

5年前に枯れた樅の老木(高さ3.5m×直径26㎝)が風雪に耐えて立ってはいるが、枯れた以上は無用の長物であり、台風にでも遭い倒れたら危険と思いながら、その処分に手子摺っていた。
何事においても一度思い立ったら何としても念願成就を旨とする私としては不本意で仕方がなかった。そこで一念発起して取り掛かった。
チェーンソーはあるので、あとは切断後に倒れ掛かることを想定して、いかに処置するかが喫緊の課題であった。
家内と無い知恵を絞り出し、大木にかけたロープを四方八方へ張り巡らし、それに備えた。事前準備に少し手間取ったが、2時間がかりで無事切り倒し、60㎝サイズに切り刻んだ。
この樅の木は子どもの頃、弟とよく登って遊んだ思い出の大木。10数年前に枯れた御用の松に続いて、わが家のシンボルとも言える老木がまた1本姿を消し寂しい限りだが、松の跡地へは7~8本もの苗木が芽を出しスクスクと育っているのがせめてもの救いだ。
※後刻談
『寒風をついてとんでもないことをおっぱじめたと渋っていたが、万一にも大木の下敷きとなって“命日”なんぞにしてはならじとの思いが頭をかすめ急いで手伝った。』と夕食の時に、家内は胸の内を明かした。