Wein, Weib und Gesang

ワイン、女 そして歌、此れを愛しまない輩は、一生涯馬鹿者であり続ける。マルティン・ルター(1483-1546)

もぞもぞとした地所の味

2018-11-05 | 試飲百景
ボストンからの生中継を録音した。上手くいったようだ。同時刻にアーカイブ録音として、エッシヘェンバッハのアメリカデビューをセル指揮でというのがあった。クリーヴランドの楽団からも「いいよ」を貰ったが聞けなかった。やはり過去のものよりも現在のトレンドの方が重要な情報だ。その過去もそのモーツァルトのピアノも嫌というほど聞いているので確かめるだけでしかなかったからだ。実は寝入ったのは、放送が始まる午前一時の十分ほど前だが、起きだすと三時まで眠れない。徹夜する価値はない。両方を録音することも可能だが、これも睡眠に影響を与えるので断念した。

最初のハイドンの交響曲もボストンのあのアンサムブルの妙が心地よく、同時に鳴りは小澤の時よりも遥かに良い。なるほどライプツィッヒでは出来ないことも可能としているので、二足の草鞋は続くのかもしれない。高名なホールの音響も綺麗に捉えられている。生放送の鮮度が違うのだろうか?

タネージの新曲は、意外に交響楽団が発音に慣れていないような感じで、なぜかゲヴァントハウス管弦楽団の方が初演慣れして遥かに上手いという先入観を覆す印象である。確かに小澤のころからボストンはぐずぐずした発音が特徴で、メリハリがない代わりにボストンサウンドのようなものを形作っていた印象がある。何か当時は、ケンウッドかトリオか東芝がそのようなキャッチフレーズで観音開きのステレオ家財道具を販売していたような記憶がある。シックと称するそれは、些かもこもこした音がしたのだろう。

そうしたなにか歯切れの悪さは後半のエルガー作「エニグマ変奏曲」には向いているのかもしれない。その意味ではいかにもな感じだったが、総合的にゲヴァントハウスとの演奏比較は、芸術性文化性を度外視しても、一長一短であり、よほどのことがない限りアンドリス・ネルソンズがゲヴァントハウスを投げ出す根拠はないと思う。

試飲会に出かけた。結論からするとそれほどいいものは見つからなかったが、悪くもなかった。三種の一級地所からの三種類を比較するのに熱心になった。毎年は出ないギメルディンゲンの「マンデルガルテン」と称する地所のものが出ていたからだ。それの問題はアルコールが13.5%もあって糖が三グラムとなる。要するに栄誉たっぷりなのだが酸が乗っていて、同類のナーヘのシェーンレーバー醸造所の「ハルガンツ」などよりも軽く感じる。いくらでも飲めそうなのが厄介で、飲み過ぎ食い過ぎになりそうだ。日本酒感覚ならばこれでもよいのだろうが、小さな食事と合わせるとやはりぶつかる。今すぐ飲み干すならば香りも高く一番上手かったかもしれないが、半年も置いておくと丸くなって退屈しそうなのだ。だから結局クラシックな選択で「ビュルガーガルテン」を購入した。これは、もぞもぞとしたミネラルで2017年産は特別な出来ではなかったが二年ぐらい掛けて熟成して開いてくる可能性高いからである。要するにがぶがぶ飲んで無駄をすることがないリースリングだ。価格も20ユーロを切っているので文句はない。それに比較すると29ユーロのグローセスゲヴェクスならよそで更におもしろいものが買える可能性が高い。



参照:
赤みが薄い今年の紅葉 2018-11-03 | 生活
還元法は十五年も前のこと 2015-05-06 | 試飲百景
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しぶいゼクトを購入

2018-09-20 | 試飲百景
朝の車中のラディオや夕刻のそれは可成りの時間を割いて、日本人の月旅行とその背景などを報道解説していた。なによりも興味を持ったのは芸術家を四人招待というところで、どのような人が応募するのだろうか。旅の危険性だけでなく、準備に体を動かさないといけないことなので、それだけで限られてくるのではなかろうか。昔から王侯貴族に旅行に連れられて行った芸術家が、どのような作品を後世に残しているのか知りたいと思う。

次の試飲会の前に防備録。ナーへでは、例年のように先ずはデーノッフ醸造所で予約していたワインを回収した。予約と言っても試飲会に行けなかったので予約できなかった。その分残り物を少し押さえておいたのを回収した。ベーシックのグーツリースリングも残っていたので三本ぐらい足した。それほど良くは無いのだが、数が少な過ぎるので買い足したことになる。お目当てはその上のシーファー土壌のトンシーファーと称するリースルリングで幾つかの土壌のものを集めているのでそれほど個性は強くないが、2017年産は酸が効いていてよかったのだ。例年は重すぎる傾向がある。グローセスゲヴェックスの代わりとはならないが、足しにはなる。

さて本年は遅くならないように時間的余裕を以って出掛けたが、結局二件目の更に山奥のシェンレーバー醸造所に着いた時には既に試飲会は始まっていた。こちらは2017年は初めてグローセスゲヴェックスをケース買いした。昨年は仮注文をしていなかったので入手できず、この春に一つのグランクリュ地所「フリューリングスプレッツヒュヘン」の出来を確認していたからだ。逆にもう一つの青シーファーのヘレンベルクは問題があった。春の時に確かめたそれが再び閉じていたのは、樽試飲と最終のビン詰めとの違いだ、つまり時間が経って瓶熟成するとどうなるかが分っている。とてもクリアーで私好みなのだ。

その話しをザールからの夫婦と話をしていた。地元であるからファンフォルクセム醸造所も良く知っていたが、彼らは昔の濁りのあった時の方が食事に合ったと全く反対な意見だった。これはどうも何とも言えないが少なくともそこの醸造所のワインがここ暫くで変わってきたことはこれでハッキリと証明された。醸造所自身が認めていなくて、ある意味認めたくない理由があるという事だ。

その他では、2015年産のリースリングが詰められたシャンパーニュ風ゼクトが良かった。ブルートで数年前に購入したものよりも良い。トロッケンの方が誰にも勧められるが、自分で飲むならこっちと言われて、なるほどあの渋みのある感じがシャンパーニュの近い。今まで飲んだ中で最も良いリースリングゼクトの一つだと思う。それも2015年の葡萄の出来の良さが裏打ちしていた。

結局普通のリースリングは買えなかったが、下のフリュータウも悪くは無かった。但しデンノッフの同クラスのものと比較すると少し落ちる。最初の日だけのお目当てはなんといっても垂直試飲だ。特に最も健康な葡萄となった2012年産の「フリューリングスプレッツヘン」を2010年とも比較したが、それほど優れてはいなかった。若干ペトロ―ル香があって、これならばそろそろ開けた方が良いのではないかとも思った。逆にもう少し熟れてしまう方がいいのかなとも思った。それに比較すると2010年の方がしっかりしていた感じだった。



参照:
習うより慣れた判断 2018-05-11 | 試飲百景
二日間の試飲の旅 2018-05-08 | 試飲百景

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トレンドは冷えた「神の雫」

2018-05-15 | 試飲百景
五月の試飲会を終えた。日曜日も天候も悪く出掛けてつまらないワインを口にする意欲は無かった。金曜日の講話について纏めておかないと忘れて仕舞う。大切なことは書き留めて身に付けないと何度試飲していても経験値が上がらない。そのような人は目前の下らない情報誌に踊らされてトレンドを追うだけの大衆市場の頭数となるだけだ。通への道からは程遠い。習うより慣れろ、数より質、手当たり次第よりも先ず頭を使え、どのような分野にも通じるのではなかろうか。一生を掛けても到達しないような遠い道は遥かに延びる。無駄なことはしないに限る。

さて5月の試飲の二つ目の山はその講話の内容だった。数十人のお馴染みの檀家さんが遠くはチューリッヒなどから集った中で開かれた。最初のグラスはロゼで、色が充分についているシュペートブルグンダーとなっている。

二つ目は現行のグーツリースリングで、如何に2016年は早めに収穫が始まり、一月早く10月4日には全てが終わっていた。それだけ早く開花して推移した反面、所謂「アイスケーニゲン」と呼ばれる「クリストの昇天」までに遣ってくる霜被害に見舞われた。つまり早く開花していればその分被害が大きく、多くの葡萄がやられた。そこで残った葡萄とそこから発芽した葡萄の二種類の収穫がなされたことになる。つまり収穫も二段階になり、その成長も全く異なり、幹の上部と下部の二種類の収穫となった。これだけを聞けば農協さんやいい加減な大手の醸造所の機械摘みのワインの出来上がりの程度が知れよう。

だからワインの味も二種類のミネラルと酸が混じる感じが下位のこうしたベーシックなワインの特徴となっている。それこそが2015年の完熟と2016年の葉緑素の多いクラシックなリースリング年との中間となっている。その結果を良しとするとか、どう思うかは意見の分れるところだが、少なくともレープホルツの残糖を落としたリースリングにおいては最初から馴染みやすい売れる年となっただろう。未だに2016年が売り切れていないのと対照的だ。

ありがたやありがたや。こうしたお話しは、高等専門学校に通っていてもどこにも書いていないと思う、とても具体的なことである。つまり、ベーシックなワインで量が出るから選別は出来ないので、この二種類の葡萄が混ざっているという事になる。そのお陰で、15年の様に分厚くも無く、16年の様に酸が前面に出ることも無い。中庸なのだ。勿論バイヤーとしてもとても需要な情報で、通常は霜被害で量よりも質とか程度で終わる知識がここでは傾向までをグラスに味わえることになる。農民と同じように愛飲家はこうして大きな経験を積み重ねる。酸が6.7gであるから、ほとんど残っていない糖に比較すると結構こなれていることになる。要するに薄っぺらくないので売れ筋だと思う。

三つ目はブラインドで、黄色い液体が出てきたが、心配しないでくれと、つまり当時の単純な作りでありながら今でも酸が効いていて、熟成臭が抜ければ食事に合しても悪くないとなる。要するに二番目の経年変化はこれよりも優れていてという対象年度の一つとして敢えて出している。2002年はモーゼル流域でも面白い年度で、地元でもクリーミーな酸が楽しめた年度だ。

四つ目は、貝殻石灰質の「フォムムッショエルカルク」で、黄色い果実や「黄色い」というのがまさしく経年変化で現れる石灰質リースリングの特徴だ。くわばらくわばら、早めに飲み干すか、石灰は避けた方がリースリング愛好家には精神健康上好ましい。

五つ目は、もう一つの土壌からのリースリングであるが、再びブラインドで、少し古いがそれ程ではない。つまり2017年と比較対象にされたのは2012年のつまりフランケンヴァイラ―のリースリングだ。その特徴は所謂赤シーファー土壌と共通点のある「フォムロートリーゲンデン」のそれとなるので、同じようにスパイシーとなる。それは土地の色目の赤が示すように鉄分が多く、その味質となる。面白いのはリースリングにおける強い土壌の影響は其れこそその根が深く長く伸びる傾向からとしていて、これは単刀直入な理由付けであって分かり易い。要するにリースリングほど根の伸びる葡萄は少ないのだろう。それならば崖っぷちや斜面に育つ葡萄は同じ傾向ではなかろうか?

六つ目は、それの現行もので、PH値が高く、燻製っぽいニュアンスが特徴だ。比較対象に2009年の上位の「フォムロートリーゲンデン」が七つ目、つまり更にスパイシーでコクがある。だから若い時には躊躇わずデキャンタ―白となる。八つ目に、現行の「フォムロートリーゲンデン」とここまで何時もの進み方であるが、九つ目に最後の山があった。2016年から始めて密かなプロジェクトとしていたレープホルツの「甘口リースリング」だ。アルコール8%で、なんと10gの酸に50gを超える残糖。専門家に飲ましても恐らく残糖15gだろうと答えると思うと語る、その通り全く甘くないのである。まさしく、先日ホッホハイムで試飲したドイツ最高の甘口醸造所デーンノッフのカビネットと同じラインである。

まさかドイツで最も辛口のレープホルツ醸造所が甘口のカビネットで勝負するなんて誰が想像しただろうか?それも残糖50g以上である。当然のことながら香味豊かなロートリーゲンデス土壌つまり赤シーファーのモーゼルなどの土壌と殆ど一緒である。微炭酸が綺麗に落ちて静かなリースリング、そして喉に引っ掛からない残糖。後でレープホルツ氏に直接誉めたが天晴なアイデアだ。

五月試飲の一つ目のハイライトはデーノッフ醸造所の2017年物で、その辛口と甘口のクールさに感動したが、そのクールさには欠けるもののシャンペンの様にぐっと冷やしてテラスで楽しめる純天然飲料リースリング。これは完全にトレンドになる。涼しげな質の高い甘口が醸造される可能性が出てきたのは、辛口におけるその栽培の清潔さと貴腐の無いカビネットを綺麗に糖を残しながらの醸造技術にほかならない。嘗ての様な安直なカビネットではなく、ここ数年のライトなカビネットではない本格的な甘口カビネット、これは数年後には味の複雑さでは勝負にならないシャンペン以上に価値が出る可能性があると思う。その素材の良質さと醸造技術の清潔さがあるからだ。まさしく神の雫の旨味である。勿論旨味のある土壌からしか醸造されない。のど越しが悪いワインは飲まない、だから甘口のワインは買ったことが無い。しかし、デーノッフの涼しさは一度バルコンで冷やして飲んでみようと思った。食事も合せてみたい。如何にその甘みが今までと違うか、それが言いたい。



参照:
二日間の試飲の旅 2018-05-08 | 試飲百景
土産になる高品質甘口ワイン 2016-05-30 | 試飲百景
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習うより慣れた判断

2018-05-11 | 試飲百景
車をサーヴィスに出した。半日スマートを借りた。安い車の割には走りはよかった。最初期に感じたぐらいの好印象だった。実際には走る機能は大分よくなっていると思う。但し喧しく、ゴーカートに乗っているようなものだ。クーラーの効きも良くて、ラディオもそこそこだ。視界はあまり良くなく、ミラーなどが上手く調整できなかった。燃費もそれほどよくない。レンタル料が安いのが取り柄だった。

先週末に購入したリースリングを開けた。昨年に続いて「ハルガンツ」と称する青スレート土壌のグローセスゲヴェックス「ハレンベルク」の早摘み葡萄で醸造された中級品である。昨年瓶詰めされた2016年産で、2015年産よりも遥かに軽い。2015年の場合は醤油のようなスパイシーで強い味にも合わせることが可能で、日本食や中華にも合わせられたが、2016年産はぐっとリースリングらしくなって、本来のナーへ産の味筋になっている。だから単品でもしつこくはならないのだが、その分青スレート特有の馬糞のような匂いが漂う。

要するにモーゼル流域などで一般的で日本でも愛されたドイツのリースリングは、スレートの一般的な匂いを出さないように、糖を残しながら強いアルコールで香りが目立たないように醸造してあった。しかしVDPの方針もあり、欧州での競争力強化から本格的辛口の推進によって、薫り高いスレート土壌のリースリングの品質が問われるようになった。その意味からすると、2016年の昔通りの気候からのリースリングはその品質が問われる。このような事情が雑食砂岩のリースリングこそが本格的な辛口リースリングになった所以である。

今回のシェーンレーバー醸造所の試飲では、そもそもの果実風味の強さとその押しが話題となった。一つには収穫量を落とすことでどうしても味が濃くなたことと、気候の温暖化があると思われる。その意味からすると、2015年よりも2016年産の方が素晴らしいのだが、例えば青スレート土壌からの葡萄に求められるその構築感のようなものは薄かった。例えば2016年「ミネラル」ではスパイシーさが舌を刺激して落ち着いた食事の伴侶にはなり難い感じがした。恐らくエキゾティックな食事などに合うのだろう。個人的には昨年秋の試飲時と同じように、自身の食生活からそれは選べなかった。その点「ハルガンツ」は落ち着いて滔々としているのが良かった。

また2017年産は、丁度2015年と2016年の中間になるという説が多いが、この青系のリースリングは霜被害の影響を強く感じて決して品質も良くなかった。量も2割落ちたというが、質もそれ以上に落ちている。だからオークション用の「アウフデアレイ」の樽試飲もあまり手が出なかった。残念ながら青系は選べなかった。

しかしその分「フリューリングスプレッツヒェン」は白い花の香りで、味もオレンジの皮を想起させて久しぶりに良かった。なるほど樽試飲であるから、本格的なワインになるのはこれからだが、とても期待が膨らむ。思わず、グローセスゲヴェックスを一箱予約してしまった。言えば、秋にもう一度試飲してもそれ以上のものは一切ないと分かったからだ。思い切った先行買いであるが、グローセスゲヴェックスの瓶熟成やその樽試飲の経験を重ねて決断可能になってきたのだ。やはり習うより慣れろである。

またまた昨年デンノーフ醸造所で再会した夫婦に再びシェーンレーバー醸造所で再再会した。次はどこで出合うか分らないが、情報を交換できるのが嬉しい。こういう情報が貴重なのである。



参照:
スマートに行こう! 2017-08-25 | 雑感
現時点最高の2015年リースリング 2017-05-12 | ワイン
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決してCPで負けない

2018-05-09 | 試飲百景
日曜日に録音したフィラデルフィアからのシューマンの交響曲四番をぼちぼち聞いている。予想していたよりも遥かに面白い。シューマンの交響曲といえばその管弦楽法の問題などが良く語られていて、本当に上手に演奏出来るのかどうかあまり確信の持てないようなレパートリーになっている。実際にメディアで聞いた経験からしても、フルトヴェングラー指揮の一番や四番、サヴァリッシュ指揮の三番とか、印象に強く残っているのはそれほど多くは無い。今回ルクセムブルクでもツアーでなぜこの曲がプログラムに入ったのか全く理解出来なかったのは、これほど難しい曲だとは知らなかったからだ。これはとても楽しみになったと同時にお勉強に力が入るようになった。

月曜日は近場の醸造所二件を訪問した。お客さんを連れるのを口実にして自身の関心ごとである2015年産のシュペートブルグンダーの試飲をした。もっとも単純なベーシックなものしか買えなかったが、それはそれでとても価値があった。兎に角、南国風のシュペートブルグンダーで、殆どボルドーを感じさせるほうなのだが、勿論それほど膨らんでいない。どこか涼しさもあって、30度近い気温の下でも全く問題なく楽しめそうだ。個人的には6ユーロ安いラインの対岸のヴィースロッホにあるゼーガー醸造所のピノノワールとの比較になる。勿論ブルゴーニュと比較するのはピノノワールだが、これはシュペートレーゼとしても熟成度が素晴らしい。印象からするとあの記録的な暑さの2003年よりもいいと思う。

なによりも嬉しかったのは先代の元気な顔を見れたことである。90歳を超えるだろうか?息子さんのクリストマンVDP会長は晩婚の子供さんなので、その年代の他の親父さんよりも大分世代が上である。「長いお客さんだからな」といってくれるのはやはり嬉しい。決して良いお客さんだった訳でもなく、蔵出しレストランで挨拶するだけの時も長く続いたが、今こうしてブルゴーニュを愛する会長のシュペートブルグンダーを物色する。その手の掛け方は小規模の醸造所だけに可成りのものだ。バリックの使い方も上手い。時間を掛けて熟成させる。葡萄さえしっかり熟成した年度ならば決してCPでブルゴーニュに負けない。

ハムブルクのエルプフィルハーモニーでの演奏会を予約した。いつもの抽選である。当たるかどうかは分からない。来年1月8日のユース管弦楽団をキリル・ペトレンコが指揮する演奏会である。ベルリンが9日だから楽日の前日である。他の日に行くつもりにしているが、これが当たれば出掛けてもよいかと考えた。翌月にはべルリナーフィルハーモニカーがネゼセガン指揮で演奏する。これも興味はあったが、ダブルブッキングになる可能性と先ず何よりもフィラデルフィアで実際に聞いてみないと判断が出来ない。



参照:
価値のあるなしを吟味する 2017-04-05 | ワイン
隠れ練習、お前もか? 2018-04-22 | 文化一般
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二日間の試飲の旅

2018-05-08 | 試飲百景
土曜日のシェーンレーバー醸造所での試飲会も盛況だった。要点は、大まかに二種類の系統のどちら側を狙うかだった。最近は赤系統の土壌の方を選んでいたが、昨年はその「フリュータウ」の評判も悪かった。もともとは青系一点張りだったが、最近は反対の方に靡いている。その理由は、もう少し厳しく芳醇なフォンフォルクセン醸造所の地所のリースリングやヴァイル醸造所の構造的な「グレーフェンベルク」などの出来が向上しているからで、どうしても他の醸造所との比較になる。

今回も以前購入していたグーツリースリングなども価格的には魅力的なのだが、その果実の強さや押しの強さが鼻につくようになっている。要するに以前よりもドイツのリースリングは繊細で複雑になって来ているからだろう。一点張りの味の嗜好では頂点には残れない。だからやはり「フリューリングスプレッツヘン」などのチョットしたオレンジの皮の苦みなどがとても好ましく、その樽試飲においても広がる香りは先を期待させるものがある。その点「ハレンベルク」の青スレートの構築感も崩れや苦みなどがあるとあまり受け付けられない。昨年の秋の親仁の反応を見ていてもかなり酷く遣られて何とか収穫に漕ぎ着けたことを知っているから、その先入観念からはどうしても逃れられない。

同様にその時に立ち寄ったデーノッフ醸造所の収穫への見込みは期待させるものがあり、今回の便りにおいても小試飲においてもそれを裏付けた。つまり量より質の収穫年となったという事である。その意味において、例年とは異なる美しい酸を堪能できた。

何時もの様にキュンストラー醸造所のゲストとして先代の奥さんが来ていたので彼女に言った。「正直、毎年酸が物足りないので下位の物は買えないのだけど、今年は違う」とグーツリースリングや「カーレンベルク」が買える出来だったのだ。そして昨年売れ残りを購入した「カーレンベルク」について「あれから寝かすとどんどんとよくなったよね」と話した。

この醸造所に通うようになってそれほど経たないが、「いつも酸が物足りないから何時もグローセスゲヴェックスしか買わないんだ」と告白した。今年は最初からつまり瓶熟成の前から酸が綺麗に出ていて気持ち良い。「カーレンベルク」も欲しかったが、六月に出かけるので、先ずはグーツリースリングを持って帰ることにした。それだけでない。簡単なカビネットも中々で、全く糖の嫌味を感じない。これならばテラスワインとして特に日本なんかではきりっと冷やしてシャンペン代わりに飲めるよとなった。そして泡物とは違って、ワインの複雑さまで楽しめる。これに文句を言う者は居まい。甘くなんて全くないのだ、美味いのだ。奥さんに言った。「甘口ではオタクが一番だよといつも言っているのだ」と。



参照:
土産になる高品質甘口ワイン 2016-05-30 | 試飲百景
飲み頃を探る試飲談話 2015-09-15 | 試飲百景
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着陸コースの空の下

2018-05-07 | 試飲百景
二日間続きの試飲会は疲れた。毎年のことだが今年は結構腸にも堪えた。以前にも具合が悪くなったことがあるが、その時の感じに近い。理由は分からないが、試飲の酸が堪えていることは間違いない。ボルドーでの苦しい夜を思い出すほどでも、試飲中にトイレに駆け込み続けた時のようなことも無いが、腹がぐるぐるした。もしかすると酸の質が腹に来るのかもしれない。同じようにこなれている酸としてもリンゴ酸に近いような割合が多いのかもしれない。但し、歯に来たり、上部には来ていないので、リンゴ酸が多いという訳ではないと思う。それほど歯には堪えていない。

初日の試飲会を終えてから、バートクロイツナッハ近くの宿に宿泊した。農業大臣クロックナー女史の家にそう遠くない共同体である。明け方気が付いたのは飛行機の着陸ルート沿いにあって、思ったよりも静粛な村ではなかったことである。最初はフランクフルトかと思っていたら、フランクフルトハーン飛行場の路線だと分かった。なるほど距離的には可成り近いのだろう。近所を何度も通っていても気が付くことが無かったので、やはりそこに住んでみなければ分からないことは少なくないのである。そしてホッホハイムの二日目の試飲会に向かうと、もうそこはフランクフルトの飛行場にとても近い。一層大きな飛行機が頭上を飛んで行く。

今回出かける前にフォンジムメルン醸造所のオーナーであるフォンジムメルン家から挨拶状が入っていた。それによるとエルトヴィレの醸造所を締めるということで、2017年産は醸造していないということだった。昨年は偶々試飲会に出かけていたので驚いた。その話しをキュンストラー醸造所の親仁に聞くと、不在にしていて先日聞いたところだと語っていた。如何に情報が洩れていないかということだ。少なくとも昨年の収穫をどこかの醸造所が買い取った訳だから、そこの醸造所が今後も名地所を借りることになる。地所の権利は保持するということだった。あれだけの地所を問題なく醸造可能なところは限られる。州立醸造所か、そのほかは殆ど決まってくるのではなかろうか。個人的には売券が気になって、興味津々である。



参照:
着陸コースの空の下 2018-05-06 | 暦
鮒ずしには白ワインが最高 2017-06-02 | 料理
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'15年シュペートブルグンダ

2017-11-20 | 試飲百景
一週間の締めに山登りコースを走った。週に五回走るのはそれほどなかった。大抵は二回ほどクライミングが入るので、五回走ることは珍しい。山登りコースは冬シーズン初めてで、この冬に何回こなせるか分からないが、先ずは心拍計を着けてペースを落として走ってみた。殆ど160を超えない走りは初めてだったと思う。このペースならば10キロ超えも15キロぐらいまでぐらいは問題ないと思う。それも一つの経験だ。なによりも疲れを残さずに週五回走れたのがよかった。

さて先日IKEAに序に寄ったのは、ハイデルベルクの南の町ライメンのゼーガー醸造所を訪れるためだった。これも送らせることもできたが、情報収集を兼ねてそれを重視した。先々週に電話をしたときに2005年産が販売になっていると確認していたのだが、出遅れている内にDMが来て、プライズリストなどが入っていた。

そこにチラシが入っていて、ドイツ赤ワイン大賞の一位にブラウフレンキッシュが、二位にシュペートブルグンダー「シュペルメン」が入ったと紹介してあった。どのような賞か知らないので、調べてみると、シュペートブルグンダーの一位はワイン街道最北部グリュンシュタットも醸造所マティアス・ガウルが獲得、二位もゼーガー以外のワイン街道北部ご近所の二醸造所と南バーデンの一醸造所である。

個人的に最も興味を引いたのはグローセスゲヴェックスとなっていて、VDPが地所を認証したことになっていることで、嘗てはVDP醸造所でありながらブルゴーニュシステムになっていなかったので、その変化を認めたことだ。木樽を使いながら、果実風味を膨らませ、全くバリック臭を感じさせない、新鮮に開花したブラウフレンキッシュやシュペルマンRの開いたアロマと果実風味は、どのようになしたか謎であるとコメントされている。

その下の所謂テロワーワインはSと称するがこれは樽のタンニンが強く出るタイプで、個人的にはそこまでして飲みたくないというピノノワールである。そしてベースのものは年度によるとタンニンがきつ目で硬い。しかし2015年は十年に一度以上の夏だったので、とても柔らかく、簡単に一本を一人で開けられるようなワインだ。硬いワインの時は、飲み飽きもして、何か不純物があるような感じなのだが、果実がきれいに熟成していたので全くそのような傾向がない。2015年のピノノワールはフランスでもドイツでも同じで、ドイツに関しては十年に一度以上のフランス物に対抗できる年度となった。

それも価格が8.40ユーロなので、フランス物ならば素性の分からないワインなのだが、このゼーガーのワインはハイデルベルガ―セメントの裏山の葡萄で丹念に作られている。これに対抗できるピノはなかなかないと思う。三分の一ほどのボージョレー新種のガメ種とは、全くそのしなやかさや飲みやすさも濃くも深みも違う高品質な食事用ピノノワールである。



参照:
民主主義を叫んだ独裁体制 2016-07-22 | マスメディア批評
価格に注目して貰いたい 2013-10-16 | ワイン
ブルゴーニュらしいピノノワール 2013-08-13 | ワイン
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夕暮れの私のラインへの旅

2017-09-29 | 試飲百景
週末はラインガウへと車を走らせた。例年のようにロベルト・ヴァイル醸造所の試飲会に向かった。夕方から出かけて結構アルコールが入った。それでも2016年のラインガウを見通せた。今年はザールリースリングなど中々高品質なリースリングも試飲して、ラインガウでも二件の試飲をして、ナーヘでは失望しながらも、ある程度の期待があった年度だった。そこでグローセスゲヴェックスの「グレーフェンベルク」も予約してあったので是非試飲する必要があった。

先ずは、ベーシックなグーツヴァインを飲む。それほど悪くはなかったが、やや薄っぺらい感じがするのは致し方ない。次にオルツリースリング「キードリッヒ」である。これはふにゃふにゃで甘い感じがした。実際に辛口リースリングの中で最も残糖値が高く8.8Gほどだった。そこからエルステラーゲ「クロスターベルク」を試すと驚いたことに尖がっていた。酸は皆あまり変わらない様だがリースリングらしく角があるのだ。通常はこの重めの地所はだるいリースリングしかできないのだが、2016年産は面白い。恐らく「キードリッヒ」と同じく石灰成分が多いので例年は丸いのだが、今回に限っては尖がっているのだ。それならば反対側の斜面の上部にある昨年購入した「テュルムベルク」に期待が集まる。それがなぜか駄目だった。要するに甘いのだ。この醸造所のワインは、プファルツのビュルクリン・ヴォルフ醸造所のリースリングのように糖を残すことで長持ちを考えているようだ。勿論一本25ユーロもするようなワインは急いで飲むべきものであるべきではない。

やはりそのような年度でも「グレーフェンベルク」は最も辛口に整えられていて切れが良い。それでも2015年のように分厚くないので適当な時期に開けて楽しめるだろう。2015年産は「テュルムベルク」の酸が丸くなるまでゆっくり待とうと思ったが、2016年産は適当に開ければよい。勿論そこまで良くないものは早く飲み干さない締りが悪くなると思う。

それでもグーツリースリングは、藁の様な中に出てくるのはファンタオレンジ・レモンの味だ。そこに海の香りの様なものもあって、ミネラルには石灰っぽいドロッとした感じもある。若干のアーモンドもあって、グーツリースリングとしてはまあまあ複雑だろう。13ユーロであるから、レープホルツ醸造所の「オェコノミラート」よりも高価となると当然かもしれない。

結局自分用には、高価な「クロスターベルク」とグーツリースリングで価格を相殺して、予約していた「グーレーフェンベルク」と合わせた。また人のためにも「クロスターベルク」中心となった。2015年産は「グレーフェンベルク」を購入しなかったが、今年は自分用には甘い「キードリッヒ」を断念した。やはり辛口のリースリングは、幾ら酸が丸いと言っても、スッキリ感が無いと駄目だ。

クリーヴランドの交響楽団が今年もやって来る。前回も評判は大変良かったようだがプログラムに興味がなかった。毎年のように行われる欧州ツアーの今年は、場所は限られるが、三種類のプログラムはそれほど悪くはない。一つのマーラーの交響曲はエルプフィルハーモニーで15ユーロの券を申し込んだが抽選で落ちた。もう一つは春の祭典と大フーガなどだ。そして一番近いところのルクセムブルクでは、ヴィーンでも行われる「利口な女狐の物語」の演奏会形式である。そもそも下手な歌芝居などは聞いていられないので、このオペラも体験したことが無い。そしてなんといってもこれだけ優秀な交響楽団の演奏ならばと期待が高まる。指揮のメストもフランクフルトの会でロ短調ミサを振った時も決して悪くはなかった。そしてクリーヴランドでの仕事はとても評価が高い。ヴィーンなどでは到底出来ない音楽をしているのだと想像している。またお勉強するものが増えた。先ずはヴォーカル譜だけでも落としておいた。まだ「魔法の不思議な角笛」がお勉強できていないのでどうしよう。
The Making of The Cunning Little Vixen: Production Diary #1

The Making of The Cunning Little Vixen: Production Diary #2

Behind The Opera: The Cunning Little Vixen

The Making of The Cunning Little Vixen: Production Diary #3



参照:
12本選択するとすれば 2016-09-26 | 試飲百景
時間の無駄にならないように 2017-05-09 | 文化一般
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2015年産のお見事な出来

2017-05-20 | 試飲百景
二年ぶりのザール行だった。昨年は急遽取り止めになったからである。そして、2015年産のリースリングは、ナーヘだけでなくザールでも偉大な年になっていたことを再確認した。大成果である。他のより日照時間の長い地域に比較すれば2015年陽射しがとても効果があって、乾燥した長い秋が功を奏したのは明らかだった。

なるほどより容易に楽しめる2016年産に比較すると明らかに力が均衡しているのは他の地域とも変わらないが、既に大物ぶりの偉大さを示しているのを確認した。

ファン・フォルクセム醸造所のグローセスゲヴェックス「シャルツホーフベルク・ペルゲンツクノップ」を初めて試した。2015年は購入したがその出来は分からなかったが、これで確信した。恐らく今までのザールリースリングの中でもトップクラスの出来だと確信した。

あのくゆるほどのスモーキーさと均衡する酸が後に伸びる余韻は、今まで知る最高級グランクリュ、キルヘンシュテュック、ペッヒシュタインやグラーフェンベルクなどの特徴を超えていた。そもそもシャルツホーフベルクはエゴンミュラー醸造所によって甘口としてその存在は知られていたのでそのテロワーに関しては懐疑の方が強かった。しかしこれが示しているのは間違いなくドイツ有数のテロワーであるのだ。お見事な出来というしかほかに言葉が見つからなかった。



参照:
これもリースリングの神髄 2016-01-06 | ワイン
苦み走るようでなければ 2017-02-13 | ワイン

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ドイツを代表する花崗岩のワイン

2017-05-19 | 試飲百景
デュルバッハ訪問は二十数年ぶりだった。片道150キロほどでそれほど遠くはないのだが機会がなかった。高速道路から少し離れていて、谷の奥が行き止まりのような場所であるからだ。何よりも、その土壌が綺麗に反映するリースリングは当時はなかった。

VDPのテロワーを重視する方針から、今回は期待した。なぜならばドイツではほとんどない花崗岩土壌であるからだ。それでも多くの人は未だにバーデンのワインは、その高温の気候やカイザーステユールの火山性土壌から、ブルグンダー種の地域だとか酸が効いていないとか一面的で間違った迷信を信じている。勿論バーデン地方では昔から最高のリースリングはデュルバッハと決まっていた。

さて期待に応えたか?これはVDPの成果と言えよう。これならばもはやコルマールのそれを珍重する必要などは毛頭なくなった。今回訪れたアンドレアス・ライブレ醸造所で、2016年グーツリースリングと樽試飲として「シュタインレッセル」、2015年グローセスゲヴェックス「アムビュール」を試した。それで充分だった。

グーツリースリングでこれほどまでにミネラルを感じさせてもらえれば文句は無い。買えて楽しめるリースリングだ。そしてラーゲンヴァインは更に凝縮される。グローセスゲヴェックスは、2015年の弱い酸ゆえに既に楽しめる。そのミネラルは格別だった。

「アルテレーベン」らとは比較にならないような樹齢とクリスタル成分を含む花崗岩に根を伸ばしたミネラルは喜びである ― 花崗岩岩壁を登るクライマーには分かってもらえるだろうか。一体どこの誰がバーデンのワインは酸が弱いなどといったのだろうか?これ程のシャープさは雑食砂岩土壌のリースリングと並ぶリースリング愛好の渇望の的でしかない ― 細かに拾う手掛かりに刺さる結晶や足掛かりのような研ぎ澄まされたあの感覚である。

幸いなことに2017年産の霜被害も三割方の減産に終わりそうで、これまた期待が出来る。バーデンバーデンから30分ほどで買い付けに走れるので、ぜひ次の機会を活かしたいと思った。

醸造法はステンレスを使った単純なものだが、炭酸なども綺麗に落ちていてとても落ち着いたワインだった。しかし赤はもう一つな作りで、これは仕方ないと思った。


参照:
フランススーパー売りのワイン 2012-10-09 | ワイン
人類の将来の進展のために 2012-12-02 | アウトドーア・環境
体が焼けそうな花崗岩 2014-10-20 | アウトドーア・環境
黒い森の花崗岩を吟味 2014-10-07 | アウトドーア・環境


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2015年産の売れ残りを購入

2017-05-07 | 試飲百景
ナーヘのシェ―ンレーバー醸造所に試飲に行った。例年は秋に行くのだが、今年は都合が悪そうなので、予約価格でグローセスゲヴェックスを注文出来ることでもあり、先ずは駆けつけた。ジュニア―の家族が増えたこともあり立派な新居が出来ていた。所謂二世代家族が同じ敷地に住むという日本にあり勝ちな家族環境である。流石に屋根だけは別になっている。未だに先代が醸造所で権威を保っているからだろう。

その先代に霜被害の話をすると、「それは止めて2016年を楽しもう」と言うので、そのダメージの大きさを窺い知れた。実はその前に先代の奥さんと話していて事情はよく分かっていたのだ。斜面御中腹がやられていて、ハレンベルクは全滅している。そのあとの芽が果実をつけるかどうかは分からないという。バーデン・ヴュルテンベルクでは、ワインと果実栽培の被害を補償するとあったが、ランプファルツも珍しいほどの大きな被害となったようだ。

先代の奥さんに歓迎ゼクトについて尋ねると、最後の瓶詰め以外は完全にシャンパーニュ方式であることが分かった。するとその価格が極安であることが分かって、二本購入しておいた。じっくり一本呑んでその評価をしてみたい。

我々のすることは、いいワインを早めに購入しておくことで、少々財布のひもを緩めても購入しておくことが、業者に儲けさせるのではなく、醸造所も助けることになるのではなかろうか。さて、2016年の出来はどうだったか?

正直、酸が効いていない。水っぽく、想定したような果実風味も少ないのはナーヘでは仕方がないのかもしれない。そこで見直されたのが売れ残っていた2015年産である。この日のヒット商品は、2015年「ハルガンツ」だった。昨年の秋の試飲時にはまだ買えなかったが、こなれて来ていて、その濃くが素晴らしく、殆んど「ハレンベルク」のように楽しめる。二年ぐらいかけて楽しむか、購入してした「ヘレンベルク」のパイロットワインとなろう。

それに比較すると、2016年のそれは水っぽく中抜けしたような塩梅だ。酸も薄く、飲み易いが本当に楽しめるリースリングとはなっていない。それ故にどちらかというと、「ミネラール」や「ハルガンツ」、「ハレンベルク」の方が「レンツ」や「フリュータウ」、「フリューリングスプレッツヘン」よりも楽しめる。逆に力が弱いので、樽試飲の「フリューリングスプレッツヘン」のミネラル味は、開花した時の楽しみを期待させた。その意味ではオークションワインの「アウフデアライ」における塩味は秀逸だった。

総論すると、ナーヘにおける2015年は決して悪い年ではなかった。酸も充分で、下位のワインでも将来性がある。逆に2016年は上位のワインでもそれほど長い保存は考えない方が良いワインである。

ザールから来た夫婦と最後まで話していたのだが、ザールワインよりもデーノッフ醸造所の方が美味いということで、またファン・フォルクセム醸造所が2013年以降良くなったことも知らなかった。灯台下暗しのようである。

何時ものアールのアデノイヤー醸造所の最高級のGGシュペートブルグンダー2012を飲ませてもらったが、初めて満足のいく赤だった。上の夫婦はナーヘの赤には懐疑的だったが、これは出汁に合う赤ワインと理解した。33%の樽以上にシーファーの味がにじみ出していた。



参照:
検問逃れの試飲会帰り 2016-09-11 | 試飲百景
雨のナーヘの谷を回遊 2014-09-14 | 試飲百景
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まろみが嬉しい自然な呼吸

2017-03-05 | 試飲百景
樽試飲会を回った。結局二件しか行けなかった。一件目のVDP会長クリストマン醸造所で蔵見学までして時間が掛かってしまったからである。ミュラーカトワール醸造所には行けなかった。それはそれで仕方がない。飲み代が無かったので2015年ビュルガーガルテンでも買い足ししようかと思ったからである。しかし結果的には2015年を購入するぐらいなら2016年の方が価値があると思った。

2015年のリースリングはやはり分厚過ぎてエレガントさに欠ける。なるほどザールなどではバランスが取れていたが、ラインガウなどではバランスが良くない。ナーヘの2015年もエレガントさからは遠い。リースリング好きにはあまり喜ばれない年度であろう。それに引き換え2016年のそれは凝縮度も高く、繊細さに欠けない。2014年は丁度その中間ぐらいだろうか。だから2013年よりも良さそうだ。2001年のようになるとは思わないが期待したい。2014年産もまだ市場には十二分にあり、2015年産よりも2016年産へとリゾースを集中させようかと思う。要するに2015年は赤の年で白の年ではなかった。

だから、クルストマンの2015年グーツリーングを試すがとても分厚くて話にならなかった。ギメルディンゲンなども雑味があってどうしよもない。それに比べると樽試飲の2016年の清楚なことは感動させるに足る。蔵見学で、ビオデュナミに関して農薬関連のことも重金属とケミカルも話題になっていたが、個人的には酵素と称して結局は発酵に足りなう分は補われることなどは原理主義者の醸造所の方法として興味深かった。更に興味深かったのは、手摘みの代わりに機械を使ってセレクションする方法に関してである。手摘みの場合は経験者の摘み取り手の采配が最も重要となるが、摘み取ってから下から光を当てて工場でやるようにアウスレーゼすることでより効果的に仕事ができるという説明で、今までは赤ワインでの選定作業として写真などで見ていたものの説明である。

この方法の欠点は機械で摘み取ることの傷みであろうか。バッサーマンヨルダン醸造所のウンゲホイヤーのような量があればセレクションするのも不可能となるが、傷みが激しくて収穫量が少ない時に機械で痛んだものも一緒に運び込むのもとても不経済である。結局は摘み取りの人出が集まらないということに尽きるのだろうか。

シュペートブルグンダーはお目当ての2015年はなかったが、2014年は予想以上に悪くはなかった。あの年はバイロイト詣でをしたので記憶にある。涼しい夏だった。そして熟成を待たなければいけなかった夏だったのだ。それでも2012年よりも色もあり、濃くもあるようだ。そして2013年のオェルベルクは今すぐにでも飲める状態になっていた。これは直ぐ祝い事にでも使える。寝かして楽しむ気は到底起こさせないが、2013年の特徴である薬草臭が嬉しい。

そしてここのシュペートブルグンダーがお得なのは、ゼーガー醸造所のピノノワールのベーシックと異なり100%木樽で熟成させていることである。2014年のシュペートブルグンダーを二本購入した。グローセスゲヴェックスでは50%の新樽なので、これは古いものになっているがそれでも自然な酸化をしたものはやはりまろみがある。

二件目は帰りにモスバッハ醸造所に立ち寄った。2016年産に関わらず下位のワインがなぜここまで甘くなるのかは分析値を教えてもらっても分からない。そして上位のものもミネラル風味からはほど遠い。それでも2012年シュペートブルグンダーを賞味させて貰った。2013年をまだ寝かしてあるのでとても参考になった。色は薄くて致し方が無いがまだまだ新鮮に繊細さを楽しめた。これならば2013年はまだまだ寝かせても大丈夫だと思った。

両醸造所とも先代と話すこともできたが、前者でもその年齢が気になっていたが元気そうで、奥さんを連れて車で買い物に出かけた。流石に年老いてから家庭を持つだけ若い。奥さんの方が大分若い筈だが旦那の方が元気そうだ。後者の「ジムフェルプス君」ことピーター・グレーブスは今しがたアンダルシアから帰宅して、疲れたので一杯飲もうと出てきたということだった。ゴルフ三昧で歩き通だったということで、帰宅日はワイン街道の方が温かかったとご満悦だった。



参照:
原発警備強化の物的根拠 2016-03-26 | ワイン
第二回ユングヴァイン試飲会 2016-03-10 | 試飲百景
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12本選択するとすれば

2016-09-26 | 試飲百景
秋晴れの気持ちよい試飲日和だった。例年ならばこれほど気温は低くないので、陽射しが丁度気持ちよかった。ラインの渡しでも例年とは異なる快適さがあった。ラインガウの湿り気も感じることなく、キードリッヒへと車を進めた。車を町に向けるとグレーフェンベルクの斜面が大きく剥ぎ取られて茶色に輝いていた。植え替えである。目指すロベルト・ヴァイル醸造所だけでなく近辺の地所と一緒に土壌改良へと動いたという事だ。グランクリュの15%ほどがそこに含まれている。今までの葡萄は40年ものだったようで、まだまだ上質の土壌を準備したものではさらさらなかったであろう。それどころか十二分に化学肥料などを沁み込ませていたに違いない。そのことは話さなかったが、ビオデュナミなどの素材などの話に及んだ。要するにラインガウでもそろそろビオヴァインでなければ勝負にならなくなってきているに違いない。

先ずは、グーツリースリングを試す。予想に反してミネラル風味があって清涼感がある。逆に言うと例年の酸が表に立たずに引っ込んでいるという事である。案の定、酸と糖が8g程度と半辛口仕立てになっているのである。そして階級が上がるにしたがって辛口へとその内容量が変わって来る。同じような傾向でオルツリースリングのキードリッヒも、予想していたように暑い夏の2015年にしてみると、それほど重くはないのである。アルコール12.5%であるから丁度良いぐらいである。そして酸もミネラルも明らかになって来る。

その次が黄土層のクロスターベルクである。これは流石に粉っぽいミネラルで、リースリング好きにはまるでラインヘッセンのようで若干げんなりする。それでもそれほど悪いとも思わなかったが、繰り返して試すことはなかった。そしてお目当てのテュルムベルクである。これはグラーフェンベルクの上部にあり、勿論風通しもよく気温などの点で暑い夏には有利である。前回このリースリングが良かったのは2009年産だった。傾向は似ているかもしれない。

そしてグローセスゲヴェックスのグレーフェンベルクである。これまた想定外の柔らかさである。例年ならばもう少し硬質で二年ぐらいは寝かしておかないと飲めないものである。要するに木樽による酸化で熟れ過ぎているような印象を受ける。それ故に期待されるミネラルの強さは感じられない。今年は前予約をしていないので無理して買わなくてよかったのだが、現時点ではリースリング好きには物足りなさを感じさせた。要するに柔らか過ぎる。

今年からは試飲会は一人12本を購入して初めて無料となるので、12本を選ぶ。先ずはキードリッヒかグーツリースリングかとなるが、六本買うならば前者で決まりだ。後者は飲み頃で飲みやすいが六本も開けているうちに飽きが来るだろう。そしてしばらくすると甘さが勝ってくるかもしれない。そして価格も割高である。もう六本は最もミネラルが確りしていて、例年ならば酸が充分にこなれていないテュルムベルクでいいだろう。安くはないが、今年の一本となるならこれだろう。その証拠にお替りを貰う常連さんもこの辺りに集まる。勿論飲みやすさではグレーフェンベルクなのだが、それは味が現時点で開いているということでは決してない ― もしそのようなことなら二年後には駄目になる。

その他で印象に残ったのはやはり甘口テュルムベルクのシュペートレーゼで、これも甘口グレーフェンベルクよりも酸が効いていて良かった。その他ではシャルタを試したが、苔臭いような感じで明らかに健康に熟成した葡萄というのからは遠い感じだった。若摘みだろうか。その他は試す価値もなさそうで、常連さんの人気も全く無かった。



参照:
ヴィルヘルム・ヴァイルのワイン 2010-09-05 | 試飲百景
素晴らしい投資相応の価格 2012-09-11 | 試飲百景
ラインガウへの途上で 2015-09-27 | 試飲百景
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検問逃れの試飲会帰り

2016-09-11 | 試飲百景
眠い、連日の疲れが取れていないようだ。そこに通常より少し超えたアルコールが入っただけで、分解能力が追い付かなかったようだ。まるで二日酔いの朝のような寝起きなのだが、それほど飲んでいる訳でもなく、夕食が遅くなったことぐらいだ。それでもムズムズする。どうも最近はあまり飲まない体質になったようで、以前ならば飲んでいるうちにスイッチが入って、止まらなくなってしまうというものだ。このようなことは無くなって、その前に感覚が鈍ったようなところでブレーキが入るようになって来た。理由は分からないが、飲酒運転の規制が厳しくなってきたので、少なくとも感覚が麻痺してくるような時点で自然に止めるような習性が身についてしまったのだろう。昔一緒に飲酒していて同じようなことを語っていた女性が居たように記憶するが、それが誰だったかは定かではないが恐らく学者だったと思う。なるほど感覚が鈍るような麻痺状態になると一種の不安に陥ってしまうというのは最近よく分かる。

試飲会に出かけるのに車を走らせると、バイパスの乗降口ごとにパトカーが停車していて、いつでも検問を始めれるような態勢だった。ヴルストマルクトでこのようなことはなかったので、流石に驚いた。飲酒運転規制か、テロ防止かは一向に分からないが、調べてみるとやはりテロ防止対策だったらしい。それでも帰り道つまり会場から離れる方向へは怪しい運転は止められると思い、帰り道を考えておいた。

先ずはいつものように発注したグローセスゲヴェックスを引き取りにデーノッフ醸造所に出向くが、少し17時を回ってしまって、態々自宅から出てきてもらうことになった。その妹さんに話を聞くと、雨量もそれほどではなく天気予報の様に晴天が続くと可成り健康な葡萄でよい年度になりそうだという事だった。何とか無事にワインを受け取り、お目当てのシェーンレーバー醸造所に向かう。

今回は自宅増築のこともあるのか、地下ではなく上での試飲だった。買い付け葡萄ものの「ナーヘリースリング」は特徴的なアルコール臭さと言うか如何にも造り込んだ不自然な味筋で、グーツリースリングの方も2015年特有の味の強さが感じられて興醒めだ。昔はそれでも食中酒として楽しんでいたのだが、もうこの手の酒は要らなくなった。同じような傾向はあっても流石に「ミネラール」は甘みを上手に効かしてミネラルと酸とのバランスが取れている。そして、「ハルガンツ」と比較すると、今度は逆にその雑味などに物足りなさを感じた。そして今年から初めてフリューリングスプレッツヘン産が「フリュータウ」と名付けられていた。全く同じものであるがあの長めの名前が無いと有難味が薄れる。勿論それはVDPの御意向である「グランクリュの名前はグローセスゲヴェックスとしてしか名乗れない」という方針に従っただけに過ぎない。そのお蔭かフリューリングスプレッツヘンは試飲は出来たが業者に全てが買いつくされてしまっていた。

さて、その「フリューリングスプレッツヘン」と「ハレンベルク」を比較する。毎年出来不出来があるが、今年は「ハレンベルク」でも悪くはないと感じた。理由は明らかで充分に味が強いので、態々雑味感の広がりまでは待つ必要が無いと思ったからだ。その点、オークション物の「アウフデアライ」は地所も冷却があって土壌の砂利が多く、涼しいリースリングとして秀逸だった。要するに高級リースリングなのだ。これならば充分にグレーフェンベルクなどと比較可能である。

そして古い年度の「ハレンベルク」、つまり2014年、2013年の「ハルガンツ」と2011年、2008年、2007年の六種類の同じワインを垂直試飲する。2014年は秀逸で、2013年は蜂蜜香、2011年は例の過熟性が厳しい。2008年もそれほど広がることが無く悪くはないが、個人的には2007年が好みである。若旦那に言わせると2007年は部分的にはそれほど良い年ではなくて、2013年と比較するが、あの独特のスマート感がいいのだ。

結局2015年産に関しては結構寝かせるワインである一方、つまりグローセスゲヴェックスで数年、「フリュータウ」でもまだ開かれていないのでもう少し置いておきたいという事になった。結局、高級リースリングばかり飲むとなると、溜めとかないと駄目なので、幾らあっても飲み干してしまうようなことではいつも在庫が足りなくなるのである。

帰りには、バイパスをバイパスする道に入った。以前はマンハイム方面に出かける通勤道路だったところで馴染みがあるのだが、なぜか賑やかだった。多くの人が同じことを考えたようで、その道を通って、ダイデスハイム方面へも車が流れていた。皆が検問を避けて車を走らせていたのだった。



参照:
土産になる高品質甘口ワイン 2016-05-30 | 試飲百景
飲み頃を探る試飲談話 2015-09-15 | 試飲百景
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