アンティークマン

 裸にて生まれてきたに何不足。

婆さん!古典的なウソをつくなよ…

2010年05月08日 | Weblog
「キトビロ」と聞いてすぐに「どんなものか」分かりますか?分かる人の割合は…統計のとりようがないので独断で決めますが、日本人の5%でしょう。では、「ヒトビロ」はどうか、これは4%。「アイヌネギ」これは、10%ぐらいの日本人が分かる。「ギョウジャニンニク」は、20%がわかる。(数字の信憑性は…5~80%というところでしょうか?幅が広すぎるって?…)
 これら、「キトビロ」「ヒトビロ」「アイヌネギ」「ギョウジャニンニク」は、全て同じもの。山菜の王様といわれているものです。
 深い山で、雪解けと共に顔を出すユリ科の多年草。最近では、スーパーにも並ぶ。なかなか高価な代物。

 田舎暮らしが長いので、キトビロは山へ行って採ってくるもの。スーパーで買うものというイメージは全く持たない。ところが、定年退職して馴染みの薄い土地に住むことになったので、どこへ行けばキトビロがあるか分からない。友達が3人いたが、1人は1月に亡くなりました。あとの2人は、「キトビロ?何それ?どこにあるか?そんなことしらん!」と言う。やむなく当てずっぽうで山へ入る。全然見つけられない。この2年間見つけられずにいる。

 なぜ執念深く、キトビロを探すか?王様といわれているだけあって、「(私にとっては)世の中にこれほど旨い山菜はない!」からです。「臭くて嫌だ」という人がおりますが、そういう人はありがたいです。少しでも競争相手がいない方がいいから。旨いだけなら他にもたくさんありますが…キトビロの場合は、食べた翌日、8年来の強力な肩こりが消えるのです。頭痛(筋緊張性頭痛)さえ引き起こす強力な頭痛がですよ!体も軽くなり、心臓も力強く拍動する。角質化している足の裏が、スベスベ!魔法の山菜です。
 
 ゴールデンウイーク中、山々を駆けめぐりキトビロを探し回りました。メンバーは、帰省してきた長男(LFAに乗って写真を撮ったことがある…所有者ではない)と、家人(山野草博士の本を読んだことがある…博士ではない)と私(キトビロをレスペクトしている人…キトビロではない)の3人。強力メンバーです。

 日本海を見下ろす山へ入った。近くに農家があった。国有林であることを確認して入山。運良く家人がキトビロの小さいのを1本見つけた。
 その様子を、15分ほど前から、見ていた農家の婆あさんが呼び掛けてきた。(私は、様子を見ている婆さんを見つけたので、山陰に隠れて婆さんに見つからないようにしておりました。直感的に婆さんが何らかの敵対行為に出ると読んだのです)

 「何、採ってんだあー?」
 1本見つけて調子に乗っていた家人が応答した。
 「キトビロですぅー!」
 次の、婆さんの言葉…あまりにも古典的な!懐かしさはあったが、腹が立ちました。なんと、言ったか…。

 「そこのキトビロ、わしらが植えて育ててるんだわー」

 よくもそのようなウソを!大変急な崖です。婆さんが、植えることなどできっこない。もし、植えて育てているなら、15分も探して1本ということはないでしょう!意地の悪い、ウソつきの婆さんです。
 意地悪ウソつき婆さんは、さらに続けました…。
 「採るなって、言ってるんでないんだよー」
 言葉では言っていませんが、内容は、「採るな」と、言ってるって!「わしらが植えて育てているものを採るのは泥棒だ」とも言っています。

 家人は、「お婆さんが話しかけてきたので、キトビロの秘密の場所でも教えてくれるのかと思ったのに!」と。
 結局、今シーズン自力でゲットしたキトビロは1本だけ…あの婆さんさえ現れなければあと5~6本は採れたかも知れなかったのに。