噛みつき評論 ブログ版

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野党とメディアの堕落

2018-02-04 22:37:35 | マスメディア
 週刊現代2月10日号の表紙を飾るのは「新・階級社会」「日本の不都合な真実」「もはや『格差』ではなく『階級』」の見出しである。この雑誌にしては意外に硬い記事であるが、同じ表紙には「天木じゅん『ナマ尻』丸出し!」「青学大待生美女が顔出しヘアーヌード!」といった見出しがあり、雑誌の格が急に上がったわけではないようだ(私は月432円で200誌ほどの雑誌が読めるdマガジンというサービスを使っている)。

 文春砲などと言われ、格上の雑誌が不倫報道などに熱中するなかで、週刊現代の「新・階級社会」はまともな記事である。ここでは上層階級と下層階級の様々な比較をしている。興味深いのは両階級間で健康状態にまでかなりの差があるという調査を載せていることだ。身長・体重、健康状態、病気の罹患率、絶望感の多少など、明確な差があることが示される。もはや格差でなく、階級だという見出しは誇張ではないと思う。そして階級間の移動は困難である。

 トマ・ピケティの著作「21世紀の資本論」は世界的なベストセラーになった。600ページもある本だが、東大生協でも売り上げ1位になったそうである。格差問題には強い関心のあることがわかる。ピケティは過去の納税記録を調査し、所得格差は戦争の期間などを例外として、資本主義社会における格差は常に増大してきたという事実を示した。彼が実証した意味は大きいが、たいていの社会では格差は自然に拡大していくということを我々は曖昧ながらも感じていたと思う。

 格差の拡大があるレベルを超えると社会は不安定化するされる。過去のように革命まで進まなくても、格差は好ましくないだけでなく、将来の社会のあり方を考える上で極めて重要な問題である。

 一方、発表ものが多くを占める新聞と違い、一般に週刊誌は調査報道が得意である。しかし不倫やスキャンダルの調査報道では情けない。またそれを後追いする新聞やテレビも情けない。不倫を楽しんだ者を指弾する気持ちは羨望や嫉妬の裏返しである。 ゲス不倫というが、ゲスなのは記者や読者の方であろう。それでも不倫報道が販売を伸ばす誘惑には勝てないのかもしれない。

 また朝日系のアエラなどはいまだに森友問題をやっている。不倫報道も森友報道も政治に影響を与える。文春は経済的利益の追求、朝日系は政治的都合を優先した結果と思うが、どちらも出版社としての矜持がないのだろうか。私には出版社の堕落としか見えない。

 森友問題は野党が今国会で好んで取り上げる問題のひとつである。それほどの重大問題でもないと思われるのに、いつまで取り上げるつもりなのだろうか、と思う。仮に野党の目論見が成功して安倍内閣が倒れてしまったら大きな損失である。しかし政権が野党に回ってくる可能性はまずない。それにもし枝野首相や大塚首相、玉木首相が誕生したらもう目も当てられない。北朝鮮の脅威が現実のものになっているのに森友はないだろうと思う。

 野党の見識は情けないばかりだが、これは野党の体質のせいばかりではない。野党の方々が見たり読んだりしているメディアの見識が低いことにも原因があると思う。バーニー・サンダース上院議員は前回の大統領選挙で民主党の候補になった人物で、民主社会主義を自認するほどの左派であるが、当時の若者の圧倒的な支持を得た。上位1%への富の集中が話題になった時期でもある。格差は今後も重大な問題でありつづけるだろうし、安全保障と防衛問題は喫緊の問題である。どちらも森友問題の比ではない。野党が情けないことの背景にはメディアのレベルの低さがあるように思う。野党とメディア、とりわけ左派メディアはつながっているのである。