「あいその甘露煮」
主な伝承地域 那珂川流域、鬼怒川・思川中流域
主な使用食材 あいそ
歴史・由来・関連行事
「あいその甘露煮」は初春に獲れたウグイ(あいそ)を甘く煮詰めた栃木県の郷土料理で、那珂川や鬼怒川などの大きな川筋で、春先に産卵のために群れるあいそを捕らえて食していた。若干骨っぽさを感じるため柔らかく甘露煮にすることが多い。
内陸部の栃木県では、新鮮な海産物をふんだんに食べられるようになったのは、冷蔵庫が普及してからであり、それ以前は乾物や塩引き鮭などが主であった。そのような背景から、身近である川魚は貴重なたんぱく源として利用されていた。
伝統的な小網漁は、産卵しやすい場所作りからはじまり、そこに産卵にきたあいそを獲る漁を行う地域が現在も県内にある。
食習の機会や時季
ウグイのシーズンは3~5月だが、春に産卵期を迎えると体に赤いしまができ、これがあいそと呼ばれる。春先に獲れたものはまだ小さくその分柔らかくて食べやすい。この時期に獲れたものを甘露煮にして食べたり、串刺しにして保存食にしていた。
飲食方法
3時間位弱火で煮ると骨まで柔らかくなるが、一気に煮るのではなく、夜2時間位煮たら火を止め、翌朝1時間位煮ると味がよくしみこむ。この時、鍋のふたは開けておくと臭みが抜けやすくなる。好みでショウガやみりん、水飴を入れてもよい。煮くずれしないように、煮始めたら鍋をゆすったり、箸を使ったりせずに煮込む。日持ちしないので、火入れしながら早めに食べきるようにする。
保存・継承の取組(伝承者の概要、保存会、SNSの活用、商品化等現代的な取組等について)
宇都宮市内の市民団体活動主催の市民講座で、地元に伝わる食文化や伝統・地産地消について学ぶ機会として伝統料理教室を実施しており、その中であいその甘露煮も献立として紹介している。
*https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/search_menu/menu/31_15_tochigi.html より
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