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東京新聞読者の安倍首相支持率は5%、メディア影響力の凄さ

2019-12-22 21:08:02 | マスメディア
 2年余り前の調査であるが興味深いデータがある。JX通信社が2017年6月に行った都内の有権者に対する世論調査で、各新聞の読者ごとに安倍首相と小池都知事の支持率を調査した。RDD方式で有効回答数は726人、回答の中で挙げられた購読紙は朝日、毎日、読売、日経、東京、産経、その他・答えない、である。

 表題のように東京新聞購読者の安倍首相支持率は5%と極端に低い。逆に産経購読者の支持率は86%と高い。支持率の低い順に言うと、東京が5%、毎日9%、朝日14%、日経41、読売43%、産経86%となる。左色の濃さにだいたい比例している。不支持率は東京が77%、産経6%と当然な結果であった(以上は2018年6月21日産経新聞大阪本社記事による)。東京新聞読者と産経新聞読者の支持率の大差に驚く。また毎日、朝日読者の支持率の低さも意外なほどである。

 新聞は読者の政治的傾向を決定づけるということの見事な証明である。むろん逆に読者が自らの政治的傾向によって新聞を選んだという側面もある。どちらも正しいと思うが、前者の方が支配的だろうと思う。新聞だけでなくテレビについても同様だろう。

 有権者は与えられた情報に基づいて政治的な判断を下す。情報源が限られている場合、自分が考えた上での判断だと自信を持っていても、実は情報を与える者の手のひらで踊らされているだけなのである。上記の調査はそのことを裏付けている。安倍政権を叩く記事を連日流されると、読者は安倍政権は支持できないと思うだろう。そしてその意志は「自発的」なものと思ってしまう。

 ところで東京、毎日、朝日の読者は極端に安倍政権に否定的だが、ならばどんな政権を望んでいるのだろうか。立憲民主党の枝野政権を望むのか、共産党の志位政権を望むのか、あるいは社民党の又市政権を望むのか。大変失礼だがどれも政権を担えるだけの能力をお持ちだとはとても思えない。旧民主党の高くついた「実験」で周知されたことである。とすれば東京、毎日、朝日とその読者は政権の崩壊だけを目的としているのだろうか。

 政権を批判することは彼らの役割であり、それはいい。問題点を指摘し、新たな政策を提言するのもいい。しかし政権の崩壊だけを目的として、それに代わる政権を用意できない、となればいかにも無責任である。いま住んでいる家が気に入らないから壊す。しかしまともな家が建てられないでは困るのである。

 野党と左派メディアは長い間、協力関係にあった。そして共通する目的は政権の足を引っ張ることであった。そのあとのことは考えてこなかったのではないか。野党と左派メディアからまともな政策論議は聞こえてこない。非現実的な、政権打倒の勇ましい掛け声ばかり目立つが、これでは有能な政治家は野党に加わらないだろう。野党と左派メディアの活動は政治的な理想を目指すというより「商売」となっているようである。建設的な提案をほとんどせず、「何でも反対」で数十年間も食いつないできた旧社会党の伝統は生きているようだ。そして、野党も左派メディアも縮小均衡の過程にあることは多分間違いない。現実的で有能な野党の出現を期待したいが、それには左派メディアを変えなければならないと思う。