消費税の増税を予定通り来年4月に実施すべきかどうかの議論が盛んです。大まかに色分けすると財政規律や長期金利の安定を重視するグループは実施を支持し、景気の腰折れを心配するグループは延期、あるいは税率を下げよ、と主張します。双方とも、もっともらしい理屈を並べての説明がなされます。
争点は増税が上昇局面を迎えた景気に対してどの程度の悪影響を与えるのか、という点に絞られます。しかし今の経済学では増税の影響を正しく予測することは無理なようです。有効な予測ができないからこそ、様々な意見が堂々と発表されるというわけです。
それに加え、景気は外部要因に大きく左右されます。輸出先の国の景気が拡大したり、逆にリーマンショックのようにどこかの国で金融危機が生じたりすると大きな影響を受けますが、どれもまず予測できません。
これらのことを考えると現時点で増税の是非を断言することなどかなり乱暴なことと思います。せいぜい「6:4で増税がよいと思う」程度のことしか言えないのが本当でしょう。ところがどちらの派も確信をもって主張しているように見えます。危うい根拠で自信を持つ人が多いことに感心します。
しかしこれらの意見が我々の目に触れるのはメディアを通じてですが、「どちらかといえば増税の方が少しマシです」といった曖昧な意見はメディアが取り上げないためかもしれません。インパクトがあり、激しく敵対するような刺激的・独断的な意見がメディアに好まれるからです。近藤誠氏のガンに関する過激な本はべストセラーになりますが、まともな本はあまり売れません。一般に、不確かなものを断定する意見の方がメディアや世の中に受け入れられやすい傾向があります(この方が信用できないことが多い)。
また数年後、どちらが正しかったかが判明するかと言えば必ずしもそうともいえません。その途中に起きる、景気に影響を与える様々な要因が混じり合って、個々の要因を正確に評価することが困難なことが多いからです。人文科学の「特徴」ですが、その気楽さが安易な発言を大量に生み出すのでしょう。二流の学者・評論家もなかなか淘汰されない仕組みです。すぐ後で当否が明確になる競馬の予想屋の方が厳しい世界ですね。
それはともかく、来年4月に増税すれば景気が失速するから景気がさらによくなるまで延期せよ、というのが有力な反対意見ですが、それいはこの先、景気がよくなるという条件が必要です。しかし延期しても景気がよくなる保証はどこにもありません。よくもならず、あるいは悪化して長期間、増税が不可能になる可能性も少なくありません。
せっかく実現できそうになった増税の機会が失われてしまうことは延期派の最大の弱点です。これは財政再建をさらに困難にする重大なリスクですが、なぜか指摘されることはほとんどありません。消費税の増税は失政ばかり多かった民主党政権の数少ない功績です。これをやらなければ民主党政権の3年半は全くの無に帰します(そんなことはどうでもいいことですが)。
所詮、消費税増税は「やってみなけりゃわからん」類の話です。どうせわからんのであれば、せっかくのチャンスを逃す手はないということも言えましょう。今やらずしていつやるのか、です。どちらがよいのか私にはむろん判断できませんが、延期しても景気がよくならず、はては増税の機会を失うということになれば最悪の事態です。増税のチャンスはいつまでも待ってくれません。
ところで世論調査では増税に反対する意見が賛成意見を上回っています(NHKの調査によると予定通りの増税支持は27%)。いつもメディアは多数派を民意、民意と騒ぐのですが、今回はなぜか静かです。きっとメディアも増税止む無し、なのでしょう。自分の主張に都合の良いときだけ民意を利用するというわけです。これはご都合主義と呼ばれます。
争点は増税が上昇局面を迎えた景気に対してどの程度の悪影響を与えるのか、という点に絞られます。しかし今の経済学では増税の影響を正しく予測することは無理なようです。有効な予測ができないからこそ、様々な意見が堂々と発表されるというわけです。
それに加え、景気は外部要因に大きく左右されます。輸出先の国の景気が拡大したり、逆にリーマンショックのようにどこかの国で金融危機が生じたりすると大きな影響を受けますが、どれもまず予測できません。
これらのことを考えると現時点で増税の是非を断言することなどかなり乱暴なことと思います。せいぜい「6:4で増税がよいと思う」程度のことしか言えないのが本当でしょう。ところがどちらの派も確信をもって主張しているように見えます。危うい根拠で自信を持つ人が多いことに感心します。
しかしこれらの意見が我々の目に触れるのはメディアを通じてですが、「どちらかといえば増税の方が少しマシです」といった曖昧な意見はメディアが取り上げないためかもしれません。インパクトがあり、激しく敵対するような刺激的・独断的な意見がメディアに好まれるからです。近藤誠氏のガンに関する過激な本はべストセラーになりますが、まともな本はあまり売れません。一般に、不確かなものを断定する意見の方がメディアや世の中に受け入れられやすい傾向があります(この方が信用できないことが多い)。
また数年後、どちらが正しかったかが判明するかと言えば必ずしもそうともいえません。その途中に起きる、景気に影響を与える様々な要因が混じり合って、個々の要因を正確に評価することが困難なことが多いからです。人文科学の「特徴」ですが、その気楽さが安易な発言を大量に生み出すのでしょう。二流の学者・評論家もなかなか淘汰されない仕組みです。すぐ後で当否が明確になる競馬の予想屋の方が厳しい世界ですね。
それはともかく、来年4月に増税すれば景気が失速するから景気がさらによくなるまで延期せよ、というのが有力な反対意見ですが、それいはこの先、景気がよくなるという条件が必要です。しかし延期しても景気がよくなる保証はどこにもありません。よくもならず、あるいは悪化して長期間、増税が不可能になる可能性も少なくありません。
せっかく実現できそうになった増税の機会が失われてしまうことは延期派の最大の弱点です。これは財政再建をさらに困難にする重大なリスクですが、なぜか指摘されることはほとんどありません。消費税の増税は失政ばかり多かった民主党政権の数少ない功績です。これをやらなければ民主党政権の3年半は全くの無に帰します(そんなことはどうでもいいことですが)。
所詮、消費税増税は「やってみなけりゃわからん」類の話です。どうせわからんのであれば、せっかくのチャンスを逃す手はないということも言えましょう。今やらずしていつやるのか、です。どちらがよいのか私にはむろん判断できませんが、延期しても景気がよくならず、はては増税の機会を失うということになれば最悪の事態です。増税のチャンスはいつまでも待ってくれません。
ところで世論調査では増税に反対する意見が賛成意見を上回っています(NHKの調査によると予定通りの増税支持は27%)。いつもメディアは多数派を民意、民意と騒ぐのですが、今回はなぜか静かです。きっとメディアも増税止む無し、なのでしょう。自分の主張に都合の良いときだけ民意を利用するというわけです。これはご都合主義と呼ばれます。