■2016年7月14日の報道によれば、首都高速で2008年にタンクローリーが横転、炎上した事故をめぐり、首都高速道路会社が復旧工事費などの損害賠償を求めた訴訟の判決で、東京地裁(青木晋裁判長)はこの日、群馬県高崎市の運送会社と運転手=業務上失火罪で有罪確定=に約32億8900万円の支払いを命じました。判決では、元請け会社にガソリン運搬を委託した出光興産などへの請求は棄却となりました。
↑めでたく巨額な損害賠償金支払いを免れた多胡運輸。それにしても事業譲渡の受け皿会社が「美正」とはブラックジョークも甚だしい。↑
↑こちらも損害賠償を免れた中曽根ファミリー系企業のホクブトランスポートの本社新社屋。↑
↑27回の口頭弁論に耐え抜いて損害賠償責任を回避した出光興産の本社が入居する帝劇ビル。本来なら大勲位を呼んで祝賀会開催なのだろうか、現在、昭和シェルとの来年4月の合併に創業者の出光家が反対してそれどころではないのかも。↑
青木裁判長は、高架部分の掛け替え費用約17億円の直接損害のほか、通行止めによる営業損失など間接損害も認めました。一方、出光興産については「指揮監督関係が運転手に及んでいたとは認められず、使用者責任は負わない」と判断しました。
このため当会は、この報道に関連してこれまでに次の見解をブログ上で表明しています。
○2016年7月15日:8年前の首都高横転炎上・・・前代未聞の事故に似合う地裁のトンデモ判決から見えてくる安中タゴ事件の怪↓
http://pink.ap.teacup.com/ogawaken/2073.html#readmore
○2016年8月17日:安中公社51億円事件に次いで首都高ローリー横転炎上事件で多胡ファミリーが打立てた金字塔・・・偽装倒産↓
http://pink.ap.teacup.com/ogawaken/2103.html#readmore
■しかし、この判決のニュースのあと、マスコミはその後、首都高が控訴したのかどうかも含めて、全く報道しません。一体、巨額の損害賠償金は、既に破産した多胡運輸と、禁治産者となった元運転手T氏に対して、請求できるのかどうか、首都高と債務返済機構は、この判決に対してどのような見解を持っているのか・・・などなど、疑問が膨らみます。
とくに、タゴ51億円事件であと86年間も横領金の尻拭いをさせられている安中市民としては、タゴの実弟が経営していた多胡運輸の所属タンクローリー横転事故による45億円にのぼる物損事故の損害の帰趨に関わることなので、このまま見過ごすことはできません。
そこで当会では、先日、独立行政法人日本高速道路保有・債務返済機構に対して、同機構のHPに掲げられている「問い合わせ」ページからこの件について2016年10月3日に問い合わせを行ったところ、受信確認のメッセージが到来しました。
※独立行政法人 日本高速道路保有・債務返済機構「お問い合わせ」ページのURL↓
https://www.jehdra.go.jp/toiawase.html
*****10月3日機構から当会へ*****
---------- 受信確認メッセージ ----------
From: 独立行政法人 日本高速道路保有・債務返済機構 <info@jehdra.go.jp>
日付: 2016年10月3日 14:55
件名: 独立行政法人 日本高速道路保有・債務返済機構 お問い合わせ
To: ogawakenpg@gmail.com
─────────────────────────────
独立行政法人 日本高速道路保有・債務返済機構 お問い合わせ
─────────────────────────────
小川賢 様
お問い合わせ、ありがとうございました。
下記内容で承りました。
----------------------------------------------------------
■氏名
□小川賢
■メールアドレス
□ogawakenpg@gmail.com
■住所
□379 - 0114
□群馬県安中市野殿980番地
■電話番号
□090-5302-8312
■FAX
□027-381-0364
■タイトル
□平成28年7月14日の東京地裁における判決に対する貴対応について
■ご意見・ご質問
私は安中市在住市民です。2008年8月3日早朝、多胡運輸の所有するタンクローリーが首都高5号線で横転炎上した事故をめぐり、首都高速道路会社が復旧工事費などの損害賠償を求めた訴訟の判決で、東京地裁(青木晋裁判長)は2016年7月14日、群馬県高崎市の運送会社と運転手=業務上失火罪で有罪確定=に約32億8900万円の支払いを命じ、元請け会社にガソリン運搬を委託した出光興産などへの請求は棄却されました。
この事件で私は、首都高速道路会社に対して、損害額の内訳が判る情報について情報開示請求を行いましたが、不開示処分とされたため、上級庁である御機構に対して情報開示請求をしたところ、これも全面的に不開示処分となったため、内閣府情報開示・個人情報保護審査会に不服申立てをした結果、部分開示となった経緯があります。
それが縁で、2012年11月当時、御機構総務部総務課の中村係長と今別府係員のお二人と面談し、情報開示を受けた際、御機構が後ろ盾となっている首都高速道路会社による出光興産、ホクブトランスポート及び多胡運輸を相手取った損害賠償請求と、関東交通共済協同組合を相手取った保険金支払請求の2つの訴訟のことを教えてもらいました。
当時、後者については、控訴審が争われており首都高速道路会社が一審勝訴のあとの勝訴審でしたので、その後首都高・御機構側が勝訴されたものと思われます。
前者についても、平日に一度東京地裁で傍聴しましたが、多胡運輸もホクブトランスポートも出廷せず、出光興産と御機構側の代理人との間で攻防が繰り広げられていました。
そしてこの度、今年の7月14日に、既に倒産して、実質的に事業を「美正」にそのまま係争した多胡運輸と、事故当時の運転手に対して損害賠償請求せよ、という仰天判決がくだされました。
そこで次の質問があります。ぜひ御機構の御見解をお聞かせくださるようお願い申し上げます。
(1) すでにこの事件で7月14日の判決を不服として、控訴手続きはおとりになりましたか。
(2) あるいは、この事件で7月14日の判決を受け入れて、控訴手続きはおとりになりませんでしたか。
(3) 控訴手続きをおとりにならなかった場合、その理由はなんでしょうか。
(4) 巷間情報では、多胡運輸がすでに破産手続きをとっていることから、首都高速道路。御機構側として請求額を特別損失で処理できるので、当該金額まで税金を払う必要がなくなり、しかも、内部的に責任問題も生じないことから、控訴しないのではないか、という見方があります。これについて御機構の見解をお示しくださいますか。
もし、御機構が控訴しなかったとなると、地方自治体では史上最大級とみられる安中市土地開発公社を巡る事件と同様に、多胡運輸による社会への損害は、今回もまた我々の血税あるいは利用料で尻拭いされることになり、あと86年間、毎年元職員の豪遊のツケを毎年2000万円ずつ群馬銀行に支払わされる安中市民としては忸怩たる思いでいっぱいです。せめて、首都高速道路会社・御機構におかれましては、なんとか原因者に損害賠償請求を求めてくださるようお願いしたいと、今でもやりきれない気持ちです。
ご多忙中誠に恐縮ですが、早期のご返事をお待ちしております。
─────────────────────────────
*****10月5日機構から当会へ*****
---------- 受信メッセージ ----------
From: 高速道路機構 <info@jehdra.go.jp>
日付: 2016年10月5日 9:42
件名: Re: 独立行政法人 日本高速道路保有・債務返済機構 お問い合わせ
To: ogawakenpg@gmail.com
小川 賢 様
高速道路機構でございます。
このたびはホームページよりお問合せいただき、ありがとうございます。
お問合せのありました、7月14日判決のあった訴訟については、
首都高速道路株式会社が事故の原因者を相手に行っているものであり、
当機構としてお答えできる立場にございません。
また、仮に首都高速道路株式会社が控訴しなかったとしても、
当機構はその理由を知る立場にもございません。
何卒ご理解いただけますようお願い申し上げます。
(独)日本高速道路保有・債務返済機構 総務課
*****10月5日当会から機構へ*****
---------- 発信メッセージ ----------
From: masaru ogawa <ogawakenpg@gmail.com>
日付: 2016年10月5日 10:11
件名: Re: 独立行政法人 日本高速道路保有・債務返済機構 お問い合わせ
To: 高速道路機構 <info@jehdra.go.jp>
機構 総務課御中
貴メッセージ拝読しました。
首都高に聞いても、おそらく以前の情報公開請求と同様、事務事業に影響するので一切コメントできない、という可能性が高いと思われます。そのため、御機構にお願いしたのですが、それも却下されて不服申し立てをし、都合3年近くの時間を要しました。
これほど社会的なインパクトのあるトピックスについて、公益組織である御機構が、記者発表もせず、納税者・利用者である市民に対して見解さえ示せないというのが全く理解できません。
不平を言っていても埒が開かないので、これから首都高速道路会社に公開質問を出すことにします。
群馬県安中市野殿980番地
小川賢
**********
■機構が、当会の質問への回答を拒否してきたため、今度は首都高に対して電話で問い合わせることにしました。
※首都高「首都高お客様センター」のURL:
http://www.shutoko.jp/inquiry/customercenter/
**********
首都高お客様センター
首都高に関する次のご質問に、最新情報でお答えします。
・所要時間 ・渋滞・混雑状況 ・入口閉鎖状況
首都高に不慣れな方にも、分かりやすく親切な道案内をいたします。
首都高ドライブMAPの送付をご希望される方は、首都高お客様センターに電話にてお申込ください。
(在庫数の関係から、送付は、お一人様一部ずつとさせていただきます。)
その他、首都高に関するすべてのご質問、お問い合わせ、ご意見、ご要望を承ります。
TEL 03-6667-5855
FAX 03-3249-1161(耳が不自由な方専用)
営業時間 7:00〜20:00(年中無休)
(営業時間外は自動音声で5分ごとの最新の道路交通情報を提供しています)
**********
首都高お客様センターでは電話での受付しかしてくれないため、機構への問い合わせ内容を参考にしつつ、予め次の原稿を用意しました。そして10月14日11時40分頃に電話口に出た石野さんという女性職員のかたに問い合わせ内容を説明しました。
*****質問・問い合わせ内容*****
私は安中市在住市民です。
2008年8月3日早朝、多胡運輸の所有するタンクローリーが首都高5号線で横転炎上した事故をめぐり、御社が復旧工事費などの損害賠償を求めた訴訟の判決で、東京地裁(青木晋裁判長)は2016年7月14日、群馬県高崎市の運送会社と運転手=業務上失火罪で有罪確定=に約32億8900万円の支払いを命じ、元請け会社にガソリン運搬を委託した出光興産などへの請求は棄却されました。
この事件で私は、御社に対して、損害額の内訳が判る情報について情報開示請求を行いましたが、不開示処分とされたため、上級庁である債務返済機構に対して情報開示請求をしたところ、これも全面的に不開示処分となったため、総理府情報開示・個人情報保護審査会に不服申立てをした結果、部分開示となった経緯があります。
その過程で御社による出光興産、ホクブトランスポート及び多胡運輸を相手取った損害賠償請求と、関東トラック協会を相手取った保険金支払請求の2つの訴訟のことを知りました。
当時、後者については、控訴審が争われており御社が一審勝訴のあとの控訴審でしたので、その後御社が勝訴されたものと思われます。
前者についても、平日に一度東京地裁で傍聴したことがありますが、多胡運輸もホクブトランスポートも出廷せず、出光興産と御社側の代理人との間で攻防が繰り広げられていました。
そしてこの度、今年の7月14日に、既に倒産して、実質的に事業を「美正」にそのまま係争した多胡運輸と、事故当時の運転手に対して損害賠償請求せよ、というサプライズ判決がくだされました。
そこで次の質問があります。ぜひ御社の御見解をお聞かせくださるようお願い申し上げます。
(1)すでにこの事件で7月14日の判決を不服として、控訴手続きはおとりになりましたか。
(2)あるいは、この事件で7月14日の判決を受け入れて、控訴手続きはおとりになりませんでしたか。
(3)控訴手続きをおとりにならなかった場合、その理由はなんでしょうか。
(4)巷間情報では、多胡運輸がすでに破産手続きをとっていることから、御社として請求額を特別損失で処理できるので、当該金額まで税金を払う必要がなくなり、しかも、内部的に責任問題も生じたいことから、控訴しないのではないか、という見方があります。これについて御社の見解をお示しくださいますか。
もし、御社が控訴しなかったとなると、地方自治体では史上最大級とみられる安中市土地開発公社を巡る事件と同様に、多胡運輸による社会への損害は、今回もまた我々の血税あるいは利用料で尻拭いされることになり、あと86年間、毎年元職員の豪遊のツケを毎年2000万円ずつ群馬銀行に支払わされる安中市民としては忸怩たる思いでいっぱいです。せめて、御社におかれましては、なんとか原因者に損害賠償請求を求めてくださるようお願いしたいと、今でもやりきれない気持ちです。
ご多忙中誠に恐縮ですが、早期のご返事をお待ちしております。
なお、この問い合わせに先立ち、独立行政法人 日本高速道路保有・債務返済機構にも問い合わせてみました。
その結果、「今年7月14日判決のあった訴訟については、首都高速道路株式会社が事故の原因者を相手に行っているものであり、当機構としてお答えできる立場にございません。 また、仮に首都高速道路株式会社が控訴しなかったとしても、当機構はその理由を知る立場にもございません。」ということで、御社に問い合わせるように言われています。
なにとぞよろしくご対応のほどよろしくお願い申し上げます。
**********
■すると、受付の石野さんが当会の口頭説明を一生懸命メモにとった成果なのでしょうか。同日午後1時半ごろ、首都高総務課の山田氏(TEL03-3539-9329)から回答の電話がありました。その内容は次の通りです。
(1)すでにこの事件で7月14日の判決を不服として、控訴手続きはおとりになりましたか。
⇒ 【首都高回答】控訴していません。
(2) あるいは、この事件で7月14日の判決を受け入れて、控訴手続きはおとりになりませんでしたか。
⇒【首都高回答】はい。
(3) 控訴手続きをおとりにならなかった場合、その理由はなんでしょうか。
⇒【首都高回答】東京地裁における裁判は非常に長期にわたり、4年半にもなった。この間、口頭弁論期日は27回を数え、機構も首都高もともに「審議をし尽くした」という認識でいる。また判決では、首都高・機構側の主張である間接的な営業損失による損害についても全面的に認められたこと。このため、今後、類似事件が発生した場合、営業がストップさせられたことによる損害についても請求が認められる、という判例が得られたことも一審判決を受け入れる理由となった。
(4) 巷間情報では、多胡運輸がすでに破産手続きをとっていることから、御社として請求額を特別損失で処理できるので、当該金額まで税金を払う必要がなくなり、しかも、内部的に責任問題も生じたいことから、控訴しないのではないか、という見方があります。これについて御社の見解をお示しくださいますか。
⇒【首都高回答】上記(3)の理由がすべてであり、巷間情報のことはしらない。裁判で立証しつくしたことで、首都高はもとより機構側も、有料道路を運営する立場からNEXCO全社としても、今後営業損失も請求出来得るという判決が得られたことで、判決には満足している。
■こうして、安中土地開発公社51億円事件の巨額横領金が結局安中市民に転嫁されたのと同様に、8年前の2008年8月3日(日)早朝に起きた首都高5号線熊野町ジャンクション付近でのタンクローリー横転炎上事故による45億円の損害金も、結局利用者に転嫁されることになりました。
恐るべし多胡運輸!
なぜなら多胡運輸は、タゴ51億円事件の関係者を軸にした群馬県の保守政治従事者の皆さまの手厚いご加護の下、首都高・機構側が束になってかかった4年半に亘る民事訴訟でも、結局カメレオンのように、社名をいち早く「美正」と変更し、以前と同じように何事もなかったかの如く、同じ場所で操業しているのです。
首都高ローリー横転炎上事件はこうして完全な幕引きまで、多胡運輸の破産手続きを残すのみとなりました。
*****倒産情報公告資料室*****
※官報URL:http://kanpou.makelog.net/2016/08/16/6838-19/
平成28年(フ)第1 6 2号
群馬県高崎市箕郷町上芝*****
債務者 多胡運輸株式会社
1 決定年月日時 平成28年8月4日午後5時
2 主文 債務者について破産手続を開始する。
3 破産管財人 弁護士 都木 幹仁
4 財産状況報告集会・廃止意見聴取・計算報告の期日 平成28年11月9日午前11時
前橋地方裁判所高崎支部
**********
【ひらく会情報部】
※関連情報「多胡運輸破産手続の債権者対応」
**********企業法務ナビ 2016/08/31 17:00投稿 fukuyama
https://www.corporate-legal.jp/%E6%B3%95%E5%8B%99navi%E3%81%BE%E3%81%A8%E3%82%81/7567
【法務NAVIまとめ】首都高ローリー横転事故にみる破産手続の債権者対応まとめ
●はじめに
首都高での事故をきっかけとして巨額の賠償責任を負った運送業者が破産しました。本件を題材として、破産手続開始決定の通知書が送られてきた場合の社内対応の要点を確認します。使用者責任の点については、過去記事をご参照ください。
参照:弊社サイト「企業法務ナビ」2016年7月19日:首都高炎上の運送会社に32億円の賠償命令、使用者責任について↓
https://www.corporate-legal.jp/%E6%B3%95%E5%8B%99%E3%83%8B%E3%83%A5%E3%83%BC%E3%82%B9/%E4%BC%81%E6%A5%AD/6814
●事案の概要(過去記事より抜粋)
2008年8月3日早朝、群馬県高崎市の運送会社多胡運輸所有のタンクローリーが首都高速熊野町ジャンクション内のカーブで速度超過により曲がりきれず横転・炎上しました。タンクローリーには約16キロリットルのガソリンと4キロリットルの軽油を積載し、埼玉県内のガソリンスタンドに向けて輸送していました。積み荷の燃料は約5時間半に渡って炎上し2階建構造の上層部分の路面を熱で変形させました。道路は長さ40m、深さ最大60cm沈下し北池袋から板橋JCTまでが上下線とも通行止めとなりました。8月9日には片側1車線通行で仮復旧したものの全面復旧までには約2ヶ月半を要しました。首都高速道路会社は多胡運輸と運転手および輸送を発注した出光興産に復旧工事費と逸失利益分で約45億円の賠償を求め東京地裁に提訴していました。
※多胡運輸は、既に、2016年8月4日に破産開始決定が出されている。
●破産手続きとは
破産手続きとは、債権の平等な分配を図り、抜け駆け的な債権回収を防止する目的で行われる、財産の分配手続です。
債権者は、債務者に対して債権を有している限り、これを行使して債権回収を図ることができるとするのが民法上の原則といえます。しかし、破産の場合、多くの利害関係人が出現する可能性があり、抜け駆け的な債権回収は、債権者の公平を損ないます。そこで、破産法をはじめとした倒産法がこれに修正を加え、破産手続きの中で、債権者に対する公平な分配を図る仕組みが採用されています。
破産手続きには、以下の類型があります。
・管財事件
裁判所により、破産管財人が選任され、破産者の財産を調査・管理・換価処分し,それによって得た金銭を各債権者に弁済または配当するという破産手続の事件類型です。管財事件の場合、届出→調査→確定→配当という破産手続きが進んでいくことになります。
・同時廃止事件
裁判所によって破産管財人が選任されず,破産手続の開始と同時に破産手続が廃止により終了するという破産手続の事件類型です。いかなる場合に同時廃止事件となるかといえば、債権者に弁済または配当すべき財産(破産財団)が集まらない場合などがあります。
破産事件の場合、多数の債権者が破産財産からの債権回収に殺到することが想定されるため、多くの債権者の利害調整の観点から、破産管財人には弁護士が選任されます。
●破産手続きの開始
裁判所に対する破産の申し立てにより、破産手続きが開始します。破産手続きが開始したら、破産管財人は、財産を調査・管理を行い、順次換価処分を行っていくことになります。また、破産した会社が締結していた契約などを解約していき、財産の分配の準備を進めていきます。
また、裁判所から、債権者に対して破産手続開始決定の通知が各債権者に送られることになります。
法務担当者はこの時点で、自社が債権を有する会社の破産手続きが開始されたことを知ることになり、破産手続に参加する準備を進めていくことになります。
●破産手続き開始決定の通知書が届いたら・・・
破産手続き開始決定の通知書の例(pdf)
参照:麹町パートナーズ法律事務所(pdf)↓
http://www.k-partners.jp/kaishikettei.pdf
※破産債権は、裁判所に届出なければ、回収できない。したがって、破産債権の開始決定の通知がされた場合、裁判所に対して破産債権の届出を行う必要がある。
破産手続き開始決定の通知書に記載すべき事項は、
〇破産債権者の表示
・住所
・通知場所
・氏名又は法人名・代表者名
〇破産債権の表示
・届出破産債権の種類
(売掛金、貸付金、給料、退職金、解雇予告手当、手形・小切手債権、租税、約定利息金、遅延損害金)
・別除権の種類及び訴訟の有無
別除権については後述します。
・執行力ある終局判決ないし債務名義の存在の有無
・債権を証明する文書の添付
破産債権の届出を行う場合には、請求書、借用書など、債権を証明する文書をコピーして準備する必要がある。
●届出の場所
届出の場所は、破産開始決定通知書に記載されています。
届出場所については、裁判所や、破産管財人の所属する法律事務所内などが通例です。
●届出の期間
原則として、破産手続開始決定の日から2週間以上4か月以内で指定される。
届出の手続きについては、以下のHPが参考になります。
参考:おくだ総合法律事務所のHPのURL↓
http://www.okuda-jikohasan.com/%E7%A0%B4%E7%94%A3-%E8%87%AA%E5%B7%B1%E7%A0%B4%E7%94%A3/%E5%82%B5%E6%A8%A9%E8%80%85%E3%81%AE%E7%AB%8B%E5%A0%B4%E3%81%8B%E3%82%89/%E5%82%B5%E6%A8%A9%E3%81%AE%E5%B1%8A%E5%87%BA/
●債権者集会
債権者集会の開催日時等は、破産開始決定通知書に記載されています。
債権者集会では、破産管財人による収支報告、財産の報告などがなされます。しかし、実態は多くの破産事件で債権者が参加しない簡素な手続となっているのが現状のようです。
参照:中村・安藤法律事務所のHPのURL↓
http://www.nakamura-ando-hasan.com/930/93010q/
※債権者集会では、配当が確定されず、債権調査期日で確定されることから、債権者集会に出席しなかったことを理由とした不利益な取扱いは行われない。
参考:おくだ総合法律事務所のHPのURL↓
http://www.okuda-jikohasan.com/%E7%A0%B4%E7%94%A3-%E8%87%AA%E5%B7%B1%E7%A0%B4%E7%94%A3/%E5%82%B5%E6%A8%A9%E8%80%85%E3%81%AE%E7%AB%8B%E5%A0%B4%E3%81%8B%E3%82%89/%E5%82%B5%E6%A8%A9%E3%81%AE%E5%B1%8A%E5%87%BA/
●債権調査期日
債権者集会に引き続いて、債権者集会が破産事件における管財人の報告、管財業務の方針ならびに当該破産事件に必要な決議をなす手続きであるのに対し、債権調査期日は、債権者から提出された破産債権届出書に記載された債権について、管財人が破産債権としての認否を行う手続きです。
参照:飯田総合法律事務所のHPのURL↓
http://www.iida-sogo.gr.jp/qa/qa04/qa04_a12.html
●債権の確定
債権調査期日において、管財人は、債権者から提出された破産債権届出書から債権認否表を作成し、当該債権について破産債権として認めるのか、あるいは認めない(異議)のかを、債権認否表に記載します。
破産債権が認めれた場合には、当該債権はそのまま確定します。
破産債権が認められなかった場合には・・・
〇債権査定決定の申し立て
届出のあった破産債権について、管財人、再生債務者または他の届出債権者等が、決定送達日から1ヶ月以内に異議を述べた場合に、当該異議を述べられた債権者が、その債権の迅速な確定のため、裁判所に対し、債権の存否・内容等について決定手続で判断することを求める申立てです。
参照:シティユーワ法律事務所のHPのURL↓
http://www.city-yuwa.com/explain/ex_glossary/detail/saikensatei.html
・争いのある破産債権についての調査期間の末日または調査期日から1か月以内
・その額等の確定のために、破産管財人および異議を述べた届出破産債権者の全員を相手方として
・破産裁判所に、その額等の査定の申立をすることができる(破産法125条1項)
〇申立て書式例
参照:厚木 相模側川法律事務所ブログ↓
http://ameblo.jp/sagamigawar/entry-11868608207.html
裁判所への提出物は
・申立所 2通(裁判所用正本と管財人弁護士用副本)
・証拠書類 各2部(裁判所用と管財人弁護士用)
・資格証明書(申立人が法人の場合)
・委任状(代理人が提出する場合)
査定決定に不服がある場合には・・・
〇債権査定異議の訴え
通常訴訟の手続きで債権の存否・内容等が判断されることになります。
参照:お金のトラブルドットコム↓
http://okanetotrouble.com/1hasantetuzuki/08
●配当
「財団債権」が破産手続き外で優先的に弁済されたあとに、配当表にしたがって、「破産債権」が弁済されることになります。配当によって、破産手続きの目的は達成されるため、報告の後に手続は終了となります。
参照:LSC法律事務所のHPのURL↓
https://www.houjintousan.jp/hasan/shuuryou/haitou.html
●その他注意点
〇別除権(債権に担保をとってるんだけど・・・)
破産債権に担保権が設定されている場合に、破産手続き外で優先権を主張できる場合があります。この場合、配当手続によらずに弁済を受けられる場合があるため、債権の届出の際に、特に裁判所に届け出る必要があります。
参照:同上↓
https://www.houjintousan.jp/hasan/betujoken/koushi.html
●コメント
多胡運輸の例でみれば、多胡運輸は33億円の負債総額を有しています。多胡運輸に対して債権を有する債権者は、破産手続開始通知をうけた後に、自社が有している債権の届けを作成し、通知に記載されている届出場所に期間内に提出する必要があります。その際に、債権を証明する文書をコピーして添付する必要があります。
その際に、担保を有している場合には、別除権を主張できる場合があるため、特に届け出る必要があります。その後、債権調査手続、債権の確定、配当を経て、債権回収を図っていくことになります。
**********
※参考情報「株式会社 美正」
**********HP ⇒ http://www.gunma-bisyo.com/index.html
一般貨物自動車運送事業 関東運輸局認証整備工場
株式会社 美正
美正は生活に必要な物流の安心・安全・安定的な供給に全社一丸となって取り組みます。
TEL027-386-8011
群馬県高崎市箕郷町上芝541-2
2016.9.4 求人情報公開しました
県内配送のみ 日勤 配送件数は1日5〜10件程度
業務内容:3t小型車ドライバー
要資格:旧普通免許
時間:6:30~15:30
休日:年間95日程度
待遇:社会保険完備 交通費支給 作業服貸与
※電話連絡の上、履歴書(写真貼付)をご持参ください。
★お気軽にお問い合わせください★
(担当 櫻澤)
●ごあいさつ
高崎市箕郷町を拠点に、燃料をはじめ生活に必要な物資の配送請負業務を中心に業務を行っております。
群馬県を中心に営業致しておりますが、ご依頼いただければ日本全国各地にお運び致します。
今後とも株式会社美正をよろしくお願い致します。
●整備工場(関東運輸局認定整備工場)
配送業務に使われる業務車両の整備・点検・修理をはじめ車検も行い、もちろん一般車両も同様にの修理点検、車検も行っております。
●保有車輛
主にガスおよびプロパン燃料を運送する車種
2トン車平ボディ・パワーゲート付き3トン車・7トンのユニック車
●沿革・会社案内
社名 株式会社 美正
代表者 桜澤 章(さくらざわ あきら)
事業内容 一般貨物運送事業、関東運輸局認定整備工場にて車両整備
所在地 〒370-3104群馬県高崎市箕郷町上芝541番地2
TEL:027-386-8011
FAX:027-386-8012
設立 平成13年12月21日
社員数 48名
資本金 300万円
売上高 3億5千万円(平成25年度決算)
**********
↑めでたく巨額な損害賠償金支払いを免れた多胡運輸。それにしても事業譲渡の受け皿会社が「美正」とはブラックジョークも甚だしい。↑
↑こちらも損害賠償を免れた中曽根ファミリー系企業のホクブトランスポートの本社新社屋。↑
↑27回の口頭弁論に耐え抜いて損害賠償責任を回避した出光興産の本社が入居する帝劇ビル。本来なら大勲位を呼んで祝賀会開催なのだろうか、現在、昭和シェルとの来年4月の合併に創業者の出光家が反対してそれどころではないのかも。↑
青木裁判長は、高架部分の掛け替え費用約17億円の直接損害のほか、通行止めによる営業損失など間接損害も認めました。一方、出光興産については「指揮監督関係が運転手に及んでいたとは認められず、使用者責任は負わない」と判断しました。
このため当会は、この報道に関連してこれまでに次の見解をブログ上で表明しています。
○2016年7月15日:8年前の首都高横転炎上・・・前代未聞の事故に似合う地裁のトンデモ判決から見えてくる安中タゴ事件の怪↓
http://pink.ap.teacup.com/ogawaken/2073.html#readmore
○2016年8月17日:安中公社51億円事件に次いで首都高ローリー横転炎上事件で多胡ファミリーが打立てた金字塔・・・偽装倒産↓
http://pink.ap.teacup.com/ogawaken/2103.html#readmore
■しかし、この判決のニュースのあと、マスコミはその後、首都高が控訴したのかどうかも含めて、全く報道しません。一体、巨額の損害賠償金は、既に破産した多胡運輸と、禁治産者となった元運転手T氏に対して、請求できるのかどうか、首都高と債務返済機構は、この判決に対してどのような見解を持っているのか・・・などなど、疑問が膨らみます。
とくに、タゴ51億円事件であと86年間も横領金の尻拭いをさせられている安中市民としては、タゴの実弟が経営していた多胡運輸の所属タンクローリー横転事故による45億円にのぼる物損事故の損害の帰趨に関わることなので、このまま見過ごすことはできません。
そこで当会では、先日、独立行政法人日本高速道路保有・債務返済機構に対して、同機構のHPに掲げられている「問い合わせ」ページからこの件について2016年10月3日に問い合わせを行ったところ、受信確認のメッセージが到来しました。
※独立行政法人 日本高速道路保有・債務返済機構「お問い合わせ」ページのURL↓
https://www.jehdra.go.jp/toiawase.html
*****10月3日機構から当会へ*****
---------- 受信確認メッセージ ----------
From: 独立行政法人 日本高速道路保有・債務返済機構 <info@jehdra.go.jp>
日付: 2016年10月3日 14:55
件名: 独立行政法人 日本高速道路保有・債務返済機構 お問い合わせ
To: ogawakenpg@gmail.com
─────────────────────────────
独立行政法人 日本高速道路保有・債務返済機構 お問い合わせ
─────────────────────────────
小川賢 様
お問い合わせ、ありがとうございました。
下記内容で承りました。
----------------------------------------------------------
■氏名
□小川賢
■メールアドレス
□ogawakenpg@gmail.com
■住所
□379 - 0114
□群馬県安中市野殿980番地
■電話番号
□090-5302-8312
■FAX
□027-381-0364
■タイトル
□平成28年7月14日の東京地裁における判決に対する貴対応について
■ご意見・ご質問
私は安中市在住市民です。2008年8月3日早朝、多胡運輸の所有するタンクローリーが首都高5号線で横転炎上した事故をめぐり、首都高速道路会社が復旧工事費などの損害賠償を求めた訴訟の判決で、東京地裁(青木晋裁判長)は2016年7月14日、群馬県高崎市の運送会社と運転手=業務上失火罪で有罪確定=に約32億8900万円の支払いを命じ、元請け会社にガソリン運搬を委託した出光興産などへの請求は棄却されました。
この事件で私は、首都高速道路会社に対して、損害額の内訳が判る情報について情報開示請求を行いましたが、不開示処分とされたため、上級庁である御機構に対して情報開示請求をしたところ、これも全面的に不開示処分となったため、内閣府情報開示・個人情報保護審査会に不服申立てをした結果、部分開示となった経緯があります。
それが縁で、2012年11月当時、御機構総務部総務課の中村係長と今別府係員のお二人と面談し、情報開示を受けた際、御機構が後ろ盾となっている首都高速道路会社による出光興産、ホクブトランスポート及び多胡運輸を相手取った損害賠償請求と、関東交通共済協同組合を相手取った保険金支払請求の2つの訴訟のことを教えてもらいました。
当時、後者については、控訴審が争われており首都高速道路会社が一審勝訴のあとの勝訴審でしたので、その後首都高・御機構側が勝訴されたものと思われます。
前者についても、平日に一度東京地裁で傍聴しましたが、多胡運輸もホクブトランスポートも出廷せず、出光興産と御機構側の代理人との間で攻防が繰り広げられていました。
そしてこの度、今年の7月14日に、既に倒産して、実質的に事業を「美正」にそのまま係争した多胡運輸と、事故当時の運転手に対して損害賠償請求せよ、という仰天判決がくだされました。
そこで次の質問があります。ぜひ御機構の御見解をお聞かせくださるようお願い申し上げます。
(1) すでにこの事件で7月14日の判決を不服として、控訴手続きはおとりになりましたか。
(2) あるいは、この事件で7月14日の判決を受け入れて、控訴手続きはおとりになりませんでしたか。
(3) 控訴手続きをおとりにならなかった場合、その理由はなんでしょうか。
(4) 巷間情報では、多胡運輸がすでに破産手続きをとっていることから、首都高速道路。御機構側として請求額を特別損失で処理できるので、当該金額まで税金を払う必要がなくなり、しかも、内部的に責任問題も生じないことから、控訴しないのではないか、という見方があります。これについて御機構の見解をお示しくださいますか。
もし、御機構が控訴しなかったとなると、地方自治体では史上最大級とみられる安中市土地開発公社を巡る事件と同様に、多胡運輸による社会への損害は、今回もまた我々の血税あるいは利用料で尻拭いされることになり、あと86年間、毎年元職員の豪遊のツケを毎年2000万円ずつ群馬銀行に支払わされる安中市民としては忸怩たる思いでいっぱいです。せめて、首都高速道路会社・御機構におかれましては、なんとか原因者に損害賠償請求を求めてくださるようお願いしたいと、今でもやりきれない気持ちです。
ご多忙中誠に恐縮ですが、早期のご返事をお待ちしております。
─────────────────────────────
*****10月5日機構から当会へ*****
---------- 受信メッセージ ----------
From: 高速道路機構 <info@jehdra.go.jp>
日付: 2016年10月5日 9:42
件名: Re: 独立行政法人 日本高速道路保有・債務返済機構 お問い合わせ
To: ogawakenpg@gmail.com
小川 賢 様
高速道路機構でございます。
このたびはホームページよりお問合せいただき、ありがとうございます。
お問合せのありました、7月14日判決のあった訴訟については、
首都高速道路株式会社が事故の原因者を相手に行っているものであり、
当機構としてお答えできる立場にございません。
また、仮に首都高速道路株式会社が控訴しなかったとしても、
当機構はその理由を知る立場にもございません。
何卒ご理解いただけますようお願い申し上げます。
(独)日本高速道路保有・債務返済機構 総務課
*****10月5日当会から機構へ*****
---------- 発信メッセージ ----------
From: masaru ogawa <ogawakenpg@gmail.com>
日付: 2016年10月5日 10:11
件名: Re: 独立行政法人 日本高速道路保有・債務返済機構 お問い合わせ
To: 高速道路機構 <info@jehdra.go.jp>
機構 総務課御中
貴メッセージ拝読しました。
首都高に聞いても、おそらく以前の情報公開請求と同様、事務事業に影響するので一切コメントできない、という可能性が高いと思われます。そのため、御機構にお願いしたのですが、それも却下されて不服申し立てをし、都合3年近くの時間を要しました。
これほど社会的なインパクトのあるトピックスについて、公益組織である御機構が、記者発表もせず、納税者・利用者である市民に対して見解さえ示せないというのが全く理解できません。
不平を言っていても埒が開かないので、これから首都高速道路会社に公開質問を出すことにします。
群馬県安中市野殿980番地
小川賢
**********
■機構が、当会の質問への回答を拒否してきたため、今度は首都高に対して電話で問い合わせることにしました。
※首都高「首都高お客様センター」のURL:
http://www.shutoko.jp/inquiry/customercenter/
**********
首都高お客様センター
首都高に関する次のご質問に、最新情報でお答えします。
・所要時間 ・渋滞・混雑状況 ・入口閉鎖状況
首都高に不慣れな方にも、分かりやすく親切な道案内をいたします。
首都高ドライブMAPの送付をご希望される方は、首都高お客様センターに電話にてお申込ください。
(在庫数の関係から、送付は、お一人様一部ずつとさせていただきます。)
その他、首都高に関するすべてのご質問、お問い合わせ、ご意見、ご要望を承ります。
TEL 03-6667-5855
FAX 03-3249-1161(耳が不自由な方専用)
営業時間 7:00〜20:00(年中無休)
(営業時間外は自動音声で5分ごとの最新の道路交通情報を提供しています)
**********
首都高お客様センターでは電話での受付しかしてくれないため、機構への問い合わせ内容を参考にしつつ、予め次の原稿を用意しました。そして10月14日11時40分頃に電話口に出た石野さんという女性職員のかたに問い合わせ内容を説明しました。
*****質問・問い合わせ内容*****
私は安中市在住市民です。
2008年8月3日早朝、多胡運輸の所有するタンクローリーが首都高5号線で横転炎上した事故をめぐり、御社が復旧工事費などの損害賠償を求めた訴訟の判決で、東京地裁(青木晋裁判長)は2016年7月14日、群馬県高崎市の運送会社と運転手=業務上失火罪で有罪確定=に約32億8900万円の支払いを命じ、元請け会社にガソリン運搬を委託した出光興産などへの請求は棄却されました。
この事件で私は、御社に対して、損害額の内訳が判る情報について情報開示請求を行いましたが、不開示処分とされたため、上級庁である債務返済機構に対して情報開示請求をしたところ、これも全面的に不開示処分となったため、総理府情報開示・個人情報保護審査会に不服申立てをした結果、部分開示となった経緯があります。
その過程で御社による出光興産、ホクブトランスポート及び多胡運輸を相手取った損害賠償請求と、関東トラック協会を相手取った保険金支払請求の2つの訴訟のことを知りました。
当時、後者については、控訴審が争われており御社が一審勝訴のあとの控訴審でしたので、その後御社が勝訴されたものと思われます。
前者についても、平日に一度東京地裁で傍聴したことがありますが、多胡運輸もホクブトランスポートも出廷せず、出光興産と御社側の代理人との間で攻防が繰り広げられていました。
そしてこの度、今年の7月14日に、既に倒産して、実質的に事業を「美正」にそのまま係争した多胡運輸と、事故当時の運転手に対して損害賠償請求せよ、というサプライズ判決がくだされました。
そこで次の質問があります。ぜひ御社の御見解をお聞かせくださるようお願い申し上げます。
(1)すでにこの事件で7月14日の判決を不服として、控訴手続きはおとりになりましたか。
(2)あるいは、この事件で7月14日の判決を受け入れて、控訴手続きはおとりになりませんでしたか。
(3)控訴手続きをおとりにならなかった場合、その理由はなんでしょうか。
(4)巷間情報では、多胡運輸がすでに破産手続きをとっていることから、御社として請求額を特別損失で処理できるので、当該金額まで税金を払う必要がなくなり、しかも、内部的に責任問題も生じたいことから、控訴しないのではないか、という見方があります。これについて御社の見解をお示しくださいますか。
もし、御社が控訴しなかったとなると、地方自治体では史上最大級とみられる安中市土地開発公社を巡る事件と同様に、多胡運輸による社会への損害は、今回もまた我々の血税あるいは利用料で尻拭いされることになり、あと86年間、毎年元職員の豪遊のツケを毎年2000万円ずつ群馬銀行に支払わされる安中市民としては忸怩たる思いでいっぱいです。せめて、御社におかれましては、なんとか原因者に損害賠償請求を求めてくださるようお願いしたいと、今でもやりきれない気持ちです。
ご多忙中誠に恐縮ですが、早期のご返事をお待ちしております。
なお、この問い合わせに先立ち、独立行政法人 日本高速道路保有・債務返済機構にも問い合わせてみました。
その結果、「今年7月14日判決のあった訴訟については、首都高速道路株式会社が事故の原因者を相手に行っているものであり、当機構としてお答えできる立場にございません。 また、仮に首都高速道路株式会社が控訴しなかったとしても、当機構はその理由を知る立場にもございません。」ということで、御社に問い合わせるように言われています。
なにとぞよろしくご対応のほどよろしくお願い申し上げます。
**********
■すると、受付の石野さんが当会の口頭説明を一生懸命メモにとった成果なのでしょうか。同日午後1時半ごろ、首都高総務課の山田氏(TEL03-3539-9329)から回答の電話がありました。その内容は次の通りです。
(1)すでにこの事件で7月14日の判決を不服として、控訴手続きはおとりになりましたか。
⇒ 【首都高回答】控訴していません。
(2) あるいは、この事件で7月14日の判決を受け入れて、控訴手続きはおとりになりませんでしたか。
⇒【首都高回答】はい。
(3) 控訴手続きをおとりにならなかった場合、その理由はなんでしょうか。
⇒【首都高回答】東京地裁における裁判は非常に長期にわたり、4年半にもなった。この間、口頭弁論期日は27回を数え、機構も首都高もともに「審議をし尽くした」という認識でいる。また判決では、首都高・機構側の主張である間接的な営業損失による損害についても全面的に認められたこと。このため、今後、類似事件が発生した場合、営業がストップさせられたことによる損害についても請求が認められる、という判例が得られたことも一審判決を受け入れる理由となった。
(4) 巷間情報では、多胡運輸がすでに破産手続きをとっていることから、御社として請求額を特別損失で処理できるので、当該金額まで税金を払う必要がなくなり、しかも、内部的に責任問題も生じたいことから、控訴しないのではないか、という見方があります。これについて御社の見解をお示しくださいますか。
⇒【首都高回答】上記(3)の理由がすべてであり、巷間情報のことはしらない。裁判で立証しつくしたことで、首都高はもとより機構側も、有料道路を運営する立場からNEXCO全社としても、今後営業損失も請求出来得るという判決が得られたことで、判決には満足している。
■こうして、安中土地開発公社51億円事件の巨額横領金が結局安中市民に転嫁されたのと同様に、8年前の2008年8月3日(日)早朝に起きた首都高5号線熊野町ジャンクション付近でのタンクローリー横転炎上事故による45億円の損害金も、結局利用者に転嫁されることになりました。
恐るべし多胡運輸!
なぜなら多胡運輸は、タゴ51億円事件の関係者を軸にした群馬県の保守政治従事者の皆さまの手厚いご加護の下、首都高・機構側が束になってかかった4年半に亘る民事訴訟でも、結局カメレオンのように、社名をいち早く「美正」と変更し、以前と同じように何事もなかったかの如く、同じ場所で操業しているのです。
首都高ローリー横転炎上事件はこうして完全な幕引きまで、多胡運輸の破産手続きを残すのみとなりました。
*****倒産情報公告資料室*****
※官報URL:http://kanpou.makelog.net/2016/08/16/6838-19/
平成28年(フ)第1 6 2号
群馬県高崎市箕郷町上芝*****
債務者 多胡運輸株式会社
1 決定年月日時 平成28年8月4日午後5時
2 主文 債務者について破産手続を開始する。
3 破産管財人 弁護士 都木 幹仁
4 財産状況報告集会・廃止意見聴取・計算報告の期日 平成28年11月9日午前11時
前橋地方裁判所高崎支部
**********
【ひらく会情報部】
※関連情報「多胡運輸破産手続の債権者対応」
**********企業法務ナビ 2016/08/31 17:00投稿 fukuyama
https://www.corporate-legal.jp/%E6%B3%95%E5%8B%99navi%E3%81%BE%E3%81%A8%E3%82%81/7567
【法務NAVIまとめ】首都高ローリー横転事故にみる破産手続の債権者対応まとめ
●はじめに
首都高での事故をきっかけとして巨額の賠償責任を負った運送業者が破産しました。本件を題材として、破産手続開始決定の通知書が送られてきた場合の社内対応の要点を確認します。使用者責任の点については、過去記事をご参照ください。
参照:弊社サイト「企業法務ナビ」2016年7月19日:首都高炎上の運送会社に32億円の賠償命令、使用者責任について↓
https://www.corporate-legal.jp/%E6%B3%95%E5%8B%99%E3%83%8B%E3%83%A5%E3%83%BC%E3%82%B9/%E4%BC%81%E6%A5%AD/6814
●事案の概要(過去記事より抜粋)
2008年8月3日早朝、群馬県高崎市の運送会社多胡運輸所有のタンクローリーが首都高速熊野町ジャンクション内のカーブで速度超過により曲がりきれず横転・炎上しました。タンクローリーには約16キロリットルのガソリンと4キロリットルの軽油を積載し、埼玉県内のガソリンスタンドに向けて輸送していました。積み荷の燃料は約5時間半に渡って炎上し2階建構造の上層部分の路面を熱で変形させました。道路は長さ40m、深さ最大60cm沈下し北池袋から板橋JCTまでが上下線とも通行止めとなりました。8月9日には片側1車線通行で仮復旧したものの全面復旧までには約2ヶ月半を要しました。首都高速道路会社は多胡運輸と運転手および輸送を発注した出光興産に復旧工事費と逸失利益分で約45億円の賠償を求め東京地裁に提訴していました。
※多胡運輸は、既に、2016年8月4日に破産開始決定が出されている。
●破産手続きとは
破産手続きとは、債権の平等な分配を図り、抜け駆け的な債権回収を防止する目的で行われる、財産の分配手続です。
債権者は、債務者に対して債権を有している限り、これを行使して債権回収を図ることができるとするのが民法上の原則といえます。しかし、破産の場合、多くの利害関係人が出現する可能性があり、抜け駆け的な債権回収は、債権者の公平を損ないます。そこで、破産法をはじめとした倒産法がこれに修正を加え、破産手続きの中で、債権者に対する公平な分配を図る仕組みが採用されています。
破産手続きには、以下の類型があります。
・管財事件
裁判所により、破産管財人が選任され、破産者の財産を調査・管理・換価処分し,それによって得た金銭を各債権者に弁済または配当するという破産手続の事件類型です。管財事件の場合、届出→調査→確定→配当という破産手続きが進んでいくことになります。
・同時廃止事件
裁判所によって破産管財人が選任されず,破産手続の開始と同時に破産手続が廃止により終了するという破産手続の事件類型です。いかなる場合に同時廃止事件となるかといえば、債権者に弁済または配当すべき財産(破産財団)が集まらない場合などがあります。
破産事件の場合、多数の債権者が破産財産からの債権回収に殺到することが想定されるため、多くの債権者の利害調整の観点から、破産管財人には弁護士が選任されます。
●破産手続きの開始
裁判所に対する破産の申し立てにより、破産手続きが開始します。破産手続きが開始したら、破産管財人は、財産を調査・管理を行い、順次換価処分を行っていくことになります。また、破産した会社が締結していた契約などを解約していき、財産の分配の準備を進めていきます。
また、裁判所から、債権者に対して破産手続開始決定の通知が各債権者に送られることになります。
法務担当者はこの時点で、自社が債権を有する会社の破産手続きが開始されたことを知ることになり、破産手続に参加する準備を進めていくことになります。
●破産手続き開始決定の通知書が届いたら・・・
破産手続き開始決定の通知書の例(pdf)
参照:麹町パートナーズ法律事務所(pdf)↓
http://www.k-partners.jp/kaishikettei.pdf
※破産債権は、裁判所に届出なければ、回収できない。したがって、破産債権の開始決定の通知がされた場合、裁判所に対して破産債権の届出を行う必要がある。
破産手続き開始決定の通知書に記載すべき事項は、
〇破産債権者の表示
・住所
・通知場所
・氏名又は法人名・代表者名
〇破産債権の表示
・届出破産債権の種類
(売掛金、貸付金、給料、退職金、解雇予告手当、手形・小切手債権、租税、約定利息金、遅延損害金)
・別除権の種類及び訴訟の有無
別除権については後述します。
・執行力ある終局判決ないし債務名義の存在の有無
・債権を証明する文書の添付
破産債権の届出を行う場合には、請求書、借用書など、債権を証明する文書をコピーして準備する必要がある。
●届出の場所
届出の場所は、破産開始決定通知書に記載されています。
届出場所については、裁判所や、破産管財人の所属する法律事務所内などが通例です。
●届出の期間
原則として、破産手続開始決定の日から2週間以上4か月以内で指定される。
届出の手続きについては、以下のHPが参考になります。
参考:おくだ総合法律事務所のHPのURL↓
http://www.okuda-jikohasan.com/%E7%A0%B4%E7%94%A3-%E8%87%AA%E5%B7%B1%E7%A0%B4%E7%94%A3/%E5%82%B5%E6%A8%A9%E8%80%85%E3%81%AE%E7%AB%8B%E5%A0%B4%E3%81%8B%E3%82%89/%E5%82%B5%E6%A8%A9%E3%81%AE%E5%B1%8A%E5%87%BA/
●債権者集会
債権者集会の開催日時等は、破産開始決定通知書に記載されています。
債権者集会では、破産管財人による収支報告、財産の報告などがなされます。しかし、実態は多くの破産事件で債権者が参加しない簡素な手続となっているのが現状のようです。
参照:中村・安藤法律事務所のHPのURL↓
http://www.nakamura-ando-hasan.com/930/93010q/
※債権者集会では、配当が確定されず、債権調査期日で確定されることから、債権者集会に出席しなかったことを理由とした不利益な取扱いは行われない。
参考:おくだ総合法律事務所のHPのURL↓
http://www.okuda-jikohasan.com/%E7%A0%B4%E7%94%A3-%E8%87%AA%E5%B7%B1%E7%A0%B4%E7%94%A3/%E5%82%B5%E6%A8%A9%E8%80%85%E3%81%AE%E7%AB%8B%E5%A0%B4%E3%81%8B%E3%82%89/%E5%82%B5%E6%A8%A9%E3%81%AE%E5%B1%8A%E5%87%BA/
●債権調査期日
債権者集会に引き続いて、債権者集会が破産事件における管財人の報告、管財業務の方針ならびに当該破産事件に必要な決議をなす手続きであるのに対し、債権調査期日は、債権者から提出された破産債権届出書に記載された債権について、管財人が破産債権としての認否を行う手続きです。
参照:飯田総合法律事務所のHPのURL↓
http://www.iida-sogo.gr.jp/qa/qa04/qa04_a12.html
●債権の確定
債権調査期日において、管財人は、債権者から提出された破産債権届出書から債権認否表を作成し、当該債権について破産債権として認めるのか、あるいは認めない(異議)のかを、債権認否表に記載します。
破産債権が認めれた場合には、当該債権はそのまま確定します。
破産債権が認められなかった場合には・・・
〇債権査定決定の申し立て
届出のあった破産債権について、管財人、再生債務者または他の届出債権者等が、決定送達日から1ヶ月以内に異議を述べた場合に、当該異議を述べられた債権者が、その債権の迅速な確定のため、裁判所に対し、債権の存否・内容等について決定手続で判断することを求める申立てです。
参照:シティユーワ法律事務所のHPのURL↓
http://www.city-yuwa.com/explain/ex_glossary/detail/saikensatei.html
・争いのある破産債権についての調査期間の末日または調査期日から1か月以内
・その額等の確定のために、破産管財人および異議を述べた届出破産債権者の全員を相手方として
・破産裁判所に、その額等の査定の申立をすることができる(破産法125条1項)
〇申立て書式例
参照:厚木 相模側川法律事務所ブログ↓
http://ameblo.jp/sagamigawar/entry-11868608207.html
裁判所への提出物は
・申立所 2通(裁判所用正本と管財人弁護士用副本)
・証拠書類 各2部(裁判所用と管財人弁護士用)
・資格証明書(申立人が法人の場合)
・委任状(代理人が提出する場合)
査定決定に不服がある場合には・・・
〇債権査定異議の訴え
通常訴訟の手続きで債権の存否・内容等が判断されることになります。
参照:お金のトラブルドットコム↓
http://okanetotrouble.com/1hasantetuzuki/08
●配当
「財団債権」が破産手続き外で優先的に弁済されたあとに、配当表にしたがって、「破産債権」が弁済されることになります。配当によって、破産手続きの目的は達成されるため、報告の後に手続は終了となります。
参照:LSC法律事務所のHPのURL↓
https://www.houjintousan.jp/hasan/shuuryou/haitou.html
●その他注意点
〇別除権(債権に担保をとってるんだけど・・・)
破産債権に担保権が設定されている場合に、破産手続き外で優先権を主張できる場合があります。この場合、配当手続によらずに弁済を受けられる場合があるため、債権の届出の際に、特に裁判所に届け出る必要があります。
参照:同上↓
https://www.houjintousan.jp/hasan/betujoken/koushi.html
●コメント
多胡運輸の例でみれば、多胡運輸は33億円の負債総額を有しています。多胡運輸に対して債権を有する債権者は、破産手続開始通知をうけた後に、自社が有している債権の届けを作成し、通知に記載されている届出場所に期間内に提出する必要があります。その際に、債権を証明する文書をコピーして添付する必要があります。
その際に、担保を有している場合には、別除権を主張できる場合があるため、特に届け出る必要があります。その後、債権調査手続、債権の確定、配当を経て、債権回収を図っていくことになります。
**********
※参考情報「株式会社 美正」
**********HP ⇒ http://www.gunma-bisyo.com/index.html
一般貨物自動車運送事業 関東運輸局認証整備工場
株式会社 美正
美正は生活に必要な物流の安心・安全・安定的な供給に全社一丸となって取り組みます。
TEL027-386-8011
群馬県高崎市箕郷町上芝541-2
2016.9.4 求人情報公開しました
県内配送のみ 日勤 配送件数は1日5〜10件程度
業務内容:3t小型車ドライバー
要資格:旧普通免許
時間:6:30~15:30
休日:年間95日程度
待遇:社会保険完備 交通費支給 作業服貸与
※電話連絡の上、履歴書(写真貼付)をご持参ください。
★お気軽にお問い合わせください★
(担当 櫻澤)
●ごあいさつ
高崎市箕郷町を拠点に、燃料をはじめ生活に必要な物資の配送請負業務を中心に業務を行っております。
群馬県を中心に営業致しておりますが、ご依頼いただければ日本全国各地にお運び致します。
今後とも株式会社美正をよろしくお願い致します。
●整備工場(関東運輸局認定整備工場)
配送業務に使われる業務車両の整備・点検・修理をはじめ車検も行い、もちろん一般車両も同様にの修理点検、車検も行っております。
●保有車輛
主にガスおよびプロパン燃料を運送する車種
2トン車平ボディ・パワーゲート付き3トン車・7トンのユニック車
●沿革・会社案内
社名 株式会社 美正
代表者 桜澤 章(さくらざわ あきら)
事業内容 一般貨物運送事業、関東運輸局認定整備工場にて車両整備
所在地 〒370-3104群馬県高崎市箕郷町上芝541番地2
TEL:027-386-8011
FAX:027-386-8012
設立 平成13年12月21日
社員数 48名
資本金 300万円
売上高 3億5千万円(平成25年度決算)
**********