■原告未来塾代表と被告安中市長の損害賠償等請求事件は、平成20年11月13日に第1回口頭弁論が行なわれ、現在までに計4回の口頭弁論が開かれています。
当会では、市長による特定の市民団体への異常な権力行使の実態と、この事件の法廷での推移に注目しています。なぜなら当会も、タゴ51億円事件で真相究明と責任の所在の明確化を求めて法廷で行政を相手にしたことがあるからです。
さて、平成21年2月10日に当会が安中市に開示請求し、同月23日に開示された本件の情報によると、平成20年11月13日に第1回口頭弁論が行なわれたその日に、安中市は損害賠償等請求事件に関する指定代理人の指定を行ないました。そして、同日付で、前橋地裁高崎支部に、指定代理人選任届けを提出したのです。
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【平成20年11月13日付け総務部の回議用紙】
件名 損害賠償等請求事件に関する指定代理人の指定について
平成20年(ワ)損害賠償等請求事件における安中市の訴訟行為を行なう指定代理人として、下記の者を指定したいがよろしいか伺います。なお、ご決裁の上は、別紙「指定代理人選任届」を前橋地方裁判所高崎支部宛提出してよろしいか併せて伺います。
記
1.事件番号 平成20年(ワ)第492号
2.管轄裁判所 前橋地方裁判所高崎支部
3.当事者 (原告)松本立家、地域づくり団体未来塾
(被告)岡田義弘、安中市
4.指定代理人 総務部秘書行政課 課長 鳥越一成
同 広報広聴係長 島崎佳宏
同 文書法規係長 吉田 隆
5.選任届 別紙のとおり
【指定代理人選任届】
前橋地方裁判所高崎支部合議2係 御中
平成20年11月15日
被告 群馬県安中市安中一丁目23番13号
安中市 代表者 安中市長 岡田義弘
平成20年(ワ)第492号損害賠償等請求事件について、地方自治法第153条第1項に基づき、下記の吏員3名を本件に関する一切の訴訟行為を行う指定代理人として選任いたしましたので、お届けします。
記
総務部秘書行政課課長 鳥越一成
総務部秘書行政課広報広聴係長 島崎佳宏
総務郎秘書行政課文書法規係長 吉田 隆
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■安中市は平成20年11月5日に答弁書を地裁に提出しましたが、その際、被告として岡田市長の名前しか書きませんでした。そして、同月13日の第1回口頭弁論では、被告席に岡田市長自らただ一人出席し、裁判官の許可も得ずに勝手に陳述をしました。そのとき、安中市の職員は傍聴席にいました。その職員は次のように復命(報告)していました。また、復命書には、未来塾代表の意見陳述内容も含まれていました。
13日の朝、第1回口頭弁論を傍聴した職員の報告を聞いて、安中市は慌てて指定代理人3名を、市の職員から選任したものとみられます。実質的に答弁書は市職員らにより作成及び校正されていたので、裁判のルールについてチンプンカンプンだった岡田市長もとりあえず指定代理人を任命することをは了承したようです。しかし、公社役員の責任を問われた住民訴訟で、被告として弁護士を付けずに勝訴したトラウマのせいか、訴訟代理人として弁護士を付けることには強い抵抗がある様子です。
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【平成20年11月13日付の回議用紙】
件名 復命書(損害賠償等請求事件の口頭弁論)
地域づくり団体未来塾の市に対する損害賠償請求の訴えについて、下記のとおり第1回の口頭弁論が行なわれ、傍聴しましたので復命します。
記
1.日 時 平成20年11月13日(本)午前10時
2.場 所 前橋地方裁判所高崎支部第1号法廷(3階)
3.事件番号 平成20年(ワ)第492号
4.裁判官等 裁判長 村田鋭治 裁判官 本村洋平、亀村恵子 書記官 福田秀太良
5.当 事 者 (原告)地域づくり団体未来塾 代表松本立家、訴訟代理人 弁護士山下敏雅ほか2名
(被告)安中市長 岡田義弘
6.概 要 双方の証拠書類の原本確認を行った。未来塾側が甲1号証から甲31号証の2まで。安中市側が乙1号証から9号証まで。
次回口頭弁論の日程は12月5日(金)午後4時30分と決まった。
傍聴席は、30席あまりが満席となり、法廷外で十数人待つという状況だった。
未来塾代表松本立家氏が意見陳述書を読み上げた。(別示のとおり)
これに対して、岡田市長も行政の基本として、公正・公平で透明性が求められる旨を述べ行政手続条例に則って正当な手続きを踏んでほしい旨などを意見陳述した。
【未来塾代表の意見陳述書】
事件から今日まで、一日として、このことに関し、忘れることはありません。驚き、悲しみ、怒りが交錯した、あの日の事が鮮明に思い出され、今でも胸がしめつけられます。
私は30数年前、一人の聴覚障害者と出会い、それがきっかけでボランティア活動を始め、現在は「地域づくり団体未来塾」の代表として日々、実践を重ねています。1O代から70代までの多くの会員と共に「元気な地域の創造」を目指し、自然保護活動や16年31回を数える「フリーマーケットinあんなか」の開催等を行ってきました。
「フリーマーケットinあんなか」は、北関東最大級のフリーマーケットといわれ、市内外の数え切れないほどの人たちの参加や協力によって創られる手作りのお祭りです。毎回、たくさんの人たちが心待ちにしているイベントでもあります。また、子供からお年寄りまでが―緒にボランティアとして参加でき、世代を超えた交流によって、ひとりひとりが成長できるすばらしい取り組みです。
しかし、その取り組みが昨年の9月「行政トップ」の公権力の乱用によって突然止められてしまいました。この不測の事態に驚いた、大勢の皆さんから電話や手紙をいただきました。誰もが残念がり、フリーマーケットの再開を望みました。
私たちは再開に向け、市長と「意見交換会」を持ちましたが、昨年の暮、市の広報紙に事実とは全く異なった虚偽の内容がA4、1枚にわたり掲載され、市内全戸23,000世帯へ配布されたのです。「目を見て話をしろ(冒頭から怒鳴る)」などを始めとして、私たちが「意見交換会」において不誠実な態度をとり、あたかも不正なボランティア活動に従事しているかのように市民に思わせようとする、信じがたい内容のものでした。私たちは「怒鳴った」事実もなければ不正なボランティア活動を行っている事実もありません。
公権力が市民に圧力をかけ「人権」を侵害するという、あってはならない事が起こり、私をはじめ、会員の誰もが愕然としましたが、公的な広報紙に掲載された事柄は、たとえそれがねつ造されたウソの文章であったとしても、真実として伝わってゆく現実に、私たちは、なすすべがありませんでした。
私たちが、この出来事により失った社会的信用や信頼は計り知れません。また私自身、精神的な苦痛により体調を崩してしまいました。考えれば考えるほど、このままでは終われない。そして真実を伝えなければならない。人が人として幸せに生きる権利を取り戻し、「安中の地域づくり」に関わった人、全ての名誉回復をしなければならないと強く思いました。
そこで、公権力の圧力に対し、弱い立場にある私たちは、法的手段を持って事実を明らかにする事を選択いたしました。私たちのみならず、全国各地で活躍している市民団体、そしてこれから活動を始めたいと思うひとりひとりの為に、何もしないで、負けるわけにはいかないのです。そして未来を担う子供たちの為にも、真実が権力によって歪められた歴史を創ってはならないのです。
本来守るべき市民に対し、弱いものいじめをする。一市民団体を陥れようとする市長の一連の行動は、決して許されるものではなく、また事実関係を、公正かつ真摯に確認すべきであったにも関わらず、それを怠った安中市の責任も重大です。
この問題は、人として幸せに生きる権利とは何か、ボランティアとは何か、また地域活性化のための行政と市民との協働はどうあるべきかという本質的な問題を背景としており、この訴訟を通して正常な行政を安中市に回復させる重要な意義もあるのです。
安中市が全戸配布した文書の訂正と謝罪を強く求め、失われた信頼を早期回復し、これからもより多くの皆さんと一緒に、「元気な街づくり」を目指し、活動を続けて行きたいと思っています。今、私たちをはじめ、多くの市民が「正常な行政」を求めています。
裁判所におかれましては、真実を見極めてくださり、公正なご判断をいただけますよう宜しくお願いいたします。
平成20年11月13日
原告兼原告地域づくり団体未来塾代表 松本立家
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■当会では第2回口頭弁論は、平成21年1月だと思っていましたが、実際には、第2回口頭弁論は平成20年12月5日(金)午後4時30分に開催されていたことがわかりました。このとき、安中市側は、岡田市長と指定代理人3名が、初めて揃って、被告席に顔を出しましたが、裁判長は、法廷と議場を混同している岡田市長に対して「今後の弁論は専門的になるので、本人出席ではなく、弁護士の代理人を立てたほうがよい」とアドバイスをしました。
また、安中市のホームページから、未来塾との意見交換会の模様について被告岡田がウソを書いたとして、今回の損害賠償請求の発端のひとつになった広報おしらせ版平成19年12月21日号の「談話」と証する頁が、昨年12月8日ごろ、突然消されましたが、この理由は、12月5日の第2回口頭弁論で裁判長の訴訟指揮によるものであることが判明しました。裁判長は、被告に配慮して「どちらが有利ということなく、争点がひとつ減る」と言いましたが、結果として原告の要求のひとつが実現したわけで、被告に不利なことは明らかです。
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【平成20年12月8日付け総務部の回議用紙】
件名 復命書(損害賠償等請求事件の弁論準備手続)
地域づくり団体未来塾の市に対する損害賠償請求の訴えについて、下記のとおり弁論準備手続が行われ、出席しましたので復命します。
記
1.日 特 平成20年12月5日(金)午後4時30分
2.場 所 前橋地方裁判所高崎支部準備手続兼和解室(2階)
3.事件番号 平成20年(ワ)第492号
4.裁判官等 裁判長 村田鋭治 裁判官 亀村恵子
5.当 事 者 (原告)地域づくり団体未来塾 代表松本立家、訴訟代理人 弁護士山下敏雄
(被告)岡田義弘、安中市指定代理人 鳥越一成、吉田 隆、島崎佳宏
6.概 要 裁判長から、安中市ホームページから平成19年12月21日号の談話のページを削除すれば、どちらが有利ということなく、争点がひとつ減る旨提案があった。
また、岡田市長に対して、今後の弁論は専門的な内容になっていくので、本人出席ではなく、弁護士の代理人を立てたほうがよいのではとの提案もあった。
次回口頭弁論の日程は1月23日(金)午前10時と決まった。
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■第3回口頭弁論(弁論準備手続)は、平成21年1月23日に開催されました。今回もまた、公務に優先して、岡田市長が、指定代理人の市職員3名と一緒に出廷しました。よほど、未来塾とのバトルを重視していることがわかります。ところが、岡田市長の熱意とは裏腹に、裁判長は、岡田市長に対して、「今後の弁論は専門的な内容になっていくので、本人出席ではなく、弁護士の代理人を立てたほうがよいのでは」と、再びアドバイスしたのでした。
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【平成21年1月23日付け総務部の回議用紙】
件名 復命書(損害賠償等請求事件の弁論準備手続-1月23日-)
地域づくり団体未来塾の市に対する損害賠償請求の訴えについて、下記のとおり弁論準備手続が行われ、出席しましたので復命します。
記
1.日 時 平成21年1月23日(金)午前10時
2.場 所 前橋地方裁判所高崎文部準備手続兼和解室(2階)
3.事件番号 平成20年(ワ)第492号
4.裁判官等 裁判長 村田鋭治 裁判官 亀村恵子
5.当 事 者 (原告)地域づくり団体未来塾 代表松本立家、訴訟代理人 弁護士山下敏雅
(被告)岡田義弘、安中市指定代理人 鳥越一成、吉田 隆、島崎佳宏
6.概 要 裁判長から岡田市長に対して、今後の弁論は専門的な内容になっていくので、本人出席ではなく、弁護士の代理人を立てたほうがよいのではとの提案が再度あった。
未来塾側から、取下書(一部)の「第4項」を「第3項」に訂正する旨申し出があった。
平成21年1月14日付けで未来塾側から送付された第1準備書面に対しては、2月27日(金)までに答弁書を提出することとなった。この答弁書は、安中市と岡田義弘との共同書面で良いとのことだった。
次回口頭弁論の日程は3月13日(金)午後1時30分と決まった。
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■平成21年1月23日の第3回口頭弁論に先立ち、未来塾側は、1月14日付けで被告岡田義弘宛と地裁高崎支部宛に第1準備書面、証拠説明書、取下書を提出しました。詳しくは本文の末尾を参照ください。このうち、取下書は、裁判長の訴訟指揮により安中市がインターネットのウェブサイト上から当該記事を削除したことに応じて、未来塾側から提出されたものです。
■原告未来塾の第1回準備書面で、特記されるのは、岡田市長の指示により、安中市教育委員会生涯学習課社会教育係が、フリマを未来塾と共催している団体にファックスで、質問状を提出していたことが指摘されていることです。今や、周辺をイエスマンで固めた岡田市長ですが、教育委員会まで市長の言うなりになって、権力の名の下に、市民の懐を探ろうとする姿勢は、いかがなものか、の一言に尽きます。そういえば、タゴ事件の単独主犯とされた元職員も、一時社会教育係に在籍していたことがあります。
その後、被告岡田義弘と安中市は、この第1準備書面にある求釈明について2月27日(金)までに答弁書(被告第1準備書面)を提出し、第4回口頭弁論は3月13日(金)午後1時30分に開かれています。追って、これらの経緯も報告する予定です。
【ひらく会情報部】
※未来塾が、1月23日の第3回口頭弁論(弁論準備手続)で陳述した第1準備書面は次のとおり。
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【原告の第1準備書面】
平成20年(ワ)第492号 損害賠償等請求事件
原告 松本立家 外1名
被告 岡田義弘 外1名
次回期日 平成21年1月23日(金)10時00分
第1準備書面
平成21年1月14日
前橋地方裁判所高崎支部合議2係 御中
原告ら訴訟代理人 弁護士 山下敏雄、同 中城重光、同 釜井英法、同 登坂真人、同 寺町東子、同 後藤真紀子、同 青木知己、同 吉田隆宏、同 大伴慎吾、同 船橋あみ、同 寺田明弘
目 次
第1 原告松本個人に対する名誉毀損について
1 総論
2 本件記事は新聞報道を前提としていること
3 実際に原告松本の名誉が毀損されていること
4 判例
(1)ある者に対する言及が他の者の名誉を毀損する事例
(2)実名の記載がなくとも名誉毀損が成立すること
5 小括
第2 答弁書「第3 被告らの主張」に対する認否・反論
1 はじめに」(答弁書3頁)に
2 公園使用許可申請(答弁書3頁)について
(1)使用料減免について
(2)募金について
(3)転貸禁止条項について
(4)公園使用許可申請の不受理
3 「3 市民の声」(答弁書4頁)について
4 「4 意見交換会の事実」(答弁書4~5頁)について
(1)意見交換会開催まで
(2)意見交換会の開始の遅れ
(3)意見交換会中のやりとり
(4)意見交換会終了後
5 「5 フリーマーケットの収支報告」(答弁書5~6頁)について
6 「6 本件記事の正当性」ないし「9 損害、本件訴訟の意義及び結語」(答弁書6~10頁)について
第3 求釈明
1 意見交換会について
2 「市民の声」について
3 広報発行の過程について
(1)原稿につき3名の部長から確認を受けたとする点について
(2)安中市広報紙発行規則との関係
第1 原告松本個人に対する名誉毀損について
1 総論
被告らの掲載・発行した「談話」(甲1の1)には原告松本個人の実名こそ記載されていないものの、当該記事が、原告松本個人の社会的評価をも低下させる名誉毀損であることは明らかである。
2 本件記事は新聞報道を前提としていること
(1)被告岡田が本件記事「談話」の冒頭で下記の通り記載しているとおり(下線原告ら訴訟代理人)、当該記事は新聞報道を前提としたものであった。
「過日、新聞などにより報道された、市有施設でのマーケットの開催について、多くの皆さんから広報紙などで説明して欲しいという声が寄せられましたので…j
(2)そして、実際の新聞報道記事を見れば、例えば平成19年10月20日朝日新聞記事(甲2の1)においては
「中止になったのは、市民有志でつくる『地域づくり団体 未来塾』(松本立家代表)主催の第32回『フリーマーケットinあんなか』。」
「松本代表らは9月10日に、岡田義弘市長ら市幹部と話し合った。」
と報じられている。すなわち、原告未来塾の代表者が原告松本であること、また、原告松本が平成19年9月10日の意見交換会に出席していたことは、一般読者らにも明らかとなっていたのである。
このほかにも,原告未来塾代表が原告松本であることや、本件フリーマーケット中止に関する原告松本個人のコメント等は、新聞各社・テレビ報道などによって報じられていた。
(3)したがって、①被告の本件「談話」における事実摘示は、団体たる原告未来塾団体に対してのみならず、同時に、その代表たる原告松本にも向けられていたものであり、②一般読者の普通の注意と読み方を基準として見ても、本件「談話」は、あたかも原告松本も私利私欲のためにフリーマーケットに関し不正な活動に従事しているかのように虚偽の事実を摘示し、かつ、被告安中市関係者との話し合いに際して、原告松本自身が不誠実な態度を示す者であるか、ないしは、不誠実な態度を示す者の所属する団体の長であるかの如き虚偽の事実をも摘示するものである。
3 実際に原告松本の名誉が毀損されていること
原告松本は、長年にわたって原告未来塾の代表を務め、地域のためのボランティア活動を継続しており、平成16年5月3日には群馬県から群馬県総合表彰「地域づくり功労賞」を受賞するなどしていたところ、当該記事掲載により、それまで築き上げてきた社会的評価を低下させられ、実際にも、原告松本が周囲の者から「いつもニコニコしているけれど、あんな人だとは思わなかった」「松本さん、不動産業もやっているんだって?」と言われたり、いつも挨拶等声を掛けてくれる人が原告松本に声を掛けなくなったりした。
原告松本は、かかる精神的な苦痛によって体調を崩すほどであった(第1回口頭弁論期日における原告意見陳述)。
4 判例
(1)ある者に対する言及が他の者の名誉を毀損する事例
ア なお、名誉毀損訴訟においては、ある者(甲)に対する言及が他の者(乙)の名誉を毀損すると認められる判例が、下記の通り多数存する。
・ 代表取締役会長(甲)の行為につき,会社(乙)の名誉を毀損すると判示した東京高裁平成6年9月7日判決・判例時報1517号40頁
・ 父親(甲)が犯罪容疑で逮捕されたとの事実摘示につき、娘(乙)の名誉を毀損すると判示した東京地裁平成11年6月22日判決・判例時報1691号91頁
・ 著名な建築家の名前を冠し、当該建築家の実績で仕事を受注している会社(乙)につき、当該建築家(甲)に関する名誉毀損がその会社の名誉毀損にもなる旨判示した東京地裁平成13年10月22日判決・判例時報1793号103頁
・ 会社の社長(甲)が違法に株価操作をしたとの事実摘示について社長の名誉を毀損するほか、当該会社(乙)の名誉も毀損するとした東京地裁平成15年7月25日判決・判例時報1994号69頁。
イ 特に出版社である被告が発行する週刊誌に掲載された記事により、名誉を毀損されたと主張する財団法人及びその代表者が、被告に対し損害賠償等を請求した事実において、東京地裁平成18年11月7日判決
・判例時報1994号69頁は、下記の通り明確に判示している(下線原告ら訴訟代理人)。
「当該記事の内容・構成等に照らし、団体の長に対する名誉毀損行為が、同時にその団体に対しても向けられてその団体の社会的評価をも低下させるものと認められる場合には、同団体に対する名誉毀損行為をも構成するものと解され、また、団体に対する名誉毀損行為が、同時にその長に対しても向けられてその長の社会的評価をも低下させるものと認められる場合には、その長に対する名誉毀損行為をも構成するものと解すべきである。」
ウ したがって,被告らの原告未来塾に対する名誉毀損行為は、同時にその長である原告松本に対しても向けられ、原告松本の社会的評価を低下させるものであることから、原告松本に対する名誉毀損行為をも構成する。
(2)実名の記載がなくとも名誉毀損が成立すること
また、原告松本個人の実名が「談話」に記載されていない点をもってしても、名誉毀損の成立は妨げられない。
実名が記されていない場合でも名誉毀損が認定された例は枚挙に暇がなく、例えば、東京地裁平成18年9月28日判決・判例タイムズ1250号228頁は、
「実名が記載されていなくとも、記事の記載内容から、当該対象者の属性等について一定の知識、情報を有している者らによって、対象者の特定がなされる可能性があり、さらに、これらの者から、特定された対象者が不特定多数の第三者に伝播する可能性があれば、名誉毀損における対象者の特定については十分であるというべきである。」
と明確に判示している。
上述の通り、「談話」以前の新聞報道等から、原告未来塾の代表者が原告松本であり、原告松本個人も意見交換会に出席していたことはすでに一般市民らに特定されていたのであって、本件「談話」に原告松本の実名が記載されていないことをもって被告らの責任を免れることにはならない。
5 小括
以上のとおり、被告らの掲載・発行した「談話」(甲1号証の1)が、原告松本個人の社会的評価をも低下させる名誉毀損であることは明らかである。
第2 答弁書「第3 被告らの主張」に対する認否・反論
以下、被告ら答弁書「第3 被告らの主張」中、必要な限りにおいて認否・反論等を行う。
1 「1 はじめに」(答弁書3頁)について
被告らの求釈明に対しては、すでに第1回口頭弁論期日及び第1回弁論準備期日において回答済みである。
訴状にも記した通り、原告らが本件訴訟において被告としているのは、安中市、及び、岡田義弘個人の2名である。
2 公園使用許可申請(答弁書3頁)について
(1)使用料減免について
被告安中市の主張する条例の存在、並びに、原告らが公園利用許可申請書(甲23)中の「使用料」欄を空欄で提出していたこと、及び、原告らが公園使用料減免・還付申請書を過去に提出していないこと、はそれぞれ認める。
もっとも、被告の主張する安中市公園条例規則(乙2)は平成18年3月18日から施行されており(附則第1条)、被告岡田が市長に就任した
平成18年4月以降も、原告らは同様の方法で申請を行い、かつ、市長たる被告岡田より使用料を免除されていたのであるから(平成18年10月17日付の許可書につき甲11の1、平成19年4月17日付の許可書につき甲11の2)、原告らが「使用料は免除されると期待した」(答弁書3頁)のは、むしろ当然である。
(2)募金について
原告らが募金の許可を明示的には受けていないことは認める。
しかしながら、被告らの主張する条例第4条1項では、「物品の販売、募金その他これらに類する行為」とまとめて規定しているところ(下線原告ら訴訟代理人)、被告らから、フリーマーケットにおいて「物品の販売」は許可するが「募金」は許可しない、などと明示的に区分した許可は一度もなされていない。
使用許可書では、「使用目的」欄に「フリーマーケット」と記載されているが、主催団体が営利を目的とせずに行っているフリーマーケット内においては、物品の販売のみならず、公益的な募全活動が行われることも、全く自然である。実際、原告らはこれまでも同様の申請方法をとり、原告未来塾やそれ以外のグループが、震災復興や赤い羽根等、公益目的の募金活動を行っていた。
(3)転貸禁止条項について
被告らは、安中市公園条例第11条の権利の転貸禁止条項をも持ち出すが(答弁書3頁)、転貸禁止条項を根拠とする主張が被告らから出されたのは本答弁書が初めてであり、これまでかような主張は一切なかった。
そもそも、フリーマーケットという形態で会場を使用することは被告らも十分認識したうえで、これまでも使用を許可していた。フリーマーケット参加者が各区画を使用することが果たして「転貸」であるか甚だ疑問であるうえ、同条には例外規定もない。被告らは、多数に及ぶフリーマーケットの参加者が、各自、各区画ごとの使用許可申請を行う必要があるとでも主張するのであろうか。
(4)公園使用許可申請の不受理
平成19年8月の、公園使用許可申請に関する事実経過については否認する。
建設部都市整備課から「今回は上記問題点も含めフリーマーケットの運営上の疑問から、使用許可についてその場で回答できないので検討させてもらいたい」などの説明も一切存しなかった。
平成19年5月には建設部長名義の文章(甲22)が郵送され,同年7月には寄付金の受け取りも突然拒否されたことから、原告らは被告岡田に対し説明を求めたが、被告岡田より一切返答はなかった(この事実経過については被告らも答弁書において認めている)。
同年8月の申請の不受理は、これらの延長線上で起きた出来事であり、当日も、建設部都市整備課からは何らの説明もなかった。上述したような、使用料減免や募金について申請書を必要とするとの被告らの立場の説明や、申請書の提出を促すようなことも一切なかった。
3 「3 市民の声」(答弁書4頁)について
不知ないし否認する(下記で釈明を求める)。
4 「4 意見交換会の事実」(答弁書4~5頁)について
(以下では、「6 本件記事の正当性」(答弁書6~7頁)中、意見交換会に関する事実主張に対する認否反論も併せて行う。)
(1)意見交換会開催まで
建設部長及び総務部長から6月当初より原告らに話し合いを求め、原告らが断って被告らの要請によりようやく9月10日に意見交換会が開かれた,とする被告らの主張(答弁書6頁)は否認する。
原告らは、再三にわたり被告らに対し話し合いを求めた。7月20日には、原告未来塾の運営委員・高橋由信が、総務部長と話し合いの場を持つための協議を行っている。
また、被告らは、原告が「話し合いの日時の繰り上げさえ要望することなく」などとも主張するが(答弁書6頁)、意見交換会は「9月7日か9月10日」に予定されたため、原告らは早い方の9月7日を要望した。しかし、最終的に被告らの意向により9月10日に決定したのである。
(2)意見交換会の開始の遅れ
原告らが平成19年9月10日の意見交換会開始前に1時間20分余りにわたって自己主張を展開したために予定より約1時間30分遅れて開始したこと、原告らが挨拶もなく応接の椅子に座ったこと(答弁書4頁)、はそれぞれ否認する。
原告らが「フリーマーケットの運営について」(甲22)に議題を追加するよう被告らに求めていた事実はあるが、すでに8月から長澤建設部長に対して求めていたことである。また、意見交換会の開始が1時間(1時間30分ではない)遅れたのは、当日、県議会による現地視察や、議会での決算委員会などが行われたためであって、被告岡田及び長澤建設部長は原告らに対し、意見交換会開始直前に詫びている。
(3)意見交換会中のやりとり
ア 答弁書5頁1行目の長澤建設部長の挨拶から、同頁19行目「代表のほうからお願いします」まで、及び、答弁書別紙「市長室・秘書行政課配置図」のうちの市長室内の状況は、概ね認める(ただし、この点について、下記で釈明を求める)。
イ 同頁20行目「この後で」から28行目「驚いている」までは否認する。
長澤建設部長の発言のあと、被告ら主張のような事実経過は全くなく、その後は募金に関する話が進んでいった。
そして、意見交換会開始後、被告岡田は、原告松本と会話をしているにもかかわらず、被告岡田から見て左に座っている原告松本の方を全く向かず、右に座っている堀越総務部長・佐藤教育部長の方や、正面に座っている長澤建設部長の方を向いて、話を進めていた。そのため、開始後約15分が経過した頃、原告松本が「市長さん、お話をしているのは私ですから、できれば私のほうに向いていただけると、お答えもしやすいんですが。」と指摘したところ、被告岡田が、原告松本の発言に対して「重箱の隅」などとの表現を用いて返答したため、松本遥が被告岡田に対し、「でも、話をするときは人の目を見たほうがいいと思いますよ。」と諌めたのである(「大きな声」や「威圧的な確認」ではない)。
ウ 原告らが意見交換会において、使用許可についてその日以降1週間以内に結論を出すように求めた、との主張(答弁書6頁)は否認する。
原告らは、1週間でも開催は無理である旨被告岡田に明言した。他方、被告岡田も、使用許可に関する結論は1週間で出すことは無理と明言した。そのため、原告らはやむなく、9月12日にフリーマーケットの開催を断念し、関係者に連絡したのである。
被告らの主張する意見交換会での話し合いの内容自体虚偽であるばかりか、被告岡田は自ら「1週間で出すことは無理」と明言しながら、4日後(しかも原告らがフリーマーケット開催を断念した後)に結論を原告らに通知したのであり、フリーマーケットが開催に至らなかった原因が被告岡田の言動にあることは明らかである。
(4)意見交換会終了後
意見交換会終了後に原告松本が被告岡田に対し罵言雑言を浴びせたとの事実(答弁書5頁)は否認する(下記で釈明を求める)。
5 「5 フリーマーケットの収支報告」(答弁書5~6頁)について
被告らは、原告未来塾との共催団体である地域創造集団「楽舎」の補助事業等実績報告書(乙7)を基に事業運営の透明性を問題にするようであるが、失当である。
楽舎の管理する特別会計30万円は、フリーマーケット実行委員会が出店者から参加料を集めるまでの間、実行委員会が必要経費を支払えるようにするためのもの(開催準備金)であり、実行委員会が出店者から参加料を集めた後、実行委員会が楽舎に30万円を戻し、同様に次回以降のフリーマーケットの開催準備金に充てているものである(甲33)。したがって、フリーマーケットの収支(甲13)の結果には直接影響しないものであって、この記載がないことをもって「事業運営が透明性に欠ける」などと論難される謂われはない。
そもそも、被告らは本訴訟までの間に原告らや楽舎に対し上記の指摘及び質問を行ったことは一度としてなかったところ、本訴訟を提起されるや、平成20年11月6日になって、訴訟外で楽舎に対し問い合わせを行っており(甲32)、このことからも、被告らの主張がいかに杜撰かつ後付けの、根拠のないものであるかは明らかである。
また、「市民や出店者に対して会計報告がなされていない」などと主張するが、任意団体である原告未来塾や、フリーマーケット実行委員会の会計を公にすべき法的根拠に乏しいばかりか、フリーマーケット開催にあたって補助金を支出もしていない被告安中市がかような主張を行うこと自体、理解に苦しむ。甲13号証のとおり、フリーマーケットの会計の内容に不透明な部分は一切なく、参加者から参加費を徴収しても、なお収支は赤字であって、その分は原告らの持ち出しとなっていた。
6 「6 本件記事の正当性」ないし「9 損害、本件訴訟の意義及び結語」(答弁書6~10頁)について
(1)「6 本件記事の正当性」ないし「9 損害、本件訴訟の意義及び結語」(答弁書6~10頁)については、訴状記載の事実と異なる事実の主張はいずれも全て否認するとともに、事実に対する評価及び法的主張も、いずれも全て争う。
(2)「原稿について、同席した3名の部長に談話の原文を渡し、事実関係についての確認をした」との主張(答弁書8頁)は不知ないし否認する(下記で釈明を求める)。
(3)被告らが西毛運動公園の使用を要請したことに関し、「イベント会場として有効な活用が期待できる」とする点(答弁書9頁)は否認する。
被告岡田が原告らに伝えたのは、「西毛運動公園広場」である(甲27)。
原告未来塾が当初第1回及び第2回のフリーマーケットを開催したのが、この西毛運動公園広場であり(甲6。乙9の地図のうち、「小庭園」と記載された部分)、同広場は、西毛運動公園中わずか5,250㎡しか存しない。同公園内には「自由広場」も存するが、従前の経過からして「広場」といえばこの「小庭園」の区画を指す。
被告は本訴訟になるや、「西毛運動公園の陸上競技場及び少年野球場を活用すれば25,000㎡を超える面積が確保できる」などと主張しているが、「高崎市等広域市町村圈振興整備組合西毛総合運動公園設置及び管理条例」(甲37)において「陸上競技場」「野球場」と「広場」とを明確に別個の施設として定義していることからも明らかな通り、被告岡田は「広場」部分のみを原告らに使用するよう主張したのである。
第3 求釈明
1 意見交換会について
(1)被告らは、意見交換会の冒頭のみ、非常に詳細に事実関係を主張している(答弁書5頁1行目ないし19行目)。
そこで、
ア 意見交換会において被告岡田が作成したとされる「要点筆記」(答弁書6頁及び8頁)の原本を、乙号証として提出されたい。
イ 前項の「要点筆記」以外に、本件意見交換会について、被告ら関係者の作成した議事録、メモ、報告書等が存在する否か、明らかにされたい。存在する場合には、それらを乙号証として提出するとともに、作成者及び作成時期を明らかにされたい。
(2)被告らは、意見交換会における冒頭以外のやりとりについては、本訴訟において全く明らかにしていない。意見交換会の開始から終了までのやりとりを、全て、被告らにおいて具体的に主張されたい。
また、その際、下記の各事項について明らかにされたい。
ア 「談話」(甲1の1)には記載のない、「原告らは、…使用許可についてその日以降1週間以内に結論を出すよう求めた」(答弁書6頁)とのやりとりが、いつ頃どのようになされたかを、明らかにされたい。
イ 被告らは、募金に関するやりとりについて、原告らの「最初の約15分程度で終了した」「被告岡田が『地震に関する寄付はわかりました』と述べて募金に関するやりとりが終了した」との主張(訴状15頁)に対し、正確に認否をされたい。
また、引用の不適切性・恣意性(訴状15頁、答弁書6頁)に関連することから、意見交換会における、募金に関するやりとりと、その余に関するやりとりとを、分量が分かるよう、全て具体的に主張されたい。
ウ 駐車場利用に関して、「原告らが、警備員やシルバー人材センターなどによって人員を配置し、体育館(アリーナ)利用者の妨げとならないよう努力をし現場ではスムーズであったこと,また、体育館との話し合いにより午前10時以降はフリーマーケット利用者も駐車場への駐車が可能となっていたことを説明した」との原告らの主張(訴状15頁)に対し、正確に認否をしたうえ、そのやりとりを具体的に明らかにされたい。
(3)意見交換会終了後に原告松本が被告岡田に浴びせたとする「罵言雑言」(答弁書5頁)について、具体的に明らかにされたい。
2 「市民の声」について
(1)被告らの主張する「市民の声」(答弁書4頁)につき、それぞれ、いつどこで・誰が・どのように述べていたのか、具体的に明らかにすると共にそれらを裏付ける資料を提出されたい。事実関係を具体的に明らかにできない、または、裏付ける資料の提出ができない場合には、その理由を明らかにされたい。
(2)被告らが「市民の声」として本訴訟に提出しているのは乙3号証の1のみである(しかも他市在住の市民のものである)。
本件フリーマーケットに関し、「市民の声」の全体を明らかにするために、一般市民(安中市以外の者も含む)らから被告安中市に提出された文書を、フリーマーケットに否定的なもの・肯定的なもの含め全て、乙号証として提出するか、訴訟外で原告らに対し開示されたい。
3 広報発行の過程について
(1)原稿につき3名の部長から確認を受けたとする点について
被告らは、「原稿について、同席した3名の部長に談話の原文を渡し、事実関係についての確認をした」と主張しているが(答弁書8頁)、各部長の陳述書(乙4~6)には、かような事実関係が一切記されていない。
これについて、下記の点をそれぞれ明らかにされたい。
ア 被告岡田が原稿を作成するよりも前に、同席した部長が原稿を作成していなかったか、作成していたとすれば、それに対して被告岡田がどのように意見を述べたか
イ 被告岡田が作成した「談話」の原文は、3名の部長から、いつ・どのようにして確認を受けたのか
ウ 部長らが被告岡田に対し、どのように回答したか
エ 部長らの確認により、修正点があったか否か。あったとすればどのように修正されたか
(2)安中市広報紙発行規則との関係
本件「談話」を含む「広報あんなか」41号は、安中市広報紙発行規則(甲34)に基づいて発行されたものである。また、「談話」と称する被告岡田作成の記事は、定期的に掲載されるものではない。
これについて,下記の点をそれぞれ明らかにされたい。
ア 「談話」と称する被告岡田作成の記事は、上記第41号以前に何度あったか。また、それぞれどのような内容であったか。
イ 本件の「談話」を掲載するにあたり、「広報編集会議](規則第9条)が開催されたか。開催されたのであれば、いつ・誰が出席し、どのような議論がなされたか。また、その際の議事録・メモを提出されたい。
開催されなかったのであれば、「談話]が不定期に掲載される記事であるにもかかわらず、なぜ開催されなかったのかを釈明されたい。 以上
【証拠説明書】
平成20年(ワ)第492号損害賠償等請求事件
原告 松本立家 外1名
被告 岡田義弘 外1名
証拠説明書
平成21年1月14日
前橋地方裁判所 高崎支部 合議2係 御中
原告ら訴訟代理人 弁護士 山下敏雄 外
号証 / 標目 / 作成年月日 / 作成者 / 立証趣旨
甲32/FAX送信票・写し/平成20年11月6日/安中市教育委員会生涯学習課社会教育係・多胡/被告らが本訴訟係属後に「楽舎」に対し問い合わせを行なっている事実
甲33/回答書・写し/平成20年11月25日/地域創造集団楽舎会長内田浩良/30万円の特別会計に関する「楽舎」の回答
甲34/安中市広報発行規則・写し/平成18年3月16日/被告安中市/安中市広報誌発行規則の存在及び内容等
甲35/安中市文書管理規程・写し/同上/同上/安中市文書管理規程の存在及び内容等
甲36/安中市公印規則・写し/同上/同上/安中市公印規則の存在及び内容等
甲37/高崎市等広域市町村圏振興整備組合西毛運動公園設置及び管理条例・写し/昭和46年3月10日/高崎市等広域市町村圏振興整備組合/高崎市等広域市町村圏振興整備組合西毛運動公園設置及び管理条例の存在及び内容等
【甲第32号証:FAX送信票】
平成20年11月6日
宛先 地域創造楽舎 会長 内田浩良 様
安中市教育委員会生涯学習課 社会教育係 多胡(松井田庁舎内2階)
〒379-0292 安中市松井田町新堀246
TEL 027-382-1111(内線2241)
FAX 027-383-5167
通信欄
お世話になります。お手数おかけしますが、別紙のとおりよろしくお願いいたします。
別紙
平成19年度事業の収支決算について、フリーマーケットに特別会計から30万円の収入支出があったが、これの内容について文香でお答え願いたい。
あて先は、安中市教育長宛でお願いしたい。
1収入について
・特別会計とあるが、それは何のための会計か。
・特別会計の収入滋はなにか。
・フリーマーケットに30万円支出し、その後30万円もどるがどこから戻るのか。
2支出について
・フリーマーケットに30万円支出しているが、どこにどんな内容で支払うのか。
・なぜ楽舎が支払う必要があるのか。例えば共催しているとか。
【甲第33号証:回答書】
平成20年11月25日
回答書
安中市教育長 殿
地域創造集団 楽舎 会長 内田浩良
安中市教育委員会生涯学習課社会教育係・多胡氏からの平成20年11月6日付けFAXに対し、下記のとおり回答します。
記
1 当会の特別会計は、地域づくり団体未来塾との協同事業のための会計(預かり金)です。
2 特別会計の財源は、平成元年に、当会会員及び未来塾会員が出し合ったお金です。平成元年以降現在まで、当会が管理しています。
3 当会は、地墟づくり団体未来塾と共催で「フリーマーケット inあんなか」を開催していました。
4 当会の特別会計から「フリーマーケット inあんなか実行委員会」(以下「実行委員会」)への30万円の支払いは、実行委員会が出店者から参加料(開催分担金)を集めるまでの間、実行委員会が必要経費を支払えるようにするためのもの(開催準備金)です。
実行委員会が出店者から参加料(開催費分担金)を集めた後、実行委員会が当会の特別会計に対して30万円を戻し、同様に次回以降のフリーマーケットの開催準備金としています。
5 なお、安中市教育委員会生涯学習課社会教育係・多胡氏は、今回当会に対して質問を行う理由を「未来塾の裁判の関係で上のほうから言われているから」などと説明しましたが、かのような理由に基づく質問は、今後、訴訟上の手続きを通して行われますようお願いいたします。
以上
【甲第34~37号証】(省略)
【取下書】
平成20年(ワ)第492号 損害賠償等請求事件
原告 松本立家 外1名
被告 岡田義弘 外1名
次回期日 平成21年1月23日(金)10時00分
取下書(一部)
平成21年1月14日
前橋地方裁判所 高崎支部 合議2係 御中
原告ら訴訟代理人 弁護士 山下敏雅 外10名
記
原告らは、請求の趣旨のうち、第4項(被告安中市に対するインターネット上のウェブサイトにおける記事の削除)を取り下げる。 以上
**********
当会では、市長による特定の市民団体への異常な権力行使の実態と、この事件の法廷での推移に注目しています。なぜなら当会も、タゴ51億円事件で真相究明と責任の所在の明確化を求めて法廷で行政を相手にしたことがあるからです。
さて、平成21年2月10日に当会が安中市に開示請求し、同月23日に開示された本件の情報によると、平成20年11月13日に第1回口頭弁論が行なわれたその日に、安中市は損害賠償等請求事件に関する指定代理人の指定を行ないました。そして、同日付で、前橋地裁高崎支部に、指定代理人選任届けを提出したのです。
**********
【平成20年11月13日付け総務部の回議用紙】
件名 損害賠償等請求事件に関する指定代理人の指定について
平成20年(ワ)損害賠償等請求事件における安中市の訴訟行為を行なう指定代理人として、下記の者を指定したいがよろしいか伺います。なお、ご決裁の上は、別紙「指定代理人選任届」を前橋地方裁判所高崎支部宛提出してよろしいか併せて伺います。
記
1.事件番号 平成20年(ワ)第492号
2.管轄裁判所 前橋地方裁判所高崎支部
3.当事者 (原告)松本立家、地域づくり団体未来塾
(被告)岡田義弘、安中市
4.指定代理人 総務部秘書行政課 課長 鳥越一成
同 広報広聴係長 島崎佳宏
同 文書法規係長 吉田 隆
5.選任届 別紙のとおり
【指定代理人選任届】
前橋地方裁判所高崎支部合議2係 御中
平成20年11月15日
被告 群馬県安中市安中一丁目23番13号
安中市 代表者 安中市長 岡田義弘
平成20年(ワ)第492号損害賠償等請求事件について、地方自治法第153条第1項に基づき、下記の吏員3名を本件に関する一切の訴訟行為を行う指定代理人として選任いたしましたので、お届けします。
記
総務部秘書行政課課長 鳥越一成
総務部秘書行政課広報広聴係長 島崎佳宏
総務郎秘書行政課文書法規係長 吉田 隆
**********
■安中市は平成20年11月5日に答弁書を地裁に提出しましたが、その際、被告として岡田市長の名前しか書きませんでした。そして、同月13日の第1回口頭弁論では、被告席に岡田市長自らただ一人出席し、裁判官の許可も得ずに勝手に陳述をしました。そのとき、安中市の職員は傍聴席にいました。その職員は次のように復命(報告)していました。また、復命書には、未来塾代表の意見陳述内容も含まれていました。
13日の朝、第1回口頭弁論を傍聴した職員の報告を聞いて、安中市は慌てて指定代理人3名を、市の職員から選任したものとみられます。実質的に答弁書は市職員らにより作成及び校正されていたので、裁判のルールについてチンプンカンプンだった岡田市長もとりあえず指定代理人を任命することをは了承したようです。しかし、公社役員の責任を問われた住民訴訟で、被告として弁護士を付けずに勝訴したトラウマのせいか、訴訟代理人として弁護士を付けることには強い抵抗がある様子です。
*********
【平成20年11月13日付の回議用紙】
件名 復命書(損害賠償等請求事件の口頭弁論)
地域づくり団体未来塾の市に対する損害賠償請求の訴えについて、下記のとおり第1回の口頭弁論が行なわれ、傍聴しましたので復命します。
記
1.日 時 平成20年11月13日(本)午前10時
2.場 所 前橋地方裁判所高崎支部第1号法廷(3階)
3.事件番号 平成20年(ワ)第492号
4.裁判官等 裁判長 村田鋭治 裁判官 本村洋平、亀村恵子 書記官 福田秀太良
5.当 事 者 (原告)地域づくり団体未来塾 代表松本立家、訴訟代理人 弁護士山下敏雅ほか2名
(被告)安中市長 岡田義弘
6.概 要 双方の証拠書類の原本確認を行った。未来塾側が甲1号証から甲31号証の2まで。安中市側が乙1号証から9号証まで。
次回口頭弁論の日程は12月5日(金)午後4時30分と決まった。
傍聴席は、30席あまりが満席となり、法廷外で十数人待つという状況だった。
未来塾代表松本立家氏が意見陳述書を読み上げた。(別示のとおり)
これに対して、岡田市長も行政の基本として、公正・公平で透明性が求められる旨を述べ行政手続条例に則って正当な手続きを踏んでほしい旨などを意見陳述した。
【未来塾代表の意見陳述書】
事件から今日まで、一日として、このことに関し、忘れることはありません。驚き、悲しみ、怒りが交錯した、あの日の事が鮮明に思い出され、今でも胸がしめつけられます。
私は30数年前、一人の聴覚障害者と出会い、それがきっかけでボランティア活動を始め、現在は「地域づくり団体未来塾」の代表として日々、実践を重ねています。1O代から70代までの多くの会員と共に「元気な地域の創造」を目指し、自然保護活動や16年31回を数える「フリーマーケットinあんなか」の開催等を行ってきました。
「フリーマーケットinあんなか」は、北関東最大級のフリーマーケットといわれ、市内外の数え切れないほどの人たちの参加や協力によって創られる手作りのお祭りです。毎回、たくさんの人たちが心待ちにしているイベントでもあります。また、子供からお年寄りまでが―緒にボランティアとして参加でき、世代を超えた交流によって、ひとりひとりが成長できるすばらしい取り組みです。
しかし、その取り組みが昨年の9月「行政トップ」の公権力の乱用によって突然止められてしまいました。この不測の事態に驚いた、大勢の皆さんから電話や手紙をいただきました。誰もが残念がり、フリーマーケットの再開を望みました。
私たちは再開に向け、市長と「意見交換会」を持ちましたが、昨年の暮、市の広報紙に事実とは全く異なった虚偽の内容がA4、1枚にわたり掲載され、市内全戸23,000世帯へ配布されたのです。「目を見て話をしろ(冒頭から怒鳴る)」などを始めとして、私たちが「意見交換会」において不誠実な態度をとり、あたかも不正なボランティア活動に従事しているかのように市民に思わせようとする、信じがたい内容のものでした。私たちは「怒鳴った」事実もなければ不正なボランティア活動を行っている事実もありません。
公権力が市民に圧力をかけ「人権」を侵害するという、あってはならない事が起こり、私をはじめ、会員の誰もが愕然としましたが、公的な広報紙に掲載された事柄は、たとえそれがねつ造されたウソの文章であったとしても、真実として伝わってゆく現実に、私たちは、なすすべがありませんでした。
私たちが、この出来事により失った社会的信用や信頼は計り知れません。また私自身、精神的な苦痛により体調を崩してしまいました。考えれば考えるほど、このままでは終われない。そして真実を伝えなければならない。人が人として幸せに生きる権利を取り戻し、「安中の地域づくり」に関わった人、全ての名誉回復をしなければならないと強く思いました。
そこで、公権力の圧力に対し、弱い立場にある私たちは、法的手段を持って事実を明らかにする事を選択いたしました。私たちのみならず、全国各地で活躍している市民団体、そしてこれから活動を始めたいと思うひとりひとりの為に、何もしないで、負けるわけにはいかないのです。そして未来を担う子供たちの為にも、真実が権力によって歪められた歴史を創ってはならないのです。
本来守るべき市民に対し、弱いものいじめをする。一市民団体を陥れようとする市長の一連の行動は、決して許されるものではなく、また事実関係を、公正かつ真摯に確認すべきであったにも関わらず、それを怠った安中市の責任も重大です。
この問題は、人として幸せに生きる権利とは何か、ボランティアとは何か、また地域活性化のための行政と市民との協働はどうあるべきかという本質的な問題を背景としており、この訴訟を通して正常な行政を安中市に回復させる重要な意義もあるのです。
安中市が全戸配布した文書の訂正と謝罪を強く求め、失われた信頼を早期回復し、これからもより多くの皆さんと一緒に、「元気な街づくり」を目指し、活動を続けて行きたいと思っています。今、私たちをはじめ、多くの市民が「正常な行政」を求めています。
裁判所におかれましては、真実を見極めてくださり、公正なご判断をいただけますよう宜しくお願いいたします。
平成20年11月13日
原告兼原告地域づくり団体未来塾代表 松本立家
**********
■当会では第2回口頭弁論は、平成21年1月だと思っていましたが、実際には、第2回口頭弁論は平成20年12月5日(金)午後4時30分に開催されていたことがわかりました。このとき、安中市側は、岡田市長と指定代理人3名が、初めて揃って、被告席に顔を出しましたが、裁判長は、法廷と議場を混同している岡田市長に対して「今後の弁論は専門的になるので、本人出席ではなく、弁護士の代理人を立てたほうがよい」とアドバイスをしました。
また、安中市のホームページから、未来塾との意見交換会の模様について被告岡田がウソを書いたとして、今回の損害賠償請求の発端のひとつになった広報おしらせ版平成19年12月21日号の「談話」と証する頁が、昨年12月8日ごろ、突然消されましたが、この理由は、12月5日の第2回口頭弁論で裁判長の訴訟指揮によるものであることが判明しました。裁判長は、被告に配慮して「どちらが有利ということなく、争点がひとつ減る」と言いましたが、結果として原告の要求のひとつが実現したわけで、被告に不利なことは明らかです。
**********
【平成20年12月8日付け総務部の回議用紙】
件名 復命書(損害賠償等請求事件の弁論準備手続)
地域づくり団体未来塾の市に対する損害賠償請求の訴えについて、下記のとおり弁論準備手続が行われ、出席しましたので復命します。
記
1.日 特 平成20年12月5日(金)午後4時30分
2.場 所 前橋地方裁判所高崎支部準備手続兼和解室(2階)
3.事件番号 平成20年(ワ)第492号
4.裁判官等 裁判長 村田鋭治 裁判官 亀村恵子
5.当 事 者 (原告)地域づくり団体未来塾 代表松本立家、訴訟代理人 弁護士山下敏雄
(被告)岡田義弘、安中市指定代理人 鳥越一成、吉田 隆、島崎佳宏
6.概 要 裁判長から、安中市ホームページから平成19年12月21日号の談話のページを削除すれば、どちらが有利ということなく、争点がひとつ減る旨提案があった。
また、岡田市長に対して、今後の弁論は専門的な内容になっていくので、本人出席ではなく、弁護士の代理人を立てたほうがよいのではとの提案もあった。
次回口頭弁論の日程は1月23日(金)午前10時と決まった。
**********
■第3回口頭弁論(弁論準備手続)は、平成21年1月23日に開催されました。今回もまた、公務に優先して、岡田市長が、指定代理人の市職員3名と一緒に出廷しました。よほど、未来塾とのバトルを重視していることがわかります。ところが、岡田市長の熱意とは裏腹に、裁判長は、岡田市長に対して、「今後の弁論は専門的な内容になっていくので、本人出席ではなく、弁護士の代理人を立てたほうがよいのでは」と、再びアドバイスしたのでした。
**********
【平成21年1月23日付け総務部の回議用紙】
件名 復命書(損害賠償等請求事件の弁論準備手続-1月23日-)
地域づくり団体未来塾の市に対する損害賠償請求の訴えについて、下記のとおり弁論準備手続が行われ、出席しましたので復命します。
記
1.日 時 平成21年1月23日(金)午前10時
2.場 所 前橋地方裁判所高崎文部準備手続兼和解室(2階)
3.事件番号 平成20年(ワ)第492号
4.裁判官等 裁判長 村田鋭治 裁判官 亀村恵子
5.当 事 者 (原告)地域づくり団体未来塾 代表松本立家、訴訟代理人 弁護士山下敏雅
(被告)岡田義弘、安中市指定代理人 鳥越一成、吉田 隆、島崎佳宏
6.概 要 裁判長から岡田市長に対して、今後の弁論は専門的な内容になっていくので、本人出席ではなく、弁護士の代理人を立てたほうがよいのではとの提案が再度あった。
未来塾側から、取下書(一部)の「第4項」を「第3項」に訂正する旨申し出があった。
平成21年1月14日付けで未来塾側から送付された第1準備書面に対しては、2月27日(金)までに答弁書を提出することとなった。この答弁書は、安中市と岡田義弘との共同書面で良いとのことだった。
次回口頭弁論の日程は3月13日(金)午後1時30分と決まった。
**********
■平成21年1月23日の第3回口頭弁論に先立ち、未来塾側は、1月14日付けで被告岡田義弘宛と地裁高崎支部宛に第1準備書面、証拠説明書、取下書を提出しました。詳しくは本文の末尾を参照ください。このうち、取下書は、裁判長の訴訟指揮により安中市がインターネットのウェブサイト上から当該記事を削除したことに応じて、未来塾側から提出されたものです。
■原告未来塾の第1回準備書面で、特記されるのは、岡田市長の指示により、安中市教育委員会生涯学習課社会教育係が、フリマを未来塾と共催している団体にファックスで、質問状を提出していたことが指摘されていることです。今や、周辺をイエスマンで固めた岡田市長ですが、教育委員会まで市長の言うなりになって、権力の名の下に、市民の懐を探ろうとする姿勢は、いかがなものか、の一言に尽きます。そういえば、タゴ事件の単独主犯とされた元職員も、一時社会教育係に在籍していたことがあります。
その後、被告岡田義弘と安中市は、この第1準備書面にある求釈明について2月27日(金)までに答弁書(被告第1準備書面)を提出し、第4回口頭弁論は3月13日(金)午後1時30分に開かれています。追って、これらの経緯も報告する予定です。
【ひらく会情報部】
※未来塾が、1月23日の第3回口頭弁論(弁論準備手続)で陳述した第1準備書面は次のとおり。
**********
【原告の第1準備書面】
平成20年(ワ)第492号 損害賠償等請求事件
原告 松本立家 外1名
被告 岡田義弘 外1名
次回期日 平成21年1月23日(金)10時00分
第1準備書面
平成21年1月14日
前橋地方裁判所高崎支部合議2係 御中
原告ら訴訟代理人 弁護士 山下敏雄、同 中城重光、同 釜井英法、同 登坂真人、同 寺町東子、同 後藤真紀子、同 青木知己、同 吉田隆宏、同 大伴慎吾、同 船橋あみ、同 寺田明弘
目 次
第1 原告松本個人に対する名誉毀損について
1 総論
2 本件記事は新聞報道を前提としていること
3 実際に原告松本の名誉が毀損されていること
4 判例
(1)ある者に対する言及が他の者の名誉を毀損する事例
(2)実名の記載がなくとも名誉毀損が成立すること
5 小括
第2 答弁書「第3 被告らの主張」に対する認否・反論
1 はじめに」(答弁書3頁)に
2 公園使用許可申請(答弁書3頁)について
(1)使用料減免について
(2)募金について
(3)転貸禁止条項について
(4)公園使用許可申請の不受理
3 「3 市民の声」(答弁書4頁)について
4 「4 意見交換会の事実」(答弁書4~5頁)について
(1)意見交換会開催まで
(2)意見交換会の開始の遅れ
(3)意見交換会中のやりとり
(4)意見交換会終了後
5 「5 フリーマーケットの収支報告」(答弁書5~6頁)について
6 「6 本件記事の正当性」ないし「9 損害、本件訴訟の意義及び結語」(答弁書6~10頁)について
第3 求釈明
1 意見交換会について
2 「市民の声」について
3 広報発行の過程について
(1)原稿につき3名の部長から確認を受けたとする点について
(2)安中市広報紙発行規則との関係
第1 原告松本個人に対する名誉毀損について
1 総論
被告らの掲載・発行した「談話」(甲1の1)には原告松本個人の実名こそ記載されていないものの、当該記事が、原告松本個人の社会的評価をも低下させる名誉毀損であることは明らかである。
2 本件記事は新聞報道を前提としていること
(1)被告岡田が本件記事「談話」の冒頭で下記の通り記載しているとおり(下線原告ら訴訟代理人)、当該記事は新聞報道を前提としたものであった。
「過日、新聞などにより報道された、市有施設でのマーケットの開催について、多くの皆さんから広報紙などで説明して欲しいという声が寄せられましたので…j
(2)そして、実際の新聞報道記事を見れば、例えば平成19年10月20日朝日新聞記事(甲2の1)においては
「中止になったのは、市民有志でつくる『地域づくり団体 未来塾』(松本立家代表)主催の第32回『フリーマーケットinあんなか』。」
「松本代表らは9月10日に、岡田義弘市長ら市幹部と話し合った。」
と報じられている。すなわち、原告未来塾の代表者が原告松本であること、また、原告松本が平成19年9月10日の意見交換会に出席していたことは、一般読者らにも明らかとなっていたのである。
このほかにも,原告未来塾代表が原告松本であることや、本件フリーマーケット中止に関する原告松本個人のコメント等は、新聞各社・テレビ報道などによって報じられていた。
(3)したがって、①被告の本件「談話」における事実摘示は、団体たる原告未来塾団体に対してのみならず、同時に、その代表たる原告松本にも向けられていたものであり、②一般読者の普通の注意と読み方を基準として見ても、本件「談話」は、あたかも原告松本も私利私欲のためにフリーマーケットに関し不正な活動に従事しているかのように虚偽の事実を摘示し、かつ、被告安中市関係者との話し合いに際して、原告松本自身が不誠実な態度を示す者であるか、ないしは、不誠実な態度を示す者の所属する団体の長であるかの如き虚偽の事実をも摘示するものである。
3 実際に原告松本の名誉が毀損されていること
原告松本は、長年にわたって原告未来塾の代表を務め、地域のためのボランティア活動を継続しており、平成16年5月3日には群馬県から群馬県総合表彰「地域づくり功労賞」を受賞するなどしていたところ、当該記事掲載により、それまで築き上げてきた社会的評価を低下させられ、実際にも、原告松本が周囲の者から「いつもニコニコしているけれど、あんな人だとは思わなかった」「松本さん、不動産業もやっているんだって?」と言われたり、いつも挨拶等声を掛けてくれる人が原告松本に声を掛けなくなったりした。
原告松本は、かかる精神的な苦痛によって体調を崩すほどであった(第1回口頭弁論期日における原告意見陳述)。
4 判例
(1)ある者に対する言及が他の者の名誉を毀損する事例
ア なお、名誉毀損訴訟においては、ある者(甲)に対する言及が他の者(乙)の名誉を毀損すると認められる判例が、下記の通り多数存する。
・ 代表取締役会長(甲)の行為につき,会社(乙)の名誉を毀損すると判示した東京高裁平成6年9月7日判決・判例時報1517号40頁
・ 父親(甲)が犯罪容疑で逮捕されたとの事実摘示につき、娘(乙)の名誉を毀損すると判示した東京地裁平成11年6月22日判決・判例時報1691号91頁
・ 著名な建築家の名前を冠し、当該建築家の実績で仕事を受注している会社(乙)につき、当該建築家(甲)に関する名誉毀損がその会社の名誉毀損にもなる旨判示した東京地裁平成13年10月22日判決・判例時報1793号103頁
・ 会社の社長(甲)が違法に株価操作をしたとの事実摘示について社長の名誉を毀損するほか、当該会社(乙)の名誉も毀損するとした東京地裁平成15年7月25日判決・判例時報1994号69頁。
イ 特に出版社である被告が発行する週刊誌に掲載された記事により、名誉を毀損されたと主張する財団法人及びその代表者が、被告に対し損害賠償等を請求した事実において、東京地裁平成18年11月7日判決
・判例時報1994号69頁は、下記の通り明確に判示している(下線原告ら訴訟代理人)。
「当該記事の内容・構成等に照らし、団体の長に対する名誉毀損行為が、同時にその団体に対しても向けられてその団体の社会的評価をも低下させるものと認められる場合には、同団体に対する名誉毀損行為をも構成するものと解され、また、団体に対する名誉毀損行為が、同時にその長に対しても向けられてその長の社会的評価をも低下させるものと認められる場合には、その長に対する名誉毀損行為をも構成するものと解すべきである。」
ウ したがって,被告らの原告未来塾に対する名誉毀損行為は、同時にその長である原告松本に対しても向けられ、原告松本の社会的評価を低下させるものであることから、原告松本に対する名誉毀損行為をも構成する。
(2)実名の記載がなくとも名誉毀損が成立すること
また、原告松本個人の実名が「談話」に記載されていない点をもってしても、名誉毀損の成立は妨げられない。
実名が記されていない場合でも名誉毀損が認定された例は枚挙に暇がなく、例えば、東京地裁平成18年9月28日判決・判例タイムズ1250号228頁は、
「実名が記載されていなくとも、記事の記載内容から、当該対象者の属性等について一定の知識、情報を有している者らによって、対象者の特定がなされる可能性があり、さらに、これらの者から、特定された対象者が不特定多数の第三者に伝播する可能性があれば、名誉毀損における対象者の特定については十分であるというべきである。」
と明確に判示している。
上述の通り、「談話」以前の新聞報道等から、原告未来塾の代表者が原告松本であり、原告松本個人も意見交換会に出席していたことはすでに一般市民らに特定されていたのであって、本件「談話」に原告松本の実名が記載されていないことをもって被告らの責任を免れることにはならない。
5 小括
以上のとおり、被告らの掲載・発行した「談話」(甲1号証の1)が、原告松本個人の社会的評価をも低下させる名誉毀損であることは明らかである。
第2 答弁書「第3 被告らの主張」に対する認否・反論
以下、被告ら答弁書「第3 被告らの主張」中、必要な限りにおいて認否・反論等を行う。
1 「1 はじめに」(答弁書3頁)について
被告らの求釈明に対しては、すでに第1回口頭弁論期日及び第1回弁論準備期日において回答済みである。
訴状にも記した通り、原告らが本件訴訟において被告としているのは、安中市、及び、岡田義弘個人の2名である。
2 公園使用許可申請(答弁書3頁)について
(1)使用料減免について
被告安中市の主張する条例の存在、並びに、原告らが公園利用許可申請書(甲23)中の「使用料」欄を空欄で提出していたこと、及び、原告らが公園使用料減免・還付申請書を過去に提出していないこと、はそれぞれ認める。
もっとも、被告の主張する安中市公園条例規則(乙2)は平成18年3月18日から施行されており(附則第1条)、被告岡田が市長に就任した
平成18年4月以降も、原告らは同様の方法で申請を行い、かつ、市長たる被告岡田より使用料を免除されていたのであるから(平成18年10月17日付の許可書につき甲11の1、平成19年4月17日付の許可書につき甲11の2)、原告らが「使用料は免除されると期待した」(答弁書3頁)のは、むしろ当然である。
(2)募金について
原告らが募金の許可を明示的には受けていないことは認める。
しかしながら、被告らの主張する条例第4条1項では、「物品の販売、募金その他これらに類する行為」とまとめて規定しているところ(下線原告ら訴訟代理人)、被告らから、フリーマーケットにおいて「物品の販売」は許可するが「募金」は許可しない、などと明示的に区分した許可は一度もなされていない。
使用許可書では、「使用目的」欄に「フリーマーケット」と記載されているが、主催団体が営利を目的とせずに行っているフリーマーケット内においては、物品の販売のみならず、公益的な募全活動が行われることも、全く自然である。実際、原告らはこれまでも同様の申請方法をとり、原告未来塾やそれ以外のグループが、震災復興や赤い羽根等、公益目的の募金活動を行っていた。
(3)転貸禁止条項について
被告らは、安中市公園条例第11条の権利の転貸禁止条項をも持ち出すが(答弁書3頁)、転貸禁止条項を根拠とする主張が被告らから出されたのは本答弁書が初めてであり、これまでかような主張は一切なかった。
そもそも、フリーマーケットという形態で会場を使用することは被告らも十分認識したうえで、これまでも使用を許可していた。フリーマーケット参加者が各区画を使用することが果たして「転貸」であるか甚だ疑問であるうえ、同条には例外規定もない。被告らは、多数に及ぶフリーマーケットの参加者が、各自、各区画ごとの使用許可申請を行う必要があるとでも主張するのであろうか。
(4)公園使用許可申請の不受理
平成19年8月の、公園使用許可申請に関する事実経過については否認する。
建設部都市整備課から「今回は上記問題点も含めフリーマーケットの運営上の疑問から、使用許可についてその場で回答できないので検討させてもらいたい」などの説明も一切存しなかった。
平成19年5月には建設部長名義の文章(甲22)が郵送され,同年7月には寄付金の受け取りも突然拒否されたことから、原告らは被告岡田に対し説明を求めたが、被告岡田より一切返答はなかった(この事実経過については被告らも答弁書において認めている)。
同年8月の申請の不受理は、これらの延長線上で起きた出来事であり、当日も、建設部都市整備課からは何らの説明もなかった。上述したような、使用料減免や募金について申請書を必要とするとの被告らの立場の説明や、申請書の提出を促すようなことも一切なかった。
3 「3 市民の声」(答弁書4頁)について
不知ないし否認する(下記で釈明を求める)。
4 「4 意見交換会の事実」(答弁書4~5頁)について
(以下では、「6 本件記事の正当性」(答弁書6~7頁)中、意見交換会に関する事実主張に対する認否反論も併せて行う。)
(1)意見交換会開催まで
建設部長及び総務部長から6月当初より原告らに話し合いを求め、原告らが断って被告らの要請によりようやく9月10日に意見交換会が開かれた,とする被告らの主張(答弁書6頁)は否認する。
原告らは、再三にわたり被告らに対し話し合いを求めた。7月20日には、原告未来塾の運営委員・高橋由信が、総務部長と話し合いの場を持つための協議を行っている。
また、被告らは、原告が「話し合いの日時の繰り上げさえ要望することなく」などとも主張するが(答弁書6頁)、意見交換会は「9月7日か9月10日」に予定されたため、原告らは早い方の9月7日を要望した。しかし、最終的に被告らの意向により9月10日に決定したのである。
(2)意見交換会の開始の遅れ
原告らが平成19年9月10日の意見交換会開始前に1時間20分余りにわたって自己主張を展開したために予定より約1時間30分遅れて開始したこと、原告らが挨拶もなく応接の椅子に座ったこと(答弁書4頁)、はそれぞれ否認する。
原告らが「フリーマーケットの運営について」(甲22)に議題を追加するよう被告らに求めていた事実はあるが、すでに8月から長澤建設部長に対して求めていたことである。また、意見交換会の開始が1時間(1時間30分ではない)遅れたのは、当日、県議会による現地視察や、議会での決算委員会などが行われたためであって、被告岡田及び長澤建設部長は原告らに対し、意見交換会開始直前に詫びている。
(3)意見交換会中のやりとり
ア 答弁書5頁1行目の長澤建設部長の挨拶から、同頁19行目「代表のほうからお願いします」まで、及び、答弁書別紙「市長室・秘書行政課配置図」のうちの市長室内の状況は、概ね認める(ただし、この点について、下記で釈明を求める)。
イ 同頁20行目「この後で」から28行目「驚いている」までは否認する。
長澤建設部長の発言のあと、被告ら主張のような事実経過は全くなく、その後は募金に関する話が進んでいった。
そして、意見交換会開始後、被告岡田は、原告松本と会話をしているにもかかわらず、被告岡田から見て左に座っている原告松本の方を全く向かず、右に座っている堀越総務部長・佐藤教育部長の方や、正面に座っている長澤建設部長の方を向いて、話を進めていた。そのため、開始後約15分が経過した頃、原告松本が「市長さん、お話をしているのは私ですから、できれば私のほうに向いていただけると、お答えもしやすいんですが。」と指摘したところ、被告岡田が、原告松本の発言に対して「重箱の隅」などとの表現を用いて返答したため、松本遥が被告岡田に対し、「でも、話をするときは人の目を見たほうがいいと思いますよ。」と諌めたのである(「大きな声」や「威圧的な確認」ではない)。
ウ 原告らが意見交換会において、使用許可についてその日以降1週間以内に結論を出すように求めた、との主張(答弁書6頁)は否認する。
原告らは、1週間でも開催は無理である旨被告岡田に明言した。他方、被告岡田も、使用許可に関する結論は1週間で出すことは無理と明言した。そのため、原告らはやむなく、9月12日にフリーマーケットの開催を断念し、関係者に連絡したのである。
被告らの主張する意見交換会での話し合いの内容自体虚偽であるばかりか、被告岡田は自ら「1週間で出すことは無理」と明言しながら、4日後(しかも原告らがフリーマーケット開催を断念した後)に結論を原告らに通知したのであり、フリーマーケットが開催に至らなかった原因が被告岡田の言動にあることは明らかである。
(4)意見交換会終了後
意見交換会終了後に原告松本が被告岡田に対し罵言雑言を浴びせたとの事実(答弁書5頁)は否認する(下記で釈明を求める)。
5 「5 フリーマーケットの収支報告」(答弁書5~6頁)について
被告らは、原告未来塾との共催団体である地域創造集団「楽舎」の補助事業等実績報告書(乙7)を基に事業運営の透明性を問題にするようであるが、失当である。
楽舎の管理する特別会計30万円は、フリーマーケット実行委員会が出店者から参加料を集めるまでの間、実行委員会が必要経費を支払えるようにするためのもの(開催準備金)であり、実行委員会が出店者から参加料を集めた後、実行委員会が楽舎に30万円を戻し、同様に次回以降のフリーマーケットの開催準備金に充てているものである(甲33)。したがって、フリーマーケットの収支(甲13)の結果には直接影響しないものであって、この記載がないことをもって「事業運営が透明性に欠ける」などと論難される謂われはない。
そもそも、被告らは本訴訟までの間に原告らや楽舎に対し上記の指摘及び質問を行ったことは一度としてなかったところ、本訴訟を提起されるや、平成20年11月6日になって、訴訟外で楽舎に対し問い合わせを行っており(甲32)、このことからも、被告らの主張がいかに杜撰かつ後付けの、根拠のないものであるかは明らかである。
また、「市民や出店者に対して会計報告がなされていない」などと主張するが、任意団体である原告未来塾や、フリーマーケット実行委員会の会計を公にすべき法的根拠に乏しいばかりか、フリーマーケット開催にあたって補助金を支出もしていない被告安中市がかような主張を行うこと自体、理解に苦しむ。甲13号証のとおり、フリーマーケットの会計の内容に不透明な部分は一切なく、参加者から参加費を徴収しても、なお収支は赤字であって、その分は原告らの持ち出しとなっていた。
6 「6 本件記事の正当性」ないし「9 損害、本件訴訟の意義及び結語」(答弁書6~10頁)について
(1)「6 本件記事の正当性」ないし「9 損害、本件訴訟の意義及び結語」(答弁書6~10頁)については、訴状記載の事実と異なる事実の主張はいずれも全て否認するとともに、事実に対する評価及び法的主張も、いずれも全て争う。
(2)「原稿について、同席した3名の部長に談話の原文を渡し、事実関係についての確認をした」との主張(答弁書8頁)は不知ないし否認する(下記で釈明を求める)。
(3)被告らが西毛運動公園の使用を要請したことに関し、「イベント会場として有効な活用が期待できる」とする点(答弁書9頁)は否認する。
被告岡田が原告らに伝えたのは、「西毛運動公園広場」である(甲27)。
原告未来塾が当初第1回及び第2回のフリーマーケットを開催したのが、この西毛運動公園広場であり(甲6。乙9の地図のうち、「小庭園」と記載された部分)、同広場は、西毛運動公園中わずか5,250㎡しか存しない。同公園内には「自由広場」も存するが、従前の経過からして「広場」といえばこの「小庭園」の区画を指す。
被告は本訴訟になるや、「西毛運動公園の陸上競技場及び少年野球場を活用すれば25,000㎡を超える面積が確保できる」などと主張しているが、「高崎市等広域市町村圈振興整備組合西毛総合運動公園設置及び管理条例」(甲37)において「陸上競技場」「野球場」と「広場」とを明確に別個の施設として定義していることからも明らかな通り、被告岡田は「広場」部分のみを原告らに使用するよう主張したのである。
第3 求釈明
1 意見交換会について
(1)被告らは、意見交換会の冒頭のみ、非常に詳細に事実関係を主張している(答弁書5頁1行目ないし19行目)。
そこで、
ア 意見交換会において被告岡田が作成したとされる「要点筆記」(答弁書6頁及び8頁)の原本を、乙号証として提出されたい。
イ 前項の「要点筆記」以外に、本件意見交換会について、被告ら関係者の作成した議事録、メモ、報告書等が存在する否か、明らかにされたい。存在する場合には、それらを乙号証として提出するとともに、作成者及び作成時期を明らかにされたい。
(2)被告らは、意見交換会における冒頭以外のやりとりについては、本訴訟において全く明らかにしていない。意見交換会の開始から終了までのやりとりを、全て、被告らにおいて具体的に主張されたい。
また、その際、下記の各事項について明らかにされたい。
ア 「談話」(甲1の1)には記載のない、「原告らは、…使用許可についてその日以降1週間以内に結論を出すよう求めた」(答弁書6頁)とのやりとりが、いつ頃どのようになされたかを、明らかにされたい。
イ 被告らは、募金に関するやりとりについて、原告らの「最初の約15分程度で終了した」「被告岡田が『地震に関する寄付はわかりました』と述べて募金に関するやりとりが終了した」との主張(訴状15頁)に対し、正確に認否をされたい。
また、引用の不適切性・恣意性(訴状15頁、答弁書6頁)に関連することから、意見交換会における、募金に関するやりとりと、その余に関するやりとりとを、分量が分かるよう、全て具体的に主張されたい。
ウ 駐車場利用に関して、「原告らが、警備員やシルバー人材センターなどによって人員を配置し、体育館(アリーナ)利用者の妨げとならないよう努力をし現場ではスムーズであったこと,また、体育館との話し合いにより午前10時以降はフリーマーケット利用者も駐車場への駐車が可能となっていたことを説明した」との原告らの主張(訴状15頁)に対し、正確に認否をしたうえ、そのやりとりを具体的に明らかにされたい。
(3)意見交換会終了後に原告松本が被告岡田に浴びせたとする「罵言雑言」(答弁書5頁)について、具体的に明らかにされたい。
2 「市民の声」について
(1)被告らの主張する「市民の声」(答弁書4頁)につき、それぞれ、いつどこで・誰が・どのように述べていたのか、具体的に明らかにすると共にそれらを裏付ける資料を提出されたい。事実関係を具体的に明らかにできない、または、裏付ける資料の提出ができない場合には、その理由を明らかにされたい。
(2)被告らが「市民の声」として本訴訟に提出しているのは乙3号証の1のみである(しかも他市在住の市民のものである)。
本件フリーマーケットに関し、「市民の声」の全体を明らかにするために、一般市民(安中市以外の者も含む)らから被告安中市に提出された文書を、フリーマーケットに否定的なもの・肯定的なもの含め全て、乙号証として提出するか、訴訟外で原告らに対し開示されたい。
3 広報発行の過程について
(1)原稿につき3名の部長から確認を受けたとする点について
被告らは、「原稿について、同席した3名の部長に談話の原文を渡し、事実関係についての確認をした」と主張しているが(答弁書8頁)、各部長の陳述書(乙4~6)には、かような事実関係が一切記されていない。
これについて、下記の点をそれぞれ明らかにされたい。
ア 被告岡田が原稿を作成するよりも前に、同席した部長が原稿を作成していなかったか、作成していたとすれば、それに対して被告岡田がどのように意見を述べたか
イ 被告岡田が作成した「談話」の原文は、3名の部長から、いつ・どのようにして確認を受けたのか
ウ 部長らが被告岡田に対し、どのように回答したか
エ 部長らの確認により、修正点があったか否か。あったとすればどのように修正されたか
(2)安中市広報紙発行規則との関係
本件「談話」を含む「広報あんなか」41号は、安中市広報紙発行規則(甲34)に基づいて発行されたものである。また、「談話」と称する被告岡田作成の記事は、定期的に掲載されるものではない。
これについて,下記の点をそれぞれ明らかにされたい。
ア 「談話」と称する被告岡田作成の記事は、上記第41号以前に何度あったか。また、それぞれどのような内容であったか。
イ 本件の「談話」を掲載するにあたり、「広報編集会議](規則第9条)が開催されたか。開催されたのであれば、いつ・誰が出席し、どのような議論がなされたか。また、その際の議事録・メモを提出されたい。
開催されなかったのであれば、「談話]が不定期に掲載される記事であるにもかかわらず、なぜ開催されなかったのかを釈明されたい。 以上
【証拠説明書】
平成20年(ワ)第492号損害賠償等請求事件
原告 松本立家 外1名
被告 岡田義弘 外1名
証拠説明書
平成21年1月14日
前橋地方裁判所 高崎支部 合議2係 御中
原告ら訴訟代理人 弁護士 山下敏雄 外
号証 / 標目 / 作成年月日 / 作成者 / 立証趣旨
甲32/FAX送信票・写し/平成20年11月6日/安中市教育委員会生涯学習課社会教育係・多胡/被告らが本訴訟係属後に「楽舎」に対し問い合わせを行なっている事実
甲33/回答書・写し/平成20年11月25日/地域創造集団楽舎会長内田浩良/30万円の特別会計に関する「楽舎」の回答
甲34/安中市広報発行規則・写し/平成18年3月16日/被告安中市/安中市広報誌発行規則の存在及び内容等
甲35/安中市文書管理規程・写し/同上/同上/安中市文書管理規程の存在及び内容等
甲36/安中市公印規則・写し/同上/同上/安中市公印規則の存在及び内容等
甲37/高崎市等広域市町村圏振興整備組合西毛運動公園設置及び管理条例・写し/昭和46年3月10日/高崎市等広域市町村圏振興整備組合/高崎市等広域市町村圏振興整備組合西毛運動公園設置及び管理条例の存在及び内容等
【甲第32号証:FAX送信票】
平成20年11月6日
宛先 地域創造楽舎 会長 内田浩良 様
安中市教育委員会生涯学習課 社会教育係 多胡(松井田庁舎内2階)
〒379-0292 安中市松井田町新堀246
TEL 027-382-1111(内線2241)
FAX 027-383-5167
通信欄
お世話になります。お手数おかけしますが、別紙のとおりよろしくお願いいたします。
別紙
平成19年度事業の収支決算について、フリーマーケットに特別会計から30万円の収入支出があったが、これの内容について文香でお答え願いたい。
あて先は、安中市教育長宛でお願いしたい。
1収入について
・特別会計とあるが、それは何のための会計か。
・特別会計の収入滋はなにか。
・フリーマーケットに30万円支出し、その後30万円もどるがどこから戻るのか。
2支出について
・フリーマーケットに30万円支出しているが、どこにどんな内容で支払うのか。
・なぜ楽舎が支払う必要があるのか。例えば共催しているとか。
【甲第33号証:回答書】
平成20年11月25日
回答書
安中市教育長 殿
地域創造集団 楽舎 会長 内田浩良
安中市教育委員会生涯学習課社会教育係・多胡氏からの平成20年11月6日付けFAXに対し、下記のとおり回答します。
記
1 当会の特別会計は、地域づくり団体未来塾との協同事業のための会計(預かり金)です。
2 特別会計の財源は、平成元年に、当会会員及び未来塾会員が出し合ったお金です。平成元年以降現在まで、当会が管理しています。
3 当会は、地墟づくり団体未来塾と共催で「フリーマーケット inあんなか」を開催していました。
4 当会の特別会計から「フリーマーケット inあんなか実行委員会」(以下「実行委員会」)への30万円の支払いは、実行委員会が出店者から参加料(開催分担金)を集めるまでの間、実行委員会が必要経費を支払えるようにするためのもの(開催準備金)です。
実行委員会が出店者から参加料(開催費分担金)を集めた後、実行委員会が当会の特別会計に対して30万円を戻し、同様に次回以降のフリーマーケットの開催準備金としています。
5 なお、安中市教育委員会生涯学習課社会教育係・多胡氏は、今回当会に対して質問を行う理由を「未来塾の裁判の関係で上のほうから言われているから」などと説明しましたが、かのような理由に基づく質問は、今後、訴訟上の手続きを通して行われますようお願いいたします。
以上
【甲第34~37号証】(省略)
【取下書】
平成20年(ワ)第492号 損害賠償等請求事件
原告 松本立家 外1名
被告 岡田義弘 外1名
次回期日 平成21年1月23日(金)10時00分
取下書(一部)
平成21年1月14日
前橋地方裁判所 高崎支部 合議2係 御中
原告ら訴訟代理人 弁護士 山下敏雅 外10名
記
原告らは、請求の趣旨のうち、第4項(被告安中市に対するインターネット上のウェブサイトにおける記事の削除)を取り下げる。 以上
**********