそらく今年度末までには近隣のどこかの農協と一緒になる予定だということです。毎年2億円近い赤字体質に陥っていることも報告されました。総代会での収支報告では、毎年、数百万円程度の黒字決算だったはずですが、不良資産を自己査定して、貸倒引当金の金額を、最終的に少しだけ黒字に見せかけるように、逆算してきたツケがいよいよ表面化したようです。

これまで、農協の基盤を支えてきた共済事業や信用事業にも陰りがみえてきたようです。信用事業については、群馬県信連の提携や合併も取り沙汰されているようです。また農協による税金の自動引き落としや、代理業務は今後やめる方針とのことです。


■説明会では非常に重要な問題が提起されたため、出席した各地の組合員から次々と質問が出されました。板鼻の組合員からは「金銭に関係することだけなのか。本日ここに召集した人はそういう人が来ているのか。重大な話なのだから総代にも、こういうときには召集する必要があったのではないのか?」と鋭い質問が出されました。

これに対して、農協側から「総代は総代会(株主総会にあたるイベント)の時だけ出席してもらうことになっており、こういう説明会では総代は不要だ」という回答がありました。

そのほかに参加者からは、ATMの設置がどうなるのか、碓東支所がなくなっても、職員が電話で預金の引き出しや預け入れについて対応してくれないか、碓東支所の建物があくのなら児童保育所として活用できないか、などの質問や要望が出ました。

これに対して、農協側からは、ガソリンスタンド事業は残す、児童保育所は国道が目の前にある場合は設置できない、などという回答がありました。

■まさに耳を疑うような重大説明でしたが、いわゆる株主代表にあたる総代を対象にせず、平日の昼下がりに、地元の農協組合員の支部長らを相手に説明しただけで、一件落着のようです。ちなみに、JA碓氷安中が出している広報誌「めぐみ」には、この話題について掲載されていません。

 しかし、この説明会の背景にあるものを、参加した組合員は敏感に感じ取りました。それは、JA碓氷安中のような資力のない単位農協を、全国津々浦々に傘下として多数持っている農林中央金庫(農林中金)が、例のサブプライム問題等で、巨額の含み損を抱えていることです。

 農林中金は、国内34店舗、海外5店舗を持ち、従業員数2700人余りの金融機関です。全国の農家がJAに預けたカネを吸い上げて、その資金運用のため、国内外の株式や債権、証券化商品に幅広く投資しています。現在の理事長は元農林水産事務次官の上野博史氏です。

 2007年3月期の資本金は1兆4840億円、総資産68兆4872億円、2008年9月期の貸出金残高8兆8000億円、預金残高38兆8000億円でした。多額の預金量に比べて、貸出金が少ないのは、その残りをいろいろな金融商品に投資してからです。そのため、経営破綻したリーマン・ブラザースのような欧米の投資銀行と同様に、債務担保証券(CDO)等への積極的な投資が焦げ付いてしまい、経営を脅かしているのです。

■この国内最大の機関投資家が、資本金を上回る1兆5千億円もの含み損を出し、その補填に公的資金を使わないことを先日発表しました。ということは、各都道府県にある信用農業組合連合会(県信連)やJAが増資に応ずることが既に決定していることになります。傘下のJAが、農林中金の保有する有価証券の目減りを補うというのです。

 県信連やJAの経営も青息吐息ですが、親の危機に、天下りの経営陣の責任を問うことも無く、増資に応じることが既に了解済みのようです。JA碓氷安中も、そうした方針を打ち出したことになります。周辺の他のJAと合併までしても、親を助けなければならない事情はなぜでしょうか。全国の農家から預かったカネを親がスッてしまったので、さらに元金を補充して、農林中金の事業を継続させて、投資を回収できるようにしてやる都合があるようです。

増資について農林中金は「増資の期限は3月末までなので、今まさに各JAで検討してもらっているところ」だと述べています。3月末までに、JA碓氷安中が、早急に近隣のJAと合併しなければならない事情はここにあるようです。全国の農家から預かったカネが紙くずにならないように、さらに、傘下のグループ内から、資本を調達しようというのですが、よく考えてみると、いわゆる落語で知られる「花見酒」という気がします。

■熊さんと八つぁんが、酒を1升買って花見に行く途中、ガマンできずに、熊さんが「100円出すから少し飲ませろ」と八つぁんに頼み込み、チビチビとやっているうちに、今度は八つぁんがこらえきれずに、先ほど受け取った100円を熊さんに払って、グビグビやったと思ったら、それを見ていた熊さんが…、というわけで、花見会場に到着したときには、二人の間に空の1升ビンが転がっていたという話です。

 金融機関の資本増強には、やってはいけない「禁じ手」があります。グループ内で資本を融通しあうやり方で、共倒れにならないようにするために設けた「ダブル・ギアリング規制」というルールです。外部から資金調達をしないで、グループ内で資本の持ち合い(ダブル・ギアリング)を行なうと、グループ内で資金が還流されるだけなので、財務基盤の強化にはならず、花見酒と同じ結果になってしまいます。

農林中金と信連やJAのような「親子関係」にある協同組織の金融機関の持ち合い基準としては、信用金庫や信用組合の場合、「親」金融機関の資本全体の「20%未満」であれば認められています。

 ところが1923年に設立された農林中金の場合、1986年に特別民間法人となり、農林中央金庫法を根拠法とする純粋な民間金融機関となりましたが、同年以降も、相変わらず理事長は歴代農水省事務次官の天下りポストになっており、銀行免許を持つ金融機関でありながら所管が金融庁ではなく農林水産省となっていて、通常の民間金融機関とは異なる側面を持っています。そのため、この持ち合い基準の対象外とされて、傘下のJAから好きなだけ資本調達した分を自己資本に算入できるのです。本当に、組合員が預けた虎の子の預金は大丈夫なのでしょうか。

■2008年11月に、巨額損失にもかかわらず天下りの上野博史理事長に高額報酬が払われていたことが報じられました。2000年から現職に就いた同理事長は2009年6月に任期満了を迎えます。農林中金は、現在、理事長をはじめ13人もいる理事らの報酬を見直す方向で検討中と言われていますが、のらりくらりとしています。その背景には、各地のJAによる増資さえ得られれば、公的資金による資本注入が不要となり、経営責任の反省がうやむやにできると思惑があるようです。

 そこで、心配になった某組合員はさっそく農協に退会届を出そうとしたところ、「直ぐには退会できない決まりになっている」と言われました。天下りの理事長の高額報酬に比べれば一週間分にも満たない金額とはいえ、虎の子の出資金が無事に戻るかどうか、当分やきもきする日が続くといって嘆いています。

■東邦亜鉛安中精錬所の周辺農地の汚染土壌問題でも、農協は解決に向けて何も動こうとしません。岩野谷の大谷地区の農地の真ん中に、サイボウ環境の廃棄物処分場計画が進められたときにも、JA碓氷安中は、サイボウ環境の地元関係者に融資をしたうえに、進入道路建設賛成の同意書を組合長名で市長宛に提出していました。毎年、組合員から500円ずつ徴収している農政カンパと称する募金の使途は、与党政治家への献金等に使われたようですが、その結果、ますますノー政に拍車をかけてきました。

 各農協は、農産物販売や農業資材の購入など農業関連事業の大幅な赤字を、これまで信用事業や共済事業の黒字で穴埋めしてきました。その原資として、農林中金の有価証券運用益による損失補填を毎年3千億円規模で行ってきていました。いよいよ、各農協がそのお返しをすることになります。従来のシステムが危機を救うのか、それとも、破綻して、農協崩壊の引き金となるのか、今年の動向がカギになると思われます。

【ひらく会情報部】

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「二度と電話しねぇでくれ」タゴ事件のカギ握るX氏の問答無用

2009-02-14 16:34:31 | 安中市土地開発公社事件クロニクル

■タゴ事件が市役所内部で発覚した平成7年(1995年)5月18日から半月後、同年6月3日に上毛新聞に初めて記事が掲載され、私たち安中市民は驚愕しました。歴史的な日から、やがて14回目の春を迎える今日この頃ですが、かつて当会が、この空前絶後の事件の関係者へインタビューを敢行した内容を、今あらためて吟味をしてみました。皆さんとともに、この不思議な事件の深淵を見詰め直してみたいと思います。

 タゴは12億円もの骨董品を、「主に栃木の古物商から買った」と供述したことから、古物商の話を聞く必要があると考えた当会では、事件の舞台の一部となった栃木県足利市を平成9年(1997年)5月25日に訪れました。その機会に、くだんの古物商である一品堂を訪問し、同店主からタゴ事件に関する情報を詳しく聴取しました。聴取内容は、07年8月25日の当会のこのブログ「タゴの仲介者はなぜ起訴されないのか」をお読み下さい。

 一品堂店主の説明で判明したのは、次の重要なポイントでした。
(1)タゴが横領金12億円で買ったとされる骨董品について、マスコミは、一品堂が全部売ったかのように報じたが、実際には、一品堂はタゴには相対で一つも売っていない。

(2)一品堂からタゴに流れた骨董品は、全体の3割前後で、総額3億円程度。

(3)警察は、一品堂を、タゴの骨董倉庫内の捜索に起用しており、タゴの共犯とは見ていなかった。

(4)タゴは、一品堂をはじめ、全部で4つの骨董業者から骨董品を買ったが、全て、仲介者を通じて、品物の取り寄せと検分、価格交渉、代金支払を行なっていた。

(5)仲介者は、安中市在住ではない金融関係者で、タゴと非常に親しい人物。

(6)仲介者は、一品堂から骨董品を買付ける際に「昔から持っている地所をゴルフ揚に売って金があるので、将来美術館を作るから、いい品物がほしい」と言っていた。

(7)タゴが購入した骨董品の中には贋物が多数含まれていたが、それらも全て仲介者を通じていた。にもかかわらず、タゴの骨董倉庫の捜査協力で、その事実を知った一品堂店主に対して、警察は、「一品堂から買ったということにしておいてくれ」と固く口止めをしていた。

■タゴ事件の報道で、マスコミは、タゴに大量の骨董品を売りつけていたのは栃木県足利市の一品堂だと報じたので、安中市民はてっきり一品堂がタゴとグルだったのではないかと考えていましたが、実際にインタビューをした結果、警察が情報操作していることが判明したのです。

 そこで、当会では、さっそく1997年5月28日に、捜査関係者とコンタクトして面談を申し込みました。そのやり取りは、当会のブログの2007年9月17日の「安中市土地開発公社事件の深淵…捜査側の感想」をごらん下さい。

 こうして当会は、タゴに骨董品を仲介した金融機関勤務のタゴの親友とされる人物(ここでは仮にX氏としておきます)の話を聞く必要性を痛感しました。X氏が、そんなに重要な立場にあったのであれば、前代未聞のこの巨額詐欺横領事件の真相のカギを握っているはずです。なぜ、警察や検察はその存在と役割を知りながら、なぜタゴの共同正犯として扱わなかったのか。この疑問を解明するためにも、ぜひ、その人物にあって、言い分を聞く必要があったからです。

■そこで、当会では、X氏本人の住所と電話番号を調査したところ、当会会員らの協力によりようやく富岡市内で突き止めることができました。

 そこで当会情報部では97年8月12日の夕方、X氏本人に電話インタビューを敢行しました。目的は、①面談の許可を頂くこと、そのうえで②竹馬の友であるタゴとX氏の関係と、③実際にタゴは骨董品を一つも自分で買ったことはなくすべてXが仲介したことの確認、そして、④骨董品の買付に使ったカネの出所についての説明を聞くことでした。

■最初に電話に出たのは夫人と見られる女性でした。当会ではセールス電話と間違われないように、安中の市民団体であることと、X氏と話がしたいことを予めきちんと告げましたが、不安そうな声で「お待ちください」と言われました。

 やや時間をおいて、押し殺した男性の声が電話から聞こえてきました。当会の紹介の後、氏名を確認し、X氏本人に間違いないことを確信しました。

 次に、この時の当会の上記項目に関する質問に対するX氏の回答を紹介します。冒頭に面談をお願いしましたが、結局、応じてもらえないため、上記②~④について電話で質問しました。しかし、当会の質問には体系だって答えていただけず、取り付くシマが無い状態でのやり取りでした。でも、御本人の狼狽した様子は、手に取るように感じられました。

■X氏の発言は次のように、断片的なものでした。

「私はね、(タゴと)知ってるだけの友人だったですから、それだけですから、私が言ったことは警察の方に言っていただければよくわかるんですよね。」

「(タゴ)ご本人は、もう刑を受けて、現在そういう形になっているんでしょう。それをさあ、私に今頃なんてそんなことを聞こうというんですか。そんなこたぁ、関係ないでしょう。」

「だから(皆さんが事件についての)情報不足と言ったって、もう本人はさあ、(刑を)受けていることでしょう。だから、私なんか、何も関係ないわけなんだもの。」

「今さら、どんな関係だったか、いう必要もないでしょう。」

「今頃、こんなところに聞いてくるなんて、おかしいんだいね。失礼も甚だしいよ。」

「間違った情報ったって、そんなことは、みな、あれでしょう。知っている事でしょう。」

「(しかし、この事件ではわからないことだらけだ、というと)わかんないということは無いんじゃないですか、あれだけハッキリしているじゃないですか。私になんで話をしてくれるんじゃないんでしょうか。」

「今更、聞く必要はないし、私共も関係ないんだから、そんなことを私のところに今から聞くべぇと言うんですか。筋が違うでしょう。」

「(骨董品をタゴが)買ったんだから、事実そうでしょう。」

「(なぜタゴがそれだけの資力があったのかどうかという件について)そんなことは電話で足りるんですか、それで、そんな者を今更さぁ、そんなことは私はもうね、嫌なんですよ。」

「だから失礼だろ! そんなこたぁ。もう本人は実刑されているんだろう。それを何しに私のろころに事情を聞くんですか。本人が言ってる事で間違いは無いんだろう。」

「本人がどこまで言っているかって。そんな事は俺が知るかい。全部、そんな事は。そんな事はね、もう2度と電話しねえでくれ。」(電話がプツンと切れた)

■この電話に対するX氏の反応により、当会ではX氏がタゴ事件解明の重要なカギを握る人物だと確信するに至りました。なぜなら、当会の別ルートでの調査の結果、X氏は、タゴの最も親しい友人であり、麻雀が大好きだったからです。また、X氏の親は、X氏の勤務する金融機関に昔から住み込みで管理人として働いており、当該金融機関のすべてを知り尽くしているので有名だったからです。当会では、実際にX氏の自宅も拝見しましたが、豪邸とよぶにふさわしい立派な自宅にお住まいであることが分かりました。そのため、当会では、X氏の刑事記録や調書について、前橋地検に対して、タゴ事件に関して、とくに次に示す骨董品関連の証拠資料の閲覧請求を粘り強く行ってきました。

**********
【タゴ刑事事件証拠等関係カードのうち骨董品関連の証拠資料】
▼103 供述調書
 H7・06・29(小貫達)
 被告人との交際状況等、被告人に骨董品を販売していた状況、平成3年頃かんら信金職員Xの紹介で被告人と知り合い、長期間多量に被告人タゴに販売していた。
※甲33号 336号として
 立証:被告人に骨盗品を販売していた状況
▼359 捜査報告書
 H7・11・16 小貫達方
▼360 捜査報告(押収)
 H7・11・16
※甲43号 445として
 立証:一品堂を紹介・仲介
▼361 捜査報告(写報)
 一品堂状況
▼362 供述調書
 H7・7・12(小貫達)
 被告人に骨董品を販売していたこと及びその販売価格
▼363 供述調書
 H7・6・12(X)
 被告人に一品堂を紹介し骨董品を仲介
※甲43号 445として
 立証:一品堂を紹介・仲介
▼364 供述調書
 H7・6・21
▼365 供述調書
 H7・7・12
▼366 供述調書
 H7・7・14
▼367 供述肩書
 H7・6・23(佐藤洋一)
 Xに古美術品を販売していた状況
※甲143号 455として
 立証:Xに古美術品を販売していた状況
▼368 供述調書
 H7・8・22(佐藤洋一)
 Xに古美術品を販売していた状況
※甲43号 456として
 立証:Xに古美術品を販売していた状況
▼369 供述調書
 H7・6・30(小林紀一)
 Xに古美術品を販売していた状況
※甲43号 457として
 立証・・Xに古美術品を販売していた状況
▼370 供述調書
 H7・6・30(小林紀一)
 Xに古美術品を販売していた状況
※甲43号 458として
 立証:Xに古美術品を販売していた伏況
**********

ところが、前橋地検は、X氏をはじめタゴと物品や金銭取引の事実があった関係者らの供述調書や関連資料を一切開示せず、もっぱらタゴ本人の供述調書だけを開示しただけでした。それも関係者とのやりとりの部分は黒塗りされていました。

■そこで当会は、平成11年5月28日、同6月14日、同1月15日付けで、再三にわたり詐欺横領の共犯者の捜査申し入れを前橋地検にしました。

 まず、平成11年5月28日に、X氏を告発できるかどうかの相談を高橋検察官に申し入れました。同官のアドバイスに基づいて、同年6月14日に告発状の案を作成して、地検を訪れました。検務課に行こうとして入口の受付に事情を伝え、ロビーで持たされること15分。ちょうど2階から5月28日にX氏告発の相談をした高橋検察事務官が降りてきました。当会の来庁を知ると、途端に緊張した面持ちになりました。「告発状を持ってきたんですか」と訊かれたので「別の書面です」というと、ホッとした表情を浮かべました。

 その後、松本検察事務官に面会し、用意した告発状案を見せました。すると、松本検祭事務官は、「本件は一度、最高検から判断が出ており、前回(平成9年12月25日)の閲覧時、皆さんに非公開理由を書いたもので渡したはずだ。写しが残っている」と釘を刺されました。

■当会は「当時と今とでは事情が違う。ぜひ再考を」と言うと、「民事不介入だから、検察としては…」と言われました。「とにかく慎重に再審査願いたい」と申し入れたところ「判断に1ヶ月ほどかかる」とのことでした。

 そして、持参した告発状について松本検察事務官に再度アドバイスを求めました。検察の回答は次のようなものでした。

 「告発事実に犯罪の事実として、①どこでXが何をした、②その行為はどの罰名に該当するのか、つまりいつどこで誰がそんな義務行為として、③どんな犯罪的構成の行為をしたか、④この裏付けとして状況からどんなことがうかがえるか、⑤人物の相関関係をきちんと記載したか。ひらく会の告発状案を読むと伏況証拠しか言いてない。そうなると実務の段階で告発とするには疎明不十分とされる。また、刑法のほかに、古物法という罰名が上げられているが、古物法は特別法であり刑法には当たらない」などとケチをつけられた挙句、「この告発状では背景や事情について一部分のみ袖出しており、タゴ事件のあらましについての記載も必要なので、とりあえず申上書として提出してはどうか」などと言われました。

 明らかに、タゴの共犯者の告発状を受け取りたくないとする意向がありありと伺えました。

■結局、前橋地検の再審査結果についての判断は次のような理由でした。
 ①本事件は裁判で確定した。
 ②これ以上の事実を特定するのは難しい。
 ③捜査で事実関係はすべて突き詰めたはず。
 ④新たな事実が浮かんでこない。
 ⑤これ以上捜査すると、平穏に生活している人の日常を乱すおそれがある。

 明らかに共犯が疑えるのに、捜査権限を持つ警察や検察は、なぜか捜査に消極的な対応をとり続けました。この結果、タゴ事件の鍵を握る重要人物のひとりと目されるX氏の事件への関与を知りつつ、検察は何も行動を起こさないまま、タゴ事件の刑事犯罪の時効が平成14年5月末に確定してしまったのでした。

■市民からの告発状を受理しようとせず、告発状の書き方について散々ケチをつけた挙句、「疎明不足」と決め付けて時効到来を招いた司直の体質は、現在も連綿と受け継がれており、タゴ事件を取り巻く底知れない不気味なバリアーを形作っています。

 なお、X氏については、当会の会報「まど」2005年4月号でも紹介しましたが、当時、当会の会員読者から住所や氏名、連絡先を散えてほしい、との要請を幾つも頂きました。残念ながら事務局からは開示できませんでしたが、タゴと親しかった安中市の職員のほうがX氏のことはよく知っているはずです。一緒に、賭けマージャンをやった職員も少なからずいるはずだからです。

 タゴ事件が1995年6月3日に新聞報道され、市民が知って仰天した頃、市役所内部では、「職員は報道機関に口をきくな」との訓令が発せられました。もちろん、一般市民にも市役所はいまだにタゴ事件について口をきいてくれません。市民が真実を知り、解決していかなければならない問題は、あまりにも長い間、そのままに残されているように思われます。

【ひらく会情報部】

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