榊原英資氏は民主党のブレインとも言われ、政策にある程度の影響力をお持ちの方ですが、復興財源捻出のための国家公務員給与の削減は二重の意味でナンセンスである、というちょっと変った意見を述べておられます(6/7 朝日新聞)。
『まず日本の国家公務員数は人口千人あたり12.6人とイギリスやフランスの4分の1。そして公務員の人件費も対GDP比でOECD諸国中で最低の6%と、アメリカやイギリスに比べて2分の1程度。
このうえ公務員の人件費を削減する必要が本当にあるのでしょうか。実は、日本が先進国中跳び抜けて大きいのが国会議員や地方議員の歳費。国会議員の総歳費は180億円と欧米先進国の倍以上。地方議員はもっとひどく都道府県議会議員の平均年収は二千万円以上でアメリカの州議会議員400万円の5倍以上』
日本の国家公務員の人口あたりの人数は英仏の4分の1、そして対GDP比での人件費は英米の2分の1程度、ということは各国のGDPがほぼ同じだとすると大雑把ですが日本の国家公務員は1人あたり英米仏の約2倍の給与をもらっているということになりませぬか。
日本の国会議員や地方議員の歳費が欧米に比べ高いのはその通りなのでしょうが、ここは復興財源捻出の話なので、捻出可能な額が問題なのです。国家公務員の総人件費は8.6兆円(05年 日本郵政を含む)であるのに対し、国会議員の総歳費は180億円であり、地方議会議員の歳費を加えても到底及びません。ナンセンスなのはどちらでしょうか。
総額がはるかに小さい議員歳費を問題にして、巨額の国家公務員の人件費を無視するとは、何を考えておられるのかさっぱりわかりません。示された数値からは、逆に公務員の給与を英米仏並みにすれば8.6兆円の半分、4.3兆円が復興に回せるとも受けとれます。これならばとても貴重なご意見だと思いますが、まさに薮蛇です。労働組合側にとっても有難迷惑でしょう。
また、榊原氏は国の債務は1000兆円まで大丈夫だとして、より多くの国債発行を主張されている方です。財政規律を軽視する立場であり、民主党政権になってからの国債残高急増と整合します。
しかし、この榊原氏のご意見にケチをつけるのが私の目的ではありません。朝日という大新聞になぜこのような凡人の理解を超えるような記事が載るのか、ということが気になるのです。朝日に掲載された有名人の記事ということであれば、多くの読者は信用します。
朝日には「声」という投稿欄がありますが、そこでは「市民」の原文の大半を入れ替えるような強力な編集が行われることがあります。ところが「権威者」の文章は内容がでたらめでもそのまま掲載されることをこの記事は示しています。
学者センセイなどの権威に頼るということは、自ら真偽を判断する能力がないことの証明です。あるいは次の記事を書いてもらうための打算のせいかもしれません。いずれにしても読者にとってはたいへん迷惑なことであります。
(追記) 読者の方からご指摘をいただいたので、一部訂正します。
平成19年度わが国の国家公務員は59.1万人、地方公務員295.1万人合計354.2万人:人口千人当たり、27.7人であるとのご指摘です。従って国家公務員は千人あたり4.5人となるので、榊原氏の「人口千人あたり12.6人」という数値はどれにも該当しません。
また国家公務員の人口比と公務員人件費のGDP比が並べられているため、「公務員」という表現を国家公務員を示すものと誤解してしまいました(従って1人あたり英米仏の約2倍の給与をもらっているという解釈は誤りです)。そもそも国家公務員給与の削減というテーマに対して、国家公務員の人口比と公務員全体の人件費のGDP比を並べる意味がわかりません。
『まず日本の国家公務員数は人口千人あたり12.6人とイギリスやフランスの4分の1。そして公務員の人件費も対GDP比でOECD諸国中で最低の6%と、アメリカやイギリスに比べて2分の1程度。
このうえ公務員の人件費を削減する必要が本当にあるのでしょうか。実は、日本が先進国中跳び抜けて大きいのが国会議員や地方議員の歳費。国会議員の総歳費は180億円と欧米先進国の倍以上。地方議員はもっとひどく都道府県議会議員の平均年収は二千万円以上でアメリカの州議会議員400万円の5倍以上』
日本の国家公務員の人口あたりの人数は英仏の4分の1、そして対GDP比での人件費は英米の2分の1程度、ということは各国のGDPがほぼ同じだとすると大雑把ですが日本の国家公務員は1人あたり英米仏の約2倍の給与をもらっているということになりませぬか。
日本の国会議員や地方議員の歳費が欧米に比べ高いのはその通りなのでしょうが、ここは復興財源捻出の話なので、捻出可能な額が問題なのです。国家公務員の総人件費は8.6兆円(05年 日本郵政を含む)であるのに対し、国会議員の総歳費は180億円であり、地方議会議員の歳費を加えても到底及びません。ナンセンスなのはどちらでしょうか。
総額がはるかに小さい議員歳費を問題にして、巨額の国家公務員の人件費を無視するとは、何を考えておられるのかさっぱりわかりません。示された数値からは、逆に公務員の給与を英米仏並みにすれば8.6兆円の半分、4.3兆円が復興に回せるとも受けとれます。これならばとても貴重なご意見だと思いますが、まさに薮蛇です。労働組合側にとっても有難迷惑でしょう。
また、榊原氏は国の債務は1000兆円まで大丈夫だとして、より多くの国債発行を主張されている方です。財政規律を軽視する立場であり、民主党政権になってからの国債残高急増と整合します。
しかし、この榊原氏のご意見にケチをつけるのが私の目的ではありません。朝日という大新聞になぜこのような凡人の理解を超えるような記事が載るのか、ということが気になるのです。朝日に掲載された有名人の記事ということであれば、多くの読者は信用します。
朝日には「声」という投稿欄がありますが、そこでは「市民」の原文の大半を入れ替えるような強力な編集が行われることがあります。ところが「権威者」の文章は内容がでたらめでもそのまま掲載されることをこの記事は示しています。
学者センセイなどの権威に頼るということは、自ら真偽を判断する能力がないことの証明です。あるいは次の記事を書いてもらうための打算のせいかもしれません。いずれにしても読者にとってはたいへん迷惑なことであります。
(追記) 読者の方からご指摘をいただいたので、一部訂正します。
平成19年度わが国の国家公務員は59.1万人、地方公務員295.1万人合計354.2万人:人口千人当たり、27.7人であるとのご指摘です。従って国家公務員は千人あたり4.5人となるので、榊原氏の「人口千人あたり12.6人」という数値はどれにも該当しません。
また国家公務員の人口比と公務員人件費のGDP比が並べられているため、「公務員」という表現を国家公務員を示すものと誤解してしまいました(従って1人あたり英米仏の約2倍の給与をもらっているという解釈は誤りです)。そもそも国家公務員給与の削減というテーマに対して、国家公務員の人口比と公務員全体の人件費のGDP比を並べる意味がわかりません。