Wein, Weib und Gesang

ワイン、女 そして歌、此れを愛しまない輩は、一生涯馬鹿者であり続ける。マルティン・ルター(1483-1546)

植生のみならない生態系

2009-04-29 | アウトドーア・環境
去る土曜日、天気も良く気分も悪くはなかったので、ワインを取りに行く前に一時間程歩こうと思ったのである。そして、先日パン屋の帰りに立ち寄った山の上の駐車場から下っている谷を下からつめようと思ったのである。

その谷の入口に着いて驚いた。十年以上前は家庭菜園になっていた所が、今や隣町の取水口と自然公園の草原に変わっていたのである。永くご無沙汰していると感じた。昔は知り合いが其処で店をやっていたのでしばしば立ち寄ったのだった。

車道も土道ながら整備されて当時の車の泥刎ねの苦情も解決されていた。そして谷筋の林道はジョギングや通常の自転車でも滑走出来るように未舗装ながらしっかりと固められているのだ。巾一メートルもない小川の左右にはハイキング道が延びて、とても気持ち良い緑陰のせせらぎの道となっている。

登りにとても大回りしてしまったようでその谷を大きく高巻きする道を進んだ。どんどんと高度を上げて行くので谷から離れて不安になる。一向に谷へと降りる脇道が見つからない。そのように思って谷の方へと別れ道を選び進むと、木陰に岩がごろごろと突出している斜面を上方に見つける。

それに見惚れながら登りかけた所が、谷へと降りる見落とした分かれ道だったようで、結局名所のような岩へと出てしまった。町の観光パンフレットで観たことがある、その奇岩を初めて実際に見ることが出来た。

ただの奇岩ではないと、その岩肌に挟まれている石ころなどに侵食に洗われた岩肌であることが伺える。岩の上から遠く離れた町やワイン地所を見て浮かれているうちに先ほど別れた谷へと降りる道の存在をすら思い起こさなかった。そして更に先へ先へと「出口」を求めて無心に林道を奥へと進むが、益々谷から離れるだけで、道一つ交差しない。

その道には深く刻まれた足跡があり、暫らく行くと馬糞が落ちている。こんな山奥へと馬を走らせる人がいるのである。やっとのこと登山道が交差する頃その時点で既に歩き始めてから一時間程経過していて、風が吹き出し徐々に夕方の気配が見えてきた。急いで松林の中の道を谷へと降りて行くと、暫らくして、沢が堰き止められた池から小川が流れ出している。

自信はないものの川の流れに沿って降りて行くと、後ろから親子連れが自転車で追い着いて来る。呼びかけて谷を確認するとやはり戻る方向であった。そしてやっとの事先日道に迷った場所へと出くわす。なるほど、谷筋のその場所からその時車を止めた駐車場まではまだ一キロ近くある。

川の縁には生態系を図示する看板があり。道沿いの植生を説明する表示と共になかなか素晴らしい。なるほど谷の入口には、子供シャベルで川に手をいれて水遊びをしていた親子づれがいた。眼鏡をずらして水遊びに興じている親父さんに挨拶をすると、照れくさそうにばつの悪そうな笑みを湛えた。母親は草原に座っていて、子供よりも親父の方が完全に童心に戻っていたところを、ふとその時虚を突かれたのだった。

後ろから、ジョギングをする娘が近寄ってきて何をするかと思えば、泉の出ている所で水を求めているではないか。なかなか自然の遊歩道と人々の生活が自然に結ばれている風情が良い。川面の生態系や植生だけでなくて人々のそれがまた学習出来る谷である。
コメント (2)
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