噛みつき評論 ブログ版

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NHKは頭がヘンになった?

2012-08-06 10:04:47 | マスメディア
 オリンピックが始まってからは日本中のメディアがスポーツ新聞、スポーツチャンネルになったような観があります。とりわけNHKの集中ぶりはひどく、総合テレビ・BS1の2波の9割ほどがオリンピックで占められている有様です。スポーツ番組の狭間に僅かばかり残ったニュースを見ると、ここでも大半がオリンピックのニュースで占められています。受信料を返してくれといいたくなります。まあそのおかげでオリンピック関係以外のNHK職員の方々は長期休暇をたっぷり楽しんでおられることでしょうけれど。

 視聴者はオリンピック以外の情報を遮断されたも同然です。いま政局は激動期にあり、本来なら周知されるべき大事な事柄が片隅に追いやられています。公共報道の役割が放棄されていると思わざるを得ません。NHKはスポーツ専門チャンネルと化し、公共放送としての節度も失われているようです。

 国全体がオリンピックに浮かれているように見えますが、それはメディアの演出によって作りだされたイメージであり、現実とイコールではありません。例えばゴールに近づいたときのアナウンサーの語尾を長く引っ張る絶叫は、私にはとてもわざとらしく聞こえます。冷静な語り口は似合わないにしても、これは演出過剰でしょう。メディアはその名の通り情報の媒介者であって、演出者になることは報道を曲げることです。

 メダルをもらった選手達の地元の情景、生い立ち、様々なエピソード、どれも偉業達成の感動物語を形成します。ほとんどのメディアがオリンピックの熱狂を演出しているように見えます。いつものメディアスクラムですが、所詮、付和雷同に過ぎません。政治などに無関心でよいのか、たかが運動会の親玉ではないかと、熱狂に冷水を浴びせるような天邪鬼やへそ曲がりが一社くらいあってもよさそうな気がしますが(日経だけが冷静です・・・経済紙であることを考慮しても)。

 それにしても人間は順位付けすることが好きな生き物です。わざわざ競技会を行って順位を決めます。それはわざわざ格差を作って楽しむ行為ともいえます。敗者は惨めですがそれはあまり報道されず、観客にとっては勝者の方が大きい存在となり、いっそう楽しいお祭り騒ぎとなるのでしょう。良い成績を残し、メディアの賞賛を浴びた選手は国会議員への道まで用意されています。政治家として資質は知りませんが。

 すべてのメディアが熱狂を演出する結果、メディア自身もそれを実像だと勘違いしているのではないでしょうか。ここには相互に影響しあって増幅されるというメカニズムが働いているような気がします。NHKのオリンピック集中報道はオリンピックは国民全体が熱狂する筈のものだという前提でなされたもので、安易な迎合姿勢の結果とも考えられます。

 オリンピックに興味のない人、騒々しさを嫌う人、もともとスポーツに関心のない人は決して少なくありません。また17日間ものオリンピック期間中、本来報道されてしかるべき多くのものが捨てられてしまうことでしょう。さらに心配なのはオリンピックの約半月間のことよりも、このような判断をしたNHKそのものです。

 NHKはクラシック音楽や邦楽など、民放では視聴率が期待できないため放送しないものも放送してきました。これは公共放送としての見識でしょう。視聴率が稼げるものだけをやれば少数の文化は滅びます。多数にのみ阿(おもね)るのではなく、少数にも配慮する姿勢が必要です。オリンピック報道ではこの見識や節度が見事に崩れた観があります。

 テレビは社会にもっとも強い影響を与えるメディアですが、中でもNHKは信頼性が高いと思われていて、その影響力は恐らく最大でしょう。そのNHKのアタマがおかしくなればその影響は計り知れません。NHK中枢の決定であろうと思われるオリンピック報道がその前兆でなければよいのですが。