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朝日問題の核心

2015-01-19 09:07:36 | マスメディア
 昨年8月の問題発覚後、朝日新聞は謝罪と反省を繰り返してきました。発覚した事実が新聞社として如何に深刻な問題であるか、ちゃんとお分かりのようで、これはたいへん喜ばしいことです。

 当初の、謝罪なしの記事取消しから、謝罪付きの反省、つまりチェック機能が働かなかったといった組織問題への反省、外部の意見に耳をかさない傲慢な体質への反省へと進化してきました。指摘された問題は「朝日の常識」から遠いものであったため、理解するのにも多くの時間がかかったということでしょう。

 1月6日付けの朝刊に「朝日新聞社 信頼回復と再生のための行動計画」と題する記事が載りました。その中に「これまでのわたしたちは、自ら伝えたい思いにとらわれるあまり、時に事実に対する謙虚さを失い、社外の意見・批判に虚心に耳を傾ける姿勢をおろそかにしていました」という一文があります。

 朝日の問題にいっそう踏み込んだ、また的確に表現された文だと思いますが、より根源的な問題に触れていません。それは「自ら伝えたい思い」の是非、またそれが如何に形成されたかという根本の問題です。「自ら伝えたい思い」の異常な強さ、異常な方向性が朝日問題の核心であると思うからです。事実を伝えるという報道機関の基本的なモラルを破ってまで「伝えたい」と思ったのは何でしょうか。記事に「角度をつける」(朝日流の言い方。一般には記事に色をつける)までして伝えたいものとは。

 慰安婦報道は正義感が動機のひとつであったかもしれませんが、その顕在化は日韓の対立を深め、両国民の不利益となりました。報道に携わるものとして、紛争の種をほじくり出すことによる副作用を予想できる筈です。日中関係に於いても同じことが言えます。それよりも「伝えたい思い」が優先したということでしょう。

 また、戦争を避けたい、という気持ちは誰も同じです。しかし朝日は日本が仕掛ける戦争だけに目を向け、仕掛けられる戦争の危険を常に軽視してきました。抑止力は仕掛けられる戦争を防ぐのに重要ですが、それには冷淡でした。現実を認識する能力に問題があると思われます。また無能な民主党を持ち上げて、政権に導いたのも見識に大きな問題があった故といえます。

 「自ら伝えたい思い」がなぜこうも異常なものになったのでしょうか。朝日の認識能力になんらかの問題があったことは間違いないでしょう。認識を狂わせるものは知性の低さ、知識の乏しさ、特定の思想・宗教の影響、あるいはそれらの複合でありましょう。思想や宗教によって認識がおかしくなるのはオウムや連合赤軍のように若年者に多く見られることで、分別ある大人の集団ではたいへん珍しいことです。頭の固まった大人だけに「改宗」は困難であろうと思われます。なぜ朝日だけが前世紀の思想を引きずる特別な集団になったかは興味あるテーマです。

 朝日すべてが知性や教養が低いとは思いません。昨年12月8日「会社に異を唱える記者は次々と編集の現場からいなくなっている」という社員証言を紹介したように、編集には会社の方針に沿った認識のおかしい人間だけが残されたと考えられます。

 いかに外形を改めても、「自ら伝えたい思い」が残る限り、つまり会社や編集のアタマの問題に手をつけない限り、根本的な解決にはならないと思います。あからさまな捏造や偏向記事はなくなっても、扱いの大小や記事の黙殺で「思い」を伝える可能性が残ると思うからです。


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