若年寄の遺言

リバタリアンとしての主義主張が、税消費者という立場を直撃するブーメランなブログ。面従腹背な日々の書き物置き場。

「文民」とは、軍人でない者をいう。

2008年12月13日 | 政治
日本国憲法
第9条 日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動
 たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、
 永久にこれを放棄する。
2 前項の目的を達するため、陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦
 権は、これを認めない。

第66条 内閣は、法律の定めるところにより、その首長たる内閣総理大臣及びその他の
 国務大臣でこれを組織する。
2 内閣総理大臣その他の国務大臣は、文民でなければならない。
3 内閣は、行政権の行使について、国会に対し連帯して責任を負ふ。



この二つの条文を、整合的に理解するのは難しい。
なんせ、一方では
「軍隊を持ってはいけません」
と言いながら、もう一方で
「軍人は国務大臣になれません」
と言っているのだから。

自衛隊が軍隊で、自衛官が軍人なら、憲法第9条に抵触する。
自衛隊が軍隊でなく、自衛官が軍人でないなら、
自衛官が現役のまま国務大臣になっても憲法第66条第2項には抵触しない。

「日本に軍隊はある。第66条第2項には意味がある」と考えると、
第9条の立場がなくなる。
「自衛隊は軍隊ではない。あくまでも第9条が軸にある」と考えると、
第66条第2項は空文化する。

自衛隊は軍隊か否か。自衛官は軍人か否か。
自衛隊が軍隊であり、自衛官が軍人であるならば、文民統制という言葉には意味がある。
自衛官が軍人でないならば、自衛官は文民であり、文民統制という言葉とは無関係。

今、与野党とも「田母神論文は文民統制に照らして問題がある」と主張している。
与野党間では「自衛官は軍人である」という点で一致している・・・ということになる。
日本は軍隊を持つ国と公言しちゃっていいんですか、共産党さん、社民党さん?

一方、問題の論文を発表した田母神氏は、
「自衛官は軍人ではない。文民統制には服さない。私が何を発言しようが私の自由だ」
と考えていたのだろうか?
それとも、文民統制を明文で規定した法律がないから、文民統制でバッシングされると
思っていなかったのだろうか?
あるいは、何も考えていなかったのだろうか?

税金の無駄、定義は?

2008年12月13日 | 政治
無駄ゼロ会議の提言要旨
【特別会計の支出】
 批判や国民の受け止めを踏まえ特別会計の支出を点検▼08年度予算実質支出
178兆円から国債償還費、社会保障給付、地方交付税交付金などを除いた11兆
2000億円を重点的に見直す▼労働保険特別会計(雇用勘定)は雇用失業情勢や
国家財政の状況を勘案し、国費投入を行わないことを含めて見直す▼雇用・能力開発
機構の「私のしごと館」は業務を廃止し、施設の売却先を検討
 【行政コストの節減・効率化】
 広報経費・委託調査費は必要性をゼロベースで見直し、政府全体の予算額を08年
度比25%以上削減▼レクリエーション経費は08年度の執行を凍結し、09年度は
原則廃止▼タクシー代は業務の効率化を図り08年度比25%以上削減



行政コストを削るのはいい。無駄を無くそうとすることは評価する。
でもさ。


>08年度予算実質支出178兆円から国債償還費、社会保障給付、
>地方交付税交付金などを除いた11兆2000億円を重点的に見直す


 社 会 保 障 給 付 を 見 直 し の 対 象 か ら 外 す の ?


社会保障給付も無駄でしょ?(無駄の定義如何によっては、ね)
無駄ゼロ会議では、無駄の定義はどうなっているんだろう?


視点を変えれば、様々なものが無駄になったり、ならなかったりする。

例えば、国からのヒモ付きの補助金。

中央集権論者からすれば、国の関与を強化するためにヒモ付き補助金は有効な手段。

しかし、地方分権論者からすれば違ってくる。
ヒモ付き補助金は、地方の自主性を阻害し、地域の実情に合った行政を邪魔する存在。
すなわち、無駄な支出となる。
(その分は、ヒモのない交付税でよこせということになる。)

小さな政府論者からすれば、同じお金を、
国から支出しようが地方から支出しようが、
ヒモが付いていようが無かろうが、あまり重要ではない。
国・地方を合わせた政府支出の削減が目的なのだから。

定義次第では、社会保障給付が無駄になる。
定義次第では、マッサージチェアーが無駄にならない。

無駄とは、自分以外の誰かが受け取る支出の総称である。
自分に給付されるいかなる支出も、有意なものである。

社会保障は泥棒のはじまり

2008年12月13日 | 政治
コンビニに行った。腹が減った。おにぎりを食べたい。
しかし手持ちの金は100円のみ。

そんな時、人はどうするか。

何も買わず我慢する。90円のジュースでその場をしのぐ。
家から金を持ってくる。口座からおろす。明日の給料日を待つ。

おそらく、普通の人の行動はこんなところだろう。
しかし、別の行動をとる人もいる。

棚に手を伸ばしておにぎりをつかみ、その場で食べる。
棚のおにぎりを素早くポケットにねじ込む。
路地裏でカツアゲして小学生の財布を分捕る。

こういうのを、泥棒という。
自分の欲望、目的、意図などを達成しようとすれば、通常は手間がかかる。
わらしべ長者のように、交換や労力の積み重ねが必要だ。
ところが、泥棒は違う。ワラすら持たず、いきなり他人のみかんを盗ろうとする。
他人の負担や他人の金で、自分の欲望や目的を達成しようとする。

さて。

世の中には、
「医療費を無料にすべきだ」
「最低賃金を上げるべきだ」
「高校までの授業料を無料にすべきだ」
と主張する人々がいる。
この人々は、
「そのために、財産の半分を寄付します」
「私への所得税が倍になっても構いません」
「今受け取っている、年金の受給権を放棄します」
とは、あまり言わない。
逆に
「課税最低限を引き上げろ。所得税の最高税率を引き上げろ」
「生活必需品に対する消費税を撤廃しろ」
と主張するパターンが多い。

・・・泥棒どもめ。


「医療費を無料にすべきだ」
そう思うなら、あなたが医者になり、貧しい人々から医療費を取らないようにすれば良い。

「最低賃金を上げるべきだ」
そう思うなら、あなたが経営者になり、従業員に十分な給料と保障を与えれば良い。

「高校までの授業料を無料にすべきだ」
そう思うなら、あなたが私立の小・中・高校を設立し、貧しい家庭からは授業料を取らないようにすれば良い。

羅針盤なき社会保障

2008年12月13日 | 政治
「出産には金がかかる。なら出産費用を配ればいい」
こういう泥棒のような短絡さが気に食わない。
これで少子化対策になるんだろうか。金を貰ったら産む、という単純なものだろうか。

規制や補助金で不採算部門が温存され、
つぎはぎだらけの社会保障制度に多くの人がタダ乗りし、
公共サービスの維持を大義名分に、公務員の人件費は据え置かれる。
行政によって、社会全体が高コスト体質になっている。

今の仕組み、今の水準の社会保障制度を無理に維持しようとするから、少子化が問題になる。社会保障の水準を税収に見合った程度に下げていけば、少子化は問題にならない。問題視する必要が無い。

子供を産むかどうか、何人産むかはそれぞれの夫婦の問題であって、これを社会問題に転化するからおかしな話になる。むしろ、効果のあるかどうか分からない少子化対策を打ち出すことで、制度変更のコストが増すだけだ。


<出産一時金>42万円に増 来年10月から 財源に不満も 毎日新聞 2008年12月13日
 厚生労働省は12日の社会保障審議会医療保険部会で、出産育児一時金(現在35万円、09年1月以降38万円)を7万円アップし、42万円とする方針を説明した。09年10月~11年3月の暫定措置。妊産婦が立て替え払いせずに済むよう、医療保険が費用を医療機関に直接支払う仕組みを徹底させる。年間の所要金額約450億円のうち半分を国庫負担で、残りを保険料と交付税でまかなう。大筋で了承されたものの、舛添要一厚労相はこれまで財源を「全額国庫負担」と説明しており、出席者が不満を表明する場面もあった。

 一時金について舛添氏は当初「地域差をつける」と表明したが、自身が設置した検討会で猛反発を受け「一律アップ」に転じた。その際、舛添氏は「全額国庫負担で」と述べたが財務省と調整できず、3分の1程度は保険料で負担せざるを得なくなった。国庫補助の割合は保険者の財政力に応じて決めるといい、補助がゼロの健保組合も出てくる見込み。このため12日の審議では、負担増となる自治体や健保組合の代表らから「話が違う」と批判が相次いだ。



35万円→38万円の変更は、21年1月から施行。そのための政令改正は、この20年12月にギリギリ決まった。厚生労働省は政令の遅れをうけて、前代未聞の改正条例参考案を作って市町村に流すという不手際ぶりを発揮した。

それでようやく決まったと思ったら、もう次の変更だ。しかも、増額分は全額国庫負担の予定だったに、保険料からの負担アリという話になった。地域ごとに決めるという予定も、一律アップに変更された。そして、21年10月~23年3月の期間限定、暫定措置。その先はどうするか未定ときた。

どうも、継ぎはぎ感が否めない。腰が据わってない。ちゃんと事前準備をしてから施行できるんだろうか?そもそも、21年10月には麻生総理も舛添厚労相も閣僚を去っているんじゃなかろうか?

自分が議員なら、何を質問する?

2008年12月13日 | 地方議会・地方政治
行橋市議会:議員の一般質問者少なく、奮起期待の声も /福岡 毎日新聞 2008年12月9日 京築版
行橋市議会(定数21)12月定例会は8日、一般質問が始まった。同市議会は4月 の改選前から一般質問者が少ない状態が慣例化。改選後の6、9月定例会は8人で、今回も10人が質問するが、全議員の半分に満たないなど権利を行使しないのが当たり前となっている。

   ===============中略===============

質問者が少ないことについて4月の改選に出馬、落選した20代男性は「はがゆく悔しい。自動車工場の派遣社員削減問題への対応などただしたい事はたくさんあるのに」とため息。同じく落選した40代の男性も「当選したら毎回欠かさず質問に立つつもりだった。市政課題に立ち向かおうという姿勢が感じられない」と奮起を期待した。
一般質問は10日までで午前10時開会。【降旗英峰】
改選後、今議会を含み一般質問をしていない議員は以下の通り。(城戸好光議長除く、敬称略)
亀田国夫、藤本広美、諌山直、二保茂則、豊瀬尉、田渕哲、吉永直、沢田保夫(副議長)、西本徹




市議会議員は実名で批判され、批判コメントを出している落選者は実名が伏せられている。
選挙で落ちたら私人だから名前は非公表?選挙に立候補した人間を私人扱いすべきか?
なんか腑に落ちないので、実名を探してみた↓。

ザ・選挙 行橋市議会議員選挙結果

記事にある「落選した20代男性」は小坪慎也、 「落選した40代の男性」は井下田清智、
ということらしい。


さてさて。


議会の一般質問では、共産党、公明党、解放同盟、農家etc、
それぞれの議員が自分の支持者の利益を代弁している。
「財政状況は厳しいが、○○にはしっかり対応してほしい」
「交付金は減っているが、△△の充実は図っていくべきだ」
という、自分の畑に予算を引っ張ろうとするものが目立つ。
でも、
「役所の職員数を減らせ」
「歳出を減らせ」
「滞納者への対応を厳しくしろ」
といった、納税者の立場を積極的に代弁する一般質問はあまり目にしない。

住民は、自分の近くにお金を落としてくれる議員に票を投じる。
良い議員とは、自分に便宜を図ってくれる議員だと住民は思っている。
そうした部分最適の積み重ねでは、全体最適とはならない。
むしろ、部分最適を図る手段として行政を利用することで、行政は少しずつ大きくなり、結局は全体として高コスト体質の行政機構ができあがるのに。

民主主義は「治者と被治者の同一性」であると言われる。
住民のレベルが、議員や職員のレベル。治者と被治者は同一なのだ。