市政をひらく安中市民の会・市民オンブズマン群馬

1995年に群馬県安中市で起きた51億円詐欺横領事件に敢然と取組む市民団体と保守王国群馬県のオンブズマン組織の活動記録

初めて見開き2ページに徴税記事を掲載した安中市広報紙がタゴ事件関係者らの賠償責任を記そうとしない理由

2013-08-31 23:31:00 | 困ったちゃん岡田義弘・元市政

■見た目は綺麗な安中市の広報紙ですが、他の自治体の広報紙に比べると内容がつまらないという市民は沢山います。秘書課によれば、製作費は1ページ当たりカラ―、モノクロに関わらず0.95円だそうです。その安中市から、広報あんなか平成25年9月1日号Vol.90が区長~隣組経由で配布されてきました。峠の湯の火災現場の惨状が表紙を飾ると思いきや、細野小学校の1、2年生17人を対象としてバスの乗り方教室の写真でした。そのあとペラペラとページをめくっていくと、碓氷病院リニューアル完了記事やら、防災会議やら、パスポート申請が10月から市役所でできるとか、あいかわらず紋切り型のレイアウトでしたが、ちょうど中央部の見開きページをみて仰天しました。12ページと13ページの2ページにわたって、市税徴収の記事が掲載されていたからです。これは初めてではないかと思い、広報あんなかのバックナンバーを確認してみました。


 安中市のホームページを見ると、平成21年4月号から広報あんなかが掲載されています。それらを新しい順に調べてみました。

**********( )内は総ページ数
平成25年
9月1日号(24) P12 7月・8月・9月は「滞納処分(財産差押)強化月間」です
      P13 納期限内納付のご協力をお願いします
8月1日号(24) P10 納税は社会の基本的なルールです
l8p10.pdf
7月1日号(26) P13 市税の滞納処分を強化しています
l7p13.pdf
6月1日号(26) P14 もしあなたが市税を滞納してしまうと
l6p14.pdf
5月1日号(24) P12 もしあなたが市税を滞納してしまうと
l5p12.pdf
4月1日号(24) P11 納期内納税のご協力ありがとうございます
l4p10.pdf
3月1日号(18) P6 市税などの納め忘れはありませんか?
l3p6.pdf
2月1日号(18) P6 納税は社会の基本的なルールです
l2p6.pdf
1月1日号(20) P8 市税の滞納処分を強化しています
l1p8.pdf

平成24年
12月1日号(20) P6 12月は「市税滞納整理強化月間」です
l2412p6.pdf
11月1日号(24) P5 もしあなたが市税を滞納してしまうと
l2411p5.pdf
10月1日号(20) P5 市税の納付期限内納付のご協力をお願いします。
l2410p5.pdf
9月1日号(20) P6 7月・8月・9月は「滞納処分(財産差押)強化月間」です
        ※「宅地など10物件の不動産を公売します」と一緒に記載
l249p6.pdf
8月1日号(22) P6 納税は社会の基本的なルールです
l248p6.pdf
7月1日号(26) P7 市税の滞納処分を強化しています
l247p7.pdf
6月1日号(24) P7 もしあなたが市税を滞納してしまうと
l246p7.pdf
5月1日号(24) P9 もしあなたが市税を滞納してしまうと
l245p9.pdf
4月1日号(20) P5 納付期間内のご協力ありがとうございます
l244p5.pdf
3月1日号(20) P5 市税などの納め忘れはありませんか?
l243p5.pdf
2月1日号(18) P6 納税は社会の基本的なルールです
l242p6.pdf
1月1日号(20) P6 市税の滞納処分を強化しています
l241p6.pdf

平成23年
12月1日号(22) P3 12月は「市税滞納整理強化月間」ですl2312p3.pdf
11月1日号(22) P10 もしあなたが市税を滞納してしまうと
l2311p10.pdf
10月1日号(18) P6 期限内納付のご協力をお願いします
l2310p6.pdf
9月1日号(20) P7 不動産の競売を行います
l239p7sy.pdf
8月1日号(20) P9 納税は社会の基本的なルールです
l238p9.pdf
7月1日号(26) P12 市税の滞納処分を強化しています ※レイアウトが原罪と違っている
l237p12.pdf
6月1日号(22) なし
5月1日号(24) P14 もしもあなたが市税を滞納してしまうと
l235p14.pdf
4月1日号(22) P8 納期内の納付ありがとうございます
l234p8.pdf
3月1日号(20) なし
2月1日号(20) P4 インターネットオークションを実施します
l232p4clbginv.pdf
1月1日号(20) なし

平成22年
12月1日号(20) P2 12月は「市税滞納整理強化月間」
l2212p2.pdf
11月1日号(28) なし
10月1日号(18) なし
9月1日号(20) P8 不動産の競売を行います、ほか  ※いくらクリックしても8ページではなく7ページしか出てこない
8月1日号(20) P2 市税の滞納処分を強化しています
l228p2.pdf
7月1日号(22) なし
6月1日号(24) なし
5月1日号(24) なし
4月1日号(16) なし
3月1日号(16) なし
2月1日号(16) なし
1月1日号(18) なし

平成21年
12月1日号(20) P4 12月は市税滞納整理強化月間
l2112p4.pdf
11月1日号(24) なし
10月1日号(16) なし
9月1日号(22) P6 不動産の競売を行います
l219p6sy.pdf
8月1日号(16) なし
7月1日号(24) なし
6月1日号(24) なし
5月1日号(24) なし
4月1日号(20) なし
**********

■上記を見るとお分かりのように、平成22年度までは、9月号で不動産競売記事、12月号で市税滞納整理強化月間記事を定期的に出している程度で、平成22年8月号で市税の滞納処分強化を始めてうたっていますが、財産差押という強い表現は全く見当たりません。

 ところが、平成23年度に入り、4月号から初めて市税納入喚起の記事が掲載され、同年7月号から現在に至るまで、毎月、市税滞納撲滅キャンペーンの記事を連続して掲載しています。

 本来、広報あんなかは安中市広報紙発行規則により編集制作されているはずです。したがって同規則第1条により、安中市の行政に関して必要な事項を市民に周知し、市政に対する市民の正しい認識と協力を得ることを目的としています。

 そして同規則第5条では、広報紙に掲載する事項は、①法令、条例、規則、辞令当で必要と認める事項、②市の予算、決算、財政事情等に関する事項、③市議会及び各行政委員会に関する事項、④市の諸施策、諸行事等に関する事項、⑤市民の市政に対する意見、要望等に関する事項、⑥市民の明るい話題等に関する事項、⑦その他姿勢運営上必要と認める事項と定めています。

 にもかかわらず、広報あんなかには、タゴ事件による安中市政が被った損害やその回復に向けた努力や方針等については、全く記載がなく、タゴ事件により疲弊した市財政の破綻を、またもや市民に転化して先送りしようとする記事ばかりが掲載されています。

■そして、とうとう平成25年9月号で、はじめて見開き2ページにわたって、市税滞納差押警告記事が掲載されたのでした。このように安中市は岡田市長の2期目になってから、俄かに徴税に励むようになりました。そして、ついに9月号で、これまで毎月16~28ページの広報あんなかの1割ちかくを徴税記事に費やすようになったのです。

 当会では、この徴税強化について、安中市土地開発公社を舞台にした巨額横領事件で安中市から公金を湯水のように流出させたタゴ元職員をはじめ、その関係者らから、きちんと不当利得に対する徴税をするように行政に求めてきました。しかし、安中市や群馬県、そして国は事件発覚直後に、僅かな金額のみ、タゴ元職員が横領で蓄えた財産のごく一部を回収しただけで、その後は、現在に至るまで何もしていません。

 とりわけ安中市は、安中市土地開発公社をタゴ事件の和解金の支払いのために存続させており、さらに、その経営実態を市民に覆い隠して、18年前のように土地開発公社を利権の巣窟として、やりたい放題の状況を再現しようとしています。

■しかも安中市では現在、このタゴ51億円事件の真相を知る人物が首長を務めているという異常な状況にあります。タゴ事件のつけを市民サービスの低下で相殺しようとする安中市の魂胆は、タゴ元職員が公社発足直後にしでかした不正経理を見逃していた人物が首長になってから、一掃、市民へのしわ寄せに軸足を移しています。そのため、広報あんなかで、タゴ事件関係者からの徴税や賠償金請求には目をつぶり、ひたすら市民に対して、滞納処分で財産差押をちらつかせているのです。

 このことについて岡田市長は以前、「元職員は懲役14年の刑をまっとうし、既に罪は償ったのだから、もう事件についての責任はない」という趣旨のコメントを市民に発したことがありました。

■これでは市民の理解が得られるはずもありません。今後とも、当会では、タゴ事件関係者に対するきちんとした責任のとりかたを示していく所存です。

【ひらく会情報部】

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タゴ事件発覚から18周年・・・地方自治体史上最高額の横領事件に安中市民はどう対処したか(会報20号)

2013-08-29 23:45:00 | 安中市土地開発公社事件クロニクル
■タゴ51億円事件が平成7年5月18日に発覚し、同年6月3日に公になってからほぼ5カ月経過し、小川市長が市長の椅子を放り出し、群馬銀行が騙し取られたと主張して安中市と安中市土地開発公社を相手取り、提訴するなど、安中市の状況はますます混迷を深めて行きました。そのような最中に会報20号が発行されたのは、平成7年10月31日でした。会報20号では、同年10月20日(金)夜7時半から市政をただす安中市民の会主催の公開説明会の様子が報告されました。それでは、会報20号の内容を見てみましょう。


**********
■市政をただす安中市民の会  会報20号(上)
連絡事務所TEL/FAX:81-0364 平成7年10月31日発行

公社帳簿の乱脈を糾す!公開説明会に市民520名!

10月20日(金)午後7時半から当会主催の「安中市土地開発公社帳簿の乱脈を糾(ただ)す!」と題して、安中市文化センター大ホールで公開説明会を開いた。金曜日の晩にもかかわらず約520名の市民が参集した。
■公開説明会開催にあたり、自治省(財政局、地域政策室)、国税庁(関東財務局、高崎税務署)、県知事(地方課、財務課)、県警、群銀、マスコミ各社をはじめ、現職および過去十数年間の公社役員、市議らに案内状を送付した。
■当日は山口繁・原田求・萩原岩次議員が出席。観客席には市や県の職員らの姿も見かけられた。
■この説明会は、当会のスタッフが総力を上げて入念に準備し、会場整備や資料準備、受付、司会、挨拶.説明などすベて手作りで行った。分かりやすい説明と福広い分野での緻密な分析結果の発表に、参加市民の反応はきわめて良好であった。説明後に出された参加市民からの主な質問は次の通り。
●説明の中で、公社の昭和57年度と58年度に、忽然と公社利益積立金が消えたとあるが、その時の公社監事の名前を教えでほしい!
●また昭粕57・58年度のそのほかの公社役員の名前をこの場で、公表してほしい!
●決算書は会社の場合では、取締役会や株主総会でチェックを経るが、公社は理事会を経て監査報告を受けた後、このまま何年か過ぎたのだろう。過去のことを追及する気持ちはない。百条委の調査資料で、新幹線周辺土地鑑定料を調べたが、群銀に対して借り入れ時に鑑定料の名目で融資されているとすれば、4億円という鑑定料の不思議さになぜ銀行が気付かなかったのだろう?シロウトでもそう思うのに、ましてやプロが見ればすぐわかるはず。19日に群銀が公社・市を提訴したが、群銀側もいろいろな疑問がある。裁判の過程では、市民が市や公社を応援するときは応援し、悪いところは悪いという態度をとってほしい。
●この説明会でなぜ昭和57・58年のような古い年度の説明をあえてしたのか?[先日の新聞で公社の利益3200万円が行方不明と報じたので、その事実関係を説明したまで]
●新幹線周辺土地鑑定料97万円余が問題になっているが多胡がなぜ4億円も上乗せしたかというと97万円という数字を見て、一番小さい数字だから上乗せが楽と考えるのは当然の心理。
●先ほど、利益金が行方不明になった年度の監事の氏名を伺った。細かいことは解らぬが、こうした役員は税金から報酬をもらっていたわけで責任は重大だ!こういう人達の責任をぜひ追及してもらいたい![当会としての責任追及は、警察ではないため司直のような追及はできないが、市民グループとして別の形での追及をやってゆく]

――――――――――
会場に集まった市民の皆さんのご好意により、カンパがなんと17万円余り集まりました。本紙面をもって厚くお礼申しあげます。私たち市政をただす安中市民の会はこれからもこの運動を続けます!
――――――――――

デタラメ経理操作! 職員同一職配置15年間の慄然

当会では百条委員会で調査した資料の一部を入手。内容を検討してきたが余りにもメチャクチャであることが判明。こんなデタラメな表がいったい誰によって作成されたものなのか。我々市民の代表である百条委員会がこんないい加減なものを作るわけがない。となると公社側が作ったことになる。この点について公社側に確認したところ、「申し訳ない。百条委から私どもが怒られるだけ」だと。百条委の皆さんもこんな中途半端な資料をもとに調査していたとなると時間と労力の浪費になるだけ。そこで当会では10月20日に公開説明会を開き、デタラメ帳簿の実態を公表した。
■とくに安中市土地開発公社はこのまま仕事を続けてもダメ!いまや表口座でも疑問が噴出しているわけだから、多胡が正規口座から公金横領した可能性が高くなった。公社は群銀からもその点を指摘されているという。
■となると公社の事業報告書を始め帳簿類は嘘だらけ。公社は今年3月31日までの帳簿を全て整理しないといけない。この整理をつけてからでないと再スタートは切れまい。それには相当時間がかかりそうだ。
●右表で公社正規借入額と水増額の合計額と銀行残高証明額、および元職員水増額合計とが食い違っているがわかる。
■このペースで行くと、約37億5千万円に対する金利は年4%とすると初年度1億5千万円、2年度1億5600万円。毎年保育園がひとつずつブッ飛ぶ勘定。
―――――――――――――――――
開かれた 見える政治を 市民の手で
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元職員による不祥事件に関する調査結果一覧表(単位:円)


No./年度/借入日/返済日/借入目的/公社借入決済額/公社調査額/公社経理残高
1/平成2/2/4/28/4/3/31/後閑城祉公園用地取得/45,981,000/145,981,000/0
/平成2/2/9/28/6/3/31/下の尻茶屋町線用地取得/33,124,000/433,124,000/0
(2)/平成2/3/2/25/8/3/31/観梅公園路測量費/2,524,000/2,524.000/2,524,000
3/平成2/3/2/25/7/3/31/新幹線周辺土地鑑定料分/973,000/400.973,000/0
4/平成2/3/3/29/7/3/31/借入金利息分/19,670,000/19,670,000/4,177,000
5/平成3/3/4/15/13/3/31/新幹線駐車場調査費/5,233,000/5,233,000/5,233,000
6/平成3/3/8/8/9/3/31/新幹線北駐車場用地取得/247,273,000/247,273,000/247,273,000
7/平成3/3/9/30/7/3/31/借入金利息分/19,713,000/19,713,000/9,074,000
(8)/平成3/3/10/31/9/3/31/新幹線北駐車場用地取得/154,584,000/154,584,000/123,034,000
9/平成3/3/12/2/9/3/31/新幹線北駐車場用地取得/2,941,000/2,941,000/0
10/平成3/4/3/11/9/3/31/新幹線北駐車場用地取得/16,873,000/416,873,000/16,873,000
11/平成3/4/3/31/9/3/31/借入金利息分/22,438,000/222,438,000/22,438,000
12/平成4/4/9/30/9/3/31/借入金利息分/15,054,000/215,054,000/0
(13)/平成4/4/12/9/9/3/31/新幹線甫駐車場用地取得/38,183,000/38,183,000/38,183,000
14/平成4/4/12/9/9/3/31/新幹線北駐車場取付道路/26,237,000/26,237,000/0
15/平成4/5/2/5/9/3/31/新幹線南駐車場用地取得/31,884,000/231,993,000/31,884,000
16/平成4/5/2/5/9/3/31/新幹線北駐車場取付道路/15,826,000/15,826,000/0
17/平成4/5/3/31/9/3/31/借入金利息分/13,584,000/113,584,000/13,584,000
18/平成4/5/3/31/7/3/31/借入金利息分/5,749,000/5,749,000/5,749,000
19/平成5/5/9/30/9/3/31/借入金利息分/13,860,000/313,860,000/0
20/平成5/6/3/31/9/3/31/借入金利息分/11,414,000/11,414,000/0
21/平成5/6/3/31/10/3/31/借入金利息分/4,783,000/604,783,000/4,783,000
(22)/平成6/6/7/28/8/7/31/板鼻住宅団地用地取得/345,780,000/345,780,000/345,780,000
23/平成6/6/9/30/11/3/31/借入金利息分/11,474,000/411,474,000/0
(24)/平成6/6/9/30/10/3/31/借入金利息分/4,808,000/4,808,000/4,808,000
25/平成6/7/3/31/12/3/31/借入金利息分/9,612,000/29,612,000/9,612,000
26/平成6/7/3/31/12/3/31/借入金利息分/3,362,000/4,362,000/4,362,000
27/銀行融資証明額4,765,696,000
28/公社経理残高/1,016,904,000
29/差額/3,748,792,000
■これは公社側が作成して市議会百粂委に提出したと見られる資料をもとに、わかり易く編集しました。10月20日(金)午後7時半から開いた公開説明会「土地開発公社帳簿の乱無をただす」で用いました。10月29日(日)午後6時10分からNHKテレビの不祥事件特集番組でも番道中で放映されました。
【表の見方】
◆左端の( )で囲んだ数字は、公社と群銀の帳簿にある数字が一致している項目を示します。その他の項目は一致していない。10月2日、公社は正規借入れ分の筈の1,016,964,000円の利息19,514,000円を群銀に返済しようと思ったが、このうち約500万円分を受取ってもらえなかったのは、この不一致が原因。
◆また、元職員の上粟せ額は、公社調査部の欄の該当数字に下線を付けてあります。
【疑問点】
◆上記一覧表で公社借入決定額を合計すると4,753,937,000円。ところが上記資料27番に示した銀行残高証明額は4,765,696,000円。差額が11,759,000円ある。これはまだ返済していないわけで、平成2年以前に借りたままの金があることになる。
◆上記一覧表で公社経理残高を合計すると889,371,000円。ところが上記資料28番に示した公社経理残高は1,016,904,000円。差額が127,533,000円もある。平成2年4月以前にも公社経理残高があるのかもしれないが、公社側では帳簿一式を警察に押収されたという口実で、一切の説明を拒否している。
◆元職員の上乗せ部の合計は36億3千万円。しかし、銀行残高証明額と公社経理残高の差額は上記資料29番に示すように3,748,792,000円。公社の長帳簿自体がいかにデタラメかよくわかる。

■市政をただす安中市民の会  会報20号(下)
連絡事務所TEL/FAX:81-0364 平成7年10月31日発行

民事訴訟も同じ弁護士に依頼した公社と市の思惑

土地開発公社と安中市は24日、群銀から穆訴された約40億円をめぐる民事訴訟も、これまで群銀と交渉にあたった二人の弁護士に引き続き依頼し、市側の弁護人としても任命することを決め24日の市議会全員協議会で報告。承認された。
■報道によると、弁護費用は既に7百万円が支払い済みで、市の弁護が加わるため、更に3百万円が追加支出されるという。財源は公社準備金を充てるとしている。
■弁護における着手金は、その事件などの対象の経済的な利益の価値。報酬金はその事件等の処理により確保した経済的利益の価値を基準として算定される。
■着手金・報酬金の計算方法はケースバイケースで違うが、おおむね次のような算定方式で決まることが多いとされる。即ち訴額(訴訟対象となる金額のこと。今回の場合は群銀が提訴した約40億円)に対して、1億円から10億円までは訴顎の3%、10億円を超える部分は2%という。従って40億円の訴額の場合は10億円×3%+30億円×2%=9千万円となる。これには通信費や交通費、文書作成費など経費の実費は含まれないため、実際にはさらに金額が増えることになる。
■弁護士は裁判に勝訴しても敗訴しても着手金はもらえることになり、さらに勝訴すれば成功報酬も得る。一方、市民にとっては、勝訴しても敗訴しても、弁護士への負担は公社・市側となるわけで、どうも釈然としない。
■全面勝訴するならともかく、敗訴した場合には、群銀側の訴訟費用もかぶるわけで踏んだり蹴ったり。このことからも、本当に娶算がない限り、無駄な出費と時間の浪費は避けた方が賢明だという声もあがるのは無理からめところ。それだけに「敗訴したらしょうがない」では済まされない。
■これまで公社弁護士が阿をやってきたのか、市民にはその仕事の「成果」がまるで見えてこない。それなのに引き続き、東京の虎ノ門で法律事務所を構える39歳と35歳の若手弁護士に民事訴訟の弁護も任せることを決めた公社や市の恕惑はいったい何だろう。
■「他の弁護士に変えた場合、公社の内部情報が第3者に洩れてしまうのを公社の理事の皆さんは嫌がった?」と見るのは、市民の思い過ごしだろうか?

原市地区で開いてます! 市民集会報告《3区・2区住民センター》

■10月24日(火)原市3区住民センター、同26日(木)原市2区住民センターで市民集会開催。各々市民15名と2名が参加。参加者の主な意見は次の通り。
●公社の役員にはほんとに責任はないのか?道義的責任という言葉を聞くがどういう意味か?[公社のような組織休では事業を企画・立案して実施する場合に、職員を指導監督する立場にあって地位の高い人ほど責任が重い。換言すれば責任が重いので給料もたくさん支払われるわけだ。民間企業では社会的責任を負うのは、役員会のメンバーで外部に対する責任は重い。大和銀行の事件でも、会長と頭取がすぐ責任を取って辞任。また株主代表訴訟も起きているのは周知の通り]
●法律的に責任はあるのか?[民間信用取引の場合、個人名で連帯責任を負うことになり全額弁済義務が課せられる。公社や市の場合、民間と異なり、個人の立場で債務保証ということになっていない。しかし小川前市長ら関係者の道義的責任は免れない]
●では、公印の持つ意味は?[市の信用を証する公印の使用が殆ど自由になっていたことから、公社や市の公印管理責任は重大]
●道義的責任はどのように追及してゆけばよいのか?[市民として世論を盛り上げ、無関心にならずに責任追及の手を緩めないこと]
●公社内の何を財源にして事件の解決を図るつもりなのか?
●百条委は、議会が解散後は設置できないのか?[事件の真相解明に意欲のある議員がたくさん当選すれば、審議会で百条委が設置できる。意欲のない議員が多数を占めれば百条委はできないし、できても前と同じく機能しないだろう]
●最悪、市民に負担がかかってくる場合、税が上がる可能性が示唆されたが、いくら払わせられることになるのか?もしそうなった場合にはこうなるよ、というのを市民にアピールする必要があるのでは。
●[人の噂も75日。初めは腹を立てていた市民も、最近では巷の空気として腹が横になってきたのでは、という気がしないでもない。参加者の皆さんはどうか?]私はずっと腹を立てている!私の主人も私と全く同じ気持ちでいます!私も初めも気持ちがずっと続いています!

◎48億円事件とそれを許した市当局や市議会に関するあらゆる情報は丁に/FAX:81-0364へ!◎

―――――-ただす会をみだす会と中傷する人びと―――――

市政改革の鍵!「た」と「み」の違いで決まる安中の運命

■市政をたたず安中市民の会は6月13日に結成されてから、毎週例会で学習し会報(10月17日現在18号)を発行し、各地区での市民集会を30回、緊急市民大会、街頭演説会、公開説明会と大規模集会を3回開きました。5ヵ月の活動によって、市政(行政と議会)がだんだん見えてきました。
■当局の説明してくれない安中市土地面発公社の嘘がいつから飴まったかも推測できるようになりました、これを10月20日の公開説明会で発表しました。
■公社の決算書によりますと、公社が発足した昭和55年と翌56年は利益金も利益積立金も計上されていますが、3年目の57年には利益金を計上しながら.、積立金は前年までの積立金累計も含めて0(ゼロ)になっています。58年もゼロ。T祇が報じた「3200万円が行方不明」jという記事がそれです(10月16日)。
■この時、役員の誰かが気付けば、事件にここでストップしたことを思うと、役員の責任はまことに重大です。その後も何回か発覚の機会があったと思われるのに、ことごとく見逃して48億円にふくれさせました。
■こうした活動によって私たちのただす会は、ようやく、社会的に認知されるようになりました。

本会への中傷・逆用

■こうなりますと、はじめは無視、軽視していた議員さんたちも、次第に重親し脅威さえ感じ始めたようです。そこで考えたのが、語呂合わせ。「市政をただす会」を「市政をみだす会.」と中傷するやり方です。
■この中傷は、「た」と「み」の一字の違いですが、議員さんたちの政治的立脚点を明らかにしてくれました。私たちをみだす会と中傷する人びとは、自分たちは正常だと思いこんでいるのです。例をあげます。
1 市長さん。私たちの提出した公開質問状に対する回答文の中の一節「貴会の賛同状のうち、安中市政のひずみ、ゆがんだ市政との表現は貴会独自の見解であり、遺憾の意を表明する」(6月20日)。
2 議長。私だちと開発公社不祥事件調査特別委員会正副会長との対談に同席し「あなた方の会報に、議会、議員はノーテンキという言葉が使われているが、その根拠を示せ」と迫りました(9月4日)。
3 調査特別委員会委員長。「あなた方の会報の中に、委員会の審議は猿芝居・茶番劇という言葉があるが、委員は一生懸命やっているので、もっと前向きの表現をしてもらいたい(9月4日)
 ※委員会は市民には非公開でマスコミだけに傍聴を許しました。この言葉は、私たちがマスコミから聞いた言葉です。尚、S紙は委員会の審議ぶりを「脱線、的外れに終始、委員の勉強不延露呈」の見出しで報じています(8月10日)。

選挙の争点

■以上でおわかりのように、市政にたずさわった皆さんは十年余りの間、この大不祥事に気づかなかった不勉強と無責任を棚に上げ、ベテラン議員でないと、解明できないとさえ言っています。

―――――したがって、今度の選挙の争点は―――――
自分たちは間違っていなかったとして、ただす会をみだす会と中傷する側の人を選ぶか
     それとも
ゆがんだ市政をただそうとする側の人を選ぶか
  ここに安中の興亡がかかっています
―――――二つに一つです―――――

付記1 ただす会、命名の由来―――――
 私たちは、ゆがんだ市政をただ(正)したいと思います。そのためには、ゆがみの実態を明らかにするのが大前提で、これは、ただ(質)すことでできます。もし、そこに嘘があったら、ただ(糾)さなければなりません。「ただす」は一語で三つの中味が表わせますので、これを使いました。

付記3――――――――――
 議会の調査特別委員会は、私たちのいちばん知りたいこと【責任者は誰か】【48億円はどこへ流れたか】は調べないのです。その報告書に次のように書いています。
 「(調査の対象は安中市の事務で)事件に関係する方を特定したり、不正金額がどこへ流れているかなどは、調査の対象とすることはできないわけでございます。・・・」(9月27日)。
――――――――――
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【ひらく会情報部・タゴ51億円事件18周年記念調査班】

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タゴ事件発覚から18周年・・・地方自治体史上最高額の横領事件に安中市民はどう対処したか(会報19号)

2013-08-28 22:31:00 | 安中市土地開発公社事件クロニクル
■会報19号が発行されたのは、平成7年10月24日でした。9月末に返済期限が到来した借入金をめぐり、群馬銀行が安中市と同市土地開発公社を相手取り、ついに10月19日に前橋地裁に提訴しました。さらに公社の中市と群馬銀行の間の交渉が難航し始めました。また、公社の決算書から1982~1985年の期間に積立てられたはずの3200万円が行方不明となっていたことが新聞で報じられ、公社の不正会計が当時から行われていたにもかかわらず、公社の監事が見逃していたことが判明しました。

 それでは、会報19号の内容を見てみましょう。

**********
■市政をただす安中市民の会  会報19号
連絡事務所TEL/FAX:81-0364 平成7年10月24日発行

スジを通した?40億一括返済を求め群銀が提訴

群銀とのトップ会談を1度やったきり、自分の責任の重大さと市政の今後の運営の困難さにネをあげて10月13日にスタコラサッサと市長の椅子をあっさり投げ出した小川市長。これを見越して、たたみかけんばかりに群銀が提訴!のニュースが19日朝、日本全国をかけめぐった。当会では、これまで群銀側がどのような形で市・公社に対して返還請求をしてくるのか注目していた。よもや期限の利益放棄をして一括返済を求めて提訴してくるとは。最悪のケースを想像したくはなかったがいまや現実のものとなってきた。
■多胡被告の巨額不正借入れの実害がイッキにのしかかってきた場合、赤字団体や財政再建団体転落の可能性が心配されていた。どうやら群銀は裁判のことを考え、この際、別口座の37億円分すべての公判結果を待たずに、約定期限未到来の融資分も一括して提訴し「スジ」を通して裁判に臨み早期の決着を考えているフシがあるようだ。従って、裁判の結果次第では、安中市にとっていちばん厳しい返済方法を求められるわけで、既に一部議員が口にしはじめた財政再建団体転落への懸念がにわかに現実昧を帯びてきた。
■19日に県庁の刀水クラブて記者会見した群銀は、前橋地裁に出した訴状のなかで公社と昭和55年6月2日に交わした銀行取引約定書で「債務の一部でも履行が遅滞したときは銀行の請求により直ちに債務弁済」(期限の利益の喪失)「証書について偽造・変造・盗用等の事故があっても、生じた損害は公社の負担」(10条4項)と規定。市も公社への貸付に際して債務を連帯保証すると約束したので、公社を主債務者、市を連帯保証人として、未払い分の支払をすべきだ、としている。

スジが通せるの?群銀の提訴に公社・市側応訴!

■群銀からの提訴を受け10月20日午後3時から公社理事会が開催された。席上、公社の弁護士が群銀との裁判に勝てるとする理由を示した資料コピーを公社役員に配付。勝訴の根拠というのが次の通り。
(1)自治体からの融資申込時に、群銀による権限の確認が不備なこと。群銀は多胡被告が融資を申込む時に、「代表権限」「予算の裏付け」「使途の確認」を十分チェックしたのかどうか、という点を裁判で突けば勝算あり、というのが公社側弁護士の作戦らしい。
(2)銀行取引約定10条4項規定は第3者から取得した手形(=証書)には適用されないこと。
もし、この規定を表見代理の一態様ないしその注意確認手段の特約として見るならば、この有効性はきわめて疑問である、というのが公社側弁護士の勝算の根拠らしい。
■一方、群銀側は19日の記者会見で銀行取引約定書に規定された
(1)期限の利益の喪失
(2)表見代理
を掲げて公社・市を提訴している。ここで、表見代理というのは民法109条「代理権授与の表示があるとき」同110条「代理権ゆ越のとき」同112条「代理権消滅後の表見代理」に記されているが、表見代理の成立には次の3つが必要とされる。
(1)外観の存在
(2)本人の帰責性
(3)相手方の善意無過失
これらが民法110条でいう「正当理由」で、実際にはこの相関関係で当事者のどちらかに非があるかが決まる。
■20日の公社理事会で、弁護士が自信満々で配付した資料から推測される今後の裁判の争点は以上の通り。ただし、市民にとって懸念されるのは、公社弁護士の配った資料は一見勝訴理由が列挙されているように見えるが、具体的な判例に裏打ちされた記述に乏しく、出所不明の専門書物から、著者の見解のうち、今回の事件にこじつけて、公社側に都合のいいような部分だけを抜粋してコピーした資料のような気がする。難解な法律用語で煙にまかれた公社理事が勝訴を確信しても、喜ぶのは弁護士だけ。裁判の結果、群銀に敗訴したらゴメンね、では済まされない!

―――――開かれた 見える政治を 市民の手で―――――

◎48億円事件とそれを許した市当局や市議会に関するあらゆる情報はTEL/FAX:81-0364へ!◎

小川前市長の形見?公社弁護士の雇われ方と「勝算」

■事件が発覚したとされる5月18日。翌19日に小川前市長が着手金1千万円で公社の弁護を頼んだのは昭和61年に司法試験に合格、平成元年に弁護士登録をした35才の中央大学法学部卒の若手弁護士。得意とする分野は不動産、会社、ゴルフ会員権、税務関係だという。趣味はゴルフだそうで、小川前市長とは趣味の相性がいい。
■ところで多胡被告の弁護士は高崎に事務所を構え、群銀も多分地元の弁護士を起用していると思われるが、なぜ安中市土地開発公社だけは東京の虎ノ門で法律事務所を開いている弁護士をわざわざ起用しなければならないのか?しかも金融や行政関係でなく、ゴルフ会員権や不動産問題を得意とする弁護士をなぜ頼んだのか?
■小川前市長からサッサと見捨てられてしまった我々市民にとって、これからの民事裁判の行方はたいへん気がかりなところだ。

原市地区で開いてます!市民集会報告《並木団地・簗瀬集会所》

■10月17日(火)並木団地集会所の報告会に市民5名参加。
●犯人が一人でやったにしては想像を絶する巨額な被害額.もう少し数字の解る人が居た筈と思うが。しかし現実としてチェック機能が働かなかった.今後この巨額な字をどうやってなくしてゆくのか、市民として十分見極めてゆかねばならない。
●この資料を市に持っていって見せても数字の意味するところを解る人がいないとは。この事実を市民に公表すれば責任の所在がハッキリすると思う。[20日に「公社乱脈経理を糾す」と題して市民に対し公開説明会を開催予定]
●事務をやる人は簿記の知識がある筈。ヒラの多胡被告はともかく経理がよく解るという直属の上司はどんな知識があったのだろうか?
●昨日の東京新聞と今日の読売新聞に82~85年で積立金3200万円が行方不明と報じているがどういうことか?[公社準備金として利益積立されるべき筈の金が83年(昭和58年)の時点で3200万円ある筈なのになぜかゼロ。公社理事会監査も受けたことになっている。22日の公開説明会でも詳しく発表する]
――――――――――
10月19日(木)築瀬集会所の市民報告会に市民20名が参加。
●市長が辞めれば責任はどうなるのか?辞めれば全くこういう問題に関係ないのか?やはり自分の財産でできるかぎりのものは出してもらわなければ!
●オウム事件のせいで安中の大事件が出てこない。オウムに助けられている。
●公社役員は市長や幹部、議員。市から報酬をもらっているのだから責任の取り方にも金銭的なものがつきまとう筈だ。農協の理事には重い責任がある。当然公社の理事長や理事、監事はもっと訴えられるべきだ!
●不祥事のツケがもしも市民にしわ寄せされれば、市民運動で、公社役員がもらっていた手当を返還させてほしい!
●市長はとにかく誠意を見せるべき。責任を取らずに辞めるなら誰だって市長になれる!
●百条委は「事件に関係した人を特定しない」等と言ったそうだが呆れてものがいえない[今度の選挙で真相解明に不熟心な人達がまた上がったら事件の真相は闇の中]
●職員も賃金カットしないと市民は納得しないのでは。
●犯人の上司が異動で移り給料2割アップになったとか。そんな馬鹿な事が許されるか!
●やはり行政改革をしなければ納まりがつくまい!
●市役所の中にはおはようと挨拶しても、返事もできない人達がいる。
●現在3千万円余かけて全市全戸の家屋調査中。市では固定資産税アッアで委託調査経費の10倍くらい税収増をもくろむ魂胆に違いない!
●早く借入金の件を解決しないと金利などで大変変な事態になる!
●6月14日に議会一般質問の傍聴に行った。公印管理はささいな事。一番の問題は40億近いカネが市民負担になった時だ。これをどうやってゆくかについて、ただす会では責任追及でなく、どうしていったらよいか代案はあるのか?
●ただす会から議員も市長も出す覧悟があるのか?反対を唱えるだけなら簡単。これだけ事件を追及したのだから、ただす会も次の対応を考えては?
●会報を欠かさず読んでる。これに書かれているのと同じく私も腸が煮えくり返っている。人によってはこれ以上の怒りを持っている。市政をただした後、会の活動はどうなるのか?活動は今回の不祥事だけか?それとも永続的にやっていただけるのか?しっかりした腹案をもって今後の市政改革に臨んでほしい。
●40億の負担がかかった場合、市がしっかりした対応を取らないとき、税金の不納運動を起こすのか?
●行政の経費は人件費が殆ど。給与を減らし退職金もカット。それだけの誠意を市に示してもらいたいものだ。行政がそこまでやらないと市民も納得しない。
●市政をただした後は会としてどういうビジョンを描くのか?
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タゴ事件発覚から18周年・・・地方自治体史上最高額の横領事件に安中市民はどう対処したか(会報18号)

2013-08-27 23:03:00 | 安中市土地開発公社事件クロニクル

■会報18号は平成7年10月17日に発行されました。9月末に返済期限が到来した借入金で、いよいよ安中市と群馬銀行の間の交渉が難航し始めました。また、市議会の迷走ぶりも紹介しています。


 会報18号の内容を見てみましょう。

**********
■市政をただす安中市民の会  会報18号(上)
連絡事務所TEL/FAX:81-0364 平成7年10月17日発行

小川市長スタコラ辞任!責任とらずに責任とったの怪

小川市長の今回の辞任劇を見て、小川市長の人となりを知る人がこうつぶやいた。「ああなるほど。ショー(勝)ちゃんは昔から人に言われるのが絶対にいやだから、何とかして自分で責任を取った格好に見せるのが得意だったよ。不信任潰しもメンツのためさ」
■事件発覚後約5ヶ月の10月13日、小川市長の辞任が正式に決まった。9月29日の定例市議会の市長不信任否決以降、辞任に至る迄の経緯を次に示す。
 1日 48億円事件に関連し、多胡被告の直接の上司ら関係職員17名の処分が行われた。
 2日 市公社が多胡の不正借入れ分37億5千万円に対する利息約7千4百万円を群銀に支払わなかった。須藤助役が再度、小川市長に辞表を提出したが、市長これを受理せず。
 5日 県地方課が県内36土地公社の実態調査結果をまとめた。管理不徹底を指摘。巡回指導の強化。
 6日 市が臨時広報2号発行。一転「市に負批が生じる」可能性を初めて認めた。
 9日 多胡被告、公社、群銀の各弁護士が5回目の3者協議。多胡の預金などで3億7千万円弁済合意。小川市長後援会幹部が「これ以上みっともない姿をさらしたくない」と市長の辞任を望む発言。
11日 朝、市長は助役らに辞意を表し、午後4時半に広上議長に辞表を提出。市の幹部職員を招集し辞職説明。夜、後援会役員会で辞任の意向を示し8時から記者会見。13日臨時議会での辞任表明。
12日 1時半に市議選の立候補者説明会が開かれ39陣営が出席。また、市長選とのダブル選挙が確定。夜、小川市長の企業後援会「勝友会」総会が並木苑で側かれ、解散することが決定された。
13日 臨時議会で小川市長の辞職に全会一致で伺意。傍聴席から「議員もハッキリ責任とれ」の市民の声。

事後処理もチンプンカンプン!無責任市政の後始末

11日夜の記者会見で明らかにされた小川市長の辞任の決断理由は次の通り。本人は「事後処理の一定の見通しがついた」などと言っているが、その実は何の具体策も示されないチンプンカンプンだらけの代物。

◆多胡被告の2回の公判が終わり事件のあらましが見えた→事件は益々混迷の度合いを深めるばかり
◆群銀とのトップ会談が終了し、公式の場での筋を通した解決の認識が双方一致した→助役が取り持った会談。筋を通した解決が何を意味するのか市民に示されていない
◆多胡の預金弁済と公社裏口座解約で群銀と合意→裏口座解約は金利逆ザヤ解消のため一刻も早い措置が必要だった。それが今頃とは
◆事後処理検討委員会の設置→同組織と活動内容が市民に知らされない
◆事件関係鍛員の処分を含めた人事異動の実施→何を今頃こんなに甘く!という感がする
◆当面の課題だった金利返済を行った→いったい何の金利を返済したのやら

安中市民は怒っているぞ!公社帳簿の乱脈の実態

天下に安中の恥をさらした安中市土地開発公社不祥事件について、市議会は調査特別倭員会を設置して調査にあたった。ところが肝心の委員会に提示された公社の年次別借入金等一覧表などには、疑問が多いので市当局に質問したところ、説明が得られなかった。
■やむを得ず、私たちは入手できた資料の範囲で、私たち独自の解釈を試みたので、これを内外に訴えたい。そこで、次のとおり公開説明会を開催します。
―――――公開説明会開催のご案内―――――
 テーマ : 安中市土地開発「公社帳簿の乱脈を糾(ただ)す!」
 日 時 : 10月20日(金)午後7:30~(午後7:00開場)
 場 所 : 安中有文化センターホール(入場無料)
 主 催 : 市政をたす安中市民の会
―――――ぜひお出かけください―――――

伝家の宝刀の筈が竹光だった?百条委中間報告を分析

調査特別委は任期最後の9月29日の本会議で調査結果を中間報告した。これまで10回開かれた調査委のうち第5回(8月11日)以降が百条調査権を伴ういわゆる百条委。証人・参考人の尋問をした本格的な調査は8月17・18日と9月7・8日の4日間。
■報告書では「調査委は自治体の事務に関する調査が対象であり、事件関係者の特定や不正金の流れを調べるものでなく」「事件を生じた背景や組織の人事管理に重点をおき、再発防止に資する調査を行うもの」としている。ハテ?事件を生じた背景や人事管理を追及すれば、当然ながら不正な金と関連する人の流れについても…。
■報告書では予想通り公印管理の不十分さ(多胡被告が自由に押印できたから管理不在というべき)を指摘。多胡被告が借入や経理の仕事を全てこなし、監事は監査でオモテの通帳さえ確認しなかったという。
■当会の調べでは、実は優秀だった多胡もうっかりミスを犯し平成4、5年にウラ口座に一旦入金した金の一部を表口座へ3度計2700万円ほど振替えている。裏口座の公社名義で表口座へ入金しているのだ。
■表口座を見ていれば当然首をひねるところだが、通帳を見たと証言している経理に明るい筈の上司は、この通帳の問題の箇所だけは視線が定まらなかったようだ。しかも3ヵ所も!
■当会の入手資料によると、どうやら多胡は水増し分だけでなく誤って正規事業資金分まで裏口座へ入れてしまい、辻棲合わせに裏から表へ振替えた、というのが真相らしい。問題の裏から表へ振替えた金額は、当時の公社の正規事業資金借入れ額とピタリ一致。
■市長公印の運用面では上乗せ済みの借入証書に市長公印が秘書課職員の手によって押されたわけで、書類のチェック不十分を指摘。骨董品や絵画に詳しい多胡の手になる偽造「作品」だけあって役所内でも「無監査」状態だったのか。まるで巨匠横山大観なみだ。
■多胡を15年間も同一職に止めた人事管理問題も指摘されたがあとの祭。報告書では様々な改善意見も付されているが、これもあとの祭。
■気になるのは原田議員の小西百条委長に対する質疑の中で明らかとなった百条委の取組み姿勢だ。公社理事長市長はウソを言っても罰のない参考人聴取。対する銀行側は、偽証罪も問われる証人扱い。小西委員長は「理事長市長は直接的な事務担当職ではないので参考人とした」と答えたが、銀行の支店長次長も直接事務担当職ではない。これで公正な調査なのか疑問だ!
■草津町百条委が採用して大いに事件解明に役立った手法にゴルフ場への資料請求がある。多胡の交遊関係解明の手がかりをつかむにはこれが一番。百条委でも多胡がメンバーになっているゴルフ場の資料請求について長沢副委員長から提案があり委員全員の合意を得た。資料請求は議長名で行うため、小西委長はこれを広上議長に伝達したが、そこで終わり。その後どう処理されたのか委員長の答弁はなかった。
■小西委員は、ゴルフ場の資料請求は「正式な調査委の場でなく打合わせの場」で合意したものだと強調。言い訳のつもりか?いっそ「もみ潰しました」と言えば、市民に解り易いのでは。
■人事管理最大ポイントの芝原団地の件も、委員会で論議は出たが調査はされていない。
■平成2年度以前の正規口座の不正は、資料を司法当局に押収されて控えもないため、調査はできなかったとしている。

ん?催告の抗弁権ときたもんだ!公社債務の行方

会報16号の宅建協会主催の公開座読会の記事で「催告の抗弁権」という難しい言葉があり多くの市民から質問を頂いた。
■座談会出席の某市議が引用した言葉だが、その発言の趣旨は「市は公社の連帯保証人ではなく催告の抗弁権があるので、第一義的に返済請求を受けるのは公社であり、市に債務がふりかかる式の世論に押されて、市が債務当事者になってしまうのは好ましくない」ということらしい。そこで催告の抗弁権について考えてみた。
■民法452条のこの権利は、保証人が借金の肩代わりを迫られたとき、まず主たる債務者(借金した本人)に請求せよ、という抗弁(言い訳)が主張できる権利があるというもの。但し連帯保証人の場合は主たる債務者と同様の地位におかれるからこの抗弁権を持たない。
■しかし債務者本人への催告(弁済期日が過ぎたので払えという請求)は裁判外のものでも差し支えなく、形式的な催促がしてあれば足り、それで保証人は抗弁できなくなる。現代の商取引においては、催告の抗弁権ははなはだ効力が弱いものといえる。
■唯一この抗弁権が意味を持つのは、保証人が催告の抗弁権を行使したにもかかわらず、債権者が主たる債務者への請求を怠り、のちに主たる債務者から全部の弁済を受けられなかったという時に、債権者が当時直ちに請求すれば弁済を受けられたであろう限度において、保証人は保証債務を免除される、ということだ。
■今回の事件では公社の役員は殆と市幹部や市議の兼務。公社と市は組織的にも財政的にも一心同体の運命共同体。公社独自の黒字財産は3億円程度。そのうえ公社を破産させるまで市が知らんぷりを通す訳にもいかない。またいくら世論に押されても理事長が払わないと言っているのを市長が払う訳はない。
■主たる債務者と保証人が不可分の関係であるとき、催告の抗弁権と民法453条の検索の抗弁権とは実務上役にたたない。実効の乏しい専門理論はこの際助けにならない。
■当座群銀は遅滞損害金(年利14%)の適用は見送った。取引先としての公社も大事だが、一番気を使うのは一般預金者である市民の反応だろう。気になるのは平成9年3月末日に迎える約23・6億円分の弁済期日だ。
■銀行側は主に当初予算の債務保証限度額を主張し、公社側は減額補正後のものを主張して対立するだろう。債務保証限度額がどのように正当な債務保証額と認定されるかが今回の事件の最大のポイントだ。

■市政をただす安中市民の会  会報18号(下)
連絡事務所TEL/FAX:81-0364 平成7年10月17日発行

原市で開いてます! 市民集会報告《正善集会所・八本木集会所》

■10月10日正善集会所で報告会を開催。市民14名が参加。
●ただす会が立上がってくれたことに感謝と関心をもって出席した。事件発覚と同時に4区集会所で地元議員が「絶対に市民に負担させない。させるべきではない」と意見を言明。「明日、市議会を代表して質問に立つから傍聴に来てほしい」というので傍聴にも行った。余りにもお粗末な市長追及だった。失望し最初の一言で帰ってきた。来る11月市議選で八本木集会所使用の申入れを同議員がしたことについて、区長と幾人かで10日間事務所として使用許可してしまった。「集会所は誰のものか?これではPTA、老人会、育成会などが使えない。非民主的なことをなぜ決めたのか?」と抗議したが聞き入れられなかった。集会所を一市議に貸したのは大きな汚点だ。
●一主婦にとって100万円の札束など手にしたこともないお金。10万円以上のお金だって家計で計算したことがありません!いかに巨額の事件か想像を絶します!
●なぜ百条委を傍聴させないのか?市民傍聴賛成の某議員は「賛成ひとりでは多勢に無勢jと言っていたが、この点についてどう思うか?[百条委の議員に個々に意見聴取したら個人的にはオーケーだが、会派が反対なので市民の傍聴に反対するとか、委員長自ら「百条委は議会とは別。傍聴は委員全員賛成でないとダメ」と言い張る始末]
●先日の9月議会で市長不信任案が出たが賛成4名のみ。前日に賛成だった議員らが大方反対にまわったとされている。なかでも反対討論に立った議員には郷原の区長の多くが憤りを感じている。この経緯の裏話があったら聞かせてほしい。[いろいろと市長側から頭を撫でられたようだ。会報17号が参考になる]
●公社が500万円をなぜ法務局に供託したのか?今ひとつよく分からない。[群銀と公社の帳簿に食い違いがあるのが原因。今後重大問題となろう]
――――――――――
■10月12日(木)八本木集会所で報告会開催。市民20名参加。
●市長が辞任表明した。市議と市長の同時選挙となる。ただす会はどういう方向性をとるのかな?これだけの活動を展開してきたのだから、会で独自候補を出さないと単なる批判団体ととらえられてしまう。ぜひ会から市議も市長候補も出してほしい!
●市長は48億事件のケジメもつけず辞めた。多胡被告以外にも関係者が幾人もいる筈。警察でぜひ調べてほしい。
●銀行と民事訴訟に入った場合、公社が金利を払うようになれば、手落ちを認めたことになるのでは?[だから3者の弁護士の間で、今回の多胡被告の弁済は民事とは関係ないと条件を付けあっている]
●市は犯人がやったことだから知りませんといっているのは問題だ!群銀との交渉課程を見ても市長がケンカをふっかけたように見える。[市と群銀は出るべきところへ出ることに合意した。群銀がとりあえず14%の延滞被害金は請求しないというが、他の顧客の手前そう長い間は無理。また既に不正額が厳然と存在しているわけで、群銀としては期限の利益放棄をして一括返済を市に求めてくる可能性も否定できない]
●裁判は群銀の態度次第というわけか?金利がついてくるとなると、安中は実に重い荷物を背負い込むことになる。心配だ!この不始末の責任をとらずに辞める市長の気が知れぬ!
●後園城祉公園の手入れに年間千5百万円かかるらしいと某植木屋に話したところ千5百万どころか5百万円でもまだ儲かるよという。これだけでも年間1千万円浮く勘定だ。他にもいろいろムダ遣いがあるに違いない。
●市議会も定数を半分以下にしたらよい!
●議員や市長は私利私欲のためにやる者が多くなってしまった。昔の議員はみんなのために、身上を漬してまでも奉仕したものだ。今の議員は市政のパイプ役というがどこにパイプを向けているのやら!
●恩給をもらうためにもう1期出馬するとなると、恩給を払うのは市民。そういう候補者は願い下げだ!
●市民に百条委を傍聴させないのは絶対に変だ!議員の歳費を払っている市民に傍聴させないというのは民主主義が徹底していない証拠。
●責任もとらずに辞めてゆく市長に対して市民から告発が出てもよいと思う。市長には私財を投げうって弁済に充ててもらいたい。
●責任もとらずに辞めるなら、私だってできる!新市長は小川市長の無責任市政の後始末をせねばならない。大変な努力を払っても追求を受けてやり難いことだろう。だから小川市長や公社理事らを告発すべきだ。そうしないと大事件の責任の所在が曖昧のままケジメをつけられない。
●市長は今日も公用車で移動していた。なぜ自転車で飛び回らないのか?
●市議選ばかりでなくただす会からぜひ市長候補を出すという気持ちで頑張ってほしい!
―――10月は原市地区で座談会を開いてます★毎晩7時半から★ぜひお出かけ下さい!―――
17日(火)並木団地集会所 19日(木)築灘集会所 24日(火)原市3区住民センター 26日(木)原市2区住民センター
―――――次回定例集会10月22日(日)午後7時半~ 於:安中公民館―――――

==========訴え==========
■市政の現状
 先にも後にもない安中市土地開発公社巨額詐欺事件は、「市政のひずみ」+「市役所の一職員の野望」⇒両々相まって起きた。片方だけでは起きなかった。市政をひずませた第一の責任は歴代市長に、第二の責任は議会に、第三の責任というより根本的責任は、これら市長、議員を選んだ市民の意識にある。
 重ねて、このように悪徳職員を有能として重用してきた不明も厳しく追及されなければならない。
■現市長の評価は既に定まった!
 モノやヒトの良し悪しは、相対評価=比べることによってよくわかる。安中だけを見ていてはわからないことも、周辺、県内、国内、諸外国と比べれば、その位相がハッキリする。私たちの身近でそれのできるのはマスコミの皆さんである。マスコミの評価は世論の評価を代弁する。
 そのマスコミは、5月事件発覚後、度重なる市長との対談によって、6月中には既に市長の政治能力を見限っていた。【例:6月24日A紙「・・37億円のツケが市民にまわってくるかも知れないというのに、・・-あ然とする答の連続であった」】
■議会の評価も定まった!
 同様に、相次いで開かれた市議会の本会議、委員会、(本件)調査特別委員会=これはマスコミだけに公開、全員協議会、各会派の集会を取材したマスコミ各社の評価は、8月19日付S紙の評価に代弁される。そこでは「脱線、的外れに終始。委員の勉強不足露呈」の見出しが目を引く。各紙の記事は、社の方針もあってマチマチだが、私たちが記者の皆さんに伺ったところでは、印象はSと同じということだった。
 なお悪いことに、議員皆さんからそう見られ、私たちもそう思っているのに自分たちは一生懸命やっていると思いこみ、私たちがマスコミから得た茶番劇、猿芝居、ノーテンキという言葉を非難している。
■今度の選挙で市民が評価される!
 一公務員の10余年にわたる華麗な生活のしりぬぐいを市民がさせられるかも知れないとあっては、血の気の多い正義漢なら、本人の居宅、店、開発公社に押しかけ、事と次第にょっては、暴力ざたも予想されるのに、安中市民は緊急市民大会に500人ほど集まり、怒号をとばしただけて納まった。
 これが安中市民の長所であり、短所である。
 末尾の表(参考資料)を見ていただきたい。これは民間経済誌の調査で、信頼性は多少落ちるにしても、年鑑を発行しているところを見れば、「当たらずとも遠からず」というところではないか。
 これを見ると、安中は自然に恵まれ、ふところ具合も良い。しかし、生活水準は11市中最低だ。それなのに市民は中流意識に安住し、すべては、自分達が選んだ市長、議員にまかせきるという政治的に未成熟な姿が見えてくる。市政は市民のためにある。市民が願うなら実現できる付漏みになっているのに「願い」を出さない。これが今日の不祥事を招いた。
 もし、今後の選挙において、不祥事の真相究明に不熱心な人を選べば、事件の民主的解決は望めず、責任のある者もない者もごっちゃにして、ツケがまわってくることは間違いない。
■市民の願い(=先ず真相究明)を託せる人を!!禍いを転じて明るい光を!!
               平成7年10月 市政をただす安中市民の会
――――――――――――――――――――
参考資料:安中市民の生活水準と県内11市の比較
           住みよさ  安心    利便    快適    富裕
安中市  全国順位  282   504   385   155   217
     ランク   B     D     C     A     A
     県内順位  10    10    11    1     5
県内一位 市名    伊勢崎   渋川    高崎    安中    高崎
     全国噴位  77    43    86    155   213
     ランク   A     AA    AAA   A     A
注:全国順位=全国686都市(663市と23区)の順位、県内順位=県内11市の順位
出典:東洋経済別冊「都市データ・パック」1995年版より
**********

【ひらく会情報部・タゴ51億円事件18周年記念調査班】

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タゴ事件18周年…岡田市長が理事長を兼務し再び伏魔殿化が進む安中市土地開発公社と市民の不安(続報5)

2013-08-24 23:09:00 | 土地開発公社51億円横領事件

■おそらく我が国地方自治体史上最大の横領事件であろう、安中市土地開発公社を舞台に18年前に発覚したタゴ51億円事件は、当時、横領犯とされた元職員タゴと一緒に土地開発公社の監事や理事として公社の運営に関与して居ていた御仁が、現在安中市の首長に君臨していますが、安中市土地開発公社の伏魔殿化は、すでに仕上げの段階にあったことが判明しました。

 これまで、安中市土地開発公社が事業を行うために、銀行から資金を借り入れる場合には、安中市が債務保証をしているため、銀行は、公社に対して安心して融資をすることが可能になると思われていました。ところが実際には、そうではなかったのです。安中市の債務保証がなくても、安中市土地開発公社は、金融機関から融資を受けていたことが確認されたからです。

 当会は、この非常識な実態について、うかつにもこれまでずっと知りませんでした。このことが分かったのは、たまたま、安中市が東邦亜鉛安中製錬所周辺のカドミウム汚染土壌の除染のための公害特別土地改良事業のアンケート調査を今年1月下旬から地元関係者に対して実施し、それに関連して、事業推進の鍵となる客土用の土の確保に、安中市鷺宮にある群馬県の所有地だった安中桑園跡地の表土が最適であるという話が浮上したためです。

■安中カドミウム公害に苦しめられ続けている安中市岩野谷地区の住民らは、この負の遺産を次世代に残さないことを悲願としており、公害特別土地改良事業に係るこのアンケートに早速回答して既に安中市に提出済みです。現在、次のステップに向けた作業が行政と碓氷川流域農用地土壌汚染対策会議公害防除特別土地改良事業推進委員会により進められているものと見られますが、一向にその状況は地元関係者には明らかにされていません。一方、この汚染土壌の除染事業の鍵を握る客土の確保として、一昨年から注目されてきた群馬県人工飼料センターが保有していた安中桑園(安中市鷺宮)の跡地約10ヘクタールに存在する重金属汚染のない健全な畑地の表土の取り扱いが注目されてきました。しかし、東邦亜鉛から長年資金援助を受け、東邦亜鉛との関係が極めて強い地元安中市の岡田義弘市長が、自ら理事監事としてタゴ51億円事件の舞台となった安中市土地開発公社理事長に君臨し、タゴ事件の尻拭いである群馬銀行への和解金支払いの原資をひねり出すため、この安中桑園跡地を公社が県から買い取り、工業団地として造成して、地元のボルテックスセイグン向けの物流基地として販売することを思いつきました。そのため、タゴ51億円の103年ローンの履行と、東邦亜鉛安中公害の除染作業による東邦亜鉛の負担金支払い遅延による同社負担軽減の一挙両得を狙い、しゃにむに安中桑園跡の再開発に血道をあげています。

 当会では土地開発公社を隠れ蓑に、水面下でおこなわれているこの不透明な事業の推移を明らかにするため、行政に対して情報開示を続けています。とりわけ、安中桑園跡の買取に関する敬意については、群馬県からは一部黒塗りながらも概ね関係情報が開示されましたが、安中市の岡田市長は、自ら理事長を兼務する安中市土地開発公社は別法人だとして、あくまで市民に関係情報をひた隠しにしています。

■東邦亜鉛の安中公害による汚染土壌の除染事業と、これに関連した安中桑園跡の取扱について、当会は、平成25年2月25日に、次の内容で、安中市長に行政文書開示請求を行いました。

<開示を請求する行政文書の内容又は件名>
安中市(産業部農林課を含む)が保有する公害防除特別土地改良事業推進委員会が関係する次の情報。
①平成25年1月17日付で「各位」あてに発出した「アンケート調査へのご協力のお願い」と題する書面を作成し、発送するまでの経緯を示す情報(推進委員会と事務局による調査方法に関する打合せ議事録等を含む)
②推進委員会(事務局を含む)の事務事業に関する情報(所掌を定めた規程、規約、要領、組織表、組織図、役員名簿、委員名簿、メンバー表等を含む)
③平成6年10月に行った191名対象の意向調査のためのアンケート結果(請求人関係のものも含む)
④平成8年発足以降、推進委員会における内部(事務局と役員との連絡文書を含む)及び外部(国や県や市や住民等)との会議録(「7月21日に開催された推進委員会役員会」の会議録、推進委員会名で住民に出された通知等を含む)
⑤区画整理方式による事業推進のため、平成8年ごろ作成して地元で説明した資料、及び今回の事業内容の地元向け説明資料(後者は、もしあれば。不存在であればその旨回答下さい)
⑥平成8年ごろ作成した事業計画における北野殿の事業対象区域内の地目別面積(農地、原野、住宅地、道路敷、官地、東邦亜鉛所有地がわかるもの)
⑦事業推進に欠かせない客土用の土取り場として有望視されていた市内鷲宮にある県稚蚕人工飼育センター安中桑園の表土について市公社による工業団地造成の工期の問題等により、残念ながら土取場としての利用を市が断念した経緯(上記④にも関連するが、これまで群馬県に対して買収を打診してきた協議録を含む。また、群馬県との協議ではじめて土取り場を断念したことが議題に上ったとされる平成25年1月9日の会議録も含む)
⑧平成25年2月20日の岩野谷地区における地区別懇談会で、安中市長は、既に造成のための入札を行っているかのような発言をしたが、安中桑園の買収に関する市と県とのやりとりのわかるもの(なお、群馬県では既に市と仮契約を結んでいると説明しているので、仮契約の内容も含む)
⑨上記の公社による入札に関する情報(開発計画の内容がわかる情報を含む)

■その結果、平成25年3月8日付で、次の行政文書については不存在とする決定通知書が安中市長から届きました。

<行政文書が存在しない理由>
 請求内容⑧「安中桑園の買収に関する市と県とのやりとりのわかるもの」に係る情報について、企画課が保有する行政文書は不存在である。
 請求内容⑧カツコ内部分「(なお、群馬県では既に市と仮契約を結んでいると説明しているので、仮契約の内容も含む)」に関しての情報及び請求内容⑨カツコ内部分「(開発計画の内容がわかる情報を含む)に関しての情報」については、安中市土地開発公社(以下「公社」という)に係る情報である。
 公社が保有する情報については、安中市情報公開条例第24条第2項により、公社に対し平成25年2月26日付文書にて、上記開示請求内容に係る情報の提出を求めたが、公社から同年3月7日付文書で、『当該申し出のあった情報については、「公社の経営に支障を及ぼすおそれのある情報」と認められたため提出できない』旨の回答がなされた。
 公社が保有する情報については、実施機関(市)からの提出依頼に対して、公社から情報提供があったときに実施機関が保有する情報になるが、本件については、公社から情報の提出がなかったため、実施機関として開示できる行政文書は不存在である。

■そこで当会では、さっそく平成25年3月18日付で、異議申立書を岡田市長宛に提出しました。

**********
1.異議申立に係る処分があったことを知った年月日:平成25年3月9日
2.異議申立の趣旨:
 本件処分は、条例を不当に解釈し運用されたものであり、本件処分の取り消しを求めます。
3.異議申立の理由:
(1)異議申立人は安中市民であり納税者として行政文書の開示を求める権利を有しています。
(2)請求した情報は、安中市土地開発公社(以下「公社」という)に関係する情報が含まれているとしても、公社の基本金500万円を支出している安中市の管理下に置かれていることから、公社に関する情報は、安中市が必ず保有していなければならない。今回の安中桑園の買収及び造成工事は、いわゆる公拡法に基づく公社の事業ではなくプロパー事業の可能性がある。しかし公共用地の先行取得であろうが、公社のプロパー事業であろうが、公社に関わる事業について、安中市が必要な情報は全て取得していなければならない。なぜなら、公社の行う事業に対しては安中市が債務保証人として全て関与するからである。
(3)安中市長は、公社が保有する情報について、条例第24条第2項「実施機関が保有していないものについて、当該情報の公開の申出があったときは、当該法人(=公社)に対して当該情報を実施機関に提出するよう求めることができる」と定めてあることを引用して、同年3月7日付文書で『当該申出のあった情報については、「公社の経営に支障を及ぼすおそれのある情報」と認められたため提出できない』旨の回答がなされたことを、不存在の根拠に挙げている。しかし、今回の不存在通知には、公社理事長が市長宛に出したとされる文書の内容が具体的に示されておらず、しかも、どのような当該情報が公社の経営に支障を及ぼすおそれがあるのか、個々に具体的に判断できるような理由が示されていない。また、不存在とされている当該文書のタイトルや内容、内訳についても全く示されていない。これは、明らかに条例の誤った解釈及び運用である。
(4)安中市の場合、市長が公社理事長を兼務している。これは、平成7年5月18日に公社内部でひそかに発覚した巨額詐欺横領事件を契機に、こうした不祥事の再発を防ぐために、それ以降、11年以上にわたり、公社の理事長には、市長以外の人物が就任していた。総務省においても、公社の透明性の観点から、市長が公社理事長を兼務することがないようにと指導している。まして、毎年2000万円もの公金を市民のためにではなく、元公社職員の豪遊のツケとして群馬銀行に和解金の支払をしている現状がこのあと89年間も継続される可能性があることを鑑みれば、公社に存在していて、安中市が把握できな情報というものはあってはならないはずである。
(5)しかも、安中市長が兼務している公社理事長が、安中市長の提出命令にたいして「ノー」と言えるのであれば、行政ガバナンス(統治)の観点から非常にゆゆしき問題であり、ましてや史上空前の横領事件を起こした自治体と公社という関係にある実情からすれば、公社の情報について、安中市が入手していないものが存在するということ自体、許されるものではない。さらに、公社の理事は、現在、全員が安中市の部課長クラスの幹部で占められている。このことから、公社の運営面において、安中市が情報を保有していないということはおよそありえない。
(6)今回の請求で⑨として公社による入札に関する情報として、入札結果については、安中市のホームページ上に掲載されていることが情報提供された。この入札は、「鷺宮物流団地造成工事」と銘打って、平成25年2月12日に開札されているが、この入札は、ホームページによれば「安中市発注の建設工事、測量等委託業務」とあるが、実際の入札実施機関は公社である可能性が高い。だが、公社は事業費の借り入れなどは全て安中市に依存しなければならず、債務保証人である安中市が、公社事業に必要な情報は全て保有しているのは明らかである。
(7)以上のことから、公社に関する情報が条例第24条に基づいて、安中市長から公社理事長に情報提出命令が出された場合に、公社理事長がそれを拒める立場には無く、また、公社の情報は、全て安中市が把握していなければならない。さもないと、公社を舞台にした巨額詐欺横領事件の再発防止が担保されず、再び、当該事件発覚以前の状態に安中市が置かれていることになり、非常に危険な状況になってしまうからである。
(8)よって、本件処分を取り消し、全面開示を求める。

■すると、平成25年5月10日に安中市法制課から、当会の異議申立を情報公開・個人情報保護審査会に諮問したことに関する通知と一緒に、次の内容の「お詫び」状が送られてきました。

**********
 別紙「情報公開・個人情報保護審査会への諮問について」につきましては、ご案内のとおり実施機関において手続を進めています。
 小川様から当該異議申立書の提出後、実施機関である市長において当初の決定である原処分(企画課での行政文書不存在)について再調査・再検討を行いました。結果、企画課には該当文書は存在していませんでしたが、商工観光課において小川様からの請求(平成25年2月25日付け)に対して、一部該当する行政文書が存在することが確認されました(当初において行政文書を特定する際、当時の商工観光課の担当に確認したところ、該当する行政文書はないとの報告を受けていました。)。このことは、行政文書の特定のための検索が不十分であったことに起因することであり、結果、小川様にご迷惑をおかけすることになってしまい、大変申し訳ありません。
 よって、商工観光課において開示手続が完了次第、速やかに一部該当する行政文書について追加による開示を行う予定ですので、お含み置きください。
                    平成25年5月10日
             事務局:法制課法務係(内線1043)
**********

■そして、平成25年6月14日に、審査会を通じて、安中市の理由説明書の送付と、当会への意見書提出依頼通知がありました。安中市の理由説明の内容は次のとおりです。

**********
【安中市からの理由説明書】
     情報公開に係る異議申立てに対する理由説明書
 異議申立人小川賢(以下「異議申立人」という。)が、平成25年3月19日付けで提起した安中本情報公開条例(以下「本件条例」という。)第11条第2項の規定による行政文書不存在決定及び入札に関する情報提供に係る異議申立てについて、行政文書不存在とした理由を次のとおり説明します。
1.異議申立ての理由に対する諾否
(1)については認める。
(2)につき
 「公社に関する情報は、安中市が保有していなければならない。」の部分は否認する。「今回の安中桑園買収及び造成工事は、いわゆる公拡法に基づく公社の事業ではなくブロパー事業の可能性がある。」の部分は認める。「しかし公共用地の先行取得であろうが、公社のブロバー事業であろうが、公社に関わる事業について、安中市が必要な情報は全て取得しなければならない。」の部分、「なぜなら、公社の行う事業に対しては安中市が債務保証人として全て関与するからである。」の部分は否認する。
(3)につき
 「安中市長は、(中略)『当該申出のあった情報については、「公社の経営に支障を及ぼすおそれのある情報」と認められたため提出できない』旨の回答がなされたことを、不存在の根拠に挙げている。」の部分、「しかし、今回の不存在通知には、公社理事長が市長宛に出したとされる文書の内容が具体的に示されておらず」の部分及び「しかも、どのような当該情報が公社の経営に支障を及ぼすおそれがあるのか、ここに具体的に判断できるような理由が示されていない。」の部分についても詰める。「また不存在とされている当該文書のタイトルや内容、内訳についても全く示されていない。これは明らかに条例の誤った解釈及び運用である。」の部分は否認する。
(4)につき
 「安中市の場合、市長が公社理事長を兼務している。」の部分は認める。
 「これは平成7年5月18日に公社内部でひそかに発覚した巨額詐欺横領事件を契機に、こうした不祥事の再発を防ぐために、それ以降、11年以上にわたり、公社の理事長には、市長以外の人物が就任していた。」の部分は否認する。「総務省においても、公社の透明性の観点から、市長が公社理事長を兼務することがないようにと指導している。」の部分は不知。「まして、毎年2000万円もの公金を市民のためにではなく、元公社職員の豪遊のツケとして群馬銀行に和解全の支払いをしている現状がこのあと89年間も継続される可能性があることを鑑みれば、公社に存在して、安中市が把握できない情報があってはならないはずである。」の部分は否認する.
(5)につき
 「しかも、(中略)公社の情報について、安中市加入手していないものが存在すること自体、許されるものではない。」の部分は否認する。「さらに、公社の理事は、現在、全員が安中市の部課長クラスの幹部で占められている。」の部分は認める。但し、「部課長クラス」ではなく「部長クラス」である。「このことから、公社の運営面において、安中市が情報を保有していないということはおよそありえない。」の部分は否認する。
(6)につき
「今回の請求で⑨として公社による入札に関する情報として、入札結果は安中市のホームページ上に掲載されていることが情報提供された。この入札は、(中略)実際の入札実施機関は公社である可能性が高い。」の部分は認める。
 「だが、公社は事業費の借り入れなどは全て安中市に依存しなければならず、債務保証人である安中市が、公社事業に必要な情報は全て保有しているのは明らかである。]の部分は否認する。
(7)につき
「以上のことから、公社に関する情報が条例第24条に基づいて、安中市長から公社理事長に情報提出命令が出された場合に、公社理事長がそれを拒める立場には無く、また、公社の情報は、全て安中市が把握していなければならない。さもないと、公社を舞台にした巨額詐欺横領事件の再発防止が担保されず、再び、当該事件発覚以前の状態に安中市が置かれることになり、非常に危険な状況になってしまうからである。」の部分は否認する。
(8)について否認する。
2.本件の経過
(1)平成25年2月25日、異議申立人は「安中市(産業部農林課を含む)が保有する公害防除特別土地改良事業推進委員会加関係する次の情報」①から⑨について、本件条例第5条及び第6条第1項の規定により安中市長(以下「実施機関」という。)に対し行政文書開示請求(以下「本件請求」という。)をした。
(2)同日、行政文書開示請求書を所管課である企画課にて受理した。実施機関は本件条例第24条第2項の規定に基づき、行政文書開示請求書の内容⑧及び⑨について、安中市土地開発公社(以下「公社」という。)に対し、同年2月26日付け文書で、保有する情報の提出を依頼した。
(3)同年3月7日、公社より(2)については「公社の経営に支障を及ぼすおそれのある情報」であるため、提出できない旨の回答の提出を受けた。
(4)同年3月8日、請求のあった文書については、公社から情報の提出がなかったため実施機開には文書が存在しないので、行政文言不存在決定をし、異議申立人に対して行政文書不存在通知書を送付した。また、開示請求書の内容⑨「公社による入札に関する情報」については、安中市ホームページ【入札・契約情報】にて確認できることの情報提供も併せて行った。
(5)同年3月18目、異議申立人は本件文書の不存在決定に対し、条例を不当に解釈し運用したものとして、処分の取消しを求めた。
(6)同年3月25日、上記(5)の異議申立てを受け、実施機関は再度、公社に対し、本件条例第24条第2項の規定に基づき、本件請求に関して保有する情報の提出を求めた。
(7)同年4月26日、実施機関は公社より上記(引に対する回答を受けた。
 本件請求の⑧安中桑園の買収に関する市と県とのやりとりのわかるもの(なお、群馬県では既に市と仮契約を結んでいると説明しているので、仮契約の内容も含む)、⑨上記の公社による入札に関する情報(開発計画の内容がわかる情報を含む)について、再び「公社の経営に支障を及ぼすおそれのある情報」であるため、提出できない旨の回答の提出を受けた。
3.本件請求文書の開示について(追加して開示した情報について)
 本件処分のうち、実施機関(企画課)が不存在とした③「安中桑園の買収に関する市と県とのやりとりのわかるもの」の情報については、商工観光課にて保有する情報であったため、平成25年6月4日に開示しております。
4.本件処分をした理由
(1)本件処分のうち、実施機関(企画課)において行政文書不存在について
 安中市と公社は別法人である。当市が保有する情報については、安中市情報公開条例に則り、また公社が保有する情報については、安中市土地開発公社情報公開規程に則って、それぞれの情報開示決定を行っている。公社は、その設立において「市が2分の1以上を出資している法人」であるため]貴報開示請求において、本件条例第24条第2項の規定に基づき、平成25年2月26日付で実施機関たる安中市は公社に対し、その保有する情報の提出依頼を行った(別紙1)。
 しかし、同年3月7日付けで公社よりなされた回答において、「公社の経営に支障を及ぼすおそれのある情報であり提出できない」旨が示され(別紙2:安土開発第26号)、情報の提出を受けなかったことから、実施機関としては情報を保有しておらず不存在であったため、開示できなかったものである。本件請求においては、その後、請求者から同年3月18日付で異議申立てがあり、同年3月25日付で公社に対して、再度情報の提出を強く求めた(別紙3)ところ、公社からは、同年4月26日付けで回答があり(別紙4:安土開発第6号)、再度「公社の経営に支障を及ぼすおそれのある情報」であることから提出できない旨の回答がなされた。実施機関としては、本件条例の規定に基づき、公社に対して情報提出依頼を行ったが、情報を入手することができず、
現に保有する情報が存在しないため、開示することができないものである。
(2)不存在処分の適法性
 以上のことから、公社が保有する情報については実施機関からの提出依頼に対して、公社から情報提供があったときに実施機関が保有する情報となる。本件条例第24条第2項の規定は、公社に対して情報提出に関し任意の協力を求めることができる旨を定めたものであって、情報の提出について強制力はないため、公社の任意の協力が得られない以上、実施機関としては情報を取得することができない。
 本件については、公社から情報の提出がなかったため実施機関としては保有する情報が存在せず、開示することができなかったものであり、本件処分は条例に照らし合わせても違背するものではなく適法である。     以上
**********

■ところが、安中市から理由説明書が審査会に出された直前のタイミングで、平成25年6月4日に、次の情報が部分開示されました。ようするに安中市が得意とする後出しジャンケンです。岡田市長の匿名を受けた特定の市幹部が、安中桑園跡の払下げに関する手続きを一手に扱っており、その情報を庁内で共有化しようとしていなかったのです。

【行政文書開示請求に関する写しの一覧】
<開示請求の件名>
別紙行政文書開示請求書の開示を請求する行政文書の内容又は件名のうち、⑧に係る行政文書
 行政文書の名称/開示の別/不開示とした箇所/該当条項/開示しない理由/枚数
(1)鷲宮「安中桑園」払い下げ・工業団地造成に係る打合せについて/開示/-/-/-/4
(2)業務報告書(安中桑園の払い下げについて)/部分開示/法人名、法人担当者名/安中市情報公開条例第7条第2号及び第3号/個人情報のため。法人に関する情報であって、公にすることにより、当該法人の権利、競争上の地位その他正当な利益を害するおそれがあるため。/5
(3)安中桑園払い下げに係る打合せについて/部分開示/法人名、法人担当者名/安中市情報公開条例第7条第2号及び第3号/個人情報のため。法人に関する情報であって、公にすることにより、当該法人の権利、競争上の地位その他正当な利益を害するおそれがあるため。/7
(4)県所有「安中桑園(鷲宮)」工業団地創設に係る連絡会について/開示/-/-/-/5
(5)新工業団地計画について/開示/-/-/-/3
(6)稚蚕人工飼料センター(安中市)売り払い手続きの見込み/部分開示/法人名/安中市情報公開条例第7条第3号/法人に関する情報であって、公にすることにより、当該法人の権利、競争上の地位その他正当な利益を害するおそれがあるため。/3
(7)県有地の買取希望について/開示/-/-/-/5
(8)現時点における安中桑園払い下げの県の方針/開示/-/-/-/1
(9)新工業団地計画について/開示/-/-/-/1
(10)「安中桑園」払い下げ・工業団地造成に係るスケジュール/開示/-/-/-/1
(11)群馬県稚蚕人工飼料センター安中桑園の活用・処理に係る打合せ/部分開示/法人名、法人代表者名、住所、資本金、従業員、事業内容/安中市情報公開条例第7条第2号及び第3号/個人情報のため。法人に関する情報であって、公にすることにより、当該法人の権利、競争上の地位その他正当な利益を害するおそれがあるため。/2
(12)安中桑園の評価額/開示/-/-/-/3
該当行政文書/計42
写しの費用 420円
**********

■こうした経緯が判明したため、当会は、市の理由説明に対する反論等について、平成25年7月16日に、審査会宛に意見書としてまとめ、提出しました。

**********
**********
        意 見 書
                    平成25年7月16日
安中市情報公開・個人情報審査会
 会長 采 女 英 幸 様
                 異議申立人
                  郵便番号  379-0114
                  住  所  安中市野殿980番地
                  氏  名  小川 賢 (61歳)
                  連 絡 先  TEL:090-××××-××××
 平成25年6月14日付貴状にもとづき、安中市長の理由説明書に関して次のとおり意見書を提出します。
1. 異議申立ての理由に対する実施機関(安中市長:総務部企画課)の諾否に関する意見
(1)異議申立人は安中市民であり納税者として行政文書の開示を求める権利を有していることについて、実施機関が認めるのは当然である。
(2)実施機関が異議申立人の主張する「公社に関する情報は、安中市が保有していなければならない」という部分を否認したことは言語道断である。
 公社を舞台にした地方自治体としては史上空前の巨額詐欺横領事件が平成7年5月18日に発覚した後、実施機関は同年9月19日に安中市事故対策委員会が安中市議会全員協議会に再発防止対策を記した報告書を提出した。それによると、実施機関は、事件の背景原因理由として「公印管理」「人事管理」「文書管理」の不徹底を上げた上で、公社側の再発防止対策と市側の再発防止対策を列挙している。
 この中で実施機関は、市側の再発防止対策として、「職員研修の充実:市職員と公社職員が併任の為、公務員倫理研修を更に充実すること」(即時実施)、「金銭消費貸借契約証書(金証)のチェック:金証の綿密なチェックを実施、借入期間延長、利率変更等の契約変更証書にも市の債務保証に関わる市長印が必要」(即時実施)、「市長公印管理:変更契約証書に紛れ込ませていた偽造の金証に、秘書課が押印してしまったので、決算書類と金証を綿密にチェック」(既に実施済)、「定期的人事異動:適材適所で同一職場で長期にわたらぬよう異動を実施する」(次期=平成8年度の異動から実施)、「市の監査委員:地方自治法第199条第7項に基づく市の定期監査を実施する」(公社役員改選後実施)、「公社管理の充実:公拡法19条に基づく市の監督権を充実するため、総務部企画課が公社の連絡調整事務を行うよう事務分掌規則を改正する」(平成8年度から実施)、「各課専用印管理:専用印は鍵のかかる所に保管。課長の机上で押印すること。税務課・市民課は市民サービスと事務能率維持の為、市民課の諸署名は窓口係長席で、公印台帳管理は一括とする」(既に実施済)を市民の代表である議会に報告して了承された。
 今回の実施機関の理由説明書は、上記の「公社管理の充実」にかかる公拡法19条の市の監督権を放棄したものであり、全国に安中市政の恥をさらした事件から18年しか経過しておらず、さらにあと89年間も群銀への和解金のローンが残っているというのに、早くも実施機関は事件当時の状態に戻ってしまったらしい。猛省を促したい。
 きわめつけは前項(2)の最後の部分で、実施機関が「公社の行う事業に対しては安中市が債務保証人として関与しない」と主張していることだ。安中市の後ろ盾がなければ、公社は銀行から融資を受けたり、市から事務費を支払ってもらったり、事業委託を受けたりすることは一切できないはずだ。にもかかわらず、これを否認するとは、18年前に逆戻りをしているのも同然だ。第二のタゴ事件の温床は既に醸成されているといえよう。猛省を促したい。
(3)実施機関が異議申立人の主張する「また不存在とされている当該文書のタイトルや内容、内訳についても全く示されていない。これは明らかに条例の誤った解釈及び運用である」という部分を否認しているのは言語道断だ。
 前項(2)にも関連するが、安中市の後ろ盾なくしては、公社はなにもできないのである。公社が事業を実施するには、安中市からの債務保証や金銭消費貸借契約証書(金証)を得るため、必要な手続きと、そのために提出しなければならない文書があるはずだ。それらを明らかにせず“不存在”として無視しようとする実施機関の対応は言語道断だ。猛省を促したい。
(4)実施機関が異議申立人の主張する「巨額詐欺横領事件を契機に、こうした不祥事の再発を防ぐために、それ以降、11年以上にわたり、公社の理事長には市長以外の人物が就任していた」という部分を否認しているのは言語道断だ。
 さらに「総務省においても、公社の透明性の観点から、市長が公社理事長を兼務することがないように指導している」という部分を不知だと主張する実施機関の非常識なコメントは、およそ地方公共団体としての資質を自ら否定しているといえよう。これでは、18年前に逆戻りをしているのも同然だ。第二のタゴ事件の温床は既に醸成されているといえる。猛省を促したい。
 その後の「和解金の支払いをしている現状がこのあと89年官も継続される可能性を鑑みれば、公社に存在して、安中市が把握できない情報があってはならないはずだ」という異議申立人の主張部分をも、実施機関は否認していることも、第二のタゴ事件の温床は既に醸成されているといえる。猛省を促したい。
(5)実施機関が異議申立人の主張する「公社情報について、安中市が入手していないものが存在すること自体、許されるものではない」という部分を否認しているのは言語道断だ。このことも、公社の伏魔殿化ぶりを如実に示すものであり、18年前の逆戻りをしているのも同然だ。第二のタゴ事件の温床は既に醸成されているといえよう。猛省を促したい。
 また、「部課長クラス」ではなく「部長クラス」により、公社の理事が占められていることは、部長が公社理事を併任していることと同じ意味だから、第三者の監視と統制が効かないことを自ら認めている。市長も理事長を兼務しており、これは民法で禁止されている双方代理にあたり、違法行為である。コンプライアンスもへったくれもない安中市と公社がこうしたルーズな相互関係にあることは、第二のタゴ事件の温床が既に醸成されているといえる。猛省を促したい。
(7)実施機関が異議申立人の主張する「情報公開条例24条に基づいて、市長が理事長に提出命令を出せば、理事長はそれを拒める立場にはなく、公社の情報は、全て安中市が把握していなければならない。さもないとタゴ事件の再発防止が担保されず、18年前と同様に危険な状況に陥る」という部分を否認しているのは言語道断だ。このことも、公社の伏魔殿化ぶりを如実に示すものであり、18年前の逆戻りをしているのも同然だ。第二のタゴ事件の温床は既に醸成されているといえよう。猛省を促したい。
(8)以上のように、現在の安中市長が推し進める公社の伏魔殿化は、18年前の公社の状況を髣髴とさせる。第二のタゴ事件の温床がこれ以上醸成されないように、速やかに公社関連情報を開示すべきだ。
2.本件の経緯に関する実施機関の理由説明に対する意見
   とくになし。
3.本件請求文書に関連した後付けの追加開示情報に関する実施機関の理由説明内容について
(1)実施機関は、平成25年6月4日になって、突然、隠していた情報の一部と見られる公文書を開示してきたが、このまま隠し続けると、異議申立人が次の段階で住民訴訟をするのではないかと慮ったためと見られる。その場合でも、裁判所は、ことタゴ事件と市民がよぶ公社を舞台にした巨額詐欺横領事件に関連したこれまでの行政訴訟で、ことごとく住民側を敗訴させたことから、通常であれば、実施機関は心配する必要がないはずだ。だが、情報開示条例を巡る行政訴訟の場合、ほんの僅かだが住民側勝訴の確率が良くなる傾向にある。だから、長考の末、突然追加開示をしてきたものとみられる。
(2)この言い訳が振るっている。安中桑園に関する情報は造成した工業団地のセールス業務となるため、「商工観光課」が担当していたが、そのときの担当者であった課長補佐が、その後、異動を経てもなお、本件に関して担当をしていたというのである。
(3)そもそも、公社の監督権は、前項1.(2)のとおり安中市にあり、「公社管理の充実」は「公拡法に基づく市の監督権を充実するため、総務部企画課が公社の連絡調整事務を行うように事務分掌規則を改正すること」となっており、平成7年9月19日時点で、そのような市役所内での体制になっていたはずだ。
(4)異議申立人も、公社のことはすべて企画課が掌握しているものと信じていたので、平成25年6月4日の追加開示情報の公開手続の際に、今回の「不存在のはずが存在」となった経緯を総務部の法制課にたずねた。
(5)その結果、法制課の説明では「とにかく、これは検索が不十分という言葉につきる。企画課の当時の担当職員(=現在の総務部長)にきいたら、『何もない』という言葉を鵜呑みにしてしまったのが要因。『ないわきゃないよね』という話をしていたが、当時の担当は、現在の総務部の田中毅部長なのだが、商工観光課の係長時代から本件に関わっていて、企画課長に異動になったときにも本件の仕事を持っていった。だから法制課は企画課に文書があると考えて同課に訊ねたが『何もない』というので、念のため、当時のことを担当者として知っているはずの現・総務部長に関連文書の有無を確認したところ『いや、特に文書に残していないから、何もないと思う』ということで、法制課としては不存在という形で通知をした」という。
(6)法制課担当者は「本当に田中総務部長はこのことを忘れていたらしい」と記憶の問題であることを強調したが、問題なのは、田中毅職員(商工観光課係長→企画課長→総務部長)の本人に帰属する情報として本件情報が管理されていたことである。このことについて、情報開示担当部署の職員らに尋ねたところ「当該文書が残っているから、特に問題ではない」とのコメントであった。
(7)このように、かつて公社監事として、元職員が前年度の決算書の残額を、翌年度の決算書でチャラにしたのに、それを見逃した現・安中市長でもある公社の岡田理事長の命を受けて、平成19年9月から鷺宮の県有地の桑園跡地を安中市に払い下げる件について、県と交渉してきた現・総務部長が、公社に払い下げる計画で最初から本件にタッチしてきたにもかかわらず、公社を監督する立場の企画課に情報を流してこなかった。
(8)さらに、自身が企画課長として異動していたことがあるのにもかかわらず、企画課にファイルを残していなかったことは、鷺宮の桑園跡地を公社のプロパー事業としてなんとしてでも取り込んで、事業費の一部を事務費として安中市から支払われる公金をタゴ事件の尻拭いに充当するための思惑があり、外部から妙な雑音が入らないように、情報コントロールをしていたことがわかる。
(9)そして、ついに総務部長になっても、本件に関する情報秘匿に心をくだき、異議申立人が桑園跡地の利活用について情報開示請求をしてもなお、開示担当の法制課職員にウソをついてまで、情報開示をしたがらなかった。このことは、タゴ事件=巨額詐欺横領事件の再発防止の観点からせっかく当時、事務分掌規則を改正したのに、すでに骨抜き状態になっていることをうかがわせる。このことも、公社の伏魔殿化ぶりを如実に示すものであり、18年前の逆戻りをしているのも同然だ。第二のタゴ事件の温床は既に醸成されているといえよう。猛省を促したい。
4.本件処分をした実施機関の理由について
(1)今回の公社関係情報の開示に関する実施機関の対応姿勢は、以前、異議申立人が、公社事件で横領した公金を資金にして購入された絵画等6点を巡り、4年前に元職員が刑期を終えて出所後、3年前の安中市長選の後、絵画等6点が友人から元職員の配偶者に返却され、元職員の配偶者が公社に寄付を申し入れたことに関連して、絵画等6点のビジュアル情報を開示請求した際にも、実施機関は、異議申立人に対して、同じように、市長が公社理事長に文書で開示を要請したが、理事長が市長に対して、開示を拒絶した時と同じである。
(2)史上空前の巨額詐欺横領事件を公社で起こしておきながら、公社の理事長や理事を兼務している安中市長や部長が、公社の内情を知り尽くしているのに、それを安中市の立場として知らないと言い張るのは滑稽であり、そのような理屈が役所では通用するものだと信じているらしい(本当は、通用しないと思っていても首長ににらまれるのが怖くて何もいえないのが実態なのかもしれないが)。
 しかし、こうしたバカバカしい屁理屈をこね回してまでも「不存在処分の適法性」などと言い張り続け、公社の実態についてなんとしてでも市民に知られたくないとする安中市と公社の体質は、現在の安中市長が推し進める公社の伏魔殿化が日に日に進捗してしまい、既に18年前の公社の状況と同じになってしまっていることを異議申立人は痛感する。第二のタゴ事件の温床がこれ以上醸成されないように、速やかにあらゆる公社関連情報は開示されなければならない。
 よって、本件処分を取り消し、全面開示を求める。  以上
**********

■そしてこの度、平成25年8月19日付で、審査会から当会の異議申立に関する答申を安中市長に行ったという通知が届きました。

**********
【審査会からの送付状】
                    平成25年8月19日
異議申立人
  小 川  賢 様
                 安中市情報公開・個人情報保護審査会
                  会 長   采 女 英 幸
     情報公開の異議申立てに関する答申について(送付)
 安中面長から、あなたの情報公開の異議申立てに関する諮問があり、提出された関係資料等をもとに平成25年8月1日開催の蜜査会において、審査した結果、別紙のとおり答申しましたので、安中市情報公開・個人情報保護審査会規則第5条によりその写しを送付します。
 なお、後日、答申結果を参考として諮問機関である安中市長から今回の処分の異議申立てに対する正式な決定があります。
                 事務局:法制課 法務係
                     TEL382-1111内線(1043)

【審査会から市長への答申書】
                    平成25年8月19日
 実施機関
 安中市長 岡 田 義 弘 様
                 安中市情報公開・個人情報保護審査会
                  会 長  采 女 英 幸
   ⑧安中桑園の買収に関する市と県とのやりとりのわかるもの(なお、群馬県では既に市と仮契約を結んでいると説明しているので、仮契約の内容も含む)及び⑨上記の公社による入札に関する情報(開発計画の内容がわかる情報を含む)に関係する行政文書不存在による不開示決定処分に対する異議申立てについて(答申)
          記
 平成25年5月9日付けで諮問のあった標記の件について、平成25年8月1日開催の審査会において審査した結果に基づき、別紙のとおり答申します。

(別紙)
諮問第1号
   ⑧安中桑園の買収に関する市と県とのやりとりのわかるもの(なお、群馬県では既に市と仮契約を結んでいると説明しているので、仮契約の内容も含む)及び⑨上記の公社による入札に関する情報(開発計画の内容がわかる情報を含む)に関係する行政文書不存在による不開示決定処分に対する異議申立てについて(答申)
1 審査会の結論
 平成25年2月25日付けで、安中市情報公開条例(以下「条例」という。)第6条第1項の規定により、開示請求された行政文書のうち、安中市土地開発公社が保有する情報について、実施機関が保有していない情報として、行政文書不存在通知書により不開示決定処分としたことは妥当である。
2 異議申立ての主張の要旨
 安中市土地開発公社(以下「公社」という。)は、基本金500万円を支出している安中市の管理下に置かれており、公社の行う事業に対しては安中市が債務保証人として全て関与するのだから、公社に関する情報は安中市が必ず保有しなければならない。また、公社の経営面において、安中市長が公社理事長を兼務し、理事についても市の部長で占められていることから、公社に開する情報は、安中市が情報を保有していないということはおよそありえないし、安中市長から公社理事長に情報提出命令が出された場合に、公社理事長がそれを拒める立場にはない。
 また、公社が保有する情報について、安中市長は公社に条例第24条第2項により当該申出のあった提出を求め、公社からF公社の経営に支障を及ぼすおそれのある情報」との理由で情報が安中市長に提出されず、結果、不存在としている。行政文書不存在通知書には、公社理事長が安中市長宛に出したとされる文書の内容が具体的に示されておらず、しかも、どのような当該情報が公社の経営に支障を及ぼすおそれがあるのか、個々に具体的に判断できるような理由が示されていない。さらには、不存在とされている当該文書のタイトルや内容、内訳が示されておらず、これらは明らかに条例の誤った解釈及び運用である。
 以上により、安中市長が公社の保有する情報を当該行政文書として保有していなければならないのであるから、本件処分を取り消し、全部開示を求める。
3 異議申立てに対する実施機関の説明要旨
 安中市と公社は別法人であり、市が保有している情報は条例に則り、公社が保有する情報については安中市土地開発公社情報公開規程(以下「公社規程」という。)に則って、情報公開決定を行っている。公社は安中市が2分の1以上出資している法人に該当するため、安中市情報公開条例第24条第2項に基づき、その保有する情報の提供を求めた。
 公社に対し平成25年2月26日付けで当該情報の提出依頼を行ったが、平成25年3月7日付けの公社の回答により「公社の経営に支障を及ぼすおそれのある情報であり提出できないl旨(公社規程第2条)が示された。情報の提出を受けなかったことから実施機関である安中市長は情報を保有しておらず不存在であったため、開示できなかった。安中市情報公開条例第24条第2項の規定は、公社に対して情報提出について任意の協力を求めることができる旨を定めるものであって、情報の提出について強制力はないため、公社の任意の協力が得られない以上、実施機関である安中市長は情報を取得することができない。なお、本件異議申立てがなされた後、丙度、平成25年3月25日付けで公社に対し同規定に基づく当該情報の提出依頼を行ったが、平成25年4月26日付け回答により情報の提出を受けることはできなかった。
 行政文書不存在通知書において、「公社の経営に支障を及ぼすおそれがある情報」などの具体的な説明が表記なされなかったことは認めるが、そもそも具体的な説明や不存在とされている当該文書のタイトルや内容、内訳そのものが公社から示されていない情報であった。なお、異議申立て後の再度の平成25年3月25日付け当該情報の提出依頼に当たって、提出ができない場合については具体的な理由を文書で明示するよう公社に要請し、平成25年4月26日付け回答により当該情報の提供は受けられなかったが、公社の保有する情報の件名及び具体的な理由を付した回答を得た。
 よって、公社から当該情報そのものの提供がなかったため、実施機関としては不存在により情報が開示できなかったものであるから、条例に違背したものではなく適法である。
4 審査会の判断
 実施機関(安中市長)の説明によれば、開示請求のあった安中桑園の買収に関する市と県とのやりとりのわかる情報及び公社による入札に関する情報については、実施機関として全く保有していなかった。次に条例第24条第2項に基づき公社に提出を求めたが、公社規程第2条により「公社の経営に支障を及ぼすおそれのある情報」とされて、提出を受けることができなかったため、行政文書の不存在を理由に不開示決定処分としたとのことである。
 その後、異議申立人から本件異議申立てがなされたことから、行政文書が不存在であることについて詳細な調査をしたところ、安中桑園の買収に関する市と県とのやりとりのわかる情報については、総務部企画課ではなく、産業部商工観光課が保有する行政文書として存在することが判明し、異議申立人に事情を説明するとともに、当該行政文書については平成25年6月4日に追加して開示した。
 また、公社に対しても、再度、情報の提出を強く求め、あわせて提出ができない場合は、公社が保有する開示請求内容に係る行政文書ごとに、提出できない具体的な理由を文書で回答するよう指示している。
 その回答文書から、公開の申出があった情報は、「公社の経営に支障を反ぼすおそれのある情報」と認められること、公社内に保有する当該情報は、平成24年10月25日起案「県有財産譲渡申請書」、平成24年11月20日付「土地売買仮契約書」、平成25年1月21日起案「開発行為許可申請書」であること、公社は鷲宮物流団地分譲事業(旧安中桑園用地)として事業を継続中であること、当該事業については公社がブロパー事業として群馬県から用地を取得し、造成して買取希望企業に売却する予定であること、既に用地購入費、造成工事費等の前払金等で多額の資金が投入されており、同団地の造成計画は買受希望企業の意向を反映したオ一ダーメイド方式で進められていること等の事実が認められ、さらに、安中市の予算書を確認したところでは、当該事業について、公社は安中市の債務保証を受けていない
 以上をもとに、群馬県から安中桑園用地を買収したのは、実施機関ではなく公社であって、それ以後も公社の分譲事業として継続中であり、安中市の債務保証を受けている事業でもないため、異議申立人が開示請求した仮契約の内容やそれ以後の群馬県とのやりとり、公社による入札に関する情報は、実施機関に存在せず、公社が保有していることは明らかである。
 なお、本件に係る異議申立書及び意見書の内容を検討する限りでは、安中桑園の買収に関する市と県とのやりとりのわかる情報について、異議申立人は開示請求をした行政文書が当初、実施機関に不存在であるとされ、後で追加により開示されたことに対しては、その理由には納得していないものの、特段の不服申立てはなく、公社が保有する情報が不開示であることを問題としていると思われる。
 したがって、本審査会としては、実施機関における情報公開制度の根幹となるべき文書管理並びに開示請求文書の特定及び検索方法について改善の必要は認めるものの、追加で開示された文書の妥当性については、審査の対象とはせず、公社が保有する情報が実施機関に不存在であって、実施機関として開示できないことの適法性について、以下のとおり検討する。
 公社は、群馬県知事の認可手続を経て、市とは別個の独立した法人として設立された組織であって、条例第2条第1項の実施機関には含まれていない。
 しかし、公社は資金等の面において市と密接な関係を有するため、情報公開制度が及ぶ範囲として、安中市においては条例第24条に規定する「出資法人等」としての位置付けとなっている。
 異議申立人が主張するように、公社が市の出資法人としての透明性を高めるべきであることに審査会としても異論はないが、どんなに強い関係があっても市と公社が別法人であることは厳然たる事実であって、公社に対しては、条例第24条第2項により情報提出に関し任意の協力を求めることはできるものの、情報の提供についての強制力はないことは、異議申立人が原告となって争った平成23年(行ウ)第10号公文書不公開処分取消請求事件及び平成23年(行コ)第306号公文書不公開処分取消請求控訴事件の判決で司法の判断が出されている。
 このため、異議申立人が開示を求めている、安中桑園の買収に関する群馬県との仮契約締結以後に係る情報は、上記の事実から公社には存在するが、市の債務保証も公社からの関係文書の提出もないため、実施機関には不存在であって、不開示決定処分としたことに違法性はないと考える。
 ただし、審査会として、条例上の実施機関ではない公社の情報公開についてまで審査権限が及ばないため、結論としては変わるものではないが、本件における公社の情報提供については問題があったと言わざるを得ない。
 公社は、異議申立人による開示請求対象となった文書の全てについて、情報の提供を拒んだようであるが、その妥当性には甚だ疑問が残る。
 例えば、異議申立人は、平成25年2月25日付けで「群馬県では既に市と仮契約を結んでいると説明しているので、仮契約の内容も含む」として開示請求しており、群馬県では平成25年2月定例会の議案として同日前に仮契約の内容が議案として提出されているにもかかわらず、公社から仮契約に関連する情報の提出は全くなされなかった。
 また、公社による入札に関する情報が市のホームページの情報のみであるとは、考えられず、既に入札が終了していることを勘案すれば、当該情報の提供に支障はなかったはずである,
 公社規程第2条によれば、「公社の経営に支障を及ぼすおそれのある情報については、市との協議のうえ提出しないものとする」とあるが、当該|市との協議」において、市側が責任を果たさず、一方的な公社の恣意的な解釈・運用を認めてしまうと、租税負担者である住民への公費支出についての説明責任の観点から、出資法人等の情報公開を要請している条例第24条が形骸化してしまう結果になりかねない
 実施機関においては、平成23年(行コ)第306号公文書不公開処分取消請求控訴事件で、「当該法人の任意の協力が得られない以上,実施機関について文書(情報)が存在しないのは,やむを得ない」という一審判決が、「当該法人の任意の協力が得られず、当該法人(公社)の協力できないとする理由が一概に根拠のないものと断定することはできず、実施機関(安中市長)がさらに当該法人に協力を求めるべきであるともいえないことから,実施機関について文書(情報)が存在しないのは,やむを得ない」と変更されている点について十分留意し、公社の協力できない理由について合理的な根拠があるのか、きちんと判断の上、市としての「協議」の責任を果たすべきである
**********

■驚きました。全国各地で、土地開発公社を解散する動きが活発化している中で、安中市土地開発公社は、解散どころか、独自で事業を展開し続けています。

 この背景理由としては、安中市土地開発公社が解散すると、公社の莫大な債務(当然、これにはタゴ事件の尻拭いである群馬銀行への和解金の103年ローンの残額89年分が含まれる)が浮上し、その損失補償義務を安中市が負わなければならなくなることが挙げられます。

 そうすると、これまで、公社は安中市と別法人だから安中市民には損害が及ばないと安中市が住民に対して説明し、事件の真相解明と責任の所在をハッキリさせようとして当会が住民訴訟をしても、裁判所まで、安中市の主張を認めて住民敗訴としてきた構図が崩壊するのです。

 それにしても、タゴ51億円の尻拭い組織になり下がった安中市土地開発公社が、巨額の債務を抱えているにも関わらず、安中市の債務保証を求めずに、倒産同然の公社に融資をする金融機関が存在すること自体、信じられません。安中市は一刻も早く、この異常な状況を市民に公表する必要があります。

 そのためにも、岡田市長は、とかく行政の御用機関同然となりがちな審査会の答申内容(最後の方に、弁護士の良心としてなのか、審査会の采女会長の追記が述べられているが)に安住せず、公社の経営実態がどうなっているのかについて、自ら説明責任を果たさなければなりません。

■当会としては、今回の異議申立が棄却もしくは却下された場合には、あらためて土地開発公社の債務に関する情報開示請求を安中市に提起し、公社がどの金融機関に対してどれくらいの債務を負っているのかを早急に明らかにしていく所存です

【ひらく会情報部・タゴ51億円事件18周年調査班】

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