Wein, Weib und Gesang

ワイン、女 そして歌、此れを愛しまない輩は、一生涯馬鹿者であり続ける。マルティン・ルター(1483-1546)

期待する三宅洋平効果

2016-07-10 | マスメディア批評
フランクフルター・アルゲマイネ新聞は参議員選挙について報道している。それによると、アベノミクスへの失望や実質賃金の減少によって人気の無い安倍内閣の自民党がとても高い支持率をNHKの調査などでも出していることが不思議だとされる。それをして、東京のテムプル大学のキングストン教授は、Abenigmaと名付けた。調査によると単独過半数をとる勢いで、連立の公明党やその他二党と三分の二を奪取して改憲提議への道にあるとされる。

パシフィズム的な現行憲法の改憲に関しては、特に九条に関しては、多くの日本人は否定的であり、昨年からの解釈改憲も理解は得られていないので、自民党も選挙ではそれを表には出さないとされている。つまり、この年初にも安倍総理自身、「改憲に向けた議席の三分の二の獲得」を宣言しているにも拘らず、この数週間はそれに関して黙り込んでいるというのだ。そして自民党の選挙パムフレットにも最後の最後に小さな印字で「改憲に尽力する」と書いてあるだけと報じる。

そして、カオスを齎した短期政権の現野党には力が無く、前回2013年の参議院の史上最低投票率52.6%同様に、今回も低投票率が見込まれているという。そして、連立の勝利が予測されている。それでも調査回答者の三割から四割は投票先未定としていて、一縷の不安があるとされている。

シールズの活動などに院外の政治の勢いがある反面、新たに選挙権を獲得した若い年齢層に向けては、ポップス歌手やコミックのマスコット、喋る米粒キャラで関心を促すなどしていても、投票には結びつかないだろうとされている。そのようなことで、法政の山口二郎教授は、「なぜ日本人が改憲に興味を示さないのか分からない」と嘆いていることで報告は締められている。

そこで我々が期待したいのは、やはり三宅洋平効果ではなかろうか。もはやこうなれば、そのネットでの広がりから陣営が目指したように今まで選挙に行かなかった無関心層がどれほど投票するかに係っていると思われる。東京選挙区でいえば、明らかに小川敏夫候補などを選択するのとは異なる層がどれほど三宅票を投じるかである。そして、全国各地で数限りない市民選挙講座を開催して、種を撒いてきた座間宮ガレイの選挙ジョッキーの市民選挙運動がどれほど芽を出すかである。

我々は現行の選挙制度やその政党政治に不満を募らしてきたのであるが、永遠に変わらないその循環に風穴を開けるのは、今回の様な尋常でない市民選挙への市民各々の自主的関与でしかない。今回泡沫候補扱いされた三宅が六位争いまで来た。これだけでも凄いが、もし当選するようなことになれば、完全に市民の力が実証されることになる。西ドイツの緑の党でも無し得なかったことが可能とすれば、それはネットでの繋がりから実際の草の根のネットワークを作るということでしかないだろう。

いづれにしても明らかなムーヴメントであり、トレンドである。元京大助手小出裕章までが応援メッセージを寄せた。流石に感覚の鋭い人だ。前述キングストン教授は今回の結果次第で政界再編成になるとの予測をしている。記事で紹介された岡田代表の不退転の決意にそれが表れているとされる。そこで軸になるのは今動いている中道の市民たちであるということだ。三宅陣営がどれほどの票を掘り起こせるか?それによっては一気に進むかもしれない。



参照:
Alternativlos unbeliebt, Patrick Welter, FAZ vom 9.7.2016
ツケを残し利子を払う税制 2016-07-09 | 文学・思想
ポストデモクラシーの今 2016-07-08 | 文学・思想
とてもあつい選挙フェス 2016-06-27 | 雑感
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