楽の音にあわせて

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一段ずつ高みへ

2012-11-26 12:12:00 | ホームページ関係


何年か前に撮ったこの写真は単なる石段ですが、とても好きな写真です。どこに続いているかというと、登り切ったところにあるレンガ造りの教会です。



カトリック黒崎教会。寒い季節に行くと、石段を登り詰める前から、ぼうぼうという風の音が海から駆け昇ってくるのが、肌からも聞こえます。



黒崎教会というのは、九州北部だけでも二つあると思います。こちらは外海(そとめ)に面するほうです。



中に入って祈っていると、どこからか潜伏していたキリシタンが足音を忍ばせて出てきて、「サンタ・マリア様のご像はどこに?」と耳元に尋ねてきそうでした。

再び外に出ると、風はますます強くなっていて、荒れ狂う海に次々と突き落とされていった殉教者たちの最後の叫びを、かき消しているようにも感じられました。

今思い返してみると、彼らの叫びを増幅していたのかも知れません。どんな叫びだったのか… 最後まで信ずるものに忠実に生き、忠実に死にたいという、祈りの叫びだったのでしょう。

石段の写真を見ると、地上に生きている間一歩ずつ高みへと上りたいという願いと、すべてを委ねて生き、死ぬことの重さとを、あらためて思い出します。