市政をひらく安中市民の会・市民オンブズマン群馬

1995年に群馬県安中市で起きた51億円詐欺横領事件に敢然と取組む市民団体と保守王国群馬県のオンブズマン組織の活動記録

51億円事件第6回公判(平成8年2月1日)その5

2007-11-25 22:54:06 | 安中市土地開発公社事件クロニクル
裁判長
自殺をすることによって責任を取ろうと思うようになったということですか。
 はい。
いつごろから。
 数年前から考えてました。
そう思いながらも、更に不正に金を引き出してたわけですか。
 はい。
あなたのやってることは随分ちゃらんぼらんに見えますが、どうですか。いいかげんすぎると思いませんか。
 はい、思います。
最初に事務費に手をつけたということでしたね。
 はい。
普通であれば、その段階で、大変なことをしたと思って後始末に走ることが多いんですが、あなたの場合は更に発展してますね。
 はい。
どうしてですか。
 ・・・お金が欲しいの一念でした。
何のために使うお金が欲しかったんですか。
 最初は小遣い欲しさでした。
借入金額勝手に書き込める部分が億単位のところだったので、億単位の金を取るようになってしまったということでしたね。
 はい。
多額の金が入ってきたので、骨董品に手を出したということですか。
 はい。
骨董品を買う金が欲しかったから、多額の不正入金を得ようと思ったんじゃないですか。
 そうじゃありません。
その後何回も億単位の勝手な書き込みをしているわけでしょう。
 はい。
それはどうしてですか。
 最初のころは、今申し上げたとおり、半年の間に億単位の金を使わなくてはならなかったもんですから、どうに使っていいか分かりませんでした。そこへ骨董品というものが入ってくるようになりまして、値があってないようなものだし、なかなか表には出にくいだろうということで、そういうふうに手をつけ始めたら、だんだんにいいものが手元に入るようになりまして、少しずつエスカレートしてしまいました。
半年の間に使わなければならなかったというのは、どういう意味ですか。
 例えば9月30日に利息を払うためにお金を借りるんですが、どうしても余ります。それを次の3月までに残しておくわけにはいきませんので、公共用地取得のために借りてるものですから、群馬銀行に対して、残っているというのは形としてまずいだろうと思いました。
今まで使ったものの穴埋めに使えばよかったんじゃないですか。
 返済期限がきないものをなしたりということは、群馬銀行さんではなかなか。
骨董品を買うときに使うお金を、穴埋めのほうに回せなかったんですか。
 その気持ちも一時ありました。
なぜしなかったんですか。
 したこともありますけれども、全額できませんでした。
自分のために使わすにそちらのほうに回そうとしなかったのは、なぜですか。
 やはりお金が欲しかったということだと思います。
あなたが使い込んだ後始末は、最後はだれがすることになるのかな。
 ・・・おそらく市のほうがするようになると思います。
最後の負担は市民のほうまでいってしまうんじゃないですか。
 (うなずく)
使い込むときから、市の負担になりということは分かってたわけでしょう。
 はい。
気にならなかったんですか。
 気にはなりました。
昭和57年ごろから平成7年3月までの間にあなたが不正取得した金額は、大体どれくらいになりますか。現在の記憶で結構ですが。
 50億近いと思います。
自分自身で使ったのは、どれぐらいになりますか。
 ・・・捜査段階では、25億円ぐらいというふうに聞いてますけれども。
あなた自身も、それぐらいになると思うんですが。
 私は、そんなに使ってないような気がするんですけれども、よく分かりません。
骨董品を買うのにいくらぐらい使ってますか、合計して。
 10億から12億円は使ってると思います。
買った先は。
 主に■■■です。  ※「一品堂」と思われる。だが実際には、甘楽信金の石原保を仲介して購入している。
■■■に対して、警察で裏付け捜査をしたわけでしょう。
 はい。
■■■のほうでは幾らくらいと言ってますか。
 聞いた話ですが、4億から5億というふうに聞いてます。
そちらのほうが正確ではないんですか。
 私は違っていると思います。
金額の開きが出たのは、どうしてか分かりますか。
 分かりません。
ほかにも三ヶ所から骨董品を買い入れてるんですか。
 はい。
珈琲ぶれいくの土地の購入代金にも、不正に取得した金員を充てているわけですね。
 最後、返済のときには一度充ててると思います。
幾らぐらい。
 ちょっと。建物と一緒だった門ですから記憶がないんですけれども。
大体で結構です。
 ・・・2000万ぐらいだと思いますけれども、土地については。
3000万から4000万ぐらいにはならないんですか。
 建物を含めては、なると思います。
自宅や店舗の家具の購入代金としては、どれくらいありますか。
 ・・・3000万ぐらいいってます。
ゴルフ会員権を買うために、どれぐらい使いましたか。
 3000万円か3000万ちょっとの金額になると思うんですけれど。
歯の治療費に大分使ってますね。
 はい。
幾ら使いましたか。
 800万ぐらいです。
普通はそんなにかかりますか。
 いいえ、かかりません。
何のために、そんなにかけたんですか。
 いろいろ話を聞いているうちに、勧められながら、そういうふうになっちゃったんですけれども。
外車の購入費にも大分使ってますね。
 はい。
何台ぐらい買って、幾らぐらい払いましたか。
 下取りしてもらったり、いろいろしてますので、5、6千万だと思うんですけど。
自宅などの新改装費として、■■■■■に大分払ってるんですね。 ※「篠崎工務店」と思われる。
 ええ。
幾らぐらい。
 店から自宅から入れますと、2億円ぐらいだと思います。
リゾートマンションを買ったり、海外旅行にも出掛けてるわけですか。
 はい。
それにどれぐらい使ったんですか。
 3000万ぐらい使ってると思います。
ギャンブルには、どれぐらい使ったんですか。
 億の単位いってると思うんですけれども。
あなたのやってきたことは、派手な生活をしたいとか見栄を張りたいと、一般的に言われてる、そういうのとは全く違うんじゃないですか。普通はここまでやらないでしょう。
 はい。
ジャガーに乗ってクラブのホステスに会ったりしてますね。
 はい。
多額の小切手もあげてますね。
 はい。
なぜこのようなことまでやってしまったのか、あなた自身振り返ってどう思いますか。
 先ほど来言われてましたとおり、何度か私の口から話せる機会があったんですけれども、どうしても話すことができなかった。やはり、その時点で話すべきだったと思います。そこで話してれば、こんな大きな事件にはならなかったと思うんですけれども、それが今は残念です。
このようにして多額の現金を使ってるときに、あなた自身どういう気持ちでいたんですか。
 半分やけな部分がありました。あとは、怖さと不安と、いろんな感情が入り乱れてました。
あなたの今話してることと実際の使い道から考えれば、あなたの気持ちとは随分離れてるんじゃないですか。
 (うなずく)
隔たりが大きい点については、どのように説明をつけることができますか。
 ・・・自分自身問い詰めますと、やはり、見栄と、いい生活をしたいということに尽きてしまうんです。
そのほかに、あなたのほうから、この点だけは話しておきたいというようなことはありませんか。
 特にございません。

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51億円事件第5回公判(平成8年2月1日)その4

2007-11-25 22:53:38 | 安中市土地開発公社事件クロニクル
後藤裁判官
あなたが土地開発課の職務を担当するようになって、その当時の事で結構なんですが、ギャンブルをやってたということですけれども、まず、マージャンは週に何回ぐらいやってたんですか。
 ほとんど毎日やってました。
それは、何時から何時ぐらいですか。
 役所が終わってから、夜の12時、1時までです。
競馬はどうですか。
 競馬は月に3、4回行きました。
その当時、まだ自由になる金があったわけじゃないですね。
 はい。
幾らぐらいつぎ込んでたんですか。
 そのときは、先ほど申し上げましたように、マージャンのレートはそんなに高くありませんでした。競馬も、ほとんど遊ぶ程度でした。
あなたは、そのころから奥さんに給料袋は渡したことないんですか。
 はい、ありません。
それはどうしてですか。
 特に理由はございません。
奥さんに、あなたが幾ら給料をもらってるかも数えたことはないんですか。
 はい。
奥さんのほうからは、生活費幾らかかるから幾ら欲しいとか、そういう相談もないんですか。
 私がほとんど全額渡してましたので、これがすべてだというふうに話してました。
あなたのギャンブル代金は、どうやって捻出したわけですか。
 結婚した当初でしょうか。事件になる前は、私の小遣い、前からありました小遣いを内緒でへそくったもの、独身のときありましたのがありましたので、それを使ってました。
後で金額がどんどん増えていくわけですが、このマージャンとか競馬とかは、ずっとその後も続いてたわけですか。
 はい、続いておりました。
あなたの生活としては、昭和55年当時から事件発覚に至るまで、ずっとマージャンやりっぱなしなわけですか。
 ほとんどそうでした。
お子さんもいるわけで、家庭サービスも必要だと思うんですけれども、そういうことはしなかったんですか。
 ですから、それは海外旅行だとか普通の旅行だとかで穴埋めしたつもりでいました、私は。
日ごろは全然しないわけですか。
 日ごろは、ほとんど子供に会いませんでした。
今回の詐欺の経過の中で、まず開発計画が決まってから公社のほうで動き出すと思うんですけれども、開発計画というのは、市議会の決議があったことを前提としているんですか。
 いえ、開発計画というのは、議会は通っていません。事務局レベルで動いてます。
その話は、どこからあるんですか。
 市の事業であれば、安中市長から土地開発公社の理事長宛に業務委託がまいります。委託契約をもらいます。
じゃあ、議会を通さずに、行政のほうから命令があって動き出すということですか。
 そうです。
そのときには、具体的な書面とか、そういうものは来ないんですか。
 書面と言いますと。
その命令が、こういう事業をやって、こういう内容があると、ついてはこれぐらいの金が要るというような書面はないんですか。
 大ざっぱなもので来ます。それがもとで債務保証の金額が決められてくるわけですから。
債務保証だけについては、議会の決議が必要なわけですね。
 そうです。
あなたが融資を申し込むときには、群馬銀行側は、開発計画についての素案、そういうものはないのかということで、提出を求められたということはないんですか。
 ございません。
提出を求められたものとしては、何ですか。
 最初は申込書を持ってきてくださいと言ってたんです。
債務保証の限度額を示すための書類としては、何が欲しいと言われたんですか。
 それは、一番最初、当該年度の当初、議決書の抄本をいただきたいというふうには言われてました。
あなたのほうから、開発計画の素案としてこんなものがあるということで、大枠の書面はあるわけですから、その写しを提出するとか、そういうこともしたことはないんですか。
 ございません。
銀行で融資するときには、どこに使われるのかというのは気になるところだと思うんですが、その点について、あなたとしては、そういう書面があるわけですから、普通はそういうものを示して説得すると思うんですけれども、そういう問い合わせはないんですか。
 ございません。
ただ、あなたのほうとしては、もっともらしい話を持っていかなければいけないわけですけれども、あなたとしては、どうやってその点を、相手をごまかすといいますか、信用させたわけですか。
 ですから、私が詐欺をしているのは大体9月と3月の時期が多いんですけれども、その時期に利息残金の支払がございますので、そこに付け込んで、単なる公共用地取得事業という形で持って行きました。
新駅の開発計画だとか、そういうことも、あなたは言ったことあるんですか。相手に、こうやって、そういう計画があるとかということも言ったことがあるんですか。
 新駅は、私が言わなくても新聞等で報道されてましたので、周知の事実です。
あなたのほうで勝手に作った特別会計の通帳ですけども、どこに保管してありましたか。
 通帳は常に私が持って歩いてました。
じゃあ、これが人目に触れたということはないわけですね。
 ございません。
正規の口座の通帳は、どこにありましたか。
 正規の通帳は、手提げ金庫があるんですが、その中に入っていたと思います。
あなたが実際にお金を現金で引き下ろしているんですけれども、その回数が250回ぐらいということですが、最高でどれぐらい、最低でどれくらいですか。
 最低は数万円だと思います。最高が1000万から2000万の間ぐらいだと思います。
1000万を超えるような大金を引き出しに行く時間というのは、何時ごろなんですか。
 大体午前中が多かったと思いますけれども、10時から11時ごろだったと思います。
そうすると、勤務時間中出て行くということですか。
 そうです。
それは、当然あなた一人で行くわけですか。
 もちろんそうです。
乗っていく車は、自分の車ですか。
 いいえ、役所の車です。
自分で運転していくんですか。
 そうです。
その1000万を超えるような金額のお金があるときに、入れ物とか、そういうものを気を付けなければいけないと思うんですけれども、あなたはどういう形で取りに行ったんですか。
 ビニールの黒い袋を持っていきまして、それに入れてもらってました。
かばんじゃないんですか。
 かばんのような、袋のようなものです。
ジュラルミンのケースとか、そういうものでは全然ないわけですか。
 そうじゃございません。
あなたがお金を受け取る窓口というのは、ほかの人からも見えるようなところなんですか。
 もちろんカウンターの前です。
カウンター越しですか。
 はい。
低い金額だと数万円という金額ですけれども、その金額を下ろしに行くときというのも、相手に怪しまれたことはないんですか。
 ございません。
通常、土地開発の関係であれば、そんな単位で下ろすということは考えにくいと思うんですけれども、怪しまれると思いませんでしたか。
 金額が多すぎてですか。
いや、金額が少なすぎて。
 それは、特別会計じゃなく普通のほうでも何千円ということもありますから、特にそれは。
ないですか。
 はい。
平成2年の4月に高橋さんが来てから、通帳との突き合わせをやるという話があったそうですが、そのときはまだ正規の通帳しかないわけですよね。
 はい。
これは、それまでの不正な分もあるわけですから、発覚するおそれが非常に高かったと思うんですけれども、高橋さんは、これは見なかったんですか。
 高橋さんが来たのは平成2年の4月1日なんですが、それ以前につきましては見ませんでした。
結局、高橋さんが来てから、これからは通帳と突き合わせの方式で帳簿を作っていくということだったわけですか。
 そうです。
多額な詐欺があって、群馬銀行側では利息がどんどん膨らんでくるわけですけれども、その利息があと幾ら、半年毎に幾らになるかというのを、数値として市のほうへ報告があると思うんですけれども、それはどういう形で報告になるんですか。
 正式な報告ではありませんで、私のほうがお願いをしまして、一つ一つ計算していただきたいというふうにお願いしておきますと作っていただいたという状況です。
あなたが不正なことをやる前から、そういう形だったんですか。
 そうです。
あなたのところには、たくさんの骨董品があったわけで、それから奥さんの経営する店でも置いてあったわけで、その点について税務調査というのは受けたことないんですか。
 ございません。
お店の関係の所得については、税金の申告はどうやってやってたわけですか。
 私がしてました。
税理士さんとか頼んでないんですか。
 頼んでません。骨董品に関しては、一切税務のほうで、売ってるわけじゃありませんから、載せてませんでした。
現実に、買ったものを売ったことはなかったんですか。
 ございません。
奥さんの方では、骨董品の売買でお金をもうけてるんじゃないかと思ってたというんですが、うちに置いてある骨董品の数が減っていったということはないんですか。
 ないです。
奥さんがそういうことを言ってることから言うと、全然あなたの骨董品の数についても見当はついてなかったということですか。
 見せたことはありません。
結局あなた方夫婦というのは、あなたはギャンブルで遅くまでいないし、あなたの趣味についても奥さんは知らないし、実態としてあなた方夫婦というのはどういう関係なんですか。
 それば、マージャンして遅かったというのは最初のころで、子供が学校行くようになってからは、さほどマージャンに凝ってたわけではありませんけれども、ただ、趣味の骨董品について言いますと、骨董品というのは専門的な知識がなければ分からないものですから、説明してもなかなか最初のころ分かってもらえなかったもんですから、それからは一切話をしませんでした。
あなたの今回の事件について、話によると、いつか発覚するだろうと、発覚してもらいたいという気持ちも半分はあったというようなことを言ってるわけですけれども、少なくとも、平成2年の4月の段階で高橋さんが来た段階で、もうこれはやばいなと思うのが普通だと思うんですけれども、まず、あなたはそこで自分のやってきたことを正直に言わなかったですね。
 言いませんでした。
それから、平成7年4月に、社会教育課ですか、移るときも、群銀のほうには、特命があるからまだ私が窓口をやりますと言っていたわけでしょう。
 それは、下ろすために言っていたんですけれども。もう借入れすることはできませんでしたから。
いずれ、でも、あなたがいなくなれば、金利の支払いのおかしな請求がくれば、すぐ発覚するわけでしょう。
 はい。
なぜ、そのときに正直に言えなかったんですか。
 怖かったです。
結局、引き下ろしについては、4月の異動になっても、まだ続けるつもりでいたわけでしょう。
 はい。
市のほうにあなたの犯行が発覚した日は、いつですか。
 詳しくは、私、知りません。
5月の24日ぐらいじゃないですか。
 5月の24日は、監査の日だったと思うんですけれども。高橋課長に呼ばれて話をしたのは、その日です。
あなたは、そのとき何と言い訳したんですか。
 調書にもあると思うんですが、突然言われたものですから、とっさ的に、伊藤さんと親しくしてたもんですから、つい伊藤さんの名前を出してしまいました。
伊藤さんというのはだれですか。
 群馬銀行の行員の方です。
具体的には何といったんですか。
 伊藤さんがよく承知している話なんだと言いました。
群馬銀行の伊藤さんが関係しているので、少し時間をくださいと。
 そうです。
この問題については銀行側にも関与者がいて、共犯者がいるということを言ったわけですか。
 いえ、そういうふうには申してません。共犯者がいるとは申してません。
じゃあ、どういうふうに言ったんですか。
 私は、よく内容を知ってる人がいますからというふうに話しました。
このときも、あなた、正直に話す気にならなかったんですか。
 (首を示して)ここまで出かかりました、正直申し上げて。ただ、その場で警察に連れて行かれるのが一番怖かったので。
26日にも、高橋係長からあなたに話を聞きたいということがあったんですけども、そのときは何と言い逃れしたんですか。
 そのときは、今度の土日の間に伊藤さんと会うというふうに話をしました。
そこで2日間あるわけですけれども、なぜまたそこで正直に言えないんですか。
 子供のことを考えまして、■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■ので、土日になって帰ってきますので、そこで会って私が話したいことがありましたものですから、その話をしてからというふうに考えてました。  ※当時、長男は本庄市にある学校に通学していたと言われる。
子供に会いたかったということですか。
 そうです。
次の日の27日に、あなたは実際に特別会計の通帳を燃やして、払戻書も燃やしているわけでしょう。
 はい。
証拠隠滅の時間を稼ぐんじゃないんですか。
 いいえ、これは証拠隠滅というよりは、私が自分自身で自分の片をつけるつもりでしたから、すべてのものを燃して、妻や子供に迷惑がかからないことにしようというだけのことでした。
その通帳を燃やしたり、払戻書を燃やすと、何か責任が取れるんですか。
 いいえ、そういうことはないと思います。
かえって、どういうふうになってるのか分かりにくくなるだけじゃないですか。
 気が動転してましたもんですから、自分でもはっきり、どういう気持ちでというのは。とっさ的にそういうことをしてしまったんですけれども。
あなたは死ぬつもりだったのかもしれませんけれども、責任をはっきりさせるんであれば、証拠物燃やす必要なんか全然ないじゃないですか。
 責任をはっきりうんぬんという気持ちは全くありませんでした。そのときは。そこまで頭が回ってませんでした。
結局、市のほうに対しては、責任を明確にしようという気はなかったんですか。
 私が死ぬことで、それが明確になると思ってました。
死ぬことは別として、証拠物燃やす必要ないでしょう。
 はい。
それから、ふろ場で自殺を図ったということですけれども、この後あなたは病院行って輸血してもらったりとか、そういうことはあったんですか。
 してません。
縫ってもらって止血をしてもらったということはあるんですか。
 ないです。
じゃあ、この血はどうやって止まったんですか。
 自然に止まりました。しばらく出ていたようですけれども、薬を飲んでいましたので、ふろ場で横になってましたので、どういう状況か分かりませんでした。気が付いたときには止まってたんです。少しは出てましたけど。
それから、29日になってまた高橋係長から問い詰められたときには、何と言いましたか。月曜日です。
 月曜日、私は高橋係長と会ってないと思うんですけれども。
調書のほうでは、月曜日にも出掛けていって、あなたは、伊藤代理に会って穴埋めできると。
 29日の日に、そういうお話はした記憶ないのですが。私、29日には、午後大ごとで役所にいられませんでしたので、帰っちゃったんです。
もう、その後会ってないんですか。
 会ってないです。ただ、その事件発覚して市長のほう呼ばれたりうんぬんというときには、当然会ってますけども。
穴埋めできますという話はしたことがないんですか。
 それは、もっと前の話だと思いますが。
できるんですか、穴埋めは。
 できません。
結局、市のほうから問い詰められてたときに、あなたは自分から進んで言おうとしたのは全然やってないんじゃないですか。
 ですから、子供に会った後のことを考えたわけです。
預金の払戻しですけれども、たくさんやってますし、まだ燃えちゃってなくなっちゃった分もあるんですけれども、払戻しの用紙は理事長印がいるんですが、これはいつ作ったものなんですか。
 私が持ってたものですか。おそらく、処分してしまったものは、私の異動の内示があったころのものだと思います。
250回以上やってるわけですから、その都度必要だったわけですけれども、それはやっぱり仕事中に作っておくんですか。
 ええ、仕事中、お昼休みだとか、人のいない時期を見計らって数枚程度まとめて押してたということです。
あなたが日曜にとか閉庁の日に役所に行って、かぎを開けて印鑑を出して使ったということはあるんですか。
 宿直の日にあるかもしれません。
あなたと群馬銀行の間で、非常にお得意様なわけですから、接待があったと思うんですけれども、どんなものがありましたか。
 ゴルフに数回行ったことがあります。あとは、夏と暮れのあいさつ程度のものはもらいました。
ゴルフは、どこまで出掛けるんですか。
 ほとんど近くです。
相手をする方は、どなたですか。
 支店長、次長、担当者ですね。
市から出ていくのは、あなた一人ですか。
 そうです。


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51億円事件第6回公判(平成8年2月1日)その3

2007-11-25 22:51:17 | 安中市土地開発公社事件クロニクル
検察官
55年に都市計画課になって、すぐ公社の担当になったわけですね。
 はい。
都市計画課に入る前は、どこにいたんですか。
 農政課におりました。
安中市役所に入ってから都市計画課に移るまでの間、この間は、市のお金を横領したりと、そういうことはしてなかったんですか。
 ございません。
一切、公の金に手をつけたことはなかったわけですか。
 はい、ありません。
それが57年ごろから、事務費と言われてた30万円、これに手をつけるようになったわけですね。
 はい。
市に入ってから10年近くまじめにやってきたのが、なぜ、急にそういう金に手をつけようと思ったんですか。
 今まで直接現金を手に触るという仕事ではありませんでした。都市計画課いきまして、公社設立いたしまして、土地代金、事務費、こういったものに直接触れることができるようになりましたので、それが発端かと思います。
仕事の内容が経理を担当すると、金を扱う、そういうことになったから金に手をつけるようになったと、こういうことですか。
 はい。
それまではそういう機会がなかったと、そういうことなんですか。
 はい。
派手な生活をしたいとか、見えを張りたいというのは、いつから思ってたんですか。
はっきりは記憶がないんですけれども、やっぱり結婚したころだと思います。
自分の給料だけでは十分じゃないと、そう考えてたわけですか。
 はい。
最初は返すつもりでしたと言っていますけれども、いつごろまでそういうことを考えていたんですか。
 その事務費に手をつけてたころはそう思っていました。
事務費に手をつけるだけじゃなくて、もっと大きな金額に手をつけるようになったのは、何がきっかけだったんですか。
 ギャンブルだと思います。
競馬ですか。
 はい。
競馬で、もっと多くの金が必要だったんですか。
 どうしても穴を埋めたいという気持ちがありましたもんですから。
競馬をしたいために、横領してたというんですか。それとも競馬でもっともうけてやろうと、そういう考えだったんですか。
 両方です。
ギャンブルをして金が欲しいという思いだったんですか。
 はい。
公社の事業が始まって、市から代金が入るようになったわけですね。
 はい。
それについて、本来なら返済しなきゃいけないものを下ろして使ってたわけですか。
 はい。
最初はそういった公社のお金を横領するということだけだったんですけれども、そのうち公文書を偽造して詐取するということを考えましたね。
 はい。
これは何をヒントに、どうやって考えたんですか。
 特にヒントはありませんでした。最初のころ、全くそういう詐取をする気持ちはなかったんですが、そこにすき間が空いてると、これはまずいだろうなというふうに思ったことがありまして、それをヒントにそういうことをすればできるのかなということでやったんです。
そこにすき間というのは。
 金と、私のほうで書き込む金額の間です。
これは公社の事業の借入れのための書類ですね。
 そうです。
書き込むことができるんではないかということを考えついたわけですか。
 逆に、書き込まれたら困るなというのが最初の発想でした。
それが、じゃあ、書き込めば相手をだませるんじゃないか、そうなったわけですか。
 はい、そうです。
それが60年ごろなんですか。
 はい。
そのころは水増しした金額、これは公社の口座に入れてたわけですか。
 もちろんそうです。
本件のような、別の口座を作ってというのは、そのときは考えなかったんですか。
 全く考えませんでした。
それはどうしてですか。
 そういう知識がありませんでした。
そうすると、口座を調査されたらまずいというふうには思ってたわけですか。
 もちろんそうです。
銀行から、公社の名義で融資を受けるためには、借入れの申込書と、金銭消費貸借契約証書、連帯保証契約証書、これを出す必要がありますね。
 はい。
さっきの水増し詐欺を考えついたときに、こういった書類はどうしようと思ったんですか。
 すべて偽造するより仕方がないと思っていました。
偽造できるというふうに考えたんですか。
 はい。
例えば借入申込書や金銭消費貸借契約証書なら、公社の理事長印が必要ですね。
 はい。
市の保証書ならば、市長印が必要ですね。
 はい。
これはもちろん自由にならないものですね。
 なりません。
どうしようと思ったんですか。
 正しいもので回しといて、後で訂正しようと思っていました。書き込もうと思っていました。
正規の決裁を受けた後で、すなわち公印が押された後に書き加えればばれないと、そう思ったんですか。
 そうです。
ただ、だまし取った金を引き下ろす際には、払戻請求書が必要ですよね。
 はい。
これはどうしようと思ったんですか。これも理事長印必要なんじゃないんですか。
 もちろん必要です。職員の目を盗んで、あるいは、管理者の目を盗んで印鑑を使うつもりでした。
公社の理事長印というのは、どこにあったんですか。
 事務局長の席の机の上です。
あなたが目を盗んで、それを盗用することはできたわけですか。
 はい、可能でした。
借入申込書などは、あなたがワープロで打ち直してますね。
 はい。
これ、見付かる心配はなかったんですか。
 正規のものと同時に作りまして、不正の部分につきましては記憶させませんから、あとに残りません。
フロッピーに残すのは正規のだけを残すと。
 はい。
で、加えた分については、印字だけするということですか。
 そうです。
公社の理事長印の場合は、目を盗んで押せますけれども、市長印はできませんよね。
 はい。
市長印はどうするつもりだったんですか。
 ・・・金銭消費貸借契約証書にはすき間があって、後で書き加えればいいわけですから、正しいものとして決裁されて回ってきますので、特別心配はなかったと思います。
正規の決裁金額で市長印が押された後に加えるんだから、ばれたことはなかったと。
 はい、すき間が空いてることに心配はありました。
疑われるんじゃないかと。
 はい。
あなたは疑いを防ぐために、水増ししない金銭貸借証書、これについてもすき間を設けていましたね。
 はい、少し設けました。
それは、常に金という文字と数字の間を空けるようにしとけば、そういうふうにやってるんだということで疑われないと考えたんですか。
 はい、そうです。ただ、その際、群馬銀行行くときは、空いてるほうと空いていないほうができてしまいますので、そのかねあいがとても難しかったですけれども、多少空いてたと思います。
市長印について、書き加えたものと、新たに偽造したものとありますね。
 はい。
これは、どうして新たに書き加えずに偽造したんですか。
 かなり不自然だったことがありまして、そういうものにつきましては一からやり直しました。
不自然というのは。
 書き加えた場合が、あまりにも不自然だったもんですから。
それについては、新たに市長印をもらって偽造し直すしかなかったということですか。
 はい。
その際のばれる心配はなかったんですか。
 はい。それは、間違えたものと新たに作ったものは数字が同じですから、それを秘書課持っていきまして、間違えたのでもう一度いただきたいということで、口頭で説明して、いただきました。
数字が一緒だから、ばれる心配はなかったんですか。
 そう思いました。
最初に起訴した分で、例えば秘書係長の横田さんが押してますね。
 はい。
そのように、書類を失敗したからと市長印を押し直してもらうということは何度かあったんですか。
 二度くらいあったと思います。
横田さんがあなたを疑ってるということは、全くなかったんですか。
 と、私は思いました。
あなたは、信頼度では、仕事もできる、まじめだという評判で通ってたんですか。
 いや、それは私、分かりません。
上司にしかられたり、そういうことはあったんですか。
 いや、特になかったと思います。
昭和60年から平成2年まで、正規の口座で11億3000万ほど水増ししてだまし取ってますね。
 はい。
間違いないですか。
 はい。
平成2年4月から、今回の起訴にかかる部分からですけれども、それはなぜ公社の別の口座を作ることを考えたんですか。
 新しく係長が替わりまして、新しく来た係長が経理に当たって、またこれからは二人で通帳を突き合わせながらやろうというふうに話がありましたもんですから、このままではばれるだとうと思いまして、4月の半ばに新しく特別会計の通帳を作りました。
これからは二人でやろうということは、経理を一人ではなくて二人で担当しようと言われたということですか。
 そういうことです。
今までの方法ではばれてしまう。
 はい。
別の、公社名義の口座というのは、それは銀行から疑われるとは思わなかったんですか。
 過去に、昭和60年ちょっと過ぎごろなんですけれども、県の事業委託受けまして、会計預かってやったことございます。その際に、そういった特別な名目をつけまして別通帳が作れたものですから、新しく作っても可能だろうなと、分からないなと思いました。
正規の口座と、特別会計つけた口座と、これはどういうふうに使い分けると銀行には説明してたんですか。
 いや、特に説明はいたしませんでした。
市長の特命を受けたものだけは特別会計だと、そういうふうに説明したわけじゃないですか。
 それは、後になって、私が異動の際はその話はしたことがございます。
正規の口座とは用途が違うといったんですか。
 はい。
それなどは、平成7年3月の異動まで、36億3000万続いたわけですね。
 はい。
だまし取った金の使い道ですけれども、あなたの記憶では主に何に使ったんですか。
 一番多いのは骨董品だと思います。
ほかに。
 あとは、自宅の改装、店のほうの改装といったものが大きかったと思います。
株券、ゴルフ会員権などにも使ってるんですね。
 もちろんあります。
外車の購入、ぜいたく品の購入、ギャンブル、それもありますね。
 ございます。
先ほど弁護人の質問で、犯行の発覚を防ぐために犯行をずるずる引き延ばしてたと。そう言ってましたね。
 はい。
ただ、実際には返済分と利息分の支払以上の金をだまし取ってるわけでしょう。
 はい。
それはどうしてですか。
 やはり、最初のころは利息と返済金で済んでたんですが、骨董品を買うようになりましてから、少し余分にお金を借りるようになりました。そうしますと、半年の間に使わなくちゃなりませんので、それが少しずつエスカレートしまして、買う量が増えていったということです。
結局、余分に金をだまし取って、返済と利息分以外に自由になる金が欲しかったと。そういうことじゃないですか。
 そうです。
ただ単に見付かるのを引き伸ばしてたんじゃないわけですね。
 両方ありました。その気持ちは。
見付かりたくないという気持ちと、ぜいたくを続けたいという気持ちと、両方あったんですか。
 はい。
実際に引き下ろした額は5年間で22億円に及びますね。
 はい。
これは、あなたが全部下ろしたわけですか。
 そうです。
あなたの供述した使途先、いろいろ調べたわけですけれども、まだ実際に22億円に合わない部分があるんですけれども、これはどうしてですか。
 私の記憶が、さんざん考えたんですけれども、分かりません。
ほかにも使ったものがあるわけじゃないんですね。
 使ったもの、大きなものはないと思います。
隠してるわけじゃないわけですね。
 現金をですか。
うん。
 隠してません。
そうすると、合わない部分というのは、少しずつ記憶違いがあるということですか。
 だと思ってます。
家族には一切話さなかったというのは、間違いないんですか。
 はい、話してません。
疑われたこともなかったわけですか。
 ないと思います。
銀行の担当者というのは、だれでしたか。
 群馬銀行ですか。
はい。
 いつの時点でしょうか。
平成2年以降。
 支店長さん、それから次長さん、融資担当の支店長代理さん、この3名が主だったと思います。
清水さんや伊藤さんですか。
 そうです。
借りる際には、公社の事業目的を話してますね。
 はい。
一番多く話したのはなんですか、借りる理由として挙げたのは。
 公共用地ということです。
新幹線の新駅の関係で多大の費用が必要だと、そういうことを話してるんじゃないですか。
 はい、話してます。
新幹線関係の開発というのは、実際にあったんですか。
 ございました。
そのことを理由にすれば、多額の借入れを言っても不思議がられないだろうと、そう思ったわけですか。
 はい。
銀行のほうから疑われたことというのは、あるんですか。
 いや、私はないと思いました。
自分が市長の特命を受けていると、自分だけを公社の窓口として欲しいと、そういうことは常日ごろ話してたんですか。
 いや、常日ごろそんなことは言ってはいないです。異動のときには、そういう話をしてました。
あなた以外の公社の人に群銀のほうから確認されたら、自分のしたことがばれてしまうわけですね。
 そうです。
自分だけ窓口にしてくれということは、言ってきたんじゃないですか。
 向こうがそういうふうに、もうそういう扱いをしてくれたことは事実だと思うんですけれども、私のほうから直接そういうお話を申し上げたことはないと思いますけど。
異動のときには、どういう話をしたんですか。
 異動の時には、もう公社の人間ではありませんから、これから金を下ろしに行きますので、そのへんで疑われないように、今申し上げたように、特命だとかという理由をつけてお話はしておきました。
長期間にわたっていろんな方法を次々と実行して、それが成功してきたために長期間になったわけですね。
 はい。
それは全部自分一人で考えたわけですか。
 そうです。
あなたとしては、今回の事件について、だまされた銀行に落ち度があると、そう思ってるんですか。
 いや、私は、書類だけじゃなくて、私が口頭でもいろいろお話をしましたので、そういった部分で私がだましたんだと思います。
相手が悪いというわけではないわけですか。
 私の責任です。
また、公社に、公印の管理がずさんだとか、そういうことは考えてますか。
 全く思っていません。
あなたがその地位を利用して、みんなの信用を悪用したと、そういうことですか。
 そうです。
今回の事件によって、前市長であります小川市長が辞めたり、議会が解散されたり、いろんなことがありましたね。職員が懲戒処分を受けたり。
 はい。
こういった結果については、どう思ってますか。
 申し訳ないと思ってます。
6億余り弁償しましたけれども、まだ合わない分30億円以上残ってますね。
 はい。
今民事訴訟行なわれてますけど、群馬銀行、被害者か、あるいは安中市が負担することになりますね。
 はい。
あなたは、これについては、どうしようと思ってますか。
 一生かけて誠心誠意償っていくつもりでおります。
実際には、しかし払うのは難しいわけですね。
 はい。
15年余りの間あなたが実際に使った額、27億ぐらいになるんですけれども、普通の市民からとても考えられないような金を使ってぜいたくしたわけですね。
 はい。
あなたのもともとの希望がかなったわけですけれども、これはずっと満足でしたか。
 いいえ、満足では全くございません。
どうして満足感得られなかったんですか。
・・・やはり、正しいことで得たお金じゃありませんから、後ろめたい気持ちは常にありました。
ぜいたくをしても、本当に満足を得られなかったということですか。
 ありませんでした。
公社が取引している金融機関は、群馬銀行安中支店だけじゃないですね。
 はい。
例えば、先ほどちょっと話が出た碓氷安中農協からお金を借りるためには、農協の場合はどこにお金が入るんですか、借りた金が。
 通帳に入ります。
通帳といっても、碓氷安中農協にある通帳と、こう聞いていいですか。
 はい。
例えば甘楽信用金庫安中支店からお借りするためには、甘楽信用金庫安中支店にある公社の口座に入ると、こう聞いていいですね。
 はい。
例えば碓氷安中農協からお金を借りるときには、手続はどなたがしてたんですか。
 担当の者がやって、私がやっております。
全部あなたがやったと聞いていいですか。
 はい。
甘楽信用金庫安中支店なども、あなたがやってたと、こうお聞きしてよろしいですね。
 はい。
あなたが変造したのは、群馬銀行安中支店だけですね。
 はい。
これは、どうしてそうなったんでしょうか。
 一番取引が多かったのは群馬銀行なんですが、借りる際に、他の銀行では金銭消費貸借契約証書に、既に私のほうで申込書を持っていった金額がチェックライターで打たれたんですね。そういうことございましたので、そうすると当然偽造できません。そういったいろんな絡みがございまして、群馬銀行だけになってしまいました。
金融機関によっては、お金を貸す借用書の中に既に金額を打ち込んであると。
 はい。
すると、変造等はできませんよね。
 はい。
再三出てることですけれども、借入れすると、その金が例えば群馬銀行安中支店の口座に入る、あるいは碓氷安中農協のところに入ると。すると、実際に借入れした金が入ったかどうかの確認というのは、結局はあなたしかしてなかったということになるわけですかね。
 はい、私が大体そうです。
借入れした金が本当に借りられたのかどうか、実際に口座に入ったかどうかも、結局があなただけが確認をしていたということですね。
 平成2年までは、そうでした。
平成2年になって、特別口座を設けましたね。その理由は、今度新しく来た高橋さんが通帳を見ると、こういったわけですね。
 はい。
特別にその段階で市や公社の内部の取扱いの規則規範等が変わったわけじゃないですね。
 特に変わってません。


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51億円事件第6回公判(平成8年2月1日)その2

2007-11-25 22:49:18 | 安中市土地開発公社事件クロニクル
主任弁護人  ※穂積始弁護士。
あなたは55年、安中市土地開発公社の設立を市職員と兼任で公社の仕事をしてましたね。
 はい。
会計は、ほとんどあなたがやったんですか。
 はい。
55年と56年は、だれが決算書類を作ったの。
 私が作りました。
決算書を作るときに、いろいろなものを見て決算書を作るんですね。
 はい。
例えば預金通帳とか、決裁伝票とか、それから領収とかを見ながら、会計帳簿を見ながら決算書類を作るわけですね。
 はい。
それを55年からずっと平成7年の3月まで担当したということですか。
 そうです。
55年のときに決裁書類を作った段階で、この決算書類に対して、監査員から何かクレームがありましたか。
 ございませんでした。
全くなかった。
 はい。
預金通帳とか決裁伝票とか領収証なんか、監査員は見たんかな。
 通帳は見ませんでしたけれども、領収証は見ました。
あなたの証言を見ますと、要するに、決裁書類についてよく監査員の人が見なかったと、そういうことを前提にして横領を始めたということを言っているんですけれども、それは間違いない。
 間違いございません。
結局、決算書類の判子は、全くずさんな決算処理でつかっちゃったということなんだな。
 (うなずく)
これはずっと昭和55年から平成2年の3月までは、正規の預金通帳を使っていたわけね。
 はい。
そうすると、あなたが横領は別としても、60年ごろから詐欺行為をしましたね。
 はい。
でも、その詐取した金額は、公社の通帳にそのまま入ったわけね。
 はい。
すぐ決算書を見ればおかしいなということが分かったんですけれども、そういう疑問は全く監査員の人は言わなかった。疑問だとか、おかしいとか。
 (うなずく)
検査する前に、局長とかに、これも全部回したわけでしょう。
 (うなずく)
でも、何も言わなかったということか。
 (うなずく)
その関係で、こういう事件をずっと続けたということか。
 (うなずく)
で、55年のときは、あなたはマージャンをしてたの。
 (うなずく)
競馬は。
 してました。
55年、56年、君は競馬、マージャンで損したことがあったの。
 そうですね、それほどじゃないと思います。
マージャンの場合はレートとかあるんですけれども、非常に金額は少ない金額でやっていると、一日負けても2万くらいという長所があるんですけれども、実際はどうなんだい。
 最初のころはそうだったかもしれません。
それから56年とか8年とか、この段階は。
 上がってきました。
58年ごろには、どうなの。
 相手も違ってきましたので。
そうすると、市の職員ではなくて、あなたの友達とか一般の人とマージャンをするようになったと。
 そうです。
で、レートも上がったということですか。
 はい。
大体一日負けると、どのくらいになるの。
 20万くらい負けることもあります。
そうなると、市職員が一日20万負ければ生活できないな。
 はい。
あなたもできないな。
 はい。
そういうマージャンを始めたんだな。
 (うなずく)
それから競馬をやったようですけれども、これも一回どのくらい使ったの。
 100万円単位で使ってました。
58年にBMWを買いましたね。
 はい。
で、あなたも車を下取りしてもらって、約300万現金で払ったということになってますけれども、それは間違いない。
 (うなずく)
そういうことになると、もう58年の段階では、横領を始めたということか。
 はい。
で、そういうことを始めたんですけれども、これはお金に困ってやっちゃったということですか。
 はい。
調書上とか、それから冒頭陳述に書いてあるんですけれども、派手な生活をしたいとか、見えを張りたいとかいう文章があるんですけれども、それはあなたの性格としては、そういう性格でやっちゃったということですか。
 はい。
そうすると、人よりもいい生活をしたいということで、結局、マージャン、競馬を続けたということか。
 (うなずく)
58年、例えば、外車を買うについて少なくとも300万円を下ろしていると。その段階では、返す予定があったの。
 いえ、なかったと思います、
大体横領するときは、返すつもりで。
 最初はあったんですけれども。
58年のときは。
 ちょっともう無理だったと思います。
59年に自宅を新築しましたね。
 はい。
それはほかから借りてしたんでしょう。
 ええ、借りた部分もあります。
それとあなたの横領の金額も入っているのか。
 一部入っています。
それでずっと続けたんですけれども、途中で、もうやめるとか、その気持ちはありましたか。
 はい、やめたいとは思っていました。
ただ今度はお金を借りないと、すぐばれるということなんで、これは続けないとすぐ発覚すると、こう思ったんでしょう。
 はい。
そのために、怖くてずっと続けてたということだな。
 はい。
詐取したときに、平成2年後、1億の単位で詐取してますね。
 (うなずく)
これはどういうことなんですか。
 最低がやっぱり億の単位になってしまって、どうしても最低で1億になってしまう。
1億とか2億とか3億、4億、6億という数字がありますね。
 はい。
この単位、1億単位で借りてるのは、どういう形なのかと。ということは、公社が正規に借りるときに端数があると、で、あなた自身が偽造して申し込む金額は、1億単位じゃないと書類上の改ざんができないと、5000万なら5000万以上にならないと、5000万と利息じゃ足らないと、1億じゃないと数字を増やして偽造することはできないと、こういうことか。
 はい。
で、あなた自身の調書にあるんですけれども、そのお金が1ヶ月幾らかかるんだということを計算しながら、億の単位で詐取したということか。
 はい。
で、億の単位で詐取したんですが、あなた自身は骨董の趣味があって、で、億の単位を詐取したという気持ちですか、それとも、億の単位を詐取したんで、これは何かに使わなきゃいけないと思って、骨董を始めたんですか。
 そうです。後者のほうです。
要するに、億の単位で詐取したと、でも使い道がないというんで、骨董品を収集したと、こういうことか。
 はい。
それから骨董とか車、それからあなたは奥さんにもお金渡してるね。奥さんはあなたからお金とか、それからベンツ、最後は3台あったでしょう。
 はい。
それから骨董を買いに行ったことについては、何か言っていませんでしたか。奥さんは、どういう金なんだとか、どこからもらったお金とか、もうけたお金ということは言わなかった。
 私のほうから常々話してましたので、妻のほうから、そういうことを特に聞かれたことはありません。
あなたのほうで言っていると、株でもうけたとか、骨董品でもうけたということなの。
 そうです。
あなたの自宅の改装とか、これは大体■■■■■でやってますね。 ※注:篠崎工務店
 はい。
大体9回やっているようですね。
 (うなずく)
最後、自宅の台所の修理とか、それから門、塀を作るまでやってるんですね。
 (うなずく)
店、それから倉庫も入れて、総計幾らかかったか、大体分かるかい。
 おおむね2億円くらいだと思います。
大体1億9800万くらいだから、大体2億円使っているね。
 はい。
で、あなた自身は、これで文書を偽造して詐取すると、決裁書類を持っていったときに、これはばれるかなという、そんな感じは持ちましたか。それとも、当然これはもうばれないと思ってたんですか。
 やはりいつもばれる心配はしてました。
そうすると、決裁書類に判子を押したときは、やれやれという気持ちかな。
 はい。
いずれこれが発覚するという気持ちはあったの。
 ありました。
そしたらどうするつもりだったの。
 もう金銭的には償える金額ではありませんでしたので。
どうするつもりだったの。そこまでは考えなかったの。
 もう最後は決めてました。
何か調書を見ますと、自殺も考えていたということがあるんだけれども、その詐取しながら、発覚したら自殺したいという気持ちがあったの。
 はい。
それと骨董品買いに行くときも、びくびくしながらやってたということですか。
 はい。
そういうことで生活して、気持ちというかな、どうなんですか。気持ちとしては毎日不安だったんですか。それとも平気だったんですか。
 不安でした。
毎日不安だという生活はしてたということか。
 はい。
で、これが発覚したというんで、私のところに来たのが5月の31日かな。
 はい。
で、内容を聞いて、これは大変だと、市のほうの市長さんに報告しろという話をしましたね。
 はい。
それで処分を受けると、自首するのはそれから後だという話をしましたね。
 はい。
そのときの段階では、弁護依頼じゃなくて、そうしたほうがいいよというんで、明くる日に来て、弁護の依頼をしたということね。
 はい。
で、2日に、午前中に私が用事があったんで午後に出頭するつもりでいたと。
 そうです。
ところが、その2日の朝、市長から警察に通報があったと、こういうことだね。
 はい、そうです。
あなた自身は自首するつもりがあったと、これは間違いないね。
 はい。
それから私のところに来た段階で、現金、それから預金、それから骨董品全部動かしちゃいけないと、そう言いましたね。
 はい。
ですから、押収された段階では、ちょうど2日にあった物が全部押収されたということだな。
 はい。
で、現金は別として、骨董品、宝石類、それからガラス製品とか、この押収された物件についてはどう処分したのか、知っていますね。
 はい、先生に処分していただきました。
これは押収されたんで、まず解除を検察庁にお願いしたということだね。
 はい。
それがいつだったか、大体覚えていますか。
 11月半ばごろだったと思います。
その押収されたものをきれいにしないと、土地家屋を売るったって、そういう骨董品があるんで売れないという相談をしましたね。
 はい。
で、押収された物を換金すると、そのために群馬銀行と、それからあなたと、それから公社と、それから市との間で合意をしたということは知っていますね。
 はい。
私が代理人でやったと、知っていますね。
 はい。
それからこの換価に対しては、群馬銀行、それから公社、それから市、これも同意してるということですね。
 (うなずく)
その書類は、前回裁判所に出たということは知っていますね。
 はい。
で、その同意に基づいて、骨董品を売買したということですね。
 はい。
私が代理人で、■■さんという人にお願いして売買したと。具体的には、東京のオークションで売買して換金したということは知っていますね。  ※中島(誠之助)のことだと思われる。
 はい。
金額も大体分かりますか。
 2億4、5千万円と言われました。
手数料引いて、大体2億くらいですね。
 はい。
それから車の関係、これもあなたは私に委任されて、しましたね。
 はい。
で、売買したということで、2台ベンツが売れましたね。
 はい。
1台分はお金が入ったんですけれども、あと1台、ワゴン車についてはまだお金が入っていないと、それは知っていますか。
 はい。
これは今日入るということは知っていた、知らなかった。
 いや、知りませんでした。
ということになると、もう押収された物件に対しては、今残っているのは何だい。
 リゾートの関係。
利用権が2枚ありますね。
 はい、それとゴルフの会員権。
これは白水カントリーということですね。これは名義書換えができないと。
 はい。
それからクラシックカーのベンツが1台、これは売れるかどうか分からないけれども、まだ換金できてないと。
 はい。
これは早晩換金はできるんじゃない。
 と思います。
ほかのものは、白水カントリーの会員権と、それから利用権、これはちょっと不可能だということで、そのほかについては全部換金したということでいいんかな。
 はい。
株券も換金しましたね。
 はい。
で、換金して、あなたが持ってるお金、それから詐取して残ったお金を入れて6億群馬銀行に弁済したと、これも知っていますね。
 はい。
現在どのくらい私が預かってる金額残っているか、知っていますか。
 800万くらいです。
ということは、これから480万の車の代金が入って、それをまたこの結審の前に全部弁済したいと、これも知っていますね。
 はい。
それから、土地家屋なんですけれども、あなたの自宅の上の家屋2棟ありますね。
 はい。
これは下の土地は奥さんが相続した土地ですね。
 はい。
すると、換金するといっても、建物2棟だけですけれども、換金できるかね。ちょっと分かんないな。
 そうですね。
珈琲ぶれいくについては、換金はこれからやりたいということですね。
 はい。
で、現在そういうことのお願いもしているということだね。
 はい。
最初に田中先生から聞いたんですけれども、本件の事件起こして、現在の心境をもう一度言ってください。
 申し訳ないことをしたと思っています。この前もお話したとおり、大変な事件起こしてしまいましたので。
田中先生が尋問したときと同じような気持ちでいるということですか。
 はい。

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51億円事件第6回公判(平成8年2月1日)その1

2007-11-25 22:48:42 | 安中市土地開発公社事件クロニクル
平成7年(わ)第333号
被告人供述調書(第6回公判調書)平成8年2月1日
多胡邦夫

田中弁護人
公社が地権者にお金を払うのは、振込みが原則でしたね。
 はい。
あなたは公社に15年以上お勤めになってるでしょう。
 はい。
そこで現金を下ろして、現金で地権者にお支払いしたというのは、15年以上お勤めしていてどのくらいありましたか。
1、 2件だと思います。
それでは、その1、2件というのは、例えばどういう場合ですか。
 恐らく推測なんですけれども、地権者の方が相続関係で土地代を分けたいということで、現金で欲しいということを言われたことがあります。
そういうときだけが現金を下ろして現金でお支払いすると。
 はい。
それ以外はすべて振込みだったと、こう聞いてよろしいですね。
 はい。
これは検事さんが冒頭陳述で言われてることなんだけれども、平成2年以降、なんと約251回、約22億4000万円をあなたが引きおろしていると、こういっています。そうすると、あなたとしてもやはりそういう記憶ですか。
 (うなずく)
つまり250回以上現金で引き下ろしてると、こういうことですね。
 (うなずく)
そうすると、前回もお聞きしたけれども、頻繁にそういうことをやっていて、銀行のほうから何も聞かれたことはなかった、こういうことですか。
(うなずく)
群馬県下の公社というのは、どうも30以上あるようなんですけれども、当然例えば群馬銀行の人が隣の富岡市の群馬銀行の支店に移れば、群馬銀行富岡支店は富岡の公社と取引をしてる、あるいは、仮に高崎に群馬銀行の方が異動すれば、高崎の群馬銀行はまた高崎の公社と取引がある、こういうことになりますね。
 (うなずく)
そうすると、群馬銀行の職員の方も、公社が地権者にお金を払うのはどういうやり方をとっているかというのは、分かっていたんじゃないでしょうか。それについてはどう思っていますか。
 銀行のことはちょっとよく分からないんですけれども。
公社が群馬銀行からお金を借り入れるときには、当然資金使途を伝えたり、あるいは、口頭で説明するわけでしょう。
 はい。
ただ漫然と貸してほしい、そういう申入れじゃないですね。どこの土地について、どういう金を使うんだということで、こういうことで申入れするわけでしょう。
 はい。
そこでお聞きするんですが、平成5年9月30日付けの際、これはたくさんあるんで一応申し上げますと、本来1386万を借り入れるところを、3億円を水増しして3億円を詐取したと、こういう事件です。分かりますか。
 はい。
その平成5年9月30日のときは、借入れの目的については、どういう記載をして出したか、あるいは、どういう説明をしたか、大体覚えておりますか。
 書類を見ないとはっきりとは分かりません。
〔検察官請求証拠等関係カード(甲)150添付の貸出申請書を示す〕
この貸出申請書っていうのは、群馬銀行の内部の書類なんですけれども、この中の真ん中のちょっと上のほうに、「取上理由」と書いてあるのありますね。
 はい。
つまり簡単に言うと、どんなことで群馬銀行が金を貸すのかということについての部分なんですが、それを見ると、「公共用地取得資金(下線部分譲住宅団地用地取得資金)として申込」と、こう書いてありますね。
 (うなずく)
この書類は上を見ると分かるけど、平成5年9月30日にあなたのほうが手続を取ってお金を借りた、それに関する書類です。そうですね。
 はい。
これを見ると思い出しますか。
 はい。
つまり平成5年9月30日付けの借入れは、公社が下磯部分譲住宅団地用地としてお金を貸してほしいと、こういう申入れをして借りたということですね。
 はい。
そうしますと、平成5年9月30日の段階では、先ほど言いましたように、公社は既に下磯部分譲団地用地取得資金として、群馬銀行から3億1386万円を借りてると、こういうことになりますね。
 (うなずく)
〔検察官請求証拠等関係カード(甲)62添付の貸出申請書を示す〕
これは日付を見ると、平成7年3月31日付けの借入れに関連してのやはり群馬銀行の内部の書類なんですが、問題は、このやはり取上理由の中の3行目を読んでみますと、「他行攻勢厳しく現貸含め金利引下げ要請、下磯部地区取得資金を碓氷安中農協に奪われた反省から」って書いてありますね。
 はい。
つまり平成7年3月付けの群馬銀行内部の資料によると、下磯部地区の取得資金は群馬銀行ではなくて、碓氷安中農協が融資したんだと、こう書いてあるでしょう。
 はい。
先ほどの高橋弘安さんの調書に添付してあった、平成5年9月30日付けの貸出申請書の取上理由も下磯部分譲住宅団地取得資金と、群馬銀行の東さんの調書に添付されている貸出申請書に書いてある下磯部地区取得資金というのは、全く同じ資金のことでしょう。
 はい、そうです。
そうしますと、群馬銀行は平成5年9月30日付けで、もう既に下磯部地区について買収資金を公社に貸付けしてるわけですよね。
 (うなずく)
それをその後碓氷安中農協に奪われたというのは、一体どういうことなんでしょうか。それについて、あなたはどう思いますか。
 私には分かりません。
平成5年9月30日付けで、全く同じことについて、群馬銀行はもう金を貸したわけですよね。
 はい。
ところが、その後の書類を見ると、その貸付けは碓氷安中農協に奪われたんだと、こう書いてあるでしょう。これは明らかに矛盾してますよね。
 (うなずく)
あなたはそれは分からないということになりますかね。
 はい。
事実としては、下磯部地区は碓氷安中農協が融資をしたでしょう。
 はい。
したがって、下磯部地区の方に公社の方がお金をお支払したのは、碓氷安中農協から借りたお金でお支払しましたね。
 はい。
碓氷安中農協からお借りして、下磯部地区の方にお支払したのは、当然これは振込みだったでしょう。
 はい、そうです。
地権者の中には、群馬銀行の安中支店に口座を持っている方もおられたんじゃないんですか。
 いると思います。
そうすると、群馬銀行安中支店に売買代金が入ってくる、そういうことになりますよね。
 (うなずく)
先ほどの高橋弘安さんの調書の中の14丁の表から裏にかけて、今私がお聞きしたことが書いてあるんだけれども、更に高橋さんのほうでは、9月30日以降に、群馬銀行の方に公社が下磯部分譲住宅団地の事業資金を借り入れるための金利の見積もりも要求しているんだと、したがって群馬銀行はその時点でおかしいと、既に自分のところで金を貸してる土地について、また公社から、借りるとすれば幾らの金利になりますかっていう申入れを群馬銀行にしているんだから、群馬銀行はその段階で不審に思わなければおかしいんじゃないかと、こう言ってます。全くそのとおりじゃないですか。
 (うなずく)
それと、平成7年3月の全面偽造の件がありますね。
 はい。
前回のあなたの調書によると、変更契約書数枚と理事長の決裁書類を持っていって判をもらったと、こう言ってましたね。
 はい。
そうすると、あなたが持っていったのは変更契約書と理事長の決裁書類ですね。
 (うなずく)
本来持っていく決裁書類は、理事長の決裁書類じゃなくて、事務処理上は、財務課の決裁書類であるのが正しいんじゃないんですか。
 (うなずく)
安中市の公印規則の第10条の1項によりますと、公印を使用するときは、決裁済みの回議書等を保管者に提示し、その承認を受けなければならないと、こうあります。知っていますか。
 はい。
市長がいたときには、押していただく書類のほかに、回議書、つまり決裁書を持っていくということですよね。
 (うなずく)
そこで持っていく本来の回議書、決裁書類は理事長の決裁書類でなくて、財務課を通じて市長印を押してもらうんだから、財務課の決裁書類が正規の手続だと思いますと、そういうことですかね。
(うなずく)

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