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滋賀県警、色恋営業で殺人犯でっち上げ

2019-12-01 21:57:20 | マスメディア
 20代の女性が殺人犯に仕立て上げられ、12年間の服役を余儀なくされた。彼女を殺人犯に仕立て上げたのは山本誠刑事(45)を中心とする滋賀県警とされる。殺人罪で12年間服役した西山美香さん(39)の再審がようやく決まり、無罪判決が確実視されることとなった。

 2003年5月、滋賀県東の湖東記念病院で72歳の男性患者の呼吸器を外して殺したとされる事件は当時大きく報道された。しかしこの度の再審の決定に関連して、呼吸器を故意に外していないとする西山さんの自供書、患者がたん詰まりで死亡した可能性があるとする医師の報告書などを県警が捜査段階で把握しながら大津地検に提出していなかったことが明らかになったが、それはごく小さくしか報道されなかった。

 警察が被告に有利な証拠を隠ぺいするなど論外である。被告を意図的に殺人犯に仕立てようとする悪意が感じられる。罪の有無を決めるのは裁判所の仕事である。警察は調べたことを検察に送るだけの立場であるにも拘らず、勝手に殺人犯であると予断してそれに合う証拠だけを送ったわけである。

 また取り調べを通じて、西山さんはこの担当刑事に恋心を抱いたとされる。あろうことか、この刑事はその恋心を利用して、思い通りの供述や上申書を得たという。恋心を利用して高額の商品を売りつける恋人商法というものがあるが、人の心を弄んだ上に被害を与えるという卑劣極まるものである。それを警察がやったのである。また抵抗できない弱い女性を大勢が寄ってたかって殺人罪に陥れたわけで本当にムカつく。

 不可解なのはこの事実は一部で事実のみが小さく報道されただけで、メディアがほとんど重要視していないことである。冤罪事件はいくつもあったが、そのたびにメディアは大きく報道した。今回の事件は殺人事件そのものがなかったという点、そして警察が意図的に犯人をでっち上げたという疑いが強いという点に特色がある。全くの濡れ衣なのである。この種の事件には人権派の弁護士が多数集まるのが普通であるが、今回は静かである。植村隆氏の裁判に手弁当の弁護士が170名も駆けつけたのと大違いである。政治信条のためには労を惜しまない彼らが、警察によって人権が侵された重大事件に関心を寄せないのはどうしたわけだろうか。

 県警刑事企画課は「コメントは差し控える」と言っているそうだが、このままで済ませていいわけがない。殺人犯とされた女性は軽い発達障害があり、被暗示性が強く誘導に乗せられやすいとされる。この点を警察にうまく利用されたと思われる。それにしてもひどい事件である。市民を守る筈の警察が市民を殺人犯にでっち上げたのである。警察に対する信頼は足下から揺らぐ。なぜ大報道しないのか。報道がなければ自律的に改まる可能性は低い。メディアはいつも警察から情報提供を受ける立場なので弱みがあり、つい甘くなるのかもしれないが、これはそんなレベルの問題ではない。

 ついでながらこの山本誠刑事は05年、誤認逮捕の容疑者に暴行を加えたとして特別公務員暴行陵虐罪で書類送検されたが不起訴、現在、県警本部警部に昇進しているそうだ。暴力刑事でも昇進できるのが警察なのか。山本誠刑事が処分を受けないことはとても理解できない。

参考資料1 滋賀県警、調書捏造…
参考資料2 「呼吸器外し殺人」元看護助手を自白させた「色恋営業」の取調べ室