アンティークマン

 裸にて生まれてきたに何不足。

二番ではダメ 米国の日本語プログラム

2010年01月30日 | Weblog
 ここのところ新聞テレビで取り上げられていることで、私が、「ウ~ン!」と唸ったことがあります。いつも株式新聞を見て唸っているだろうって?まあ、唸るというのは、生きているからこそできるもので、唸ることが出来るということに感謝しなければならないのですが…。

 「米国の日本語教育が縮小傾向にある」というニュース。リーマン・ショックによる財政難で、米国の公立小学校の日本語特別訓練プログラムも廃止の危機にある。そのことで、唸ったのかって?いえいえ、その程度ではまだ唸りません。

 バージニア州フェアファックス郡のグレート・フォールズ小学校。この小学校は、天皇皇后両陛下が訪問されたとき(1994年)、全校児童が日本語の合唱で歓迎したことで、一躍クローズアップされました。日本の唱歌を聴く分には、日本人の子が歌っているのかなと思うほど上手な日本語。現在、1年から6年までの120人が日本語プログラムを選択し、算数、理科等の授業を日本語で受講している。日本語を受講しているのではありません。日本語で、「算数、理科等」を受講しているのです。つまり、先生は、日本人。

 教室内には、「あいうえお」の表や九九の表はもちろん、「えーっ!」と思う難しい漢字の熟語も。私が唸ったのは、小学校3~4年生と思われる児童の理科の授業でした。教員が発問し、答えを画用紙に書かせていた。な、な、なんと、「受粉する」と、書いている子が!漢字も間違いなし。ほかの子も、「果実…」など、漢字を使って書いていた。
 発表の時も、「受粉すると思います」と、流ちょうな日本語でした!

 日本では、「受粉」や「果実」が何年生に配当されている漢字なのか分からないが、グレート・フォールズ小学校の子どもたち、その名の通りグレート!です。秋田県の小学生なら、「受粉」も「果実」も書けるでしょうが、低学力都道府県の小学生には難しいのではないでしょうか?
 え?中学生でも書けない子がいるって?マ・サ・カ…
 全国学力・学習状況調査は、22年度から抽出校に対して行うようですが、グレート・フォールズ小学校も抽出したらいいのではないか!日本の小学校、ボヤボヤしておられませんよ。

 バージニア州フェアファックス郡は、20年ほど前から、イマージョン・プログラムを取り入れてきた。このプログラムは、外国語の言葉だけを習うのではなく、「その言語環境で(つまり、日本語選択の子は日本語で)教科を学びその言葉に浸りきった状態で言語獲得を目指す」と、いうもの。
 日本語のほか、中国語、スペイン語、フランス語もある。我が子に日本語教育をさせたいからと、わざわざ引っ越してくる米国人家族もいる。

 さて、フェアファックス郡、(リーマン・ショックの影響で)予算が足りなく、イマージョン・プログラムの廃止・縮小を検討している。と、いうか…不足の予算が1億5千万ドル以上というのですから、検討の余地なしでしょう。

 そのような状況下、中国は経済力を背景に中国語教育の普及を推進しているという。米国内では、日本語講座の閉鎖で捻出した予算を使い、中国語を開講する例もあるという。カルフォルニア州では、「日本語教育廃止・縮小。アジアの言語は中国語」という動き。この動きは全米的になりつつある。そこへ韓国もハングルをひっさげて参入をはじめている。韓国は、すでにフランスの学校でハングル教育に成功している。日本語は、フランスでも廃止の坂道を転がりはじめている。

 日本政府は、「米国の教育」の問題だからと静観してもいられないのです。中国、韓国が、「中国語、韓国語を米国で教育して」と、積極的に働きかけている事実をどう見るのでしょうか。「資源のない、科学技術がたよりの日本」ですよ。発展途上国への支援も大切ですが、先進国における日本語教育に対する支援…これはかなり大切なものです。かっての日本は、やっていたのに…。