噛みつき評論 ブログ版

マスメディア批評を中心にしたページです。  姉妹ページ 『噛みつき評論』 もどうぞ(左下のBOOKMARKから)。

嘘つき新聞は健在?

2016-08-01 09:06:44 | マスメディア
 一昨年、朝日新聞は慰安婦や福島第一原発における虚偽報道が明確になり、世界に向かって謝罪をしました。それは「もう嘘はつきません」という意味であったと思います。また少数の幹部が辞任しただけで、大きな組織が変われるのかという問題にも興味がありました。三菱自動車のように何年かかってもビクともしない「不動」の組織もありましたから。

 ここに挙げる記事は経済に関心のない方にとっては、どうでもよい問題と思われるかもしれません。しかし朝日が従来通り、自分に都合のいいように事実を曲げて報道していないか、という観点からは大変興味深い記事です。

 7月26日、経済面に「貿易黒字でも輸出大幅減」という見出しの記事が載りました。財務省発表の1~6月の貿易統計を受けたものです。「東日本大震災の2011年1~6月以降、半期で初めて黒字に転じた。歴史的な原油安が主因で輸出は前年同期比で8.7%減と大きく落ち込んでおり、手放しでは喜べない内容だ」と見出しと同様、輸出大幅減を強調した悲観的な内容です。

 歴史的な原油安が主因で輸出が大きく落ち込むという説明も理解困難ですが、他紙の記事に含まれる重要な部分が抜けています。日経などによると、8.7%減というのは円建ての話であって、前年同期に比べて5.7%円高なので、輸出減の大部分は円高によって手取り額が減少した結果です。数量ベースでは6月は前月比で4.3%上昇し、4~6月期でみても2四半期ぶりにプラスに転じています。

 朝日の記事に誤った記述はないのですが、1~6月の後半、輸出数量が上昇しているという事実をすっかり伏せています。今後の見通しを得るうえで直近の動向は大変重要です。財務省の発表にも「足元の数量は回復してきている」という記述があり、これを伏せるのは意図的であるとの疑念を持たざるを得ません。

 朝日はアベノミクスや安倍政権がお嫌いのようで、恐らく経済がよくなることを望まないのでしょう。悪化すれば安倍内閣が不安定になり、その分、野党が有利になると期待しているのではないでしょうか。貿易統計まで歪曲して伝えるとはずいぶんセコイ新聞です。しかし、驚くことはありません。それは従来通りであり、「不動の姿勢」であっただけのことであります。

 朝日の経済面は従来から弱いというのが定評ですが、「弱い」に加えて、このような恣意的な加工・歪曲があるとすれば、信頼できるわけがありません。朝日の記事を読んで投資などをする方は失敗の可能性が高くなるのは間違いないでしょう。