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宗教の怖さ

2015-01-12 09:02:21 | マスメディア
 1991年7月11日、五十嵐一筑波大学助教授が大学のエレベーターホールで首を切られ殺されました。五十嵐助教授は1990年にサルマン・ラシュディの小説『悪魔の詩』を日本語に翻訳した人物。1989年2月にイランの最高指導者、ホメイニー師はイスラムを冒涜したとし「悪魔の詩」の発行に関わった者などに対する死刑宣告を行っていたので、イラン政府の関与が強く疑われました。

 この事件の少し前、ミラノでイタリア語の翻訳者がイラン人と名乗る男に襲われて重傷を負う事件があり、さらに1993年にはトルコ語翻訳者の集会が襲撃され、37人が死亡しています。イスラム教が関係するテロ事件は長い歴史があり、残虐性は当時から見られます。ずいぶん変わった文化です。

 パリで起きた新聞社襲撃事件はごく一部のイスラム過激派によるものであって、一般のイスラム教徒とは無関係である、という解説がよくされています。直接的にはそうかもしれません。しかし上記のようにイランというイスラム国家までがテロ行為をやっていたとなると、イスラム教とテロとの関係が強く疑われます。

 高名な生物学者で反宗教の第一人者、リチャード・ドーキンスはイスラム過激派が生まれる理由について次のように述べています。

『穏健派の信仰心は、それ自体では害をなすことはないものです。しかし、教義を敬うべきだという考えはイスラム世界においてイスラム教寺院学校の子供達に刷りこまれています。それは過激派ではなく、立派で分別のある教師やイスラム教の師によって教えられますが、彼らが成長した時にはそのうちのごく一部はかつての教えを思い出し、聖典を再び手に取り、それを心の底から信じてしまいます。(中略)そしてそれは、ごく一部の人に聖典 -- 旧約聖書、新約聖書、コーラン、他の全て -- に書かれていることを信じさせるという結果を生みます。もしもそこに書かれていることをそのまま信じてしまったのなら、あらゆる非道な行いの歯止めが存在しないことになります』(The flying spaghetti monster 2006より)

 子供時代の宗教教育が過激派を生む大きな要素になっているのは間違いないでしょう。しかし宗教教育はキリスト教でも行われていますが、キリスト教過激派によるテロはあまり聞きません。イスラム過激派にテロが多いのはイスラム教の性格が関係しているのかもしれません。

 911ニューヨークの自爆テロやイスラム国など過激派による被害は莫大です。過激派が生まれる背景には貧困などの社会・経済的な要因もあるとみられますが、イスラム教が過激派の母体になっている以上、責任がないとはいえません。一般のイスラム教徒はむしろ被害者で責任はありませんが。

 ドーキンスは宗教と教育の関係についても述べています。『宗教と学習到達度あるいは IQ の関係を調べた 43 の研究です。そして 43 のうち 39 の研究において IQ と学習到達度に相関関係が見られました。さらに教育を受ければ受ける程、あるいは知的になればなるほど、無神論者に近づいていきます』

 宗教の害を防ぐには教育が有効であることはわかりますが、教育まで宗教に支配されている国では絶望的です。イスラム過激派は価値観や考え方が異質で、容易に話ができない相手であり、まことに厄介です。フランスのイスラム教徒は7%あるいは10%とされますが、出生率(合計特殊出生率のことと推定されます)はなんと8.1だそうで、39年後には人口の半数を占め、イスラム政権ができるという話もあります。オランダやベルギーも似た状況であるとされています。当然それを阻止しようとする勢力が現れ、大きな紛争の種になるでしょう。宗教は最大の課題になりそうです。


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