昨年の参議院選挙で民主党は惨敗しましたが、それは菅・前首相が直前に消費税の増税を言い出したためであると、しばしば解説されました。それはメディアの一致した見解であるようです。確かに1989年7月、消費税を導入した直後に行われた参議院選挙では自民党が惨敗、そして5%の増税後に行われた1998年参議院選挙で橋本内閣の自民党が惨敗した経緯があります(当時は消費税に対するメディアの猛反対がありました)。
しかし昨年の参院選の前月、6月12~13日に読売新聞社が実施した世論調査では、財政再建や社会保障制度を維持するために、消費税率の引き上げが必要だと思う人は66%に達していました(そうは思わない、は29%)。また参院選では勝った方の自民党も消費税を10%にするとの公約を掲げていました。
国民の3分の2が税率引き上げに賛成しているときに、菅氏が10%の増税を言い出したから選挙に負けた、というのは実に不思議な話です。また自民党も10%を主張しているのであればそれは選挙の争点にならないと考えられます。
とするならば、民主党が惨敗したのは消費税10%のためでなく、それまでに鳩山民主党政権が犯した数々の失政によるためと解釈するのが自然です。民主党政権に日本を任せられないと考える人が多かったということであり、それは消費税10%という単一の問題ではなく、民主党の政権担当能力という本質的な問題に関わることだと考えられます。
参院選の敗北を消費税増税のためだとする考えは、有権者の意思を見誤るだけでなく、民主党にも誤ったメッセージを伝えることになります。また増税を言えば選挙に負けるという通説が広まれば、反増税を主張することで票を稼ごうとする無責任な連中が力を増すでしょう。
国民の3分の2が税率引き上げに賛成しているということは将来の財政問題を真面目に心配している人が多数を占めていることを示しています。反増税の勢力が勢いづけば、財政再建に向けての収束が困難になります。
参院選の惨敗は増税発言のためではないという意見をメディアで聞くことはありません。「増税=選挙の敗北」と一旦刷り込まれたら変わらない頑迷固陋の故なのか、あるいは自分で考えるという習慣がないためか知りませんが、数多くのメディアが図らずも同様の奇妙な認識をもつというのはいささか不気味な光景です。
しかし昨年の参院選の前月、6月12~13日に読売新聞社が実施した世論調査では、財政再建や社会保障制度を維持するために、消費税率の引き上げが必要だと思う人は66%に達していました(そうは思わない、は29%)。また参院選では勝った方の自民党も消費税を10%にするとの公約を掲げていました。
国民の3分の2が税率引き上げに賛成しているときに、菅氏が10%の増税を言い出したから選挙に負けた、というのは実に不思議な話です。また自民党も10%を主張しているのであればそれは選挙の争点にならないと考えられます。
とするならば、民主党が惨敗したのは消費税10%のためでなく、それまでに鳩山民主党政権が犯した数々の失政によるためと解釈するのが自然です。民主党政権に日本を任せられないと考える人が多かったということであり、それは消費税10%という単一の問題ではなく、民主党の政権担当能力という本質的な問題に関わることだと考えられます。
参院選の敗北を消費税増税のためだとする考えは、有権者の意思を見誤るだけでなく、民主党にも誤ったメッセージを伝えることになります。また増税を言えば選挙に負けるという通説が広まれば、反増税を主張することで票を稼ごうとする無責任な連中が力を増すでしょう。
国民の3分の2が税率引き上げに賛成しているということは将来の財政問題を真面目に心配している人が多数を占めていることを示しています。反増税の勢力が勢いづけば、財政再建に向けての収束が困難になります。
参院選の惨敗は増税発言のためではないという意見をメディアで聞くことはありません。「増税=選挙の敗北」と一旦刷り込まれたら変わらない頑迷固陋の故なのか、あるいは自分で考えるという習慣がないためか知りませんが、数多くのメディアが図らずも同様の奇妙な認識をもつというのはいささか不気味な光景です。