新たなDNA鑑定の結果によって菅家氏が釈放されたことについて、佐藤勉国家公安委員長は「当時としては精いっぱいの捜査をした結果」と述べています。捜査に誤りがあったのではない、という弁解とも受けとれます。
司法の無謬性ということが指摘されますが、佐藤勉国家公安委員長の発言はそれに沿ったものでしょう。失敗を認めるまでに十数年もの時間を費やしたわけですが、それには誤りを認めようとしない司法の無謬性ということが関係しているように思います。裁判という仕組みは誤りを避けることができない宿命を背負っています。一定の確率で間違いを犯す司法という仕組みにそもそも無謬性が期待できるでしょうか。
発電プラントや航空機など、多くの装置ではフェイルセーフという考えで設計されています。失敗が起きたときは自動的に安全な処理を行う仕組みが組み込まれているわけで、失敗が起こることを前提にした設計があたりまえです。
たしかに裁判は制度の上では三審制に再審制度を設け、失敗を前提としているように見えます。しかし再審が稀にしか認められなかったことが示すように、実際は硬直的であり、無謬性の呪縛が働いているように感じます。再審の敷居が極めて高いのは確定判決を誤判とすることをなんとか避けようとするためではないかと勘ぐりたくなります。無謬性は失敗が許されないことであり、失敗と失敗の表面化を避けることが重要な目的になりやすく、本来の目的を歪める可能性があります。
また無罪判決は検察にとっては不名誉なことですが、ごく僅かしかありません。有罪率99.8%は検察にも無謬性の圧力が働いていることを示唆します。失敗が許されないということは、有罪がほぼ確実な者だけを起訴するという傾向と共に、一旦起訴すれば無理やりにでも有罪にしようという力が働き、冤罪の一因ともなりかねません。
最高検の伊藤鉄男次長検事は記者会見で「真犯人と思われない人を起訴し、服役させたことについて大変申し訳ないと思っている」と謝罪しました。しかしNHKはじめマスメディアの扱いはごく小さく、食品偽装事件などで会社の幹部らが首をそろえて頭を下げる光景の華々しい報道と比べると雲泥の差であり、たいへん寂しいものでした。
今まで最高検幹部が謝罪した例はないらしく、冤罪事件に対する検察の姿勢の変化を感じさせる重要ニュースだと思うのですが、多くのメディアは食品偽装などの方が何十倍も重要と思っているようです。NHKの場合はイチロー選手の連続ヒットの方が重要と考えているかのようです。
参考までに菅家氏の約17年間の拘束に対する補償額は1日あたり1000円から12500円だそうです(最低が1000円とはバカにした金額です)。たとえ最高額をもらったとしても家族までも破壊された代償としては十分といえない額だと思います。因みに冤罪で死刑を執行された場合は最高で3000万円(本人死亡による財産上の損失額が証明された場合はさらに3000万円の加算)となります。これらの金額には国の謝罪の気持ちが含まれているようには見えません。
司法の無謬性ということが指摘されますが、佐藤勉国家公安委員長の発言はそれに沿ったものでしょう。失敗を認めるまでに十数年もの時間を費やしたわけですが、それには誤りを認めようとしない司法の無謬性ということが関係しているように思います。裁判という仕組みは誤りを避けることができない宿命を背負っています。一定の確率で間違いを犯す司法という仕組みにそもそも無謬性が期待できるでしょうか。
発電プラントや航空機など、多くの装置ではフェイルセーフという考えで設計されています。失敗が起きたときは自動的に安全な処理を行う仕組みが組み込まれているわけで、失敗が起こることを前提にした設計があたりまえです。
たしかに裁判は制度の上では三審制に再審制度を設け、失敗を前提としているように見えます。しかし再審が稀にしか認められなかったことが示すように、実際は硬直的であり、無謬性の呪縛が働いているように感じます。再審の敷居が極めて高いのは確定判決を誤判とすることをなんとか避けようとするためではないかと勘ぐりたくなります。無謬性は失敗が許されないことであり、失敗と失敗の表面化を避けることが重要な目的になりやすく、本来の目的を歪める可能性があります。
また無罪判決は検察にとっては不名誉なことですが、ごく僅かしかありません。有罪率99.8%は検察にも無謬性の圧力が働いていることを示唆します。失敗が許されないということは、有罪がほぼ確実な者だけを起訴するという傾向と共に、一旦起訴すれば無理やりにでも有罪にしようという力が働き、冤罪の一因ともなりかねません。
最高検の伊藤鉄男次長検事は記者会見で「真犯人と思われない人を起訴し、服役させたことについて大変申し訳ないと思っている」と謝罪しました。しかしNHKはじめマスメディアの扱いはごく小さく、食品偽装事件などで会社の幹部らが首をそろえて頭を下げる光景の華々しい報道と比べると雲泥の差であり、たいへん寂しいものでした。
今まで最高検幹部が謝罪した例はないらしく、冤罪事件に対する検察の姿勢の変化を感じさせる重要ニュースだと思うのですが、多くのメディアは食品偽装などの方が何十倍も重要と思っているようです。NHKの場合はイチロー選手の連続ヒットの方が重要と考えているかのようです。
参考までに菅家氏の約17年間の拘束に対する補償額は1日あたり1000円から12500円だそうです(最低が1000円とはバカにした金額です)。たとえ最高額をもらったとしても家族までも破壊された代償としては十分といえない額だと思います。因みに冤罪で死刑を執行された場合は最高で3000万円(本人死亡による財産上の損失額が証明された場合はさらに3000万円の加算)となります。これらの金額には国の謝罪の気持ちが含まれているようには見えません。