Wein, Weib und Gesang

ワイン、女 そして歌、此れを愛しまない輩は、一生涯馬鹿者であり続ける。マルティン・ルター(1483-1546)

出来悪い企業の従業員

2008-07-18 | 生活
商業の最前線はよく知らないが、それでも英国ビジネスマンを初めとする西欧先進国のビジネスマンと接する機会は、生産業を中心に少なくはなかった。それらの多くは、独自のノウハウや技術力を背景に、その顧客の現場や問題をよく心得ていて、如何に需要を掘り起こせるかにその経験と知識がつぎ込まれていて、独特の立ち位置を確保していた。

久しぶりに、日本からの依頼を受けて、研究用の民生用機器を日本へと送る事になった。日本にて輸出入の全ての手配を整えていたので、日本の運送屋のフランクフルトの代理店から連絡を受けた。どうも、朝から昼までひっきりなしに電話を鳴らしたようだ。私は、こちらが必要とないと思う借金取りや未知の者からの電話には一切出ない習慣をつけているので、それでもあまりに鳴らすので電話線をぬいたりして措いたが、その後「依頼と連絡がある旨」のファックスが入り、こちらから電話を掛けた。

何かこちらが、物を送りたくて引き取りにくるのを待ち構えているようなそぶりで話が通じない。時期尚早だが、段取りを決めておこうと思ったので、電話口の頭の悪そうなふにゃふにゃ女が自ら言うように同じ事を五回も繰り返している。ちっとも埒が明かないので、こちらから質問するのだが、まるで聞く耳を持たんと言わんばかりに、また同じ事を繰り返す。こうなると読者も期待するように、筆者の何時もの癇癪球が弾ける。

「あんたがそんな説明も出来ない態度を取るなら、仕事はやらんよ」と声を荒立てる。すると「注文を受けるように日本とさっさと話してくれ」と言ってまた同じ事を繰り返す。こちらも馬鹿らしくなってきたので「決まったら、また話しましょう」と電話を切った。

何処の禄でもない日本の電鉄系の運送屋とはその名称は書かないが、実力のない運送屋がまた力のない代理店を使って、それなりの料金を日本で請求している事が窺い知れた。その背後事情は、フランクフルトの代理店が金にしたい部分を当方が手配してしまい、面倒な部分をやらされるのであまり収益が上がらないのだなと分かった。

顧客の要求に応えられるかどうかより以前に十分な料金を取りながら面倒な事は引き受けたがらない態度に、当方は直接の依頼主ではないが、その業務に対する信用など微塵も感じられない。早速、十五年以上前に使ったことのある業者に電話して、当方が他のフランクフルトの業者を使った場合の日本まで搬送の見積もりを出させた。

その電話口の男性は、当方の名前を尋ね、状況を認知すると直ぐに折り返し電話をしてきた。十分に事務的で、必要な質問に答える事が出来るこれぞ専門家である。想像するに、幾らユーロ高とは言っても日本の運送屋が出した見積もりよりも安くなっているだろう。

荷物の注文主には、こちらの代理店を「叩いた」事実と同時に日本の運送屋に価格の圧力をかけることを命じたが、どうなったであろうか?こうした顧客対応は、特に手配やサーヴィス業の場合、如何に仕事内容を熟知経験しているかの問題である。商業以外のいかなる世界でも習ったことしかない出来の悪い者ほど、まるで自分が日常営んでいるルーティン仕事の流れこそが世界の法則の全てだと言うかのように、その隠語の社会で生きているのである。

実力のない企業は結局こうした似非経験者を顧客の係りとしておくことになり、ますます売り上げは落ちて行くのである。未だに返事がないところをみると、日本の運送屋は改めてオファーを出す羽目になり、フランクフルトの代理店に見積もりをさせているのだろう。

運送屋などは山ほどあるのである。これをして独禁法は幾ら厳しくても厳し過ぎないと言う証明になっているだろうか?
コメント
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