ぽぉぽぉたんのお部屋

季節の移ろい、道ばたの草花、美味しい食べ物、映画や友人のこと、想いがいっぱいの毎日をお話します

「雨の日のできごと」

2013-07-30 | 想いで
ざあざあと雨が降っていたから今頃だったろうか・・・

「奥さん、ちょっとつかまらせて」
と、小太りの女性が不意に私の腕をつかんできた。

傘をさしながら並んで歩く道すがら
「悪いねえ、こわくて」

この天気で足腰の具合が悪く
今も整形外科に行ってきた帰りだという。

少し行った先を右に曲がって二軒目の家だから
門のところまでくれば大丈夫だという。

「本当に何とお礼を言っていいか」と言われて
私はもと来た道を引き返した。

 
実は私も必死だった。
けがをして数年たってはいたが
雨の日はことさら調子が悪かった。
足も思うように上がらない。
傘をさせばうまくバランスもとらなければならない。

そこに「むんず」と腕をつかまれて
彼女の体重がぐっとかかってきた。

しっかり支えて歩かなければならない。
下手にふらついたりして
弱さを悟られたりしたら大変だ。

もう少しで家なのに
言うことをきかなくなった身体に
本当にどうしようもなくなって

外見的には「デカイ」体格の私に
とっさにすがってきた彼女を
見捨てるわけにはいかなかった。

それにしても
私の踏ん張りはいつまできくのだろう。




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